パターン形成装置、ヘッドユニット、ヘッドの位置決め方法
【課題】調整機構及び制御機構を簡素化すると共にパターン形成を高精度かつ効率的に行うことを可能とするパターン形成装置等を提供する。
【解決手段】ヘッドユニット3は、3色分(例えば、R、G、B)の3つの第1ヘッドユニット5等から構成される。第1ヘッドユニット5は、複数のヘッド7(インクジェットヘッド)が板状部材のバー9に設けられて構成される。第1ヘッドユニット5−1、5−2、…は、それぞれ、回転機構13−1、13−2、…を介して板状部材のベース11に取り付けられる。第1ヘッドユニット5−1、5−2、…は、それぞれ、回転機構13−1、13−2、…により中心点23−1、23−2、…を中心に回転し、位置決め制御される。
【解決手段】ヘッドユニット3は、3色分(例えば、R、G、B)の3つの第1ヘッドユニット5等から構成される。第1ヘッドユニット5は、複数のヘッド7(インクジェットヘッド)が板状部材のバー9に設けられて構成される。第1ヘッドユニット5−1、5−2、…は、それぞれ、回転機構13−1、13−2、…を介して板状部材のベース11に取り付けられる。第1ヘッドユニット5−1、5−2、…は、それぞれ、回転機構13−1、13−2、…により中心点23−1、23−2、…を中心に回転し、位置決め制御される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置におけるカラーフィルタ等のパターンを形成するパターン形成装置等に関する。より詳細には、インクジェット方式等によりパターンを形成するパターン形成装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板上に液晶ディスプレイにおけるカラーフィルタのパターンを形成する方法として、染色法、顔料分散法、電着法、印刷法等の各種方法がある。
しかしながら、上記の方法はいずれもR(赤)、G(緑)、B(青)の3色について同一工程を繰り返す必要があるので、コスト、歩留まり等の面で問題点がある。
【0003】
そこで、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色のインクをインクジェット方式により基板上に吐出して着色層パターンを形成するパターン形成装置が提案されている(例えば、[特許文献1]参照。)。
このインクジェット方式によれば、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色のパターン形成を一度の工程により行い、製造工程を簡素化することができるので、コストの低減、歩留まりの向上等を図ることができる。
【0004】
図14及び図15は、従来のインクジェット方式のパターン形成装置におけるインクジェットヘッドの配置及び位置決め方法を示す図である。
図14に示すように、塗布幅(Y方向)を拡大するためにインクジェットヘッドを複数配列する場合、千鳥足状に配列する方法が一般的である。この場合、例えば、複数のインクジェットヘッド501は、平行する2つの直線状に交互に配列される。ノズル孔502は、インクジェットヘッド501の左右端部には設けられないので、塗布方向(X方向)から見てノズル孔の全配列において空白部分が生じないようにするために交互に配列される。この従来のパターン形成装置は、各インクジェットヘッド501について、Y方向の調整機構504及びθ方向の調整機構505とを備える。
【0005】
図15に示すように、従来のインクジェット方式のパターン形成装置は、パターン間ピッチが変更された場合、各インクジェットヘッド501をY方向(y1、y2、y3、…)及びθ方向(φ)について調整し、ノズル孔502の位置を塗布対象である基板上の所定のパターン503の位置に調整する。
【0006】
また、近年、基板に用いられるガラスは、厚さが薄くなると共に、生産性を向上させるため、ガラスサイズが大型化しており、例えば、厚さ1mm以下、1500mm×1800mm(G6)、1900mm×2200mm(G7)等のサイズのものが用いられる。
【0007】
【特許文献1】特開2002−361852号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、加工対象たる基板の大型化に伴い、塗布幅の拡大、変更に対応するためには、インクジェットヘッドを大規模化したりインクジェットヘッド数を増加する必要があるが、この場合、上記Y方向及びθ方向の調整機構(旋回用及び列方向移動用のアクチュエータ)はインクジェットヘッド毎に個別に設ける必要があるので、調整機構の大規模化あるいは増設等を行う必要が生じてコスト的負担、維持管理負担等が増大するという問題点がある。また、各インクジェットヘッドに対する制御も困難かつ複雑化するという問題点がある。
【0009】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、調整機構及び制御機構を簡素化すると共にパターン形成を高精度かつ効率的に行うことを可能とするパターン形成装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために第1の発明は、基板に対してヘッドによる加工処理を行いパターンを形成するパターン形成装置であって、1つまたは複数のヘッドが配置される複数の第1ヘッドユニットと、前記複数の第1ヘッドユニットを一体として所定の方向に直線移動させる直線移動手段と、前記第1ヘッドユニット毎に設けられ、前記複数の第1ヘッドユニットを個別に回転させる回転手段と、を具備することを特徴とするパターン形成装置である。
【0011】
パターン形成装置は、インクジェット方式等によりカラーフィルタ等を製造する装置である。カラーフィルタは、LCD(液晶ディスプレイパネル)、PDP(プラズマディスプレイパネル)、有機EL(ElectroLuminescent Display)等の表示装置に用いられる。
ヘッドは、基板等にパターン形成を行う加工処理装置であり、インクジェットヘッド等である。
【0012】
直線移動手段は、所定の方向に直線移動させる直線移動機構であり、スライド機構(スライドレール、スライダ(スライドブッシュ)等)、リニアモータ、ボールネジ及びサーボモータ等を用いることができる。所定の方向は、例えば、塗布幅方向(Y方向)等である。
回転手段は、回転機構であり、ダイレクトドライブモータ等を用いることができる。
【0013】
第1の発明では、パターン形成装置は、1つまたは複数のヘッドが配置される複数の第1ヘッドユニットを一体として所定の方向に直線移動させ、第1ヘッドユニット毎に回転手段を設け、当該回転手段により複数の第1ヘッドユニットを個別に回転させ、ヘッドの位置決め制御を行う。
例えば、複数の第1ヘッドユニットをそれぞれ別個の回転機構を介してベース等に取り付け、当該ベースを直線移動機構に取り付けて、パターン形成装置を構成することができる。
【0014】
