説明

ピアツーピアファイル交換システムおよびピアツーピアファイル交換サーバ

【課題】モバイルIPネットワークのモバイルノード間でピアツーピアファイル交換をする場合にも、所定のモバイルノードによるファイル交換を制限すること。
【解決手段】複数のモバイルノードと該モバイルノードが提供するファイルのファイル一覧を公開するためのサーバとを備えた中央サーバ型のピアツーピアファイル交換システムにおいて、前記モバイルノードは、ファイル交換の際、当該モバイルノードに固有のホームアドレスを含むモバイルIPパケットを前記サーバに送信する。前記サーバは、ファイルの提供を制限するモバイルノードについてのホームアドレスに関する情報を記憶し、前記モバイルノードから送信されたホームアドレスがファイルの提供を制限するモバイルノードのホームアドレスとして記憶されているときは、該モバイルノードのファイル交換に関する処理を制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はピアツーピアファイル交換システムおよびピアツーピアファイル交換サーバに関し、違法なファイル交換を防止するピアツーピアファイル交換システムおよびピアツーピアファイル交換サーバに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットを利用して不特定多数の個人間でファイルのやり取りを直接行なうピアツーピアファイル交換システムが注目を集めている。このようなピアツーピアファイル交換システムでは、多数のコンピュータ(以下、PCという)を相互につないで、インターネットを介して音楽等のファイルを共有することができる。このようなピアツーピアファイル交換システムは、以下に示す中央サーバ型と純粋型とに分けられる。
【0003】
中央サーバ型は、中央サーバと複数のユーザPC(ここではユーザPC1とユーザPC2)とが図12に示すようなシーケンスでファイル交換を行うシステムである。図12において、ユーザPC1とユーザPC2とは、それぞれ中央サーバと接続して(S501、S503)、それぞれのユーザPCに保存されているファイルのリストを中央サーバに送信し公開する(S502、S504)。このようにしてユーザPC1とユーザPC2とは中央サーバを通じてユーザ間のファイルリスト情報を共有する。あるユーザPCPC1が、他のユーザPC2の所持するファイルをファイルリスト情報から検索して(S505)、中央サーバにダウンロード要求すると(S506)、中央サーバがそのダウンロード要求をユーザPC2に通知する(S507)。
【0004】
この通知後、ユーザPC1とユーザPC2とが直接接続して、ユーザPC1はユーザPC2が所持するファイルをダウンロードすることができる(S508)。このように、中央サーバ型のシステムでは、中央サーバはファイル検索データベース(ファイルリスト情報)の提供とユーザの接続管理のみを行っており、データ自体のやり取りはユーザ間の直接接続によって行われている。
【0005】
一方の純粋型は、情報を管理する中央サーバがなく、すべての情報がバケツリレー式に複数のユーザPC1、PC2、PC3、・・・間を流通するものであり、図13にそのシーケンスを示す。図13において、所定のファイルを要求するクライアントであるユーザPC1は、サーバとなったユーザPC2へ接続し(S601)、ファイルの存否を問い合わせる(S602)。ユーザPC1は、ユーザPC2が目的のファイルを所持してなければ、次にサーバとなるユーザPC3へ接続する(S607)。ユーザPC3も目的のファイルを所持してなければ次のユーザPCへ接続する。
【0006】
ユーザPC2にファイルがあり(S603)、ファイルを所持するユーザPC2がユーザPC1に結果を通知したら(S604)、クライアントとしてのユーザPC1は、サーバのユーザPC2にダウンロードを直接要求して(S605)、ファイルのダウンロードを直接行う(S606)。
【0007】
こういったピアツーピアファイル交換システムでは、近年、著作権保護の問題や違法なデータの流通などのさまざまな問題が浮上している。そのため、悪質なユーザによるファイル提供を防ぐ必要がある。
【0008】
このような問題に対し、たとえば中央サーバ型のシステムでは、中央サーバがユーザPCのアドレスに基づいてユーザPCを管理して、過去に違法行為を行ったユーザPCがファイルを送信しようとしたらそれを禁止することによって、違法な行為が繰り返されるのを防いでいる。
【0009】
一方の純粋型のシステムでは、中央サーバがないため、中央サーバ型のような方法で違法行為の防止を図ることはできない。そこで、特許文献1では、アクセス権を管理するサーバを別途設けておき、サーバがユーザPCからのアクセス権の問い合わせをうけて、アドレスなどのユーザPCに固有の情報をもとにアクセス権を判断し、その判断結果をユーザPCに返信することにより、適正なファイル交換が行われるようにしている。
【特許文献1】特開2003−122635号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来のピアツーピアファイル交換技術によれば、IPアドレスに基づいたユーザPCの管理により適正なファイル交換を行うことができたが、上記従来技術はそもそもIPアドレスが固定的に付与されるIPネットワークを前提とした技術であるために、モバイルIPネットワークのようにネットワークを移動する毎にユーザPCのIPアドレスが変わってしまうような場合は、もはやIPアドレスに基づいたユーザPCの管理はできない。
【0011】
すなわち、モバイルIPでは、ユーザPCが別のエリアに移動するとユーザPCのアドレス(気付アドレス)が変わるため、ユーザが違法行為を行っても移動すればまたファイル送信が行えてしまい、悪質なユーザによるファイル交換を制限することができないという問題があった。
【0012】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、モバイルIP技術を用いたP2Pファイル交換システムにおいて、違法な行為を行ったユーザが再びファイルを送信するのを完全に防ぐことができるピアツーピアファイル交換システムおよびピアツーピアファイル交換サーバを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明のピアツーピアファイル交換システムは、複数のモバイルノードと該モバイルノードが提供するファイルのファイル一覧を公開するためのサーバとを備え、ピアツーピア通信によりモバイルノード間でファイル交換を実行する中央サーバ型のピアツーピアファイル交換システムにおいて、前記モバイルノードは、前記ファイル交換の際、当該モバイルノードに固有のホームアドレスを含むモバイルIPパケットを前記サーバに送信するアドレス情報送信手段を備え、前記サーバは、ファイルの提供を制限するモバイルノードについてのホームアドレスに関する情報を記憶させた制限情報記憶手段と、前記モバイルノードから送信されたホームアドレスが前記制限情報記憶手段にファイルの提供を制限するモバイルノードのホームアドレスとして記憶されているときは、該モバイルノードのファイル交換に関する処理を制限するファイル交換制限手段と、を備えたものである。
