説明

パケット検出装置及びパケット検出方法、パケット検出装置及びパケット検出方法、距離測定装置及び距離測定方法、通信装置、コンピューター・プログラム

【課題】受信先端末からの返信パケットの到着時刻をディジタル処理におけるサンプリング・クロックよりも高い精度で判別する。
【解決手段】送信側と同じ特性のディジタル・フィルターのタップ係数を、クロック幅よりも細かい複数のタイミングでシフトさせ、各フィルターに通して複数種類の既知パターンをあらかじめ作成し保存しておく。そして、受信信号との複数種類の既知パターンの各々と相互相関を演算し、最大の相関値となる既知パターンに対応するタイミングをパケットの到来時刻と推定する。サンプリング・クロック幅よりも高い精度でのパケット位置の到着を推定可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線を用いたパケット検出装置及びパケット検出方法、距離測定装置及び距離測定方法、通信装置、コンピューター・プログラムに係り、特に、送信元(測定側)端末と受信先(測定対象側)端末の間でのパケット送信及びその応答手続を利用した通信方式のパケット検出装置及びパケット検出方法、距離測定装置及び距離測定方法、通信装置、コンピューター・プログラムに関する。
【0002】
さらに詳しくは、本発明は、送信元端末が受信先端末からの返信パケットをプリアンブル部分の相関処理により発見して到着時刻を判別するパケット検出装置及びパケット検出方法、距離測定装置及び距離測定方法、通信装置、コンピューター・プログラムに係り、特に、送信元端末において受信先端末からの返信パケットの到着時刻をディジタル処理におけるサンプリング・クロックよりも高い精度(分解能)で判別するパケット検出装置及びパケット検出方法、距離測定装置及び距離測定方法、通信装置、コンピューター・プログラムに関する。
【背景技術】
【0003】
旧来の有線通信方式における配線から解放するシステムとして、無線ネットワークが注目されている。例えば、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11a/b、gといった無線LAN(Local Area Network)規格が代表的である。無線LANによれば柔軟なインターネット接続が可能であり、既存の有線LANを置き換えるだけでなく、ホテルや空港ラウンジ、駅、カフェといった公共の場所でもインターネット接続手段を提供することができる。
【0004】
無線通信の多くは、受信装置では直接波と複数の反射波・遅延波の重ね合わせが到来するというマルチパス環境下でデータ伝送が行なわれるので、マルチパスにより遅延ひずみが生じ、通信に誤りが引き起こされるおそれがある。このため、IEEE802.11a/gなどの無線LANの標準規格では、マルチキャリア方式の1つであるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)変調方式が採用されている。OFDM伝送システムでは、送信データを周波数が直交する複数のキャリアに分配して伝送するので、各キャリアの帯域が狭帯域となり、周波数利用効率が非常に高く、周波数選択性フェージング妨害に強いという特徴がある。
【0005】
無線LANは既に広範に普及しているが、最近では、パーソナル・コンピュータ(PC)などの情報機器だけでなく、ディジタルカメラや音楽プレーヤ、携帯電話などの小型軽量のCE(Consumer Electronics)機器にも無線LAN機能を搭載することが一般的となりつつある。無線通信の多くは無指向アンテナにより柔軟な接続を可能にする。これに対し、携帯機器に無線LANが搭載された場合にはアンテナが小型であることが求められ、また、指向性アンテナを用いて、比較的近い距離において機器をかざした特定の通信相手と接続するといったアプリケーションが想定される。このようなアプリケーションでは、電波を送受信する通信相手までの距離を検出若しくは推定する技術が必要になってくる。
【0006】
例えば、測定対象物に向かって電波を放射するとともにその反射波を受信し、電波を送信してから反射波を受信するまでの経過時間に電波の伝搬速度(毎秒3.0×108メートル)を乗算することで、距離を測定することができる。しかしながら、このような方法には、指向性の強い電波を測定したいターゲットに方に向けて送信する必要があることや、送信してからその反射波を受信するまでの時間が短いことからアンテナを送信用と受信用の2つ持つ必要があることなどの欠点がある。
【0007】
そこで、通常は、通信方式の距離測定が行なわれる。例えば、送信元端末Aが受信先端末Bまでの距離を測定する場合に、まず、送信元端末Aから無指向性のアンテナで距離測定用のパケットを受信先端末B宛てに送信する。パケットを受信した受信先端末Bは、通常のパケット受信処理を行ない、パケットの中のデータをデコードして当該パケットが自分宛てのパケットと理解すると、パケットを受信してから一定の時間以内にパケットA宛てにパケットを送信する。送信元端末Aは、受信先端末Bから送り返されたパケットを受信することにより、送信元端末Aから受信先端末Bにパケットが到達する時間と受信先端末B内でのパケットを受信してからパケットを送り返すまでの一定の処理遅延時間と受信先端末Bから送信元端末Aにパケットが到達する時間の合計を取得することができる。ここで、受信先端末B内での一定の処理時間があらかじめ分かっていれば、空間上でパケットが往来することによる所要時間が測定できる。そして、この所要時間を使うことにより、送信元端末Aと受信先端末Bの間の距離を計算することができる。この方法によれば、ある特定の端末との間の距離を測定することができる。
【0008】
例えば、送信元と受信先の間でのパケット送信及びその応答手続を利用して測距・測位するシステムについて提案がなされている(例えば、特許文献1を参照のこと)。無線機1が通信相手である無線機2にパケットを送信したとき、無線機2側はパケット検出時から単位時間の整数倍の時間経過後に必ずパケットを送信する。無線機1は自身がパケットを送信してから無線機2のパケットを検出するまでの時間をカウンターで計測し、無線機2のパケット検出から送信までの時間と無線機1自身の処理時間を計測時間から差し引いた時間を、通信相手である無線機2との伝搬距離に換算して測距を実現することができる。
【0009】
上述したような送信元と受信先の間でのパケット送信及びその応答手続を利用した距離測定方法において、送信元すなわち測定側の端末が、パケットを送信してから、受信先すなわち測定対象側の端末からの返信パケットを受信(すなわちパケット検出)するまでの時間は、通常、送信元端末内のクロックを基準に測定される。具体的には、パケットを送信した時点でカウンターを起動し、受信先端末からの返信パケットを受信した時点でのカウンター値を観測することによってパケット往復の所要時間を知ることができる。ここで、内部のカウンターをインクリメントするための基準クロックが80MHzの周期である場合には、1クロックが12.5ナノ秒であるから、12.5ナノ秒の精度(分解能)で到着時間を測定することになる。
【0010】
また、通信端末におけるパケット検出は、通常、プリアンブル内に繰り返し含まれる既知トレーニング・シーケンスの相関をとり、相関値が所定の閾値を超えたことによって判別される(例えば、特許文献2を参照のこと)。このパケット検出処理はディジタル領域において行なわれる。
【0011】
