説明

ピロロトリアジン化合物の製造法

本発明は、式(I):
【化1】


のピロロトリアジン化合物、およびそれらの医薬的に許容し得る塩を製造するための製法を提供する。式(I)の化合物は、増殖因子受容体(例えば、VEGFR−2およびFGFR−1)のチロシンキナーゼ活性を抑制し、従ってそれらは抗癌剤として有用である。式(I)の化合物はまた、増殖因子受容体を通じて作動するシグナル伝達経路に関係する他の疾患の処置のためにも有用である。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本発明は、増殖因子受容体(例えば、VEGFR−2およびFGFR−1)のチロシンキナーゼ活性を抑制する、ピロロトリアジン化合物の製造のための新規な改善された製造法に関するものであって、該方法によってそれらは抗癌剤として有用である。本発明の製造法によって製造される化合物はまた、癌以外の疾患(これは、増殖因子および抗血管新生受容体(例えば、VEGFR−2)を通じて作動するシグナル伝達経路に関係する)の処置において有用である。
【0002】
(背景技術)
正常な血管新生は、様々なプロセス(例えば、胚の発生、創傷治癒、肥満症、および雌性の生殖機能のいくつかの構成成分を含む)において重要な役割を果たしている。望まなかったりまたは病理学的である血管新生は、症状(例えば、糖尿病性網膜症、乾癬、関節リウマチ、アテローム、カポジ肉腫および血管腫、喘息、癌および転移性疾患を含む)に関係する(Fanらによる、1995, Trend Pharmacol. Sci. 16: 57-66;Folkmanによる、1995, Nature Medicine 1: 27-31)。血管浸透性の変化は、正常なおよび病態生理学的なプロセスの両方において役割を果たしていると考えられる(Cullinan-Boveらによる、1993,, Endocrinology 133: 829-837;Sengerらによる、1993 Cancer and Metastasis Reviews, 12: 303-324)。
【0003】
受容体チロシンキナーゼ(RTKs)は、細胞の原形質膜を通過する生化学的なシグナルの伝達において重要である。これらの膜貫通分子は特徴的に、原形質膜中のセグメントによって細胞内チロシンキナーゼドメインと結合した、細胞外リガンド結合性ドメインから構成される。リガンドと受容体との結合は、該受容体関連性チロシンキナーゼ活性の刺激を生じ、これは、該受容体および他の細胞内タンパク質の両方におけるチロシン残基のリン酸化を生じ、その結果様々な細胞応答を生じる。今日まで、アミノ酸配列の相同性によって定義される少なくとも9個の別個のRTKサブファミリーが同定されている。これらのサブファミリーの1つは現在では、fms−様チロシンキナーゼ受容体、FltまたはFlt1(VEGFR−1)、キナーゼインサートドメイン含有受容体、KDR(このものはまた、Flk−1またはVEGFR−2とも呼ばれる)、および別のfms−様チロシンキナーゼ受容体、Flt4(VEGFR−3)から構成される。これらの関連するRTKsの内の2つは、高い親和力で血管内皮増殖因子(VEGF)と結合することが知られる(De Vriesらによる、1992, Science 255: 989-991;Termanらによる、1992, Biochem. Biophys. Res. Comm. 1992, 187: 1579-1586)。VEGFと、異種細胞中で発現するこれらの受容体との結合は、細胞タンパク質のチロシンリン酸化状態およびカルシウム排出量に関係する。VEGF、並びに酸性および塩基性の線維芽細胞成長因子(aFGFおよびbFGF)は、インビトロの内皮細胞増殖促進活性において存在することが同定されている。aFGFおよびbFGFは該受容体チロシンキナーゼ(FGFR−1と呼ばれる)と結合し、そしてそれを活性化すると記載する。その受容体の制限された発現によって、VEGFの増殖因子活性は、該FGFsの因子と対比して、内皮細胞に対してかなり特異的である。最近の証拠は、VEGFが正常なおよび病態生理学的な血管新生の両方の重要な刺激因子であると示している(Jakemanらによる、1993, Endocrinology, 133: 848-859;Kolchらによる、1995, Breast Cancer Research and Treatment, 36: 139-155)and vascular permeability(Connollyらによる、1989, J. Biol. Chem. 264: 20017-20024)。
【0004】
成体の場合には、内皮細胞は、組織修復(例えば、創傷治癒)、雌性の生殖周期および脂肪生成の場合を除いて、低い増殖性指標を有する。しかしながら、病理学的な状態(例えば、癌、遺伝性血管疾患、子宮内膜症、乾癬、関節炎、網膜症およびアテローム硬化症)において、内皮細胞は能動的に増殖しそして血管中で組織化される。増殖因子(例えば、VEGFおよびbFGF)による血管形成刺激に曝露後に、内皮細胞は細胞周期に再び入り、増殖し、移動しそして三次元ネットワーク中で組織化される。現在、腫瘍が拡張しそして転移する可能性は、この血管ネットワークの形成に依存するものと広く認められている。
【0005】
VEGFまたはbFGFとそれらの対応する受容体との結合により、チロシン残基における二量化または自己リン酸化、および酵素学的な活性化を生じる。これらのホスホチロシン残基は、特定の下流シグナル伝達分子についての「ドッキング」として機能し、そして酵素学的な活性化はEC活性化を生じる。これらの経路の破壊は、内皮細胞の活性化を抑制する。該FGFR−1経路の破壊はまた、このキナーゼは増殖性内皮細胞に加えて、多数の腫瘍タイプ中で活性化するという理由で、腫瘍細胞の増殖をも影響を及ぼす。最後に、最近の証拠はまた、VEGFシグナル伝達の破壊は内皮細胞の移動、血管ネットワーク形成における重要なプロセスを抑制することを示唆している。
【0006】
腫瘍関連の脈管構造中でのVEGFR−2およびFGFR−1の過剰発現および活性化は、腫瘍血管新生におけるこれらの分子の役割を示唆している。血管新生および続く腫瘍の増殖は、VEGFリガンドおよびVEGF受容体に対する抗体によって、および切断された(膜貫通配列および細胞質キナーゼドメインを含まない)可溶性VEGFR−2受容体によって、抑制される。該優勢な突然変異は、VEGFR−2またはFGFR−1のいずれか中に導入され、このことにより、酵素学的な活性の低下を生じ、そしてこれにより、インビボでの腫瘍の増殖が抑制される。これらの受容体またはそれらの同族リガンドを標的とするアンチセンスはまた、血管新生および腫瘍の増殖を抑制する。最近の証拠は、腫瘍増殖におけるこれら受容体の時間的な要件を一部解明した。VEGFシグナル伝達は初期の腫瘍増殖において重要であり、そしてbFGFは腫瘍の拡大に関係する後期においてより重要であると考えられる。
【0007】
本発明の製造法から得ることができる化合物としては、例えば優先権基礎出願中の化合物、並びにWO00/71129中に開示された化合物(これらは、本明細書の一部を構成する)を含む。
【0008】
(発明の概要)
本発明は、ピロロトリアジン化合物の製造のために製造法を提供する。本発明の製造法は、該ピロロトリアジン環と直結したヒドロキシル基を含有するピロロトリアジン誘導体の有効な、簡便で且つ改善された製造法を提供する。
【0009】
1実施態様において、本発明の製造法は、クロロ置換ピロロトリアジンを酸化物アニオンと反応させてエーテルを得て;該エステルをベンジルアルコールに変換し;該アルコールを酸化的に転移させて、フェノールを得る工程を含む。該ヒドロキシル化合物は引き続いて、求電子剤を用いてアルキル化してフェノキシ置換化合物を得て、このものを加水分解してアミドを得る。このものを、最初にクロロイミデートを形成させて、そしてこのものを極性溶媒中、塩基の存在下でアルキル化剤(例えば、ヒドロキシフルオロインドール)と反応させることによって最終化合物に変換して、該最終化合物を得る。
【0010】
第2の実施態様において、本発明は、大スケール製造を許容し得る新規で且つ改善された製造法を用いて、該化合物のフルオロインドール部分を製造する製造法を提供し、そして高品質のフルオロインドール誘導体を提供する。加えて、本明細書中に記載する製造法を用いて製造されるフルオロインドール誘導体は安定な固体であって、容易に単離することができ、そして長期間の安定性を有し、別の方法を用いて製造されるフルオロインドール誘導体よりも高品質の製品を与える。
【0011】
(発明の詳細な記載)
本発明は、式:
【化1】

のピロロトリアジン化合物、若しくはそれらのエナンチオマー、ジアステレオマー、およびそれらの医薬的に許容し得る塩、プロドラッグ、および溶媒和物(これらは、増殖因子受容体(例えば、VEGFR−2)のチロシンキナーゼ活性を抑制する)の製造法を提供する。式Iおよび本明細書中、上記の記号は以下の通りである。
XおよびYは独立して、O、OCO、S、SO、SO2、CO、CO2、NR10、NR11CO、NR12CONR13、NR14CO2、NR15SO2、R16SO2NR17、SO2NR18、CONR19、ハロゲン、ニトロ、シアノから選ばれるか、あるいは
XまたはYは存在せず;
1は、水素であり;
Xがハロ、ニトロまたはシアノである場合には、R2は存在せず、そしてYがハロ、ニトロまたはシアノである場合には、R3は存在しないという条件で、
2およびR3は独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロシクロ、置換ヘテロシクロ、アラルキル、置換アラルキル、ヘテロアリール、置換へテロアリール、ヘテロシクロアルキル、または置換ヘテロシクロアルキルであり;
6は、Hであり;
7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18およびR19は独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロ、置換ヘテロシクロからなる群から選ばれ;
42は、
【化2】

であり、ここで、
(R43)nにおいて、nは0、1または2であり、各R43は独立して、水素、フッ素、塩素およびメチルからなる群から選ばれ;
44は、メチルまたは水素であり;
但し、
a.XがSO、SO2、NR13CO2、またはNR14SO2である場合には、R2は水素ではあり得ず;そして、
b.YがSO、SO2、NR13CO2、またはNR14SO2である場合には、R3は水素ではあり得ない。
【0012】
1実施態様において、本発明の製造法は、
a)式:
【化3】

