説明

ヒータ装置

【課題】加熱対象者の体が接触している部位のみを加温し、効率的な暖房を行えるヒータ装置を提供する。
【解決手段】通電時に発熱する発熱手段30と、少なくとも一方の電極を発熱手段30に離間して対向配置するとともに、加熱対象者からの荷重により発熱手段30に接触自在な正極20A及び負極20Bと、少なくとも一方の電極及び発熱手段30を離間させるスペーサ40とを備え、加熱対象者からの荷重に応じた少なくとも一方の電極と発熱手段30との接触領域Rの変化に基づいて、発熱手段30における発熱状態が変更されるヒータ装置X。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のシート等の暖房を行うヒータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車等のシートには、加熱対象者に対する暖房加温を行なう発熱手段が、加熱対象者の臀部・大腿部が接触する座面部や、加熱対象者の背中が接触する背面部などに配設してある。例えば発熱手段である電気ヒータは、座面部及び背面部の略全面に装着され、シート表面温度は全体に亘って均一になるようにしたものが知られていた(例えば特許文献1)。しかし、シート全面に電気ヒータを装着する方式のものではコスト面で問題があった。
【0003】
特許文献2には、電気ヒータを、臀部の接触部より大腿部の接触部に密に配設して、シート表面温度に分布をもたせるシート加熱装置が開示してある。当該文献2には、これにより、シートに装着する電気ヒータの面積を低減して低コスト化を図るとともに、従来と同様の暖房感覚が保持できる旨が記載してある。
【0004】
【特許文献1】実公昭57−126196号公報
【特許文献2】特開平10−97889号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2に記載の技術では、加熱対象者の体がシートに接触していないシート部位にも発熱手段が配設してある。これは、加熱対象者の体格、着座位置、着座姿勢等の変化に対応できるようにするため、座面部及び背面部の全面に亘って発熱手段を装着したものである。
【0006】
しかし、加熱対象者の体が接触していないシート部位を加温するのは効率的ではない。
【0007】
従って、本発明の目的は、加熱対象者の体が接触している部位のみを加温し、効率的な暖房を行えるヒータ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係るヒータ装置の第一特徴構成は、通電時に発熱する発熱手段と、少なくとも一方の電極を前記発熱手段に離間して対向配置するとともに、加熱対象者からの荷重により前記発熱手段に接触自在な正極及び負極と、前記少なくとも一方の電極及び前記発熱手段を離間させるスペーサと、を備え、前記加熱対象者からの荷重に応じた前記少なくとも一方の電極と前記発熱手段との接触領域の変化に基づいて、前記発熱手段における発熱状態が変更される点にある。
【0009】
即ち、加熱対象者の荷重が作用しない場合には、正極及び負極のうち少なくとも何れか一方の電極と発熱手段とがスペーサを介して離間する。このため、正極と負極との間では通電が行われず、発熱手段は発熱しない。一方、当該荷重が作用する場合には、発熱手段が、正極及び負極のうち少なくとも何れか一方の電極であって、発熱手段と離間している電極の側に撓んで両者が接触する。これにより、発熱手段に通電され、発熱手段が発熱する。
このように、本構成では、加熱対象者の体が接触している部位に加熱対象者からの荷重が作用すると、当該部位の発熱手段のみに通電され発熱するから、非常に効率的な暖房効果を得ることができる。
【0010】
また、本構成では、正極及び負極のうち少なくとも何れか一方の電極と発熱手段との接触領域の変化に基づいて、発熱手段における発熱状態が変更される。
接触領域は、加熱対象者の荷重に応じてその領域の大きさが決定される。即ち、当該荷重が大きい場合には例えば発熱手段の撓み変形が大きくなり、前記接触領域が大きくなる。この結果、発熱する発熱手段の領域が大きくなり、ヒータ装置全体としての通電量及び発熱量が増えることになる。
【0011】
本発明に係るヒータ装置の第二特徴構成は、前記正極及び負極は、前記発熱手段との接触状態において前記発熱手段を介して平行配置した点にある。
【0012】
