ピッキング作業用カート
【課題】簡便な機構でピッキング作業用カートが搭載する電力供給手段の消費電力の低減を図ると共に、ピッキング作業ミスを無くすことができるピッキング作業用カートを提供する。
【解決手段】ピッキング対象の物品をピッキングし走行移動する台車1に、物品情報とピッキングの指示データを管理装置から受信し、指示データを表示する表示器6,10と、物品を計量する秤装置3、及び表示器6,10を含む周辺機器に電力を供給する電力供給手段11を搭載したピッキング作業用カートAにおいて、秤装置3からの計量信号に基づいて、ピッキング作業用カートが走行移動しているか否かを判定する判定手段と、判定結果に基づいて、走行移動していると判定した時に電力供給手段から周辺機器への電力の供給を停止し、走行移動していないと判定した時に電力を供給する電力供給制御手段と、を備えた。
【解決手段】ピッキング対象の物品をピッキングし走行移動する台車1に、物品情報とピッキングの指示データを管理装置から受信し、指示データを表示する表示器6,10と、物品を計量する秤装置3、及び表示器6,10を含む周辺機器に電力を供給する電力供給手段11を搭載したピッキング作業用カートAにおいて、秤装置3からの計量信号に基づいて、ピッキング作業用カートが走行移動しているか否かを判定する判定手段と、判定結果に基づいて、走行移動していると判定した時に電力供給手段から周辺機器への電力の供給を停止し、走行移動していないと判定した時に電力を供給する電力供給制御手段と、を備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流分野で実施される物品のピッキング作業に用いられるピッキング作業用カートに関し、更に詳しくはピッキング作業の効率改善と、そのピッキング作業用カートの消費電力を省電力制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
倉庫や物流センター或いは工場等で実施されるピッキング作業(採集或いは配布作業)に用いられる従来のピッキング作業用カート(物品採集或いは配布作業用運搬車)は、作業者へ物品のピッキングを指示する表示器と、前記表示器に表示された指示に基づいて採集或いは配布する物品に付されたコード情報を読み取る読取手段(スキャナ)や、そのピッキング作業の結果に基づきラベル或いはリストを印字する印字手段(プリンタ)等の各デバイス(周辺機器)に電力を供給し何時でもデバイスを使用可能な状態にするバッテリ(充電式電池)を搭載し、移動して連続して物品をピッキング作業できるようになっている。
【0003】
上記構成により、作業者は連続移動しながらピッキング作業を行うことができるが、作業者がピッキングミスをしてしまった場合には、間違えた物品のピッキング作業を再度行なうことになり、搭載しているバッテリの電力を余計に消費してしまうという問題があった。
【0004】
そこで、バッテリの消費電力を低減させる為に、ピッキング作業ミス(物品選択ミス、数量ミス、各仕分け先への物品投入ミス等)を無くし、それによって端末の再操作や再印字による電力の余計な消費を無くすことが考えられ、各仕分け先バケットの間口部に光電センサを設け、光電センサにより物品が指定された仕分け先バケットに投入されたか否かを検知するようにしたピッキング台車が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
上記特許文献1に記載の発明は、光電センサによってピッキング作業ミスを検知した場合、その旨を作業者へ報知する。この作業ミスが減ることによりバッテリの消費電力を低減させようとするものである。
しかしながら、前記ピッキング台車の移動中は、前記表示器や、読取手段(スキャナ)や、印字手段(プリンタ)等のデバイス(周辺機器)を使用していないにもかかわらず、常に電力を供給し続けているため、バッテリの消費電力の著しい低減効果は得られず、作業者は前記ピッキング台車を用いて長時間のピッキング作業が行なえないという問題があった。
【0006】
又、ピッキングの作業ミスを無くすことにより、バッテリの消費電力を低減させる方式では、ある物品をどの仕分け先へ何個ピッキングするかの指示データをピッキング台車が備える表示部へ表示させ、作業者は物品に付されたコード情報を読取手段(スキャナ)を用いてピッキングした数量分読ませた後、仕分け先バケットへの物品投入時に光電センサを用いて現在投入すべきではない仕分け先バケットへ物品が投入された時に前記光電センサが反応し、音声或いは警告音を報知させることで作業ミスを無くす方式を採用している。
しかしながら、作業中に光電センサの光軸がズレたり(衝撃等により光電センサの送受信器が直線をなす位置を維持できず、送受信器の役目を果たすことができない時)、又は光電センサの感度が鈍くなった時には、仕分け先バケットへの物品投入ミスを検知することができず、作業者へ警告を報知できない可能性があり、前記トラブルが発生した時には、既に完了しているピッキング作業を再度やり直すことになるため、再度やり直す作業により、バッテリの消費電力を低減させるはずが、更にバッテリの電力を消費してしまう結果となり、また、作業者に更なる負担を強いる結果になってしまうという問題もあった。
【0007】
【特許文献1】特開2002−362715号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記した従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、簡便な機構でピッキング作業用カートが搭載する電力供給手段の消費電力の低減を図ると共に、ピッキング作業ミスを無くすことができるピッキング作業用カートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する為に本発明のピッキング作業用カートは、ピッキング対象の物品をピッキングし走行移動する台車に、前記物品の物品情報と前記ピッキングを指示する指示データを管理装置から受信し、該受信した指示データを表示する表示器と、前記表示された指示データに基づき物品を計量する秤装置、及び前記表示器を含む周辺機器に電力を供給する電力供給手段を搭載したピッキング作業用カートにおいて、前記秤装置からの計量信号に基づいて、該ピッキング作業用カートが走行移動しているか否かを判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果に基づいて、該ピッキング作業用カートが走行移動していると判定した時に前記電力供給手段から前記周辺機器への電力の供給を停止し、該ピッキング作業用カートが走行移動していないと判定した時に前記電力供給手段が前記周辺機器に電力を供給する電力供給制御手段と、を備える(請求項1)。
本発明でいう「ピッキング作業」とは、店舗(客先)毎にピッキング作業用カートを移動させながら物品注文(出荷指示)に基づいて、保管棚から物品を必要数だけ取り出して客先毎のコンテナ(仕分けケース)へ採集する作業方式、及び特定物品を物品注文に基づいて、保管棚から必要数取り出して予めピッキング作業用カートに載せ、該ピッキング作業用カートを移動させながら客先毎の物品注文数(出荷指示数)に基づいて、該ピッキング作業用カートから物品を注文数取り出し、客先毎のカゴ車(運搬台車)へ配布する作業方式の両方を含むものである。
ピッキング作業用カートが搭載する周辺機器としては、表示器、秤装置、印字手段(プリンタ)、物品のコード情報を読み取る読取手段(スキャナ)等で、表示器、秤装置および読取装置の設置数は1個に限らず、複数個であってもよい。
前記秤装置は、物品情報に含まれる各物品の単位重量と、ピッキングして該秤装置に載せられた物品の総重量から、当該物品の個数を計数する、または、特定物品を物品注文に基づいて保管棚より必要数取り出して予めピッキング作業用カートに載せ配布する場合には、載置された物品の総重量から客先毎のカゴ車(運搬台車)へ配布され減った物品の重量を該物品の単位重量で除算し残り個数を計数したり、また、一つ前の総重量から現在載置され残った物品の重量を減算して配布された物品の重量を算出し、該物品の単位重量で除算し当該物品の配布した個数を計数する秤装置を意味する。秤装置への物品の載置は、秤装置にコンテナを載せ、これに収納するようにする。
【0010】
上記手段によれば、ピッキング作業用カートに搭載されている秤装置が出力する信号を利用して、該ピッキング作業用カートが走行移動中か、或いは停止してピッキング作業中であるかを判定し、判定手段が走行移動中であると判定した場合は電力供給制御手段(CPU)によって電力供給手段(充電式電池)から周辺機器(表示器、印字手段、秤装置)への電力供給を停止する。従って、無駄に電力供給手段の消費電力を消耗するのを防止できる。
しかも、電力供給手段による電力の供給/停止を、ピッキング作業用カートに装備されている計数の為の秤装置を利用して行なう為、新たに部材(光電センサ等)を取り付けることなく簡便な構成で電力制御を行うことができる。
【0011】
前記秤装置は1台でもよいが、複数台の秤装置を装備し、それら複数の秤装置からの計量信号に基づいて、前記判定手段で判定するようにしてもよい(請求項2)。
秤装置が複数台装備された場合、その全部の秤装置の計量信号を判定の対象としてもよいが、一部の秤装置の計量信号を判定の対象としてもよい。例えば、秤装置が4台装備されている場合、その内の2台又は3台の計量信号に基づいて判定する。判定の対象としない秤装置については、走行移動中は電力の供給を停止してもよい。
上記手段によれば、複数の秤装置からの計量信号に基づいて判定することで、より正確にピッキング作業用カートが走行移動中であるか否かを判定することができる。
【0012】
前記秤装置の計量信号に基づく判定の方法としては、例えば、秤装置からの計量信号の周期を識別する第1の上下限域と第2の上下限域とを設定する上下限域設定手段を備え、前記判定手段が、前記秤装置からの計量信号の周期が前記第1の上下限域と前記第2の上下限域の両方の範囲内に跨る周期である場合に前記ピッキング作業用カートが走行移動していると判定し、前記第1の上限域と第1の下限域との範囲内に収まる周期である場合に前記ピッキング作業用カートが走行移動していないと判定する(請求項3)。
前記第1の上下限域と第2の上下限域は、ピッキング作業用カートが使用される環境(床面状況等)に応じて設定される。
【0013】
上記手段によれば、予め秤装置の計量信号の周期を識別する上下限域を設定し、その設定した上下限域に基づいてピッキング作業用カートが走行移動しているか否かを判定するようにしたので、容易に判定することができる。そして、ピッキング作業用カートの使用環境(床面状況等)に合わせて第1の上下限域と第2の上下限域を設定変更することで、床面の凸凹等に左右されることなく、正確に該ピッキング作業用カートが走行移動しているか否かを判定することができる。それにより、電力供給手段から周辺機器への電力の供給/停止を確実に行うことができる。
【0014】
又、前記判定手段の判定でピッキング作業用カートが走行移動していると判定した時に、前記電力供給制御手段で電力の供給を停止する前に、前記秤装置による物品の計量値に基づく計数値と、前記指示データの指示する指示数とが一致しているか否かを判定する作業完了判定手段と、前記作業完了判定手段により作業が完了していないと判定した場合に、前記指示データに基づく計数値が不足している旨を表示器へ表示し、作業が完了していると判定した場合には、次の作業場所を含む指示データを表示器へ表示する報知手段と、前記報知手段で報知された時に、現在計数値が不足している指示データを保留にするか否かを選択する選択手段と、前記選択手段で「保留しない」を選択した場合は、前記電力供給制御手段の電力供給を行ない前記計数値が不足している指示データを表示器へ表示し、「保留する」を選択した場合に、前記計数値が不足している指示データと呼出コードとを記憶する指示保留手段と、前記記憶された保留の指示データをリスト或いはラベルへ印字する指示保留印字手段と、を備えた構成としてもよい(請求項4)。