例えば、80MHzのクロックでサンプリングされた受信データに対して相関処理を行なう場合には、相関出力も80MHzの精度(分解能)で返信パケットの到着時刻を判別することが可能である。言い換えれば、パケット到着時刻の測定結果は80MHzというクロック幅に丸め込まれる。さらに複数回のパケットを受信することにより、80MHzのサンプリングよりも細かい精度で求めることもある程度は可能であるが、その平均化の効果も限られるという問題がある。電波の伝搬速度が毎秒3.0×108メートルであることを考慮すると、パケット到着時刻の精度がサンプリング・クロック幅に丸め込まれる影響は無視し難い。
【0012】
【特許文献1】特許第3649404号公報
【特許文献2】特開2004−221940号公報、段落0202、図29
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、送信元(測定側)端末と受信先(測定対象側)端末の間でのパケット送信及びその応答手続を利用して好適に端末間の距離を測定することができる、優れたパケット検出装置及びパケット検出方法、距離測定装置及び距離測定方法、通信装置、コンピューター・プログラムを提供することにある。
【0014】
本発明のさらなる目的は、上記通信方式の距離測定を行なう際に、送信元端末が受信先端末からの返信パケットをプリアンブル部分の相関処理により発見して到着時刻を好適に判別することができる、優れたパケット検出装置及びパケット検出方法、距離測定装置及び距離測定方法、通信装置、コンピューター・プログラムを提供することにある。
【0015】
本発明のさらなる目的は、上記通信方式の距離測定を行なう際に、送信元端末において受信先端末からの返信パケットの到着時刻をディジタル処理におけるサンプリング・クロックよりも高い精度で判別することができる、優れたパケット検出装置及びパケット検出方法、距離測定装置及び距離測定方法、通信装置、コンピューター・プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願は、上記課題を参酌してなされたものであり、請求項1に記載の発明は、通信相手から受信したパケットの検出を行なうパケット検出装置であって、所定のクロックで動作するディジタル処理部内において、前記受信したパケットの先頭に付加された既知パターンの相互相関をとってパケットの検出を行なうために、
前記通信相手で使用するディジタル・フィルターと同じタップ係数を前記クロックの幅よりも細かい複数のタイミングでシフトさせた複数種類のディジタル・フィルターに前記既知パターンをそれぞれ通して得られる複数種類の相互相関用既知パターンを相互相関用のタップ係数として選択的に提供する相互相関用既知パターン提供部と、
受信信号と、前記相互相関用既知パターン提供部から提供される複数種類の相互相関用既知パターンの各々との相互相関を演算し、最大の相関値となる相互相関用既知パターンに対応する前記クロックの周期内のタイミングでパケットの到来を推定するパケット到来推定部と、
を具備することを特徴とするパケット検出装置である。
【0017】
また、本願の請求項2に記載の発明は、通信相手から受信したパケットの検出を行なうパケット検出装置であって、所定のクロックで動作するディジタル処理部内において、前記受信したパケットの先頭に付加された既知パターンの相互相関をとってパケットの検出を行なうために、
前記通信相手で使用するディジタル・フィルターと同じタップ係数を前記クロックの幅よりも細かい複数のタイミングでシフトさせた複数種類のディジタル・フィルターに受信信号をそれぞれ通して得られる複数種類の相互相関用受信信号を選択的に提供する相互相関用受信信号提供部と、
あらかじめ保持している既知パターンと、前記相互相関用受信信号提供部から提供される複数種類の相互相関用受信信号の各々との相互相関を演算し、最大の相関値となる相互相関用受信信号に対応する前記クロックの周期内のタイミングでパケットの到来を推定するパケット到来推定部と、
を具備することを特徴とするパケット検出装置である。
【0018】
また、本願の請求項3に記載の発明は、複数回の受信パケットを用いた前記パケット到来推定部の推定結果を平均化する平均化部をさらに備え、平均化効果によってパケット到来の推定精度を向上させるものである。
【0019】
また、本願の請求項4に記載の発明は、通信相手から受信したパケットの検出を行なうパケット検出方法であって、所定のクロックで動作するディジタル処理部内において、前記受信したパケットの先頭に付加された既知パターンの相互相関をとってパケットの検出を行なうために、
通信相手で使用するディジタル・フィルターと同じタップ係数を前記クロックの幅よりも細かい複数のタイミングでシフトさせた複数種類のディジタル・フィルターに前記既知パターンをそれぞれ通して得られる複数種類の相互相関用既知パターンを選択的に提供する相互相関用既知パターン提供ステップと、
受信信号と、前記相互相関用既知パターン提供ステップから提供される複数種類の相互相関用既知パターンの各々との相互相関を演算し、最大の相関値となる相互相関用既知パターンに対応する前記クロックの周期内のタイミングでパケットの到来を推定するパケット到来推定ステップと、
を有することを特徴とするパケット検出方法である。
【0020】
また、本願の請求項5に記載の発明は、通信相手から受信したパケットの検出を行なうパケット検出方法であって、所定のクロックで動作するディジタル処理部内において、前記受信したパケットの先頭に付加された既知パターンの相互相関をとってパケットの検出を行なうために、
通信相手で使用するディジタル・フィルターと同じタップ係数を前記クロックの幅よりも細かい複数のタイミングでシフトさせた複数種類のディジタル・フィルターに受信信号をそれぞれ通して得られる複数種類の相互相関用受信信号を選択的に提供する相互相関用受信信号提供ステップと、
あらかじめ保持している既知パターンと、前記相互相関用受信信号提供ステップから提供される複数種類の相互相関用受信信号の各々との相互相関を演算し、最大の相関値となる相互相関用受信信号に対応する前記クロックの周期内のタイミングでパケットの到来を推定するパケット到来推定ステップと、
を有することを特徴とするパケット検出方法である。
【0021】
また、本願の請求項6に記載の発明は、パケットの応答手続を利用した距離測定を所定のクロックで動作するディジタル処理部内で行なう距離測定装置であって、
通信相手にパケットを送信した時刻を保持するパケット送信時刻保持部と、
前記通信相手で使用するディジタル・フィルターと同じタップ係数を前記クロックの幅よりも細かい複数のタイミングでシフトさせた複数種類のディジタル・フィルターにそれぞれあらかじめ保持している既知パターンを通して得られる複数種類の相互相関用既知パターンを選択的に提供する相互相関用既知パターン提供部と、
受信信号と、前記相互相関用既知パターン提供部から提供される複数種類の相互相関用既知パターンの各々との相互相関を演算し、最大の相関値となる相互相関用既知パターンに対応する前記クロックの周期内のタイミングでパケットの到来時刻を推定するパケット到来時刻推定部と、
前記パケット送信時刻と前記パケット到来時刻の時間差に基づいて前記通信相手との距離を算出する距離計算部と、
を具備することを特徴とする距離測定装置。
である。
【0022】
また、本願の請求項7に記載の発明は、パケットの応答手続を利用した距離測定を所定のクロックで動作するディジタル処理部内で行なう距離測定装置であって、
通信相手にパケットを送信した時刻を保持するパケット送信時刻保持部と、
前記通信相手で使用するディジタル・フィルターと同じタップ係数を前記クロックの幅よりも細かい複数のタイミングでシフトさせた複数種類のディジタル・フィルターに受信信号をそれぞれ通して得られる複数種類の相互相関用受信信号を選択的に提供する相互相関用受信信号提供部と、
あらかじめ保持している既知パターンと、前記相互相関用受信信号提供部から提供される複数種類の相互相関用受信信号の各々との相互相関を演算し、最大の相関値となる相互相関用受信信号に対応する前記クロックの周期内のタイミングでパケットの到来時刻を推定するパケット到来時刻推定部と、
