説明

ヒトプロテインチロシンホスファターゼβ阻害剤および使用法

本開示は、それによって血管新生を制御するヒトプロテインチロシンホスファターゼβ(HPTP−β)阻害剤として有効な化合物に関する。本開示は、さらに、該ヒトプロテインチロシンホスファターゼβ(HPTP−β)阻害剤を含む組成物、および血管新生を制御する方法に関する。本開示は、さらに、薬学的組成物およびそれらの薬学的に許容される塩、ならびに/またはa)有効量の本開示記載の1つ以上の化合物;およびb)賦形剤
を含む、その薬学的組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、それによって血管新生を制御するヒトプロテインチロシンホスファターゼβ(HPTP−β)阻害剤として有効な化合物に関する。本開示は、さらに、該ヒトプロテインチロシンホスファターゼβ(HPTP−β)阻害剤を含む組成物、および血管新生を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血管新生、すなわち既存の脈管構造からの新たな血管の出芽は、広範な生理学的および病理学的なプロセスにおいて重要な役割を果たしている(Nguyen,L.L.ら、Int.Rev.Cytol.,204,1−48,(2001))。血管形成は、血管を裏打ちしている血管内皮細胞とそれらの周囲の環境との間の連結によって媒介される複雑なプロセスである。血管新生の初期には、組織または腫瘍細胞が、低酸素などの環境刺激に応答して血管新生促進因子を産生および分泌する。これらの因子が近接した内皮細胞に拡散し、周囲にある細胞外基質を分解するプロテアーゼを産生および分泌させる受容体を刺激する。活性化した内皮細胞は、周囲にある組織内に移動して増殖し、これらの促進因子の源に向かう(Bussolino,F.,Trends Biochem.Sci.,22,251−256,(1997))。その後、内皮細胞は増殖を停止して、管状構造に分化するが、これが、安定かつ成熟した血管を形成する第1工程である。続いて、周皮細胞および平滑筋細胞などの内皮周囲細胞(periendothelial cells)が、血管成熟への更なる工程において、新しく形成された血管へ補充される。
【0003】
血管新生は、天然の血管新生促進因子および血管新生抑制因子のバランスによって制御される。血管内皮増殖因子、線維芽細胞増殖因子、およびアンジオポエチンは、多くの潜在的血管新生促進因子のうちの代表的なものである。これらのリガンドは、それぞれの受容体チロシンキナーゼに内皮細胞表面で結合し、細胞の遊走および増殖を促進する信号を伝達する。多くの制御因子が同定されている一方で、このプロセスの分子機構はいまだに十分には理解されていない。
【0004】
持続的に制御されていないか、不適切に制御された血管新生によってもたらされる多くの病態が存在する。そのような病態においては、無制御であるか、または不適切に制御された血管新生が特定の病気を引き起こすか、現在の病状を悪化させている可能性がある。例えば、眼の血管新生は失明の最も一般的な原因と関係があるとされ、約20種の眼病の病理の根底にある。関節炎などの一定の既存の症状では、新たに形成された毛細血管が関節に侵入して軟骨を破壊する。糖尿病では、網膜内に形成された新たな毛細血管が硝子体液内に侵入して、出血および失明を引き起こす。固形腫瘍の増殖および転移も血管新生に依存する(Folkmanら、“Tumor Angiogenesis,”Chapter 10,206−32,in The Molecular Basis of Cancer,Mendelsohnら、eds.,W.B.Saunders,(1995))。直径2mm以上に拡大する腫瘍では、それ自体が血液の供給を受ける必要があるため、新たな毛細血管の増殖を誘導することで血液の供給を受けることが分かっている。これらの新たな血管は、腫瘍に埋め込まれると、腫瘍増殖に必須の栄養分および増殖因子を提供するとともに、腫瘍細胞が循環血液中に侵入して、肝臓、肺、または骨など遠位部位に転移するための手段を提供する(Weidner、New Eng.J.Med.,324,1,1−8(1991))。担癌動物において薬として使用されると、天然の血管新生阻害剤は、小腫瘍の増殖を抑えることができる(非特許文献1)。いくつかのプロトコルでは、このような阻害剤を適用すると、治療の休止後でも腫瘍の退縮および休眠が生じる(非特許文献2)。さらに、一定の腫瘍に血管新生阻害剤を供給すると、他の治療内容に対する応答を増強することができる(非特許文献3)。
【0005】
多くの病態が、持続的に制御されていないか、不適切に制御された血管新生によってもたらされるが、血管新生の増加によって治療されうる病態もある。組織の増殖および修復は、細胞増殖および血管新生が起きる生物学的事象である。すなわち、創傷修復の重要な一態様は、血管新生による損傷組織の血管再生である。
【0006】
高齢者集団においては、慢性の非治癒性の創傷が病的状態を長引かせる主な原因となっている。これは、特に、重度の非治癒性皮膚潰瘍を発症している寝たきり患者または糖尿病患者に当てはまる。これらの症例の多くで、このような回復の遅れは、持続圧力または血管閉塞のいずれかの結果として、不十分な血液供給が起きるせいである。小動脈のアテローム性動脈硬化症または静脈鬱血に起因する毛細血管循環不良が、損傷組織の修復ができないことの一因となっている。このような組織は、病原生物を効果的に除去するためには十分に血管新生した組織を必要とする身体の先天的防御系による攻撃を受けることなく増殖する微生物にしばしば感染している。その結果、最も治療的な介入は、虚血部位への血流を回復させ、それによって栄養分および免疫因子が創傷部位に進入できるようにすることに重点を置いている。
【0007】
大血管における動脈硬化性病変は、患部組織までの血管の成長を調節することによって寛解されうる組織虚血を引き起こす可能性がある。例えば、冠状動脈における動脈硬化性病変は、側副動脈の成長を刺激することによって血流を回復させることができれば予防しうる狭心症および心筋梗塞の原因となる可能性がある。同様に、両脚に供給する大動脈における動脈硬化性病変は、移動性を制限し、場合によっては切断を必要とする、骨格筋における虚血を引き起こす可能性があるが、これも血管新生療法で血流を改善することによって予防することができる。
【0008】
糖尿病および高血圧などその他の病気は、細動脈および毛細血管などの小血管の数および密度の減少を特徴とする。これらの小血管は、酸素および栄養分の送達に重要である。これらの血管の数および密度の減少は、跛行、虚血性潰瘍、加速性高血圧、および腎不全など、高血圧および糖尿病による有害事象の原因となる。これらの一般的な疾患、および他のあまり一般的ではない病気、例えば、ビュルガー病など、血管新生療法を用いて微小血管の数および密度を増大させることによって改善することができるであろう。
【0009】
血管新生を制御する1つの手段が、ヒトプロテインチロシンホスファターゼβ(HPTP−β)阻害剤で患者を治療することである(Kruegarら、EMBO J.,9,(1990))と示唆されたため、この必要を満たすために、本開示の化合物が調製された。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】O’Reillyら、Cell(1994)79,315−28
【非特許文献2】O’Reillyら、Cell(1997)88,277−85
【非特許文献3】Teischerら、Int.J.Cancer(1994)51,920−25
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の化合物は、ヒトにおいて血管新生を制御することができる新規のクラスの化合物である。
【0012】
本開示は、さらに、薬学的組成物およびそれらの薬学的に許容される塩、ならびに/または
a)有効量の本開示記載の1つ以上の化合物;および
b)賦形剤
を含む、その薬学的組成物に関する。
【0013】
また、本開示は、血管新生を調節し、それによって血管新生の影響を受ける病気の治療を提供する方法であって、有効量の本開示記載の化合物をヒトに投与することを含む方法に関する。
【0014】
これらおよびその他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な説明および添付された請求の範囲の記載から、当業者に明らかとなろう。本明細書において、全てのパーセンテージ、比率、および割合は、特段の記載がない限り、重量に基づいている。全ての温度は、特段の記載がない限り、摂氏(℃)で表されている。引用されている全ての刊行物は、その関係箇所において参照により本明細書に組み込まれる;いかなる刊行物の引用も、本開示に関して先行技術であることを認めるものと解してはならない。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書中およびそれに続く請求の範囲において、いくつかの用語に言及されているが、それらは、以下の意味を有すると定義される。
【0016】
「薬学的に許容される」とは、生物学的にもそれ以外でも望ましくないものではない物質を意味する。すなわち、この物質は、関連する活性化合物とともに個体に投与しても、臨床的に許容されない生物学的作用を引き起こしたり、それが含まれている薬学的組成物の他の成分のいずれとも有害な様式で相互作用したりしないということである。
【0017】
本明細書の説明および請求項の全体を通して、「含む(comprise)」という単語、およびこの単語の別の形態、例えば、「含んでいる(comprising)」および「含む(comprises)」は、例えば、他の添加物、成分、整数、または工程などを含むが、それらに限定されず、また、それらを除外しない。
【0018】
説明および添付の請求の範囲において、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈上明確に別段の指示がない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「組成物」と言う場合には、そのような組成物の2つ以上の混合物を含む。
【0019】
「任意の」または「任意に」とは、その次に記載された事象もしくは状況が起きても起きなくてもよいことを意味し、説明が、この事象もしくは状況が起きた場合と起きない場合とを含むことを意味する。
【0020】
本明細書において、範囲は「約」1つの特定の値から、および/または「約」別の特定の値までとして示すことができる。このような範囲が示されると、別の態様はその1つの特定の値からおよび/またはその別の特定の値までを含む。同様に、値が前述の「約」を使って近似値として示される場合、その特定の値が別の態様をなすと理解されるであろう。各範囲の端点は、他方の端点との関連においても、また、他方の端点とは独立しても意味があることがさらに理解されるであろう。いくつかの値が本明細書に開示されており、それぞれの値が、その値そのものに加えて、それに「約」をつけても開示されているものとも理解される。例えば、「10」という値が開示されているときには、「約10」も開示されている。また、ある値が開示されていれば、当業者によって適切に理解されるとおり、この値「以下」、「この値以上」、および2つの値の間の範囲も開示されていると理解される。例えば、「10」という値が開示されていれば、「10以下」も「10以上」も同様に開示されている。また、出願全体を通じて、データは、いくつかの異なる形式で提供されており、このデータが、終点、開始点、およびこれらのデータポイントの任意を組み合わせた範囲を表していると理解される。例えば、「10」という特定のデータポイント、および「15」という特定のデータポイントが開示されていれば、10および15より大きい、それ以上、それより小さい、それ以下、それに等しいものが、10と15との間と同様に開示されているものと見なされると理解される。また、2個の特定の単位(unit)の間の各単位も開示されていると理解される。例えば、10および15が開示されていれば、11、12、13、および14も開示されている。
【0021】
本明細書に記載されている「有機単位」という用語は、1つ以上の炭素原子を含み、かつ化合物またはその薬学的に許容される塩のうちの1つの部分を形成する基または成分を意味する。例えば、本明細書の他の箇所で言及されている置換基単位の多くが有機単位である。本明細書に開示されている化合物および/または塩にそれが存在するということで有効に機能するためには、有機単位は、しばしば、さまざまな範囲の限定されたサイズおよび/または分子量をもち、標的酵素への所望の結合、可溶性、生体吸収という特性を提供する必要がある。例えば、有機単位は、例えば、1〜26個の炭素原子、1〜18個の炭素原子、1〜12個の炭素原子、1〜8個の炭素原子、または1〜4個の炭素原子を有することができる。有機単位は、有機単位の炭素原子のうちの少なくともいくつかに結合した水素をもち、任意には、置換型有機化合物中に見出される一般的なヘテロ原子、例えば、酸素、窒素、硫黄など、またはハロゲン、リンなどの無機原子を任意に含むことができる。無機原子を含まない有機基の一例が5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル遊離基である。いくつかの実施形態において、有機遊離基は、それに結合しているか、その中に、ハロゲン、酸素、硫黄、窒素、リンなどの1〜10個の無機へテロ原子を含むことができる。有機遊離基の例には、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、一置換アミノ基、二置換アミノ基、アシルオキシ基、シアノ基、カルボキシ基、カルボアルコキシ基、アルキルカルボキサミド基、置換アルキルカルボキサミド基、ジアルキルカルボキサミド基、置換ジアルキルカルボキサミド基、アルキルスルホニル基、アルキルスルフィニル基、チオアルキル基、チオハロアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、アリール基、置換アリール基、ヘテロアリール基、複素環基、または置換複素環基が含まれるが、これらに限定されず、これらの用語は、本明細書の他の箇所で定義される。ヘテロ原子を含む有機遊離基のいくつかの例には、アルコキシ基、トリフルオロメトキシ基、アセトキシ基、ジメチルアミノ基などが含まれる。
【0022】
置換型および非置換型の直鎖状、分岐鎖状、または環状のアルキル単位には、以下の非限定例が含まれる:メチル(C)、エチル(C)、n−プロピル(C)、iso−プロピル(C)、シクロプロピル(C)、n−ブチル(C)、sec−ブチル(C)、iso−ブチル(C)、tert−ブチル(C)、シクロブチル(C)、シクロペンチル(C)、シクロヘキシル(C)など;一方、置換型の直鎖状、分岐鎖状、または環状のアルキル単位の非限定例には、ヒドロキシメチル(C)、クロロメチル(C)、トリフルオロメチル(C)、アミノメチル(C)、1−クロロエチル(C)、2−ヒドロキシエチル(C)、1,2−ジフルオロエチル(C)、2,2,2−トリフルオロエチル(C)、3−カルボキシプロピル(C)、2,3−ジヒドロキシシクロブチル(C)などが含まれる。
【0023】
置換型および非置換型の直鎖状、分岐鎖状、または環状のアルケニルには、エテニル(C)、3−プロペニル(C)、1−プロペニル(2−メチルエテニルも)(C)、イソプロペニル(2−メチルエテン−2−イルも)(C)、ブテン−4−イル(C)などがあり;置換型の直鎖状、分岐鎖状、または環状のアルケニルの非限定例には、2−クロロエテニル(2−クロロビニルも)(C)、4−ヒドロキシブテン−1−イル(C)、7−ヒドロキシ−7−メチルオクト−4−エン−2−イル(C)、7−ヒドロキシ−7−メチルオクト−3,5−ジエン−2−イル(C)などが含まれる。
【0024】
置換型および非置換型の直鎖状、分岐鎖状、または環状のアルキニルには、エチニル(C)、プロプ−2−イニル(プロパルギルも)(C)、プロピン−1−イル(C)、および2−メチル−ヘキス−4−イン−1−イル(C)などがあり:置換型の直鎖状、分岐鎖状、または環状のアルキニルの非限定例には、5−ヒドロキシ−5−メチルヘキス−3−イニル(C)、6−ヒドロキシ−6−メチルヘプト−3−イン−2−イル(C)、5−ヒドロキシ−5−エチルヘプト−3−イニル(C)などが含まれる。
【0025】
本明細書において、置換型および非置換型の「アルコキシ」は、R100が上記で定義されているようなアルキル単位、アルキレニル単位、またはアルキニル単位である、一般式−OR100をもつ単位、例えば、メトキシ、メトキシメチル、メトキシメチルを意味する。
【0026】
本明細書において、置換型および非置換型の「ハロアルキル」は、1つ以上のハロゲン原子によって置換された水素原子を有するアルキル単位、例えば、トリフルオロメチル、1,2−ジクロロエチル、および3,3,3−トリフルオロプロピルを意味する。
【0027】
本明細書において「アリール」という用語は、共役した芳香族6員環を有する、少なくとも1つのベンゼン環を含む環状有機単位を意味し、その非限定例には、フェニル(C)、ナフチレン−1−イル(C10)、ナフチレン−2−イル(C10)などが含まれる。アリール環は、別の有機遊離基または無機遊離基で置換されている1つ以上の水素原子を有することができる。置換アリール環の非限定例は:4−フルオロフェニル(C)、2−ヒドロキシフェニル(C)、3−メチルフェニル(C)、2−アミノ−4−フルオロフェニル(C)、2−(N,N−ジエチルアミノ)フェニル(C)、2−シアノフェニル(C)、2,6−ジ−tert−ブチルフェニル(C)、3−メトキシフェニル(C)、8−ヒドロキシナフチレン−2−イル(C10)、4,5−ジメトキシナフチレン−1−イル(C10)、および6−シアノナフチレン−1−イル(C10)などである。
【0028】
「ヘテロアリール」という用語は、環原子のうちの少なくとも1つが、窒素、酸素、または硫黄から選択されたヘテロ原子である、5員もしくは6員の共役芳香環を含む有機単位を示す。ヘテロアリール環は、単一の環、例えば、少なくとも1つの環原子が窒素、酸素、または硫黄に限定されないヘテロ原子である、5個または6個の原子をもつ環、例えば、ピリジン環、フラン環、またはチオフラン環を含むことができる。また、「ヘテロアリール」は、環のうちの少なくとも1つが芳香環であり、かつ芳香環の少なくとも1つの原子が窒素、酸素、または硫黄などヘテロ原子である、縮合多環芳香族複素環系であってもよい。
【0029】
以下は、本開示記載のヘテロアリール環の非限定例である:
【0030】
【化1】

「複素環」という用語は、環原子のうちの少なくとも1つが窒素、酸素、または硫黄に限定されないヘテロ原子である、3〜10個の原子を有する環系を意味する。この環は、単環、縮合環、または二環式環であってもよい。複素環の非限定例は以下である:
【0031】
【化2】