【0014】
また、本発明のピアツーピアファイル交換サーバは、複数のモバイルノードがピアツーピア通信によりモバイルノード間でファイル交換を実行する際に、該モバイルノードが提供するファイルのファイル一覧を公開する中央サーバ型のピアツーピアファイル交換サーバにおいて、前記ファイル交換の際、前記モバイルノードから該モバイルノードに固有のホームアドレスを含むモバイルIPパケットを受信するアドレス情報受信手段と、ファイルの提供を制限するモバイルノードについてのホームアドレスに関する情報を記憶させた制限情報記憶手段と、前記モバイルノードから送信されたホームアドレスが前記制限情報記憶手段にファイルの提供を制限するモバイルノードのホームアドレスとして記憶されているときは、該モバイルノードのファイル交換に関する処理を制限するファイル交換制限手段と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ファイル交換の際に、モバイルノードに固有のホームアドレスを含むモバイルIPパケットを受信して、そのホームアドレスがファイル提供を制限するモバイルノードのものであると判定したときには、そのモバイルノードのファイル交換に関する処理を制限するので、モバイルIPネットワークのモバイルノード間でピアツーピアファイル交換をする場合にも、所定のモバイルノードによるファイル交換を制限することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の第1の発明のピアツーピアファイル交換システムは、複数のモバイルノードと該モバイルノードが提供するファイルのファイル一覧を公開するためのサーバとを備え、ピアツーピア通信によりモバイルノード間でファイル交換を実行する中央サーバ型のピアツーピアファイル交換システムにおいて、前記モバイルノードは、前記ファイル交換の際、当該モバイルノードに固有のホームアドレスを含むモバイルIPパケットを前記サーバに送信するアドレス情報送信手段を備え、前記サーバは、ファイルの提供を制限するモバイルノードについてのホームアドレスに関する情報を記憶させた制限情報記憶手段と、前記モバイルノードから送信されたホームアドレスが前記制限情報記憶手段にファイルの提供を制限するモバイルノードのホームアドレスとして記憶されているときは、該モバイルノードのファイル交換に関する処理を制限するファイル交換制限手段と、を備えたものである。
【0017】
この構成により、ファイル交換の際に、モバイルノードに固有のホームアドレスを含むモバイルIPパケットを受信して、そのホームアドレスがファイル提供を制限するモバイルノードのものであると判定したときには、そのモバイルノードのファイル交換に関する処理を制限するので、モバイルIPネットワークのモバイルノード間でピアツーピアファイル交換をする場合にも、所定のモバイルノードによるファイル交換を制限するという作用効果を有する。
【0018】
本発明の第2の発明のピアツーピアファイル交換システムは、第1の発明において、前記モバイルノードは、自ノードが提供するファイルのファイル一覧を前記サーバに送信するファイル一覧送信手段をさらに備え、前記サーバは、ファイル提供側の前記モバイルノードから送信された前記モバイルIPパケットに含まれるホームアドレスを気付アドレスと関連付けて記憶するモバイルノード情報記憶手段と、ファイル提供側の前記モバイルノードから受信した前記ファイル一覧を送信元の気付アドレスと対応付けて記憶するファイル一覧記憶手段とをさらに備え、前記ファイル交換制限手段は、ファイル要求側の前記モバイルノードからファイル一覧記憶手段に記憶されたファイル一覧に含まれるファイルの提供の要求を受け付けると、当該要求にかかるファイルを含むファイル一覧に対応する気付アドレスをファイル一覧記憶手段から取得し、取得した気付アドレスに対応するホームアドレスを前記モバイルノード情報記憶手段から取得し、取得したホームアドレスがファイルの提供を制限するものとして前記制限情報記憶手段に記憶されているか否かにより提供元のモバイルノードのファイルの提供の可否を判定して、ファイルの提供が可であると判定したモバイルノードのみファイルの提供を可能とするものである。
【0019】
この構成により、変動するアドレス(気付アドレス)に対応付けられたファイル一覧中のファイルの提供の要求を受けた場合にも、変動するアドレスをモバイルノードに固有のアドレス(ホームアドレス)に変換してファイルの提供の可否を判断するので、モバイルIPネットワークのモバイルノード間でピアツーピアファイル交換をする場合にも、所定のモバイルノードによるファイル提供を制限することができるという作用効果を有する。
【0020】
本発明の第3の発明のピアツーピアファイル交換サーバは、複数のモバイルノードがピアツーピア通信によりモバイルノード間でファイル交換を実行する際に、該モバイルノードが提供するファイルのファイル一覧を公開する中央サーバ型のピアツーピアファイル交換サーバにおいて、前記ファイル交換の際、前記モバイルノードから該モバイルノードに固有のホームアドレスを含むモバイルIPパケットを受信するアドレス情報受信手段と、ファイルの提供を制限するモバイルノードについてのホームアドレスに関する情報を記憶させた制限情報記憶手段と、前記モバイルノードから送信されたホームアドレスが前記制限情報記憶手段にファイルの提供を制限するモバイルノードのホームアドレスとして記憶されているときは、該モバイルノードのファイル交換に関する処理を制限するファイル交換制限手段と、を備えたものである。
【0021】
この構成により、ファイル交換の際に、モバイルノードに固有のホームアドレスを含むモバイルIPパケットを受信して、そのホームアドレスがファイル提供を制限するモバイルノードのものであると判定したときには、そのモバイルノードのファイル交換に関する処理を制限するので、モバイルIPネットワークのモバイルノード間でピアツーピアファイル交換をする場合にも、所定のモバイルノードによるファイル交換を制限するという作用効果を有する。
【0022】
本発明の第4の発明のピアツーピアファイル交換サーバは、第3の発明において、ファイル提供側の前記モバイルノードから当該モバイルノードが提供するファイルのファイル一覧を受信するファイル一覧送信手段と、ファイル提供側の前記モバイルノードから送信された前記モバイルIPパケットに含まれるホームアドレスを気付アドレスと関連付けて記憶するモバイルノード情報記憶手段と、ファイル提供側の前記モバイルノードから受信した前記ファイル一覧を送信元の気付アドレスと対応付けて記憶するファイル一覧記憶手段とをさらに備え、前記ファイル交換制限手段は、ファイル要求側の前記モバイルノードからファイル一覧記憶手段に記憶されたファイル一覧に含まれるファイルの提供の要求を受け付けると、当該要求にかかるファイルを含むファイル一覧に対応する気付アドレスをファイル一覧記憶手段から取得し、取得した気付アドレスに対応するホームアドレスを前記モバイルノード情報記憶手段から取得し、取得したホームアドレスがファイルの提供を制限するものとして前記制限情報記憶手段に記憶されているか否かにより提供元のモバイルノードのファイルの提供の可否を判定して、ファイルの提供が可であると判定したモバイルノードのみファイルの提供を可能とするものである。
