説明

パルスレーザアニールシステムアーキテクチャー

【課題】 均一性を増大し且つ実施のためのコストを低減することのできるような半導体基板をアニールするための方法及び装置を提供すること。
【解決手段】 本発明の実施形態は、半導体基板をアニールするための方法及び装置を提供する。本発明の一実施形態は、基板を支持するように構成された第1の基板支持体と、基板を支持するように構成された第2の基板支持体と、上記第1の基板支持体に結合され且つ処理ゾーンと第1のローディングゾーンとの間で上記第1の基板支持体を移動させるように構成されたシャトルとを備え、上記処理ゾーンは、上記第1の基板支持体及び上記第2の基板支持体を交互に収容するように構成された処理空間を有しているような半導体処理チャンバを提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
発明の分野
[0001]本発明の実施形態は、一般的に、半導体デバイスを製造するための装置に関する。より詳細には、本発明の実施形態は、基板を熱処理するための装置に関する。
【0002】
関連技術の説明
[0002]半導体処理中に、基板は、種々な化学及び/又は物理反応が起こる高い温度まで加熱されることがある。基板を加熱するために、熱処理が通常使用される。アニールのような典型的な熱処理は、短い時間において比較的に大量の熱エネルギーを基板に与え、その後その熱処理を終了するように急速にそのウエハを冷却することを必要としている。現在使用されている熱処理の実施例として、急速加熱処理(RTP)及びインパルス(スパイク)アニールがある。このような処理は広く使用されているのであるが、現在の技法は理想的なものではない。現在の技法では、ウエハの温度を低下させるのがあまりにも遅く、ウエハをあまりにも長い間高温に曝してしまう傾向となってしまっている。これらの問題は、ウエハのサイズが増大し、スイッチング速度が増大し及び/又は特徴部のサイズが減少するにつれて、より厳しいものとなってくる。
【0003】
[0003]一般的に、これらの熱処理は、所定の熱レシピに従って制御された状態のもとで基板を加熱する。これらの熱レシピは、基本的には、半導体基板が温度の変化割合、即ち温度ランプアップ及びランプダウン割合まで加熱されなければならい温度と、熱処理システムが特定の温度に維持される時間とから成っている。例えば、熱レシピは、基板が室温から1200℃以上の異なる温度まで加熱され、60秒以上までの範囲の各異なる処理時間での処理時間を必要としている。
【0004】
[0004]更に又、半導体基板の異なる領域の間の物質の最小相互拡散のような特定の目的に合わせるため、各半導体基板が高い温度に曝される時間を制限しなければならない。こうするためには、温度ランプアップ割合及び温度ランプダウン割合の両者を高くするのが好ましい。換言すると、できるだけ短い時間において基板の温度を低い温度から高い温度へと、又はその逆に高い温度から低い温度へと調整できるようにすることが望ましい。
【0005】
[0005]高い温度ランプ割合が必要とされてきたことにより、典型的な温度ランプアップ割合が、従来のファーネスの場合には、5℃/分から15℃/分であるのに比べて、200℃/秒から400℃/秒までの範囲であるような急速加熱処理(RTP)が開発されてきた。典型的なランプダウン割合は、80℃/秒から150℃/秒の範囲である。RTPの欠点は、ICデバイスがシリコンウエハの上部数ミクロンのところにのみある場合でも、その全ウエハを加熱するということにある。このため、ウエハを如何に速く加熱できるか、ウエハを如何に速く冷却することができるかにおいて、限界がある。その上、全ウエハが高温にあるときには、熱は、その周囲の空間又は構造体へしか散逸していかない。その結果、RTPシステムの技術分野においては、400℃/秒のランプアップ割合及び150℃/秒のランプダウン割合を達成しようと努力しているのが現状である。
【0006】
[0006]従来のRTPタイプの処理において生じる諸問題のうちの幾つかを解決するため、基板の表面をアニールするのに種々な走査レーザアニール技法が使用されている。一般的に、これらの技法によれば、一定のエネルギーフラックスが基板の表面の小領域に対して分配され、一方、その基板は、その小領域へ分配されるエネルギーに対して並進移動又は走査される。厳密な均一性が必要とされ且つ基板表面に亘る走査領域の重なりを最少とするための複雑さのため、これらのタイプの処理は、基板の表面に形成されるコンタクトレベルデバイスを熱処理するのには効果的ではない。
【0007】
[0007]パルスレーザアニール技法は、一般的に、基板の1つの小領域にパルス化された電磁エネルギーを投射し、それから、その基板をそのエネルギー源に対して移動させ、他の小領域をパルス化された電磁エネルギーに対して曝すようにするものである。このパルスレーザアニール技法は、基板上の処理領域間の重なりを最少とするので、熱アニールの均一性を改善することができる。しかしながら、このパルスレーザアニール技法に使用されるエネルギー源は、比較的に短い時間期間において比較的に大量のエネルギーを分配することのできるものでなければならず、従って、高価なものとなってしまう。
【0008】
[0008]前述したことに鑑みて、均一性を増大し且つ実施のためのコストを低減することのできるような半導体基板をアニールするための装置が必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
[0009]本発明の実施形態は、一般的には、半導体基板を処理するための方法及び装置を提供する。特に、本発明の実施形態は、半導体基板をアニールするための方法及び装置を提供する。
【0010】
[0010]本発明の一実施形態は、基板を支持するように構成された第1の基板支持体と、基板を支持するように構成された第2の基板支持体と、上記第1の基板支持体に結合され且つ処理ゾーンと第1のローディングゾーンとの間で上記第1の基板支持体を移動させるように構成されたシャトルとを備え、上記処理ゾーンは、上記第1の基板支持体及び上記第2の基板支持体を交互に収容するように構成された処理空間を有しているような半導体処理チャンバを提供する。
【0011】
[0011]本発明の別の実施形態は、処理ゾーン、第1のローディングゾーン及び第2のローディングゾーンを有する処理チャンバと、上記第1のローディングゾーンと上記処理ゾーンとの間で基板を支持して移送するように構成された第1の基板支持アセンブリと、上記第2のローディングゾーンと上記処理ゾーンとの間で基板を支持して移送するように構成された第2の基板支持アセンブリと、上記第1の基板支持アセンブリ及び上記第2の基板支持アセンブリを上記処理ゾーンに交互に配置するように構成されたシャトルと、上記処理ゾーンにおけるアニール領域へエネルギーを投射するように構成されたエネルギー源と、を備えるアニールシステムを提供する。
【0012】
[0012]本発明の更に別の実施形態は、半導体基板を処理するための方法において、第1のローディングゾーンに配置された第1の基板支持アセンブリに第1の基板をローディングするステップと、上記第1のローディングゾーンにおいて上記第1の基板を予熱するステップと、上記第1の基板を処理ゾーンに配置するため上記第1の基板支持アセンブリを上記処理ゾーンへ移動させるステップと、上記第1の基板の第1の領域を上記処理ゾーンに配設されたエネルギー源のアニール領域と整列させるステップと、上記エネルギー源を使用して上記第1の基板の上記第1の領域へパルス化エネルギーを投射するステップと、を含む方法を提供する。