第1の発明では、直線移動機構を備えるヘッドユニットに設けられる複数の第1ヘッドユニットを、それぞれ個別に回転位置決め制御することができるので、回転位置決めに起因するパターンピッチ方向のズレ量を補正するためのストロークを設ける必要がなく、複数の第1ヘッドユニットの長尺方向長さを各々略同一とすることもできる。
また、回転機構は、第1ヘッドユニット毎に設けられるので、当該回転機構が支持すべき重量を軽減して、当該回転機構の装置構成を簡素化することができる。従って、位置決め精度を維持すると共に、装置規模、装置重量、装置生産工程等を簡素化して、費用的負担、維持管理負担等を軽減することができる。
【0015】
また、回転角の大きさが小さいほどヘッド間ピッチが大きくなり、その分、調整作業、交換作業等の作業領域を確保することができる。
また、ヘッドユニットに第1ヘッドユニットを取り付けた後であっても、各第1ヘッドユニットを個別に回転位置決め制御することにより、各第1ヘッドユニット間の相対位置を調整することができ、ヘッド位置の調整に係る労力的負担を軽減することができる。
【0016】
第2の発明は、基板上にヘッドによる加工処理を行いパターンを形成するヘッドユニットであって、1つまたは複数のヘッドが配置される複数の第1ヘッドユニットと、前記第1ヘッドユニット毎に設けられ、前記複数の第1ヘッドユニットを個別に回転させる回転手段と、を具備することを特徴とするヘッドユニットである。
【0017】
第2の発明は、第1の発明のパターン形成装置のヘッドユニットに関する発明である。
【0018】
第3の発明は、基板に対して加工処理を行いパターンを形成するヘッドの位置決め方法であって、1つまたは複数のヘッドが配置される複数の第1ヘッドユニットを一体として所定の方向に直線移動させる直線移動ステップと、前記複数の第1ヘッドユニットを個別に回転させる回転ステップと、を具備することを特徴とするヘッドの位置決め方法である。
【0019】
第3の発明は、第1の発明及び第2の発明におけるヘッドの位置決め方法に関する発明である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、調整機構及び制御機構を簡素化すると共にパターン形成を高精度かつ効率的に行うことを可能とするパターン形成装置等を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係るパターン形成装置等の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明及び添付図面において、略同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略することにする。
【0022】
最初に、図1を参照しながら、本発明の実施の形態に係るパターン形成装置1の構成について説明する。
図1は、パターン形成装置1の概略斜視図である。
尚、θ軸は鉛直方向回転軸を示し、θ方向はその回転方向を示す。Y軸は塗布幅方向を示し、X軸は塗布方向を示し、θ軸、Y軸、X軸は、互いに直角をなす。
【0023】
図1に示すパターン形成装置1は、ヘッドユニット3、吸着テーブル101、X軸移動ステージ102、θ軸移動ステージ103、アライメントカメラ104等により構成される。
【0024】
パターン形成装置1は、インクジェット方式によりカラーフィルタを製造する装置である。パターン形成装置1は、R(赤)、G(緑)、B(青)の三色の色素を含有するインクをインクジェット方式で光透過性の基板上に吐出し、各インクを乾燥させて着色画素部を形成し、当該基板上にカラーフィルタパターンを形成する。
【0025】
ヘッドユニット3は、インクジェットヘッドを有し、基板に対してインクを吐出してパターン形成を行う。ヘッドユニット3については、後述する。
吸着テーブル101は、カラーフィルタパターンを形成する対象となる基板105(ガラス基板、フィルム基板等)を吸着して固定するテーブルである。基板の吸着は、例えば、吸着テーブルと基板との間の空気を減圧、真空にすることにより行われる。この場合、吸着テーブルには、空気を吸引するための小孔(図示しない)が設けられ、吸着の際には当該孔を通じて真空ポンプ(図示しない)等により空気の吸引が行われる。
【0026】
X軸移動ステージ102は、直線移動ステージであり、例えば、ステップモータ、サーボモータ等の制御可能なモータによって所定の軸方向に移動可能に支持される。X軸移動ステージ102は、アライメント部(図示しない)が出力する制御量に基づいて、吸着テーブル101をX軸方向に移動する。
【0027】
尚、Y方向に関しては、吸着テーブル101側に、X軸移動ステージ102と同様の機構を有するY軸移動ステージ(図示しない。)を設けてもよいし、ヘッドユニット3側にY軸移動機構17(スライダ15、スライドレール16等)を設けるようにしてもよい。
【0028】
θ軸移動ステージ103は、回転ステージであり、例えば、ステップモータ、サーボモータ等の制御可能なモータによって所定の回転軸に回転自在に支持される。θ軸移動ステージ103は、アライメント部(図示しない)が出力する制御量に基づいて、吸着テーブル101を回転する。
【0029】
アライメントカメラ104は、吸着テーブル101に吸着固定された基板105のθ方向角度及びXY座標を検出するために、基板105の所定箇所(基板上に形成されるアライメントマーク(図示しない)等)を撮像するカメラである。アライメントカメラ104の撮像画像は、パターン形成装置1のアライメント部(図示しない)に入力される。
尚、アライメントカメラ104は、パターン形成装置1のフレーム(図示しない)に固定支持される。
【0030】
アライメント部(図示しない)は、撮像画像に基づいて基板105のθ方向角度及びXY座標を抽出する処理を行う。アライメント部(図示しない)は、抽出したデータを所定のデータと比較してそれらの偏差を算出し、偏差を小さくするように制御量を演算する。アライメント部(図示しない)は、X軸移動ステージ102、θ軸移動ステージ103、Y軸移動ステージ、Y軸移動機構等に対してそれぞれの制御量を出力して各ステージの位置制御を行う。このように、アライメント部(図示しない)は、アライメントカメラ104の撮像画像に基づいて、基板105が所定のθ方向角度、所定のXY座標となるように制御する。
【0031】
このように、パターン形成装置1は、X軸移動ステージ102、θ軸移動ステージ103、Y軸移動ステージ、Y軸移動機構等により、所定のXY座標、所定のθ方向角度となるように、基板105の位置決めを行う。
【0032】
次に、図2を参照しながら、ヘッドユニット3について説明する。
図2は、ヘッドユニット3の外観斜視図である。
図2に示すヘッドユニット3は、3色分(例えば、R、G、B)の3つの第1ヘッドユニット5等から構成される。
【0033】
ヘッドユニット3は、複数の第1ヘッドユニット5−1、5−2、…を備え、Y軸移動機構17(スライダ15、スライドレール16)を介して、定盤(図示しない)に固定されるガントリ19に取り付けられる。
Y軸移動機構17による位置制御により、ヘッドユニット3全体のY方向の位置調整を行うことができる。