発熱手段に荷重が作用し、発熱手段が撓み変形する場合、正極及び負極と発熱手段との接触により形成される接触領域の広さは、発熱手段に作用する荷重の大きさに略比例する。本構成では、発熱手段に接触した正極及び負極が平行となるように構成してある。よって、接触領域を形成する発熱手段に着目した場合、発熱手段の単位長さあたりの通電量は略一定となる。このため、夫々の接触領域において加熱対象者の荷重に応じた安定的な暖房効果が発揮される。
【0013】
本発明に係るヒータ装置の第三特徴構成は、前記正極及び負極は、前記発熱手段と前記スペーサを介して離間して対向配置された基材上に配設した点にある。
【0014】
本構成のように、正極及び負極の両電極を、発熱手段に対向する一方の側の基材上にそれぞれ配設することで、加熱対象者からの荷重によりヒータ装置が変形したとしても両電極どうしの間隔は変化し難い。よって、ヒータ装置に荷重が作用し、発熱手段に双方の電極が接触した場合に、接触領域の広さに応じた適切な発熱効果を得ることができる。このように、双方の電極を一つの基材上に形成することで、動作信頼性に優れたヒータ装置を得ることができる。
【0015】
本発明に係るヒータ装置の第四特徴構成は、前記正極及び負極のそれぞれは、幹部及び前記幹部から突出する複数の枝部を有する櫛歯体で構成してあり、前記正極の枝部及び前記負極の枝部が交互に並置されるように、両電極を同一平面上に配設した点にある。
【0016】
本構成のように、正極の枝部及び負極の枝部を交互に並置し、両電極を同一平面上に櫛歯状に配置することで、基材の広い面積に亘って正極と負極とを均等間隔に敷設することができる。櫛歯状の電極であるから、正極および負極の夫々は一本の電極で構成してある。よって、発熱手段に荷重が作用し、発熱手段に所定の撓み変形が生じた箇所では、双方の電極と発熱手段とが確実に導通する。よって、荷重作用状態に応じて加熱すべき領域を精度よく加熱することができるヒータ装置を得ることができる。
【0017】
本発明に係るヒータ装置の第五特徴構成は、前記スペーサに、開口した窓部を複数設けた点にある。
【0018】
本構成のように、スペーサに複数の窓部を形成することで、発熱手段に対する通電箇所を予め制限することができる。また、夫々の窓部の間には、スペーサによる仕切部が形成されることになる。よって、加熱対象者によって作用した荷重が過大である場合でも、発熱手段と両電極とが無制限に接触することを仕切部が阻止し、通電量を制限することができる。つまり、荷重が作用した任意の箇所の発熱手段を確実に発熱させつつ、過大な発熱を防止することができ、極めて効率的かつ合理的なヒータ装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
本発明は、車両のシート等の暖房を行うヒータ装置に関する。当該ヒータ装置は車両用シートに限らず、使用者が着座姿勢或いは横臥姿勢をとり得る椅子・ソファー・ベッド等に備えることも可能である。本実施形態では、車両用シートにヒータ装置を搭載した場合について説明する。
【0020】
図1〜図4に示したように、本発明のヒータ装置Xは、加熱対象者が着座するシート1に配設されて通電時に発熱する発熱手段30と、少なくとも一方の電極を発熱手段30に離間して対向配置するとともに、加熱対象者からの荷重により発熱手段30に接触自在な正極20A及び負極20Bとを備える。さらに、正極20A及び負極20Bのうち少なくとも何れか一方の電極と発熱手段30とを離間させるスペーサ40を備え、加熱対象者からの荷重に応じた少なくとも一方の電極と発熱手段30との接触領域Rの変化に基づいて、発熱手段30における発熱状態が変更される。
【0021】
車両には、搭乗者である加熱対象者の着座可能な複数の車両用シート1が搭載してある。このシート1の着座部を形成するシートクッション2には、平板状のヒータ本体10が着座部の面方向に沿わせて埋設してある。シート1の背もたれを形成するシートバック3にも同様にヒータ本体10が埋設してある。本実施形態では、このうちシートクッション2に埋設してあるヒータ装置Xを例に説明する。
【0022】
ヒータ本体10は、例えばシートクッション2の形状を作るポリウレタン材であるクッション体5と、シートクッション2の表面を被覆する布材又は革材からなる被覆材6との間に配設してある。ヒータ本体10は、クッション体5に対して位置ずれしないように、両面テープ・接着剤等の粘着部材によりクッション体5の上面に固定してある。
【0023】
