パターン形成方法、パターン形成装置、ナノインプリントモールド及びナノインプリントモールドの製造方法
【課題】本発明は、ナノインプリントモールドを光硬化樹脂からなる樹脂層から離型する時の樹脂層やモールドの破損を防止するパターン形成方法等を提供する。
【解決手段】本発明に係るナノインプリントによるパターン形成方法は、基材上に光硬化樹脂からなる樹脂層を形成し、凹凸パターン部を有するモールドを前記樹脂層に押し当て、前記モールドの外周に向かって光の照射量が大きくなるように、前記樹脂層に光を照射し、前記樹脂層に光を照射した後、前記樹脂層から前記モールドを離型することを特徴とするナノインプリントによるパターン形成方法。
【解決手段】本発明に係るナノインプリントによるパターン形成方法は、基材上に光硬化樹脂からなる樹脂層を形成し、凹凸パターン部を有するモールドを前記樹脂層に押し当て、前記モールドの外周に向かって光の照射量が大きくなるように、前記樹脂層に光を照射し、前記樹脂層に光を照射した後、前記樹脂層から前記モールドを離型することを特徴とするナノインプリントによるパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光インプリントによりパターンを形成するパターン形成方法、パターン形成装置、光インプリント用のナノインプリントモールド、及びナノインプリントモールドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ナノオーダーの微細加工技術としてナノインプリント技術が注目されている。このナノインプリント技術は、微細な凹凸構造を有する型部材(以下、モールドと呼ぶ)を用いて、凹凸構造を転写基材上の樹脂に押し当てた状態で樹脂を硬化させ、モールドと樹脂を引き離し(以下、離型と呼ぶ)、微細な凹凸構造を等倍転写するパターン形成技術である。
【0003】
従来のナノインプリントによるパターン形成ではモールドを樹脂から離型する際にモールドあるいは樹脂に破損が生じないように、例えば特許文献1〜3の記載された技術が提案されている。特許文献1では、凹凸パターン部を含むパターン領域の外側に位置し、かつ凹凸パターン部の凹部よりも大きいサイズ(開口寸法及び深さが大きい)を有する離型用の凹部を有するモールドと、この離型用の凹部に連通する通孔を形成したモールドを用い、通孔を通じて離型用の凹部に高圧ガスを供給するようにした離型方法等が開示されている。
【0004】
特許文献2では、凹凸パターン部の周囲に離型アシストガス導入用の貫通孔を設けたモールドを用い、貫通孔にガスを供給してモールドと樹脂の離型をアシストする方法が開示されている。
【0005】
特許文献3では、凹凸パターン部の凹部内に遮光膜を配置したモールドを用い、この遮光膜により樹脂が未硬化となった部分を作製し、離型を容易に行う方法が開示されている。
【0006】
上記特許文献1及び2では、離型時における樹脂、モールドや樹脂の破損を抑えるために、離型が開始する位置をモールドの外周部近傍に設定することで、そこを起点として離型作業を開始している。また、上記特許文献3では、凹凸パターン部に位置する樹脂に未硬化部分(あるいは分解反応部分)を形成することで離型を容易にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−24507号公報
【特許文献2】特開2008−78550号公報
【特許文献3】特開2004−304097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
樹脂とモールドの接触面積が増大すると、両者の間の密着力が高まり、離型時に発生する応力は大きくなる。モールドと転写基材の間の樹脂が略均一に硬化した系では離型による大きな応力が発生するのはモールドが樹脂から剥れていく位置(以下、離型位置と呼ぶ)である。ここで離型作業の問題点について、図18を参照して具体的に説明する。図18は離型作業における問題点を説明する模式図であり、転写基材702上の光硬化した樹脂層703からモールド701を離型工程のうち、代表的な2つの段階を挙げている。図18(A)は離型作業が開始され、モールド701と樹脂層703の間に空隙ができた段階を模式的に表しており、図18(B)は離型作業が進み、モールド701と樹脂層703が互いに離れる段階を模式的に表している。モールドチャック(ここでは図示せず)で保持されたモールド701は樹脂層703から離型する際、モールド701と樹脂層703とは常に平行度を保った状態で両者の表面が面内均一に離れていくわけではなく、図18(A)に示すようにモールド701の平行度が崩れ、少なからず傾きを持った状態となる(なお、図18では説明のためモールドの傾き具合を強調して記載している)。このようにモールド701が傾くことで、モールド701の外周部から離型が開始され、離型位置に急峻な応力が発生する。離型作業をさらに進め、モールド701と樹脂層703が互いに離れる段階おいて再度離型位置に急峻な応力が発生する。このように特許文献1〜3の離型方法では、離型位置において樹脂及びモールドに大きな力が加わるため、樹脂及びモールドのいずれか又は両方に破損が生じる虞がある。
【0009】
そこで本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、ナノインプリントモールドを樹脂から離型する際に樹脂あるいはモールドが破損するのを防止するパターン形成方法、パターン形成装置、ナノインプリントモールド、及び上記のナノインプリントモールドを製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施の形態に係るパターン形成方法は、転写基材上に光硬化樹脂からなる樹脂層を形成し、凹凸パターン部を有するモールドを前記樹脂層に押し当て、前記モールドの外周に向かうにつれ前記樹脂層に照射される光照射量が小さくなるように前記樹脂層に光を照射し、前記樹脂層に光を照射した後、前記樹脂層から前記モールドを離型し、前記樹脂層にパターン転写することを特徴とする。
【0011】
本発明の一実施の形態に係るパターン形成装置は、モールドを保持するモールドチャックと、前記モールドチャックに対向し、転写基材を配置する転写基材ステージと、前記モールドチャック側あるいは前記転写基材側の少なくともいずれか一方の側に配置され、前記転写基材ステージに配置する転写基材に光を照射する光源と、前記光源と前記転写基材ステージの間に配置され、前記転写基材ステージに照射される光照射量を制御するアパーチャと、を備え、前記アパーチャは外側に向かって光透過率が小さくなる透過率調整部を有することを特徴とする。
【0012】
本発明の一実施の形態に係るナノインプリントモールドは、基材と、前記基材の一部に配置された凹凸パターン部と、前記凹凸パターン部の周囲に配置され、該基材の外側に向かって光透過率が小さくなる透過率調整部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の一実施の形態に係るナノインプリントモールドの製造方法は、基材の一部に凹凸パターン部が形成されるパターン領域を設定し、前記パターン領域に凹凸パターン部を形成し、前記パターン領域の周囲に前記基材の外側に向かって光透過率が小さくなる透過率調整部を形成することを特徴とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、凹凸パターン部の周囲に位置する樹脂層に照射される光を制御することでナノインプリントモールドを樹脂層から離型する際の樹脂層やモールドの破損を防止することを可能にするパターン形成方法、パターン形成装置、ナノインプリントモールド、及びナノインプリントモールドの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るナノインプリントモールドの作用を説明するための模式図である。
【図2】第1の実施の形態に係るナノインプリントモールドの具体的構成を示す断面図である。
【図3】図2の透過率調整部の厚さと光透過率の関係を示す図である。
【図4】第1の実施の形態に係るナノインプリントモールドの他の具体的構成を示す断面図である。
【図5】第1の実施の形態に係るナノインプリントモールドの変形例を示す断面図であり、(A)は基材面上にある例を示す断面図(粗面化)、(B)は基材内部にある例を示す断面図(クラック)である。
【図6】第1の実施の形態に係るナノインプリントモールドの形成工程を示す図であり、(A)は基材準備工程を示す図、(B)は外形加工工程を示す図、(C)は成膜工程を示す図、(D)は不要部除去工程を示す図、(E)は凹凸パターン形成工程を示す図である。
【図7】第1の実施の形態に係るナノインプリントモールドを用いたパターン形成工程を示す図であり、(A)は基材準備工程を示す図、(B)はモールドと樹脂層の接触工程を示す図、(C)は樹脂層の硬化工程を示す図、(D)は離型工程を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係るパターン形成装置の概略構成を示す図である。
【図9】図8のアパーチャの構成を示す平面図である。
【図10】図9の透過率調整部の構成例を示す平面図であり、(A)はスリットの開口幅により光透過率を制御する透過率調整部の構成例を示す平面図、(B)はピンホールの数により光透過率を制御する透過率調整部の構成例を示す平面図である。
【図11】第2の実施の形態に係るパターン形成工程を示す図であり、(A)は基材準備工程を示す図、(B)はモールドと樹脂層の接触工程を示す図、(C)は樹脂層の硬化工程を示す図、(D)は離型工程を示す図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係るアパーチャの概略構成を示す平面図である。
【図13】可動部材が所定の位置に移動する前の様子を示す平面図である。
【図14】可動部材が所定の位置に移動している段階を示す平面図である。
【図15】可動部材が所定の位置に達した様子を示す平面図である。
【図16】樹脂層に照射される光照射量を示す図である。
【図17】第3の実施の形態に係るアパーチャの他の構成例を示す平面図であり、(A)は可動部材が所定の位置に移動している段階を示す平面図、(B)は可動部材が所定の位置に達した様子を示す平面図である。
【図18】離型作業における問題点を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施の形態)
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0017】
<ナノインプリントモールドの構成>