【0023】
この構成により、変動するアドレス(気付アドレス)に対応付けられたファイル一覧中のファイルの提供の要求を受けた場合にも、変動するアドレスをモバイルノードに固有のアドレス(ホームアドレス)変換してファイルの提供の可否を判断するので、モバイルIPネットワークのモバイルノード間でピアツーピアファイル交換をする場合にも、所定のモバイルノードによるファイル提供を制限することができるという作用効果を有する。
【0024】
本発明の第5の発明のピアツーピアファイル交換システムは、複数のモバイルノードを備え、ピアツーピア通信によりモバイルノード間でファイル交換を実行する純粋型のピアツーピアファイル交換システムにおいて、前記モバイルノードと通信可能なサーバを備え、前記モバイルノードは、前記ファイル交換の際、当該モバイルノードに固有のホームアドレスを含むモバイルIPパケットを前記サーバに送信するアドレス情報送信手段を備え、前記サーバは、ファイルの提供を制限するモバイルノードについてのホームアドレスに関する情報を記憶させた制限情報記憶手段と、前記モバイルノードから送信されたホームアドレスが前記制限情報記憶手段にファイルの提供を制限するモバイルノードのホームアドレスとして記憶されているときは、該モバイルノードのファイル交換に関する処理を制限するファイル交換制限手段と、を備えたものである。
【0025】
この構成により、ファイル交換の際に、モバイルノードに固有のホームアドレスを含むモバイルIPパケットを受信して、そのホームアドレスがファイル提供を制限するモバイルノードのものであると判定したときには、そのモバイルノードのファイル交換に関する処理を制限するので、モバイルIPネットワークのモバイルノード間でピアツーピアファイル交換をする場合にも、所定のモバイルノードによるファイル交換を制限するという作用効果を有する。
【0026】
本発明の第6の発明のピアツーピアファイル交換システムは、第5の発明において、前記モバイルノードは、提供するファイルのファイル一覧をファイル要求側の前記モバイルノードに閲覧させて該ファイル一覧に含まれるファイルの提供の要求を受け付けると、当該要求にかかるファイルの提供の是非を問い合わせる問い合わせ情報を前記サーバに送信する問い合わせ手段をさらに備え、前記ファイル交換制限手段は、ファイル提供側の前記モバイルノードからの問い合わせ情報を受信すると、前記問い合わせ情報の送信元の気付アドレスに対応するホームアドレスを前記モバイルノード情報記憶手段から取得し、取得したホームアドレスがファイルの提供を制限するものとして前記制限情報記憶手段に記憶されているか否かにより提供元のモバイルノードのファイルの提供の可否を判定して、ファイルの提供が可であると判定したモバイルノードのみファイルの提供を可能とするものである。
【0027】
この構成により、変動するアドレス(気付アドレス)のモバイルノードは、サーバにファイルの提供可否の問い合わせを行い、問い合わせを受けると、サーバは、問い合わせ元のモバイルノードの変動するアドレスをモバイルノード固有のアドレス(ホームアドレス)に変換してファイルの提供の可否を判断するので、モバイルIPネットワークのモバイルノード間でピアツーピアファイル交換をする場合にも、所定のモバイルノードによるファイル提供を制限することができるという作用効果を有する。
【0028】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
(実施の形態1)
実施の形態1のピアツーピアファイル交換システムは、サーバによりファイル検索データベースの提供と端末装置の接続管理とを行ういわゆる中央サーバ型のピアツーピアファイル交換システムである。
【0029】
図1は、実施の形態1にかかるピアツーピアファイル交換システムの全体構成を示すものである。図1において、端末装置10、端末装置20、その他の複数の端末装置がネットワーク40を介してサーバ装置30(中央サーバ)と接続している。本ピアツーピアファイル交換システムでは、複数の端末装置10、20・・・がサーバ装置30にログインし、Binding Updateにより各自固有のホームアドレス情報と公開するファイルの一覧情報をサーバ装置30に送信する。その後、例えば、端末装置10がサーバ装置30に公開されているファイル一覧から(端末装置20の)あるファイルを検索し、見つけた後、サーバ装置30にそのファイルのダウンロード要求を送信する。サーバ装置30は端末装置10のダウンロード要求を受信すると、制限する端末装置のホームアドレスリストを参照して、そのリスト中にファイル提供側である端末装置20のホームアドレスが含まれているか(制限に該当するか)を確認する。制限に該当する(リストに含まれる)場合は、端末装置10からのダウンロード要求を拒否する。制限に該当しない(リストに含まれない)場合は、端末装置10からのダウンロード要求を提供側の端末装置20に通知する。端末装置20はサーバ装置30からの通知を受け、端末装置10から該当するファイルを直接ダウンロードできるように次のステップに進む。
【0030】
次に、実施の形態1のピアツーピアファイル交換システムを構成する各装置について説明する。まず、図2を用いて端末装置について説明する。図2は、実施の形態1にかかる端末装置の内部構成を示すものである。図2においては、端末装置10を例に挙げて説明するが、他の端末装置20・・・も同様な内部構成を有する。
【0031】
図2において、端末装置10は、データベース(DBと略す)11、主要機能部15、ネットワーク通信部19を備えている。また、DB11には、ダウンロード情報12、公開ファイル情報13、ホームアドレス情報14が含まれている。主要機能部15は、OS18、MIP MN機能部17、P2P端末用アプリ16を備えている。
【0032】
MIP MN機能部17は、サーバ装置30に端末装置10のホームアドレス情報14として端末装置10のホームアドレスと気付アドレスとの対応付け情報をホームアドレスを含むモバイルIPパケットとして送信する。またP2P端末用アプリ16は、公開ファイル情報13の一覧情報(ファイル一覧)をサーバ装置30へ公開するとともに、サーバ装置30からの許可を得た上で他の端末装置20、・・・からの該当するファイルの直接ダウンロードを行う。
【0033】
また、OS18は、MIP MN機能部17やP2P端末用アプリ16の機能の実現に基本の実行環境を提供し、ネットワーク通信部19は、他の端末装置20、・・・やサーバ装置30との通信を行うためにネットワーク40への送受信を行う。
【0034】