尚、Y軸移動機構17としては、汎用のものを用いることができ、例えば、リニアモータ、LMガイド(THK株式会社製)等を用いることができる。
【0034】
第1ヘッドユニット5は、少なくとも1つのヘッド7(インクジェットヘッド)が板状部材のバー9に設けられて構成される。
第1ヘッドユニット5−1、5−2、…は、それぞれ、回転機構13−1、13−2、…を介して板状部材のベース11に取り付けられる。
尚、回転機構13としては、ダイレクトドライブモータ等を用いることができる。
【0035】
次に、図3〜図8を参照しながら、パターン形成装置1の動作について説明する。
図3及び図4は、パターン形成装置1のヘッドユニット3を下方から見た図である。
図5及び図6は、ヘッドユニット3の比較対象たるヘッドユニット3aを下方から見た図である。
図7及び図8は、ノズル孔位置とパターン位置との関係図である。
図3、図5、図7は、回転角θ=0の場合を示す。
図4、図6、図8は、回転角θ=φ(φ≠0)の場合を示す。
【0036】
図3及び図4に示すヘッドユニット3では、パターン形成装置1は、回転機構13−1、13−2、…により、それぞれ、中心点23−1、23−2、…を中心に第1ヘッドユニット5−1、5−2、…を回転させて位置決めを行う。
【0037】
ノズル孔間ピッチ201(a)とパターン間ピッチ202(b)(ノズル孔8間の距離)が一致する場合(図7参照。)、図3に示すように、パターン形成装置1は、回転機構13−1、13−2、…により、第1ヘッドユニット5−1、5−2、…を回転角θ=0の位置に回転させる。
ノズル孔間ピッチ201(a)とパターン間ピッチ202(b)(ノズル孔8間の距離)が一致しない場合(図8参照)、図4に示すように、パターン形成装置1は、回転機構13−1、13−2、…により、第1ヘッドユニット5−1、5−2、…を回転角θ=φ(b=a×cosφ)の位置に回転させる。
【0038】
一方、図5及び図6に示す、ヘッドユニット3の比較対象たるヘッドユニット3aは、複数の第1ヘッドユニット5a−1、5a−2、…が回転機構を介さずに直接ベース11aに取り付けられる。また、ヘッドユニット3aには、ベース11a全体を回転させる回転機構13aが設けられる。
ヘッドユニット3aでは、回転機構13aにより、中心点23aを中心にベース11a全体を回転させて、すなわち、第1ヘッドユニット5a−1、5a−2、…を一体として回転させて位置決めが行われる。
【0039】
ノズル孔間ピッチ201(a)とパターン間ピッチ202(b)(ノズル孔8間の距離)が一致する場合(図7参照。)、図5に示すように、回転機構13aは、ベース11a全体を回転させて、すなわち、第1ヘッドユニット5a−1、5a−2、…を一体として回転角θ=0の位置に回転させる。
ノズル孔間ピッチ201(a)とパターン間ピッチ202(b)(ノズル孔8間の距離)が一致しない場合(図8参照。)、図6に示すように、回転機構13aは、ベース11a全体を回転させて、すなわち、第1ヘッドユニット5a−1、5a−2、…を一体として回転角θ=φ(b=a×cosφ)の位置に回転させる。
【0040】
以上説明したように、図3及び図4に示すヘッドユニット3では、第1ヘッドユニット5−1、5−2、…は、それぞれ、回転機構13−1、13−2、…により中心点23−1、23−2、…を中心に回転し、位置決め制御される。そして、この回転に起因する、各第1ヘッドユニット5の長尺方向(W方向)に関するヘッド7の位置ズレの補正量は、ノズル孔間ピッチ201(a)に満たないものである。
従って、図3及び図4に示すヘッドユニット3では、上記回転に起因するY方向ズレ量を補正するために、第1ヘッドユニット5のバー9の長さに関して特段の配慮は必要なく、複数の第1ヘッドユニット5に関して、同一長のバー9を用いることもできる。
【0041】
また、回転機構13は、第1ヘッドユニット5毎に設けられるので、当該回転機構13が支持すべき重量を軽減して、当該回転機構13の装置構成を簡素化することができる。
このように、ヘッドユニット3では、装置規模、装置重量、装置生産工程等を簡素化して費用的負担、維持管理負担等を軽減することができる。
【0042】
一方、図5及び図6に示す、ヘッドユニット3の比較対象たるヘッドユニット3aでは、第1ヘッドユニット5a−1、5a−2、…は、ベース11aに直接取り付けられ、回転機構13aは、当該ベース11a全体を回転させる。すなわち、第1ヘッドユニット5a−1、5a−2、…は、中心点23aを中心に一体となって回転する。そして、この回転に起因するY方向ズレ量を補正するために、主として両外側の第1ヘッドユニット5−1、第1ヘッドユニット5−3において、それぞれ、ヘッド7aを矢印27a−1方向、矢印27a−3方向に移動させる必要がある。
従って、図5及び図6に示すヘッドユニット3aでは、上記回転に起因するY方向ズレ量を補正するために、主として中央部の第1ヘッドユニット5a−2以外の第1ヘッドユニット5a−1、5a−3に関して、バー9aの長尺方向の長さを、それぞれ、ストローク25a−1、25a−3の分、長くする必要がある。
【0043】
また、図3及び図4に示すヘッドユニット3では、第1ヘッドユニット5−1、5−2、…は、それぞれ、中心点23−1、23−2、…を中心に回転するので、回転角θの大きさが小さいほどヘッド間ピッチ21が大きくなり、その分、調整作業、交換作業等の作業領域を確保することができる。
一方、図5及び図6に示すヘッドユニット3aでは、第1ヘッドユニット5a−1、5a−2、…は、中心点23aを中心に一体となって回転し、回転角θの大きさに関わらず、ヘッド間ピッチ21aが変わらないので、作業領域を確保することが困難な場合がある。
【0044】
図9及び図11は、パターン形成装置1のヘッドユニット3bを下方から見た図である。
図9は、回転角θ=0の場合を示す。図11は、回転角θ=ψ(ψ≠0)の場合を示す。
図10は、図9に示すヘッドユニット3bを水平方向から見た図である。
【0045】
図3及び図4に示すヘッドユニット3では、第1ヘッドユニット5−1、5−2、…の重心近傍を回転機構13−1、13−2、…の中心点23−1、23−2、…としているが、回転機構13の中心点23の位置は、特に限定されない。
第1ヘッドユニット5の重心近傍のみならず、例えば、バー9上の任意の位置を回転機構13の中心点23とすることができる。
【0046】
また、図9〜図11に示すヘッドユニット3bのように、回転機構13が第1ヘッドユニット5からオフセットしていてもよい。この場合、中心点23は、バー9の外側に位置する。
ヘッドユニット3bでは、第1ヘッドユニット5−1、5−2…の長尺方向の一方の端部が回転機構13−1、13−2、…に連結される。この場合、第1ヘッドユニット5−1、5−2、…は、片持状態となるので、長尺方向の他方の端部には、案内部材(ガイド)(図示しない。)を設けて、姿勢を保持するようにしてもよい。
【0047】