前記のヘテロアリール環および複素環はすべて、本明細書においてさらに説明されているように、任意に、1つ以上の水素に対する置換基で置換することができる。
【0032】
本開示の説明全体を通して、「thiophene−2−yl(チオフェン−2−イル)およびthiophene−3−yl(チオフェン−3−イル)」と綴る用語は、それぞれ、以下の式を有するヘテロアリール単位を説明するために使用されている:
【0033】
【化3】

ただし、本開示の化合物を命名するにあたって、これらの部分に対する化学命名法では、一般的には、それぞれ「thiophen−2−yl(チオフェン−2−イル)およびthiophen−3−yl(チオフェン−3−イル)」と綴られる。本明細書においては「thiophene−2−yl(チオフェン−2−イル)およびthiophene−3−yl(チオフェン−3−イル)という用語は、これらの環を、本開示の化合物を構成する単位または部分として記載する場合に、本明細書においてどの環を意味するのかを当業者に対して明確にするためだけに使用されている。
【0034】
「置換」という用語は本明細書全体を通して使用されている。「置換」という用語は、本明細書においては、「ヒドロカルビル部分であって、非環状または環状を問わず、下記に定義されている1つの置換基またはいくつかの置換基によって置換された1つ以上の水素原子を有する部分」と定義される。この単位は、水素原子を置換する場合には、ヒドロカルビル部分の1つの水素原子、2つの水素原子、または3つの水素原子を同時に置換することができる。さらに、これらの置換基は、隣接ずる2つの炭素上の2つの水素原子を置換して、該置換基、新たな部分、もしくは単位を形成することができる。例えば、単一の水素原子の置換を必要とする置換単位にはハロゲン、ヒドロキシルなどがある。2つの水素原子が置換されるものにはカルボニル、オキシイミノなどがある。隣接する炭素原子からの2つの水素原子の置換にはエポキシなどがある。3つの水素原子が置換されるものにはシアノなどがある。置換という用語は、本明細書全体を通して、ヒドロカルビル部分、とりわけ、芳香環、アルキル鎖が;置換基によって置換された、1つ以上の水素原子を有しうることを示すために使用されている。ある部分が「置換」されていると説明されている場合には、いくつの水素原子が置換されていてもよい。例えば、4−ヒドロキシフェニルは「置換芳香族炭素環」であり、(N,N−ジメチル−5−アミノ)オクタニルは「置換Cアルキル単位」であり、3−グアニジノプロピルは「置換Cアルキル単位」であり、2−カルボキシピリジニルは「置換へテロアリール単位」である。
【0035】
以下は、ヒドロカルビルまたは他の単位上で水素原子を置換することができる単位の非限定例である:
i)C〜C12の直鎖状、分岐鎖状、または環状のアルキル、アルケニル、およびアルキニル;例えば、メチル(C)、エチル(C)、エテニル(C)、エチニル(C)、n−プロピル(C)、iso−プロピル(C)、シクロプロピル(C)、3−プロペニル(C)、1−プロペニル(2−メチルエテニルも)(C)、イソプロペニル(2−メチルエテン−2−イルも)(C)、プロプ−2−イニル(プロパルギルも)(C)、プロピン−1−イル(C)、n−ブチル(C)、sec−ブチル(C)、iso−ブチル(C)、tert−ブチル(C)、シクロブチル(C)、ブテン−4−イル(C)、シクロペンチル(C)、シクロヘキシル(C);
ii)置換または非置換のCアリールまたはC10アリール;例えば、フェニル、ナフチル(本明細書においてはナフチレン1−1イル(C10)またはナフチレン−2−イル(C10)とも呼ばれている);
iii)置換または非置換のC〜Cヘテロ環;本明細書に記載されている;
iv)置換または非置換のC〜Cヘテロアリール環;後述されている;
v)−(CR13a13bOR12;例えば、−OH、−CHOH、−OCH、−CHOCH、−OCHCH、−CHOCHCH、−OCHCHCH、および−CHOCHCHCH
vi)−(CRI3a13bC(O)R12;例えば、−COCH、−CHCOCH、−OCHCH、−CHCOCHCH、−COCHCHCH、および−CHCOCHCHCH
vii)−(CR13a13bC(O)OR12;例えば、−COCH、−CHCOCH、−COCHCH、−CHCOCHCH、−COCHCHCH、およびCHCOCHCHCH
viii)−(CR13a13bC(O)N(R12;例えば、−CONH、−CHCONH、−CONHCH、−CHCONHCH、−CON(CH、および−CHCON(CH
ix)−(CR13a13bN(R12;例えば、−NH、−CHNH、−NHCH、−N(CH、−NH(CHCH)、−CHNHCH、−CHN(CH、および−CHNH(CHCH);
x)ハロゲン;−F、−Cl、−Br、および−I;
xi)−(CRI3a13bCN;
xii)−(CR13a13bNO
xiii)−CH;ただし、Xはハロゲン、jは0から2、j+k=3;例えば−CHF、−CHF、−CF、−CCl、また−CBr
xiv)−(CR13a13bSR12;−SH、−CHSH、−SCH、−CHSCH、−SC、およびCHSC
xv)−(CR13a13bSO12;−SOH、−CHSOH、−SOCH、−CHSOCH、−SO、および−CHSO;ならびに
xiii)−(CR13a13bSO12;例えば、−SOH、−CHSOH、−SOCH、−CHSOCH、−SO、および−CHSO
ただし、式中、各C12は、独立して水素、置換または非置換のC〜Cの直鎖状、分岐鎖状、または環状のアルキル、フェニル、ベンジルであるか;または2つのC12単位が一緒になって3〜7個の原子を含む環を形成することができる;R13aおよびR13bは、それぞれ独立して水素またはC〜Cの直鎖状または分岐鎖状のアルキルである;指数pは0〜4である。
【0036】
本開示の目的では、「化合物」、「類縁体」、および「組成物」という用語は同等に、全ての鏡像異性型、ジアステレオマー型、塩など、本明細書に記載されている開示化学物質を意味し、「化合物」、「類縁体」、および「組成物」という用語は本明細書全体を通して互換的に使用されている。
【0037】
本開示は、いくつかの未達成の医学的ニーズ、とりわけ以下のことに取り組んでいる;
1)ヒトプロテインチロシンホスファターゼβ(HPTP−β)阻害剤として有効な組成物を提供し;それによって、血管新生が亢進する障害、病気、疾患、または症状における血管新生を制御する方法を提供すること;
2)ヒトプロテインチロシンホスファターゼβ(HPTP−β)阻害剤として有効な組成物を提供し;それによって、障害、病気、疾患、または症状における血管新生を制御する方法を提供すること;および
3)ヒトプロテインチロシンホスファターゼβ(HPTP−β)阻害剤として有効な組成物を提供し;それによって、血管新生が減退する障害、病気、疾患、または症状における血管新生を制御する方法を提供すること。
【0038】
これらの未達成の医学的ニーズおよび他の未達成の医学的ニーズが、血管新生を制御することができ、それによってヒトにおける血管新生の亢進または減退を治療する方法として、またはヒトプロテインチロシンホスファターゼβ(HPTP−β)の不十分な調節によって引き起こされる病気を治療する際に役立つ、本開示のヒトプロテインチロシンホスファターゼβ(HPTP−β)阻害剤によって解決される。
【0039】
本明細書に開示された化合物は、全ての薬学的に許容される塩の形態、例えば、塩基性基の塩、とりわけ、アミン、ならびに酸性基の塩、とりわけ、スルファミン酸およびカルボン酸を含む。以下は、塩基性基と塩を形成することができるアニオンの非限定例である:塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、重硫酸塩、炭酸、重炭酸、リン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ピルビン酸、乳酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、クエン酸など。以下は、酸性基の塩を形成することができるカチオンの非限定例である:ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ビスマスなど。
【0040】
本開示の化合物は式(I)を有する:
【0041】
【化4】

式中、アミノ単位を有する炭素原子は、化学式に示されているように(S)型立体化学を有する。
【0042】
Rは、以下の式を有する置換または非置換のチアゾリル単位である:
【0043】
【化5】

、R、およびRは多様な無機(水素、ヒドロキシル、アミノ、ハロゲンなど)または有機の置換基単位、例えば、アルキル、シクロアルキル、複素環、ヘテロアリールなどから独立して選択することができる置換基であるが、ただし、このような置換基単位は、任意で、1〜12個の炭素原子、または1〜10個の炭素原子、または1〜6個の炭素原子を有することができる。
【0044】
式(I)の化合物の一例である、R単位は、次の式を有するチアゾール−2−イル単位に関する:
【0045】
【化6】

式中、RおよびRはそれぞれ独立して以下から選択される:
i)水素;
ii)置換または非置換のC〜Cの直鎖状、分岐鎖状、または環状のアルキル;
iii)置換または非置換のフェニル;
iv)置換または非置換のヘテロアリール;または、
およびRは、一緒になって5〜7個の炭素原子を有する飽和または不飽和の環を形成することができる。
【0046】
式(I)の化合物の一例は、次の式を有するR単位を含む:
【0047】
【化7】

式中、Rは水素であり、かつRは、メチル(C)、エチル(C)、n−プロピル(C)、イソプロピル(C)、n−ブチル(C)、sec−ブチル(C)、iso−ブチル(C)、tert−ブチル(C)、n−ペンチル(C)、1−メチルブチル(C)、2−メチルブチル(C)、3−メチルブチル(C)、シクロプロピル(C)、n−ヘキシル(C)、4−メチルペンチル(C)、およびシクロヘキシル(C)から選択される単位である。
【0048】
式(I)の化合物の別例であるR単位は、Rがメチル(C)、エチル(C)、n−プロピル(C)、イソプロピル(C)、n−ブチル(C)、sec−ブチル(C)、iso−ブチル(C)、およびtert−ブチル(C)から選択される単位であり;かつRがメチル(C)またはエチル(C)から選択され単位である単位を含む。Rのこの態様の非限定例は、4,5−ジメチルチアゾール−2−イル、4−エチル−5−メチルチアゾール−2−イル、4−メチル−5−エチルチアゾール−2−イル、および4,5−ジエチルチアゾール−2−イルなどである。
【0049】
式(I)の化合物の更なる例であるR単位は、Rが水素であり、Rが置換アルキル単位であり、該置換が、
i)ハロゲン:−F、−Cl、−Br、および−I;
ii)−N(R11;および
iii)−OR11から選択され、
式中、各R11が独立して水素またはC〜Cの直鎖状または分岐鎖状のアルキルである単位を含む。
【0050】
R単位上の水素を置換することができる単位の非限定例には、−CHF、−CHF、−CF、−CHCF、−CHCHCF、−CHCl、−CHOH、−CHOCH、−CHCHOH、−CHCHOCH、−CHNH、−CHNHCH、−CHN(CH、および−CHNH(CHCH)などがある。
【0051】
R単位を含む単位の他の非限定例には、2,2−ジフルオロシクロプロピル、2−メトキシシクロヘキシル、および4−クロロシクロヘキシルなどがある。
【0052】
式(I)の化合物のさらに別の例であるR単位は、Rが水素であり、かつRがフェニルまたは置換フェニルである単位を含み、ここで、R単位の非限定例は、フェニル、3,4−ジメチルフェニル、4−tert−ブチルフェニル、4−シクロプロピルフェニル、4−ジエチルアミノフェニル、4−(トリフルオロメチル)フェニル、4−メトキシフェニル、4−(ジフルオロメトキシ)フェニル、4−(トリフルオロ−メトキシ)フェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、および3,4−ジクロロフェニルを含み、Rの定義に組み込まれる場合には、以下のR単位、4−フェニルチアゾール−2−イル、3,4−ジメチルフェニルチアゾール−2−イル、4−tert−ブチルフェニルチアゾール−2−イル、4−クロロプロピルフェニルチアゾール−2−イル、4−ジエチルアミノフェニルチアゾール−2−イル、4−(トリフルオロメチル)フェニルチアゾール−2−イル、4−メトキシフェニルチアゾール−2−イル、4−(ジフルオロメトキシ)フェニルチアゾール−2−イル、4−(トリフルオロメトキシ)フェニルチアゾール−2−イル、3−クロロフェニ(chloropheny)、4−クロロフェニルチアゾール−2−イル、および3,4−ジクロロフェニルチアゾール−2−イルが提供される。
【0053】
式(I)化合物のさらに他の例は、Rが、水素、メチル、エチル、n−プロピル、およびiso−プロピルから選択され、かつRがフェニルまたは置換フェニルであるR単位を含む。R単位の第1のカテゴリーの第5の態様に記載されたR単位の非限定例には、4−メチル−5−フェニルチアゾール−2−イルおよび4−エチル−5−フェニルチアゾール−2−イルなどがある。
【0054】
式(I)化合物の別の更なる例は、Rが水素であり、かつRが、1,2,3,4−テトラゾール−1−イル、1,2,3,4−テトラゾール−5−イル、[1,2,3]トリアゾール−4−イル、[1,2,3]トリアゾール−5−イル、[1,2,4]トリアゾール−4−イル、[1,2,4]トリアゾール−5−イル、イミダゾール−2−イル、イミダゾール−4−イル、ピロール−2−イル、ピロール−3−イル、オキサゾール−2−イル、オキサゾール−4−イル、オキサゾール−5−イル、イソオキサゾール−3−イル、イソオキサゾール−4−イル、イソオキサゾール−5−イル、[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル、[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル、[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル、フラン−2−イル、フラン−3−イル、チオフェン−2−イル、チオフェン−3−イル、イソチアゾール−3−イル、イソチアゾール−4−イル、イソチアゾール−5−イル、チアゾール−2−イル、チアゾール−4−イル、チアゾール−5−イル、[1,2,4]チアジアゾール−3−イル、[1,2,4]チアジアゾール−5−イル、および[1,3,4]チアジアゾール−2−イルから選択される置換または非置換のヘテロアリール単位であるR単位を含む。
【0055】
式(I)の化合物の更なる非限定例は、Rが置換または非置換のチオフェン−2−イル、例えば、チオフェン−2−イル、5−クロロチオフェン−2−イル、および5−メチルチオフェン−2−イルであるR単位を含む。
【0056】
式(I)の化合物のさらに別の例は、Rが置換または非置換のチオフェン−3−イル、例えば、チオフェン−3−イル、5−クロロチオフェン−3−イル、および5−メチルチオフェン−3−イルであるR単位を含む。
【0057】
式(I)の化合物の別の例は、RおよびRが一緒になって、5〜7個の原子をもつ飽和または不飽和の環を形成するR単位を含む。R単位の第1のカテゴリーの第6の態様の非限定例には、5,6−ジヒドロ−4H−シクロペンタ[d]チアゾール−2−イルおよび4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[d]チアゾール−2−イルなどがある。
【0058】
式(I)の化合物の更なる例は、次の式を有するチアゾール−4−イル単位であるR単位を含む:
【0059】
【化8】

式中、Rは、
i)水素;
ii)置換または非置換のC〜Cの直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル;
iii)5〜10個の環原子を有する、置換または非置換のフェニル環;または
iv)5〜10個の環原子を有する、置換または非置換のヘテロアリール
から選択される単位である。
【0060】
式(I)の化合物の例は、Rが水素であるR単位を含む。
【0061】
式(I)の化合物の更なる例は、Rがメチル(C)、エチル(C)、n−プロピル(C)、イソ−プロピル(C)、n−ブチル(C)、sec−ブチル(C)、iso−ブチル(C)、およびtert−ブチル(C)から選択された単位であるR単位を含む。この態様のRの非限定例には、2−メチルチアゾール−4−イル、2−エチルチアゾール−4−イル、2−(n−プロピル)チアゾール−4−イル、および2−(iso−プロピル)チアゾール−4−イルなどがある。
【0062】
式(I)の化合物のさらに別の例は、Rが置換または非置換のフェニルであるR単位であって、その非限定例がフェニル、2−フルオロフェニル、2−クロロフェニル、2−メチルフェニル、2−メトキシフェニル、3−フルオロフェニル、3−クロロフェニル、3−メチルフェニル、3−メトキシフェニル、4−フルオロフェニル、4−クロロフェニル、4−メチルフェニル、および4−メトキシフェニルなどであるR単位を含む。
【0063】
式(I)の化合物のさらに別の例は、Rが置換または非置換のヘテロアリールであるR単位であって、その非限定例がチオフェン−2−イル、チオフェン−3−イル、チアゾール−2−イル、チアゾール−4−イル、チアゾール−5−イル、2,5−ジメチルチアゾール−4−イル、2,4−ジメチルチアゾール−5−イル、4−エチルチアゾ−ル−2−イル、オキサゾール−2−イル、オキサゾール−4−イル、オキサゾール−5−イル、および3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イルなどであるR単位を含む。
【0064】
式(I)の化合物の更なる例は、Rが次の式を有する単位であるR単位を含む:
【0065】
【化9】