本実施の形態に係るナノインプリントモールド(以下、モールドと呼ぶ)100について、図面を参照して説明する。図1は、ナノインプリントモールドの作用を説明するための模式図である。図1において、モールド100は、透明な基材101と、この基材101の一方の面に形成された凹凸パターン部101Aと、基材101の内部、基材101の一方の面、あるいは基材101の他方の面に形成された透過率調整部101Bと、を有する。基材101は、例えば石英ガラス、珪酸系ガラス、フッ化カルシウム、青板ガラス、ソーダガラス等の透明基材からなり、その厚さや大きさは用途等に応じて適宜設定することができる。また、モールド100の厚み、大きさ、形状は用途に応じて適宜設定することができる。凹凸パターン部101Aは、例えば、基材101にレジスト等をマスクとして形成しておき、そのマスクの露出部にエッチング等を施して形成されたナノ(nm)オーダーの微細な凹凸構造である。
【0018】
透過率調整部101Bは、一方の面側から基材101に入射した光の透過率がモールド100の外側に向かって小さくなるようにする部分である。この透過率調整部101Bは、基材101の凹凸パターン部101Aが形成された面、基材101の凹凸パターン部101Aが形成されていない面、又は基材101の内部にあり、凹凸パターン部101Aよりも外側に配置される。
【0019】
また、図1では凹凸パターン部101Aと透過率調整部101Bにおける光透過率の関係を模式的に示している。凹凸パターン部101Aは、透過率調整部101Bに比べて光透過率が大きく、かつ光透過率は略一定である。樹脂に適正露光量で光を照射した場合、凹凸パターン部101A下の樹脂は十分硬化される。一方、透過率調整部101Bは、その光透過率がモールド100の外側に向かって小さくなるように設定されている。そのため樹脂に光を照射した場合、透過率調整部101B下の樹脂の硬化度がモールド100の外側に向かって低くなる。一般に光硬化樹脂は、硬化が進むと柔軟性が乏しくなる傾向にあるため、モールド100の外周部に位置する樹脂は、モールド100の内側に位置する樹脂と比べて柔軟性に富み、離型しやすい箇所となる。なお、図1では透過率調整部101Bに相当する部分を、その作用を説明するためにグラデーションで表現しているが、これは透過率の変化の状態を模式的に表したものであり、実際のモールド101に形成する物の状態とは異なる。具体的構成については図2を用いて後述する。
【0020】
透過率調整部101Bにおける光透過率変化の態様として、勾配A,B,Cを例として挙げて説明する。光透過率変化はこれらの態様に限定されるものではなく、モールド100の外周に行くに従い、漸次光透過率が小さくなるように設定されればよい。これらの勾配は、モールド100を樹脂層から剥がす際、離型位置で発生する力の急峻な変化を緩和するように設定される。例えば、光透過率の変化を勾配A、B又はCの何れかに設定しても、離型する際の応力集中は緩和される。特に、好ましい態様としては勾配Aのように光透過率が曲線で表現され、滑らかであることが望ましい。
【0021】
次に、透過率調整部101Bの具体的な構成について図2を参照して説明する。図2はナノインプリントモールドの具体的構成を示す断面図である。光透過率を調整する具体的な構成として、遮光膜の厚さによる光透過率を制御する構成を挙げることができる。遮光膜の材料としては、紫外線を吸収する作用がある二酸化ジルコニウム、酸化セリウム等の無機材料、トリアジン化合物、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系等の有機材料のうちの一種であってもよく、また、これらの二種以上の組み合わせからなるものであってもよい。また、遮光膜の材料としては、アルミニウム、ニッケル、コバルト、クロム、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、錫、亜鉛等の金属、シリコン等を挙げることができ、また、これらの酸化物、窒化物、合金等も使用することができる。なお、本明細書で遮光膜とは遮光性能を有する膜を意味し、光の吸収、散乱、反射により樹脂層に到達する光の一部又は全部を遮る機能を有するものを指している。また、遮光膜は複数の膜を積層してもよい。透過率調整部101Bの光学濃度ODは遮光膜の厚さに比例し、以下の式1で決定される。
OD=εcd=−log(T/100)・・・・(1)
なお、εは遮光膜の誘電率、cは光速、dは遮光膜の厚み、Tは光透過率(%)である。
【0022】
透過率調整部101Bは、例えばモールド100の内側に位置する部位の光学濃度ODを2以上となるように遮光膜の膜厚を設定し、一方モールド100の外側に位置する部位の光学濃度ODを1以下となるように遮光膜の膜厚を設定する。このようにモールド100の内側と外側の光学濃度差が1以上となるようにし、モールド100の内側と外側の間を1次直線的、曲線的、あるいは段階的に光透過率を変化させることが好ましい。遮光膜の膜厚は1次直線的、あるいは曲線的に変化させてモールド100の内側から外側へ徐々に光学濃度ODが大きくなるようにする。
【0023】
図2において、モールド100の内側に位置し、遮光膜の厚さがd0の部分の光透過率をT0とする。Lは透過率調整部101Bの幅とし、モールド100の最外周部からXの位置における遮光膜の厚さをd、光透過率をTとする。以上説明したように、下記の式2,式3が成立する。
T≧T0・・・・(2)
d≧d0・・・・(3)
例えば、d1=2×d0とした場合、最外周部の光透過率は、最も凹凸パターン部101Aに近い側の光透過率の10%になる。図中に示す最外周部からの位置Xにおける遮光膜の厚みがd=(d0/L)(L−X)のように線形関数に従って変化させれば、光透過率は、図3に示すように指数関数(曲線)で設定することができる。
【0024】
図4はナノインプリントモールドの他の具体的構成を示す断面図である。図4に示すように、遮光膜の厚さを階段状にして光透過率を制御してもよい。この場合、段数は2以上で設定すればよい。また段幅は適宜設定する。
【0025】
モールドの変形例を図5を参照して説明する。図5はナノインプリントモールドの変形例を示す断面図である。
<モールドの変形例1>
モールド200の一方の面あるいは他方の面を平均粗さRaが0.1μm〜100μmの範囲で粗面化して、透過率調整部201Bとすることができる。モールド200の内側から外側に向けて平均粗さRaが小さくなるように、サンドブラストやエッチングといった処理を行う。なお、モールド200の外周から5mmの範囲内における表面を粗面化しないようにすることが好ましい。モールド200の外周から5mm以内の表面が粗面化されていると、モールドチャックによるチャック不良が生じる虞があるからである。
【0026】
<モールドの変形例2>
モールド200の内部に微小なクラックを形成して透過率調整部101Bとすることができる。クラックを形成する厚みを例えば、モールド200の内側から外側に向かって50μm〜500μmの範囲で漸次大きくなるように設定する。モールド200の内部に微小なクラックを作製するには、レーザー光としてYAGレーザー、YLFレーザー等を用い、収斂させた部位で基材の絶縁破壊が起こるような条件でレーザー光をモールドに照射する。
【0027】
<モールドの製造方法>
モールドの製造方法について図6を参照して説明する。図6はナノインプリントモールドの形成工程を示す図であり、図6(A)〜(E)では、モールド100に用いる基材101の断面を示す。
【0028】
(A)基材の準備(図6(A)参照)
モールド100に用いる基材101を準備する。基材101は、例えば、石英、フッ化カルシウム、珪酸系ガラス等の透明材料を用いる。基材101の外形や厚みは、用途に応じて適宜設定する。
【0029】
(B)外形加工(図6(B)参照)
基材101をエッチング、研削、研磨等の加工により、図中に示す基材101の下面側の外周部を加工して、透過率調整部を配置するための切欠部102を形成する。切欠部102は後述する凹凸パターン部101Aを含む領域(パターン領域)の周囲に形成される。なお、この外形加工を行わず、所望の膜厚分布となるように成膜・エッチング等を施してもよい。
【0030】
(C)成膜(図6(C)参照)
基材101の切欠部102を形成した面に真空成膜法等により遮光膜103を成膜する。遮光膜103として前述の遮光材料を用いることができる。
【0031】
(D)不要部除去(図6(D)参照)
遮光膜103の不要部分をエッチング、研磨等により除去する。遮光膜103の残った部分は透過率調整部101Bになる。外形加工を施して遮光膜形成面を平坦にすることにより、モールド100を保持するモールドチャックによるチャック不良、モールドチャックとの接触による異物の発生等を抑えることが可能になるため有利である。また、透過率調整部101Bを基材101の内部に形成した場合は、モールド100の表面に段差が生じないため、パターン形成装置(後述する)内においてモールド100をモールドチャック(後述する)で保持する際に、モールドチャックによるチャック不良の発生を低減できる。また、透過率調整部101Bがモールドチャックと接触しないので異物が発生しない。
【0032】
(E)凹凸パターン部形成(図6(E)参照)
基材101の遮光膜103を成膜した面と反対の面(図中の上面)に、凹凸パターン部101Aを形成する。基材101上にレジスト(図示せず)を塗布し、このレジスト(図示せず)に電子線を照射した後パターニングし、レジスト(図示せず)のパターンをマスクとして基材をエッチングし、レジスト(図示せず)を除去することで凹凸パターン部101Aを形成する。以上の工程により、透過率調整部101Bを有するモールド100が完成する。
【0033】
<モールドを用いたパターン形成方法>
モールドを用いたパターン形成方法について図7を参照して説明する。図7はナノインプリントモールドを用いたパターン形成工程を示す図であり、図7(A)〜(D)は、パターン形成方法の各工程に係る各部の断面図である。
【0034】
(A)転写基材の準備(図7(A)参照)
モールドの凹凸パターン部の反転パターンが転写される転写基材301上に、光硬化樹脂をスピンコート法、インクジェット法等により塗布して樹脂層302を形成する。ここでは図5(A)に示したモールド200を用いる例について以下説明する。転写基材301は、石英やソーダライムガラス、ホウ酸系ガラス等のガラス、シリコンやガリウム砒素、窒化ガリウム等の半導体、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂基材、あるいは、これらの材料の組み合わせからなる複合材料基材からなる。転写基材301の厚み、大きさ、形状は用途に応じて適宜設定することができる。また樹脂層302は、光硬化性樹脂からなる。具体的には光ラジカル硬化樹脂やカチオン硬化樹脂等のインプリント材料からなる。
【0035】
(B)モールドと樹脂層の接触(図7(B)参照)
モールド200と転写基材301をそれぞれ位置決めを行った後、モールド200と樹脂層302を接触させてモールド200の押圧条件等を調整して、凹凸パターン部201A内に漏れなく光硬化樹脂を充填する。