【0013】
[0013]本発明の前述したような特徴を詳細に理解できるように、概要について簡単に前述したような本発明について、幾つかを添付図面に例示している実施形態に関して、以下より特定して説明する。しかしながら、添付図面は、本発明の典型的な実施形態のみを例示しているのであって、従って、本発明の範囲をそれに限定しようとしているものではなく、本発明は、均等の効果を発揮しうる他の実施形態を含みうるものであることに、注意されたい。
【0014】
[0024]理解を容易とするため、図において共通な同一の要素を示すのに、可能な限り、同一の参照符号を使用している。1つの実施形態の要素は、特に繰り返し述べなくとも、他の実施形態に効果的に使用することができるものと考えられる。
【詳細な説明】
【0015】
[0025]本発明は、一般的には、パルスアニール処理を行うための装置及び方法を提供する。一実施形態では、アニール処理システムは、2つの基板支持アセンブリ及び1つのエネルギー源を備える。それら2つの支持アセンブリは、アニール処理のため基板を配置して準備するのに交互に使用され、システムスループットを改善する。
【0016】
[0026]図1は、本発明の一実施形態によるアニールシステム1を概略的に例示している。このアニールシステム1は、基板10の所定の領域又はアニール領域12にある量のエネルギーを投射してそのアニール領域12内の特定の望ましい領域を優先的に融解するように適応されたエネルギー源20を備える。
【0017】
[0027]一実施例では、図1に示されるように、アニール領域12のような基板10の1つの所定の領域のみが、所定の時間においてエネルギー源20からの放射線に対して露出される。基板10は、その基板10の他の領域が順次エネルギー源20に対して露出させられていくように、エネルギー源20に対して相対的に移動させられる。
【0018】
[0028]本発明の一態様では、基板10の複数の領域がエネルギー源20から分配される望ましい量のエネルギーに対して順次露出され、その基板10の望ましい領域の優先融解がなされていく。
【0019】
[0029]一般的に、基板10の表面の各領域は、その基板10をエネルギー源20の出力に対して並進移動させることにより(例えば、従来のX/Yステージ、精密ステージを使用して)及び/又はエネルギー源20の出力をその基板10に対して並進移動させることにより、順次露出させられていくことができる。
【0020】
[0030]基板10は、この基板10の全ての温度を制御するように構成された熱交換装置15の上に配置される。この熱交換装置15は、この基板10の移動及び位置を制御するように構成された1つ以上の従来の電気的アクチュエータ17(例えば、リニアモータ、親ネジ及びサーボモータ)に配置され、この電気的アクチュエータは、別個の精密ステージの部分であってもよい。基板10を支持し位置決めするのに使用される従来の精密ステージ及び熱交換装置15は、カリフォルニア州ローネットパークのパーカーハニフィンコーポレーションから購入することができる。
【0021】
[0031]一態様においては、アニール領域12は、基板10の表面に形成されるダイ13(例えば、40個の「ダイ」が図1には示されている)又は半導体デバイス(例えば、メモリチップ)のサイズに整合するようなサイズとされている。一態様においては、アニール領域12の境界は、各ダイ13の境界を定める「カーフ」又は「スクライブ」ライン10Aに整列し、それら「カーフ」又は「スクライブ」ライン10A内にはまり込むようなサイズとされている。
【0022】
[0032]スクライブ又はカーフライン10Aのようなダイ13の間の当然に生ずる未使用スペース/境界においてのみ重複するようにしてアニール領域12を順次配置していくことにより、デバイスが形成される基板10上の領域においてエネルギーを重複させる必要性を減ずることができ、従って、重複するアニール領域12の間における処理結果の変動を減少させることができる。
【0023】
[0033]一実施形態では、アニール処理を行う前に、基板10は、アニール領域12がダイ13と十分に整列されるように、基板10の表面に典型的には形成される整列マーク及び他の従来の技法を使用して、エネルギー源20の出力に整列させられる。
【0024】
[0034]この技法は、基板の表面に亘ってエネルギー源を掃引する従来の処理に優る効果を有している。何故ならば、基板の望ましい領域に亘って均一なアニールを行えるようにするため隣接する走査領域の間の重複を厳しく制御する必要性は、その重複をダイ13の間の未使用スペースに限定してしまうので問題とならなくなってしまうからである。
【0025】
[0035]重複をダイ13の間の未使用スペース/境界へ限定することにより、基板の全ての区域に亘る隣接重複領域を使用する従来の走査アニールタイプの方法に比べて、処理均一性結果を改善することもできる。従って、基板の臨界領域を処理するためエネルギー源20から分配されるエネルギーに対して曝される量が変化することによる処理変動の量は最少とされる。何故ならば、順次に配置されるアニール領域12の間の分配エネルギーの重複が最少とされるからである。一実施例では、順次配置されるアニール領域12の各々は、矩形領域である。
【0026】
[0036]エネルギー源20は、一般的に、基板表面の特定の望ましい領域を優先的に融解するように電磁エネルギーを分配するように適応される。電磁エネルギーの典型的な源としては、これらに限定されるものではないが、光放射線源(例えば、レーザ)、電子ビーム源、イオンビーム源及び/又はマイクロ波エネルギー源がある。
【0027】
[0037]一実施形態では、基板10は、望ましい時間期間に亘って1つ以上の適当な波長の放射線を放出するレーザからのエネルギーのパルスに対して曝される。一実施形態では、エネルギー源20からのエネルギーのパルスは、アニール領域12に亘って分配されるエネルギー量及び/又はそのパルスの期間に亘って分配されるエネルギー量が特定の望ましい領域の優先融解を高めるに最適化されるように、調整されている。一実施形態では、レーザの波長は、その放射線の相当部分が基板10上に配設されたシリコン層によって吸収されるように、調整されている。
【0028】
[0038]シリコン含有基板上において行われるレーザアニール処理の場合には、その放射線の波長は、典型的には、約800nmより短く、遠紫外線(UV)、赤外線(IR)又はその他の望ましい波長で分配することができる。一実施形態では、エネルギー源20は、約500nmと約11μmとの間の波長の放射線を分配するように適応されたレーザのような強い光源である。いずれの場合にも、アニール処理は、一般的には、約1秒以下程度のような比較的に短い時間において、基板の所定領域に対して行われる。
【0029】
[0039]一実施形態では、エネルギーは、基板10の表面を、鋭く定められた深さまで、例えば、0.5μmより浅い深さまで融解するため、非常に短い時間の間各アニール領域12へ分配される。その正確な深さは、製造されるべき電子装置のサイズ及び/又は実際のアニール処理によって決定される。例えば、インプラントアニール処理においては、基板10の表面へ分配されるエネルギー量は、その融解深さがその非晶質化インプラントステップによって定められる非晶質化深さを越えないように、調整されている。融解深さをより深くすると、ドープされた非晶質化層からのドーパントが非ドープ融解層へと容易に拡散してしまう。このような望ましくない拡散が生じてしまうと、その半導体基板上の回路の電気的特性が急激に低下してしまう。