式中、Rは、C〜Cの置換型もしくは非置換型のアルキル、または置換型もしくは非置換型のフェニルであり、Rの非限定例は、4−クロロベンゼンスルホニルメチルおよびtert−ブチルスルホニルメチルなどである。
【0066】
式(I)の化合物の更なる例は、Rが、置換または非置換のピリジニル、ピラジニル、およびピリミジニルから選択される単位であり、その非限定例がピラジン−2−イルおよび(2−メチル)ピリジン−5−イルである単位であるR単位を含む。
【0067】
単位
単位の一例は、Rが水素である化合物を含む。Rが水素と同等のものである本開示の化合物は次の式:
【0068】
【化10】

を有する。したがって、本カテゴリーの化合物は、第2のキラル中心を含まない。
【0069】
式(I)の化合物の別の例は、第2のキラル中心を有するR単位であって、例えば、次の式:
【0070】
【化11】

および表示された立体化学を有するR単位を含む。開示された化合物は、単一のジアステレオマーまたはその混合物であってもよく、また、配合者によって以下のいずれかの方法で得ることができる:
i)(S),(S)ジアステレオマーおよび(S),(R)ジアステレオマーの混合物として得ることができ、かつ血管新生を制御するための混合物として使用することができ;
ii)血管新生を制御するために使用される前に単一のジアステレオマーに分離される、(S),(S)ジアステレオマーおよび(S),(R)ジアステレオマーの混合物として得ることができ;または
iii)個別の(S),(S)ジアステレオマーまたは(S),(R)ジアステレオマーとして直接調製される、下記でさらに説明される方法で得ることができる。
【0071】
式(I)に記載された化合物の例は、ベンジルであるR単位であって、その非限定例が4−{(S)−2−[(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−(4−エチルチアゾール−2−イル)エチル}フェニルスルファミン酸、4−{(S)−2−(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド−2−(2−フェニルチアゾール−4−イル)}フェニルスルファミン酸、4−{(S)−2−(4−エチルチアゾール−2−イル)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−エチル}フェニルスルファミン酸、および4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパン−アミド]−2−(2−エチルチアゾール−4−イル)エチル}フェニルスルファミン酸、および下記に記載するその他の化合物などであるR単位を含む。
【0072】
式(I)に記載された化合物の別の例は、置換ベンジルであるR単位であって、その非限定例が4−{(S)−2−[(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)−3−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]−2−(4−エチルチアゾール−2−イル)エチル}フェニルスルファミン酸;4−{(S)−2−(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)−3−(4−クロロフェニル)プロパンアミド−2−(2−フェニルチアゾール−4−イル)}フェニルスルファミン酸、および4−{(S)−2−(4−エチルチアゾール−2−イル)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−(4−メチルフェニル)プロパンアミド]−エチル}フェニルスルファミン酸などであるR単位を含む。
【0073】
式(I)に記載された化合物の更なる例は、フェニルであるR単位であって、その非限定例が4−{(S)−2−[(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)−2−フェニルエタンアミド]−2−(4−エチルチアゾール−2−イル)エチル}フェニルスルファミン酸、4−{(S)−2−(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)−2−フェニルエタンアミド−2−(2−フェニルチアゾール−4−イル)}フェニルスルファミン酸、および4−{(S)−2−(4−エチルチアゾール−2−イル)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−2−フェニルエタンアミド]−エチル}フェニルスルファミン酸などであるR単位を含む。
【0074】
式(I)に記載された化合物のさらに別の例は、C〜Cの直鎖状または分岐鎖状のアルキルであるR単位であって、その非限定例が4−{(S)−2−(4−エチルチアゾール−2−イル)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−メチルブタンアミド]−エチル}フェニルスルファミン酸、4−{(S)−2−[(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)−4−メチルペンタンアミド]−2−(4−エチルチアゾール−2−イル)エチル}フェニルスルファミン酸、および4−{(S)−2−(4−エチルチアゾール−2−イル)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−4−メチルペンタン−アミド]エチル}フェニルスルファミン酸、ならびに下記に記載された他の化合物などであるR単位を含む。
【0075】
は、
i)C〜Cの直鎖状または分岐鎖状のアルキル;または
ii)C〜Cの直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ
から選択される単位である。
【0076】
の一例は、以下の式を有するC〜Cの直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ単位を含む:
【0077】
【化12】

式中、Rは、メチル(C)、エチル(C)、n−プロピル(C)、イソ−プロピル(C)、n−ブチル(C)、sec−ブチル(C)、iso−ブチル(C)、tert−ブチル(C)、n−ペンチル(C)、またはn−ヘキシル(C)から選択されるC〜Cの直鎖状または分岐鎖状のアルキル単位である。
【0078】
式(i)に記載された化合物の別の例は、メチル(C)、エチル(C)、n−プロピル(C)、イソ−プロピル(C)、n−ブチル(C)、sec−ブチル(C)、iso−ブチル(C)、tert−ブチル(C)、n−ペンチル(C)、またはn−ヘキシル(C)から選択されるC〜Cの直鎖状または分岐鎖状のアルキルであるR単位を含む。
【0079】
は、水素またはC〜Cの直鎖状または分岐鎖状のアルキルである。
【0080】
の一例は、Rが水素である化合物を含む。
【0081】
の別の例は、Rがメチルである化合物を含む。
【0082】
の更なる例は、Rがエチル(C)、n−プロピル(C)、イソ−プロピル(C)、n−ブチル(C)、sec−ブチル(C)、iso−ブチル(C)、およびtert−ブチル(C)から選択される化合物を含む。
【0083】
式(I)の化合物は、本明細書に明確に例示されていない、式(I)の範囲に含まれる下部分類の化合物を調製するための合成法の別法を説明するという厳密に非限定的な目的で、いくつかのカテゴリーにまとめることができる。このようなカテゴリーへの精神的なまとめ方は、本明細書に記載された物質の化合物または組成物のいずれについても生物学的効果の上昇や低下に関して何ら意味するものはない。
【0084】
本開示のカテゴリーIの第1の態様は、次の式を有する化合物に関する:
【0085】
【化13】

式中、Rは置換または非置換のチアゾール−2−イル単位であり、RおよびRの非限定例、ならびにRにおける立体化学は、表Iにさらに記載されている。
【0086】
【表1】

本開示のカテゴリーIの第1の態様の範囲内に含まれる化合物は、スキームIに概要が示され、本明細書で後述される実施例1に記載された手順によって調製することができる。
【0087】
スキームI
【0088】
【化14】

試薬および条件:(a)(i)(iso−ブチル)OCOCl、NMM、DMF;0℃、20分間。
(ii)NH;0℃で30分間。
【0089】
【化15】

試薬および条件:(b)ラヴェッソン試薬、THF;室温、3時間。
【0090】
【化16】

試薬および条件:(c)CHCN;還流、3時間。
【0091】
【化17】

試薬および条件:(d)Boc−Phe、EDCI、HOBt、DIPEA、DMF;室温、18時間。
【0092】
【化18】

試薬および条件:(e)(i)H:Pd/C、MeOH;(ii)SO−ピリジン、NHOH;室温、2時間。
【実施例】
【0093】
(実施例1)
4−{(S)−2−[(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−(4−エチルチアゾール−2−イル)エチル}フェニルスルファミン酸(5)
[1−(S)−カルバモイル−2−(4−ニトロフェニル)エチル−カルバミン酸tert−ブチルエステル(1)の調製:2−(S)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−(4−ニトロフェニル)−プロピオン酸およびN−メチルモルホリンのDMF(10mL)中における0℃溶液(1.1mL、9.65mmol)にiso−ブチルクロロギ酸エステル(1.25mL、9.65mmol)を一滴ずつ加える。混合物を0℃で20分間撹拌し、その後、NHを0℃にて30分間、反応混合物に通す。反応混合物を濃縮し、残留物をEtOAcに溶解し、5%クエン酸、5%NaHCO、水、および塩水で連続して洗浄し、乾燥させ(NaSOで)、ろ過し、真空下で濃縮して、EtOAc/石油エーテルの混合物で研和された残留物とすると、2.2g(74%)の所望の生成物が白色の固体として提供される。
【0094】
[2−(4−ニトロフェニル)−1−(S)−チオカルバモイルエチル]カルバミン酸tert−ブチルエステル(2)の調製:[1−(S)−カルバモイル−2−(4−ニトロフェニル)エチル−カルバミン酸tert−ブチルエステル(1)のTHF(10mL)溶液(0.400g、1.29mmol)にラヴェッソン試薬(0.262g、0.65mmol)を加える。反応混合物を3時間撹拌し、シリカで精製された残留物に濃縮すると、0.350g(83%)の所望の生成物が得られる。
【0095】
【化19】

1−(S)−(4−エチルチアゾール−2−イル)−2−(4−ニトロフェニル)エチルアミン(3)の調製:CHCN(5mL)中の[2−(4−ニトロフェニル)−1−(S)−チオカルバモイルエチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(2)(0.245g、0.753mmol)、1−ブロモ−2−ブタノン(0.125g、0.828mmol)の混合物を3時間還流する。反応混合物を室温まで冷却して、ジエチルエーテルを溶液に加え、生じた沈殿物をろ過によって取り出す。固体を真空下で乾燥させると、0.242g(収率90%)の所望の生成物が得られる。ESI+MS278(M+1)。
【0096】
{1−[1−(4−エチルチアゾール−2−イル)−2−(4−ニトロフェニル)エチルカルバモイル]−2−フェニルエチル}カルバミン酸tert−ブチルエステル(4)の調製:0℃の、1−(S)−(4−エチルチアゾール−2−イル)−2−(4−ニトロフェニル)エチルアミン臭化水素酸(0.393g、1.1mmol)、(S)−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−フェニルプロピオン酸(0.220g、0.828mmol)、および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)(0.127g、0.828mmol)のDMF(10mL)溶液に、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(EDCI)(0.159g、0.828mmol)を加え、その後、ジイソプロピルアミン(0.204g、1.58mmol)を加える。混合物を0℃で30分間、その後室温で一晩撹拌する。反応混合物を水で希釈してから、EtOAcで抽出する。合わせた有機相を1NのHCl水溶液、5%NaHCO水溶液、水、および塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させる。溶媒を真空下で除去すると、それ以上の精製を行うことなく使用できる0.345gの所望の生成物が提供される。LC/MS ESI+525(M+1)。
【0097】
4−{(S)−2−[(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−(4−エチルチアゾール−2−イル)エチル}フェニルスルファミン酸(5)の調製:{1−[1−(4−エチルチアゾール−2−イル)−2−(4−ニトロフェニル)エチルカルバモイル]−2−フェニルエチル}カルバミン酸tert−ブチルエステル(4)(0.345g)をMeOH(4mL)に溶解する。触媒量のPd/C(10%w/w)を加え、混合物を水素環境下で2時間撹拌する。反応混合物を、セライト(CELITE(商標))床でろ過し、減圧下で溶媒を除去する。粗生成物をピリジン(12mL)に溶解して、SO−ピリジン(0.314g)で処理する。反応物を室温にて5分間撹拌し、その後、NHOHの7%溶液(50mL)を加える。そして、混合物を濃縮し、得られた残留物を逆相クロマトグラフィにより精製すると、0.222gの所望の生成物がアンモニウム塩として提供される。
【0098】
【化20】

本開示の最終化合物は、遊離酸として単離することもできる。この手順の非限定例が、下記の実施例4に記載されている。
【0099】
以下は、本開示のカテゴリーIの第1の態様に包含される化合物の非限定例である。
【0100】
【化21】

4−{(S)−2−[(R)−2−(tert−ブトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−(4−エチルチアゾール−2−イル)エチル}フェニルスルファミン酸:
【0101】
【化22】

{1−[1−(5−エチルチアゾール−2−イル)−(S)−2−(4−スルホアミノフェニル)エチルカルバモイル]−(S)−2−フェニルエチル}メチルカルバミン酸tert−ブチルエステル:
【0102】
【化23】

{1−[1−(5−フェニルチアゾール−2−イル)−(S)−2−(4−スルホアミノフェニル)エチルカルバモイル]−(S)−2−フェニルエチル}メチルカルバミン酸tert−ブチルエステル:
【0103】
【化24】

本開示のカテゴリーIの第2の態様は、以下の式を有する化合物に関する:
【0104】
【化25】

式中、Rは、置換または非置換のチアゾール−4−イル単位であり、RおよびRの非限定例ならびにRにおける立体化学が、表IIにさらに詳しく記載されている。
【0105】
【表2】

本開示のカテゴリーIの第2の態様の範囲内に含まれる化合物は、スキームIIに概要が示され、本明細書で後述される実施例2に記載された手順によって調製することができる。
【0106】
スキームII
【0107】
【化26】

試薬および条件:(a)(i)(iso−ブチル)OCOCl、EtN、THF;0℃、20分間。
(ii)CH;室温で30時間。
【0108】
【化27】

試薬および条件:(b)48%HBr、THF;0℃、1.5時間。
【0109】
【化28】

試薬および条件:(c)(i)チオベンズアミド、CHCN;還流、2時間。
(ii)Boc−Phe、HOBt、DIPEA、DMF;室温、18時間。
【0110】
【化29】

試薬および条件:(d)(i)H:Pd/C、MeOH;(ii)SO−ピリジン、NHOH;室温、12時間。
【0111】
(実施例2)
4−{(S)−2−(S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−フェニルプロパンアミド−2−(2−フェニルチアゾール−4−イル)}フェニルスルファミン酸(9)
(S)−[3−ジアゾ−1−(4−ニトロベンジル)−2−オキソ−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(6)の調製:2−(S)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−(4−ニトロフェニル)−プロピオン酸(1.20g、4.0mmol)の0℃のTHF(20mL)溶液にトリエチルアミン(0.61mL、4.4mmol)を一滴ずつ加え、その後iso−ブチルクロロギ酸エステル(0.57mL、4.4mmol)を加える。反応混合物を0℃で20分間撹拌してからろ過する。ろ液を、ジアゾメタン(約16mmol)のエーテル溶液で0℃にて処理する。反応混合物を室温で3時間撹拌してから、真空下で濃縮する。得られた残留物をEtOAcに溶解し、水および塩水で連続して洗浄し、乾燥させ(NaSO)、ろ過し、濃縮する。残留物をシリカ(ヘキサン/EtOAc 2:1)で精製すると、1.1g(収率82%)の所望の生成物が淡黄色の固体として得られる。
【0112】
【化30】

(S)−tert−ブチル4−ブロモ−1−(4−ニトロフェニル)−3−オキソブタン−2−イルカルバミン酸塩(7)の調製:(S)−[3−ジアゾ−1−(4−ニトロベンジル)−2−オキソ−プロピル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(6)(0.350g、1.04mmol)の0℃のTHF(5mL)溶液に、48%aq.HBr(0.14mL、1.25mmol)を一滴ずつ加える。反応混合物を0℃で1.5時間撹拌してから、飽和NaCOで反応をクエンチする。混合物をEtOAc(3×25mL)で抽出し、複合有機抽出物を塩水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、ろ過し、濃縮して、それ以上の精製を行うことなく次の工程で使用される0.400gの生成物が得られる。
【0113】
【化31】

tert−ブチル(S)−1−(S)−2−(4−ニトロフェニル)−1−(2−フェニルチアゾール−4−イル)エチルアミノ−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イルカルバミン酸塩(8)の調製:チオベンズアミド(0.117g、0.85mmol)と、(S)−tert−ブチル4−ブロモ−1−(4−ニトロフェニル)−3−オキソブタン−2−イルカルバミン酸塩(7)(0.300g、0.77mmol)とのCHCN(4mL)中の混合物を2時間還流する。反応混合物を室温に冷却してからジエチルエーテルを加えて、ろ過によって臭化水素酸塩として単離される中間生成物2−(ニトロフェニル)−(S)−1−(4−フェニルチアゾール−2−イル)エチルアミンを沈殿させる。臭化水素酸塩を、ジイソプロイルエチルアミン(diisoproylethylamine)(0.42mL、2.31mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.118g、0.79mmol)、および(S)−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−フェニルプロピオン酸(0.212g、0.80mmol)とともにDMF(3mL)に溶解させる。混合物を0℃で30分間、その後室温で一晩撹拌する。反応混合物を水で希釈してから、EtOAcで抽出する。合わせた有機相を1NのHCl水溶液、5%NaHCO水溶液、水、および塩水で洗浄し、NaSO上で乾燥させる。溶媒を真空下で除去すると、それ以上の精製を行うことなく使用できる0.395g(収率90%)の所望の生成物が提供される。LC/MS ESI+573(M+1)。
【0114】
4−{(S)−2−(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド−2−(2−フェニルチアゾール−4−イル)}フェニルスルファミン酸(9)の調製:tert−ブチル(S)−1−(S)−2−(4−ニトロフェニル)−1−(2−フェニルチアゾール−4−イル)エチルアミノ−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イルカルバミン酸塩(8)(0.360g)をMeOH(4mL)に溶解する。触媒量のPd/C(10%w/w)を加え、混合物を水素雰囲気下で12時間撹拌する。反応混合物を、セライト(商標)床でろ過し、減圧下で溶媒を除去する。粗生成物をピリジン(12mL)に溶解して、SO−ピリジン(0.296g)で処理する。反応物を室温にて5分間撹拌し、その後、NHOHの7%溶液(10mL)を加える。そして、混合物を濃縮し、得られた残留物を逆相クロマトグラフィにより精製すると、0.050gの所望の生成物がアンモニウム塩として提供される。
【0115】
【化32】

