ピクセル型画像検出器において共有電荷を提供するシステム及び方法
ピクセル型画像検出器において共有電荷を提供するシステム及び方法が提供される。一つの方法は、ピクセル型固体フォトン検出器に、電荷分布が少なくとも2個のピクセルによって検出されるような構成として複数のピクセルを設けるステップと、少なくとも2個のピクセルから電荷情報を得るステップとを含んでいる。この方法はさらに、得られた電荷情報に基づいて電荷分布の複数のピクセルとの相互作用の位置を決定するステップを含んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本書に開示される主題は一般的には、画像検出器に関し、さらに具体的には、ピクセル型固体画像検出器、及び該検出器によるフォトン検出に関する。
【背景技術】
【0002】
診断イメージング・システム用の検出器、例えば単光子放出計算機式断層写真法(SPECT)イメージング・システム及び計算機式断層写真法(CT)イメージング・システム用の検出器は、特にテルル化カドミウム亜鉛(CdZnTe、しばしばCZTと呼ばれる)、テルル化カドミウム(CdTe)、及びシリコン(Si)のような半導体材料からしばしば製造される。これらの半導体検出器は典型的には、ピクセル型検出器モジュールのアレイを含んでいる。ピクセル型固体ガンマ線検出器の空間分解能は、検出器ピクセルの寸法によって限定される。また、最小ピクセル寸法も固体物理学及び工学的条件によって限定される。
【0003】
CZT検出器でのガンマ線の相互作用時に、連続的な陰極とピクセル型陽極との間に電荷雲が発生される。この雲は、検出器の陽極側へ向けて移動しながら成長する。従来のシステムでは、各々のピクセル陽極は、ピクセル当たり1個の前置増幅器及び多数の読み出しチャネル(例えば256の読み出しチャネル)に接続されている。このように、空間分解能を高めるためにピクセル寸法が小さくなるにつれて、読み出しチャネルの総数が増大し、これにより電子回路、制御器の複雑さ、費用及び発熱が増大する。従って、CZT又はCdTeのような直接変換型半導体材料を用いたガンマ線及びX線検出器は、電子回路の複雑さを少なくして(例えば特定応用向け集積回路(ASIC)の複雑さを少なくする)、隣り合ったピクセルの間の電荷雲共有を減少させる又は回避するために、相対的に大きいピクセル寸法で製造される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようにピクセル寸法が大きくても、X線応用及びCT応用に十分に作用しない。加えて、SPECTシステムでは、画像性能が検出器ピクセルの数に直接関係する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
様々な実施形態によれば、ピクセル型固体フォトン検出器の電荷分布を制御する方法が提供される。この方法は、ピクセル型固体フォトン検出器に、電荷分布が少なくとも2個のピクセルによって検出されるような構成として複数のピクセルを設けるステップと、少なくとも2個のピクセルから電荷情報を得るステップとを含んでいる。この方法はさらに、得られた電荷情報に基づいて電荷分布の複数のピクセルとの相互作用の位置を決定するステップを含んでいる。
【0006】
他の実施形態によれば、半導体基材と、該半導体基材の一方の面に設けられた複数の陽極ピクセルとを含むピクセル型固体フォトン検出器が提供される。陽極ピクセルの各々が、少なくとも一つの方向に延伸された長さを有する。このピクセル型固体フォトン検出器はさらに、複数の陽極ピクセルの反対側の半導体基材の裏面に設けられた陰極を含んでいる。
【0007】
さらに他の実施形態によれば、半導体基材と、該半導体基材の一方の面に設けられた複数の陽極ピクセルとを含むピクセル型固体フォトン検出器が提供される。陽極ピクセルの各々が、複数の小ピクセルに分割されている。このピクセル型固体フォトン検出器はさらに、複数の陽極ピクセルの反対側の半導体基材の裏面に設けられた陰極を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】様々な実施形態に従って形成されるピクセル型検出器の一部の単純化した断面図である。
【図2】様々な実施形態によるピクセル型検出器の複数のピクセル型素子の間での電荷分布を制御する方法の流れ図である。
【図3】一実施形態に従って形成されるピクセル型フォトン検出器の上面遠近図である。
【図4】図3の複数のピクセル型フォトン検出器を含むガンマ・カメラの上面遠近図である。
【図5】様々な実施形態に従って形成されるピクセル型検出器の上面平面図であって、様々なピクセル構成を示す図である。
【図6】様々な実施形態に従って形成されるピクセル型検出器の上面平面図であって、行列型接続構成を示す図である。
【図7】様々な実施形態に従って形成される延伸型ピクセルを有するピクセル型検出器の上面平面図である。
【図8】様々な実施形態によるピクセル型検出器との電荷相互作用の位置を決定する方法の流れ図である。
【図9】様々な実施形態に従って形成されるピクセル接続構成を示す図である。
【図10】様々な実施形態に従って形成されるもう一つのピクセル接続構成を示す図である。
【図11】様々な実施形態による電荷検出を示す図である。
【図12】チャネルの結合を有しない場合の電荷検出を示す図である。
【図13】y軸での位置の補間を行なわない場合の電荷検出を示す図である。
【図14】様々な実施形態による千鳥型陽極を用いた電荷検出を示す図である。
【図15】様々な実施形態による千鳥型且つ延伸型の陽極を用いた電荷検出を示す図である。
【図16】様々な実施形態に従って形成される延伸型ピクセルを有するピクセル型検出器の上面平面図である。
【図17】様々な実施形態に従って形成される延伸型ピクセルを有するピクセル型検出器の上面平面図であって、対を成して接続された陽極ピクセルを示す図である。
【図18】様々な実施形態に従って形成される二次元アレイにおける延伸型ピクセルを有するピクセル型検出器の上面平面図である。
【図19】様々な実施形態に従って形成される抵抗層を有するピクセル型検出器の一部の単純化した断面図である。
【図20】様々な実施形態に従って形成されるピクセル型陽極及びピクセル型陰極を有するピクセル型検出器の一部の断面図であって、相互作用深さ(DOI)を示す図である。
【図21】様々な実施形態に従って形成される二層ピクセル型検出器の一部の断面図である。
【図22】様々な実施形態に従って形成される多層十字片型検出器を示す図である。
【図23】様々な実施形態に従って構築される例示的な核医学イメージング・システムの遠近図である。
【図24】様々な実施形態に従って構築される核医学イメージング・システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以上の概要及び以下の幾つかの実施形態の詳細な説明は、添付図面と併せて読むとさらに十分に理解されよう。図面が様々な実施形態の機能ブロックの線図を示す範囲までにおいて、機能ブロックは必ずしもハードウェア回路の間の区分を示す訳ではない。従って、例えば、機能ブロックの1又は複数(例えばプロセッサ若しくはメモリ)が単体のハードウェア(例えば汎用信号プロセッサ若しくはランダム・アクセス・メモリのブロック、又はハードディスク等)として具現化されてもよいし、多数のハードウェアとして具現化されてもよい。同様に、プログラムは独立型プログラムであってもよいし、オペレーティング・システムのサブルーチンとして組み込まれていてもよいし、インストールされているソフトウェア・パッケージの関数等であってもよい。尚、様々な実施形態は図面に示されている構成及び手段に限定されないことを理解されたい。
【0010】
本書で用いる場合には、単数形で記載されており単数不定冠詞を冠した要素又はステップとの用語は、排除を明記していない限りかかる要素又はステップを複数備えることを排除しないものと理解されたい。さらに、「一実施形態」に対する参照は、所載の特徴を同様に組み入れている追加の実施形態の存在を排除しないものと解釈されたい。また、反対に明記されていない限り、特定の特性を有する1若しくは複数の要素を「含んでいる」又は「有している」実施形態は、この特性を有しないような追加の要素も包含し得る。
【0011】
また、本書で用いられる「画像を再構成する」との表現は、画像を表わすデータが生成されるが可視画像は形成されないような実施形態を排除するものではない。従って、本書で用いられる「画像」との用語は、可視画像及び可視画像を表わすデータの両方を広く指す。但し、多くの実施形態は少なくとも1枚の可視画像を形成し、又は形成するように構成されている。
【0012】
様々な実施形態が、ピクセル型固体(例えば半導体)検出器において、電荷共有の検出、及びピクセル型検出器との電荷共有相互作用の位置の識別を可能にするために、電荷分布を制御するシステム及び方法を提供する。ピクセル型検出器の各ピクセルは、電子電荷雲によって画定され得る電荷分布が少なくとも2個のピクセル又は小ピクセル(sub-pixel)によって検出されるように構成される。形状及び位置が異なるピクセル型素子又は小ピクセル型素子を有する様々な構成及び配置のピクセル型検出器、例えばピクセル型ガンマ・カメラが提供される。様々な実施形態に従って形成されるピクセル型検出器は、付設される電子回路を大幅に増大させずにさらに高い空間分解能を提供する。様々な実施形態の少なくとも一つについての技術的効果は、さらに高感度の単光子放出計算機式断層写真法(SPECT)撮像スキャナ及び/又はX線若しくは計算機式断層写真法(CT)撮像スキャナのように、さらに高感度の撮像を提供することである。加えて、様々な実施形態を実施するときに、相対的に低消費電力レベルでの動作を提供することができる。様々な実施形態はまた、X線及びガンマ線検出器を含めた両用型用途向けのピクセル型検出器を提供することを可能にする。
【0013】
尚、ピクセル型検出器の特定の構成又は配置を含めて特定の構成要素を有する核医学イメージング・システムと関連して様々な実施形態を記載するが、これら様々な実施形態は、核医学イメージング・システムにも本書に記載する特定のピクセル型検出器にも限定されないことを特記しておく。従って、様々な実施形態は、任意の形式の診断イメージング・システム、例えば医療診断イメージング・システム(例えばCTシステム又はX線システム)、非破壊試験システム、及び警備監視システム(例えば航空手荷物又は空港警備イメージング・システム)等と関連して具現化され得る。加えて、これらの構成及び配置は、様々な実施形態の少なくとも幾つかにおいて、電荷分布の位置と、ピクセル型検出器の各陽極から受け取られるそれぞれの信号との間の関係を保つように改変されてもよい。
【0014】
様々な実施形態は、放出ガンマ線フォトン又は透過X線フォトンのようなフォトンを検出して、ピクセル型検出器のピクセル又は小ピクセルの間の電荷共有から検出されたフォトンの位置を識別する構成及び配置を用いるピクセル型検出器を提供する。従って、隣り合ったピクセルの間で共有される電荷分布を検出するので、隣り合ったピクセルの間に相互作用を生じた電荷は、本書でさらに詳細に記載するように、例えば検出ガンマ線放出の応答関数に含まれ得る。
【0015】
図1は、様々な実施形態に従って形成されるピクセル型検出器30の単純化した断面立面図である。ピクセル型検出器30は、放射線応答性の半導体材料、例えばテルル化カドミウム亜鉛(CZT)結晶又はテルル化カドミウム(CdTe)から形成される基材32を含んでいる。複数のピクセル又は小ピクセル(本書でさらに詳細に記載する)を有するピクセル型構造が、複数のピクセル電極を形成するように複数の伝導性電極を付着させることにより画定されており、陽極34として示されている。付着は、電極構造を画定するマスクを通して行なわれ得る。代替的には、連続的な伝導性層(例えば金属層)を結晶の表面に付着させて、化学的エッチング若しくはレーザ・エッチング、フォトリソグラフィ、又は当技術分野で公知の他の方法によって複数の電気的に分離した電極を形成する。本書でさらに詳細に記載するように、陽極34の形状及び構成、並びに陽極34の各々の間の間隔は、検出されるフォトンから発生される電荷からの電荷共有相互作用36の位置を決定することを容易にする。本書でさらに詳細に記載するように、電荷相互作用36は、基材32に入射したフォトンが電離によってエネルギを失い、移動性の電子(e−)と正孔(+)との対を基材32の各領域に残す(単純化するために1対の電子/正孔対のみを示す)ときに生ずる。
【0016】
ピクセル型検出器30はまた、基材32の陽極34とは反対面又は反対側に、単一の陰極電極から形成され得る陰極38を含んでいる。尚、陽極34はピクセルを画定していてもよいし、小ピクセルを形成するように分割されていてもよいことを特記しておく。また、1又は複数のコリメータが、陰極38によって画定される放射線検出面の手前に設けられ得ることを特記しておく。さらに、レーザ・エッチング及びフォトリソグラフィ、並びに他の微細加工法及びナノテクノロジー方法によって、様々な実施形態による利用のためにサブ・マイクロメートル規模及び数ナノメートル規模に到る微細な細部を有する構造を作製することができる。
【0017】
図2は、ピクセル型検出器の複数のピクセル型素子、特にピクセル陽極の間での電荷分布(電荷雲とも呼ぶ)を制御する方法の流れ図40である。明確に述べると、ブロック42では、ピクセル型検出器の陽極に到達する電荷の量が、陽極との相互作用の関数として制御される。本書でさらに詳細に記載するように、電荷共有は、異なる構成及び配置を成すピクセル型素子を画定することにより制御され、例えばピクセル型素子を成形し隔設して、検出電荷の位置と陽極信号との間の関係を画定するように各ピクセル型素子を接続することにより制御される。例えば、陽極に到達する電荷の量を制御する、例えば本書でさらに詳細に記載するように陽極を成形することにより、放射線相互作用事象すなわち電荷共有事象の位置決定及び検出が提供される。
【0018】
動作時には、フォトン、例えば患者において崩壊する放射性核種又はX線管のような線源からのそれぞれ放出ガンマ線及び/又は透過X線が、検出器の陰極に入射する。特に、図1に示すように、陰極38は単一の陰極電極であってよく、陽極34は成形されたピクセル電極のアレイであってよい。動作時に陽極34と陰極38との間に印加される電圧差が基材32に電場(検出器電場)を発生する。検出器電場は、例えばセンチメートル当たり約1キロボルト乃至センチメートル当たり3キロボルトであってよい。フォトンが基材32に入射する(陰極38に衝突する)と、フォトンは一般的には、基材32において電離によってフォトンのエネルギの全てを失い、基材32の局所的な小領域に移動性の電子と正孔との対をを残す。
【0019】
フォトンのエネルギに依存して、フォトンは一般的には、結晶に貫入した後に結晶と相互作用する。尚、エネルギが高いほど、フォトンが結晶に深く貫入する確率が高いことを特記しておく。初期電離事象が、高速移動する電子(e−)を生成して、正に電離した「孔」を結晶に残す。高速移動する電子はやがて他の電子と相互作用して、結晶のさらに多くを電離する。結果的に、発生される電子の数(正孔の数に等しい)及び電離帯の寸法が、フォトンのエネルギと共に増大する。検出器電場の結果として、正孔(+)は陰極38へ向けて漂流し、電子(e−)は陽極34へ向けて漂流して、これにより陽極34及び陰極38に電荷を誘導する。漂流中に、電子(及び正孔)は初期残留速度、乱雑な熱運動、相互静電反発、及び結晶の不純物との衝突のため拡散する。陽極34に誘導された電荷は検出されて、フォトンが検出された時刻、検出されたフォトンがどれほどのエネルギを基材32に与えたか、及び基材32の何処でフォトン相互作用が生じたかもまた、本書でさらに詳細に記載するように決定される。具体的には、ガンマ線フォトン及びX線フォトンの検出、並びに検出されたピクセル位置(及び他の電荷情報)の識別を容易にするために、陽極に到達する電荷の量は、本書でさらに詳細に記載するように陽極を成形することにより制御される。
【0020】
図2の方法40に戻り、上述のように検出されたフォトンから発生される電荷は信号を発生し、これらの信号がブロック44において複数の陽極から得られる。これらの信号は、2個の隣り合った陽極によって共有されるエネルギのようなエネルギを検出した1又は複数の陽極(若しくは小ピクセル型陽極)に対応する。この信号情報を用いて、ブロック46において相互作用の位置を推定する。位置推定は、位置と、電荷分布と、受ける電荷の量を制御されている陽極において観察された信号との間の既知の関係から決定される。例えば、電荷位置の推定は、本書でさらに詳細に記載するように、検出電荷を共有している2個の陽極からの推定に基づくものであってよい。加えて、2個の陽極等からの決定された推定を用いると、電荷分布の推定位置を用いてブロック48において補正ファクタを決定することができる。
【0021】
