説明

パキシリン刺激組成物及びその化粧品としての使用

1又は2以上のパキシリン刺激剤を含む化粧品組成物、及び皮膚に抗老化効果を与えるようにこのような組成物を用いる方法が開示される。パキシリン刺激剤及びそれらの組み合わせは、皮膚の老化に関与する少なくとも1つの生化学的経路に対する調節活性を有すると考えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、少なくとも1つのパキシリン刺激剤を含む皮膚への局所適用のための組成物、及び皮膚に利益をもたらすための、具体的には、ヒトの皮膚に抗老化効果をもらすための、このような組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
消費者は絶えず、皮膚の外観を改良しようとし、具体的には、皮膚の老化の視覚的なサインを低減させようとする。望まれないサインは、しわ及び小じわ、皮膚のたるみ又は萎縮、並びに柔軟性の喪失を含み、このような老化のサインに有効であり、より一般には、抗老化及び/又は抗しわ効果をもたらす製品に対するニーズが存在する。
【0003】
近年の試験は、慢性的に老化した皮膚及び光老化した皮膚の両方において、皮膚線維芽細胞が形態的な変化及び細胞体崩壊を経験することを明らかにした(非特許文献1及び非特許文献2を参照)。このような変化は、荒く、でこぼこした、及びしわのある外観を引き起こし得、それは老化した皮膚の特徴である。さらなる試験は、変化したインテグリン及び接着斑分子に伴うコラーゲン分解が、機能的な皮膚コラーゲンマトリックスの喪失に寄与する要因である(それは、線維芽細胞とマトリックスとの間の機械的張力の喪失による細胞体崩壊の結果を伴う)ことを示唆する(非特許文献3を参照)。
【0004】
パキシリンは、膜貫通インテグリン及び成長因子のシグナル伝達を仲介する重要なアダプタータンパク質である。それは、細胞外マトリックスからのメッセージを変換し、他のの接着斑分子が複合体を形成するように誘導し、細胞内の細胞骨格集合を活性化する(非特許文献4)。このプロセスは、筋収縮と同様に、細胞接着及び遊走にとって重要である。パキシリン仲介シグナル伝達はまた、遺伝子発現、細胞増殖、及び細胞外マトリックスの構成における長期間の変化に影響を与え、それは創傷修復及び組織再生に重要である。
【0005】
パキシリンは、3つのアイソフォームとして高等真核生物に存在する。パキシリンαは主要なものであり、遍在的に発現されたアイソフォームであり、脳以外のほとんどの成人の組織に発現し;パキシリンβ−アイソフォーム及びパキシリンγ−アイソフォームは限局的に発現する。4つめのアイソフォームであるパキシリンδは、上皮細胞で主に見られる。パキシリンタンパク質は、複合的なタンパク質結合モチーフからなり、それは複合的なタンパク質−タンパク質相互作用及びタンパク質認識部位に対応し、分子全体に分散された多くのリン酸化部位を伴う。パキシリンの結合パートナーは、ビンキュリンといった構造的アクチン結合タンパク質から、接着斑キナーゼ(FAK)及びインテグリン結合キナーゼ(ILK)といったシグナル伝達分子まで、多岐にわたる。パキシリンは、例えば細胞接着及び/又は種々の可溶性成長因子及びサイトカインに応答して、多数のチロシン、セリン、及びスレオニンの部位でリン酸化され、正常コンディション下で細胞接着及び成長因子の調節のシグナル伝達のクロスロードにあると考えられている。
【0006】
酸化ストレスへの暴露の後、異常な状態が、培養された細胞におけるパキシリンのリン酸化及び細胞骨格構成で観察された(非特許文献5及び非特許文献6)。また、in vitroで老化細胞において、種々の接着斑タンパク質のレベル変化及び局在変化が観察された(非特許文献7)。それにもかかわらず、パキシリン発現とヒトの皮膚の老化の目に見えるサインとの間に直接的な関連性は見出されていなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Varani et al.,2004.J.Invest.Dermatol.122:1471−9
【非特許文献2】Varani et al.,2006.Am.J.Pathol.168:1861−8
【非特許文献3】Fisher et al.,2008.Arch Dermatol.144:666−72
【非特許文献4】Brown et al.,2004.Physiol Rev.84:1315−39
【非特許文献5】Hao et al.,2006.Free radical Biol Med.41:302−10
【非特許文献6】Zhou et al.,1999.J Cell Physiol.180:182−9
【非特許文献7】Nishio et al.,2005.Histochem cell biol.123:263−73
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、パキシリンを介した経路による皮膚の老化のサインに対抗するための新しいアプローチを提供することである。本発明のさらなる目的は、それを指向した新しい組成物及び方法を提供することである。本発明のさらなる目的は、パキシリン生成に影響を及ぼす1又は2以上の有効量の化合物を含有する化粧品組成物を用いて、老化のサインを治療し、改善させ、及び/又は抑制することを含む、皮膚の全体の外観を改善させることである。
【0009】
前述の記載は、直面している技術の課題の特性をより良く理解するために単に提示されているにすぎず、いかなる態様においても先行技術に含まれると理解されるべきではなく、いかなる参照の引用についても、このような参照が本出願に対する“先行技術”を構成するというように理解されるべきではない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述の目的および他の目的を踏まえて、驚くべきことに、ヒトの皮膚線維芽細胞における正常なパキシリン生成の障害は直接的に細胞の形状の変化を引き起こすことが見出され、それは最適な細胞の形態及び最適な細胞の健康状態を維持することにおけるパキシリンの必須の役割を示唆する。驚くべきことに、ヒトの皮膚細胞におけるパキシリンレベルは1又は2以上のパキシリン刺激剤を含有する組成物の局所適用により活性化され得ることがさらに見出され、それは皮膚の老化のサインに対抗する新しいアプローチを示唆する。
【0011】
本発明の一観点において、皮膚の審美上の外観を改善させるための化粧品組成物が提供される。それは、化粧品として許容可能な媒材中に少なくとも一つの有効量のパキシリン刺激剤を含有する。パキシリン刺激剤は、化学式IV又はVの構造を有するピリドン縮合アザビシクロ化合物;マツリカ(Jasminum sambac)抽出物;コッキニアグランディス(Coccinia grandis)抽出物;タカサブロウ(Eliptica prostrata Linn.)抽出物;チョウマメ(Clitoria ternatea Linn.)抽出物;オゾタムヌスオブコルダトゥス(Ozothamnus obcordatus)抽出物;エリスリナフラベリフォルミス(Erythrina flabelliformis)抽出物;ロンコカルプスカパサ(Lonchocarpus capassa)抽出物;イソフジ(Sophora tomentosa)抽出物;タチオランダゲンゲ(Trifolium hybridum)抽出物;エレモフィラミッチェリ(Eremophila mitchellii)抽出物;クンゼアアンビグア(Kunzea ambigua)抽出物;タンシノン IIA;テトランドリン(Tetrandrine);カルバクロール(Carvacrol);シス−6−ノネノール;レチニルプニケート(Retinyl punicate);レチニルオレエート(Retinyl oleate);エクオール(Equol);マイコフュージョン・カワラタケ・ブラックコーンバイオマス(MycoFusions Coriolus Black Corn Biomass);マイコフュージョン・マイタケ・もち性ハダカムギバイオマス(MycoFusions Maitake Waxy Hulless Barley Biomass);テリハザンショウ(Zanthoxylum nitidium)抽出物;オフィオポゴン Thunb.P.E.(Ophiopogon Thunb. P.E.)抽出物;ラディックスプラティコドニス(Radix platycodonis)抽出物;セイタカミロバラン(Terminalia belerica)抽出物;コッカラスグラウケスケンス(Cocculus glaucescens)抽出物;ステファニア固形物(Stephania solid)抽出物;及びローズマリー抽出物からなる群より選択され得る。いくつかの実施態様において、化粧品組成物は、1又は2以上のパキシリン刺激剤を含み、他の実施態様において、化粧品組成物は、2又は3以上のパキシリン刺激剤を含む。
【0012】
いくつかの実施態様において、化粧品組成物は、皮膚の審美上の外観を改善させる(例えば、皮膚に抗老化効果を与える)のに有効な量でパキシリン刺激剤としてシス−6−ノネノールを含む。他の実施態様において、化粧品組成物は、第一のパキシリン刺激剤としてシス−6−ノネノール及び少なくとも一つの他のパキシリン刺激剤を含み、シス−6−ノネノール及び他のパキシリン刺激剤は、皮膚に抗老化効果を与えるのに有効な総量で組成物中に存在する。
【0013】
いくつかの実施態様において、群の1又は2以上の物質は、化粧品組成物から除外される。例えば、いくつかの実施態様において、組成物は、タチオランダゲンゲ(Trifolium hybridum)抽出物を含まず、及び/又はレチニルオレエート(Retinyl oleate)を含まず、及び/又はエクオール(Equol)を含まない。
【0014】
いくつかの実施態様において、化粧品組成物はさらに、少なくとも1つの他の皮膚活性剤を含み、前記皮膚活性剤は、植物、角質溶解薬(keratolytic agents)、角質溶解薬(desquamating agents)、ケラチノサイト増殖促進剤、エラスターゼ阻害薬、脱色剤(depigmenting agents)、抗炎症剤、ステロイド、抗ニキビ薬、抗酸化剤、サリチル酸又はサリチル酸塩、チオジプロピオン酸又はそのエステル、終末糖化産物(AGE)阻害薬、及びアルファ−ヒドロキシ酸からなる群より選択される。いくつかの実施態様において、化粧品組成物はさらにTDPAといったコラーゲン促進剤を含む。
【0015】
他の観点において、本発明は、1又は2以上のパキシリン刺激剤を含有する化粧品組成物を皮膚に局所適用することを含む方法に関する。化粧品組成物は、ヒトの皮膚に抗老化効果を提供する(例えば、皮膚の老化のサインを治療し、改善させ、改良させ、及び/又は抑制する)ように、少なくとも1つの有効量のパキシリン刺激剤を含む。抗老化効果は、限定されることなく下記を含む。
(a)小じわ又はしわを治療、低減、及び/又は抑制する、
(b)皮膚の毛穴のサイズを小さくする、
(c)皮膚の厚み、ふくよかさ、及び/又はつっぱり感を改善する、
(d)皮膚のしなやかさ、及び/又は柔軟性を改善する、
(e)皮膚のトーン、輝き、及び/又は透明度を改善する、
(f)プロコラーゲン及び/又はコラーゲンの生成を改善する、
(g)皮膚のきめを改善し、及び/又は再組織化を促進する、
(h)皮膚バリアを修復し、及び/又はその機能を改善する、
(i)皮膚のたるみ又は萎縮を治療し、及び/又は抑制する、
(j)皮膚の輪郭を改善する、
(k)皮膚の艶及び/又は明るさを修復する、
(l)皮膚の必須栄養素及び/又は構成要素を補充する、
(m)更年期により劣化した皮膚の外観を改善する、
(n)皮膚の潤い及び/又は水分を改善する、並びに
(o)皮膚の弾性及び/又は弾力性を向上させる。
【0016】
例えばパキシリン発現をアップレギュレーションさせることにより、皮膚線維芽細胞のパキシリンレベルを増加させるのに有効な量で少なくとも1つのパキシリン刺激剤を含む組成物を、必要に応じて皮膚に局所適用することを含む、ヒトの皮膚に抗老化効果を与えるための方法がもまた提供される。それを必要とする皮膚は、光老化され得、及び/又はUV照射によりダメージを受けた皮膚である。
【0017】
本発明の他の観点において、ヒトの皮膚の小じわ、しわ又はたるみを治療し、改善させ、改良させ、及び/又は抑制する方法が提供され、それは、皮膚線維芽細胞のパキシリンレベルを増加させるのに有効な量で、少なくとも1つのパキシリン刺激剤を含む組成物を、必要に応じて皮膚に局所適用することを含む(しわ又は小じわに直接的に適用することを含む)。
【0018】
さらなる他の観点において、本発明は、候補マテリアルがパキシリン刺激剤であるかどうかをアッセイするための方法及び組成物に関する。スクリーニング方法は、ヒトの皮膚細胞を候補マテリアルに接触させ、パキシリンのmRNAのアップレギュレーションをアッセイすることを含む。パキシリンのmRNAのアップレギュレーションをアッセイすることは、パキシリンのmRNAを同定するために特別にデザインされた、ラベルされたプローブを用いる分岐DNA技術を含み得る。いくつかの実施態様において、プローブは、パキシリンのmRNA配列をともにカバーするヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施態様において、例えば、プローブは、本明細書に記載される配列番号1、2及び/若しくは3、並びに/又はそのバリエーションによるヌクレオチド配列を含む。本発明のさらなる他の観点は、本明細書に記載された、パキシリン刺激剤として同定された候補マテリアル(例えば、1又は2以上のプローブを用いてパキシリンのmRNAをアップレギュレーションさせるものとして同定された候補マテリアル)、組成物、及び/又は方法に関する。
【0019】
さらなる他の観点において、本発明は、候補マテリアルがパキシリン刺激剤であるかどうかを評価するためにアッセイすること、及びもしそうであるならば化粧品として許容可能な媒材中に該マテリアルを含ませることを含む、ヒトの皮膚に抗老化効果を与えるための化粧品組成物を製造する方法に関する。いくつかの実施態様において、候補マテリアルは、植物抽出物である。
【0020】
本発明のこれらの観点及び他の観点は、下記の本発明についての詳細な記載を参照するで、より良く理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(A)コントロールの媒材及び(B)パキシリン刺激剤候補薬で局所処理した後のパキシリンタンパク質レベルを示すヒトの皮膚のバイオプシーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
驚くべきことに、パキシリンを刺激する1又は2以上の物質を含む組成物は、皮膚の審美上の外観を改良させるために、具体的には老化の目に見えるサインを治療し、改善させ、及び/又は抑制するために、ヒトの皮膚に局所適用さえ得ることが見出された。化粧品の技術分野において過去に知られている多数の物質と同様に、新規の物質で、驚くべきことに、パキシリンを刺激することが見出され、それゆえ抗老化効果を有する局所用化粧品組成物の使用が見出される。
【0023】
これらの知見及び他の観点において、1又は2以上のパキシリン刺激剤を含む局所用組成物は、皮膚の老化のサインに対抗することにおいて有用であるとされ、それは、小じわ及びしわを低減させ、皮膚の柔らかさ及び柔軟性を維持し、皮膚のたるみ又は萎縮を抑制し、皮膚のふくらみ及び/又は張りを改善させ、並びに皮膚の老化及び/又は皮膚のダメージの他のサインに対抗することを含む。パキシリン生成を刺激し、又はそうでなければ皮膚繊維芽細胞における細胞内パキシリンレベルの増加を促進させる他の物質が、本開示に従って、抗老化局所用組成物の使用を見出し得ることがさらに期待される。本明細書で用いられるように、“本質的に・・からなる”は、組成物又は成分が付加的な物質を含み得るが、付加的な物質はクレームされた組成物又は方法の基本的及び新規の特性を物質的に変えないということを意味する。
【0024】
(パキシリン刺激化合物及び組成物)
本発明の一つの観点は、皮膚に抗老化効果を提供する(例えば、皮膚の老化のサインを治療し、改善させ、改良させ、遅らせ、及び/又は抑制する)ように1又は2以上のパキシリン刺激剤を含む、局所適用のための組成物に関する。皮膚の老化のサインに対抗することは、限定されることなく下記を含む。
(a)小じわ又はしわを治療、低減、及び/又は抑制する、
(b)皮膚の毛穴のサイズを小さくする、
(c)皮膚の厚み、ふくよかさ、及び/又はつっぱり感を改善する、
(d)皮膚のしなやかさ、及び/又は柔軟性を改善する、
(e)皮膚のトーン、輝き、及び/又は透明度を改善する、
(f)プロコラーゲン及び/又はコラーゲンの生成を改善する、
(g)皮膚のきめを改善し、及び/又は再組織化を促進する、
(h)皮膚バリアを修復し、及び/又はその機能を改善する、
(i)皮膚のたるみ又は萎縮を治療し、及び/又は抑制する、
(j)皮膚の輪郭を改善する、
(k)皮膚の艶及び/又は明るさを修復する、
(l)皮膚の必須栄養素及び/又は構成要素を補充する、
(m)更年期により劣化した皮膚の外観を改善する、
(n)皮膚の潤い及び/又は水分を改善する、並びに
(o)皮膚の弾性及び/又は弾力性を向上させる。
【0025】
実際に、本発明の組成物は、治療の必要に応じて皮膚に適用され、すなわちその皮膚は、前述の皮膚の特性のいずれかにおいて欠陥又は喪失を有するか、又はそうでなければ前述の皮膚の特性のいずれかを改善させることで利益が得られるものである。
【0026】
“パキシリン刺激剤”は、ヒトの皮膚繊維芽細胞におけるパキシリンレベルを増加させ得るいかなる剤をも意味する。パキシリンレベルの増加は、in vitro又はin vivoにおいて、転写されるパキシリンのmRNAの増加、及び/又は繊維芽細胞で発現されるパキシリンタンパク質の増加に関連し得、本技術分野において公知のいかなる方法によっても、又は本明細書において開示される通りに測定され得る。例えば、パキシリン刺激剤は、繊維芽細胞内におけるパキシリン発現のアップレギュレーターとして機能し得る。例えば、下述の実施例1を参照のこと。いくつかの実施態様において、パキシリンレベルは、パキシリン刺激剤が存在しない状態でのパキシリンのレベルと比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約60%、少なくとも約80%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、少なくとも約250%、又は少なくとも約300%増加する。“パキシリン刺激剤”はまた、例えば、パキシリンRNA及び/若しくはタンパク質の安定性を増大させ、並びに/又は機能部位へのパキシリンの局在を増大させることにより、パキシリンレベルの有効な増加をもたらす剤を含み得る。
【0027】
パキシリン刺激剤は、いかなる有機若しくは無機化合物、小分子、マクロ分子、マクロ分子複合体、細胞溶解物、細胞内コンパートメント、生物学的起源の抽出物、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0028】
いくつかの実施態様において、パキシリン刺激剤は、有機分子を含む。いくつかの実施態様において、パキシリン刺激剤は、ピリドン縮合アザビシクロ化合物、又はそれの薬学的若しくは化粧品として許容可能な塩及び/若しくはプロドラッグを含む。ピリドン縮合アザビシクロ化合物は、限定されることなく、化学式(I)によるパキシリン刺激化合物を含む。
【化1】