次に、図3を用いてサーバ装置について説明する。図3は、実施の形態1にかかるサーバ装置30の内部構成を示すものである。サーバ装置30は、DB31、主要機能部35、ネットワーク通信部39を備えている。またDB31には、端末公開ファイル一覧32、端末ホームアドレス表33、制限ホームアドレスリスト34が含まれている。
【0035】
主要機能部35は、OS38、MIP HA機能部37、P2Pサーバ用アプリ36とを備えている。MIP HA機能部37は、端末装置から送信してきた端末装置のホームアドレスと気付アドレスとの対応付け情報を受信して、キャッシュ(Binding Cache)であるDB31に端末ホームアドレス表33として記憶する。
【0036】
また、P2Pサーバ用アプリ36は、端末装置10、20、・・・からの接続要求、ログイン要求、ファイル一覧公開要求、サーバのファイル一覧からのファイル検索要求、検索で見つけたファイルのダウンロード要求を対応した動作を行う。
【0037】
P2Pサーバ用アプリ36は、特に、端末装置10、20、・・・からのファイルダウンロード要求に応じ、制限ホームアドレスリスト34を参照して、ファイル提供側である端末装置20のホームアドレスが制限に該当するか否か(リストに含まれているか否か)を確認する。問題がなければ(制限に該当しなければ)、ダウンロード要求を提供側の端末装置に通知し、端末装置間の直接ダウンロードを成功させる。問題があれば(制限に該当すれば)、端末装置からのダウンロード要求を拒否する。
【0038】
また、OS38は、MIP HA機能部37、P2Pサーバ用アプリ36が機能の実現に基本の実行環境を提供し、ネットワーク通信部39は、内外の送受信を行う。
【0039】
ここで、サーバ装置30のDB31に格納されている端末ホームアドレス表33と制限ホームアドレスリスト34と端末公開ファイル一覧32との構成について説明する。図4は、サーバ装置のDB31に格納されている端末ホームアドレス表33の例を示すものである。この端末ホームアドレス表33には、端末装置のMIP MN機能部17(図2参照)により送信された端末装置のホームアドレス(Home Address)と気付アドレス(Care−of Address)との対応付け情報が記憶されている。
【0040】
気付アドレスは、端末装置が現在物理的に接続したネットワークで割り当てられるIPアドレスである。ホームアドレスは、端末装置の固定識別子としての常に一意なアドレスであり、端末装置が他のネットワークに移動前にもともと接続していたネットワーク(ホーム・ネットワーク)で割り当てられたアドレスであって、端末装置に割り当てられたアドレスである。端末装置は、モバイルIPの仕組みによって、移動後もこのアドレス(ホームアドレス)と移動後のアドレス(気付アドレス)との関連付けがなされる。
【0041】
図5は、サーバ装置のDBに格納されている制限ホームアドレスリスト34の例を示すものである。制限ホームアドレスリスト34には、例えば、端末装置Xを制限しようとした時に、P2Pサーバ用アプリ36によって、端末装置Xのホームアドレス(Home Address_Tx)が記憶されることになる。制限ホームアドレスリスト34への記憶は、ユーザが外部から適宜入力してもよい。
【0042】
また、制限ホームアドレスリスト34には、参考情報として、気付アドレスや制限情報なども記憶することが考えられる。図5に示す例では、参考情報として気付アドレスと制限情報とが記憶されている。制限情報は、常時禁止、一時禁止など、さらに詳細に制限を行うための情報である。
【0043】
図6は、サーバ装置のDBに格納されている端末公開ファイル一覧32の例を示すものである。この端末公開ファイル一覧32には、端末装置のP2P端末用アプリ16(図2参照)により送信された端末装置の公開ファイル情報(図6ではファイル名)の一覧情報と送信元の端末装置の気付アドレス(Care−of Address)との対応付け情報が記憶されている。図6では、公開ファイルの一覧情報として、公開ファイルのファイル名、サイズ、形式を一例として示している。サーバ装置30のP2Pサーバ用アプリが、端末装置から公開ファイル情報の一覧情報を受け取ると、その送信元の気付アドレスに対応付けて、受け取ったファイル一覧を図6に示すような端末公開ファイル一覧32として記憶する。
【0044】
図3のサーバ装置30において、P2P端末用アプリ16は、端末装置10からのファイルダウンロード要求に応じて、その要求をファイルの提供側の端末装置20へ通知する前に、まず、端末公開ファイル一覧32を参照して、要求されたファイルの公開ファイル情報の一覧情報と対応付けられている気付アドレスを取得して、端末ホームアドレス表33を参照して、取得した気付アドレスに対応するホームアドレスを取得し、この制限ホームアドレスリスト34に、ファイル提供側の端末装置20のホームアドレス(取得したホームアドレス)が入っているか否かを確認する。その確認結果に基づき、端末装置間のピアツーピアファイル交換を成功させるか否かを判定する。
【0045】
次に、実施の形態1の中央サーバ型ピアツーピアファイル交換システムの動作について説明する。図7は、実施の形態1の中央サーバ型ピアツーピアファイル交換システムのシーケンスを示している。図7において、モバイルノード機能(MN)を有する端末装置10と、モバイルノード機能(MN)を有する端末装置20と、ホームエージェント(HA)機能とピアツーピアサーバサービス及び端末制限機能を有するサーバ装置30(中央サーバ)とがやり取りをしている。
【0046】
まず、端末装置20は、ピアツーピアクライアントとして、サーバ装置30にログインし、Binding Updateによりサーバ装置30に端末装置20自身のホームアドレス(HoA)と気付アドレス(CoA)との対応付けについての更新情報を送信する(S101)。このBinding Updateによる更新情報の送信は、通常のモバイルネットワークを移動したときの送信とは別に、後述するファイル一覧を送信する際に送信されるものである。
【0047】
端末装置20からのBinding Update更新情報を受け取って更新を行うと、サーバ装置30は、更新に成功したことをBinding Ack(Binding Acknowledgement)として端末装置20へ通知する(S102)。
【0048】
端末装置20は、端末装置20自身が公開するファイル一覧情報をサーバ装置30へ送信する(S103)。一方、端末装置10とサーバ装置30との間でも同じ流れで、シーケンスS104からシーケンスS106を実行する。
【0049】
次に、端末装置10は、サーバ装置30のファイルリストから端末装置20が公開するあるファイルを検索し(S107)、見つけた場合、そのファイルのダウンロード要求をサーバ装置30に送信する(S108)。端末装置10からのファイルダウンロード要求を受け取った後、サーバ装置30は、要求にかかるファイルを提供する端末装置20の気付アドレスを端末公開ファイル一覧32から取得し、取得した気付アドレスに対応するホームアドレスを端末ホームアドレス表33から取得し、制限ホームアドレスリスト34を参照し、該当するファイルを持っている端末装置20のホームアドレスが制限ホームアドレスリスト34に入っているか(制限に該当するか)確認する(S109)。