方法40は、図1に示すようなピクセル型検出器、又は例えば様々な実施形態においてCZTから形成された小ピクセル型半導体フォトン検出器として構成され得る図3に示すような小ピクセル型検出器50と関連して用いられ得る。尚、小ピクセル型素子は、特定の態様で寸法及び形状を与えられているように示しているが(図3では方形電極に分割されているように示している)、電極の寸法、形状及び接続は所望又は必要に応じて改変され得ることを特記しておく。また、本書で後にさらに詳細に記載するように、ピクセルは、異なるように寸法及び形状を決定されていてもよく、例えば鋸歯形状又はジグ・ザグ形状のアレイを成すピクセル型電極を提供することができる。
【0022】
尚、様々な実施形態でのピクセル型検出器50は、CZT又はCdTeから形成されることを特記しておく。ピクセル型検出器50は、半導体材料から形成される結晶52を含んでいる。幾つかの実施形態(図示)での結晶52の面54は、単一の陰極電極56を含んでいる。結晶52の裏面58が、陽極ピクセル62のアレイを有する陽極60を含んでいる。陽極ピクセル62は実質的に同じ寸法を有していてよく、分割された方形として示されており、すなわち三角形形状の小ピクセル63が方形形状のピクセル62を形成している。陽極ピクセル62及び小ピクセル62の寸法は様々であってよく、例えば0.01ミリメートル(mm)2と4mm2との間にあってよい。例えば、幾つかの実施形態では、ピクセル62は寸法が約0.1×0.1mm以下であってよい。また、陽極ピクセル62の数は図示の16個よりも多くても少なくてもよく、例えば32個の陽極ピクセル62を設けることができる。また、結晶52の厚みは、1ミリメートル未満から数センチメートルまで様々であってよいことを特記しておく。幾つかの実施形態では、入射するフォトンの少なくとも大部分を実質的に吸収するように、数ミリメートルの厚みが用いられる。このように、厚みは検出されるべきフォトンのエネルギに依存する。
【0023】
動作時には、本書でさらに詳細に記載するように、陰極電極56と陽極60との間に印加される電圧差が結晶52に電場を生成する。当技術分野で用いられるピクセル型検出器では、同じ事象に属する電子は実質的に1個の陽極に到達する。多くのかかる検出器では、事象によって発生される電子が2以上の電極にわたって拡散する場合には、これらの事象は拒絶され又は誤って記録される。このように、かかる検出器の分解能には、ピクセル寸法が電子の拡がりよりも遥かに大きくなければならないという制限が課され、さもないと電荷が部分的に収集されるため事象損失が生ずる。これらの検出器では、事象の位置は当該事象によって発生される電荷の全て又は大半を受け取った電極によって決定されるため、空間分解能は陽極寸法によって決まる。
【0024】
本発明の様々な実施形態を実施することにより、少なくとも2個、及び選択随意でさらに多くの電極の間での電荷共有が提供され、事象位置は、本書に記載するような複数の電極によって検出される電荷に基づくアルゴリズムによって決定される。幾つかの実施形態では、電極の寸法は、電子の拡がりよりも実質的に小さい。他の実施形態では、電極は、電荷が隣り合った電極によって共有されるように成形される。他の実施形態では、実効分解能は電子の拡がり、電極寸法又は両方よりも良好となる。
【0025】
動作時には、SPECT、X線、CT又はPETの各応用に用いられるフォトンのエネルギに典型的なエネルギを有するフォトンが結晶52に入射すると、フォトンは一般的には、結晶52と相互作用して、結晶52の局所的な小領域に位置する移動性の電子及び正孔の対が二次的な電離過程を通して発生される。印加される電場の結果として、正孔は陰極56に漂流し、電子は陽極60に漂流して、これにより本書でさらに詳細に記載するように陽極ピクセル62及び陰極56に電荷(電荷雲又は電子雲とも呼ぶ)を誘導する。陽極ピクセル62に誘導された電荷は感知されて、検出器底面64の内部に設けられてピクセル型検出器50を装着した適当な電子回路(例えば特定応用向け集積回路(ASIC))によって部分的に前処理され得る。例えば、読み出し増幅器系統を形成する複数のチャネルを設けることができる。検出器底面64は、接続部材、例えばマザー・ボード(図示されていない)に装着されて信号をASICからマザー・ボードへ伝達するための接続ピン66を含んでいる。陽極ピクセル62に誘導された電荷からの信号を用いて、本書でさらに詳細に記載するように、フォトンが検出された時刻、検出されたフォトンがどれほどのエネルギを結晶に与えたか、結晶の何処でフォトン相互作用が生じたかの任意のもの又は全てを含めた電荷情報を決定する(例えば行列加算方法を用いて)。次いで、この情報を用いて、当技術分野で公知のように画像を再構成することができる。
【0026】
図4は、複数、例えば20個のピクセル型検出器50を含む矩形ガンマ・カメラ70を示しており、これら20個の検出器50は、4個の検出器50を5列有する矩形アレイを形成するように配列されている。ピクセル型検出器50は、マザー・ボード72に装着されているように示されている。尚、より大きい又は小さいアレイを成すピクセル型検出器50を有するガンマ・カメラを提供してもよいことを特記しておく。また、ピクセル型検出器50によって検出されるフォトンのエネルギは一般的には、フォトンが結晶52の材料と相互作用するときに検出器50の結晶52に発生される電子正孔対の総数の推定から決定されることを特記しておく。この数は一般的には、電離事象において発生される電子の数から決定され、電子の数は、様々な実施形態を用いて検出器50の陽極60において収集された電荷から推定される。
【0027】
検出器50において検出されるフォトンによって発生される全ての電子及び正孔が検出器電極によって正しく検出された場合には、検出器50の陽極60又は陰極56の何れかに誘導される電荷はフォトンのエネルギの正しい測定となる。しかしながら、各々のピクセルのエネルギ応答、特にエネルギ・スペクトルについての各々のピークのピーク位置は変移して、画像を再構成するのに用いられる取得データに影響を与え得る。様々な実施形態を用いて、この変移を最小化し、又はピクセルの位置と、例えば本書で後にさらに詳細に記載するようにピクセルの成形及び接続によって制御される陽極信号との間の既知の関係を用いて補正することができる。
【0028】
核医学(NM)検出の技術分野で用いられる検出器では、検出器は、40×40×4mmの結晶を有することができ、広い面が2.5×2.5mmの陽極を16×16=256個含んでいる。従って、空間分解能は2.5mmである。各々の陽極が256の電子チャネルの一つに接続される。この構成での雑音がエネルギ分解能を限定し、この雑音は、2.5×2.5=6.25mm2の結晶を流れる暗電流、電子正孔発生の統計学的ゆらぎ、及び単一のチャネルの電子雑音のような主な成分によって与えられる。例えば電子雲の拡がりが0.1mmである場合には、事象が唯1個の電極に局限される確率は[(2.5−0.1)2]/[(2.5)2]=0.92となる。このように、事象の約8%は、2個以上の電極(事象がピクセルの隅角に又は隅角の近傍に衝突するときには4個まで)の間で少なくとも部分的に共有される。
【0029】
分解能を0.5mmまで高めるためには、各々が.5×.5mmの80×80=6,400個の陽極のアレイを用いることができる。この場合には、共有されない事象の確率は(0.4/0.5)2=0.64である。このように、検出の効率が大幅に低下する。加えて、6,400のチャネルを用いなければならない。雑音は、2*0.5×0.5=0.5mm2の結晶を流れる暗電流、電子正孔発生の統計学的なゆらぎ、及び単一のチャネルの電子雑音の2倍によって与えられる(2個の近傍ピクセルが用いられると仮定する)。しかしながら、0.5mmという中程度の分解能であっても(この分解能は0.1mm分解能を必要とし得るマンモグラフィでは不十分である)6,400のチャネルを必要とし、接続、パッケージ化、冷却は困難であるし、費用も高くなり得る。
【0030】
様々な実施形態の1又は複数の実施によって、減少したチャネル数を有する検出器が、2個の小ピクセル63すなわち2個の電極に分割され得る複数の陽極ピクセル62を含む。図5を参照すると、40×40mm検出器について、各々の2.5×2.5mmピクセルが2個の電極に分割されており、すなわち行電極(各々のピクセル62の右上の小ピクセル63)及び列電極(各々のピクセル62の右下の小ピクセル63)に分割されている。様々な実施形態では、各電極は、事象の位置を問わず電子が行電極及び列電極の両方によって必ず共有されるようにパターン化される。
【0031】
小ピクセル63の形状は、所望又は必要に応じて変化してよい。例えば、三角形の小ピクセルを有する陽極ピクセル62aに加えて、以下の形状を提供することができる。すなわち同心円形状の小ピクセルによる陽極ピクセル62b、矩形形状の小ピクセルによる陽極ピクセル62c、内側の方形形状及び外側の方形枠形状の小ピクセルによる陽極ピクセル62d、半円形状の小ピクセルによる陽極ピクセル62e、咬み合い型(指形状)の小ピクセルによる陽極ピクセル62f、及び分割円形状の小ピクセルによる陽極ピクセル62gである。加えて、共有電荷が提供される幾つかの実施形態では、陽極ピクセル62hは小ピクセルを有しない方形の形状となる。尚、陽極ピクセル62a〜62gに関して、ピクセル寸法が0.1mm未満であると0.1mm未満の特徴を有する電極をパターニングすることになるが、このように0.1mm未満でない限り様々な実施形態では陽極ピクセル62fが用いられることを特記しておく(本書で後にさらに詳細に記載する)。
【0032】
各々の行の全ての行電極が行線に接続される(図5に1行を示す)。各々の行の全ての列電極が列線に接続される(図5に1列を示す)。各々の列線及び各々の行線が一つの電子チャネルに接続される。図5の図示の実施形態では、16×16ピクセルの検出器は16+16=32チャネルしか必要としない。位置は、事象が検出された行チャネルと列チャネルとの交点として決定される。雑音は(電荷が同じピクセルの2個の電極によって共有されると仮定すると)以下のように与えられる。すなわち40*40/32=50mm2の結晶を流れる暗電流、電子正孔発生の統計学的なゆらぎ、及び単一のチャネルの電子雑音の2倍である。
【0033】
同じ構成はさらに小さいピクセル寸法、例えば0.5×0.5mmピクセルにも拡張することができる。この場合には、80行及び80列、並びに160のチャネルが用いられる。事象の約40%が2個の隣り合ったピクセルに含まれるので、本実施形態では、四つのチャネル(2行の隣り合った行及び列)を加算して合計電荷を得る。雑音(四つのチャネルによる)は以下のように与えられる。すなわち4*40*40/160=40mm2の結晶を流れる暗電流、電子正孔発生の統計学的なゆらぎ、及び単一のチャネルの電子雑音の4倍である。また雑音(二つのチャネルによる)は以下のように与えられる。すなわち2*40*40/160=20mm2の結晶を流れる暗電流、電子正孔発生の統計学的なゆらぎ、及び単一のチャネルの電子雑音の2倍である。
【0034】
このように、各々のチャネルを1行(1列)のピクセルの一部にのみ接続することにより、相対的に小さいピクセルを用いた構成、或いはチャネルの数を増大させた構成が提供され得る。例えば、図6に示すように各電極を接続することにより、チャネルの数は倍増し得る。ピクセル寸法を約0.1mmまでに減少させる場合(400+400=800チャネル)には、ピクセル陽極62a、62c、62e、62f及び62gを用いてもよい。
【0035】
ピクセル寸法が0.1×0.1mm未満である場合には、図9に示すように2行又は3行及び2列又は3列において少なくとも4個のピクセルを作動させる。尚、0.1mm径の円形の電子雲を想定していることを特記しておく。少なくとも2行及び2列が作動させられるので、以下の式を計算することにより、小ピクセル分解能を与えることができる。
【0036】
X=(x1*sx1+x2*s2x+…)/(sx1+sx2+sx2…)
式中、
x1(2,3,…)は第一(第二、…)列のx位置であり、
sx1(2,3,…)は第一(第二、…)列において測定される信号である(作動させられなかったチャネルについては「0」)。
【0037】
同じ計算を、行信号からのY位置についても行なう。尚、本書でさらに詳細に記載するように、例えばPMT方式の検出器に用いられるAngerアルゴリズム、及び相関信号強調(CSE)を提供するのに用いられる行列アルゴリズムに類似した様々なアルゴリズムを用い得ることを特記しておく。また、チャネルの数はこの方法によって増大し(2*40/0.1=800)、数はピクセル寸法が小さくなるほど増大することを特記しておく。チャネルの数は、分解能向上の自乗と共に増大する。各々のチャネルは発熱するので、能動型冷却を提供することができる。
【0038】
チャネルの数を、ピクセルの間での異なる接続構成によって減少させることができる。例えば、陽極ピクセル100の接続を示す図9及び図11に関して、同図で分かるように、各々の事象(例えば電荷相互作用)は、少なくとも4個の隣接電極に信号を発生する。従って、事象位置は、四つのチャネルの一意の組み合わせを作動させれば一意に画定され得る。N個からn個を取り出す一意の組み合わせの数はN!/(n!)2によって与えられる。ピクセル寸法が0.1mmである場合に、位置の総数は(40/0.1)2=160,000である。比較して、256から四つのチャネルの一意の組を取り出す数は210,165,935通りである。尚、43のみのチャネルでも160,000通りを超える組み合わせを可能にするので十分であり得ることを特記しておく。
【0039】
図11で分かるように、全ての電荷を完全に収集するためには九つまでのチャネルが必要とされ得る。しかしながら、電子電荷に比較して陽極が大き過ぎると、電荷は図12に示すように1個の陽極でしか収集されなくなる場合がある。この場合には、チャネルの組み合わせによる位置の決定を利用することができない。電荷が特定の方向で1個の陽極(ピクセル100)において収集される場合には(図13のように)、この軸に沿った位置を補間することができない。しかしながら、図14のように陽極を千鳥型構成にすることにより、一つの事象によって作動させられるチャネルの最小数が5〜7となり、雑音が減少する。陽極を千鳥型構成にすると構成の「延伸」が可能になり(図15に示すように)、矩形陽極(方形の代わり)、又は縦横比が1:2までの他の形状の陽極の利用が可能になり、従ってさらにチャネルの数を減少させることができる(2分の1まで)。
【0040】
尚、幾つかの電極の間で電荷分布が位置に対して非線形となり誤差を生ずる場合があり、すると「小ピクセル補間」の実効性及び精度が低下するので、複雑な線形性補正が提供されることを特記しておく。この線形性の問題は、さらに小さいピクセルを設けることにより解決され得るが、多くのチャネルを加算する必要を生じ、従って電子雑音の寄与を高め得る。代替的には、図7に示すもののような(また本書でさらに詳細に記載するような)インタレース型電極構成を用いて、陽極寸法の増大を図りつつ線形性を高めることができる。
【0041】
図16のインタレース型ダイオード構成を用いることにより、延伸軸に沿って補間する能力を失うことなく(且つ当該軸に沿った補間線形性を高めつつ)、陽極のさらなる延伸を提供することができる。インタレース型陽極に収集される電荷は、当該陽極に対する電荷「占有面積(footprint)」の重なりに近似的に比例する。電荷は一様に拡散する訳ではなく線形性からの逸脱を生ずるため、当技術分野で公知のような線形性補正変換によって補正を行なうことができる。延伸に沿った軸では、位置精度は信号対雑音によって決まる。このように、実効分解能を保存しつつ1:10の延伸を提供することができる。
【0042】
図17は、五つのチャネルを有する一次元(1D)アレイが、如何にして11個分のピクセルの長さにわたって拡がり得るかを示しており、ピクセルの各々を電荷寸法よりも長くすることができ(例えば3倍〜10倍)、分解能は、位置を決定するためにインタレース型陽極及び「2個ピクセルの組み合わせ」を用いると、電荷占有面積よりも向上し得る。加えて、図18は、全てのこれらの方法を組み合わせて1本の延伸された軸とした場合を示しており、組み合わせ及び補間型の位置決定と共に、インタレース型及び千鳥型ピクセルを用いている。
【0043】
このように、図4〜図6に戻ると、ピクセル型検出器50は、陽極ピクセル62及び成形小ピクセル63で形成される小ピクセル型素子の複数の行及び列を含み得る。図示の実施形態では、ピクセル型検出器50は、16行及び16列の陽極ピクセル62を含んでおり、例えば4mm厚の結晶について約.3mm2/ピクセルの寸法を有し得る。従って、このピクセル型検出器50と関連して256のチャネルが用いられる。また、電荷共有を集束させる、すなわち陽極ピクセル62同士の間及び/又は成形小ピクセル63同士の間に電荷雲を集束させる方向制御グリッド90を陽極ピクセル62の周りに設けてもよい。次いで、本書でさらに詳細に記載するように、又は例えば米国特許第5,504,334号に記載されているように、各行及び各列からの出力を加算することから位置情報を決定することができる。尚、様々な実施形態での成形小ピクセル63の寸法は電荷雲(例えば期待される最小の電子雲)よりも小さいことを特記しておく。