(式中、Reは低級アルキルまたはアリールであり、そしてX1はハロゲンである)
の化合物を、フェノキシドまたはアルコキシドを用いる処理によって、式:
【化4】

(式中、Rdは低級アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールである)
の化合物1に変換し;
b)該化合物1をアルキル化して、式:
【化5】

の化合物2を得て;
c)該化合物2をルイス酸の存在下で過酸化物を用いて処理して、式:
【化6】

の化合物3を得て;
d)該化合物3中のフェノール基をアルキル化して、式:
【化7】

(式中、R2はベンジルまたは置換ベンジルである)
の化合物4を得て;
e)該化合物4を加水分解して、式:
【化8】

(式中、R2はベンジルまたは置換ベンジルである)
の化合物5を得て;そして、
f)最初に化合物5をクロロイミデートに変換し、引き続いて該クロロイミデートをアルキル化して、R2がベンジルである化合物6を得て、そして、触媒の存在下で水素供与体を用いる処理により該フェノールを脱保護することによって、R2が水素である化合物6を得ることによって、該化合物5を化合物6:
【化9】

に変換する、
工程を含む。
【0013】
本発明の第2の実施態様において、式:
【化10】

(式中、X1はハロゲンである)
の出発化合物を求核体と反応させて、式:
【化11】

の化合物8を得て;
このものを、低温でアルキル化剤を用いて処理して、式:
【化12】

の化合物8を得る。
【0014】
次いで、化合物9をルイス酸の存在下で過酸化物を用いて処理して、式:
【化13】

の化合物10を得る。
【0015】
本発明の更なる実施態様において、該フルオロインドール種は、以下の通り製造することができる;
a)式:
【化14】

のフッ素化化合物を求核体と反応させて、式:
【化15】

の化合物11を得て;
b)化合物11をアルコキシアニオンと反応させて、式:
【化16】

(式中、Rは保護基である)
の化合物12を得て;
c)該アルコキシ基を脱保護試薬を用いる処理によって、式:
【化17】

の化合物13を得て;そして、
d)化合物13を還元条件下で環化して、式:
【化18】

の化合物14を得る。
【0016】
好ましい実施態様において、反応式1の工程1は、求核体(例えば、フェノキシドまたはアルコキシドのアニオン)を用いる処理による、該化合物のエーテルへの変換を含む。該アルコキシドアニオンは、メトキシドまたはエトキシドのアニオンであることが好ましい。
【0017】
反応式1の工程2における好ましいアルキル化剤としては、低温(約−25℃〜約25℃)でのアルキルマグネシウムハライド(すなわち、メチルマグネシウムブロミドまたはメチルマグネシウムクロリド)を含む。
【0018】
工程3の化合物2は、有機溶媒(例えば、ジクロロメタン(DCM))中でのルイス酸(例えば、三フッ化ホウ素)の存在下での過酸化物(例えば、過酸化水素または過ホウ酸ナトリウム)を用いて、化合物3を得ることが好ましい。化合物3を、約0℃〜約100℃の温度で塩基(例えば、NaH)の存在下、求電子剤(例えば、臭化ベンジルまたは塩化ベンジル)を用いてアルキル化する。
【0019】
化合物4を、高温で酸(塩酸が好ましい)を用いる処理によって加水分解して、化合物5を得る。最後に、化合物5をクロロイミデートを介して化合物6に変換して、このものを引き続いて、極性溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)またはトルエン(DMFが好ましい))中、塩基(例えば、炭酸カリウムまたは水素化ナトリウム)の存在下で、好ましくはヒドロキシフルオロインドールを用いてアルキル化する。該ベンジル脱保護は、触媒(例えば、パラジウム−炭素)の存在下で水素供与体(例えば、ギ酸アンモニウム)を用いる処理によって達成する。
【0020】
第2の実施態様についての好ましい条件は、工程1における、塩基(例えば、炭酸カリウムまたは水素化ナトリウム)の存在下での求核体(例えば、フルオロインドール)の使用によって化合物7を処理して、化合物8を得ることを含む。この反応は、極性溶媒(例えば、DMF)中で行なうことが好ましい。工程2は、化合物8を、低温(約−25℃〜約25℃)でアルキル化剤(例えば、アルキルマグネシウムハライド、すなわち、メチルマグネシウムブロミドまたはメチルマグネシウムクロリド)を用いて処理することを含む。好ましい実施態様において、工程3は、約−25℃〜約25℃の温度でルイス酸(例えば、三フッ化ホウ素)の存在下、過酸化物(例えば、過酸化水素または過ホウ酸ナトリウム)を用いて化合物9を処理して、化合物10を得ることを含む。
【0021】
インドール側鎖の製造において、出発のフッ素化合物、この場合には、トリフルオロニトロベンゼンを、求核体(例えば、アセト酢酸エチルまたはアセト酢酸tert−ブチル)と反応させて、このものを続いて、酸または塩基(酸水溶液が好ましい)の存在下で該エステル基の脱カルボキシル化を行なうことができる。工程2において、化合物11を、アルコキシアニオン(例えば、メトキシナトリウム)、または塩基(例えば、炭酸カリウムまたはベンジルアルコールのナトリウム塩)の存在下でのメタノールと反応させて、化合物12を得る。次いで、該アルコキシ基またはベンジルオキシ基は、酢酸中で脱保護試薬(例えば、ピリジニウムクロリドまたは臭化水素)を用いる処理によって、化合物13を得る。最終的な工程において、化合物13を、水素源の存在下、還元条件(還元剤(例えば、亜ジチオン酸ナトリウムまたはパラジウム−炭素)を用いることが好ましい)下で環化して、目的のインドール化合物を得る。
【0022】
本発明はまた、式IまたはIIの化合物、および医薬的に許容し得る担体を含有する医薬組成物をも提供する。
【0023】
本発明はまた、式IまたはIIの化合物を、医薬的に許容し得る担体および抗癌剤または細胞毒性剤と組み合わせて含有する医薬組成物を提供する。好ましい実施態様において、該抗癌剤または細胞毒性剤は、以下の群から選ばれる。リノマイド(linomide);αvβ3機能のインヒビター;アンジオスタチン;ラゾキサン(razoxane));タモキシフェン;トレミフェン;ラロキシフェン;ドロロキシフェン(droloxifene);ヨードキシフェン(iodoxyfene));酢酸メゲストロール;アナストロゾール;レトラゾール(letrazole);ボラゾール(borazole);エキセメスタン;フルタミド;ニルタミド;ビカルタミド;酢酸シプロテロン;酢酸ゴセレリン;ロイプロリド(leuprolide);フィナステリド;メタロプロテイナーゼインヒビター;ウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター受容体機能のインヒビター;増殖因子抗体;増殖因子受容体抗体(例えば、アバスチン(登録商標)(ベバシズマブ)およびエルビタックス(登録商標)(セツキシマブ));チロシンキナーゼインヒビター;セリン/トレオニンキナーゼインヒビター;メトトレキセート;5−フルオロウラシル;プリン;アデノシンアナログ;シトシンアラビノシド;ドキソルビシン;ダウノマイシン;エピルビシン;イダルビシン;マイトマイシン−C;ダクチノマイシン;ミトラマイシン(mithramycin);シスプラチン;カルボプラチン;ナイトロジェンマスタード;メルファラン;クロランブシル;ブスルファン;シクロホスファミド;イホスファミド;ニトロソ尿素;チオテファン(thiotephan);ビンクリスチン;タキソール(登録商標)(パクリタキセル);タキソテール(登録商標)(ドセタキセル);エポシロン(epothilone)アナログ;ディスコダーモリド(discodermolide)アナログ;エレウテロビン(eleutherobin)アナログ;エトポシド;テニポシド(teniposide);アムサクリン;トポテカン);フラボピリドール(flavopyridol);生物学的応答調節物質、およびプロテアソームインヒビター(例えば、ベルカデ(Vercade)(登録商標)(ボルテゾミブ))。
【0024】
本発明はまた、増殖因子受容体のタンパク質キナーゼ活性を抑制するための方法をも提供し、該方法は、該処置が必要な哺乳類に、治療学的にタンパク質キナーゼを抑制するのに有効な量の式Iの化合物を投与することを含む。
【0025】
加えて、少なくとも1つの増殖因子受容体のチロシンキナーゼ活性を抑制するための方法を開示し、ここで、該方法は、該処置が必要な哺乳類に、治療学的に有効な量の式IまたはIIの化合物を投与することを含む。好ましい実施態様において、該増殖因子受容体は、VEGFR−2およびFGFR−1からなる群から選ばれる。
【0026】
最後に、増殖性疾患を処置するための方法であって、該処置が必要な哺乳類に治療学的に有効な量の式Iの化合物を投与することを含む、該方法を開示する。好ましい実施態様において、該増殖性疾患は癌である。
【0027】
以下に、本明細書中で使用可能な用語の定義を示す。特に断らなければ、本明細書中の基または用語について提示する最初の定義は、本明細書中の基または用語に、個別にまたは別の基の一部として適用する。
【0028】
用語「アルキル」とは、炭素数が1〜20個、好ましくは炭素数が1〜7個の直鎖または分枝の未置換の炭化水素基を意味する。表現「低級アルキル」とは、炭素数が1〜4個の未置換のアルキル基を意味する。
【0029】
用語「置換アルキル」とは、例えば1〜4個の置換基によって置換されたアルキル基を意味する。該置換基は、例えば、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、オキソ、アルカノイル、アリールオキシ、アルカノイルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アラルキルアミノ、ジ置換アミン(ここで、該2個のアミノ置換基は、アルキル、アリールまたはアラルキルから選ばれる)、アルカノイルアミノ、アロイルアミノ、アルアルカノイルアミノ、置換アルカノイルアミノ、置換アリールアミノ、置換アルアルカノイルアミノ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アラルキルチオ、アルキルチオノ、アリールチオノ、アラルキルチオノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アラルキルスルホニル、スルホンアミド(例えば、SO2NH2)、置換スルホンアミド、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルバミル(例えば、CONH2)、置換カルバミル(例えば、CONHアルキル、CONHアリール、CONHアラルキル、または該窒素上に2つの置換基(該置換基は、アルキル、アリールまたはアラルキルから選ばれる)が存在する基)、アルコキシカルボニル、アリール、置換アリール、グアニジノ、ヘテロシクロ(例えば、インドリル、イミダゾリル、フリル、チエニル、チアゾリル、ピロリジニル、ピリジル、ピリミジルなど)が挙げられる。上記の場合に該置換基が更に置換される場合は、アルキル、アルコキシ、アリールまたはアラルキルで置換される。
【0030】
用語「ハロゲン」または「ハロ」とは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を意味する。
【0031】
用語「アリール」とは、環部分に6〜12個の炭素原子を有する単環式または二環式の芳香族炭化水素基(例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基およびジフェニル基であり、これらの基の各々は置換され得る)を意味する。
【0032】
用語「アラルキル」とは、アルキル基と直結したアリール基(例えば、ベンジル)を意味する。
【0033】
用語「置換アリール」とは、例えば1〜4個の置換基によって置換されたアリール基を意味し、該置換基は例えば、アルキル、置換アルキル、ハロ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルカノイル、アルカノイルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アルアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルカノイルアミノ、チオール、アルキルチオ、ウレイド、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルボキシアルキル、カルバミル、アルコキシカルボニル、アルキルチオノ、アリールチオノ、アリールスルホニルアミン、スルホン酸、アルキルスルホニル、スルホンアミド、アリールオキシなどを挙げられる。該置換基は更に、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、アリール、置換アリール、置換アルキル、またはアラルキルが挙げられる。
【0034】
用語「ヘテロアリール」とは、少なくとも1つのヘテロ原子および少なくとも1つの炭素原子を含有する環を有する、場合により置換された芳香族基(例えば、4〜7員の単環式、7〜11員の二環式、または10〜15員の三環式である)を意味し、例えばピリジン、テトラゾール、インダゾール、インドールを挙げられる。
【0035】
用語「アルケニル」とは、炭素数が2〜20個、好ましくは炭素数が2〜15個、最も好ましくは炭素数が2〜8個であって、1〜4個の二重結合を有する、直鎖または分枝の炭化水素基を意味する。
【0036】
用語「置換アルケニル」とは、例えば1〜2個の置換基によって置換されたアルケニル基を意味し、該置換基は例えば、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルカノイル、アルカノイルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルカノイルアミノ、チオール、アルキルチオ、アルキルチオノ、アルキルスルホニル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルバミル、置換カルバミル、グアニジノ、インドリル、イミダゾリル、フリル、チエニル、チアゾリル、ピロリジル、ピリジル、ピリミジルなどを挙げられる。
【0037】
用語「アルキニル」とは、炭素数が2〜20個、好ましくは炭素数が2〜15個、最も好ましくは炭素数が2〜8個であって、1〜4個の三重結合を有する、直鎖または分枝の炭化水素基を意味する。
【0038】
用語「置換アルキニル」とは、置換基によって置換されたアルキニル基を意味し、該置換基は例えば、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルカノイル、アルカノイルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルカノイルアミノ、チオール、アルキルチオ、アルキルチオノ、アルキルスルホニル、スルホンアミド、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルバミル、置換カルバミル、グアニジノおよびヘテロシクロ(例えば、イミダゾリル、フリル、チエニル、チアゾリル、ピロリジル、ピリジル、ピリミジルなど)を挙げられる。
【0039】
用語「シクロアルキル」とは、場合により置換された飽和の環状炭化水素環を意味し、このものは1〜3個の環および各環当たり3〜7個の炭素を含有することが好ましく、そして更に不飽和のC3〜C7炭素環と合わせて縮合し得る。典型的な基としては例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロデシル、シクロドデシル、およびアダマンチルを含む。典型的な置換基としては例えば、上記の1つ以上のアルキル基、または1つ以上のアルキル置換基として上記する基を含む。
【0040】
用語「ヘテロ環」、「ヘテロ環状」および「ヘテロシクロ」とは、場合により置換された、完全に飽和または不飽和の芳香族または非芳香族の環状基を意味し、例えばこのものは4〜7員の単環式、7〜11員の二環式、または10〜15員の三環式であり、これらは少なくとも1つの炭素原子を含有する環内に少なくとも1つのヘテロ原子を有する。ヘテロ原子を含有する該ヘテロ環状基の各環は、1、2または3個のヘテロ原子を有し得て、該ヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれ、ここで該窒素および硫黄のヘテロ原子はまた場合により酸化され、そして該窒素ヘテロ原子はまた場合により4級化され得る。該ヘテロ環状基は、いずれかのヘテロ原子または炭素原子上で結合し得る。
【0041】
典型的な単環式のヘテロ環状基としては、ピロリジニル、ピロリル、ピラゾリル、オキセタニル、ピラゾリニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリニル、イソキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、フリル、テトラヒドロフリル、チエニル、オキサジアゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、2−オキサアゼピニル、アゼピニル、4−ピペリドニル、ピリジル、N−オキソ−ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、1,3−ジオキソランおよびテトラヒドロ−1,1−ジオキソチエニル、ジオキサニル、イソチアゾリジニル、チエタニル、チイラニル、トリアジニル、およびトリアゾリルなどを含む。
【0042】
典型的な二環式のヘテロ環状基としては、2,3−ジヒドロ−2−オキソ−1H−インドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル、キヌクリジニル、キノリニル、キノリニル−N−オキシド、テトラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、べンゾイミダゾリル、ベンゾピラニル、インドリジニル、ベンゾフリル、クロモニル、クマリニル、シンノリニル、キノキサリニル、インダゾリル、ピロロピリジル、フロピリジル(例えば、フロ[2,3−c]ピリジニル、フロ[3,1−b]ピリジニル]またはフロ[2,3−b]ピリジニル)、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロキナゾリニル(例えば、3,4−ジヒドロ−4−オキソ−キナゾリニル)、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾジアジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾピラゾリル、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチオピラニル、ジヒドロベンゾチオピラニルスルホン、ジヒドロベンゾピラニル、インドリニル、インドリル、イソクロマニル、イソインドリニル、ナフチリジニル、フタラジニル、ピペロニル、プリニル、ピリドピリジル、キナゾリニル、テトラヒドロキノリニル、チエノフリル、チエノピリジル、チエノチエニルなどを含む。
