説明

パネルユニット及びそれを用いた壁体構造

【課題】サッシ枠体とフレーム体の間の防水性を確保でき、また縦フレーム材と縦枠の両方で強度を確保することのできるパネルユニット及びそれを用いた壁体構造を提供する。
【解決手段】フレーム体1の縦フレーム材10と横フレーム材11で囲まれた開口部1aにサッシ枠体2を固着してなり、横フレーム11は縦フレーム10の内周側面に取付けられてその略見込面内に配置され、少なくとも左右の縦フレーム材10と上の横フレーム材11の室外側に相当する方向に面する側面は略面一状のサッシ枠体固着面12を構成し、サッシ枠体2を構成する左右の縦枠22及び上枠20はそれぞれ左右の縦フレーム材10及び上の横フレーム材11aの各サッシ枠体固着面12に重合する固着片25を有すると共に、固着片25とサッシ枠体固着面12が重合して室外側に相当する方向からビスまたはリベット止めされてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の開口部に取付けられるサッシ枠体を含んだパネルユニット及びそれを用いた壁体構造に関し、特にサッシ枠体の周囲に建物躯体またはALCパネルが配設されるパネルユニット及びそれを用いた壁体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の開口部にサッシ枠体を取付けるにあたって、左右の縦フレーム材と上下の横フレーム材からなるフレーム体の開口部にサッシ枠体を取付けたパネルユニットを予め工場で形成しておき、サッシ枠体が取付けられる現場ではこのパネルユニットのフレーム体を建物の開口部に取付け、サッシ枠体の周囲部には建物躯体またはALCパネルを配設することで、効率よくサッシ枠体の施工を行うことができる。このようなパネルユニットとしては、例えば特許文献1に挙げるようなものがある。また、縦材の見込面内に横材を連結するものとして、特許文献2に示すような壁開口部を直接補強する構造が知られている。
【特許文献1】特開平6−299758号公報
【特許文献2】特開平11−36484号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のパネルユニットにおいては、左右の縦フレーム材は上下の横フレーム材の後面側に固定されていた。すなわち、フレーム体は上下と左右で段差を有するように形成されていた。このため、サッシ枠体は上下の横フレーム材に対して固定され、横フレーム材より室内側に配置される縦フレーム材に対しては固定されていなかった。したがって、サッシ枠体の縦枠とフレーム体の縦フレーム材との間に隙間があって、防水性を確保しにくく、また縦フレーム材と縦枠の双方に充分な強度が要求されるため、コストが高くなりやすいという問題点があった。
【0004】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、サッシ枠体とフレーム体の間の防水性を確保でき、また縦フレーム材と縦枠の両方で強度を確保することのできるパネルユニット及びそれを用いた壁体構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係るパネルユニットは、左右の縦フレーム材に上下の横フレーム材を連結してフレーム体を構成し、該フレーム体の前記縦フレーム材と横フレーム材で囲まれた開口部にサッシ枠体を固着してなるパネルユニットにおいて、
前記横フレームは前記縦フレームの内周側面に取付けられてその略見込面内に配置され、
少なくとも前記左右の縦フレーム材と上の横フレーム材の室外側に相当する方向に面する側面は略面一状のサッシ枠体固着面を構成し、前記サッシ枠体を構成する左右の縦枠及び上枠はそれぞれ前記左右の縦フレーム材及び上の横フレーム材の各サッシ枠体固着面に重合する固着片を有すると共に、該固着片とサッシ枠体固着面が重合して室外側に相当する方向からビスまたはリベット止めされてなることを特徴として構成されている。
【0006】
また、本発明に係るパネルユニットは、前記サッシ枠体の外周面には室内側に相当する方向に向かって係合自在な係合フィンを形成し、前記フレーム体の内周面には前記サッシ枠体の係合フィンと係合する係合部品が取付けられることを特徴として構成されている。
【0007】
さらに、本発明に係る壁体構造は、左右の縦フレーム材に上下の横フレーム材を連結してフレーム体を構成し、該フレーム体の前記縦フレーム材と横フレーム材で囲まれた開口部にサッシ枠体を固着してなるパネルユニットの、前記左右の縦フレーム材及び上下の横フレーム材の各外周側にそれぞれ建物躯体またはALCパネルを配設した壁体構造において、
