パッケージの製造方法、マスク体、圧電振動子の製造方法、発振器、電子機器および電波時計
【課題】陽極接合時の放電現象の発生を抑制し、安定して陽極接合すること。
【解決手段】接合膜35を介して互いに陽極接合された第1基板50と第2基板との間のキャビティ内に電子部品を封入可能なパッケージの製造方法であって、第1基板50の接合面50aにキャビティ用の凹部C1を形成する凹部形成工程と、凹部C1の開口部を覆う被覆部材71と、被覆部材71を支持するメッシュ部材73と、を備えるマスク体70を第1基板50の接合面50aに配置するマスク体配置工程と、マスク体配置工程の後に、第1基板50の接合面50aにマスク体70を介して接合膜35を成膜する接合膜成膜工程と、を有するパッケージの製造方法を提供する。
【解決手段】接合膜35を介して互いに陽極接合された第1基板50と第2基板との間のキャビティ内に電子部品を封入可能なパッケージの製造方法であって、第1基板50の接合面50aにキャビティ用の凹部C1を形成する凹部形成工程と、凹部C1の開口部を覆う被覆部材71と、被覆部材71を支持するメッシュ部材73と、を備えるマスク体70を第1基板50の接合面50aに配置するマスク体配置工程と、マスク体配置工程の後に、第1基板50の接合面50aにマスク体70を介して接合膜35を成膜する接合膜成膜工程と、を有するパッケージの製造方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージの製造方法、マスク体、圧電振動子の製造方法、発振器、電子機器および電波時計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話や携帯情報端末機器には、時刻源や制御信号等のタイミング源、リファレンス信号源等として、水晶等を利用した圧電振動子が用いられている。
この種の圧電振動子として、例えば下記特許文献1に示されるような表面実装型(SMD、Surface Mount Device)の圧電振動子が知られている。図23および図24に示すように、この圧電振動子200は、互いに接合されたベース基板201およびリッド基板202と、両基板201、202の間に形成されたキャビティC内に封入された圧電振動片203と、を備えている。
【0003】
圧電振動片203は、例えば音叉型の振動片であって、ベース基板201の内面(上面)にマウントされている。
ベース基板201およびリッド基板202は、例えばガラス基板とされ、これらのうちのベース基板201には、ベース基板201を貫通するスルーホール204が形成されている。スルーホール204には内部を塞ぐように導電部材が埋め込まれ、この導電部材が貫通電極205を形成している。貫通電極205は、ベース基板201の外面(下面)に形成された外部電極206に電気的に接続されるとともに、キャビティC内にマウントされた圧電振動片203に電気的に接続されている。また、リッド基板202においてベース基板201側を向く面には、全面にわたって接合膜207が形成されており、この接合膜207を介してベース基板201とリッド基板202とが陽極接合されている。
【0004】
このように、貫通電極205が形成されたベース基板201とは異なるリッド基板202に接合膜207を形成することで、接合膜207を容易に形成することができる。すなわち、接合膜207をベース基板201に形成する場合には、貫通電極205と接合膜207とが電気的に接続されることを回避するために、リッド基板202側を向く面に全面にわたって接合膜207を成膜した後にパターニングする必要があり、接合膜207の形成に手間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−283951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このような圧電振動子200を製造する過程において、接合膜207を介してベース基板201とリッド基板202とを陽極接合する陽極接合方法としては、以下に示す方法が考えられる。すなわち、図25に示すように、互いに重ね合わせたベース基板201およびリッド基板202を陽極接合用の電極台部208上にセットした後、接合温度に加熱しつつ接合膜207と電極台部208との間に接合電圧を印加する。これにより、接合温度で加熱されたベース基板201内のイオンが流動性を有した状態で、接合膜207と電極台部208との間に接合電圧が印加されることから、ベース基板201と接合膜207との間に電流が流れる。その結果、接合膜207とベース基板201との界面に電気化学的な反応を生じさせることが可能になり、両基板201、202を陽極接合することができる。
【0007】
しかしながら、この陽極接合方法では、貫通電極205を介して電極台部208に電気的に接続された圧電振動片203が、キャビティC内に位置する接合膜207と近接しているため、接合膜207と電極台部208との間に接合電圧を印加すると、接合膜207と圧電振動片203との間で放電現象(火花放電)が発生する恐れがあった。
【0008】
このように放電現象が発生した場合、ベース基板201と接合膜207との間に電流が十分に流れずに陽極接合されないという問題があった。しかも、一度でも放電現象が発生すると、例えば接合膜207が飛散して圧電振動片203に付着すること等によって、接合膜207と圧電振動片203との間で放電パスが生成されることとなる。そのため、陽極接合に必要とされる電流をベース基板201と接合膜207との間に流すことが困難となり、両者間を陽極接合することができなくなる。
【0009】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、陽極接合時の放電現象の発生を抑制し、安定して陽極接合することができるパッケージの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係るパッケージの製造方法は、接合膜を介して互いに陽極接合された第1基板と第2基板との間のキャビティ内に電子部品を封入可能なパッケージの製造方法であって、前記第1基板の接合面に前記キャビティ用の凹部を形成する凹部形成工程と、前記凹部の開口部を覆う被覆部材と、前記被覆部材を支持するメッシュ部材と、を備えるマスク体を前記第1基板の前記接合面に配置するマスク体配置工程と、前記マスク体配置工程の後に、前記第1基板の前記接合面に前記マスク体を介して前記接合膜を成膜する接合膜成膜工程と、を有することを特徴とする。
【0011】
この発明では、マスク体配置工程の後に接合膜成膜工程を行い、第1基板の接合面にマスク体を介して接合膜を成膜する。つまり、被覆部材によって凹部の開口部を覆いつつ、接合面のうち、被覆部材によって覆われていない部分を、メッシュ部材の開口領域を通して露出させながら接合膜を成膜する。これにより、凹部の内面に接合膜が成膜されることを抑えつつ、接合面のうち、凹部を除いた部分に接合膜を成膜することができる。
【0012】
このように、接合面のうち、凹部を除いた部分に接合膜が成膜されるので、接合膜を介して第1基板と第2基板とを確実に陽極接合することができる。
一方、凹部の内面に接合膜が成膜されることが抑えられるので、キャビティ内に封入される電子部品と接合膜とを離隔させることができる。したがって、接合膜を介して第1基板と第2基板とを陽極接合する際に、放電現象が発生するのを抑制し安定して陽極接合することができる。
【0013】
また、メッシュ部材が被覆部材を支持しているので、凹部形成工程の際、第1基板に複数の凹部を形成する場合であっても、複数の被覆部材をメッシュ部材に支持させ、1つのマスク体を第1基板の接合面に配置することで、複数の凹部の開口部を一度に覆うことができる。したがって、パッケージを効率よく製造することができる。
【0014】
また、前記接合膜成膜工程の前に、前記第1基板の前記接合面とは反対側の面に、前記被覆部材が磁着可能な磁石を配置する磁石配置工程を有していても良い。
【0015】
この場合、マスク体配置工程および磁石配置工程を行うことで、第1基板を間に挟んで被覆部材が磁石に磁着し、第1基板の接合面における凹部の開口周縁部に被覆部材が密接することとなる。
ここで、接合膜成膜工程の前に磁石配置工程を行うことから、接合膜成膜工程の際、前述のように第1基板の接合面における凹部の開口周縁部に被覆部材が密接し、被覆部材と第1基板の前記開口周縁部との間に隙間があくことが抑えられる。これにより、凹部の内面に接合膜が成膜されるのをより確実に抑えることができる。
【0016】
また、前記マスク体配置工程の際、前記第1基板の前記接合面と前記メッシュ部材との間に隙間をあけて前記マスク体を配置しても良い。
【0017】
この場合、マスク体配置工程の際、第1基板の接合面とメッシュ部材との間に隙間をあけてマスク体を配置するので、接合膜成膜工程の際、接合面のうち、メッシュ部材の非開口領域と重なって前記非開口領域により覆われる部分にも、メッシュ部材の開口領域および前記隙間を通して接合膜を成膜することができる。
【0018】
また、本発明に係るマスク体は、接合膜を介して互いに陽極接合された第1基板と第2基板との間のキャビティ内に電子部品を封入可能なパッケージにおける前記第1基板の接合面に、前記接合膜を成膜するためのマスク体であって、前記第1基板の前記接合面に形成された前記キャビティ用の凹部の開口部を覆う被覆部材と、前記被覆部材を支持するメッシュ部材と、を備えていることを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、前記被覆部材および前記メッシュ部材を備えているので、パッケージの第1基板の接合面に接合膜を成膜する際、第1基板の接合面にこのマスク体を介して接合膜を成膜することで、被覆部材によって凹部の開口部を覆いつつ、接合面のうち、被覆部材によって覆われていない部分を、メッシュ部材の開口領域を通して露出させながら接合膜を成膜することができる。これにより、凹部の内面に接合膜が成膜されることを抑えつつ、接合面のうち、凹部を除いた部分に接合膜を成膜することができる。
【0020】
このように、接合面のうち、凹部を除いた部分に接合膜が成膜されるので、接合膜を介して第1基板と第2基板とを確実に陽極接合することができる。
一方、凹部の内面に接合膜が成膜されることが抑えられるので、キャビティ内に封入される電子部品と接合膜とを離隔させることができる。したがって、接合膜を介して第1基板と第2基板とを陽極接合する際に、放電現象が発生するのを抑制し安定して陽極接合することができる。
【0021】
また、メッシュ部材が被覆部材を支持しているので、第1基板に複数の凹部が形成されている場合であっても、複数の被覆部材をメッシュ部材に支持させ、1つのマスク体を第1基板の接合面に配置することで、複数の凹部の開口部を一度に覆うことができる。したがって、パッケージを効率よく製造することができる。
【0022】
また、本発明に係る圧電振動子の製造方法は、前記パッケージの製造方法を実施する工程と、前記電子部品としての圧電振動片を前記キャビティの内部に配置する工程とを有することを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、前記パッケージの製造方法を採用しているので、陽極接合時の放電現象の発生を抑制し、接合膜を介して第1基板と第2基板とを安定して陽極接合することが可能になり、キャビティ内の気密が確保された高品質な圧電振動子を製造することができる。
【0024】
また、本発明に係る発振器は、前記圧電振動子の製造方法で製造された圧電振動子が、発振子として集積回路に電気的に接続されていることを特徴とする。
また、本発明に係る電子機器は、前記圧電振動子の製造方法で製造された圧電振動子が、計時部に電気的に接続されていることを特徴とする。
また、本発明に係る電波時計は、前記圧電振動子の製造方法で製造された圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されていることを特徴とする。
【0025】
この発明に係る発振器、電子機器及び電波時計においては、高品質化された圧電振動子を備えているので、同様に高品質化を図ることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、陽極接合時の放電現象の発生を抑制し、安定して陽極接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係る圧電振動子を示す外観斜視図である。
【図2】図1に示す圧電振動子の内部構成図であって、リッド基板を取り外した状態の平面図である。
【図3】図2のA−A線における断面図である。
【図4】図1に示す圧電振動子の分解斜視図である。
【図5】圧電振動片の平面図である。
【図6】圧電振動片の底面図である。
【図7】図5のB−B線における断面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る圧電振動子の製造方法のフローチャートである。
【図9】ウエハ体の分解斜視図である。
【図10】貫通電極形成工程を表す説明図である。
【図11】貫通電極形成工程を表す説明図である。
【図12】マスク体の上面図である。
【図13】マスク体の要部の拡大図である。
