ファルネシルジベンゾジアゼピノン製剤
本発明は、ファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物、またはその類似物、または医薬的に許容される塩またはプロドラッグおよび医薬的に許容される界面活性剤を含み、改良された化学的および生物学的性質を有する医薬製剤に関する。そのような製剤は、非経口または非経口ではない投与に適した、すぐに使用できる溶液またはその場ですぐに調製できるバルク製剤である。本発明は、前記製剤を使用した治療方法およびその調製方法にも関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2005年6月2日に申請した仮出願USSN 60/686,394の35 USC §119に基づく有効性を主張し、全ての教示は、全目的のために参考資料として本明細書の一部とする。
【0002】
(本発明の分野)
本発明は、ファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物、すなわち、以下に定義される化合物1、またはその類似物または医薬的に許容される塩またはプロドラッグを含む医薬製剤に関する。そのような製剤は、経口または鼻腔内を含む経口投与または非経口ではない投与に適したすぐに使用できる溶液、またはその場ですぐに再調整できるバルク製剤である。さらに、本発明は、製剤の製造方法、そのような製剤の使用方法および薬物の製造におけるその使用方法にも言及する。
【背景技術】
【0003】
新しいファルネシルジベンゾジアゼピノンである化合物1は、放線菌類、ミクロモノスポラ菌種の新種から分離される。化合物1の生成方法は、2004年1月21日に申請された米国特許出願番号10/762,107 および2004年8月に出版されたWO 2004/065591に開示されている。化合物1は、抗炎症作用、抗菌および抗癌活性を含む生化学的活性の効力も示した。2004年9月27日に申請された米国特許出願番号10/951,436は、動物モデルでのファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物1のin vivo抗癌効力を記述している。化合物1の類似物は、2004年11月8日申請された米国特許仮出願60/625,653 で開示されている。各USSN 10/762,107、WO 2004/065591、USSN 10/951,436およびUSSN 60/625,653は、参考資料としてそのまま本明細書の一部とする。
【0004】
ファルネシルジベンゾジアゼピノンおよび類似物は、親油性で、水性媒体に容易に溶解されない。強化された活性化合物の溶解度に加え、製剤の安定性および生理学的適合性も非経口投与において必要とされる。
【0005】
溶液が使用前に視覚的に透明であることが、非経口製剤におけるUSP (米国薬局方)の条件の一つである。従って、溶液が直接使用されるか、または粉末あるいは濃縮から溶媒を添加することにより再調製されるかに関わらず、無色透明な溶液のバイアルが投与前に所望される。さらに、この基準に適合するために、微粒子の数を最低限に抑えなければならない。微粒子は、有効性がなく、毛細血管を塞ぎ、健康に重大な悪影響を及ぼす可能性のある未溶解薬物を意味する。しかし、脂肪または脂質の乳濁液または懸濁液などの製剤は、非経口使用用にも開発されている。
【0006】
疎水性薬物の調製方法の一つは、界面活性剤の使用である。化学療法での医薬的用途に対して市販される界面活性剤を使用した薬物の製剤には、Bristol Myers Squibb からのVePesidTM (ポリソルベート80を用いたエトポシド)、VumonTM (CremophorTM EL (ポリオキシエチル化ヒマシ油)を用いたテニポシド)およびTaxolTM (CremophorTM EL を用いたパクリタキセル)の3つ、そしてSanofi Aventis からのTaxotereTM (ポリソルベート80のドセタキセル)がある。医薬的界面活性剤の経口使用が許容されるため、界面活性剤を使用したバルク非経口製剤も、ゼラチンカプセル、ゲルーレスまたは溶液、乳濁液または懸濁液に取り込まれるなどの経口調合物を製造するために直接使用されてよい。
【0007】
非経口薬物製剤は、リポソーム技術を使用して調製されてもよい。リポソーム製剤は、例えば、薬物の生物利用性を増大するため、組織の特異的送達、薬物毒性の減少および注入部位における壊死または他の有害な作用を生じる沈殿の阻止のために使用される。化学療法剤送達のためのリポソーム製剤の一般原則は、1999年に出版された総論に記述されている(Drummond D.C. et al, Pharmacological Reviews (1999), vol. 51, no. 4, 691-743)。効果的な医薬的治療としてのリポソーム薬物製剤の例は、抗真菌剤アンフォテリシン(AmbisomeTM, Gilead)、および抗癌剤ダウノルビシン(DaunoXomeTM, Gilead)および ドキソルビシン(DoxilTM, Alza, およびMyocetTM, Elan)である。リポソーム製剤の他の例は、老化関連黄斑変性用のVisudyneTM (QLT 光線療法) として市販されている非水溶性ベンゾポルフィリンである。
【0008】