【0044】
加えて、陽極ピクセル62は、異なるように成形され配列され得る。例えば、図7に示すように、隣接する陽極ピクセル74との鋸歯型又はジグザグ型の重なり領域76を画定した複数の延伸型陽極ピクセル74を設けることができる(インタレース型電極構成を画定する)。従って、隣接する陽極ピクセル74からインタレース型ピクセル辺が形成される。本実施形態では、陽極ピクセル62は、陽極ピクセル74が一次元例えばx軸方向に延伸されるようにダイス加工され又は切断される。従って、陽極ピクセル74は、当該陽極ピクセル74が他の軸よりもある1本の軸に沿って長くなるように一方向に延長され又は延伸される。陽極ピクセル74は、任意の適当な工程を用いて基材に切断され又はエッチングされ得る。幾つかの実施形態では、陽極ピクセル74は、鋸歯型又はジグザグ型のパターンを画定するようにレーザ切断を用いた切断工程によって形成される。レーザ切断は、基材をエッチング又はダイス加工するために提供され得る任意の適当な方法を用いて行なうことができ、半導体材料の基材にフォトリソグラフィ、エッチング、又はダイス加工を施す当技術分野の任意の切断方法等を用いることができる。
【0045】
様々な実施形態のピクセル型検出器の1又は複数を用いて、電荷分布、例えば本書に記載するような電荷雲が、一次ピクセル及び1又は複数の隣接ピクセルに信号を誘導する(特に電荷相互作用が中心を外れている場合)ようなピクセル構成を提供する。一次ピクセルは、最大信号、例えば最高の積算電荷を有するピクセルとして決定される。様々な実施形態によれば、最大電荷を有するピクセルの陽極からの電荷情報を含む出力情報(上でさらに詳細に記載されている)及び低信号強度を有する1又は複数の隣り合った又は隣接陽極(例えば8個の隣接陽極)の各陽極からの出力情報を用いて、フォトンの陽極との初期的な相互作用の位置を決定する。この位置の決定については本書でさらに詳細に記載する。
【0046】
尚、選択随意で、線形性マップ、エネルギ補正マップ及び感度マップのような較正マップを用いて画像歪みをさらに補正してもよいことを特記しておく。また、本書に記載するように、例えば電荷雲が1行又は1列の3以上のピクセルに現われている場合には、深さ情報をエネルギ補正に用いることができる。
【0047】
従って、幾つかの実施形態では、ピクセル型検出器との電荷相互作用の位置を決定する方法80(図8に示すような)が具現化され得る。具体的には、ブロック82において、ピクセル型検出器との電荷相互作用に関する電荷情報が本書に記載するような電荷制御構成を有するピクセル型検出器を用いて得られる。電荷制御は、例えば陽極ピクセル又は該陽極ピクセルの小ピクセルを成形することにより提供され得る。
【0048】
尚、様々な実施形態によれば、暗電流すなわちフォトンが検出されていないときに検出器に誘導される電流が低減されることを特記しておく。例えば、陰極を電流遮断性(例えばショットキー型)の接点によって形成して検出器暗電流を限定することができ、また検出器を加熱して正孔電荷移動性を高めることができる。加えて、高いバイアス電圧を用いるほど速やかに多くの電荷を収集することができる。加えて、方向制御グリッド90を用いると、陽極収集面積が小さくなり、従ってまた暗電流も小さくなる。
【0049】
加えて、行列加算を様々な実施形態に従って用いて電荷情報を得ることもできる。例えば、各ピクセルを、本書でさらに詳細に記載するように、二つの小ピクセル部分の間に電荷共有を提供するように成形され構成されている小ピクセルの各々の部分に対応する行部分及び列部分に分割することができる。各々のピクセル部分は、行及び列が各々の行及び列毎に一つの読み出し接続によって一つの前置増幅器に接続されているようなプリント回路基板(PCB)に接着されることができる。尚、前置増幅器は同じPCBに位置していても別個のPCBに位置していてもよい。各々のチャネルが、閾値検出及びサンプル・アンド・ホールド回路を含んでいる。従って、閾値を上回る事象が行列両方のチャネルにおいて検出されると、隣接する行及び列がディジタル化されてさらなる事象処理を行なう。
【0050】
加算は、図9及び図10に示すような接続構成を用いて達成されることができ、同図は複数のピクセルを有するピクセル型検出器の一部を示し、ピクセルは陽極ピクセル100である。例えば、図9に示すように、行列加算は、陽極ピクセル100が電荷雲共有を提供するために本書に記載するように構成されているときに提供され得る。図示の市松パターンは説明のためのみのものであって、各陽極ピクセル100は同じものである。加えて、6×6ピクセルのみを図示しているが、さらに多くのピクセルをピクセル型検出器の一部として提供することができる。例えば、陽極ピクセル・ピッチが0.5mmの4cm×4cmモジュールについて、80×80=6400個の陽極ピクセル及び160のチャネル(80行+80列)が設けられる。
【0051】
本実施形態では、ピクセル(点によって示す)同士の間の電気的接続102は伝導性であっても容量性であってもよく、各々のピクセル陽極100毎に、又は加算される行若しくは列についてのみ前置増幅器を含み得る。接続102は、各々の行列に別個に1個置きのピクセル陽極100の間に設けられる。尚、各々のピクセル陽極100がアナログ(から)−ディジタル(への)変換器(ADC)を含んでいる場合には、1行又は1列のピクセルを接続する線はアナログ加算ではなくディジタル用のデータ・バスとなることを特記しておく。また、幾つかの実施形態において信号をピクセル陽極100から前置増幅器へ読み出すために(例えば2nスケーリングの場合)、各々の線のキャパシタンスは前置増幅器キャパシタンスよりも著しく低く、キャパシタンスはCZT材料が厚くなるほど小さくなることを特記しておく。
【0052】
ピクセル陽極100が電荷雲共有を与える(例えば保証する)ように必ずしも構成されていないときには、図10に示すような接続構成を行列加算に用いることができ、またより小さい陽極ピクセルにも用いることができる。ピクセル陽極100(黒い点によって示す)の間の電気的接続104は伝導性であっても容量性であってもよい。接続104は、各々の列及び行の各々の陽極ピクセル100に設けられ、また行及び列の間にも設けられる。加えて、前置増幅器が各々のピクセル陽極100と関連して設けられて、行及び列の間のクロストークを低減し又は回避する。尚、各々のピクセル陽極100がADCを含んでいる場合には、1行又は1列のピクセルを接続する線はアナログ加算ではなくディジタル用のデータ・バスとなることを特記しておく。
【0053】
図8の方法80に戻り、次いでブロック84において、例えば陽極ピクセルの1又は複数についての読み出しの電荷情報を用いて、電荷を共有する陽極ピクセルを識別する。この後に、ブロック86において、共有されているピクセルでのエネルギを決定する。例えば、全てのディジタル化されたチャネルを加算して、検出ガンマ線又はX線事象のエネルギを決定する。次いでブロック88において、エネルギ雲の位置を決定し、例えば推定する。具体的には、意図的な電荷雲共有のため、各々の事象毎に多数の行チャネル及び列チャネルの間での信号の分布が存在する。位置は小ピクセル精度で、本書でさらに詳細に記載するように図心又は重心(Anger型)計算から決定され得る。加えて、走査型ペンシル・ビーム較正に対する検出器応答を記憶し、次いで利用中に最も確からしさの高い位置を決定することができる。代替的には、単一ピクセルの分解能のためにはピークの行信号及び列信号を用いることができる。
【0054】
この後に、ブロック90において相互作用深さ(DOI)を決定することができる。例えば、陽極(電子)信号と陰極(正孔)信号との間の飛行時間差を用いてDOIを決定することができる。正孔及び電子の移動性は、幾つかの実施形態では1桁を超える大きさの差があり、DOIを決定するときにこのことを考慮する。様々な実施形態による他のDOI決定では、陰極積算電荷と陽極積算電荷における差(深さ依存型の正孔捕獲のため)を用いてもよいし、陰極信号立ち上がり時間を用いてもよい。
【0055】
尚、図20に示すように、陰極もピクセル型であってよく(陽極ピクセルと必ずしも同じ寸法でなくてもよい)、これにより冗長的な位置情報を与えて検出器の麻痺可能性(paralyzability)を小さくし、X線応用等に用いるためのさらに高い計数率を提供し得ることを特記しておく。加えて、小ピクセル型陰極はまた、正孔に対してのみ感度を有する。図20に示すように、陰極38は、複数の接点から形成される複数の隔設された陰極ピクセル140から形成される。図示の実施形態は、三次元(3D)で事象を測定し、すなわちDOI情報を加える。この構成を用いて、信号142と信号144との間の時間遅延(Δt)又は積分の比又は加算後の陰極ピクセル140の立ち上がり時間を測定することにより、DOIを決定することができる。DOIは、検出器の側に入る例えばペンシル・ビームを用いて時間差に対して較正され得る。尚、e−キャリア及びh+キャリアの異なる移動性μが存在することを特記しておく。また、遮断性接点及び熱を用いて正孔移動性を高め得ることを特記しておく。
【0056】
このように、様々な実施形態を用いると、例えば図7に戻り、電子雲110として図示されている電荷雲が、1個の陽極ピクセル74、及び例えば重なり領域76では少なくとももう1個の陽極ピクセルによって検出されてこれらの陽極ピクセルに入射する。尚、電子雲110は、図示の単純化のために円形として示されていることを特記しておく。従って、様々な実施形態を用いて、例えば電子雲110が、重なり領域76に位置し得る少なくとも2個の異なる陽極ピクセル74に入射する確からしさを高め又は保証することにより、陽極に到達する電荷の量が制御される。
【0057】
例えば、図16に示すように、Anger型ガンマ・カメラの一部を形成し得る陽極ピクセル74は、各々の電子雲110が少なくとも2個の陽極ピクセル74及び場合によって3以上の陽極ピクセル74によって検出されるように構成されている。一例として、電子雲110の寸法は1mmであり、陽極ピクセル74は約0.4mm〜1.0mmである。
【0058】
他の実施形態では、例えば図17に示すように、陽極ピクセル74を配列して、陽極ピクセル74の上の番号によって示すように陽極ピクセル74を対を成して接続することにより、出力チャネルをさらに減少させることができる。図示のように、五つのチャネルが10対の陽極ピクセル74を画定しており、これらの対は三重検出器すなわち三つ一組として構成されていてよい。付加的なチャネルが付加的な対を画定することができ、例えば七つのチャネルが21対の陽極ピクセル74を画定することができる。
【0059】
また、重なり領域76を有する陽極ピクセル74を図18に示すような二次元構成として具現化してもよい。図示のように、陽極ピクセル74は、重なり領域76がx軸方向において1行置きの行120毎に異なる位置に位置するように、アレイの1行置きの行120毎にオフセットされ千鳥型構成にされている。この図示の実施形態では、電子雲110は、重なり領域76に位置し得る2以上の陽極ピクセル74に入射する。加えて、隣接陽極ピクセル74では小さい電荷効果が経験され得る。本実施形態では、行120の幅(W)は、電子雲110(例えば電子雲110の期待される寸法)に略等しく寸法設定されているが、行120の範囲内では、陽極ピクセル74は電子雲110の寸法の多数倍にわたり、例えば約4倍以上にわたり延伸され得る。
【0060】
変形及び改変が思量される。例えば、図19に示すように、抵抗陽極130として示す抵抗層が例えば基材32と陽極34との間に設けられ、当技術分野の付着工程によって基材32に形成される。本実施形態では、電荷は、抵抗層として設けられている抵抗陽極130によって陽極34(すなわち接点)の間で拡散する。CZT応用では、抵抗陽極130の抵抗は、基材32を形成するCZT材料の抵抗よりも小さい。
【0061】
もう一つの例として、図21に示すように、2層の基材層154及び156の間に共通陰極152を有するサンドイッチ型検出器として構成され、これにより2層検出器を形成する検出器150を提供してもよい。図示の実施形態では、複数のピクセル型陽極158が基材層154に形成され、複数のピクセル型陽極160が基材層156に形成されている。
【0062】
もう一つの例として図22に示すように陽極174と陰極176との間にダイオードを画定した複数の基材層172を有する多層十字片型検出器170が提供され得る。多層十字片型検出器170は、図示のように偶数平面及び奇数平面に分割され得る。
【0063】
また、ピクセル型検出器を有するシステムに対する変形及び改変も思量される。例えばX線透過応用では、放射線源の電力を小さくして電荷雲の寸法を大きくすることができる。従って、さらに大きい寸法のピクセルを用いることができる。
【0064】
このように、様々な実施形態が、電荷雲がピクセル型検出器の少なくとも2個のピクセル陽極によって検出されるようなピクセル型検出器を提供する。従って、電荷雲の位置とそれぞれの陽極信号との間に一定の関係が存在するようなピクセル型検出器の構成が提供される。これら様々な実施形態では、少なくとも2個のピクセルが電荷雲を検出することを可能にするように検出器ピクセルを成形し、寸法設定し、分割し、且つ/又は配置することができる。検出を促進するために、線形抵抗板のような付加的な要素を設けてもよい。
【0065】
様々な実施形態のピクセル型検出器は、例えば特に陽電子放出断層写真法(PET)イメージング・システム、SPECTイメージング・システムのようなNMイメージング・システム、並びに/又はX線イメージング・システム及びCTイメージング・システムのような様々な形式のイメージング・システムの一部として提供され得る。例えば、図23は、様々な実施形態に従って構築される医用イメージング・システム210の実施形態の一例の遠近図であり、この実施形態ではSPECTイメージング・システムである。システム210は一体型ガントリ212を含んでおり、ガントリ212はさらに、ガントリ中孔232の周りに配向されたロータ214を含んでいる。ロータ214は、限定しないがガンマ・カメラ、SPECT検出器、多層ピクセル型カメラ(例えばComptonカメラ)、及び/又はPET検出器のような1又は複数のNMピクセル型カメラ218(2基のカメラ218を図示している)を支持するように構成されている。尚、医用イメージング・システム210がCTカメラ又はX線カメラを含んでいるときには、医用イメージング・システム210はまた、X線放射線を検出器へ向けて放出するX線管(図示されていない)も含んでいることを特記しておく。様々な実施形態では、カメラ218は、本書でさらに詳細に記載するようなピクセル型検出器から形成される。ロータ214はさらに、検査軸219の周りに軸方向に回転するように構成されている。
【0066】
患者テーブル220が、寝台支持システム224に摺動式で結合されている寝台222を含んでおり、寝台支持システム224は床に直接結合されていてもよいし、ガントリ212に結合されている台226を通してガントリ212に結合されていてもよい。寝台222は、当該寝台222の上面230に摺動式で結合されているストレッチャ228を含み得る。患者テーブル220は、患者(図示されていない)を検査軸219に実質的に整列した検査位置に出し入れすることを容易にするように構成されている。撮像走査時には、患者テーブル220は、寝台222及び/又はストレッチャ228を中孔232に軸方向に出し入れして移動させるように制御され得る。イメージング・システム210の動作及び制御は、当技術分野で公知の任意の態様で行なわれ得る。尚、様々な実施形態は、回転式ガントリ又は静止型ガントリを含むイメージング・システムと関連して具現化され得る。
【0067】
図24は、ガントリに装着されて様々な実施形態に従って構成されている複数のピクセル型撮像用検出器を有するイメージング・システム250を示すブロック図である。尚、イメージング・システムは、NM/CTイメージング・システムのような多重モダリティ・イメージング・システムであってもよいことを特記しておく。SPECTイメージング・システムとして示すイメージング・システム250は一般的には、ガントリ256に装着された複数のピクセル型撮像用検出器252及び254(二つを図示する)を含んでいる。尚、追加の撮像用検出器を設けてもよいことを特記しておく。撮像用検出器252及び254は、ガントリ256の中孔260に位置する患者258に関して多数の位置に配置される(例えばLモード構成)。患者258は、患者258の体内の着目する構造(例えば心臓)に特有の放射線データ又は撮像データが取得され得るように患者テーブル262に支持される。尚、撮像用検出器252及び254は、幾つかのイメージング・システムではガントリ256に沿った(又は周囲での)可動型運転向けに構成されているが、例えばPETイメージング・システム(例えば環状の撮像用検出器)では静止位置においてガントリ256に固定的に結合されていることを特記しておく。また、撮像用検出器252及び254を本書に記載するような異なる材料から形成して、当技術分野で公知の異なる構成として設けてもよいことを特記しておく。