【図14】図13のC−C線における断面図である。
【図15】マスク体の製造方法の説明図である。
【図16】マスク体配置工程および磁石配置工程を表す説明図である。
【図17】接合膜成膜工程を表す説明図である。
【図18】離脱工程を表す説明図である。
【図19】接合工程を表す説明図である。
【図20】発振器の一実施形態を示す構成図である。
【図21】電子機器の一実施形態を示す構成図である。
【図22】電波時計の一実施形態を示す構成図である。
【図23】従来の圧電振動子の内部構造図であって、リッド基板を取り外した状態で圧電振動片を上方から見た図である。
【図24】図23に示す圧電振動子の断面図である。
【図25】図23に示す圧電振動子を製造する際の一工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態につき図面を参照して説明する。
(圧電振動子)
図1から図4に示すように、本実施形態の圧電振動子1は、互いに接合された複数の基板2、3の間に形成されたキャビティC内に、電子部品としての圧電振動片4が封入されたパッケージ5を備える表面実装型の構成とされている。パッケージ5は、ベース基板(第1基板)2とリッド基板3とで2層に積層された箱状に形成されている。なお、図4においては、図面を見易くするために後述する励振電極15、引き出し電極19、20、マウント電極16、17及び重り金属膜21の図示を省略している。
【0029】
図5から図7に示すように、圧電振動片4は、水晶やタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の圧電材料から形成された音叉型の振動片であり、所定の電圧が印加されたときに振動するものである。
【0030】
この圧電振動片4は、平行に配置された一対の振動腕部10、11と、一対の振動腕部10、11の基端側を一体的に固定する基部12と、一対の振動腕部10、11の外表面上に形成されて一対の振動腕部10、11を振動させる第1の励振電極13と第2の励振電極14とからなる励振電極15と、第1の励振電極13及び第2の励振電極14に電気的に接続されたマウント電極16、17とを有している。
また、本実施形態の圧電振動片4は、一対の振動腕部10、11の両主面上に、振動腕部10、11の長手方向に沿ってそれぞれ形成された溝部18を備えている。この溝部18は、振動腕部10、11の基端側から略中間付近まで形成されている。
【0031】
励振電極13、14は、図5および図6に示すように、一対の振動腕部10、11の主面上に形成される。励振電極13、14は、例えば、クロム(Cr)等の単層の導電性膜により形成される。第1の励振電極13と第2の励振電極14とからなる励振電極15は、一対の振動腕部10、11を互いに接近または離間する方向に所定の共振周波数で振動させる電極であり、一対の振動腕部10、11の外表面に、それぞれ電気的に切り離された状態でパターニングされて形成されている。具体的には、第1の励振電極13が、一方の振動腕部10の溝部18上と他方の振動腕部11の両側面上とに主に形成され、第2の励振電極14が、一方の振動腕部10の両側面上と他方の振動腕部11の溝部18上とに主に形成されている。
【0032】
また、第1の励振電極13及び第2の励振電極14は、基部12の両主面上において、それぞれ引き出し電極19、20を介してマウント電極16、17に電気的に接続されている。そして圧電振動片4は、このマウント電極16、17を介して電圧が印加されるようになっている。
なお、マウント電極16、17及び引き出し電極19、20は、例えばクロム(Cr)と金(Au)との積層膜であり、水晶と密着性の良いクロム膜を下地として成膜した後に、表面に金の薄膜を施したものである。
【0033】
また、一対の振動腕部10、11の先端には、自身の振動状態を所定の周波数の範囲内で振動するように調整(周波数調整)を行うための重り金属膜21が被膜されている。なお、この重り金属膜21は、周波数を粗く調整する際に使用される粗調膜21aと、微小に調整する際に使用される微調膜21bとに分かれている。これら粗調膜21a及び微調膜21bを利用して周波数調整を行うことで、一対の振動腕部10、11の周波数をデバイスの公称周波数の範囲内に収めることができる。
【0034】
このように構成された圧電振動片4は、図3および図4に示すように、金等のバンプBを利用して、ベース基板2の内面(上面)にバンプ接合されている。より具体的には、ベース基板2の内面にパターニングされた後述する引き回し電極36、37上に形成された2つのバンプB上に、一対のマウント電極16、17がそれぞれ接触した状態でバンプ接合されている。
【0035】
リッド基板3は、ガラス材料、例えばソーダ石灰ガラスからなる透明の絶縁基板であり、図1、図3および図4に示すように、板状に形成されている。
図3に示すように、リッド基板3においてベース基板2が接合される接合面(内面、下面)3a側には、圧電振動片4が収まる矩形状の凹部C1が形成されている。この凹部C1は、両基板2、3が重ね合わされたときに、圧電振動片4を収容するキャビティCとなるキャビティ用の凹部である。凹部C1は、リッド基板3の法線方向から見た平面視形状が矩形状とされ、凹部C1の前記法線方向に沿った縦断面幅は、リッド基板3において接合面3a側から、接合面3aとは反対側の外面3b側に向かうに従い漸次小さくなっている。
【0036】
また、リッド基板3の接合面3aには、陽極接合用の接合膜35が成膜されている。接合膜35は、例えばアルミニウム等の導電性材料からなり、スパッタやCVD等の成膜方法により成膜される。この接合膜35は、接合面3aのうち、凹部C1を除いた部分に成膜されており、凹部C1の内面には成膜されていない。
そして、リッド基板3は、凹部C1をベース基板2側に対向させた状態で、接合膜35を介してベース基板2に陽極接合されている。
【0037】
ベース基板2は、リッド基板3と同様に、ガラス材料、例えばソーダ石灰ガラスからなる透明な絶縁基板であり、図1から図4に示すように、板状に形成されている。
このベース基板2には、ベース基板2を貫通する一対の貫通孔30、31が形成されている。貫通孔30、31は、ベース基板2の内面から外面(下面)に向けて漸次拡径する逆テーパ状に形成されている。本実施形態の貫通孔30、31は、マウントされた圧電振動片4の基部12側に対応した位置に一方の貫通孔30が形成され、振動腕部10、11の先端側に対応した位置に他方の貫通孔31が形成されている。
【0038】
そして、これら一対の貫通孔30、31には、これら貫通孔30、31を埋めるように形成された一対の貫通電極32、33が形成されている。これら貫通電極32、33は、図3に示すように、焼成によって貫通孔30、31に対して一体的に固定された筒体6及び芯材部7によって形成されたものであり、貫通孔30、31を完全に塞いでキャビティC内の気密を維持しているとともに、後述する外部電極38、39と引き回し電極36、37とを導通させる役割を担っている。
【0039】
筒体6は、後述するペースト状のガラスフリット6aが焼成されたものである。筒体6は、両端が平坦で且つベース基板2と略同じ厚みの円筒状に形成されている。そして、筒体6の中心には、芯材部7が筒体6を貫通するように配されている。筒体6および芯材部7は、貫通孔30、31内に埋め込まれた状態で焼成されており、貫通孔30、31に対して強固に固着されている。
【0040】
芯材部7は、ステンレスや銀、アルミ等の金属材料により円柱状に形成された導電性の芯材であり、筒体6と同様に両端が平坦で、且つベース基板2の厚みと略同じ厚さとなるように形成されている。この芯材部7は、筒体6の略中心6cに位置しており、筒体6の焼成によって筒体6に対して強固に固着されている。なお、貫通電極32、33は、導電性の芯材部7を通して電気導通性が確保されている。
【0041】
また、一対の引き回し電極36、37は、一対の貫通電極32、33のうち、一方の貫通電極32と圧電振動片4の一方のマウント電極16とを電気的に接続するとともに、他方の貫通電極33と圧電振動片4の他方のマウント電極17とを電気的に接続するようにパターニングされている。
【0042】
より詳しく説明すると、一方の引き回し電極36は、圧電振動片4の基部12の真下に位置するように一方の貫通電極32の真上に形成されている。また、他方の引き回し電極37は、一方の引き回し電極36に隣接した位置から、振動腕部10、11に沿って前記振動腕部10、11の先端側に引き回しされた後、他方の貫通電極33の真上に位置するように形成されている。
【0043】
そして、これら一対の引き回し電極36、37上にそれぞれバンプBが形成されており、バンプBを利用して圧電振動片4がマウントされている。これにより、圧電振動片4の一方のマウント電極16が、一方の引き回し電極36を介して一方の貫通電極32に導通し、他方のマウント電極17が、他方の引き回し電極37を介して他方の貫通電極33に導通するようになっている。
【0044】
また、ベース基板2の外面には、図1、図3および図4に示すように、一対の貫通電極32、33に対してそれぞれ電気的に接続される外部電極38、39が形成されている。つまり、一方の外部電極38は、一方の貫通電極32及び一方の引き回し電極36を介して圧電振動片4の第1の励振電極13に電気的に接続されている。また、他方の外部電極39は、他方の貫通電極33及び他方の引き回し電極37を介して、圧電振動片4の第2の励振電極14に電気的に接続されている。
【0045】
このように構成された圧電振動子1を作動させる場合には、ベース基板2に形成された外部電極38、39に対して、所定の駆動電圧を印加する。これにより、圧電振動片4の第1の励振電極13及び第2の励振電極14からなる励振電極15に電圧を印加することで、一対の振動腕部10、11を接近・離間させる方向に所定の周波数で振動させることができる。そして、この一対の振動腕部10、11の振動を利用して、時刻源や制御信号のタイミング源、リファレンス信号源等として利用することができる。
【0046】
(圧電振動子の製造方法)
次に、本実施形態における圧電振動子1の製造方法(パッケージの製造方法)について、図8に示すフローチャートに基づいて説明する。
初めに、圧電振動片作製工程S10を行って図5から図7に示す圧電振動片4を作製する。具体的には、まず水晶のランバート原石を所定の角度でスライスして一定の厚みのウエハとする。続いて、このウエハをラッピングして粗加工した後、加工変質層をエッチングで取り除き、その後ポリッシュ等の鏡面研磨加工を行って、所定の厚みのウエハとする。続いて、ウエハに洗浄等の適切な処理を施した後、ウエハをフォトリソグラフィ技術によって圧電振動片4の外形形状でパターニングするとともに、金属膜の成膜及びパターニングを行って、励振電極15、引き出し電極19、20、マウント電極16、17、重り金属膜21を形成する。これにより、複数の圧電振動片4を作製することができる。
【0047】
また、圧電振動片4を作製した後、共振周波数の粗調を行っておく。これは、重り金属膜21の粗調膜21aにレーザ光を照射して一部を蒸発させ、重量を変化させることで行う。なお、共振周波数をより高精度に調整する微調に関しては、マウント後に行う。
【0048】
次に図9に示すように、上記工程と同時或いは前後のタイミングで、後にベース基板2(図3参照)となるベース基板用ウエハ40を、陽極接合を行う直前の状態まで作製する第2のウエハ作製工程S30を行う。
【0049】
具体的には、まず、ソーダ石灰ガラスを所定の厚さまで研磨加工して洗浄した後に、エッチング等により最表面の加工変質層を除去した円板状のベース基板用ウエハ40を形成する(S31)。
次に、図3に示すように、ベース基板2を厚さ方向に貫通し、キャビティCの内側と圧電振動子1の外側とを導通する貫通電極32、33を形成する貫通電極形成工程S32を行う。以下に、貫通電極形成工程S32について詳細を説明する。
【0050】
貫通電極形成工程S32では、まず図10に示すように、ベース基板用ウエハ40の厚さ方向に貫通する貫通孔30、31を、例えばサンドブラスト法等によりベース基板用ウエハ40に形成する貫通孔形成工程S32Aを行う。このとき本実施形態では、ベース基板用ウエハ40の内面側から、内面とは反対の外面側に向けて漸次拡径する逆テーパ状に貫通孔30、31を形成する。なお、ベース基板用ウエハ40の外面および内面はそれぞれ、後のベース基板2の外面および内面となる。
【0051】
次いで、貫通電極32、33の一部を構成する芯材部7と、表面に芯材部7が立設された土台部8と、を備える導電性の鋲体9の芯材部7を貫通孔30、31内に挿入する鋲体配置工程S32Bを行う。このとき、ベース基板用ウエハ40の内面から鋲体9の芯材部7を挿入する。これにより、ベース基板用ウエハ40の内面と鋲体9の土台部8の表面とが当接し、貫通孔30、31が前記内面側から閉塞される。
【0052】
次いで、図11に示すように、貫通電極32、33の一部を構成するペースト状のガラスフリット6aを貫通孔30、31内に充填する充填工程S32Dを行う。このとき、ベース基板用ウエハ40の外面側から貫通孔30、31にガラスフリット6aを充填する。ここで、貫通孔30、31がベース基板用ウエハ40の内面側から閉塞されているので、ガラスフリット6aが貫通孔30、31の前記内面側から漏出するのが抑制される。
