説明

バルブボディ及びシール構造体を備えるアセンブリ、バルブボディ、及びシール、及び配管を備えるアセンブリ、並びに前記アセンブリ用シール構造

バルブボディ及びシール構造体を備えるアセンブリ、バルブボディ、シール構造体、及び配管を備えるアセンブリ、当該アセンブリ用シール構造体を提供する。
【課題】
【解決手段】本発明は、バルブボディ(A)及びシール構造体(11)から成るアセンブリに関する。前記バルブボディ(A)は、ガス流路(4)と、開き位置と前記流路(4)へのガスの移動を阻止する閉じ位置との間で移動するバルブシャッタ(6)とを含んでいる。前記流路(4)は、配管(B)に接続されて、前記流路(4)と配管(B)との間のガスの流れを可能にするように構成され、前記シール構造体(11)は、前記流路(4)と前記配管(B)との間に取り付けられて、前記流路(4)と前記配管(B)との間のガス気密を保持するように構成されている。前記アセンブリは、前記シール構造体(11)が、前記閉じ位置にある前記バルブシャッタ(6)のシートを形成している。このシール構造体は、一方において、バルブシャッタが開き位置または閉じ位置にあるかどうかにより、流路と配管との間の気密を保持し、他方において、閉じ位置にあるときのバルブシャッタの気密を保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブボディ及びシール構造体から成るアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車両内燃エンジンは、通常、複数のシリンダを備える燃焼室を有し、この燃焼室では、燃料及び燃焼剤から成る混合気を燃焼させて、エンジンを作動させる。燃焼促進剤は空気であり、この空気は、エンジンがターボ過給機を含んでいるかどうかに応じて、圧縮されるか、または圧縮されない。また空気を、排気ガスと混合させることができる。これは、排気ガス再循環として知られている。燃焼室に吸入されるガスは、吸気ガスと呼ばれている。
【0003】
エンジンにターボ過給機が装着した場合、空気は、エンジンに吸入され、コンプレッサで圧縮され、空気を燃料と一緒に燃焼させるシリンダに吸入され、次に、排気管を介して排出される。排気ガスでタービンが駆動されるが、このタービンは、コンプレッサに固定され、かつコンプレッサと共に、ターボ過給機を構成している。排気ガスの再循環は、排気ガスをタービンの後ろで取り出し、コンプレッサの手前で再流入させる場合には、「低圧」再循環と呼ばれる、また、ガスをタービンの手前で取り出し、コンプレッサの後ろで再流入させる場合には、「高圧」再循環と呼ばれる。例えば、ガソリンエンジンの場合、低圧再循環によって、燃料消費量を減らし、エンジン効率を高めることができる。ディーゼルエンジンの場合、低圧再循環により、排出量を減らして、環境関連規格に適合させることができる。
【0004】
従って、ガスは種々の配管に誘導される。ガスの移動は、バルブ群により制御され、これらのバルブによって、特定の配管内のガスの移動を、阻止したり、制御したりすることができる。
【0005】
排気ガス再循環ループの場合、所謂「3ポート」バルブが、通常設けられる。このバルブは、ガスをバルブに流入させるための流入路と、ガスをバルブから流出させるために設けられ、かつ排気通路と呼ばれる排気ガスの直接流出路である第1流出路と、ガスをバルブから流出させ、かつガスをクーラに流入させるための流入路である再循環通路と呼ばれる第2流出路とを備え、このクーラ自体から、再循環排気ガスポートへの放出が行なわれる。バルブの流入路に吸入される排気ガスは、エンジンの排気管への放出を行なう排気通路を、直接介して排気することができる。または再循環通路を介してクーラに吸入することができ、このクーラの出口で、排気ガスが流入ガスと混合させられる。
【0006】
バルブシャッタを、3ポートバルブに取り付けて、再循環排気ガスポートを開くか、閉じるか、塞ぐ、または調整する。再循環通路は、配管と流体連通するように配置され、ガスをクーラに誘導するか、または再循環通路は、クーラに直接放出を行なうことができる。
【0007】
3ポートバルブの構造は、一般に、次の通りである。一体型配管(以後、排気管と表記される)が、ガスをバルブに流入させるための流入路、及びガスをバルブから流出させるための直接排気通路を構成している。この排気管は、オリフィスを有し、このオリフィスの位置で、当該排気管は、バルブボディである部材に固定され、この部材には、再循環通路が形成され、この部材と排気管が、このオリフィスを介して流体連通されている。このバルブボディは、具体的には、バルブシャッタと、バルブボディの回転駆動モータとを備えている。
【0008】