【0030】
[0040]一般的に、基板10は、熱交換装置15を含む処理チャンバ(図示していない)包囲処理環境(図示していない)内に置かれる。基板が処理中に存在している処理環境は、真空排気されるか、又は不活性ガスを含み、処理中に酸素のような望ましくないガスの分圧が低くなるようにしている。
【0031】
[0041]一実施形態では、図1に例示されるように、基板10の表面を熱交換装置15の基板支持表面16に熱接触させることにより、熱処理中に基板10の温度を制御するのが望ましい。熱交換装置15は、一般的に、アニール処理の前又はアニール処理中に、基板10を加熱及び/又は冷却するように適応されている。このような構成では、基板10のアニール領域の後処理特性を改善するため、カリフォルニア州サンタクララのアプライドマテリアル社から入手可能な従来の基板ヒーターのような熱交換装置15を使用することができる。
【0032】
[0042]一実施形態では、融解温度に達するに必要とされるエネルギーが最少となるようにアニール処理を行う前に基板を予熱することができ、こうすることにより、基板10を急速加熱及び冷却することにより引き起こされるストレスを減少させることができ、且つおそらく基板10の再固化領域における欠陥密度を減少させることもできる。一態様では、熱交換装置15は、基板支持表面16の上に置かれた基板を加熱するように適応された抵抗加熱素子15A及び温度コントローラ15Cを含む。温度コントローラ15Cは、コントローラ21(以下に説明する)と信号のやり取りを行う。
【0033】
[0043]一態様では、約20℃と約750℃との間の温度まで基板を予熱するのが望ましい。基板がシリコン含有物質から形成されているような一実施形態では、約20℃と約500℃との間の温度まで基板を予熱するのが望ましい。基板がシリコン含有物質から形成されているような別の実施形態では、約200℃と約480℃との間の温度まで基板を予熱するのが望ましい。基板がシリコン含有物質から形成されているような別の実施形態では、約250℃と約300℃との間の温度まで基板を予熱するのが望ましい。
【0034】
[0044]別の実施形態では、アニール処理中に基板へ加えられたエネルギーによる相互拡散を減少させ及び/又は処理中に種々な領域の非晶質化を増大するように融解後の再成長速度を増大させるため、処理中に基板を冷却することが望ましい。一構成では、熱交換装置15は、基板支持表面16上に置かれた基板を冷却するように適応された1つ以上の流体チャネル15B及び極低温チラー15Dを含む。一実施形態では、従来の極低温チラー15Dは、コントローラ21と信号のやり取りを行い、1つ以上の流体チャネル15Bを通して冷却流体を分配するように適応されている。一態様では、約−240℃と約20℃との間の温度まで基板を冷却するのが望ましい。
【0035】
[0045]パルスアニール処理の更なる詳細については、2006年7月25日に出願され、「Method of Thermal Processing Structures Formed on a Substrate」と題する米国特許出願第11/459,847号(代理人管理番号005635)明細書に記載されており、この明細書の記載は、ここに援用される。
【0036】
[0046]パルスアニール処理中に、処理すべき基板は、その基板の諸部分がエネルギー源に対して順次に曝されるように、そのエネルギー源に対して相対的に移動させられる。この相対移動は、段階的な動きであってよい。例えば、基板は、その基板の第1の区域がエネルギー源と整列されるように、第1の位置へ移動され、その第1の位置に維持される。その時、エネルギー源は、基板の第1の区域に向かって望ましい量のエネルギーを投射する。それから、基板は、第2の区域がエネルギー源に対するような第2の位置へと移動させられる。基板とエネルギー源との間の相対移動は、エネルギーが望ましい区域へ精密且つ均一に投射されるように、エネルギー源が基板へエネルギーを投射している時には、一時的に停止される。しかしながら、このような段階的動きには、段階毎に加速及び減速が含まれ、このために、その処理が相当に遅くなってしまう。
【0037】
[0047]本発明の実施形態は、基板へパルス化エネルギーを投射するときに、エネルギー源に対して一定速度で基板を移動することを含む。基板の各区域毎の加速、減速及び停止を排除することにより、システムスループットを相当に増大することができる。
【0038】
[0048]図2Aは、アレイに配置された40個の正方形ダイ13を含む基板10の上面図を概略的に例示している。これらダイ13は、スクライブライン10Aによって示された区域により互いに分離されている。エネルギー投射領域20Aは、エネルギー源20(図1に示される)がエネルギーパルスを分配するように適応された区域を示している。一般的に、エネルギー投射領域20Aは、各ダイ13の面積以上であるが、各ダイ13の面積とその周囲のスクライブライン10Aの面積との和の面積よりは小さい面積をカバーしており、そのエネルギー投射領域20Aに分配されるエネルギーは、隣接するダイ13と重複せずにそのダイ13を完全にカバーするようになっている。
【0039】
[0049]基板表面に亘って分散した複数のダイ13に対するアニール処理を行うため、基板及び/又はエネルギー源20の出力は、各ダイに対して位置決めされ整列される必要がある。一実施形態では、曲線20Bは、基板の表面上の各ダイ13に対して行われるようなアニール処理シーケンス中に、基板10のダイ13とエネルギー源20のエネルギー投射領域20Aとの間の相対移動を例示している。一実施形態では、この相対移動は、曲線2Bに従うように、基板をx及びy方向に移動させることにより、達成される。別の実施形態では、この相対移動は、固定基板10に対してエネルギー投射領域20Aを移動させることにより、達成される。
【0040】
[0050]更に又、ダイの特定の配置に従って、スループット及び処理品質を最適化するため、20Bとは異なるパスを使用することができる。
【0041】
[0051]一実施形態では、アニール処理中に、基板10は、図2Aの曲線20Bによって示されるように、エネルギー投射領域20Aに対して移動させられる。特定のダイ13がエネルギー投射領域20A内に位置決めされ整列されるとき、エネルギー源20は、そのダイ13がその特定のアニール処理レシピに従って所定の持続時間に亘って特定の量のエネルギーに対して曝されるように、基板10に向けてエネルギーのパルスを投射する。エネルギー源20からのパルス化エネルギーの持続時間は、典型的には、基板10とエネルギー投射領域20Aとの間の相対移動が各ダイ13に亘ってどのような「かぶり」(blur)、即ち、非均一エネルギー分散を生ずることがないように、十分に短くされる。
【0042】