前記横フレームは前記縦フレームの内周側面に取付けられてその略見込面内に配置され、
少なくとも前記左右の縦フレーム材と上の横フレーム材の室外側に相当する方向に面する側面は略面一状のサッシ枠体固着面を構成し、前記サッシ枠体を構成する左右の縦枠及び上枠はそれぞれ前記左右の縦フレーム材及び上の横フレーム材の各サッシ枠体固着面に重合する固着片を有すると共に、該固着片とサッシ枠体固着面が重合して室外側に相当する方向からビスまたはリベット止めされ、
前記サッシ枠体の室外側端部は、前記フレーム体のサッシ枠体固着面と前記サッシ枠体の固着片とが重合された状態でこれらを固定するビスまたはリベットを室外側から覆うように、前記建物躯体またはALCパネルとの間でシーリング処理されてなることを特徴として構成されている。
【0008】
さらにまた、本発明に係る壁体構造は、前記縦フレーム材の外周側に配設されるALCパネルは室外側部が室内側部より内周側に突出した突出部を備え、前記縦フレーム材は前記ALCパネルの突出部より室内側の収納部に配置されることを特徴として構成されている。
【0009】
そして、本発明に係る壁体構造は、前記突出部の室内側面と、対向する前記サッシ枠体の室外側面との間でシーリング処理されてなることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るパネルユニットによれば、横フレームは縦フレームの内周側面に取付けられてその略見込面内に配置され、少なくとも左右の縦フレーム材と上の横フレーム材の室外側に相当する方向に面する側面は略面一状のサッシ枠体固着面を構成し、サッシ枠体を構成する左右の縦枠及び上枠はそれぞれ左右の縦フレーム材及び上の横フレーム材の各サッシ枠体固着面に重合する固着片を有すると共に、固着片とサッシ枠体固着面が重合して室外側に相当する方向からビスまたはリベット止めされてなることにより、フレーム体が上下左右で略同一面内に形成されることとなり、少なくともフレーム体及びサッシ枠体の左右辺及び上辺が略面一状のサッシ枠体固着面と固着片の重合により略同一面で固着されるので、フレーム体とサッシ枠との間で防水性を確保することができると共に、縦フレーム材と縦枠との固着により両者の組合せで充分な強度を得ることができる。また、左右の縦フレーム材が上下の横フレーム材と略同一面内にあることで、縦フレーム材と室内側の壁面との間に充分な空間を確保することができ、したがって縦フレーム材より室内側に設けられる断熱材を厚くすることができるので、断熱性を向上させることができる。さらに、左右の縦フレーム材が上下の横フレーム材と略同一面内にあることで、パネルユニットの全体の厚みを減らすことができるので、輸送効率を向上させることができる。
【0011】
また、本発明に係るパネルユニットによれば、サッシ枠体の外周面には室内側に相当する方向に向かって係合自在な係合フィンを形成し、フレーム体の内周面にはサッシ枠体の係合フィンと係合する係合部品が取付けられることにより、フレーム体に対してサッシ枠体を室外側に相当する方向から係合させることができ、サッシ枠体のフレーム体に対する取付作業を容易にすることができる。
【0012】
さらに、本発明に係る壁体構造によれば、左右の縦フレーム材及び上下の横フレーム材の各外周側にはそれぞれ建物躯体またはALCパネルが配設され、サッシ枠体の室外側端部は、重合したフレーム体のサッシ枠体固着面とサッシ枠体の固着片とを固定するビスまたはリベットを室外側から覆うように、建物躯体またはALCパネルとの間でシーリング処理されてなることにより、ビスまたはリベット止め部分を室外側から見えないようにすることができ、またサッシ枠体と建物躯体またはALCパネルとの間でシーリング処理することで充分な防水性を確保することができる。
【0013】
さらにまた、本発明に係る壁体構造によれば、縦フレーム材の外周側に配設されるALCパネルは室外側部が室内側部より内周側に突出した突出部を備え、縦フレーム材はALCパネルの突出部より室内側の収納部に配置されることにより、縦フレーム材のALCパネルに対する納まりを良好にすることができ、サッシ枠体の上方または下方で縦枠と隣接するALCパネルに加工を行う必要がなくて、施工性を向上させることができる。また、フレーム体の室外側をALCパネルが覆う形となるので、パネルユニット全体での防音性及び断熱性を向上させることもできる。
【0014】