ガスシール構造体を、排気管とバルブボディとの間に設ける必要がある。再循環させて、クーラに流入させる排気ガスの温度は非常に高い。従って、エラストマー製シールは適切ではなく、金属製のシールを、排気管とバルブボディとの間に設けることが好ましい。熱膨張率差が、バルブシャッタとバルブボディとの間にあるので、バルブシャッタの周辺と、バルブボディの通路の壁の内面との間に、隙間を残しておくことが必要であり、この壁を越えて、バルブシャッタが移動する。その結果、バルブシャッタは、バルブシャッタが収容されている通路の壁を、高温においても、こすることがない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
バルブシャッタが閉じ位置にあるとき、バルブシャッタの機能は、再循環排気ガス通路を塞ぎ、これらのガスが、排気通路に向かってしか流れざるを得ないようにすることである。しかしながら、上に述べた隙間があるので、バルブシャッタが閉じ位置にある状態で、排気ガスが漏れて再循環配管に流れ込む虞があるという問題が生じる。具体的には、このような排気ガス漏れによって煤煙が発生し、エンジン性能は劣化する。
【0010】
本発明は、ガス漏れがなく、かつバルブボディとシール構造体とを備えるアセンブリを提供することを目的とし、前記バルブボディは、ガス流路と、当該流路へのガスの移動を阻止するバルブシャッタとを含んでいる。
【0011】
本発明は、更に具体的には、排気ガスが高温であるので、バルブシャッタの周辺と、自動車の内燃エンジンの排気ガスを再循環させる3ポートバルブのバルブボディの通路の壁の表面との間に、隙間が生じてしまうことから必然的に考えられたものである。しかしながら、本出願人は、本発明の権利の範囲を、この用途にのみ限定しようとしているのではなく、配管に接続されるように設計されている通路を含むバルブボディ内で、バルブシャッタの気密を、高温のガスが流れている状態で保持する際における一般的な問題を解決することを目的としている。広い意味で、本出願人は、配管に接続されるように設計されているバルブボディのバルブシャッタの気密を保持する際の問題を解決しようとするものである。
【0012】
この目的のために、本発明は、バルブボディ及びシール構造体から成るアセンブリを提案するものであり、前記バルブボディは、ガス流路と、開き位置と前記流路へのガスの移動を阻止する閉じ位置との間で移動するバルブシャッタとを含み、前記流路は、配管に接続されて、前記流路と前記配管との間のガスの流れを可能にするように構成され、前記シール構造は、前記流路と前記配管との間に取り付けられて、前記流路と前記配管との間のガス気密を保持するように構成され、前記シール構造体は、前記閉じ位置にある前記バルブシャッタのシートを形成していることを特徴とする。
【0013】
本発明によると、シール構造体は、一方において、バルブシャッタが開き位置または閉じ位置にあるかどうかに依存する形で、流路と配管との間の気密を保持し、他方において、閉じ位置にあるときのバルブシャッタの気密を保持する。シール構造体は、閉じ位置にあるときのバルブシャッタのシートを形成する。すなわちシール構造体は、一方では、バルブシャッタと流路との間のガスの移動を阻止し、他方では、バルブシャッタと配管との間のガスの移動を阻止する。
【0014】
ある実施形態では、前記シール構造体は、ガスが通り抜けるための窓を設けた金属プレートを含み、かつ前記バルブシャッタのシートを、前記窓を画定する前記シール構造体の内周の少なくとも一部に亘って形成している。
【0015】
ある実施形態では、前記プレートは、その内周に、前記バルブシャッタの1つの辺に対応する少なくとも1つの当接舌部を含んでいる。
【0016】
ある実施形態では、少なくとも1つの舌部は、前記シール構造体のプレートのほぼ平面に位置している。
【0017】
特定の実施形態では、少なくとも1つの舌部は、反力を前記閉じ位置にある前記バルブシャッタに加える。この反力により、バルブシャッタとシール構造との間の接触が、従って気密が向上する。
【0018】
ある実施形態では、少なくとも1つの舌部は、前記シール構造の前記プレートの平面と、前記バルブシャッタのうち、前記舌部と接触するようになるように設計された領域の方向に或る角度をなし、かつ或る程度の弾性を有する。
【0019】
ある実施形態では、少なくとも1つの舌部を屈曲させることにより、前記舌部は、前記バルブシャッタに、前記バルブシャッタの1つの辺の少なくとも1つの端面で接触するようになる。
【0020】
ある実施形態では、前記シール構造体は、これを前記バルブボディに固定する手段を含んでいる。具体的には、この固定手段は、固定ネジを挿通させる少なくとも1つの孔を有するものとされる。
【0021】