【0029】
式中、R、R、R、及びRは独立して、水素;−R;ハロゲン(−F、−Cl、−Br、−I);−OH;−C≡C−R;−C≡N;−C(R)=N−R;−C=N−N(R;−C(=NR)−N(R;−CHOH;−CHO;−(C=O)−R;−COH;−CO;−COR;−CSR;−(C=O)−S−R;−S−(C=O)−R;−(C=O)−NH;−(C=O)−NR;−(C=O)−NHNH;−O−(C=O)−NHNH;−(C=S)−NH;−(C=S)−N(R;−O−(C=O)−H;−O−(C=O)−R;−O−(C=O)−NH;−O−(C=O)−NR;−OR;−SR;−NH;−NHR;−NR;−N(R;−N(R)−OH;−N(→O)(R);−O−N(R;−N(R)−O−R;−N(R)−N(R;−NR−(C=O)−R;−NRC(=O)O−R;−NR−CHO;−NR−(C=O)−R;−NRC(=O)NR;−N(R)−C(=O)−N(R;−N(R)−C(=S)−N(R;−N=CR;−N=N−R;−SCN;−NCS;−NSO;−SS−R;−SO−R;−SO−R;−O−S(=O)−R;−S(=O)−OR;−N(R)−SO−R;−SO−N(R);−O−SO;−O−S(=O)−OR;−O−S(=O)−OR;−O−S(=O)−R;−S(=O)−OR;−S(=O)−R;−NO;−NO;−NO;−O−NO;−O−NO;−N;−N;−N(C);−Si(R);−CF;−O−CF;−(C=O)−R;−PR;−O−P(=O)(OR);及び−P(=O)(OR)から選択され;いかなる隣接する2つの基R、R、及びRもともにピリドン環に縮合された五員環又は六員環を形成していてもよい。
【0030】
Lは、結合(すなわち、Lは省略される)であり、又は−(C=O)−、−C(O)−O−、−−(C=O)−NR−、−(CH−、−(C=O)−(CH−C(O)−、−(C=O)−(CH−、−(CH−C(O)−からなる群より選択される部分であり、“a”は1から6の整数であり、Lは好ましくは−(C=O)−である。
【0031】
R及びRは、各々独立して、水素又は炭素数1−30の炭化水素基から選択され、酸素、硫黄、及び窒素原子といった1から20のヘテロ原子を任意に含む;R及びRは好ましくは、置換された又は置換されていない、分岐した、直鎖の又は環状の炭素数1−20のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ベンジル、ヘテロアリール、アルキル−アリール、アリール−アルキル、アルキル−ヘテロアリール、ヘテロアリール−アルキル、ヘテロアリール−アリール、アリール−ヘテロアリール、二環式アルキル、アリール、又はヘテロアリール基、及びこれらの組み合わせから選択される;前述の基の各々は1から6のヘテロ原子で、及び/又はいかなるヘテロ原子を含む分子で置換されていてもよく、例えば、アシル、アシルオキシ、アミノ、アルコキシル、アルキルアミノ、アルキルチオール、アルキルイミノ、アルキルスルフォネート、アミド、アゾ、カルボキシル、カルボキサミド、カルバミド、シアノ、ジアルキルアミノ、エステル、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、オキソ、オキサ、オキシム、ペルフルオロ、フォスフェート、フォスフォニル、フォスフィニル、サルフェート、サルフェート、スルフォ−アルキル、チオール、チオエーテル、チオエステル、チオアルコキシ、チオシアネート、及びこれらの組み合わせを含む。
【0032】
化学式(I)によるいくつかの実施態様において、Rは−R基であり、Rは好ましくは、置換された又は置換されていない、分岐した、直鎖の又は環状の炭素数1−20のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ベンジル、ヘテロアリール、アルキル−アリール、アリール−アルキル、アルキル−ヘテロアリール、ヘテロアリール−アルキル、ヘテロアリール−アリール、アリール−ヘテロアリール、二環式アルキル、アリール、又はヘテロアリール基、及びこれらの組み合わせから選択される;前述の基の各々は、1から6のヘテロ原子で、及び/又はいかなるヘテロ原子を含む分子で置換されていてもよく、例えば、アシル、アシルオキシ、アミノ、アルコキシル、アルキルアミノ、アルキルチオール、アルキルイミノ、アルキルスルフォネート、アミド、アゾ、カルボキシル、カルボキサミド、カルバミド、シアノ、ジアルキルアミノ、エステル、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、オキソ、オキサ、オキシム、ペルフルオロ、フォスフェート、フォスフォニル、フォスフィニル、サルフェート、スルフォ−アルキル、チオール、チオエーテル、チア、チオアルコキシ、チオシアネート、及びこれらの組み合わせを含む。
【0033】
Rは例えば、置換された又は置換されていない、分岐した、直鎖の又は環状のアルキル、アルケニル(例えば、ビニル、アリル等)及びアルキニルの分子により例示される、炭素数1−20の脂肪族炭化水素基(炭素数1−12の脂肪族炭化水素基、炭素数1−8の脂肪族炭化水素基、又は炭素数1−6の脂肪族炭化水素基を含む);置換された又は置換されていないアリール(例えば、フェニル)、アルキル−アリール(例えば、ベンジル)、アリール−アルキル(例えば、トルイル)及び同様物により例示される、炭素数6−20の芳香族炭化水素基(炭素数6−12の芳香族炭化水素基、炭素数6−10の芳香族炭化水素基、又は炭素数6の芳香族炭化水素基);ヘテロアリール、アルキル−ヘテロアリール、ヘテロアリール−アルキル、及び同様物により例示される、環においてO、N、及びSから選択される1又は2以上のへテロ原子を含む炭素数1−20のヘテロアリール基(炭素数1−12のヘテロ芳香族基、炭素数1−8のヘテロ芳香族基、又は炭素数1−6のヘテロ芳香族基を含む)を含んでいてもよい。いくつかの実施態様において、Rは例えば、各々において独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、フェニル、ベンジル、又は同様物(これらのハロ誘導体及びペルハロ誘導体を含む)であってもよい。
【0034】
いくつかの実施態様において、R及び/又はRは、水素である。いくつかの実施態様において、Lは−(C=O)−基である。化学式(I)による他の実施態様において、Rは−R基であり、Rはアリール又はヘテロアリール基であり、いずれかは任意に−R基で、及び/又は1から6のヘテロ原子で、及び/又は前述のヘテロ原子を含む分子で置換され得る。典型的には、Rはアリール又はヘテロアリール基であり、環は環構造において5原子又は6原子を含む。具体的には、化学式(II)によるパキシリン刺激化合物が有用であると期待される。
【化2】

【0035】
は前述で規定され、−Q(−R基である;Qは環において3原子、4原子、5原子、又は6原子を有する環であり(芳香環又はヘテロ芳香環を含む)、Rは環において置換を示し、Rに対して前述で規定され、各々において独立して選択される。環Qにおける置換基(Rにより示される)は、芳香環及びヘテロ芳香環Qの場合のピリドンへの結合点を除いて、いかなる有効な環の原子にも結合され得る。置換基の数は、0(すなわち、Rがない)から5の整数である“n”により規定され、それは、環における置換に使用可能な位置の数に依存する;R、R、及びRは、前述で規定された通りである。化学式(II)によるいくつかの実施態様において、R及び/又はRは、水素である。
【0036】
3員環のヘテロ環の限定されない例は、限定されることなく、アジリジン、オキシラン、チイラン、ジアジリジン、及びオキサジリジンを含む。4員環のヘテロ環の限定されない例は、限定されることなく、アゼチジン、オキセタン、チエタン、ジアゼチジン、オキサゼチジン、及び1,2−オキサチエタンを含む。
【0037】
5員環のヘテロ環は、置換基Qに対して本発明の現に好ましい態様を示す。5員環のヘテロ環の限定されない例は、限定されることなく、ピロリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、オキサゾリジン、チアゾリジン、1,3−ジオイアン、1,3−ジオキソラン(1,3−dioiane)、1,3−オキサチオラン、1,3−ジチオラン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ピロール、フラン、チオフェン、オキサゾール、イソキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,3,4−チアゾール、又は1,2,3−トリアゾール等を含む。Qは、例えば、芳香性を有し、完全に飽和され、又は1又は2の二重結合を含む、下記の五員環のヘテロ環から選択され得る。
【0038】
【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【0039】
これらの五員環は任意に、前述で規定されたように、1又は2以上のR基で官能化され得、具体的には、炭素数1−4のアルキル(例えば、メチル、エチル、イソプロピル等)、炭素数1−4のアルコキシル、ハロ、ヒドロキシル、オキソ、チオール、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、−CH−N(CH、−(CH1−6−N(R、−(C=O)−H、−(C=O)−R、−(C=O)−CH、−(C=O)−CHCH、−O−(C=O)−R、−O−(C=O)−CH、及び−(C=O)−O−Rからなる。さらに、いかなる窒素原子も任意にN−オキシドに酸化され得、いかなる硫黄原子も任意にスルホキシドに酸化され得る。
【0040】
Qに対して適切に選択される六員環の限定されない例は、限定されることなく、2H−ピラン、テトラヒドロピラン、ピペリジン、1,4−ジオキサン、モルホリン、ピペラジン、1,4−ジチアン、チオモルホリン、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,3,4−テトラジン、及びペンタジン等を含む。Qは、例えば、芳香性を有し、完全に飽和され、又は1、2又は3の二重結合を含む、下記の六員環のヘテロ環から選択され得る。
【化8】

【化9】

【化10】

【0041】
これらの六員環は任意に、前述で規定されたように、1又は2以上のR基で官能化され得、具体的には、炭素数1−4のアルキル(例えば、メチル、エチル、イソプロピル等)、炭素数1−4のアルコキシル、ハロ、ヒドロキシル、オキソ、チオール、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、−CH−N(CH、−(CH1−6−N(R、−(C=O)−H、−(C=O)−R、−(C=O)−CH、−(C=O)−CHCH、−O−(C=O)−R、−O−(C=O)−CH、及び−(C=O)−O−Rからなる。さらに、いかなる窒素原子も任意にN−オキシドに酸化され得、いかなる硫黄原子も任意にスルホキシドに酸化され得る。
【0042】
一実施態様において、Qは、フェニルであり、“n”は、1、2又は3である。一つの興味ある実施態様において、Qは、フェニルであり、“n”は、1であり、Rは、−(CH1−6−N(Rであり、具体的には、−CH−N(CHである。この実施態様において、Rは、化学式(III)で示されるように、パラ位、メタ位、又はオルト位でピリドン環に結合する位置にあってもよい。
【化11】

【0043】
この態様及びすべての態様において、R及び/又はRは、低級(炭素数1−6)脂肪族の基であってもよく、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、シクロブチル、1−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、n−ペンチル、シクロペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、及びシクロヘキシル等を含む。これらの低級アルキル基はまた、鎖中の、又は鎖に結合された、O、S及びNから選択される1から6のヘテロ原子を含んでいてもよい。R及び/又はRに対する代表的な基は、限定されることなく、例えば、−CH−CH、−CHCHCH、−CHCHCHCH、又は−CHCHCHCHCHを含む、−(CH−CH(“a”が1から5の整数である);例えば、−OCHCH、−OCHCHCH、又は−OCHCHCHCHを含む、一般式−O(CH−CHの直鎖アルコキシ分子(“a”が1から5の整数である);式−O−(CH−O−(CHCHの基(“a”及び“b”が各々独立して1から4の整数である);−(CH−O−(CHCH又は−(CHS(CHCH(“a”及び“b”が各々独立して1から4の整数である);又は式−(CHNRの分子(Rは各々独立して−(CHCHの基であり、“b”は1から4の整数であり、“c”は0(ゼロ)から4の整数である)を含む。R及び/又はRの特定の例は、限定されることなく、−O−CH、−O−CHCH、−O−CHCHCH、−CH−O−CH、−CH−O−CHCH、−CHCH−O−CH、−N(CH、−N(CHCH、−N(CHCHCH、−S−CH、−S−CHCH、−CH−S−CH、−CH−S−CHCH、−CHCH−S−CH、−S−CHCHCH、−CHCH−S−CH、−CH−S−CHCH、−CH−N(CH、−CH−N(CHCH、−N(CH2、−N(CHCH、−CH−N(CHCHCH、−CHCH−N(CH、及び−CH−N(CHCH等を含む。
【0044】
一実施態様において、Rは、−(CH1−6−N(Rの基であり、具体的には、−CH−N(CHである。他の実施態様において、Rは、−CH−S−CHの基である。優れた結果が、下記に示される、(IV−A)及び(IV−B)の式による化合物で得られた(Rは、オルト位又はパラ位でピリドン環に結合する位置にある第三級のアミン基を含み、R4は、直鎖のチオエステル分子を含む)。
【化12】

【化13】

【0045】
式(I)−(III)において、Rはまた、例えば、−Q(−R)の基(Qは、Rとは独立に、前述で規定される環状基のいずれかである)であってもよい。いくつかの実施態様において、R及びRは独立して、−Q(−R)の基(Qは、両方で同じ又は異なる)である。一実施態様において、Rは、五員環のフリル基といった、任意に置換された五員環又は六員環の芳香族の基であり、Rは、フェニル基といった、任意に置換された五員環又は六員環の芳香族の基である。式(V)による化合物が、有用であると見出された。
【化14】

【0046】
式(I)−(V)によるパキシリン刺激化合物に加えて、パキシリンを刺激することのできる他のピリドン縮合アザビシクロ化合物が考慮され、限定されることなく、国際特許出願公報WO98/18798;EP 0 581 457;米国特許第6,630,467号,米国特許第6,235,734号に記載のものを含む(それらの記載は、全体において参照により本明細書に取り込まれる)。
【0047】
いくつかの実施態様において、パキシリン刺激剤は、例えば、タンシノン IIA;テトランドリン(Tetrandrine);カルバクロール(Carvacrol);並びに/又はシス−6−ノネノール及び/若しくはその塩といった他の種類の有機分子を含む。タンシノン IIA、又は1,6,6−トリメチル−8,9−ジヒドロ−7H−ナフト[1,2−g][1]ベンゾフラン−10,11−ジオンは、ジテルペノイドナフトキノン及び丹参に基づくいくつかの伝統的な中国医薬の活性成分である。それは、抗炎症活性を有すると考えられ、種々の細胞株の細胞死を引き起こす(H.J.Sung et al.Exp.Mol.Med.1999 Vol.31:174)。それは、敗血症(sepsis)、敗血症(septicemia)及び内毒素性ショックの治療への使用が示唆されてきた。国際特許出願公報WO2007/084419を参照のこと(それらの記載は、全体において参照により本明細書に取り込まれる)。タンシノン IIAは、商業的に入手可能であり、例えば、それはBiomol Research Laboratories社(PA)から入手可能である。
【0048】
テトランドリン又は6,6’,7,12−テトラメトキシ−2,2’−ジメチル−ベルバマンは、ビス−コクラウリンアルカロイドであり、それは、例えば心血管系疾患の治療に対する、中国の伝統的な医薬において何世紀にもわたって使われてきた。それは、Ca2+依存性カリウムチャネルの拮抗薬であるのと同時に、カルシウムチャネルブロッカーであると考えられる(Dworetzky et al.J.Neurosci.1996.Vol.16:4543;及びGadwood et al.Annu.Rep.Med.Chem.1989 Vol.24:187)。それはまた、例えば、Biomol Research Laboratories社(PA)から商業的に購入可能である。
【0049】
カルバコール又はシモフェノール(CCH(OH)(C))は、オレガノの臭いに似た、独特の刺激のある不快な臭いを有するモノテルペノイドフェノールであり、ピザのような味がするかどうかということでも知られている(Ultee A.et al.(2000)J.Food Prot.63(5):620−4)。カルバコールは、オレガノ(Origanum vulgare)、タイム、コショウソウ、及びワイルドベルガモットの油に存在する。それは、多数の細菌の菌株の成長を阻害することで知られ、それゆえ細菌汚染を防ぐための食品添加剤として用いられてきた(Ultee A.et al.(2001)Int.J.Food Microbiol.64(3):373−8)。
【0050】
シス−6−ノネノールは、不飽和脂肪アルコールである。シス−6−ノネノールは、下記に示される化学式(VI)の構造を有し、米国特許出願12/342,197号(出願日2008年12月23日、タイトル“Topical Compositions Containing cis−6−Nonenol and its Derivatives and Methods for Treating Skin”)にさらに記載される(この内容は全体において参照により本明細書に取り込まれる)。
【化15】

