説明

パターン形成方法およびパターン形成装置

【課題】基板表面に光硬化性材料を含む塗布液を塗布して光照射することで基板上にパターンを形成するパターン形成技術において、ノズル周辺での塗布液の固着を防止し、しかも、塗布された塗布液に確実に光を照射して硬化させることのできる技術を提供する。
【解決手段】基板Wの表面Wfに沿って走査移動方向Dsに移動するノズルNから、光硬化性材料を含む塗布液を吐出させるとともに、ノズルNに追随するように移動させた光出射部Eから光(例えばUV光)を塗布液に照射する。塗布終了位置に到達するとノズルNからの塗布液の吐出を停止するとともにノズルNを基板表面Wfから離間する方向に退避させる。一方、光照射部Eについては走査移動方向Dsへの移動を継続することにより、塗布液の終端部にまで確実に光照射を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板表面に対して相対移動するノズルから光硬化性材料を含む塗布液を塗布してこれに光照射することで基板上にパターンを形成するパターン形成技術に関する。
【背景技術】
【0002】
基板表面に所定のパターンを形成する技術として、光硬化性材料を含む塗布液をパターン形状に合わせて塗布し、これに光(例えばUV光)を照射して硬化させる技術がある。例えば、本願出願人が先に開示した特許文献1に記載の技術では、光電変換デバイス(具体的には太陽電池)の表面に配線パターンを形成するのにこの技術を用いている。より詳しくは、この技術では、基板に対し相対移動するノズルから光硬化性樹脂を含む塗布液を基板表面に塗布するとともにこれにUV光を照射し硬化させて、配線材料を流し込むための隔壁を形成する。そして、こうして形成された隔壁に挟まれた溝部に、液状の配線材料を流し込むことにより、高アスペクトの配線パターンを基板表面に形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−278225号公報(例えば、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、塗布液の塗布およびこれへの光照射によってパターン形成する技術においては、以下のような問題が残されていた。すなわち、基板に塗布された塗布液の形状を維持したまま硬化させるには、ノズルから吐出された直後の液に光照射することが有効である。しかしながら、このようにするとノズルの吐出口周辺で塗布液が光照射により固まって固着してしまい、吐出口を詰まらせてしまうおそれがある。これを回避するためにノズルから離れた位置から光照射を行ったのでは、吐出された塗布液が周囲に流れ広がってしまい、所望の断面形状が得られなくなる。中でも粘度の比較的低い塗布液を用いる場合にこの問題が顕著である。
【0005】
また、塗布液に向けて光を出射する光出射部とノズルとの距離が離れていると、塗布終端位置でノズルからの塗布液の吐出を終了した時点では塗布液の終端部には光が十分に照射されず、硬化が不十分となって形状が崩れてしまうことがある。
【0006】
このように、従来のパターン形成技術においては、ノズル周辺での塗布液の固着の防止と、塗布された塗布液の確実な硬化とを両立させることが困難であった。
【0007】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、基板表面に光硬化性材料を含む塗布液を塗布して光照射することで基板上にパターンを形成するパターン形成技術において、ノズル周辺での塗布液の固着を防止し、しかも、塗布された塗布液に確実に光を照射して硬化させることのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明にかかるパターン形成方法は、上記目的を達成するため、基板の表面に沿ってノズルを所定の走査移動方向に相対移動させながら、前記ノズルの吐出口から光硬化性材料を含む塗布液を連続的に吐出させるとともに、前記ノズルに追随させて光出射手段を前記基板の表面に沿って前記走査移動方向に相対移動させて、前記基板に塗布された前記塗布液に光照射することで前記光硬化材料を光硬化させ、前記基板に対する前記ノズルの相対位置が所定の塗布終了位置に到達すると、前記吐出口からの前記塗布液の吐出を停止させるとともに、前記ノズルを前記基板表面に対し離間する方向に相対移動させ、前記ノズルの離間後に、前記光出射手段を前記基板に対して前記走査移動方向に相対移動させて、前記吐出口からの吐出停止により終端された前記塗布液の終端部まで光照射を行うことを特徴としている。
【0009】
このように構成された発明では、塗布液を吐出するノズルが塗布終了位置で吐出を終了するとともに基板表面から相対的に離間することで、基板表面に塗布された塗布液とノズルとが確実に切り離される。そして、光出射手段をさらに走査移動方向に相対移動させることにより、吐出停止の時点で基板上の塗布液に光が未だ照射されていない未照射部分があってもこの部分にまで光を照射して硬化させることができる。このとき、ノズルは基板表面から離間した位置に退避しているため、ノズルの吐出口の周りで塗布液に光が当たって硬化することが防止されている。
【0010】
このように、本発明によれば、ノズル周辺での塗布液の固着を防止しつつ、塗布された塗布液に確実に光を照射して硬化させることで所望の形状でパターン形成を行うことが可能である。また、ノズルの退避後も光出射手段を走査移動させて基板上の塗布液に光照射を行うことができるため、ノズルと光出射手段とを無理に近接配置する必要がなく、この点からも、ノズル周辺での塗布液の固着を効果的に防止することができる。
【0011】