【0050】
制限ホームアドレスリスト34に入っていなければ(制限に該当しなければ)、サーバ装置30は、端末装置10からのダウンロード要求を端末装置20へ通知し(S110)、それから、端末装置10が端末装置20から直接該当するファイルをダウンロードする(S111)。
【0051】
一方、制限ホームアドレスリスト34に入っていれば(制限に該当すれば)、サーバ装置30は、端末装置10からのダウンロード要求を端末装置20へ通知せず、端末装置10からのダウンロード要求を拒否する。
【0052】
次に、図7のシーケンス図上に各装置の動作のフローチャートを示す図8を用いて、中央サーバ型ピアツーピアファイル交換システムの動作をさらに詳細に説明する。
【0053】
図8は、実施の形態1の中央サーバ型ピアツーピアファイル交換システムのサーバ装置30(中央サーバ)と端末装置10、20との処理手順を示すフローチャートである。サーバ装置30は、ホームエージェント(HA)機能とピアツーピアサーバサービス及び端末制限機能を有しており、端末装置10および端末装置20は、ピアツーピアクライアント機能以外にモバイルノード機能(MN)も有している。
【0054】
まず、端末装置20は、サーバ装置30にアクセスしてログインする。それから、Binding Updateにより端末装置20自身のホームアドレス(HoA)と気付アドレス(CoA)の対応付け更新情報をサーバ装置30に送信する(ステップS201)。サーバ装置30は、端末装置20のBinding Update更新情報を受け取って、Binding Updateにより端末ホームアドレス表33の端末装置20のホームアドレスと気付アドレスとの対応付けの更新を行い(ステップS202)、その後更新に成功したことを端末装置20に通知する(ステップS203)。
【0055】
この通知を受けると、端末装置20は公開するファイル一覧情報を自身の気付アドレスを送信元としてサーバ装置30へ送信(ステップS204)し、サーバ装置30は、端末公開ファイル一覧32の更新を行って他の端末装置から見られるようにファイル一覧情報が公開される。端末公開ファイル一覧32の更新は、サーバ装置30において、P2Pサーバ用アプリ36が、受信したファイル一覧情報と送信元である端末装置20の気付アドレスとの関連付けによって行う。
【0056】
端末装置10は、端末装置20のステップS201とステップS204と同じような動作を実行し(ステップS205、ステップS208)、一方のサーバ装置30は、ステップS202と同じように端末装置10のBinding Update更新情報を受け取って、Binding Updateにより端末ホームアドレス表33の端末装置10のホームアドレスと気付アドレスとの対応付けの更新を行い(ステップS206)、Binding Ackを端末装置10へ送信して(ステップS207)、公開ファイル一覧の更新を行う(ステップS208)。
【0057】
その後、端末装置10は、サーバ装置30の端末公開ファイル一覧32から(端末装置20が公開した)あるファイルを検索し(ステップS209)、サーバ装置30は、その検索結果(検索したファイルがあること)を端末装置10に送信する(ステップS210)。
【0058】
検索結果を受けると、端末装置10は、検索で見つけたファイルのダウンロード要求をサーバ装置30に送信する(ステップS211)。サーバ装置30は、ダウンロード要求に応じて、まず、提供側である端末装置20のホームアドレス(HoA)が、制限ホームアドレスリスト34に入っているか否かを確認する(ステップS212)。
【0059】
ステップS212の制限の確認は、サーバ装置30において、P2Pサーバ用アプリ36が、ダウンロード要求に応じて、まず、端末公開ファイル一覧32を参照して、ダウンロード要求を受けたファイルの提供側である端末装置20の気付アドレス(CoA)を特定し、端末ホームアドレス表33を参照して、特定した気付アドレス(CoA)からホームアドレス(HoA)に変換し、さらに、制限ホームアドレスリスト34を参照して、そのホームアドレス(HoA)が制限に該当するかを確認することによって行う。
【0060】
制限ホームアドレスリスト34に入っていれば(制限に該当すれば)、サーバ装置30は、ダウンロード不可のメッセージを端末装置10に通知する(ステップS213)。端末装置10は、サーバ装置30からの通知内容を判別し(ステップS216)、不可通知と判別した場合、何もせずに待機状態に入る。
【0061】
一方、制限ホームアドレスリスト34に入ってなければ(制限に該当しなければ)、端末装置10のダウンロード要求をそのまま端末装置20に転送し(ステップS214)、ダウンロードの許可を端末装置10に通知する(ステップS215)。S216で許可通知と判別した場合、端末装置10は、(許可通知に含まれるファイルの提供側である端末装置20の気付アドレスをもとに端末装置20と接続して、)端末装置20から直接該当するファイルをダウンロードする(ステップS217)。
【0062】
このように、中央サーバ型ピアツーピアファイル交換システムにおいて、Mobile IP(モバイルIP)技術を用いて端末装置間(ユーザ間)においてファイル交換する際に、気付アドレスとホームアドレスとの対応付け(バインディング)を記憶したホームエージェントにファイル提供側である端末装置のホームアドレスをキーワードにした制限情報を備え、この情報によって端末装置のファイル提供を制限するので、モバイルIPのようにネットワークを移動してファイル提供側の端末装置のアドレスが変わってしまうような場合でも、端末装置による違法なファイル交換行為を防ぐことを実現できる。
【0063】
また、端末装置10、20・・・は、ファイル一覧を公開するためにログインするときに、自身のホームアドレス(HoA)と気付アドレス(CoA)との対応付けの更新情報を送信することにより、端末ホームアドレス表33が常に最新の状態に更新されるので、気付アドレスを確実に対応するホームアドレスに変換してファイルの提供の可否を判定することができる。
【0064】
以上の実施の形態1では、端末装置10、20・・・からのファイル提供の要求を受けてから提供側の端末装置のホームアドレスが制限に該当するか否かを確認する構成であったが、端末装置10、20・・・がサーバ装置30に自分固有のホームアドレス情報を公開する際にサーバ装置が制限ホームアドレスリスト34を参照しながら、端末装置のホームアドレスが制限に該当するか否かを確認し、問題があれば、その以降のサーバサービスの使用はすべて禁止するような構成でもよい。
【0065】