【0053】
なお、ガラスフリット充填工程S32Dを終えた後、ベース基板用ウエハ40の外面上にガラスフリット6aが残存することがある。この場合、外面上のガラスフリット6aは後述する焼成後の研磨工程S32Iによって除去されるため、別途ガラスフリット6aを除去する工程を行なう必要はない。但し、別途ガラスフリット6aを除去する工程を追加することで、後述する焼成工程S32Hにおいて、ガラスフリット6aの焼成時間を短縮できるとともに、研磨工程S32Iの研磨に要する時間も短縮することができる。
【0054】
続いて、貫通孔30、31内に充填されたガラスフリット6aを焼成して硬化させる焼成工程S32Hを行う。焼成工程S32Hでは、貫通孔30、31に充填したガラスフリット6aを所定の温度で焼成して硬化させる。この焼成工程S32Hを行うことで、貫通孔30、31および芯材部7にガラスフリット6aが強固に固着して筒体6となり、貫通電極32、33が形成される。
【0055】
最後に、ベース基板用ウエハ40および鋲体9の土台部8を研磨する研磨工程S32Iを行う。具体的には、ベース基板用ウエハ40の外面側を研磨し、芯材部7の先端を露出させるとともに、鋲体9の土台部8を研磨して除去する。その結果、図3に示すように、筒体6と芯材部7とが一体的に固定された貫通電極32、33を複数得ることができる。
以上で貫通電極形成工程S32が終了する。
【0056】
次に図9に示すように、引き回し電極形成工程S33として、貫通電極32、33にそれぞれ電気的に接続された引き回し電極36、37を複数形成する。そして、引き回し電極36、37上に、それぞれ金等からなる尖塔形状のバンプBを形成する。なお、図9では、図面の見易さのためバンプBの図示を省略している。
この時点で第2のウエハ作製工程が終了する。
【0057】
次に、上記工程と同時或いは前後のタイミングで、後にリッド基板3(図3参照)となるリッド基板用ウエハ(第1基板)50を、陽極接合を行う直前の状態まで作製する第1のウエハ作製工程S20を行う。
【0058】
具体的には、まず、ソーダ石灰ガラスを所定の厚さまで研磨加工して洗浄した後に、エッチング等により最表面の加工変質層を除去した円板状のリッド基板用ウエハ50を形成する(S21)。次いで、リッド基板用ウエハ50におけるベース基板用ウエハ40との接合面50aに、エッチング等により行列方向にキャビティ用の凹部C1を複数形成する凹部形成工程S22を行うとともに、接合面50aを研磨する接合面研磨工程S23を行う。なお、リッド基板用ウエハ50の接合面50aは、後にリッド基板3の接合面3aとなる。
【0059】
次に図12から図14に示すように、接合膜35を成膜するためのマスク体70をリッド基板用ウエハ50の接合面50aに配置するマスク体配置工程S24を行う。なお、リッド基板用ウエハ50の接合面50aは、後にリッド基板3の接合面3aとなる。
ここで図12に示すように、マスク体70は、凹部C1の開口部を覆う被覆部材71と、被覆部材71を支持するメッシュ部材73と、メッシュ部材73の外周縁部に固定された枠部材74と、を備えている。
【0060】
図13に示すように、メッシュ部材73は、例えばステンレス鋼(SUS)で形成された複数の縦糸72aおよび複数の横糸72bを備えている。これらの複数の縦糸72aおよび複数の横糸72bは、互いに編みこまれて格子状となっており、メッシュ部材73の非開口領域73Aを構成している。
【0061】
すなわち、複数の縦糸72aは、縦方向D1に延在するとともに縦方向D1に直交する横方向D2に互いに同等の間隔をあけて配置されている。また、複数の横糸72bは、横方向D2に延在するとともに縦方向D1に互いに同等の間隔をあけて配置されている。そして各縦糸72aは、全ての横糸72bに対して上側もしくは下側に位置するように、複数の横糸72bに跨って縦方向D1に延在している。また各横糸72bは、横方向D2に互いに隣り合う縦糸72aの上側、下側に交互に位置するように横方向D2に延在し、複数の縦糸72aに編みこまれている。
そして、このように互いに編み込まれた縦糸72aおよび横糸72bによって囲まれた隙間(網目)が、メッシュ部材73の開口領域73Bとなっている。
【0062】
なお、縦糸72aの直径および横糸72bの直径はそれぞれ、例えば30μmとなっている。また縦糸72aは、横方向D2に1インチあたり300本並列されるように配置されるとともに、横糸72bは、縦方向D1に1インチあたり300本並列されるように配置される。
また図12から図14、並びに以下に示す図15から図17では、図面を見易くするために、メッシュ部材73の縦糸72aおよび横糸72bの数を省略するとともに、大きさ等を誇張して図示しており、縦糸72aおよび横糸72bの数や大きさ等は図示の例に限られない。
【0063】
図14に示すように、被覆部材71は、例えばステンレス鋼(SUS)で形成された板状体とされ、メッシュ部材73に接着剤層75を介して接着されている。
図12に示すように、枠部材74は、平面視円環状とされ、枠部材74の開口部は、例えばリッド基板用ウエハ50と同形同大となっている。
【0064】
ここで図15に示すように、前記マスク体70の製造に際しては、まず、縦糸72aおよび横糸72bを互いに編み込んで形成したメッシュ部材73に枠部材74を取り付けた後、メッシュ部材73の表面に膜状に塗布した接着剤75aを介して後に被覆部材71となる材料板71aをメッシュ部材73に貼り付ける。その後、材料板71aが被覆部材71の外径形状となるように、例えばエッチングなどにより材料板71aおよび接着剤75aを除去することで、マスク体70が形成される。
【0065】
以上のように構成されたマスク体70を用いたマスク体配置工程S24では、図16に示すように、リッド基板用ウエハ50の接合面50aとメッシュ部材73との間に隙間Sをあけてマスク体70を配置する。本実施形態では、被覆部材71をリッド基板用ウエハ50側に向けた状態で、マスク体70をリッド基板用ウエハ50に位置合わせしながら配置する。
【0066】
また、リッド基板用ウエハ50の接合面50aとは反対側の外面50bに、被覆部材71が磁着可能な磁石76を配置する磁石配置工程S25を行う。なお、リッド基板用ウエハ50の外面50bは、後にリッド基板3の外面3bとなる。
磁石76は、板状の永久磁石とされており、この磁石配置工程S25では、リッド基板用ウエハ50の外面50bに全面にわたって磁石76を当接もしくは近接させる。
【0067】
ここで、前記塞ぎ体配置工程S24および前記磁石配置工程S25を行うと、リッド基板用ウエハ50の外面50bに配置された磁石76によって、リッド基板用ウエハ50を間に挟んで被覆部材71が磁石76に磁着することとなる。これにより、リッド基板用ウエハ50の接合面50aにおける凹部C1の開口周縁部に被覆部材71が密接し、被覆部材71とリッド基板用ウエハ50との間に隙間があくことが抑えられる。
【0068】
そして図17に示すように、マスク体配置工程S24および磁石配置工程S25を行った後に、例えばスパッタやCVD等の成膜方法によって接合膜35を成膜する接合膜成膜工程S26を行う。
このとき、リッド基板用ウエハ50の接合面50aにマスク体70を介して接合膜35を成膜する。つまり、被覆部材71によって凹部C1の開口部を覆いつつ、接合面50aのうち、被覆部材71によって覆われていない部分を、メッシュ部材73の開口領域73Bを通して露出させながら接合膜35を成膜する。これにより、凹部C1の内面に接合膜35が成膜されることを抑えつつ、接合面50aのうち、凹部C1を除いた部分に接合膜35を成膜することができる。
【0069】
またこのとき、前述のようにリッド基板用ウエハ50における凹部C1の開口周縁部に被覆部材71が密接することとなり、被覆部材71とリッド基板用ウエハ50との間に隙間があくことが抑えられる。これにより、凹部C1の内面に接合膜35が成膜されるのをより確実に抑えることができる。
さらにこのとき、リッド基板用ウエハ50の接合面50aとメッシュ部材73との間に隙間Sをあけてマスク体70を配置するので、接合面50aのうち、メッシュ部材73と重なってメッシュ部材73の非開口領域73Aにより覆われる部分にも、メッシュ部材73の開口領域73Bおよび隙間Sを通して接合膜35を成膜することができる。
【0070】
なお、接合膜成膜工程S26の前に接合面研磨工程S23を行っているので、接合膜35の表面の平面度が確保され、ベース基板用ウエハ40との安定した接合を実現することができる。
次いで図18に示すように、リッド基板用ウエハ50からマスク体70および磁石76を離脱させる離脱工程S27を行う。
この時点で第1のウエハ作製工程が終了する。
【0071】
次に、ベース基板用ウエハ40の引き回し電極36、37上に、バンプBを介して圧電振動片4を接合して貫通電極32、33に実装する実装工程S40を行い、その後、ベース基板用ウエハ40に対してリッド基板用ウエハ50を重ね合わせる重ね合わせ工程S50を行う。
【0072】
図19に示すように、重ね合わせ工程S50の後、重ね合わせた2枚のウエハを陽極接合してウエハ体60を形成する接合工程S60を行う。
ここで、この接合工程S60で用いる陽極接合装置85について説明する。陽極接合装置85は、ベース基板用ウエハ40を載置可能な電極台部86と、接合膜35に電気的に接合可能な膜用電極87と、を有する印加手段88を備えている。
【0073】
電極台部86は、平面視でベース基板用ウエハ40と同等もしくはベース基板用ウエハ40よりも大きくなるように形成された導電性の板状部材である。前記導電性の板状部材としては、例えばステンレス鋼(SUS)等が挙げられる。電極台部86は、例えば印加手段88のマイナス端子として機能する。また膜用電極87は、例えば印加手段88のプラス端子として機能する。
なお図19では、ベース基板用ウエハ40およびリッド基板用ウエハ50それぞれ、1つ分の圧電振動子1に相当する部分を図示している。
【0074】
この接合工程S60では、まず、重ね合わせた2枚のウエハのうち、ベース基板用ウエハ40の外面を陽極接合用の電極台部86上に配置するとともに、印加手段88の膜用電極87を接合膜35に電気的に接続する。次いで、接合温度(例えば200℃〜300℃)に加熱しつつ、接合膜35と電極台部86との間に接合電圧(例えば600V〜800V)を印加する。
【0075】
すると、接合膜35とベース基板用ウエハ40との界面に電気化学的な反応が生じ、両者が陽極接合することとなる。これにより、圧電振動片4がキャビティC内に封止され、ベース基板用ウエハ40とリッド基板用ウエハ50とが接合した図9に示すウエハ体60を得ることができる。
【0076】
ところで、陽極接合を行う際、図3に示すように、ベース基板用ウエハ40に形成された貫通孔30、31は、貫通電極32、33によって完全に塞がれているため、キャビティC内の真空状態が貫通孔30、31を通じて損なわれることがない。しかも、焼成によって筒体6と芯材部7とが一体的に固定されているとともに、これらが貫通孔30、31に対して強固に固着されているため、キャビティC内の真空状態を確実に維持することができる。
【0077】
そして、上述した陽極接合が終了した後、ベース基板用ウエハ40の外面に導電性材料をパターニングして、一対の貫通電極32、33にそれぞれ電気的に接続された一対の外部電極38、39(図3参照)を複数形成する外部電極形成工程S70を行う。
【0078】
次に、ウエハ体60の状態で、キャビティC内に封止された個々の圧電振動子1の周波数を微調整して所定の範囲内に収める微調工程を行う(S80)。
周波数の微調が終了後、接合されたウエハ体60を切断線Mに沿って切断して小片化する切断工程を行う(S90)。
その後、内部の電気特性検査(S100)を行うことで、圧電振動子1の製造が終了する。
【0079】
以上説明したように、本実施形態に係る圧電振動子の製造方法によれば、接合面50aのうち、凹部C1を除いた部分に接合膜35が成膜されるので、接合膜35を介してリッド基板用ウエハ50とベース基板用ウエハ40とを確実に陽極接合することができる。
一方、凹部C1の内面に接合膜35が成膜されることが抑えられているので、キャビティ内に封入される圧電振動片4と接合膜35とを離隔させることができる。したがって、接合膜35を介してリッド基板用ウエハ50とベース基板用ウエハ40とを陽極接合する際に、放電現象が発生するのを抑制し安定して陽極接合することができる。これにより、キャビティC内の気密が確保された高品質な圧電振動子1を製造することができる。
【0080】
また、メッシュ部材73が被覆部材71を支持しているので、凹部形成工程S22の際、リッド基板用ウエハ50に複数の凹部C1を形成する場合であっても、複数の被覆部材71をメッシュ部材73に支持させ、1つのマスク体70をリッド基板用ウエハ50の接合面50aに配置することで、複数の凹部C1の開口部を一度に覆うことができる。したがって、圧電振動子1(パッケージ5)を効率よく製造することができる。
【0081】
(発振器)
次に、本発明に係る発振器の一実施形態について、図20を参照しながら説明する。