このパターン形成方法において、例えば、ノズルが塗布終了位置に到達すると、ノズルの走査移動方向への基板に対する相対移動および吐出口からの塗布液の吐出を停止させてから、ノズルを基板表面から離間させるようにしてもよい。このようにすると、ノズル移動が停止した状態で吐出口からの塗布液の吐出が停止され、その後でノズルの離間が行われるため、吐出口周辺に残存する塗布液が基板に垂れ落ちたり、塗布液の終端部がノズルにより細く引き延ばされる糸引きが生じるのを防止し、パターン形状の乱れを抑制することができる。
【0012】
また、例えば、塗布液への光照射の開始から塗布液の終端部への光照射を行うまでの間、光出射手段と基板表面との間隔を一定に維持することがより好ましい。こうすることにより、塗布液に対する光照射条件が均一となり、パターンの硬化度合いを一定にするとともにその形状を適正に制御することができる。
【0013】
また、例えば、塗布液への光照射の開始から、吐出口からの塗布液の吐出停止までの間、走査移動方向におけるノズルと光出射手段との間隔を一定に維持する、つまりこの間、ノズルと光出射手段とを一体的に基板に対し相対移動させるようにしてもよい。このような動作は比較的簡単な装置構成で実現可能であり、また塗布液の吐出から光照射までの時間差が一定となるので、パターン形状を制御する上でも有効である。
【0014】
また、例えば、ノズルの位置を固定して基板を移動させることにより、基板に対するノズルの相対移動を実現するようにしてもよい。基板に対するノズルの相対移動は、基板、ノズルのいずれを移動させても実現可能であるが、ノズルを固定し基板を移動させるようにすれば、移動に伴って生じるノズルへの衝撃や振動に起因する塗布液の垂れや軌跡のブレを未然に防止することができる。
【0015】
また、この発明にかかるパターン形成装置は、上記目的を達成するため、基板を保持する基板保持手段と、光硬化性材料を含む塗布液を連続的に吐出可能な吐出口を有するノズルと、前記吐出口から吐出された前記塗布液に対し光を出射する光出射手段と、前記基板保持手段に保持された前記基板の表面に沿って前記ノズルを所定の走査移動方向に相対移動させるとともに、前記ノズルに追随させて前記光出射手段を前記基板の表面に沿って前記走査移動方向に相対移動させる移動機構とを備え、前記移動機構により前記基板に対し相対移動される前記ノズルが所定の塗布終了位置に到達すると、前記吐出口からの前記塗布液の吐出を停止するとともに、前記移動機構が前記ノズルを前記基板表面に対し離間する方向に相対移動させ、前記ノズルの離間後に、前記移動機構が前記光出射手段を前記基板に対して前記走査移動方向に相対移動させて、前記吐出口からの吐出停止により終端された前記塗布液の終端部まで光照射を行うことを特徴としている。
【0016】
このように構成された発明は、上記したパターン形成方法を実行するのに好適な装置構成を有しており、上記のように動作することにより、上記したパターン形成方法の発明と同様の効果を得ることができる。すなわち、この発明によれば、ノズル周辺での塗布液の固着を防止しつつ、塗布された塗布液に確実に光を照射して硬化させることで所望の形状でパターン形成を行うことが可能である。
【0017】
この発明において、例えば、移動機構は、光出射手段と基板表面との間隔を一定に維持しつつ光出射手段を基板に対し走査移動方向に相対移動させるようにしてもよい。これにより、塗布液に対する光照射条件を均一とすることができ、パターンの硬化度合いを一定にするとともにその形状を適正に制御することができる。
【0018】
また、例えば、移動機構は、ノズルを所定位置に固定保持する一方、基板保持手段を移動させるように構成され、基板保持手段を走査移動方向と反対方向に移動させることにより基板に対してノズルを走査移動方向に相対移動させ、基板に対するノズルの相対位置が塗布終了位置に達すると、基板保持手段をノズルから離間する方向に移動させるようにしてもよい。
【0019】
ノズルを固定し基板を移動させることにより、上記したように、ノズルへの衝撃や振動に起因する液垂れや軌跡のブレを防止することができる。また、ノズルが塗布終了位置に達すると基板保持手段をノズルから離間させることにより、ノズルからの液垂れや糸引きを確実に防止することができる。
【0020】
この場合において、例えば、移動機構は、走査移動方向には光出射手段をノズルと一体的に支持する一方、基板表面に対し接近・離間する接離方向には光出射手段をノズルに対し移動自在に支持し、基板保持手段がノズルから離間する方向に移動するときに、基板保持手段に追随させて光出射手段を移動させるようにしてもよい。
【0021】
このようにすれば、走査移動方向にはノズルと光出射手段とが基板表面に対し一体的に走査移動する一方、基板保持手段がノズルから離間移動する際には光出射手段もこれに追随するので、光出射手段と基板との間隔を一定に維持することができ、光照射条件の変動を防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
この発明にかかるパターン形成方法およびパターン形成装置では、ノズルからの塗布液の吐出終了後にノズルを基板表面から離間させるとともに、光出射手段をさらに走査移動させて光照射を継続することにより、ノズル周辺での塗布液の固着を防止しつつ、塗布された塗布液に確実に光を照射して硬化させることで所望の形状でパターン形成を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明にかかるパターン形成方法における処理内容を模式的に示す第1の図である。
【図2】この発明にかかるパターン形成方法における処理内容を模式的に示す第2の図である。