【0051】
いくつかの実施態様において、パキシリン刺激剤は、例えば、レチニルプニケート(Retinyl punicate);レチニルオレエート(Retinyl oleate);及び/又はエクオール(Equol)といった大きい有機分子を含む。レチニルプニケート(Retinyl punicate)及びレチニルオレエート(Retinyl oleate)は、各々脂肪酸のプニカ酸及びオレイン酸を有するレチノール(ビタミンA)のエステルである。エステルは、例えばエステル化反応により、本技術分野において知られるように得られ得る。レチニルオレエートは、皮膚の強化における使用に対して、並びにニキビ、油性肌、及び酒さを含む皮膚科学的疾患の治療に対して示唆されてきた。欧州特許0 807 429号を参照のこと(この内容は全体において参照により本明細書に取り込まれる)。エクオール又は4’,7−イソフラバンジオールは、5−ジヒロドロテストステロンのホルモン作用に拮抗することで、皮膚及び毛髪のアンドロゲン媒介の病変治療における使用に対して示唆されてきた。国際特許出願公報WO2005/107770号を参照のこと(この内容は全体において参照により本明細書に取り込まれる)。それは、イソフラバンジオール及び非ステロイド性エストロゲンであり、いくらかの人の腸内の細菌叢により作られる(Wang,X.L.,et al.Applied and Environmental Microbiology(2005)71:214−219;Frankenfeld,C.L.et al.及びThe British journal of Nutrition (2005)94:873−876)。
【0052】
いくつかの実施態様において、パキシリン刺激剤は、例えば、植物抽出物といった、生物学的な抽出物を含む。本発明におけるパキシリン刺激剤として有用な植物の抽出物は、限定されることなく、マツリカ(Jasminum sambac)抽出物;コッキニアグランディス(Coccinia grandis)抽出物;タカサブロウ(Eliptica prostrata Linn.)抽出物;チョウマメ(Clitoria ternatea Linn.)抽出物;オゾタムヌスオブコルダトゥス(Ozothamnus obcordatus)抽出物;エリスリナフラベリフォルミス(Erythrina flabelliformis)抽出物;ロンコカルプスカパサ(Lonchocarpus capassa)抽出物;イソフジ(Sophora tomentosa)抽出物;タチオランダゲンゲ(Trifolium hybridum)抽出物;エレモフィラミッチェリ(Eremophila mitchellii)抽出物;クンゼアアンビグア(Kunzea ambigua)抽出物;テリハザンショウ(Zanthoxylum nitidium )抽出物;オフィオポゴン Thunb.P.E.(Ophiopogon Thunb. P.E.)抽出物;ラディックスプラティコドニス(Radix platycodonis)抽出物;セイタカミロバラン(Terminalia belerica)抽出物;コッカラスグラウケスケンス(Cocculus glaucescens)抽出物;ステファニア固形物(Stephania solid)抽出物;及び/又はローズマリー抽出物、好ましくはローズマリーPE50%を含む。
【0053】
マツリカ(Jasminum sambac)は、アジア南西部及び南部、フィリピン、インド、ミャンマー、並びにスリランカ原産のジャスミンの種である。それは、強い匂いを有する花を作り、それは香りのするレイを作るために装飾品として、及びジャスミン茶の主要成分として用いられる。コッキニアグランディス(Coccinia grandis)(カキドウシ(ivy ground)としても知られる)は、小さな食用果物のために世界のいくつかの場所で育てられる熱帯のつる草である。果物は通常、食され(例えば、インド料理)、一方、つる草は、米国及びハワイの侵入植物であると考えられている。コッキニアグランディス(Coccinia grandis)は、ホワイトニングの適用において有用であると示唆されてきた(例えば、JP2000−095663を参照のこと(この内容は全体において参照により本明細書に取り込まれる))。タカサブロウ(Eliptica prostrata Linn.)(False Daisy又はbhringrajとしても知られている)は、インド、中国、ブラジル、タイを含む湿潤地帯で1週間生育し、これらの地域の多くの伝統的医薬で用いられる。例えば、ブラジルでは、ヘビにかまれた傷の治療に用いられ、インドでは、毛髪成長の改善のために用いられる(Chopra,et al.1955.Glossary of Indian Medicinal plants.C.S.I.R.,New Delhi)。植物に対する中国の伝統的医薬の適用は、水虫、皮膚炎(eczema)、及び皮膚炎(dermatitis)の治療を含む。チョウマメ(Clitoria ternatea)(Butterfly peaとしても知られる)は、アジア南西部を含む熱帯及び温帯地域の原産である。花は食品染料として用いられ得、根の抽出物はいくつかの文化において百日咳の治療といった医薬品特性を有すると考えられている。オゾタムヌスオブコルダトゥス(Ozothamnus obcordatus)(Grey Everlastingとしても知られる)は、オーストラリアのいくつかの地域の原産の低木であり、消費者向けの切り花の可能性を有するとされる。
【0054】
エリスリナフラベリフォルミス(Erythrina flabelliformis)(Coral Beanとしても知られる)は、強い毒性の赤い豆を有する大きな鞘とともに華麗な房に赤い花をつける低木である。それは、植物由来の有用な化学薬品を得るための抽出における使用に対して示唆されてきた。米国特許出願2002/0132021号を参照のこと(この内容は全体において参照により本明細書に取り込まれる)。ロンコカルプスカパサ(Lonchocarpus capassa)(apple−leaf又はレインツリー(rain tree)としても知られる)は、南アフリカで発見された。高度に枝分かれしたまばらな傘(canopy)を有する滑らかな裸の幹に対して知られている。樹木にはしばしば、アブラムシが感染し、それが液体を排出し樹木の下にはしみ(wet patches)が形成され、それゆえ“レインツリー(rain tree)”の名称が与えられる。イソフジ(Sophora tomentosa)(“necklace pod”としても知られる)は、黄色の花及び銀色のビロードのような葉を有する低木である。この植物は、フロリダ及びカリブの沿岸の地域の原産である。タチオランダゲンゲ(Trifolium hybridum)(“alsike clover”としても知られる)は、マメ科の植物であり、茎のある、ペールピンク色の花をつけ、しばしば飼料として育てられる。植物抽出物は、皮膚化学的な適用において、表面的には、細胞外プロテアーゼ阻害薬として用いられてきた。米国特許出願2007/0122492号を参照のこと(この内容は全体において参照により本明細書に取り込まれる)。エレモフィラミッチェリ(Eremophila mitchellii)(“false sandalwood”としても知られる)は、白い又はペールピンクがかった花をつける、オーストラリア原産の低木又は小木である。クンゼアアンビグア(Kunzea ambigua)(“poverty bush”としても知られる)は、オーストラリア東部のサンドストン土において生育しているのを発見された低木である。それは、ガーデニング及び砂丘の固定に用いられる。それは、乾癬の治療における使用に対して示唆されてきた。国際特許出願公報WO2009/086595号を参照のこと(この内容は全体において参照により本明細書に取り込まれる)。
【0055】
テリハザンショウ(Zanthoxylum nitidium)は、伝統的な中国医薬において根及び時々は樹皮の使用に対して知られる低木である。医学的な特性に寄与すると考えらえられるいくつかのアルカロイドは、この植物の抽出物から単離されてきた(Mingjin L.et al.(2006)J.of Pharm.and Biomed.Anal.42(2):178−183)。オフィオポゴン Thunb.(Ophiopogon Thunb.)は、塊根のために中国にて広く耕作される草様の低木であり、医薬品として用いられる。抽出物は、例えばWuchang Yuancheng Technology Development Co.,Ltd.,(中国)より商業的に入手され得る。ラディックスプラティコドニス(Radix platycodonis)は、伝統的な中国医薬において用いられる他の植物である。例えば、その根は、乾燥されて茶色の粉末を形成し得、それは例えばQi Lu Chemical(中国)より商業的に入手可能である。セイタカミロバラン(Terminalia belerica)(bibhitakaとしても知られる)は、灰色の樹皮及び悪臭を放つ花を有する、インド全体で生育される高木である。サンスクリット語で、bibhitakaは、病気を遠ざけるものという意味を有し、木の部分は、伝統的な医薬において広く用いられる。抽出物はまた、脱色剤(depigmenting agent)としての使用に対して示唆されてきた。国際特許出願公報WO96/24327号を参照のこと(この内容は全体において参照により本明細書に取り込まれる)。コッカラスグラウケスケンス(Cocculus glaucescens)は、伝統的な中国医薬に用いられる大きな木つるである。ステファニア(Stephania)は、アジア東部及び南部並びにオーストラリア原産の多年生のつるとして生育する、顕花植物の属である。いくつかの種は、伝統的な中国医薬で用いられる薬草を提供し、例えば根といった植物の部分の固形抽出物は、Natural Nutritionals(GA)やNaturex,Inc.,(NJ)より商業的に入手可能であり、それは本発明による使用に適したステファニア固形抽出物を提供する。Rosemary(ローズマリー)(Rosmarinus officinalis)は、匂いを放つ常緑の針状の葉を有する木のような多年生の薬草であり、地中海の地域原産であり、伝統的な地中海料理に広く用いられる。本発明の使用に適するローズマリー抽出物は、例えばNaturex,Inc.,(NJ)より商業的に入手可能である。
【0056】
いくつかの実施態様において、パキシリン促進剤は、例えばマイコフュージョン・カワラタケ・ブラックコーンバイオマス(MycoFusions Coriolus Black Corn Biomass)及び/又はマイコフュージョン・マイタケ・もち性ハダカムギバイオマス(MycoFusions Maitake Waxy Hulless Barley Biomass)といった他の生物学的マテリアルを含む。マイコフュージョン・カワラタケ・ブラックコーンバイオマス(MycoFusions Coriolus Black Corn Biomass)及びマイコフュージョン・マイタケ・もち性ハダカムギバイオマス(MycoFusions Maitake Waxy Hulless Barley Biomass)は、例えばNutragenesis,LLC,(VT)より商業的に入手可能である。
【0057】
皮膚への局所適用のための化粧品組成物は、化粧品として許容可能な媒材中に少なくとも1つのパキシリン刺激剤を含む。パキシリン刺激剤は、化学式IV又はVの構造を有するピリドン縮合アザビシクロ化合物;マツリカ(Jasminum sambac)抽出物;コッキニアグランディス(Coccinia grandis)抽出物;タカサブロウ(Eliptica prostrata Linn.)抽出物;チョウマメ(Clitoria ternatea Linn.)抽出物;オゾタムヌスオブコルダトゥス(Ozothamnus obcordatus)抽出物;エリスリナフラベリフォルミス(Erythrina flabelliformis)抽出物;ロンコカルプスカパサ(Lonchocarpus capassa)抽出物;イソフジ(Sophora tomentosa)抽出物;タチオランダゲンゲ(Trifolium hybridum)抽出物;エレモフィラミッチェリ(Eremophila mitchellii)抽出物;クンゼアアンビグア(Kunzea ambigua)抽出物;タンシノン IIA;テトランドリン(Tetrandrine);カルバクロール(Carvacrol);シス−6−ノネノール;レチニルプニケート(Retinyl punicate);レチニルオレエート(Retinyl oleate);エクオール(Equol);マイコフュージョン・カワラタケ・ブラックコーンバイオマス(MycoFusions Coriolus Black Corn Biomass);マイコフュージョン・マイタケ・もち性ハダカムギバイオマス(MycoFusions Maitake Waxy Hulless Barley Biomass);テリハザンショウ(Zanthoxylum nitidium )抽出物;オフィオポゴン Thunb.P.E.(Ophiopogon Thunb. P.E.)抽出物;ラディックスプラティコドニス(Radix platycodonis)抽出物;セイタカミロバラン(Terminalia belerica)抽出物;コッカラスグラウケスケンス(Cocculus glaucescens)抽出物;ステファニア固形物(Stephania solid)抽出物;及びローズマリー(Rosemary)PE 50%からなる群より選択される少なくとも1つの物質であってもよい。いくつかの実施態様において、化粧品組成物は、1又は2以上のパキシリン刺激剤を含み、他の実施態様において、化粧品組成物は、2又は3以上のパキシリン刺激剤を含む。好ましい実施態様において、2又は3以上のパキシリン刺激剤の組み合わせは、相乗的な抗老化作用を提供するというように、相乗効果を作り出す。
【0058】
いくつかの実施態様において、皮膚への局所適用のための化粧品組成物は、化粧品として許容可能な媒材中に、ヒトの皮膚に抗老化効果を与えるのに有効な量で、シス−6−ノネノール及び少なくとも1つの他のパキシリン刺激剤を含む。パキシリン刺激剤は、化学式IV又はVの構造を有するピリドン縮合アザビシクロ化合物;マツリカ(Jasminum sambac)抽出物;コッキニアグランディス(Coccinia grandis)抽出物;タカサブロウ(Eliptica prostrata Linn.)抽出物;チョウマメ(Clitoria ternatea Linn.)抽出物;オゾタムヌスオブコルダトゥス(Ozothamnus obcordatus)抽出物;エリスリナフラベリフォルミス(Erythrina flabelliformis)抽出物;ロンコカルプスカパサ(Lonchocarpus capassa)抽出物;イソフジ(Sophora tomentosa)抽出物;タチオランダゲンゲ(Trifolium hybridum)抽出物;エレモフィラミッチェリ(Eremophila mitchellii)抽出物;クンゼアアンビグア(Kunzea ambigua)抽出物;タンシノン IIA;テトランドリン(Tetrandrine);カルバクロール(Carvacrol);レチニルプニケート(Retinyl punicate);レチニルオレエート(Retinyl oleate);エクオール(Equol);マイコフュージョン・カワラタケ・ブラックコーンバイオマス(MycoFusions Coriolus Black Corn Biomass);マイコフュージョン・マイタケ・もち性ハダカムギバイオマス(MycoFusions Maitake Waxy Hulless Barley Biomass);テリハザンショウ(Zanthoxylum nitidium )抽出物;オフィオポゴン Thunb.P.E.(Ophiopogon Thunb. P.E.)抽出物;ラディックスプラティコドニス(Radix platycodonis)抽出物;セイタカミロバラン(Terminalia belerica)抽出物;コッカラスグラウケスケンス(Cocculus glaucescens)抽出物;ステファニア固形物(Stephania solid)抽出物;及びローズマリー(Rosemary)PE 50%からなる群から選択される少なくとも1つの化合物であってもよい。いくつかの実施態様において、シス−6−ノネノールを含む組成物はさらに、上記の群から選択される、少なくとも2個、少なくとも5個、少なくとも8個、少なくとも10個、少なくとも15個、少なくとも20個、少なくとも25個、又は全ての28個の物質を含む。好ましい実施態様において、2又は3以上のパキシリン刺激剤の組み合わせは、抗老化効果を相乗的に提供するというように、相乗的な効果を作り出す。
【0059】
いくつかの好ましい実施態様において、化粧品組成物は、化学式IV又はVの構造を有するピリドン縮合アザビシクロ化合物;マツリカ(Jasminum sambac)抽出物;タカサブロウ(Eliptica prostrata Linn.)抽出物;チョウマメ(Clitoria ternatea Linn.)抽出物;オゾタムヌスオブコルダトゥス(Ozothamnus obcordatus)抽出物;エリスリナフラベリフォルミス(Erythrina flabelliformis)抽出物;ロンコカルプスカパサ(Lonchocarpus capassa)抽出物;イソフジ(Sophora tomentosa)抽出物;テトランドリン(Tetrandrine);カルバクロール(Carvacrol);レチニルプニケート(Retinyl punicate);マイコフュージョン・カワラタケ・ブラックコーンバイオマス(MycoFusions Coriolus Black Corn Biomass);マイコフュージョン・マイタケ・もち性ハダカムギバイオマス(MycoFusions Maitake Waxy Hulless Barley Biomass);テリハザンショウ(Zanthoxylum nitidium)抽出物;オフィオポゴン Thunb.P.E.(Ophiopogon Thunb.P.E.)抽出物;ラディックスプラティコドニス(Radix platycodonis)抽出物;及びコッカラスグラウケスケンス(Cocculus glaucescens)抽出物からなる群から選択される少なくとも1つのパキシリン刺激剤を含む。いくつかの好ましい実施態様において、パキシリン刺激剤は、タチオランダゲンゲ(Trifolium hybridum)抽出物、クンゼアアンビグア(Kunzea ambigua)抽出物、タンシノン IIA、エクオール(Equol)、セイタカミロバラン(Terminalia belerica)抽出物、又はローズマリー抽出物のうちの1又は2以上を含む。いくつかの実施態様において、タチオランダゲンゲ(Trifolium hybridum)抽出物、クンゼアアンビグア(Kunzea ambigua)抽出物、タンシノン IIA、エクオール(Equol)、セイタカミロバラン(Terminalia belerica)抽出物、又はローズマリー抽出物のうちの1又は2以上は、皮膚に抗老化効果を与えるようにシス−6−ノネノールとの組み合わせで用いられる。
【0060】
いくつかの好ましい実施態様において、物質のうちの1又は2以上は、化粧品組成物から除外される。例えば、いくつかの実施態様において、組成物はタチオランダゲンゲ(Trifolium hybridum)抽出物を含まず、及び/又はレチニルオレエート(Retinyl oleate)を含まず、及び/又はエクオール(Equol)を含まない。
【0061】
本発明の化粧品組成物は概して、ヒトの皮膚に利益を提供するのに有効な量のパキシリン刺激剤(例えば、(有効な)量のシス−6−ノネノール)を含む。好ましい実施態様において、組成物は、ヒト皮膚線維芽細胞におけるパキシリンの転写及び/又は発現を増加させるのに有効な量のパキシリン刺激剤を含む。本明細書に開示される化粧品組成物は、例えば下記のような抗老化剤としての使用を見出す。
【0062】
(パキシリン刺激組成物の化粧品としての使用)
本発明の他の観点は、シス−6−ノネノールといったパキシリン刺激剤を含む組成物の化粧品としての使用に関する。化粧品組成物は驚くべきことに、ヒト皮膚線維芽細胞におけるパキシリンレベルを増加させる役割を果たし、ひいては抗老化製品における使用を見出す。
【0063】
いくつかの実施態様において、ヒトの皮膚に少なくとも1つの利益をもたらすための方法が提供され、該方法は、化粧品として許容可能な媒材中の少なくとも1つのパキシリン刺激剤を必要に応じて皮膚に局所適用することを含む。組成物は、有効量の物質を含む。皮膚に特定の利益を提供するのに“有効な量”(“amount effective”又は“effective amount”)とは、十分な時間適用されたときに皮膚の特定の兆候において臨床的に測定可能な改善をもたらすのに十分なパキシリン刺激剤の活性的な量を表す。皮膚に特定の利益を提供するのに“有効な量”(“amount effective”又は“effective amount”)とは、十分な時間適用されたときに皮膚の特定の兆候において臨床的に測定可能な改善をもたらすように組み合わせで用いられる2又は3以上のパキシリン刺激剤の各々の活性的な量を表す。他との組み合わせで用いられるとき各々の物質の有効量は、単独で用いられる物質の有効量と同じでもよく、それよりも多くてもよく、又はそれよりも少なくてもよい。個々の物質のより少ない量での使用は、例えば、皮膚の特定の兆候での臨床的に測定可能な改善をもたらすことにおける相乗的な効果に起因して、他のパキシリン刺激剤との組み合わせで用いられる場合に検討される。このような利益は、限定されることなく下記を含む。
(a)小じわ又はしわを治療、低減、及び/又は抑制する、
(b)皮膚の毛穴のサイズを小さくする、
(c)皮膚の厚み、ふくよかさ、及び/又はつっぱり感を改善する、
(d)皮膚のしなやかさ、及び/又は柔軟性を改善する、
(e)皮膚のトーン、輝き、及び/又は透明度を改善する、
(f)プロコラーゲン及び/又はコラーゲンの生成を改善する、
(g)皮膚のきめを改善し、及び/又は再組織化を促進する、
(h)皮膚バリアを修復し、及び/又はその機能を改善する、
(i)皮膚のたるみ又は萎縮を治療し、及び/又は抑制する、
(j)皮膚の輪郭を改善する、
(k)皮膚の艶及び/又は明るさを修復する、
(l)皮膚の必須栄養素及び/又は構成要素を補充する、
(m)更年期により劣化した皮膚の外観を改善する、
(n)皮膚の潤い及び/又は水分を改善する、並びに
(o)皮膚の弾性及び/又は弾力性を向上させる。
【0064】
本発明の組成物は、治療の必要に応じて皮膚に適用され得る。それは、前述の特性若しくはコンディションのいずれかが不足若しくは喪失している皮膚、又はさもなければ例えば本明細書に記載のような、組成物の抗老化効果から利益を得る皮膚である。例えば、パキシリン刺激剤は、化粧品として許容可能な媒材中で提供され、皮膚の所望の部位に適用され、及び皮膚の望ましくない特性若しくはコンディションを治療及び/若しくは予防し、並びに/又は皮膚の審美上の外観を改善するのに有効な量で該部位に留まるようにされ得る。