また、図2等では、ヘッドユニット3は、3つの第1ヘッドユニット5を備えるものとして説明したが、ヘッドユニット3に設ける第1ヘッドユニット5の数、色等に特段の制限はなく、2つあるいは4つ以上であってもよい。
また、第1ヘッドユニット5に関しては、種々の形態を採ることができる。1つの第1ヘッドユニット5に設けるヘッド7の数、色、配置形態等については、図2等に示すものに限定されない。
【0048】
図12は、第1ヘッドユニット5bの一態様を示す図である。
図12に示す第1ヘッドユニット5bは、複数の第2ヘッドユニット31bを有する。第2ヘッドユニット31bは、スライド機構(図示しないスライドブッシュ、スライドレール35)を介してバー9に取り付けられ、バー9の長尺方向(W方向)を移動可能である。
第2ヘッドユニット31bには、複数のヘッド7が位置決めブロック33を介して隣接配置される。また、当て止め機構37、押し付け機構39を設けて、第2ヘッドユニット31bのW方向についての位置調整を行うこともできる。
【0049】
図13は、第1ヘッドユニット5cの一態様を示す図である。
図13に示す第1ヘッドユニット5cは、1つの第2ヘッドユニット31cを有する。第2ヘッドユニット31cは、スライド機構(図示しないスライドブッシュ、スライドレール35)を介してバー9に取り付けられ、バー9の長尺方向(W方向)を移動可能である。
第2ヘッドユニット31cでは、位置決めブロック33が取り付けられた1つのヘッド7が配置される。また、当て止め機構37、押し付け機構39を設けて、第2ヘッドユニット31cのW方向についての位置調整を行うこともできる。
【0050】
尚、当て止め機構37は、当て止めにより位置調整を行う機構である。当て止め位置の調整に関しては、スペーサとしての位置決めブロックをヘッド装着前に装着して、当て止め機構に設けられる調整機構(マイクロメータ等)により微調整を行うことができる。押し付け機構39は、当て止め手段からの押圧力を受け止める機構であり、例えば、バネ機構等を用いることができる。
また、スライド機構に関しては、例えば、スライドレール、当該スライドレールに着脱可能なスライダ(スライドブッシュ)、サーボモータ及びボールネジ、アクチュエータとしてのシャフト式リニアモータ等を用いることができる。この場合、サーボモータ等、それ自身で、位置決め機能を有しているものは、当て止め手段、押し付け手段は必要ない。
【0051】
以上説明したように、本発明によれば、パターン形成装置は、Y軸移動機構を備える1つのヘッドユニットに設けられる複数の第1ヘッドユニットを、それぞれ個別に回転位置決め制御することができるので、回転位置決めに起因するY方向ズレ量を補正するためのストロークを設ける必要がない。また、回転機構は、第1ヘッドユニット毎に設けられるので、当該回転機構が支持すべき重量を軽減して、当該回転機構の装置構成を簡素化することができる。従って、位置決め精度を維持すると共に、装置規模、装置重量、装置生産工程等を簡素化して、費用的負担、維持管理負担等を軽減することができる。
【0052】
また、回転角の大きさが小さいほどヘッド間ピッチが大きくなり、その分、調整作業、交換作業等の作業領域を確保することができる。
また、ヘッドユニットに第1ヘッドユニットを取り付けた後であっても、各第1ヘッドユニットを個別に回転位置決め制御することにより、各第1ヘッドユニット間の相対位置を調整することができ、ヘッド位置の調整に係る労力的負担を軽減することができる。
また、インクの吐出は、インクジェットヘッドに限られず、例えば、ディスペンサ等を用いることもできる。
また、パターン形成装置のヘッドに関しては、インクジェットヘッドに限られず、レーザ照射ヘッド等、様々な加工装置を適用することができる。
【0053】
以上、添付図面を参照しながら、本発明にかかるパターン形成装置等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】パターン形成装置1の概略斜視図
【図2】ヘッドユニット3の外観斜視図
【図3】パターン形成装置1のヘッドユニット3を下方から見た図(回転角θ=0の場合)
【図4】パターン形成装置1のヘッドユニット3を下方から見た図(回転角θ=φの場合)
【図5】ヘッドユニット3の比較対象たるヘッドユニット3aを下方から見た図(回転角θ=0の場合)
【図6】ヘッドユニット3の比較対象たるヘッドユニット3aを下方から見た図(回転角θ=φの場合)
【図7】ノズル孔位置とパターン位置との関係図(回転角θ=0の場合)
【図8】ノズル孔位置とパターン位置との関係図(回転角θ=φの場合)
【図9】パターン形成装置1のヘッドユニット3bを下方から見た図(回転角θ=0の場合)
【図10】図9に示すヘッドユニット3bを水平方向から見た図
【図11】パターン形成装置1のヘッドユニット3bを下方から見た図(回転角θ=ψの場合)
【図12】第1ヘッドユニット5bの一態様を示す図
【図13】第1ヘッドユニット5cの一態様を示す図
【図14】従来のインクジェット方式のパターン形成装置におけるインクジェットヘッドの配置及び位置決め方法
【図15】従来のインクジェット方式のパターン形成装置におけるインクジェットヘッドの配置及び位置決め方法
【符号の説明】
【0055】
1………パターン形成装置
3、3b………ヘッドユニット
5−1、5−2、5−3、………第1ヘッドユニット、
7………ヘッド
8………ノズル孔
9………バー
11………ベース
13−1、13−2、13−3、………回転機構
15………スライダ
16………スライドレール
17………Y軸移動機構
19………ガントリ
21………ヘッド間ピッチ
23−1、23−2、23−3、………中心点
25………ストローク
201………ノズル孔間ピッチ
202………パターン間ピッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置におけるカラーフィルタ等のパターンを形成するパターン形成装置等に関する。より詳細には、インクジェット方式等によりパターンを形成するパターン形成装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板上に液晶ディスプレイにおけるカラーフィルタのパターンを形成する方法として、染色法、顔料分散法、電着法、印刷法等の各種方法がある。
しかしながら、上記の方法はいずれもR(赤)、G(緑)、B(青)の3色について同一工程を繰り返す必要があるので、コスト、歩留まり等の面で問題点がある。
【0003】
そこで、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色のインクをインクジェット方式により基板上に吐出して着色層パターンを形成するパターン形成装置が提案されている(例えば、[特許文献1]参照。)。
このインクジェット方式によれば、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色のパターン形成を一度の工程により行い、製造工程を簡素化することができるので、コストの低減、歩留まりの向上等を図ることができる。