【図3】このプロセスにおけるノズルと光出射部の軌跡を示す図である。
【図4】この発明にかかるパターン形成装置の一実施形態を示す図である。
【図5】シリンジポンプの構造を示す図である。
【図6】シリンジポンプによる材料塗布の様子を模式的に示す図である。
【図7】図4の装置におけるパターン形成処理の一態様を示すフローチャートである。
【図8】図7の処理における装置各部の動作を示すタイミングチャートである。
【図9】本発明にかかるパターン形成装置の他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
最初に、この発明にかかるパターン形成方法の原理について、図1ないし図3を参照して説明する。本発明を適用したパターン形成方法では、ステージ上に略水平に載置された基板の表面に沿って、光硬化性を有するパターン材料を含む塗布液を吐出するノズルと、該塗布液に光を照射する光出射部とを相対的に走査移動することにより、基板表面に塗布液が硬化してなるパターンを形成する。なお、ノズルおよび光出射部の基板に対する相対移動は、ノズルおよび光出射部の移動、基板の移動のいずれによっても実現可能であるが、ここではより原理を理解しやすい、基板を固定しノズルおよび光出射部を移動させる場合を採り上げて説明する。
【0025】
図1および図2は、この発明にかかるパターン形成方法における処理内容を模式的に示す図である。塗布開始前の時点では、図1(a)に示すように、略水平状態に保持された基板Wの表面Wfの一方端部側の上部に、下端の吐出口から塗布液を吐出可能なノズルNと、光、例えばUV光(紫外線)を下端から出射する光出射部Eとを配置する。そして、図1(b)に示すように、ノズルNからの塗布液Pの吐出および光出射部Eからの光Lの出射を開始する。これとほぼ同時に、矢印方向DsへのノズルNの走査移動を開始するとともに、ノズルNに追随するように光出射部Eを矢印方向Dsへ移動させる。これによって、ノズルNと光出射部Eとが一体的に基板Wに対し矢印方向Dsへ走査移動する。このため、光硬化性材料を含む塗布液Pが基板Wの表面Wfに塗布されるとともに、基板表面Wf上で塗布直後の塗布液PにUV光Lが照射され、塗布液が光硬化する。
【0026】
図1(c)に示すように、ノズルNから塗布液Pを連続的に吐出させながらノズルNを走査移動させ、これに追随する光出射部Eからの光Lを塗布液Pに照射することで、基板表面Wfには塗布液が光硬化してなるライン状のパターンが形成される。
【0027】
ここで、図1(d)に示すように、ノズルNが予め定められた塗布終了位置、例えば基板Wの他方端の近傍まで移動してきたときを考える。塗布終了位置ではノズルNからの塗布液Pの吐出を停止させるが、このとき吐出停止とともに単にノズルNの走査移動を停止させたとき、次のような問題がある。
【0028】
第1に、ノズルNからの塗布液の吐出を停止させたとしても、吐出口の周辺にはまだ塗布液が残存しており、これが基板表面Wfに垂れ落ちてしまうおそれがある。このことは、パターンの終端部が本来の太さよりも太くなりパターン形状が乱れる原因となる。第2に、ノズルNに追随する光出射部Eからの光がパターンの終端部にまで当たらず、硬化が不十分となってしまうおそれがある。
【0029】
上記した第1の問題を解消するためには、吐出停止とほぼ同時にノズルNを基板表面Wfから素早く離間させることが有効である。一方、第2の問題を解消する策としては、ノズルNと光出射部Eとを近接配置することにより、ノズルNから吐出される塗布液の基板表面Wfにおける着液位置と、光出射部Eから出射される光による基板表面Wfにおける照射位置とを近づけることが考えられる。
【0030】
しかしながら、このようにした場合、ノズルNの吐出口近傍で塗布液に光が照射され、ノズル周辺、特に吐出口の周りで塗布液が固まってしまいノズルNを詰まらせるという新たな問題が生じうる。また、塗布終了位置でノズルNを基板表面Wfから離間させる際に、塗布液がその表面張力によりノズルNと基板表面Wfとの間で糸状に細く延びた状態で固まってしまう現象(ここではこの現象を「糸引き」と称する)が起きる可能性もある。
【0031】
このように、従来技術のようにノズルNと光出射部Eとを一体的に基板Wに対し走査移動させる構成においては、ノズルNと光出射部Eとを近接配置するとノズルNへの塗布液の固着が生じやすくなる一方、これらの距離を離すと特にパターン終端部で光照射が不十分になりやすいという、相反する課題が残されていた。
【0032】
この発明のパターン形成方法では、このような問題を解消するため、パターンの終端部を次のようにして形成している。すなわち、図2(a)に示すように、ノズルNからの塗布液の吐出を停止すると同時に、またはその直後に、ノズルNを基板表面Wfから離間する方向(図の例では上方)に移動させる。一方、図2(b)に示すように、その後も光出射部Eの矢印方向Dsへの走査移動を継続させ、図2(c)に示すように、基板表面Wfに塗布された塗布液Pの終端部Peまで確実に光照射を行ってから、光出射部Eの走査移動を終了させる。
【0033】
図3はこのプロセスにおけるノズルと光出射部の軌跡を示す図である。図3(a)に実線矢印で示すように、このパターン形成方法による一連のプロセスにおいて、ノズルNの吐出口先端の軌跡は、塗布開始位置から塗布終了位置まで基板表面Wfに沿って略水平な線を描き、塗布終了位置で上向きに転じる。これにより、塗布終了位置では、基板上の塗布液PからノズルNが素早く切り離されて、パターンの太さが増大したり、糸引きを生じるなどの問題が回避される。
【0034】