【0015】
上記手段によれば、ピッキング作業用カートを走行移動させる前に、現在行なっている作業が完了しているか否かを判定し、作業が完了していないと判定された時は、作業が終わっておらずピッキング作業用カートを移動してはいけない旨が報知されるので、これにより作業者の不注意による欠品や作業忘れを無くすことができる。又、作業が終わっていない指示データを保留にするか否かの問い合わせ(選択)に対し、現在作業している指示データを保留記憶しておくことができる。これにより、在庫品不足による補充待ちの物品である場合、補充されるまで待つことなく次の作業を行うことができる。更に、保留にした指示データは後で呼び出すことができるように呼出コードも含めて保留記憶し、リスト或いはラベルが印字発行されるため、別の担当者が継続して作業を行なうことも可能となり、効率のよい作業を行うことができる。
又、作業が完了している場合には、次の作業場所を含む指示データが表示器に表示されるので、作業者は該ピッキング作業用カートを次の作業場所へ間違えることなく移動でき、作業を行うことができる。また、次の指示データが表示された後に、使用していない周辺機器への電力の供給が停止されるので、効果的な省電力を実現することができる。
これにより、作業者の作業ミスや作業忘れがなくなるので、ピッキング作業を再度やり直すことや無駄に作業時間が長くなるといったことが無くなり、その結果、電力供給手段(充電式電池)の電力を無駄に消耗するのを防止できる。
【0016】
更に、前記指示データが識別情報毎の指示データであって、その指示データと、前記秤装置とを対応付ける紐付け手段と、前記表示器に表示された次のピッキング指示データと、前記秤装置からの計量信号とに基づいて、物品が載置された秤装置が前記紐付け手段により対応付けられた秤装置でない場合に、前記表示器にエラーを報知する報知手段と、を備えた構成としてもよい(請求項5)。
上記手段によれば、作業者が指示データに基づいて物品を秤装置へ載せた時に、紐付けされていない秤装置に物品が載置(コンテナへの投入)されると、その物品の載置はエラーと判断し、作業者に報知する。従って、作業者はエラーの報知があった時、物品を秤装置から取り出し、紐付けされている正規の秤装置に置き直すことで、ピッキング作業ミスを回避できる。
【0017】
また、前記表示器に表示された指示データに基づき指示された物品のコード情報を読み取る読取手段と、前記読取手段によって読み取られた物品のコード情報とその物品の計量値に基づく秤装置からの係数を実績として記憶する実績記憶手段と、前記記憶された実績を印字する印字手段と、前記電力供給制御手段で前記表示器と印字手段と前記読取手段の夫々に電力供給するか否かを設定する電力供給制御設定手段と、前記電力供給制御手段が、前記電力供給制御設定手段に基づいて、前記電力供給手段から前記周辺機器への電力供給の制御を行い、前記電力供給制御した周辺機器毎に制御履歴とその電力供給量とを記憶する制御履歴記憶手段と、前記制御履歴記憶手段で記憶された前記周辺機器毎の制御履歴とその電力供給量と前記電力供給手段の電力残量とを前記印字手段により印字する制御履歴印字手段と、を備えた構成としてもよい(請求項6)。
【0018】
上記手段によれば、ピッキング作業用カートに装備される表示器、印字手段(プリンタ)、読取手段(スキャナ)について、該ピッキング作業用カートの走行移動中に使用することがない周辺機器について電力供給を制御するか否かを個々に設定することができる。そして、その設定した情報に基づき電力供給制御された周辺機器毎に、記憶された制御履歴を印字することにより、各周辺機器の電力消費を知ることができる。また、制御した周辺機器毎の供給した電力量とその履歴と現時点の電力供給手段の電力残量のデータを印字することで、作業者は制御しなければならない負荷となっている周辺機器と電力供給手段の電力残量を相対的に知ることができ、負荷となっている周辺機器の履歴に基づいて電力供給を設定制御することで無駄な消費を防止することができる。
【0019】
更に、前記電力供給手段は、複数連鎖結合或いは分離可能な連結手段を備え、前記連結手段による連結時に前記周辺機器への電力供給を全て停止し、一つの電源口への接続により連結した全ての電力供給手段が充電されるように構成してもよい(請求項7)。
上記連結手段は、電力供給手段に装備のコード接続部と、接続用コードで構成されており、各カートの電力供給手段のコード接続部相互を接続用コードで接続する。
【0020】
上記手段によれば、複数のピッキング作業用カートの電力供給手段を連結手段で連結し、先頭のピッキング作業用カートの電力供給手段に接続したコードを電源口(電源コンセント)に差し込むと、各ピッキング作業用カートの搭載されている周辺機器への電力供給を全て停止してから、連結した全てのピッキング作業用カートの電力供給手段に充電を開始するので、周辺機器の電源スイッチの切れ忘れがあっても安心して充電することができる。しかも、複数のピッキング作業用カートへの充電を1個の電源口から同時にできるため、該ピッキング作業用カートの台数と対応する数の電源口を設ける必要がない。
【発明の効果】
【0021】
本発明のピッキング作業用カートは請求項1記載の構成により、ピッキング作業用カートに搭載されている秤装置が出力する信号を利用して、該ピッキング作業用カートが走行移動中か、或いは停止してピッキング作業中であるかを判定し、判定手段が走行移動中であると判定した場合は電力供給制御手段(CPU)によって電力供給手段(充電式電池)から周辺機器(表示器、印字手段、秤装置)への電力供給を停止する。従って、無駄に電力供給手段の消費電力を消耗するのを防止できる。
しかも、電力供給手段による電力の供給/停止を、ピッキング作業用カートに装備されている計数の為の秤装置を利用して行なう為、新たに部材を取り付けることなく簡便な構成で電力制御を行うことができる。
又、請求項2記載の構成により、より正確にピッキング作業用カートが走行移動中であるか否かを判定することができる。
【0022】
更に、請求項3記載の構成により、ピッキング作業用カートの使用環境(床面状況等)に合わせて第一の上下限域と第二の上下限域を設定変更することで、床面の凸凹等に左右されることなく、正確に該ピッキング作業用カートが走行移動しているか否かを判定することができる。それにより、電力供給手段から周辺機器への電力の供給/停止を確実に行うことができる。
また、請求項4記載の構成により、作業者の作業ミスや作業忘れがなくなるので、ピッキング作業を再度やり直すことや無駄に作業時間が長くなるといったことが無くなり、その結果、電力供給手段(充電式電池)の電力を無駄に消耗するのを防止できる。
ピッキング作業用カートが移動中ではないと判定された時に、電力供給制御手段により表示器に電力が供給された後、次のピッキング作業の指示データが自動的に表示器に表示されるので、作業者は表示された指示データに基づいて間違えることなく作業を行うことができる。これにより、作業ミスがなくなり、既に完了しているピッキング作業を再度やり直すことがなくなり、その結果、電力供給手段の電力を無駄に消耗するのを防止できる。
【0023】
又、請求項5記載の構成により、紐付けされていない秤装置に物品が載置(ピッキングボックスへの投入)されると、その物品の載置はエラーと判断し、作業者に報知する。従って、作業者はエラーの報知があった時、物品を秤装置から取り出し、紐付けされている正規の秤装置に置き直すことで、ピッキング作業ミスを回避できる。
更に、請求項6記載の構成により、作業者は制御しなければならない負荷となっている周辺機器と電力供給手段の電力残量を相対的に知ることができ、負荷となっている周辺機器の履歴に基づいて電力供給を設定制御することで無駄な消費を防止することができる。
また、請求項7記載の構成により、周辺機器の電源スイッチの切れ忘れがあっても安心して充電することができる。しかも、複数のピッキング作業用カートへの充電を1個の電源口から同時にできるため、該ピッキング作業用カートの台数と対応する数の電源口を設ける必要がなく便利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係るピッキング作業用カートの実施の形態の一例を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係るピッキング作業用カートによるピッキングシステムの概要を示す構成図で、図中、Aは無線通信部を備えたピッキング作業用カートで、無線ルータBを介して上位管理装置Cと無線LAN接続され、指示データ及びピッキング作業に係るデータ(物品情報、店舗或いは客先データ等)を受信し、ピッキング作業完了後は指示データに基づいた実績データを前記上位管理装置Cに送信する。そして、上位管理装置Cは実績データに基づいて出荷伝票(納品書)等を印字し、その印字された出荷伝票等はピッキング集荷された物品と一緒に店舗(客先)へ配送される。又、前記上位管理装置Cはインターネット又はイントラネットを介して外部の管理装置Dと接続され、情報のやり取りができるようになっている。
【0025】
ピッキング作業用カートAは、図2に示すように、平面視略矩形状に形成したフレームの下側に車輪を取り付けた走行可能とした台車1に、棚2が多段(図面では2段)形成され、その上下2段の棚の上面に秤装置3が夫々2台ずつ並列配置され、更に上の棚2の一側に台車1を移動するための押手4が取り付けられている。
又、前記上の棚2には取付枠5が起立形成され、その取付枠5に第1表示器6、固定読取装置7、携帯型読取装置(ハンディスキャナ)8が配置され、上の棚の下側側面には印字手段9、及び第2表示器10が取り付けられており、下の棚2の上面には電力供給手段(充電式電池)11が載置固定されている。この電力供給手段11と前記秤装置3、第1表示器6、固定読取装置7、印字手段9、第2表示器10、及び携帯型読取装置(ハンディスキャナ)8の充電装置(図示省略)が電気的に接続され、機能するように構成されている。そして、前記秤装置3にコンテナ(仕分けケース)12を載せ、これにピッキングした物品を収容して計量し、ピッキング作業を行なう。
【0026】
ピッキング作業用カートAが備える4台の秤装置3は、ロードセルで構成された今日周知の計数秤で、該秤装置3に載せられた物品の総重量を計量し、その総重量と物品の単位重量とから当該物品の個数が算出され、前記第1表示器6、第2表示器10に表示されるようになっている。
【0027】
第1表示器6及び第2表示器10は液晶タッチパネルで構成され、第1表示器は押手4を押してピッキング作業用カートAを走行移動させながら見られるように配置されている。他方、第2表示器10はピッキング作業時にその作業内容を確認し易くするために表示面が台車1の側面と平行に配置され、且つ表示面は上向き傾斜されている。
又、第1表示器6は、操作パネルにタッチしないで数分間(例えば、5分間)放置されると、省エネモードで画面表示が切れ、画面にタッチすると元の表示に戻るようになっている。
【0028】
固定読取装置7は、ピッキングした物品を棚2に仮置きし、その物品を該読取装置7にかざすことで該物品に表示されたバーコードなどを読み取ることができるように配置されている。
携帯型読取装置(ハンディスキャナ)8は、印字手段9から発行したコンテナラベルに表示されているバーコードなどの情報の読み取り、カートに積載される4個のコンテナ12の情報(カートバーコード)の読み取り、及びピッキングした物品の表示されているバーコードなどの情報の読み取りを行うもので、手で持ち対象物に近付けて読み取り操作を行う。
【0029】
印字手段9は、ロール巻きされたラベル用紙と、そのラベル用紙に所定事項を印字する印字ヘッドと、ラベル用紙を印字ヘッドに供給する用紙搬送機構等を備えた今日周知のプリンタで、コンテナラベル(図10(a)参照)、保留ラベル(図10(b)参照)、作業履歴、電力供給履歴、電力供給制御履歴のデータ等を印字発行する。
【0030】