【0065】
“皮膚のコンディション”(“Condition of the skin”又は“skin condition”)は、本明細書において“皮膚の障害”に置き換えて用いられる。本明細書において用いられる“治療”(“Treatment”)は、“Treat”又は“Treating”といった関連する用語も同様に、消費者がコンディションに関連する改善又は他の治療効果を実感するというように、治療された皮膚のコンディションに関連する1又は2以上の望ましくない特性を消し去り、低減させ、改良させ、または改善させることを意味する。本明細書において用いられる“抑制”(“Prevention”)は、“Prevent”又は“Preventing”といった関連する用語も同様に、抑制されるべき皮膚のコンディション”に関連する1又は2以上の望ましくない特性を回避し、遅らせ、未然に防ぎ、又は最小化する利益を、該コンディションにまだ影響を受けていない皮膚に与えることを意味する。このような抑制的な効果は、例えば、該コンディションの進展を遅らせること、又は最終的には該コンディションが進展した場合の該コンディションに関連する1又は2以上の望ましくない特性の持続時間、重度、若しくは強度を低減させることを含む。
【0066】
(抗老化効果)
ある好ましい実施態様において、本明細書に記載された化粧品組成物は、皮膚の老化又は他の皮膚のダメージ(例えば、UV由来)のサインを治療し、及び/又は抑制するために用いられ得る。皮膚の老化のサインは、老化のいかなる皮膚化学的なサインをも含み、内因性の(年齢的な)老化により引き起こされたサイン、又は外因性の要因(例えば、光老化)により引き起こされたサインを含む。組成物は、すでに老化のサインが視覚的に見えている皮膚、又は例えば年齢若しくは太陽光の暴露に起因したこのようなサインが見られそうな皮膚に適用されてもよい。
【0067】
皮膚の老化の早期のサインは、表面の小じわであれより深いしわ及び折り目であれ、徐々に進行する顔のしわを含む。しわ及び老化の他のサインは皮膚の内因的なものである一方で、プロセスは、過剰な太陽の照射、及び他のダメージを与える要因、顔面表情筋の過度の動き、タバコ製品の頻回な使用、栄養不足、又は皮膚障害といった外因性の要因により促進され得る。表面の小じわ(より深いしわに進行し、繰り返される皮膚の折り畳みに起因して顔面のしわが深まる)及び年齢に伴い進展する深い折り目は、老化に関連した目に見える変化である。
【0068】
皮膚老化のサインを治療することは、例えば、目に見える程度の小じわ及び/又はしわを低減させることにより、皮膚老化に関連する1又は2以上の望ましくない特性を消し去り、低減させ、改良させ、又は改善させることを意味する。例えば、本発明の組成物及び方法は、通常25歳以上といった個人において、いったん現れた老化のサインを改善し、又は治療するために用いられ得る。皮膚老化のサインを抑制することは、例えば皮膚が最終的に老化した場合の小じわ及び/又はしわの現れを遅くすることにより、老化に関連する1又は2以上の望ましくない特性を回避し、遅らせ、未然に防ぎ、又は最小化する働きをする利益を皮膚にもたらすことを意味する。すなわち、本発明の組成物及び方法は、(対象として)皮膚の老化のサインを呈していない、通常25歳以下の個人における皮膚老化のサインを未然に防ぐように、予防的に利用され得る。
【0069】
望ましくない特性及び/又は全体的な審美上の外観における改善は、年齢による老化、光老化、ホルモンによる老化、及び/又は化学線による老化の皮膚科学的なサインを低減させる;線及び/又はしわの外観を抑制及び/又は低減させる;顔の線及びしわ、頬、額のしわ、眉間のしわ、目の上及び口の周りの横じわ、マリオネットライン、並びに特に深いしわ又は折り目の外観を低減させる;線及び/又はしわの外観及び/又は深さを抑制、低減、及び/又は減少させる;眼窩下の線及び/又は眼窩周囲の線の外観を改善させる;目尻のしわの外観を低減させる;皮膚、具体的には老化した皮膚を若返らせ、及び/又は再生させる;皮膚の脆弱性を低減させる;皮膚萎縮を抑制する;皮膚のトーン、輝き、明るさ、及び/又はこわばりを改善させる;皮膚のたるみを抑制し、低減させ、及び/又は改良する;皮膚の硬さ、ふくよかさ(plumpness)、柔軟性、及び/又はしなやかさを改善する;皮膚のきめを改善させ、及び/又は再組織化を促進する;皮膚のバリア修復及び/又は機能を改善させる;皮膚の輪郭の外観を改善させる;皮膚の光沢及び/又は輝きを回復させる;疲労及び/又はストレスの皮膚化学的なサインを最小化する;環境的なストレスに耐える;老化及び/又は更年期により減少した皮膚の成分(例えば、必須栄養素又は他の皮膚構成成分)を補充する;エストロゲンのアンバランスの影響を改善させる;皮膚細胞間のコミュニケーションを改善させる;細胞増殖及び/又は増加を促進する;老化及び/又は更年期により減少した皮膚細胞の代謝を促進する;細胞の老化を遅らせる;皮膚の湿潤及び/又は水和を向上させる;プロコラーゲン及び/又はコラーゲン生成を改善させる;皮膚の厚さを強化させる;皮膚の弾性及び/又は弾力性を増加させる;並びにこれらの組み合わせの1又は2以上を含み得る。特定の理論に縛られることを望むものではないが、本発明の組成物は、皮膚線維芽細胞におけるパキシリン発現を亢進させ、及びパキシリンレベルを増加させることにより、皮膚の審美上の外観を向上させ、及び改善させると考えられる。
【0070】
ある好ましい実施態様において、本発明の組成物及び方法は、皮膚の小じわ又はしわの治療及び/又は抑制に向けられる。治療の場合において、組成物は、このような治療の必要に応じて皮膚に適用され、それはしわ及び/又は小じわを有する皮膚を意味する。小じわ及び/又はしわは、皮膚のいかなる表面にも生じ得、それは限定されることなく、手、腕、足、首、胸、額を含む顔の皮膚を含む。好ましくは、組成物は、小じわ及び/又はしわに直接的に局所適用される。例えば、小じわ及びしわを治療するための方法は、必要に応じて個人の皮膚に、本明細書に記載の組成物を局所適用することを含み得、例えば、小じわ及び/若しくはしわの重度を低減させ、又は新しい小じわ及び/若しくはしわの形成を抑制するのに十分な量及び時間で、小じわ及び/又はしわに直接的に局所適用される。小じわ及びしわの外観に対する組成物の効果は、定性的に(例えば目視により)、又は定量的に(例えば顕微鏡又はコンピューターによるしわの形態の評価(例えば、皮膚の単位領域あたりのしわの数、深さ、長さ、面積、容積、及び/又は幅)により)、評価され得る。
【0071】
“しわ(wrinkle)”又は“しわ(wrinkling)”という用語は、小じわ及び/又は粗いしわの両方を意味する。小じわ(fine wrinkling)又は小じわの線(fine lines)は、皮膚表面における表面上の線及びしわを意味する。粗いしわは、深いしわ、具体的には顔及び目の回りにおける深い線/しわを意味する。それには、眉間の線及びしわ、額の線及びしわ、目尻の線及びしわ、鼻唇溝及びマリオネットの線及びしわといった表情線も含まれる。額の線及びしわは、額の皮膚における表面上の線及び/又は深いしわを意味する。目尻の線及びしわは、目の領域の周りの皮膚における表面上の線及び/又は深いしわを意味する。マリオネットの線及びしわは、口の周りの皮膚における表面上の線及び/又は深いしわを意味する。
【0072】
本発明の組成物は、必要に応じて個人のひ薄化した皮膚に該組成物を局所適用することによる、ひ薄化した皮膚の治療にも有用である。“ひ薄化した皮膚”は、年齢による老化、更年期、又は光によるダメージに起因してひ薄化した皮膚を含むとされる。いくつかの実施態様において、該治療は男性のひ薄化した皮膚を対象とし、一方、他の実施態様においては、該治療は更年期前又は更年期後の女性のひ薄化した皮膚を対象とする。皮膚のひ薄化は、男性と女性とで年齢により異なり、特に女性において年齢の段階により異なると考えられている。
【0073】
特定の理論に縛られることを望むものではないが、本明細書に記載の化合物は、皮膚線維芽細胞におけるパキシリン発現を増加させる役割を果たし得ると考えられ、その結果、細胞形状及び健康状態を維持し、皮膚老化に関連する1又は2以上の望ましくない特性を遅らせる。驚くべきことに、ヒト皮膚線維芽細胞においてパキシリンタンパク質レベルが老化に伴い減少していることが見出された。例えば、老年ドナー由来の皮膚線維芽細胞では、若年ドナー(n=3)に比して、パキシリンレベルが20.6%低いことが示された。さらに、パキシリンmRNA及びタンパク質の正常な生成の障害は、直接的にヒト皮膚線維芽細胞の細胞形状の変化をもたらす。崩壊した線維芽細胞の増殖率は低く、コラーゲンマトリックスの生成能が低減されている。したがって、パキシリンレベルの増加は、若年の皮膚の細胞形態及びひいては細胞機能を維持し得、それには細胞の老化を遅らせ、コラーゲン合成を促進させることが含まれる。より若年のパキシリンレベルは、皮膚の細胞形状を改善及び/又は回復させ、細胞増殖及び細胞外マトリックスタンパク質の生成を増加させ、その結果、小じわ及びしわのほとんどない全体として健康的な皮膚をもたらし得る。
【0074】
ある好ましい実施態様において、本発明の組成物及び方法は、皮膚の弾力、ふくらみ、及び/又は張りの改善に向けられる。弾力の喪失、しわ、及び老化の他のサインは、長年にわたる皮膚コラーゲンの喪失による。本明細書で用いられる“コラーゲン”は、“コラーゲンI”又は“I型コラーゲン”に置き換えて用いられ、その型は、皮膚マトリックス成分として皮膚に存在するものである。コラーゲンIは、タイトな三重らせんにおいてともに巻き付いた3つのタンパク質鎖で構成され、それはスチールよりも強い引張強度をもたらし、線維芽細胞により作られる。コラーゲンは、皮膚の弾力、強度、耐久性、及び若々しく、なめらかな、ふっくらとした外観を与える。特定の理論に縛られることを望むものではないが、パキシリンレベルの増加は、コラーゲン生成及びひいては皮膚のコラーゲンレベルの増加をもたらし、その結果、例えば皮膚の弾力及びふくらみを維持することにより、皮膚老化に関連する望ましくない特性の1又は2以上を遅らせ得ると考えられる。
【0075】
ある実施態様において、本発明の組成物は、局所適用される場合の皮膚の与えられた部位のパキシリンレベルを増加させるのに十分な量で、シス−6−ノネノールといったパキシリン刺激剤を含む。本明細書で用いられる“パキシリンレベルを増加させること”及び関連する表現は、皮膚の領域におけるパキシリン含量を増加させるようにパキシリンmRNA(及びタンパク質)生成を促進させ、誘導し、又はアップレギュレーションさせることを意味し、好ましくは目に見える程度に皮膚の外観を改善させることを意味する。例えば、いくつかの実施態様において、パキシリンレベルは、組成物が無い場合のパキシリンのレベルに比べて、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約60%、少なくとも約80%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、少なくとも約250%、又は少なくとも約300%増加する。皮膚におけるパキシリンレベルは、適切なアッセイ(例えば、本明細書に記載の、又は本技術分野で公知のin vitroアッセイ)により評価され得る。例えば、下述の実施例1は、ヒト皮膚線維芽細胞におけるパキシリンレベルを評価するためのアッセイの実験的な詳細を提供する。
【0076】
いくつかの実施態様において、皮膚老化のサインを治療及び/又は抑制するための化粧品組成物は、さらに付加的な抗老化剤を含み得る。例えば、皮膚老化のサインを治療及び/又は抑制するのに有効な量でパキシリン刺激剤(paxillin stimulator)(又はパキシリン刺激剤(paxillin stimulators))を含む化粧品組成物は、少なくとも1つの他の抗老化剤をさらに含み得る。いくつかの実施態様において、このような組み合わせで相乗改善効果が得られ得ることが期待される。
【0077】
典型的な抗老化剤は、限定されることなく、植物(例えば、ツルハナモツヤクノキ(Butea Frondosa)抽出物);チオジプロピオン酸(TDPA)及びそのエステル;レチノイド(例えば、オール−トランスレチノイン酸、9−シス−レチノイン酸、フィタン酸、及びその他);ヒドロキシ酸(α−ヒドロキシ酸及びβ−ヒドロキシ酸を含む)、サリチル酸及びサリチル酸塩;抗酸化剤;角質除去剤(例えば、グリコール酸,3,6,9−トリオキサウンデカン二酸等)、エストロゲン合成酵素促進化合物(例えば、カフェイン及び誘導体);5α−リダクターゼ活性阻害作用を有する化合物(例えば、リノレン酸、リノール酸、フィナステライド、及びこれらの混合物);バリア機能促進剤(例えば、セラミド、グリセリド、コレステロール、及びこれらのエステル、α−ヒドロキシ脂肪酸、ω−ヒドロキシ脂肪酸、及びこれらのエステル等);コラゲナーゼ阻害剤;エラスターゼ阻害剤;抗老化植物、角質溶解剤、落屑剤(desquamation agent)、ケラチノサイト増殖亢進剤、及び皮膚への付加的なコラーゲン促進剤として機能する皮膚プランパー等を含む。適切な皮膚プランパーの例は、パルミトイルオリゴペプチドである。他の皮膚プランパーは、他のコラーゲン及び/又は他のグリコサミノグリカン(GAG)の促進剤を含む。典型的なレチノイドは、限定されることなく、レチノイン酸(例えば、オール−トランス又は13−シス)及びそれらの誘導体、パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール及びプロピオン酸レチノールといったレチノール(ビタミンA)及びそれらのエステル、並びにそれらの塩を含む。いくつかの実施態様において、本発明は、例えば皮膚に亢進された抗老化効果を提供するための、本明細書に記載の1又は2以上の組成物のTDPAとの相乗作用に関する。
【0078】
本明細書で提供される技術に基づき、本技術分野における当業者は、本明細書に記載の組成物に対する他の化粧品としての適用及び/又は薬学的な適用を認識し、このような適用はまた、本発明の範囲内として考えられる。例えば、本明細書に記載の組成物はまた、スキンケア製品といったパーソナルケア製品における使用を見出し得、それは製品の適用において本明細書に記載される皮膚への利益を作り出すことが望ましい。皮膚に対するパーソナルケア製品は、例えば、ボディローション、ボディウォッシュ、ボディトニック、及び同様物を含む。例えば、本明細書で記載される組成物は、身体の種々の表面における小じわ及びしわの外観を低減させる、ローション、トニック、及び/又は洗浄剤の使用を見出し得ることが期待される。
【0079】
パキシリン刺激剤は、必要に応じて個人に局所適用され、それは皮膚のダメージ又は老化の視覚的なサインを低減させることによる利益を得る個人を意味する。本発明は、本明細書で記載される1又は2以上の利益を作り出すのに十分な期間、皮膚の部位に、少なくとも1つのパキシリン刺激剤を含む組成物を局所適用することにより、皮膚への利益を提供するための方法を提供する。組成物は典型的には、本明細書で記載される抗老化効果といった、所望の結果が得られるのに必要な期間、毎日1回、2回、又は3回、皮膚に適用される。この治療レジメンは、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約4週間、少なくとも約8週間、少なくとも約12週間、又はそれ以上、毎日適用又は隔日適用することを含み得る。長期間の治療レジメンもまた期待され、例えば、1又は2以上の皮膚老化のサイン又は他のダメージを未然に防ぐ目的での予防的治療に関する。治療及び/又は予防的レジメンはまた、例えばあるパキシリン刺激剤が他よりも迅速に皮膚の抗老化効果を作り出し得るため、用いられる特定のパキシリン刺激剤に依存し得る。
【0080】
抗老化剤としての使用のための付加的なパキシリン刺激剤候補薬は、例えば下述により詳細に記載されるように、必要に応じた皮膚の治療における使用のためにスクリーニングされ得る。
【0081】
(パキシリン刺激剤候補薬をスクリーニングする方法)
本発明のさらなる他の側面は、例えば化粧品として許容可能な媒材への取り込みによる抗老化化粧品組成物の製造に適した物質を見出すための、パキシリン刺激剤候補薬をスクリーニングすることに関する。無数の物質がスクリーニングされ得、常に明確には説明されないが、パキシリン刺激剤候補薬は、単独で、又は他のパキシリン刺激剤と組み合わせで用いられ得ると理解されるべきである。
【0082】
いくつかの実施態様において、候補薬は、種々のコア構造に基づく天然化合物、合成又は半合成有機化合物を包含する。候補薬は、1又は2以上の多数の化学的クラスを包含し得、好ましくは、タンパク質に構造的に相互作用(具体的には水素結合)するのに必要な官能基を含み、例えば、典型的には少なくともアミン基、カルボニル基、ヒドロキシル基、又はカルボキシル基を含み、しばしば官能基の少なくとも2つを含む。候補薬はまた、限定されることなく、ペプチド、サッカリド、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、ベンゾジアザピン、誘導体、構造類似体、ポリヌクレオチド、高分子複合体、又はこれらの組み合わせを含む生体分子において見出される。
【0083】
候補薬は、合成化合物又は天然化合物のライブラリーを含む幅広いソースから得られ得る。いくつかの実施態様において、パキシリン刺激剤候補薬は、いかなる有機化合物又は無機化合物であってもよく、多数の化合物の天然及び/又は合成ライブラリーが、候補薬を提供するために用いられ得る。例えば、NCI Open Synthetic Compound Collection library,Bethesda,Md.;Pirrung et al.,2008,“Synthetic Libraries of Fungal Natural Products”ChemInform 39:2;Shang et al.,2005,“Advancing chemistry and biology through diversity−oriented synthesis of natural product−like libraries”Curr.Opin.Chem.Biol.9:248−58;Webb TR,2005,“Current directions in the evolution of compound libraries”Curr.Opin.Drug Discov.Devel.8:303−8;Fodor et al.,1991,Science 251:767−73;Medynski,1994,BioTechnology 12:709−710; Ohlmeyer et al.,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:10922−26;Erb et al.,1994,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:11422−26;Jayawickreme et al.,1994,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:1614−18;及びSalmon et al.,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:11708−712を参照のこと。
【0084】
さらに、数多くの手段が、幅広い種類の有機化合物及び生体分子のランダム及び指向性合成に有用であり、ランダム化されたオリゴヌクレオチド及びオリゴペプチドの発現を含む。あるいは、細菌、真菌、植物、及び動物の抽出物の形態における天然化合物のライブラリーが有用であり、又は容易に作られる。加えて、天然の又は合成して作られたライブラリー及び化合物は、従来の化学的、物理的及び生化学的手段により容易に修飾され、コンビナトリアルライブラリーを作るために用いられ得る。公知の薬剤は、構造類似体を作るために、アシル化、アルキル化、エステル化、アミド化等といった、指向性又はランダム化学的修飾を受け得る。候補薬はまた、細菌溶解物若しくは細胞内画分、植物若しくは動物由来の抽出物、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0085】
候補薬は、それが本技術分野で公知の手段及び/又は本明細書で記載のいかなる手段によってもパキシリンを刺激し得るか否かを評価するためにアッセイされ得る。例えば、下述の実施例1は、パキシリンmRNAの増加に対する試験によるパキシリン刺激剤候補薬に対するスクリーニングのアッセイを記述する。いくつかの実施態様において、該方法は、ヒト皮膚細胞に候補薬又は候補マテリアルを接触させること、及びパキシリンmRNAのアップレギュレーションに対するアッセイを含む。テストサンプルにおける候補薬の濃度は、その薬の特性に依存して変化する。例えば、候補薬は、1又は2以上の濃度(例えば約5%、約2%、約1%、約0.1%、約0.05%、約0.01%、約0.001%、約0.0001%、約0.00001%、約0.000001%等の濃度)で試験され得る。
【0086】
いくつかの好ましい実施態様において、パキシリンmRNAのアップレギュレーションは、分岐DNA技術を用いたマルチプレックスアッセイを用いてアッセイされる。この技術は、ラベルされたDNAプローブを用いて、ターゲットRNAよりもシグナルを増幅する、ターゲット特異的RNA定量のハイブリダイゼーションベースの方法である。パキシリンに対するプローブがデザインされ、合成されてきた。プローブは好ましくは、同定されるターゲットシークエンスをカバーする。すなわち、プローブは、パキシリンmRNAに対応するヌクレオチド配列が種々のプローブの相補的配列によりカバーされ又は実質的にカバーされるようにデザインされ得る。プローブは一般的に、キャプチャーエクステンダー(capture extenders)(CE)、ラベルエクステンダー(label extenders)(LE)、及びブロッカー(blockers)(BL)を含む。キャプチャーエクステンダー(capture extenders)は、用いられるビーズ(例えば、Luminexから商業的に入手可能なビーズ)にRNAを結合させる短い配列である。ラベルエクステンダー(label extenders)は、増幅において用いられるDNAオリゴマーにRNAを結合させる(bDNA増幅オリゴであり、PreAmplifier、Amplifier又はLabel Probesとも称される)短い配列である。ブロッカー(blockers)は、CE又はLEによりカバーされないターゲットシークエンス内の領域でRNAに結合する短い配列である。このアレンジメントは、二本鎖であるターゲットシークエンスを提供する。ターゲットシークエンスは、ターゲットの異なる領域に指向された種々のプローブの組み合わせによりカバーされる(又は実質的にカバーされる)からである。特定の理論に縛られることを望むものではないが、二本鎖のターゲットシークエンスを提供することは、例えばハイブリダイゼーション効率を改善することで、アッセイの特異性及び/又は感受性を改善すると考えられる。
【0087】