一方、光出射部Eについては、図3(a)に破線矢印で示すように、基板表面Wfとの間隔を一定に維持した状態で走査移動方向Dsに移動する。これにより、基板Wに塗布された塗布液Pに対して、その始端から終端まで一定の照射条件で光照射が行われる。これにより、断面形状の安定したパターンを形成することができる。また、パターンの終端部にまで確実に光照射が行われることで、終端部におけるパターンの硬化不足を防止することができる。そのため、ノズルNと光出射部Eとを極端に近接させて配置する必要はなく、ノズルNの吐出口周辺で塗布液に光が照射されて硬化しノズルを詰まらせることが防止される。
【0035】
このように、この発明にかかるパターン形成方法によれば、従来技術では困難であった、ノズルにおける塗布液の固着防止作用と、塗布液の終端部まで光照射して形状の安定したパターンを形成するという作用とを両立させることが可能となっている。
【0036】
なお、塗布終了位置でノズルNからの塗布液の吐出を停止した後、ノズルNを基板表面Wfから離間させる方向については、図3(a)に示すような基板表面Wfに対し垂直な方向に限定されるものではない。例えば図3(b)および図3(c)に実線矢印で示すように、上向きへの移動と走査移動方向Dsへの移動とを組み合わせてノズルNを退避させるようにしてもよい。図3(b)の例では、塗布液の吐出終了後に光出射部Eが方向Dsへの走査移動を継続するときに、ノズルNが上方に退避しつつ光出射部Eと同じ速度で走査移動方向Dsへ移動するようにしている。また、図3(c)の例では、ノズルNが上方に退避した後、光出射部Eと同じ速度で走査移動方向Dsへ移動するようにしている。これらの例では、次のような利点がある。
【0037】
このとき、光出射部Eの走査移動が終了した時点、つまりプロセス終了時におけるノズルNと光出射部Eとの走査移動方向Dsにおける距離Dは、塗布開始時および走査移動中における両者の距離と変わらない。したがって、ノズルNと光出射部Eとは、走査移動方向Dsに対しては一体的に移動する一方、基板表面Wfに対し接近・離間する接離方向(この例では上下方向)にのみ相対位置が変化するように構成されればよいこととなる。このため、ノズルNおよび光出射部Eを保持しまたは基板Wに対し相対移動させるための装置構成を、比較的簡単なものとすることが可能となる。この点を鑑みた本発明のパターン形成装置の実施形態における具体的な装置構成について、次に説明する。
【0038】
なお、上記した原理説明では基板Wを固定しノズルNおよび光出射部Eを走査移動させていたが、実際のプロセスにおいては、ノズルNを固定し基板Wを移動させる方が好ましい。その理由は、塗布液を吐出するノズルNを移動させる構成では該移動やその停止に伴ってノズルNに衝撃や振動が不可避的に加わるため、これに起因するノズルNからの液垂れや、形成されるパターンの直線性の低下(ブレ)を生じてしまうからである。以下に説明する本発明の実施形態では、ノズルについては位置を変化させず、基板および光出射部を移動制御することにより上記の動作を実現している。
【0039】
図4はこの発明にかかるパターン形成装置の一実施形態を示す図である。このパターン形成装置1は、例えば表面に光電変換層を形成された単結晶シリコンウエハなどの基板W上に導電性を有する電極配線パターンを形成し、あるいは特許文献1に記載されたように該電極配線パターンを形成するための隔壁を形成することで、例えば太陽電池として利用される光電変換デバイスを製造するための装置である。説明の便宜上、図4に示すように各座標軸を設定するものとする。
【0040】
このパターン形成装置1では、基台101上にステージ移動機構2が設けられ、基板Wを保持するステージ3がステージ移動機構2により図1に示すX−Y平面内で移動可能となっている。基台101にはステージ3を跨ぐようにしてフレーム102が固定され、フレーム102にはヘッド部5が取り付けられる。ヘッド部5のベース51には、内部空間に液状(ペースト状)の塗布液を貯留するとともに該塗布液を基板W上に吐出するシリンジポンプ52と、基板Wに向けてUV光(紫外線)を照射する光出射部53とが取り付けられている。
【0041】
詳しくは後述するが、シリンジポンプ52は電極パターンの材料を含む塗布液を内部に貯留し、制御部6からの制御指令に応じて該塗布液を吐出ノズル523から基板W上に吐出する。例えば電極配線パターン形成用の塗布液としては、導電性および光硬化性を有し、例えば導電性粒子、有機ビヒクル(溶剤、樹脂、増粘剤等の混合物)および光重合開始剤を含むペースト状の混合液を用いることができる。導電性粒子は電極の材料たる例えば銀粉末であり、有機ビヒクルは樹脂材料としてのエチルセルロースと有機溶剤を含む。なお、塗布液は導電性粒子を含むものに限定されず、例えば上記した隔壁を形成するための材料を含むものであってもよい。
【0042】
光出射部53は、光出射部昇降機構533を介してベース51に取り付けられている。光出射部昇降機構533は、制御部6によって駆動制御される圧電素子、ボールねじ機構またはソレノイド等のアクチュエータにより、光出射部53を上下方向(Z方向)に昇降させるものである。この光出射部昇降機構533の作動により、この実施形態では、光出射部53の基板Wとの間隔を調整することが可能となっている。
【0043】
光出射部53は、紫外線を発生する光源ユニット532に光ファイバ531を介して接続される。図示を省略しているが、光源ユニット532はその光出射部に開閉自在のシャッターを有しており、その開閉および開度によって出射光のオン・オフおよび光量を制御することができる。光源ユニット532は制御部6により制御されている。基板Wに塗布された塗布液に対して光出射部53からUV光を照射することにより、塗布直後の断面形状が維持された状態で塗布液が硬化する。なお、光源ユニット532としては、紫外線を発生する光源、例えば高圧水銀ランプや低圧水銀ランプ、LED(発光ダイオード)を有するものなどを用いることができる。