ある実施形態では、前記バルブシャッタは回転移動することができ、前記バルブシャッタの閉じ位置で、前記シール構造体の前記平面にほぼ位置するように構成されているプレートを有し、前記バルブシャッタの回転軸は、前記プレートからずれて、例えばバルブボディの流路内に延出している。このような実施形態は、使用するシール構造体の種類に関係なく、バルブシャッタが閉塞位置にある状態の排気ガス圧力損失を低減することができるので有利である。
【0022】
本発明は更に、バルブボディ、シール構造体、及び配管から成るアセンブリに関するものであり、前記バルブボディはガス流路と、開き位置と前記流路へのガスの移動を阻止する閉じ位置との間を、移動するバルブシャッタとを含み、前記流路は、前記配管に接続されて、前記流路と配管との間のガスの流れを可能にするように構成され、前記シール構造体は、前記流路と配管との間に取り付けられて、前記流路と配管との間のガス気密を保持し、前記バルブボディ及びシール構造体が、上に説明した通りのバルブボディ及びシール構造体から成る前記アセンブリの特徴を有するものである。
【0023】
ある実施形態では、前記アセンブリはいわゆる「3ポート」バルブを構成し、この「3ポート」バルブは、ガスを配管に流入させるための入口オリフィスと、前記バルブから流出するガスを直接排気するためのオリフィスとを有する。前記配管によって、ガスを入口オリフィスから出口オリフィスへ、前記バルブが閉塞位置にある状態で、直接循環させることができる。ガス流路は、ガス直接循環通路に、前記ガス循環通路の壁に形成されているオリフィスで接続され、前記オリフィスは、前記バルブシャッタによって閉塞されるようになっている。
【0024】
前記バルブは、自動車両内燃エンジンの3ポートバルブとすることができ、この場合、ガス直接循環配管が排気管であり、ガス流路が、排気ガスを熱交換器に再循環させる通路である。
【0025】
前記バルブの1つの実施形態では、前記バルブシャッタは、2つの翼部を、前記シャッタの回転軸の反対側に、それぞれ備えている。
【0026】
第1の実施形態では、前記シール構造体の窓は、前記バルブシャッタの前記回転軸を基準にするいずれの側にも存在し、前記軸を基準にして一方の側に位置する前記窓の各部分を、前記バルブシャッタの翼部で閉鎖するようになっている。前記窓の前記各部分には、前記バルブシャッタの翼部群の各翼部に当接するようになっている前記当接舌部群を設けることができる。
【0027】
別の実施形態では、前記窓は、前記回転軸を基準にしてその一方の側に位置し、前記シール構造体は、前記回転軸を基準にして、他方の側の前記ガス直接循環配管の壁に形成された、前記オリフィスを部分的に閉塞する閉塞部分を有する。前記バルブシャッタの閉塞位置では、前記バルブシャッタの一方の翼部で前記窓を閉鎖し、他方の翼部は、前記シール構造体の前記閉塞部分に対向している。
【0028】
本発明は更に、バルブボディ、及び上に説明したシール構造体から成るアセンブリのシール構造体にも関するものである。
【0029】
勿論、本発明に関する上の説明では、ガスが通路と配管との間を流れる様子を基にしているが、これは、ガスが前記通路から前記配管に、または前記配管から前記通路に流れることができることを意味するものとして解釈されるべきである。
【0030】
添付の図面を参照しながら行う、本発明のバルブの好適な実施形態に関する以下の説明を読むことにより、本発明を一層深く理解しうると思う。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】熱交換器に接続されて自動車両の排気ガスを再循環させる3ポートバルブの斜視図である。
【図2】図1のバルブのボディを前面から眺めたときの斜視図であり、反時計方向に約90°だけ向きを変えていて熱交換器及び排気通路を見ることはできず、かつ本発明の第1の実施形態のシール構造体を見ることができ、バルブシャッタは開き位置にある。
【図3】図2のシール構造体の斜視図である。
【図4】図2のバルブシャッタ及びシール構造体の斜視図であり、バルブシャッタは閉じ位置にある。
【図5】図2のバルブシャッタを背面から見た斜視図である。
【図6】図2のタイプのバルブのシール構造体の第2の実施形態を、背面から見た斜視図である。
【図7】バルブシャッタと図6のシール構造体との間の接触領域の部分拡大斜視図である。
【図8】図7のバルブシャッタ及びシール構造体の斜視図であり、バルブシャッタは閉じ位置にある。
【図9】図1に示す平I−Iに沿う図1のバルブの断面図であり、バルブシャッタは閉じ位置にある。
【発明を実施するための形態】
【0032】
「前方の」及び「後ろの」という用語は、純粋に従来通りに、かつ任意に選択されてバルブの説明を簡単にする語であり、使用中のバルブの向きに関する先入観を排除するものである。なお「前面の」及び「背面の」という語は、バルブシャッタのシール構造体の平面を基準にして用いられ、「背面の」とは、熱交換器に至る再循環排気ガス通路の端部を指す。