そして、本発明に係る壁体構造によれば、突出部の室内側面と、対向するサッシ枠体の室外側面との間でシーリング処理されてなることにより、突出部が形成されたALCパネルにおいてはシーリング部分を室外側から見えないようにすることができ、意匠性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明のパネルユニット及びそれを用いた壁体構造の実施形態について図面に沿って詳細に説明する。図1には本実施形態におけるパネルユニットの正面図を示している。この図に示すように、本実施形態におけるパネルユニットは、上下方向に長い左右の縦フレーム材10、10と、この左右の縦フレーム材10、10間に設けられる上フレーム材11a及び下フレーム材11bとからなる横フレーム材11とでフレーム体1を構成し、左右の縦フレーム材10、10及び上下の横フレーム材11a、11bで囲まれた開口部1aにサッシ枠体2を固着してなるものである。また、サッシ枠体2の内部には内障子3と外障子4とを引き違い状に納めている。
【0016】
図2にはフレーム体1の縦断面図を示している。この図に示すように、フレーム体1は横フレーム材11が縦フレーム材10の内周側面に取付けられることで枠組みされており、下フレーム材11bの室外側部が縦フレーム材10よりも室外側に向かって突出しているものの、横フレーム材11は概ね縦フレーム材10の見込面内に配置されている。
【0017】
このパネルユニットは、工場で全体を組み立てられて取付現場に輸送されるものであり、取付現場においてパネルユニットのサッシ枠体2の周囲部にALCパネルまたは建物躯体を配設して壁体構造を構成するものである。図3には壁体構造の縦断面図を、図4には壁体構造の横断面図を、それぞれ示している。
【0018】
壁体構造においては、図3に示すように、横フレーム材11である上フレーム材11aの上方及び室外側に渡って上側ALCパネル40が配設され、横フレーム材11である下フレーム材11bの下方には下側ALCパネル41が配設される。また、図4に示すように、縦フレーム材10の側方及び室外側に渡って横側ALCパネル42が配設される。
【0019】
図3に示すように、上側ALCパネル40は、室外側部が室内側部より内周側に突出した突出部40aを備えている。また、突出部40aが形成されることにより上側ALCパネル40の見込方向中間位置には段差が形成され、これに伴って突出部40aの室内側には室外側には露出しない空間部である収納部40bが形成される。この収納部40bにはフレーム体1の上フレーム材11aが配置される。
【0020】
図4に示すように、横側ALCパネル42も、上側ALCパネル40と同様に室外側部が室内側部より内周側に突出した突出部42aを備え、その室内側には収納部42bが形成される。この収納部42bにはフレーム体1の縦フレーム材10が配置される。
【0021】
図3及び図4に示すように、フレーム体1内に納められるサッシは、フレーム体1の開口部1aに取付けられる方形状のサッシ枠体2内に内障子3と外障子4がそれぞれ引き違い状で開閉自在に納められて構成される。内障子3と外障子4は方形状に框組みされてなる框体5の内部にガラス体6を納めて構成される。
【0022】
サッシ枠体2は、上枠20と下枠21及び左右の縦枠22、22を方形状に枠組みしてなるものである。また、サッシ枠体2の室内側端部には、四周に渡って内周側に向かって突出する立ち上がり片23が形成されると共に、立ち上がり片23の先端部から室内側に向かって延出されるアングル部24が一体的に形成されている。
【0023】
框体5は、上框30と下框31及び左右の縦框32、32を方形状に框組みしてなるものであり、上辺及び下辺がそれぞれサッシ枠体2の上辺及び下辺に案内されてサッシ枠体2の左右方向に走行自在となるように保持されている。
【0024】
次に、フレーム体1とサッシ枠体2の連結構造について説明する。図3及び図4に示すように、左右の縦フレーム材10、10と上フレーム材11aの室外面は、略面一状であってこれらが一連のサッシ枠体固着面12を構成している。下フレーム材11bについても室外面にサッシ枠体固着面12が形成されている。また、下フレーム材11bは、見込方向中間位置に段差が形成されており、室外側に面した第二の固着面13が形成されている。
【0025】
一方、サッシ枠体2には、上枠20の室外端部から外周側に向かって突出する室外面部20aが形成され、その先端部は室内側に向かって略L字状に突出し、その室内側に向かって面した部分が固着片25として上フレーム材11aのサッシ枠体固着面12に重合すると共に、ビス止め固定されている。また、縦枠22の室外端部にも外周側に向かって突出する室外面部22aが形成され、その先端部は室内側に向かって略L字状に突出し、その室内側に向かって面した部分が固着片25として縦フレーム材10のサッシ枠体固着面12に重合すると共に、ビス止め固定されている。