【0043】
典型的な置換基は、上記の1つ以上のアルキル基もしくはアラルキル基、または1つ以上のアルキル置換基として上記する基を含む。より小さいヘテロシクロ(例えば、エポキシドおよびアジリジン)をも含む。
【0044】
用語「ヘテロ原子」とは、酸素、硫黄および窒素を含む。
【0045】
式Iの化合物は、本発明の範囲内にもある塩を形成し得る。他の塩もまた、例えば本発明の化合物を単離したりまたは精製する際に有用であるが、医薬的に許容し得る(すなわち、非毒性の生理学的に許容し得る)塩が好ましい。
【0046】
式Iの化合物は、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウムおよびリチウム)と、アルカリ土類金属(例えば、カルシウムおよびマグネシウム)と、有機塩基(例えば、ジシクロへキシルアミン、トリブチルアミン、ピリジンおよびアミノ酸(例えば、アルギニン、リシン)など)と、塩を形成し得る。それらの塩は、当該分野の当業者によって知られる通り生成することができる。
【0047】
式Iの化合物は、様々な有機および無機の酸と塩を形成し得る。該塩としては、塩化水素、臭化水素、メタンスルホン酸、硫酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、リンゴ酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸と形成する塩、並びに様々なその他の塩(例えば、硝酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、サリチル酸塩など)を含む。該塩は、当該分野の当業者にとって知られる通り生成することができる。
【0048】
加えて、双性イオン(「内部イオン」)を生成することができる。
【0049】
本発明の化合物の全ての立体異性体は、混合物で、または純粋な形態でもしくは実質的に純粋な形態のいずれかであると企図する。本発明に記載の化合物の定義は、全ての可能な立体異性体およびそれらの混合物を包含する。ラセミ形態および特異的な活性を有する単離された光学異性体を、とりわけ特に包含する。該ラセミ形態は、物理学的な方法(例えば、ジアステレオマー誘導体の分別結晶化、分離もしくは結晶化、またはキラルカラムクロマトグラフィーによる分離)によって分割することができる。個々の光学異性体は、通常の方法(例えば、光学的に活性な酸との塩の形成、続く結晶化)によって、該ラセミ体から得ることができる。
【0050】
式Iの化合物はまた、プロドラッグ形態を有し得る。インビボで変換されて生理活性な薬物(すなわち、式Iの化合物)を与えるであろういずれかの化合物は、本発明の範囲内および精神内にあるプロドラッグである。
【0051】
様々な形態のプロドラッグが当該分野でよく知られる。該プロドラッグ誘導体の例としては、以下を参照のこと:
a)Design of Prodrugs, H. Bundgaard編 (Elsevier, 1985)、およびMethods in Enzymology, 42巻, 309-396頁, K. Widderら編 (Acamedic Press, 1985);
b)A Textbook of Drug Design and Development, Krosgaard-LarsenおよびH. Bundgaard編, 5章,「Design and Application of Prodrugs」, H. Bundgaardによる, 113-191頁 (1991);
c)H. Bundgaardによる, Advanced Drug Delivery Reviews, 8, 1-38 (1992)。
【0052】
更に、式Iの化合物の溶媒和物(例えば、水和物)はまた本発明の範囲内であると理解すべきである。溶媒和の方法は、当該分野において通常知られる。
【0053】
従って、本発明の更なる態様によれば、哺乳動物(例えば、ヒト)における抗血管新生効果および/または血管浸透性低下効果の産生における使用のための薬物の製造における、式Iの化合物、またはその医薬的に許容し得る塩の使用を提供する。
【0054】
本発明の更なる特徴によれば、処置が必要な哺乳動物(例えば、ヒト)における抗血管新生効果および/または血管浸透性低下効果を生むための方法を提供し、該方法は該動物に、本明細書中に上で定義する式Iの化合物またはその医薬的に許容し得る塩の有効な量を投与することを含む。
【0055】
本明細書中に記載する化合物はまた、他の受容体チロシンキナーゼ(例えば、HER1およびHER2を含む)をも抑制し、従って増殖性疾患(例えば、乾癬および癌を含む)の処置において有用である。該HER1受容体キナーゼは、多数の固形腫瘍(これは、非小細胞肺癌、結腸直腸癌、および乳癌を含む)中で発現し、そして活性化されることを示した。同様に、該HER2受容体キナーゼは、乳癌、卵巣癌、肺癌および胃癌中で過剰発現することを示した。HER2受容体の存在量を下方調節したりまたはHER1受容体によるシグナル伝達を抑制するモノクローナル抗体は、症状発現前(preclincal)研究および臨床研究において抗腫瘍効力を示した。従って、HER1およびHER2キナーゼのインヒビターは、2個の受容体のいずれかからのシグナル伝達に依存する腫瘍の処置において効力を有するであると予想される。これらの化合物のHER1を抑制する能力を更に、抗血管性薬としてそれらの使用に加える。本明細書中に引用する以下の文書および刊行物を参照のこと: Cobleigh, M. A., Vogel, C. L., Tripathy, D., Robert, N. J., Scholl, S., Fehrenbacher, L., Wolter, J. M., Paton, V., Shak, S., Lieberman, G.およびSlamon, D. J.による「Multinational study of the efficacy and safety of humanized anti-HER2 monoclonal antibody in women who have HER2-overexpressing metastatic breast cancer that has progressed after chemotherapy for metastatic disease」, J. of Clin. Oncol. 17(9), 2639-2648頁 (1999);Baselga, J., Pfister, D., Cooper, M. R., Cohen, R., Burtness, B., Bos, M., D'Andrea, G., Seidman, A., Norton, L., Gunnett, K., Falcey, J., Anderson, V., Waksal, H.およびMendelsohn, J.による「Phase I studies of anti-epidermal growth factor receptor chimeric antibody C225 alone and in combination with cisplatin」, J. Clin. Oncol. 18(4), 904-914頁 (2000)。
【0056】
本明細書中に上で定義する、抗増殖性処置、抗血管新生処置および/または血管浸透性低下処置は、単独(sole)療法として使用することができ、あるいは、本発明の化合物に加えて、1つ以上の他の物質および/または処置を含むことができる。該共同(conjoint)処置は、該処置の個々の成分の同時、連続的または別個の投与によって達成することができる。本発明の化合物はまた、公知の抗癌薬および細胞毒性薬、並びに処置(例えば、放射線処置を含む)と組み合わせて有用であり得る。一定の用量で製剤化する場合には、それらの組み合わせ製品は、以下に記載の用量範囲内の本発明の化合物、および承認される用量範囲内の他の医薬的に活性な薬物を使用する。式Iの化合物は、組み合わせ製剤が不適当である場合には、公知の抗癌薬または細胞毒性薬および処置(例えば、放射線処置を含む)を用いて連続的に使用することができる。
【0057】
医学的な腫瘍学の分野において、癌を有する各々の患者を処置するために異なる処置形態の組み合わせを使用することは、通常の医事である。医学的な腫瘍学において、本明細書中に上で定義する抗増殖性処置、抗血管新生処置および/または血管浸透性低下処置に加えて、それらの共同処置の他の成分としては、外科手術、放射線療法または化学療法が挙げられ得る。それらの化学療法は、3個の主な治療薬の分類を包含し得る:
(i)本明細書中に上で定義するものとは異なる機構によって作用する抗血管新生薬(例えば、リノミド(linomide)、インテグリンαvβ3機能のインヒビター、アンジオスタチン、ラゾキサン(razoxane));
(ii)細胞分裂停止薬(例えば、抗エストロゲン薬(例えば、タモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン(droloxifene)、ヨードキシフェン(iodoxyfene));プロゲストーゲン(例えば、酢酸メゲストロール)、アロマターゼインヒビター(例えば、アナストロゾール、レトラゾール(letrazole)、ボラゾール(borazole)、エキセメスタン)、抗ホルモン薬、抗プロゲストーゲン薬、抗アンドロゲン薬(例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、酢酸シプロテロン)、LHRH作動薬および拮抗薬(例えば、酢酸ゴセレリン、ロイプロリド(leuprolide))、テストステロン5α−ジヒドロレダクターゼのインヒビター(例えば、フィナステリド)、ファルネシルトランスフェラーゼインヒビター、抗侵襲薬(例えば、マリマスタット(marimastat)などのメタロプロテイナーゼインヒビター、およびウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター受容体機能のインヒビター)、および他の増殖因子機能のインヒビター(該増殖因子としては例えば、EGF、FGF、血小板由来成長因子および肝細胞増殖因子を含み;該インヒビターは、成長因子抗体、成長因子受容体抗体(アバスチン(登録商標)(ベバシズマブ)およびエルビタックス(登録商標)(セツキシマブ)、チロシンキナーゼインヒビター、およびセリン/トレオニンキナーゼインヒビターを含む));および、
(iii)医学的な腫瘍学において使用される抗増殖性薬/抗新生物薬およびその組み合わせ(例えば、代謝拮抗薬(例えば、メトトレキセート等の葉酸代謝拮抗薬、5−フルオロウラシル等のフルオロピリミジン、プリンおよびアデノシンアナログ、シトシンアラビノシド);介在性(Intercalating)抗腫瘍抗生物質(例えば、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシンおよびイダルビシン、マイトマイシン−C、ダクチノマイシン、ミトラマイシン(mithramycin)などのアントラサイクリン);白金誘導体(例えば、シスプラチン、カルボプラチン);アルキル化薬(例えば、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、クロランブシル、ブスルファン、シクロホスファミド、イホスファミド、ニトロソ尿素、チオテファン(thiotephan));有糸分裂阻害薬(例えば、ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン)およびタキソイド(例えば、タキソール(登録商標)およびタキソテール)(登録商標))、および新規な微小管(microbtubule)薬(例えば、エポシロン(epothilone)アナログ、ディスコダーモリド(discodermolide)アナログ、およびエレウテロビン(eleutherobin)アナログ);トポイソメラーゼインヒビター(例えば、エピポドフィロトキシン(epipodophyllotoxin)(例えば、エトポシド、テニポシド(teniposide)、アムサクリン、トポテカン));細胞周期インヒビター(例えば、フラボピリドール(flavopyridol));並びに、生物学的応答調節物質およびプロテアソームインヒビター(例えば、ベルカデ(Vercade)(登録商標)(ボルテゾミブ))。
【0058】
上記の通り、本発明の式Iの化合物は、それらの抗血管新生効果および/または血管浸透性低下効果について関心が持たれる。本発明のそれらの化合物は、広範囲の症状(例えば、癌、糖尿病、乾癬および関節リウマチ、カポジ肉腫、血管腫、肥満症、急性および慢性の腎症、アテローム、動脈性再狭さく、自己免疫疾患、急性炎症、および網膜硝子増殖に関連する眼の疾患(例えば、糖尿病性網膜症)を含む)において有用であると期待される。
【0059】
より具体的には、式Iの化合物は、様々な癌の処置において有用である。該癌としては以下のものを含むが、これらに限定されない:
癌腫(膀胱、乳、大腸、腎臓、肝臓、肺(例えば、小細胞肺癌を含む)、食道、胆のう、卵巣、膵臓、胃、頚部、甲状腺、前立腺、および皮膚(例えば、扁平上皮細胞癌腫を含む)の癌腫を含む);
リンパ様系統の造血性腫瘍(例えば、白血病、急性リンパ球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B−細胞リンパ腫、T−細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、有毛細胞リンパ腫、およびバーキット(Burkett's)リンパ腫を含む);
骨髄系統の造血性腫瘍(例えば、急性および慢性の骨髄性白血病、骨髄異形性症候群、および前骨髄球性白血病を含む);
間葉起源の腫瘍(例えば、線維肉腫および横紋筋肉腫を含む);
中枢および末梢の神経系の腫瘍(例えば、星細胞腫、神経芽細胞腫、神経こう腫およびシュワン腫を含む);および
他の腫瘍(例えば、メラノーマ、精上皮腫、奇形癌腫、骨肉腫、色素性乾皮症(xenoderoma pigmentosum)、角化アカントーマ(keratoctanthoma)、甲状腺ろ胞癌、およびカポジ肉腫を含む)。
【0060】
通常の細胞増殖の制御におけるキナーゼの重要な役割の為、インヒビターは、異常な細胞増殖(例えば、前立腺肥大症、家族性大腸ポリープ症、神経線維腫症、アテローム硬化症、肺線維症、関節炎、乾癬、糸球体腎炎、血管形成術または血管手術後の再狭窄、肥大性瘢痕の形成、および炎症性腸疾患、移植拒絶反応、内毒素ショック、および真菌感染症)を特徴とするいずれかの疾患プロセスの処置において有用であり得る、可逆的な細胞分裂停止薬として機能し得る。
【0061】
式Iの化合物は、アポトーシスを誘発しまたは抑制することができる。該アポトーシス応答は、様々なヒト疾患において異常である。アポトーシスの調節物質としての式Iの化合物は、癌(例えば、本明細書中の上記タイプの癌を含むが、これらに限定されない)、ウイルス感染症(例えば、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、エプスタイン・バーウイルス、シンドビスウイルス、およびアデノウイルスを含むが、これに限定されない)、HIV−感染個体におけるAIDS発症の予防、自己免疫疾患(例えば、全身性エリトマトーデス、エリトマトーデス、自己免疫媒介性糸球体腎炎、関節リウマチ、乾癬、炎症性腸疾患、および自己免疫性糖尿病を含むが、これに限定されない)、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー疾患、AIDS−関連性痴呆、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、網膜色素変性症、脊髄性筋萎縮症、および小脳変性症を含むが、これらに限定されない)、骨髄異形性症候群、再生不良性貧血、心筋梗塞に関連する虚血性損傷、発作および再かん流損傷、不整脈、アテローム硬化症、毒物誘発性もしくはアルコール関連性の肝臓疾患、血液病(例えば、慢性貧血症、および再生不良性貧血を含むが、これらに限定されない)、筋骨格系の変性疾患(例えば、骨粗しょう症および関節炎を含むが、これらに限定されない)、アスピリン感受性鼻副鼻腔炎、のう胞性線維症、多発性硬化症、腎臓疾患および癌とう痛の処置において有用である。
【0062】
式Iの化合物は、チロシンキナーゼ活性の高い発生率を有する腫瘍(例えば、大腸、肺および膵臓の腫瘍)の処置において特に有用である。本発明の化合物の組成物(または、組み合わせ)の投与によって、哺乳動物宿主における腫瘍の発生が低下する。
【0063】
式Iの化合物はまた、増殖因子受容体(例えば、VEGFR−2およびFGFR−1)を通じて作動するシグナル形質導入経路に関係し得る癌以外の疾患の処置においても有用であり得る。
【0064】
本発明の化合物は、経口、静脈内、または皮下の投与のための医薬的なビヒクルまたは希釈物と一緒に製剤化することができる。該医薬組成物は、所望し得る投与様式に適当な固体または液体のビヒクル、希釈物および添加物を用いて、通常の方法で製剤化することができる。経口の場合には、該化合物は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤などの形態で投与することができる。該化合物はまた、本投与様式に適当な担体を用いて、懸濁剤として投与することもできる。該化合物はまた、用量範囲が約0.05〜300mg/kg/日を(200mg以下/kg/日が好ましい)、1回投与または2〜4回に分けた投与で投与することもできる。
【0065】
製造法
式Iのある化合物は、以下の反応式および当該分野の通常の知識に従って製造することができる。
【0066】
特に断らなければ、全ての温度は摂氏度(℃)である。プレパラティブ逆相(RP)HPLC精製は、C18逆相(RP)カラムであるYMC S5 ODSカラム(緩衝溶液として、0.1%のTFAを含有する90%水性メタノール溶液を用いて溶出し;そして、220nmで追跡する)を用いて行なった。分析用HPLCの場合には、0.2%リン酸を、TFAの代わりに使用した。合成化合物の全てを、少なくともプロトンNMR分析およびLC/MS分析によって確認した。特に断らなければ、反応のワークアップ中、該有機抽出物は硫酸マグネシウム(MgSO4)を用いて乾燥した。
【0067】
通常使用する試薬についての以下の略号を使用する。Et2Oはジエチルエーテルを;Na2SO4は硫酸ナトリウムを;HClは塩酸を;NaOHは水酸化ナトリウムを;NaClは塩化ナトリウムを;Pd/Cはパラジウム−炭素を;K2HPO4はリン酸一水素カリウムを;K2CO3は炭酸カリウムを;NaHCO3は炭酸水素ナトリウムを;LiOHは水酸化リチウムを;RTは室温を;TFAはトリフルオロ酢酸を;hは時間を、意味する。
【0068】
【化19】