[0052]図2Bは、本発明の一実施形態による基板10の複数のダイ13に対して行われるパルスアニール処理のためのタイミングチャートの一例を概略的に例示している。チャート(a)は、x方向に沿うエネルギー投射領域20Aに対する基板10の相対速度を概略的に例示している。チャート(b)は、y方向に沿う基板10とエネルギー投射領域20Aとの相対速度を概略的に例示している。チャート(c)は、エネルギー源20から分配される複数のパルス20Cを概略的に例示している。図2Bに示されるように、アニール処理中には、基板10は、エネルギー源20に対して実質的に一定の移動を維持し、エネルギー源20は、移動する基板10上の種々なダイ13へ短い持続時間のパルスを投射するだけである。基板10は、点線で示されるように、エネルギーパルス20C中にエネルギー源20に対して一定速度で移動している。このような一定速度とすることにより、各ダイ13へ投射されるパルス20Cのタイミング及びエネルギーの均一性を制御することがより容易とされる。チャート(b)におけるディップは、エネルギー源20が新たな行のダイ13と整列されるようにy方向に沿って基板10が加速され減速されるところを例示している。チャート(a)における傾斜線は、ダイ13の行の終わりに達した後に基板が移動方向を変えることを例示している。従って、基板10は、ダイ13の1つの行からダイ13の別の行へ移動するときに加速及び/又は減速されるだけである。
【0043】
[0053]別の実施形態では、基板10とエネルギー源20との間の相対移動は、エネルギー源20が1つのダイ13に対してエネルギーパルスを投射できるように遅くされ又は停止され、それから、エネルギー源20が隣接するダイ13に対してエネルギーパルスを投射できるように加速され、遅くされ、又は停止される。
【0044】
[0054]図2Cは、本発明の一実施形態によるアニールチャンバ403を概略的に例示している。前述したようなパルスアニール方法は、このアニールチャンバ403において行うことができる。このアニールチャンバ420は、チャンバ本体426に形成された光学的に透明なウインドー428を備えている。チャンバ本体426は、処理空間427を画成している。一実施形態では、この処理空間427は、不活性ガス源425によって維持される不活性環境及びこの処理空間427に接続された真空ポンプ424を有している。
【0045】
[0055]基板支持体414が、処理空間427に配設されている。この基板支持体414は、上部表面416上に置かれる基板401を支持し移動させるように構成されている。エネルギー源402がチャンバ本体426の外側に配置され、このエネルギー源402は、光学的に透明なウインドー428を通してエネルギーを投射するように構成されている。基板支持体414は、この基板支持体414上に置かれた基板401に対する冷却及び加熱能力を有した温度制御装置415に接続されている。基板支持体414は、アニール中に基板401とエネルギー源402との間の精密な整列及び相対移動を行わせる高精密ステージ411に接続することができる。
【0046】
[0056]一実施形態では、基板401とエネルギー源402との整列を助けるために、光センサ404を使用することができる。この光センサ404は、光学的に透明なウインドー428の近くに配置され、制御装置408に接続され、更に、その制御装置408は、高精密ステージ411に接続される。整列中に、光センサ404は、光学的に透明なウインドー428を「見」通して、基板401上の可視的マーカ、例えば、ノッチ及びダイの周りのスクライブライン、を探し出す。制御装置408は、光センサ404からの信号を処理して、整列調整のため高精密ステージ411への制御信号を生成する。
【0047】
[0057]図3は、本発明の一実施形態によるアニール処理を行うための典型的なステップを含むフローチャートを例示している。
【0048】
[0058]ステップ110において、処理チャンバの基板支持表面16上に、処理すべき基板をロードする。このような基板のローディングは、典型的には、基板を取り扱うように構成されたロボットによって行われる。
【0049】
[0059]ステップ120において、基板は、アニール処理を行う前に、望ましい温度まで予熱される。一実施形態では、図1に示されるように、この予熱ステップは、基板10を加熱された基板支持表面16の上に置くことにより完了する。このように基板を予熱することにより、各エネルギーパルスにおいてエネルギー源20から必要とされるエネルギーを最少とすることができ、これにより、より小さなエネルギー源を使用することができ及び/又はパルス持続時間を短くすることができ、従って、スループットを改善することができる。このような予熱は、基板支持体に埋設された抵抗加熱素子を付勢することによって達成することができる。
【0050】
[0060]ステップ130において、予熱された基板は、エネルギー源20のエネルギー投射領域20Aが各エネルギーパルスにおいて基板のダイ13のような基板支持表面16上の望ましい領域を確実にカバーするように、エネルギー源と整列させられる。このような整列は、基板ノッチ又はフォーマル整列マーカのような、基板10上の特徴部を、視覚的方法を使用して識別することにより、達成される。エネルギー投射領域20Aと各ダイ13との整列には比較的に高い精密さが必要とされるため、この整列ステップは、通常、長い時間を要するものとなる。
【0051】
[0061]ステップ140において、ダイ13のような望ましい領域を、1つ1つ又は幾つかをまとめてエネルギー源に対して曝すことにより、アニール処理が行われる。
【0052】
[0062]ステップ150において、アニール処理が全てのダイ13について行われた後、基板10は、ロボットにより基板支持表面16からアンロードされる。
【0053】
[0063]前述したパルスアニール処理は、一般的には、高電力密度を分配することのできるエネルギー源を必要とする。本発明の一実施形態によるエネルギー源としては、これらに限定されるものではないが、光放射線源、例えば、レーザ、電子ビーム源、イオンビーム源、又はマイクロ波エネルギー源がある。このエネルギー源は、望ましいエネルギー密度(W/cm)及び/又はパルス持続時間において電磁エネルギーを特定の望ましい領域へ放射するように構成されている。このようなタイプのエネルギー源は、高価である場合がある。従って、エネルギー源のアイドル時間を減少させることが望ましく、そうすることにより、スループットを増大し、実施のためのシステムコストを低減することができる。
【0054】
[0064]図3に示したアニール処理のような典型的なアニール処理においては、エネルギー源は、ローディングステップ、予熱ステップ、整列ステップ及びアンローディングステップ中は、アイドル状態である。図4A及び図4Bは、本発明の一実施形態によるアニール処理システム200を概略的に例示している。このアニール処理システム200は、エネルギー源のアイドル時間を最少としてスループットを改善するように構成されている。
【0055】
[0065]図4Aは、第1の処理位置にあるアニール処理システム200の上面図を概略的に例示している。
【0056】
[0066]このアニール処理システム200は、フロントエンド環境202(ファクトリーインターフェース又はFIとも称される)を備える。このフロントエンド環境202には、1つ以上のポッド201が結合される。これら1つ以上のポッド201は、複数の基板を貯蔵し保持するように構成されている。このフロントエンド環境202は、アニール処理をそこで行うように構成された処理チャンバ205と選択的に連通するようにされている。
【0057】