ヒータ本体10の詳細を図2に示す。図2の上下方向は、シート1の前後方向に対応している。ヒータ本体10は幅方向(左右方向)に対称な構造を有する。ヒータ本体10は、内面側に発熱手段30を配設し、複数の樹脂フィルムを積層したフレキシブルなフィルム材で構成した基材11と、正極20A及び負極20Bを配設した基材16を有する。
さらにヒータ本体10は、電極を電源に接続するコネクタ13とハーネス14とを備える。
【0024】
ヒータ本体10は、一対の枠部15と、前後方向に所定の間隔をおいてそれぞれ幅方向内側に延出する梯子形状の延出部とを有する。これら7つの延出部は、夫々ユニットU1〜U7を形成する。各ユニットU1〜U7は、電極20・発熱手段30・スペーサ40を備える。スペーサ40は、例えばその両面に粘着材12を塗布して、スペーサに対して電極20あるいは発熱手段30が位置ズレするのを防止している。
【0025】
本実施形態では、正極20A及び負極20Bは、発熱手段30とスペーサ40を介して離間して対向配置された基材16上にそれぞれ配設してある。
これら正極20A及び負極20Bは基材16の上で互いに平行に配設する。
これは、発熱手段30に両電極20A及び負極20Bが接触する際の発熱量を安定化させるためである。即ち、発熱手段30に荷重が作用し、発熱手段30が撓み変形する場合、正極20A及び負極20Bと発熱手段30との接触により形成される接触領域Rの広さは、発熱手段30に作用する荷重の大きさに略比例する。本実施形態では、発熱手段30との接触状態において発熱手段30を介して正極20A及び負極20Bが平行となるように構成してある。
接触領域Rを形成する正極20A及び負極20Bに着目した場合、各電極間の距離は一定である。よって、接触領域Rが形成された箇所では、単位長さ当りの正極20Aと負極20Bとの間の発熱手段30には一定の電流が流れる。このため、接触領域Rの単位面積あたりの発熱量が略一定となる。このように、本実施形態のヒータ装置であれば、夫々の接触領域Rにおいて加熱対象者の荷重に応じた安定的な暖房効果を発揮することができる。
【0026】
特に本実施形態では、正極20A及び負極20Bを基材16の同一平面状に配置してある。当該基材16と、発熱手段30を設けたもう一方の基材11との間には、スペーサ40を挿入してある。これにより、双方の電極20A,20Bと発熱手段30とは、加熱対象者の荷重が作用していない場合に離間させることができる。
【0027】
さらに、正極20A,負極20Bのそれぞれは、図4に示すごとく、幹部22及び幹部22から突出する複数の枝部23を有する櫛歯体21で構成してある。ここでは、正極20Aは、幹部22A及び四本の枝部23A1〜23A4を有する櫛歯体21Aで構成してあり、負極20Bは幹部22B及び四本の枝部23B1〜23B4を有する櫛歯体21Bで構成してある。これらの構成により、正極20Aの枝部23及び負極20Bの枝部23は同一平面上で交互に並置される。
【0028】
正極20Aの枝部23及び負極20Bの枝部23を交互に並置し、両電極20A,20Bを同一平面上に配置することで、基材16の広い面積に亘って正極20Aと負極20Bとを均等間隔に敷設することができる。櫛歯状の電極であるから、正極20Aおよび負極20Bの夫々は一本の電極で構成してある。よって、発熱手段30に荷重が作用し、発熱手段30に所定の撓み変形が生じた箇所では、双方の電極20A,20Bと発熱手段30とが確実に導通する。よって、荷重作用状態に応じて加熱すべき領域を精度よく加熱することができるヒータ装置Xを得ることができる。
本実施形態では、正極20A,負極20Bのそれぞれを櫛歯体21で構成した場合について説明したが、このような態様に限られるものではない。
【0029】
発熱手段30は、加熱対象者が着座するシートクッション2に配設されて通電時に発熱する。
発熱手段30としては、例えば、低温時には電気抵抗が低くなり、高温時には電気抵抗が高くなる、いわゆるポジティブサーマルコントロール機能を有する発熱材(所謂PTCヒータ)を使用する。発熱手段30は、正極20A及び負極20B間が通電して電圧が供給されることで発熱する。
【0030】
スペーサ40は、正極20A,負極20Bのうちの少なくとも何れか一方の電極と発熱手段30との間に装入される。当該スペーサ40には、開口した窓部41を複数設けてある。
本実施形態では、矩形状に形成した四つの窓部41a〜41dが形成してある。窓部41の形状は矩形上に限らず、円形でもよい。
各窓部41a〜41dは、仕切部42a〜42cによって仕切られる。この仕切部42により発熱手段30を支持することができる。