【0036】
(C)樹脂層の硬化(図7(C)参照)
透過率調整部201Bを有するモールド200を樹脂層302に接触させた状態で光を照射して樹脂層302の硬化を行う。このとき、凹凸パターン部201A下に存在する樹脂層302は一様に硬化する。一方、透過率調整部202A下に存在する樹脂層302は、モールド200の外側に向かって徐々に樹脂の硬化度が低くなり、凹凸パターン部201A下の樹脂層層302に比べて硬化が不足した硬化不足部302Aとなる。
【0037】
(D)離型(図7(D)参照)
所定量の光を照射した後、モールド200を樹脂層302から離型する。このとき、硬化不足部302Aが離型位置となり、スムーズな離型作業を行うことが可能になる。離硬化不足部302Aは、モールド200の外周に向かって樹脂の硬化度が低くなるように形成されているため、モールド200及び樹脂層302と転写基材301に急峻な力が加わることが緩和される。離型作業をモールド200の外周部から行うことでよりスムーズに離型することができる。モールド200の一方の外周部から内側へ向けて離型作業を開始し、さらにその後モールド200の内側から他方の外周部へ向けて離型作業を進行させることで、離型作業で急峻な応力が発生することを抑えることができる。したがって、モールド200、及び樹脂層302と転写基材301のいずれかに破損が生じることを防止できる。
【0038】
(第2の実施の形態)
本実施の形態では、パターン形成装置内に光透過率を調整するアパーチャを設けて、モールドを樹脂層に押し当てた状態で光を照射する際に、アパーチャを用いて凹凸パターン部の周囲に位置する樹脂の硬化度を調整することに特徴がある。
【0039】
<パターン形成装置の構成>
本実施の形態に係るパターン形成装置400の構成について、図8を参照して説明する。図8は、パターン形成装置400の概略構成を示す図である。図8において、パターン形成装置400は、ナノインプリントを実施する構成を処理室411に収納する。この処理室411は密閉チャンバとして図示したが、開放された空間であっても構わない。
【0040】
401は凹凸パターン部402が形成されたモールドである。モールド401は一般的な光インプリント用のモールドであり、特に制限は無い。403は凹凸パターン部402の凹凸構造が転写される側の転写基材であり、転写基材403上には樹脂層404が形成されている。モールド401と転写基材403は対向して配置される。
【0041】
モールド401はモールドチャック407により保持される。モールドチャック407は、モールド401の位置決めを行うための可動式のモールドステージ408に載置されている。モールドステージ408は、例えば、XYZ軸方向の駆動と各軸まわりの回転(ωx,ωy,ωθ)が可能である。モールドチャック407は、真空吸着によってモールド401を固定するタイプや機械的にモールド401を把持するタイプであってもよい。なお、転写基材ステージ406、モールドステージ408のいずれか、あるいは双方にステップアンドリピート方式で駆動できる駆動機構(図示せず)を備えるものであってもよい。
【0042】
転写基材403は転写基材チャック405により保持される。転写基材チャック405は転写基材403の位置決めを行うための可動式の転写基材ステージ406に載置されている。転写基材ステージ406は、例えば、XYZ軸方向の駆動と各軸まわりの回転(ωx,ωy,ωθ)が可能である。なお、モールドステージ408と転写基材ステージ406は、図示しないステージ駆動手段により駆動される。
【0043】
モールド401の背面側には、樹脂層404を硬化させるための光を照射する光源410が配置されている。光源410から照射される光は、アパーチャ409とモールド401を透過して樹脂層404に照射される。光源410から照射される光はi線等の紫外線である。
【0044】
アパーチャ409は、光源410とモールド401の間に配置され、光源410から樹脂層404に照射される領域及び照射される光量を制御するために設けられている。アパーチャ409の構成例を図9に示す。図9はアパーチャ409を上面から見た平面図である。図9において、アパーチャ409は、図8に示したモールド401のパターン部402に対して照射する光を透過するための開口部409Aと、その凹凸パターン部402の周囲に位置するモールドの外周部に対して照射する光の透過率を調整する透過率調整部409Bと、を有する。
【0045】
図9に示した透過率調整部409Bの具体的な構成例を図10に示す。図10は、図9の透過率調整部409Bの構成例を示す平面図であり、図9における点線□部分で囲んだ部分を採り挙げて説明している。図10(A)は、透過率調整部409Bとしてスリットの開口幅を変化させて光透過率を制御する例を示す。この場合、複数のスリット4091が形成されている。これらのスリット4091は、凹凸パターン部側からアパーチャの外周部に向うに従い開口幅が徐々に狭くなるように設定されている。
【0046】
図10(B)は、透過率調整部409Bとしてピンホールの数を変化させて光透過率を制御する例を示す。この場合、円形状の複数のピンホール4092が形成されている。これらのピンホール4092は、凹凸パターン部側からアパーチャの外周部に向うに従い開口数が少なくなるように設定されている。
【0047】
なお、光源410をモールド401の背面側にある例について説明したが、この態様に限定されるものではない。つまり、光源410が転写基材ステージ406の背面側にある場合には、アパーチャ409を光源410と転写基材ステージ406の間に配置し、かつ転写基材403及び転写基材ステージ406が光透過性を有するように構成し、アパーチャ409に光源410から樹脂層404に照射される領域及び照射される光量を制御する機能を持たせればよい。光源410が転写基材ステージ406の背面側にある場合には、モールドの材質は幅広く選択可能となり、石英やソーダライムガラス、ホウ酸系ガラス等のガラスといった透明材料のみならず、シリコンやガリウム砒素、窒化ガリウム等の加工しやすい半導体を用いることができる。また、本発明に係るパターン形成は一括転写方式であってもよいし、ステップアンドリピート方式等の様々な方式に適用可能である。
【0048】
<パターン形成方法>
パターン形成方法について図8〜図11を参照して説明する。図11はパターン形成工程を示す図であり、図11(A)〜(D)は、パターン形成方法の各工程に係る各部の断面図である。
【0049】
(A)転写基材の準備(図11(A)参照)
転写基材401上にスピンコート法、インクジェット法等により光硬化樹脂を塗布して樹脂層402を形成する。
【0050】
(B)モールドと樹脂層の接触(図11(B)参照)
モールド401と転写基材403をそれぞれ位置決めを行った後、モールド401と樹脂層402を接触させモールド401の押圧条件等を調整して、凹凸パターン部402内に漏れなく樹脂を充填する。なお、モールド401は一般的な光インプリント用のモールドである。
【0051】
(C)樹脂層の硬化(図11(C)参照)
モールド401を樹脂層404に接触させた状態で光源410により光を照射して樹脂層404の硬化を行う。アパーチャ409の開口部409Aの内側に位置する樹脂層404は一様に硬化する。一方、アパーチャ409の開口部4Aの外側に位置し、透過率調整部409B下の樹脂層404はモールド401の外側に向かって樹脂の硬化度が低くなり、硬化不足部404Aとなる。
【0052】
(D)離型(図11(D)参照)
所定量の光を照射した後、モールド401を樹脂層404から離型し、転写基材403を転写部外へ取り出す。このとき、硬化不足部404Aが離型位置となり、スムーズな離型作業を行うことが可能になる。硬化不足部404Aは、モールド401の外周に向かって樹脂の硬化度が低くなるように形成されているため、モールド401及び樹脂層404に急峻な力が加わることが緩和される。離型作業をモールド401の外周部から行うことでよりスムーズに離型することができる。モールド401の一方の外周部から内側へ向けて離型作業を開始し、さらにその後モールド401の内側から他方の外周部へ向けて離型作業を進行させることで、離型作業で急峻な応力が発生することを抑えることができる。したがって、モールド401、及び樹脂層404と転写基材403のいずれかに破損が生じることを防止できる。
【0053】
本実施の形態に示したアパーチャ409の透過率調整部409Bは、開口幅、開口数により光透過率を制御する。上記の透過率調整部409Bは図10(A)及び(B)の態様は一例であって、これらに限定されるものではない。
【0054】
(第3の実施の形態)
本実施の形態では、パターン形成装置内に遮光用のアパーチャを有し、モールドを樹脂層に押し当てた状態で紫外線を照射する際に、アパーチャの開口の位置を変化させることによりモールド下の樹脂層の硬化度を調整することに特徴がある。
【0055】
<アパーチャの別の態様>
本実施の形態においてパターン形成装置の構成は、図7に示したものと略同様であるため、その図示及び構成説明は省略する。
【0056】
図12は、アパーチャ500の概略構成を示す平面図である。アパーチャ500は、2つのL字状の可動部材501,502により構成され、各可動部材501,502は少なくとも図の面内方向に移動可能である。モールド輪郭線A1で囲まれた領域は、モールドが配置される領域である。また、パターン領域A2は凹凸パターン部を含む領域である。この図では、可動部材501,502が離間している状態を示している。モールド輪郭線A1の内側かつパターン領域A2の外側の領域は、離型を容易にするために光透過率を調整するべき透過率調整領域A3を示している。
【0057】
2枚のL字状の可動部材501,502をそれぞれ内側に移動させ、これらを組合わせて開口部を形成する。可動部材501,502はスリットやピンホールを有していない遮光部材である。図12では、A−A線による断面におけるアパーチャを通過する仮想的な透過光強度として「透過しうる光強度」を模式的に示している。
【0058】
<アパーチャの動作>
次に、図11(C)に示したモールド401を樹脂層404に接触させた状態で光源410により光を照射して樹脂層404の硬化を行う際のアパーチャ500の動作例について図13〜図15を参照して説明する。
【0059】
(1)始点(図13参照)
図13は可動部材501,502が所定の位置に移動する前の様子を示す平面図である。2つの可動部材501,502よりも内側の領域は透過率がほぼ一様である。図13では、B−B線による断面におけるアパーチャを通過する仮想的な透過光強度「「透過しうる光強度」を模式的に示している。点線○部分は透過率調整領域A3を表している。このとき、透過率調整領域A3上には可動部材501,502が配置されておらず、光が透過できる状態である。