[0067]このフロントエンド環境202には、ファクトリーインターフェースロボット203が配設されている。このファクトリーインターフェースロボット203は、ポッド201と処理チャンバ205との間で基板を移送するように構成されている。このファクトリーインターフェースロボット203は、トラック204に沿って移動することができる。
【0058】
[0068]このアニール処理システム200は、更に、処理チャンバ205に移動可能なように配設され各々が処理チャンバ205内で基板を支持し移送するように構成された2つの基板支持アセンブリ213、214を備えている。
【0059】
[0069]一実施形態では、処理チャンバ205は、処理ゾーン207を形成するチャンバ本体219を備えており、その処理ゾーン207は、この処理ゾーン207の両側に配設されたローディングゾーン206、208に接続されている。基板支持アセンブリ213、214は、処理ゾーン207とローディングゾーン206、208との間で移動可能なものとされている。処理ゾーン207は、処理中に基板支持アセンブリ213、214を交互に収容するように構成されている。ローディングゾーン206、208は、基板支持アセンブリ213を収容してファクトリーインターフェースロボット203と連通するように構成されている。ローディングゾーン206、207は、ローディング及びアンローディング中に、それぞれ基板支持アセンブリ213、214を収容するように構成されている。
【0060】
[0070]一実施形態では、基板支持アセンブリ213、214は、シャトル215に結合され、一定距離だけ離間されている。シャトル215は、基板支持アセンブリ213、214のうちの一方が処理ゾーン207に配置され、一方、他方の基板支持アセンブリがその各ローディングゾーン、即ち、ローディングゾーン206、208に配置されるように、基板支持アセンブリ213、214を同時に移動させるように構成されている。別の実施形態では、基板支持アセンブリ213、214は、互いに対して独立して移動可能なものとされる。
【0061】
[0071]一実施形態では、処理チャンバ205は、処理中には、制御された環境にあることができる。処理チャンバ205は、スリット弁ドア209、210を通してフロントエンド環境202と選択的に連通することができる。スリット弁ドア209、210は、ファクトリーインターフェースロボット203がそれぞれローディングゾーン206、208に配置された基板支持アセンブリ213、214に対する基板の上げ下ろしを行えるように配置されている。
【0062】
[0072]一実施形態では、処理ゾーン207は、処理中には、制御された環境にあることができる。ローディングゾーン206、208は、ドア211、212を通して処理ゾーン207に接続されている。ドア211、212は、処理中には閉じられ密閉されて、処理ゾーン207がローディングゾーン206、208から流体的に分離されるようにすることができる。ドア211、212は、熱処理中に生成される望ましくない種を処理ゾーン207内に保留するため及び/又はローディングゾーン206、208における種が処理ゾーン207に入らないようにするため、閉じることができる。一実施形態では、1つ以上の不活性ガスを流し込むことにより、処理ゾーン207に不活性周囲環境を形成することができる。別の実施形態では、処理ゾーン207の環境は、不活性ガス源からの不活性ガスの流し込み及び真空ポンプシステムによって制御される。一実施形態では、処理ゾーン207は、100ppmより低い酸素濃度でもって主として窒素を含むことができる。処理中には、処理領域207にはガス環境が維持され、一方、ローディングステーション206、208は、大気へ開放されている。一実施形態では、処理領域207と各ローディングステーション206、208との間にロードロックを配置することができる。別の実施形態では、ローディングステーション206、208がロードロックとして作用することができる。
【0063】
[0073]アニール処理システム200は、更に、処理ゾーン207へパルス化電磁エネルギーを分配するように構成されたエネルギー源216を備える。一実施形態では、エネルギー源216は、処理チャンバ205の外側に配設される。一実施形態では、エネルギー源216は、ライトトレイン(light train、光列)217を通して処理ゾーン207内のアニール領域218へパルス化電磁エネルギーを分配するように構成される。このライトトレイン217は、エネルギー源216に接続され、処理ゾーン207の方へパルス化エネルギーを中継するように構成されている。
【0064】
[0074]一実施形態では、エネルギー源216は、532nm、又は1064nm、又は748nmの波長のエネルギーを分配するように適応されたレーザ源である。一実施形態では、エネルギー源216は、約8nsと約30nsとの間のパルス長を有するパルス化エネルギーを投射する。別の実施形態では、エネルギー源216のパルス長は、約20nsである。一実施形態では、エネルギー源216は、各パルスにおいて、ダイ13上に亘って位置するアニール領域218へ、約5ジュールから約15ジュールまでのエネルギーレベルにおいて電磁エネルギーを投射する。一実施形態では、アニール領域218は、約10mmX10mmから約26mmX26mmまでの間のサイズを有する。一実施形態では、エネルギー源216は、アニール領域218へ、約0.5ジュール/cmから約1.5ジュール/cmまでの密度においてパルス化エネルギーを投射する。
【0065】
[0075]アニール処理システム200は、エネルギー源216のアイドル時間を最少としてシステムスループットを増大するように構成されている。2つの基板支持アセンブリ213、214は、処理ゾーン207及びローディングゾーン206、208に交互に配置され、エネルギー源216が基板ローディングステップ及び基板アンローディングステップ中にアイドル状態とならないようにされている。一実施形態では、ローディングステップは、基板を受け取り、基板を予熱し、基板をチャックし、基板を整列させることを含む。
【0066】
[0076]一実施形態では、ローディングステップ、予熱ステップ、チャックステップ及びアンローディングステップは、ローディングゾーン206、208において行われる。別の実施形態では、ローディングゾーン206、208において粗整列ステップを行い、その後処理ゾーン207で行われる整列ステップを速く行えるようにすることにより、エネルギー源216のアイドル時間を更に減少することができるようにする。
【0067】
[0077]処理ゾーン207において、処理すべき基板をエネルギー源のアニール領域218と整列させるための整列ステップが行われる。基板がアニール領域に対して移動される毎に、このような整列ステップの後、アニールが領域毎に行われる。このような整列のためには、基板を並進移動させ及び回転させることが必要とされる場合がある。
【0068】
[0078]図4Aは、基板支持アセンブリ213がローディングゾーン206に配置され、基板支持アセンブリ214が処理ゾーン207に配置されているようなアニール処理システム200の第1の位置を例示している。図4Bは、基板支持アセンブリ214がローディングゾーン208に配置され、基板支持アセンブリ213が処理ゾーン207に配置されていて、基板を基板支持アセンブリ214へロードしたり基板を基板支持アセンブリ214からアンロードしたりすることができ且つ基板支持アセンブリ213に配置された基板に対してアニール処理を行うことができるようにした、アニール処理システム200の第2の位置を例示している。第1の位置と第2の位置との間の移行は、基板支持アセンブリ213、214が配置されたシャトル215の直線移動によって行うことができる。