本実施形態の発振器110は、図20に示すように、圧電振動子1を、集積回路111に電気的に接続された発振子として構成したものである。この発振器110は、コンデンサ等の電子素子部品112が実装された基板113を備えている。基板113には、発振器用の前記集積回路111が実装されており、この集積回路111の近傍に、圧電振動子1の圧電振動片4が実装されている。これら電子素子部品112、集積回路111及び圧電振動子1は、図示しない配線パターンによってそれぞれ電気的に接続されている。なお、各構成部品は、図示しない樹脂によりモールドされている。
【0082】
このように構成された発振器110において、圧電振動子1に電圧を印加すると、圧電振動子1内の圧電振動片4が振動する。この振動は、圧電振動片4が有する圧電特性により電気信号に変換されて、集積回路111に電気信号として入力される。入力された電気信号は、集積回路111によって各種処理がなされ、周波数信号として出力される。これにより、圧電振動子1が発振子として機能する。
また、集積回路111の構成を、例えば、RTC(リアルタイムクロック)モジュール等を要求に応じて選択的に設定することで、時計用単機能発振器等の他、当該機器や外部機器の動作日や時刻を制御したり、時刻やカレンダー等を提供したりする機能を付加することができる。
【0083】
このような本実施形態の発振器110によれば、高品質な圧電振動子1を備えているので、高品質化を図ることができる。
【0084】
(電子機器)
次に、本発明に係る電子機器の一実施形態について、図21を参照して説明する。なお電子機器として、前述した圧電振動子1を有する携帯情報機器120を例にして説明する。
始めに本実施形態の携帯情報機器120は、例えば、携帯電話に代表されるものであり、従来技術における腕時計を発展、改良したものである。外観は腕時計に類似し、文字盤に相当する部分に液晶ディスプレイを配し、この画面上に現在の時刻等を表示させることができるものである。また、通信機として利用する場合には、手首から外し、バンドの内側部分に内蔵されたスピーカ及びマイクロフォンによって、従来技術の携帯電話と同様の通信を行うことが可能である。しかしながら、従来の携帯電話と比較して、格段に小型化及び軽量化されている。
【0085】
次に、本実施形態の携帯情報機器120の構成について説明する。この携帯情報機器120は、図21に示すように、圧電振動子1と、電力を供給するための電源部121とを備えている。電源部121は、例えば、リチウム二次電池からなっている。この電源部121には、各種制御を行う制御部122と、時刻等のカウントを行う計時部123と、外部との通信を行う通信部124と、各種情報を表示する表示部125と、それぞれの機能部の電圧を検出する電圧検出部126とが並列に接続されている。そして、電源部121によって、各機能部に電力が供給されるようになっている。
【0086】
制御部122は、各機能部を制御して音声データの送信や受信、現在時刻の計測、表示等、システム全体の動作制御を行う。また、制御部122は、予めプログラムが書き込まれたROMと、該ROMに書き込まれたプログラムを読み出して実行するCPUと、該CPUのワークエリアとして使用されるRAM等とを備えている。
【0087】
計時部123は、発振回路やレジスタ回路、カウンタ回路、インターフェース回路等を内蔵する集積回路と、圧電振動子1とを備えている。圧電振動子1に電圧を印加すると圧電振動片4が振動し、該振動が水晶の有する圧電特性により電気信号に変換されて、発振回路に電気信号として入力される。発振回路の出力は二値化され、レジスタ回路とカウンタ回路とにより計数される。そして、インターフェース回路を介して、制御部122と信号の送受信が行われ、表示部125に、現在時刻や現在日付、カレンダー情報等が表示される。
【0088】
通信部124は、従来の携帯電話と同様の機能を有し、無線部127、音声処理部128、切替部129、増幅部130、音声入出力部131、電話番号入力部132、着信音発生部133及び呼制御メモリ部134を備えている。
無線部127は、音声データ等の各種データを、アンテナ135を介して基地局と送受信のやりとりを行う。音声処理部128は、無線部127又は増幅部130から入力された音声信号を符号化及び複号化する。増幅部130は、音声処理部128又は音声入出力部131から入力された信号を、所定のレベルまで増幅する。音声入出力部131は、スピーカやマイクロフォン等からなり、着信音や受話音声を拡声したり、音声を集音したりする。
【0089】
また、着信音発生部133は、基地局からの呼び出しに応じて着信音を生成する。切替部129は、着信時に限って、音声処理部128に接続されている増幅部130を着信音発生部133に切り替えることによって、着信音発生部133において生成された着信音が増幅部130を介して音声入出力部131に出力される。
なお、呼制御メモリ部134は、通信の発着呼制御に係るプログラムを格納する。また、電話番号入力部132は、例えば、0から9の番号キー及びその他のキーを備えており、これら番号キー等を押下することにより、通話先の電話番号等が入力される。
【0090】
電圧検出部126は、電源部121によって制御部122等の各機能部に対して加えられている電圧が、所定の値を下回った場合に、その電圧降下を検出して制御部122に通知する。このときの所定の電圧値は、通信部124を安定して動作させるために必要な最低限の電圧として予め設定されている値であり、例えば、3V程度となる。電圧検出部126から電圧降下の通知を受けた制御部122は、無線部127、音声処理部128、切替部129及び着信音発生部133の動作を禁止する。特に、消費電力の大きな無線部127の動作停止は、必須となる。更に、表示部125に、通信部124が電池残量の不足により使用不能になった旨が表示される。
【0091】
すなわち、電圧検出部126と制御部122とによって、通信部124の動作を禁止し、その旨を表示部125に表示することができる。この表示は、文字メッセージであっても良いが、より直感的な表示として、表示部125の表示面の上部に表示された電話アイコンに、×(バツ)印を付けるようにしても良い。
なお、通信部124の機能に係る部分の電源を、選択的に遮断することができる電源遮断部136を備えることで、通信部124の機能をより確実に停止することができる。
【0092】
本実施形態の携帯情報機器120によれば、高品質な圧電振動子1を備えているので、高品質化を図ることができる。
【0093】
(電波時計)
次に、本発明に係る電波時計の一実施形態について、図22を参照して説明する。
本実施形態の電波時計140は、図22に示すように、フィルタ部141に電気的に接続された圧電振動子1を備えたものであり、時計情報を含む標準の電波を受信して、正確な時刻に自動修正して表示する機能を備えた時計である。
日本国内には、福島県(40kHz)と佐賀県(60kHz)とに、標準の電波を送信する送信所(送信局)があり、それぞれ標準電波を送信している。40kHz若しくは60kHzのような長波は、地表を伝播する性質と、電離層と地表とを反射しながら伝播する性質とを併せもつため、伝播範囲が広く、前述した2つの送信所で日本国内を全て網羅している。
【0094】
以下、電波時計140の機能的構成について詳細に説明する。
アンテナ142は、40kHz若しくは60kHzの長波の標準電波を受信する。長波の標準電波は、タイムコードと呼ばれる時刻情報を、40kHz若しくは60kHzの搬送波にAM変調をかけたものである。受信された長波の標準電波は、アンプ143によって増幅され、複数の圧電振動子1を有するフィルタ部141によって濾波、同調される。
本実施形態における圧電振動子1は、前記搬送周波数と同一の40kHz及び60kHzの共振周波数を有する水晶振動子部148、149をそれぞれ備えている。
【0095】
更に、濾波された所定周波数の信号は、検波、整流回路144により検波復調される。
続いて、波形整形回路145を介してタイムコードが取り出され、CPU146でカウントされる。CPU146では、現在の年や積算日、曜日、時刻等の情報を読み取る。読み取られた情報は、RTC148に反映され、正確な時刻情報が表示される。
搬送波は、40kHz若しくは60kHzであるから、水晶振動子部148、149は、前述した音叉型の構造を持つ振動子が好適である。
【0096】
なお、前述の説明は、日本国内の例で示したが、長波の標準電波の周波数は、海外では異なっている。例えば、ドイツでは77.5KHzの標準電波が用いられている。従って、海外でも対応可能な電波時計140を携帯機器に組み込む場合には、さらに日本の場合とは異なる周波数の圧電振動子1を必要とする。
【0097】
本実施形態の電波時計140によれば、高品質な圧電振動子1を備えているので、高品質化を図ることができる。
【0098】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記実施形態では、圧電振動子の製造方法は、磁石配置工程S25を有しているものとしたが、有していなくても良い。
【0099】
また前記実施形態では、マスク体配置工程S24の際、リッド基板用ウエハ50の接合面50aとメッシュ部材73との間に隙間Sをあけてマスク体70を配置するものとしたが、隙間Sをあけずに配置しても良い。
【0100】
また前記実施形態では、貫通孔30、31内に充填される充填材がペースト状のガラスフリット6aであるものとしたが、これに限られるものではない。例えば、導電性のペースト(例えば銀ペーストなど)であっても良い。この場合、芯材部7は無くても良く、圧電振動子1(パッケージ5)の製造に際し鋲体9を用いなくても良い。
さらに前記実施形態では、貫通孔30、31は、ベース基板2の内面から外面に向けて漸次拡径する逆テーパ状に形成されるものとしたが、これに代えて、例えば断面ストレート形状の貫通孔30、31であっても良い。
【0101】
また前記実施形態では、本発明に係るパッケージの製造方法を使用しつつ、パッケージ5の内部に圧電振動片4を封入して圧電振動子1を製造したが、パッケージ5の内部に圧電振動片4以外の電子部品を封入して、圧電振動子以外のデバイスを製造することも可能である。
【0102】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0103】
1 圧電振動子
2 ベース基板(第2基板)
3 リッド基板(第1基板)
4 圧電振動片(電子部品)
5 パッケージ
35 接合膜
40 ベース基板用ウエハ(第2基板)
50 リッド基板用ウエハ(第1基板)
50a 接合面
50b 外面(接合面とは反対側の面)
70 マスク体
71 被覆部材
73 メッシュ部材
76 磁石
110 発振器
120 携帯情報機器(電子機器)
140 電波時計
C キャビティ
C1 キャビティ用の凹部
S 隙間
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージの製造方法、マスク体、圧電振動子の製造方法、発振器、電子機器および電波時計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話や携帯情報端末機器には、時刻源や制御信号等のタイミング源、リファレンス信号源等として、水晶等を利用した圧電振動子が用いられている。
この種の圧電振動子として、例えば下記特許文献1に示されるような表面実装型(SMD、Surface Mount Device)の圧電振動子が知られている。図23および図24に示すように、この圧電振動子200は、互いに接合されたベース基板201およびリッド基板202と、両基板201、202の間に形成されたキャビティC内に封入された圧電振動片203と、を備えている。
【0003】
圧電振動片203は、例えば音叉型の振動片であって、ベース基板201の内面(上面)にマウントされている。
ベース基板201およびリッド基板202は、例えばガラス基板とされ、これらのうちのベース基板201には、ベース基板201を貫通するスルーホール204が形成されている。スルーホール204には内部を塞ぐように導電部材が埋め込まれ、この導電部材が貫通電極205を形成している。貫通電極205は、ベース基板201の外面(下面)に形成された外部電極206に電気的に接続されるとともに、キャビティC内にマウントされた圧電振動片203に電気的に接続されている。また、リッド基板202においてベース基板201側を向く面には、全面にわたって接合膜207が形成されており、この接合膜207を介してベース基板201とリッド基板202とが陽極接合されている。
【0004】