【0060】
(2)途中(図14参照)
図14は、可動部材501,502が所定の位置に移動している段階を示す平面図である。図14では、C−C線による断面におけるアパーチャを通過する仮想的な透過光強度「「透過しうる光強度(a.u.)」を模式的に示している。このとき、透過率調整領域A3の一部の上には可動部材501,502が配置されており、残りの一部において光が透過できる状態である。
【0061】
(3)終点(図15参照)
図15は、可動部材501,502が所定の位置に達した様子を示す平面図である。図15では、D−D線による断面におけるアパーチャを通過する仮想的な透過光強度「「透過しうる光強度(a.u.)」を模式的に示している。このとき、透過率調整領域A3全域の上には可動部材501,502が配置されており、2つのL字状の可動部材501,502により開口したパターン領域A2において光が透過できる状態である。
【0062】
以上のようなアパーチャ500の動作を経時的に行うことによって樹脂層に照射される光照射量を図16に示す。図16は樹脂層に照射される光照射量を示す図である。常に可動部材501,502の内側に存在するパターン領域A2では光の透過は制限されておらず、樹脂層404は一様に硬化する。一方、透過率調整領域A3では可動部材501,502が始点から終点に移行する過程で光照射量が均一にならず、内側にいくに従って照射量が大きくなる。したがってモールドの外側に向かって徐々に硬化率が小さくなり硬化不足部を作製することができる。
【0063】
そして、所定量の光を照射した後、モールドを樹脂層から離型する際に、硬化不足部が離型位置となり、スムーズな離型作業を行うことが可能になる。硬化不足部は、モールドの外周に向かって樹脂の硬化度が低くなるように形成されているため、モールド及び樹脂層に急峻な力が加わることが緩和される。したがって、モールド及び樹脂層のいずれかに破損が生じることを防止できる。
【0064】
なお、アパーチャ500は、2つの可動部材501,502により構成されるものを示したが、この構成に限定されるものではない。例えば、図17に示すアパーチャ600のように、4つの可動部材601〜604により構成されるものであってもよい。このアパーチャ600は、図17(A)及び(B)に示すように各可動部材601〜604が各矢印に示す方向に移動して終点に達する。また、上記の終点から始点へ移動させて上記同様の処理を行ってもよい。また、アパーチャは光源とモールドチャックの間に複数設けてもよい。
【実施例】
【0065】
(参考実験)
スライドガラス上に以下の材料からなる光硬化樹脂を滴下し、50μmのギャップを介してカバーガラスで挟んで複数の試料を作製した。
【0066】
<光硬化樹脂組成物>
参考実験及び実施例に用いた光硬化樹脂は以下のとおりである。
・ウレタンアクリレート・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35質量%
(日本合成化学工業(株)製、ゴーセラックUV−7500B)
・1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(日本化薬(株)製)・・35質量%
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(東亜合成(株)製)・・・10質量%
・ビニルピロリドン(東亜合成(株)製)・・・・・・・・・・・・・15質量%
・1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン・・・・・・・・・・・2質量%
(チパ・スペシャルテイ・ケミカルズ(株)製、「イルガキュア184」を使用)
・ベンゾフェノン(日本化薬(株)製)・・・・・・・・・・・・・・・2質量%
・ポリエーテル変性シリコーン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1質量%
(GE東芝シリコーン(株)製、TSF4440)
【0067】
試料に波長365nmの紫外線を適正露光量により規格化した露光量0.22(試料1),0.50(試料2),0.78(試料3),1.00(試料4)の条件でそれぞれ露光し、その後カバーガラスを外して各試料のショアーD硬度の測定を実施した。露光量の調整は露光する時間により行った。なお、露光後の樹脂層のシュアーD硬度は、JIS K7215に規定される測定法に従って行った。各試料とショアーD硬度は、試料1:試料2:試料3:試料4=30:43:46:50であった。適正露光量に対して露光量を小さくすることで、光硬化樹脂の硬度は小さくなった。したがって、露光量が小さいと光硬化樹脂の硬化度は低下することが分かった。
【0068】
(実施例)
厚み6.35mmの石英ガラス(65mm角)をナノインプリントモールド用基材として準備し、基材の中央部1.0mm×1.0mmの領域に深さ100nmのライン/スペースが100nm/100nmのライン形状パターンを形成し、ナノインプリントモールドを得た。このナノインプリントモールドにシランカップリング剤(信越化学工業(株)製KBM−403)からなる離型剤を表面に塗布し、ナノインプリント装置内に搬入したシリコン基板(転写基材)上に形成した上記の光硬化樹脂にナノインプリントモールドを押圧した状態で波長365nmの紫外線を照射した。初期状態として基材の中央20mm×20mmの領域に開口が存在するようにアパーチャを設定し、照射時間に伴ってナノインプリントモールドの外周側へ退避するようにアパーチャを0.5mm/secで移動させた。露光終了後、モールドを光硬化樹脂から離型した。形成されたパターンについて、欠陥率を測定した。その結果、欠陥率は0.09であり、良好なインプリント転写が行われたことが確認された。なお、欠陥率は光学顕微鏡でパターン領域内を観察し、観察箇所(1.0mm×1.0mm)内で、樹脂層の剥がれや、パターン欠損が確認できた面積の割合を測定した。したがって、この欠陥率が大きい程、欠陥が多いことを意味し、本発明では、欠陥率が0.1未満を実用レベルと判定した。
【0069】
(比較例)
実施例1と略同様の条件で、アパーチャをナノインプリントモールドの領域外に配置し、露光、離型を行った。形成されたパターンについて、欠陥率を測定した。その結果、欠陥率は0.21であり、実用レベルを満たさないことが確認された。
【0070】
以上のように、ナノインプリントモールドの外周に向かうに従って、光硬化樹脂の硬化率を低下させるように露光を行うことで、良好なインプリント転写を行うことができることが分かった。
【符号の説明】
【0071】
100,200…モールド、101,201…基材、101A,201A…凹凸パターン部、101B,201B,409B…透過率調整部、302,404…樹脂層、400…パターン形成装置、409,500,600…アパーチャ、501,502…可動部材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光インプリントによりパターンを形成するパターン形成方法、パターン形成装置、光インプリント用のナノインプリントモールド、及びナノインプリントモールドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ナノオーダーの微細加工技術としてナノインプリント技術が注目されている。このナノインプリント技術は、微細な凹凸構造を有する型部材(以下、モールドと呼ぶ)を用いて、凹凸構造を転写基材上の樹脂に押し当てた状態で樹脂を硬化させ、モールドと樹脂を引き離し(以下、離型と呼ぶ)、微細な凹凸構造を等倍転写するパターン形成技術である。
【0003】
従来のナノインプリントによるパターン形成ではモールドを樹脂から離型する際にモールドあるいは樹脂に破損が生じないように、例えば特許文献1〜3の記載された技術が提案されている。特許文献1では、凹凸パターン部を含むパターン領域の外側に位置し、かつ凹凸パターン部の凹部よりも大きいサイズ(開口寸法及び深さが大きい)を有する離型用の凹部を有するモールドと、この離型用の凹部に連通する通孔を形成したモールドを用い、通孔を通じて離型用の凹部に高圧ガスを供給するようにした離型方法等が開示されている。
【0004】
特許文献2では、凹凸パターン部の周囲に離型アシストガス導入用の貫通孔を設けたモールドを用い、貫通孔にガスを供給してモールドと樹脂の離型をアシストする方法が開示されている。
【0005】
特許文献3では、凹凸パターン部の凹部内に遮光膜を配置したモールドを用い、この遮光膜により樹脂が未硬化となった部分を作製し、離型を容易に行う方法が開示されている。
【0006】
上記特許文献1及び2では、離型時における樹脂、モールドや樹脂の破損を抑えるために、離型が開始する位置をモールドの外周部近傍に設定することで、そこを起点として離型作業を開始している。また、上記特許文献3では、凹凸パターン部に位置する樹脂に未硬化部分(あるいは分解反応部分)を形成することで離型を容易にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−24507号公報
【特許文献2】特開2008−78550号公報
【特許文献3】特開2004−304097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
樹脂とモールドの接触面積が増大すると、両者の間の密着力が高まり、離型時に発生する応力は大きくなる。モールドと転写基材の間の樹脂が略均一に硬化した系では離型による大きな応力が発生するのはモールドが樹脂から剥れていく位置(以下、離型位置と呼ぶ)である。ここで離型作業の問題点について、図18を参照して具体的に説明する。図18は離型作業における問題点を説明する模式図であり、転写基材702上の光硬化した樹脂層703からモールド701を離型工程のうち、代表的な2つの段階を挙げている。図18(A)は離型作業が開始され、モールド701と樹脂層703の間に空隙ができた段階を模式的に表しており、図18(B)は離型作業が進み、モールド701と樹脂層703が互いに離れる段階を模式的に表している。モールドチャック(ここでは図示せず)で保持されたモールド701は樹脂層703から離型する際、モールド701と樹脂層703とは常に平行度を保った状態で両者の表面が面内均一に離れていくわけではなく、図18(A)に示すようにモールド701の平行度が崩れ、少なからず傾きを持った状態となる(なお、図18では説明のためモールドの傾き具合を強調して記載している)。このようにモールド701が傾くことで、モールド701の外周部から離型が開始され、離型位置に急峻な応力が発生する。離型作業をさらに進め、モールド701と樹脂層703が互いに離れる段階おいて再度離型位置に急峻な応力が発生する。このように特許文献1〜3の離型方法では、離型位置において樹脂及びモールドに大きな力が加わるため、樹脂及びモールドのいずれか又は両方に破損が生じる虞がある。