疎水性薬物に対するリポソーム製剤も、パクリタキセルおよびドセタキセルなどのタクサン類(Straubinger 等, Pharmaceutical Research (1994), vol. 11, no. 6, 889-896; Bernacki 等, Int. J. Cancer (1997), vol. 71, 103-107; Cattel 等, J. Control. Release (2000), vol. 63, 19-30 and (2003), vol. 91, 417-429; Straubinger 等, AAPS PharmSci (2003), vol. 5, no. 4, Article 32, 1-11; Soepenberg 等, Eur. J. Cancer (2004), vol. 40, 681-688)を使用して、ポルフィリンなどの光感作剤(Reddi, J. Photochem. Photobio. B: Biology (1997), vol. 37, 189-195; Gurny 等, J. Photochem. Photobio. B: Biology (2002), vol. 66, 89-106; Sagrista 等, Int. J. Pharmaceutics (2004), vol. 278, 239-254; de Witte et al, Adv. Drug Delivery (2004), vol. 56, 17-30; Namiki 等, Pharmacological Research (2004), 65-76)を使用して、およびHCT(ヒドロクロロチアジド)およびCT (クロロチアジド)などのチアジド系利尿薬(Antimisiaris et al, J. Drug Targeting (2001), vol. 9, no. 1, 61-74)を使用して研究されている。
【発明の開示】
【発明の効果】
【0009】
本発明は、以下に定義されるファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物、すなわち、化学式Iの化合物、化合物1から130のいずれか一つ、化合物1、以下に定義される化合物2から7、9から11、14、17、18、46、63、64、67、77、78、80、82から85、87、89、92、95から98、100から103および105のいずれか一つ、またはエーテル、エステル、N-アルキル化またはN-アシル化派生物、または医薬的に許容される塩、活性成分としての上述の化合物のいずれか一つのプロドラッグの溶媒和、および医薬的に許容される担体またはビヒクル(vehicle)を含む適切な医薬製剤に関する。
【0010】
一側面において、本発明は、投与直前に混合および/または稀釈してまたはせずに、非経口または非経口でない送達に適したファルネシルジベンゾジアゼピノン濃度で医薬製剤を提供する。他の実施形態において、製剤は、非経口投与に適したすぐに使用できる水溶性溶液である。他の実施形態において、製剤は、非経口投与直前に再調製するバルク製剤である。さらなる実施形態において、製剤は、遊離またはリポソームファルネシルジベンゾジアゼピノンを含む。
【0011】
ある側面において、本発明は、ファルネシルジベンゾジアゼピノンおよび医薬的に許容される疎水性担体を含む製剤を提供する。ある実施形態において、疎水性担体は、少なくとも一つの医薬的に許容される界面活性剤を含む。他の実施形態において、界面活性剤は、ソルビタンエステル、リン脂質、コハク酸トコフェロールPEGまたはポリオキシエチル化ヒマシ油である。他の実施形態において、界面活性剤は、ポリソルベート80(例えば、TweenTM 80またはCrillet 4 HPTM)、ポリソルベート60、ポリソルベート40およびポリソルベート20、より好ましくは、ポリソルベート60または80、最も好ましくは、ポリソルベート80から選択されるソルビタンエステルである。 他の実施形態において、界面活性剤は、ポリオキシエチル化ヒマシ油である。他の実施形態において、界面活性剤は、脂質、好ましくは、リン脂質またはリン脂質派生物である。本実施形態のサブクラスにおいて、界面活性剤がリン脂質またはリン脂質派生物の場合、製剤は、リポソーム製剤である。好ましくは、リポソームの直径が約20 nm から約1000 nm の範囲、より好ましくは、約80 nm から約300 nm の範囲である。さらなる実施形態において、界面活性剤の活性成分に対する重量比は、約1:1から約100:1、好ましくは、約2:1から約50:1、より好ましくは、約5:1から約30:1、最も好ましくは、約10:1から約25:1である。
【0012】
本発明は、活性成分、界面活性剤および医薬的に許容される溶媒として、ファルネシルジベンゾジアゼピノンまたは医薬的に許容される塩またはそのプロドラッグを含む製剤をさらに提供する。ある実施形態において、溶媒は、エタノール、プロピレングリコール、グリコフロール、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンおよびグリセリン、好ましくは、エタノールまたはプロピレングリコール、より好ましくは、エタノールUSP から選択される。他の実施形態において、製剤は、溶媒の活性成分の重量比が約1:1から約100:1、好ましくは、約1:1から約50:1、より好ましくは、約1:1から約15:1、最も好ましくは、約2:1から約10:1の範囲である。
【0013】
本発明は、活性成分、界面活性剤および溶解補助剤としてファルネシルジベンゾジアゼピノンまたは医薬的に許容される塩またはそのプロドラッグを含む製剤をさらに提供する。ある実施形態において、製剤は、セトリミド、ドクサートナトリウム、グリセリルモノオレート、ポリビニルピロリドン(ポビドン, PVP)およびポリ(エチレングリコール)(PEG)から選択される溶解補助剤、好ましくは、PVP またはPEG 400から選択される親水性重合体をさらに含む。 他の実施形態において、溶解補助剤の活性成分に対する重量比は、約1:1から約100:1、好ましくは、約1:1から約50:1、より好ましくは、1:1から約15:1、最も好ましくは、約2:1から約10:1である。さらなる実施形態において、製剤は、医薬的に許容される溶媒をさらに含む。