このように、スペーサ40に複数の窓部41a〜41dを形成することで、発熱手段30に対する通電箇所を予め制限することができる。また、夫々の窓部41a〜41dの間に形成された仕切部42a〜42cは、仮に、加熱対象者によって作用した荷重が過大である場合でも、発熱手段30と両電極20A,20Bとが無制限に接触することを有効に阻止し、通電量を制限することができる。つまり、荷重が作用した任意の箇所の発熱手段30を確実に発熱させつつ、過大な発熱を防止することができ、極めて効率的かつ合理的なヒータ装置Xを得ることができる。
【0031】
加熱対象者の着座荷重が変化した場合の、当該ヒータ装置Xの発熱量の変化についてより詳細に説明する。当該ヒータ装置Xでは、双方の電極20A,20Bと発熱手段30との接触領域Rの変化に基づいて、発熱手段30における発熱状態が変更される。
即ち、加熱対象者の着座荷重がない場合には、正極20A,負極20Bと発熱手段30とがスペーサ40を介して離間し、正極20A,負極20Bが通電しない状態となっている(図3(a))。
一方、着座荷重がある場合には、発熱手段30が正極20A,負極20Bの側に撓んで接触し、正極20A,負極20Bが発熱手段30を介して通電する状態となる(図3(b))。
【0032】
本構成では、加熱対象者の体が接触しているシート部位のみに着座荷重が作用して正極20A,負極20Bが発熱手段30に通電し、当該発熱手段30が発熱する。
一方、加熱対象者の体が接触していないシート部位は、正極20A,負極20Bの少なくとも一方の電極と発熱手段30とがスペーサ40を介して離間しており、正極20A,負極20Bが発熱手段30に通電しないため発熱手段30は発熱しない。
このように、本構成であれば、発熱手段において着座荷重が作用している部位のみが発熱するため、効率的かつ合理的なヒータ装置Xを得ることができる。
【0033】
本構成では、双方の電極20A,20Bが一方の基材16に形成してある例を示した。しかし、これら電極の一方が発熱手段30の側に配設してあり、しかも、当該一方の電極が発熱手段30と常時短絡しているものであってもよい。このような構成であっても、発熱手段30が撓んだ際には双方の電極20A,20Bおよび発熱手段30が接触し、発熱手段30の通電箇所で所定の熱量を発生させることができる。
【0034】
〔別実施の形態1〕
上述した実施形態では、例えば正極20Aにおいて、隣接する枝部23A1〜23A4間の間隔は等間隔とした。しかし、このような態様に限られるものではなく、正極20A,負極20Bのそれぞれにおいて、隣接する枝部23間の間隔が異なった部位を形成することが可能である(図5)。
【0035】
例えば隣接する枝部23どうしの間隔が狭く設定してあると、着座荷重が作用したときに、発熱手段30に対して正極20A及び負極20Bから通電される際の通電抵抗が減少するため、発熱手段30には大きな電流が流れる。この結果、枝部23どうしの間隔が狭い箇所では、発熱量が増加する。
逆に、枝部23どうしの間隔が広い箇所では、両電極間の通電抵抗が増大し、発熱手段30での発熱量は減少する。
【0036】
〔別実施の形態2〕
上述した実施形態では、スペーサ40の厚みは一定の場合について説明した。しかし、これに限られるものではなく、スペーサ40の厚みを変化させる厚さ調整部50を形成してもよい(図6)。
厚さ調整部50は、正極20A,負極20Bと発熱手段30との離間距離を調節することができる。
厚さ調整部50によってスペーサ40の厚みを変化させた部位と、厚さ調整部50を配設しないためスペーサ40の厚みを変化させていない部位とにおいて、仮に着座荷重が同じ条件で作用したとき、正極20A,負極20Bと発熱手段30とが接触する領域やタイミングを、それぞれの部位によって異ならせることができる。
例えば、スペーサ40の厚みが厚い部分では、着座荷重が大きな場合でも通電し難くなるため、ヒータ装置の作動感度を鈍くすることができる。一方、スペーサ40の厚みが薄い箇所では、電極20A,20Bと発熱手段30とが接触し易くなり、作動感度を高めることができる。
【0037】
〔別実施の形態3〕
上述した実施形態では、単一の発熱手段30を使用した場合について説明した。しかし、これに限られるものではなく、発熱手段30は、異なる種類の発熱体を複数備えることが可能である(図外)。複数の発熱体は、それぞれの発熱量が異なる。
【0038】