電力供給手段11は充電式電池で、電力供給制御手段を介して前記秤装置3を含め該ピッキング作業用カートAに搭載された周辺機器(第1,2表示器6、10、固定読取装置7、移動読取装置8、印字手段、充電装置等)に電力を供給する。そして、この電力供給手段11への充電はカート毎、或いは各カートの電力供給手段11を電気的に連結して充電することができる。
【0031】
上記秤装置3は常時計量信号を出力し、しかもその計量信号は該ピッキング作業用カートAが走行移動している時と、停止している(ピッキング作業中)時では前記計量信号の周期(振幅)が異なることを利用して、該ピッキング作業用カートAが搭載する周辺機器のうち、ピッキングエリア間を走行移動している時、電力の供給が停止していてもよい周辺機器への電力の供給を制御(停止)する。
【0032】
図3は上記ピッキング作業用カートAの電気的構成を示すブロック図である。ピッキング作業用カートAに搭載された各部を制御するCPU(中央処理装置)100にバス100’を介してROM110、RAM111、表示部[1](第1表示器6)112、表示部[2](第2表示器10)113、計量部[1](秤装置3)114〜計量部[4](秤装置3)117、スキャナ部[1](固定読取装置7)118、スキャナ部[2](携帯型読取装置8)119、入力部120、印字部(印字手段9)121、通信部122、スピーカ123、電力供給制御部124が接続されている。そして、前記電力供給制御部124には電力供給手段(充電式電池)11が接続され、それにより電力供給手段11から前記各部への電力の供給が制御されている。
【0033】
CPU100は、ROM110の制御プログラムに従って、RAM111のワークエリアを用いて処理を行なうことにより各部を制御する。
上記ROM110には、CPU100が実行する、予め決められた制御プログラムが記憶されている。
上記RAM111は複数の記憶領域を有し、各ファイルから読み出されたデータが一時的に格納される。RAM111に記憶するデータとしては、上位管理装置Cから受信する物品データ(図4参照)、店舗(客先)データ(図5参照)、作業指示データ(図6参照)、電力供給制御設定データ(図7参照)、ピッキング作業用カートの移動/停止を判定するための基準となる秤装置3の計量信号(周期)の上下限域設定データ(図8参照)等が挙げられる。
上記表示部[1]112,表示部[2]113は、液晶タッチパネルで構成され、上位管理装置Cから無線LAN接続によって受信した指示データ及びピッキング作業に係るデータ(物品情報、店舗或いは客先データ等)、更にピッキング作業の状態、エラーメッセージ等を表示すると共に、表示画面にタッチすることで表示内容が切り替わり、データの入力、選択等が可能となる。
【0034】
上記計量部[1]114〜計量部[4]117は、ロードセルを備えた計数秤で、コンテナに投入される物品の総重量を計量し、その計量した重量値と当該物品の単位重量とから当該物品の個数が算出される。
【0035】
上記スキャナ部[1](固定読取装置7)118及びスキャナ部[2](携帯型読取装置8)119は、物品に表示されたバーコードや、印字部(印字手段9)121から発行されるコンテナラベルに印刷されているコード情報、及び計量部に貼付されている計量部識別情報(コード情報)等を読み取るのに使用される。尚、スキャナ部[1]、[2]は読み取り作業の内容に応じて使い分ける。
【0036】
入力部120は、前記表示部[1]、[2]のタッチパネルの機能切り替えで表示されるテンキーや各種の操作ボタン等が該当する。
印字部121は、ロール巻きされたラベル用紙と、ヘッド部材と、前記ラベル用紙を搬送する給紙機構等で構成された今日周知のラベルプリンタで、本実施例ではコンテナラベル、保留ラベル等を印字発行する。
【0037】
通信部122は、無線LANによって上位管理装置Cとの間でデータの送受信を行うものである。尚、通信部は、汎用の近距離無線通信規格(例えばブルートゥース等)に適合した無線通信手段や、赤外線通信等でも良く、その通信方式は問わない。
スピーカ123は、作業結果が作業指示データと異なるエラーの場合、作業者に警報音を発して知らしめるもので、前記表示部[1](第1表示器6)112に内蔵されている。
電力供給制御部124は、ピッキング作業用カートに搭載されている周辺機器(第1,2表示器6、10、固定読取装置7、移動読取装置8、印字手段、充電装置等)への電力供給を制御するもので、秤装置の計量信号に基づいて該ピッキング作業用カートが走行移動中と判定された時、電力供給制御の対象となる周辺機器を電力供給制御設定データに基づいて制御する。
【0038】
次に、本発明に係るピッキング作業用カートによるピッキング作業及び該ピッキング作業用カートが搭載する周辺機器への電力の供給/停止の制御の概要を図11及び図12のフローチャート図に基づいて説明する。
S300:電源が入っている(ON)か否か(OFF)を判定。電源が入っている場合(
YES)はS301へ進み、電源が入っていない場合(NO)はS305へ進
み充電モードとなる。そして、同時に電源コンセントに接続されているか否か
の判定も行なっている。
S301:RAM111に記憶されている“電力供給制御設定データ”(図7参照)を読み
込む。
S302:RAM111に記憶されている“上下限域設定データ”(図8参照)を読み込む
。
S303:各ピッキング作業用カートに搭載されている電力供給手段11が連結されてい
るか否かを判定。連結されている場合(NO)はS304へ進み、連結されて
いない場合(YES)はS306へ進む。
S304:ピッキング作業用カートに搭載されている全ての周辺機器への電力供給を停止
する。(計量部[1]〜計量部[4]の何れかで電力供給の制御をすると設定
された計量部を含む全て)。
S305:電力供給手段11への充電を行なう。
S306:上位管理装置Cからの作業指示データ(図6参照)を受信するか否かの判定。
表示部[1](第1表示器6)の画面に配置されている「開始」ボタンを押す
(NO)とS307へ分岐し、既に作業指示データを受信済みである場合(Y ES)はS309へ進む。
【0039】
S307:上位管理装置Cより作業指示データを受信し、S308へ進む。
S308:作業指示データをRAM111へ記憶保存しS309へ進む。
S309:受信記憶した作業指示データで作業を行なう前に、指示データとピッキング作
業用カートに搭載されている計量部[1](秤装置3)114〜計量部[4](
秤装置3)117との紐付けが行なわれているか否かの判定を行なう。作業指示
データに秤識別情報が記憶されているかをみて判定を行なう。“0”が設定さ
れている場合(NO)は未設定であるのでS310へ進み、“0”以外のもの
が設定されている場合(YES)は既に設定済みであるのでS311へ進む。
S310:指示データと計量部の紐付け作業を行う。「作業開始」のボタンを押すと該ピ
ッキング作業用カートに搭載されている計量部の数分のコンテナラベル13
(図10(a)参照)が印字部(印字手段9)121から発行される。このコン
テナラベル13には納品先番号及び納品情報をコード化したコード情報が印刷
されており、このコード情報と計量部[1]〜[4]に貼付されている計量部
識別ラベル14に表示の識別情報(コード情報)を順次対応付けて、スキャナ
部[2](携帯型読取装置8)119で読み込ませることにより紐付け(対応付
け)を行うことができる。具体的には指示データの配送先(店舗)毎に秤識別
情報が割り付けられる。紐付けが完了するとS311へ進む。
【0040】
S311:RAM111に記憶された“上下限域設定データ”に基づいて、計量部[1]〜
[4]からの計量信号(周期)が第1の上下限域と第2の上下限域の両方の範
囲内に跨る周期であるか否かを判定する(図9参照)。第1の上下限域と第2
の上下限域の両方の範囲内に跨る周期でない場合(NO)(計量中)はS32
4へ分岐し、両方の範囲内に跨る周期である場合(YES)はS312に進む
。
尚、RAM111に記憶される“上下限域設定データ”は、ピッキング作業用カ
ートが操向移動する床面の状況等に応じて設定変更することができる。
S312:RAM111に記憶された“上下限域設定データ”に基づいて、計量部[1]〜
[4]からの計量信号(周期)が第1の上限域と第1の下限域の範囲内に入る
周期であるか否かを判定する(図9参照)。第1の上限域と第1の下限域の範
囲内に入る周期でない場合(NO)(移動中)はS314へ分岐し、範囲内に
入る周期である場合(YES)はS313に進む。
S313:電力供給を停止している場合は、周辺機器への電力供給を行い、仮に供給中で
ある場合には現在の電力供給を維持継続しS324へ進む。
S314:ピッキング作業用カートが「移動中」と判定されたので、今現在指示データに
基づいて行なっている作業が完了しているか否かの判定を行なう。
作業が完了している指示データには完了フラグ“1”が設定されており、この
場合(YES)はS317へ分岐する。指示データの完了フラグに“0”が設
定されている場合(NO)は作業完了ボタンが押されていない或いは自動判定
がされていないので、判定を行なうためにS315へ進む。
【0041】
S315:各計量部[1]〜[4]と紐付けされた指示データの指示数と各計量部[1]
〜[4]が行なった計数値に差分がないかを判定(作業完了判定手段)し、差
分がある場合(NO)はS320へ分岐し、差分がない場合(YES)はS3
16へ進む。
S316:対象の作業指示データに完了フラグ“0”を設定記憶させ、S317へ進む。
S317:RAM111に記憶されている作業指示データで、次に作業者へ指示すべき作業
指示データがあるか否かを確認し、表示すべき指示データがある場合は表示部
に次の作業場所を含む作業指示を表示する(報知手段)。
S318:走行移動中の判定により、RAM111に記憶された電力供給制御設定データに
基づいて周辺機器への電力供給を設定された時間(秒数)後に停止させ、S3
19へ進む。
S319:RAM111に記憶された電力供給制御設定データに基づいて周辺機器への電力
供給を制御した履歴(制御した機器及び電力供給していた間の電力供給量など
)をRAM111へ保存記憶しS309へ戻る。
S320:計数値が少ない計量部とその計数値と指示データ等、更に注意喚起させるアラ
ームを表示部へ表示(エラー報知)し、S321へ進む。
表示部の画面の色や文字の大きさ、太さ、色、注意喚起させる音(スピーカ12
3)等により作業者へ注意を促す(報知手段)。
S321:現在不足している計量部の作業指示データと作業を行なった計数値とを保留に
するか否かの選択を行なう(選択手段)。「保留にする」が選択された場合(
NO)はS322へ分岐し、「保留にしない」が選択された場合(YES)は
S324へ進む。
【0042】
S322:現在不足している計量部の作業指示データと作業を行なった計数値をRAM1
11に記憶されている指示データへ保留フラグと共に記憶させ、S323へ進む
(指示保留手段)。
S323:後で作業を行なうときの為に不足している計量部が行った作業場所及び指示デ
ータと計数値などを保留ラベル15(図10(b)参照)(或いはリスト)へ
印字出力し、S317へ進む(指示保留印字手段)。
S324:計量部に物品が載置されたか否かの判定を行い、載置された場合(YES)は
S325へ進み、物品が載置されていない場合(NO)は作業者により物品が
載置されるのを待機するためS324へ戻り物品載置を待つ。
S325:現在指示されている物品の単位重量と計量部に載置された物品の計量値とに基
づき計数し、表示部へ表示しS326へ進む。
S326:計量が完了したか否かの判定を行なう。作業指示データから計数値を減算し、
差分がない場合に完了となるが、計数値が不足していたり、計数値が多い場合
は完了することができない為、S324へ戻る。作業完了には、作業者が「完
了」ボタンを押す場合と、指示データと計数値に差分が無い時に自動的に完了
とみなす二種類があるが、本実施例では作業者が手動で「完了」ボタンを押す
方式を採用している。「完了」ボタンが押されるとS327へ進む。
【0043】
S327:作業指示データに基づいて計量が完了した指示データへ実績数を記憶させS3