【0033】
図1に示すように、「3ポート」バルブ1は、ガスをバルブに流入させるための流入路2と、第1ガス流出路3と、第2ガス流出路4とを備えている。構造的には、バルブ1はバルブボディAを含み、このバルブボディAに取り付けられ、かつこのバルブボディAに固定されているのが排気管Bである。排気管は、流入路2及び第1流出路3を構成し、バルブボディAは、第2ガス流出路4を含んでいる。
【0034】
バルブとは、バルブシャッタ及び種々の通路を含む部材であり、バルブボディとは、バルブのうち、バルブシャッタ6を支持する構造部材であることに留意されたい。
【0035】
第1ガス流出路3は、排気ガス直接流出路である。この流出路を、排気通路3と呼ぶ。第2ガス流出路4は、クーラ5のガス流入路を構成し、このクーラ5自体は、エンジンの再循環排気ガスポートへの放出を行ない、排気ガスをマニホールドに向かって誘導して、ガスをシリンダに(コンプレッサまたはコンプレッサ群の上流または下流で)吸入させる。この第2流出路は、再循環通路4と呼ばれる。クーラ5は、バルブボディAに、バルブボディAのフランジA’を介して固定され、再循環通路4に向かって直接放出を行なう。
【0036】
シリンダ群の排気口では、バルブ1の流入路2に吸入される排気ガスは、エンジンの排気管に放出を行なう排気通路3を直接介して排気することができる。またはクーラ5に、再循環通路4を介して吸入することができる。このように、排気ガスは、ガス直接循環配管とも表記される排気管Bにのみ流れ込む(すなわち、機能的にバルブ1の流入路2及び排気通路3に)か、または更に再循環通路4に、例えば前記ガス直接循環配管の壁に形成され、かつ前記バルブシャッタ6で塞がれるようになっているオリフィスを通って流れ込む。
【0037】
本発明は、排気管BとバルブボディAの通路4との間の接続に適用することができる。
【0038】
バルブシャッタ6は、軸7の回りを回転することができる(この場合、「軸7」という用語は、機械部品及び当該機械部品の方向の両方を指す)。図5に示すように、バルブシャッタ6は矩形プレート8を含み、この矩形プレート8は、略平面の前面を有する。矩形プレート8の背面では、プレート8は、ボア10を含む突起部9を形成する中央部分9を支持し、このボア10に、バルブシャッタ6を駆動して回転させる軸7が挿通されている。バルブシャッタ6は、シャッタの回転軸7回りに回動する。
【0039】
バルブシャッタ6の回転駆動軸7は、モータによって、例えばバルブボディAのハウジング16(この場合は円筒状ハウジング)内に取り付けられている不図示のDCモータによって駆動される。
【0040】
バルブシャッタ6の回転軸7は、バルブシャッタ6のプレート8からずれている。すなわちプレート8の平面に位置せず、かつプレート8から或る距離に位置し、この場合、プレート8とほぼ平行である。この機構は、バルブボディAの構造に連結されている。バルブシャッタ6の回転軸7は、更に、プレート8の形状を定める矩形の略中心を延在している。更に正確には、回転軸7は、この矩形の中心軸からわずかにずれていて、この矩形の一辺の方にずれている(これは本質的に、プレート8に軸の平行投影像を投影した場合のプレートに対する軸の位置を指している)。
【0041】
バルブシャッタが開くと、再循環通路4、従ってクーラ5は、排気管Bと直接連通する。この連通は、バルブシャッタ6により阻止される。
【0042】
シール構造体11は、バルブボディAの再循環通路4と排気管Bとの間に固定されている。シール構造体11は、ガス流通窓12を穿孔した略平面状の金属製プレートの形態をとっている。このように、シール構造体11は、矩形フレームの形状を有する。複数の固定用突起部13が、フレームの外側辺に設けられている。各突起部13は、バルブボディAの対応するボア、この場合は、再循環通路4の周辺のボアに螺合する固定用ネジ、または心出しピンを受け入れる孔14を有している。複数の孔14’を更に、シール構造体11のフレームにじかに設ける(すなわち、突起部を設けることなく)。
【0043】
この場合、バルブボディA、排気管B、及びシール構造体11は、同じ固定用ネジでこれらの3つの部材を一括して固定することができるように配置されている。各ネジは、従って、排気管B、シール構造体11、及びバルブボディAを挿通している。このように、シール構造体11は、排気管Bの対向面とバルブボディAの対向面との間に固定されている。
【0044】
シール構造体11のうち、窓12を構成する内周部の少なくとも一部は、閉じ位置にあるバルブシャッタ6のシートを形成するように適合させられている。このように、閉じ位置では、バルブシャッタ6はシール構造体11に押圧当接する。