【0014】
本発明は、活性成分、界面活性剤および抗酸化剤としてファルネシルジベンゾジアゼピノンまたは医薬的に許容される塩またはそのプロドラッグを含む製剤をさらに提供する。ある実施形態において、抗酸化剤は、アスコルビン酸ナトリウムなどのアスコルビン酸またはアスコルビン酸塩である。他の実施形態において、公抗酸化剤の活性成分に対する重量比は、約1:20から約20:1、好ましくは、約1:10から約10:1、さらに好ましくは、約1:5から約5:1、最も好ましくは、約1:5から約2:1である。さらなる実施形態において、本発明は、医薬的に許容される溶媒または溶解補助剤または両方をさらに含む。
【0015】
本発明は、活性成分、界面活性剤および水性媒体としてファルネシルジベンゾジアゼピノンまたは医薬的に許容される塩またはそのプロドラッグを含む製剤をさらに提供する。ある実施形態において、製剤は、バルク製剤であり、水性媒体は、滅菌水または注射用水である。他の実施形態において、水の活性成分に対する重量比は、約1:2から約50:1、好ましくは、約1:2から約25:1、より好ましくは、約1:1から約10:1、最も好ましくは、約1:1から約5:1である。他の実施形態において、製剤は、すぐに使用できる溶液であり、水性媒体は、注射用水、注射用減菌水、水中の生理食塩またはデキストロース、好ましくは、水中で0.9% 生理用食塩水または5% デキストロース(D5W)である。他の実施形態において、すぐに使用できる製剤の活性成分の濃度は、製剤の約0.01から約50 mg/mLの総容量、好ましくは、約0.05から約35 mg/mL、より好ましくは、約0.1から約20 mg/mL、最も好ましくは、約1から約10 mg/mLである。さらなる実施形態において、製剤は、医薬的に許容される溶媒、溶解補助剤または抗酸化剤またはその組み合わせをさらに含む。
【0016】
本発明は、バルク製剤の調製方法である、任意の順序で、ファルネシルジベンゾジアゼピノンまたは医薬的に許容される塩またはそのプロドラッグおよび界面活性剤を混合するステップを含む方法も提供する。ある実施形態において、本方法は、少なくとも一つの溶解補助剤の取り込みを含む。他の実施形態において、本方法は、PVPおよびPEG 400から選択される少なくとも一つの溶解補助剤の取り込みを含む。他の実施形態において、本方法は、安定剤、好ましくは、抗酸化剤を含む添加剤の取り込みを含む。さらなる実施形態において、抗酸化剤は、少なくとも一つのアスコルビン酸またはアスコルビン酸塩、好ましくは、アスコルビン酸ナトリウムを含む。また他の実施形態において、添加剤は、少なくとも一つのアスコルビン酸またはアスコルビン酸塩、好ましくは、アスコルビン酸ナトリウムおよび水性媒体を含む。
【0017】
本発明は、製剤の調製方法である、a)活性成分とエタノールを混合することにより組み合わせてエタノール溶液を得るステップと、b)抗酸化剤と減菌水を混合することにより組み合わせて水溶液を得るステップと、c)親水性重合体と界面活性剤を混合することにより組み合わせて混合液を得るステップと、d)ステップ(a)のエタノール溶液とステップ(c)の混合液を混合することにより組み合わせるステップと、e)ステップ(b)の水溶液とステップ(d)の溶液を混合することにより組み合わせて医薬製剤を生産するステップとを含む方法をさらに提供する。ある実施形態において、調製された製剤は、バルク製剤である。
【0018】
他の側面において、本発明は、すぐに使用できる製剤の調製方法である、(a) 製剤に適した形態でファルネシルジベンゾジアゼピノンを含むバルク製剤を提供するステップと、(b) (a) で提供されたバルク製剤と水性媒体組成物を任意の順序で混合するステップを含む方法を提供する。ある実施形態において、バルク製剤は、一つ以上の添加剤をさらに含む。好ましい実施形態において、添加剤は、一つ以上が好ましくは界面活性剤である、一つ以上の溶解補助剤である。他の実施形態において、任意で、バルクファルネシルジベンゾジアゼピノン製剤は、ファルネシルジベンゾジアゼピノンのリポソーム形態または医薬的に許容される塩またはそのプロドラッグである。他の実施形態において、水性媒体は、注射用水、注射用滅菌水、水中の生理用食塩およびデキストロース、好ましくは、水中0.9% の生理用食塩または5%のデキストロース(D5W)から選択される。他の実施形態において、混合ステップ(b) は、投与直前に実施される。
【0019】
本発明は、すぐに使用できる製剤の調製方法である、(a)ファルネシルジベンゾジアゼピノンを含む個体形態を提供するステップと、(b) (a) で提供された個体形態と界面活性剤および水性媒体組成物および一つ以上の添加剤を含むビヒクルをあらゆる順序で混合するステップを含む方法を提供する。ある実施形態において、添加剤は、一つ以上の溶媒、一つ以上の溶解補助剤または界面活性剤およびその組み合わせから選択される。
【0020】
本発明は、製剤の調製方法である、(a) 水性媒体中で、ファルネシルジベンゾジアゼピノンとリポソームが形成されるように脂質界面活性剤を混合するステップと、(b) バルク製剤を製造するために、水溶性リポソームファルネシルジベンゾジアゼピノンを凍結乾燥するステップを含む方法をさらに提供する。ある実施形態において、本方法は、(c) すぐに使用できる製剤を製造するために、(b) で得られたバルク製剤と水性媒体組成物を任意の順番で混合するステップをさらに含む。他の実施形態において、バルク製剤はリン脂質を含む。他の実施形態において、バルク製剤は、リン脂質および一つ以上の添加剤を含む。他の実施形態において、水性媒体は、注射用水、注射用滅菌水、水中の生理用食塩およびデキストロース、好ましくは、水中(D5W)で0.9% 生理用食塩または5%デキストロースから選択される。他の実施形態において、混合ステップ(c)は、投与直前に実施される。