【0004】
図14及び図15は、従来のインクジェット方式のパターン形成装置におけるインクジェットヘッドの配置及び位置決め方法を示す図である。
図14に示すように、塗布幅(Y方向)を拡大するためにインクジェットヘッドを複数配列する場合、千鳥足状に配列する方法が一般的である。この場合、例えば、複数のインクジェットヘッド501は、平行する2つの直線状に交互に配列される。ノズル孔502は、インクジェットヘッド501の左右端部には設けられないので、塗布方向(X方向)から見てノズル孔の全配列において空白部分が生じないようにするために交互に配列される。この従来のパターン形成装置は、各インクジェットヘッド501について、Y方向の調整機構504及びθ方向の調整機構505とを備える。
【0005】
図15に示すように、従来のインクジェット方式のパターン形成装置は、パターン間ピッチが変更された場合、各インクジェットヘッド501をY方向(y1、y2、y3、…)及びθ方向(φ)について調整し、ノズル孔502の位置を塗布対象である基板上の所定のパターン503の位置に調整する。
【0006】
また、近年、基板に用いられるガラスは、厚さが薄くなると共に、生産性を向上させるため、ガラスサイズが大型化しており、例えば、厚さ1mm以下、1500mm×1800mm(G6)、1900mm×2200mm(G7)等のサイズのものが用いられる。
【0007】
【特許文献1】特開2002−361852号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、加工対象たる基板の大型化に伴い、塗布幅の拡大、変更に対応するためには、インクジェットヘッドを大規模化したりインクジェットヘッド数を増加する必要があるが、この場合、上記Y方向及びθ方向の調整機構(旋回用及び列方向移動用のアクチュエータ)はインクジェットヘッド毎に個別に設ける必要があるので、調整機構の大規模化あるいは増設等を行う必要が生じてコスト的負担、維持管理負担等が増大するという問題点がある。また、各インクジェットヘッドに対する制御も困難かつ複雑化するという問題点がある。
【0009】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、調整機構及び制御機構を簡素化すると共にパターン形成を高精度かつ効率的に行うことを可能とするパターン形成装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために第1の発明は、基板に対してヘッドによる加工処理を行いパターンを形成するパターン形成装置であって、1つまたは複数のヘッドが配置される複数の第1ヘッドユニットと、前記複数の第1ヘッドユニットを一体として所定の方向に直線移動させる直線移動手段と、前記第1ヘッドユニット毎に設けられ、前記複数の第1ヘッドユニットを個別に回転させる回転手段と、を具備することを特徴とするパターン形成装置である。
【0011】
パターン形成装置は、インクジェット方式等によりカラーフィルタ等を製造する装置である。カラーフィルタは、LCD(液晶ディスプレイパネル)、PDP(プラズマディスプレイパネル)、有機EL(ElectroLuminescent Display)等の表示装置に用いられる。
ヘッドは、基板等にパターン形成を行う加工処理装置であり、インクジェットヘッド等である。
【0012】
直線移動手段は、所定の方向に直線移動させる直線移動機構であり、スライド機構(スライドレール、スライダ(スライドブッシュ)等)、リニアモータ、ボールネジ及びサーボモータ等を用いることができる。所定の方向は、例えば、塗布幅方向(Y方向)等である。
回転手段は、回転機構であり、ダイレクトドライブモータ等を用いることができる。
【0013】
第1の発明では、パターン形成装置は、1つまたは複数のヘッドが配置される複数の第1ヘッドユニットを一体として所定の方向に直線移動させ、第1ヘッドユニット毎に回転手段を設け、当該回転手段により複数の第1ヘッドユニットを個別に回転させ、ヘッドの位置決め制御を行う。
例えば、複数の第1ヘッドユニットをそれぞれ別個の回転機構を介してベース等に取り付け、当該ベースを直線移動機構に取り付けて、パターン形成装置を構成することができる。
【0014】
第1の発明では、直線移動機構を備えるヘッドユニットに設けられる複数の第1ヘッドユニットを、それぞれ個別に回転位置決め制御することができるので、回転位置決めに起因するパターンピッチ方向のズレ量を補正するためのストロークを設ける必要がなく、複数の第1ヘッドユニットの長尺方向長さを各々略同一とすることもできる。
また、回転機構は、第1ヘッドユニット毎に設けられるので、当該回転機構が支持すべき重量を軽減して、当該回転機構の装置構成を簡素化することができる。従って、位置決め精度を維持すると共に、装置規模、装置重量、装置生産工程等を簡素化して、費用的負担、維持管理負担等を軽減することができる。
【0015】
また、回転角の大きさが小さいほどヘッド間ピッチが大きくなり、その分、調整作業、交換作業等の作業領域を確保することができる。
また、ヘッドユニットに第1ヘッドユニットを取り付けた後であっても、各第1ヘッドユニットを個別に回転位置決め制御することにより、各第1ヘッドユニット間の相対位置を調整することができ、ヘッド位置の調整に係る労力的負担を軽減することができる。
【0016】
第2の発明は、基板上にヘッドによる加工処理を行いパターンを形成するヘッドユニットであって、1つまたは複数のヘッドが配置される複数の第1ヘッドユニットと、前記第1ヘッドユニット毎に設けられ、前記複数の第1ヘッドユニットを個別に回転させる回転手段と、を具備することを特徴とするヘッドユニットである。
【0017】
第2の発明は、第1の発明のパターン形成装置のヘッドユニットに関する発明である。
【0018】
第3の発明は、基板に対して加工処理を行いパターンを形成するヘッドの位置決め方法であって、1つまたは複数のヘッドが配置される複数の第1ヘッドユニットを一体として所定の方向に直線移動させる直線移動ステップと、前記複数の第1ヘッドユニットを個別に回転させる回転ステップと、を具備することを特徴とするヘッドの位置決め方法である。
【0019】
第3の発明は、第1の発明及び第2の発明におけるヘッドの位置決め方法に関する発明である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、調整機構及び制御機構を簡素化すると共にパターン形成を高精度かつ効率的に行うことを可能とするパターン形成装置等を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係るパターン形成装置等の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明及び添付図面において、略同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略することにする。