前記パケット送信時刻と前記パケット到来時刻の時間差に基づいて前記通信相手との距離を算出する距離計算部と、
を具備することを特徴とする距離測定装置である。
【0023】
また、本願の請求項8に記載の発明は、パケットの応答手続を利用した距離測定を所定のクロックで動作するディジタル処理部内で行なう距離測定方法であって、
通信相手にパケットを送信した時刻を保持するパケット送信時刻保持ステップと、
前記通信相手で使用するディジタル・フィルターと同じタップ係数を前記クロックの幅よりも細かい複数のタイミングでシフトさせた複数種類のディジタル・フィルターにそれぞれあらかじめ保持している既知パターンを通して得られる複数種類の相互相関用既知パターンを選択的に提供する相互相関用既知パターン提供ステップと、
受信信号と、前記相互相関用既知パターン提供ステップから提供される複数種類の相互相関用既知パターンの各々との相互相関を演算し、最大の相関値となる相互相関用既知パターンに対応する前記クロックの周期内のタイミングでパケットの到来時刻を推定するパケット到来時刻推定ステップと、
前記パケット送信時刻と前記パケット到来時刻の時間差に基づいて前記通信相手との距離を算出する距離計算ステップと、
を有することを特徴とする距離測定方法である。
【0024】
また、本願の請求項9に記載の発明は、パケットの応答手続を利用した距離測定を所定のクロックで動作するディジタル処理部内で行なう距離測定方法であって、
通信相手にパケットを送信した時刻を保持するパケット送信時刻保持ステップと、
前記通信相手で使用するディジタル・フィルターと同じタップ係数を前記クロックの幅よりも細かい複数のタイミングでシフトさせた複数種類のディジタル・フィルターに受信信号をそれぞれ通して得られる複数種類の相互相関用受信信号を選択的に提供する相互相関用受信信号提供ステップと、
あらかじめ保持している既知パターンと、前記相互相関用受信信号提供ステップから提供される複数種類の相互相関用受信信号の各々との相互相関を演算し、最大の相関値となる相互相関用受信信号に対応する前記クロックの周期内のタイミングでパケットの到来時刻を推定するパケット到来時刻推定ステップと、
前記パケット送信時刻と前記パケット到来時刻の時間差に基づいて前記通信相手との距離を算出する距離計算ステップと、
を有することを特徴とする距離測定方法である。
【0025】
また、本願の請求項10に記載の発明は、
通信相手とパケットの送受信を行なう送受信部と、
前記通信相手に送信するパケット並びに通信相手から受信したパケットのデータ処理を行なうデータ処理部と、
所定のクロックで動作するディジタル処理部内に配置され、前記通信相手までの距離を判別する距離判別部と、
を具備し、
前記距離判別部は、
前記通信相手にパケットを送信した時刻を保持するパケット送信時刻保持部と、 前記通信相手で使用するディジタル・フィルターと同じタップ係数を前記クロックの幅よりも細かい複数のタイミングでシフトさせた複数種類のディジタル・フィルターにそれぞれあらかじめ保持している既知パターンを通して得られる複数種類の相互相関用既知パターンを選択的に提供する相互相関用既知パターン提供部と、
受信信号と、前記相互相関用既知パターン提供部から提供される複数種類の相互相関用既知パターンの各々との相互相関を演算し、最大の相関値となる相互相関用既知パターンに対応する前記クロックの周期内のタイミングでパケットの到来時刻を推定するパケット到来時刻推定部と、
前記パケット送信時刻と前記パケット到来時刻の時間差に基づいて前記通信相手との距離を算出する距離計算部と、
を備える、
ことを特徴とする通信装置である。
【0026】
また、本願の請求項11に記載の発明は、
通信相手とパケットの送受信を行なう送受信部と、
前記通信相手に送信するパケット並びに通信相手から受信したパケットのデータ処理を行なうデータ処理部と、
所定のクロックで動作するディジタル処理部内に配置され、前記通信相手までの距離を判別する距離判別部と、
を具備し、
前記距離判別部は、
前記通信相手にパケットを送信した時刻を保持するパケット送信時刻保持部と、 前記通信相手で使用するディジタル・フィルターと同じタップ係数を前記クロックの幅よりも細かい複数のタイミングでシフトさせた複数種類のディジタル・フィルターに受信信号をそれぞれ通して得られる複数種類の相互相関用受信信号を選択的に提供する相互相関用受信信号提供部と、
あらかじめ保持している既知パターンと、前記相互相関用受信信号提供部から提供される複数種類の相互相関用受信信号の各々との相互相関を演算し、最大の相関値となる相互相関用受信信号に対応する前記クロックの周期内のタイミングでパケットの到来時刻を推定するパケット到来時刻推定部と、
前記パケット送信時刻と前記パケット到来時刻の時間差に基づいて前記通信相手との距離を算出する距離計算部と、
を備える、
ことを特徴とする通信装置である。
【0027】
また、本願の請求項12に記載の発明は、所定のクロックで動作するディジタル処理部内において、通信相手から受信したパケットの先頭に付加された既知パターンの相互相関をとってパケットの検出を行なうための処理をコンピューター上で実行するようにコンピューター可読形式で記述されたコンピューター・プログラムであって、前記コンピューターを、
前記通信相手で使用するディジタル・フィルターと同じタップ係数を前記クロックの幅よりも細かい複数のタイミングでシフトさせた複数種類のディジタル・フィルターに前記既知パターンをそれぞれ通して得られる複数種類の相互相関用既知パターンを選択的に提供する相互相関用既知パターン提供部、
受信信号と、前記相互相関用既知パターン提供部から提供される複数種類の相互相関用既知パターンの各々との相互相関を演算し、最大の相関値となる相互相関用既知パターンに対応する前記クロックの周期内のタイミングでパケットの到来を推定するパケット到来推定部、
として機能させるためのコンピューター・プログラムである。
【0028】
また、本願の請求項13に記載の発明は、所定のクロックで動作するディジタル処理部内において、通信相手から受信したパケットの先頭に付加された既知パターンの相互相関をとってパケットの検出を行なうための処理をコンピューター上で実行するようにコンピューター可読形式で記述されたコンピューター・プログラムであって、前記コンピューターを、
前記通信相手で使用するディジタル・フィルターと同じタップ係数を前記クロックの幅よりも細かい複数のタイミングでシフトさせた複数種類のディジタル・フィルターに受信信号をそれぞれ通して得られる複数種類の相互相関用受信信号を選択的に提供する相互相関用受信信号提供部、
あらかじめ保持している既知パターンと、前記相互相関用受信信号提供部から提供される複数種類の相互相関用受信信号の各々との相互相関を演算し、最大の相関値となる相互相関用受信信号に対応する前記クロックの周期内のタイミングでパケットの到来を推定するパケット到来推定部、
として機能させるためのコンピューター・プログラムである。
【0029】
本願の請求項12及び13の各々に係るコンピューター・プログラムは、コンピューター上で所定の処理を実現するようにコンピューター可読形式で記述されたコンピューター・プログラムを定義したものである。換言すれば、本願の請求項12及び13の各々に係るコンピューター・プログラムをコンピューターにインストールすることによって、コンピューター上では協働的作用が発揮され、本願の請求項1及び2の各々に係るパケット検出装置と同様の作用効果をそれぞれ得ることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、送信元(測定側)端末と受信先(測定対象側)端末の間でのパケット送信及びその応答手続を利用して好適に端末間の距離を測定することができる、優れたパケット検出装置及びパケット検出方法、距離測定装置及び距離測定方法、通信装置、コンピューター・プログラムを提供することができる。