【0026】
前述のように左右の縦フレーム材10、10と上フレーム材11aのサッシ枠体固着面12は略面一状であり、またサッシ枠体2の縦枠22と上枠20の固着片25も略面一状となるように形成されていて、したがってフレーム体1とサッシ枠体2は上辺と縦辺において略同一平面内で重合し室外側からビス止め固定される。これによって、フレーム体1とサッシ枠体2の連結部分においてある程度の防水性を確保することができる。さらに防水性を向上させるため、この固定部分を室外側から覆い隠すようにシーリング材52が設けられる。このシーリング処理については後で詳述する。
【0027】
下枠21には、外周面の室内端部付近に第二の固着片27が形成されており、この第二の固着片27には室外側に向かって延びる上面を有した別部材の室外上面部21aが取付けられる。室外上面部21aの下面には、下フレーム材11bのサッシ枠体固着面12に重合する固着片25が形成されており、ビス止めによって下フレーム材11bに対して固定される。また、下枠21の第二の固着片27は、下フレーム材11bの第二の固着面13にも重合しており、室外上面部21aと重合されビス止め固定される。なお、これらのビス止めはリベット止めによってもよい。
【0028】
また、上枠20の室内側寄り外周面には、略L字状に突出する係合フィン26が形成され、上フレーム材11aの内周面の室内端部には係合部品51が固定され、係合フィン26が係合部品51に対して室外側から係合することによっても、上フレーム材11aと上枠20が連結されている。下フレーム材11bと下枠21、及び縦フレーム材10と縦枠22についても同様に、係合フィン26が係合部品51に室外側から係合することで連結される。
【0029】
このように、サッシ枠体2は固着片25がフレーム体1のサッシ枠体固着面12に室外側から当接しビスまたはリベット止めされ、またサッシ枠体2の外周面に形成される係合フィン26がフレーム体1の内周面に取付けられる係合部品51に室外側から係合し連結されることにより、サッシ枠体2をフレーム体1の室外側から容易に取付固定することができる。なお、フレーム体1とサッシ枠体2の連結は、前述のように工場において行われるため、図3及び図4に示すALCパネル等は存在しない段階で行われる。
【0030】
次に、サッシ枠体2のシーリング処理について説明する。図3に示すように、サッシ枠体2を構成する上枠20の室外面部20aは、上側ALCパネル40の突出部40aの室内面と対向している。そしてこれら上枠20の室外面部20aと上側ALCパネル40の突出部40aの室内面との間にシーリング材52が設けられてシーリング処理がなされ、これによって上フレーム材11aのサッシ枠体固着面12と上枠20の固着片25とが重合されビス止め(あるいはリベット止め)された部分を室外側から覆うようにしている。これによって、開口部1aの上辺において室内側に水が浸入することを防止することができる。
【0031】
図4に示すように、縦フレーム材10と縦枠22についても同様の構造を有しており、縦枠22の室外面部22aは、それと対向する横側ALCパネル42の突出部42aの室内面との間にシーリング材52が設けられてシーリング処理がなされ、開口部1aの縦辺において室内側に水が浸入することを防止する。
【0032】
また、図3に示すように、下フレーム材11bと下枠21については、互いに対向する室外上面部21aの下面と下側ALCパネル41の内周面との間にシーリング材52が設けられてシーリング処理がなされ、これによって下フレーム材11bのサッシ枠体固着面12と室外上面部21aの固着片25とが重合されビス止めされた部分を室外側から覆うようにしている。また、互いに対向する下枠21の下面と室外上面部21aの上面との間にもシーリング材52が設けられてシーリング処理がなされ、これによって下フレーム材11の第二の固着面13と下枠21の第二の固着片27とが重合されビス止めされた部分を室外側から覆うようにしている。
【0033】
次に、壁体構造の室内側及び室外側の壁面材について説明する。図3及び図4に示すように、サッシ枠体2の室内側には、四周に渡って額縁材7が設けられており、サッシ枠体2のアングル部24が額縁材7の内周面部に当接する。また、額縁材7の外周側には内壁面材8が配置される。内壁面材8とフレーム体1との間には四周に渡り空間部が生じており、この空間部には断熱材50が設けられる。前述のようにフレーム体1は、横フレーム材11が縦フレーム材10の略見込面内に配置されるように連結されているため、その室内面は四周に渡って略面一状であり、しかもその室内面はサッシ枠体2の立ち上がり片23と見込方向に略同位置となっている。このため、フレーム体1と内壁面材8との間に四周に渡って充分な空間部を確保し、断熱材50を設けることができる。これによってフレーム体1と室内側に露出する内壁面材8との間で充分な断熱性を確保することができる。