【0069】
[0079]図5Aは、本発明の一実施形態による基板支持アセンブリ313の斜視図を概略的に例示している。この基板支持アセンブリ313は、図2Aに例示したアニール処理システム200のシャトル215に結合される基板支持アセンブリ213、214であることができる。
【0070】
[0080]この基板支持アセンブリ313は、基板を支持し固定するように構成された上部表面321を有する基板チャック320を備える。一実施形態では、基板チャック320は、上部表面321に配置された基板を加熱及び/又は冷却するように構成された温度制御手段を備える。この基板チャック320は、基板を加熱するため1つ以上の抵抗ヒーター(図示していない)を使用することができる。この基板チャック320は、冷却流体をそこに流すことにより基板を冷却するように構成された冷却パイプ(図示していない)を備えることができる。一実施形態では、この基板チャック320は、約20℃から約500℃までの間の温度範囲まで基板を加熱することができる。一実施形態では、基板チャック320における冷却パイプは、過熱を避けるためアニール中に基板を冷却するのに使用することができる。
【0071】
[0081]一実施形態では、基板チャック320は、基板を上部表面321へチャックするため真空手段に結合される。基板を上部表面321に固定するため、その上部表面321には、真空源に接続される複数の開口328が形成される。別の実施形態では、基板を上部表面321に固定するのに、静電的手段を使用することができる。
【0072】
[0082]一実施形態では、3つ以上の引込みピン329が上部表面321に亘って均等に配設される。これら引込みピン329は、ロボットで基板を受け取り移送するのに使用することができる。一実施形態では、これら引込みピン329は、加熱処理中に、基板を上部表面321から僅かに上昇させた状態に保ち、加熱中の基板の熱膨張により、基板の背面と上部表面321との間の擦れが生じないようにし、それにより、粒子生成を減少させ、基板における熱ストレスを減少させることができるようにする。
【0073】
[0083]一実施形態では、基板チャック320は、シータプレート330に結合されている。このシータプレート330は、第1のステージプレート325に可動的に結合されている。このシータプレート330は、基板チャック320と共に、第1のステージプレート325に対して中心軸331の周りに回転できる。一実施形態では、シータプレート330は、ダイとパルス化エネルギー源から分配されるエネルギー投射領域20A(図2A)との角度的整列を助けるため第1のステージプレート325に対して数度回転することができる。
【0074】
[0084]第1のステージプレート325は、第2のステージプレート326に可動的に結合されている。第1のステージ324は、第1のステージプレート325に結合されており、第2のステージプレート326は、第2のステージ323に結合されている。第1のステージ324は、第1の方向、例えば、y方向に沿って第2のステージプレート326に対して第1のステージプレート325を並進移動させるように構成されている。
【0075】
[0085]第2のステージプレート326は、第2のステージ323を介して底部プレート327に可動的に結合されており、第2の方向、例えば、x方向に沿って第2のステージプレート326を並進移動させるように適応されている。第2のステージ323は、第2のステージプレート326、第1のステージプレート325及び第1のステージ324を底部プレート327に対して並進移動させるように構成されている。一実施形態では、第1のステージ324は、第2のステージ323と直交するように配置される。一実施形態では、中心軸331は、第1のステージ324及び第2のステージ323と直交している。
【0076】
[0086]基板支持アセンブリ313は、基板を中心軸331の周りに回転させ且つ基板を第1のステージ324及び第2のステージ324に沿って並進移動させることにより、処理チャンバにおいて基板を整列させることができる。第1のステージ324及び第2のステージ323は、任意の適当な高精密ステージであってよい。
【0077】
[0087]底部プレート327は、更に、全基板支持アセンブリ313を移動させるように構成されたシャトル215のような機構に結合することができる。
【0078】
[0088]図5B及び図5Cは、処理ゾーン207での種々な処理位置にある図5Aの基板支持アセンブリ313の上面図を概略的に例示している。図5Bに示されるように、基板支持アセンブリ313は、前述した処理チャンバ205と同様であってよい処理チャンバ307に配置されている。一実施形態では、基板支持アセンブリ313は、前述したようなシャトル215と同様であってよいシャトル315により、処理チャンバ307に入ったり処理チャンバ307から出されたりするように移送される。基板支持アセンブリ313は、基板の各領域が処理領域318、例えば、処理チャンバ307内に形成されるエネルギー投射領域20Aと整列させられるように、処理中に基板を移動させるのに使用することができる。一実施形態では、処理チャンバ307は、パルスアニールチャンバであり、処理領域318は、アニール領域である。一実施形態では、処理チャンバ307は、基板上のどのダイ13もが処理領域318と整列させられるように、基板支持アセンブリ313を配置することができるに十分に大きいものとされる。
【0079】
[0089]処理領域318は、基板支持アセンブリ313上に置かれた基板の任意の部分がその処理領域318と整列されるように配置される。図5Bは、処理領域318が基板の最も右の区域と整列しているところを例示している。図5Cは、処理領域318が基板の最も左の区域と整列しているところを例示している。図5Dは、処理領域318が基板の上部区域と整列しているところを例示している。図5Eは、処理領域318が基板の底部区域と整列しているところを例示している。処理領域318は、最も左の区域と最も右の区域との間内及び上部区域と底部区域との間内の基板の任意の区域と整列することができる。
【0080】
[0090]一実施形態では、基板と処理領域318との整列は、視覚的方法を使用して行うことができる。処理チャンバ307内に配置された基板を見るように、カメラのような視覚的センサを配置し、その視覚的センサを使用して、整列を達成するため基板上の1つ以上のマーカを認識することができるようにする。一実施形態では、このマーカは、処理すべき基板の縁部に形成されたノッチである。別の実施形態では、このマーカは、処理すべき基板の表面に形成されたパターンである。
【0081】
[0091]図6は、本発明の一実施形態によるパルスアニール処理400のフローチャートを例示している。このパルスアニール処理400は、処理ゾーンに配置された1つのエネルギー源を備え且つ基板支持体A又は基板支持体Bによって支持された基板を処理するように構成されたシステムにおいて行うことができる。基板支持体A及びBの各々は、ローディング位置と処理ゾーンとの間で移動することができるものである。一実施形態では、このパルスアニール処理400は、図4Aに示されたアニール処理システム200において行うことができ、基板支持体A及びBは、シャトル215を使用することにより移動される基板支持アセンブリ213、214である。