【0022】
最初に、図1を参照しながら、本発明の実施の形態に係るパターン形成装置1の構成について説明する。
図1は、パターン形成装置1の概略斜視図である。
尚、θ軸は鉛直方向回転軸を示し、θ方向はその回転方向を示す。Y軸は塗布幅方向を示し、X軸は塗布方向を示し、θ軸、Y軸、X軸は、互いに直角をなす。
【0023】
図1に示すパターン形成装置1は、ヘッドユニット3、吸着テーブル101、X軸移動ステージ102、θ軸移動ステージ103、アライメントカメラ104等により構成される。
【0024】
パターン形成装置1は、インクジェット方式によりカラーフィルタを製造する装置である。パターン形成装置1は、R(赤)、G(緑)、B(青)の三色の色素を含有するインクをインクジェット方式で光透過性の基板上に吐出し、各インクを乾燥させて着色画素部を形成し、当該基板上にカラーフィルタパターンを形成する。
【0025】
ヘッドユニット3は、インクジェットヘッドを有し、基板に対してインクを吐出してパターン形成を行う。ヘッドユニット3については、後述する。
吸着テーブル101は、カラーフィルタパターンを形成する対象となる基板105(ガラス基板、フィルム基板等)を吸着して固定するテーブルである。基板の吸着は、例えば、吸着テーブルと基板との間の空気を減圧、真空にすることにより行われる。この場合、吸着テーブルには、空気を吸引するための小孔(図示しない)が設けられ、吸着の際には当該孔を通じて真空ポンプ(図示しない)等により空気の吸引が行われる。
【0026】
X軸移動ステージ102は、直線移動ステージであり、例えば、ステップモータ、サーボモータ等の制御可能なモータによって所定の軸方向に移動可能に支持される。X軸移動ステージ102は、アライメント部(図示しない)が出力する制御量に基づいて、吸着テーブル101をX軸方向に移動する。
【0027】
尚、Y方向に関しては、吸着テーブル101側に、X軸移動ステージ102と同様の機構を有するY軸移動ステージ(図示しない。)を設けてもよいし、ヘッドユニット3側にY軸移動機構17(スライダ15、スライドレール16等)を設けるようにしてもよい。
【0028】
θ軸移動ステージ103は、回転ステージであり、例えば、ステップモータ、サーボモータ等の制御可能なモータによって所定の回転軸に回転自在に支持される。θ軸移動ステージ103は、アライメント部(図示しない)が出力する制御量に基づいて、吸着テーブル101を回転する。
【0029】
アライメントカメラ104は、吸着テーブル101に吸着固定された基板105のθ方向角度及びXY座標を検出するために、基板105の所定箇所(基板上に形成されるアライメントマーク(図示しない)等)を撮像するカメラである。アライメントカメラ104の撮像画像は、パターン形成装置1のアライメント部(図示しない)に入力される。
尚、アライメントカメラ104は、パターン形成装置1のフレーム(図示しない)に固定支持される。
【0030】
アライメント部(図示しない)は、撮像画像に基づいて基板105のθ方向角度及びXY座標を抽出する処理を行う。アライメント部(図示しない)は、抽出したデータを所定のデータと比較してそれらの偏差を算出し、偏差を小さくするように制御量を演算する。アライメント部(図示しない)は、X軸移動ステージ102、θ軸移動ステージ103、Y軸移動ステージ、Y軸移動機構等に対してそれぞれの制御量を出力して各ステージの位置制御を行う。このように、アライメント部(図示しない)は、アライメントカメラ104の撮像画像に基づいて、基板105が所定のθ方向角度、所定のXY座標となるように制御する。
【0031】
このように、パターン形成装置1は、X軸移動ステージ102、θ軸移動ステージ103、Y軸移動ステージ、Y軸移動機構等により、所定のXY座標、所定のθ方向角度となるように、基板105の位置決めを行う。
【0032】
次に、図2を参照しながら、ヘッドユニット3について説明する。
図2は、ヘッドユニット3の外観斜視図である。
図2に示すヘッドユニット3は、3色分(例えば、R、G、B)の3つの第1ヘッドユニット5等から構成される。
【0033】
ヘッドユニット3は、複数の第1ヘッドユニット5−1、5−2、…を備え、Y軸移動機構17(スライダ15、スライドレール16)を介して、定盤(図示しない)に固定されるガントリ19に取り付けられる。
Y軸移動機構17による位置制御により、ヘッドユニット3全体のY方向の位置調整を行うことができる。
尚、Y軸移動機構17としては、汎用のものを用いることができ、例えば、リニアモータ、LMガイド(THK株式会社製)等を用いることができる。
【0034】
第1ヘッドユニット5は、少なくとも1つのヘッド7(インクジェットヘッド)が板状部材のバー9に設けられて構成される。
第1ヘッドユニット5−1、5−2、…は、それぞれ、回転機構13−1、13−2、…を介して板状部材のベース11に取り付けられる。
尚、回転機構13としては、ダイレクトドライブモータ等を用いることができる。
【0035】
次に、図3〜図8を参照しながら、パターン形成装置1の動作について説明する。
図3及び図4は、パターン形成装置1のヘッドユニット3を下方から見た図である。
図5及び図6は、ヘッドユニット3の比較対象たるヘッドユニット3aを下方から見た図である。
図7及び図8は、ノズル孔位置とパターン位置との関係図である。
図3、図5、図7は、回転角θ=0の場合を示す。
図4、図6、図8は、回転角θ=φ(φ≠0)の場合を示す。
【0036】
図3及び図4に示すヘッドユニット3では、パターン形成装置1は、回転機構13−1、13−2、…により、それぞれ、中心点23−1、23−2、…を中心に第1ヘッドユニット5−1、5−2、…を回転させて位置決めを行う。
【0037】
ノズル孔間ピッチ201(a)とパターン間ピッチ202(b)(ノズル孔8間の距離)が一致する場合(図7参照。)、図3に示すように、パターン形成装置1は、回転機構13−1、13−2、…により、第1ヘッドユニット5−1、5−2、…を回転角θ=0の位置に回転させる。
ノズル孔間ピッチ201(a)とパターン間ピッチ202(b)(ノズル孔8間の距離)が一致しない場合(図8参照)、図4に示すように、パターン形成装置1は、回転機構13−1、13−2、…により、第1ヘッドユニット5−1、5−2、…を回転角θ=φ(b=a×cosφ)の位置に回転させる。
【0038】
一方、図5及び図6に示す、ヘッドユニット3の比較対象たるヘッドユニット3aは、複数の第1ヘッドユニット5a−1、5a−2、…が回転機構を介さずに直接ベース11aに取り付けられる。また、ヘッドユニット3aには、ベース11a全体を回転させる回転機構13aが設けられる。
ヘッドユニット3aでは、回転機構13aにより、中心点23aを中心にベース11a全体を回転させて、すなわち、第1ヘッドユニット5a−1、5a−2、…を一体として回転させて位置決めが行われる。
【0039】