【0045】
このバルブシャッタシート機能を実現するシール構造体11の種々の実施形態を、次に説明する。バルブ(上の説明を参照)の他の構成部材は、全ての実施形態において同じであるか、同様、または同等であるので、種々の実施形態において再度説明することはしない。更に、同じ符号は、同じか、同様か、または同等の機能を持つ部材に使用される。
【0046】
図2〜図4に示す第1の実施形態では、シール構造体11は、その内側辺に、バルブシャッタ6用の当接舌部、更に正確には、バルブシャッタの複数辺に対応する当接舌部15a,15b,15c,15dを含んでいる。これらの舌部15a〜15dは、平面状であり、図示の実施形態では、シール構造体11を構成するプレートとほぼ同じ平面に在る。これらの舌部は、バルブシャッタ6のうち、バルブシャッタの複数辺に沿って位置する直交(ガス流に対して)表面部分が、これらの舌部に接触するようになるように配置されている。
【0047】
更に正確には、図3及び図4に示すように、側方舌部15b,15dは、シール構造体11の対応する内側辺の全長に延在しているのに対し、上側舌部15a及び下側舌部15cの中央部分は、該当する隙間15a’,15c’により途切れて、バルブシャッタ6が、この隙間を通り抜けるようになっている。ここでも同じように、「前面の」及び「背面の」という語の概念に関して、「上側」、「下側」、及び「側方」「右側」及び「左側」という用語の概念は、任意的であり、図2に示されている「上側」、「下側」、及び「側方」「右側」及び「左側」に対応している。これらの概念は、バルブ1の向きが、エンジン内でどのようになっているかに関する先入観を排除しているものである。
【0048】
上側舌部15a及び下側舌部15cの隙間15a’,15c’によって、バルブシャッタ6はシール構造体を通り抜けることができ、当該シャッタの軸7の回りを回動することができる。図2に示すバルブシャッタ6の開き位置では、バルブシャッタ6は、窓12を塞ぐことがなく、当該シャッタのプレート8は、隙間15a’,15c’を通って延出する。当該シャッタのプレート8のうち、図2の軸7の右側に位置する部分は、シール構造体11の前面にあり、軸7の左側に位置する他方の部分は、シール構造体11の背面にある。バルブシャッタ6の閉じ位置では、バルブシャッタ6は、シール構造体11の両側の辺に当接する。更に正確には、また図4から分かるように、バルブシャッタ6の右側部分の辺に沿った直交面は、舌部15a,15b,15cに当接し、これらの舌部は、隙間15a’,15c’の右側にあって、バルブシャッタ6がこれらの隙間を通り抜けるのに対し、バルブシャッタ6の左側部分の辺に沿った直交面は、舌部15a,15c,15dに当接し、これらの舌部は、隙間15a’,15c’の左側にあって、バルブシャッタ6がこれらの隙間を通り抜けている。更にもっと正確には、バルブシャッタ6の右側部分の辺は、右側の側方舌部15bの全体に、そして上側舌部15a及び下側舌部15cのうち、対応する隙間15a’,15c’の右側に在る部分に当接しているのに対し、バルブシャッタ6の左側部分の辺は、左側の側方舌部15dの全体に、そして上側舌部15a及び下側舌部15cのうち、対応する隙間15a’,15c’の左側に在る部分に当接している。
【0049】
このように、バルブシャッタ6のプレート8の右側部分の背面は、舌部15a,15b,15cの前面に当接し、バルブシャッタ6のプレート8の左側部分の前面は、舌部15a,15c,15dの背面に当接している。従って、バルブシャッタ6の回転軸7を、プレート8の平面から、すなわち、プレート8が閉じ位置にあるときのシール構造体11の平面からずらしてある理由が分かると思う。閉じ位置では、バルブシャッタ6は、シール構造体11の両側の辺に当接し、シャッタの中央部分は、シール構造体11の平面に在り、そして当該シャッタの回転軸は、この回転軸が、バルブボディAの通路4の内部にあって、シール構造体11の平面外に位置するようにずれている。
【0050】
このように、シール構造体11は、閉じ位置にあるときのバルブシャッタ6のシートを形成している。これにより、漏れに対するバルブ1の気密性を更に高めることができる。一方では、再循環通路4と排気管Bとの間の気密性は、シール構造体11を当該通路と排気管との間に固定することにより実現される。他方では、バルブシャッタ6の閉じ位置において、バルブシャッタ6と再循環通路4との間の気密性が、一方において、そしてバルブシャッタ6と排気管Bとの間の気密性が、他方において、当該シャッタの辺に沿うバルブシャッタ6の直交面と、バルブシャッタ6のシートを形成するシール構造体11の舌部15a〜15dの直交面とが接触することにより実現されている。
【0051】