【0082】
[0092]ステップ410において、基板支持体Aは、ローディング位置へ移動され、一方、基板支持体Bは、処理ゾーンへ移動される。
【0083】
[0093]ステップ420、430、440、450、460、470は、ローディング位置において行われ、一方、ステップ480、490は、処理ゾーンにおいて行うことができる。
【0084】
[0094]ステップ420において、前に処理された基板が基板支持体Aから取り外される。
【0085】
[0095]ステップ430において、新しい基板が基板支持体Aにロードされる。
【0086】
[0096]ステップ440において、その新しい基板に対する予熱処理が行われる。一実施形態では、その新しい基板は、基板支持体Aの上にゆるく置かれ、加熱中における基板の熱膨張により基板内にストレスが生ずるようなことがないようにする。この予熱処理は、基板が置かれる加熱表面によって行うことができる。別の実施形態では、この予熱処理は、放射加熱アセンブリのような、ローディング位置に配置された加熱アセンブリによって行うことができる。
【0087】
[0097]ステップ450において、加熱された基板は、基板支持体へチャックされる。このようなチャックは、真空チャック及び/又は静電チャックのような任意の適当な技法によって行うことができる。
【0088】
[0098]ステップ460において、任意的な整列ステップを行うことができる。このような整列は、処理ゾーンにおいてエネルギー投射領域と少なくともほぼ整列した位置に基板を配置するような粗整列であることができる。一実施形態では、この整列は、基板を回転すること及び/又は基板を並進移動させることを含むことができる。この整列は、基板上のノッチ又は他の整列マーカに対して行うことができる。
【0089】
[0099]基板は、ステップ470において示されるように、処理ゾーンが使用できるようになるまで、ローディング位置において待機又は待ち状態に入ることができる。
【0090】
[0100]ステップ495において、加熱されプリアラインメントされた基板を含む基板支持体Aが処理ゾーンへ移送され、前にその処理ゾーンにあった基板支持体Bがそのローディング位置へ移送される。一実施形態では、基板支持体A及び基板支持体Bの各々は、図4Aのアニール処理システム200における如く、ローディング位置を有している。別の実施形態では、基板支持体A、Bは、1つの共通のローディング位置を共用する。
【0091】
[0101]処理ゾーンへ移送された後、基板支持体Aに配置された基板は、ステップ480において示されるように、エネルギー源のエネルギー投射領域と整列される。一実施形態では、この整列は、基板上のダイをエネルギー投射領域に対して位置決めすることを含む。このような整列は、基板支持体を使用して基板を回転し且つ基板を精密に並進移動させることにより行われる。
【0092】
[0102]このような整列の後、ステップ490において示されるように、アニール処理が行われる。このアニール処理は、領域毎に、又はダイ毎に基板に対してパルス化エネルギーを曝すようにエネルギー源を使用することにより達成される。一実施形態では、基板はエネルギー源のアニール領域に対して相対的に連続して移動され、一方、新しい領域がそのアニール領域の整列内に移動される時にその基板へエネルギーのパルスが投射される。
【0093】
[0103]本発明の種々な実施形態について前述してきたのであるが、本発明の基本的な範囲から逸脱せずに、本発明の他の更なる実施形態が考えられるものであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって決定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の一実施形態によるパルスレーザアニール処理の斜視図を概略的に例示している。
【図2A】処理すべき基板の上面図を概略的に例示しており、処理すべき基板とエネルギー源のアニール領域との間の相対移動を示している。
【図2B】本発明の一実施形態によるエネルギーパルス及び基板とエネルギー源との間の相対移動のフローチャートを概略的に例示している。
【図2C】本発明の一実施形態によるアニールチャンバ403を概略的に例示している。
【図3】本発明の一実施形態によるアニール処理を行うための典型的なステップを含むフローチャートを例示している。
【図4A】本発明の一実施形態によるパルスアニールシステムの第1の処理位置の上面図を概略的に例示している。
【図4B】図4Aのパルスアニールシステムの第2の処理位置の上面図を概略的に例示している。
【図5A】本発明の一実施形態による基板支持アセンブリの斜視図を概略的に例示している。
【図5B】異なる処理位置における図5Aの基板支持アセンブリの上面図を概略的に例示している。
【図5C】異なる処理位置における図5Aの基板支持アセンブリの上面図を概略的に例示している。
【図5D】異なる処理位置における図5Aの基板支持アセンブリの上面図を概略的に例示している。
【図5E】異なる処理位置における図5Aの基板支持アセンブリの上面図を概略的に例示している。
【図6】本発明の一実施形態によるパルスアニール処理のフローチャートを例示している。
【符号の説明】
【0095】
1…アニールシステム、10A…スクライブ又はカーフライン、10…基板、12…アニール領域、13…ダイ、15…熱交換装置、15A…抵抗加熱素子、15B…流体チャネル、15C…コントローラ、15D…極低温チラー、16…基板支持表面、17…電気的アクチュエータ、20…エネルギー源、20A…エネルギー投射領域、20B…曲線、20C…パルス、21…コントローラ、110…ステップ、120…ステップ、130…ステップ、140…ステップ、150…ステップ、200…アニール処理システム、201…ポッド、202…フロントエンド環境、203…ファクトリーインターフェースロボット、204…トラック、205…処理チャンバ、206…ローディングゾーン、207…処理ゾーン、208…ローディングゾーン、209…スリット弁ドア、210…スリット弁ドア、211…ドア、212…ドア、213…基板支持アセンブリ、214…基板支持アセンブリ、215…シャトル、216…エネルギー源、217…ライトトレイン、218…アニール領域、219…チャンバ本体、307…処理チャンバ、313…基板支持アセンブリ、315…シャトル、318…処理領域、320…基板チャック、321…上部表面、323…第2のステージ、324…第1のステージ、325…第1のステージプレート、326…第2のステージプレート、327…底部プレート、328…開口、329…引込みピン、330…シータプレート、331…中心軸、400…パルスアニール処理、401…基板、402…エネルギー源、403…アニールチャンバ、404…光センサ、408…制御装置、410…ステップ、411…高精密ステージ、414…基板支持体、415…制御装置、416…上部表面、420…ステップ、424…真空ポンプ、425…ガス源、426…チャンバ本体、427…処理空間、428…ウインドー、430…ステップ、440…ステップ、450…ステップ、460…ステップ、470…ステップ、480…ステップ、490…ステップ、495…ステップ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を支持するように構成された第1の基板支持体と、