ノズル孔間ピッチ201(a)とパターン間ピッチ202(b)(ノズル孔8間の距離)が一致する場合(図7参照。)、図5に示すように、回転機構13aは、ベース11a全体を回転させて、すなわち、第1ヘッドユニット5a−1、5a−2、…を一体として回転角θ=0の位置に回転させる。
ノズル孔間ピッチ201(a)とパターン間ピッチ202(b)(ノズル孔8間の距離)が一致しない場合(図8参照。)、図6に示すように、回転機構13aは、ベース11a全体を回転させて、すなわち、第1ヘッドユニット5a−1、5a−2、…を一体として回転角θ=φ(b=a×cosφ)の位置に回転させる。
【0040】
以上説明したように、図3及び図4に示すヘッドユニット3では、第1ヘッドユニット5−1、5−2、…は、それぞれ、回転機構13−1、13−2、…により中心点23−1、23−2、…を中心に回転し、位置決め制御される。そして、この回転に起因する、各第1ヘッドユニット5の長尺方向(W方向)に関するヘッド7の位置ズレの補正量は、ノズル孔間ピッチ201(a)に満たないものである。
従って、図3及び図4に示すヘッドユニット3では、上記回転に起因するY方向ズレ量を補正するために、第1ヘッドユニット5のバー9の長さに関して特段の配慮は必要なく、複数の第1ヘッドユニット5に関して、同一長のバー9を用いることもできる。
【0041】
また、回転機構13は、第1ヘッドユニット5毎に設けられるので、当該回転機構13が支持すべき重量を軽減して、当該回転機構13の装置構成を簡素化することができる。
このように、ヘッドユニット3では、装置規模、装置重量、装置生産工程等を簡素化して費用的負担、維持管理負担等を軽減することができる。
【0042】
一方、図5及び図6に示す、ヘッドユニット3の比較対象たるヘッドユニット3aでは、第1ヘッドユニット5a−1、5a−2、…は、ベース11aに直接取り付けられ、回転機構13aは、当該ベース11a全体を回転させる。すなわち、第1ヘッドユニット5a−1、5a−2、…は、中心点23aを中心に一体となって回転する。そして、この回転に起因するY方向ズレ量を補正するために、主として両外側の第1ヘッドユニット5−1、第1ヘッドユニット5−3において、それぞれ、ヘッド7aを矢印27a−1方向、矢印27a−3方向に移動させる必要がある。
従って、図5及び図6に示すヘッドユニット3aでは、上記回転に起因するY方向ズレ量を補正するために、主として中央部の第1ヘッドユニット5a−2以外の第1ヘッドユニット5a−1、5a−3に関して、バー9aの長尺方向の長さを、それぞれ、ストローク25a−1、25a−3の分、長くする必要がある。
【0043】
また、図3及び図4に示すヘッドユニット3では、第1ヘッドユニット5−1、5−2、…は、それぞれ、中心点23−1、23−2、…を中心に回転するので、回転角θの大きさが小さいほどヘッド間ピッチ21が大きくなり、その分、調整作業、交換作業等の作業領域を確保することができる。
一方、図5及び図6に示すヘッドユニット3aでは、第1ヘッドユニット5a−1、5a−2、…は、中心点23aを中心に一体となって回転し、回転角θの大きさに関わらず、ヘッド間ピッチ21aが変わらないので、作業領域を確保することが困難な場合がある。
【0044】
図9及び図11は、パターン形成装置1のヘッドユニット3bを下方から見た図である。
図9は、回転角θ=0の場合を示す。図11は、回転角θ=ψ(ψ≠0)の場合を示す。
図10は、図9に示すヘッドユニット3bを水平方向から見た図である。
【0045】
図3及び図4に示すヘッドユニット3では、第1ヘッドユニット5−1、5−2、…の重心近傍を回転機構13−1、13−2、…の中心点23−1、23−2、…としているが、回転機構13の中心点23の位置は、特に限定されない。
第1ヘッドユニット5の重心近傍のみならず、例えば、バー9上の任意の位置を回転機構13の中心点23とすることができる。
【0046】
また、図9〜図11に示すヘッドユニット3bのように、回転機構13が第1ヘッドユニット5からオフセットしていてもよい。この場合、中心点23は、バー9の外側に位置する。
ヘッドユニット3bでは、第1ヘッドユニット5−1、5−2…の長尺方向の一方の端部が回転機構13−1、13−2、…に連結される。この場合、第1ヘッドユニット5−1、5−2、…は、片持状態となるので、長尺方向の他方の端部には、案内部材(ガイド)(図示しない。)を設けて、姿勢を保持するようにしてもよい。
【0047】
また、図2等では、ヘッドユニット3は、3つの第1ヘッドユニット5を備えるものとして説明したが、ヘッドユニット3に設ける第1ヘッドユニット5の数、色等に特段の制限はなく、2つあるいは4つ以上であってもよい。
また、第1ヘッドユニット5に関しては、種々の形態を採ることができる。1つの第1ヘッドユニット5に設けるヘッド7の数、色、配置形態等については、図2等に示すものに限定されない。
【0048】
図12は、第1ヘッドユニット5bの一態様を示す図である。
図12に示す第1ヘッドユニット5bは、複数の第2ヘッドユニット31bを有する。第2ヘッドユニット31bは、スライド機構(図示しないスライドブッシュ、スライドレール35)を介してバー9に取り付けられ、バー9の長尺方向(W方向)を移動可能である。
第2ヘッドユニット31bには、複数のヘッド7が位置決めブロック33を介して隣接配置される。また、当て止め機構37、押し付け機構39を設けて、第2ヘッドユニット31bのW方向についての位置調整を行うこともできる。
【0049】
図13は、第1ヘッドユニット5cの一態様を示す図である。
図13に示す第1ヘッドユニット5cは、1つの第2ヘッドユニット31cを有する。第2ヘッドユニット31cは、スライド機構(図示しないスライドブッシュ、スライドレール35)を介してバー9に取り付けられ、バー9の長尺方向(W方向)を移動可能である。
第2ヘッドユニット31cでは、位置決めブロック33が取り付けられた1つのヘッド7が配置される。また、当て止め機構37、押し付け機構39を設けて、第2ヘッドユニット31cのW方向についての位置調整を行うこともできる。
【0050】
尚、当て止め機構37は、当て止めにより位置調整を行う機構である。当て止め位置の調整に関しては、スペーサとしての位置決めブロックをヘッド装着前に装着して、当て止め機構に設けられる調整機構(マイクロメータ等)により微調整を行うことができる。押し付け機構39は、当て止め手段からの押圧力を受け止める機構であり、例えば、バネ機構等を用いることができる。
また、スライド機構に関しては、例えば、スライドレール、当該スライドレールに着脱可能なスライダ(スライドブッシュ)、サーボモータ及びボールネジ、アクチュエータとしてのシャフト式リニアモータ等を用いることができる。この場合、サーボモータ等、それ自身で、位置決め機能を有しているものは、当て止め手段、押し付け手段は必要ない。
【0051】