28へ進む。
S328:電力供給手段(充電式電池)の電力残量を取得しS329へ進む。
S329:該ピッキング作業用カートを稼動させる為に最低限必要な電力量、或いは予め
設定された電力不足のアラートを表示させる為に設定された判定用電力量を下
回っていないかの判定を行い、下回っていると判定された場合(NO)はS3
30へ分岐し、下回っていない場合(YES)はS331へ進む。
S330:該ピッキング作業用カートに搭載された電力供給手段に電力不足が発生したこ
とを報知し、S331へ進む。
S331:印刷を指示するボタンが押されたか否かを判定する。
印刷ボタンが押された場合(YES)はS332へ進み、押されていない場合
(NO)はS303へ戻る。
【0044】
S332:作業履歴(指示データに基づく作業)の印刷か或いは電力供給制御の履歴の印
刷を行なうかの選択を行なう。作業履歴を印刷する場合(YES)はS333
へ進み、電力供給制御履歴の印刷の場合(NO)はS335へ分岐する。
S333:RAM111に記憶された指示データを読み込み、秤識別情報(計量部番号)が
設定されているデータを対象にRAM111へ対象データのみを抽出し、一時記
憶する。RAM111への抽出が終わると、S334へ進む。
S334:RAM111に一時記憶されたデータに基づいて、ラベル或いはリストへ印字を
行なう。
S335:電力供給履歴のデータをRAM111より読み込み一時記憶し、S336へ進む
。
S336:一時記憶した電力供給履歴のデータをラベル或いはリストへ印字し、S303
へ戻る。
【0045】
本発明のピッキング作業用カートは、上記したように上位管理装置から受信した指示データに基づいて、作業者へ物品のピッキング(採集或いは配布)を指示する指示データ等を表示器に表示し、その表示器に表示された物品のピッキング指示に基づいて採集或いは配布する物品に付されたコード情報を読取手段で読み取り、作業者はその物品を指示数分ピッキングし、秤装置に載置し、その載置された物品の計量値と物品の単位重量とに基づいて前記秤装置が計数し、現在載置された物品が何個載置されたかを前記表示器へ表示し、作業者はこの計数値に基づいてピッキング数(注文された出荷数)を確定させることができる。そして、その確定されたピッキング数(注文された出荷数)に基づき印字手段より明細ラベル或いはリストを印字し、コンテナ(仕分けケース)へ貼付或いは投入する。
ピッキング作業用カートを移動させながら指示データに基づいて物品を採集或いは配布作業ができるように搭載する各周辺機器に常に電力を供給し、何時でも各周辺機器を使用可能な状態にし、移動して連続した物品のピッキング作業ができるように電力供給手段(充電式電池)を搭載している。
【0046】
そして、前記計量値に基づいて計数する秤装置に、該ピッキング作業用カートが走行移動しているか否かを判定する為の信号発生手段の役割を持たせ、前記秤装置からの計量信号に基づいてピッキング作業用カートが走行移動しているか否かの判定を行い、走行移動中は使用していない周辺機器の電力供給を停止し、走行移動中でないと判定した時に電力供給が停止されている周辺機器への電力を供給するように制御を行なうようにしたので、搭載されている電力供給手段(充電式電池)の電力を無駄に消費するのを防止でき、それにより、走行移動中も全ての周辺機器に電力を供給していた従来のピッキング作業用カートに比べて長い時間ピッキング作業が可能となる。
更に、ピッキング作業用カートの走行移動/停止の判定を、該ピッキング作業用カートに搭載されている複数の秤装置の計量信号に基づいて判定することでより正確に判定することができ、電力の無駄な消費を防止できる。
又、ピッキング作業用カートの走行移動/停止を判定する基になる秤装置の計量信号(周期)は、該ピッキング作業用カートが走行移動する床面の状況(平坦度、凹凸等)によって変化する為、その使用環境に応じて前記計量信号の周期を識別する判定基準を上下限域設定手段によって変更することで、使用環境に左右されることなく適確に判定でき、電力供給を適確に制御することができる。
【0047】
本発明のピッキング作業用カートは図示した実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で変更可能である。
(1)本実施の形態では、ピッキング作業用カートが走行移動していないと判定した時に、作業者へ指示する次の指示データを自動的に呼び出すようにしているが、表示器に選択画面を表示させ、作業者に次に表示したい指示データを選択させて呼び出す方法を用いてもよい。これにより、作業者の近くにある物品を優先して呼び出してピッキング作業を行なうことができる。
(2)本実施の形態では、ピッキング作業用カートが走行移動していると判定した時に、使用していない全ての周辺機器への電力供給を停止しているが、複数備えられた周辺機器の場合、負荷が大きい周辺機器の電力供給を停止し、負荷の少ない周辺機器は電力供給を停止しないようにしてもよい。
(3)本実施の形態のように、ピッキング作業用カートの正面(ピッキング作業用カートを押す作業者と正対する位置)と側面に表示器を備えている場合には、正面の表示器への電力は常に供給し、作業用で使用されるカート側面に備えられた表示器への電力供給は、走行移動しているか否かの判定に基づいて電力供給の制御を行うようにしてもよい。これにより、カートの移動中も次の作業場所及び次に作業しなければならない指示データを確認することができるので、作業効率がよくなる。
(4)本実施の形態では、複数(4台)備えた計量部(秤装置)への電力は常に供給されているようにしているが、例えば、搭載している計量部の半分(4台中2台)は電力供給制御を行い、半分(4台中2台)は常に電力を供給維持し、該ピッキング作業用カートが走行移動しているかを判定する対象の秤装置としてもよく、制御する台数や制御対象の秤装置の位置関係は適宜選択するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係るピッキング作業用カートのシステム構成図。
【図2】本発明に係るピッキング作業用カートの実施の一例を示す外観図。
【図3】ピッキング作業用カートの電気的構成を示すブロック図。
【図4】物品データの概略を示す説明図。
【図5】店舗(客先)データの概略を示す説明図。
【図6】指示データの概略を示す説明図。
【図7】電力供給制御設定データの概略を示す説明図。
【図8】秤装置の計量信号を判定する為の上下限域設定データの概略を示す説明図。
【図9】秤装置の計量信号(周期)を用いたピッキング作業用カートの走行移動/停止の判定概念図。
【図10】印字手段が発行するラベルの一例を示し、(a)はコンテナラベル、(b)は保留ラベル。
【図11】ピッキング作業用カートによるピッキング作業及び搭載する周辺機器への電力の供給制御の流れを示すフローチャート図(前半)。
【図12】ピッキング作業用カートによるピッキング作業及び搭載する周辺機器への電力の供給制御の流れを示すフローチャート図(後半)。
【符号の説明】
【0049】
A…ピッキング作業用カート B…無線ルータ
C…上位管理装置 D…外部の管理装置
1…台車 3…秤装置
6…表示器 7…読取装置(スキャナ部)
8…読取装置(スキャナ部) 9…印字手段(ラベルプリンタ)
10…表示器 11…電力供給手段(充電式電池)
12…コンテナ 13…コンテナラベル
14…計量部識別ラベル 15…保留ラベル
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流分野で実施される物品のピッキング作業に用いられるピッキング作業用カートに関し、更に詳しくはピッキング作業の効率改善と、そのピッキング作業用カートの消費電力を省電力制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
倉庫や物流センター或いは工場等で実施されるピッキング作業(採集或いは配布作業)に用いられる従来のピッキング作業用カート(物品採集或いは配布作業用運搬車)は、作業者へ物品のピッキングを指示する表示器と、前記表示器に表示された指示に基づいて採集或いは配布する物品に付されたコード情報を読み取る読取手段(スキャナ)や、そのピッキング作業の結果に基づきラベル或いはリストを印字する印字手段(プリンタ)等の各デバイス(周辺機器)に電力を供給し何時でもデバイスを使用可能な状態にするバッテリ(充電式電池)を搭載し、移動して連続して物品をピッキング作業できるようになっている。
【0003】
上記構成により、作業者は連続移動しながらピッキング作業を行うことができるが、作業者がピッキングミスをしてしまった場合には、間違えた物品のピッキング作業を再度行なうことになり、搭載しているバッテリの電力を余計に消費してしまうという問題があった。
【0004】
そこで、バッテリの消費電力を低減させる為に、ピッキング作業ミス(物品選択ミス、数量ミス、各仕分け先への物品投入ミス等)を無くし、それによって端末の再操作や再印字による電力の余計な消費を無くすことが考えられ、各仕分け先バケットの間口部に光電センサを設け、光電センサにより物品が指定された仕分け先バケットに投入されたか否かを検知するようにしたピッキング台車が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
上記特許文献1に記載の発明は、光電センサによってピッキング作業ミスを検知した場合、その旨を作業者へ報知する。この作業ミスが減ることによりバッテリの消費電力を低減させようとするものである。
しかしながら、前記ピッキング台車の移動中は、前記表示器や、読取手段(スキャナ)や、印字手段(プリンタ)等のデバイス(周辺機器)を使用していないにもかかわらず、常に電力を供給し続けているため、バッテリの消費電力の著しい低減効果は得られず、作業者は前記ピッキング台車を用いて長時間のピッキング作業が行なえないという問題があった。
【0006】
又、ピッキングの作業ミスを無くすことにより、バッテリの消費電力を低減させる方式では、ある物品をどの仕分け先へ何個ピッキングするかの指示データをピッキング台車が備える表示部へ表示させ、作業者は物品に付されたコード情報を読取手段(スキャナ)を用いてピッキングした数量分読ませた後、仕分け先バケットへの物品投入時に光電センサを用いて現在投入すべきではない仕分け先バケットへ物品が投入された時に前記光電センサが反応し、音声或いは警告音を報知させることで作業ミスを無くす方式を採用している。
しかしながら、作業中に光電センサの光軸がズレたり(衝撃等により光電センサの送受信器が直線をなす位置を維持できず、送受信器の役目を果たすことができない時)、又は光電センサの感度が鈍くなった時には、仕分け先バケットへの物品投入ミスを検知することができず、作業者へ警告を報知できない可能性があり、前記トラブルが発生した時には、既に完了しているピッキング作業を再度やり直すことになるため、再度やり直す作業により、バッテリの消費電力を低減させるはずが、更にバッテリの電力を消費してしまう結果となり、また、作業者に更なる負担を強いる結果になってしまうという問題もあった。
【0007】
【特許文献1】特開2002−362715号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記した従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、簡便な機構でピッキング作業用カートが搭載する電力供給手段の消費電力の低減を図ると共に、ピッキング作業ミスを無くすことができるピッキング作業用カートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する為に本発明のピッキング作業用カートは、ピッキング対象の物品をピッキングし走行移動する台車に、前記物品の物品情報と前記ピッキングを指示する指示データを管理装置から受信し、該受信した指示データを表示する表示器と、前記表示された指示データに基づき物品を計量する秤装置、及び前記表示器を含む周辺機器に電力を供給する電力供給手段を搭載したピッキング作業用カートにおいて、前記秤装置からの計量信号に基づいて、該ピッキング作業用カートが走行移動しているか否かを判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果に基づいて、該ピッキング作業用カートが走行移動していると判定した時に前記電力供給手段から前記周辺機器への電力の供給を停止し、該ピッキング作業用カートが走行移動していないと判定した時に前記電力供給手段が前記周辺機器に電力を供給する電力供給制御手段と、を備える(請求項1)。