【0009】
そこで本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、ナノインプリントモールドを樹脂から離型する際に樹脂あるいはモールドが破損するのを防止するパターン形成方法、パターン形成装置、ナノインプリントモールド、及び上記のナノインプリントモールドを製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施の形態に係るパターン形成方法は、転写基材上に光硬化樹脂からなる樹脂層を形成し、凹凸パターン部を有するモールドを前記樹脂層に押し当て、前記モールドの外周に向かうにつれ前記樹脂層に照射される光照射量が小さくなるように前記樹脂層に光を照射し、前記樹脂層に光を照射した後、前記樹脂層から前記モールドを離型し、前記樹脂層にパターン転写することを特徴とする。
【0011】
本発明の一実施の形態に係るパターン形成装置は、モールドを保持するモールドチャックと、前記モールドチャックに対向し、転写基材を配置する転写基材ステージと、前記モールドチャック側あるいは前記転写基材側の少なくともいずれか一方の側に配置され、前記転写基材ステージに配置する転写基材に光を照射する光源と、前記光源と前記転写基材ステージの間に配置され、前記転写基材ステージに照射される光照射量を制御するアパーチャと、を備え、前記アパーチャは外側に向かって光透過率が小さくなる透過率調整部を有することを特徴とする。
【0012】
本発明の一実施の形態に係るナノインプリントモールドは、基材と、前記基材の一部に配置された凹凸パターン部と、前記凹凸パターン部の周囲に配置され、該基材の外側に向かって光透過率が小さくなる透過率調整部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の一実施の形態に係るナノインプリントモールドの製造方法は、基材の一部に凹凸パターン部が形成されるパターン領域を設定し、前記パターン領域に凹凸パターン部を形成し、前記パターン領域の周囲に前記基材の外側に向かって光透過率が小さくなる透過率調整部を形成することを特徴とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、凹凸パターン部の周囲に位置する樹脂層に照射される光を制御することでナノインプリントモールドを樹脂層から離型する際の樹脂層やモールドの破損を防止することを可能にするパターン形成方法、パターン形成装置、ナノインプリントモールド、及びナノインプリントモールドの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るナノインプリントモールドの作用を説明するための模式図である。
【図2】第1の実施の形態に係るナノインプリントモールドの具体的構成を示す断面図である。
【図3】図2の透過率調整部の厚さと光透過率の関係を示す図である。
【図4】第1の実施の形態に係るナノインプリントモールドの他の具体的構成を示す断面図である。
【図5】第1の実施の形態に係るナノインプリントモールドの変形例を示す断面図であり、(A)は基材面上にある例を示す断面図(粗面化)、(B)は基材内部にある例を示す断面図(クラック)である。
【図6】第1の実施の形態に係るナノインプリントモールドの形成工程を示す図であり、(A)は基材準備工程を示す図、(B)は外形加工工程を示す図、(C)は成膜工程を示す図、(D)は不要部除去工程を示す図、(E)は凹凸パターン形成工程を示す図である。
【図7】第1の実施の形態に係るナノインプリントモールドを用いたパターン形成工程を示す図であり、(A)は基材準備工程を示す図、(B)はモールドと樹脂層の接触工程を示す図、(C)は樹脂層の硬化工程を示す図、(D)は離型工程を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係るパターン形成装置の概略構成を示す図である。
【図9】図8のアパーチャの構成を示す平面図である。
【図10】図9の透過率調整部の構成例を示す平面図であり、(A)はスリットの開口幅により光透過率を制御する透過率調整部の構成例を示す平面図、(B)はピンホールの数により光透過率を制御する透過率調整部の構成例を示す平面図である。
【図11】第2の実施の形態に係るパターン形成工程を示す図であり、(A)は基材準備工程を示す図、(B)はモールドと樹脂層の接触工程を示す図、(C)は樹脂層の硬化工程を示す図、(D)は離型工程を示す図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係るアパーチャの概略構成を示す平面図である。
【図13】可動部材が所定の位置に移動する前の様子を示す平面図である。
【図14】可動部材が所定の位置に移動している段階を示す平面図である。
【図15】可動部材が所定の位置に達した様子を示す平面図である。
【図16】樹脂層に照射される光照射量を示す図である。
【図17】第3の実施の形態に係るアパーチャの他の構成例を示す平面図であり、(A)は可動部材が所定の位置に移動している段階を示す平面図、(B)は可動部材が所定の位置に達した様子を示す平面図である。
【図18】離型作業における問題点を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施の形態)
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0017】
<ナノインプリントモールドの構成>
本実施の形態に係るナノインプリントモールド(以下、モールドと呼ぶ)100について、図面を参照して説明する。図1は、ナノインプリントモールドの作用を説明するための模式図である。図1において、モールド100は、透明な基材101と、この基材101の一方の面に形成された凹凸パターン部101Aと、基材101の内部、基材101の一方の面、あるいは基材101の他方の面に形成された透過率調整部101Bと、を有する。基材101は、例えば石英ガラス、珪酸系ガラス、フッ化カルシウム、青板ガラス、ソーダガラス等の透明基材からなり、その厚さや大きさは用途等に応じて適宜設定することができる。また、モールド100の厚み、大きさ、形状は用途に応じて適宜設定することができる。凹凸パターン部101Aは、例えば、基材101にレジスト等をマスクとして形成しておき、そのマスクの露出部にエッチング等を施して形成されたナノ(nm)オーダーの微細な凹凸構造である。
【0018】
透過率調整部101Bは、一方の面側から基材101に入射した光の透過率がモールド100の外側に向かって小さくなるようにする部分である。この透過率調整部101Bは、基材101の凹凸パターン部101Aが形成された面、基材101の凹凸パターン部101Aが形成されていない面、又は基材101の内部にあり、凹凸パターン部101Aよりも外側に配置される。
【0019】
また、図1では凹凸パターン部101Aと透過率調整部101Bにおける光透過率の関係を模式的に示している。凹凸パターン部101Aは、透過率調整部101Bに比べて光透過率が大きく、かつ光透過率は略一定である。樹脂に適正露光量で光を照射した場合、凹凸パターン部101A下の樹脂は十分硬化される。一方、透過率調整部101Bは、その光透過率がモールド100の外側に向かって小さくなるように設定されている。そのため樹脂に光を照射した場合、透過率調整部101B下の樹脂の硬化度がモールド100の外側に向かって低くなる。一般に光硬化樹脂は、硬化が進むと柔軟性が乏しくなる傾向にあるため、モールド100の外周部に位置する樹脂は、モールド100の内側に位置する樹脂と比べて柔軟性に富み、離型しやすい箇所となる。なお、図1では透過率調整部101Bに相当する部分を、その作用を説明するためにグラデーションで表現しているが、これは透過率の変化の状態を模式的に表したものであり、実際のモールド101に形成する物の状態とは異なる。具体的構成については図2を用いて後述する。
【0020】
透過率調整部101Bにおける光透過率変化の態様として、勾配A,B,Cを例として挙げて説明する。光透過率変化はこれらの態様に限定されるものではなく、モールド100の外周に行くに従い、漸次光透過率が小さくなるように設定されればよい。これらの勾配は、モールド100を樹脂層から剥がす際、離型位置で発生する力の急峻な変化を緩和するように設定される。例えば、光透過率の変化を勾配A、B又はCの何れかに設定しても、離型する際の応力集中は緩和される。特に、好ましい態様としては勾配Aのように光透過率が曲線で表現され、滑らかであることが望ましい。
【0021】
次に、透過率調整部101Bの具体的な構成について図2を参照して説明する。図2はナノインプリントモールドの具体的構成を示す断面図である。光透過率を調整する具体的な構成として、遮光膜の厚さによる光透過率を制御する構成を挙げることができる。遮光膜の材料としては、紫外線を吸収する作用がある二酸化ジルコニウム、酸化セリウム等の無機材料、トリアジン化合物、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系等の有機材料のうちの一種であってもよく、また、これらの二種以上の組み合わせからなるものであってもよい。また、遮光膜の材料としては、アルミニウム、ニッケル、コバルト、クロム、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、錫、亜鉛等の金属、シリコン等を挙げることができ、また、これらの酸化物、窒化物、合金等も使用することができる。なお、本明細書で遮光膜とは遮光性能を有する膜を意味し、光の吸収、散乱、反射により樹脂層に到達する光の一部又は全部を遮る機能を有するものを指している。また、遮光膜は複数の膜を積層してもよい。透過率調整部101Bの光学濃度ODは遮光膜の厚さに比例し、以下の式1で決定される。
OD=εcd=−log(T/100)・・・・(1)
なお、εは遮光膜の誘電率、cは光速、dは遮光膜の厚み、Tは光透過率(%)である。
【0022】
透過率調整部101Bは、例えばモールド100の内側に位置する部位の光学濃度ODを2以上となるように遮光膜の膜厚を設定し、一方モールド100の外側に位置する部位の光学濃度ODを1以下となるように遮光膜の膜厚を設定する。このようにモールド100の内側と外側の光学濃度差が1以上となるようにし、モールド100の内側と外側の間を1次直線的、曲線的、あるいは段階的に光透過率を変化させることが好ましい。遮光膜の膜厚は1次直線的、あるいは曲線的に変化させてモールド100の内側から外側へ徐々に光学濃度ODが大きくなるようにする。
【0023】