以上説明したように、本発明によれば、パターン形成装置は、Y軸移動機構を備える1つのヘッドユニットに設けられる複数の第1ヘッドユニットを、それぞれ個別に回転位置決め制御することができるので、回転位置決めに起因するY方向ズレ量を補正するためのストロークを設ける必要がない。また、回転機構は、第1ヘッドユニット毎に設けられるので、当該回転機構が支持すべき重量を軽減して、当該回転機構の装置構成を簡素化することができる。従って、位置決め精度を維持すると共に、装置規模、装置重量、装置生産工程等を簡素化して、費用的負担、維持管理負担等を軽減することができる。
【0052】
また、回転角の大きさが小さいほどヘッド間ピッチが大きくなり、その分、調整作業、交換作業等の作業領域を確保することができる。
また、ヘッドユニットに第1ヘッドユニットを取り付けた後であっても、各第1ヘッドユニットを個別に回転位置決め制御することにより、各第1ヘッドユニット間の相対位置を調整することができ、ヘッド位置の調整に係る労力的負担を軽減することができる。
また、インクの吐出は、インクジェットヘッドに限られず、例えば、ディスペンサ等を用いることもできる。
また、パターン形成装置のヘッドに関しては、インクジェットヘッドに限られず、レーザ照射ヘッド等、様々な加工装置を適用することができる。
【0053】
以上、添付図面を参照しながら、本発明にかかるパターン形成装置等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】パターン形成装置1の概略斜視図
【図2】ヘッドユニット3の外観斜視図
【図3】パターン形成装置1のヘッドユニット3を下方から見た図(回転角θ=0の場合)
【図4】パターン形成装置1のヘッドユニット3を下方から見た図(回転角θ=φの場合)
【図5】ヘッドユニット3の比較対象たるヘッドユニット3aを下方から見た図(回転角θ=0の場合)
【図6】ヘッドユニット3の比較対象たるヘッドユニット3aを下方から見た図(回転角θ=φの場合)
【図7】ノズル孔位置とパターン位置との関係図(回転角θ=0の場合)
【図8】ノズル孔位置とパターン位置との関係図(回転角θ=φの場合)
【図9】パターン形成装置1のヘッドユニット3bを下方から見た図(回転角θ=0の場合)
【図10】図9に示すヘッドユニット3bを水平方向から見た図
【図11】パターン形成装置1のヘッドユニット3bを下方から見た図(回転角θ=ψの場合)
【図12】第1ヘッドユニット5bの一態様を示す図
【図13】第1ヘッドユニット5cの一態様を示す図
【図14】従来のインクジェット方式のパターン形成装置におけるインクジェットヘッドの配置及び位置決め方法
【図15】従来のインクジェット方式のパターン形成装置におけるインクジェットヘッドの配置及び位置決め方法
【符号の説明】
【0055】
1………パターン形成装置
3、3b………ヘッドユニット
5−1、5−2、5−3、………第1ヘッドユニット、
7………ヘッド
8………ノズル孔
9………バー
11………ベース
13−1、13−2、13−3、………回転機構
15………スライダ
16………スライドレール
17………Y軸移動機構
19………ガントリ
21………ヘッド間ピッチ
23−1、23−2、23−3、………中心点
25………ストローク
201………ノズル孔間ピッチ
202………パターン間ピッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対してヘッドによる加工処理を行いパターンを形成するパターン形成装置であって、
1つまたは複数のヘッドが配置される複数の第1ヘッドユニットと、
前記複数の第1ヘッドユニットを一体として所定の方向に直線移動させる直線移動手段と、
前記第1ヘッドユニット毎に設けられ、前記複数の第1ヘッドユニットを個別に回転させる回転手段と、
を具備することを特徴とするパターン形成装置。
【請求項2】
前記複数の第1ヘッドユニットの長尺方向長さは、それぞれ、略同一であることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成装置。
【請求項3】
基板上にヘッドによる加工処理を行いパターンを形成するヘッドユニットであって、
1つまたは複数のヘッドが配置される複数の第1ヘッドユニットと、
前記第1ヘッドユニット毎に設けられ、前記複数の第1ヘッドユニットを個別に回転させる回転手段と、
を具備することを特徴とするヘッドユニット。
【請求項4】
前記複数の第1ヘッドユニットの長尺方向長さは、略同一であることを特徴とする請求項3に記載のヘッドユニット。
【請求項5】
基板に対して加工処理を行いパターンを形成するヘッドの位置決め方法であって、
1つまたは複数のヘッドが配置される複数の第1ヘッドユニットを一体として所定の方向に直線移動させる直線移動ステップと、
前記複数の第1ヘッドユニットを個別に回転させる回転ステップと、
を具備することを特徴とするヘッドの位置決め方法。
【請求項1】
基板に対してヘッドによる加工処理を行いパターンを形成するパターン形成装置であって、
1つまたは複数のヘッドが配置される複数の第1ヘッドユニットと、
前記複数の第1ヘッドユニットを一体として所定の方向に直線移動させる直線移動手段と、
前記第1ヘッドユニット毎に設けられ、前記複数の第1ヘッドユニットを個別に回転させる回転手段と、
を具備することを特徴とするパターン形成装置。
【請求項2】
前記複数の第1ヘッドユニットの長尺方向長さは、それぞれ、略同一であることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成装置。
【請求項3】
基板上にヘッドによる加工処理を行いパターンを形成するヘッドユニットであって、
1つまたは複数のヘッドが配置される複数の第1ヘッドユニットと、
前記第1ヘッドユニット毎に設けられ、前記複数の第1ヘッドユニットを個別に回転させる回転手段と、
を具備することを特徴とするヘッドユニット。
【請求項4】
前記複数の第1ヘッドユニットの長尺方向長さは、略同一であることを特徴とする請求項3に記載のヘッドユニット。
【請求項5】
基板に対して加工処理を行いパターンを形成するヘッドの位置決め方法であって、
1つまたは複数のヘッドが配置される複数の第1ヘッドユニットを一体として所定の方向に直線移動させる直線移動ステップと、
前記複数の第1ヘッドユニットを個別に回転させる回転ステップと、
を具備することを特徴とするヘッドの位置決め方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−205004(P2006−205004A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−18220(P2005−18220)
【出願日】平成17年1月26日(2005.1.26)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月26日(2005.1.26)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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