【0068】
撮像用検出器252及び254の1又は複数における放射線検出面(図示されていない)の前方に1又は複数のコリメータを設けてもよい。撮像用検出器252及び252は、ピクセルのx及びy位置、並びに撮像用検出器252及び254の位置によって画定され得る2D画像を取得する。放射線検出面(図示されていない)は、例えば患者258(患者であっても患畜であってもよい)に面するように向けられる。尚、ガントリ256は、例えば「C」字形、「H」字形又は「L」字形のように異なる形状で構成され得ることを特記しておく。
【0069】
制御器ユニット264が、撮像用検出器252及び254に関する患者テーブル262の移動及び配置、並びに患者258に関する撮像用検出器252及び254の移動及び配置を制御して、患者258の所望の解剖学的構造を撮像用検出器252及び254の視野(FOV)の範囲内に配置することができ、このことは、着目する解剖学的構造の画像を取得するのに先立って行なわれ得る。制御器ユニット264はテーブル制御器264及びガントリ・モータ制御器266を有していてよく、各制御器は各々、処理ユニット268によって自動的に命令されてもよいし、操作者によって手動で制御されてもよいし、これらを併用してもよい。テーブル制御器264は、撮像用検出器252及び254のFOVに対して患者258を配置するように患者テーブル258を移動させることができる。加えて、又は選択随意で、ガントリ・モータ制御器266の制御の下で撮像用検出器252及び254を患者258に対して移動させ、配置し、若しくは配向させ、又は患者258の周りで回転させることができる。
【0070】
撮像データを結合して、2D画像、3D容積又は経時的3D容積(4D)を含み得る画像に再構成することができる。
【0071】
データ取得システム(DAS)270が、撮像用検出器252及び254によって発生されるアナログ及び/又はディジタルの電気信号データを受け取って、本書でさらに詳細に記載するような後の処理のためにデータを復号する。画像再構成プロセッサ272が、DAS270からデータを受け取って、当技術分野で公知の任意の再構成工程を用いて画像を再構成する。データ記憶装置274が設けられて、DAS270からのデータ又は再構成された画像データを記憶することができる。また、入力装置276が設けられて利用者入力を受け取り、表示器278が設けられて再構成画像を表示することができる。
【0072】
また、電荷位置決定モジュール280が設けられて、本書でさらに詳細に記載するようにフォトン(例えば放出ガンマ・フォトン又は透過X線フォトン)によって発生される電荷又は電荷雲の位置を決定することができる。電荷位置決定モジュール280は、ソフトウェア、ハードウェア又はこれらの組み合わせとして具現化され得る。
【0073】
様々な実施形態、並びに/又は構成要素、例えば内部のモジュール若しくは構成要素及び制御器は、1又は複数のコンピュータ又はプロセッサの一部としても具現化され得る。コンピュータ又はプロセッサは、計算装置、入力装置、表示ユニット、及び例えばインターネットにアクセスするためのインタフェイスを含み得る。コンピュータ又はプロセッサはマイクロプロセッサを含み得る。マイクロプロセッサは通信バスに接続され得る。コンピュータ又はプロセッサはまた、メモリを含み得る。メモリは、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)及び読み出し専用メモリ(ROM)を含み得る。コンピュータ又はプロセッサはさらに、記憶装置を含んでいてよく、記憶装置はハード・ディスク・ドライブ、又はフロッピィ・ディスク・ドライブ及び光ディスク・ドライブ等のような着脱式記憶ドライブであってよい。記憶装置はまた、コンピュータ又はプロセッサにコンピュータ・プログラム又は他の命令を読み込む他の同様の手段であってよい。
【0074】
本書で用いられる「コンピュータ」又は「モジュール」との用語は、マイクロコントローラ、縮小命令セット回路(RISC)、ASIC、論理回路、及び本書に記載された作用を実行することが可能な他の任意の回路又はプロセッサを用いたシステムを含む任意のプロセッサ方式のシステム又はマイクロプロセッサ方式のシステムを含み得る。上の例は例示のみのためのものであり、従って「コンピュータ」との語の定義及び/又は意味を限定しないものとする。
【0075】
コンピュータ又はプロセッサは、入力データを処理するために1又は複数の記憶要素又はメモリに記憶されている一組の命令を実行する。記憶要素はまた、データ、又は所望若しくは必要に応じて他の情報を記憶し得る。記憶要素は、情報ソースの形態にあってもよいし、処理機械の内部の物理的メモリ素子の形態にあってもよい。
【0076】
上述の一組の命令は、様々な実施形態の方法及び工程のような特定の動作を実行するように処理機械としてのコンピュータ又はプロセッサに命令する様々な命令を含み得る。一組の命令は、ソフトウェア・プログラムの形態にあってよい。ソフトウェアは、システム・ソフトウェア又はアプリケーション・ソフトウェアのような様々な形態にあってよい。さらに、ソフトウェアは、別個のプログラム若しくはモジュールの集合、より大きなプログラムの内部のプログラム・モジュール又はプログラム・モジュールの一部の形態にあってよい。ソフトウェアはまた、オブジェクト指向プログラミングの形態のモジュール型プログラミングを含み得る。処理機械による入力データ処理は、利用者の命令に応答して行なわれてもよいし、以前の処理の結果に応答して行なわれてもよいし、他の処理機械によって発行された要求に応答して行なわれてもよい。
【0077】
本書で用いられる「ソフトウェア」及び「ファームウェア」との用語は互換的であり、RAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、及び不揮発性RAM(NVRAM)メモリを含めたメモリに記憶されて、コンピュータによって実行される任意のコンピュータ・プログラムを含んでいる。以上のメモリ形式は例示のみのためのものであり、従ってコンピュータ・プログラムの記憶に利用可能なメモリの形式に関して制限するものではない。
【0078】
以上の記載は例示説明のためのものであって制限するものではないことを理解されたい。例えば、上述の各実施形態(及び/又は各実施形態の諸観点)を互いに組み合わせて用いてよい。加えて、様々な実施形態の範囲を逸脱することなく、特定の状況又は材料を様々な実施形態の教示に合わせて適応構成する多くの改変を施すことができる。本書に記載されている材料の寸法及び形式は、様々な実施形態の各パラメータを定義するためのものであるが、各実施形態は限定するものではなく例示する実施形態である。以上の記載を吟味すれば、当業者には他の多くの実施形態が明らかとなろう。従って、様々な実施形態の範囲は、特許請求の範囲に関連して、かかる特許請求の範囲が網羅する等価物の全範囲と共に決定されるものとする。特許請求の範囲では、「including包含する」との用語は「comprising含む」の標準英語の同義語として、また「in whichこのとき」との用語は「whereinここで」の標準英語の同義語として用いられている。さらに、特許請求の範囲では、「第一」、「第二」及び「第三」等の用語は単にラベルとして用いられており、これらの用語の目的語に対して数値的要件を課すものではない。さらに、特許請求の範囲の制限は、「手段プラス機能(means-plus-function)」形式で記載されている訳ではなく、かかる特許請求の範囲の制限が、「〜のための手段」に続けて他の構造を含まない機能の言明を従えた文言を明示的に用いていない限り、合衆国法典第35巻第112条第6パラグラフに基づいて解釈されるべきではない。
【0079】
この書面の記載は、最適な態様を含めて様々な実施形態を開示し、また任意の装置又はシステムを製造して利用すること及び任意の組み込まれた方法を実行することを含めてあらゆる当業者が様々な実施形態を実施することを可能にするように実例を用いている。特許付与可能な様々な実施形態の範囲は特許請求の範囲によって画定されており、当業者に想到される他の実例を含み得る。かかる他の実例は、特許請求の範囲の書字言語に相違しない構造要素を有する場合、又は特許請求の範囲の書字言語と非実質的な相違を有する等価な構造要素を含む場合には、特許請求の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0080】
30:ピクセル型検出器
32:基材
34:陽極
36:電荷相互作用
38:陰極
40:ピクセル型検出器の複数のピクセル型素子の間での電荷分布を制御する方法
50:小ピクセル型検出器
52:結晶
54:面
56:陰極
58:裏面
60:陽極
62:陽極ピクセル
63:小ピクセル
64:検出器底面
66:接続ピン
70:矩形ガンマ・カメラ
72:マザー・ボード
74:陽極ピクセル
76:重なり領域
80:ピクセル型検出器との電荷相互作用の位置を決定する方法
90(図5):方向制御グリッド
100:陽極ピクセル
102、104:電気的接続
110:電子雲
120:1行置きの行
130:抵抗陽極
140:陰極ピクセル
142、144:信号
150:サンドイッチ型検出器
152:共通陰極
154、156:基材層
158、160:ピクセル型陽極
170:多層十字片型検出器
172:基材層
174:陽極
176:陰極
210:医用イメージング・システム
212:一体型ガントリ
214:ロータ
218:NMピクセル型カメラ
219:検査軸
220:患者テーブル
222:寝台
224:寝台支持システム
226:台
228:ストレッチャ
230:上面
232:ガントリ中孔
250:イメージング・システム
252、254:ピクセル型撮像用検出器
256:ガントリ
258:患者
260:中孔
262:患者テーブル
264:制御器ユニット
264:テーブル制御器
266:ガントリ・モータ制御器
268:処理ユニット
270:データ取得システム(DAS)
272:画像再構成プロセッサ
274:データ記憶装置
276:入力装置
278:表示器
280:電荷位置決定モジュール
【技術分野】
【0001】
本書に開示される主題は一般的には、画像検出器に関し、さらに具体的には、ピクセル型固体画像検出器、及び該検出器によるフォトン検出に関する。
【背景技術】
【0002】
診断イメージング・システム用の検出器、例えば単光子放出計算機式断層写真法(SPECT)イメージング・システム及び計算機式断層写真法(CT)イメージング・システム用の検出器は、特にテルル化カドミウム亜鉛(CdZnTe、しばしばCZTと呼ばれる)、テルル化カドミウム(CdTe)、及びシリコン(Si)のような半導体材料からしばしば製造される。これらの半導体検出器は典型的には、ピクセル型検出器モジュールのアレイを含んでいる。ピクセル型固体ガンマ線検出器の空間分解能は、検出器ピクセルの寸法によって限定される。また、最小ピクセル寸法も固体物理学及び工学的条件によって限定される。
【0003】
CZT検出器でのガンマ線の相互作用時に、連続的な陰極とピクセル型陽極との間に電荷雲が発生される。この雲は、検出器の陽極側へ向けて移動しながら成長する。従来のシステムでは、各々のピクセル陽極は、ピクセル当たり1個の前置増幅器及び多数の読み出しチャネル(例えば256の読み出しチャネル)に接続されている。このように、空間分解能を高めるためにピクセル寸法が小さくなるにつれて、読み出しチャネルの総数が増大し、これにより電子回路、制御器の複雑さ、費用及び発熱が増大する。従って、CZT又はCdTeのような直接変換型半導体材料を用いたガンマ線及びX線検出器は、電子回路の複雑さを少なくして(例えば特定応用向け集積回路(ASIC)の複雑さを少なくする)、隣り合ったピクセルの間の電荷雲共有を減少させる又は回避するために、相対的に大きいピクセル寸法で製造される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようにピクセル寸法が大きくても、X線応用及びCT応用に十分に作用しない。加えて、SPECTシステムでは、画像性能が検出器ピクセルの数に直接関係する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
様々な実施形態によれば、ピクセル型固体フォトン検出器の電荷分布を制御する方法が提供される。この方法は、ピクセル型固体フォトン検出器に、電荷分布が少なくとも2個のピクセルによって検出されるような構成として複数のピクセルを設けるステップと、少なくとも2個のピクセルから電荷情報を得るステップとを含んでいる。この方法はさらに、得られた電荷情報に基づいて電荷分布の複数のピクセルとの相互作用の位置を決定するステップを含んでいる。
【0006】
他の実施形態によれば、半導体基材と、該半導体基材の一方の面に設けられた複数の陽極ピクセルとを含むピクセル型固体フォトン検出器が提供される。陽極ピクセルの各々が、少なくとも一つの方向に延伸された長さを有する。このピクセル型固体フォトン検出器はさらに、複数の陽極ピクセルの反対側の半導体基材の裏面に設けられた陰極を含んでいる。
【0007】
さらに他の実施形態によれば、半導体基材と、該半導体基材の一方の面に設けられた複数の陽極ピクセルとを含むピクセル型固体フォトン検出器が提供される。陽極ピクセルの各々が、複数の小ピクセルに分割されている。このピクセル型固体フォトン検出器はさらに、複数の陽極ピクセルの反対側の半導体基材の裏面に設けられた陰極を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】様々な実施形態に従って形成されるピクセル型検出器の一部の単純化した断面図である。
【図2】様々な実施形態によるピクセル型検出器の複数のピクセル型素子の間での電荷分布を制御する方法の流れ図である。
【図3】一実施形態に従って形成されるピクセル型フォトン検出器の上面遠近図である。
【図4】図3の複数のピクセル型フォトン検出器を含むガンマ・カメラの上面遠近図である。
【図5】様々な実施形態に従って形成されるピクセル型検出器の上面平面図であって、様々なピクセル構成を示す図である。
【図6】様々な実施形態に従って形成されるピクセル型検出器の上面平面図であって、行列型接続構成を示す図である。
【図7】様々な実施形態に従って形成される延伸型ピクセルを有するピクセル型検出器の上面平面図である。
【図8】様々な実施形態によるピクセル型検出器との電荷相互作用の位置を決定する方法の流れ図である。
【図9】様々な実施形態に従って形成されるピクセル接続構成を示す図である。
【図10】様々な実施形態に従って形成されるもう一つのピクセル接続構成を示す図である。
【図11】様々な実施形態による電荷検出を示す図である。
【図12】チャネルの結合を有しない場合の電荷検出を示す図である。
【図13】y軸での位置の補間を行なわない場合の電荷検出を示す図である。
【図14】様々な実施形態による千鳥型陽極を用いた電荷検出を示す図である。
【図15】様々な実施形態による千鳥型且つ延伸型の陽極を用いた電荷検出を示す図である。
【図16】様々な実施形態に従って形成される延伸型ピクセルを有するピクセル型検出器の上面平面図である。
【図17】様々な実施形態に従って形成される延伸型ピクセルを有するピクセル型検出器の上面平面図であって、対を成して接続された陽極ピクセルを示す図である。
【図18】様々な実施形態に従って形成される二次元アレイにおける延伸型ピクセルを有するピクセル型検出器の上面平面図である。
【図19】様々な実施形態に従って形成される抵抗層を有するピクセル型検出器の一部の単純化した断面図である。
【図20】様々な実施形態に従って形成されるピクセル型陽極及びピクセル型陰極を有するピクセル型検出器の一部の断面図であって、相互作用深さ(DOI)を示す図である。
【図21】様々な実施形態に従って形成される二層ピクセル型検出器の一部の断面図である。
【図22】様々な実施形態に従って形成される多層十字片型検出器を示す図である。
【図23】様々な実施形態に従って構築される例示的な核医学イメージング・システムの遠近図である。