本開示のカテゴリーIIの第1の態様は、以下の式を有する化合物に関する:
【0116】
【化33】

式中、Rは、置換または非置換のチアゾール−2−イル単位であり、RおよびRの非限定例ならびにRにおける立体化学が、表IIIにさらに詳しく記載されている。
【0117】
【表3】

本開示のカテゴリーIIの第1の態様の範囲内に含まれる化合物は、スキームIIIに概要が示され、本明細書で後述される実施例3に記載された手順によって調製することができる。
【0118】
スキームIII
【0119】
【化34】

試薬および条件:(a)(i)4M HCl、ジオキサン、;室温、1時間;
(ii)クロロギ酸メチル、ピリジン、CHCl;0℃から室温、48時間。
【0120】
【化35】

試薬および条件:(b)(i)H:Pd/C、MeOH;(ii)SO−ピリジン、NHOH;室温、4時間。
【0121】
(実施例3)
4−{(S)−2−(4−エチルチアゾール−2−イル)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸(11)
メチル−(S)−1−[(S)−1−(4−エチルチアゾール−2−イル)−2−(4−ニトロフェニル)エチル−アミノ]−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イルカルバミン酸塩(10)の調製:tert−ブチル(S)−1−(S)−2−(4−ニトロ−フェニル)−1−(2−フェニルチアゾール−4−イル)エチルアミノ−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イルカルバミン酸塩(8)(0.460mg、0.881mmol)を、1,4−ジオキサン(4mL)中4Mの塩化水素溶液に溶解させる。反応混合物を1時間撹拌してから、減圧下で溶媒を除去する。得られた粗製アミンをCHCl(8mL)に溶解し、ピリジン(1mL)を加える。温度を0℃に冷却し、クロロギ酸メチル(0.083g、0.881mmol)を一滴ずつ加える。反応混合物を室温になるまで温めてから、2日間撹拌する。水を加え、溶液を15分間撹拌してから、CHClで何度か抽出する。複合有機層を1NのHCl、5%NaHCO、および塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させて、ろ過する。真空下で溶媒を除去すると、0.297gの所望の生成物がもたらされる。
【0122】
4−{(S)−2−(4−エチルチアゾール−2−イル)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸(11)の調製:メチル−(S)−1−[(S)−1−(4−エチル−チアゾール−2−イル)−2−(4−ニトロフェニル)エチル−アミノ]−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イルカルバミン酸塩(10)(0.297g)をMeOH(4mL)に溶解させる。触媒量のPd/C(10%w/w)を加え、混合物を水素環境下で4時間撹拌する。反応混合物を、セライト(商標)床でろ過し、減圧下で溶媒を除去する。粗生成物をピリジン(12mL)に溶解して、SO−ピリジン(0.196g)で処理する。反応物を室温にて5分間撹拌し、その後、NHOHの7%溶液(25mL)を加える。そして、混合物を濃縮し、得られた残留物を逆相クロマトグラフィのシリカにより精製すると、0.172gの所望の生成物がアンモニウム塩として得られる。
【0123】
【化36】

以下は、本開示のカテゴリーIIの第1の態様の非限定例である。
【0124】
【化37】

4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−(チアゾール−2−イル)エチル}フェニルスルファミン酸:
【0125】
【化38】

4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−(4−メチルチアゾール−2−イル)エチル}フェニルスルファミン酸:
【0126】
【化39】

4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−(4−プロピルチアゾール−2−イル)エチル}フェニルスルファミン酸:
【0127】
【化40】

4−{(S)−2−(4−tert−ブチルチアゾール−2−イル)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸:
【0128】
【化41】

4−{(S)−2−(4−シクロプロピルチアゾール−2−イル)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸:
【0129】
【化42】

4−{(S)−2−(4−シクロヘキシルチアゾール−2−イル)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニル−プロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸:
【0130】
【化43】

4−{(S)−2−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニル−プロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸:
【0131】
【化44】

4−{(S)−2−(4−エチル−5−メチルチアゾール−2−イル)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニル−プロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸:
【0132】
【化45】

4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−[4−(2,2,2−トリフルオロエチル)チアゾール−2−イル]エチル}フェニルスルファミン酸:
【0133】
【化46】

4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド)−2−[4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)チアゾール−2−イル]エチル}フェニルスルファミン酸:
【0134】
【化47】

4−{(S)−2−[4−(2,2−ジフルオロシクロプロピル)チアゾール−2−イル]−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸:
【0135】
【化48】

4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−[4−(メトキシ−メチル)チアゾール−2−イル]エチル}フェニルスルファミン酸:
【0136】
【化49】

4−{(S)−2−(4−(エトキシカルボニル)チアゾール−2−イル)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸:
【0137】
【化50】

4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−(5−フェニルチアゾール−2−イル]エチル}フェニルスルファミン酸:
【0138】
【化51】

4−{(S)−2−(4−エチル−5−フェニルチアゾール−2−イル)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸:
【0139】
【化52】

4−{(S)−2−[4−(3,4−ジメチルフェニル)チアゾール−2−イル]−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸:
【0140】
【化53】

4−{(S)−2−[4−(4−クロロフェニル)チアゾール−2−イル]−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸:
【0141】
【化54】

4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−(4−フェニルチアゾール−2−イル)エチル}フェニルスルファミン酸:
【0142】
【化55】

4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−[4−(チオフェン−2−イル)チアゾール−2−イル]エチル}フェニルスルファミン酸:
【0143】
【化56】

4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−[4−チオフェン−3−イル)チアゾール−2−イル]エチル}フェニルスルファミン酸:
【0144】
【化57】

4−{(S)−2−(4−エチルチアゾール−2−イル)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロピオン−アミド]エチル}フェニルスルファミン酸:
【0145】
【化58】

4−{(S)−2−(5,6−ジヒドロ−4H−シクロペンタ[d]チアゾール−2−イル)−2−[(S)−2−(メトキシ−カルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸:
【0146】
【化59】

4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−(4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[d]チアゾール−2−イル)エチル}フェニルスルファミン酸:
【0147】
【化60】

4−{(S)−2−[4−(5−クロロチオフェン−2−イル)チアゾール−2−イル]−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸:
【0148】
【化61】

カテゴリーIIの第1の態様のさらに繰り返しは、Rが−OCHCH(エトキシ)を含む化合物に関係し、以下は、その非限定例である。
【0149】
【化62】

4−{(S)−2−[(S)−2−(エトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−(4−エチルチアゾール−2−イル)エチル}フェニルスルファミン酸:
【0150】
【化63】

本開示のカテゴリーIIの第2の態様は、以下の式を有する化合物に関する:
【0151】
【化64】

式中、Rは、置換または非置換のチアゾール−4イル単位であり、RおよびRの非限定例ならびにRにおける立体化学が、表IVにさらに詳しく記載されている。
【0152】
【表4】

本開示のカテゴリーIIの第2の態様の範囲内に含まれる化合物は、スキームIVに概要が示され、本明細書で後述される実施例4に記載された手順によって調製することができる。
【0153】
スキームIV
【0154】
【化65】

試薬および条件:(a)(i)プロパンチオアミド、CHCN;還流、2時間。
(ii)Boc−Phe、HOBt、DIPEA、DMF;室温、18時間。
【0155】
【化66】

試薬および条件:(b)(i)H:Pd/C、MeOH;(ii)SO−ピリジン、NHOH;室温、18時間。
【0156】
(実施例4)
4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェ二ルプロパンアミド]−2−(2−エチルチアゾール−4−イル)エチル}フェニルスルファミン酸(13)
(S)−1−[(S)−1−(2−エチルチアゾール−4−イル)−2−(4−ニトロフェニル)−エチル]アミノ−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イルカルバミン酸塩(12)の調製:CHCN(4mL)中のプロパンチオアミド(69mg、0.78mmol)と(S)−tert−ブチル4−ブロモ−1−(4−ニトロフェニル)−3−オキソブタン−2−イルカルバミン酸塩(7)(0.300g、0.77mmol)との混合物を2時間還流する。反応混合物を室温まで冷却し、ジメチルエーテルを加えて、ろ過によって臭化水素酸塩として単離される中間生成物の2−(ニトロフェニル)−(S)−1−(4−エチルチアゾール−2−イル)エチルアミンを沈殿させる。臭化水素酸塩を、ジイソプロピルエチルアミン(0.38mL、2.13mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(107mg、0.71mmol)、および(S)−(2−メトキシカルボニル−アミノ)−3−フェニルプロピオン酸(175mg、0.78mmol)とともにDMF(8mL)に溶解した。混合物を0℃で30分間撹拌した後、室温で一晩撹拌する。反応混合物を水で希釈して、EtOAcで抽出する。合わせた有機相を1NのHCl水溶液、5%NaHCO水溶液、水、および塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させる。溶媒を真空下で除去すると、それ以上の精製を行うことなく使用できる0.300g(収率81%)の所望の生成物が提供される。LC/MS ESI+MS483(M+1)。
【0157】
4−((S)−2−((S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェ二ルプロパンアミド)−2−(2−エチルチアゾール−4−イル)エチル)フェニルスルファミン酸アンモニウム塩(13)の調製:tert−ブチル(S)−1−(S)−2−(4−ニトロフェニル)−1−(2−エチルチアゾール−4−イル)エチルアミノ−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イルカルバミン酸塩(12)(0.300g)をMeOH(4mL)に溶解させる。触媒量のPd/C(10%w/w)を加え、混合物を水素雰囲気下で18時間撹拌する。反応混合物を、セライト(商標)床でろ過し、減圧下で溶媒を除去する。粗生成物をピリジン(12mL)に溶解して、SO−ピリジン(223mg、1.40mmol)で処理する。反応物を室温にて5分間撹拌し、その後、NHOHの7%溶液(12mL)を加える。そして、混合物を濃縮し、得られた残留物を逆相クロマトグラフィにより精製すると、25mgの所望の生成物がアンモニウム塩として提供される。
【0158】
【化67】

本開示の方法の再度の繰り返しは、以下に説明する手順を採用することにより、化合物13、および本開示物を含む別の類縁体を遊離酸として単離することができる。
【0159】
【化68】

試薬および条件:(a)H:Pd/C、MeOH;室温、40時間
【0160】
【化69】

試薬および条件:(b)SO−ピリジン、CHCN;加熱、45分間。
【0161】
(実施例4a)
4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェ二ルプロパンアミド]−2−(2−エチルチアゾール−4−イル)エチル}フェニルスルファミン酸[遊離酸型](13)
{1−[2−(S)−(4−(S)−アミノフェニル)−1−(2−エチルチアゾール−4−イル)エチル−カルバモイル]−2−フェニルエチル}−カルバミン酸メチルエステル(12a)の調製:パー(Parr)水素添加用容器に、tert−ブチル(S)−1−(S)−2−(4−ニトロフェニル)−1−(2−エチルチアゾール−4−イル)エチルアミノ−1−オキソ−3−フェニルプロパン−2−イルカルバミン酸塩(12)(18.05g、37.4mmol、1.0eq)およびPd/C(パラジウム炭素10%、50%湿潤、デグッサ(Degussa)タイプのE101 NE/W、2.68g、15wt%)を固体のまま充填した。MeOH(270mL、15mL/g)を加えて懸濁液にする。容器をパー水素添加装置に置き、N(3×20psi)による充填/真空排気処理を行って不活性化し、その後H(3×40psi)によって同じ処理を行う。容器にHを充填し、40psiのH下で約40時間振とうする。この容器を排気して、N(5×20psi)で雰囲気をパージする。等量液をろ過し、HPLCによって解析して完全に転換したことを確認する。懸濁液をセライトパッドでろ過して触媒を除去し、均一な黄色のろ液を回転蒸発によって濃縮すると、16.06g(収率95%)の所望の生成物が固体として得られ、それ以上の精製を行うことなく使用される。
【0162】
4−((S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェ二ルプロパンアミド]−2−(2−エチルチアゾール−4−イル)エチル)フェニルスルファミン酸(13)の調製:100mLのRBFに、上記の工程で調製した{1−[2−(S)−(4−(S)−アミノフェニル)−1−(2−エチルチアゾール−4−イル)エチル−カルバモイル]−2−フェニルエチル}−カルバミン酸メチルエステル(12a)(10.36g、22.9mmol、1.0eq)を充填する。アセトニトリル(50mL、5mL/g)を加え、黄色の懸濁液を室温で撹拌する。別の500mLの三つ首RBFに、SO・pyr(5.13g、32.2mmol、1.4eq)およびアセトニトリル(50mL、5mL/g)を充填して、白色の懸濁液を室温にて撹拌する。どちらの懸濁液も、{1−[2−(S)−(4−(S)−アミノフェニル)−1−(2−エチルチアゾール−4−イル)エチル−カルバモイル]−2−フェニルエチル}−カルバミン酸メチルエステルを含む反応溶液が赤橙色になるまでゆっくりと加熱する(本例では、通常約44℃)。基質含有溶液の一部を、35℃で撹拌中のSO・pyrの懸濁液中に注ぎ込む。得られた不透明な混合物(39℃)は、ゆっくりと室温に冷却する間激しく撹拌する。45分間撹拌した後、HPLCによって反応が完了したことを判定する。橙色の懸濁液にHO(200mL、20mL/g)を加えて、pHが約2.4の橙黄色の均一溶液を得る。濃縮されたHPOをゆっくりと12分間かけて加え、pHを約1.4に下げる。このpH調整の過程で、オフホワイトの沈殿が形成されるので、溶液を室温にて1時間撹拌する。懸濁液をろ過し、ろ過ケーキをろ液で洗浄する。ろ過ケーキをろ紙上で一晩風乾すると、10.89g(収率89%)の所望の生成物が黄褐色の固体として得られる。
【0163】
以下は、本開示のカテゴリーIIの第2の態様の更なる非限定例である。
【0164】
【化70】

4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−(2−メチルチアゾール−4−イル)エチル}フェニルスルファミン酸:
【0165】
【化71】

4−{(S)−2−(2−エチルチアゾール−4−イル)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸:
【0166】
【化72】

4−{(S)−2−(2−イソプロピルチアゾール−4−イル)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸:
【0167】
【化73】

4−{(S)−2−(2−シクロプロピルチアゾール−4−イル)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸:
【0168】
【化74】

4−{(S)−2−{2−[(4−クロロフェニルスルホニル)メチル]チアゾール−4−イル}−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸:
【0169】
【化75】

4−{(S)−2−[2−(tert−ブチルスルホニルメチル)チアゾール−4−イル}−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸:
【0170】
【化76】

4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−(2−フェニルチアゾール−4−イル)エチル}フェニルスルファミン酸:
【0171】
【化77】

4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−[2−(チオフェン−2−イル)チアゾール−4−イル]エチル}フェニルスルファミン酸:
【0172】
【化78】

4−{(S)−2−[2−(3−クロロチオフェン−2−イル)チアゾール−4−イル]−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸:
【0173】
【化79】

4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−[2−(3−メチルチオフェン−2−イル)チアゾール−4−イル]エチル}フェニルスルファミン酸:
【0174】
【化80】

4−{[(S)−2−[2−(フラン−2−イル)チアゾール−4−イル]−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸:
【0175】
【化81】

4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−[2−(2−メチルチアゾール−4−イル)チアゾール−4−イル]エチル}フェニルスルファミン酸:
【0176】
【化82】

4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−(2−ピラジン−2−イル)チアゾール−4−イル}フェニルスルファミン酸:
【0177】
【化83】

4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−[2−(6−メチルピリジン−3−イル)チアゾール−4−イル]エチル}フェニルスルファミン酸:
【0178】
【化84】

本開示のカテゴリーIIIは、以下の式を有する化合物に関する:
【0179】
【化85】

式中、Rは、置換または非置換のチアゾール−2−イル単位であり、RおよびRの非限定例ならびにRにおける立体化学が、表Vにさらに詳しく記載されている。
【0180】
【表5】

本開示のカテゴリーIIIの範囲内に含まれる化合物は、スキームVに概要が示され、本明細書で後述される実施例5に記載された手順によって調製することができる。
【0181】
スキームV
【0182】
【化86】

試薬および条件:Ac−Phe、EDCI、HOBt、DIPEA、DMF;室温、18時間。
【0183】
【化87】

試薬および条件:(b)(i)H:Pd/C、MeOH;(ii)SO−ピリジン、NHOH。
【0184】
(実施例5)
4−[(S)−2−((S)−2−アセトアミド−3−フェニルプロパンアミド)−2−(4−エチルチアゾール−2−イル)エチル]フェニルスルファミン酸(15)
(S)−2−アセトアミド−N−[(S)−1−(4−エチルチアゾール−2−イル)−2−(4−ニトロフェニル)エチル]−3−フェニルプロパンアミド(14)の調製:1−(S)−(4−エチルチアゾール−2−イル)−2−(4−ニトロフェニル)エチルアミン臭化水素酸(3)(0.343g、0.957mmol)、N−アセチル−L−フェニルアラニン(0.218g)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)(0.161g)、およびジイソプロピル−エチルアミン(0.26g)の0℃のDMF(10mL)溶液に1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(EDCI)(0.201g)を加える。混合物を0℃で30分間、その後室温で一晩撹拌する。反応混合物を水で希釈して、EtOAcで抽出する。合わせた有機相を1NのHCl水溶液、5%NaHCO水溶液、水、および塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させる。溶媒を真空下で除去すると、更なる精製を行うことなく使用できる0.313g(収率70%)の所望の生成物が提供される。LC/MS ESI+467(M+1)。
【0185】
4−((S)−2−((S)−2−アセトアミド−3−フェニルプロパンアミド)−2−(4−エチルチアゾール−2−イル)エチル)フェニルスルファミン酸(15)の調製:(S)−2−アセトアミド−N−[(S)−1−(4−エチルチアゾール−2−イル)−2−(4−ニトロフェニル)エチル]−3−フェニルプロパンアミド(14)(0.313g)をMeOH(4mL)に溶解する。触媒量のPd/C(10%w/w)を加え、混合物を水素雰囲気下で2時間撹拌する。反応混合物を、セライト(商標)床でろ過し、減圧下で溶媒を除去する。粗生成物をピリジン(12mL)に溶解して、SO−ピリジン(0.320g)で処理する。反応物を室温にて5分間撹拌し、その後、NHOHの7%溶液(30mL)を加える。そして、混合物を濃縮し、得られた残留物を逆相クロマトグラフィにより精製すると、0.215gの所望の生成物がアンモニウム塩として得られる。
【0186】
【化88】