また、実施の形態1では、端末装置10や端末装置20がファイル一覧情報をサーバ装置30に送信するときに行うBinding Update(自身のホームアドレスと気付アドレスとの対応付けについて更新情報を送信する)のみを説明したが、もちろん、Binding Updateを行う時期は、ファイル一覧情報をサーバ装置30に送信する際であればよく、具体的には、ファイル一覧情報をサーバ装置30に送信するときのみに行う、ネットワーク移動したときにのみ行う、またはその両方の時期のいずれでもよい。このBinding Updateは、ファイル一覧情報をサーバ装置30に送信するときに行うと、確実に最新のホームアドレスと気付アドレスとの対応付けが得られるので好ましい。また、Binding Updateをネットワーク移動したときに行う場合は、サーバ装置30としてモバイルIPのホームエージェントとして機能するサーバを利用できるので、本発明のサーバ装置30とホームエージェントとして別々のサーバを設ける必要がなくなり、省コストと省スペースを同時に実現できる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2のピアツーピアファイル交換システムについて説明する。実施の形態1のピアツーピアファイル交換システムは、実施の形態1と異なり、ファイル検索データベースの情報を管理するいわゆる中央サーバがなく、すべての情報がバケツリレー式に利用者の間を流通する、いわゆる純粋型のピアツーピアファイル交換システムである。
【0066】
実施の形態2の純粋型ピアツーピアファイル交換システムの全体構成は、図1に示す実施の形態1の中央サーバ型ピアツーピアファイル交換システムの全体構成と同じであり、実施の形態2にかかる端末装置10、20、・・・の内部構成は、実施の形態1の端末装置10、20、・・・の内部構成と同じであるのでこれらの説明は省略する。
【0067】
図9は、実施の形態2にかかるサーバ装置30(管理サーバ)の内部構成を示すものである。サーバ装置30(管理サーバ)は通常のモバイルIPシステムのHA(ホームエージェント)機能を有しており、DB31、主要機能部35、ネットワーク通信部39を備えている。
【0068】
DB31には、端末のファイル提供履歴41、端末ホームアドレス表33、制限する端末のホームアドレスリスト34が含まれている。主要機能部35は、OS38、MIP HA機能部37、P2Pサーバ用アプリ36を備えている。
【0069】
MIP HA機能部37は、端末装置から送信してきた端末装置のホームアドレスと気付アドレスとの対応付け情報を受信し、キャッシュ(Binding Cache)であるDB31に端末ホームアドレス表33として記憶することができる。
【0070】
P2Pサーバ用アプリ36は、端末装置から送信される、提供しようとするファイル情報を受信し、端末のファイル提供履歴41に履歴することもできる。また、P2Pサーバ用アプリ36は、端末装置から他の端末装置へファイルを提供していいか否かの問い合わせを受けると、端末ホームアドレス表33を参照して、問い合わせを行った提供側の端末装置の現在のアドレス(気付アドレス)からホームアドレスを特定する。さらにP2Pサーバ用アプリ36は、制限ホームアドレスリスト34を参照しながら、特定したホームアドレスが制限に該当するか否かを確認する。このようにしてP2Pサーバ用アプリ36は、受信した端末装置のホームアドレスに基づいて、その端末装置が他の端末装置へファイルを提供していいか否かを判別することができる。
【0071】
P2Pサーバ用アプリ36は、提供可と判別すれば、提供側の端末装置へ提供可というメッセージを送信し、一方、提供不可と判別すれば、提供不可というメッセージを端末装置に送信する。
【0072】
また、OS38は、MIP HA機能部37、P2Pサーバ用アプリ36が機能の実現に基本の実行環境を提供し、ネットワーク通信部39は、内外の送受信を行う。
【0073】
また、実施の形態2のサーバ装置のDB31に格納されている端末ホームアドレス表33および制限ホームアドレスリスト34は、実施の形態1の構成と同じであるのでその説明は省略する。
【0074】
次に、実施の形態2の純粋型ピアツーピアファイル交換システムの動作について説明する。図10は、実施の形態2の純粋型ピアツーピアファイル交換システムのシーケンスを示している。図10において、モバイルノード機能(MN)を有する端末装置10、モバイルノード機能(MN)を有する端末装置20、ホームエージェント(HA)機能と端末制限機能を有するサーバ装置(管理サーバ)30がやり取りをしている。
【0075】
まず、端末装置10が端末装置20に接続し(S301)、ファイルの問い合わせをする(S302)。端末装置10からの問い合わせに応じ、端末装置20は自分自身でファイルの有無を確認する(S303)。
【0076】
ファイルがあった場合、端末装置20がBinding Updateによって、自分のホームアドレス(HoA)と気付アドレス(CoA)との対応付け更新情報をサーバ装置30へ送信する(S304)。端末装置20からの送信を受け取って更新を行うと、サーバ装置30が、更新に成功したことをBinding Ack(Binding Acknowledgement)として端末装置20へ通知する(S305)。このBinding Updateによる更新情報の送信は、通常のモバイルネットワークを移動したときの送信とは別に、後述する問い合わせ情報を送信する際に送信されるものである。
【0077】
端末装置20は、自分が提供しようとするファイル情報をサーバ装置30に報告し、提供してよいか否かサーバ装置30に問い合わせする(S306)。端末装置20からの報告や問い合わせに応じて、サーバ装置30が制限ホームアドレスリスト34を参照しながら、ファイル提供側としての端末装置20のホームアドレス(HoA)が制限に該当するか否かを確認する(S307)。また、サーバ装置30は、端末装置20からのアクセス履歴も記憶する(S308)。
【0078】
端末装置20のホームアドレスが制限に該当しない場合、サーバ装置30は、提供可というような許可メッセージを端末装置20に送る(S309)。さらに、端末装置20は、端末装置10へ「ファイルあり」というような問い合わせ結果を送る(S310)。
【0079】
「ファイルあり」というような問い合わせ結果を受信すると、端末装置10が直ちに該当ファイルのダウンロード要求を端末装置20に送信し(S311)、その後、端末装置10は、端末装置20からそのファイルを直接ダウンロードする(S312)。
【0080】
一方、端末装置20のホームアドレスが制限に該当する場合、サーバ装置30は、提供不可というような制限メッセージを端末装置20に送る。端末装置20が端末装置10からのファイルの問い合わせをさらに他の端末装置へリレーする。
【0081】
次に、図10のシーケンス図上に各装置の動作のフローチャートを示す図11を用いて、純粋型ピアツーピアファイル交換システムの動作をさらに詳細に説明する。
【0082】
図11は、実施の形態2の純粋型ピアツーピアファイル交換システムのサーバ装置30(中央サーバ)と端末装置10、20との処理手順を示すフローチャートである。サーバ装置30は、ホームエージェント(HA)機能とピアツーピア端末制限機能を有しており、端末装置10および端末装置20は、ピアツーピアファイル交換機能以外にモバイルノード機能(MN)も有している。