【0044】
ステージ移動機構2は、下段からステージ3をX方向に移動させるX方向移動機構21、Y方向に移動させるY方向移動機構22、およびZ方向を向く軸を中心に回転させるθ回転機構23を有する。X方向移動機構21は、モータ211にボールねじ212が接続され、さらに、Y方向移動機構22に固定されたナット213がボールねじ212に取り付けられた構造となっている。ボールねじ212の上方にはガイドレール214が固定され、モータ211が回転すると、ナット213とともにY方向移動機構22がガイドレール214に沿ってX方向に滑らかに移動する。
【0045】
Y方向移動機構22もモータ221、ボールねじ機構およびガイドレール224を有し、モータ221が回転するとボールねじ機構によりθ回転機構23がガイドレール224に沿ってY方向に移動する。θ回転機構23はモータ231によりステージ3をZ方向を向く軸を中心に回転させる。以上の構成により、ヘッド部5の基板Wに対する相対的な移動方向および向きが変更可能とされる。ステージ移動機構2の各モータは、装置各部の動作を制御する制御部6により制御される。
【0046】
さらに、θ回転機構23とステージ3との間には、ステージ昇降機構24が設けられている。ステージ昇降機構24は、制御部6からの制御指令に応じてステージ3を昇降させ、基板Wを指定された高さ(Z方向位置)に位置決めする。ステージ昇降機構24としては、例えばソレノイドや圧電素子などのアクチュエータによるもの、ボールねじ機構やギヤによるもの、楔の噛み合わせによるものなどを用いることができる。
【0047】
図5はシリンジポンプの構造を示す図である。より具体的には、図5(a)はヘッド部5に設けられたシリンジポンプ52の内部構造を示す側面図であり、図5(b)はシリンジポンプ52下面に設けられた吐出ノズルの構造を示す図である。また、図5(c)はシリンジポンプ52と光出射部53との位置関係を模式的に示す図である。シリンジポンプ52の筐体521の内部は、上端が上方に向かって開口し、下端が筐体521の下面522に設けられた吐出ノズル523に連通する空洞となっている。該空洞の上端の開口部から、制御部6からの制御指令に応じて上下動するプランジャ524が挿入されている。
【0048】
こうして筐体521の内壁とプランジャ524とで形成される筐体521の内部空間SPに、所定の組成を有する塗布液が貯留されており、制御部6からの制御指令によってプランジャ524が押し下げられると、内部空間SPに連通する吐出ノズル523の下端で下向きに開口する吐出口525から塗布液が連続的に吐出される。
【0049】
図5(b)に示すように、シリンジポンプ52の下面522には、Y方向に所定の距離だけ離隔して複数の吐出ノズル523が設けられている。各吐出ノズル523の吐出口525の開口形状は略長方形で、その1辺の長さは塗布すべき塗布液の線幅とほぼ同じとされる。これらは形成すべきパターンのサイズや断面形状、配列ピッチ等に応じて適宜変更することができる。
【0050】
図5(c)に示すように、光出射部53は吐出ノズル523に近接して配置される。光出射部53は例えばステンレスのような金属ブロックから削り出されたものであり、内部に光ファイバ531を挿通するための貫通孔534が設けられている。そして、この貫通孔534に光ファイバ531が挿通されて、その端面が光出射部53下面の開口部535に露出している。このような構成により、光源ユニット532において発生されたUV光が光ファイバ531を介して基板Wの表面Wfに向けて出射される。このとき、出射される光Lの出射方向は、吐出直後の液に光照射を行うべく吐出ノズル523直下の基板表面Wfに向けて、しかし吐出ノズル523の吐出口525に当たらないように設定される。
【0051】
なお、図に示されるように光出射部53からの光Lは広がりを有しているため、「吐出口525に光が当たらない」ための条件を一義的に定めるのは難しい。しかし、実用的には、例えば、吐出口525の開口端における光強度が光軸中心における光強度の1/e(eは自然対数の底)よりも小さければ、「光が当たらない」と見なすことができる。このように、吐出口525における照射光Lの光強度を十分に小さくしておくことで、吐出口525周辺に塗布液が固着してノズルを詰まらせるのを防止することができる。
【0052】
図6はシリンジポンプ52による材料塗布の様子を模式的に示す図である。図6に示すように、この塗布装置1では、制御部6が予め作成された制御プログラムに従い、ステージ3に載置した基板WをXY平面内で水平移動させながら各吐出ノズル523の吐出口525から塗布液Pを吐出させることで、基板W上に所定の線状パターンを形成することができる。複数の吐出口525をY方向に並べて設けることにより、Y方向に互いに離隔した互いに平行な複数本の線状パターンを1度の走査移動で形成することができる。ここで、ステージ3を(+X)方向に移動させたときのステージ3に対する吐出ノズル523の相対移動方向、すなわち(−X)方向を、吐出ノズル523の走査移動方向Dsとする。
【0053】
このように構成されたパターン形成装置1では、基板W上に吐出した塗布液による互いに平行な細いライン状(線状)のパターンを多数形成することができる。また、塗布直後の塗布液を光照射により硬化させるので、塗布直後の断面形状が維持され、吐出口525の開口形状を適宜に選択することで、幅に対する高さの比、すなわちアスペクト比の高いパターンを形成することが可能である。
【0054】
