説明

パネル装置

【課題】カーナビゲーション装置10では、表示パネル11が、上端部のローラ18をサブパネル12の案内溝20に挿入して、上下方向へ案内されるとともに、下端部において左右のスライダ24の前後方向変位に伴い前後方向変位して、サブパネル12を閉鎖する起立位置と開放するほぼ水平位置とに切替自在になっている。ローラ18と案内溝20との間のがたによる異音を防止する。
【解決手段】レバー31はサブパネル12の後面の張出し部30に揺動自在に結合する。長孔26は、スライダ24に穿設され、レバー31の下端の突出軸部40を挿通される。スライダ24が後端位置になって、表示パネル11が起立位置にあるときは、長孔26の前端が突出軸部40を後方へ連行し、これによりレバー31は揺動し、レバー31の上端部分の前端部の丸棒部54は、表示パネル11の通孔52へ嵌合して、通孔52との間のがたを除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーナビゲーション装置等に利用されるパネル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、自動車組立ラインにおいてディスプレイ装置を自動車の前面パネルに組込む際に、ディスプレイパネルが損傷することを防止するために、ディスプレイパネルの前面を覆うように、マジックテープ(登録商標)を利用して予め保護パネルをディスプレイパネルの前面に取り外し自在に取付けることを開示する(特許文献1の図1〜図4)。保護パネルは、ディスプレイ装置の輸送中、振動してディスプレイパネルを損傷する恐れがあるので、複数のクッション材が保護パネルとディスプレイパネルとの間に介在している(特許文献1の図2及び段落0012)。
【0003】
図6は従来のカーナビゲーション装置100の前端部を一部断面として右側から見た図である。図6において、後述の本発明の実施例のカーナビゲーション装置10(図1)の要素と同一の要素についてはカーナビゲーション装置10の要素に付した符号と同一の符号で指示し、説明は省略し、カーナビゲーション装置100の主要点について説明する。
【0004】
ローラ18は、表示パネル11の裏蓋15の左右側壁の上端部に回動自在に取り付けられ、サブパネル12の案内溝20(後述の図1)に挿入されて、案内溝20により上下方向へ案内される。左右のスライダ101(図6では右側のスライダ101のみ図示)は、前端部において結合ピン25を介して裏蓋15の下端部に回転自在に結合するとともに、アクチュエータ(図示せず)により前後方向へ変位させられる。
【0005】
図6に示すように、スライダ101が後端位置にあるときは、裏蓋15の下端部がサブパネル12に引き込まれ、ローラ18は案内溝20(図1)内を上昇し、表示パネル11は、起立位置となって、サブパネル12のパネル部の前面を閉鎖する。これに対して、スライダ101が前端位置にあるときは、裏蓋15の下端部がサブパネル12から十分に前方に押し出されて、ローラ18は案内溝20(図1)内を下降し、表示パネル11は仰向けになって、サブパネル12のパネル部の前面を開放する。
【0006】
案内溝20における表示パネル11の移動を円滑化するために、表示パネル11と案内溝20との間には前後、左右及び上下方向へ所定の隙間が確保されるが、該隙間は、表示パネル11の起立時には該隙間が「がた」となって、異音の発生原因になる。そこで、カーナビゲーション装置100では、クッション材102が、サブパネル12のパネル部の前面に典型的には左右に1つずつ貼着され、表示パネル11の起立位置では、裏蓋15の後面によりサブパネル12のパネル部の前面に押圧状態になり、サブパネル12に対する表示パネル11の振動を阻止している。
【0007】
また、従来のカーナビゲーション装置100におけるがたの対策として、表示パネル11−サブパネル12間で実際に当接する部位間に不織布等を貼着して、異音の発生を阻止することもある。
【特許文献1】特開平11−240473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
クッション材102によりがた対策をしたカーナビゲーション装置100の問題点は次のとおりである。
【0009】
クッション材102は厚み寸法にばらつきが大きく、表示パネル11及びサブパネル12の部品寸法およびクッション材102の厚み寸法のばらつきによっては振動の抑制効果が出ない場合や、表示パネル11が閉まりきらない場合がある。
【0010】