【0021】
また他の側面において、本発明は、腫瘍性疾患の治療用に密封されたバイアルに非経口的に供給される医薬組成物と説明書を含む製品、キットまたは市販パッケージを提供する。 ある実施形態において、本発明は、本発明のバルク製剤を含む最初のバイアル、生理学的に適した水溶媒体を含む第二バイアル、および腫瘍性疾患の治療用説明書を含む製品を提供する。ここで、第二バイアルの前記水性媒体は、最初のバイアルのバルク製剤を溶解する。
【0022】
さらなる側面において、本発明は、哺乳類における腫瘍症の治療で使用するための説明書とともに、化学式Iの化合物または医薬的に許容される塩またはそのプロドラッグの連続的静脈内注入投与を含む、連続的静脈内注入用の市販パッケージ、キットまたはシステムを提供する。ある実施形態において、注入投与は、濃縮された形態で、市販パッケージ、キットまたはシステムは、注入用との再調製用に水性媒体を含む前充填したシリンジまたは他の容器をさらに含む。他の実施形態において、市販パッケージ、キットまたはシステムは、注入バックをさらに含む。他の実施形態において、市販パッケージ、キットまたはシステムは、コネクタをさらに含む。また他の実施形態において、市販パッケージ、キットまたはシステムは、ポンプコネクタおよび耐サイフォン弁を含む投与セットをさらに含む。他の実施形態において、市販パッケージ、キットまたはシステムは、移動性注入ポンプをさらに含む。
【0023】
他の側面において、本発明は、非経口投与に使用されるすぐに使用できる製品またはその場ですぐに調製できる製品を提供するための一つまたは二つに区分されたシリンジに充填された非経口的に供給される稀釈されたまたはバルク製剤を含む、製品、キットまたは市販パッケージを提供する。
【0024】
本発明は、上述のような製剤、さらに一つ以上の添加剤を含む経口または鼻腔内に供給可能な製剤を提供する。ある実施形態において、バルク製剤は、任意に腸溶性被覆されたカプセルに充填され、経口投与に使用される。他の実施形態において、バルク製剤は、溶液、懸濁液または乳濁液を生成するために適切な媒体に稀釈され、経口投与に使用される。
【0025】
さらなる側面において、本発明は、ファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物を用いた治療が示唆される状態または疾患、すなわち、腫瘍または腫瘍性疾患を患う患者の治療方法である、本明細書に記述される医薬的に効果のある量の製剤を投与するステップを含む方法を提供する。ある実施形態において、製剤は、非経口的に投与される。本発明は、抗腫瘍剤、抗癌剤または抗悪性腫瘍剤として、本明細書に記述されるような製剤の使用をさらに提供する。本発明は、腫瘍性疾患の治療に役立つ薬物の製造におけるそのような製剤の使用をさらに提供する。
【0026】
本発明の製剤により治療可能な腫瘍性疾患の例は、白血病、メラノーマ、中枢神経系癌(神経こう芽種、神経こう肉種、星状こう細胞腫および乏突起細胞腫を含む)乳癌、肺癌、膵臓癌、卵巣癌、腎臓癌、結腸および大腸癌、および前立腺癌などの哺乳類の腫瘍を含む。他の実施形態において、上述の方法および使用における腫瘍性疾患は、白血病、乳癌、前立腺癌およびCNS 癌から選択される。
【0027】
(本発明の詳細な説明)
本発明は、ファルネシルジベンゾジアゼピノンまたは医薬的に許容される塩またはそのプロドラッグを含み、非経口投与に適した医薬製剤に関する。本発明の実施形態において、製剤は、ファルネシルジベンゾジアゼピノンおよび生理学的に適合性のある媒体および任意で一つ以上の添加物を含むバルク組成物である。他の実施形態において、製剤は、非経口投与直前に調製される。
【0028】
本発明は、ファルネシルジベンゾジアゼピノンまたはその医薬的に許容される塩またはプロドラッグを含み、リポソームに装填された、非経口投与に適した医薬製剤にさらに関する。本発明の実施形態において、製剤は、リポソームファルネシルジベンゾジアゼピノンおよび生理学的に適合性のある媒体を含むバルク製剤である。他の実施形態において、製剤は、非経口投与の直前に調製される。
【0029】
また他の側面において、本発明は、前記製剤の調製方法を提供する。方法の一つは、バルクファルネシルジベンゾジアゼピノン製剤を提供するステップとそれを医薬的に許容される媒体に溶解するステップとを含む。本方法の一側面において、バルクファルネシルジベンゾジアゼピノン製剤はリポソーム調合物である。
【0030】
ある側面において、本発明は、腫瘍、前癌および癌などの病気を治療する方法を提供し、前記方法は、本明細書に記述される製剤を必要とする患者に投与することを含む。
【0031】
他の側面において、本発明は、前記病気の治療に対する製剤の製造においてファルネシルジベンゾジアゼピノン製剤の使用を提供する。本発明は、腫瘍性疾患の治療における本発明の製剤の使用をさらに提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
I 定義
定義されない限り、本明細書で使用される専門用語および科学用語の全ては、本発明が属する分野に精通する者により通常理解される意味を有する。
【0033】