このように、貫通電極205が形成されたベース基板201とは異なるリッド基板202に接合膜207を形成することで、接合膜207を容易に形成することができる。すなわち、接合膜207をベース基板201に形成する場合には、貫通電極205と接合膜207とが電気的に接続されることを回避するために、リッド基板202側を向く面に全面にわたって接合膜207を成膜した後にパターニングする必要があり、接合膜207の形成に手間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−283951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このような圧電振動子200を製造する過程において、接合膜207を介してベース基板201とリッド基板202とを陽極接合する陽極接合方法としては、以下に示す方法が考えられる。すなわち、図25に示すように、互いに重ね合わせたベース基板201およびリッド基板202を陽極接合用の電極台部208上にセットした後、接合温度に加熱しつつ接合膜207と電極台部208との間に接合電圧を印加する。これにより、接合温度で加熱されたベース基板201内のイオンが流動性を有した状態で、接合膜207と電極台部208との間に接合電圧が印加されることから、ベース基板201と接合膜207との間に電流が流れる。その結果、接合膜207とベース基板201との界面に電気化学的な反応を生じさせることが可能になり、両基板201、202を陽極接合することができる。
【0007】
しかしながら、この陽極接合方法では、貫通電極205を介して電極台部208に電気的に接続された圧電振動片203が、キャビティC内に位置する接合膜207と近接しているため、接合膜207と電極台部208との間に接合電圧を印加すると、接合膜207と圧電振動片203との間で放電現象(火花放電)が発生する恐れがあった。
【0008】
このように放電現象が発生した場合、ベース基板201と接合膜207との間に電流が十分に流れずに陽極接合されないという問題があった。しかも、一度でも放電現象が発生すると、例えば接合膜207が飛散して圧電振動片203に付着すること等によって、接合膜207と圧電振動片203との間で放電パスが生成されることとなる。そのため、陽極接合に必要とされる電流をベース基板201と接合膜207との間に流すことが困難となり、両者間を陽極接合することができなくなる。
【0009】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、陽極接合時の放電現象の発生を抑制し、安定して陽極接合することができるパッケージの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係るパッケージの製造方法は、接合膜を介して互いに陽極接合された第1基板と第2基板との間のキャビティ内に電子部品を封入可能なパッケージの製造方法であって、前記第1基板の接合面に前記キャビティ用の凹部を形成する凹部形成工程と、前記凹部の開口部を覆う被覆部材と、前記被覆部材を支持するメッシュ部材と、を備えるマスク体を前記第1基板の前記接合面に配置するマスク体配置工程と、前記マスク体配置工程の後に、前記第1基板の前記接合面に前記マスク体を介して前記接合膜を成膜する接合膜成膜工程と、を有することを特徴とする。
【0011】
この発明では、マスク体配置工程の後に接合膜成膜工程を行い、第1基板の接合面にマスク体を介して接合膜を成膜する。つまり、被覆部材によって凹部の開口部を覆いつつ、接合面のうち、被覆部材によって覆われていない部分を、メッシュ部材の開口領域を通して露出させながら接合膜を成膜する。これにより、凹部の内面に接合膜が成膜されることを抑えつつ、接合面のうち、凹部を除いた部分に接合膜を成膜することができる。
【0012】
このように、接合面のうち、凹部を除いた部分に接合膜が成膜されるので、接合膜を介して第1基板と第2基板とを確実に陽極接合することができる。
一方、凹部の内面に接合膜が成膜されることが抑えられるので、キャビティ内に封入される電子部品と接合膜とを離隔させることができる。したがって、接合膜を介して第1基板と第2基板とを陽極接合する際に、放電現象が発生するのを抑制し安定して陽極接合することができる。
【0013】
また、メッシュ部材が被覆部材を支持しているので、凹部形成工程の際、第1基板に複数の凹部を形成する場合であっても、複数の被覆部材をメッシュ部材に支持させ、1つのマスク体を第1基板の接合面に配置することで、複数の凹部の開口部を一度に覆うことができる。したがって、パッケージを効率よく製造することができる。
【0014】
また、前記接合膜成膜工程の前に、前記第1基板の前記接合面とは反対側の面に、前記被覆部材が磁着可能な磁石を配置する磁石配置工程を有していても良い。
【0015】
この場合、マスク体配置工程および磁石配置工程を行うことで、第1基板を間に挟んで被覆部材が磁石に磁着し、第1基板の接合面における凹部の開口周縁部に被覆部材が密接することとなる。
ここで、接合膜成膜工程の前に磁石配置工程を行うことから、接合膜成膜工程の際、前述のように第1基板の接合面における凹部の開口周縁部に被覆部材が密接し、被覆部材と第1基板の前記開口周縁部との間に隙間があくことが抑えられる。これにより、凹部の内面に接合膜が成膜されるのをより確実に抑えることができる。
【0016】
また、前記マスク体配置工程の際、前記第1基板の前記接合面と前記メッシュ部材との間に隙間をあけて前記マスク体を配置しても良い。
【0017】
この場合、マスク体配置工程の際、第1基板の接合面とメッシュ部材との間に隙間をあけてマスク体を配置するので、接合膜成膜工程の際、接合面のうち、メッシュ部材の非開口領域と重なって前記非開口領域により覆われる部分にも、メッシュ部材の開口領域および前記隙間を通して接合膜を成膜することができる。
【0018】
また、本発明に係るマスク体は、接合膜を介して互いに陽極接合された第1基板と第2基板との間のキャビティ内に電子部品を封入可能なパッケージにおける前記第1基板の接合面に、前記接合膜を成膜するためのマスク体であって、前記第1基板の前記接合面に形成された前記キャビティ用の凹部の開口部を覆う被覆部材と、前記被覆部材を支持するメッシュ部材と、を備えていることを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、前記被覆部材および前記メッシュ部材を備えているので、パッケージの第1基板の接合面に接合膜を成膜する際、第1基板の接合面にこのマスク体を介して接合膜を成膜することで、被覆部材によって凹部の開口部を覆いつつ、接合面のうち、被覆部材によって覆われていない部分を、メッシュ部材の開口領域を通して露出させながら接合膜を成膜することができる。これにより、凹部の内面に接合膜が成膜されることを抑えつつ、接合面のうち、凹部を除いた部分に接合膜を成膜することができる。
【0020】
このように、接合面のうち、凹部を除いた部分に接合膜が成膜されるので、接合膜を介して第1基板と第2基板とを確実に陽極接合することができる。
一方、凹部の内面に接合膜が成膜されることが抑えられるので、キャビティ内に封入される電子部品と接合膜とを離隔させることができる。したがって、接合膜を介して第1基板と第2基板とを陽極接合する際に、放電現象が発生するのを抑制し安定して陽極接合することができる。
【0021】
また、メッシュ部材が被覆部材を支持しているので、第1基板に複数の凹部が形成されている場合であっても、複数の被覆部材をメッシュ部材に支持させ、1つのマスク体を第1基板の接合面に配置することで、複数の凹部の開口部を一度に覆うことができる。したがって、パッケージを効率よく製造することができる。
【0022】
また、本発明に係る圧電振動子の製造方法は、前記パッケージの製造方法を実施する工程と、前記電子部品としての圧電振動片を前記キャビティの内部に配置する工程とを有することを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、前記パッケージの製造方法を採用しているので、陽極接合時の放電現象の発生を抑制し、接合膜を介して第1基板と第2基板とを安定して陽極接合することが可能になり、キャビティ内の気密が確保された高品質な圧電振動子を製造することができる。
【0024】
また、本発明に係る発振器は、前記圧電振動子の製造方法で製造された圧電振動子が、発振子として集積回路に電気的に接続されていることを特徴とする。
また、本発明に係る電子機器は、前記圧電振動子の製造方法で製造された圧電振動子が、計時部に電気的に接続されていることを特徴とする。
また、本発明に係る電波時計は、前記圧電振動子の製造方法で製造された圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されていることを特徴とする。
【0025】
この発明に係る発振器、電子機器及び電波時計においては、高品質化された圧電振動子を備えているので、同様に高品質化を図ることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、陽極接合時の放電現象の発生を抑制し、安定して陽極接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係る圧電振動子を示す外観斜視図である。
【図2】図1に示す圧電振動子の内部構成図であって、リッド基板を取り外した状態の平面図である。
【図3】図2のA−A線における断面図である。
【図4】図1に示す圧電振動子の分解斜視図である。
【図5】圧電振動片の平面図である。
【図6】圧電振動片の底面図である。
【図7】図5のB−B線における断面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る圧電振動子の製造方法のフローチャートである。
【図9】ウエハ体の分解斜視図である。
【図10】貫通電極形成工程を表す説明図である。
【図11】貫通電極形成工程を表す説明図である。
【図12】マスク体の上面図である。
【図13】マスク体の要部の拡大図である。
【図14】図13のC−C線における断面図である。
【図15】マスク体の製造方法の説明図である。
【図16】マスク体配置工程および磁石配置工程を表す説明図である。
【図17】接合膜成膜工程を表す説明図である。
【図18】離脱工程を表す説明図である。
【図19】接合工程を表す説明図である。
【図20】発振器の一実施形態を示す構成図である。
【図21】電子機器の一実施形態を示す構成図である。
【図22】電波時計の一実施形態を示す構成図である。
【図23】従来の圧電振動子の内部構造図であって、リッド基板を取り外した状態で圧電振動片を上方から見た図である。
【図24】図23に示す圧電振動子の断面図である。
【図25】図23に示す圧電振動子を製造する際の一工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の一実施形態につき図面を参照して説明する。
(圧電振動子)
図1から図4に示すように、本実施形態の圧電振動子1は、互いに接合された複数の基板2、3の間に形成されたキャビティC内に、電子部品としての圧電振動片4が封入されたパッケージ5を備える表面実装型の構成とされている。パッケージ5は、ベース基板(第1基板)2とリッド基板3とで2層に積層された箱状に形成されている。なお、図4においては、図面を見易くするために後述する励振電極15、引き出し電極19、20、マウント電極16、17及び重り金属膜21の図示を省略している。
【0029】
図5から図7に示すように、圧電振動片4は、水晶やタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の圧電材料から形成された音叉型の振動片であり、所定の電圧が印加されたときに振動するものである。
【0030】
この圧電振動片4は、平行に配置された一対の振動腕部10、11と、一対の振動腕部10、11の基端側を一体的に固定する基部12と、一対の振動腕部10、11の外表面上に形成されて一対の振動腕部10、11を振動させる第1の励振電極13と第2の励振電極14とからなる励振電極15と、第1の励振電極13及び第2の励振電極14に電気的に接続されたマウント電極16、17とを有している。
また、本実施形態の圧電振動片4は、一対の振動腕部10、11の両主面上に、振動腕部10、11の長手方向に沿ってそれぞれ形成された溝部18を備えている。この溝部18は、振動腕部10、11の基端側から略中間付近まで形成されている。
【0031】
励振電極13、14は、図5および図6に示すように、一対の振動腕部10、11の主面上に形成される。励振電極13、14は、例えば、クロム(Cr)等の単層の導電性膜により形成される。第1の励振電極13と第2の励振電極14とからなる励振電極15は、一対の振動腕部10、11を互いに接近または離間する方向に所定の共振周波数で振動させる電極であり、一対の振動腕部10、11の外表面に、それぞれ電気的に切り離された状態でパターニングされて形成されている。具体的には、第1の励振電極13が、一方の振動腕部10の溝部18上と他方の振動腕部11の両側面上とに主に形成され、第2の励振電極14が、一方の振動腕部10の両側面上と他方の振動腕部11の溝部18上とに主に形成されている。
【0032】
また、第1の励振電極13及び第2の励振電極14は、基部12の両主面上において、それぞれ引き出し電極19、20を介してマウント電極16、17に電気的に接続されている。そして圧電振動片4は、このマウント電極16、17を介して電圧が印加されるようになっている。
なお、マウント電極16、17及び引き出し電極19、20は、例えばクロム(Cr)と金(Au)との積層膜であり、水晶と密着性の良いクロム膜を下地として成膜した後に、表面に金の薄膜を施したものである。
【0033】