【0031】
また、本発明によれば、上記通信方式の距離測定を行なう際に、送信元端末が受信先端末からの返信パケットをプリアンブル部分の相関処理により発見して到着時刻を好適に判別することができる、優れたパケット検出装置及びパケット検出方法、距離測定装置及び距離測定方法、通信装置、コンピューター・プログラムを提供することができる。
【0032】
また、本発明によれば、上記通信方式の距離測定を行なう際に、送信元端末において受信先端末からの返信パケットの到着時刻をディジタル処理におけるサンプリング・クロックよりも高い精度で判別することができる、優れたパケット検出装置及びパケット検出方法、距離測定装置及び距離測定方法、通信装置、コンピューター・プログラムを提供することができる。
【0033】
パケットの送信時には、帯域を制限するためにディジタル・フィルターが使用され、受信側でも同じ特性のディジタル・フィルターが使用されるのが通常の無線通信機である。本願の請求項1、4、12に記載の発明によれば、送信側と同じ特性のディジタル・フィルターのタップ係数を、クロック幅よりも細かい複数のタイミングでシフトさせ、各フィルターに通して複数種類の既知パターンを用意しておき、受信信号との複数種類の既知パターンの各々と相互相関を演算し、最大の相関値となる既知パターンに対応するタイミングをパケットの到来時刻と推定するので、ディジタル処理部におけるサンプリング・クロック幅よりも高い精度でのパケット位置の到着を推定可能になる。
【0034】
また、本願の請求項2、5、13に記載の発明によれば、送信側と同じ特性のディジタル・フィルターのタップ係数をクロック幅よりも細かい複数のタイミングでシフトさせた複数種類のディジタル・フィルターに受信信号をそれぞれ通し、各々の信号と既知パターンとの相互相関を順次演算し、最大の相関値となる既知パターンに対応するタイミングをパケットの到来時刻と推定するので、ディジタル処理部におけるサンプリング・クロック幅よりも高い精度でのパケット位置の到着を推定可能になる。
【0035】
また、本願の請求項3に記載の発明によれば、複数のパケットを用いたパケット到来の推定結果を平均化する効果によって、クロック幅より細かいタイミングでシフトさせた各ディジタルに対応する相関出力の比較の精度を高めることができる。
【0036】
また、本願の請求項6、8、10に記載の発明は、通信相手との間でのパケット送信及びその応答手続を利用した通信方式の距離測定を行なうが、送信側と同じ特性のディジタル・フィルターのタップ係数を、クロック幅よりも細かい複数のタイミングでシフトさせ、各フィルターに通して複数種類の既知パターンを用意しておき、受信信号との複数種類の既知パターンの各々と相互相関を演算し、最大の相関値となる既知パターンに対応するタイミングをパケットの到来時刻と推定するので、ディジタル処理部におけるサンプリング・クロック幅よりも高い精度でパケット到来時刻を推定することが可能となることから、距離測定の精度が向上する。
【0037】
また、本願の請求項7、9、11に記載の発明は、通信相手との間でのパケット送信及びその応答手続を利用した通信方式の距離測定を行なうが、送信側と同じ特性のディジタル・フィルターのタップ係数をクロック幅よりも細かい複数のタイミングでシフトさせた複数種類のディジタル・フィルターに受信信号をそれぞれ通し、各々の信号と既知パターンとの相互相関を順次演算し、最大の相関値となる既知パターンに対応するタイミングをパケットの到来時刻と推定するので、ディジタル処理部におけるサンプリング・クロック幅よりも高い精度でパケット到来時刻を推定することが可能となることから、距離測定の精度が向上する。
【0038】
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
【0040】
図9には、無線通信機能を搭載したコンピューターの構成例を示している。
【0041】
CPU(Central Processing Unit)1は、オペレーティング・システム(OS)が提供するプログラム実行環境下で、ROM(Read Only Memory)2やハード・ディスク・ドライブ(HDD)11に格納されているプログラムを実行する。例えば、後述する受信パケットの同期処理又はその一部の処理をCPU1が所定のプログラムを実行するという形態で実現することもできる。
【0042】
ROM2は、POST(Power On Self Test)やBIOS(Basic Input Output System)などのプログラム・コードを恒久的に格納する。RAM(Random Access Memory)3は、ROM2やHDD11に格納されているプログラムをCPU1が実行する際にロードしたり、実行中のプログラムの作業データを一時的に保持したりするために使用される。これらはCPU1のローカル・ピンに直結されたローカル・バス4により相互に接続されている。
【0043】
ローカル・バス4は、ブリッジ5を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect)バスなどの入出力バス6に接続されている。
【0044】
キーボード8と、マウスなどのポインティング・デバイス9は、ユーザにより操作される入力デバイスである。ディスプレイ10は、LCD(Liquid Crystal Display)又はCRT(Cathode Ray Tube)などから成り、各種情報をテキストやイメージで表示する。
【0045】
HDD11は、記録メディアとしてのハード・ディスクを内蔵したドライブ・ユニットであり、ハード・ディスクを駆動する。ハード・ディスクには、オペレーティング・システムや各種アプリケーションなどCPU1が実行するプログラムをインストールしたり、データ・ファイルなどを保存したりするために使用される。
【0046】
通信部12は、例えばIEEE802.11a/nに従う無線通信インターフェースであり、インフラストラクチャ・モード下でアクセスポイント若しくは端末局として動作し、あるいはアドホック・モード下で動作し、通信範囲内に存在するその他の通信端末との通信を実行する。また、本実施形態では、通信部12は、通信相手との間でのパケット送信及びその応答手続を利用した通信方式の距離測定を行なうようになっている(後述)。
【0047】
図1には、図9に示したコンピューターに装備される通信部12内の構成例を模式的に示している。図示の通信機のディジタル処理は例えば80MHzのクロックを基準に動作するものとする。また、図示の通信機は、IEEE802.11a及びIEEE802.11bなど、異なるチャネルを使用する複数の通信システムに用いることを想定している。IEEE802.11aは5GHz帯の周波数チャネルを使用し、IEEE802.11bは2.4GHz帯の周波数チャネルを使用することから(周知)、送受信ブランチは、5GHz帯用のRF送受信部及び2.4GHz帯用のRF送受信部の組み合わせを備えている。但し、本発明の要旨は、複数のチャネルに対応する通信機に限定されるものではない。
【0048】