工程1
PCT国際公開公報WO0071129由来の化合物を、例えばフェノキシド、メトキシド、またはエトキシドのアニオンを用いる処理によって、4位でエーテルに変換する(エーテル化する)。
【0069】
工程2
次いで、化合物1を、低温でアルキル化剤(例えば、メチルマグネシウムブロミドまたはメチルマグネシウムクロリド)を用いて処理して、化合物2を得ることができる。
【0070】
工程3
次いで、化合物2を、ルイス酸(例えば、三フッ化ホウ素)の存在下、低温で過酸化物(例えば、過酸化水素または過ホウ酸ナトリウム)を用いて処理して、フェノール性化合物3を得ることができる。
【0071】
工程4
塩基(例えば、NaH)の存在下、0℃〜80℃で該フェノール基を求電子剤(例えば、臭化ベンジル)を用いてアルキル化することにより、化合物4を得る。
【0072】
工程5
本反応式の化合物4の加水分解反応は、高温で酸(例えば、塩酸)を用いる処理によって達成されて、化合物5を得る。
【0073】
工程6
本反応式の化合物5は、上記の通り最初にクロロイミデートに変換して、続いて得られるクロロイミデートを極性溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド)中、塩基(例えば、炭酸カリウム)の存在下でヒドロキシフルオロインドールを用いてアルキル化することによって保護された化合物6に変換して、該化合物6に変換する。
【0074】
【化20】