また、一対の振動腕部10、11の先端には、自身の振動状態を所定の周波数の範囲内で振動するように調整(周波数調整)を行うための重り金属膜21が被膜されている。なお、この重り金属膜21は、周波数を粗く調整する際に使用される粗調膜21aと、微小に調整する際に使用される微調膜21bとに分かれている。これら粗調膜21a及び微調膜21bを利用して周波数調整を行うことで、一対の振動腕部10、11の周波数をデバイスの公称周波数の範囲内に収めることができる。
【0034】
このように構成された圧電振動片4は、図3および図4に示すように、金等のバンプBを利用して、ベース基板2の内面(上面)にバンプ接合されている。より具体的には、ベース基板2の内面にパターニングされた後述する引き回し電極36、37上に形成された2つのバンプB上に、一対のマウント電極16、17がそれぞれ接触した状態でバンプ接合されている。
【0035】
リッド基板3は、ガラス材料、例えばソーダ石灰ガラスからなる透明の絶縁基板であり、図1、図3および図4に示すように、板状に形成されている。
図3に示すように、リッド基板3においてベース基板2が接合される接合面(内面、下面)3a側には、圧電振動片4が収まる矩形状の凹部C1が形成されている。この凹部C1は、両基板2、3が重ね合わされたときに、圧電振動片4を収容するキャビティCとなるキャビティ用の凹部である。凹部C1は、リッド基板3の法線方向から見た平面視形状が矩形状とされ、凹部C1の前記法線方向に沿った縦断面幅は、リッド基板3において接合面3a側から、接合面3aとは反対側の外面3b側に向かうに従い漸次小さくなっている。
【0036】
また、リッド基板3の接合面3aには、陽極接合用の接合膜35が成膜されている。接合膜35は、例えばアルミニウム等の導電性材料からなり、スパッタやCVD等の成膜方法により成膜される。この接合膜35は、接合面3aのうち、凹部C1を除いた部分に成膜されており、凹部C1の内面には成膜されていない。
そして、リッド基板3は、凹部C1をベース基板2側に対向させた状態で、接合膜35を介してベース基板2に陽極接合されている。
【0037】
ベース基板2は、リッド基板3と同様に、ガラス材料、例えばソーダ石灰ガラスからなる透明な絶縁基板であり、図1から図4に示すように、板状に形成されている。
このベース基板2には、ベース基板2を貫通する一対の貫通孔30、31が形成されている。貫通孔30、31は、ベース基板2の内面から外面(下面)に向けて漸次拡径する逆テーパ状に形成されている。本実施形態の貫通孔30、31は、マウントされた圧電振動片4の基部12側に対応した位置に一方の貫通孔30が形成され、振動腕部10、11の先端側に対応した位置に他方の貫通孔31が形成されている。
【0038】
そして、これら一対の貫通孔30、31には、これら貫通孔30、31を埋めるように形成された一対の貫通電極32、33が形成されている。これら貫通電極32、33は、図3に示すように、焼成によって貫通孔30、31に対して一体的に固定された筒体6及び芯材部7によって形成されたものであり、貫通孔30、31を完全に塞いでキャビティC内の気密を維持しているとともに、後述する外部電極38、39と引き回し電極36、37とを導通させる役割を担っている。
【0039】
筒体6は、後述するペースト状のガラスフリット6aが焼成されたものである。筒体6は、両端が平坦で且つベース基板2と略同じ厚みの円筒状に形成されている。そして、筒体6の中心には、芯材部7が筒体6を貫通するように配されている。筒体6および芯材部7は、貫通孔30、31内に埋め込まれた状態で焼成されており、貫通孔30、31に対して強固に固着されている。
【0040】
芯材部7は、ステンレスや銀、アルミ等の金属材料により円柱状に形成された導電性の芯材であり、筒体6と同様に両端が平坦で、且つベース基板2の厚みと略同じ厚さとなるように形成されている。この芯材部7は、筒体6の略中心6cに位置しており、筒体6の焼成によって筒体6に対して強固に固着されている。なお、貫通電極32、33は、導電性の芯材部7を通して電気導通性が確保されている。
【0041】
また、一対の引き回し電極36、37は、一対の貫通電極32、33のうち、一方の貫通電極32と圧電振動片4の一方のマウント電極16とを電気的に接続するとともに、他方の貫通電極33と圧電振動片4の他方のマウント電極17とを電気的に接続するようにパターニングされている。
【0042】
より詳しく説明すると、一方の引き回し電極36は、圧電振動片4の基部12の真下に位置するように一方の貫通電極32の真上に形成されている。また、他方の引き回し電極37は、一方の引き回し電極36に隣接した位置から、振動腕部10、11に沿って前記振動腕部10、11の先端側に引き回しされた後、他方の貫通電極33の真上に位置するように形成されている。
【0043】
そして、これら一対の引き回し電極36、37上にそれぞれバンプBが形成されており、バンプBを利用して圧電振動片4がマウントされている。これにより、圧電振動片4の一方のマウント電極16が、一方の引き回し電極36を介して一方の貫通電極32に導通し、他方のマウント電極17が、他方の引き回し電極37を介して他方の貫通電極33に導通するようになっている。
【0044】
また、ベース基板2の外面には、図1、図3および図4に示すように、一対の貫通電極32、33に対してそれぞれ電気的に接続される外部電極38、39が形成されている。つまり、一方の外部電極38は、一方の貫通電極32及び一方の引き回し電極36を介して圧電振動片4の第1の励振電極13に電気的に接続されている。また、他方の外部電極39は、他方の貫通電極33及び他方の引き回し電極37を介して、圧電振動片4の第2の励振電極14に電気的に接続されている。
【0045】
このように構成された圧電振動子1を作動させる場合には、ベース基板2に形成された外部電極38、39に対して、所定の駆動電圧を印加する。これにより、圧電振動片4の第1の励振電極13及び第2の励振電極14からなる励振電極15に電圧を印加することで、一対の振動腕部10、11を接近・離間させる方向に所定の周波数で振動させることができる。そして、この一対の振動腕部10、11の振動を利用して、時刻源や制御信号のタイミング源、リファレンス信号源等として利用することができる。
【0046】
(圧電振動子の製造方法)
次に、本実施形態における圧電振動子1の製造方法(パッケージの製造方法)について、図8に示すフローチャートに基づいて説明する。
初めに、圧電振動片作製工程S10を行って図5から図7に示す圧電振動片4を作製する。具体的には、まず水晶のランバート原石を所定の角度でスライスして一定の厚みのウエハとする。続いて、このウエハをラッピングして粗加工した後、加工変質層をエッチングで取り除き、その後ポリッシュ等の鏡面研磨加工を行って、所定の厚みのウエハとする。続いて、ウエハに洗浄等の適切な処理を施した後、ウエハをフォトリソグラフィ技術によって圧電振動片4の外形形状でパターニングするとともに、金属膜の成膜及びパターニングを行って、励振電極15、引き出し電極19、20、マウント電極16、17、重り金属膜21を形成する。これにより、複数の圧電振動片4を作製することができる。
【0047】
また、圧電振動片4を作製した後、共振周波数の粗調を行っておく。これは、重り金属膜21の粗調膜21aにレーザ光を照射して一部を蒸発させ、重量を変化させることで行う。なお、共振周波数をより高精度に調整する微調に関しては、マウント後に行う。
【0048】
次に図9に示すように、上記工程と同時或いは前後のタイミングで、後にベース基板2(図3参照)となるベース基板用ウエハ40を、陽極接合を行う直前の状態まで作製する第2のウエハ作製工程S30を行う。
【0049】
具体的には、まず、ソーダ石灰ガラスを所定の厚さまで研磨加工して洗浄した後に、エッチング等により最表面の加工変質層を除去した円板状のベース基板用ウエハ40を形成する(S31)。
次に、図3に示すように、ベース基板2を厚さ方向に貫通し、キャビティCの内側と圧電振動子1の外側とを導通する貫通電極32、33を形成する貫通電極形成工程S32を行う。以下に、貫通電極形成工程S32について詳細を説明する。
【0050】
貫通電極形成工程S32では、まず図10に示すように、ベース基板用ウエハ40の厚さ方向に貫通する貫通孔30、31を、例えばサンドブラスト法等によりベース基板用ウエハ40に形成する貫通孔形成工程S32Aを行う。このとき本実施形態では、ベース基板用ウエハ40の内面側から、内面とは反対の外面側に向けて漸次拡径する逆テーパ状に貫通孔30、31を形成する。なお、ベース基板用ウエハ40の外面および内面はそれぞれ、後のベース基板2の外面および内面となる。
【0051】
次いで、貫通電極32、33の一部を構成する芯材部7と、表面に芯材部7が立設された土台部8と、を備える導電性の鋲体9の芯材部7を貫通孔30、31内に挿入する鋲体配置工程S32Bを行う。このとき、ベース基板用ウエハ40の内面から鋲体9の芯材部7を挿入する。これにより、ベース基板用ウエハ40の内面と鋲体9の土台部8の表面とが当接し、貫通孔30、31が前記内面側から閉塞される。
【0052】
次いで、図11に示すように、貫通電極32、33の一部を構成するペースト状のガラスフリット6aを貫通孔30、31内に充填する充填工程S32Dを行う。このとき、ベース基板用ウエハ40の外面側から貫通孔30、31にガラスフリット6aを充填する。ここで、貫通孔30、31がベース基板用ウエハ40の内面側から閉塞されているので、ガラスフリット6aが貫通孔30、31の前記内面側から漏出するのが抑制される。
【0053】
なお、ガラスフリット充填工程S32Dを終えた後、ベース基板用ウエハ40の外面上にガラスフリット6aが残存することがある。この場合、外面上のガラスフリット6aは後述する焼成後の研磨工程S32Iによって除去されるため、別途ガラスフリット6aを除去する工程を行なう必要はない。但し、別途ガラスフリット6aを除去する工程を追加することで、後述する焼成工程S32Hにおいて、ガラスフリット6aの焼成時間を短縮できるとともに、研磨工程S32Iの研磨に要する時間も短縮することができる。
【0054】
続いて、貫通孔30、31内に充填されたガラスフリット6aを焼成して硬化させる焼成工程S32Hを行う。焼成工程S32Hでは、貫通孔30、31に充填したガラスフリット6aを所定の温度で焼成して硬化させる。この焼成工程S32Hを行うことで、貫通孔30、31および芯材部7にガラスフリット6aが強固に固着して筒体6となり、貫通電極32、33が形成される。
【0055】
最後に、ベース基板用ウエハ40および鋲体9の土台部8を研磨する研磨工程S32Iを行う。具体的には、ベース基板用ウエハ40の外面側を研磨し、芯材部7の先端を露出させるとともに、鋲体9の土台部8を研磨して除去する。その結果、図3に示すように、筒体6と芯材部7とが一体的に固定された貫通電極32、33を複数得ることができる。
以上で貫通電極形成工程S32が終了する。
【0056】
次に図9に示すように、引き回し電極形成工程S33として、貫通電極32、33にそれぞれ電気的に接続された引き回し電極36、37を複数形成する。そして、引き回し電極36、37上に、それぞれ金等からなる尖塔形状のバンプBを形成する。なお、図9では、図面の見易さのためバンプBの図示を省略している。
この時点で第2のウエハ作製工程が終了する。
【0057】
次に、上記工程と同時或いは前後のタイミングで、後にリッド基板3(図3参照)となるリッド基板用ウエハ(第1基板)50を、陽極接合を行う直前の状態まで作製する第1のウエハ作製工程S20を行う。
【0058】
具体的には、まず、ソーダ石灰ガラスを所定の厚さまで研磨加工して洗浄した後に、エッチング等により最表面の加工変質層を除去した円板状のリッド基板用ウエハ50を形成する(S21)。次いで、リッド基板用ウエハ50におけるベース基板用ウエハ40との接合面50aに、エッチング等により行列方向にキャビティ用の凹部C1を複数形成する凹部形成工程S22を行うとともに、接合面50aを研磨する接合面研磨工程S23を行う。なお、リッド基板用ウエハ50の接合面50aは、後にリッド基板3の接合面3aとなる。
【0059】
次に図12から図14に示すように、接合膜35を成膜するためのマスク体70をリッド基板用ウエハ50の接合面50aに配置するマスク体配置工程S24を行う。なお、リッド基板用ウエハ50の接合面50aは、後にリッド基板3の接合面3aとなる。
ここで図12に示すように、マスク体70は、凹部C1の開口部を覆う被覆部材71と、被覆部材71を支持するメッシュ部材73と、メッシュ部材73の外周縁部に固定された枠部材74と、を備えている。
【0060】
図13に示すように、メッシュ部材73は、例えばステンレス鋼(SUS)で形成された複数の縦糸72aおよび複数の横糸72bを備えている。これらの複数の縦糸72aおよび複数の横糸72bは、互いに編みこまれて格子状となっており、メッシュ部材73の非開口領域73Aを構成している。
【0061】
すなわち、複数の縦糸72aは、縦方向D1に延在するとともに縦方向D1に直交する横方向D2に互いに同等の間隔をあけて配置されている。また、複数の横糸72bは、横方向D2に延在するとともに縦方向D1に互いに同等の間隔をあけて配置されている。そして各縦糸72aは、全ての横糸72bに対して上側もしくは下側に位置するように、複数の横糸72bに跨って縦方向D1に延在している。また各横糸72bは、横方向D2に互いに隣り合う縦糸72aの上側、下側に交互に位置するように横方向D2に延在し、複数の縦糸72aに編みこまれている。