送受信アンテナ101は、アンテナ・スイッチ102を介してRF送受信回路部103に接続される。RF送受信回路部103は、受信系統として、低雑音アンプ(Low Noise Amplifier:LNA)、RF周波数帯の受信信号をダウンコンバートする直交復調器(IQデモジュレーター)、受信信号の電力が後段のADコンバータ(Analog to Digital Comverter:ADC)のダイナミック・レンジに収まるように正規化するAGC(Automatic Gain Control:自動利得制御)アンプ、所望帯域以外の信号成分を除去するアナログ低域フィルタ(LPF)などを備え、また、送信系統として、DA変換した後のアナログ送信信号から所望帯域以外の信号成分を除去するアナログLPF、RF周波数帯の送信信号にアップコンバートする直交変調器(IQモジュレーター)、送信信号を電力増幅する電力増幅アンプ(Power Amplifier)などで構成される(いずれも図示しない)。
【0049】
また、上述したように、通信機は、5GHz帯を用いるIEEE802.11aと2.4GHz帯を用いるIEEE802.11bが並存するマルチパス通信環境で使用することが想定されており、送受信ブランチ毎のRF送受信回路部103は、5GHz帯用RF送受信部103Aと、2.4GHz帯用RF送受信部103Bをそれぞれ備えている。
【0050】
各RF送受信処理部103A、103Bは、スイッチ104を介して、AD変換器(ADC)105A、DA変換器(DAC)105Bに接続される。
【0051】
送信データ処理部109は、上位処理部110から渡された送信データ・ストリームをパケットに分割し、符号化などの処理を施してからDA変換器105Bに渡す。OFDM変調方式を採用する通信システムにおいては、IFFT(Inverse FFT:逆高速フーリエ変換)演算などのOFDM変調処理が行なわれる。そして、送信ディジタル・フィルター106Bは、アナログ変換する直前のディジタル送信信号に対し帯域の制限をかける。
【0052】
受信ディジタル・フィルター106Aは、AD変換器105Aでディジタル変換された受信信号に対し帯域の制限をかける。なお、通常の通信機では、受信側でも送信側と同じ特性の(すなわち、同じタップ係数で構成される)ディジタル・フィルターが使用される。
【0053】
同期処理部107では、帯域制限が施された後のディジタル受信信号に対し、パケット発見に基づく大雑把な受信タイミング(仮受信タイミング)の決定や、周波数オフセット補正、ノイズ推定、仮受信タイミングを利用したより正確な受信タイミングの抽出などの処理が行なわれる。仮受信タイミングは、パケット先頭のバースト的な既知リファレンス信号の自己相関演算に基づいて決定することができる。また、正確な受信タイミングは、既知リファレンス信号の相互相関演算に基づいて決定することができる。
【0054】
そして、受信データ処理部108は、同期処理がされた以降の部分(情報フィールド)の復号処理を行なって、元のデータを再生して上位処理部110に渡す。OFDM変調方式を採用する通信システムにおいては、FFT演算などのOFDM復調処理が行なわれる。
【0055】
なお、パケットは、一般に、送受信間で共有するトレーニング・シーケンスからなる既知信号部分と、ヘッダやペイロードからなる情報信号部分(ユーザー・データ)からなる(図10を参照のこと)。IEEE802.11a/gにおけるフレーム・フォーマットでは、仮受信タイミング決定や周波数オフセットに利用できる短いトレーニング系列(Short Training Sequence:STS)からなるプリアンブル区間(STF:Short Training Field)や、正確な受信タイミングの抽出に利用で切る長いトレーニング系列(Long Training Sequence:LTS)からなるプリアンブル区間(LTF:Long Training Field)が定義されているが、本明細書では詳細な説明を省略する。
【0056】
本実施形態に係る通信機では、通信相手との間でのパケット送信及びその応答手続を利用した通信方式の距離測定を行なうが、以下ではこの点について詳解する。
【0057】
図1に示す通信機は、通信相手にパケットを送信した時刻をパケット送信時刻保持部121に記憶しておくとともに、パケット到着時刻判別部122では通信相手からの返信パケットの到着時刻をパケット先頭の既知パターンの相互相関演算に基づいて判別する。距離計算部124は、通信相手側でパケットを受信してから返信するまでの一定の処理時間があらかじめ分かっているので、パケット送信時刻とパケット到着時刻の時間差からこの処理時間を除くことで、空間上でパケットが往来することによる所要時間を求める。そして、この所要時間の2分の1を電波の伝搬速度(毎秒3.0×108メートル)で割り算することで、通信相手との距離を算出することができる。
【0058】
パケット到着時刻判別部122において、通信機内のクロックを基準に相関処理を行なうと、基準クロックが80MHzの周期である場合には12.5ナノ秒の精度で到着時間を測定することになる。すなわち、時刻判別の分解能はクロック幅に丸め込まれてしまい、充分な距離測定精度が得られなくなることが懸念される。
【0059】
そこで、本実施形態では、ディジタル・フィルターのタップ係数をクロック幅以内で細かい複数のタイミングでシフトさせ、これら複数種類のディジタル・フィルターに既知パターンをそれぞれ通すことで相関用に複数種類の既知パターンを作成し、これら複数の既知パターンと受信信号との相関出力のうち最大のものを検出することによって、クロック幅の精度以上の精度でパケットの到着位置を判別するようにしている。
【0060】
図2には、パケット到着時刻判別部122において既知パターンとの相互相関演算によってパケット到着時刻を判別する仕組みを図解している。
【0061】
相互相関用既知パターン提供部123は、まず、クロック幅を例えば100等分して細分化し、細分化したタイミング毎に相関用の既知パターンを用意する。具体的には、通信相手側の送信ディジタル・フィルターと同じ特性となるディジタル・フィルターのタップ係数を100等分した細かい複数のタイミングでシフトさせて、100種類のディジタル・フィルターを作成し、規格で定義されている既知パターンを各ディジタル・フィルターに通すことによって、クロック幅を100等分に細分化した各タイミングに対応する100種類の既知パターンを作成することができる。既知パターンは、サンプリング周期毎のタップ係数の集合からなる。
【0062】
図3中の黒丸の部分の値が、基本となるディジタル・フィルターのタップ係数であり、図4並びに図5には、クロック幅以内の細かいタイミングでシフトさせたタップ係数をそれぞれ黒丸で表している。相互相関用既知パターン提供部123は、これらのディジタル・フィルターに既知パターンをそれぞれ通して得られるN個のタップ係数Wi(0)、Wi(1)、…、Wi(N−1)を、シフトしたタイミング毎の相関用既知パターンとして保持しておく(但し、添え字iは、クロック幅を細分化したタイミングの通し番号とする)。
【0063】
パケット到着時刻判別部122は、それぞれサンプル周期に相当する遅延時間を持つ複数(N個)の遅延素子を直列接続して構成される遅延部201を備え、遅延部202全体としてはタイミング推定区間の遅延時間を与える。一方、相互相関用既知パターン提供部123は、クロック幅を100等分に細分化した各タイミングに対応する100種類の相関用既知パターンを保持しており、タイミングi毎の既知パターンを表すタップ係数Wi(0)、Wi(1)、…、Wi(N−1)を選択部204で順次選択して、パケット到着時刻判別部122に供給する。
【0064】
相関用既知パターンは、サンプリング周期毎のN個のタップ係数の集合からなる(前述)。パケット到着時刻判別部122では、受信信号サンプルを遅延部201の各遅延素子で1サンプルずつ遅延させ、各々の遅延信号を相互相関用既知パターン提供部123からの各タップ係数Wi(0)、Wi(1)、…、Wi(N−1)とそれぞれ掛け合わせて合計部202でこれらを合計するという処理を、クロック幅を100等分に細分化した各タイミングについて繰り返し実施することで、細分化したタイミング毎の相互相関値を得ることができる。