工程1
PCT国際公開公報WO0071129由来の化合物(ここで、X1はハロゲン(例えば、塩素)である)を、極性溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド)中、塩基(例えば、炭酸カリウム)の存在下で求電子体(例えば、フルオロインドール)を用いて処理して、化合物8を得ることができる。
【0075】
工程2
次いで、化合物8を低温でアルキル化剤(例えば、メチルマグネシウムブロミドまたはメチルマグネシウムクロリド)を用いて処理して、化合物9を得ることができる。
【0076】
工程3
次いで、化合物9を低温でルイス酸(例えば、三フッ化ホウ素)の存在下で過酸化物(例えば、過酸化水素または過ホウ酸ナトリウム)を用いて処理して、フェノール性化合物10を得ることができる。
【0077】
【化21】

工程1
フッ素化化合物(例えば、トリフルオロニトロベンゼン)を求核体(例えば、アセト酢酸エチル)と反応させ、続いて酸または塩基の存在下でエステル基の脱カルボキシル化を行なって、化合物11を得ることができる。
【0078】
工程2
次いで、化合物11をアルコキシアニオン(例えば、ナトリウムメトキシドまたはベンジルアルコールのナトリウム塩)と反応させて、化合物12を得ることができる。
【0079】
工程3
次いで、本反応式の化合物12のアルコキシ基の脱保護は、酢酸中で試薬(例えば、ピリジニウムクロリドまたは臭化水素など)を用いる処理によって達成して、化合物13を得ることができる。
【0080】
工程4
次いで、化合物13は、還元条件(例えば、亜ジチオン酸ナトリウムまたは水素の存在下でのパラジウム−炭素)下で環化して、式14のインドール誘導体を得ることができる。
【0081】
化合物12を、水素源(例えば、ギ酸アンモニウム)の存在下でパラジウム−炭素を用いて処理して、化合物14に直接的に変換することができる。
【0082】
(実施例1)
【化22】