本発明でいう「ピッキング作業」とは、店舗(客先)毎にピッキング作業用カートを移動させながら物品注文(出荷指示)に基づいて、保管棚から物品を必要数だけ取り出して客先毎のコンテナ(仕分けケース)へ採集する作業方式、及び特定物品を物品注文に基づいて、保管棚から必要数取り出して予めピッキング作業用カートに載せ、該ピッキング作業用カートを移動させながら客先毎の物品注文数(出荷指示数)に基づいて、該ピッキング作業用カートから物品を注文数取り出し、客先毎のカゴ車(運搬台車)へ配布する作業方式の両方を含むものである。
ピッキング作業用カートが搭載する周辺機器としては、表示器、秤装置、印字手段(プリンタ)、物品のコード情報を読み取る読取手段(スキャナ)等で、表示器、秤装置および読取装置の設置数は1個に限らず、複数個であってもよい。
前記秤装置は、物品情報に含まれる各物品の単位重量と、ピッキングして該秤装置に載せられた物品の総重量から、当該物品の個数を計数する、または、特定物品を物品注文に基づいて保管棚より必要数取り出して予めピッキング作業用カートに載せ配布する場合には、載置された物品の総重量から客先毎のカゴ車(運搬台車)へ配布され減った物品の重量を該物品の単位重量で除算し残り個数を計数したり、また、一つ前の総重量から現在載置され残った物品の重量を減算して配布された物品の重量を算出し、該物品の単位重量で除算し当該物品の配布した個数を計数する秤装置を意味する。秤装置への物品の載置は、秤装置にコンテナを載せ、これに収納するようにする。
【0010】
上記手段によれば、ピッキング作業用カートに搭載されている秤装置が出力する信号を利用して、該ピッキング作業用カートが走行移動中か、或いは停止してピッキング作業中であるかを判定し、判定手段が走行移動中であると判定した場合は電力供給制御手段(CPU)によって電力供給手段(充電式電池)から周辺機器(表示器、印字手段、秤装置)への電力供給を停止する。従って、無駄に電力供給手段の消費電力を消耗するのを防止できる。
しかも、電力供給手段による電力の供給/停止を、ピッキング作業用カートに装備されている計数の為の秤装置を利用して行なう為、新たに部材(光電センサ等)を取り付けることなく簡便な構成で電力制御を行うことができる。
【0011】
前記秤装置は1台でもよいが、複数台の秤装置を装備し、それら複数の秤装置からの計量信号に基づいて、前記判定手段で判定するようにしてもよい(請求項2)。
秤装置が複数台装備された場合、その全部の秤装置の計量信号を判定の対象としてもよいが、一部の秤装置の計量信号を判定の対象としてもよい。例えば、秤装置が4台装備されている場合、その内の2台又は3台の計量信号に基づいて判定する。判定の対象としない秤装置については、走行移動中は電力の供給を停止してもよい。
上記手段によれば、複数の秤装置からの計量信号に基づいて判定することで、より正確にピッキング作業用カートが走行移動中であるか否かを判定することができる。
【0012】
前記秤装置の計量信号に基づく判定の方法としては、例えば、秤装置からの計量信号の周期を識別する第1の上下限域と第2の上下限域とを設定する上下限域設定手段を備え、前記判定手段が、前記秤装置からの計量信号の周期が前記第1の上下限域と前記第2の上下限域の両方の範囲内に跨る周期である場合に前記ピッキング作業用カートが走行移動していると判定し、前記第1の上限域と第1の下限域との範囲内に収まる周期である場合に前記ピッキング作業用カートが走行移動していないと判定する(請求項3)。
前記第1の上下限域と第2の上下限域は、ピッキング作業用カートが使用される環境(床面状況等)に応じて設定される。
【0013】
上記手段によれば、予め秤装置の計量信号の周期を識別する上下限域を設定し、その設定した上下限域に基づいてピッキング作業用カートが走行移動しているか否かを判定するようにしたので、容易に判定することができる。そして、ピッキング作業用カートの使用環境(床面状況等)に合わせて第1の上下限域と第2の上下限域を設定変更することで、床面の凸凹等に左右されることなく、正確に該ピッキング作業用カートが走行移動しているか否かを判定することができる。それにより、電力供給手段から周辺機器への電力の供給/停止を確実に行うことができる。
【0014】
又、前記判定手段の判定でピッキング作業用カートが走行移動していると判定した時に、前記電力供給制御手段で電力の供給を停止する前に、前記秤装置による物品の計量値に基づく計数値と、前記指示データの指示する指示数とが一致しているか否かを判定する作業完了判定手段と、前記作業完了判定手段により作業が完了していないと判定した場合に、前記指示データに基づく計数値が不足している旨を表示器へ表示し、作業が完了していると判定した場合には、次の作業場所を含む指示データを表示器へ表示する報知手段と、前記報知手段で報知された時に、現在計数値が不足している指示データを保留にするか否かを選択する選択手段と、前記選択手段で「保留しない」を選択した場合は、前記電力供給制御手段の電力供給を行ない前記計数値が不足している指示データを表示器へ表示し、「保留する」を選択した場合に、前記計数値が不足している指示データと呼出コードとを記憶する指示保留手段と、前記記憶された保留の指示データをリスト或いはラベルへ印字する指示保留印字手段と、を備えた構成としてもよい(請求項4)。
【0015】
上記手段によれば、ピッキング作業用カートを走行移動させる前に、現在行なっている作業が完了しているか否かを判定し、作業が完了していないと判定された時は、作業が終わっておらずピッキング作業用カートを移動してはいけない旨が報知されるので、これにより作業者の不注意による欠品や作業忘れを無くすことができる。又、作業が終わっていない指示データを保留にするか否かの問い合わせ(選択)に対し、現在作業している指示データを保留記憶しておくことができる。これにより、在庫品不足による補充待ちの物品である場合、補充されるまで待つことなく次の作業を行うことができる。更に、保留にした指示データは後で呼び出すことができるように呼出コードも含めて保留記憶し、リスト或いはラベルが印字発行されるため、別の担当者が継続して作業を行なうことも可能となり、効率のよい作業を行うことができる。
又、作業が完了している場合には、次の作業場所を含む指示データが表示器に表示されるので、作業者は該ピッキング作業用カートを次の作業場所へ間違えることなく移動でき、作業を行うことができる。また、次の指示データが表示された後に、使用していない周辺機器への電力の供給が停止されるので、効果的な省電力を実現することができる。
これにより、作業者の作業ミスや作業忘れがなくなるので、ピッキング作業を再度やり直すことや無駄に作業時間が長くなるといったことが無くなり、その結果、電力供給手段(充電式電池)の電力を無駄に消耗するのを防止できる。
【0016】
更に、前記指示データが識別情報毎の指示データであって、その指示データと、前記秤装置とを対応付ける紐付け手段と、前記表示器に表示された次のピッキング指示データと、前記秤装置からの計量信号とに基づいて、物品が載置された秤装置が前記紐付け手段により対応付けられた秤装置でない場合に、前記表示器にエラーを報知する報知手段と、を備えた構成としてもよい(請求項5)。
上記手段によれば、作業者が指示データに基づいて物品を秤装置へ載せた時に、紐付けされていない秤装置に物品が載置(コンテナへの投入)されると、その物品の載置はエラーと判断し、作業者に報知する。従って、作業者はエラーの報知があった時、物品を秤装置から取り出し、紐付けされている正規の秤装置に置き直すことで、ピッキング作業ミスを回避できる。
【0017】
また、前記表示器に表示された指示データに基づき指示された物品のコード情報を読み取る読取手段と、前記読取手段によって読み取られた物品のコード情報とその物品の計量値に基づく秤装置からの係数を実績として記憶する実績記憶手段と、前記記憶された実績を印字する印字手段と、前記電力供給制御手段で前記表示器と印字手段と前記読取手段の夫々に電力供給するか否かを設定する電力供給制御設定手段と、前記電力供給制御手段が、前記電力供給制御設定手段に基づいて、前記電力供給手段から前記周辺機器への電力供給の制御を行い、前記電力供給制御した周辺機器毎に制御履歴とその電力供給量とを記憶する制御履歴記憶手段と、前記制御履歴記憶手段で記憶された前記周辺機器毎の制御履歴とその電力供給量と前記電力供給手段の電力残量とを前記印字手段により印字する制御履歴印字手段と、を備えた構成としてもよい(請求項6)。
【0018】
上記手段によれば、ピッキング作業用カートに装備される表示器、印字手段(プリンタ)、読取手段(スキャナ)について、該ピッキング作業用カートの走行移動中に使用することがない周辺機器について電力供給を制御するか否かを個々に設定することができる。そして、その設定した情報に基づき電力供給制御された周辺機器毎に、記憶された制御履歴を印字することにより、各周辺機器の電力消費を知ることができる。また、制御した周辺機器毎の供給した電力量とその履歴と現時点の電力供給手段の電力残量のデータを印字することで、作業者は制御しなければならない負荷となっている周辺機器と電力供給手段の電力残量を相対的に知ることができ、負荷となっている周辺機器の履歴に基づいて電力供給を設定制御することで無駄な消費を防止することができる。
【0019】
更に、前記電力供給手段は、複数連鎖結合或いは分離可能な連結手段を備え、前記連結手段による連結時に前記周辺機器への電力供給を全て停止し、一つの電源口への接続により連結した全ての電力供給手段が充電されるように構成してもよい(請求項7)。
上記連結手段は、電力供給手段に装備のコード接続部と、接続用コードで構成されており、各カートの電力供給手段のコード接続部相互を接続用コードで接続する。
【0020】
上記手段によれば、複数のピッキング作業用カートの電力供給手段を連結手段で連結し、先頭のピッキング作業用カートの電力供給手段に接続したコードを電源口(電源コンセント)に差し込むと、各ピッキング作業用カートの搭載されている周辺機器への電力供給を全て停止してから、連結した全てのピッキング作業用カートの電力供給手段に充電を開始するので、周辺機器の電源スイッチの切れ忘れがあっても安心して充電することができる。しかも、複数のピッキング作業用カートへの充電を1個の電源口から同時にできるため、該ピッキング作業用カートの台数と対応する数の電源口を設ける必要がない。
【発明の効果】
【0021】
本発明のピッキング作業用カートは請求項1記載の構成により、ピッキング作業用カートに搭載されている秤装置が出力する信号を利用して、該ピッキング作業用カートが走行移動中か、或いは停止してピッキング作業中であるかを判定し、判定手段が走行移動中であると判定した場合は電力供給制御手段(CPU)によって電力供給手段(充電式電池)から周辺機器(表示器、印字手段、秤装置)への電力供給を停止する。従って、無駄に電力供給手段の消費電力を消耗するのを防止できる。
しかも、電力供給手段による電力の供給/停止を、ピッキング作業用カートに装備されている計数の為の秤装置を利用して行なう為、新たに部材を取り付けることなく簡便な構成で電力制御を行うことができる。
又、請求項2記載の構成により、より正確にピッキング作業用カートが走行移動中であるか否かを判定することができる。
【0022】