一実施態様において、パキシリンを同定するためのCE、LE及びBL配列は、配列番号1、2及び3に各々対応し、下記に示される。
【0088】
gggaagacgtggcacccctcccggaacttcttcgagccccgcgctgctactactgcaacggccccatcctggaagccttctttggtcccgaaaacggcagcttcttcgagc(配列番号1);
【0089】
gagcacttcgtctgcacccactgccaggaggagatcggataaagtggtgacagcccttgaccggacgtggcaccctgagggttccacgagaaggacggcaaggcctactgtcgcaagtgctttgtgtgccgggaatgcttcacgccattcgtgacgacgggcagccctactgtgaggtgcactaccacgagc(配列番号2);及び、
【0090】
acacttcttctgtgcacagtgtggggactacttcgacatgttcgcacccaagtgtggcggctgcgcccgggccatcctggagaactatatctcagccctcaacacgctgtggcatcctga(配列番号3)
【0091】
他の実施態様において、用いられるプローブは、上述の配列から1又は2以上の変異を含み得る。例えば、いくつかの実施態様において、CE、LE及びBLプローブは、配列番号1、2及び3のヌクレオチド配列に各々、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、又は少なくとも約99%相同するヌクレオチド配列を有する。いくつかの実施態様において、CE、LE及び/又はBLプローブは、ストリンジェントな条件下で配列番号1、2及び3のヌクレオチド配列に各々ハイブリダイズするヌクレオチド配列を有する。ストリンジェントな条件は、低いストリンジェンシー、中間のストリンジェンシー、又は高いストリンジェンシーを含み得る。
【0092】
“高いストリンジェンシーの条件”は、限定されることなく、(1)洗浄のための低いイオン強度及び高い温度を用いる(例えば、50℃で、0.015M塩化ナトリウム/0.0015Mクエン酸ナトリウム/0.1%ドデシル硫酸ナトリウム);(2)ハイブリダイゼーションの間、ホルムアミドといった変性剤を用いる(例えば、42℃で、0.1%ウシ血清アルブミン含有の50%(v/v)ホルムアミド/0.1%フィコール/0.1%ポリビニルピロリドン/750mM塩化ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウム含有のpH6.5の50mMリン酸ナトリウム緩衝液;又は(3)42℃で50%ホルムアミド、5×SSC(0.75M NaCl、0.075Mクエン酸ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5×Denhardt’s溶液、超音波破砕されたサケ精子DNA(50μg/mL)、0.1%SDS、及び10%硫酸デキストランを用い、42℃で0.2×SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)中及び55℃で50%ホルムアミド中で洗浄し、その後、55℃でEDTAを含有する0.1×SSCからなる高ストリンジェンシーの洗浄を行う。例として限定されることなく、高ストリンジェンシーの条件を用いる手順は、下記の通りである。DNAを含有するフィルターのプレハイブリダイゼーションを、6×SSC、50mM Tris−HCl(pH7.5)、1mM EDTA、0.02% PVP、0.02%フィコール、0.02% BSA、及び500μg/ml変性サケ精子DNAからなる緩衝液中、65℃で8時間から一晩行う。フィルターは、100μg/ml変性サケ精子DNA及び5−20×10cpmの32Pでラベルされたプローブを含有するプレハイブリダイゼーション混合液中で、65℃で48時間ハイブリダイズされる。フィルターの洗浄は、2×SSC、0.01%PVP、0.01%フィコール、及び0.01%BSAを含有する溶液中で、1時間、37℃で行われる。その後、オートラジオグラフィーの前に45分間50℃で0.1×SSCで洗浄する。用いられ得る高いストリンジェンシーの他の条件は、本技術分野においてよく知られている。このようなストリンジェンシーに適切な条件の選択は、本技術分野においてよく知られている(例えば、Sambrook et al.,1989,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,2d Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.;Ausubel et al.,eds.,in the Current Protocols in Molecular Biology series of laboratory technique manuals(著作権),1987−1997,Current Protocols(著作権),1994−1997 John Wiley and Sons, Inc.を参照のこと。また、Dyson,1991,“Immobilization of nucleic acids and hybridization analysis,”In:Essential Molecular Biology:A Practical Approach,Vol.2,T.A.Brown,ed.,pp.111−156,IRL Press at Oxford University Press,Oxford,UKを参照のこと)(これらの各々は、全体において参照により本明細書に取り込まれる)。
【0093】
“中間のストリンジェントな条件”は、限定されることなくSambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual.2.sup.nd Ed.,New York:Cold Spring Harbor Press,1989により記載され、前述のものよりもよりストリンジェントではない洗浄溶液及びハイブリダイゼーション条件(例えば、温度、イオン強度、及びSDS%)の使用を含む。中間のストリンジェントな条件の例は、20%ホルムアミド、5×SSC(150mM NaCl,15mMクエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×Denhardt’s溶液、10% 硫酸デキストラン、及び20mg/mL変性されせん断されたサケ精子DNAを含有する溶液中で、37℃で一晩インキュベーションし、その後、約37−50℃で1×SSC中でフィルターを洗浄することである。
【0094】
“低いストリンジェンシーの条件”は、限定されることなく下記を含み得る。DNAを含有するフィルターを、を35%ホルムアミド、5×SSC、50mM Tris−HCl(pH7.5)、5mM EDTA、0.1%PVP、0.1%フィコール、1%BSA、及び500μg/mlの変性されたサケ精子DNAを含有する溶液中で、40℃で6時間、前処理する。ハイブリダイゼーションを、下記の変更により同じ溶液中で行う:0.02% PVP、0.02%フィコール、0.2% BSA、100μg/mlサケ精子DNA、10%(wt/vol)硫酸デキストラン、及び5−20×10cpmの32Pでラベルされたプローブを用いる。フィルターを40℃で18−20時間、ハイブリダイゼーション混合液中でインキュベートし、その後、2×SSC、25mM Tris−HCl(pH7.4)、5mM EDTA、及び0.1%SDSを含有する溶液中で55℃で1.5時間洗浄する。洗浄溶液を、新鮮な溶液に換えて、60℃でさらに1.5時間インキュベートする。フィルターをドライブロッティングし、オートラジオグラフィーにさらす。必要であれば、フィルターを65−68℃で3回洗浄し、フィルムに再びさらす。用いられ得る低いストリンジェンシーの他の条件は、本技術分野においてよく知られている(例えば、異種間ハイブリダイゼーションに用いられる)(Shilo and Weinberg,1981,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.78,6789−6792もまた参照のこと)。
【0095】
ラベルされたプローブを用いるアッセイ方法は、ターゲットシークエンスを捕捉すること、及び1又は2以上のシグナル増幅工程を用いて捕捉された配列を同定することを含む。いくつかの実施態様において、適切に希釈された細胞溶解物は、パキシリン及びリファレンスプローブでハイブリダイズされる。パキシリン及びリファレンスプローブが捕捉されると、結合していないマテリアルがろ過され洗浄される。シグナル増幅は、1又は2以上の工程で行われ得、典型的には、“Pre−amplifier”プローブ、その後に“Amplifier”プローブを用いる2工程で行われ得、結合していないPre−amplifierは、Amplifierでの増幅前にろ過され洗浄される。その後サンプルは、ラベルされたプローブでハイブリダイズされ得、前述の通りろ過されて洗浄され得、最後にラベルを読む又は測定する。
【0096】
パキシリンレベルの増加は、コントロールと比較したパーセントの増加として測定され得る。好ましいパキシリン刺激剤は、組成物が無い場合のパキシリンのレベルに比して、又はコントロールの存在下でのそれに比して、少なくとも約60%、少なくとも約80%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、少なくとも約250%、又は少なくとも約300%、パキシリンレベルを増加させる。候補マテリアルはこのようにして、パキシリン刺激剤として同定され得、例えば、候補マテリアルは、1又は2以上の本明細書に記載のプローブ、組成物、及び/又は方法を用いてパキシリンmRNAをアップレギュレーションさせるものとして同定され得、このように同定された候補マテリアルは、本発明の範囲内に包含される。
【0097】
同定されたパキシリン刺激剤は、本技術分野で知られているように、化粧品組成物を製造するために用いられ得る。化粧品組成物は、抗老化製品における使用を見出し、好ましくは例えば化粧品として許容可能な媒材とともに、皮膚への局所適用のために製造される。パキシリン刺激剤を含む抗老化化粧品製品のための製造は、下述において詳細に記載される。
【0098】
(パキシリン刺激化合物の化粧品製剤)
本発明による組成物は、局所適用のための種々の形態で作られ得、組成物の全重量に基づき、パキシリン刺激剤を約0.000001重量%〜約5重量%、パキシリン刺激剤を約0.00001重量%〜約2重量%含有し、好ましくは約0.0001重量%〜約1重量%含有し、より好ましくは約0.001重量%〜約0.1重量%、さらに好ましくは約0.01重量%〜約0.05重量%含有する。上述の量は、シス−6−ノネノールの量といった、パキシリン刺激剤の“活性的な量”という意味である。“活性的な量”の用語は、希釈剤、溶媒、キャリア、フィラー等がない状態でのパキシリン刺激剤の量という意味である。組成物は、パキシリン刺激剤の有効量を含み、これは概して、十分な期間、局所適用された場合に、皮膚の一定の領域のパキシリンmRNA及び/又はタンパク質レベルを増加させるのに十分な量という意味である。
【0099】
いくつかの実施態様において、化粧品組成物は、シス−6−ノネノール及び任意に少なくとも1つの他のパキシリン刺激剤を含む。いくつかのこのような実施態様において、組成物は、トランス−6−ノネノール異性体を本質的に含まず、又は6位以外の部位に二重結合を有するノネノール異性体を本質的に含まない。“本質的に含まない”とは、このような他のノネノール成分が、ノネノールの全量の5重量%未満、好ましくは2.5重量%未満、より好ましくは1重量%未満含まれることを意味する。他の実施態様において、組成物は、シス−6−ノネノール以外のノネノールを含まない。
【0100】
該組成物は、特に局所適用のための、例えば、ローション、クリーム、乳液(serum)、スプレー、エアロゾル、ケーキ(cake)、軟膏、エッセンス、ゲル、ペースト、パッチ、ペンシル、ウェットティッシュ(towelette)、マスク、スティック、フォーム、エリキシル剤、濃縮物、及び同様物といった種々の製品の形態で作られ得る。好ましくは、該組成物は、ローション、クリーム、軟膏、又はゲルとして作られる。
【0101】
該組成物は、化粧品として許容可能な媒材を含み得、それは薬学的に、生理学的に、又は皮膚科学的に許容可能な媒材、溶媒、又はキャリアを包含する。このような媒材は、皮膚への適用に適した本技術分野において公知であるいかなる形態をもとり得、水(例えば、脱イオン水);植物油;鉱物油;オクタルパルミテート、イソプロピルミリステート及びイソプロピルパルミテートといったエステル;ジカプリルエーテル及びジメチルイソソルバイドといったエーテル;エタノール及びイソプロパノールといったアルコール;セチルアルコール、セチアリルアルコール、ステアリルアルコール、及びビフェニルアルコールといった脂肪族アルコール;イソオクタン、イソドデカン、及びイソヘキサデカンといったイソパラフィン;シクロメチコン、ジメチコン、ジメチコンクロスポリマー、ポリシロキサン、及びそれらの誘導体、好ましくは有機修飾された誘導体といったシリコーン油;鉱物油、ペトラタム、イソエイコサン、及びポリイソブテンといった炭化水素油;プロピレングリコール、グリセリン、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、及びヘキシレングリコールといったポリオール;ビーズワックス及び植物性ワックスといったワックス;又は前述の組み合わせ若しくは混合物を含み得る。
【0102】
該媒材は、水相、油相、アルコール、シリコーン相、又はこれらの混合物を含み得る。化粧品として許容可能な媒材はまた、エマルションを含有し得る。適切なエマルションの限定されない例示としては、油中水滴型エマルション、水中油滴型エマルション、水中シリコーン型エマルション、シリコーン中水滴型エマルション、水中ワックス型エマルション、水/油/水三相のエマルション、又はクリーム、ゲル、若しくはマイクロエマルションの特性を有する同様物が挙げられる。該エマルションは、非イオン性、アニオン性、又は両性の界面活性剤といった、乳化剤を含み得る。
【0103】
エマルションの油相は好ましくは、1又は2以上の有機化合物を有し、それには、エモリエント;保湿剤(例えば、ブチレングリコール、プロピレングリコール、メチルグルセス−20、及びグリセリン);ビーガム又はヒドロキシアルキルセルロースといった増粘剤を含む他の水分散性成分又は水溶性成分;高分子量のポリアクリル酸(すなわち、CARBOPOL934)といったゲル化剤;及びこれらの混合物が含まれる。該エマルションは、該組成物中に存在する種々の成分を乳化することのできる1又は2以上の乳化剤を有していてもよい。
【0104】
油相での使用に適する化合物は、限定されることなく、植物油;オクチルパルミテート、イソプロピルミリステート、及びイソプロピルパルミテートといったエステル;ジカプリルエーテルといったエーテル;セチルアルコール、ステアリルアルコール、及びビフェニルアルコールといった脂肪族アルコール;イソオクタン、イソドデカン、及びイソヘキサデカンといったイソパラフィン;ジメチコン、環状シリコーン、及びポリシロキサンといったシリコーン油;鉱物油、ペトラタム、イソエイコサン、及びポリイソブテンといった炭化水素油;天然ワックス又は合成ワックス;並びに同様物を含む。適切な疎水性炭化水素油は、飽和型若しくは不飽和型であってもよく、脂肪族化合物の特性を有していてもよく、直鎖若しくは分岐していてもよく、又は脂環若しくは芳香環を含んでいてもよい。油を含有する相は、単一の油又は異なる油の混合物からなっていてもよい。
【0105】
炭化水素油は、6−20の炭素原子を有するもの、より好ましくは10−16の炭素原子を有するものを含む。代表的な炭化水素は、デカン、ドデカン、テトラデカン、トリデカン、及び炭素数8−20のイソパラフィンを含む。パラフィン炭化水素は、ISOPARSの商標名のもとでエクソン社から購入可能であり、及びパルメチル社から購入可能である。加えて、Permethyl 99ATMの商標名のもとでパルメチル社により製造されている炭素数12のイソパラフィン(イソドデカン)といった、炭素数8−20のパラフィン炭化水素もまた、適切であるといえる。イソヘキサデカン(Permethylの商標名を有する)といった、購入可能な種々の炭素数16のイソパラフィンもまた、適切である。好ましい揮発性炭化水素の例は、例えばPermethyl−99A(プレスパース社)を含むイソドデカン及びイソデカンといったポリデカン、並びにエクソンケミカル社から購入可能なIsoparシリーズといった炭素数7−8から炭素数12−15のイソパラフィンを含む。代表的な炭化水素溶媒は、イソドデカンである。
【0106】
油相は、1又は2以上のワックスを含み得、それには例えば、米ぬかワックス、カルナバワックス、オーリクリーワックス、カンデリラワックス、モンタンワックス、サトウキビワックス、オゾケライト、ポリエチレンワックス、フィッシャー−トロプシュワックス、ビーズワックス、マイクロクリスタンワックス、シリコーンワックス、フッ素化ワックス、及びこれらの混合物が含まれる。
【0107】
乳化剤には限定されることなく、乳化ワックス、乳化多価アルコール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテル、ポリオールのモノ−エステル又はジ−エステル、エチレングリコールモノ−ステアレート、グリセリンモノ−ステアレート、グリセリンジ−ステアレート、シリコーン含有乳化剤、大豆ステロール、セチルアルコールといった脂肪族アルコール、アクリレート、ステアリン酸といった脂肪酸、脂肪酸塩、及びこれらの混合物が含まれる。好ましい乳化剤には、大豆ステロール、セチルアルコール、ステアリン酸、乳化ワックス、アクリレート、乳化剤を含有するシリコーン、及びこれらの混合物が含まれる。本発明の組成物において用いられ得る他の特定の乳化剤には、数例を挙げると、限定されることなく、ソルビタンエステル;ポリグリセリル−3−ジイソステアレート;炭素数10−30のアルキルアクリレートクロスポリマー;ジメチコン PEG−7 イソステアレート;アクリルアミドコポリマー;鉱物油;ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンセスキオレアート、ソルビタンモノオレアート;グリセロールモノステアレート及びグリセロールモノオレアートといったグリセロールエステル;ポリオキシエチレンオクチルフェノール及びポリオキシエチレンノニルフェノールといったポリオキシエチレンフェノール;ポリオキシエチレンセチルエーテル及びポリオキシエチレンステアリルエーテルといったポリオキシエチレンエーテル;ポリオキシエチレングリコールエステル;ポリオキシエチレンソルビタンエステル;ジメチコンコポリオール;ポリグリセリル−3−ジイソステアレートといったポリグリセリルエステル;グリセリルラウレート;ステアレス−2、ステアレス−10、及びステアレス−20のうちの1又は2以上が含まれる。付加的な乳化剤は、INCI Ingredient Dictionary and Handbook(11th Edition,2006年)において提供される。この内容は、参照によって本出願に取り込まれる。
【0108】
これらの乳化剤は典型的には、組成物中、約0.001重量%から約10重量%の量、具体的には約0.01重量%から約5重量%の量、より好ましくは約0.1重量%から約3重量%の量で存在する。
【0109】
油相は、1又は2以上の揮発性及び/又は非揮発性シリコーン油を含み得る。揮発性シリコーンは、環状及び直鎖の揮発性ジメチルシロキサンシリコーンを含む。一実施態様において、揮発性シリコーンは、シクロジメチコンを含み得、それには、テトラマー(D4)、ペンタマー(D5)、及びヘキサマー(D6)のシクロメチコン、又はこれらの混合物が含まれる。特に、揮発性シクロメチコン−ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチル−シクロテトラシロキサン、及びデカメチル−シクロペンタシロキサンが言及され得る。適切なジメチコンは、Dow Corning 200(商標名)Fluidの名称でダウコーニングから購入可能であり、それは0.65から600,000センチストークス又はそれ以上の範囲の粘度を有する。適切な非極性の揮発性液体シリコーン油は、米国特許4,781,917号明細書に記載され、この内容のすべてにおいて参照により本明細書に取り込まれる。付加的な揮発性シリコーンマテリアルは、Todd et al.,“Volatile Silicone Fluids for Cosmetics”,Cosmetics and Toiletries,91:27−32(1976)に記載され、この内容のすべてにおいて参照により本明細書に取り込まれる。直鎖状揮発性シリコーンは概して、25℃で約5センチストークス未満の粘度を有し、一方で、環状シリコーンは、25℃で約10センチストークス未満の粘度を有する。種々の粘度の揮発性シリコーンの例は、Dow Corning 200、Dow Corning 244、Dow Corning 245、Dow Corning 344、及びDow Corning 345(ダウコーニング社);SF−1204及びSF−1202 Silicone Fluids(G.E.シリコーン社)、GE 7207及び7158(ジェネラルエレクトリック社);並びにSWS−03314(SWSシリコーンズ社)を含む。直鎖状揮発性シリコーンは、数例を挙げると、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、及びドデカメチルペンタシロキサンといった低分子量のポリジメチルシロキサン化合物を含む。
【0110】
非揮発性シリコーン油は典型的には、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、及びこれらの混合物を含む。ポリジメチルシロキサンは、好適な非揮発性シリコーン油である。非揮発性シリコーン油は典型的には、25℃で約10センチストークスから約60,000センチストークス、好ましくは約10センチストークスと約10,000センチストークスとの間、より好ましくは約10センチストークスと約500センチストークスとの間の粘度を有し;大気圧で250℃より高い沸点を有する。限定されない例示は、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、フェニルトリメチコン、及びジフェニルジメチコンを含む。揮発性及び非揮発性シリコーン油は任意に、数例を挙げると、アルキル、アリール、アミン基、ビニル、ヒドロキシ、ハロアルキル基、アルキルアリール基、及びアクリレート基といった種々の官能基で置換され得る。
【0111】