用語「薬物」、「活性成分」、「活性医薬的成分」、「API」または「ファルネシルジベンゾジアゼピノン」とは、ファルネシル部分分子を含有するジベンゾジアゼピノン化合物のクラス、およびそのような化合物の派生物を意味する。その用語は、これに制限されるものではないが、化合物1として本明細書に示される10-ファルネシル-4,6,8-トリヒドロキシ-ジベンゾジアゼピン-11-one、または化合物2から87または化学式Iとして定義される化合物の類似体または医薬的に許容される塩またはそのプロドラッグを含む。
【0034】
用語「医薬的に許容される塩またはプロドラッグ」とは、哺乳類に投与されるとき、化学式Iの化合物または生物学的活性代謝物またはその残留物を直接または間接的に提供することができる、あらゆる医薬的に許容されるエステル、エステルの塩、またはファルネシルジベンゾジアゼピノンの他の派生物のいずれかを意味する。特に所望される塩またはプロドラッグは、そのような化合物が(例えば、経口投与される化合物が血中により容易に吸収可能にすることにより)哺乳類に投与される時、本発明の化合物の溶解度、有効性または生物利用性などの改良された性質を有する、または親種に関する生物学的部分(例えば、脳またはリンパ系)に親化合物の供給を強化するものである。本発明の化合物の医薬的に許容されるプロドラッグは、これに制限されないが、カルバメート、アシルオキシメチルおよびアシルオキシエチル派生物、エステル類、アミノ酸エステル類、リン酸エステル類、硫酸またはスルホン酸エステル類を含む。塩は、酸添加塩および塩基添加塩の双方を意味する。塩の性質は、医薬的に許容される場合、重要ではない。酸添加塩の例は、これに制限されるものではないが、塩化水素酸、塩化臭素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、カルボン酸、硫酸、リン酸、蟻酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、シュウ酸、リンゴ酸、グルタミン酸、プロピオン酸、グリコール酸、グルコン酸、マレイン酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、パントテン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、スルファニル酸、メシル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、ステアリン酸、アルギン酸、β-ヒドロキシ酪酸、マロン酸、ガラクタル酸、ガラクツロン酸などを含む。適切な医薬的に許容される塩基添加塩は、これに制限されるものではないが、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛から生成された金属塩、またはN,N’-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン、リジン、プロカインなどから生成された有機塩を含む。医薬的に許容される塩のさらなる例は、Berge等、Journal of Pharmaceutical Sciences (1977), vol 66, no1, 1-19にリストされている。これら全ての塩は、適切な酸または塩基を用いて化合物を処理することによりファルネシルジベンゾジアゼピノンから従来の方法で調製されてよい。
【0035】
用語「溶媒和」とは、有機または無機にかかわらず、一つ以上の溶媒分子を伴う化合物の物理的関連を意味する。この物理的関連は、水素結合を含む。ある場合には、溶媒和は、例えば、一つ以上の溶媒分子が結晶固形物の結晶格子に取り込まれる場合、単離することができる。「溶媒和」とは、溶相および単離可能溶媒和(isolable solvates)の双方を含む。溶媒和物の例は、水和物、エタノラート、メタノラートなどを含む。
【0036】
本発明の用語「製剤」または「組成物」は、非経口投与または経口または鼻腔内投与に適した、以下に定義されるファルネシルジベンゾジアゼピノンおよび医薬的に許容される担体または媒体を含むすぐに使用できる医薬的に許容される製剤または医薬的に許容される再調製可能なバルク製剤を意味する。本明細書で使用されるように、「医薬組成物」または「医薬製剤」は、医薬的に効果のある量のファルネシルジベンゾジアゼピノンおよび医薬的に許容される担体を含む。
【0037】
本発明の用語「バルク製剤」または「バルク組成物」は、後の調合、調製または配合のために、バルク形態の医薬的に許容される濃縮された製剤を意味する。バルク製剤は、非経口または経口または鼻腔内投与用に医薬的に許容される形態にさらに調製または再調製されてよい。バルク製剤は、活性成分および医薬的に許容される担体または媒体を含む。バルク製剤は、任意で一つ以上の添加剤を含み、任意でリポソームバルク製剤であってよい。
【0038】
本発明の用語「再調製」または「すぐに使用できる」製剤または組成物、および同等の表現は、非経口投与用に医薬的に許容されるすぐに使用できる濃度を有する医薬的に許容される製剤を意味する。再調製された製剤は、非経口投与または経口または鼻腔内投与用に医薬的に許容され、生理学的に適合する形態への再調製の結果またはさらなる稀釈またはバルク製剤の生成であってよい。バルク製剤は、活性成分および医薬的に許容される担体または媒体を含む。バルク製剤は、任意で一つ以上の添加剤をさらに含み、任意でリポソームバルク製剤であってよい。
【0039】