4−(4−フルオロ−2−メチル−1H−インドール−5−イルオキシピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−6−オール
A.4−クロロ−5−メチルピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−6−カルボン酸エチルエステル
トルエン(800mL)中の4−ヒドロキシ−5−メチルピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−6−カルボン酸エチルエステル(60.0g、271.2mmol;製造について、WO0071129を参照)、オキシ塩化リン(30.3mL、325.4mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(37.7mL、217mmol)の混合物をアルゴン下で18時間加熱還流し、次いでこのものを室温まで冷却した。該混合物を回転蒸発機を用いて濃縮し、そして該残渣をジクロロメタン(1000mL)および冷炭酸水素ナトリウム溶液(300mL)を用いて希釈した。得られた混合物を室温で10分間撹拌した。該分離した有機相を冷ブライン(300mL)を用いて洗浄し、乾燥し、そして真空下で濃縮した。該粗物質をシリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタンを用いて溶出)によって精製して、黄色固体の目的化合物(64.8g、99%)を得た。
【0083】
B.4−エトキシ−5−メチルピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−6−カルボン酸エチルエステル
テトラヒドロフラン(0.6L)中の本実施例の化合物A(23g、96mmol)の溶液に、アルゴン下、0℃でエタノール中のナトリウムエトキシド(21重量%、43mL、115.2mmol)を20分かけて滴下した。該反応液を0℃で1時間撹拌し、酢酸エチルを用いて希釈し、そして塩化アンモニウム溶液およびブラインを用いて洗浄した。該有機層を乾燥し、濃縮し、そして該残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタン、続いて50%酢酸エチル/ヘキサンを用いて溶出する)によって精製して、白色固体の目的化合物(23.5g、98%)を得た。LC/MS;(M+H)+=250.17。
【0084】
C.2−(4−エトキシ−5−メチルピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−6−イル)−プロパン−2−オール
THF(2.5L)中の本実施例の化合物Bの溶液に0℃で、メチルマグネシウムブロミド(3M Et2O溶液、360mL、1.08mol)を滴下ろうとを用いてゆっくりと加えた。該混合物を室温まで昇温させ、その後に撹拌を4時間続けた。該反応液を塩化アンモニウム溶液によってクエンチし、そして酢酸エチルを用いて抽出した。該有機層を塩化ナトリウム溶液を用いて洗浄し、そして乾燥して黄色固体の目的化合物(78g、100%)を得た。LC/MS;(M+H)+=236.1。
【0085】
D.4−エトキシ−5−メチルピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−6−オール
過酸化水素(30%、10.3mL、178.5mmol)および三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート(271.4mL、2.14mol)の混合物を0℃で30分間撹拌した。次いで、このものを−20℃まで冷却し、そしてジクロロメタン(1.45L)中の本実施例の化合物C(30g、129.5mmol)溶液を−15℃で加えた。該反応混合物を−3℃とし、次いでこのものを−40℃まで冷却した。この混合物に、撹拌しながら亜硫酸ナトリウムの飽和溶液を加えた。得られた混合物を酢酸エチル用いて抽出し、乾燥し、そして真空下で濃縮して、化合物D(26g、76%)を得た。LC/MS;(M+H)+=194.2。
【0086】
E.6−ベンジルオキシ−4−エトキシ−5−メチルピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン
ジメチルホルムアミド(10mL)中の本実施例の化合物D(1g,5.2mmol)、臭化ベンジル(0.62mL、5.2mmol)および炭酸カリウム(2.1g、15.5mmol)の混合物を、室温で12時間撹拌した。該反応液を酢酸エチルを用いて希釈し、そしてこのものを水、10%塩化リチウム溶液およびブラインを用いて洗浄した。該有機層を乾燥し(Na2SO4を使用)、そして真空下で濃縮して、黄色固体の化合物E(1g)を得て、このものを更に精製することなく次の工程に使用した。
【0087】
F.6−ベンジルオキシ−5−メチルピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−4−オール
1N HCl(600mL)およびエタノール(800mL)中の本実施例の化合物E(90g、粗物)を4時間加熱還流した。固体を沈降させ、そしてこのものをろ過によって集め、混合溶媒(水/エタノール/メタノール=4/4/2)を用いて洗浄し、そして乾燥してオフホワイト色固体を得て、このものをジクロロメタンを用いて洗浄して、白色固体の化合物F(65g)を得た。LC/MS;(M+H)+=256.2。
【0088】
G.6−ベンジルオキシ−4−クロロ−5−メチルピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン
トルエン(150mL)中の本実施例の化合物F(10g、39.2mmol)、オキシ塩化リン(4.4mL、47.1mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(5.5mL、31.4mmol)の混合物を85℃で2時間撹拌し、次いでより多くのオキシ塩化リン(1.1mL、11.8mol)を加えた。2時間後に、更なるオキシ塩化リン(1.1mL、11.8mmol)を加えた。該反応混合物を85℃で1時間、絶えず撹拌し、次いで濃縮した。該残渣をジクロロメタン中に溶解し、冷炭酸水素ナトリウム溶液を用いて洗浄し、そして真空下で濃縮した。該粗物質をシリカゲルクロマトグラフィー(ジクロロメタンを用いて溶出)によって精製して、黄色固体の化合物G(9.9g、93%)を得た。
【0089】
H.6−ベンジルオキシ−4−(4−フルオロ−2−メチル−1H−インドール−5−イルオキシ)−5−メチルピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン
ジメチルホルムアミド(100mL)中の4−フルオロ−2−メチル−1H−インドール−5−オール(6.47g、39.2mmol、実施例2)の溶液をアルゴンを用いて脱気し、次いでこのものを−20℃まで冷却した。水素化ナトリウム(油中60%、1.57g、39.2mmol)を1回で加えた。該反応混合物を撹拌しながら、0℃まで30分間かけて昇温し、このものを−20℃まで冷却し直し、そしてジメチルホルムアミド(100mL)中の本実施例の化合物Gの溶液を1回で加えた。該反応液を室温まで昇温させた。30分後に、該混合物を1N HCl(200mL)を用いて酸性とし、酢酸エチル(1.8L)を用いて希釈し、そして10%塩化リチウム溶液(0.4L×2)、1N NaOH溶液(0.3L×2)、緩衝液(pH=2、200mL)およびNaCl溶液(0.4L)を用いて洗浄した。該有機層を乾燥し、そして真空下で濃縮して、黄褐色固体の化合物H(15g、95%)を得た。LC/MS;(M+H)+=403.1。
【0090】
I.4−(4−フルオロ−2−メチル−1H−インドール−5−イルオキシ)−5−メチルピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−6−オール
ジメチルホルムアミド(100mL)中の本実施例の化合物H(15g、37.3mmol)、ギ酸アンモニウム(12g、190mmol)およびPd/C(10%、1.5g)の混合物を室温で2時間撹拌した。該混合物をセライト(登録商標)を用いてろ過し、そして該ろ液を酢酸エチルを用いて希釈し、そしてこのものを10%塩化リチウム溶液(2×)、5%炭酸水素ナトリウム溶液(2×)およびブラインを用いて連続して洗浄した。該有機層を乾燥し(Na2SO4を使用)、そして真空下で濃縮して淡褐色固体を得て、このものをジクロロメタンを用いて溶解して、オフホワイト色固体の標題化合物(7.8g、64%)を得た。MS:[M+H]+=313.2。1HNMR (CDCl3): δ 2.44 (s, 3H), 2.51 (s, 3H), 6.31 (s, 1H), 6.95 (dd, 1H), 7.07 (d, 1H, J = 8.8 Hz), 7.38 (s, 1H), 7.78 (s, 1H)。
【0091】
実施例1はまた、以下に記載する別経路によっても製造することができる。
A−1.4−クロロ−5−メチル−ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−6−カルボン酸エチルエステル
10L反応容器を、4−ヒドロキシ−5−メチル−ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−6−カルボン酸エチルエステル(155.1g、0.7mol)およびトルエン(2.7L)で充填した。次いで、オキシ塩化リン(128.8g、78mL、0.84mol)を加え、続いてジイソプロピルエチルアミン(94.2g、127mL、0.7mol)を加えた。該反応混合物を室温で5分間撹拌し、ついでこのものを20時間加熱還流した。HPLC分析は、出発物質の完全な消失を示した。次いで、該反応混合物を0℃まで冷却し、そして冷K2HPO4溶液(水(2.4L)中の527g)を、該反応混合物の内部温度を5℃以下に保つような割合で加えた。該混合物の最終的なpHは8とした。次いで、該混合物を0℃〜5℃の間で20分間、次いで室温で1時間撹拌した。該有機層を分離し、K2HPO4溶液(水(405mL)中の85g)および水(345mL)を用いて洗浄し、次いでこのものをろ過し、そして黄色固体が沈降し始めるまで真空下で濃縮した。ジメチルホルムアミド(1L)を加え、そして該残りのトルエンを真空下で除去した(浴の温度は38℃であり、圧は9トルとした)。濃縮後に、約4%のトルエンがHPLCによって観察された。
【0092】
J.4−(4−フルオロ−2−メチル−1H−インドール−5−イルオキシ)−5−メチルピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−6−カルボン酸エチルエステル
上記工程A−1由来の残渣を10Lの反応容器に移し、そしてジメチルホルムアミド(1.1L)を加え、続いてK2CO3(276g、2.1mol)および4−フルオロ−2−メチル−1H−インドール−5−オール(109.5g、0.7mol)を加えた。該反応混合物を周囲温度で16時間撹拌し、次いでこのものを0℃まで冷却した。水(2.0L)および酢酸エチル(2L)を、内部温度を20℃以下に保つような割合で加えた。次いで、相分離し、そして該水相を酢酸エチル(2L)を用いて抽出した。該有機抽出液を合わせて、水(2L)、10%LiCl水溶液(2L)および水(2L)を用いて洗浄した。次いで、トルエン(1L)を加え、そして該有機抽出物を真空下で濃縮した。更なるトルエン(500mL)を加え、そして該混合物を真空下で再濃縮した。LC/MS;(M+H)+=369.4。1HNMR (CDCl3): δ 1.41 (t, 3H, J = 7.15 Hz), 2.45 (s, 3H), 2.87 (s, 3H), 4.39 (q, 2H, J = 7.15 Hz), 6.34 (s, 1H), 6.98 (dd, 1H), 7.08 (d, 1H, J = 8.25 Hz), 7.90 (s, 1H), 8.15 (s, 1H)。
【0093】
K.2−[4−(4−フルオロ−2−メチル−1H−インドール−5−イルオキシ)−5−メチル−ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−6−イル]−プロパン−2−オール
上記の工程(工程J)由来の残渣を10Lの反応容器に移し、そして十分な量のトルエンを加えて総容量1.11Lを得た。次いで、THF(1.1L)を加え、続いてLiCl(140g)を加え、そして該反応混合物を0℃まで冷却した。次いで、メチルマグネシウムブロミド[トルエン、THF(75:25)中の1.4M溶液(2.1L、2.8mol)]を、内部温度を5℃以下に保つような割合で加えた。合計の添加時間は約2時間であった。該反応混合物を0℃で更に2時間撹拌し、次いでこのものを15℃で3時間昇温させ、その後に出発物質の5%がHPLCによってなお観察された。次いで、該反応混合物を5℃まで再冷却し、そして更なるメチルマグネシウムブロミド(100mL)を加え、そして該混合物を更に1.5時間撹拌した。次いで、酢酸エチル(1.5L)および15% NH4Cl(3.2L)溶液を、内部温度を5℃以下に保つように加えた。次いで、相分離し、そして該水相を酢酸エチル(2L)を用いて抽出した。該有機層を合わせて、15%NH4Cl(2×2L)および水(2×2L)を用いて洗浄し、次いでこのものを真空下で濃縮して、アモルファス状の黄色固体の目的生成物を得た。該粗生成物を、溶解を助けるために水浴(温度は37℃)を用いて、ジクロロメタン(5L)中に溶解した。次いで、該溶液をシリカゲルの短いパッド(400g)を通してろ過し、そして該パッドをジクロロメタン(7L)および5%酢酸エチル/ジクロロメタン(1.2L)を用いて洗浄した。該ろ液を蒸発させてオフホワイト色固体を得て、このものに酢酸エチル(1.2L)を加えた。得られたスラリーを10Lの反応容器に移し、そして50℃で2時間撹拌後に、透明な溶液を得た。次いで、該溶液を周囲温度まで冷却し、そして白色固体を沈降させた。次いで、ヘプタン(2.6L)を加えて、そして該混合物を室温で20時間撹拌した。得られた固体をろ過し、ヘプタン(1L)を用いて洗浄し、そして減圧下、50℃で24時間乾燥した。白色固体の2−[4−(4−フルオロ−2−メチル−1H−インドール−5−イルオキシ)−5−メチルピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−6−イル]−プロパン−2−オールを得た(186g、3工程で75%)。LC/MS;(M+H)+=355.4。
【0094】
I−1.4−(4−フルオロ−2−メチル−1H−インドール−5−イルオキシ)−5−メチルピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−6−オール
ジクロロメタン(200mL)中のBF3・OEt2(120mL、0.948mol)の溶液に0℃で、H22(50%水溶液、4.6mL、0.079mol)を加えた。該反応混合物を0℃で30分間撹拌し、次いでこのものを−20℃まで冷却した。別々のフラスコ中で、上記工程由来の2−[4−(4−フルオロ−2−メチル−1H−インドール−5−イルオキシ)−5−メチルピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−6−イル]−プロパン−2−オール(20g、0.0564mol)を、完全な溶解を達成するために間接的に加熱しながら、ジクロロメタン(400mL)中に溶解した。次いで、本溶液をカニューレを用いて(添加時間は20分)、過酸化物の溶液に素早く加えた。添加の間の反応温度は、−15℃〜−25℃の間とした。添加が完結後に、該反応温度を−15℃まで昇温させ、そしてその温度で更に40分間保った。該反応混合物を、Na2SO3(200mL、20%水溶液)およびエタノールアミン(33%水溶液、300mL)を加えることによってクエンチした。両方の試薬を、内部温度を0℃以下に保つような割合で加えた。該冷浴を除き、そして該反応混合物を2時間撹拌し、そしてこのものを分液ろうと中にそそいだ。相分離し、そして該水相を酢酸エチル(100mL)を用いて抽出した。該有機層を合わせて5%クエン酸水溶液(100mL)、10%NaHCO3水溶液(100mL)、水(2×100mL)およびブライン(100mL)を用いて洗浄し、次いでこのものを乾燥し、ろ過し、そして真空下で濃縮して橙色発泡体を得た。該粗物質をフルオリシル(Florisil)(登録商標)カラム(ロード溶媒としてテトラヒドロフランを使用)上にロードし、そして該カラムを30%酢酸エチル/ヘプタンを用いて溶出した。該目的生成物を含有する画分を集め、そして真空下で濃縮し、次いでこのものを酢酸エチル/ヘプタンから再結晶した。該固体を集め、そしてヘプタンを用いて洗浄してオフホワイト色固体の目的生成物(9.1g、52%)を得た。該ろ液を真空下で濃縮し、そしてシリカゲル精製(溶出液として、40%酢酸エチル/ヘプタンを使用)を行なって、更なる目的の生成物(2.5g、14%)を得た。4−(4−フルオロ−2−メチル−1H−インドール−5−イルオキシ)−5−メチルピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−6−オールの総収率は、66%(11.6g)であった。
【0095】
逆相HPLC:3.75分(YMC S5 ODSカラム、4.6×50mm、10%〜90の水性メタノール(0.2%のリン酸を含有)を用いて4分間、4mL/分、220nmで追跡)。LC/MS;(M+H)+=313.2。
【0096】
(実施例2)
【化23】