図2において、モールド100の内側に位置し、遮光膜の厚さがd0の部分の光透過率をT0とする。Lは透過率調整部101Bの幅とし、モールド100の最外周部からXの位置における遮光膜の厚さをd、光透過率をTとする。以上説明したように、下記の式2,式3が成立する。
T≧T0・・・・(2)
d≧d0・・・・(3)
例えば、d1=2×d0とした場合、最外周部の光透過率は、最も凹凸パターン部101Aに近い側の光透過率の10%になる。図中に示す最外周部からの位置Xにおける遮光膜の厚みがd=(d0/L)(L−X)のように線形関数に従って変化させれば、光透過率は、図3に示すように指数関数(曲線)で設定することができる。
【0024】
図4はナノインプリントモールドの他の具体的構成を示す断面図である。図4に示すように、遮光膜の厚さを階段状にして光透過率を制御してもよい。この場合、段数は2以上で設定すればよい。また段幅は適宜設定する。
【0025】
モールドの変形例を図5を参照して説明する。図5はナノインプリントモールドの変形例を示す断面図である。
<モールドの変形例1>
モールド200の一方の面あるいは他方の面を平均粗さRaが0.1μm〜100μmの範囲で粗面化して、透過率調整部201Bとすることができる。モールド200の内側から外側に向けて平均粗さRaが小さくなるように、サンドブラストやエッチングといった処理を行う。なお、モールド200の外周から5mmの範囲内における表面を粗面化しないようにすることが好ましい。モールド200の外周から5mm以内の表面が粗面化されていると、モールドチャックによるチャック不良が生じる虞があるからである。
【0026】
<モールドの変形例2>
モールド200の内部に微小なクラックを形成して透過率調整部101Bとすることができる。クラックを形成する厚みを例えば、モールド200の内側から外側に向かって50μm〜500μmの範囲で漸次大きくなるように設定する。モールド200の内部に微小なクラックを作製するには、レーザー光としてYAGレーザー、YLFレーザー等を用い、収斂させた部位で基材の絶縁破壊が起こるような条件でレーザー光をモールドに照射する。
【0027】
<モールドの製造方法>
モールドの製造方法について図6を参照して説明する。図6はナノインプリントモールドの形成工程を示す図であり、図6(A)〜(E)では、モールド100に用いる基材101の断面を示す。
【0028】
(A)基材の準備(図6(A)参照)
モールド100に用いる基材101を準備する。基材101は、例えば、石英、フッ化カルシウム、珪酸系ガラス等の透明材料を用いる。基材101の外形や厚みは、用途に応じて適宜設定する。
【0029】
(B)外形加工(図6(B)参照)
基材101をエッチング、研削、研磨等の加工により、図中に示す基材101の下面側の外周部を加工して、透過率調整部を配置するための切欠部102を形成する。切欠部102は後述する凹凸パターン部101Aを含む領域(パターン領域)の周囲に形成される。なお、この外形加工を行わず、所望の膜厚分布となるように成膜・エッチング等を施してもよい。
【0030】
(C)成膜(図6(C)参照)
基材101の切欠部102を形成した面に真空成膜法等により遮光膜103を成膜する。遮光膜103として前述の遮光材料を用いることができる。
【0031】
(D)不要部除去(図6(D)参照)
遮光膜103の不要部分をエッチング、研磨等により除去する。遮光膜103の残った部分は透過率調整部101Bになる。外形加工を施して遮光膜形成面を平坦にすることにより、モールド100を保持するモールドチャックによるチャック不良、モールドチャックとの接触による異物の発生等を抑えることが可能になるため有利である。また、透過率調整部101Bを基材101の内部に形成した場合は、モールド100の表面に段差が生じないため、パターン形成装置(後述する)内においてモールド100をモールドチャック(後述する)で保持する際に、モールドチャックによるチャック不良の発生を低減できる。また、透過率調整部101Bがモールドチャックと接触しないので異物が発生しない。
【0032】
(E)凹凸パターン部形成(図6(E)参照)
基材101の遮光膜103を成膜した面と反対の面(図中の上面)に、凹凸パターン部101Aを形成する。基材101上にレジスト(図示せず)を塗布し、このレジスト(図示せず)に電子線を照射した後パターニングし、レジスト(図示せず)のパターンをマスクとして基材をエッチングし、レジスト(図示せず)を除去することで凹凸パターン部101Aを形成する。以上の工程により、透過率調整部101Bを有するモールド100が完成する。
【0033】
<モールドを用いたパターン形成方法>
モールドを用いたパターン形成方法について図7を参照して説明する。図7はナノインプリントモールドを用いたパターン形成工程を示す図であり、図7(A)〜(D)は、パターン形成方法の各工程に係る各部の断面図である。
【0034】
(A)転写基材の準備(図7(A)参照)
モールドの凹凸パターン部の反転パターンが転写される転写基材301上に、光硬化樹脂をスピンコート法、インクジェット法等により塗布して樹脂層302を形成する。ここでは図5(A)に示したモールド200を用いる例について以下説明する。転写基材301は、石英やソーダライムガラス、ホウ酸系ガラス等のガラス、シリコンやガリウム砒素、窒化ガリウム等の半導体、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂基材、あるいは、これらの材料の組み合わせからなる複合材料基材からなる。転写基材301の厚み、大きさ、形状は用途に応じて適宜設定することができる。また樹脂層302は、光硬化性樹脂からなる。具体的には光ラジカル硬化樹脂やカチオン硬化樹脂等のインプリント材料からなる。
【0035】
(B)モールドと樹脂層の接触(図7(B)参照)
モールド200と転写基材301をそれぞれ位置決めを行った後、モールド200と樹脂層302を接触させてモールド200の押圧条件等を調整して、凹凸パターン部201A内に漏れなく光硬化樹脂を充填する。
【0036】
(C)樹脂層の硬化(図7(C)参照)
透過率調整部201Bを有するモールド200を樹脂層302に接触させた状態で光を照射して樹脂層302の硬化を行う。このとき、凹凸パターン部201A下に存在する樹脂層302は一様に硬化する。一方、透過率調整部202A下に存在する樹脂層302は、モールド200の外側に向かって徐々に樹脂の硬化度が低くなり、凹凸パターン部201A下の樹脂層層302に比べて硬化が不足した硬化不足部302Aとなる。
【0037】
(D)離型(図7(D)参照)
所定量の光を照射した後、モールド200を樹脂層302から離型する。このとき、硬化不足部302Aが離型位置となり、スムーズな離型作業を行うことが可能になる。離硬化不足部302Aは、モールド200の外周に向かって樹脂の硬化度が低くなるように形成されているため、モールド200及び樹脂層302と転写基材301に急峻な力が加わることが緩和される。離型作業をモールド200の外周部から行うことでよりスムーズに離型することができる。モールド200の一方の外周部から内側へ向けて離型作業を開始し、さらにその後モールド200の内側から他方の外周部へ向けて離型作業を進行させることで、離型作業で急峻な応力が発生することを抑えることができる。したがって、モールド200、及び樹脂層302と転写基材301のいずれかに破損が生じることを防止できる。
【0038】
(第2の実施の形態)
本実施の形態では、パターン形成装置内に光透過率を調整するアパーチャを設けて、モールドを樹脂層に押し当てた状態で光を照射する際に、アパーチャを用いて凹凸パターン部の周囲に位置する樹脂の硬化度を調整することに特徴がある。
【0039】
<パターン形成装置の構成>
本実施の形態に係るパターン形成装置400の構成について、図8を参照して説明する。図8は、パターン形成装置400の概略構成を示す図である。図8において、パターン形成装置400は、ナノインプリントを実施する構成を処理室411に収納する。この処理室411は密閉チャンバとして図示したが、開放された空間であっても構わない。
【0040】
401は凹凸パターン部402が形成されたモールドである。モールド401は一般的な光インプリント用のモールドであり、特に制限は無い。403は凹凸パターン部402の凹凸構造が転写される側の転写基材であり、転写基材403上には樹脂層404が形成されている。モールド401と転写基材403は対向して配置される。
【0041】
モールド401はモールドチャック407により保持される。モールドチャック407は、モールド401の位置決めを行うための可動式のモールドステージ408に載置されている。モールドステージ408は、例えば、XYZ軸方向の駆動と各軸まわりの回転(ωx,ωy,ωθ)が可能である。モールドチャック407は、真空吸着によってモールド401を固定するタイプや機械的にモールド401を把持するタイプであってもよい。なお、転写基材ステージ406、モールドステージ408のいずれか、あるいは双方にステップアンドリピート方式で駆動できる駆動機構(図示せず)を備えるものであってもよい。
【0042】
転写基材403は転写基材チャック405により保持される。転写基材チャック405は転写基材403の位置決めを行うための可動式の転写基材ステージ406に載置されている。転写基材ステージ406は、例えば、XYZ軸方向の駆動と各軸まわりの回転(ωx,ωy,ωθ)が可能である。なお、モールドステージ408と転写基材ステージ406は、図示しないステージ駆動手段により駆動される。
【0043】
モールド401の背面側には、樹脂層404を硬化させるための光を照射する光源410が配置されている。光源410から照射される光は、アパーチャ409とモールド401を透過して樹脂層404に照射される。光源410から照射される光はi線等の紫外線である。
【0044】
アパーチャ409は、光源410とモールド401の間に配置され、光源410から樹脂層404に照射される領域及び照射される光量を制御するために設けられている。アパーチャ409の構成例を図9に示す。図9はアパーチャ409を上面から見た平面図である。図9において、アパーチャ409は、図8に示したモールド401のパターン部402に対して照射する光を透過するための開口部409Aと、その凹凸パターン部402の周囲に位置するモールドの外周部に対して照射する光の透過率を調整する透過率調整部409Bと、を有する。
【0045】
図9に示した透過率調整部409Bの具体的な構成例を図10に示す。図10は、図9の透過率調整部409Bの構成例を示す平面図であり、図9における点線□部分で囲んだ部分を採り挙げて説明している。図10(A)は、透過率調整部409Bとしてスリットの開口幅を変化させて光透過率を制御する例を示す。この場合、複数のスリット4091が形成されている。これらのスリット4091は、凹凸パターン部側からアパーチャの外周部に向うに従い開口幅が徐々に狭くなるように設定されている。