用語「医薬的に許容される担体」は、一つ以上の非毒性の医薬的に許容される担体および/または稀釈剤および/または補助剤および/または賦形剤を意味し、本明細書で一括して「担体」材料として呼ばれ、所望するなら、治療剤の投与のために他の活性成分または添加剤を含む。医薬的に許容される担体の例は、これに制限されるものではないが、生理食塩水、緩衝生理食塩水、5%デキストロース、水、グリセロール、エタノール、プロピレングリコール、ポリ(エチレングリコール)(例えば、PEG 300および400)、疎水性担体、ポリソルベート80(例えば、TweenTM 80またはCrillet 4 HPTM)、ポリオキシエチル化ヒマシ油(例えば、Cremophor ELTM)、ポロキサマー407および188およびその組み合わせなどの溶媒、媒体または媒質を含む。用語は、特定的に細胞培養培地を除く。経口投与薬物において、医薬的に許容される担体の例は、これに制限されるものではないが、不活性稀釈剤、壊変剤、結合剤、潤滑剤、甘味剤、香味剤、着色剤および防腐剤などの医薬的に許容される賦形剤も含む。
【0040】
用語「疎水性担体」とは、疎水性薬物の医薬製剤に使用される担体を意味する。疎水性担体の例は、これに制限されるものではないが、脂肪乳濁液、界面活性剤、脂質、PEG化リン脂質、重合体母材、生物学的適合重合体およびリポスフィア、小胞、ミセル、粒子およびリポソームを含む。
【0041】
用語「媒体」、「溶媒」または「媒質」は、非経口投与用にバルク製剤またはすぐに使用できる製剤のいずれかを得るために、薬物または製剤を溶解する溶媒として働く液体を意味する。媒体は、水溶性または水混和性(水溶性補助溶剤)、または非水溶性(油性)であってよい。補助溶剤の例は、これに制限されるものではないが、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリ(エチレングリコール)300 NF 、N-メチルピロリドン、グリコフロール、ソルビトールおよびN,N-ジメチルアセトアミドを含む。水性媒体または媒質の例はこれに制限されるものではないが、注射用水、0.9% 生理食塩水、緩衝生理食塩水および水中の5% デキストロース(D5W)を含む。非水溶性または油性媒体の例は、これに制限されないが、ピーナッツ油、コーン油、綿実油、胡麻油、大豆油、エチルオレアートおよびイソプロピルミリステートを含む。
【0042】
用語「医薬的に許容される界面活性剤」または「界面活性剤」は、液体の表面張力を軽減し、2つの液体間の界面張力を下げる医薬的に許容される物質、またはその組み合わせを意味する。界面活性剤は、通常、疎水性基(その「テイル」)と親水性基(その「ヘッド」)の双方を含むという意味の両親媒性の有機化合物である。従って、これらは、一般的に、有機溶剤および水双方に溶けにくい。界面活性剤は、そのヘッドに正式に荷電された基の存在または不在により分類される。非イオン界面活性剤は、そのヘッドに荷電された基をもたない。イオン界面活性剤のヘッドは、実質荷電を保有する。荷電が陰性なら、界面活性剤は陰イオン性であり、荷電が陽性なら、陽イオン性であり、2つの逆荷電された基を有するヘッドと含むなら、双イオン性である。界面活性剤の例は、これに制限されないが、ポリオキシエチル化ヒマシ油(例えば、Cremophor ELTM)、トコフェロールPEGコハク酸、ポロキサマー(例えば、ポロキサマー407および188)、ポリソルベート80(例えば、TweenTM 80 もしくは Crillet 4 HPTM)、ポリソルベート60、ポリソルベート40およびポリソルベート20などのソルビタンエステルおよび脂質(例えば、リン脂質)を含む。医薬的使用に適した界面活性剤のさらなる例は、例えば、米国特許6,761,903 (Chen所有)に記述されている。界面活性剤は、溶液中でミセル(例えば、ポリソルベート)として知られる凝集体またはリポソーム(例えばリン脂質)に結合してもよい。
【0043】
用語「リポソーム」および「リポソーム製剤」は、完全に閉鎖した脂質二層膜を意味する。リポソームは、単一ラメラ小胞(単一二層膜を保有する)または多重ラメラ小胞(複数の膜層を保有し、各膜は水性層で次の膜と分離される)であってよい。二層構造は、脂質の疎水性テイルが中心に向かい、親水性ヘットが水性相に向かうようになっている。リポソームの生成に使用される脂質の例は、これに制限されないが、天然または派生リン脂質、αトコフェロール有機酸派生物およびコレステロールヘミコハク酸の塩形状、およびその組み合わせを含む。リン脂質は、これに制限されないが、ホスファチジルコリン(例えば、EPC、HEPC、SPC、HSPC、 DLPC、DMPC、DPPC、DSPC、DOPC、POPC)、スフィンゴミエリン(例えば、ESM、MSM)、ホスファチジルエタノールアミン(DMPE、DPPE、DSPE、DOPE )、ホスファチジルグリセロール(例えば、EPG、DMPG、DPPG、DSPG、POPG )およびリン酸塩(例えば、DMPA、DPPA、DSPA ))、セラミド(例えば、C2CER, C8CER, C14CER, C16CER, C18CER, C20CER )、およびビオチン化またはペグ化されたリン脂質およびセラミド(例えば、PEG2000DSPE, PEG2000DMPE, PEG2000DPPE および PEG2000CnCER (n=8, 14, 20))を含む。リポソーム製剤は、脂質2層の安定化を助けるコレステロールなどの添加剤も含んでよい。バルク粉末を製造するためにリポソーム製剤が凍結乾燥される時など、他の添加剤、例えば、抗凍結剤またはバルク剤(例えばポリビニルピロリドンまたはマンニトール)も使用されてよい。
【0044】
用語「リポソーム薬物」は、リポソームの閉鎖された脂質二層膜内に含まれることにより、外部水性相から分離される薬物または活性成分を意味し、薬物は、小胞の中心部に存在するか、脂質二層の脂質に溶解されてもよい。よって、用語「薬物装填されたリポソーム」は、前記活性成分を含むリポソーム形態を意味する。