4−フルオロ−2−メチル−1H−インドール−5−オール
A.1−(2,3−ジフルオロ−6−ニトロフェニル)−プロパン−2−オン
10Lの反応容器を、tert−ブトキシカリウム(570.6g、5.082mol)およびテトラヒドロフラン(2L)で充填した。オーバーヘッド撹拌を開始し、そして得られる懸濁液を11℃まで冷却し、その後にアセト酢酸エチル(668mL、5.082mol)を加えた。該アセト酢酸エチルの添加は1時間を要し、そして発熱が観察された。添加の割合は、該反応容器の内部の温度が25℃を超えないように制御した。得られた混合物は均一となり、そしてこのものは色が淡黄色となった。添加が完結後に、該反応混合物を10℃〜15℃の間に冷却し、次いで1,2,3−トリフルオロニトロベンゼン(260mL、600g、2.259mol)をテトラヒドロフラン(1L)溶液として加えた。該添加は35分間を要し、そして発熱が観察された。添加の割合を制御し、その結果、内部温度は21℃を超えないようにした。添加が完結後に、得られた褐色反応混合物をRTまで昇温させ、そして2.5時間撹拌し、その後に、LC分析は微量の1,2,3−トリフルオロニトロベンゼンが残留しない、100%の変換を示した。該反応混合物を15℃まで再冷却し、そして1N HCl(3L)を15分かけてゆっくりと加え、そして該褐色溶液は結局、透明な黄色溶液となった。該水相のpHは〜pH4であった。該混合物を酢酸エチル(2×1L)を用いて抽出し、そして該有機抽出液を合わせてブライン(1L)を用いて洗浄し、そして真空下で濃縮して橙色油状物を得た。
【0097】
得られた油状物を10Lの反応容器中に充填し、そしてこのものを氷酢酸(1L)中に溶解した。次いで、硫酸(濃、1L)を加え、そしてわずかな発熱に加えて激しいガスの発生を観察した。メカニカル撹拌を開始し、そして該反応混合物を70℃で3時間加熱し、その後にLC分析は100%の変換を示した。該反応混合物を15℃〜20℃の間まで冷却し、そして酢酸エチル(3L)を加え、続いて水(6L)を加えた。可視の界面は観察されなかった。水相(7L)を分離し、次いでこのものを酢酸エチル(2×2L)を用いて抽出した。この時点で、可視の界面が観察された。該有機抽出物を合わせて1N NaOH(6×1L)(該水相のpHは6.6である)およびブライン(3×1L)を用いて洗浄した。該褐色有機抽出物を減圧下(浴の温度は35℃であって、36トルとした)で〜10時間濃縮して、粗褐色油状物の目的化合物(569g)を得て、このものはHPLCによって82%APであった。
【0098】
残留酢酸エチルは、GCによって3%であった。KFは0.25%である。1Hおよび13C NMRは、報告されているデータと一致した。主な不純物は、パラ位置異性体であった。
【0099】
B.メタノール(1L)中の1−(2,3−ジフルオロ−6−ニトロフェニル)−プロパン−2−オン(183g)および炭酸カリウム(100g)の混合物を3時間加熱還流した。次いで、該反応混合物を冷却し、そして真空下で濃縮して、ほとんどのメタノールを除去した。該残渣を酢酸エチル(1L)を用いて希釈し、ろ過し、そして水洗した。該分離した水相を2N HClを用いて中和し、そして酢酸エチル(2×500mL)を用いて抽出した。該有機層を合わせてブラインを用いて洗浄し、乾燥し(Na2SO4を使用)、そして真空下で濃縮して褐色固体を得た。該固体をジエチルエーテルを用いてトリチュレートして、そしてろ過して、黄色固体の1−(2−フルオロ−3−メトキシ−6−ニトロフェニル)−プロパン−2−オン(121g、71%)を得た。LC/MS;(M+H)+=228.2。
【0100】
C.上記の工程由来の1−(2−フルオロ−3−メトキシ−6−ニトロフェニル)−プロパン−2−オン(454mg、21mmol)およびピリジニウムクロリド(0.9g、7.8mmol)の混合物を180℃で75分間撹拌した。該反応液を室温まで冷却し、1N HCl(3mL)および酢酸エチル(10mL)を用いて希釈し、そしてろ過した。該ろ液をブライン(2×)を用いて洗浄し、乾燥し、そして真空下で濃縮して灰色固体の1−(2−フルオロ−3−ヒドロキシ−6−ニトロフェニル)−プロパン−2−オン(410mg、96%)を得て、このものを更に精製することなく次の工程に使用した。LC/MS;(M+H)+=214。1HNMR (CDCl3): δ 2.37 (s, 3H), 4.22 (s, 2H), 6.95 (dd, 1H), 7.95 (d, 1H, J = 9.35 Hz)。
【0101】
D.上記の工程由来の1−(2−フルオロ−3−ヒドロキシ−6−ニトロフェニル)−プロパン−2−オン(50g、0.234mol)を2L丸底フラスコに加えた。水(1L)を加え、そして該黄色懸濁液をRTで撹拌した。ジチオン酸ナトリウム(225g、5.5当量)を1回で加え、そして該反応混合物を撹拌し、そしてHPLC分析が出発物質が全く残っていないことを示すまで(典型的には、1時間以下)、30℃以下に保った。完結後に、該反応混合物を0℃まで冷却し、そして黄褐色固体生成物を真空ろ過によって集めた。該湿性生成物をホース真空(house vacuum)下、50℃以下で乾燥して、4−フルオロ−2−メチル−1H−インドール−5−オール(31.4g、81%収率)を得て、黄褐色結晶性粉末として単離した。該物質はHPLC純度が99.8%以上であった。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 7.8 (s, 1H), 6.9-6.7 (m, 2H), 6.2 (s, 1H), 4.7 (s, 1H), 2.4 (s, 3H)。13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 145.7, 143.4, 137.5, 136.7, 134.4, 120.1, 112.7, 106.8, 95.4, 13.3。
【0102】
また、1−(2,3−ジフルオロ−6−ニトロフェニル)−プロパン−2−オンを、以下に記載する別経路によって標題化合物に変換することができる。
【0103】
E.1−(3−ベンジルオキシ−2−フルオロ−6−ニトロ−フェニル)−プロパン−2−オン
1−(2,3−ジフルオロ−6−ニトロフェニル)−プロパン−2−オン(2.5g、HPLC分析による82%純度、9.54mmol)の溶液に、ベンジルアルコール(2.5mL)およびLiOH・H2O(1.07g、25.58mmol)を加えた。次いで、該反応混合物を100〜110℃まで加熱し、そしてこのものをHPLC分析が反応の完結を示すまで、4時間撹拌した。RTまで冷却後に、該反応混合物をジクロロメタン(18mL)を用いて希釈し、そして1N HClを用いてpH6〜7に中和した。相分離し、そして該有機層をブラインを用いて洗浄し、そして集めた。撹拌しながら、ヘプタン(30〜25mL)を該有機溶液に加え、その後に結晶化を開始した。得られたスラリーを0〜5℃まで冷却し、そして更に1時間撹拌した。次いで、該スラリーをろ過し、そして該ろ過ケーキをヘプタンを用いて洗浄した。次いで、該黄色褐色固体を真空下、50℃で12〜15時間乾燥して目的の化合物(1.6g)を得て、このものはHPLC分析によって95%の純度であった。HPLC方法;カラム:YMC Pack Cyano 3μm、4.6×50mm;溶媒A:0.05%TFA/MeOH:水(20:80);溶媒B:0.05%TFA/MeOH:水(20:80);波長:254nm;流速:3mL/分;勾配時間:3分。最終的な%B:100初期ホールド時間:0.5分;出発%B:典型的な保持時間:SM、1.2分;生成物 2.2〜2.3分。
【0104】
F.4−フルオロ−2−メチル−1H−インドール−5−オール
窒素雰囲気下、室温で、無光下、メタノール(300mL)中の上記工程由来の化合物E(20.00g、66.03.30mmol)の溶液に、10%Pd/C(2.0g)およびギ酸アンモニウム(60.0g、0.95mol)を加えた。該反応混合物を3.5時間撹拌し、次いでこのものを酢酸エチル(200mL)を用いて希釈し、そしてセライト(登録商標)/シリカゲルパッドを通してろ過した。次いで、該残渣を以下の方法のいずれかによって精製することができる。
【0105】
真空下での濃縮後に、得られた残渣をクロマトグラフィー(30%酢酸エチル/ヘキサンを用いて溶出)によって精製して、ジクロロメタン/ヘキサンを用いるトリチュレート後に、白色固体の目的化合物(7.32g、67%)を得た。真空下で濃縮後に、該残渣をジクロロメタン中に溶解し、そしてこのものをシリカゲルパッド(ジクロロメタンを用いて洗浄)を通してろ過した。該ろ液を真空下で濃縮して、白色固体の標題化合物(6.66g、61%)を得た。
【0106】
本実施例の化合物Eはまた、以下の2つの別方法によって1−(2−フルオロ−3−ヒドロキシ−6−ニトロフェニル)−プロパン−2−オンに変換することができる。
【化24】