【0046】
図10(B)は、透過率調整部409Bとしてピンホールの数を変化させて光透過率を制御する例を示す。この場合、円形状の複数のピンホール4092が形成されている。これらのピンホール4092は、凹凸パターン部側からアパーチャの外周部に向うに従い開口数が少なくなるように設定されている。
【0047】
なお、光源410をモールド401の背面側にある例について説明したが、この態様に限定されるものではない。つまり、光源410が転写基材ステージ406の背面側にある場合には、アパーチャ409を光源410と転写基材ステージ406の間に配置し、かつ転写基材403及び転写基材ステージ406が光透過性を有するように構成し、アパーチャ409に光源410から樹脂層404に照射される領域及び照射される光量を制御する機能を持たせればよい。光源410が転写基材ステージ406の背面側にある場合には、モールドの材質は幅広く選択可能となり、石英やソーダライムガラス、ホウ酸系ガラス等のガラスといった透明材料のみならず、シリコンやガリウム砒素、窒化ガリウム等の加工しやすい半導体を用いることができる。また、本発明に係るパターン形成は一括転写方式であってもよいし、ステップアンドリピート方式等の様々な方式に適用可能である。
【0048】
<パターン形成方法>
パターン形成方法について図8〜図11を参照して説明する。図11はパターン形成工程を示す図であり、図11(A)〜(D)は、パターン形成方法の各工程に係る各部の断面図である。
【0049】
(A)転写基材の準備(図11(A)参照)
転写基材401上にスピンコート法、インクジェット法等により光硬化樹脂を塗布して樹脂層402を形成する。
【0050】
(B)モールドと樹脂層の接触(図11(B)参照)
モールド401と転写基材403をそれぞれ位置決めを行った後、モールド401と樹脂層402を接触させモールド401の押圧条件等を調整して、凹凸パターン部402内に漏れなく樹脂を充填する。なお、モールド401は一般的な光インプリント用のモールドである。
【0051】
(C)樹脂層の硬化(図11(C)参照)
モールド401を樹脂層404に接触させた状態で光源410により光を照射して樹脂層404の硬化を行う。アパーチャ409の開口部409Aの内側に位置する樹脂層404は一様に硬化する。一方、アパーチャ409の開口部4Aの外側に位置し、透過率調整部409B下の樹脂層404はモールド401の外側に向かって樹脂の硬化度が低くなり、硬化不足部404Aとなる。
【0052】
(D)離型(図11(D)参照)
所定量の光を照射した後、モールド401を樹脂層404から離型し、転写基材403を転写部外へ取り出す。このとき、硬化不足部404Aが離型位置となり、スムーズな離型作業を行うことが可能になる。硬化不足部404Aは、モールド401の外周に向かって樹脂の硬化度が低くなるように形成されているため、モールド401及び樹脂層404に急峻な力が加わることが緩和される。離型作業をモールド401の外周部から行うことでよりスムーズに離型することができる。モールド401の一方の外周部から内側へ向けて離型作業を開始し、さらにその後モールド401の内側から他方の外周部へ向けて離型作業を進行させることで、離型作業で急峻な応力が発生することを抑えることができる。したがって、モールド401、及び樹脂層404と転写基材403のいずれかに破損が生じることを防止できる。
【0053】
本実施の形態に示したアパーチャ409の透過率調整部409Bは、開口幅、開口数により光透過率を制御する。上記の透過率調整部409Bは図10(A)及び(B)の態様は一例であって、これらに限定されるものではない。
【0054】
(第3の実施の形態)
本実施の形態では、パターン形成装置内に遮光用のアパーチャを有し、モールドを樹脂層に押し当てた状態で紫外線を照射する際に、アパーチャの開口の位置を変化させることによりモールド下の樹脂層の硬化度を調整することに特徴がある。
【0055】
<アパーチャの別の態様>
本実施の形態においてパターン形成装置の構成は、図7に示したものと略同様であるため、その図示及び構成説明は省略する。
【0056】
図12は、アパーチャ500の概略構成を示す平面図である。アパーチャ500は、2つのL字状の可動部材501,502により構成され、各可動部材501,502は少なくとも図の面内方向に移動可能である。モールド輪郭線A1で囲まれた領域は、モールドが配置される領域である。また、パターン領域A2は凹凸パターン部を含む領域である。この図では、可動部材501,502が離間している状態を示している。モールド輪郭線A1の内側かつパターン領域A2の外側の領域は、離型を容易にするために光透過率を調整するべき透過率調整領域A3を示している。
【0057】
2枚のL字状の可動部材501,502をそれぞれ内側に移動させ、これらを組合わせて開口部を形成する。可動部材501,502はスリットやピンホールを有していない遮光部材である。図12では、A−A線による断面におけるアパーチャを通過する仮想的な透過光強度として「透過しうる光強度」を模式的に示している。
【0058】
<アパーチャの動作>
次に、図11(C)に示したモールド401を樹脂層404に接触させた状態で光源410により光を照射して樹脂層404の硬化を行う際のアパーチャ500の動作例について図13〜図15を参照して説明する。
【0059】
(1)始点(図13参照)
図13は可動部材501,502が所定の位置に移動する前の様子を示す平面図である。2つの可動部材501,502よりも内側の領域は透過率がほぼ一様である。図13では、B−B線による断面におけるアパーチャを通過する仮想的な透過光強度「「透過しうる光強度」を模式的に示している。点線○部分は透過率調整領域A3を表している。このとき、透過率調整領域A3上には可動部材501,502が配置されておらず、光が透過できる状態である。
【0060】
(2)途中(図14参照)
図14は、可動部材501,502が所定の位置に移動している段階を示す平面図である。図14では、C−C線による断面におけるアパーチャを通過する仮想的な透過光強度「「透過しうる光強度(a.u.)」を模式的に示している。このとき、透過率調整領域A3の一部の上には可動部材501,502が配置されており、残りの一部において光が透過できる状態である。
【0061】
(3)終点(図15参照)
図15は、可動部材501,502が所定の位置に達した様子を示す平面図である。図15では、D−D線による断面におけるアパーチャを通過する仮想的な透過光強度「「透過しうる光強度(a.u.)」を模式的に示している。このとき、透過率調整領域A3全域の上には可動部材501,502が配置されており、2つのL字状の可動部材501,502により開口したパターン領域A2において光が透過できる状態である。
【0062】
以上のようなアパーチャ500の動作を経時的に行うことによって樹脂層に照射される光照射量を図16に示す。図16は樹脂層に照射される光照射量を示す図である。常に可動部材501,502の内側に存在するパターン領域A2では光の透過は制限されておらず、樹脂層404は一様に硬化する。一方、透過率調整領域A3では可動部材501,502が始点から終点に移行する過程で光照射量が均一にならず、内側にいくに従って照射量が大きくなる。したがってモールドの外側に向かって徐々に硬化率が小さくなり硬化不足部を作製することができる。
【0063】
そして、所定量の光を照射した後、モールドを樹脂層から離型する際に、硬化不足部が離型位置となり、スムーズな離型作業を行うことが可能になる。硬化不足部は、モールドの外周に向かって樹脂の硬化度が低くなるように形成されているため、モールド及び樹脂層に急峻な力が加わることが緩和される。したがって、モールド及び樹脂層のいずれかに破損が生じることを防止できる。
【0064】
なお、アパーチャ500は、2つの可動部材501,502により構成されるものを示したが、この構成に限定されるものではない。例えば、図17に示すアパーチャ600のように、4つの可動部材601〜604により構成されるものであってもよい。このアパーチャ600は、図17(A)及び(B)に示すように各可動部材601〜604が各矢印に示す方向に移動して終点に達する。また、上記の終点から始点へ移動させて上記同様の処理を行ってもよい。また、アパーチャは光源とモールドチャックの間に複数設けてもよい。
【実施例】
【0065】
(参考実験)
スライドガラス上に以下の材料からなる光硬化樹脂を滴下し、50μmのギャップを介してカバーガラスで挟んで複数の試料を作製した。
【0066】
<光硬化樹脂組成物>
参考実験及び実施例に用いた光硬化樹脂は以下のとおりである。
・ウレタンアクリレート・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35質量%
(日本合成化学工業(株)製、ゴーセラックUV−7500B)
・1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(日本化薬(株)製)・・35質量%
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(東亜合成(株)製)・・・10質量%
・ビニルピロリドン(東亜合成(株)製)・・・・・・・・・・・・・15質量%
・1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン・・・・・・・・・・・2質量%
(チパ・スペシャルテイ・ケミカルズ(株)製、「イルガキュア184」を使用)
・ベンゾフェノン(日本化薬(株)製)・・・・・・・・・・・・・・・2質量%
・ポリエーテル変性シリコーン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1質量%
(GE東芝シリコーン(株)製、TSF4440)
【0067】
試料に波長365nmの紫外線を適正露光量により規格化した露光量0.22(試料1),0.50(試料2),0.78(試料3),1.00(試料4)の条件でそれぞれ露光し、その後カバーガラスを外して各試料のショアーD硬度の測定を実施した。露光量の調整は露光する時間により行った。なお、露光後の樹脂層のシュアーD硬度は、JIS K7215に規定される測定法に従って行った。各試料とショアーD硬度は、試料1:試料2:試料3:試料4=30:43:46:50であった。適正露光量に対して露光量を小さくすることで、光硬化樹脂の硬度は小さくなった。したがって、露光量が小さいと光硬化樹脂の硬化度は低下することが分かった。
【0068】
(実施例)