カーナビゲーション装置100の実際の使用状態では、クッション材102は、長時間にわたって押圧されているので、経年変化による変形のために、振動抑制効果が低下する。
【0011】
クッション材102が、長期間の使用のために、剥れてしまい、振動抑制効果がなくなるばかりか、最悪の場合は表示パネル11を駆動しているスライダ101等の可動部品にクッション材102が巻き込まれてしまうことがある。
【0012】
クッション材102が貼りずれを起こすと、振動抑制及び異音抑制効果が喪失する。
【0013】
クッション材102の形状、厚み、貼り位置によっては、貼り付けが困難となり生産効率上不利となる。
【0014】
不織布によりがた対策をしたカーナビゲーション装置100の問題点は次のとおりである。
【0015】
不織布が長時間の使用により擦り切れて、異音抑制効果が喪失することがある。
【0016】
不織布が長期間の使用により剥れ落ちてしまい、異音抑制効果がなくなるばかりか、最悪の場合は表示パネル11を駆動しているスライダ101等の可動部品に不織布が巻き込まれてしまうことがある。
【0017】
不織布が貼りずれを起こすと、振動抑制及び異音抑制効果が喪失する。
【0018】
不織布の形状、厚み、貼り位置によっては、貼り付けが困難となり生産効率上不利となる。
【0019】
特許文献1は、カーナビゲーション装置においてディスプレイパネルと保護パネルとの間にクッション材を介在することを開示しているが、該クッション材は、ディスプレイパネルの損傷防止用であり、可動パネル(カーナビゲーション装置100の表示パネル11に相当)の起立時の可動パネル−固定パネル(カーナビゲーション装置100のサブパネル12に相当)間のがた防止にはなんら寄与することができない。
【0020】
本発明の目的は、固定パネル側の案内部による被案内部の案内により可動パネルが固定パネルに対して円滑に傾動するための隙間を確保しつつ、可動パネルが固定パネルのパネル部の前面を閉鎖する起立位置にある期間に、クッション材や不織布を使わずに、がたの問題を克服することができるパネル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明によれば、可動パネルの下端部を前後方向へ変位させて、可動パネルを起立させたり倒したりする前後方向変位部材に対し、該前後方向変位部材に連動する連動部材を固定パネルに取付ける。該連動部材は、可動パネルが固定パネルの前面を閉鎖する起立位置に対応する位置になっているときには、可動パネルの被係止部を係止する係止部を備える。固定パネルの係止部及び可動パネルの被係止部は、例えば可動パネルの起立位置において相互に嵌合する嵌合部分及び被嵌合部分である。
【0022】
本発明のパネル装置は次のものを備えている。
パネル面が前面に配置される固定パネル、
前記固定パネルの前側に配置されるとともに上端部に被案内部を有し該被案内部は前記固定パネルの案内部により上下方向へ案内される可動パネル、
前記可動パネルの下端部に回転自在に結合し前後方向変位により前記可動パネルの前記下端部を前後方向へ変位させて前端位置では前記固定パネルの前記パネル部を前方に開放し後端位置では前記可動パネルを前記固定パネルの前側に起立させて前記固定パネルの前記パネル部を前方に対して閉鎖する前後方向変位部材、及び
係止部を有し該係止部が前記前後方向変位部材の前後方向変位に連動して前記固定パネルに結合し前記前後方向変位部材が後端位置にあるときは前記係止部を前記可動パネルの被係止部に係止させる連動部材。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、可動パネルが固定パネルの前面を閉鎖する起立位置にあるときに、連動部材の係止部が可動パネルの被係止部を係止することにより、可動パネル−固定パネル間の相対変位が抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1はカーナビゲーション装置10の主要部の斜視図である。説明の便宜上、カーナビゲーション装置10において、ユーザに向けられる側を前、その反対側を後ろとし、また、ユーザからカーナビゲーション装置10を見たときの左右をカーナビゲーション装置10の左右と定義する。
【0025】
カーナビゲーション装置10は、前端部においてそれぞれ前側及び後ろ側に近接して配置される表示パネル11及びサブパネル12を備えている。表示パネル11は、さらに、表示パネル本体14と、その後ろ側に接合される裏蓋15とを備えている。サブパネル12は、そのパネル部に対してその上辺及び左右の側辺から前方へ突出する上壁及び左右の側壁を有し、表示パネル11の起立位置においてそれらの突出壁の内側に裏蓋15を受け入れるようにしている。