【図24】様々な実施形態に従って構築される核医学イメージング・システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以上の概要及び以下の幾つかの実施形態の詳細な説明は、添付図面と併せて読むとさらに十分に理解されよう。図面が様々な実施形態の機能ブロックの線図を示す範囲までにおいて、機能ブロックは必ずしもハードウェア回路の間の区分を示す訳ではない。従って、例えば、機能ブロックの1又は複数(例えばプロセッサ若しくはメモリ)が単体のハードウェア(例えば汎用信号プロセッサ若しくはランダム・アクセス・メモリのブロック、又はハードディスク等)として具現化されてもよいし、多数のハードウェアとして具現化されてもよい。同様に、プログラムは独立型プログラムであってもよいし、オペレーティング・システムのサブルーチンとして組み込まれていてもよいし、インストールされているソフトウェア・パッケージの関数等であってもよい。尚、様々な実施形態は図面に示されている構成及び手段に限定されないことを理解されたい。
【0010】
本書で用いる場合には、単数形で記載されており単数不定冠詞を冠した要素又はステップとの用語は、排除を明記していない限りかかる要素又はステップを複数備えることを排除しないものと理解されたい。さらに、「一実施形態」に対する参照は、所載の特徴を同様に組み入れている追加の実施形態の存在を排除しないものと解釈されたい。また、反対に明記されていない限り、特定の特性を有する1若しくは複数の要素を「含んでいる」又は「有している」実施形態は、この特性を有しないような追加の要素も包含し得る。
【0011】
また、本書で用いられる「画像を再構成する」との表現は、画像を表わすデータが生成されるが可視画像は形成されないような実施形態を排除するものではない。従って、本書で用いられる「画像」との用語は、可視画像及び可視画像を表わすデータの両方を広く指す。但し、多くの実施形態は少なくとも1枚の可視画像を形成し、又は形成するように構成されている。
【0012】
様々な実施形態が、ピクセル型固体(例えば半導体)検出器において、電荷共有の検出、及びピクセル型検出器との電荷共有相互作用の位置の識別を可能にするために、電荷分布を制御するシステム及び方法を提供する。ピクセル型検出器の各ピクセルは、電子電荷雲によって画定され得る電荷分布が少なくとも2個のピクセル又は小ピクセル(sub-pixel)によって検出されるように構成される。形状及び位置が異なるピクセル型素子又は小ピクセル型素子を有する様々な構成及び配置のピクセル型検出器、例えばピクセル型ガンマ・カメラが提供される。様々な実施形態に従って形成されるピクセル型検出器は、付設される電子回路を大幅に増大させずにさらに高い空間分解能を提供する。様々な実施形態の少なくとも一つについての技術的効果は、さらに高感度の単光子放出計算機式断層写真法(SPECT)撮像スキャナ及び/又はX線若しくは計算機式断層写真法(CT)撮像スキャナのように、さらに高感度の撮像を提供することである。加えて、様々な実施形態を実施するときに、相対的に低消費電力レベルでの動作を提供することができる。様々な実施形態はまた、X線及びガンマ線検出器を含めた両用型用途向けのピクセル型検出器を提供することを可能にする。
【0013】
尚、ピクセル型検出器の特定の構成又は配置を含めて特定の構成要素を有する核医学イメージング・システムと関連して様々な実施形態を記載するが、これら様々な実施形態は、核医学イメージング・システムにも本書に記載する特定のピクセル型検出器にも限定されないことを特記しておく。従って、様々な実施形態は、任意の形式の診断イメージング・システム、例えば医療診断イメージング・システム(例えばCTシステム又はX線システム)、非破壊試験システム、及び警備監視システム(例えば航空手荷物又は空港警備イメージング・システム)等と関連して具現化され得る。加えて、これらの構成及び配置は、様々な実施形態の少なくとも幾つかにおいて、電荷分布の位置と、ピクセル型検出器の各陽極から受け取られるそれぞれの信号との間の関係を保つように改変されてもよい。
【0014】
様々な実施形態は、放出ガンマ線フォトン又は透過X線フォトンのようなフォトンを検出して、ピクセル型検出器のピクセル又は小ピクセルの間の電荷共有から検出されたフォトンの位置を識別する構成及び配置を用いるピクセル型検出器を提供する。従って、隣り合ったピクセルの間で共有される電荷分布を検出するので、隣り合ったピクセルの間に相互作用を生じた電荷は、本書でさらに詳細に記載するように、例えば検出ガンマ線放出の応答関数に含まれ得る。
【0015】
図1は、様々な実施形態に従って形成されるピクセル型検出器30の単純化した断面立面図である。ピクセル型検出器30は、放射線応答性の半導体材料、例えばテルル化カドミウム亜鉛(CZT)結晶又はテルル化カドミウム(CdTe)から形成される基材32を含んでいる。複数のピクセル又は小ピクセル(本書でさらに詳細に記載する)を有するピクセル型構造が、複数のピクセル電極を形成するように複数の伝導性電極を付着させることにより画定されており、陽極34として示されている。付着は、電極構造を画定するマスクを通して行なわれ得る。代替的には、連続的な伝導性層(例えば金属層)を結晶の表面に付着させて、化学的エッチング若しくはレーザ・エッチング、フォトリソグラフィ、又は当技術分野で公知の他の方法によって複数の電気的に分離した電極を形成する。本書でさらに詳細に記載するように、陽極34の形状及び構成、並びに陽極34の各々の間の間隔は、検出されるフォトンから発生される電荷からの電荷共有相互作用36の位置を決定することを容易にする。本書でさらに詳細に記載するように、電荷相互作用36は、基材32に入射したフォトンが電離によってエネルギを失い、移動性の電子(e−)と正孔(+)との対を基材32の各領域に残す(単純化するために1対の電子/正孔対のみを示す)ときに生ずる。
【0016】
ピクセル型検出器30はまた、基材32の陽極34とは反対面又は反対側に、単一の陰極電極から形成され得る陰極38を含んでいる。尚、陽極34はピクセルを画定していてもよいし、小ピクセルを形成するように分割されていてもよいことを特記しておく。また、1又は複数のコリメータが、陰極38によって画定される放射線検出面の手前に設けられ得ることを特記しておく。さらに、レーザ・エッチング及びフォトリソグラフィ、並びに他の微細加工法及びナノテクノロジー方法によって、様々な実施形態による利用のためにサブ・マイクロメートル規模及び数ナノメートル規模に到る微細な細部を有する構造を作製することができる。
【0017】
図2は、ピクセル型検出器の複数のピクセル型素子、特にピクセル陽極の間での電荷分布(電荷雲とも呼ぶ)を制御する方法の流れ図40である。明確に述べると、ブロック42では、ピクセル型検出器の陽極に到達する電荷の量が、陽極との相互作用の関数として制御される。本書でさらに詳細に記載するように、電荷共有は、異なる構成及び配置を成すピクセル型素子を画定することにより制御され、例えばピクセル型素子を成形し隔設して、検出電荷の位置と陽極信号との間の関係を画定するように各ピクセル型素子を接続することにより制御される。例えば、陽極に到達する電荷の量を制御する、例えば本書でさらに詳細に記載するように陽極を成形することにより、放射線相互作用事象すなわち電荷共有事象の位置決定及び検出が提供される。
【0018】
動作時には、フォトン、例えば患者において崩壊する放射性核種又はX線管のような線源からのそれぞれ放出ガンマ線及び/又は透過X線が、検出器の陰極に入射する。特に、図1に示すように、陰極38は単一の陰極電極であってよく、陽極34は成形されたピクセル電極のアレイであってよい。動作時に陽極34と陰極38との間に印加される電圧差が基材32に電場(検出器電場)を発生する。検出器電場は、例えばセンチメートル当たり約1キロボルト乃至センチメートル当たり3キロボルトであってよい。フォトンが基材32に入射する(陰極38に衝突する)と、フォトンは一般的には、基材32において電離によってフォトンのエネルギの全てを失い、基材32の局所的な小領域に移動性の電子と正孔との対をを残す。
【0019】
フォトンのエネルギに依存して、フォトンは一般的には、結晶に貫入した後に結晶と相互作用する。尚、エネルギが高いほど、フォトンが結晶に深く貫入する確率が高いことを特記しておく。初期電離事象が、高速移動する電子(e−)を生成して、正に電離した「孔」を結晶に残す。高速移動する電子はやがて他の電子と相互作用して、結晶のさらに多くを電離する。結果的に、発生される電子の数(正孔の数に等しい)及び電離帯の寸法が、フォトンのエネルギと共に増大する。検出器電場の結果として、正孔(+)は陰極38へ向けて漂流し、電子(e−)は陽極34へ向けて漂流して、これにより陽極34及び陰極38に電荷を誘導する。漂流中に、電子(及び正孔)は初期残留速度、乱雑な熱運動、相互静電反発、及び結晶の不純物との衝突のため拡散する。陽極34に誘導された電荷は検出されて、フォトンが検出された時刻、検出されたフォトンがどれほどのエネルギを基材32に与えたか、及び基材32の何処でフォトン相互作用が生じたかもまた、本書でさらに詳細に記載するように決定される。具体的には、ガンマ線フォトン及びX線フォトンの検出、並びに検出されたピクセル位置(及び他の電荷情報)の識別を容易にするために、陽極に到達する電荷の量は、本書でさらに詳細に記載するように陽極を成形することにより制御される。
【0020】
図2の方法40に戻り、上述のように検出されたフォトンから発生される電荷は信号を発生し、これらの信号がブロック44において複数の陽極から得られる。これらの信号は、2個の隣り合った陽極によって共有されるエネルギのようなエネルギを検出した1又は複数の陽極(若しくは小ピクセル型陽極)に対応する。この信号情報を用いて、ブロック46において相互作用の位置を推定する。位置推定は、位置と、電荷分布と、受ける電荷の量を制御されている陽極において観察された信号との間の既知の関係から決定される。例えば、電荷位置の推定は、本書でさらに詳細に記載するように、検出電荷を共有している2個の陽極からの推定に基づくものであってよい。加えて、2個の陽極等からの決定された推定を用いると、電荷分布の推定位置を用いてブロック48において補正ファクタを決定することができる。
【0021】
方法40は、図1に示すようなピクセル型検出器、又は例えば様々な実施形態においてCZTから形成された小ピクセル型半導体フォトン検出器として構成され得る図3に示すような小ピクセル型検出器50と関連して用いられ得る。尚、小ピクセル型素子は、特定の態様で寸法及び形状を与えられているように示しているが(図3では方形電極に分割されているように示している)、電極の寸法、形状及び接続は所望又は必要に応じて改変され得ることを特記しておく。また、本書で後にさらに詳細に記載するように、ピクセルは、異なるように寸法及び形状を決定されていてもよく、例えば鋸歯形状又はジグ・ザグ形状のアレイを成すピクセル型電極を提供することができる。
【0022】
尚、様々な実施形態でのピクセル型検出器50は、CZT又はCdTeから形成されることを特記しておく。ピクセル型検出器50は、半導体材料から形成される結晶52を含んでいる。幾つかの実施形態(図示)での結晶52の面54は、単一の陰極電極56を含んでいる。結晶52の裏面58が、陽極ピクセル62のアレイを有する陽極60を含んでいる。陽極ピクセル62は実質的に同じ寸法を有していてよく、分割された方形として示されており、すなわち三角形形状の小ピクセル63が方形形状のピクセル62を形成している。陽極ピクセル62及び小ピクセル62の寸法は様々であってよく、例えば0.01ミリメートル(mm)2と4mm2との間にあってよい。例えば、幾つかの実施形態では、ピクセル62は寸法が約0.1×0.1mm以下であってよい。また、陽極ピクセル62の数は図示の16個よりも多くても少なくてもよく、例えば32個の陽極ピクセル62を設けることができる。また、結晶52の厚みは、1ミリメートル未満から数センチメートルまで様々であってよいことを特記しておく。幾つかの実施形態では、入射するフォトンの少なくとも大部分を実質的に吸収するように、数ミリメートルの厚みが用いられる。このように、厚みは検出されるべきフォトンのエネルギに依存する。
【0023】
動作時には、本書でさらに詳細に記載するように、陰極電極56と陽極60との間に印加される電圧差が結晶52に電場を生成する。当技術分野で用いられるピクセル型検出器では、同じ事象に属する電子は実質的に1個の陽極に到達する。多くのかかる検出器では、事象によって発生される電子が2以上の電極にわたって拡散する場合には、これらの事象は拒絶され又は誤って記録される。このように、かかる検出器の分解能には、ピクセル寸法が電子の拡がりよりも遥かに大きくなければならないという制限が課され、さもないと電荷が部分的に収集されるため事象損失が生ずる。これらの検出器では、事象の位置は当該事象によって発生される電荷の全て又は大半を受け取った電極によって決定されるため、空間分解能は陽極寸法によって決まる。
【0024】
本発明の様々な実施形態を実施することにより、少なくとも2個、及び選択随意でさらに多くの電極の間での電荷共有が提供され、事象位置は、本書に記載するような複数の電極によって検出される電荷に基づくアルゴリズムによって決定される。幾つかの実施形態では、電極の寸法は、電子の拡がりよりも実質的に小さい。他の実施形態では、電極は、電荷が隣り合った電極によって共有されるように成形される。他の実施形態では、実効分解能は電子の拡がり、電極寸法又は両方よりも良好となる。
【0025】
動作時には、SPECT、X線、CT又はPETの各応用に用いられるフォトンのエネルギに典型的なエネルギを有するフォトンが結晶52に入射すると、フォトンは一般的には、結晶52と相互作用して、結晶52の局所的な小領域に位置する移動性の電子及び正孔の対が二次的な電離過程を通して発生される。印加される電場の結果として、正孔は陰極56に漂流し、電子は陽極60に漂流して、これにより本書でさらに詳細に記載するように陽極ピクセル62及び陰極56に電荷(電荷雲又は電子雲とも呼ぶ)を誘導する。陽極ピクセル62に誘導された電荷は感知されて、検出器底面64の内部に設けられてピクセル型検出器50を装着した適当な電子回路(例えば特定応用向け集積回路(ASIC))によって部分的に前処理され得る。例えば、読み出し増幅器系統を形成する複数のチャネルを設けることができる。検出器底面64は、接続部材、例えばマザー・ボード(図示されていない)に装着されて信号をASICからマザー・ボードへ伝達するための接続ピン66を含んでいる。陽極ピクセル62に誘導された電荷からの信号を用いて、本書でさらに詳細に記載するように、フォトンが検出された時刻、検出されたフォトンがどれほどのエネルギを結晶に与えたか、結晶の何処でフォトン相互作用が生じたかの任意のもの又は全てを含めた電荷情報を決定する(例えば行列加算方法を用いて)。次いで、この情報を用いて、当技術分野で公知のように画像を再構成することができる。
【0026】
図4は、複数、例えば20個のピクセル型検出器50を含む矩形ガンマ・カメラ70を示しており、これら20個の検出器50は、4個の検出器50を5列有する矩形アレイを形成するように配列されている。ピクセル型検出器50は、マザー・ボード72に装着されているように示されている。尚、より大きい又は小さいアレイを成すピクセル型検出器50を有するガンマ・カメラを提供してもよいことを特記しておく。また、ピクセル型検出器50によって検出されるフォトンのエネルギは一般的には、フォトンが結晶52の材料と相互作用するときに検出器50の結晶52に発生される電子正孔対の総数の推定から決定されることを特記しておく。この数は一般的には、電離事象において発生される電子の数から決定され、電子の数は、様々な実施形態を用いて検出器50の陽極60において収集された電荷から推定される。
【0027】
検出器50において検出されるフォトンによって発生される全ての電子及び正孔が検出器電極によって正しく検出された場合には、検出器50の陽極60又は陰極56の何れかに誘導される電荷はフォトンのエネルギの正しい測定となる。しかしながら、各々のピクセルのエネルギ応答、特にエネルギ・スペクトルについての各々のピークのピーク位置は変移して、画像を再構成するのに用いられる取得データに影響を与え得る。様々な実施形態を用いて、この変移を最小化し、又はピクセルの位置と、例えば本書で後にさらに詳細に記載するようにピクセルの成形及び接続によって制御される陽極信号との間の既知の関係を用いて補正することができる。
【0028】
核医学(NM)検出の技術分野で用いられる検出器では、検出器は、40×40×4mmの結晶を有することができ、広い面が2.5×2.5mmの陽極を16×16=256個含んでいる。従って、空間分解能は2.5mmである。各々の陽極が256の電子チャネルの一つに接続される。この構成での雑音がエネルギ分解能を限定し、この雑音は、2.5×2.5=6.25mm2の結晶を流れる暗電流、電子正孔発生の統計学的ゆらぎ、及び単一のチャネルの電子雑音のような主な成分によって与えられる。例えば電子雲の拡がりが0.1mmである場合には、事象が唯1個の電極に局限される確率は[(2.5−0.1)2]/[(2.5)2]=0.92となる。このように、事象の約8%は、2個以上の電極(事象がピクセルの隅角に又は隅角の近傍に衝突するときには4個まで)の間で少なくとも部分的に共有される。