以下は、本開示のカテゴリーIIIに包含される化合物の非限定例である。
【0187】
【化89】

4−[(S)−2−((S)−2−アセトアミド−3−フェニルプロパンアミド)−2−(4−tert−ブチルチアゾール−2−イル)エチル]フェニルスルファミン酸:
【0188】
【化90】

4−[(S)−2−((S)−2−アセトアミド−3−フェニルプロパンアミド)−2−[4−(チオフェン−3−イル)チアゾール−2−イル)エチル]フェニルスルファミン酸:
【0189】
【化91】

本開示のカテゴリーIVの第1の態様は、以下の式を有する化合物に関する:
【0190】
【化92】

式中、Rは、置換または非置換のチオフェン−2−イル単位であり、RおよびRの非限定例ならびにRにおける立体化学が、表VIにさらに詳しく記載されている。
【0191】
【表6】

本開示のカテゴリーIIIの範囲内に含まれる化合物は、スキームVに概要が示され、本明細書で後述される実施例5に記載された手順によって調製することができる。
【0192】
スキームVI
【0193】
【化93】

試薬および条件:Boc−Val;EDCI、HOBt、DIPEA、DMF;室温、18時間。
【0194】
【化94】

試薬および条件:(b)(i)H:Pd/C、MeOH;(ii)SO−ピリジン、NHOH、室温、2時間。
【0195】
(実施例6)
4−{(S)−2−[(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)−3−メチルブタンアミド]−2−(4−エチルチアゾール−2−イル)エチル]フェニルスルファミン酸(17)
{1−[1−(4−エチルチアゾール−2−イル)−2−(4−ニトロフェニル)エチルカルバモイル]−2−メチルプロピル}カルバミン酸tert−ブチルエステル(16)の調製:1−(S)−(4−エチルチアゾール−2−イル)−2−(4−ニトロフェニル)エチルアミン臭化水素酸(3)(0.200g、0.558mmol)、(S)−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−メチル酪酸(0.133g)、および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)(0.094g)の0℃のDMF(5mL)溶液に1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(EDCI)(0.118g)を加え、その後、ジイソプロピルアミン(0.151g)を加える。混合物を0℃で30分間撹拌し、その後室温で一晩撹拌する。反応混合物を水で希釈して、EtOAcで抽出する。合わせた有機相を1NのHCl水溶液、5%NaHCO水溶液、水、および塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させる。溶媒を真空下で除去すると、更なる精製を行うことなく使用できる0.219g(収率82%)の所望の生成物が提供される。LC/MS ESI+477(M+1)。
【0196】
4−{(S)−2−[(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)−3−メチルブタンアミド]−2−(4−エチルチアゾール−2−イル)エチル}フェニルスルファミン酸(17)の調製:{1−[1−(4−エチルチアゾール−2−イル)−2−(4−ニトロフェニル)エチルカルバモイル]−2−メチルプロピル}カルバミン酸tert−ブチルエステル(16)(0.219g)をMeOH(4mL)に溶解する。触媒量のPd/C(10%w/w)を加え、混合物を水素環境下で2時間撹拌する。反応混合物を、セライト(商標)床でろ過し、減圧下で溶媒を除去する。粗生成物をピリジン(12mL)に溶解して、SO−ピリジン(0.146g)で処理する。反応物を室温にて5分間撹拌し、その後、NHOHの7%溶液(30mL)を加える。そして、混合物を濃縮し、得られた残留物を逆相クロマトグラフィにより精製すると、0.148gの所望の生成物がアンモニウム塩として得られる。
【0197】
【化95】

以下は、本開示のカテゴリーIVの第2の態様の更なる非限定例である。
【0198】
【化96】

(S−4−{2−[2−(tert−ブトキシカルボニル)アセトアミド]−2−(4−エチルチアゾール−2−イル)エチル}フェニルスルファミン酸:
【0199】
【化97】

(S)−4−{2−(4−エチルチアゾール−2−イル)−2−[2−(メトキシカルボニル)アセトアミド]エチル}フェニルスルファミン酸:
【0200】
【化98】

(S)−4−{2−(4−エチルチアゾール−2−イル)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−メチルブタンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸:
【0201】
【化99】

4−{(S)−2−[(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)−4−メチルペンタンアミド]−2−(4−エチルチアゾール−2−イル)エチル}フェニルスルファミン酸:
【0202】
【化100】

4−{(S)−2−(4−エチルチアゾール−2−イル)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−4−メチルペンタンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸:
【0203】
【化101】

4−((S)−2−(4−エチルチアゾール−2−イル)−2−{(S)−2−[2−(メトキシカルボニル)アセトアミド]−3−フェニルプロパンアミド}エチル}フェニルスルファミン酸:
【0204】
【化102】

4−{(S)−2−[(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)−4−メチルペンタンアミド]−2−[2−(チオフェン−2−イル)チアゾール−4−イル]エチル}フェニルスルファミン酸:
【0205】
【化103】

4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−4−メチルペンタンアミド]−2−[2−(チオフェン−2−イル)チアゾール−4−イル]エチル}フェニルスルファミン酸:
【0206】
【化104】

(S)−4−{2−[2−(tert−ブトキシカルボニル)アセトアミド]−2−(4−エチルチアゾール−2−イル)エチル}フェニルスルファミン酸:
【0207】
【化105】

本開示のカテゴリーIVは、以下の式を有する化合物に関する:
【0208】
【化106】

式中、Rは、置換または非置換のチオフェン−2−イル単位またはチオフェン−4−イル単位であり、Rの非限定例が表VIIにさらに記載されている。
【0209】
【表7−1】

【0210】
【表7−2】

【0211】
【表7−3】

【0212】
【表7−4】

本開示のカテゴリーIVの範囲内に含まれる化合物は、スキームVIに概要が示され、本明細書で後述される実施例7に記載された手順によって調製することができる。
【0213】
スキームVI
【0214】
【化107】

試薬および条件:(a)(i)CHCN;還流、1.5時間。
(ii)BocO、ピリジン、CHCl;室温、2時間。
【0215】
【化108】

試薬および条件:(b)(i)H:Pd/C、MeOH;還流
(ii)SO−ピリジン、NHOH;室温、12時間。
【0216】
(実施例7)
[1−(S)−(フェニルチアゾール−2−イル)−2−(4−スルホアミノフェニル)エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(19)
[2−(4−ニトロフェニル)−1−(S)−(4−フェニルチアゾール−2−イル)エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(18)の調製:CHCN(5mL)中の[2−(4−ニトロフェニル)−1−(S)−チオカルバモイルエチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(2)(0.343g、1.05mmol)、2−ブロモ−アセトフェノン(0.231g、1.15mmol)の混合物を1.5時間還流する。溶媒を減圧下で除去して、残留物をCHClに再溶解した後、ピリジン(0.24mL、3.0mmol)およびBOCO(0.24mL、1.1mmol)を加える。反応物を2時間撹拌し、溶液にジエチルエーテルを加え、生じた沈殿物をろ過によって除去する。有機層を乾燥させ(NaSO)、ろ過し、シリカ上で精製される残留物に濃縮すると、0.176g(39%)の所望の生成物ESI+MS 426(M+1)が得られる。
【0217】
[1−(S)−(フェニルチアゾール−2−イル)−2−(4−スルホアミノフェニル)エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(19)の調製:[2−(4−ニトロフェニル)−1−(S)−(4−フェニルチアゾール−2−イル)エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(18)(0.176g、0.41mmol)をMeOH(4mL)に溶解する。触媒量のPd/C(10%w/w)を加え、混合物を水素環境下で12時間撹拌する。反応混合物を、セライト(商標)床でろ過し、減圧下で溶媒を除去する。粗生成物をピリジン(12mL)に溶解して、SO−ピリジン(0.195g、1.23mmol)で処理する。反応物を室温にて5分間撹拌し、その後、NHOHの7%溶液(10mL)を加える。そして、混合物を濃縮し、得られた残留物を逆相クロマトグラフィにより精製すると、0.080gの所望の生成物がアンモニウム塩として得られる。
【0218】
【化109】

以下は、本開示のカテゴリーIVの第2の態様の更なる非限定例である。
【0219】
【化110】

(S)−4−(2−(4−メチルチアゾール−2−イル)−2−ピバルアミドエチル)フェニルスルファミン酸:
【0220】
【化111】

(S)−4−(2−(4−エチルチアゾール−2−イル)−2−ピバルアミドエチル)フェニルスルファミン酸:
【0221】
【化112】

(S)−N−(1−(4−ヒドロキシメチル)チアゾール−2−イル)−2−ピバルアミドエチル)フェニルスルファミン酸:
【0222】
【化113】

(S)−4−(2−(4−エトキシカルボニル)チアゾール−2−イル)−2−ピバルアミドエチル)フェニルスルファミン酸:
【0223】
【化114】

(S)−4−(2−(4−フェニルチアゾール−2−イル)−2−ピバルアミドエチル)フェニルスルファミン酸:
【0224】
【化115】

4−((S)−2−(4−(3−メトキシフェニル)チアゾール−2−イル)−2−ピバルアミドエチル)フェニルスルファミン酸:
【0225】
【化116】

4−((S)−2−(4−(3−メトキシフェニル)チアゾール−2−イル)−2−ピバルアミドエチル)フェニルスルファミン酸:
【0226】
【化117】

4−((S)−2−(4−(2,4−ジメトキシフェニル)チアゾール−2−イル)−2−ピバルアミドエチル)フェニルスルファミン酸:
【0227】
【化118】

(S)−4−(2−(4−ベンジルチアゾール−2−イル)−2−ピバルアミドエチル)フェニルスルファミン酸:
【0228】
【化119】

(S)−4−(2−ピバルアミド−2−(4−(チオフェン−2−イルメチル)チアゾール−2−イル)エチル)フェニルスルファミン酸:
【0229】
【化120】

(S)−4−(2−(4−(3−メトキシベンジル)チアゾール−2−イル)−2−ピバルアミドエチル)フェニルスルファミン酸:
【0230】
【化121】

4−((S)−2−(4−(2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン−6−イル)チアゾール−2−イル)−2−ピバルアミドエチル)フェニルスルファミン酸:
【0231】
【化122】

(S)−4−(2−(5−メチル−4−フェニルチアゾール−2−イル)−2−ピバルアミドエチル)フェニルスルファミン酸:
【0232】
【化123】

(S)−4−(2−(4−(ビフェン(Biphen)−4−イル)チアゾール−2−イル)−2−ピバルアミドエチル)フェニルスルファミン酸:
【0233】
【化124】

(S)−4−(2−tert−ブトキシカルボニル−2−(2−メチルチアゾール−4−イル)−フェニルスルファミン酸:
【0234】
【化125】

(S)−4−(2−tert−ブトキシカルボニル)−2−(4−プロピルチアゾール−2−イル)エチル)−フェニルスルファミン酸:
【0235】
【化126】

(S)−4−(2−(tert−ブトキシカルボニル)−2−(4−2−tert−ブチルチアゾール−2−イル)エチル)−フェニルスルファミン酸:
【0236】
【化127】

(S)−4−(2−(tert−ブトキシカルボニル)−2−(4−(メトキシメチル)チアゾール−2−イル)エチル)−フェニルスルファミン酸:
【0237】
【化128】

(S)−4−(2−(tert−ブトキシカルボニル)−2−(4−(2−ヒドロキシメチル)チアゾール−2−イル)エチル)−フェニルスルファミン酸:
【0238】
【化129】

(S)−4−(2−(tert−ブトキシカルボニル)−2−(4−(2−エトキシ−2−オキソエチル)チアゾール−2−イル)エチル)−フェニルスルファミン酸:
【0239】
【化130】

(S)−4−(2−(tert−ブトキシカルボニル)−2−(4−(2−(2−メトキシ−2−オキソエチルアミノ)−2−オキソエチル)チアゾール−2−イル)エチル)−フェニルスルファミン酸:
【0240】
【化131】

(S)−4−(2−(S)−4−(2−(tert−ブトキシカルボニル)−2−(2−ピバルアミドチアゾール4−イル)エチル)−フェニルスルファミン酸:
【0241】
【化132】

(S)−4−(2−(tert−ブトキシカルボニル)−2−(5−フェニルチアゾール−2−イル)エチル)−フェニルスルファミン酸:
【0242】
【化133】

4−((S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)−2−(4−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)チアゾール−2−イル)エチル)−フェニルスルファミン酸:
【0243】
【化134】

(S)−4−(2−(tert−ブトキシカルボニル)−2−(5−フェニルチアゾール−2−イル)エチル)−フェニルスルファミン酸:
【0244】
【化135】

(S)−{4−[2,2−ジメチル−プロピオニルアミノ)−2−(2−フェニル−チアゾール−4−イル)エチル]−フェニル}スルファミン酸:
【0245】
【化136】

(S)−4−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミド)−2−(4−フェニル)−2−(4−フェニルチアゾール−2−イル)エチル)−フェニルスルファミン酸:
【0246】
【化137】

(S,S)−2−(2−{2−[2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−(4−スルホアミノフェニル)エチル]チアゾール−4−イル}アセチルアミド)−3−フェニルプロピオン酸メチルエステル:
【0247】
【化138】

(S)−[1−{1−オキソ−4−[2−(1−フェニル−1H−テトラゾール−5−スルホニル)エチル]−1H−1λ−チアゾール−2−イル}−2−(4−スルフアミノ−フェニル)−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル:
【0248】
【化139】

4−((S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−2−(4−(チオフェン−3−イル)チアゾール−2−イル)エチル)フェニルスルファミン酸:
【0249】
【化140】

(S)−4−(2−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イルアミノ)−2−(tert−ブトキシカルボニル)エチル)フェニルスルファミン酸:
【0250】
【化141】

(S)−4−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ)−2−(2−メチルチアゾール−4−イル)−フェニルスルファミン酸:
【0251】
【化142】