【0026】
表示パネル本体14の前面には、表示部16及び複数の操作ボタン17が配備されている。表示部16は、表示パネル本体14の前面中央に位置し、複数の操作ボタン17は、表示パネル本体14の左右両側に一列に配置されている。カーナビゲーション装置10の作動中は、表示部16に現在地付きの地図等の地図や、経路案内画面等が表示されるとともに、CDやラジオ等を再生する場合には、それらのメニュー画面や情報画面が表示される。左右の支軸19は、裏蓋15の左右の側面部の上端部から側方へ突出し、先端部において各ローラ18を回転自在に支持している。
【0027】
左右の案内溝20は、サブパネル12の左右の突出側壁の内面側に形成され、上下方向へ延びている。左右のローラ18は、左右の案内溝20内に嵌入して、案内溝20により上下方向へ案内される。ディスク用スロット21は、サブパネル12のパネル部に穿設され、CDやDVDを通過自在にしている。メカ部(図示せず)は、サブパネル12の後ろ側に配備されており、ディスク用スロット21を介して後方へ通過して来たCD又はDVDをチャッキングして、それらから再生用データを読取る。
【0028】
左右スライダ24(図1では、左側のスライダ24は隠れている。)は、前後方向へ延びて、前端部において結合ピン25を介して裏蓋15の左右の側壁の下端部に回転自在に結合している。図示していないアクチュエータは、サブパネル12の後方に配備され、左右のスライダ24を前後方向(図1のA方向)へ変位させる。長孔26は、スライダ24に穿設され、前後方向へ所定長さ延びている。長孔26の前端は、結合ピン25の位置から所定距離、後方の位置に規定されている。
【0029】
左右のスライダ24が前方へ変位すると、表示パネル11は、その下端部を、高さを維持しつつ前方へ押しやられるとともに、上端部は下降する。これにより、表示パネル11は、起立位置からほぼ水平位置へ倒されて、サブパネル12のパネル部の前方を開放する。これに対し、左右のスライダ24が後方へ変位すると、表示パネル11は、その下端部を、高さを維持しつつサブパネル12内へ引き込まれるとともに、上端部は上昇する。これにより、表示パネル11は、ほぼ水平位置から起立位置へ切替わり、サブパネル12のパネル部の前方を閉鎖する。
【0030】
図2及び図3はカーナビゲーション装置10の前端部の右側部分をそれぞれ表示パネル11の起立位置及びほぼ水平位置において右斜め後方から見た斜視図である。図2及び図3では、サブパネル12の左側部分の図示を省略しているが、サブパネル12の後面側構造は左右対称となっており、サブパネル12の左側後面にも、レバー31等か配備されている。
【0031】
張出し部30はサブパネル12の後面から後方へ所定量、突出している。レバー31は、ボス部32と、ボス部32からそれぞれ上側及び下側へ延び出る上側レバー部分34及び下側レバー部分35とを有している。ボス部32は、結合ピン33を介して張出し部30の後端部に左右方向軸線の周りに回動自在に結合している。
【0032】
通孔39は、サブパネル12のパネル部において張出し部30の上方の部位に穿設され、上側レバー部分34の上端部分は通孔39に挿通されている。通孔39は、上側レバー部分34の上端部分の前端部としての前端部分53(図5)が通過自在の形状及び寸法とされ、少なくとも通孔52(図5)以上の大きさ及び寸法とされる。下側レバー部分35は、下端部において左右方向外側へ突出する突出軸部40を有している。
【0033】
図2に示すように、表示パネル11が起立位置にあるときは、突出軸部40は、後端位置となったスライダ24の長孔26の前端に当接して、後方へ連行されている。また、図3に示すように、表示パネル11がほぼ水平位置にあるときは、スライダ24の長孔26の前端はサブパネル12の後面より前方へ移動し、突出軸部40は、後述の引張コイルばね47(図4)の付勢力によりサブパネル12の後面に当接している。
【0034】
図4はカーナビゲーション装置10の前端部の右側部分を左斜め後方から見た斜視図である。ばね引っ掛け軸45は、下側レバー部分35の下端部において突出軸部40とは反対方向、すなわち左右方向内側へ突出している。ばね引っ掛け凸部46は、スライダ24とほぼ同じ高さでかつばね引っ掛け軸45とほぼ同じ左右方向位置においてサブパネル12の後面部位に突設される。引張コイルばね47は、前後の端部をそれぞればね引っ掛け凸部46及びばね引っ掛け軸45に係止され、ばね引っ掛け軸45を前方へ付勢している。