図7は図4の装置におけるパターン形成処理の一態様を示すフローチャートである。また、図8は図7の処理における装置各部の動作を示すタイミングチャートである。この動作では最初に、処理対象となる基板Wを上記のパターン形成装置1に搬入し、パターン形成面である表面Wfを上向きにしてステージ3に載置する(ステップS101)。次いで、ステージ3を初期位置に移動させることにより、基板Wに対する吐出ノズル523および光出射部53の相対位置を所定の塗布開始位置(図1(a)に示す位置)に位置決めする(ステップS102)。
【0055】
この状態から、時刻T0(図8)において、ステージ3の駆動を開始して基板Wの移動を開始するとともに、吐出ノズル523からの塗布液の吐出および光出射部53からの光出射を開始する(ステップS103)。図8に示すように、この時刻T0において、ステージ3はステージ昇降機構24により比較的高い位置に位置決めされている。このため、ステージ3に載置された基板Wから見たときの吐出ノズル523および光出射部53の高さは比較的低い。つまり、これらが基板表面Wfに近接した位置にある。
【0056】
こうして吐出ノズル523から一定量の塗布液の吐出および光出射部53からの光出射を連続的に行いながら、ステージ3に対する吐出ノズル523の位置が所定の塗布終了位置(図1(d)に示す位置)に到達するまで、一定速度でステージ3の移動を継続する(ステップS104)。
【0057】
時刻T1において吐出ノズル523が塗布終了位置に達すると、吐出ノズル523からの塗布液の吐出およびステージ3の移動を停止させる(ステップS105)。これとほぼ同時に、またはこれより僅かに遅れて、ステージ昇降機構24によりステージ3を下降させる。このとき、ステージ昇降機構24と同期させて光出射部昇降機構533を作動させることにより、ステージ3の下降に追随させて光出射部53も下降させる。こうすることにより、ステージ3および光出射部53を下方へ移動させる(ステップS106)。図8に示すように、ステージ3が下方へ移動することにより、基板Wから見た吐出ノズル523の高さはそれまでの比較的低い位置からより高い位置に変化するが、光出射部53はステージ53の下降に追随して下降しているため、基板Wから見た高さは変わっていない。
【0058】
このことは、ステージ3に載置された基板Wおよび光出射部53に対して吐出ノズル523を上方へ退避させるのと相対的には同じである。ただし、吐出ノズル523を固定していることにより、前述したとおり、ノズルの振動に起因する液垂れを防止しつつ、基板W上の塗布液と吐出ノズル523(より詳しくは吐出口525)とを切り離すことができる。
【0059】
なお、塗布終了位置において、ステージ3の移動を停止させることは必須の要件ではない。すなわち、吐出ノズル523からの塗布液の吐出を停止し吐出ノズル523を退避させる一方で、X方向へのステージ3の移動についてはそのまま継続させてもよい。こうすることで、ステージ3停止に伴う1箇所への集中的な光照射を回避することができる。ただし、吐出口525への塗布液の固着を防止するという目的からは、塗布液の吐出とともにステージ3の移動を塗布液の吐出とともにいったん停止させてから吐出ノズル523を退避させるようにした方が、より確実に基板W上の塗布液とノズルとを切り離すことができる点で好ましい。
【0060】
続いてステージ3の移動を再開し(ステップS107、時刻T2)、光出射部53が基板W上において塗布終了位置よりも外側の照射終了位置に到達するまでステージ3の移動を継続する(ステップS108)。この間、光出射部53からのUV光の出射を継続させる。時刻T3において光出射部53が照射終了位置に到達すると、光出射部53からの光出射を停止するとともに、ステージ3の移動を停止する(ステップS109)。この時点では、図2(c)に示すように、基板表面Wfに塗布された塗布液Pの終端部Peまで光が照射されて、パターン全体が一様に硬化する。なお、図2(c)の原理図では、塗布終了位置到達後のノズルNは真上へ退避した位置で停止しているが、上記構成の装置および動作においては、吐出ノズル523は真上へ退避した後、光出射部53とともにさらに水平方向へ移動することになる。つまり、吐出ノズル523の軌跡は、図3(c)に示すものとなる。この場合、吐出ノズル523は基板W上の塗布液から既に分離されており、パターンの形状には影響しない。
【0061】
以上のように、この実施形態のパターン形成装置1およびそれを用いたパターン形成方法では、基板Wに対し基板表面Wfに沿って相対移動する吐出ノズル523から光硬化性材料を含む塗布液を吐出して基板表面Wfに塗布するとともに、吐出ノズル523を追随するように基板表面Wfに沿って相対移動する光出射部53から基板上の塗布液にUV光を照射することで塗布液を光硬化させてパターンを形成する。これにより、塗布直後の塗布液の断面形状を保持したパターンを形成することが可能であり、例えば断面の幅に対する高さの大きい高アスペクト比のパターン形成を行うという目的に好適に適用することができる。
【0062】
この場合において、吐出ノズル523と光出射部53とは完全に一体化されているのではなく、必要に応じて両者の位置関係を変化させることが可能な構成となっている。すなわち、吐出ノズル523が塗布終了位置に到達すると、塗布液の吐出を停止させて吐出ノズル523を基板表面Wfから離間する方向に退避させる一方で、光出射部53については基板表面Wfに近接させた状態でさらに走査移動を行う。これにより、塗布液の終端部Peまで確実に光照射が行われ、パターン全体を一様に硬化させることができる。そのため、パターン終端部において光照射量が不足することにより硬化が不十分となる問題を回避することができる。