【0034】
上側ALCパネル40と下側ALCパネル41及び横側ALCパネル42の室外側には、外壁面材9が配設される。また、上側ALCパネル40と横側ALCパネル42については、突出部40a、42aの内周面に渡るように外壁面材9が配設される。各外壁面材9は、サッシ枠体2との間でシーリング処理される。これによって、ALCパネルが室外側に直接露出しないようにして、意匠性を向上させている。
【0035】
次に、壁体構造におけるサッシの上方及び下方部の構成について説明する。図5には、壁体構造のサッシより下方部における横断面図であって、縦フレーム材10の周辺の図を示している。この図に示すように、サッシの下方部においては横側ALCパネル42に隣接するように下側ALCパネル41が配置される。ここで、横側ALCパネル42には前述のように突出部42aが形成され、それによって縦フレーム材10を配置する収納部42bが形成されており、縦フレーム材10の下側ALCパネル41と対向する面は、横側ALCパネル42の突出部42aの内周面と略面一状であることにより、下側ALCパネル41の側面に特に加工が施されていなくてもこれと干渉することがない。
【0036】
このように、横側ALCパネル42に突出部42aを設けたことで、縦フレーム材10をALCパネルの見込面内に配置しても、隣接するALCパネルと干渉しないようにすることができるので、ALCパネルに対して現場で加工を行う必要がなく、施工性を向上させることができる。また、図示しないがサッシの上方部においても同様である。
【0037】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図6には本実施形態における壁体構造の縦断面図を、図7にはその横断面図を、それぞれ示している。第2の実施形態の壁体構造は、全体の構成は概ね第1の実施形態と共通している。すなわち、左右の縦フレーム材10と上下の横フレーム材11a、11bとでフレーム体1を形成し、その開口部1aにサッシ枠体2を固着し、サッシ枠体2には内障子3と外障子4を引き違い状に納め、さらにフレーム体1の周囲には上側ALCパネル40と下側ALCパネル41及び横側ALCパネル42を配設してなっている。
【0038】
フレーム体1とサッシ枠体2の連結構造も、第1の実施形態と概ね同様であり、フレーム体1は室外面がサッシ枠体固着面12として形成され、サッシ枠体2にはサッシ枠体固着面12に室外側から重合する固着片25が形成され、固着片25とサッシ枠体固着面12が室外側からビス止めされることでこれらが連結される。さらに、これらビス止め部分を室外側から覆うようにサッシ枠体2とALCパネルとの間にシーリング材52が設けられてシーリング処理がなされる。
【0039】
ここで、第2の実施形態では第1の実施形態と異なり、上側ALCパネル40と横側ALCパネル42のいずれも突出部を有しておらず、その内周面は平面状とされている。これにより、縦フレーム材10が横側ALCパネル42の側面よりも内周側に配置されることとなる。このため、横側ALCパネル42と隣接して配置される上側ALCパネル40及び下側ALCパネル41の側面に加工を行う必要がある。
【0040】
図8には、壁体構造のサッシより下方部における横断面図であって、縦フレーム材10の周辺の図を示している。この図に示すように、縦フレーム材10は下側ALCパネル41が配置される領域に突出して設けられているので、下側ALCパネル41にはその形状に合わせて切欠部41aが形成されている。これによって、下側ALCパネル41を縦フレーム材10と干渉しないように配置することができる。また、図示しないが上側ALCパネル40についても同様である。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用はこれらの実施形態に限られるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。例えば、第1及び第2の実施形態では、壁体構造としてフレーム体1の周囲にいずれもALCパネルを配設したが、ALCパネルではなく建物躯体が直接配置されるような構成であってもよい。また、フレーム体1の開口部1a内に設けられるサッシの種類は、引き違いサッシ以外の例えば開き窓等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】第1の実施形態におけるパネルユニットの正面図である。