1−(2−フルオロ−3−ヒドロキシ−6−ニトロフェニル)−プロパン−2−オン
(G−1法):
無水酢酸(5mL)および酢酸(5mL)中の1−(3−ベンジルオキシ−2−フルオロ−6−ニトロフェニル)−プロパン−2−オン(3.03g、10mmol)溶液に、室温で臭化水素酸(48%水溶液、3mL)を加えた。添加後に、該反応液を100℃で30分間加熱し、次いでこのものを室温まで冷却した。この混合物に、撹拌しながらヘキサン(10mL)を加えた。該溶液をデカントし、そして濃縮した。該残渣を酢酸エチル(50mL)を用いて希釈し、そしてブライン(3×20mL)を用いて洗浄した。該有機層を乾燥し、そして真空下で濃縮して、褐色固体の1−(2−フルオロ−3−ヒドロキシ−6−ニトロフェニル)−プロパン−2−オン(1.7g、80%)を得て、このものを更に精製することなく、次の工程に使用した。LC/MS;(M+H)+=213.2。
【0107】
(G−2法):
1−(3−ベンジルオキシ−2−フルオロ−6−ニトロフェニル)−プロパン−2−オン(65.0g、0.214mol)およびピリジニウムクロリド(60.74g、0.526mmol)を180℃で1時間撹拌した。該反応混合物を室温まで冷却し、3N HCl(100mL)および酢酸エチル(500mL)を用いて希釈し、そしてろ過した。該水相を酢酸エチル(2×)を用いて抽出し、そして該有機層を合わせてブラインを用いて洗浄し、乾燥し(MgSO4を使用)、シリカゲルのパッドを通してろ過し、そして真空下で濃縮した。該残渣をメタノール中の木炭を用いて脱色し、ろ過し、そして真空下で濃縮して、褐色固体の1−(2−フルオロ−3−ヒドロキシ−6−ニトロフェニル)−プロパン−2−オン(37g、81%)を得た。LC/MS;(M+H)+=213.2。
【0108】
別法として、以下に記載する通り、1−(3−ベンジルオキシ−2−フルオロ−6−ニトロフェニル)−プロパン−2−オンを、5−ベンジルオキシ−4−フルオロ−2−メチル−1H−インドールに変換し、次いでこのものを上記の通り脱ベンジル化することができる。
【0109】
H.メタノール(100mL)中の1−(3−ベンジルオキシ−2−フルオロ−6−ニトロフェニル)−プロパン−2−オン(9.09g、30mmol)およびラネーニッケル(〜5g)の混合物を40℃まで加熱し、次いでメタノール(15mL)中のヒドラジン溶液を激しく撹拌しながら30分間かけて滴下した。1時間還流後に、該反応混合物を室温まで冷却し、セライトを通してろ過し、そして濃縮した。該粗物質をシリカゲルのパッド(ジクロロメタンを用いて溶出)を通してろ過し、そして真空下で濃縮して、黄色がかった油状物の5−ベンジルオキシ−4−フルオロ−2−メチル−1H−インドール(6.1g、80%)を得た。LC/MS;(M+H)+=256.3+

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
XおよびYは独立して、O、OCO、S、SO、SO2、CO、CO2、NR10、NR11CO、NR12CONR13、NR14CO2、NR15SO2、R16SO2NR17、SO2NR18、CONR19、ハロゲン、ニトロ、シアノから選ばれるか、あるいは
XまたはYは存在せず;
1は、水素であり;
Xがハロ、ニトロまたはシアノである場合には、R2は存在せず、そしてYがハロ、ニトロまたはシアノである場合には、R3は存在しないという条件で、
2およびR3は独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、置換アリール、ヘテロシクロ、置換ヘテロシクロ、アラルキル、置換アラルキル、ヘテロアリール、置換へテロアリール、ヘテロシクロアルキル、または置換ヘテロシクロアルキルであり;
6は、Hであり;
7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18およびR19は独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロシクロ、置換ヘテロシクロからなる群から選ばれ;
42は、
【化2】

であり、ここで、
(R43)nにおいて、nは0、1または2であり、各R43は独立して、水素、フッ素、塩素およびメチルからなる群から選ばれ;
44は、メチルまたは水素であり;
但し、
a.XがSO、SO2、NR13CO2、またはNR14SO2である場合には、R2は水素ではあり得ず;そして、
b.YがSO、SO2、NR13CO2、またはNR14SO2である場合には、R3は水素ではあり得ない]
の化合物、若しくはそれらのエナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの医薬的に許容し得る塩、プロドラッグ若しくは溶媒和物の製造法であって、
a)式:
【化3】

(式中、Reは低級アルキルまたはアリールであり、そしてX1はハロゲンである)
の化合物を、フェノキシドまたはアルコキシドを用いる処理によって、式:
【化4】

(式中、Rdは低級アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールである)
の化合物1に変換し;
b)該化合物1をアルキル化して、式:
【化5】

の化合物2を得て;
c)該化合物2をルイス酸の存在下で過酸化物を用いて処理して、式:
【化6】

の化合物3を得て;
d)該化合物3中のフェノール基をアルキル化して、式:
【化7】

(式中、R2はベンジルまたは置換ベンジルである)
の化合物4を得て;
e)該化合物4を加水分解して、式:
【化8】

(式中、R2はベンジルまたは置換ベンジルである)
の化合物5を得て;そして、
f)最初に化合物5をクロロイミデートに変換し、引き続いて該クロロイミデートをアルキル化して、R2がベンジルである化合物6を得て、そして、触媒の存在下で水素供与体を用いる処理により該フェノールを脱保護することによって、R2が水素である化合物6を得ることによって、該化合物5を化合物6:
【化9】

に変換する、
工程を含む、該製造法。
【請求項2】
工程c)において、ルイス酸の存在下で過酸化水素を用いて、該ベンジルアルコールをフェノールに変換する、請求項1記載の製造法。
【請求項3】
式:
【化10】

の化合物の製造法であって、
a)式:
【化11】

(式中、X1はハロゲンである)
の化合物を求核体と反応させて、式:
【化12】

の化合物8を得て;
b)該化合物8を低温でアルキル化剤を用いて処理して、式:
【化13】

の化合物9を得て;そして、
c)該化合物9をルイス酸の存在下で過酸化物を用いて処理して、式:
【化14】

の化合物10を得る、
工程を含む、該製造法。
【請求項4】
工程b)におけるアルキル化剤は、アルキルマグネシウムハライドである、請求項3記載の製造法。
【請求項5】
該アルキルマグネシウムハライドは、メチルマグネシウムブロミドまたはメチルマグネシウムクロリドである、請求項4記載の製造法。
【請求項6】
工程c)において使用する過酸化物は、過酸化水素または過ホウ酸ナトリウムである、請求項4記載の製造法。
【請求項7】
工程c)におけるルイス酸は三フッ化ホウ素である、請求項4記載の製造法。
【請求項8】
式:
【化15】

の化合物の製造法であって、
a)式:
【化16】

のフッ素化化合物を、
b)求核体と反応させて、式:
【化17】

の化合物11を得て;
c)化合物11をアルコキシアニオンと反応させて、式:
【化18】

(式中、Rは保護基である)
の化合物12を得て;
d)該アルコキシ基を脱保護試薬を用いる処理によって、式:
【化19】

の化合物13を得て;そして、
e)化合物13を還元条件下で環化して、化合物14:
【化20】

を得る、
工程を含む、該製造法。
【請求項9】
工程(e)の還元反応は、水、または水および有機溶媒(例えば、THF)の混合物中で亜ジチオン酸ナトリウムを用いる、請求項8記載の製造法。
【請求項10】
工程(d)における還元反応は、ピリジニウムクロリド、ピリジニウムヨードまたは臭化水素を用いる、請求項8記載の製造法。
【請求項11】
少なくとも1つ以上の請求項1記載の化合物を、医薬的に許容し得る担体、および少なくとも1つの更なる抗癌剤または細胞毒性剤と組み合わせて含有する、医薬組成物。
【請求項12】
抗血管新生効果を得るための方法であって、該処置が必要な哺乳類に、抗血管新生を産生するのに有効な量の請求項1記載の製造法によって製造される化合物の少なくとも1つを投与することを含む、該方法。
【請求項13】
血管浸透性低下効果を得るための方法であって、該処置が必要な哺乳類に、血管浸透性を低下するのに有効な量の請求項1記載の製造法によって製造される化合物の少なくとも1つを投与することを含む、該方法。
【請求項14】
増殖因子受容体のタンパク質キナーゼ活性を抑制するための方法であって、該処置が必要な哺乳類に、タンパク質キナーゼを抑制するに有効な量の請求項1記載の製造法によって製造される化合物の少なくとも1つを投与することを含む、該方法。
【請求項15】
増殖因子受容体のチロシンキナーゼ活性を抑制するための方法であって、該処置が必要な哺乳類に、チロシンキナーゼを抑制するのに有効な量の請求項1記載の製造法によって製造される化合物の少なくとも1つを投与することを含む、該方法。
【請求項16】
増殖因子受容体を通じて作動するシグナル伝達経路に関係する疾患を処置するための方法であって、該処置が必要な哺乳類に、治療学的に有効な量の請求項1記載の製造法によって製造される化合物の少なくとも1つを投与することを含む、該方法。

【公表番号】特表2006−502120(P2006−502120A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−523221(P2004−523221)
【出願日】平成15年7月21日(2003.7.21)
【国際出願番号】PCT/US2003/022755
【国際公開番号】WO2004/009542
【国際公開日】平成16年1月29日(2004.1.29)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【Fターム(参考)】