【0063】
また、このとき塗布液の吐出を停止した吐出ノズル523については基板表面Wfから離間退避させて基板上の塗布液から切り離しているので、吐出口525の周辺で塗布液が光硬化により固着したり、パターン終端部に糸引きを生じるなどの問題が未然に防止されている。すなわち、この実施形態によれば、ノズルにおける塗布液の固着防止作用と、塗布液の終端部まで光照射して形状の安定したパターンを形成するという作用とを両立させることが可能となっている。
【0064】
以上説明したように、この実施形態においては、吐出ノズル523が本発明の「ノズル」として機能しており、光出射部53が本発明の「光出射手段」として機能している。また、ステージ3が本発明の「基板保持手段」として機能するとともに、ステージ移動機構2および光出射部移動機構533が一体として本発明の「移動機構」として機能している。
【0065】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、本発明における「塗布終了後のノズルを基板表面から離間させる一方、光出射手段の走査移動を継続させる」という技術思想を実現するため、上記実施形態では、吐出ノズル523をベース51に固定する一方、光出射部53を昇降機構533によりベース51に対し昇降自在に設けるようにしている。しかしながら、当該思想を実現するための構成はこれに限定されるものではなく、例えば次のようにしても構わない。
【0066】
図9は本発明にかかるパターン形成装置の他の実施形態を示す図である。より具体的には、図9(a)はこの発明にかかるパターン形成装置の第2実施形態におけるヘッド部を示す図である。この実施形態におけるヘッド部7は、第1実施形態の装置におけるヘッド部5に代えて図4の装置に装着可能なものであり、ベース71にシリンジポンプ72が固定されている点は第1実施形態と同様である。ただし、光出射部73を保持する光出射部昇降機構733は、ボールねじ機構736によりX方向に移動自在の支持ブロック737に取り付けられている。光出射部昇降機構733およびボールねじ機構736により、図9(a)に点線矢印で示すように、光出射部73はX軸、Z軸の2軸方向に移動可能となっている。
【0067】
この構成によれば、図3に示す2つの動作態様のいずれをも実現可能である。また、ステージ3の停止後、ボールねじ機構736により光出射部73を駆動することにより走査移動方向Dsへの移動が可能であるため、ステージ3の移動を再開する必要がない。このため、吐出ノズル723と基板Wとの関係においては走査移動方向への移動を停止させつつ、光出射部73と基板Wとの関係においては走査移動方向への移動を継続することができる。
【0068】
また、図3に示すように、光出射部Eの動きに着目すると、単に基板表面Wfに平行な直線運動をするのみである。したがって、光出射部Eが基板表面Wfに沿った方向(ここでは水平方向)にはノズルNに追随する一方、基板表面Wfに対して接近・離間する接離方向(ここでは鉛直方向)には基板Wに追随して動くようにできれば、必ずしもこれを駆動するための能動的な機構を要しない。例えば図9(b)に示す機構により、このような動作が可能である。
【0069】
図9(b)はこの発明にかかるパターン形成装置の第3実施形態におけるヘッド部を示す図である。なお、この実施形態では光出射部に所望の動きをさせるための構成に特徴があるので、ベース81に設けられるシリンジポンプについては記載を省略する。この実施形態におけるヘッド部8には支持プレート82が設けられ、図示を省略しているが光照射部はこの支持プレート82の下面に固定されている。支持プレート82には1対の貫通孔821が穿設されており、ベース81の下面から突設された1対の規制ピン811がこの貫通孔821に挿通されている。このため、支持プレート82は、水平方向(X方向、Y方向)には移動が規制される一方、上下方向(Z方向)には所定の範囲で上下動自在となっている。
【0070】
そして、支持プレート82の下面両端部は、ステージ3の側面にX方向(走査移動方向に平行な方向)に延設された1対のスライドレール83によって下方から摺動自在に支持されている。このような構成によれば、支持プレート83は、ステージ3のX方向への移動に対しては一定の位置を保持する一方、ステージ3のZ方向への移動に追随して上下動可能となっている。
【0071】
したがって、ベース81にノズルを固定する一方、支持プレート82に光照射部を固定することにより、第1実施形態の装置と同様の動作、つまり走査移動方向についてはノズルと光照射部との間隔を一定に維持しつつ、接離方向には基板と光照射部との間隔を一定に維持することが可能となる。
【0072】
なお、部材間の摺動に起因して生じるパーティクルが基板Wに付着するのを抑制するために、図9(b)に示すように、上記動作を実現するための貫通孔821、規制ピン811およびスライドレール83等については、ステージ3に載置される基板Wの上方から離れた位置に設けられることが望ましい。
【0073】
また、上記実施形態では吐出ノズル523を固定した状態で基板Wを載置するステージ3を移動させることで、水平方向および上下方向における吐出ノズル523と基板Wとの相対移動を実現しているが、吐出ノズル523を移動させるようにしてもよい。ただし、ノズルを固定した状態でも上記のようにパターン端部近傍において吐出量が変動することから、ノズルを動かしたり振動を与えることは好ましくなく、この意味においては、上記実施形態のように基板Wを移動させる構成がより好ましい。
【0074】
また、上記各実施形態では基板Wの片面にのみ配線を形成しているが、基板Wの両面に配線を形成する場合にも、本発明を適用することが可能である。