HPTP−βの制御は、アンジオポエチン受容体型チロシンキナーゼTie−2の活性を調節する手段をもたらし、それによって、血管新生が人体によって不適切に制御される病状を調節する。本開示の化合物は、血管新生の制御をもたらす手段として役立つ。そのため、本開示はいくつかの未達成の医療ニーズ、とりわけ;
1)ヒトプロテインチロシンホスファターゼβ(HPTP−β)阻害剤として有効な組成物を提供し;それによって、血管新生が増加する障害において血管新生を制御する手段を提供すること;
2)ヒトプロテインチロシンホスファターゼβ(HPTP−β)阻害剤として有効な組成物を提供し;それによって、障害において血管新生を制御する方法を提供すること;および
3)ヒトプロテインチロシンホスファターゼβ(HPTP−β)阻害剤として有効な組成物を提供し;それによって、血管新生が低下する障害において血管新生を制御する手段を提供すること
に取り組んでいる。
【0252】
本開示の目的では、「制御する」という用語は、辞書で採択されている意味と同様に定義される。したがって、「制御する」という用語の意味には、さまざまな手段によって上方制御または下方制御する、固定する、秩序もしくは均一性をもたらす、管理する、または指示する、などがあるが、これらに限定されない。一態様では、抗体を、「血管新生増加障害」または「血管新生低下障害」を治療する方法において使用することができる。本明細書において、「血管新生増加障害」とは、病気、障害、および/または症状の生物学的兆候において;障害をもたらす生物学的カスケードにおいて;または障害の症状として、不要であるか増加した血管新生を伴う障害である。同様に、「血管新生低下障害」とは、生物学的兆候において、不要であるか低下した血管新生を伴う障害である。血管新生増加/低下障害において、このような血管新生を「伴う」ということには以下のものが含まれるが、それらに限定されない:
1.血管新生量が、遺伝的に、感染によって、自己免疫、外傷、生化学的原因、生活様式、またはその他の何らかの原因によって増加するか、または低下する、障害または生物学的兆候の「原因」としての血管新生。
2.病気または疾患の観察可能な兆候の一部としての血管新生。すなわち、病気もしくは疾患が、血管新生の増加または低下について測定可能である。臨床的見地からは、血管新生は病気を示すが、ただし、血管新生が、病気または障害の「顕著な特徴」である必要はない。
3.血管新生が、病気もしくは障害を引き起こす生化学カスケードまたは細胞カスケードの一部である。この点について、血管新生を制御することによってカスケードを妨げる場合があり、病気を調節する場合がある。本開示によって治療することができる血管新生制御型障害の非限定例は本明細書において後述される。
【0253】
製剤
本開示は、本開示に記載されたKv1.5カリウムチャネル阻害剤を含む組成物または製剤にも関する。一般的に、本開示の組成物は:
a)ヒトプロテインチロシンホスファターゼβ(HPTP−β)阻害剤をして有効な、本開示に記載された1つ以上の有効量のフェニルスルファミン酸およびその塩;ならびに
b)1つ以上の賦形剤
を含む。
【0254】
本開示の目的では、「賦形剤」および「担体」という用語は、本開示の説明全体を通じて互換的に使用されており、該用語は、本開示では「安全かつ有効な薬学的組成物の処方を実施するのに利用される成分」と定義される。
【0255】
処方者は、賦形剤が、主として、安全で安定的かつ機能性の薬剤を送達するのに役立つように利用されるが、送達用の媒体全体の一部として役立つだけではなく、活性成分の服用者による有効な吸収をもたらす手段としても役立つことを理解できるはずである。賦形剤は、単純かつ直接的に不活性充填剤としての役割を果たすだけでもよいし、本明細書で使用されるような賦形剤は、成分が安全に胃まで送達されるのを保証するpH安定化システムまたはコーティングの一部であってもよい。また、処方者は、本開示の化合物が、改善された細胞作用(cellular potency)、薬物動態学的特性、および改善された経口生体利用能を有するという事実を活用することもできる。
【0256】
本開示に記載された組成物の非限定例は以下を含む:
a)約0.001mg〜約1000mgの本開示による1種以上のフェニルスルファミン酸;および
b)1つ以上の賦形剤。
【0257】
本開示による別の実施形態は、以下の組成物に関する:
a)約0.01mg〜約100mgの本開示による1種以上のフェニルスルファミン酸;および
b)1つ以上の賦形剤。
【0258】
本開示による更なる実施形態は、以下の組成物に関する:
a)約0.1mg〜約10mgの本開示による1種以上のフェニルスルファミン酸;および
b)1つ以上の賦形剤。
【0259】
本明細書における「有効量」という用語は、「所望の結果または治療結果を達成するのに必要な投薬量および期間において有効な、1種類以上のフェニルスルファミン酸の量」を意味する。有効量は、当技術分野で既知の因子、例えば、治療対象のヒトまたは動物の病状、年齢、性別、および体重などに応じて変動してよい。特定の投与レジメンが本明細書の実施例に記載されうるが、当業者は、最適な治療応答を与えるために投与レジメンを変えることができることを理解する。したがって、正確な「有効量」を特定することは不可能である。例えば、数回分に分割した用量を毎日投与することもできるし、あるいは、治療状況の危急度によって指示されるように投薬量を比例的に減らすこともできる。さらに、本開示の組成物は、治療量を達成するのに必要な頻度で投与することも可能である。
【0260】
使用法
本開示は、開示された1つ以上の化合物をヒトに投与することを含む、ヒトにおいて血管新生を制御する方法に関する。
【0261】
開示された方法の一例には、被験体の血管新生制御型障害を治療する方法であって、血管新生制御型障害が血管新生増加障害であり、かつ該障害が糖尿病性網膜症、黄斑変性症、癌、鎌状赤血球貧血、サルコイド、梅毒、弾性線維性仮性黄色腫、パジェット病、静脈閉塞、動脈閉塞、頸動脈閉塞性疾患、慢性ブドウ膜炎/硝子体炎、マイコバクテリア感染症、ライム病、全身性エリテマトーデス、未熟児網膜症、イールズ病、ベーチェット病、網膜炎または脈絡膜炎を引き起こす感染症、推定眼ヒストプラスマ症、ベスト病、近視、視窩(optic pit)、シュタルガルト病、毛様体扁平部炎(pars planitis)、慢性網膜剥離、過粘稠度症候群、トキソプラズマ症、外傷およびレーザー処理後の合併症、ルベオーシス関連疾患、ならびに増殖性硝子体網膜症から選択される方法が含まれる。
【0262】
開示された方法の別の例には、被験体における血管新生制御型障害を治療する方法であって、血管新生制御型障害が血管新生増加障害であり、かつ該障害が、クローン病および潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患、乾癬、サルコイドーシス、関節リウマチ、血管腫、オスラー−ウェーバー−ランジュ病、または遺伝性出血性毛細管拡張症、固形腫瘍もしくは血液媒介性腫瘍、ならびに後天性免疫不全症候群から選択される方法が含まれる。
【0263】
開示された方法の更なる例には、被験体における血管新生制御型障害を治療する方法であって、血管新生制御型障害が血管新生低下障害であり、骨格筋および心筋虚血、脳卒中、冠動脈疾患、末梢血管疾患、冠動脈疾患から選択される方法が含まれる。
【0264】
開示された方法のさらに別の例には、虚血組織に血管を形成させる方法がある。本明細書において「虚血組織」は、十分な血流を与えられない組織を意味する。虚血組織の例には、心筋梗塞および大脳梗塞、腸間膜虚血、もしくは肢虚血の結果、または血管閉塞もしくは血管狭窄の結果十分な血液供給を受けられない組織が含まれるが、これらに限定されない。一例では、酸素を豊富に含んだ血液の供給の中断は、血管閉塞によってもたらされる場合がある。このような血管閉塞は、動脈硬化症、外傷、外科手術、病気、および/または他の病因によってもたらされる場合がある。また、本開示の治療法の範囲には、骨格筋および心筋の虚血、脳卒中、冠動脈疾患、末梢血管疾患、冠状動脈疾患も含まれる。
【0265】
開示された方法のさらに別の例には、組織を修復する方法が含まれる。本明細書において「組織を修復する」とは、創傷修復または組織工学など、組織の修復、再生、増殖、および/または維持を促進することを意味する。当業者は、新たな血管形成が組織修復に必要なことを理解している。すなわち、組織は、関節炎、骨粗鬆症、および他の骨障害を含む外傷性の障害もしくは症状、ならびに火傷などによって損傷を受ける場合がある。また、組織は外科手術、照射、裂傷、有毒な化学物質、ウイルス感染もしくは細菌感染、または火傷によって損傷を受ける場合もある。修復を必要とする組織には、非治癒性創傷も含まれる。非治癒性創傷の例には、糖尿病性病変に起因する非治癒性皮膚潰瘍;または容易には治癒しない骨折などが含まれる。
【0266】
開示された化合物は、誘導組織再生(GTR)法に関連して組織修復をもたらす際に利用するのにも適している。このような方法は、現在、侵襲性外科手術の後の創傷治癒を促進するために当業者によって利用されている。
【0267】
開示された方法のさらに別の例には、組織工学の過程で組織増殖を増強することを特徴とする、組織修復を促進する方法が含まれる。本明細書において、「組織工学」は、身体の組織または器官を増強または置換するために、合成材料または天然材料と組み合わせて、生物学的な人工器官を創出、設計、および製造することと定義される。したがって、本方法を利用して、患部組織を修復または置換する上で後に移植するために、体外においてヒト組織を設計および増殖することができる。例えば、抗体は、火傷治療における治療法として利用される皮膚移植片の増殖を促進するのに有用である場合がある。
【0268】
開示された方法の組織工学例の他の例には、再生を必要とする部位に移植されると機能的なヒト組織の再生を誘導する細胞含有型装置または細胞非含有型装置が含まれる。本明細書で考察されているように、生体材料誘導組織再生を利用して、例えば歯周病において骨の再生を促進することができる。したがって、抗体を利用して、そのような修復を必要とする創傷部位または他の組織において、三次元構造体にまとめられた再構成組織の増殖を促進することができる。
【0269】
開示された方法の組織工学例のさらに別の例は、本明細書に開示されている化合物を、患部の内部組織の機能の代わりをするように設計されたヒト組織を含む外部装置または内部装置に含ませることができる。このような方法は、身体から細胞を単離し、それらを構造マトリクスとともに配置すること、および新たなシステムを体内に移植することか、または体外でこのシステムを使用することを含む。例えば、細胞でライニングされた血管移植片に抗体を含ませて、移植片に含まれた細胞の増殖を促進することができる。本開示の方法を用いて、軟骨および骨、中枢神経系組織、筋肉、肝臓、および膵島(インスリン産生)細胞などの製品における組織の修復、再生、および設計を増強しうることが想定されている。
【0270】
また、本開示は、皮膚移植片置換物の増殖を促進するための薬物の製造に、開示されたフェニルスルファミン酸を使用することにも関する。
【0271】
また、本開示は、誘導組織再生(GTR)法に関連して組織修復をもたらす際に使用するための薬物の製造に、本開示のフェニルスルファミン酸を本開示に従って使用することにも関する。
【0272】
開示された化合物は、1つ以上の薬物の製造に利用することができ、それらの薬物の非限定例には以下がある:
被験体における血管新生制御型障害を治療する薬物であって、血管新生制御型障害が血管新生増加障害である薬物。
【0273】
被験体における血管新生制御型障害を治療する薬物であって、血管新生制御型障害が、クローン病および潰瘍性大腸炎、乾癬、サルコイドーシス、関節リウマチ、血管腫、オスラー−ウェーバー−ランジュ病、または遺伝性出血性毛細管拡張症、固形腫瘍もしくは血液媒介性腫瘍、ならびに後天性免疫不全症候群から選択される血管新生増加障害である薬物。
【0274】
組織工学の目的で有用であり、それによって組織増殖の促進が誘発される薬物。
【0275】
被験体における血管新生制御型障害を治療する薬物であって、血管新生制御型障害が血管新生低下障害である薬物。
【0276】
手順
血管新生のインビトロモデルおよびインビボモデルを使用するスクリーニングアッセイ
本開示の抗体を、当技術分野において既知の血管新生アッセイでスクリーニングすることができる。このようなアッセイには、培養細胞での血管増殖の代替物または組織外植片からの血管構造物の形成を測定するインビトロアッセイ、ならびに直接的または間接的に血管増殖を測定するインビボアッセイなどがある(Auerbach,R.,ら、(2003).Clin Chem 49,32−40,Vailhe,B.,ら、(2001).Lab Invest 81,439−452)。
【0277】
1.血管新生のインビトロモデル
本開示において使用するのに適しているインビトロモデルは、培養された内皮細胞または内皮組織外植片を使用し、「血管新生」細胞応答または毛細血管様構造物の形成に対する薬剤の作用を測定する。インビトロ血管新生アッセイ法の非限定例には、内皮細胞の遊走および増殖、毛細管形成、内皮細胞の出芽、大動脈輪外植アッセイ法、ならびにニワトリ大動脈弓アッセイが含まれるが、これらに限定されない。
【0278】
2.血管新生のインビボモデル
本開示で使用するのに適しているインビボ用薬剤または抗体は、増殖因子(すなわち、VEGFまたはアンジオポエチン1)の存在下または不在下で、局所的または全身的に投与され、新たな血管の増殖を直接に観察するか、またはヘモグロビン含有量もしくは蛍光指標などの代替マーカーを測定することによって測定する。インビトロ血管新生アッセイの非限定例には、鶏胚漿尿膜アッセイ、角膜血管新生アッセイ、およびマトリゲル(Matrigel)(登録商標)プラグアッセイがあるが、これらに限定されない。
【0279】
3.虚血組織の血管新生を測定する手順
組織が望ましくない血管閉塞から虚血性損傷を受ける危険があるか否かを判定するために、標準的な常用手法を利用することができる。例えば、心筋症では、これらの方法はさまざまな画像化手法(例えば、放射性トレーサー法、x−線、およびMRI)および生理学的試験を含む。その結果、血管閉塞に冒されているか、その危険にある組織において虚血を予防したり減弱させたりするのに有効な手段としての細胞新生誘導を容易に判定することができる。
【0280】
標準的な手法を用いる当業者は、組織の血管新生を測定することができる。被験体における血管新生を測定する非限定例には、治療の前後における組織への血流を測定することによる、SPECT法(単光子放射型コンピューター断層撮影法);PET法(陽電子放出型断層撮影法);MRI法(磁気共鳴画像法);およびこれらの併用などがある。血管造影法を、巨視的血管分布の評価として利用することができる。組織学的評価を用いて、小血管レベルで血管分布を定量化することができる。これらおよび他の手法がSimonsら、”Clinical trials in coronary angiogenesis,”Circulation,102,73−86(2000)で考察されている。
【0281】
以下はHPTPβ(IC50μM)の非限定例であり、PTP1B(IC50μM)活性が下記の表VIIIに列挙されている。
【0282】
【表8−1】

【0283】
【表8−2】

【0284】
【表8−3】

【0285】
【表8−4】

【0286】
【表8−5】

【0287】
【表8−6】

【0288】
【表8−7】

【0289】
【表8−8】

【0290】
【表8−9】

【0291】
【表8−10】

【0292】
【表8−11】

【0293】
【表8−12】

【0294】
【表8−13】

【0295】
【表8−14】

【0296】
【表8−15】

【0297】
【表8−16】

【0298】
【表8−17】

ラット後肢モデルを用いて、新規のHPTPb阻害剤の血管新生特性を評価する。特に、虚血後、動物が運動困難な状態にあるときに、肢の側副依存的な領域への血流が促進されるか否かを判定する。この実施例において評価された具体的な化合物は(4−{(S)−2−[(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−(4−エチルチアゾール−2−イル)エチル}フェニルスルファミン酸である。
【0299】
側副路発達のラット後肢モデル
動物の選択
トレッドミル走行の実施に影響を及ぼす変数を調整するために、手術前の1週間、ラットをトレッドミル(tmill)で運動することに慣れさせる。これは、ラットが、20〜25m/秒の速度および仰角7度で1日に合計5分間、間欠的にtmillで走ることからなる。以前の経験から、訓練期間にうまく走らなかった動物はその後の血流測定の過程でも走るのが下手で、側副血流測定値を変えうることが明らかになっていた。この経験に基づいて、この研究では、訓練期間にうまく走らなかったラットを除外した。
【0300】
外科的処置
最初の手術は、細かな変更はあるが、本質的には既述したように、後肢に虚血を作出し、浸透圧ポンプを埋め込むために行われる。要するに、Sprague−Dawleyラット(体重340〜390グラム)を、まず1L/分のO流量で、イソフラン(ISO)が2.5%の導入チャンバに入れ、チャンバの下にある加温パッドによって体温を維持する。誘導の後に、動物を手術用マットに移し、非再呼吸回路によって麻酔を継続する。ラットの上に加温ランプを設置し、直腸体温計を入れて、動物の体温をモニタリングする。両側の鼠径部を剪毛し、ベタジン洗浄液およびアルコール洗浄液で交互に(3回)前処理を施し、ラットを無菌ドレープで覆う。皮膚を切開して左側の大腿動脈を露出させ、続いて、鼠径靱帯より遠位で大腿回旋動脈より近位にある、1cm離れた2つの位置で結紮する。スキンステープルまたはベトボンド(Vetbond)を使用して皮膚を閉じる。右側にも同じ処置を繰り返す。持続注入群の動物には、背中の皮下(SubQ)空間に挿入されたAlzet 2ML2ポンプ(呼び水処理済み)を装着した。このポンプは、投与群に応じて、15mg/kg/日または5mg/kg/日の4−{(S)−2−[(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−(4−エチルチアゾール−2−イル)エチル}フェニルスルファミン酸、または媒体を送達した。VEGF処理群の動物には、その頸部に浸透圧ポンプ(Alert(商標)モデル♯2004)を設置するための追加処置を施した。埋め込みの前に、浸透圧ポンプを15μg/kg/日の投与量のVEGF165溶液で満たし、水槽(37℃)に入れた無菌生理食塩水ビーカー内部で一晩呼び水する。PPG(ポリプロピレングリコール)でコーティングされた延伸型PE50カテーテル(Aldrich♯20−235−5)を、製造業者の指示に従い、手術の前日の午後に無菌操作を用いて取り付ける。ポンプを設置するには、切開を行って右の頸静脈を露出させ、一領域に頸部右側から背中まで皮下にトンネルを通し、生じた皮下空間にポンプを設置する。血管を4−0シルク縫合糸で結紮し、結び糸のわずかに遠位で切開し、浸透圧ポンプからのカテーテルを下流に(約2cm)通し別の結び糸でポンプを固定する。皮膚を上記したようにして閉じる。
【0301】
血流試験
カテーテル設置
血管結紮手術の2週間後に、ラットに第2の緊急手術を施して、マイクロスフェア測定用の留置カテーテルを設置した。上記のようにラットに麻酔を施した。この動物を剪毛して術前準備をし、各挿入部位にEMLAクリームを塗布する。まず、10番メスブレードを使用して、尾の腹側基部を縦に切開する。テーパー状のPE50カテーテルを腹側の尾動脈に約3cm挿入し、そこに固着させる。次に、カテーテルの末端を尾の回りに巻き付け、背中に皮下を通るトンネルを通し、肩甲骨の間に出るようにする。尾動脈挿管の後、頸部正中線切開を行って、閉塞カニューレ挿入のために左頸動脈露出させる。テーパー状のPE50カテーテルを頸動脈に3cm挿入し、スキンステープルまたはベトボンドで閉じてEMLAクリームを塗布する。カテーテル周辺の出口部位を巾着縫合糸で閉じる。カテーテルの両端を焼灼して閉じ、ラットを少なくとも4時間麻酔から覚ます。
【0302】
トレッドミルプロトコールおよびマイクロスフェア測定
血流測定するために、ラットをトレッドミルに乗せ、カテーテルを22ゲージのオス−オスコネクタを介して延長管と接続する。マイクロスフェアの取り出しおよび血圧測定のため、尾動脈カテーテルを(ツイーン(tween)およびヘパリンでコーティングした)注射器と接続するが、この注射器は、吸い出しポンプに対して「T」の字になり、および圧力トランスデューサとなる。マイクロスフェアを注入するためには頸動脈カテーテルを使用する。ラットは、20m/分の速さおよび仰角7度で走り始めた。走り始めて1分後に、0.5ml/分のペースでポンプを動かし始め、10秒後に、0.5ml(1×10個スフェア/mL)の蛍光マイクロスフェアを頸動脈に注入し、その後30秒間0.5mlのフラッシングを行う。ポンプは、90秒で停止するように設定する。tmillを停止させ、延長ラインを取り替え、動物のラインをフラッシングし、動物を休ませる。注射器およびラインをポンプから取り除き、参照用血液サンプルを、処理するためにラベル付き試験管に入れる。吸引用注射器および延長ラインを2%ツイーンで3回フラッシングし、参照用血液チューブの廃液を洗い流す。新しい注射器およびラインをポンプに設置し、動物の走行速度を速め(25m/分)、かつ異なった色のマイクロスフェアを注入して処理を繰り返す。2回目の走行を終わったところで、動物を0.3mlのブタナシア(Buthaneasia)で安楽死させる。
【0303】
組織の回収および解析
安死術の後に、組織を切り取り、切り整え、秤量し、記録し、処理するために印を付けた試験管に入れる。サンプルは左右両側について以下の通りである;ヒラメ筋、足底筋(Plantaris)、腓腹筋(Gastroc)、赤色四頭筋(Red Quads)、および腎臓。血液サンプルを0.75mlの16N KOHで一晩分解する。組織を5mlの4N KOHで一晩分解する。次に、サンプルを8ミクロンのポリカーボネートフィルターを用いて真空ろ過し、ろ紙を1mlの2−エトキシエチルアセテート(2EFA)が入ったラベル付きバイアル内に入れる。一晩分解させた後、波長を495〜506および534〜552に設定した蛍光光度計にて黒色ポリプロピレンプレートを使用してサンプルを読み取る。正確に270mlのサンプルをピペットで各ウェルに注入する。希釈物をさらに希釈する必要がある場合には動物のデータシートに記入し、生データの蛍光を補正する。式({(組織蛍光/組織重量g)/(参照用血液蛍光/血液回収速度mL/分)}×100g)によって、生データを、組織のml/分/100g当たりの血流に変換する。腎臓間で均一な分布が示される場合に、各動物について、左右の下肢組織の流量値をまとめて平均値をとり1つの値にする。
【0304】
本研究において、VEGF処理群は、媒体対照群に対して、予想通りにGPS血流の顕著な改善を示した。血液動態データについて、群間における唯一の有意な差は、処理群の血圧で見られる。これらの圧力は実際に、VEGF群および/または媒体群よりも低く、これはGPSに対する灌流圧もわずかに低いことを示唆している。このことは、血流において測定された如何なる変化も、単なる計算上の人為的結果ではなく現実のものであることを意味している。皮下持続注入による血流は、化合物の両方の用量(5mg/kg/日および15mg/kg/日)について、溶媒と比較して、下腿血流の顕著な改善を示した。また、このデータは、低い方の用量(5mg/kg/日)が最大のVEGF反応を誘発しないことも示し、この化合物に用量依存性がある可能性を示唆している。
【0305】
本実験の結果を以下に要約する。
【0306】
【表9】