【0065】
そして、ピーク検出部203は、最大の相関値となる既知パターンに対応するタイミングをパケットの到来時刻と推定するので、ディジタル処理部におけるサンプリング・クロック幅よりも高い精度でのパケット位置の到着を推定可能になる。
【0066】
図6には、あるタイミングに対応する相互相関用既知パターンと受信信号との相互相関出力の一例を示している。相関出力のピーク値に対応する部分の入力データが、N個のタップ係数と最も相関の高い入力系列と推定され、当該タイミングにおけるパケットの到着時刻の候補となる。本実施形態では、ピーク検出部203は、クロック幅を細分化した各タイミングで得られたパケットの到着時刻の候補の中からさらに最も相関の高いものをとる。
【0067】
また、複数のパケットを用いたパケット到来の推定結果を平均化する効果によって、クロック幅より細かいタイミングでシフトさせた各ディジタルに対応する相関出力の比較の精度を高めることができる。
【0068】
通信機が通信相手との距離を測定するための処理手順を以下にまとめておく。
【0069】
手順1:
通信相手に対しパケットを送信するとともに、80MHzのクロックでカウンターを起動する。
手順2:
通信相手側では、パケットを受信すると、一定の定められたクロック数(例えば、100クロック以内)でパケットを送り返す。同時に、通信相手は、クロック幅よりも細かい精度(100種類のフィルターに対応する相関)でパケット到着位置を取得して、この位置情報を併せて送り返す。
手順3:
通信相手からのパケットを受信して、クロック幅よりも細かい100種類の精度で受信位置を取得するとともに、80MHzのカウンターを停止する。
手順4:
ターンアラウンドタイムの計算を行なう。ここで言うターンアラウンドタイムは、80MHzのカウンター値から、通信相手側での一定の遅延クロック、通信相手側での高精度補正値、及び、自端末での高精度補正値を乗算した値である。
手順5:
ターンアラウンドタイムを2で割って、さらに電波の伝搬速度(毎秒3.0×108メートル)で割り算することにより距離を求める。
【0070】
図7には、上記の手順2及び3の中で、100種類のフィルターを用いて、相関係数の最大値から高精度に到着時刻推定する処理手順をフローチャットの形式で示している。図示のフローチャートにおいて、最大値Aが最終的な最大値であり、最大値Bはテンポラリーの最大値である。
【0071】
まず、基本の(すなわち、基準のクロックからタイミングをシフトさせていない)ディジタル・フィルターを通して作成された既知パターンと受信信号との相互相関を求める(ステップS1)。
【0072】
そして、図6に示したような相関結果を得ると、相関値の最大ピーク値を取得し、これを最大値Aとして保持する(ステップS2)。
【0073】
次いで、変数iに1を代入する(ステップS3)。iは、ディジタル・フィルターの通し番号を指定するために用いる変数である。
【0074】
次いで、相互相関でピークになるタイミングと、その前後のタイミングを含む3つのタイミングの受信データに対して、i番目のディジタル・フィルターを通して作成された既知パターンと受信信号との相互相関を求めて、上記の3つのタイミングの相互相関値の中で最大のものを最大値Bとする(ステップS4)。最大値Bはテンポラリーの最大値である。
【0075】
次いで、得られた最大値Bと、先に求めた最大値Aとを大小比較する(ステップS5)。そして、最大値Bの方が大きければ(ステップS5のYes)、最大値Aに最大値Bを代入する(ステップS6)。
【0076】
そして、iが100に到達するまで(ステップS7のNo)、iを1ずつ増分して(ステップS8)、ステップS4に戻る。このようにして、クロック幅を細分化したすべてのタイミングにシフトしたディジタル・フィルターで作成した既知パターンについて、相互相関を求める処理を繰り返し実行する。そして、最大値Aを最終的な最大値として出力する。
【0077】
図1に示した距離測定機能を備えた通信機の変形例として、相互相関用の既知パターンではなく、受信信号の方を、クロック幅を細分化した複数のタイミングに対応した受信ディジタル・フィルターに通して、1つの既知パターンと複数種類の受信信号との間の相関を求めても同様の効果があることが期待される。
【0078】
図8には、この通信機の構成例を模式的に示している。図示の通信機のディジタル処理は例えば80MHzのクロックを基準に動作するものとし、また、IEEE802.11a及びIEEE802.11bなど、異なるチャネルを使用する複数の通信システムに用いることを想定している(同上)。
【0079】
送受信アンテナ101は、アンテナ・スイッチ102を介してRF送受信回路部103に接続される。RF送受信回路部103は、受信系統として、LNA、直交復調器、AGCアンプ、アナロLPFなどを備え、また、送信系統として、アナログLPF、直交変調器、電力増幅アンプなどで構成される(いずれも図示しない)。
【0080】
送受信ブランチ毎のRF送受信回路部103は、5GHz帯用RF送受信部103Aと、2.4GHz帯用RF送受信部103Bをそれぞれ備えている。各RF送受信処理部103A、103Bは、スイッチ104を介して、AD変換器(ADC)105A、DA変換器(DAC)105Bに接続される。
【0081】
送信データ処理部109は、上位処理部110から渡された送信データ・ストリームをパケットに分割し、符号化などの処理を施してからDA変換器105Bに渡す。そして、送信ディジタル・フィルター106Bは、アナログ変換する直前のディジタル送信信号に対し帯域の制限をかける。
【0082】
受信ディジタル・フィルター106Aは、AD変換器105Aでディジタル変換された受信信号に対し帯域の制限をかける。通常の通信機では、受信側でも送信側と同じ特性のディジタル・フィルターが使用される。
【0083】
同期処理部107では、帯域制限が施された後のディジタル受信信号に対し、大雑把な受信タイミングの決定や、周波数オフセット補正、ノイズ推定、仮受信タイミングを利用したより正確な受信タイミングの抽出などの処理が行なわれる。そして、受信データ処理部108は、同期処理がされた以降の部分(情報フィールド)の復号処理を行なって、元のデータを再生して上位処理部110に渡す。
【0084】
図1に示す通信機は、通信相手にパケットを送信した時刻をパケット送信時刻保持部121に記憶しておくとともに、パケット到着時刻判別部122では通信相手からの返信パケットの到着時刻をパケット先頭の既知パターンの相互相関演算に基づいて判別する。距離計算部124は、通信相手側でパケットを受信してから返信するまでの一定の処理時間があらかじめ分かっているので、パケット送信時刻とパケット到着時刻の時間差からこの処理時間を除くことで、空間上でパケットが往来することによる所要時間を求める。そして、この所要時間の2分の1を電波の伝搬速度(毎秒3.0×108メートル)で割り算することで、通信相手との距離を算出する。
【0085】
距離測定時には、タップ係数提供部801は、クロック幅以内で細かいタイミングでシフトさせた複数種類(例えば100種類)のタップ係数を、受信ディジタル・フィルター106Aに供給する。したがって、パケット到着時刻判別部122では、1種類の既知パターンと複数種類の受信信号との相関出力のうち最大のものを検出することによって、クロック幅の精度以上の精度でパケットの到着位置を判別することができる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。
【0087】
本発明の適用範囲は、IEEE802.11a/nなどの無線LAN規格に限定されるものではなく、さまざまなディジタル無線技術に遍く本発明を利用することができる。