更に、請求項3記載の構成により、ピッキング作業用カートの使用環境(床面状況等)に合わせて第一の上下限域と第二の上下限域を設定変更することで、床面の凸凹等に左右されることなく、正確に該ピッキング作業用カートが走行移動しているか否かを判定することができる。それにより、電力供給手段から周辺機器への電力の供給/停止を確実に行うことができる。
また、請求項4記載の構成により、作業者の作業ミスや作業忘れがなくなるので、ピッキング作業を再度やり直すことや無駄に作業時間が長くなるといったことが無くなり、その結果、電力供給手段(充電式電池)の電力を無駄に消耗するのを防止できる。
ピッキング作業用カートが移動中ではないと判定された時に、電力供給制御手段により表示器に電力が供給された後、次のピッキング作業の指示データが自動的に表示器に表示されるので、作業者は表示された指示データに基づいて間違えることなく作業を行うことができる。これにより、作業ミスがなくなり、既に完了しているピッキング作業を再度やり直すことがなくなり、その結果、電力供給手段の電力を無駄に消耗するのを防止できる。
【0023】
又、請求項5記載の構成により、紐付けされていない秤装置に物品が載置(ピッキングボックスへの投入)されると、その物品の載置はエラーと判断し、作業者に報知する。従って、作業者はエラーの報知があった時、物品を秤装置から取り出し、紐付けされている正規の秤装置に置き直すことで、ピッキング作業ミスを回避できる。
更に、請求項6記載の構成により、作業者は制御しなければならない負荷となっている周辺機器と電力供給手段の電力残量を相対的に知ることができ、負荷となっている周辺機器の履歴に基づいて電力供給を設定制御することで無駄な消費を防止することができる。
また、請求項7記載の構成により、周辺機器の電源スイッチの切れ忘れがあっても安心して充電することができる。しかも、複数のピッキング作業用カートへの充電を1個の電源口から同時にできるため、該ピッキング作業用カートの台数と対応する数の電源口を設ける必要がなく便利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係るピッキング作業用カートの実施の形態の一例を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係るピッキング作業用カートによるピッキングシステムの概要を示す構成図で、図中、Aは無線通信部を備えたピッキング作業用カートで、無線ルータBを介して上位管理装置Cと無線LAN接続され、指示データ及びピッキング作業に係るデータ(物品情報、店舗或いは客先データ等)を受信し、ピッキング作業完了後は指示データに基づいた実績データを前記上位管理装置Cに送信する。そして、上位管理装置Cは実績データに基づいて出荷伝票(納品書)等を印字し、その印字された出荷伝票等はピッキング集荷された物品と一緒に店舗(客先)へ配送される。又、前記上位管理装置Cはインターネット又はイントラネットを介して外部の管理装置Dと接続され、情報のやり取りができるようになっている。
【0025】
ピッキング作業用カートAは、図2に示すように、平面視略矩形状に形成したフレームの下側に車輪を取り付けた走行可能とした台車1に、棚2が多段(図面では2段)形成され、その上下2段の棚の上面に秤装置3が夫々2台ずつ並列配置され、更に上の棚2の一側に台車1を移動するための押手4が取り付けられている。
又、前記上の棚2には取付枠5が起立形成され、その取付枠5に第1表示器6、固定読取装置7、携帯型読取装置(ハンディスキャナ)8が配置され、上の棚の下側側面には印字手段9、及び第2表示器10が取り付けられており、下の棚2の上面には電力供給手段(充電式電池)11が載置固定されている。この電力供給手段11と前記秤装置3、第1表示器6、固定読取装置7、印字手段9、第2表示器10、及び携帯型読取装置(ハンディスキャナ)8の充電装置(図示省略)が電気的に接続され、機能するように構成されている。そして、前記秤装置3にコンテナ(仕分けケース)12を載せ、これにピッキングした物品を収容して計量し、ピッキング作業を行なう。
【0026】
ピッキング作業用カートAが備える4台の秤装置3は、ロードセルで構成された今日周知の計数秤で、該秤装置3に載せられた物品の総重量を計量し、その総重量と物品の単位重量とから当該物品の個数が算出され、前記第1表示器6、第2表示器10に表示されるようになっている。
【0027】
第1表示器6及び第2表示器10は液晶タッチパネルで構成され、第1表示器は押手4を押してピッキング作業用カートAを走行移動させながら見られるように配置されている。他方、第2表示器10はピッキング作業時にその作業内容を確認し易くするために表示面が台車1の側面と平行に配置され、且つ表示面は上向き傾斜されている。
又、第1表示器6は、操作パネルにタッチしないで数分間(例えば、5分間)放置されると、省エネモードで画面表示が切れ、画面にタッチすると元の表示に戻るようになっている。
【0028】
固定読取装置7は、ピッキングした物品を棚2に仮置きし、その物品を該読取装置7にかざすことで該物品に表示されたバーコードなどを読み取ることができるように配置されている。
携帯型読取装置(ハンディスキャナ)8は、印字手段9から発行したコンテナラベルに表示されているバーコードなどの情報の読み取り、カートに積載される4個のコンテナ12の情報(カートバーコード)の読み取り、及びピッキングした物品の表示されているバーコードなどの情報の読み取りを行うもので、手で持ち対象物に近付けて読み取り操作を行う。
【0029】
印字手段9は、ロール巻きされたラベル用紙と、そのラベル用紙に所定事項を印字する印字ヘッドと、ラベル用紙を印字ヘッドに供給する用紙搬送機構等を備えた今日周知のプリンタで、コンテナラベル(図10(a)参照)、保留ラベル(図10(b)参照)、作業履歴、電力供給履歴、電力供給制御履歴のデータ等を印字発行する。
【0030】
電力供給手段11は充電式電池で、電力供給制御手段を介して前記秤装置3を含め該ピッキング作業用カートAに搭載された周辺機器(第1,2表示器6、10、固定読取装置7、移動読取装置8、印字手段、充電装置等)に電力を供給する。そして、この電力供給手段11への充電はカート毎、或いは各カートの電力供給手段11を電気的に連結して充電することができる。
【0031】
上記秤装置3は常時計量信号を出力し、しかもその計量信号は該ピッキング作業用カートAが走行移動している時と、停止している(ピッキング作業中)時では前記計量信号の周期(振幅)が異なることを利用して、該ピッキング作業用カートAが搭載する周辺機器のうち、ピッキングエリア間を走行移動している時、電力の供給が停止していてもよい周辺機器への電力の供給を制御(停止)する。
【0032】
図3は上記ピッキング作業用カートAの電気的構成を示すブロック図である。ピッキング作業用カートAに搭載された各部を制御するCPU(中央処理装置)100にバス100’を介してROM110、RAM111、表示部[1](第1表示器6)112、表示部[2](第2表示器10)113、計量部[1](秤装置3)114〜計量部[4](秤装置3)117、スキャナ部[1](固定読取装置7)118、スキャナ部[2](携帯型読取装置8)119、入力部120、印字部(印字手段9)121、通信部122、スピーカ123、電力供給制御部124が接続されている。そして、前記電力供給制御部124には電力供給手段(充電式電池)11が接続され、それにより電力供給手段11から前記各部への電力の供給が制御されている。
【0033】
CPU100は、ROM110の制御プログラムに従って、RAM111のワークエリアを用いて処理を行なうことにより各部を制御する。
上記ROM110には、CPU100が実行する、予め決められた制御プログラムが記憶されている。
上記RAM111は複数の記憶領域を有し、各ファイルから読み出されたデータが一時的に格納される。RAM111に記憶するデータとしては、上位管理装置Cから受信する物品データ(図4参照)、店舗(客先)データ(図5参照)、作業指示データ(図6参照)、電力供給制御設定データ(図7参照)、ピッキング作業用カートの移動/停止を判定するための基準となる秤装置3の計量信号(周期)の上下限域設定データ(図8参照)等が挙げられる。
上記表示部[1]112,表示部[2]113は、液晶タッチパネルで構成され、上位管理装置Cから無線LAN接続によって受信した指示データ及びピッキング作業に係るデータ(物品情報、店舗或いは客先データ等)、更にピッキング作業の状態、エラーメッセージ等を表示すると共に、表示画面にタッチすることで表示内容が切り替わり、データの入力、選択等が可能となる。
【0034】
上記計量部[1]114〜計量部[4]117は、ロードセルを備えた計数秤で、コンテナに投入される物品の総重量を計量し、その計量した重量値と当該物品の単位重量とから当該物品の個数が算出される。
【0035】
上記スキャナ部[1](固定読取装置7)118及びスキャナ部[2](携帯型読取装置8)119は、物品に表示されたバーコードや、印字部(印字手段9)121から発行されるコンテナラベルに印刷されているコード情報、及び計量部に貼付されている計量部識別情報(コード情報)等を読み取るのに使用される。尚、スキャナ部[1]、[2]は読み取り作業の内容に応じて使い分ける。
【0036】
入力部120は、前記表示部[1]、[2]のタッチパネルの機能切り替えで表示されるテンキーや各種の操作ボタン等が該当する。
印字部121は、ロール巻きされたラベル用紙と、ヘッド部材と、前記ラベル用紙を搬送する給紙機構等で構成された今日周知のラベルプリンタで、本実施例ではコンテナラベル、保留ラベル等を印字発行する。
【0037】
通信部122は、無線LANによって上位管理装置Cとの間でデータの送受信を行うものである。尚、通信部は、汎用の近距離無線通信規格(例えばブルートゥース等)に適合した無線通信手段や、赤外線通信等でも良く、その通信方式は問わない。
スピーカ123は、作業結果が作業指示データと異なるエラーの場合、作業者に警報音を発して知らしめるもので、前記表示部[1](第1表示器6)112に内蔵されている。
電力供給制御部124は、ピッキング作業用カートに搭載されている周辺機器(第1,2表示器6、10、固定読取装置7、移動読取装置8、印字手段、充電装置等)への電力供給を制御するもので、秤装置の計量信号に基づいて該ピッキング作業用カートが走行移動中と判定された時、電力供給制御の対象となる周辺機器を電力供給制御設定データに基づいて制御する。
【0038】
次に、本発明に係るピッキング作業用カートによるピッキング作業及び該ピッキング作業用カートが搭載する周辺機器への電力の供給/停止の制御の概要を図11及び図12のフローチャート図に基づいて説明する。
S300:電源が入っている(ON)か否か(OFF)を判定。電源が入っている場合(
YES)はS301へ進み、電源が入っていない場合(NO)はS305へ進
み充電モードとなる。そして、同時に電源コンセントに接続されているか否か
の判定も行なっている。
S301:RAM111に記憶されている“電力供給制御設定データ”(図7参照)を読み
込む。
S302:RAM111に記憶されている“上下限域設定データ”(図8参照)を読み込む
。
S303:各ピッキング作業用カートに搭載されている電力供給手段11が連結されてい
るか否かを判定。連結されている場合(NO)はS304へ進み、連結されて
いない場合(YES)はS306へ進む。
S304:ピッキング作業用カートに搭載されている全ての周辺機器への電力供給を停止
する。(計量部[1]〜計量部[4]の何れかで電力供給の制御をすると設定
された計量部を含む全て)。
S305:電力供給手段11への充電を行なう。
S306:上位管理装置Cからの作業指示データ(図6参照)を受信するか否かの判定。
表示部[1](第1表示器6)の画面に配置されている「開始」ボタンを押す
(NO)とS307へ分岐し、既に作業指示データを受信済みである場合(Y ES)はS309へ進む。
【0039】
S307:上位管理装置Cより作業指示データを受信し、S308へ進む。
S308:作業指示データをRAM111へ記憶保存しS309へ進む。