そして、このように互いに編み込まれた縦糸72aおよび横糸72bによって囲まれた隙間(網目)が、メッシュ部材73の開口領域73Bとなっている。
【0062】
なお、縦糸72aの直径および横糸72bの直径はそれぞれ、例えば30μmとなっている。また縦糸72aは、横方向D2に1インチあたり300本並列されるように配置されるとともに、横糸72bは、縦方向D1に1インチあたり300本並列されるように配置される。
また図12から図14、並びに以下に示す図15から図17では、図面を見易くするために、メッシュ部材73の縦糸72aおよび横糸72bの数を省略するとともに、大きさ等を誇張して図示しており、縦糸72aおよび横糸72bの数や大きさ等は図示の例に限られない。
【0063】
図14に示すように、被覆部材71は、例えばステンレス鋼(SUS)で形成された板状体とされ、メッシュ部材73に接着剤層75を介して接着されている。
図12に示すように、枠部材74は、平面視円環状とされ、枠部材74の開口部は、例えばリッド基板用ウエハ50と同形同大となっている。
【0064】
ここで図15に示すように、前記マスク体70の製造に際しては、まず、縦糸72aおよび横糸72bを互いに編み込んで形成したメッシュ部材73に枠部材74を取り付けた後、メッシュ部材73の表面に膜状に塗布した接着剤75aを介して後に被覆部材71となる材料板71aをメッシュ部材73に貼り付ける。その後、材料板71aが被覆部材71の外径形状となるように、例えばエッチングなどにより材料板71aおよび接着剤75aを除去することで、マスク体70が形成される。
【0065】
以上のように構成されたマスク体70を用いたマスク体配置工程S24では、図16に示すように、リッド基板用ウエハ50の接合面50aとメッシュ部材73との間に隙間Sをあけてマスク体70を配置する。本実施形態では、被覆部材71をリッド基板用ウエハ50側に向けた状態で、マスク体70をリッド基板用ウエハ50に位置合わせしながら配置する。
【0066】
また、リッド基板用ウエハ50の接合面50aとは反対側の外面50bに、被覆部材71が磁着可能な磁石76を配置する磁石配置工程S25を行う。なお、リッド基板用ウエハ50の外面50bは、後にリッド基板3の外面3bとなる。
磁石76は、板状の永久磁石とされており、この磁石配置工程S25では、リッド基板用ウエハ50の外面50bに全面にわたって磁石76を当接もしくは近接させる。
【0067】
ここで、前記塞ぎ体配置工程S24および前記磁石配置工程S25を行うと、リッド基板用ウエハ50の外面50bに配置された磁石76によって、リッド基板用ウエハ50を間に挟んで被覆部材71が磁石76に磁着することとなる。これにより、リッド基板用ウエハ50の接合面50aにおける凹部C1の開口周縁部に被覆部材71が密接し、被覆部材71とリッド基板用ウエハ50との間に隙間があくことが抑えられる。
【0068】
そして図17に示すように、マスク体配置工程S24および磁石配置工程S25を行った後に、例えばスパッタやCVD等の成膜方法によって接合膜35を成膜する接合膜成膜工程S26を行う。
このとき、リッド基板用ウエハ50の接合面50aにマスク体70を介して接合膜35を成膜する。つまり、被覆部材71によって凹部C1の開口部を覆いつつ、接合面50aのうち、被覆部材71によって覆われていない部分を、メッシュ部材73の開口領域73Bを通して露出させながら接合膜35を成膜する。これにより、凹部C1の内面に接合膜35が成膜されることを抑えつつ、接合面50aのうち、凹部C1を除いた部分に接合膜35を成膜することができる。
【0069】
またこのとき、前述のようにリッド基板用ウエハ50における凹部C1の開口周縁部に被覆部材71が密接することとなり、被覆部材71とリッド基板用ウエハ50との間に隙間があくことが抑えられる。これにより、凹部C1の内面に接合膜35が成膜されるのをより確実に抑えることができる。
さらにこのとき、リッド基板用ウエハ50の接合面50aとメッシュ部材73との間に隙間Sをあけてマスク体70を配置するので、接合面50aのうち、メッシュ部材73と重なってメッシュ部材73の非開口領域73Aにより覆われる部分にも、メッシュ部材73の開口領域73Bおよび隙間Sを通して接合膜35を成膜することができる。
【0070】
なお、接合膜成膜工程S26の前に接合面研磨工程S23を行っているので、接合膜35の表面の平面度が確保され、ベース基板用ウエハ40との安定した接合を実現することができる。
次いで図18に示すように、リッド基板用ウエハ50からマスク体70および磁石76を離脱させる離脱工程S27を行う。
この時点で第1のウエハ作製工程が終了する。
【0071】
次に、ベース基板用ウエハ40の引き回し電極36、37上に、バンプBを介して圧電振動片4を接合して貫通電極32、33に実装する実装工程S40を行い、その後、ベース基板用ウエハ40に対してリッド基板用ウエハ50を重ね合わせる重ね合わせ工程S50を行う。
【0072】
図19に示すように、重ね合わせ工程S50の後、重ね合わせた2枚のウエハを陽極接合してウエハ体60を形成する接合工程S60を行う。
ここで、この接合工程S60で用いる陽極接合装置85について説明する。陽極接合装置85は、ベース基板用ウエハ40を載置可能な電極台部86と、接合膜35に電気的に接合可能な膜用電極87と、を有する印加手段88を備えている。
【0073】
電極台部86は、平面視でベース基板用ウエハ40と同等もしくはベース基板用ウエハ40よりも大きくなるように形成された導電性の板状部材である。前記導電性の板状部材としては、例えばステンレス鋼(SUS)等が挙げられる。電極台部86は、例えば印加手段88のマイナス端子として機能する。また膜用電極87は、例えば印加手段88のプラス端子として機能する。
なお図19では、ベース基板用ウエハ40およびリッド基板用ウエハ50それぞれ、1つ分の圧電振動子1に相当する部分を図示している。
【0074】
この接合工程S60では、まず、重ね合わせた2枚のウエハのうち、ベース基板用ウエハ40の外面を陽極接合用の電極台部86上に配置するとともに、印加手段88の膜用電極87を接合膜35に電気的に接続する。次いで、接合温度(例えば200℃〜300℃)に加熱しつつ、接合膜35と電極台部86との間に接合電圧(例えば600V〜800V)を印加する。
【0075】
すると、接合膜35とベース基板用ウエハ40との界面に電気化学的な反応が生じ、両者が陽極接合することとなる。これにより、圧電振動片4がキャビティC内に封止され、ベース基板用ウエハ40とリッド基板用ウエハ50とが接合した図9に示すウエハ体60を得ることができる。
【0076】
ところで、陽極接合を行う際、図3に示すように、ベース基板用ウエハ40に形成された貫通孔30、31は、貫通電極32、33によって完全に塞がれているため、キャビティC内の真空状態が貫通孔30、31を通じて損なわれることがない。しかも、焼成によって筒体6と芯材部7とが一体的に固定されているとともに、これらが貫通孔30、31に対して強固に固着されているため、キャビティC内の真空状態を確実に維持することができる。
【0077】
そして、上述した陽極接合が終了した後、ベース基板用ウエハ40の外面に導電性材料をパターニングして、一対の貫通電極32、33にそれぞれ電気的に接続された一対の外部電極38、39(図3参照)を複数形成する外部電極形成工程S70を行う。
【0078】
次に、ウエハ体60の状態で、キャビティC内に封止された個々の圧電振動子1の周波数を微調整して所定の範囲内に収める微調工程を行う(S80)。
周波数の微調が終了後、接合されたウエハ体60を切断線Mに沿って切断して小片化する切断工程を行う(S90)。
その後、内部の電気特性検査(S100)を行うことで、圧電振動子1の製造が終了する。
【0079】
以上説明したように、本実施形態に係る圧電振動子の製造方法によれば、接合面50aのうち、凹部C1を除いた部分に接合膜35が成膜されるので、接合膜35を介してリッド基板用ウエハ50とベース基板用ウエハ40とを確実に陽極接合することができる。
一方、凹部C1の内面に接合膜35が成膜されることが抑えられているので、キャビティ内に封入される圧電振動片4と接合膜35とを離隔させることができる。したがって、接合膜35を介してリッド基板用ウエハ50とベース基板用ウエハ40とを陽極接合する際に、放電現象が発生するのを抑制し安定して陽極接合することができる。これにより、キャビティC内の気密が確保された高品質な圧電振動子1を製造することができる。
【0080】
また、メッシュ部材73が被覆部材71を支持しているので、凹部形成工程S22の際、リッド基板用ウエハ50に複数の凹部C1を形成する場合であっても、複数の被覆部材71をメッシュ部材73に支持させ、1つのマスク体70をリッド基板用ウエハ50の接合面50aに配置することで、複数の凹部C1の開口部を一度に覆うことができる。したがって、圧電振動子1(パッケージ5)を効率よく製造することができる。
【0081】
(発振器)
次に、本発明に係る発振器の一実施形態について、図20を参照しながら説明する。
本実施形態の発振器110は、図20に示すように、圧電振動子1を、集積回路111に電気的に接続された発振子として構成したものである。この発振器110は、コンデンサ等の電子素子部品112が実装された基板113を備えている。基板113には、発振器用の前記集積回路111が実装されており、この集積回路111の近傍に、圧電振動子1の圧電振動片4が実装されている。これら電子素子部品112、集積回路111及び圧電振動子1は、図示しない配線パターンによってそれぞれ電気的に接続されている。なお、各構成部品は、図示しない樹脂によりモールドされている。
【0082】
このように構成された発振器110において、圧電振動子1に電圧を印加すると、圧電振動子1内の圧電振動片4が振動する。この振動は、圧電振動片4が有する圧電特性により電気信号に変換されて、集積回路111に電気信号として入力される。入力された電気信号は、集積回路111によって各種処理がなされ、周波数信号として出力される。これにより、圧電振動子1が発振子として機能する。
また、集積回路111の構成を、例えば、RTC(リアルタイムクロック)モジュール等を要求に応じて選択的に設定することで、時計用単機能発振器等の他、当該機器や外部機器の動作日や時刻を制御したり、時刻やカレンダー等を提供したりする機能を付加することができる。
【0083】
このような本実施形態の発振器110によれば、高品質な圧電振動子1を備えているので、高品質化を図ることができる。
【0084】
(電子機器)
次に、本発明に係る電子機器の一実施形態について、図21を参照して説明する。なお電子機器として、前述した圧電振動子1を有する携帯情報機器120を例にして説明する。
始めに本実施形態の携帯情報機器120は、例えば、携帯電話に代表されるものであり、従来技術における腕時計を発展、改良したものである。外観は腕時計に類似し、文字盤に相当する部分に液晶ディスプレイを配し、この画面上に現在の時刻等を表示させることができるものである。また、通信機として利用する場合には、手首から外し、バンドの内側部分に内蔵されたスピーカ及びマイクロフォンによって、従来技術の携帯電話と同様の通信を行うことが可能である。しかしながら、従来の携帯電話と比較して、格段に小型化及び軽量化されている。
【0085】
次に、本実施形態の携帯情報機器120の構成について説明する。この携帯情報機器120は、図21に示すように、圧電振動子1と、電力を供給するための電源部121とを備えている。電源部121は、例えば、リチウム二次電池からなっている。この電源部121には、各種制御を行う制御部122と、時刻等のカウントを行う計時部123と、外部との通信を行う通信部124と、各種情報を表示する表示部125と、それぞれの機能部の電圧を検出する電圧検出部126とが並列に接続されている。そして、電源部121によって、各機能部に電力が供給されるようになっている。
【0086】
制御部122は、各機能部を制御して音声データの送信や受信、現在時刻の計測、表示等、システム全体の動作制御を行う。また、制御部122は、予めプログラムが書き込まれたROMと、該ROMに書き込まれたプログラムを読み出して実行するCPUと、該CPUのワークエリアとして使用されるRAM等とを備えている。
【0087】
計時部123は、発振回路やレジスタ回路、カウンタ回路、インターフェース回路等を内蔵する集積回路と、圧電振動子1とを備えている。圧電振動子1に電圧を印加すると圧電振動片4が振動し、該振動が水晶の有する圧電特性により電気信号に変換されて、発振回路に電気信号として入力される。発振回路の出力は二値化され、レジスタ回路とカウンタ回路とにより計数される。そして、インターフェース回路を介して、制御部122と信号の送受信が行われ、表示部125に、現在時刻や現在日付、カレンダー情報等が表示される。
【0088】
通信部124は、従来の携帯電話と同様の機能を有し、無線部127、音声処理部128、切替部129、増幅部130、音声入出力部131、電話番号入力部132、着信音発生部133及び呼制御メモリ部134を備えている。