【0029】
分解能を0.5mmまで高めるためには、各々が.5×.5mmの80×80=6,400個の陽極のアレイを用いることができる。この場合には、共有されない事象の確率は(0.4/0.5)2=0.64である。このように、検出の効率が大幅に低下する。加えて、6,400のチャネルを用いなければならない。雑音は、2*0.5×0.5=0.5mm2の結晶を流れる暗電流、電子正孔発生の統計学的なゆらぎ、及び単一のチャネルの電子雑音の2倍によって与えられる(2個の近傍ピクセルが用いられると仮定する)。しかしながら、0.5mmという中程度の分解能であっても(この分解能は0.1mm分解能を必要とし得るマンモグラフィでは不十分である)6,400のチャネルを必要とし、接続、パッケージ化、冷却は困難であるし、費用も高くなり得る。
【0030】
様々な実施形態の1又は複数の実施によって、減少したチャネル数を有する検出器が、2個の小ピクセル63すなわち2個の電極に分割され得る複数の陽極ピクセル62を含む。図5を参照すると、40×40mm検出器について、各々の2.5×2.5mmピクセルが2個の電極に分割されており、すなわち行電極(各々のピクセル62の右上の小ピクセル63)及び列電極(各々のピクセル62の右下の小ピクセル63)に分割されている。様々な実施形態では、各電極は、事象の位置を問わず電子が行電極及び列電極の両方によって必ず共有されるようにパターン化される。
【0031】
小ピクセル63の形状は、所望又は必要に応じて変化してよい。例えば、三角形の小ピクセルを有する陽極ピクセル62aに加えて、以下の形状を提供することができる。すなわち同心円形状の小ピクセルによる陽極ピクセル62b、矩形形状の小ピクセルによる陽極ピクセル62c、内側の方形形状及び外側の方形枠形状の小ピクセルによる陽極ピクセル62d、半円形状の小ピクセルによる陽極ピクセル62e、咬み合い型(指形状)の小ピクセルによる陽極ピクセル62f、及び分割円形状の小ピクセルによる陽極ピクセル62gである。加えて、共有電荷が提供される幾つかの実施形態では、陽極ピクセル62hは小ピクセルを有しない方形の形状となる。尚、陽極ピクセル62a〜62gに関して、ピクセル寸法が0.1mm未満であると0.1mm未満の特徴を有する電極をパターニングすることになるが、このように0.1mm未満でない限り様々な実施形態では陽極ピクセル62fが用いられることを特記しておく(本書で後にさらに詳細に記載する)。
【0032】
各々の行の全ての行電極が行線に接続される(図5に1行を示す)。各々の行の全ての列電極が列線に接続される(図5に1列を示す)。各々の列線及び各々の行線が一つの電子チャネルに接続される。図5の図示の実施形態では、16×16ピクセルの検出器は16+16=32チャネルしか必要としない。位置は、事象が検出された行チャネルと列チャネルとの交点として決定される。雑音は(電荷が同じピクセルの2個の電極によって共有されると仮定すると)以下のように与えられる。すなわち40*40/32=50mm2の結晶を流れる暗電流、電子正孔発生の統計学的なゆらぎ、及び単一のチャネルの電子雑音の2倍である。
【0033】
同じ構成はさらに小さいピクセル寸法、例えば0.5×0.5mmピクセルにも拡張することができる。この場合には、80行及び80列、並びに160のチャネルが用いられる。事象の約40%が2個の隣り合ったピクセルに含まれるので、本実施形態では、四つのチャネル(2行の隣り合った行及び列)を加算して合計電荷を得る。雑音(四つのチャネルによる)は以下のように与えられる。すなわち4*40*40/160=40mm2の結晶を流れる暗電流、電子正孔発生の統計学的なゆらぎ、及び単一のチャネルの電子雑音の4倍である。また雑音(二つのチャネルによる)は以下のように与えられる。すなわち2*40*40/160=20mm2の結晶を流れる暗電流、電子正孔発生の統計学的なゆらぎ、及び単一のチャネルの電子雑音の2倍である。
【0034】
このように、各々のチャネルを1行(1列)のピクセルの一部にのみ接続することにより、相対的に小さいピクセルを用いた構成、或いはチャネルの数を増大させた構成が提供され得る。例えば、図6に示すように各電極を接続することにより、チャネルの数は倍増し得る。ピクセル寸法を約0.1mmまでに減少させる場合(400+400=800チャネル)には、ピクセル陽極62a、62c、62e、62f及び62gを用いてもよい。
【0035】
ピクセル寸法が0.1×0.1mm未満である場合には、図9に示すように2行又は3行及び2列又は3列において少なくとも4個のピクセルを作動させる。尚、0.1mm径の円形の電子雲を想定していることを特記しておく。少なくとも2行及び2列が作動させられるので、以下の式を計算することにより、小ピクセル分解能を与えることができる。
【0036】
X=(x1*sx1+x2*s2x+…)/(sx1+sx2+sx2…)
式中、
x1(2,3,…)は第一(第二、…)列のx位置であり、
sx1(2,3,…)は第一(第二、…)列において測定される信号である(作動させられなかったチャネルについては「0」)。
【0037】
同じ計算を、行信号からのY位置についても行なう。尚、本書でさらに詳細に記載するように、例えばPMT方式の検出器に用いられるAngerアルゴリズム、及び相関信号強調(CSE)を提供するのに用いられる行列アルゴリズムに類似した様々なアルゴリズムを用い得ることを特記しておく。また、チャネルの数はこの方法によって増大し(2*40/0.1=800)、数はピクセル寸法が小さくなるほど増大することを特記しておく。チャネルの数は、分解能向上の自乗と共に増大する。各々のチャネルは発熱するので、能動型冷却を提供することができる。
【0038】
チャネルの数を、ピクセルの間での異なる接続構成によって減少させることができる。例えば、陽極ピクセル100の接続を示す図9及び図11に関して、同図で分かるように、各々の事象(例えば電荷相互作用)は、少なくとも4個の隣接電極に信号を発生する。従って、事象位置は、四つのチャネルの一意の組み合わせを作動させれば一意に画定され得る。N個からn個を取り出す一意の組み合わせの数はN!/(n!)2によって与えられる。ピクセル寸法が0.1mmである場合に、位置の総数は(40/0.1)2=160,000である。比較して、256から四つのチャネルの一意の組を取り出す数は210,165,935通りである。尚、43のみのチャネルでも160,000通りを超える組み合わせを可能にするので十分であり得ることを特記しておく。
【0039】
図11で分かるように、全ての電荷を完全に収集するためには九つまでのチャネルが必要とされ得る。しかしながら、電子電荷に比較して陽極が大き過ぎると、電荷は図12に示すように1個の陽極でしか収集されなくなる場合がある。この場合には、チャネルの組み合わせによる位置の決定を利用することができない。電荷が特定の方向で1個の陽極(ピクセル100)において収集される場合には(図13のように)、この軸に沿った位置を補間することができない。しかしながら、図14のように陽極を千鳥型構成にすることにより、一つの事象によって作動させられるチャネルの最小数が5〜7となり、雑音が減少する。陽極を千鳥型構成にすると構成の「延伸」が可能になり(図15に示すように)、矩形陽極(方形の代わり)、又は縦横比が1:2までの他の形状の陽極の利用が可能になり、従ってさらにチャネルの数を減少させることができる(2分の1まで)。
【0040】
尚、幾つかの電極の間で電荷分布が位置に対して非線形となり誤差を生ずる場合があり、すると「小ピクセル補間」の実効性及び精度が低下するので、複雑な線形性補正が提供されることを特記しておく。この線形性の問題は、さらに小さいピクセルを設けることにより解決され得るが、多くのチャネルを加算する必要を生じ、従って電子雑音の寄与を高め得る。代替的には、図7に示すもののような(また本書でさらに詳細に記載するような)インタレース型電極構成を用いて、陽極寸法の増大を図りつつ線形性を高めることができる。
【0041】
図16のインタレース型ダイオード構成を用いることにより、延伸軸に沿って補間する能力を失うことなく(且つ当該軸に沿った補間線形性を高めつつ)、陽極のさらなる延伸を提供することができる。インタレース型陽極に収集される電荷は、当該陽極に対する電荷「占有面積(footprint)」の重なりに近似的に比例する。電荷は一様に拡散する訳ではなく線形性からの逸脱を生ずるため、当技術分野で公知のような線形性補正変換によって補正を行なうことができる。延伸に沿った軸では、位置精度は信号対雑音によって決まる。このように、実効分解能を保存しつつ1:10の延伸を提供することができる。
【0042】
図17は、五つのチャネルを有する一次元(1D)アレイが、如何にして11個分のピクセルの長さにわたって拡がり得るかを示しており、ピクセルの各々を電荷寸法よりも長くすることができ(例えば3倍〜10倍)、分解能は、位置を決定するためにインタレース型陽極及び「2個ピクセルの組み合わせ」を用いると、電荷占有面積よりも向上し得る。加えて、図18は、全てのこれらの方法を組み合わせて1本の延伸された軸とした場合を示しており、組み合わせ及び補間型の位置決定と共に、インタレース型及び千鳥型ピクセルを用いている。
【0043】
このように、図4〜図6に戻ると、ピクセル型検出器50は、陽極ピクセル62及び成形小ピクセル63で形成される小ピクセル型素子の複数の行及び列を含み得る。図示の実施形態では、ピクセル型検出器50は、16行及び16列の陽極ピクセル62を含んでおり、例えば4mm厚の結晶について約.3mm2/ピクセルの寸法を有し得る。従って、このピクセル型検出器50と関連して256のチャネルが用いられる。また、電荷共有を集束させる、すなわち陽極ピクセル62同士の間及び/又は成形小ピクセル63同士の間に電荷雲を集束させる方向制御グリッド90を陽極ピクセル62の周りに設けてもよい。次いで、本書でさらに詳細に記載するように、又は例えば米国特許第5,504,334号に記載されているように、各行及び各列からの出力を加算することから位置情報を決定することができる。尚、様々な実施形態での成形小ピクセル63の寸法は電荷雲(例えば期待される最小の電子雲)よりも小さいことを特記しておく。
【0044】
加えて、陽極ピクセル62は、異なるように成形され配列され得る。例えば、図7に示すように、隣接する陽極ピクセル74との鋸歯型又はジグザグ型の重なり領域76を画定した複数の延伸型陽極ピクセル74を設けることができる(インタレース型電極構成を画定する)。従って、隣接する陽極ピクセル74からインタレース型ピクセル辺が形成される。本実施形態では、陽極ピクセル62は、陽極ピクセル74が一次元例えばx軸方向に延伸されるようにダイス加工され又は切断される。従って、陽極ピクセル74は、当該陽極ピクセル74が他の軸よりもある1本の軸に沿って長くなるように一方向に延長され又は延伸される。陽極ピクセル74は、任意の適当な工程を用いて基材に切断され又はエッチングされ得る。幾つかの実施形態では、陽極ピクセル74は、鋸歯型又はジグザグ型のパターンを画定するようにレーザ切断を用いた切断工程によって形成される。レーザ切断は、基材をエッチング又はダイス加工するために提供され得る任意の適当な方法を用いて行なうことができ、半導体材料の基材にフォトリソグラフィ、エッチング、又はダイス加工を施す当技術分野の任意の切断方法等を用いることができる。
【0045】
様々な実施形態のピクセル型検出器の1又は複数を用いて、電荷分布、例えば本書に記載するような電荷雲が、一次ピクセル及び1又は複数の隣接ピクセルに信号を誘導する(特に電荷相互作用が中心を外れている場合)ようなピクセル構成を提供する。一次ピクセルは、最大信号、例えば最高の積算電荷を有するピクセルとして決定される。様々な実施形態によれば、最大電荷を有するピクセルの陽極からの電荷情報を含む出力情報(上でさらに詳細に記載されている)及び低信号強度を有する1又は複数の隣り合った又は隣接陽極(例えば8個の隣接陽極)の各陽極からの出力情報を用いて、フォトンの陽極との初期的な相互作用の位置を決定する。この位置の決定については本書でさらに詳細に記載する。
【0046】
尚、選択随意で、線形性マップ、エネルギ補正マップ及び感度マップのような較正マップを用いて画像歪みをさらに補正してもよいことを特記しておく。また、本書に記載するように、例えば電荷雲が1行又は1列の3以上のピクセルに現われている場合には、深さ情報をエネルギ補正に用いることができる。
【0047】
従って、幾つかの実施形態では、ピクセル型検出器との電荷相互作用の位置を決定する方法80(図8に示すような)が具現化され得る。具体的には、ブロック82において、ピクセル型検出器との電荷相互作用に関する電荷情報が本書に記載するような電荷制御構成を有するピクセル型検出器を用いて得られる。電荷制御は、例えば陽極ピクセル又は該陽極ピクセルの小ピクセルを成形することにより提供され得る。
【0048】
尚、様々な実施形態によれば、暗電流すなわちフォトンが検出されていないときに検出器に誘導される電流が低減されることを特記しておく。例えば、陰極を電流遮断性(例えばショットキー型)の接点によって形成して検出器暗電流を限定することができ、また検出器を加熱して正孔電荷移動性を高めることができる。加えて、高いバイアス電圧を用いるほど速やかに多くの電荷を収集することができる。加えて、方向制御グリッド90を用いると、陽極収集面積が小さくなり、従ってまた暗電流も小さくなる。
【0049】
加えて、行列加算を様々な実施形態に従って用いて電荷情報を得ることもできる。例えば、各ピクセルを、本書でさらに詳細に記載するように、二つの小ピクセル部分の間に電荷共有を提供するように成形され構成されている小ピクセルの各々の部分に対応する行部分及び列部分に分割することができる。各々のピクセル部分は、行及び列が各々の行及び列毎に一つの読み出し接続によって一つの前置増幅器に接続されているようなプリント回路基板(PCB)に接着されることができる。尚、前置増幅器は同じPCBに位置していても別個のPCBに位置していてもよい。各々のチャネルが、閾値検出及びサンプル・アンド・ホールド回路を含んでいる。従って、閾値を上回る事象が行列両方のチャネルにおいて検出されると、隣接する行及び列がディジタル化されてさらなる事象処理を行なう。
【0050】
加算は、図9及び図10に示すような接続構成を用いて達成されることができ、同図は複数のピクセルを有するピクセル型検出器の一部を示し、ピクセルは陽極ピクセル100である。例えば、図9に示すように、行列加算は、陽極ピクセル100が電荷雲共有を提供するために本書に記載するように構成されているときに提供され得る。図示の市松パターンは説明のためのみのものであって、各陽極ピクセル100は同じものである。加えて、6×6ピクセルのみを図示しているが、さらに多くのピクセルをピクセル型検出器の一部として提供することができる。例えば、陽極ピクセル・ピッチが0.5mmの4cm×4cmモジュールについて、80×80=6400個の陽極ピクセル及び160のチャネル(80行+80列)が設けられる。
【0051】
本実施形態では、ピクセル(点によって示す)同士の間の電気的接続102は伝導性であっても容量性であってもよく、各々のピクセル陽極100毎に、又は加算される行若しくは列についてのみ前置増幅器を含み得る。接続102は、各々の行列に別個に1個置きのピクセル陽極100の間に設けられる。尚、各々のピクセル陽極100がアナログ(から)−ディジタル(への)変換器(ADC)を含んでいる場合には、1行又は1列のピクセルを接続する線はアナログ加算ではなくディジタル用のデータ・バスとなることを特記しておく。また、幾つかの実施形態において信号をピクセル陽極100から前置増幅器へ読み出すために(例えば2nスケーリングの場合)、各々の線のキャパシタンスは前置増幅器キャパシタンスよりも著しく低く、キャパシタンスはCZT材料が厚くなるほど小さくなることを特記しておく。
【0052】
ピクセル陽極100が電荷雲共有を与える(例えば保証する)ように必ずしも構成されていないときには、図10に示すような接続構成を行列加算に用いることができ、またより小さい陽極ピクセルにも用いることができる。ピクセル陽極100(黒い点によって示す)の間の電気的接続104は伝導性であっても容量性であってもよい。接続104は、各々の列及び行の各々の陽極ピクセル100に設けられ、また行及び列の間にも設けられる。加えて、前置増幅器が各々のピクセル陽極100と関連して設けられて、行及び列の間のクロストークを低減し又は回避する。尚、各々のピクセル陽極100がADCを含んでいる場合には、1行又は1列のピクセルを接続する線はアナログ加算ではなくディジタル用のデータ・バスとなることを特記しておく。