【0035】
引張コイルばね47の存在のために、ばね引っ掛け軸45は、サブパネル12への最接近時でも、サブパネル12の後面から引張コイルばね47の長さ分、離れてしまい、これは、スライダ24の前端位置において突出軸部40がサブパネル12の後面に当接する(図3の状態)のを阻害する。このため、ばね引っ掛け軸45は、前後方向へ突出軸部40より所定量後方に配備されている。
【0036】
スライダ24がその前端位置から後端位置へ後方変位する過程において、長孔26の前端がサブパネル12の後面より後方へ出てくると、突出軸部40は長孔26の前端に後方へ連行される。これに伴い、レバー31は、結合ピン33の中心線の周りをカーナビゲーション装置10の右側から見て反時計方向へ引張コイルばね47の付勢力に抗して揺動し、上側レバー部分34及び下側レバー部分35はそれぞれ前方及び後方へ変位する。
【0037】
図5は裏蓋15の通孔52と前端部分53との関係についての説明図である。前端部分53は、レバー31の上側レバー部分34(図4)の上端部の前端部分を構成している、図5(a)は前端部分53が裏蓋15の通孔52へ進入する前の状態を示す斜視図、図5(b)は前端部分53が裏蓋15の通孔52に進入した状態を側方又は上方から、裏蓋15を断面にして示す図、図5(c)は前端部分53が裏蓋15の通孔52に進入した状態を裏蓋15の後方から、前端部分53を断面にして示す図である。
【0038】
通孔52はその後方から前方へ見て一辺の長さがLの正方形の輪郭になっている。前端部分53は、丸棒部54と、その前端部の球面テーパ部55とを有している。丸棒部54及び球面テーパ部は共に横断面が円であり、丸棒部54の円形横断面の直径はLとなっている。球面テーパ部55は、その先端を平面としている。球面テーパ部55は、その周面を球面に代えて円錐側面にしてもよい。いずれにしろ、テーパ部55は先端へ向かって直径を漸減している。丸棒部54は、通孔52に進入して、嵌合した状態では、上下方向の直径及び左右方向の直径の両端部位の計4箇所において通孔52の各辺部に蜜に接触する。
【0039】
こうして、表示パネル11は、その起立位置においてサブパネル12に対して上下方向及び左右方向への相対変位を阻止される。
【0040】
また、図示していないアクチュエータは、スライダ24をその後端位置において十分な力で後方へ引き込んでおり、結果、下側レバー部分35の突出軸部40の前進は固く阻止され、右側からの側方視でレバー31の時計方向回転も固く阻止され、前端部分53の後方変位は阻止されている。さらに、張出し部30へのレバー31の揺動結合のために、丸棒部54は通孔52へ少し斜め下向きに進入しており、これにより、丸棒部54の中心線は通孔52の中心線に対して傾斜する。サブパネル12は、前後方向へ変位する際は、通孔52の中心線の方向へ変位しようとするが、通孔52の中心線が丸棒部54の中心線に対して傾斜していることにより、通孔52が前端部分53に食い込むことになるので、サブパネル12に対する表示パネル11の前後方向相対変位も阻止されることになる。
【0041】
スライダ24が後端位置から前端位置へ移動する場合は、長孔26の前端が前進して、レバー31は引張コイルばね47の付勢力に従い右側からの側方視で時計方向へ回転する。これに伴い、前端部分53が後方(厳密にはわずかに斜め上方の後方)へ通孔52から抜け出て、サブパネル12に対する表示パネル11の固定を解除し、表示パネル11は起立位置からほぼ水平位置への切替を許容される。また、突出軸部40がサブパネル12の後面に当接すると、レバー31は右側からの側方視で時計方向への回転を停止する。
【0042】
表示パネル11−サブパネル12間のがたつき防止について従来のカーナビゲーション装置100(図6)に対するカーナビゲーション装置10の利点は下記のとおりである。
【0043】
クッション材102(図6)及び不織布等の貼りものの寸法ばらつきの影響を受けず、安定した異音抑制効果を期待することができる。
【0044】
クッション材102及び不織布等の経年変化に因る影響がほとんどなくなり、長期間にわたる使用でも、異音抑制効果が低下しない。
【0045】
クッション材102及び不織布等の脱落に因る問題がないので、長期にわたり安定した異音抑制効果があり、故障要因も少なくなる。
【0046】