【0083】
まず、端末装置10は、ピアツーピアクライアントとして、ピアツーピアサーバとなった端末装置20にアクセスし(ステップS401)、ファイルの問い合わせをする(ステップS402)。端末装置10からの問い合わせに応じ、端末装置20は、自分自身でファイルの有無を確認する(ステップS403)。ファイルがなかった場合、端末装置20が端末装置10からの問い合わせを他の端末装置へリレーし(ステップS404)、その後、待機状態に入る。
【0084】
一方、ファイルがあった場合、端末装置20は、Binding Updateによって、自分のホームアドレス(HoA)と気付アドレス(CoA)の対応付け更新情報をサーバ装置30へ送信する(ステップS405)。サーバ装置30は、端末装置20からの更新情報を受け取って、Binding Updateにより端末ホームアドレス表33の端末装置20のホームアドレスと気付アドレスとの対応付けの更新を行い(ステップS406)、更新に成功したことをBinding Ack(Binding Acknowledgement)として端末装置20へ通知する(ステップS407)。
【0085】
端末装置20は、自分が提供しようとするファイル情報を報告すると共に、提供してよいか否かを問い合わせ情報としてサーバ装置30に送信して問い合わせする(ステップS408)。サーバ装置30は、端末装置20からの報告や問い合わせに応じて、制限ホームアドレスリスト34を参照しながら、ファイル提供側としての端末装置20のホームアドレス(HoA)が制限に該当するか否かを確認する(ステップS409)。このステップS409の確認において、サーバ装置30は、端末ホームアドレス表33を参照して、問い合わせ情報の送信元である端末装置20の気付アドレスに対応するホームアドレスを取得し、さらに、制限ホームアドレスリスト34を参照して、そのホームアドレスが制限に該当するか否かを確認する。
【0086】
端末装置20のホームアドレスが制限に該当する場合、サーバ装置30は、提供不可というような制限メッセージを端末装置20に送る(ステップS410)。一方、端末装置20のホームアドレスが制限に該当しない場合、サーバ装置30は、提供可というような許可メッセージを端末装置20に送る(ステップS411)。
【0087】
端末装置20は、サーバ装置30からの通知メッセージを受信し、その内容を判別する(ステップS412)。提供可と判別すれば、端末装置20は、「ファイルあり」というような問い合わせ結果を端末装置10に送る(ステップS413)。端末装置10は、それを受信したら、直ちに該当ファイルのダウンロード要求を端末装置20に送り(ステップS414)、その後、端末装置20から該当するファイルを直接ダウンロードするようになる(ステップS415)。
【0088】
一方、提供不可と判別すれば、端末装置20は、端末装置10からの問い合わせを他の端末装置へリレーし(ステップS416)、その後、待機状態に入る。
【0089】
このように、純粋型ピアツーピアファイル交換システムにおいて、モバイルIP技術を用いて端末装置間(ユーザ間)においてファイル交換する際に、気付アドレスとホームアドレスとの対応付け(バインディング)を記憶したホームエージェントにファイル提供側である端末装置のホームアドレスをキーワードにした制限情報を備え、この情報によって端末装置のファイル提供を制限するので、モバイルIPのようにネットワークを移動してファイル提供側の端末装置のアドレスが変わってしまうような場合でも、違法なファイル交換行為を防ぐことの実現ができる。
【0090】
また、端末装置10、20、・・・は、ファイルの提供の可否を問い合わせる際に、自身のホームアドレス(HoA)と気付アドレス(CoA)との対応付けの更新情報を送信することにより、端末ホームアドレス表33が常に最新の状態に更新されるので、気付アドレスを確実に対応するホームアドレスに変換してファイルの提供の可否を判定することができる。
【0091】
また、実施の形態2では、端末装置20がファイル提供の問い合わせをサーバ装置30に送信するときに行うBinding Update(自身のホームアドレスと気付アドレスとの対応付けについて更新情報を送信する)のみを説明したが、もちろん、Binding Updateを行う時期は、ファイル提供の問い合わせをサーバ装置30に送信する際であればよく、具体的には、ファイル提供の問い合わせをサーバ装置30に送信するときのみに行う、ネットワーク移動したときにのみ行う、またはその両方の時期のいずれでもよい。このBinding Updateは、ファイル提供の問い合わせをサーバ装置30に送信するときに行うと、確実に最新のホームアドレスと気付アドレスとの対応付けが得られるので好ましい。また、Binding Updateをネットワーク移動したときに行う場合は、サーバ装置30としてモバイルIPのホームエージェントとして機能するサーバを利用できるので、本発明のサーバ装置30とホームエージェントとして別々のサーバを設ける必要がなくなり、省コストと省スペースを同時に実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
以上のように本発明にかかるピアツーピアファイル交換サーバおよびシステムは、モバイルIP技術、特にモバイルIPv6技術を利用したピアツーピアファイル交換(データ交換を含む)においてユーザの違法なファイル交換行為を監視・特定またブロックする場合に有用であり、特に、ビジネス、SOHO市場向けまたは個人フリーのピアツーピアファイル交換においてユーザの違法なファイル交換行為を監視・特定またブロックする場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】実施の形態1におけるピアツーピアファイル交換システムの全体構成図
【図2】実施の形態1における端末装置の内部構成例を示す機能ブロック図
【図3】実施の形態1におけるサーバ装置の内部構成例を示す機能ブロック図
【図4】実施の形態1におけるサーバ装置に格納されている端末ホームアドレス表を示す図
【図5】実施の形態1におけるサーバ装置に格納されている制限端末ホームアドレスリストを示す図
【図6】実施の形態1におけるサーバ装置に格納されている端末公開ファイル一覧を示す図
【図7】実施の形態1にかかる中央サーバ型ピアツーピアファイル交換システムのシーケンス図
【図8】実施の形態1におけるサーバ装置と端末装置の処理のフローチャート
【図9】実施の形態2におけるサーバ装置の内部構成例を示す機能ブロック図
【図10】実施の形態2にかかる純粋型ピアツーピアファイル交換システムのシーケンス図
【図11】実施の形態2におけるサーバ装置と端末装置の処理のフローチャート
【図12】従来の中央サーバ型ピアツーピアファイル交換システムのシーケンス図
【図13】従来の純粋型ピアツーピアファイル交換システムのシーケンス図
【符号の説明】
【0094】
10、20 端末装置
11、31 DB
12 ダウンロード情報
13 公開ファイル情報