シール構造体の第1の実施形態の1つの特定の形態(舌部を有する)では、舌部15a〜15dは、或る程度の弾性または可撓性を持つように、別の表現をすると、ばね力をバルブシャッタ6に加えるように、従って、或る程度の抗力が当該舌部に働くようになっている。この場合、静止位置では(すなわち、バルブシャッタ6が開いているとき)、舌部15a〜15dは、バルブシャッタ6のうち、これらの舌部が、バルブシャッタの閉じ位置で接触するときの接触先になるように構成されている部分の方に向いている。これらの舌部はシール構造体11を構成するプレートの平面と或る角度をしている。従って、右側の側方舌部15b、及び上側舌部15a、及び下側舌部15cのうち、対応する隙間15a’,15c’の右側にある部分は、小さな角度で、前面に向かって延出するのに対し、左側の側方舌部15d、及び上側舌部15a及び下側舌部15cのうち、対応する隙間15a’,15c’の左側にある部分は、わずかな角度で、背面に向かって延出している。このような構成であるので、バルブシャッタ6が、舌部15a〜15dに接触するようになると、当該バルブシャッタ6から、力が舌部15a〜15dに加わって、これらの舌部が直交位置にならざるを得なくなる(これらの舌部が、これらの舌部の静止位置から相反する向きに動く)。ばね力が舌部15a〜15dの可撓性により発生するので、バルブシャッタ6の辺と舌部15a〜15dとの接触が強くなり、かつ更に均一に行なわれるが、その理由は、これらの舌部から、反力がバルブシャッタに加わるからである。これにより、気密性が高まる。
【0052】
図6〜図8に示す第2の実施形態では、シール構造体11は、当該シール構造体の内側上辺及び内側下辺により形成された屈曲舌部15a,15cを含んでいる。各舌部15a,15cは、バルブシャッタ6の対応する辺の縁面に接触するようになっている。舌部15a,15cは、ばね力をバルブシャッタ6に、この接触時に加えるような或る程度の可撓性を有する。図7は、シール構造体11の上側舌部15aとバルブシャッタ6の上辺の縁面との接触状態を示している。バルブシャッタが開き位置から閉じ位置に移動すると、バルブシャッタ6は、バルブシャッタ6の辺の通過を阻止するようなサイズに形成される上側舌部15a及び下側舌部15cに接触するようになる。バルブシャッタ6によって舌部15a,15cを、これらの舌部の曲率半径の方向に、すなわち、上側舌部15aの場合には、上方に、下側舌部15cの場合には、下方に押し曲げる。押し曲げ力に対向して、舌部15a,15cから反力が加わるようなこの押し曲げ力が加わるので、バルブシャッタ6は、シール構造体11の窓12内で、上側舌部15aがバルブシャッタ6の上辺の縁面に接触し、かつ下側舌部15cは、バルブシャッタ6の下辺の縁面に接触した状態で直交位置をとることができ、舌部15a,15cからバルブシャッタ6の対応する辺に、荷重(反力)が接触方向に加わる、すなわち接触が強くなるので、気密性が良くなる。
【0053】
シール構造体11は更に、当該シール構造体の側方辺に、第1の実施形態(ばね効果を発揮する、または発揮しない)のシール構造体11の側方舌部と同様の直交側方舌部15b,15dを含んでいる。
【0054】
図8から分かるように、閉じ位置では、バルブシャッタ6が、上側屈曲舌部15a及び下側屈曲舌部15cに接触する。この接触は、対向するラジアル面(バルブシャッタ6の辺の縁面、及び舌部15a,15c)に沿って生じ、バルブシャッタ6が、右側の側方舌部15b及び左側の側方舌部15dに接触するようになり、接触は、対向する直交面(バルブシャッタ6の側方辺の直交面、及び舌部15b,15dの直交面)に沿って生じる。これまでに述べた通りに、バルブシャッタ6の右辺が右側の側方舌部15bの前面側に接触し、バルブシャッタの左辺が左側の側方舌部15dの背面側に接触する。
【0055】
図示の実施形態では、屈曲舌部15a,15cには、バルブシャッタ6の中央部分が通り抜ける隙間がない。従って、バルブシャッタ6は、屈曲舌部15a,15cの中央部分に常に接触し、かつ継続的に圧力を加え、これらの舌部の長さ全体に亘って、閉じ位置で接触するようになる。
【0056】
更に、図示の実施形態では、2つの屈曲舌部15a,15cは共に、背面側に向かって屈曲し、かつ図7に示すように、シール構造体11の背面に通じる再循環通路4と同じ側に在る。一方の舌部を、前面に向かって屈曲させ、他方の舌部を、背面に向かって屈曲させることができる。4つの舌部(上側舌部15a,下側舌部15c、及び側方舌部15b,15d)を、更に屈曲させることができる。
【0057】