クッション材102及び不織布等の貼りものをカーナビゲーション装置10に組み込むときの作業ばらつきがないため、安定した異音抑制効果が期待できる。
【0047】
部品代削減ならびに組み立て工数が削減でき、コストダウン効果が期待できる。
【0048】
がたつきがないのでユーザの操作感が良い
【0049】
本発明パネル装置(以下、「本装置」という。)と実施例としてのカーナビゲーション装置10との関係について補足する。
【0050】
本装置は、固定パネル、可動パネル、前後方向変位部材及び連動部材を備えている。固定パネルは、パネル部を前方へ向けて配置される。可動パネルは、固定パネルの前側に配置されるとともに、上端部に被案内部を有し、該被案内部は固定パネルの案内部により上下方向へ案内される。
【0051】
前後方向変位部材は、前端部において可動パネルの下端部に回転自在に結合し、前後方向変位により可動パネルの下端部を前後方向へ変位させて、前端位置では固定パネルのパネル部を前方に開放し、後端位置では可動パネルを固定パネルの前側に起立させて、固定パネルのパネル部を前方に対して閉鎖する。連動部材は、係止部を有し、該係止部が前後方向変位部材の前後方向変位に連動して前後方向変位部材とは逆向きに前後方向変位するように、固定パネルに結合し、前後方向変位部材が後端位置にあるときは係止部を可動パネルの被係止部に係止させる。
【0052】
本装置の固定パネル、可動パネル、前後方向変位部材及び連動部材はそれぞれカーナビゲーション装置10のサブパネル12、表示パネル11、スライダ24及びレバー31に対応する。本装置は、カーナビゲーション装置10に限定されず、カーナビゲーション装置10以外の車載AV装置若しくは車載装置、自動車に搭載されないAV装置、AV装置以外の電気機器、又は電気機器以外のパネル装置であってもよい。
【0053】
本装置における可動パネルの被案内部及び固定パネルの案内部はそれぞれカーナビゲーション装置10のローラ18及び案内溝20に対応する。連動部材の係止部及び可動パネルの被係止部はそれぞれカーナビゲーション装置10の前端部分53及び通孔52に対応する。係止部及び非係止部は、嵌合や嵌入以外で、例えば係止部を非係止部に所定の力で当てることによる点的、線的又は面的な係合(摩擦接触)によって、可動パネルの起立位置における固定パネルに対する可動パネルの相対変位を阻止してもよい。
【0054】
固定パネルの起立位置では、固定パネル側の係止部が可動パネル側の被係止部を係止して、固定パネル−可動パネル間のがたが抑制される。
【0055】
本装置では、典型的には、連動部材の係止部及び可動パネルの被係止部は相互に嵌合する嵌合部分及び被嵌合部分である。固定パネル側の嵌合部分が可動パネル側の被被嵌合部分と嵌合することにより嵌合方向に対して直角方向の固定パネル−可動パネル間のがたが抑制される。嵌合部分及び被嵌合部分の横断面形状は、図5の前端部分53及び通孔52の場合のように、同一でなくてもよい。
【0056】
本装置では、好ましくは、連動部材は固定パネルのパネル部の後面部位に左右方向軸線の周りに揺動自在に結合する揺動部材である。揺動部材の揺動に伴い、嵌合部分は、前後方向変位とともに、上下方向へも少し変位する。この場合、嵌合部分の中心線と被嵌合部分の中心線とが所定の角度で交わっている場合には、被嵌合部分が嵌合部分に対して前後方向変位しようとすると、上下方向へ嵌合部分に当接することになるので、固定パネル−可動パネル間の前後方向がたも抑制される。
【0057】
本装置では、典型的には、揺動部材は、その下端部において前後方向変位部材により前後方向へ連行され、上端部分の前方突出部を嵌合部分とする。
【0058】
本装置では、典型的には、可動パネルの被嵌合部分は可動パネルに穿設された所定形状の孔であり、連動部材の前方突出部は該孔より寸法が小さくかつ前方へ向かって径を漸減するテーパ部を前端に有する。連動部材の前方突出部は、前端にテーパ部を有することにより、円滑に孔へ進入することかできる。
【0059】
本装置では、典型的には、連動部材を前後方向変位部材に連動させる連動機構は、揺動部材の嵌合部分を後方へ付勢する付勢部材と、前後方向変位部材に形成され前後方向変位部材の後方変位時に前端において揺動部材の下端部分に当接して該下端部分を後方へ連行する長溝である。
【0060】