S309:受信記憶した作業指示データで作業を行なう前に、指示データとピッキング作
業用カートに搭載されている計量部[1](秤装置3)114〜計量部[4](
秤装置3)117との紐付けが行なわれているか否かの判定を行なう。作業指示
データに秤識別情報が記憶されているかをみて判定を行なう。“0”が設定さ
れている場合(NO)は未設定であるのでS310へ進み、“0”以外のもの
が設定されている場合(YES)は既に設定済みであるのでS311へ進む。
S310:指示データと計量部の紐付け作業を行う。「作業開始」のボタンを押すと該ピ
ッキング作業用カートに搭載されている計量部の数分のコンテナラベル13
(図10(a)参照)が印字部(印字手段9)121から発行される。このコン
テナラベル13には納品先番号及び納品情報をコード化したコード情報が印刷
されており、このコード情報と計量部[1]〜[4]に貼付されている計量部
識別ラベル14に表示の識別情報(コード情報)を順次対応付けて、スキャナ
部[2](携帯型読取装置8)119で読み込ませることにより紐付け(対応付
け)を行うことができる。具体的には指示データの配送先(店舗)毎に秤識別
情報が割り付けられる。紐付けが完了するとS311へ進む。
【0040】
S311:RAM111に記憶された“上下限域設定データ”に基づいて、計量部[1]〜
[4]からの計量信号(周期)が第1の上下限域と第2の上下限域の両方の範
囲内に跨る周期であるか否かを判定する(図9参照)。第1の上下限域と第2
の上下限域の両方の範囲内に跨る周期でない場合(NO)(計量中)はS32
4へ分岐し、両方の範囲内に跨る周期である場合(YES)はS312に進む
。
尚、RAM111に記憶される“上下限域設定データ”は、ピッキング作業用カ
ートが操向移動する床面の状況等に応じて設定変更することができる。
S312:RAM111に記憶された“上下限域設定データ”に基づいて、計量部[1]〜
[4]からの計量信号(周期)が第1の上限域と第1の下限域の範囲内に入る
周期であるか否かを判定する(図9参照)。第1の上限域と第1の下限域の範
囲内に入る周期でない場合(NO)(移動中)はS314へ分岐し、範囲内に
入る周期である場合(YES)はS313に進む。
S313:電力供給を停止している場合は、周辺機器への電力供給を行い、仮に供給中で
ある場合には現在の電力供給を維持継続しS324へ進む。
S314:ピッキング作業用カートが「移動中」と判定されたので、今現在指示データに
基づいて行なっている作業が完了しているか否かの判定を行なう。
作業が完了している指示データには完了フラグ“1”が設定されており、この
場合(YES)はS317へ分岐する。指示データの完了フラグに“0”が設
定されている場合(NO)は作業完了ボタンが押されていない或いは自動判定
がされていないので、判定を行なうためにS315へ進む。
【0041】
S315:各計量部[1]〜[4]と紐付けされた指示データの指示数と各計量部[1]
〜[4]が行なった計数値に差分がないかを判定(作業完了判定手段)し、差
分がある場合(NO)はS320へ分岐し、差分がない場合(YES)はS3
16へ進む。
S316:対象の作業指示データに完了フラグ“0”を設定記憶させ、S317へ進む。
S317:RAM111に記憶されている作業指示データで、次に作業者へ指示すべき作業
指示データがあるか否かを確認し、表示すべき指示データがある場合は表示部
に次の作業場所を含む作業指示を表示する(報知手段)。
S318:走行移動中の判定により、RAM111に記憶された電力供給制御設定データに
基づいて周辺機器への電力供給を設定された時間(秒数)後に停止させ、S3
19へ進む。
S319:RAM111に記憶された電力供給制御設定データに基づいて周辺機器への電力
供給を制御した履歴(制御した機器及び電力供給していた間の電力供給量など
)をRAM111へ保存記憶しS309へ戻る。
S320:計数値が少ない計量部とその計数値と指示データ等、更に注意喚起させるアラ
ームを表示部へ表示(エラー報知)し、S321へ進む。
表示部の画面の色や文字の大きさ、太さ、色、注意喚起させる音(スピーカ12
3)等により作業者へ注意を促す(報知手段)。
S321:現在不足している計量部の作業指示データと作業を行なった計数値とを保留に
するか否かの選択を行なう(選択手段)。「保留にする」が選択された場合(
NO)はS322へ分岐し、「保留にしない」が選択された場合(YES)は
S324へ進む。
【0042】
S322:現在不足している計量部の作業指示データと作業を行なった計数値をRAM1
11に記憶されている指示データへ保留フラグと共に記憶させ、S323へ進む
(指示保留手段)。
S323:後で作業を行なうときの為に不足している計量部が行った作業場所及び指示デ
ータと計数値などを保留ラベル15(図10(b)参照)(或いはリスト)へ
印字出力し、S317へ進む(指示保留印字手段)。
S324:計量部に物品が載置されたか否かの判定を行い、載置された場合(YES)は
S325へ進み、物品が載置されていない場合(NO)は作業者により物品が
載置されるのを待機するためS324へ戻り物品載置を待つ。
S325:現在指示されている物品の単位重量と計量部に載置された物品の計量値とに基
づき計数し、表示部へ表示しS326へ進む。
S326:計量が完了したか否かの判定を行なう。作業指示データから計数値を減算し、
差分がない場合に完了となるが、計数値が不足していたり、計数値が多い場合
は完了することができない為、S324へ戻る。作業完了には、作業者が「完
了」ボタンを押す場合と、指示データと計数値に差分が無い時に自動的に完了
とみなす二種類があるが、本実施例では作業者が手動で「完了」ボタンを押す
方式を採用している。「完了」ボタンが押されるとS327へ進む。
【0043】
S327:作業指示データに基づいて計量が完了した指示データへ実績数を記憶させS3
28へ進む。
S328:電力供給手段(充電式電池)の電力残量を取得しS329へ進む。
S329:該ピッキング作業用カートを稼動させる為に最低限必要な電力量、或いは予め
設定された電力不足のアラートを表示させる為に設定された判定用電力量を下
回っていないかの判定を行い、下回っていると判定された場合(NO)はS3
30へ分岐し、下回っていない場合(YES)はS331へ進む。
S330:該ピッキング作業用カートに搭載された電力供給手段に電力不足が発生したこ
とを報知し、S331へ進む。
S331:印刷を指示するボタンが押されたか否かを判定する。
印刷ボタンが押された場合(YES)はS332へ進み、押されていない場合
(NO)はS303へ戻る。
【0044】
S332:作業履歴(指示データに基づく作業)の印刷か或いは電力供給制御の履歴の印
刷を行なうかの選択を行なう。作業履歴を印刷する場合(YES)はS333
へ進み、電力供給制御履歴の印刷の場合(NO)はS335へ分岐する。
S333:RAM111に記憶された指示データを読み込み、秤識別情報(計量部番号)が
設定されているデータを対象にRAM111へ対象データのみを抽出し、一時記
憶する。RAM111への抽出が終わると、S334へ進む。
S334:RAM111に一時記憶されたデータに基づいて、ラベル或いはリストへ印字を
行なう。
S335:電力供給履歴のデータをRAM111より読み込み一時記憶し、S336へ進む
。
S336:一時記憶した電力供給履歴のデータをラベル或いはリストへ印字し、S303
へ戻る。
【0045】
本発明のピッキング作業用カートは、上記したように上位管理装置から受信した指示データに基づいて、作業者へ物品のピッキング(採集或いは配布)を指示する指示データ等を表示器に表示し、その表示器に表示された物品のピッキング指示に基づいて採集或いは配布する物品に付されたコード情報を読取手段で読み取り、作業者はその物品を指示数分ピッキングし、秤装置に載置し、その載置された物品の計量値と物品の単位重量とに基づいて前記秤装置が計数し、現在載置された物品が何個載置されたかを前記表示器へ表示し、作業者はこの計数値に基づいてピッキング数(注文された出荷数)を確定させることができる。そして、その確定されたピッキング数(注文された出荷数)に基づき印字手段より明細ラベル或いはリストを印字し、コンテナ(仕分けケース)へ貼付或いは投入する。
ピッキング作業用カートを移動させながら指示データに基づいて物品を採集或いは配布作業ができるように搭載する各周辺機器に常に電力を供給し、何時でも各周辺機器を使用可能な状態にし、移動して連続した物品のピッキング作業ができるように電力供給手段(充電式電池)を搭載している。
【0046】
そして、前記計量値に基づいて計数する秤装置に、該ピッキング作業用カートが走行移動しているか否かを判定する為の信号発生手段の役割を持たせ、前記秤装置からの計量信号に基づいてピッキング作業用カートが走行移動しているか否かの判定を行い、走行移動中は使用していない周辺機器の電力供給を停止し、走行移動中でないと判定した時に電力供給が停止されている周辺機器への電力を供給するように制御を行なうようにしたので、搭載されている電力供給手段(充電式電池)の電力を無駄に消費するのを防止でき、それにより、走行移動中も全ての周辺機器に電力を供給していた従来のピッキング作業用カートに比べて長い時間ピッキング作業が可能となる。
更に、ピッキング作業用カートの走行移動/停止の判定を、該ピッキング作業用カートに搭載されている複数の秤装置の計量信号に基づいて判定することでより正確に判定することができ、電力の無駄な消費を防止できる。
又、ピッキング作業用カートの走行移動/停止を判定する基になる秤装置の計量信号(周期)は、該ピッキング作業用カートが走行移動する床面の状況(平坦度、凹凸等)によって変化する為、その使用環境に応じて前記計量信号の周期を識別する判定基準を上下限域設定手段によって変更することで、使用環境に左右されることなく適確に判定でき、電力供給を適確に制御することができる。
【0047】
本発明のピッキング作業用カートは図示した実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で変更可能である。
(1)本実施の形態では、ピッキング作業用カートが走行移動していないと判定した時に、作業者へ指示する次の指示データを自動的に呼び出すようにしているが、表示器に選択画面を表示させ、作業者に次に表示したい指示データを選択させて呼び出す方法を用いてもよい。これにより、作業者の近くにある物品を優先して呼び出してピッキング作業を行なうことができる。
(2)本実施の形態では、ピッキング作業用カートが走行移動していると判定した時に、使用していない全ての周辺機器への電力供給を停止しているが、複数備えられた周辺機器の場合、負荷が大きい周辺機器の電力供給を停止し、負荷の少ない周辺機器は電力供給を停止しないようにしてもよい。
(3)本実施の形態のように、ピッキング作業用カートの正面(ピッキング作業用カートを押す作業者と正対する位置)と側面に表示器を備えている場合には、正面の表示器への電力は常に供給し、作業用で使用されるカート側面に備えられた表示器への電力供給は、走行移動しているか否かの判定に基づいて電力供給の制御を行うようにしてもよい。これにより、カートの移動中も次の作業場所及び次に作業しなければならない指示データを確認することができるので、作業効率がよくなる。
(4)本実施の形態では、複数(4台)備えた計量部(秤装置)への電力は常に供給されているようにしているが、例えば、搭載している計量部の半分(4台中2台)は電力供給制御を行い、半分(4台中2台)は常に電力を供給維持し、該ピッキング作業用カートが走行移動しているかを判定する対象の秤装置としてもよく、制御する台数や制御対象の秤装置の位置関係は適宜選択するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係るピッキング作業用カートのシステム構成図。
【図2】本発明に係るピッキング作業用カートの実施の一例を示す外観図。
【図3】ピッキング作業用カートの電気的構成を示すブロック図。