シリコーン中水滴型エマルションは、例えば、ポリジオルガノシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマーといった非イオン性界面活性剤(乳化剤)(米国特許4,122,029号明細書に記載されるものを含み、この内容は参照により本明細書に取り込まれる)で乳化され得る。これらの乳化剤は概して、ポリジオルガノシロキサン骨格(典型的にはポリジメチルシロキサン)を含み、それは−(EO)−及び/又は−(PO)−(EOはエチレンオキシであり、POは1,2−プロピレンオキシである)を含む側鎖を有し、側鎖は典型的には水素又は低級アルキル基(例えば、炭素数1〜6、典型的には炭素数1〜3)でキャップ又は末端修飾されている。他の適切なシリコーン中水滴型エマルションは、米国特許6,685,952号明細書に記載され、この内容は参照により本明細書に取り込まれる。購入可能なシリコーン中水滴型エマルションは、3225C及び5225C FORMULATION AID(商標名)(ダウコーニング社);SILICONE SF−1528(ジェネラルエレクトリック社);ABIL EM 90及びEM 97(ゴールドシュミットケミカル社(ホープウェル、バージニア));並びにSILWETシリーズの乳化剤(OSIスペシャルティーズ社(ダンブリー、コネチカット))を含む。
【0112】
シリコーン中水滴型乳化剤の例は、限定されることなく、ジメチコンPEG10/15クロスポリマー、ジメチコンコポリオール、セチルジメチコンコポリオール、PEG−15ラウリルジメチコンクロスポリマー、ラウリルメチコンクロスポリマー、シクロメチコン及びジメチコンコポリオール、ジメチコンコポリオール(及び)カプリリック/カプリックトリグリセリド、ポリグリセリル−4 イソステアレート(及び)セチルジメチコンコポリオール(及び)ヘキシルラウレート、並びにジメチコンコポリオール(及び)シクロペンタシロキサンを含む。好適なシリコーン中水滴型乳化剤の例は、限定されることなく、PEG/PPG−18/18ジメチコン(商標名5225C、ダウコーニング)、PEG/PPG−19/19ジメチコン(商標名BY25−337、ダウコーニング)、セチル PEG/PPG−10/1ジメチコン(商標名Abil EM−90、ゴールドシュミットケミカル社)、PEG−12ジメチコン(商標名SF 1288、ジェネラルエレクトリック社)、ラウリル PEG/PPG−18/18メチコン(商標名5200 FORMULATION AID、ダウコーニング社)、PEG−12ジメチコンクロスポリマー(商標名9010及び9011 silicone elastomer blend、ダウコーニング社)、PEG−10ジメチコンクロスポリマー(商標名KSG−20、信越社)、ジメチコンPEG−10/15クロスポリマー(商標名KSG−210、信越社)、並びにジメチコンPEG−7イソステアレートを含む。
【0113】
シリコーン中水滴型乳化剤は典型的には、組成物中、約0.001重量%から約10重量%の量、具体的には約0.01重量%から約5重量%の量、より好ましくは1重量%未満の量で存在する。
【0114】
エマルションの水相は、エタノール、イソプロパノール、及び同様物といった低級アルコールを含む、1又は2以上の付加的な溶媒を含み得る。揮発性溶媒はまた、ブチルアセテート若しくはエチルアセテートといった化粧品として許容可能なエステル;アセトン若しくはエチルメチルケトンといった化粧品として許容可能なケトン;又は同様物であってもよい。
【0115】
油含有相は典型的には、エマルションの全重量に基づき、約10重量%から約99重量%、好ましくは約20重量%から約85重量%、より好ましくは約30重量%から約70重量%を構成し、水相は典型的には、エマルションの全重量に基づき、約1重量%から約90重量%、好ましくは約5重量%から約70重量%、より好ましくは約20重量%から約60重量%を構成する。水相は典型的には、約25重量%から約100重量%、より好ましくは約50重量%から約95重量%を構成する。
【0116】
ある実施態様において、組成物は、約70重量%までの揮発性有機溶媒を含む揮発性溶媒を含有し得る。具体的には、該組成物は、約60重量%までの、好ましくは約50重量%までの、より好ましくは約40重量%までの、さらにより好ましくは約30重量%までの揮発性溶媒を含有し得る。他の実施態様において、組成物は、揮発性有機溶媒を含む揮発性溶媒を含有しなくてもよい。
【0117】
組成物は、リポソームを含み得る。リポソームは、他の添加剤若しくは物質を含んでいてもよく、及び/又は投与後ある部位により特異的に到達するように若しくは留まるように修飾されていてもよい。
【0118】
組成物は任意に、当業者にとって明らかである、他の化粧用活性剤及び添加剤を含んでいてもよく、それには限定されることなく、フィラー、乳化剤、抗酸化剤、界面活性剤、膜形成剤、キレート剤、ゲル化剤、増粘剤、エモリエント、保湿剤、モイスチャー剤、ビタミン、ミネラル、粘度及び/又はレオロジー変性剤、サンスクリーン、角質溶解剤、脱色剤、レチノイド、ホルモン化合物、α−ヒドロキシ酸、α−ケト酸、抗抗酸菌剤、抗真菌剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、鎮痛剤、脂質化合物、抗アレルギー剤、H1又はH2抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、抗刺激剤、抗腫瘍剤、免疫系賦活剤、免疫系抑制剤、抗にきび剤、麻酔剤、消毒剤、防虫剤、皮膚冷却化合物、皮膚保護剤、皮膚浸透亢進剤、剥脱剤(exfollient)、潤滑剤、香料、着色料、脱色剤(depigmenting agents)、脱色剤(hypopigmenting agents)、防腐剤(例えば、DMDM ヒダントイン/ヨードプロピニルブチルカルボネート)、安定化剤、薬剤、光安定化剤、中和剤(例えば、トリエタノールアミン)、並びにこれらの混合物が含まれる。前述に加えて、本発明の化粧品組成物は、皮膚障害の治療のための他の化合物を含んでいてもよい。
【0119】
着色剤は、例えば、有機及び無機顔料、並びに真珠光沢剤を含み得る。適切な無機顔料は、限定されることなく、酸化チタン、酸化ジルコニウム、及び酸化セリウム、並びに酸化亜鉛、酸化鉄、酸化クロム、及びフェリックブルーを含む。適切な有機顔料は、バリウム、ストロンチウム、カルシウム、及びアルミニウムレーキ、並びにカーボンブラックを含む。適切な真珠光沢剤は、酸化チタン、酸化鉄、又は天然の顔料で被覆されたマイカを含む。
【0120】
種々のフィラー及び付加的な成分が加えられ得る。フィラーは通常、組成物の全重量に基づき、約0重量%から約20重量%の量で、好ましくは約0.1重量%から約10重量%の量で存在する。適切なフィラーは、限定されることなく、シリカ、処理されたシリカ、タルク、ステアリン酸亜鉛、マイカ、カオリン、Orgasol(商標名)といったナイロン粉末、ポリエチレン粉末、テフロン(商標名)、スターチ、窒化ホウ素、Expancel(商標名)(ノーベルインダストリー社)といったコポリマーミクロスフェア、Polytrap(商標名)(ダウコーニング社)及びシリコーン樹脂マイクロビーズ(Tospearl(商標名)(東芝社)、並びに同様物を含む。
【0121】
本発明の一実施態様において、本発明の組成物は香料を含み得る。香料は、審美上心地の良い香りを該組成物に与えることができる物質である。典型的な香料は、植物源(すなわち、バラの花びら、クチナシの花、ジャスミンの花等)から抽出された芳香植物マテリアルを含む(エッセンシャルオイルを作り出すように単独又は組み合わせで用いられ得る)。また、アルコール性の抽出物が、配合香料に調製され得る。しかしながら、天然材料から香料を得るのは比較的コストが高いため、現在の傾向は、特に大量生産の場合、合成して調製された香料を用いることである。1又は2以上の香料が任意に、約0.001重量%から約5重量%、好ましくは約0.01重量%から約0.5重量%の範囲の量で組成物中に含まれ得る。香料はまた、パキシリン刺激剤により組成物に与えられてもよく、例えば、パキシリン刺激剤は、さわやかな香り又は望ましい香りを有する植物抽出物を含む。他の実施態様において、本発明の組成物は、香料を含んでおらず、それは、該組成物が、香料、具体的には香りを与える第一の利益のために加えられる成分を含有しないことを意味する。
【0122】
本発明の組成物はまた、1又は2以上の防虫活性剤を含有し得る。このような活性剤は、限定されることなく、N,Nジエチル−m−トルアミド(DEET)、エチルブチルアセチルアミノプロピオネート(IR3535、メルク社)、ヒドロキシエチルイソブチルピペリジンカルボキシレート(1−ピペリジンカルボン酸)(KBR3023、バイエル社)、p−メンタン−3,8−ジオール、シトロネラの油、大豆油、レモングラス油、ゲラニウム/ゲラニオール油、ニーム油、及び他の天然エッセンシャルオイル、p−メンタン−3,8−ジオール、又はこれらの混合物を含む。防虫活性剤は、組成物の全重量に基づき、約0.05重量%から約90重量%、好ましくは約0.1重量%から約50重量%、最も好ましくは約0.1重量%から約30重量%の量で存在し得る。他の実施態様において、本発明の組成物は、防虫活性剤を含んでおらず、これは、該組成物が防虫剤、例えば防虫の第一の利益のために典型的に加えられる成分を含有しないことを意味する。
【0123】
本発明の一実施態様において、組成物は、限定されることなく、植物、角質溶解剤、落屑剤(desquamation agent)、ケラチノサイト増殖亢進剤、コラゲナーゼ阻害剤、エラスターゼ阻害剤、脱色剤、抗炎症剤、ステロイド、抗にきび剤、抗酸化剤、サリチル酸又はサチリル酸塩、チオジプロピオン酸又はそのエステル、終末糖化産物(AGE)阻害剤、及びα−ヒドロキシ酸といった付加的な皮膚活性剤を含み得る。
【0124】
特定の実施態様において、組成物は、例えば、植物抽出物、エッセンシャルオイル、又は植物自体といった少なくとも1つの付加的な植物を含み得る。適切な植物は、限定されることなく、アビエスピンドロー(Abies pindrow)、アセンヤクノキ(Acacia catechu)、アノゲイサスラティフォリア(Anogeissus latifolia)、アスムンダジャポニカ(Asmunda japonica)、アザディラチタ インディカ(Azadirachta indica)、ハナモツヤクノキ(Butea frondosa)、ハナモツヤクノキ(Butea monosperma)、ヒマラヤシダー(Cedrus deodara)、アンマロク(Emblica officinalis)、ベンガルボダイジュ(Ficus benghalensis)、カンゾウ(Glycyrrhiza glabra)、ナナミノキ(Ilex purpurea Hassk)、イヌララセモサ(Innula racemosa)、リグスティクムキアングシオング(Ligusticum chiangxiong)、リグスティクムルキドゥム(Ligusticum lucidum)、クスノハガシワ(Mallotus philippinensis)、ミサキノハナ(Mimusops elengi)、ヤエヤマアオキ(Morinda citrifolia)、ワサビノキ(Moringa oleifera)、ナリンギクレヌラタ(Naringi crenulata)、キョウチクトウ(Nerium indicum)、オランダビユ(Psoralea corylifolia)、Stenoloma chusana、ビビタキ(Terminalia bellerica)、トマト糖脂質(tomato glycolipid)からの抽出物、及びそれらの混合物を含む。
【0125】
組成物は、抗老化効果を有する付加的な活性成分を含有し得る。このような組み合わせにより相乗効果が得られることが期待されるからである。典型的な抗老化成分は、限定されることなく、数例を挙げると、植物(例えば、ツルハナモツヤクノキ(Butea Frondosa)抽出物);チオジプロピオン酸(TDPA)及びそのエステル;レチノイド(例えば、オール−トランスレチノイン酸、9−シスレチノイン酸、フィタン酸、及びその他);ヒドロキシ酸(α−ヒドロキシ酸及びβ−ヒドロキシ酸)、サリチル酸及びサリチル酸塩;角質除去剤(例えば、グリコール酸、3,6,9−トリオキサウンデカン二酸等)、エストロゲン合成酵素促進化合物(例えば、カフェイン及び誘導体);5α−リダクターゼ活性阻害作用を有する化合物(例えば、リノレン酸、リノール酸、フィナステライド、及びこれらの混合物);バリア機能促進剤(例えば、セラミド、グリセリド、コレステロール、及びこれらのエステル、α−ヒドロキシ脂肪酸、ω−ヒドロキシ脂肪酸、及びこれらのエステル等);コラゲナーゼ阻害剤;並びにエラスターゼ阻害剤を含む。
【0126】
典型的なレチノイドは、限定されることなく、レチノイン酸(例えば、オール−トランス又は13−シス)及びそれらの誘導体、パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール及びレチノールプロピオナートといったレチノール(ビタミンA)及びそれらのエステル、並びにそれらの塩を含む。
【0127】
他の実施態様において、本発明の局所用組成物はまた、皮膚浸透促進剤、エモリエント、皮膚プランパー、オプティカルディフューザー、サンスクリーン、角質除去剤、及び抗酸化剤のうちの1又は2以上を含んでいてもよい。
【0128】
エモリエントは、皮膚の滑らかさを向上させ、小じわ及び粗いしわの外観を低減させる機能的効果を提供する。例は、イソプロピルミリステート、ペトロラタム、イソプロピルラノレート、シリコーン(例えば、メチコン、ジメチコン)、油、鉱物油、脂肪酸エステル、セチルエチルヘキサノエート、炭素数12〜15のアルキルベンゾエート、イソプロピルイソステアレート、ジイソプロピル二量体ジリノエート、又はこれらの混合物を含む。エモリエントは好ましくは、組成物の全重量の約0.1重量%から約50重量%存在し得る。
【0129】
皮膚プランパーは、皮膚のコラーゲン促進剤として機能する。適切かつ好ましい皮膚プランパーの例は、パルミトイルオリゴペプチドである。他の皮膚プランパーは、コラーゲン及び/又は他のグリコサミノグリカン(CAG)の促進剤である。皮膚プランパーが存在する場合、組成物の全重量の約0.1重量%から約20重量%を構成し得る。
【0130】
オプティカルディフューザーは、皮膚表面の視覚を変化させる粒子であり、それにより、例えば線及びしわを視覚的にぼやかし和らげることができる。本発明において用いられ得るオプティカルディフューザーの例は、限定されることなく、窒化ホウ素、マイカ、ナイロン、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、ポリウレタン粉末、絹雲母、シリカ、シリコーン粉末、タルク、テフロン、二酸化チタン、酸化亜鉛、又はこれらの混合物を含む。オプティカルディフューザーが存在する場合、組成物の全重量の約0.01重量%から約20重量%で存在し得る。
【0131】
ダメージを与える紫外線光から皮膚を保護するためのサンスクリーンがまた、含まれ得る。好ましいサンスクリーンは、オクトクリレン、アボベンゾン(Parsol 1789)、オクチルメトキシシナメート、オクチルサリチレート、オキシベンゾン、ホモサレート、ベンゾフェノン、しょうのうの誘導体、酸化亜鉛、及び二酸化チタンといった、UVB及びUBAの広範囲における保護が可能なものである。サンスクリーンが存在する場合、組成物の約0.01重量%から約70重量%を構成し得る。
【0132】
適切な角質除去剤は、例えば、α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、オキソ酸、オキソ二酸、並びにエステル、無水物、及び塩といったそれらの誘導体を含む。適切なヒドロキシ酸は、例えば、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、2−ヒドロキシアルカン酸、マンデル酸、サリチル酸、及びこれらの誘導体を含む。好適な角質除去剤は、グリコール酸である。角質除去剤が存在する場合、組成物の約0.1重量%から約80重量%を構成し得る。
【0133】
抗酸化剤はとりわけ、環境の外的因子から皮膚を保護するために、皮膚からフリーラジカルを捕捉するように機能する。本発明において用いられ得る抗酸化剤の例は、アスコルビン酸及びその誘導体/エステル;α−ヒドロキシ酸;β−カロテン;カテキン、クルクミン;フェルラ酸誘導体(例えば、フェルラ酸エチル、フェルラ酸ナトリウム);没食子酸誘導体(例えば、没食子酸プロピル);リコペン;還元酸;ロスマリン酸;タンニン酸;テトラヒドロクルクミン;トコフェロール及びその誘導体(例えば、トコフェリルアセテート);尿酸;又はこれらの混合物といったフェノール性ヒドロキシ基を有する化合物を含む。他の適切な抗酸化剤は、グルタチオン、リポ酸、チオグリコール酸、及び他のスルフヒドリル化合物といった、還元型又は非還元型での、1又は2以上のチオール基(−SH)を有するものである。抗酸化剤は、亜硫酸水素塩、メタ亜硫酸水素塩、亜硫酸塩、又は硫黄を含む他の無機塩及び酸といった、無機物でもよい。本発明の組成物は、抗酸化剤を、組成物の全重量の好ましくは約0.001重量%から約10重量%、より好ましくは約0.01重量%から約5重量%含有し得る。
【0134】
他の通常の添加剤は、トコフェロール及びアスコルビン酸といったビタミン;アスコルビルモノパルミテートといったビタミン誘導体;ヒドロキシアルキルセルロースといった増粘剤;ゲル化剤;ベントナイト、スメクタイト、ケイ酸マグネシウムアルミニウム及びケイ酸リチウムマグネシウムといった構造化剤(structuring agent);EDTAといった金属キレート剤;酸化亜鉛及び二酸化チタンといった顔料;着色料;エモリエント;並びに保湿剤を含む。
【0135】
組成物は、例えば有機過酸化物又は無機過酸化物を含む、強力な酸化作用を有する成分を本質的に含まないのが好ましい。“本質的に含まない”とは、(該成分が)存在する量では、パキシリン刺激剤の効果的な活性に測定可能な影響を与えるほどではないことを意味する。いくつかの実施態様において、該成分は、パキシリン刺激剤の量に関連して、モル基準で1重量%未満含まれる。
【0136】
一実施態様において、少なくとも1つのパキシリン刺激剤を含有する本発明の組成物は、約1と約8との間のpHを有し得る。ある実施態様において、該組成物のpHは、酸性であり、すなわち、7.0未満、好ましくは約2と約7との間、より好ましくは約3.5と約5.5との間である。
【0137】
本明細書で用いられるすべての用語は、特に他に言及がない限り、それらの通常の意味を有するものと意図される。
【0138】
本明細書で用いられるように、“重量%”又は“%wt”は、特に示唆がない限り、組成物の全重量(すなわち、キャリア、溶媒、エモリエント、フィラー、又は皮膚への適用前に加えられる他の成分を含む)に対する成分の重量パーセントを意味する。
【実施例】
【0139】
(実施例1:in vitroにおけるパキシリンmRNAの刺激)
正常ヒト皮膚繊維芽細胞(Cascade Biologics)を、ウェルごとに10%血清中200μl DMEMを含有する、96ウェルの組織培養処理プレートで培養し、37℃及び10%COで24時間インキュベートした。いくつかのケースにおいて、正常ヒト表皮角化細胞(Cascade Biologics)を、ウェルごとに200μl EpiLife培地(Cascade Biologics)中で培養し、37℃及び5%COで一晩インキュベートした。
【0140】
パキシリン刺激剤の候補薬(テストマテリアル)のストック溶液を、下述の表1で示される重量%を与えるように、適切な溶媒(例えば、DMSO、水、エタノール、50:50のエタノール:水の混合液)中で作成した。細胞を、10%COの加湿された37℃インキュベーター中で24時間、成長培地中に希釈されたテストマテリアル又は各々の媒材コントロールで処理した。インキュベーション後、各プレートからの成長培地を除去し、100μlの溶解バッファーをウェルに加え、30分間、5%COの37℃インキュベーターに置いた。インキュベーションの最後に、細胞を冷凍プレートに収集し、分析まで−80℃のフリーザーに置いた。
【0141】
処理後の細胞溶解物におけるパキシリンに対するmRNAの変化を、分岐DNA技術を用いたQuantiGene(登録商標)マルチプレックスアッセイ(Panomics Inc.CA)を用いて分析した。この技術は、ラベルされたDNAプローブを用いて、ターゲットRNAよりもシグナルを増幅する、ターゲット特異的RNA定量のハイブリダイゼーションベースの方法である。パキシリン遺伝子(ID:NM_005953)に対するプローブをデザインし、合成した。一連の他のプローブと同様に、パキシリンプローブ、リフェレンスプローブであるPPIB及びGAPDHを、このマルチプレックスアッセイに用いた。
【0142】
用いるプローブは、キャプチャーエクステンダー(capture extenders)(CE)、ラベルエクステンダー(label extenders)(LE)、及びブロッカー(blockers)(BL)を含む。前述の通り、このアレンジメントは、二本鎖であり、それゆえハイブリダイゼーション効率を改善させるターゲット配列を提供する。パキシリンmRNAを同定するために用いられるCE、LE及びBL配列は、配列番号1、2及び3に各々対応する。
【0143】
適切に希釈された細胞溶解物を、Vortemp振とうインキュベーターで、54℃±1℃及び600rpmで18−22時間、ハイブリダイゼーションプレート中のパキシリンプローブ及びリフェレンスプローブでハイブリダイズした。パキシリン及びリファレンスmRNAが捕捉されると、結合していないマテリアルがフィルタープレートを用いてろ過され、洗浄バッファーで3回洗浄された。シグナル増幅は、2工程を用いて行われた。最初に、2.0 Pre−amplifier(Panomics Inc.)を加え、Vortemp振とうインキュベーターにおいて、54℃±1℃及び600rpmで1時間インキュベートした。結合していないPre−amplifierは、フィルタープレートを用いてろ過され、2回洗浄された。次に、サンプルを2.0 Amplifier(Panomics Inc.)にさらし、インキュベートし、ろ過し、Pre−amplifierで洗浄した。次に、サンプルをビオチニル化されてラベルされたプローブでハイブリダイズし、4℃±1℃及び600rpmで1時間インキュベートした。サンプルをその後、前述のようにろ過し、洗浄した。最後に、ストレプトアビジン−コンジュゲート−フィコエリトリン(SAPE)ワーキング試薬を加え、混合液をアルミニウムホイルでカバーして室温で30分間振とうした。SAPE洗浄バッファーを2−5分間振とうしながら各ウェルに加え、その後、ルミネックス機器を用いて即座に分析した。
【0144】
パキシリンmRNAの量の値を、リフェレンス遺伝子であるPPIB及びGAPDHに対するそれに従って決定した。値は、GAPDHに標準化し、処理後のパキシリンmRNAの変化を評価した。パキシリンに対するmRNAの増加パーセントを、パキシリン刺激剤候補薬で処理した後の値を、媒材コントロールで処理した後の値と比較することで、各々のケースにおいて算出した。
【0145】
典型的なパキシリン刺激剤に対する結果を、下述の表1に示す。
【表1】