【図2】フレーム体の縦断面図である。
【図3】第1の実施形態における壁体構造の縦断面図である。
【図4】第1の実施形態における壁体構造の横断面図である。
【図5】壁体構造のサッシより下方部における横断面図であって、縦フレーム材の周辺の図である。
【図6】第2の実施形態における壁体構造の縦断面図である。
【図7】第2の実施形態における壁体構造の横断面図である。
【図8】壁体構造のサッシより下方部における横断面図であって、縦フレーム材の周辺の図である。
【符号の説明】
【0043】
1 フレーム体
1a 開口部
2 サッシ枠体
3 内障子
4 外障子
5 框体
6 ガラス体
7 額縁材
8 内壁面材
9 外壁面材
10 縦フレーム材
11 横フレーム材
11a 上フレーム材
11b 下フレーム材
12 サッシ枠体固着面
23 立ち上がり片
24 アングル部
25 固着片
26 係合フィン
40 上側ALCパネル
40a 突出部
40b 収納部
41 下側ALCパネル
42 横側ALCパネル
42a 突出部
42b 収納部
50 断熱材
51 係合部品
52 シーリング材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の縦フレーム材に上下の横フレーム材を連結してフレーム体を構成し、該フレーム体の前記縦フレーム材と横フレーム材で囲まれた開口部にサッシ枠体を固着してなるパネルユニットにおいて、
前記横フレームは前記縦フレームの内周側面に取付けられてその略見込面内に配置され、
少なくとも前記左右の縦フレーム材と上の横フレーム材の室外側に相当する方向に面する側面は略面一状のサッシ枠体固着面を構成し、前記サッシ枠体を構成する左右の縦枠及び上枠はそれぞれ前記左右の縦フレーム材及び上の横フレーム材の各サッシ枠体固着面に重合する固着片を有すると共に、該固着片とサッシ枠体固着面が重合して室外側に相当する方向からビスまたはリベット止めされてなることを特徴とするパネルユニット。
【請求項2】
前記サッシ枠体の外周面には室内側に相当する方向に向かって係合自在な係合フィンを形成し、前記フレーム体の内周面には前記サッシ枠体の係合フィンと係合する係合部品が取付けられることを特徴とする請求項1記載のパネルユニット。
【請求項3】
左右の縦フレーム材に上下の横フレーム材を連結してフレーム体を構成し、該フレーム体の前記縦フレーム材と横フレーム材で囲まれた開口部にサッシ枠体を固着してなるパネルユニットの、前記左右の縦フレーム材及び上下の横フレーム材の各外周側にそれぞれ建物躯体またはALCパネルを配設した壁体構造において、
前記横フレームは前記縦フレームの内周側面に取付けられてその略見込面内に配置され、
少なくとも前記左右の縦フレーム材と上の横フレーム材の室外側に相当する方向に面する側面は略面一状のサッシ枠体固着面を構成し、前記サッシ枠体を構成する左右の縦枠及び上枠はそれぞれ前記左右の縦フレーム材及び上の横フレーム材の各サッシ枠体固着面に重合する固着片を有すると共に、該固着片とサッシ枠体固着面が重合して室外側に相当する方向からビスまたはリベット止めされ、
前記サッシ枠体の室外側端部は、前記フレーム体のサッシ枠体固着面と前記サッシ枠体の固着片とが重合された状態でこれらを固定するビスまたはリベットを室外側から覆うように、前記建物躯体またはALCパネルとの間でシーリング処理されてなることを特徴とする壁体構造。
【請求項4】
前記縦フレーム材の外周側に配設されるALCパネルは室外側部が室内側部より内周側に突出した突出部を備え、前記縦フレーム材は前記ALCパネルの突出部より室内側の収納部に配置されることを特徴とする請求項3記載の壁体構造。
【請求項5】
前記突出部の室内側面と、対向する前記サッシ枠体の室外側面との間でシーリング処理されてなることを特徴とする請求項4記載の壁体構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−121381(P2008−121381A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−309620(P2006−309620)
【出願日】平成18年11月15日(2006.11.15)
【出願人】(390018717)旭化成建材株式会社 (249)
【出願人】(000191065)新日軽株式会社 (545)
【Fターム(参考)】