基板を支持するように構成された第2の基板支持体と、
上記第1の基板支持体に結合され且つ処理ゾーンと第1のローディングゾーンとの間で上記第1の基板支持体を移動させるように構成されたシャトルと、
を備え、上記処理ゾーンは、上記第1の基板支持体及び上記第2の基板支持体を交互に収容するように構成された処理空間を有している、
半導体処理チャンバ。
【請求項2】
上記シャトルは、上記第2の基板支持体にも結合され且つ上記第1の基板支持体及び上記第2の基板支持体を同時に移動させるように構成されており、上記シャトルは、第1の位置と、第2の位置とを有しており、上記シャトルが上記第1の位置にある時には、上記第1の基板支持体は上記第1のローディングゾーンにあり且つ上記第2の基板支持体は上記処理ゾーンにあり、上記シャトルが上記第2の位置にある時には、上記第1の基板支持体は上記処理ゾーンにあり且つ上記第2の基板支持体は上記第2のローディングゾーンにある、請求項1に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項3】
上記処理ゾーンに配設され、アニール領域へエネルギーを投射するように構成されたエネルギー源を更に備え、上記第1の基板支持体及び上記第2の基板支持体は、基板の望ましい部分を上記アニール領域と整列させるように構成されている、請求項1に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項4】
上記第1の基板支持体及び上記第2の基板支持体の各々は、
基板を固定するように構成された基板チャックと、
上記基板チャックを第1の方向に沿って並進移動させるように構成された第1のステージと、
上記基板チャックを第2の方向に沿って並進移動させるように構成された第2のステージと、
上記基板チャックを上記基板チャックの中心軸の周りに回転させるように構成された回転機構と、
を備える、請求項3に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項5】
上記第1の基板支持体及び上記第2の基板支持体の各々は、更に、上記基板チャックに配置された基板を加熱又は冷却するように構成された温度制御アセンブリを備える、請求項4に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項6】
上記エネルギー源は、パルス化レーザエネルギーを投射するように構成されている、請求項3に記載の半導体処理チャンバ。
【請求項7】
処理ゾーン、第1のローディングゾーン及び第2のローディングゾーンを有する処理チャンバと、
上記第1のローディングゾーンと上記処理ゾーンとの間で基板を支持して移送するように構成された第1の基板支持アセンブリと、
上記第2のローディングゾーンと上記処理ゾーンとの間で基板を支持して移送するように構成された第2の基板支持アセンブリと、
上記第1の基板支持アセンブリ及び上記第2の基板支持アセンブリを上記処理ゾーンに交互に配置するように構成されたシャトルと、
上記処理ゾーンにおけるアニール領域へエネルギーを投射するように構成されたエネルギー源と、
を備えるアニールシステム。
【請求項8】
上記第1のローディングゾーン及び上記第2のローディングゾーンは、上記処理ゾーンの互いに反対側に配置されており、上記シャトルは、第1の位置及び第2の位置を有しており、上記シャトルが上記第1の位置にある時には、上記第1の基板支持アセンブリは上記第1のローディングゾーンにあり且つ上記第2の基板支持アセンブリは上記処理ゾーンにあり、上記シャトルが上記第2の位置にある時には、上記第1の基板支持アセンブリは上記処理ゾーンにあり且つ上記第2の基板支持アセンブリは上記第2のローディングゾーンにある、請求項7に記載のアニールシステム。
【請求項9】
上記処理ゾーンを上記第1のローディングゾーン及び上記第2のローディングゾーンから選択的に分離するためのドアを更に備える、請求項7に記載のアニールシステム。
【請求項10】
上記第1の基板支持アセンブリ及び上記第2の基板支持アセンブリの各々は、
基板を固定するように構成された基板チャックと、
上記基板チャックを第1の方向に沿って並進移動させるように構成された第1のステージと、
上記基板チャックを第2の方向に沿って並進移動させるように構成された第2のステージと、
上記基板チャックを上記基板チャックの中心軸の周りに回転させるように構成された回転機構と、
を備える、請求項7に記載のアニールシステム。
【請求項11】
上記第1の基板支持アセンブリ及び上記第2の基板支持アセンブリの各々は、更に、上記基板チャックに配置された基板を加熱又は冷却するように構成された温度制御アセンブリを備える、請求項10に記載のアニールシステム。
【請求項12】
半導体基板を処理するための方法において、
第1のローディングゾーンに配置された第1の基板支持アセンブリに第1の基板をローディングするステップと、
上記第1のローディングゾーンにおいて上記第1の基板を予熱するステップと、
上記第1の基板を処理ゾーンに配置するため上記第1の基板支持アセンブリを上記処理ゾーンへ移動させるステップと、
上記第1の基板の第1の領域を上記処理ゾーンに配設されたエネルギー源のアニール領域と整列させるステップと、
上記エネルギー源を使用して上記第1の基板の上記第1の領域へパルス化エネルギーを投射するステップと、
を備えた方法。
【請求項13】
上記第1の基板の第2の領域を上記エネルギー源の上記アニール領域と整列させるステップと、
上記エネルギー源を使用して上記第1の基板の上記第2の領域へパルス化エネルギーを投射するステップと、
を更に備えた、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
上記第1の基板を上記エネルギー源と整列させ上記第1の基板へパルス化エネルギーを投射している時に、第2の基板支持アセンブリに第2の基板をロードし上記第2の基板を予熱するステップと、
上記第1の基板支持アセンブリを上記処理ゾーンから上記第1のローディングゾーンへと移動させることにより、上記第1の基板を上記処理ゾーンから上記第1のローディングゾーンへと移動させ、同時に、上記第2の基板支持アセンブリを上記処理ゾーンへと移動させることにより、上記第2の基板を上記処理ゾーンに配置するステップと、
を更に備えた、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
上記第1の基板の上記第1の領域を上記アニール領域と整列させるステップは、
上記第1の基板支持アセンブリに配置された第1のステージを使用して第1の方向に沿って上記第1の基板を並進移動させる段階と、
上記第1の基板支持アセンブリに配置された第2のステージを使用して第2の方向に沿って上記第1の基板を並進移動させる段階と、
を含む、請求項12に記載の方法。


【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−49413(P2009−49413A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−209297(P2008−209297)
【出願日】平成20年8月15日(2008.8.15)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】