【0088】
要するに、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、特許請求の範囲を参酌すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る通信機の構成例を示した図である。
【図2】図2は、パケット到着時刻判別部122において既知パターンとの相互相関演算によってパケット到着時刻を判別する仕組みを示した図である。
【図3】図3は、基本となるディジタル・フィルターのタップ係数を例示した図である。
【図4】図4は、図3に示したディジタル・フィルターをクロック幅以内の細かいタイミングでシフトさせたタップ係数を例示した図である。
【図5】図5は、図3に示したディジタル・フィルターをクロック幅以内の細かいタイミングでシフトさせたタップ係数を例示した図である。
【図6】図6は、あるタイミングに対応する相互相関用既知パターンと受信信号との相互相関出力の一例を示した図である。
【図7】図7は、100種類のフィルターを用いて、相関係数の最大値から高精度に到着時刻推定する処理手順を示したフローチャットである。
【図8】図8は、本発明の他の実施形態に係る通信機の構成例を示した図である。
【図9】図9は、無線通信機能を搭載したコンピューターの構成例を示した図である。
【図10】図10は、パケットの構成を模式的に示した図である。
【符号の説明】
【0090】
1…CPU
2…ROM
3…RAM
4…ローカル・バス
5…ブリッジ
6…入出力バス
7…入出力インターフェース
8…キーボード
9…ポインティング・デバイス(マウス)
10…ディスプレイ
11…HDD
12…通信部
101…アンテナ
102…アンテナ・スイッチ
103…RF送受信回路部
103A…5GHz帯用RF送受信回路部
103B…2.4GHz帯用RF送受信回路部
104…スイッチ
105A…AD変換器(ADC)、105B…DA変換器(DAC)
106A…受信ディジタル・フィルター
106B…送信ディジタル・フィルター
107…同期処理部
108…受信データ処理部
109…送信データ処理部
110…上位処理部
121…パケット送信時刻保持部
122…パケット到着時刻判別部
123…相互相関用既知パターン提供部
124…距離計算部
201…遅延部
202…合計部
203…ピーク検出部
204…選択部
801…タップ係数提供部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信相手から受信したパケットの検出を行なうパケット検出装置であって、所定のクロックで動作するディジタル処理部内において、前記受信したパケットの先頭に付加された既知パターンの相互相関をとってパケットの検出を行なうために、
通信相手で使用するディジタル・フィルターと同じタップ係数を前記クロックの幅よりも細かい複数のタイミングでシフトさせた複数種類のディジタル・フィルターに前記既知パターンをそれぞれ通して得られる複数種類の相互相関用既知パターンを選択的に提供する相互相関用既知パターン提供部と、
受信信号と、前記相互相関用既知パターン提供部から提供される複数種類の相互相関用既知パターンの各々との相互相関を演算し、最大の相関値となる相互相関用既知パターンに対応する前記クロックの周期内のタイミングでパケットの到来を推定するパケット到来推定部と、
を具備することを特徴とするパケット検出装置。
【請求項2】
通信相手から受信したパケットの検出を行なうパケット検出装置であって、所定のクロックで動作するディジタル処理部内において、前記受信したパケットの先頭に付加された既知パターンの相互相関をとってパケットの検出を行なうために、
通信相手で使用するディジタル・フィルターと同じタップ係数を前記クロックの幅よりも細かい複数のタイミングでシフトさせた複数種類のディジタル・フィルターに受信信号をそれぞれ通して得られる複数種類の相互相関用受信信号を選択的に提供する相互相関用受信信号提供部と、
あらかじめ保持している既知パターンと、前記相互相関用受信信号提供部から提供される複数種類の相互相関用受信信号の各々との相互相関を演算し、最大の相関値となる相互相関用受信信号に対応する前記クロックの周期内のタイミングでパケットの到来を推定するパケット到来推定部と、
を具備することを特徴とするパケット検出装置。
【請求項3】
複数回の受信パケットを用いた前記パケット到来推定部の推定結果を平均化する平均化部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載のパケット検出装置。
【請求項4】
通信相手から受信したパケットの検出を行なうパケット検出方法であって、所定のクロックで動作するディジタル処理部内において、前記受信したパケットの先頭に付加された既知パターンの相互相関をとってパケットの検出を行なうために、
通信相手で使用するディジタル・フィルターと同じタップ係数を前記クロックの幅よりも細かい複数のタイミングでシフトさせた複数種類のディジタル・フィルターに前記既知パターンをそれぞれ通して得られる複数種類の相互相関用既知パターンを選択的に提供する相互相関用既知パターン提供ステップと、
受信信号と、前記相互相関用既知パターン提供ステップから提供される複数種類の相互相関用既知パターンの各々との相互相関を演算し、最大の相関値となる相互相関用既知パターンに対応する前記クロックの周期内のタイミングでパケットの到来を推定するパケット到来推定ステップと、
を有することを特徴とするパケット検出方法。
【請求項5】
通信相手から受信したパケットの検出を行なうパケット検出方法であって、所定のクロックで動作するディジタル処理部内において、前記受信したパケットの先頭に付加された既知パターンの相互相関をとってパケットの検出を行なうために、
通信相手で使用するディジタル・フィルターと同じタップ係数を前記クロックの幅よりも細かい複数のタイミングでシフトさせた複数種類のディジタル・フィルターに受信信号をそれぞれ通して得られる複数種類の相互相関用受信信号を選択的に提供する相互相関用受信信号提供ステップと、
あらかじめ保持している既知パターンと、前記相互相関用受信信号提供ステップから提供される複数種類の相互相関用受信信号の各々との相互相関を演算し、最大の相関値となる相互相関用受信信号に対応する前記クロックの周期内のタイミングでパケットの到来を推定するパケット到来推定ステップと、
を有することを特徴とするパケット検出方法。
【請求項6】
パケットの応答手続を利用した距離測定を所定のクロックで動作するディジタル処理部内で行なう距離測定装置であって、
通信相手にパケットを送信した時刻を保持するパケット送信時刻保持部と、
前記通信相手で使用するディジタル・フィルターと同じタップ係数を前記クロックの幅よりも細かい複数のタイミングでシフトさせた複数種類のディジタル・フィルターにそれぞれあらかじめ保持している既知パターンを通して得られる複数種類の相互相関用既知パターンを選択的に提供する相互相関用既知パターン提供部と、
受信信号と、前記相互相関用既知パターン提供部から提供される複数種類の相互相関用既知パターンの各々との相互相関を演算し、最大の相関値となる相互相関用既知パターンに対応する前記クロックの周期内のタイミングでパケットの到来時刻を推定するパケット到来時刻推定部と、
前記パケット送信時刻と前記パケット到来時刻の時間差に基づいて前記通信相手との距離を算出する距離計算部と、
を具備することを特徴とする距離測定装置。
【請求項7】
パケットの応答手続を利用した距離測定を所定のクロックで動作するディジタル処理部内で行なう距離測定装置であって、
通信相手にパケットを送信した時刻を保持するパケット送信時刻保持部と、