データは、平均値±SEとして表示されている。テューキー検定を用いた分散分析。*媒体と有意に異なるもの。†VEGFに対しp<0.05で有意差がある。
【0307】
【表10】

データは、平均値±SEとして表示されている。テューキー検定を用いた分散分析。*媒体と有意に異なるもの。†VEGFに対しp<0.05で有意差がある。
【0308】
本明細書に開示されている寸法および値は、引用された正確な数値に厳格に限定されていると理解されるべきではない。むしろ、特段の記載がない限り、そのような寸法はそれぞれ、引用された値、およびその値の付近の機能的に同等な範囲を意味するものである。例えば、「40mm」と開示された寸法は「約40mm」を意味するよう意図されている。
【0309】
発明の詳細な説明で引用されている全ての刊行物は、その関連部分が参照されることにより本明細書に組み込まれるが、いずれの刊行物の引用も、それが本発明に関する先行技術であると認めていると解釈されるべきではない。本文書中の用語の意味または定義が、参照されて組み込まれている刊行物中の同じ用語の意味または定義と抵触する限りにおいて、本文書においてその用語に与えられた意味または定義が優先されるものとする。
【0310】
本開示の具体的な実施形態が例示かつ説明されているが、本開示の精神および範囲を逸脱することなく他のさまざまな変更および修正を施すことができることは、当業者には明らかであろう。したがって、本開示の範囲内にあるこのような変更および修正は全て、添付の請求の範囲に含まれるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化143】

を有する化合物であって、式中、Rが、式:
【化144】

を有する、置換または非置換のチアゾリル単位であり、
およびRがそれぞれ、
i)水素;
ii)置換または非置換のC〜Cの直鎖状、分岐鎖状、または環状のアルキル;
iii)置換または非置換のフェニル;
iv)置換または非置換のヘテロアリール
から独立して選択されるか、または、
およびRが、一緒になって5〜7個の原子を有する飽和または不飽和の環を形成することができ、
該置換が、1つ以上のC〜Cの直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル単位、ハロゲン単位、ヒドロキシル単位、またはシアノ単位から独立して選択され、
が、
i)水素;
ii)置換または非置換のC〜Cの直鎖状、分岐鎖状、または環状のアルキル;
iii)置換または非置換のフェニル;および
iv)置換または非置換のヘテロアリール
から選択される単位であり、
が、
i)水素;
ii)C〜Cの直鎖状または分岐鎖状のアルキル;
iii)置換または非置換のフェニル;または
iv)置換または非置換のベンジル
から選択され、
が、
i)C〜Cの直鎖状または分岐鎖状のアルキル;または
ii)C〜Cの直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ
から選択され、
が、水素またはC〜Cの直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキルである、化合物。
【請求項2】
Rが、式:
【化145】

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
およびRがそれぞれ水素である、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
が水素であり、Rが置換または非置換のC〜Cの直鎖状、分岐鎖状、または環状のアルキルである、請求項2記載の化合物。
【請求項5】
が、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、シクロプロピル、n−ヘキシル、およびシクロヘキシルから選択される、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
が、−CHF、−CHF、−CF、−CHCF、−CHCHCF、−CHCl、−CHOH、−CHOCH、−CHCHOH、−CHCHOCH、−CHNH、−CHNHCH、−CHN(CH、および−CHNH(CHCH)から選択される、請求項4記載の化合物。
【請求項7】
が、2,2−ジフルオロシクロプロピル、2−メトキシシクロヘキシル、または4−クロロシクロヘキシルである、請求項4記載の化合物。
【請求項8】
が水素であり、Rが置換または非置換のフェニルである、請求項2記載の化合物。
【請求項9】
が、フェニル、3,4−ジメチルフェニル、4−tert−ブチルフェニル、4−シクロプロピルフェニル、4−ジエチルアミノフェニル、4−(トリフルオロメチル)フェニル、4−メトキシフェニル、4−(ジフルオロメトキシ)フェニル、4−(トリフルオロメトキシ)フェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、および3,4−ジクロロフェニルから選択される、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
が水素であり、Rが置換または非置換のヘテロアリールである、請求項2記載の化合物。
【請求項11】
が、置換または非置換のヘテロアリール単位であって、該ヘテロアリール単位が、1,2,3,4−テトラゾール−1−イル、1,2,3,4−テトラゾール−5−イル、[1,2,3]トリアゾール−4−イル、[1,2,3]トリアゾール−5−イル、[1,2,4]トリアゾール−4−イル、[1,2,4]トリアゾール−5−イル、イミダゾール−2−イル、イミダゾール−4−イル、ピロール−2−イル、ピロール−3−イル、オキサゾール−2−イル、オキサゾール−4−イル、オキサゾール−5−イル、イソオキサゾール−3−イル、イソオキサゾール−4−イル、イソオキサゾール−5−イル、[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル、[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル、[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル、フラン−2−イル、フラン−3−イル、チオフェン−2−イル、チオフェン−3−イル、イソチアゾール−3−イル、イソチアゾール−4−イル、イソチアゾール−5−イル、チアゾール−2−イル、チアゾール−4−イル、チアゾール−5−イル、[1,2,4]チアジアゾール−3−イル、[1,2,4]チアジアゾール−5−イル、および[1,3,4]チアジアゾール−2−イルから選択される、請求項10記載の化合物。
【請求項12】
が、フラン−2−イル、チオフェン−2−イル、5−クロロチオフェン−2−イル、および5−メチルチオフェン−2−イルから選択される、請求項11記載の化合物。
【請求項13】
Rが、RおよびRが一緒になって5〜7個の原子を有する飽和または不飽和の環を形成する単位である、請求項1記載の化合物。
【請求項14】
Rが、5,6−ジヒドロ−4H−シクロペンタ[d]チアゾール−2−イル、または4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[d]チアゾール−2−イルである、請求項13記載の化合物。
【請求項15】
Rが式:
【化146】

を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項16】
が水素である、請求項15記載の化合物。
【請求項17】
が、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、iso−ブチル、およびtert−ブチルから選択される、請求項15記載の化合物。
【請求項18】
が置換または非置換のフェニルである、請求項15記載の化合物。
【請求項19】
が、フェニル、2−フルオロフェニル、2−クロロフェニル、2−メチルフェニル、2−メトキシフェニル、3−フルオロフェニル、3−クロロフェニル、3−メチルフェニル、3−メトキシフェニル、4−フルオロフェニル、4−クロロフェニル、4−メチルフェニル、および4−メトキシフェニルから選択される、請求項18記載の化合物。
【請求項20】
が、置換または非置換のヘテロアリール単位であって、該ヘテロアリール単位が、1,2,3,4−テトラゾール−1−イル、1,2,3,4−テトラゾール−5−イル、[1,2,3]トリアゾール−4−イル、[1,2,3]トリアゾール−5−イル、[1,2,4]トリアゾール−4−イル、[1,2,4]トリアゾール−5−イル、イミダゾール−2−イル、イミダゾール−4−イル、ピロール−2−イル、ピロール−3−イル、オキサゾール−2−イル、オキサゾール−4−イル、オキサゾール−5−イル、イソオキサゾール−3−イル、イソオキサゾール−4−イル、イソオキサゾール−5−イル、[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル、[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル、[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル、フラン−2−イル、フラン−3−イル、チオフェン−2−イル、チオフェン−3−イル、イソチアゾール−3−イル、イソチアゾール−4−イル、イソチアゾール−5−イル、チアゾール−2−イル、チアゾール−4−イル、チアゾール−5−イル、[1,2,4]チアジアゾール−3−イル、[1,2,4]チアジアゾール−5−イル、および[1,3,4]チアジアゾール−2−イルから選択される、請求項15記載の化合物。
【請求項21】
が、チオフェン−2−イル、チオフェン−3−イル、チアゾール−2−イル、チアゾール−4−イル、チアゾール−5−イル、2,5−ジメチルチアゾール−4−イル、2,4−ジメチルチアゾール−5−イル、4−エチルチアゾ−ル−2−イル、オキサゾール−2−イル、オキサゾール−4−イル、オキサゾール−5−イル、および3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イルから選択される、請求項20記載の化合物。
【請求項22】
が式:
【化147】

を有する、請求項1記載の化合物であって、式中、Rが、C〜Cの置換または非置換のアルキル、および置換または非置換のフェニルである化合物。
【請求項23】
が4−クロロベンゼンスルホニルメチルまたはtert−ブチルスルホニルメチルである、請求項22記載の化合物。
【請求項24】
が水素である、請求項1記載の化合物。
【請求項25】
が、置換または非置換のフェニルまたはベンジルである、請求項1記載の化合物。
【請求項25】
がベンジルである、請求項25記載の化合物。
【請求項26】
が、C〜Cの直鎖状または分岐鎖状のアルキルである、請求項1記載の化合物。
【請求項27】
がiso−プロピルである、請求項26記載の化合物。
【請求項28】
が、式:
【化148】

を有する、C〜Cの直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ単位であり、式中、Rが、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、またはn−ヘキシルから選択される、C〜Cの直鎖状または分岐鎖状のアルキル単位である、請求項1記載の化合物。
【請求項29】
が、メチル、エチル、またはtert−ブチルである、請求項28記載の化合物。
【請求項30】
が、C〜Cの直鎖状または分岐鎖状のアルキル単位である、請求項1記載の化合物。
【請求項31】
が水素またはメチルである、請求項1記載の化合物。
【請求項32】
が水素である、請求項31記載の化合物。
【請求項33】
式:
【化149】

を有する化合物であって、式中、Rが、
i)C〜Cの直鎖状または分岐鎖状のアルキル;または
ii)C〜Cの直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ
から選択され、
およびRがそれぞれ、
i)水素;
ii)置換または非置換のC〜Cの直鎖状、分岐鎖状、または環状のアルキル;
iii)置換または非置換のフェニル;
iv)置換または非置換のヘテロアリール
から独立して選択されるか、または、
およびRが、一緒になって5〜7個の原子を有する飽和または不飽和の環を形成することができる、化合物。
【請求項34】
式:
【化150】

を有する化合物であって、式中、Rが、
i)C〜Cの直鎖状または分岐鎖状のアルキル;または
ii)C〜Cの直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ
から選択され、
が、
i)水素;
ii)置換または非置換のC〜Cの直鎖状、分岐鎖状、または環状のアルキル;
iii)置換または非置換のフェニル;および
iv)置換または非置換のヘテロアリール
から選択される、化合物。
【請求項35】
式:
【化151】

を有する化合物であって、式中、Rが、
i)C〜Cの直鎖状または分岐鎖状のアルキル;または
ii)C〜Cの直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ
から選択され、
およびRがそれぞれ、
i)水素;
ii)置換または非置換のC〜Cの直鎖状、分岐鎖状、または環状のアルキル;
iii)置換または非置換のフェニル;
iv)置換または非置換のヘテロアリール
から独立して選択されるか、または、
およびRが、一緒になって5〜7個の原子を有する飽和または不飽和の環を形成することができる、化合物。
【請求項36】
式:
【化152】

を有する化合物であって、式中、Rが、
i)C〜Cの直鎖状または分岐鎖状のアルキル;または
ii)C〜Cの直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ
から選択され、
が、
i)水素;
ii)置換または非置換のC〜Cの直鎖状、分岐鎖状、または環状のアルキル;
iii)置換または非置換のフェニル;および
iv)置換または非置換のヘテロアリール
から選択される、化合物。
【請求項37】
式:
【化153】

を有する化合物であって、式中、Rが、
i)C〜Cの直鎖状または分岐鎖状のアルキル;または
ii)C〜Cの直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ
から選択され、
およびRがそれぞれ、
i)水素;
ii)置換または非置換のC〜Cの直鎖状、分岐鎖状、または環状のアルキル;
iii)置換または非置換のフェニル;
iv)置換または非置換のヘテロアリール
から独立して選択されるか、または、
およびRが、一緒になって5〜7個の原子を有する飽和または不飽和の環を形成することができる、化合物。
【請求項38】
式:
【化154】