【0053】
図8の方法80に戻り、次いでブロック84において、例えば陽極ピクセルの1又は複数についての読み出しの電荷情報を用いて、電荷を共有する陽極ピクセルを識別する。この後に、ブロック86において、共有されているピクセルでのエネルギを決定する。例えば、全てのディジタル化されたチャネルを加算して、検出ガンマ線又はX線事象のエネルギを決定する。次いでブロック88において、エネルギ雲の位置を決定し、例えば推定する。具体的には、意図的な電荷雲共有のため、各々の事象毎に多数の行チャネル及び列チャネルの間での信号の分布が存在する。位置は小ピクセル精度で、本書でさらに詳細に記載するように図心又は重心(Anger型)計算から決定され得る。加えて、走査型ペンシル・ビーム較正に対する検出器応答を記憶し、次いで利用中に最も確からしさの高い位置を決定することができる。代替的には、単一ピクセルの分解能のためにはピークの行信号及び列信号を用いることができる。
【0054】
この後に、ブロック90において相互作用深さ(DOI)を決定することができる。例えば、陽極(電子)信号と陰極(正孔)信号との間の飛行時間差を用いてDOIを決定することができる。正孔及び電子の移動性は、幾つかの実施形態では1桁を超える大きさの差があり、DOIを決定するときにこのことを考慮する。様々な実施形態による他のDOI決定では、陰極積算電荷と陽極積算電荷における差(深さ依存型の正孔捕獲のため)を用いてもよいし、陰極信号立ち上がり時間を用いてもよい。
【0055】
尚、図20に示すように、陰極もピクセル型であってよく(陽極ピクセルと必ずしも同じ寸法でなくてもよい)、これにより冗長的な位置情報を与えて検出器の麻痺可能性(paralyzability)を小さくし、X線応用等に用いるためのさらに高い計数率を提供し得ることを特記しておく。加えて、小ピクセル型陰極はまた、正孔に対してのみ感度を有する。図20に示すように、陰極38は、複数の接点から形成される複数の隔設された陰極ピクセル140から形成される。図示の実施形態は、三次元(3D)で事象を測定し、すなわちDOI情報を加える。この構成を用いて、信号142と信号144との間の時間遅延(Δt)又は積分の比又は加算後の陰極ピクセル140の立ち上がり時間を測定することにより、DOIを決定することができる。DOIは、検出器の側に入る例えばペンシル・ビームを用いて時間差に対して較正され得る。尚、e−キャリア及びh+キャリアの異なる移動性μが存在することを特記しておく。また、遮断性接点及び熱を用いて正孔移動性を高め得ることを特記しておく。
【0056】
このように、様々な実施形態を用いると、例えば図7に戻り、電子雲110として図示されている電荷雲が、1個の陽極ピクセル74、及び例えば重なり領域76では少なくとももう1個の陽極ピクセルによって検出されてこれらの陽極ピクセルに入射する。尚、電子雲110は、図示の単純化のために円形として示されていることを特記しておく。従って、様々な実施形態を用いて、例えば電子雲110が、重なり領域76に位置し得る少なくとも2個の異なる陽極ピクセル74に入射する確からしさを高め又は保証することにより、陽極に到達する電荷の量が制御される。
【0057】
例えば、図16に示すように、Anger型ガンマ・カメラの一部を形成し得る陽極ピクセル74は、各々の電子雲110が少なくとも2個の陽極ピクセル74及び場合によって3以上の陽極ピクセル74によって検出されるように構成されている。一例として、電子雲110の寸法は1mmであり、陽極ピクセル74は約0.4mm〜1.0mmである。
【0058】
他の実施形態では、例えば図17に示すように、陽極ピクセル74を配列して、陽極ピクセル74の上の番号によって示すように陽極ピクセル74を対を成して接続することにより、出力チャネルをさらに減少させることができる。図示のように、五つのチャネルが10対の陽極ピクセル74を画定しており、これらの対は三重検出器すなわち三つ一組として構成されていてよい。付加的なチャネルが付加的な対を画定することができ、例えば七つのチャネルが21対の陽極ピクセル74を画定することができる。
【0059】
また、重なり領域76を有する陽極ピクセル74を図18に示すような二次元構成として具現化してもよい。図示のように、陽極ピクセル74は、重なり領域76がx軸方向において1行置きの行120毎に異なる位置に位置するように、アレイの1行置きの行120毎にオフセットされ千鳥型構成にされている。この図示の実施形態では、電子雲110は、重なり領域76に位置し得る2以上の陽極ピクセル74に入射する。加えて、隣接陽極ピクセル74では小さい電荷効果が経験され得る。本実施形態では、行120の幅(W)は、電子雲110(例えば電子雲110の期待される寸法)に略等しく寸法設定されているが、行120の範囲内では、陽極ピクセル74は電子雲110の寸法の多数倍にわたり、例えば約4倍以上にわたり延伸され得る。
【0060】
変形及び改変が思量される。例えば、図19に示すように、抵抗陽極130として示す抵抗層が例えば基材32と陽極34との間に設けられ、当技術分野の付着工程によって基材32に形成される。本実施形態では、電荷は、抵抗層として設けられている抵抗陽極130によって陽極34(すなわち接点)の間で拡散する。CZT応用では、抵抗陽極130の抵抗は、基材32を形成するCZT材料の抵抗よりも小さい。
【0061】
もう一つの例として、図21に示すように、2層の基材層154及び156の間に共通陰極152を有するサンドイッチ型検出器として構成され、これにより2層検出器を形成する検出器150を提供してもよい。図示の実施形態では、複数のピクセル型陽極158が基材層154に形成され、複数のピクセル型陽極160が基材層156に形成されている。
【0062】
もう一つの例として図22に示すように陽極174と陰極176との間にダイオードを画定した複数の基材層172を有する多層十字片型検出器170が提供され得る。多層十字片型検出器170は、図示のように偶数平面及び奇数平面に分割され得る。
【0063】
また、ピクセル型検出器を有するシステムに対する変形及び改変も思量される。例えばX線透過応用では、放射線源の電力を小さくして電荷雲の寸法を大きくすることができる。従って、さらに大きい寸法のピクセルを用いることができる。
【0064】
このように、様々な実施形態が、電荷雲がピクセル型検出器の少なくとも2個のピクセル陽極によって検出されるようなピクセル型検出器を提供する。従って、電荷雲の位置とそれぞれの陽極信号との間に一定の関係が存在するようなピクセル型検出器の構成が提供される。これら様々な実施形態では、少なくとも2個のピクセルが電荷雲を検出することを可能にするように検出器ピクセルを成形し、寸法設定し、分割し、且つ/又は配置することができる。検出を促進するために、線形抵抗板のような付加的な要素を設けてもよい。
【0065】
様々な実施形態のピクセル型検出器は、例えば特に陽電子放出断層写真法(PET)イメージング・システム、SPECTイメージング・システムのようなNMイメージング・システム、並びに/又はX線イメージング・システム及びCTイメージング・システムのような様々な形式のイメージング・システムの一部として提供され得る。例えば、図23は、様々な実施形態に従って構築される医用イメージング・システム210の実施形態の一例の遠近図であり、この実施形態ではSPECTイメージング・システムである。システム210は一体型ガントリ212を含んでおり、ガントリ212はさらに、ガントリ中孔232の周りに配向されたロータ214を含んでいる。ロータ214は、限定しないがガンマ・カメラ、SPECT検出器、多層ピクセル型カメラ(例えばComptonカメラ)、及び/又はPET検出器のような1又は複数のNMピクセル型カメラ218(2基のカメラ218を図示している)を支持するように構成されている。尚、医用イメージング・システム210がCTカメラ又はX線カメラを含んでいるときには、医用イメージング・システム210はまた、X線放射線を検出器へ向けて放出するX線管(図示されていない)も含んでいることを特記しておく。様々な実施形態では、カメラ218は、本書でさらに詳細に記載するようなピクセル型検出器から形成される。ロータ214はさらに、検査軸219の周りに軸方向に回転するように構成されている。
【0066】
患者テーブル220が、寝台支持システム224に摺動式で結合されている寝台222を含んでおり、寝台支持システム224は床に直接結合されていてもよいし、ガントリ212に結合されている台226を通してガントリ212に結合されていてもよい。寝台222は、当該寝台222の上面230に摺動式で結合されているストレッチャ228を含み得る。患者テーブル220は、患者(図示されていない)を検査軸219に実質的に整列した検査位置に出し入れすることを容易にするように構成されている。撮像走査時には、患者テーブル220は、寝台222及び/又はストレッチャ228を中孔232に軸方向に出し入れして移動させるように制御され得る。イメージング・システム210の動作及び制御は、当技術分野で公知の任意の態様で行なわれ得る。尚、様々な実施形態は、回転式ガントリ又は静止型ガントリを含むイメージング・システムと関連して具現化され得る。
【0067】
図24は、ガントリに装着されて様々な実施形態に従って構成されている複数のピクセル型撮像用検出器を有するイメージング・システム250を示すブロック図である。尚、イメージング・システムは、NM/CTイメージング・システムのような多重モダリティ・イメージング・システムであってもよいことを特記しておく。SPECTイメージング・システムとして示すイメージング・システム250は一般的には、ガントリ256に装着された複数のピクセル型撮像用検出器252及び254(二つを図示する)を含んでいる。尚、追加の撮像用検出器を設けてもよいことを特記しておく。撮像用検出器252及び254は、ガントリ256の中孔260に位置する患者258に関して多数の位置に配置される(例えばLモード構成)。患者258は、患者258の体内の着目する構造(例えば心臓)に特有の放射線データ又は撮像データが取得され得るように患者テーブル262に支持される。尚、撮像用検出器252及び254は、幾つかのイメージング・システムではガントリ256に沿った(又は周囲での)可動型運転向けに構成されているが、例えばPETイメージング・システム(例えば環状の撮像用検出器)では静止位置においてガントリ256に固定的に結合されていることを特記しておく。また、撮像用検出器252及び254を本書に記載するような異なる材料から形成して、当技術分野で公知の異なる構成として設けてもよいことを特記しておく。
【0068】
撮像用検出器252及び254の1又は複数における放射線検出面(図示されていない)の前方に1又は複数のコリメータを設けてもよい。撮像用検出器252及び252は、ピクセルのx及びy位置、並びに撮像用検出器252及び254の位置によって画定され得る2D画像を取得する。放射線検出面(図示されていない)は、例えば患者258(患者であっても患畜であってもよい)に面するように向けられる。尚、ガントリ256は、例えば「C」字形、「H」字形又は「L」字形のように異なる形状で構成され得ることを特記しておく。
【0069】
制御器ユニット264が、撮像用検出器252及び254に関する患者テーブル262の移動及び配置、並びに患者258に関する撮像用検出器252及び254の移動及び配置を制御して、患者258の所望の解剖学的構造を撮像用検出器252及び254の視野(FOV)の範囲内に配置することができ、このことは、着目する解剖学的構造の画像を取得するのに先立って行なわれ得る。制御器ユニット264はテーブル制御器264及びガントリ・モータ制御器266を有していてよく、各制御器は各々、処理ユニット268によって自動的に命令されてもよいし、操作者によって手動で制御されてもよいし、これらを併用してもよい。テーブル制御器264は、撮像用検出器252及び254のFOVに対して患者258を配置するように患者テーブル258を移動させることができる。加えて、又は選択随意で、ガントリ・モータ制御器266の制御の下で撮像用検出器252及び254を患者258に対して移動させ、配置し、若しくは配向させ、又は患者258の周りで回転させることができる。
【0070】
撮像データを結合して、2D画像、3D容積又は経時的3D容積(4D)を含み得る画像に再構成することができる。
【0071】
データ取得システム(DAS)270が、撮像用検出器252及び254によって発生されるアナログ及び/又はディジタルの電気信号データを受け取って、本書でさらに詳細に記載するような後の処理のためにデータを復号する。画像再構成プロセッサ272が、DAS270からデータを受け取って、当技術分野で公知の任意の再構成工程を用いて画像を再構成する。データ記憶装置274が設けられて、DAS270からのデータ又は再構成された画像データを記憶することができる。また、入力装置276が設けられて利用者入力を受け取り、表示器278が設けられて再構成画像を表示することができる。
【0072】
また、電荷位置決定モジュール280が設けられて、本書でさらに詳細に記載するようにフォトン(例えば放出ガンマ・フォトン又は透過X線フォトン)によって発生される電荷又は電荷雲の位置を決定することができる。電荷位置決定モジュール280は、ソフトウェア、ハードウェア又はこれらの組み合わせとして具現化され得る。
【0073】
様々な実施形態、並びに/又は構成要素、例えば内部のモジュール若しくは構成要素及び制御器は、1又は複数のコンピュータ又はプロセッサの一部としても具現化され得る。コンピュータ又はプロセッサは、計算装置、入力装置、表示ユニット、及び例えばインターネットにアクセスするためのインタフェイスを含み得る。コンピュータ又はプロセッサはマイクロプロセッサを含み得る。マイクロプロセッサは通信バスに接続され得る。コンピュータ又はプロセッサはまた、メモリを含み得る。メモリは、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)及び読み出し専用メモリ(ROM)を含み得る。コンピュータ又はプロセッサはさらに、記憶装置を含んでいてよく、記憶装置はハード・ディスク・ドライブ、又はフロッピィ・ディスク・ドライブ及び光ディスク・ドライブ等のような着脱式記憶ドライブであってよい。記憶装置はまた、コンピュータ又はプロセッサにコンピュータ・プログラム又は他の命令を読み込む他の同様の手段であってよい。
【0074】
本書で用いられる「コンピュータ」又は「モジュール」との用語は、マイクロコントローラ、縮小命令セット回路(RISC)、ASIC、論理回路、及び本書に記載された作用を実行することが可能な他の任意の回路又はプロセッサを用いたシステムを含む任意のプロセッサ方式のシステム又はマイクロプロセッサ方式のシステムを含み得る。上の例は例示のみのためのものであり、従って「コンピュータ」との語の定義及び/又は意味を限定しないものとする。
【0075】
コンピュータ又はプロセッサは、入力データを処理するために1又は複数の記憶要素又はメモリに記憶されている一組の命令を実行する。記憶要素はまた、データ、又は所望若しくは必要に応じて他の情報を記憶し得る。記憶要素は、情報ソースの形態にあってもよいし、処理機械の内部の物理的メモリ素子の形態にあってもよい。
【0076】
上述の一組の命令は、様々な実施形態の方法及び工程のような特定の動作を実行するように処理機械としてのコンピュータ又はプロセッサに命令する様々な命令を含み得る。一組の命令は、ソフトウェア・プログラムの形態にあってよい。ソフトウェアは、システム・ソフトウェア又はアプリケーション・ソフトウェアのような様々な形態にあってよい。さらに、ソフトウェアは、別個のプログラム若しくはモジュールの集合、より大きなプログラムの内部のプログラム・モジュール又はプログラム・モジュールの一部の形態にあってよい。ソフトウェアはまた、オブジェクト指向プログラミングの形態のモジュール型プログラミングを含み得る。処理機械による入力データ処理は、利用者の命令に応答して行なわれてもよいし、以前の処理の結果に応答して行なわれてもよいし、他の処理機械によって発行された要求に応答して行なわれてもよい。
【0077】
本書で用いられる「ソフトウェア」及び「ファームウェア」との用語は互換的であり、RAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、及び不揮発性RAM(NVRAM)メモリを含めたメモリに記憶されて、コンピュータによって実行される任意のコンピュータ・プログラムを含んでいる。以上のメモリ形式は例示のみのためのものであり、従ってコンピュータ・プログラムの記憶に利用可能なメモリの形式に関して制限するものではない。
【0078】