前記通信相手で使用するディジタル・フィルターと同じタップ係数を前記クロックの幅よりも細かい複数のタイミングでシフトさせた複数種類のディジタル・フィルターに受信信号をそれぞれ通して得られる複数種類の相互相関用受信信号を選択的に提供する相互相関用受信信号提供部と、
あらかじめ保持している既知パターンと、前記相互相関用受信信号提供部から提供される複数種類の相互相関用受信信号の各々との相互相関を演算し、最大の相関値となる相互相関用受信信号に対応する前記クロックの周期内のタイミングでパケットの到来時刻を推定するパケット到来時刻推定部と、
前記パケット送信時刻と前記パケット到来時刻の時間差に基づいて前記通信相手との距離を算出する距離計算部と、
を具備することを特徴とする距離測定装置。
【請求項8】
パケットの応答手続を利用した距離測定を所定のクロックで動作するディジタル処理部内で行なう距離測定方法であって、
通信相手にパケットを送信した時刻を保持するパケット送信時刻保持ステップと、
前記通信相手で使用するディジタル・フィルターと同じタップ係数を前記クロックの幅よりも細かい複数のタイミングでシフトさせた複数種類のディジタル・フィルターにそれぞれあらかじめ保持している既知パターンを通して得られる複数種類の相互相関用既知パターンを選択的に提供する相互相関用既知パターン提供ステップと、
受信信号と、前記相互相関用既知パターン提供ステップから提供される複数種類の相互相関用既知パターンの各々との相互相関を演算し、最大の相関値となる相互相関用既知パターンに対応する前記クロックの周期内のタイミングでパケットの到来時刻を推定するパケット到来時刻推定ステップと、
前記パケット送信時刻と前記パケット到来時刻の時間差に基づいて前記通信相手との距離を算出する距離計算ステップと、
を有することを特徴とする距離測定方法。
【請求項9】
パケットの応答手続を利用した距離測定を所定のクロックで動作するディジタル処理部内で行なう距離測定方法であって、
通信相手にパケットを送信した時刻を保持するパケット送信時刻保持ステップと、
前記通信相手で使用するディジタル・フィルターと同じタップ係数を前記クロックの幅よりも細かい複数のタイミングでシフトさせた複数種類のディジタル・フィルターに受信信号をそれぞれ通して得られる複数種類の相互相関用受信信号を選択的に提供する相互相関用受信信号提供ステップと、
あらかじめ保持している既知パターンと、前記相互相関用受信信号提供ステップから提供される複数種類の相互相関用受信信号の各々との相互相関を演算し、最大の相関値となる相互相関用受信信号に対応する前記クロックの周期内のタイミングでパケットの到来時刻を推定するパケット到来時刻推定ステップと、
前記パケット送信時刻と前記パケット到来時刻の時間差に基づいて前記通信相手との距離を算出する距離計算ステップと、
を有することを特徴とする距離測定方法。
【請求項10】
通信相手とパケットの送受信を行なう送受信部と、
前記通信相手に送信するパケット並びに通信相手から受信したパケットのデータ処理を行なうデータ処理部と、
所定のクロックで動作するディジタル処理部内に配置され、前記通信相手までの距離を判別する距離判別部と、
を具備し、
前記距離判別部は、
前記通信相手にパケットを送信した時刻を保持するパケット送信時刻保持部と、
前記通信相手で使用するディジタル・フィルターと同じタップ係数を前記クロックの幅よりも細かい複数のタイミングでシフトさせた複数種類のディジタル・フィルターにそれぞれあらかじめ保持している既知パターンを通して得られる複数種類の相互相関用既知パターンを選択的に提供する相互相関用既知パターン提供部と、
受信信号と、前記相互相関用既知パターン提供部から提供される複数種類の相互相関用既知パターンの各々との相互相関を演算し、最大の相関値となる相互相関用既知パターンに対応する前記クロックの周期内のタイミングでパケットの到来時刻を推定するパケット到来時刻推定部と、
前記パケット送信時刻と前記パケット到来時刻の時間差に基づいて前記通信相手との距離を算出する距離計算部と、
を備える、
ことを特徴とする通信装置。
【請求項11】
通信相手とパケットの送受信を行なう送受信部と、
前記通信相手に送信するパケット並びに通信相手から受信したパケットのデータ処理を行なうデータ処理部と、
所定のクロックで動作するディジタル処理部内に配置され、前記通信相手までの距離を判別する距離判別部と、
を具備し、
前記距離判別部は、
前記通信相手にパケットを送信した時刻を保持するパケット送信時刻保持部と、
前記通信相手で使用するディジタル・フィルターと同じタップ係数を前記クロックの幅よりも細かい複数のタイミングでシフトさせた複数種類のディジタル・フィルターに受信信号をそれぞれ通して得られる複数種類の相互相関用受信信号を選択的に提供する相互相関用受信信号提供部と、
あらかじめ保持している既知パターンと、前記相互相関用受信信号提供部から提供される複数種類の相互相関用受信信号の各々との相互相関を演算し、最大の相関値となる相互相関用受信信号に対応する前記クロックの周期内のタイミングでパケットの到来時刻を推定するパケット到来時刻推定部と、
前記パケット送信時刻と前記パケット到来時刻の時間差に基づいて前記通信相手との距離を算出する距離計算部と、
を備える、
ことを特徴とする通信装置。
【請求項12】
所定のクロックで動作するディジタル処理部内において、通信相手から受信したパケットの先頭に付加された既知パターンの相互相関をとってパケットの検出を行なうための処理をコンピューター上で実行するようにコンピューター可読形式で記述されたコンピューター・プログラムであって、前記コンピューターを、
前記通信相手で使用するディジタル・フィルターと同じタップ係数を前記クロックの幅よりも細かい複数のタイミングでシフトさせた複数種類のディジタル・フィルターに前記既知パターンをそれぞれ通して得られる複数種類の相互相関用既知パターンを選択的に提供する相互相関用既知パターン提供部、
受信信号と、前記相互相関用既知パターン提供部から提供される複数種類の相互相関用既知パターンの各々との相互相関を演算し、最大の相関値となる相互相関用既知パターンに対応する前記クロックの周期内のタイミングでパケットの到来を推定するパケット到来推定部、
として機能させるためのコンピューター・プログラム。
【請求項13】
所定のクロックで動作するディジタル処理部内において、通信相手から受信したパケットの先頭に付加された既知パターンの相互相関をとってパケットの検出を行なうための処理をコンピューター上で実行するようにコンピューター可読形式で記述されたコンピューター・プログラムであって、前記コンピューターを、
前記通信相手で使用するディジタル・フィルターと同じタップ係数を前記クロックの幅よりも細かい複数のタイミングでシフトさせた複数種類のディジタル・フィルターに受信信号をそれぞれ通して得られる複数種類の相互相関用受信信号を選択的に提供する相互相関用受信信号提供部、
あらかじめ保持している既知パターンと、前記相互相関用受信信号提供部から提供される複数種類の相互相関用受信信号の各々との相互相関を演算し、最大の相関値となる相互相関用受信信号に対応する前記クロックの周期内のタイミングでパケットの到来を推定するパケット到来推定部、
として機能させるためのコンピューター・プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−74564(P2010−74564A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−240021(P2008−240021)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】