図示しない別の実施形態では、シール構造体11の幾つかの内側辺は、バルブシャッタ6の対応する辺に摩擦接触する。例えば、シール構造体11の内側の側方辺は、接触舌部を直交面に有し(第1の実施形態におけるように(図2〜図4を参照))、上辺及び下辺は、特定の構造を有せず、すなわち真っ直ぐであり、かつこれらの辺が摩擦接触するときの接触先のバルブシャッタ6の対応する辺と、ぴったり重なる。
【0058】
図示しない別の実施形態では、シール構造体11は、舌部(摩擦接触する、または摩擦接触しない)を有する第1の実施形態のシール構造体と、バルブシャッタが通り抜けるための隙間15a’,15c’が、これらの屈曲舌部のうち、第2の実施形態の屈曲舌部15a,15c(図6〜図8を参照)と同様の部分に置き換わっている点を除いて同様である。このように、上側舌部及び下側舌部の各舌部は、バルブシャッタに、当該バルブシャッタの位置に関係なく、継続的に接触する屈曲舌部の形態の中央部分と、そして閉じ位置にあるときにのみ、バルブシャッタに接触する直交舌部の形態の右側部分及び左側部分とを含んでいる。
【0059】
図示しない別の実施形態では、シール構造体11は、再循環通路4と排気管Bとの間に固定されるように構成され、かつ窓を含むプレートを含み、複数の舌部が、窓の複数の辺に沿って、かつプレートの平面以外の平面内を延在している。例えば、これらの舌部は、この目的のために、プレートに直交する部分と、この直交部分の端部から延び、かつプレートと平行な(すなわち、ガスの流れに略直交する)部分であって、バルブシャッタの1つの辺の直交面との当接部を形成するように構成されている部分とを含んでいる。このように、バルブシャッタは、これらの舌部に、プレートの平面以外の平行平面で当接する。
【0060】
上に述べた参照した種々の実施形態では、バルブシャッタ6は、2つの翼部6a,6bを備え、これらの翼部は、バルブシャッタの回転軸7を基準にして、反対側にそれぞれ配設されている。
【0061】
図示の形態に対応する第1の形態では、前記シール構造体11の窓12は、バルブシャッタの前記回転軸7を基準にしていずれの側にも延在し、窓12のうち、前記軸7を基準にして、それぞれ反対側に位置する部分11a,11bは、バルブシャッタのそれぞれの翼部6a,6bで閉鎖される。窓の前記各部分は、前記当接舌部15a,15d,15c;15a,15b,15cを含み、これらの舌部は、バルブシャッタのフランジ6a,6bの各フランジに当接するように適合させられている。
【0062】
図示しない別の形態では、窓が回転軸を基準にして、一方の側に延在し、シール構造体は、閉塞部分を他方の側に有し、当該閉塞部分は、ガス直接循環配管の壁に開けた前記オリフィスを部分的に閉塞している。別の表現をすると、図3に示すように、問題のシール構造体はこの図に示すシール構造体に、窓12が部分11aと、そして軸7が自由に回転するために残されたスペースとによって画定される点を除いて一致している。窓の残りの部分は、シール構造体の非貫通部分によって閉塞され、この非貫通部分は、例えばプレス作業によって形成され、かつ前記シール構造体の周辺部分が占める平面から後退させる。このように、バルブシャッタの閉塞位置では、前記バルブシャッタの一方の翼部6aによって前記窓は閉鎖され、他方の翼部6bが、シール構造体の前記非貫通部分に対向することになる。
【0063】
上に説明してきた実施形態、及び他の実施形態は勿論、組み合わせることができる。他の実施形態を想到することもできる。例えば、バルブシャッタ及びシール構造体の窓を、矩形にする必要はない。
【符号の説明】
【0064】
1 3ポートバルブ
2 流入路
3 第1ガス流出路(排気通路)
4 第2ガス流出路(再循環通路)
5 クーラ
6 バルブシャッタ
6a,6b フランジ(翼部)
7 回転駆動軸
8 矩形プレート
9 突起部(中央部分)
10 ボア
11 シール構造体
11a,11b 部分
12 ガス流通窓
13 固定用突起部
14,14’ 孔
15a,15b,15c,15d 当接舌部
15a 上側屈曲舌部
15c 下側屈曲舌部
15a’,15c’ 隙間
15b,15d 側方舌部
16 ハウジング
A バルブボディ
A’ フランジ
B 排気管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブボディ(A)とシール構造体(11)から成るアセンブリであって、前記バルブボディ(A)は、ガス流路(4)と、バルブシャッタ(6)とを含み、前記バルブシャッタ(6)は、開き位置と閉じ位置との間で移動し、前記閉じ位置では、前記流路(4)へのガスの移動が阻止され、前記流路(4)は、配管(B)に接続されて、前記流路(4)と前記配管(B)との間のガスの流れを可能にするように構成され、前記シール構造体(11)は、前記流路(4)と前記配管(B)との間に取り付けられて、前記流路(4)と前記配管(B)との間のガス気密を保持するように構成され、前記シール構造体(11)は、前記閉じ位置にある前記バルブシャッタ(6)のシートを形成していることを特徴とするアセンブリ。