本装置における付勢部材及び長溝はそれぞれカーナビゲーション装置10における引張コイルばね47及び長孔26に対応する。付勢部材の具体例としての引張コイルばね47は、下側レバー部分35をサブパネル12の方へ付勢するものであるが、引張コイルばね47に代えて、圧縮コイルばねをサブパネル12の後面と上側レバー部分34との間に縮設するとともに、長孔26の後端を適切位置に設定して、該後端により突出軸部40を前方へ連行させるようにしてもよい。
【0061】
本明細書は様々な範囲及びレベルの発明を開示している。それら発明は、本明細書で説明した様々な技術的範囲及び具体的レベルの各装置だけでなく、当業者の自明の範囲内で、各装置から独立の作用、効果を奏する1つ又は複数の要素を抽出したものや、1つ又は複数の要素を自明の範囲で変更したものや、さらに、各装置間で1つ又は複数の要素の組合せを入れ換えたものを含む。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】カーナビゲーション装置の主要部の斜視図である。
【図2】カーナビゲーション装置の前端部の右側部分を表示パネルの起立位置において右斜め後方から見た斜視図である。
【図3】カーナビゲーション装置の前端部の右側部分を表示パネルのほぼ水平位置において右斜め後方から見た斜視図である。
【図4】カーナビゲーション装置の前端部の右側部分を左斜め後方から見た斜視図である。
【図5】裏蓋の通孔と上側レバー部分の上端部分の前端部との関係についての説明図である。
【図6】従来のカーナビゲーション装置の前端部を一部断面として右側から見た図である。
【符号の説明】
【0063】
10:カーナビゲーション装置(パネル装置)、11:表示パネル(可動パネル)、12:サブパネル(固定パネル)、18:ローラ(被案内部)、20:案内溝(案内部)、24:スライダ(前後方向変位部材)、26:長孔、31:レバー(連動部材)、40:突出軸部(下端部分)、47:引張コイルばね(付勢部材)、52:通孔(被係止部及び被嵌合部分)、53:前端部分(係止部及び嵌合部分)、55:球面テーパ部(テーパ部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル面が前面に配置される固定パネル、
前記固定パネルの前側に配置されるとともに上端部に被案内部を有し該被案内部は前記固定パネルの案内部により上下方向へ案内される可動パネル、
前記可動パネルの下端部に回転自在に結合し前後方向変位により前記可動パネルの前記下端部を前後方向へ変位させて前端位置では前記固定パネルの前記パネル部を前方に開放し後端位置では前記可動パネルを前記固定パネルの前側に起立させて前記固定パネルの前記パネル部を前方に対して閉鎖する前後方向変位部材、及び
係止部を有し該係止部が前記前後方向変位部材の前後方向変位に連動して前記固定パネルに結合し前記前後方向変位部材が後端位置にあるときは前記係止部を前記可動パネルの被係止部に係止させる連動部材、
を備えることを特徴とするパネル装置。
【請求項2】
前記連動部材は前記固定パネルの前記パネル部の後面部位に左右方向軸線の周りに揺動自在に結合する揺動部材であることを特徴とする請求項1記載のパネル装置。
【請求項3】
前記連動部材の係止部及び可動パネルの被係止部は相互に嵌合する嵌合部分及び被嵌合部分であることを特徴とする請求項2記載のパネル装置。
【請求項4】
前記揺動部材は、その下端部において前記前後方向変位部材により前後方向へ連行され、上端部分の前方突出部を前記嵌合部分とすることを特徴とする請求項3記載のパネル装置。
【請求項5】
前記可動パネルの前記被嵌合部分は前記可動パネルに穿設された所定形状の孔であり、前記連動部材の前記前方突出部は該孔より寸法が小さくかつ前方へ向かって径を漸減するテーパ部を前端に有することを特徴とする請求項4記載のパネル装置。
【請求項6】
前記連動部材を前記前後方向変位部材に連動させる連動機構は、前記揺動部材の前記嵌合部分を後方へ付勢する付勢部材と、前記前後方向変位部材に形成され前記前後方向変位部材の後方変位時に前端において前記揺動部材の下端部分に当接して該下端部分を後方へ連行する長孔であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のパネル装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−76574(P2010−76574A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−246629(P2008−246629)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】