【0146】
示される重量%の各々のパキシリン刺激剤で処理された繊維芽細胞では、表1に示されるように、mRNAレベルの著しい%増加が見られた。
【0147】
(実施例2:ヒト皮膚生検におけるパキシリンタンパク質の刺激)
パキシリン刺激剤を含む組成物を、21名の対象のボランティアにおいて各々試験した。各パキシリン刺激剤に対して、21名のボランティアの各々の、ランダムに選択された前腕の裏側にパッチで貼り付けて、組成物を局所適用した。媒材コントロールも同様に、ボランティアの前腕の裏側に適用した。3週間後、様々なボランティアの処理された皮膚でヒト皮膚生検を行い、免疫組織化学調製にさらした。パキシリンタンパク質レベルを特定の抗体により示した後、顕微鏡で観察した。タンパク質レベルの増加を、各々の処理された対象に対して媒材コントロールと比較することで、評価した。結果を、改善を示した対象のパーセンテージとして表した。
【0148】
典型的なパキシリン刺激剤に対する結果を、下述の表2に示す。
【表2】

結果は、ロンコカルプスカパサ(Lonchocarpus capassa)抽出物を含む局所組成物で処理された一人の対象について、読み取り不能であった。
【0149】
表2で示されるように、シス−6−ノネノールは、試験された対象の71.4%においてパキシリンレベルの増加を示したが、一方で、ロンコカルプスカパサ(Lonchocarpus capassa)抽出物は、30.0%においてポジティブな結果を示した。
【0150】
さらに、パキシリンタンパク質の増加が、ヒト皮膚生検において明白に観察された。代表的な写真を、前述の生検から撮った。図1A及び図1Bはその結果を示しており、暗く染色された部分が、パキシリンタンパク質を表す。図1に示すように、シス−6−ノネノールによる治療(B)は、コントロールによる治療(A)に比して、ヒト皮膚におけるパキシリンタンパク質を増加させた。
【0151】
(実施例3:典型的な組成物)
皮膚への局所適用のための、パキシリン刺激剤であるシス−6−ノネノールを含む化粧品組成物を、下述の表3に示す。
【表3】