以上の記載は例示説明のためのものであって制限するものではないことを理解されたい。例えば、上述の各実施形態(及び/又は各実施形態の諸観点)を互いに組み合わせて用いてよい。加えて、様々な実施形態の範囲を逸脱することなく、特定の状況又は材料を様々な実施形態の教示に合わせて適応構成する多くの改変を施すことができる。本書に記載されている材料の寸法及び形式は、様々な実施形態の各パラメータを定義するためのものであるが、各実施形態は限定するものではなく例示する実施形態である。以上の記載を吟味すれば、当業者には他の多くの実施形態が明らかとなろう。従って、様々な実施形態の範囲は、特許請求の範囲に関連して、かかる特許請求の範囲が網羅する等価物の全範囲と共に決定されるものとする。特許請求の範囲では、「including包含する」との用語は「comprising含む」の標準英語の同義語として、また「in whichこのとき」との用語は「whereinここで」の標準英語の同義語として用いられている。さらに、特許請求の範囲では、「第一」、「第二」及び「第三」等の用語は単にラベルとして用いられており、これらの用語の目的語に対して数値的要件を課すものではない。さらに、特許請求の範囲の制限は、「手段プラス機能(means-plus-function)」形式で記載されている訳ではなく、かかる特許請求の範囲の制限が、「〜のための手段」に続けて他の構造を含まない機能の言明を従えた文言を明示的に用いていない限り、合衆国法典第35巻第112条第6パラグラフに基づいて解釈されるべきではない。
【0079】
この書面の記載は、最適な態様を含めて様々な実施形態を開示し、また任意の装置又はシステムを製造して利用すること及び任意の組み込まれた方法を実行することを含めてあらゆる当業者が様々な実施形態を実施することを可能にするように実例を用いている。特許付与可能な様々な実施形態の範囲は特許請求の範囲によって画定されており、当業者に想到される他の実例を含み得る。かかる他の実例は、特許請求の範囲の書字言語に相違しない構造要素を有する場合、又は特許請求の範囲の書字言語と非実質的な相違を有する等価な構造要素を含む場合には、特許請求の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0080】
30:ピクセル型検出器
32:基材
34:陽極
36:電荷相互作用
38:陰極
40:ピクセル型検出器の複数のピクセル型素子の間での電荷分布を制御する方法
50:小ピクセル型検出器
52:結晶
54:面
56:陰極
58:裏面
60:陽極
62:陽極ピクセル
63:小ピクセル
64:検出器底面
66:接続ピン
70:矩形ガンマ・カメラ
72:マザー・ボード
74:陽極ピクセル
76:重なり領域
80:ピクセル型検出器との電荷相互作用の位置を決定する方法
90(図5):方向制御グリッド
100:陽極ピクセル
102、104:電気的接続
110:電子雲
120:1行置きの行
130:抵抗陽極
140:陰極ピクセル
142、144:信号
150:サンドイッチ型検出器
152:共通陰極
154、156:基材層
158、160:ピクセル型陽極
170:多層十字片型検出器
172:基材層
174:陽極
176:陰極
210:医用イメージング・システム
212:一体型ガントリ
214:ロータ
218:NMピクセル型カメラ
219:検査軸
220:患者テーブル
222:寝台
224:寝台支持システム
226:台
228:ストレッチャ
230:上面
232:ガントリ中孔
250:イメージング・システム
252、254:ピクセル型撮像用検出器
256:ガントリ
258:患者
260:中孔
262:患者テーブル
264:制御器ユニット
264:テーブル制御器
266:ガントリ・モータ制御器
268:処理ユニット
270:データ取得システム(DAS)
272:画像再構成プロセッサ
274:データ記憶装置
276:入力装置
278:表示器
280:電荷位置決定モジュール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピクセル型固体フォトン検出器の電荷分布を制御する方法であって、
ピクセル型固体フォトン検出器に、電荷分布が少なくとも2個のピクセルにより検出されるような構成として複数のピクセルを設けるステップと、
前記少なくとも2個のピクセルから電荷情報を得るステップと、
前記得られた電荷情報に基づいて前記電荷分布の前記複数のピクセルとの相互作用の位置を決定するステップと
を備えた方法。
【請求項2】
前記電荷分布は電子電荷雲により画定され、該電子電荷雲よりも小さい寸法を有するように前記複数のピクセルを構成するステップをさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
位置を決定する前記ステップは、前記位置を決定するために図心計算を用いることを含んでおり、該図心計算は一次ピクセル及び少なくとも1個の隣接ピクセルからの電荷情報を用いる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のピクセルは行及び列に分割され、前記電荷情報を得るために行列加算を用いるステップをさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のピクセルに関連する複数のチャネルのエネルギ出力を加算することにより、検出されたフォトンのエネルギを決定するステップをさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項6】
複数のピクセルを設ける前記ステップは、複数の陽極ピクセル及び複数の陰極ピクセルを設けることを含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ピクセル型固体フォトン検出器の陽極信号と陰極信号との間の飛行時間差に基づく時間を用いて相互作用深さを決定するステップをさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記決定された位置に基づいて前記複数のピクセルの補正ファクタを決定するステップをさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記複数のピクセルの各々を小ピクセルに構成するステップをさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ピクセル・アレイの複数の行及び列の各々の交互のピクセルが接続されるように、前記複数のピクセルを相互接続するステップをさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項11】
隣り合ったピクセルの間に重なり領域を有する延伸型構成として前記複数のピクセルの各々を構成するステップをさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記重なり領域は鋸歯型構成を含んでいる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記電荷分布が前記少なくとも2個のピクセルにより検出されるように前記複数のピクセルを成形して配置するステップをさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記複数のピクセルに隣接して抵抗層を設けるステップをさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記電荷分布の電荷共有を集束させるように構成されている方向制御グリッドを設けるステップをさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項16】
複数のピクセル型陽極を有する2層ピクセル型固体フォトン検出器を設けるステップをさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項17】
半導体基材と、
該半導体基材の一方の面に設けられた複数の陽極ピクセルであって、当該陽極ピクセルの各々が少なくとも一つの方向に延伸された長さを有する、複数の陽極ピクセルと、
前記複数の陽極ピクセルの反対側の前記半導体基材の裏面に設けられた陰極と
を備えたピクセル型固体フォトン検出器。
【請求項18】
前記延伸型陽極ピクセルから成る複数の行をさらに含んでいる請求項17に記載のピクセル型固体フォトン検出器。
【請求項19】
前記延伸型陽極ピクセル同士の間に重なり領域をさらに含んでいる請求項17に記載のピクセル型固体フォトン検出器。
【請求項20】
前記重なり領域は鋸歯型構成を含んでいる、請求項19に記載のピクセル型固体フォトン検出器。
【請求項21】
前記延伸型陽極ピクセルは対を成して接続されている、請求項17に記載のピクセル型固体フォトン検出器。
【請求項22】
半導体基材と、
該半導体基材の一方の面に設けられた複数の陽極ピクセルであって、該陽極ピクセルの各々が複数の小ピクセルに分割されている、複数の陽極ピクセルと、
該複数の陽極ピクセルの反対側の前記半導体基材の裏面に設けられた陰極と
を備えたピクセル型固体フォトン検出器。
【請求項23】
前記陰極はピクセル型陰極を含んでいる、請求項22に記載のピクセル型固体フォトン検出器。
【請求項24】
前記小ピクセルの各々が全体的に方形形状の陽極ピクセルを形成している、請求項22に記載のピクセル型固体フォトン検出器。
【請求項25】
共通陰極により分割された複数の基材層をさらに含んでいる請求項22に記載のピクセル型固体フォトン検出器。
【請求項26】
前記陽極ピクセルの各々が2個の小ピクセルに分割されている、請求項22に記載のピクセル型固体フォトン検出器。
【請求項27】
前記複数のピクセルの周囲に方向制御グリッドをさらに含んでいる請求項22に記載のピクセル型固体フォトン検出器。
【請求項28】
前記複数のピクセルは、複数の行及び列を成して相互接続された陽極ピクセルを含んでいる、請求項22に記載のピクセル型固体フォトン検出器。
【請求項1】
ピクセル型固体フォトン検出器の電荷分布を制御する方法であって、
ピクセル型固体フォトン検出器に、電荷分布が少なくとも2個のピクセルにより検出されるような構成として複数のピクセルを設けるステップと、
前記少なくとも2個のピクセルから電荷情報を得るステップと、
前記得られた電荷情報に基づいて前記電荷分布の前記複数のピクセルとの相互作用の位置を決定するステップと
を備えた方法。
【請求項2】
前記電荷分布は電子電荷雲により画定され、該電子電荷雲よりも小さい寸法を有するように前記複数のピクセルを構成するステップをさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
位置を決定する前記ステップは、前記位置を決定するために図心計算を用いることを含んでおり、該図心計算は一次ピクセル及び少なくとも1個の隣接ピクセルからの電荷情報を用いる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のピクセルは行及び列に分割され、前記電荷情報を得るために行列加算を用いるステップをさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のピクセルに関連する複数のチャネルのエネルギ出力を加算することにより、検出されたフォトンのエネルギを決定するステップをさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項6】
複数のピクセルを設ける前記ステップは、複数の陽極ピクセル及び複数の陰極ピクセルを設けることを含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ピクセル型固体フォトン検出器の陽極信号と陰極信号との間の飛行時間差に基づく時間を用いて相互作用深さを決定するステップをさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記決定された位置に基づいて前記複数のピクセルの補正ファクタを決定するステップをさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記複数のピクセルの各々を小ピクセルに構成するステップをさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ピクセル・アレイの複数の行及び列の各々の交互のピクセルが接続されるように、前記複数のピクセルを相互接続するステップをさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項11】
隣り合ったピクセルの間に重なり領域を有する延伸型構成として前記複数のピクセルの各々を構成するステップをさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記重なり領域は鋸歯型構成を含んでいる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記電荷分布が前記少なくとも2個のピクセルにより検出されるように前記複数のピクセルを成形して配置するステップをさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記複数のピクセルに隣接して抵抗層を設けるステップをさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記電荷分布の電荷共有を集束させるように構成されている方向制御グリッドを設けるステップをさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項16】
複数のピクセル型陽極を有する2層ピクセル型固体フォトン検出器を設けるステップをさらに含んでいる請求項1に記載の方法。
【請求項17】
半導体基材と、
該半導体基材の一方の面に設けられた複数の陽極ピクセルであって、当該陽極ピクセルの各々が少なくとも一つの方向に延伸された長さを有する、複数の陽極ピクセルと、
前記複数の陽極ピクセルの反対側の前記半導体基材の裏面に設けられた陰極と
を備えたピクセル型固体フォトン検出器。
【請求項18】
前記延伸型陽極ピクセルから成る複数の行をさらに含んでいる請求項17に記載のピクセル型固体フォトン検出器。
【請求項19】
前記延伸型陽極ピクセル同士の間に重なり領域をさらに含んでいる請求項17に記載のピクセル型固体フォトン検出器。
【請求項20】
前記重なり領域は鋸歯型構成を含んでいる、請求項19に記載のピクセル型固体フォトン検出器。
【請求項21】
前記延伸型陽極ピクセルは対を成して接続されている、請求項17に記載のピクセル型固体フォトン検出器。
【請求項22】
半導体基材と、
該半導体基材の一方の面に設けられた複数の陽極ピクセルであって、該陽極ピクセルの各々が複数の小ピクセルに分割されている、複数の陽極ピクセルと、
該複数の陽極ピクセルの反対側の前記半導体基材の裏面に設けられた陰極と
を備えたピクセル型固体フォトン検出器。
【請求項23】
前記陰極はピクセル型陰極を含んでいる、請求項22に記載のピクセル型固体フォトン検出器。
【請求項24】
前記小ピクセルの各々が全体的に方形形状の陽極ピクセルを形成している、請求項22に記載のピクセル型固体フォトン検出器。
【請求項25】
共通陰極により分割された複数の基材層をさらに含んでいる請求項22に記載のピクセル型固体フォトン検出器。
【請求項26】
前記陽極ピクセルの各々が2個の小ピクセルに分割されている、請求項22に記載のピクセル型固体フォトン検出器。
【請求項27】
前記複数のピクセルの周囲に方向制御グリッドをさらに含んでいる請求項22に記載のピクセル型固体フォトン検出器。
【請求項28】
前記複数のピクセルは、複数の行及び列を成して相互接続された陽極ピクセルを含んでいる、請求項22に記載のピクセル型固体フォトン検出器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公表番号】特表2013−516609(P2013−516609A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−547073(P2012−547073)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際出願番号】PCT/US2010/055353
【国際公開番号】WO2011/090530
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際出願番号】PCT/US2010/055353
【国際公開番号】WO2011/090530
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】
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