【0075】
また、上記各実施形態ではシリコン基板上に所定の電極配線パターンを形成して太陽電池としての光電変換デバイスを製造しているが、基板はシリコンに限定されるものではない。例えば、ガラス基板上に形成された薄膜太陽電池や、太陽電池以外のデバイスにパターンを形成する際にも、本発明を適用することが可能である。また、塗布により形成すべきパターンの用途についても特に限定することなく、任意のものに本発明を適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0076】
この発明は、基板上に光硬化性材料を含む塗布液を塗布して光照射することで所定のパターンを安定して形成するための技術に対して、特に好適に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0077】
2 ステージ移動機構(移動機構)
3 ステージ(基板保持手段)
52 シリンジポンプ
53 光出射部(光出射手段)
523 吐出ノズル(ノズル)
525 吐出口
Ds 走査移動方向
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面に沿ってノズルを所定の走査移動方向に相対移動させながら、前記ノズルの吐出口から光硬化性材料を含む塗布液を連続的に吐出させるとともに、前記ノズルに追随させて光出射手段を前記基板の表面に沿って前記走査移動方向に相対移動させて、前記基板に塗布された前記塗布液に光照射することで前記光硬化材料を光硬化させ、
前記基板に対する前記ノズルの相対位置が所定の塗布終了位置に到達すると、前記吐出口からの前記塗布液の吐出を停止させるとともに、前記ノズルを前記基板表面に対し離間する方向に相対移動させ、
前記ノズルの離間後に、前記光出射手段を前記基板に対して前記走査移動方向に相対移動させて、前記吐出口からの吐出停止により終端された前記塗布液の終端部まで光照射を行う
ことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
前記ノズルが前記塗布終了位置に到達すると、前記ノズルの前記走査移動方向への前記基板に対する相対移動および前記吐出口からの前記塗布液の吐出を停止させてから、前記ノズルを前記基板表面から離間させる請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
前記塗布液への光照射の開始から前記塗布液の前記終端部への光照射を行うまでの間、前記光出射手段と前記基板表面との間隔を一定に維持する請求項1または2に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
前記塗布液への光照射の開始から、前記吐出口からの前記塗布液の吐出停止までの間、前記走査移動方向における前記ノズルと前記光出射手段との間隔を一定に維持する請求項1ないし3のいずれかに記載のパターン形成方法。
【請求項5】
前記ノズルの位置を固定して前記基板を移動させることにより、前記基板に対する前記ノズルの相対移動を実現する請求項1ないし4のいずれかに記載のパターン形成方法。
【請求項6】
基板を保持する基板保持手段と、
光硬化性材料を含む塗布液を連続的に吐出可能な吐出口を有するノズルと、
前記吐出口から吐出された前記塗布液に対し光を出射する光出射手段と、
前記基板保持手段に保持された前記基板の表面に沿って前記ノズルを所定の走査移動方向に相対移動させるとともに、前記ノズルに追随させて前記光出射手段を前記基板の表面に沿って前記走査移動方向に相対移動させる移動機構と
を備え、
前記移動機構により前記基板に対し相対移動される前記ノズルが所定の塗布終了位置に到達すると、前記吐出口からの前記塗布液の吐出を停止するとともに、前記移動機構が前記ノズルを前記基板表面に対し離間する方向に相対移動させ、
前記ノズルの離間後に、前記移動機構が前記光出射手段を前記基板に対して前記走査移動方向に相対移動させて、前記吐出口からの吐出停止により終端された前記塗布液の終端部まで光照射を行う
ことを特徴とするパターン形成装置。
【請求項7】
前記移動機構は、前記光出射手段と前記基板表面との間隔を一定に維持しつつ前記光出射手段を前記基板に対し前記走査移動方向に相対移動させる請求項6に記載のパターン形成装置。
【請求項8】
前記移動機構は、前記ノズルを所定位置に固定保持する一方、前記基板保持手段を移動させるように構成され、
前記基板保持手段を前記走査移動方向と反対方向に移動させることにより前記基板に対して前記ノズルを前記走査移動方向に相対移動させ、前記基板に対する前記ノズルの相対位置が前記塗布終了位置に達すると、前記基板保持手段を前記ノズルから離間する方向に移動させる請求項6または7に記載のパターン形成装置。
【請求項9】
前記移動機構は、前記走査移動方向には前記光出射手段を前記ノズルと一体的に支持する一方、前記基板表面に対し接近・離間する接離方向には前記光出射手段を前記ノズルに対し移動自在に支持し、前記基板保持手段が前記ノズルから離間する方向に移動するときに、前記基板保持手段に追随させて前記光出射手段を移動させる請求項8に記載のパターン形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−200665(P2012−200665A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67041(P2011−67041)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】