厚み6.35mmの石英ガラス(65mm角)をナノインプリントモールド用基材として準備し、基材の中央部1.0mm×1.0mmの領域に深さ100nmのライン/スペースが100nm/100nmのライン形状パターンを形成し、ナノインプリントモールドを得た。このナノインプリントモールドにシランカップリング剤(信越化学工業(株)製KBM−403)からなる離型剤を表面に塗布し、ナノインプリント装置内に搬入したシリコン基板(転写基材)上に形成した上記の光硬化樹脂にナノインプリントモールドを押圧した状態で波長365nmの紫外線を照射した。初期状態として基材の中央20mm×20mmの領域に開口が存在するようにアパーチャを設定し、照射時間に伴ってナノインプリントモールドの外周側へ退避するようにアパーチャを0.5mm/secで移動させた。露光終了後、モールドを光硬化樹脂から離型した。形成されたパターンについて、欠陥率を測定した。その結果、欠陥率は0.09であり、良好なインプリント転写が行われたことが確認された。なお、欠陥率は光学顕微鏡でパターン領域内を観察し、観察箇所(1.0mm×1.0mm)内で、樹脂層の剥がれや、パターン欠損が確認できた面積の割合を測定した。したがって、この欠陥率が大きい程、欠陥が多いことを意味し、本発明では、欠陥率が0.1未満を実用レベルと判定した。
【0069】
(比較例)
実施例1と略同様の条件で、アパーチャをナノインプリントモールドの領域外に配置し、露光、離型を行った。形成されたパターンについて、欠陥率を測定した。その結果、欠陥率は0.21であり、実用レベルを満たさないことが確認された。
【0070】
以上のように、ナノインプリントモールドの外周に向かうに従って、光硬化樹脂の硬化率を低下させるように露光を行うことで、良好なインプリント転写を行うことができることが分かった。
【符号の説明】
【0071】
100,200…モールド、101,201…基材、101A,201A…凹凸パターン部、101B,201B,409B…透過率調整部、302,404…樹脂層、400…パターン形成装置、409,500,600…アパーチャ、501,502…可動部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写基材上に光硬化樹脂からなる樹脂層を形成し、
凹凸パターン部を有するモールドを前記樹脂層に押し当て、
前記モールドの外周部に向かうにつれ前記樹脂層に照射される光照射量が小さくなるように前記樹脂層に光を照射し、
前記樹脂層に光を照射した後、前記樹脂層から前記モールドを離型し、前記樹脂層にパターン転写することを特徴とするナノインプリントによるパターン形成方法。
【請求項2】
前記凹凸パターン部の周囲に前記モールドの外周部に向かうにつれ光透過率が低下する透過率調整部を前記モールドに形成しておき、該透過率調整部により前記樹脂層に照射される光照射量を制御することを特徴とする請求項1記載のナノインプリントによるパターン形成方法。
【請求項3】
光透過率を調整する透過率調整部を有するアパーチャを介して前記凹凸パターン部の周囲の位置する部位の前記樹脂層に光を照射して、前記凹凸パターン部の周囲の位置する部位の前記樹脂層に照射される光照射量を小さくすることを特徴とする請求項1に記載のナノインプリントによるパターン形成方法。
【請求項4】
複数の可動部材を組合わせて構成された開口部を有するアパーチャを用い、前記開口部の位置を変化させながら前記アパーチャを介して前記凹凸パターン部の周囲に位置する部位の前記樹脂層に光を照射して、前記凹凸パターン部の周囲に位置する部位の前記樹脂層に照射される光照射量を低下させることを特徴とする請求項1に記載のナノインプリントによるパターン形成方法。
【請求項5】
前記モールドの外周部から前記モールドと前記樹脂層を離型することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のナノインプリントによるパターン形成方法。
【請求項6】
モールドを保持するモールドチャックと、
前記モールドチャックに対向し、転写基材を配置する転写基材ステージと、
前記モールドチャック側あるいは前記転写基材側の少なくともいずれか一方の側に配置され、前記転写基材ステージに配置する転写基材に光を照射する光源と、
前記光源と前記転写基材ステージの間に配置され、前記転写基材ステージに照射される光照射量を制御するアパーチャと、を備え、
前記アパーチャは外側に向かって光透過率が小さくなる透過率調整部を有することを特徴とするパターン形成装置。
【請求項7】
前記透過率調整部は、前記アパーチャの外側に向かって開口幅が徐々に狭くなる複数のスリットを有することを特徴とする請求項6に記載のパターン形成装置。
【請求項8】
前記透過率調整部は、前記アパーチャの外側に向かって配置数が徐々に少なくなる複数のピンホールを有することを特徴とする請求項6に記載のパターン形成装置。
【請求項9】
基材と、
前記基材の一部に配置された凹凸パターン部と、
前記凹凸パターン部の周囲に配置され、該基材の外側に向かって光透過率が小さくなる透過率調整部と、
を備えることを特徴とするナノインプリントモールド。
【請求項10】
前記透過率調整部は、前記基材の内部に配置されることを特徴とする請求項9に記載のナノインプリントモールド。
【請求項11】
前記透過率調整部は、前記基材の外側に向かって該基材の内部に配置する光透過を阻害する部材の割合を増やした部位からなることを特徴とする請求項10に記載のナノインプリントモールド。
【請求項12】
前記透過率調整部は、遮光膜からなることを特徴とする請求項9又は10記載のナノインプリントモールド。
【請求項13】
前記遮光膜の厚さは、前記基材の外側に向かって漸次大きくなることを特徴とする請求項12に記載のナノインプリントモールド。
【請求項14】
前記透過率調整部は、前記基材の表面の粗度を前記基材の外側に向かって大きくした部位からなることを特徴とする請求項9に記載のナノインプリントモールド。
【請求項15】
基材の一部に凹凸パターン部が形成されるパターン領域を設定し、
前記パターン領域に凹凸パターン部を形成し、
前記パターン領域の周囲に前記基材の外側に向かって光透過率が小さくなる透過率調整部を形成することを特徴とするナノインプリントモールドの製造方法。
【請求項1】
転写基材上に光硬化樹脂からなる樹脂層を形成し、
凹凸パターン部を有するモールドを前記樹脂層に押し当て、
前記モールドの外周部に向かうにつれ前記樹脂層に照射される光照射量が小さくなるように前記樹脂層に光を照射し、
前記樹脂層に光を照射した後、前記樹脂層から前記モールドを離型し、前記樹脂層にパターン転写することを特徴とするナノインプリントによるパターン形成方法。
【請求項2】
前記凹凸パターン部の周囲に前記モールドの外周部に向かうにつれ光透過率が低下する透過率調整部を前記モールドに形成しておき、該透過率調整部により前記樹脂層に照射される光照射量を制御することを特徴とする請求項1記載のナノインプリントによるパターン形成方法。
【請求項3】
光透過率を調整する透過率調整部を有するアパーチャを介して前記凹凸パターン部の周囲の位置する部位の前記樹脂層に光を照射して、前記凹凸パターン部の周囲の位置する部位の前記樹脂層に照射される光照射量を小さくすることを特徴とする請求項1に記載のナノインプリントによるパターン形成方法。
【請求項4】
複数の可動部材を組合わせて構成された開口部を有するアパーチャを用い、前記開口部の位置を変化させながら前記アパーチャを介して前記凹凸パターン部の周囲に位置する部位の前記樹脂層に光を照射して、前記凹凸パターン部の周囲に位置する部位の前記樹脂層に照射される光照射量を低下させることを特徴とする請求項1に記載のナノインプリントによるパターン形成方法。
【請求項5】
前記モールドの外周部から前記モールドと前記樹脂層を離型することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のナノインプリントによるパターン形成方法。
【請求項6】
モールドを保持するモールドチャックと、
前記モールドチャックに対向し、転写基材を配置する転写基材ステージと、
前記モールドチャック側あるいは前記転写基材側の少なくともいずれか一方の側に配置され、前記転写基材ステージに配置する転写基材に光を照射する光源と、
前記光源と前記転写基材ステージの間に配置され、前記転写基材ステージに照射される光照射量を制御するアパーチャと、を備え、
前記アパーチャは外側に向かって光透過率が小さくなる透過率調整部を有することを特徴とするパターン形成装置。
【請求項7】
前記透過率調整部は、前記アパーチャの外側に向かって開口幅が徐々に狭くなる複数のスリットを有することを特徴とする請求項6に記載のパターン形成装置。
【請求項8】
前記透過率調整部は、前記アパーチャの外側に向かって配置数が徐々に少なくなる複数のピンホールを有することを特徴とする請求項6に記載のパターン形成装置。
【請求項9】
基材と、
前記基材の一部に配置された凹凸パターン部と、
前記凹凸パターン部の周囲に配置され、該基材の外側に向かって光透過率が小さくなる透過率調整部と、
を備えることを特徴とするナノインプリントモールド。
【請求項10】
前記透過率調整部は、前記基材の内部に配置されることを特徴とする請求項9に記載のナノインプリントモールド。
【請求項11】
前記透過率調整部は、前記基材の外側に向かって該基材の内部に配置する光透過を阻害する部材の割合を増やした部位からなることを特徴とする請求項10に記載のナノインプリントモールド。
【請求項12】
前記透過率調整部は、遮光膜からなることを特徴とする請求項9又は10記載のナノインプリントモールド。
【請求項13】
前記遮光膜の厚さは、前記基材の外側に向かって漸次大きくなることを特徴とする請求項12に記載のナノインプリントモールド。
【請求項14】
前記透過率調整部は、前記基材の表面の粗度を前記基材の外側に向かって大きくした部位からなることを特徴とする請求項9に記載のナノインプリントモールド。
【請求項15】
基材の一部に凹凸パターン部が形成されるパターン領域を設定し、
前記パターン領域に凹凸パターン部を形成し、
前記パターン領域の周囲に前記基材の外側に向かって光透過率が小さくなる透過率調整部を形成することを特徴とするナノインプリントモールドの製造方法。
【図4】
【図5】
【図6】
【図16】
【図18】
【図1】
【図2】
【図3】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図17】
【図5】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図17】
【公開番号】特開2011−114046(P2011−114046A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−267014(P2009−267014)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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