【0045】
用語「賦形剤」または「添加剤」は、活性成分以外の、製剤に含まれ、例えば、薬物の性質および投与方法などによる異なる目的をもつ医薬的に許容される添加剤を意味する。賦形剤の例は、これに制限されないが、担体、補助溶剤、安定化剤、溶解剤および界面活性剤、緩衝液、抗酸化剤、浸透圧調節剤、バルク剤、潤滑剤、乳濁液、懸濁液または粘性剤、抗菌剤、キレート剤、防腐剤、甘味剤、芳香剤、香味剤、投与補助およびその組み合わせを含む。賦形剤または添加剤のいくつかは、その性質および製剤の性質により、一つ以上の機能または使用の可能性を備えてよい。
【0046】
用語「補助溶剤」および「溶解補助剤」は、生理学的に許容される製剤の活性成分の溶解度を強化する、医薬的に許容される賦形剤を意味する。適切な補助溶剤は、これに制限されないが、KollidonTM 12PFまたは17PFなどの PVP (ポリビニルピロリドンまたはポビドンとして知られる)、PEG 300および400 (例えば、 LutrolTM E400)などのPEG(ポリ(エチレングリコール))、セトリミド、ドキュセートナトリウム、グリセリルモノオレート、ラウリル硫酸ナトリウムおよび界面活性剤を含んでよい。
【0047】
用語「安定化剤」または「安定剤」は、製剤の活性成分の物理的または化学的安定性を強化する、医薬的に許容される賦形剤を意味する。適切な安定化剤の例は、これに制限されないが、緩衝液、抗酸化剤、キレート剤、クライオおよび水解防止剤、デリバリー重合体(溶解補助剤も)バルク剤、浸透圧調節剤および抗菌剤を含む。
【0048】
用語「抗酸化剤」は、活性成分より早く酸化されるまたは酸化を防ぐことにより活性成分の酸化を防ぐ、医薬的に許容される賦形剤を意味する。抗酸化剤の例は、これに制限されないが、アセトン重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、システイン、システイナート塩酸塩、亜ジチオン酸ナトリウム、ゲンチシン酸、ゲンチシン酸エタノールアミン、グルタミン酸モノナトリウム塩、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、モノチオグリセロール、プロピルガレート、亜硫酸ナトリウム、チオグリコレートナトリウム、ビタミンE 、アスコルビン酸およびアスコルビン酸ナトリウムなどのアスコルビン酸塩を含む。
【0049】
用語「乳化剤」は、油または脂肪乳濁液などの乳濁液の調製または安定化を強化する医薬的に許容される賦形剤を意味する。乳化剤の例は、これに制限されないが、卵または大豆レシチンなどのリン脂質、またはポロキソマーなどの界面活性剤、およびポリソルベートおよびポリオキシエチレンヒマシ油などの他のポリオキシエチレン派生物を含む。
【0050】
用語「緩衝液」は、緩衝システム特有の特定の範囲内に溶液のpHを維持するのを補助する、分解阻止を補助する、および/または生理学的pH調節の維持を補助する、医薬的に許容される賦形剤を意味する。適切な緩衝液は、これに制限されないが、酢酸、クエン酸、リン酸、酒石酸、乳酸、アスコルビン酸、コハク酸、アミノ酸などを含む。
【0051】
用語「バルク剤」とは、製剤にバルクを添加することにより乾燥または冷凍乾燥時に適切なケーキを形成する医薬的に許容される賦形剤を意味する。適切なバルク剤は、これに制限されないが、マンニトール、グリシン、ラクトース、スクロース、トレハロース、デキストラン、ヒドロキシエチルスターチ、フィコールおよびゼラチンを含む。
【0052】
用語「浸透圧調節剤」は、溶液中に存在するとき、薬物が患者の組織細胞に生理学的に適合するように低張液を等張に調節することにより、添加されると注入の痛みを軽減する医薬的に許容される賦形剤を意味する。浸透圧調節剤の例は、これに制限されないが、グリセリン、ラクトース、マンニトール、デキストロース、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムおよびソルビトールを含む。
【0053】
用語「抗菌剤」は、製剤中の微生物の繁殖を阻止する医薬的に許容される添加物を意味する。抗菌剤の例は、これに制限されないが、硝酸フェニル水銀、チメルソール 、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、フェノール、クレゾール、クロロブタノールを含む。
【0054】
用語「投与補助」は、投与および/または薬物の活性を補助する医薬的に許容される賦形剤を意味する。投与補助の例は、これに制限されないが、局所麻酔剤(ベンジルアルコール、キシロカインHCl およびプロカインHCl など)、抗炎症剤(ハイドロコルチゾンなど)、抗凝固剤(ヘパリンなど)、延長用精管収縮剤(エピネフリンなど)または組織透過性を増加する薬剤(ヒアルロニダーゼなど)を含む。
【0055】
用語「v/v 」は、溶液または混合液に総容量に対する容量で表される濃度を意味する。例えば、v/vで表されるパーセンテージは、100 mLの溶液または混合液に対する成分のミリリットル数を意味する。
【0056】
用語「w/v」は、溶液または混合液の総容量に対する重量で表される濃度を意味する。例えば、w/vで表されるパーセンテージは、100 mL の溶液または混合液に対する成分のグラム数を意味する。
【0057】
用語「w/w」は、溶液または混合液の総重量に対する重量で表される濃度を意味する。例えば、w/wで表されるパーセンテージは、100 gの溶液または混合液に対する成分のグラム数を意味する。
【0058】