無線部127は、音声データ等の各種データを、アンテナ135を介して基地局と送受信のやりとりを行う。音声処理部128は、無線部127又は増幅部130から入力された音声信号を符号化及び複号化する。増幅部130は、音声処理部128又は音声入出力部131から入力された信号を、所定のレベルまで増幅する。音声入出力部131は、スピーカやマイクロフォン等からなり、着信音や受話音声を拡声したり、音声を集音したりする。
【0089】
また、着信音発生部133は、基地局からの呼び出しに応じて着信音を生成する。切替部129は、着信時に限って、音声処理部128に接続されている増幅部130を着信音発生部133に切り替えることによって、着信音発生部133において生成された着信音が増幅部130を介して音声入出力部131に出力される。
なお、呼制御メモリ部134は、通信の発着呼制御に係るプログラムを格納する。また、電話番号入力部132は、例えば、0から9の番号キー及びその他のキーを備えており、これら番号キー等を押下することにより、通話先の電話番号等が入力される。
【0090】
電圧検出部126は、電源部121によって制御部122等の各機能部に対して加えられている電圧が、所定の値を下回った場合に、その電圧降下を検出して制御部122に通知する。このときの所定の電圧値は、通信部124を安定して動作させるために必要な最低限の電圧として予め設定されている値であり、例えば、3V程度となる。電圧検出部126から電圧降下の通知を受けた制御部122は、無線部127、音声処理部128、切替部129及び着信音発生部133の動作を禁止する。特に、消費電力の大きな無線部127の動作停止は、必須となる。更に、表示部125に、通信部124が電池残量の不足により使用不能になった旨が表示される。
【0091】
すなわち、電圧検出部126と制御部122とによって、通信部124の動作を禁止し、その旨を表示部125に表示することができる。この表示は、文字メッセージであっても良いが、より直感的な表示として、表示部125の表示面の上部に表示された電話アイコンに、×(バツ)印を付けるようにしても良い。
なお、通信部124の機能に係る部分の電源を、選択的に遮断することができる電源遮断部136を備えることで、通信部124の機能をより確実に停止することができる。
【0092】
本実施形態の携帯情報機器120によれば、高品質な圧電振動子1を備えているので、高品質化を図ることができる。
【0093】
(電波時計)
次に、本発明に係る電波時計の一実施形態について、図22を参照して説明する。
本実施形態の電波時計140は、図22に示すように、フィルタ部141に電気的に接続された圧電振動子1を備えたものであり、時計情報を含む標準の電波を受信して、正確な時刻に自動修正して表示する機能を備えた時計である。
日本国内には、福島県(40kHz)と佐賀県(60kHz)とに、標準の電波を送信する送信所(送信局)があり、それぞれ標準電波を送信している。40kHz若しくは60kHzのような長波は、地表を伝播する性質と、電離層と地表とを反射しながら伝播する性質とを併せもつため、伝播範囲が広く、前述した2つの送信所で日本国内を全て網羅している。
【0094】
以下、電波時計140の機能的構成について詳細に説明する。
アンテナ142は、40kHz若しくは60kHzの長波の標準電波を受信する。長波の標準電波は、タイムコードと呼ばれる時刻情報を、40kHz若しくは60kHzの搬送波にAM変調をかけたものである。受信された長波の標準電波は、アンプ143によって増幅され、複数の圧電振動子1を有するフィルタ部141によって濾波、同調される。
本実施形態における圧電振動子1は、前記搬送周波数と同一の40kHz及び60kHzの共振周波数を有する水晶振動子部148、149をそれぞれ備えている。
【0095】
更に、濾波された所定周波数の信号は、検波、整流回路144により検波復調される。
続いて、波形整形回路145を介してタイムコードが取り出され、CPU146でカウントされる。CPU146では、現在の年や積算日、曜日、時刻等の情報を読み取る。読み取られた情報は、RTC148に反映され、正確な時刻情報が表示される。
搬送波は、40kHz若しくは60kHzであるから、水晶振動子部148、149は、前述した音叉型の構造を持つ振動子が好適である。
【0096】
なお、前述の説明は、日本国内の例で示したが、長波の標準電波の周波数は、海外では異なっている。例えば、ドイツでは77.5KHzの標準電波が用いられている。従って、海外でも対応可能な電波時計140を携帯機器に組み込む場合には、さらに日本の場合とは異なる周波数の圧電振動子1を必要とする。
【0097】
本実施形態の電波時計140によれば、高品質な圧電振動子1を備えているので、高品質化を図ることができる。
【0098】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記実施形態では、圧電振動子の製造方法は、磁石配置工程S25を有しているものとしたが、有していなくても良い。
【0099】
また前記実施形態では、マスク体配置工程S24の際、リッド基板用ウエハ50の接合面50aとメッシュ部材73との間に隙間Sをあけてマスク体70を配置するものとしたが、隙間Sをあけずに配置しても良い。
【0100】
また前記実施形態では、貫通孔30、31内に充填される充填材がペースト状のガラスフリット6aであるものとしたが、これに限られるものではない。例えば、導電性のペースト(例えば銀ペーストなど)であっても良い。この場合、芯材部7は無くても良く、圧電振動子1(パッケージ5)の製造に際し鋲体9を用いなくても良い。
さらに前記実施形態では、貫通孔30、31は、ベース基板2の内面から外面に向けて漸次拡径する逆テーパ状に形成されるものとしたが、これに代えて、例えば断面ストレート形状の貫通孔30、31であっても良い。
【0101】
また前記実施形態では、本発明に係るパッケージの製造方法を使用しつつ、パッケージ5の内部に圧電振動片4を封入して圧電振動子1を製造したが、パッケージ5の内部に圧電振動片4以外の電子部品を封入して、圧電振動子以外のデバイスを製造することも可能である。
【0102】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0103】
1 圧電振動子
2 ベース基板(第2基板)
3 リッド基板(第1基板)
4 圧電振動片(電子部品)
5 パッケージ
35 接合膜
40 ベース基板用ウエハ(第2基板)
50 リッド基板用ウエハ(第1基板)
50a 接合面
50b 外面(接合面とは反対側の面)
70 マスク体
71 被覆部材
73 メッシュ部材
76 磁石
110 発振器
120 携帯情報機器(電子機器)
140 電波時計
C キャビティ
C1 キャビティ用の凹部
S 隙間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合膜を介して互いに陽極接合された第1基板と第2基板との間のキャビティ内に電子部品を封入可能なパッケージの製造方法であって、
前記第1基板の接合面に前記キャビティ用の凹部を形成する凹部形成工程と、
前記凹部の開口部を覆う被覆部材と、前記被覆部材を支持するメッシュ部材と、を備えるマスク体を前記第1基板の前記接合面に配置するマスク体配置工程と、
前記マスク体配置工程の後に、前記第1基板の前記接合面に前記マスク体を介して前記接合膜を成膜する接合膜成膜工程と、を有することを特徴とするパッケージの製造方法。
【請求項2】
請求項1記載のパッケージの製造方法であって、
前記接合膜成膜工程の前に、前記第1基板の前記接合面とは反対側の面に、前記被覆部材が磁着可能な磁石を配置する磁石配置工程を有することを特徴とするパッケージの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のパッケージの製造方法であって、
前記マスク体配置工程の際、前記第1基板の前記接合面と前記メッシュ部材との間に隙間をあけて前記マスク体を配置することを特徴とするパッケージの製造方法。
【請求項4】
接合膜を介して互いに陽極接合された第1基板と第2基板との間のキャビティ内に電子部品を封入可能なパッケージにおける前記第1基板の接合面に、前記接合膜を成膜するためのマスク体であって、
前記第1基板の前記接合面に形成された前記キャビティ用の凹部の開口部を覆う被覆部材と、
前記被覆部材を支持するメッシュ部材と、を備えていることを特徴とするマスク体。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載のパッケージの製造方法を実施する工程と、前記電子部品としての圧電振動片を前記キャビティの内部に配置する工程とを有することを特徴とする圧電振動子の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法で製造された圧電振動子が、発振子として集積回路に電気的に接続されていることを特徴とする発振器。
【請求項7】
請求項5に記載の方法で製造された圧電振動子が、計時部に電気的に接続されていることを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項5に記載の方法で製造された圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されていることを特徴とする電波時計。
【請求項1】
接合膜を介して互いに陽極接合された第1基板と第2基板との間のキャビティ内に電子部品を封入可能なパッケージの製造方法であって、
前記第1基板の接合面に前記キャビティ用の凹部を形成する凹部形成工程と、
前記凹部の開口部を覆う被覆部材と、前記被覆部材を支持するメッシュ部材と、を備えるマスク体を前記第1基板の前記接合面に配置するマスク体配置工程と、
前記マスク体配置工程の後に、前記第1基板の前記接合面に前記マスク体を介して前記接合膜を成膜する接合膜成膜工程と、を有することを特徴とするパッケージの製造方法。
【請求項2】
請求項1記載のパッケージの製造方法であって、
前記接合膜成膜工程の前に、前記第1基板の前記接合面とは反対側の面に、前記被覆部材が磁着可能な磁石を配置する磁石配置工程を有することを特徴とするパッケージの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のパッケージの製造方法であって、
前記マスク体配置工程の際、前記第1基板の前記接合面と前記メッシュ部材との間に隙間をあけて前記マスク体を配置することを特徴とするパッケージの製造方法。
【請求項4】
接合膜を介して互いに陽極接合された第1基板と第2基板との間のキャビティ内に電子部品を封入可能なパッケージにおける前記第1基板の接合面に、前記接合膜を成膜するためのマスク体であって、
前記第1基板の前記接合面に形成された前記キャビティ用の凹部の開口部を覆う被覆部材と、
前記被覆部材を支持するメッシュ部材と、を備えていることを特徴とするマスク体。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載のパッケージの製造方法を実施する工程と、前記電子部品としての圧電振動片を前記キャビティの内部に配置する工程とを有することを特徴とする圧電振動子の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法で製造された圧電振動子が、発振子として集積回路に電気的に接続されていることを特徴とする発振器。
【請求項7】
請求項5に記載の方法で製造された圧電振動子が、計時部に電気的に接続されていることを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項5に記載の方法で製造された圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されていることを特徴とする電波時計。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
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【図16】
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【図18】
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【図20】
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【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2011−199675(P2011−199675A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−65135(P2010−65135)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
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