仮に、異なる種類の発熱体に着座荷重が同じ条件で作用すれば、それぞれの発熱体において発熱量を異ならせることができる。
従って、本構成であれば、ヒータ装置Xの発熱量を部位によって変化させることができる。
【0039】
〔別実施の形態4〕
上述した実施形態では、電極20(正極20A,20B)・発熱手段30・スペーサ40の配置態様は、正極20A,負極20Bを同一平面状に配置し、一つのスペーサ40を両電極20A,20B及び発熱手段30の間に装入した場合について説明した。しかし、このような態様に限られるものではない。
【0040】
例えば、正極20A,負極20Bを同一平面状に配置せず、正極20Aと負極20Bの間に発熱手段30を装入し、二つのスペーサ40のそれぞれを、正極20A及び発熱手段30の間、負極20B及び発熱手段30の間に装入してもよい。
この場合、正極20Aおよび負極20Bは、それぞれ異なる基材に配設し、発熱手段30は基材に配設しない態様とすることができる。加熱対象者の着座荷重がヒータ装置Xに作用すると、発熱手段30の両側に位置する正極20Aおよび負極20Bが撓んで発熱手段30と接触し、正極20A,負極20Bが発熱手段30を介して通電する。発熱手段30は、当該着座荷重によって、ある程度撓むように構成すれば、ヒータ装置X全体が加熱対象者の着座荷重に応じた形状に変形し易くなり、正極20Aおよび負極20Bが発熱手段30と接触し易くなる。
【0041】
〔別実施の形態5〕
上記実施形態では、スペーサ40の形態として、開口した窓部41を複数設けた例を示した。しかし、この他にも、基材11と基材16との間に点状のスペーサを散点状に配置したものであってもよい。本構成であれば、加熱対象者の荷重が作用しない場合には、2枚の基材11,16どうしを確実に分離することができ、しかも、荷重が作用した場合には、当該位置において電極20A,20Bと発熱手段30とをより確実に接触させることができる。
この場合には、スペーサ40の厚みあるいは直径を適宜設定することで、電極20A,20Bと発熱手段30との接触感度を適宜調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明のヒータ装置を備えたシートを示した概略図
【図2】本発明のヒータ装置の概略図
【図3】ヒータ装置の要部断面図(図2のIII―III断面図)
【図4】ヒータ装置におけるユニットの斜視分解図
【図5】隣接する枝部間の間隔が異なった部位を形成した電極の概略図
【図6】厚さ調整部を形成したスペーサの概略図
【符号の説明】
【0043】
X ヒータ装置
R 接触領域
1 シート
11 基材
16 基材
20A 正極
20B 負極
21 櫛歯体
22 幹部
23 枝部
30 発熱手段
40 スペーサ
41 窓部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電時に発熱する発熱手段と、
少なくとも一方の電極を前記発熱手段に離間して対向配置するとともに、加熱対象者からの荷重により前記発熱手段に接触自在な正極及び負極と、
前記少なくとも一方の電極及び前記発熱手段を離間させるスペーサと、を備え、
前記加熱対象者からの荷重に応じた前記少なくとも一方の電極と前記発熱手段との接触領域の変化に基づいて、前記発熱手段における発熱状態が変更されるヒータ装置。
【請求項2】
前記正極及び負極は、前記発熱手段との接触状態において前記発熱手段を介して平行配置してある請求項1に記載のヒータ装置。
【請求項3】
前記正極及び負極は、前記発熱手段と前記スペーサを介して離間して対向配置された基材上に配設してある請求項1又は2に記載のヒータ装置。
【請求項4】
前記正極及び負極のそれぞれは、幹部及び前記幹部から突出する複数の枝部を有する櫛歯体で構成してあり、
前記正極の枝部及び前記負極の枝部が交互に並置されるように、両電極を同一平面上に配設してある請求項1〜3の何れか一項に記載のヒータ装置。
【請求項5】
前記スペーサに、開口した窓部を複数設けた請求項1〜4の何れか一項に記載のヒータ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−40186(P2010−40186A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−198104(P2008−198104)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】