【請求項2】
前記シール構造体(11)は、ガスが通り抜けるための窓(12)を穿孔した金属プレートを含み、前記シール構造体(11)は、前記バルブシャッタ(6)のシートを、前記窓(12)を画定する前記シール構造体の内周の少なくとも一部分に亘って形成している、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記プレートは、その内周に、前記バルブシャッタ(6)の1つの辺に対応する少なくとも1つの当接舌部(15a,15b,15c,15d)を含む、請求項2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
少なくとも1つの舌部(15a,15b,15c,15d)は、前記シール構造体の前記プレートの平面にほぼ位置する、請求項3に記載のアセンブリ。
【請求項5】
少なくとも1つの舌部(15a,15b,15c,15d)は、反力を前記閉じ位置にある前記バルブシャッタ(6)に加えるようになっている、請求項3又は請求項4に記載のアセンブリ。
【請求項6】
少なくとも1つの舌部(15a,15b,15c,15d)は、前記シール構造体の前記プレートの平面と、前記舌部と接触するようになっている前記バルブシャッタ(6)の領域の方向に、或る角度をなし、かつ或る程度の弾性を有する、請求項5に記載のアセンブリ。
【請求項7】
少なくとも1つの舌部(15a,15b,15c,15d)が曲げられ、前記バルブシャッタ(6)のエッジの少なくとも1つの端面で、前記バルブシャッタ(6)と接触するようになっている、請求項5又は請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記シール構造体(11)は、前記シール構造体(11)を前記バルブボディ(A)に固定する手段(14,14’)を含む、請求項1〜7のいずれかに記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記バルブシャッタ(6)は回転移動することができ、前記バルブシャッタの前記閉じ位置で、前記シール構造体の前記平面にほぼ位置するように構成されているプレート(8)を含み、かつ前記バルブシャッタ(6)の回転軸(7)は、前記プレート(8)からずれている、請求項1〜8のいずれかに記載のアセンブリ。
【請求項10】
バルブボディ(A)、シール構造体(11)、及び配管(B)から成るアセンブリであって、前記バルブボディ(A)は、ガス流路(4)と、バルブシャッタ(6)とを含み、前記バルブシャッタ(6)は、開き位置と閉じ位置との間で移動し、前記閉じ位置では、前記流路(4)へのガスの移動が阻止され、前記流路(4)は、前記配管(B)に接続されて、前記流路(4)と前記配管(B)との間のガスの流れを可能にするように構成され、かつ前記シール構造体(11)は、前記流路(4)と前記配管(B)との間に取り付けられて、前記流路(4)と前記配管(B)との間のガス気密を保持し、前記バルブボディ(A)及び前記シール構造体(11)は、請求項1〜9のいずれかに記載のバルブボディ及びシール構造体から成る前記アセンブリの特性を有することを特徴とする、アセンブリ。
【請求項11】
自動車両内燃エンジンの所謂「3ポート」バルブを構成し、前記配管は、ガスが前記バルブに流入するための流入路(2)、及び前記バルブから流出するガスを直接排気するための通路(3)を提供する排気管(B)であり、前記流路(4)は、排気ガスを熱交換器に向かって再循環させる再循環通路(4)を構成し、かつ前記配管(B)に、前記配管の壁に形成されるオリフィスで接続されている、請求項10に記載のアセンブリ。
【請求項12】
バルブボディと、請求項1〜9のいずれかに記載の前記シール構造体(11)の特徴を有するシール構造体とを備えるアセンブリのシール構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−526668(P2011−526668A)
【公表日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515440(P2011−515440)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【国際出願番号】PCT/EP2009/058214
【国際公開番号】WO2010/000752
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(508021716)ヴァレオ システム ドゥ コントロール モトゥール (27)
【Fターム(参考)】