14、33 端末ホームアドレス情報
15、35 主要機能部
16 P2P端末用アプリ
17 MIP MN機能部
18、38 OS
19、39 ネットワーク通信部
30 サーバ装置
32 端末公開ファイル一覧
33 端末ホームアドレス表
34 制限する端末のホームアドレス表
36 P2Pサーバ用アプリ
37 MIP HA機能部
40 ネットワーク
41 端末のファイル提供履歴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のモバイルノードと該モバイルノードが提供するファイルのファイル一覧を公開するためのサーバとを備え、ピアツーピア通信によりモバイルノード間でファイル交換を実行する中央サーバ型のピアツーピアファイル交換システムにおいて、
前記モバイルノードは、前記ファイル交換の際、当該モバイルノードに固有のホームアドレスを含むモバイルIPパケットを前記サーバに送信するアドレス情報送信手段を備え、
前記サーバは、
ファイルの提供を制限するモバイルノードについてのホームアドレスに関する情報を記憶させた制限情報記憶手段と、
前記モバイルノードから送信されたホームアドレスが前記制限情報記憶手段にファイルの提供を制限するモバイルノードのホームアドレスとして記憶されているときは、該モバイルノードのファイル交換に関する処理を制限するファイル交換制限手段と、
を備えたことを特徴とするピアツーピアファイル交換システム。
【請求項2】
前記モバイルノードは、自ノードが提供するファイルのファイル一覧を前記サーバに送信するファイル一覧送信手段をさらに備え、
前記サーバは、
ファイル提供側の前記モバイルノードから送信された前記モバイルIPパケットに含まれるホームアドレスを気付アドレスと関連付けて記憶するモバイルノード情報記憶手段と、
ファイル提供側の前記モバイルノードから受信した前記ファイル一覧を送信元の気付アドレスと対応付けて記憶するファイル一覧記憶手段とをさらに備え、
前記ファイル交換制限手段は、ファイル要求側の前記モバイルノードからファイル一覧記憶手段に記憶されたファイル一覧に含まれるファイルの提供の要求を受け付けると、当該要求にかかるファイルを含むファイル一覧に対応する気付アドレスをファイル一覧記憶手段から取得し、取得した気付アドレスに対応するホームアドレスを前記モバイルノード情報記憶手段から取得し、取得したホームアドレスがファイルの提供を制限するものとして前記制限情報記憶手段に記憶されているか否かにより提供元のモバイルノードのファイルの提供の可否を判定して、ファイルの提供が可であると判定したモバイルノードのみファイルの提供を可能とすることを特徴とする請求項1記載のピアツーピアファイル交換システム。
【請求項3】
複数のモバイルノードがピアツーピア通信によりモバイルノード間でファイル交換を実行する際に、該モバイルノードが提供するファイルのファイル一覧を公開する中央サーバ型のピアツーピアファイル交換サーバにおいて、
前記ファイル交換の際、前記モバイルノードから該モバイルノードに固有のホームアドレスを含むモバイルIPパケットを受信するアドレス情報受信手段と、
ファイルの提供を制限するモバイルノードについてのホームアドレスに関する情報を記憶させた制限情報記憶手段と、
前記モバイルノードから送信されたホームアドレスが前記制限情報記憶手段にファイルの提供を制限するモバイルノードのホームアドレスとして記憶されているときは、該モバイルノードのファイル交換に関する処理を制限するファイル交換制限手段と、
を備えたことを特徴とするピアツーピアファイル交換サーバ。
【請求項4】
ファイル提供側の前記モバイルノードから当該モバイルノードが提供するファイルのファイル一覧を受信するファイル一覧送信手段と、
ファイル提供側の前記モバイルノードから送信された前記モバイルIPパケットに含まれるホームアドレスを気付アドレスと関連付けて記憶するモバイルノード情報記憶手段と、
ファイル提供側の前記モバイルノードから受信した前記ファイル一覧を送信元の気付アドレスと対応付けて記憶するファイル一覧記憶手段とをさらに備え、
前記ファイル交換制限手段は、ファイル要求側の前記モバイルノードからファイル一覧記憶手段に記憶されたファイル一覧に含まれるファイルの提供の要求を受け付けると、当該要求にかかるファイルを含むファイル一覧に対応する気付アドレスをファイル一覧記憶手段から取得し、取得した気付アドレスに対応するホームアドレスを前記モバイルノード情報記憶手段から取得し、取得したホームアドレスがファイルの提供を制限するものとして前記制限情報記憶手段に記憶されているか否かにより提供元のモバイルノードのファイルの提供の可否を判定して、ファイルの提供が可であると判定したモバイルノードのみファイルの提供を可能とすることを特徴とする請求項3記載のピアツーピアファイル交換サーバ。
【請求項5】
複数のモバイルノードを備え、ピアツーピア通信によりモバイルノード間でファイル交換を実行する純粋型のピアツーピアファイル交換システムにおいて、
前記モバイルノードと通信可能なサーバを備え、
前記モバイルノードは、
前記ファイル交換の際、当該モバイルノードに固有のホームアドレスを含むモバイルIPパケットを前記サーバに送信するアドレス情報送信手段を備え、
前記サーバは、
ファイルの提供を制限するモバイルノードについてのホームアドレスに関する情報を記憶させた制限情報記憶手段と、
前記モバイルノードから送信されたホームアドレスが前記制限情報記憶手段にファイルの提供を制限するモバイルノードのホームアドレスとして記憶されているときは、該モバイルノードのファイル交換に関する処理を制限するファイル交換制限手段と、
を備えたことを特徴とするピアツーピアファイル交換システム。
【請求項6】
前記モバイルノードは、提供するファイルのファイル一覧をファイル要求側の前記モバイルノードに閲覧させて該ファイル一覧に含まれるファイルの提供の要求を受け付けると、当該要求にかかるファイルの提供の是非を問い合わせる問い合わせ情報を前記サーバに送信する問い合わせ手段をさらに備え、
前記ファイル交換制限手段は、ファイル提供側の前記モバイルノードからの問い合わせ情報を受信すると、前記問い合わせ情報の送信元の気付アドレスに対応するホームアドレスを前記モバイルノード情報記憶手段から取得し、取得したホームアドレスがファイルの提供を制限するものとして前記制限情報記憶手段に記憶されているか否かにより提供元のモバイルノードのファイルの提供の可否を判定して、ファイルの提供が可であると判定したモバイルノードのみファイルの提供を可能とすることを特徴とする請求項5記載のピアツーピアファイル交換システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−102619(P2007−102619A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−293616(P2005−293616)
【出願日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】