【図4】物品データの概略を示す説明図。
【図5】店舗(客先)データの概略を示す説明図。
【図6】指示データの概略を示す説明図。
【図7】電力供給制御設定データの概略を示す説明図。
【図8】秤装置の計量信号を判定する為の上下限域設定データの概略を示す説明図。
【図9】秤装置の計量信号(周期)を用いたピッキング作業用カートの走行移動/停止の判定概念図。
【図10】印字手段が発行するラベルの一例を示し、(a)はコンテナラベル、(b)は保留ラベル。
【図11】ピッキング作業用カートによるピッキング作業及び搭載する周辺機器への電力の供給制御の流れを示すフローチャート図(前半)。
【図12】ピッキング作業用カートによるピッキング作業及び搭載する周辺機器への電力の供給制御の流れを示すフローチャート図(後半)。
【符号の説明】
【0049】
A…ピッキング作業用カート B…無線ルータ
C…上位管理装置 D…外部の管理装置
1…台車 3…秤装置
6…表示器 7…読取装置(スキャナ部)
8…読取装置(スキャナ部) 9…印字手段(ラベルプリンタ)
10…表示器 11…電力供給手段(充電式電池)
12…コンテナ 13…コンテナラベル
14…計量部識別ラベル 15…保留ラベル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピッキング対象の物品をピッキングし走行移動する台車に、前記物品の物品情報と前記ピッキングを指示する指示データを管理装置から受信し、該受信した指示データを表示する表示器と、前記表示された指示データに基づき物品を計量する秤装置、及び前記表示器を含む周辺機器に電力を供給する電力供給手段を搭載したピッキング作業用カートにおいて、
前記秤装置からの計量信号に基づいて、該ピッキング作業用カートが走行移動しているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に基づいて、該ピッキング作業用カートが走行移動していると判定した時に前記電力供給手段から前記周辺機器への電力の供給を停止し、該ピッキング作業用カートが走行移動していないと判定した時に前記電力供給手段が前記周辺機器に電力を供給する電力供給制御手段と、
を備えたことを特徴とするピッキング作業用カート。
【請求項2】
前記秤装置が複数台備えられ、その複数の秤装置からの計量信号に基づいて前記判定手段が、該ピッキング作業用カートが走行移動しているか否かを判定することを特徴とする請求項1記載のピッキング作業用カート。
【請求項3】
前記秤装置からの計量信号の周期を識別する第1の上下限域と第2の上下限域とを設定する上下限域設定手段を備え、
前記判定手段が、前記秤装置からの計量信号の周期が前記第1の上下限域と前記第2の上下限域の両方の範囲内に跨る周期である場合に前記ピッキング作業用カートが走行移動していると判定し、前記第1の上限域と第1の下限域との範囲内に収まる周期である場合に前記ピッキング作業用カートが走行移動していないと判定する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載のピッキング作業用カート。
【請求項4】
前記判定手段の判定でピッキング作業用カートが走行移動していると判定した時に、前記電力供給制御手段で電力の供給を停止する前に、前記秤装置による物品の計量値に基づく計数値と、前記指示データの指示する指示数とが一致しているか否かを判定する作業完了判定手段と、
前記作業完了判定手段により作業が完了していないと判定した場合に、前記指示データに基づく計数値が不足している旨の注意喚起を表示器へ表示し、作業が完了していると判定した場合には、次の作業場所を含む指示データを表示器へ表示する報知手段と、
前記報知手段で報知された時に、現在計数値が不足している指示データを保留にするか否かを選択する選択手段と、
前記選択手段で「保留しない」を選択した場合は、前記電力供給制御手段の電力供給を行ない前記計数値が不足している指示データを表示器へ表示し、「保留する」を選択した場合に、前記計数値が不足している指示データと呼出コードとを記憶する指示保留手段と、
前記記憶された保留の指示データをリスト或いはラベルへ印字する指示保留印字手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載のピッキング作業用カート。
【請求項5】
前記指示データが識別情報毎の指示データであって、その指示データと、前記秤装置とを対応付ける紐付け手段と、
前記表示器に表示された次のピッキング指示データと、前記秤装置からの計量信号とに基づいて、物品が載置された秤装置が前記紐付け手段により対応付けられた秤装置でない場合に、前記表示器にエラーを報知する報知手段と、
を備えたことを特徴とする請求項4記載のピッキング作業用カート。
【請求項6】
前記表示器に表示された指示データに基づき指示された物品のコード情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段によって読み取られた物品のコード情報とその物品の計量値に基づく秤装置からの係数を実績として記憶する実績記憶手段と、
前記記憶された実績を印字する印字手段と、
前記電力供給制御手段で前記表示器と印字手段と前記読取手段の夫々に電力供給するか否かを設定する電力供給制御設定手段と、
前記電力供給制御手段が、前記電力供給制御設定手段に基づいて、前記電力供給手段から前記周辺機器への電力供給の制御を行い、前記電力供給制御した周辺機器毎に制御履歴とその電力供給量とを記憶する制御履歴記憶手段と、
前記制御履歴記憶手段で記憶された前記周辺機器毎の制御履歴とその電力供給量と前記電力供給手段の電力残量とを前記印字手段により印字する制御履歴印字手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載のピッキング作業用カート。
【請求項7】
前記電力供給手段が複数連鎖結合或いは分離可能な連結手段を備え、前記連結手段による連結時に前記周辺機器への電力供給を全て停止し、一つの電源口への接続により連結した全ての電力供給手段が充電されることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項記載のピッキング作業用カート。
【請求項1】
ピッキング対象の物品をピッキングし走行移動する台車に、前記物品の物品情報と前記ピッキングを指示する指示データを管理装置から受信し、該受信した指示データを表示する表示器と、前記表示された指示データに基づき物品を計量する秤装置、及び前記表示器を含む周辺機器に電力を供給する電力供給手段を搭載したピッキング作業用カートにおいて、
前記秤装置からの計量信号に基づいて、該ピッキング作業用カートが走行移動しているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に基づいて、該ピッキング作業用カートが走行移動していると判定した時に前記電力供給手段から前記周辺機器への電力の供給を停止し、該ピッキング作業用カートが走行移動していないと判定した時に前記電力供給手段が前記周辺機器に電力を供給する電力供給制御手段と、
を備えたことを特徴とするピッキング作業用カート。
【請求項2】
前記秤装置が複数台備えられ、その複数の秤装置からの計量信号に基づいて前記判定手段が、該ピッキング作業用カートが走行移動しているか否かを判定することを特徴とする請求項1記載のピッキング作業用カート。
【請求項3】
前記秤装置からの計量信号の周期を識別する第1の上下限域と第2の上下限域とを設定する上下限域設定手段を備え、
前記判定手段が、前記秤装置からの計量信号の周期が前記第1の上下限域と前記第2の上下限域の両方の範囲内に跨る周期である場合に前記ピッキング作業用カートが走行移動していると判定し、前記第1の上限域と第1の下限域との範囲内に収まる周期である場合に前記ピッキング作業用カートが走行移動していないと判定する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載のピッキング作業用カート。
【請求項4】
前記判定手段の判定でピッキング作業用カートが走行移動していると判定した時に、前記電力供給制御手段で電力の供給を停止する前に、前記秤装置による物品の計量値に基づく計数値と、前記指示データの指示する指示数とが一致しているか否かを判定する作業完了判定手段と、
前記作業完了判定手段により作業が完了していないと判定した場合に、前記指示データに基づく計数値が不足している旨の注意喚起を表示器へ表示し、作業が完了していると判定した場合には、次の作業場所を含む指示データを表示器へ表示する報知手段と、
前記報知手段で報知された時に、現在計数値が不足している指示データを保留にするか否かを選択する選択手段と、
前記選択手段で「保留しない」を選択した場合は、前記電力供給制御手段の電力供給を行ない前記計数値が不足している指示データを表示器へ表示し、「保留する」を選択した場合に、前記計数値が不足している指示データと呼出コードとを記憶する指示保留手段と、
前記記憶された保留の指示データをリスト或いはラベルへ印字する指示保留印字手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載のピッキング作業用カート。
【請求項5】
前記指示データが識別情報毎の指示データであって、その指示データと、前記秤装置とを対応付ける紐付け手段と、
前記表示器に表示された次のピッキング指示データと、前記秤装置からの計量信号とに基づいて、物品が載置された秤装置が前記紐付け手段により対応付けられた秤装置でない場合に、前記表示器にエラーを報知する報知手段と、
を備えたことを特徴とする請求項4記載のピッキング作業用カート。
【請求項6】
前記表示器に表示された指示データに基づき指示された物品のコード情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段によって読み取られた物品のコード情報とその物品の計量値に基づく秤装置からの係数を実績として記憶する実績記憶手段と、
前記記憶された実績を印字する印字手段と、
前記電力供給制御手段で前記表示器と印字手段と前記読取手段の夫々に電力供給するか否かを設定する電力供給制御設定手段と、
前記電力供給制御手段が、前記電力供給制御設定手段に基づいて、前記電力供給手段から前記周辺機器への電力供給の制御を行い、前記電力供給制御した周辺機器毎に制御履歴とその電力供給量とを記憶する制御履歴記憶手段と、
前記制御履歴記憶手段で記憶された前記周辺機器毎の制御履歴とその電力供給量と前記電力供給手段の電力残量とを前記印字手段により印字する制御履歴印字手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載のピッキング作業用カート。
【請求項7】
前記電力供給手段が複数連鎖結合或いは分離可能な連結手段を備え、前記連結手段による連結時に前記周辺機器への電力供給を全て停止し、一つの電源口への接続により連結した全ての電力供給手段が充電されることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項記載のピッキング作業用カート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−256044(P2009−256044A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−106537(P2008−106537)
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【出願人】(000145068)株式会社寺岡精工 (317)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【出願人】(000145068)株式会社寺岡精工 (317)
【Fターム(参考)】
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