【0152】
本明細書に記載された特許出願及び公報を含む全ての参照は、各々個々の公報、特許、又は特許出願が全ての目的のためにその全てにおいて参照により取り込まれるよう具体的及び個別に示唆される場合と同様に、その全体において及び全ての目的のために参照により本明細書に取り込まれる。この発明の多くの改良及び変形が、本技術分野における当業者にとって明らかであるように、本発明の精神及び範囲を逸脱することなくなされ得る。本明細書に記載された特定の実施態様は、例示のために提供されたにすぎず、本発明は、特許請求の範囲に記載されたものの同等物の全範囲と同様に、特許請求の範囲に記載された用語のみに制限されない。
【図1(A)】

【図1(B)】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式IVのピリドン縮合アザビシクロ化合物;化学式Vのピリドン縮合アザビシクロ化合物;マツリカ(Jasminum sambac)抽出物;チョウマメ(Clitoria ternatea Linn.)抽出物;オゾタムヌスオブコルダトゥス(Ozothamnus obcordatus)抽出物;エリスリナフラベリフォルミス(Erythrina flabelliformis)抽出物;ロンコカルプスカパサ(Lonchocarpus capassa)抽出物;イソフジ(Sophora tomentosa)抽出物;テトランドリン(Tetrandrine);カルバクロール(Carvacrol);レチニルプニケート(Retinyl punicate);マイコフュージョン・カワラタケ・ブラックコーンバイオマス(MycoFusions Coriolus Black Corn Biomass);マイコフュージョン・マイタケ・もち性ハダカムギバイオマス(MycoFusions Maitake Waxy Hulless Barley Biomass);テリハザンショウ(Zanthoxylum nitidium)抽出物;オフィオポゴン Thunb.P.E.(Ophiopogon Thunb. P.E.)抽出物;ラディックスプラティコドニス(Radix platycodonis)抽出物;及びコッカラスグラウケスケンス(Cocculus glaucescens)抽出物からなる群より選択される少なくとも1つの物質を含む、皮膚に抗老化効果を与えるのに有効な量のパキシリン刺激剤と、
化粧品として許容可能な媒材と、
を含む皮膚に抗老化効果を与えるための局所組成物。
【請求項2】
化学式IVのピリドン縮合アザビシクロ化合物;化学式Vのピリドン縮合アザビシクロ化合物;マツリカ(Jasminum sambac)抽出物;コッキニアグランディス(Coccinia grandis)抽出物;タカサブロウ(Eliptica prostrata Linn.)抽出物;チョウマメ(Clitoria ternatea Linn.)抽出物;オゾタムヌスオブコルダトゥス(Ozothamnus obcordatus)抽出物;エリスリナフラベリフォルミス(Erythrina flabelliformis)抽出物;ロンコカルプスカパサ(Lonchocarpus capassa)抽出物;イソフジ(Sophora tomentosa)抽出物;タチオランダゲンゲ(Trifolium hybridum)抽出物;エレモフィラミッチェリ(Eremophila mitchellii)抽出物;クンゼアアンビグア(Kunzea ambigua)抽出物;タンシノン IIA(Tanshinone IIA);テトランドリン(Tetrandrine);カルバクロール(Carvacrol);シス−6−ノネノール;レチニルプニケート(Retinyl punicate);レチニルオレエート(Retinyl oleate);エクオール(Equol);マイコフュージョン・カワラタケ・ブラックコーンバイオマス(MycoFusions Coriolus Black Corn Biomass);マイコフュージョン・マイタケ・もち性ハダカムギバイオマス(MycoFusions Maitake Waxy Hulless Barley Biomass);テリハザンショウ(Zanthoxylum nitidium)抽出物;オフィオポゴン Thunb.P.E.(Ophiopogon Thunb.P.E.)抽出物;ラディックスプラティコドニス(Radix platycodonis)抽出物;セイタカミロバラン(Terminalia belerica)抽出物;コッカラスグラウケスケンス(Cocculus glaucescens)抽出物;ステファニア固形物(Stephania solid)抽出物;及びローズマリー抽出物からなる群より選択される少なくとも2つの物質を含む、皮膚に抗老化効果を与えるのに有効な量のパキシリン刺激剤と、
化粧品として許容可能な媒材と、
を含む皮膚に抗老化効果を与えるための局所組成物。
【請求項3】
前記パキシリン刺激剤の少なくとも1つは、化学式IVのピリドン縮合アザビシクロ化合物;化学式Vのピリドン縮合アザビシクロ化合物;マツリカ(Jasminum sambac)抽出物;タカサブロウ(Eliptica prostrata Linn.)抽出物;チョウマメ(Clitoria ternatea Linn.)抽出物;オゾタムヌスオブコルダトゥス(Ozothamnus obcordatus)抽出物;エリスリナフラベリフォルミス(Erythrina flabelliformis)抽出物;ロンコカルプスカパサ(Lonchocarpus capassa)抽出物;イソフジ(Sophora tomentosa)抽出物;シス−6−ノネノール;テトランドリン(Tetrandrine);カルバクロール(Carvacrol);レチニルプニケート(Retinyl punicate);マイコフュージョン・カワラタケ・ブラックコーンバイオマス(MycoFusions Coriolus Black Corn Biomass);マイコフュージョン・マイタケ・もち性ハダカムギバイオマス(MycoFusions Maitake Waxy Hulless Barley Biomass);テリハザンショウ(Zanthoxylum nitidium)抽出物;オフィオポゴン Thunb.P.E.(Ophiopogon Thunb.P.E.)抽出物;ラディックスプラティコドニス(Radix platycodonis)抽出物;又はコッカラスグラウケスケンス(Cocculus glaucescens)抽出物を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の局所組成物。
【請求項4】
他のパキシリン刺激剤は、タチオランダゲンゲ(Trifolium hybridum)抽出物;クンゼアアンビグア(Kunzea ambigua)抽出物;タンシノン IIA;エクオール(Equol);セイタカミロバラン(Terminalia belerica)抽出物;又はローズマリー抽出物を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の局所組成物。
【請求項5】
前記パキシリン刺激剤の少なくとも1つは、シス−6−ノネノールである、
ことを特徴とする請求項2に記載の局所組成物。
【請求項6】
他のパキシリン刺激剤は、マツリカ(Jasminum sambac)抽出物;タカサブロウ(Eliptica prostrata Linn.)抽出物;チョウマメ(Clitoria ternatea Linn.)抽出物;オゾタムヌスオブコルダトゥス(Ozothamnus obcordatus)抽出物;エリスリナフラベリフォルミス(Erythrina flabelliformis)抽出物;ロンコカルプスカパサ(Lonchocarpus capassa)抽出物;イソフジ(Sophora tomentosa)抽出物;テトランドリン(Tetrandrine);カルバクロール(Carvacrol);マイコフュージョン・カワラタケ・ブラックコーンバイオマス(MycoFusions Coriolus Black Corn Biomass);マイコフュージョン・マイタケ・もち性ハダカムギバイオマス(MycoFusions Maitake Waxy Hulless Barley Biomass);テリハザンショウ(Zanthoxylum nitidium)抽出物;オフィオポゴン Thunb.P.E.(Ophiopogon Thunb.P.E.)抽出物;ラディックスプラティコドニス(Radix platycodonis)抽出物;又はコッカラスグラウケスケンス(Cocculus glaucescens)抽出物を含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の局所組成物。
【請求項7】
前記組成物は、タチオランダゲンゲ(Trifolium hybridum)抽出物を含まず、及び/又はレチニルオレエート(Retinyl oleate)を含まず、及び/又はエクオール(Equol)を含まない、
ことを特徴とする請求項1に記載の局所組成物。
【請求項8】
前記組成物は、タチオランダゲンゲ(Trifolium hybridum)抽出物を含まず、及び/又はレチニルオレエート(Retinyl oleate)を含まず、及び/又はエクオール(Equol)を含まない、
ことを特徴とする請求項2に記載の局所組成物。
【請求項9】
前記組成物は、タチオランダゲンゲ(Trifolium hybridum)抽出物を含まず、及び/又はレチニルオレエート(Retinyl oleate)を含まず、及び/又はエクオール(Equol)を含まない、
ことを特徴とする請求項5に記載の局所組成物。
【請求項10】
前記パキシリン刺激剤は、パキシリンの発現を増加させるのに十分な量で存在する、
ことを特徴とする請求項5に記載の局所組成物。
【請求項11】
前記組成物は、コラーゲン促進剤をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の局所組成物。
【請求項12】
前記組成物は、コラーゲン促進剤をさらに含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の局所組成物。
【請求項13】
前記組成物は、コラーゲン促進剤をさらに含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の局所組成物。
【請求項14】
前記コラーゲン促進剤は、TDPAである、
ことを特徴とする請求項13に記載の局所組成物。
【請求項15】
植物、角質溶解薬(keratolytic agents)、角質溶解薬(desquamating agents)、ケラチノサイト増殖促進剤、エラスターゼ阻害薬、脱色剤(depigmenting agents)、抗炎症剤、ステロイド、抗ニキビ薬、抗酸化剤、サリチル酸又はサリチル酸塩、チオジプロピオン酸又はそのエステル、終末糖化産物(AGE)阻害薬、及びアルファ−ヒドロキシ酸からなる群より選択される、少なくとも1つの他の皮膚活性剤をさらに含む、請求項1に記載の局所組成物。
【請求項16】
植物、角質溶解薬(keratolytic agents)、角質溶解薬(desquamating agents)、ケラチノサイト増殖促進剤、エラスターゼ阻害薬、脱色剤(depigmenting agents)、抗炎症剤、ステロイド、抗ニキビ薬、抗酸化剤、サリチル酸又はサリチル酸塩、チオジプロピオン酸又はそのエステル、終末糖化産物(AGE)阻害薬、及びアルファ−ヒドロキシ酸からなる群より選択される、少なくとも1つの他の皮膚活性剤をさらに含む、請求項2に記載の局所組成物。
【請求項17】
植物、角質溶解薬(keratolytic agents)、角質溶解薬(desquamating agents)、ケラチノサイト増殖促進剤、エラスターゼ阻害薬、脱色剤(depigmenting agents)、抗炎症剤、ステロイド、抗ニキビ薬、抗酸化剤、サリチル酸又はサリチル酸塩、チオジプロピオン酸又はそのエステル、終末糖化産物(AGE)阻害薬、及びアルファ−ヒドロキシ酸からなる群より選択される、少なくとも1つの他の皮膚活性剤をさらに含む、請求項5に記載の局所組成物。
【請求項18】
皮膚に抗老化効果を与えるのに有効な総量で組成物中に存在する、シス−6−ノネノール及びシス−6−ノネノール以外のパキシリン刺激剤と、
化粧品として許容可能な媒材と、
を含む皮膚に抗老化効果を与えるための局所組成物。
【請求項19】
請求項1に記載の局所組成物を必要に応じて個人の皮膚に局所適用することを含む、ヒトの皮膚に抗老化効果を与えるための方法。
【請求項20】
請求項2に記載の局所組成物を必要に応じて個人の皮膚に局所適用することを含む、ヒトの皮膚に抗老化効果を与えるための方法。
【請求項21】
請求項5に記載の局所組成物を必要に応じて個人の皮膚に局所適用することを含む、ヒトの皮膚に抗老化効果を与えるための方法。
【請求項22】
前記抗老化効果は、
(a)小じわ又はしわを治療、低減、及び/又は抑制する、
(b)皮膚の毛穴のサイズを小さくする、
(c)皮膚の厚み、ふくよかさ、及び/又はつっぱり感を改善する、
(d)皮膚のしなやかさ、及び/又は柔軟性を改善する、
(e)皮膚のトーン、輝き、及び/又は透明度を改善する、
(f)プロコラーゲン及び/又はコラーゲンの生成を改善する、
(g)皮膚のきめを改善し、及び/又は再組織化を促進する、
(h)皮膚バリアを修復し、及び/又はその機能を改善する、
(i)皮膚のたるみ又は萎縮を治療し、及び/又は抑制する、
(j)皮膚の輪郭を改善する、
(k)皮膚の艶及び/又は明るさを修復する、
(l)皮膚の必須栄養素及び/又は構成要素を補充する、
(m)更年期により劣化した皮膚の外観を改善する、
(n)皮膚の潤い及び/又は水分を改善する、並びに
(o)皮膚の弾性及び/又は弾力性を向上させる、
からなる群より選択される、
ことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記抗老化効果は、小じわ又はしわの治療、低減、及び/又は抑制である、
ことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記抗老化効果は、皮膚のたるみ又は萎縮の治療、及び/又は抑制である、
ことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記抗老化効果は、皮膚の厚み、ふくよかさ、及び/又はつっぱり感の改善である、
ことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記パキシリン刺激剤は、タチオランダゲンゲ(Trifolium hybridum)抽出物、レチニルオレエート(Retinyl oleate)、及びエクオール(Equol)を含まない、
ことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項27】
候補マテリアルがパキシリン刺激剤であるか否かを評価するためにアッセイすることと、
前記候補マテリアルを化粧品として許容可能な媒材に含ませることと、
を含む、ヒトの皮膚に抗老化効果を与えるための化粧品組成物を製造する方法。
【請求項28】
前記候補マテリアルは、植物抽出物である、
ことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記候補マテリアルは、シス−6−ノネノールである、
ことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項30】
候補マテリアルがパキシリン刺激剤であるか否かを評価するためにアッセイすることは、ヒトの皮膚細胞に前記候補マテリアルを接触させることと、パキシリンmRNAのアップレギュレーションをアッセイすることと、を含む、
ことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項31】
候補マテリアルがパキシリン刺激剤であるか否かを評価するためにアッセイすることは、ヒトの皮膚細胞に前記候補マテリアルを接触させることと、パキシリンmRNAのアップレギュレーションをアッセイすることと、を含む、
ことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項32】
しわ及び/又は小じわを治療する方法であって、
しわ及び/又は小じわの重度を低減させるのに十分な時間、化粧品として許容可能な媒材中の有効量のパキシリン刺激剤を必要に応じて個人の皮膚における前記しわ及び/又は小じわに局所適用することを含み、
前記パキシリン刺激剤は、ヒトの皮膚細胞に候補マテリアルを接触させることと、パキシリンmRNAのアップレギュレーションをアッセイすることと、により同定される、
ことを特徴とする方法。
【請求項33】
前記候補マテリアルは、植物抽出物である、
ことを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記候補マテリアルは、シス−6−ノネノールである、
ことを特徴とする請求項32に記載の方法。

【公表番号】特表2013−515054(P2013−515054A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546021(P2012−546021)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/060012
【国際公開番号】WO2011/087654
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(399130393)エイボン プロダクツ インコーポレーテッド (75)
【Fターム(参考)】