を有する化合物であって、式中、Rが、
i)C〜Cの直鎖状または分岐鎖状のアルキル;または
ii)C〜Cの直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ
から選択され、
が、
i)水素;
ii)置換または非置換のC〜Cの直鎖状、分岐鎖状、または環状のアルキル;
iii)置換または非置換のフェニル;および
iv)置換または非置換のヘテロアリール
から選択される化合物。
【請求項39】
以下:
4−{(S)−2−[(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−(4−エチルチアゾール−2−イル)エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−[(R)−2−(tert−ブトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−(4−エチルチアゾール−2−イル)エチル}フェニルスルファミン酸;
{1−[1−(5−エチルチアゾール−2−イル)−(S)−2−(4−スルホアミノフェニル)エチルカルバモイル]−(S)−2−フェニルエチル}メチルカルバミン酸tert−ブチルエステル;
{(S)−2−フェニル−1−[1−(2−フェニルチアゾール−2−イル)−(S)−2−(4−スルホアミノフェニル)エチルカルバモイル]エチル}カルバミン酸tert−ブチルエステル;
4−{(S)−2−(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド−2−(2−フェニルチアゾール−4−イル)}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−(4−エチルチアゾール−2−イル)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−(チアゾール−2−イル)エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−(4−メチルチアゾール−2−イル)エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−(4−プロピルチアゾール−2−イル)エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−(4−tert−ブチルチアゾール−2−イル)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−(4−シクロプロピルチアゾール−2−イル)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−(4−シクロヘキシルチアゾール−2−イル)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニル−プロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−(4−エチル−5−メチルチアゾール−2−イル)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニル−プロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−[4−(2,2,2−トリフルオロエチル)チアゾール−2−イル]エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド)−2−[4−(3,3,3−トリフルオロプロピル)チアゾール−2−イル]エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−[4−(2,2−ジフルオロシクロプロピル)チアゾール−2−イル]−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−[4−(メトキシ−メチル)チアゾール−2−イル]エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−(4−(エトキシカルボニル)チアゾール−2−イル)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−(5−フェニルチアゾール−2−イル)エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−(4−tert−ブチルチアゾール−2−イル)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−(4−エチル−5−フェニルチアゾール−2−イル)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−[4−(3,4−ジメチルフェニル)チアゾール−2−イル]−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−[4−(4−クロロフェニル)チアゾール−2−イル]−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−(4−フェニルチアゾール−2−イル)エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−[4−(チオフェン−2−イル)チアゾール−2−イル]エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−[4−(チオフェン−3−イル)チアゾール−2−イル]エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−(4−エチルチアゾール−2−イル)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロピオン−アミド]エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−(5,6−ジヒドロ−4H−シクロペンタ[d]チアゾール−2−イル)−2−[(S)−2−(メトキシ−カルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−(4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[d]チアゾール−2−イル)エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−[4−(5−クロロチオフェン−2−イル)チアゾール−2−イル]−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−[(S)−2−(エトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−(4−エチルチアゾール−2−イル)エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−(2−エチルチアゾール−4−イル)エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−(2−メチルチアゾール−4−イル)エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−(2−エチルチアゾール−4−イル)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−(2−イソプロピルチアゾール−4−イル)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−(2−シクロプロピルチアゾール−4−イル)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−{2−[(4−クロロフェニルスルホニル)メチル]チアゾール−4−イル}−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−[2−(tert−ブチルスルホニルメチル)チアゾール−4−イル}−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−(2−フェニルチアゾール−4−イル)エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−[2−(チオフェン−2−イル)チアゾール−4−イル]エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−[2−(3−クロロチオフェン−2−イル)チアゾール−4−イル]−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−[2−(3−メチルチオフェン−2−イル)チアゾール−4−イル]エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{[(S)−2−[2−(フラン−2−イル)チアゾール−4−イル]−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−[2−(2−メチルチアゾール−4−イル)チアゾール−4−イル]エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−(2−ピラジン−2−イル)チアゾール−4−イル}フェニルスルファミン酸;および
4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−フェニルプロパンアミド]−2−[2−(6−メチルピリジン−3−イル)チアゾール−4−イル]エチル}フェニルスルファミン酸
から選択される化合物。
【請求項40】
以下:
4−[(S)−2−((S)−2−アセトアミド−3−フェニルプロパンアミド)−2−(4−エチルチアゾール−2−イル)エチル]フェニルスルファミン酸;
4−[(S)−2−((S)−2−アセトアミド−3−フェニルプロパンアミド)−2−(4−tert−ブチルチアゾール−2−イル)エチル]フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−((S)−2−アセトアミド−3−フェニルプロパンアミド)−2−[4−(チオフェン−3−イル)チアゾール−2−イル)エチル]フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−[(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)−3−メチルブタンアミド]−2−(4−エチルチアゾール−2−イル)エチル]フェニルスルファミン酸;
(S)−4−{2−[2−(tert−ブトキシカルボニル)アセトアミド]−2−(4−エチルチアゾール−2−イル)エチル}フェニルスルファミン酸;
(S)−4−{2−(4−エチルチアゾール−2−イル)−2−[2−(メトキシカルボニル)アセトアミド]エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−(4−エチルチアゾール−2−イル)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−3−メチルブタンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−[(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)−4−メチルペンタンアミド]−2−(4−エチルチアゾール−2−イル)エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−(4−エチルチアゾール−2−イル)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−4−メチルペンタンアミド]エチル}フェニルスルファミン酸;
4−((S)−2−(4−エチルチアゾール−2−イル)−2−{(S)−2−[2−(メトキシカルボニル)アセトアミド]−3−フェニルプロパンアミド}エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−[(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)−4−メチルペンタンアミド]−2−[2−(チオフェン−2−イル)チアゾール−4−イル]エチル}フェニルスルファミン酸;
4−{(S)−2−[(S)−2−(メトキシカルボニル)−4−メチルペンタンアミド]−2−[2−(チオフェン−2−イル)チアゾール−4−イル]エチル}フェニルスルファミン酸;および
(S)−4−{2−[2−(tert−ブトキシカルボニル)アセトアミド]−2−(4−エチルチアゾール−2−イル)エチル}フェニルスルファミン酸
から選択される化合物。
【請求項41】
式:
【化155】

を有する化合物であって、式中、Rが、式:
【化156】

を有する、置換または非置換のチアゾリル単位であり、
およびRがそれぞれ、
i)水素;
ii)置換または非置換のC〜Cの直鎖状、分岐鎖状、または環状のアルキル;
iii)置換または非置換のフェニル;
iv)置換または非置換のヘテロアリール
から独立して選択されるか、または、
およびRが、一緒になって5〜7個の原子を有する飽和または不飽和の環を形成することができ、
該置換が、1つ以上のC〜Cの直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル単位、ハロゲン単位、ヒドロキシル単位、またはシアノ単位から独立して選択され、
が、
i)水素;
ii)置換または非置換のC〜Cの直鎖状、分岐鎖状、または環状のアルキル;
iii)置換または非置換のフェニル;および
iv)置換または非置換のヘテロアリール
から選択される単位であり、
が、
i)水素;
ii)C〜Cの直鎖状または分岐鎖状のアルキル;
iii)置換または非置換のフェニル;または
iv)置換または非置換のベンジル
から選択され、
が、
i)C〜Cの直鎖状または分岐鎖状のアルキル;または
ii)C〜Cの直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ
から選択され、
が、水素またはC〜Cの直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキルである化合物。
【請求項42】
以下:
[1−(S)−(フェニルチアゾール−2−イル)−2−(4−スルホアミノフェニル)エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル;
(S)−4−(2−(4−メチルチアゾール−2−イル)−2−ピバルアミドエチル)フェニルスルファミン酸;
(S)−4−(2−(4−エチルチアゾール−2−イル)−2−ピバルアミドエチル)フェニルスルファミン酸;
(S)−N−(1−(4−ヒドロキシメチル)チアゾール−2−イル)−2−ピバルアミドエチル)フェニルスルファミン酸;
(S)−4−(2−(4−エトキシカルボニル)チアゾール−2−イル)−2−ピバルアミドエチル)フェニルスルファミン酸;
(S)−4−(2−(4−フェニルチアゾール−2−イル)−2−ピバルアミドエチル)フェニルスルファミン酸;
4−((S)−2−(4−(3−メトキシフェニル)チアゾール−2−イル)−2−ピバルアミドエチル)フェニルスルファミン酸;
N−((S)−1−(4−(4−クロロフェニル)チアゾール−2−イル)−2−(4−ニトロフェニル)エチル)ピバルアミド;
4−((S)−2−(4−(3−メトキシフェニル)チアゾール−2−イル)−2−ピバルアミドエチル)フェニルスルファミン酸;
4−((S)−2−(4−(2,4−ジメトキシフェニル)チアゾール−2−イル)−2−ピバルアミドエチル)フェニルスルファミン酸;
(S)−4−(2−(4−ベンジルチアゾール−2−イル)−2−ピバルアミドエチル)フェニルスルファミン酸;
(S)−4−(2−ピバルアミド−2−(4−(チオフェン−2−イルメチル)チアゾール−2−イル)エチル)フェニルスルファミン酸;
(S)−4−(2−(4−(3−メトキシベンジル)チアゾール−2−イル)−2−ピバルアミドエチル)フェニルスルファミン酸;
4−((S)−2−(4−(2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン−6−イル)チアゾール−2−イル)−2−ピバルアミドエチル)フェニルスルファミン酸;
(S)−4−(2−(5−メチル−4−フェニルチアゾール−2−イル)−2−ピバルアミドエチル)フェニルスルファミン酸;
(S)−4−(2−(4−(4−(ビフェニル)チアゾール−2−イル)−2−ピバルアミドエチル)フェニルスルファミン酸;
(S)−4−(2−tert−ブトキシカルボニル−2−(2−メチルチアゾール−4−イル)−フェニルスルファミン酸;
(S)−4−(2−tert−ブトキシカルボニル)−2−(4−プロピルチアゾール−2−イル)エチル)−フェニルスルファミン酸;
(S)−4−(2−(tert−ブトキシカルボニル)−2−(4−tert−ブチルチアゾール−2−イル)エチル)−フェニルスルファミン酸;
(S)−4−(2−(tert−ブトキシカルボニル)−2−(4−(メトキシメチル)チアゾール−2−イル)エチル)−フェニルスルファミン酸;
(S)−tert−ブチル2−(4−ニトロフェニル)−1−(4−トリフルオロメチル)チアゾール−2−イル)−エチルカルバメート;
(S)−4−(2−tert−ブトキシカルボニル)−2−(4−(2−ヒドロキシメチル)チアゾール−2−イル)エチル)フェニルスルファミン酸;
(S)−4−(2−(tert−ブトキシカルボニル)−2−(4−(2−エトキシ−2−オキソエチル)チアゾール−2−イル)エチル)−フェニルスルファミン酸;
(S)−4−(2−(tert−ブトキシカルボニル)−2−(4−(2−(2−メトキシ−2−オキソエチルアミノ)−2−オキソエチル)チアゾール−2−イル)エチル)−フェニルスルファミン酸;
(S)−4−(2−(tert−ブトキシカルボニル)−2−(2−ピバルアミドチアゾール−4−イル)エチル)−フェニルスルファミン酸;
(S)−4−(2−(tert−ブトキシカルボニル)−2−(5−フェニルチアゾール−2−イル)エチル)−フェニルスルファミン酸;
4−((S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)−2−(4−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)チアゾール−2−イル)エチル)−フェニルスルファミン酸;
(S)−4−(2−(tert−ブトキシカルボニル)−2−(5−フェニルチアゾール−2−イル)エチル)−フェニルスルファミン酸;
(S)−{4−[2,2−ジメチル−プロピオニルアミノ)−2−(2−フェニル−チアゾール−4−イル)エチル]フェニル}スルファミン酸;
(S)−4−(2−(tert−ブトキシカルボニル)−2−(4−フェニル)−2−(4−フェニルチアゾール−2−イル)エチル)−フェニルスルファミン酸;
(S,S)−2−(2−{2−[1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−(4−スルホアミノ−フェニル)−エチル]−チアゾール−4−イル}アセチルアミノ−3−フェニル−プロピオン酸メチルエステル;
(S)−[1−{1−オキソ−4−[2−(1−フェニル−1H−テトラゾール−5−スルホニルエチル]−1H−1λ−チアゾール−2−イル}−2−(4−スルフアミノ−フェニル)−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル;
4−((S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)−2−(4−(チオフェン−3−イル)チアゾール−2−イル)エチル)フェニルスルファミン酸;
(S)−4−(2−(ベンゾ[d]チアゾール−2−イル)−2−(tert−ブトキシカルボニル)エチル)フェニルスルファミン酸;および
(S)−4−(2−tert−ブトキシカルボニル−2−(2−メチルチアゾール−4−イル)−フェニルスルファミン酸
から選択される化合物。
【請求項43】
以下:
A)1つ以上の請求項1記載の化合物;および
B)1つ以上の賦形剤または担体
を含む薬学的組成物。
【請求項44】
請求項1記載の化合物をヒトに投与することを含む、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、癌、鎌状赤血球貧血、サルコイド、梅毒、弾性線維性仮性黄色腫、パジェット病、静脈閉塞、動脈閉塞、頸動脈閉塞性疾患、慢性ブドウ膜炎/硝子体炎、マイコバクテリア感染症、ライム病、全身性エリテマトーデス、未熟児網膜症、イールズ病、ベーチェット病、網膜炎または脈絡膜炎を引き起こす感染症、推定眼ヒストプラスマ症、ベスト病、近視、視窩、シュタルガルト病、毛様体扁平部炎、慢性網膜剥離、過粘稠度症候群、トキソプラズマ症、外傷およびレーザー処理後の合併症、ルベオーシス関連疾患、ならびに増殖性硝子体網膜症から選択される障害から選択される疾患を治療する方法。
【請求項45】
請求項1記載の化合物をヒトに投与することを含む、クローン病および潰瘍性大腸炎、乾癬、サルコイドーシス、関節リウマチ、血管腫、オスラー−ウェーバー−ランジュ病、または遺伝性出血性毛細管拡張症、固形腫瘍もしくは血液媒介性腫瘍、ならびに後天性免疫不全症候群から選択される障害から選択される疾患を治療する方法。
【請求項46】
請求項1記載の化合物をヒトに投与することを含む、骨格筋および心筋虚血、脳卒中、冠動脈疾患、末梢血管疾患、冠動脈疾患から選択される障害から選択される疾患を治療する方法。
【請求項47】
請求項1記載の化合物をヒトに投与することを含む、ヒトにおける血管新生を制御する方法。
【請求項48】
請求項1記載の化合物をヒトに投与することを含む、ヒトにおける虚血組織に血管新生させる方法。
【請求項49】
請求項1記載の化合物をヒトに投与することを含む、皮膚移植片置換物の増殖を促進する方法。
【請求項50】
請求項1記載の化合物をヒトに投与することを含む、誘導組織再生(GTR)法による組織修復を促進する方法。
【請求項51】
式:
【化157】

を有する化合物であって、式中、Rが、式:
【化158】

を有する、置換または非置換のチアゾリル単位であり、
式中、Rが、
i)C〜Cの直鎖状または分岐鎖状のアルキル;または
ii)C〜Cの直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ
から選択され、
およびRがそれぞれ、
i)水素;
ii)置換または非置換のC〜Cの直鎖状、分岐鎖状、または環状のアルキル;
iii)置換または非置換のフェニル;
iv)置換または非置換のヘテロアリール
から独立して選択されるか、または、
およびRが、一緒になって5〜7個の原子を有する飽和または不飽和の環を形成することができる化合物。
【請求項52】
以下:
A)請求項33〜38および51のいずれか一項記載の1つ以上の化合物;および
B)1つ以上の賦形剤または担体
を含む薬学的組成物。
【請求項53】
請求項33〜38および51のいずれか一項記載の化合物をヒトに投与することを含む、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、癌、鎌状赤血球貧血、サルコイド、梅毒、弾性線維性仮性黄色腫、パジェット病、静脈閉塞、動脈閉塞、頸動脈閉塞性疾患、慢性ブドウ膜炎/硝子体炎、マイコバクテリア感染症、ライム病、全身性エリテマトーデス、未熟児網膜症、イールズ病、ベーチェット病、網膜炎または脈絡膜炎を引き起こす感染症、推定眼ヒストプラスマ症、ベスト病、近視、視窩、シュタルガルト病、毛様体扁平部炎、慢性網膜剥離、過粘稠度症候群、トキソプラズマ症、外傷およびレーザー処理後の合併症、ルベオーシス関連疾患、ならびに増殖性硝子体網膜症から選択される障害から選択される疾患を治療する方法。
【請求項54】
請求項33〜38および51のいずれか一項記載の化合物をヒトに投与することを含む、クローン病および潰瘍性大腸炎、乾癬、サルコイドーシス、関節リウマチ、血管腫、オスラー−ウェーバー−ランジュ病、または遺伝性出血性毛細管拡張症、固形腫瘍もしくは血液媒介性腫瘍、ならびに後天性免疫不全症候群から選択される障害から選択される疾患を治療する方法。
【請求項55】
請求項33〜38および51のいずれか一項記載の化合物をヒトに投与することを含む、骨格筋および心筋虚血、脳卒中、冠動脈疾患、末梢血管疾患、冠動脈疾患から選択される障害から選択される疾患を治療する方法。
【請求項56】
請求項33〜38および51のいずれか一項記載の化合物をヒトに投与することを含む、ヒトにおける血管新生を制御する方法。
【請求項57】
請求項33〜38および51のいずれか一項記載の化合物をヒトに投与することを含む、ヒトにおける虚血組織に血管新生させる方法。
【請求項58】
請求項33〜38および51のいずれか一項記載の化合物をヒトに投与することを含む、皮膚移植片置換物の増殖を促進する方法。
【請求項59】
請求項33〜38および51のいずれか一項記載の化合物をヒトに投与することを含む、誘導組織再生(GTR)法による組織修復を促進する方法。
【請求項60】
前記化合物が、塩基性基または酸性基のいずれかの薬学的に許容されるものである、請求項33〜38および51のいずれか一項記載の化合物。
【請求項61】
前記化合物が、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、重硫酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、ピルビン酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、およびクエン酸塩から選択されるアニオンを含む塩である、請求項60記載の化合物。
【請求項62】
前記化合物が、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、およびビスマスから選択されるカチオンを含む塩である、請求項60記載の化合物。

【公表番号】特表2009−542658(P2009−542658A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518226(P2009−518226)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/014822
【国際公開番号】WO2008/002569
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(501300757)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (12)
【氏名又は名称原語表記】The Procter & Gamble Company
【Fターム(参考)】