本明細書で使用されるように、「重量比」は、双方の量が重量により表され(例えば、mg)、双方が製剤中に存在する場合、第二成分量と比較した第一成分量を意味する。例えば、界面活性剤に対する活性成分の重量比が1:5からなる製剤は、活性成分の各mgに対して、実質的に5 mgの界面活性剤を含む。
【0059】
本明細書で使用されるように、「有効量」は、医療目的(例えば、予防または治療)に有効であると判断される量を意味し、多くの要因により変動する。そのような非限定要因は、投与経路および頻度そして治療目的を含む。
【0060】
本明細書で使用されるように、用語「単位用量」は、ヒトや他の哺乳類のための単位用量として適した物理的に最適な単位を意味し、各単位は、適切な担体と関連して、所望する治療効果を出すために計算された所定量のファルネシルジベンゾジアゼピノンを含む。薬物が(例えば7から28日間の連続した静脈内注入を介して)長期間に渡り投与される場合、一つ以上の最適な単位用量(例えば、アンプルまたは密封されたバイアル)が単独投与で投与されてよい。
【0061】
用語「再調製」は、保存または保管のために以前変更された物質を溶媒または媒体を添加することにより、投与前に元の状態に戻すプロセスを意味する。例えば、濃縮された溶液または懸濁液の稀釈または乾燥または冷凍乾燥された製剤を含む乾燥製剤の溶解である。
【0062】
用語「殺菌」は、微生物増殖または患者の汚染を防止するために、製剤後および/またはバルク製剤の再調製前に薬物に存在する可能性のある微生物を実質的に除去または中和するプロセスを意味する。殺菌プロセスの例は、これに制限されないが、蒸気減菌、乾熱雑菌、濾過、ガス殺菌、電離放射線を含む。
【0063】
用語「凍結乾燥」は、薬物または製剤溶液を乾燥するプロセスを意味し、製品凍結後、水が昇華されるプロセスである。
【0064】
用語「非経口」および「非経口投与」は、患者の皮膚内または皮膚を介するなど、腸以外のパラ消化管方式の投与でのボーラス注射および/または製剤の注入を意味する。非経口方式の投与の例は、これに制限されないが、皮内、皮下(s.c., s.q., sub-Q, Hypo)、筋肉内(i.m.)、静脈内(i.v.)、動脈内、髄内、心腔内、関節内(関節)、滑膜内(滑液部位)、脊髄内、頭蓋内およびクモ膜下(滑液)を含む。非経口でない方式の投与は、これに制限されないが、経口、眼球内、鼻腔内、局所、経皮、直腸、舌下および粘膜を含む。
【0065】
本明細書で使用されるように、略記は、それらの一般的な意味を有する。特に記載がない限り、略記「Ac」、「Me」、「Et」、「Pr」「i-Pr」、「Bu」および「Ph」は、それぞれ、アセチル、メチル、エチル、プロピル(n- またはイソプロピル)、イソプロピル、ブチル(n-, sec-, iso- or tert-ブチル)およびフェニルを意味する。
【0066】
用語「アルキル」は、直鎖、分枝または環状の飽和炭化水素基を意味する。アルキル基の例は、これに制限されないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチルなどを含む。アルキル基は、アシル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、カルボアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミド、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、オキソ、グアニジノおよびホルミルから選択される置換基と任意に置換されてよい。
【0067】
nが2から12の整数である用語「C1-nアルキル」は、1から「n 」で示される炭素数を有するアルキル基を意味する。C1-nアルキルは、環状または直鎖または分枝鎖であってよい。
【0068】
用語「アルケニル」は、1から6個の炭素-炭素二重結合を含む、直線、分枝、または環状の不飽和炭化水素基を意味する。アルケニル基の例は、これに制限されないが、ビニル、1-プロペン-2-イル、1-ブテン-4-イル、2-ブテン-4-イル、1-ペンテン-5-イルなどを含む。アルケニル基は、アシル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、カルボアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミド、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、ホルミル、オキソおよびグアニジノから選択される置換基と任意に置換されてよい。不飽和炭化水素鎖の二重結合部は、シスまたはトランス配置のいずれかであってよい。
【0069】
nが3から12の正数を有する、用語「C2-nアルケニル」は、2からn で示される炭素数を有するアルケニル基を意味する。C2-nアルケニルは、環状または直鎖または分枝鎖であってよい。
【0070】
用語「アルキニル」は、少なくとも1炭素-炭素三重結合を含む、直線、分枝または環状の不飽和炭化水素基を意味する。アルキニル基の例は、これに制限されないが、エチニル、1-プロピン-3-イル、1-ブチン-4-イル、2-ブチン-4-イル、1-ペンチン-5-イルなどを含む。アルキニル基は、アシル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、カルボアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミド、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、ホルミル、オキソおよびグアニジノから選択される置換基と任意に置換されてよい。
【0071】
nが3から12の正数である用語「C2-nアルキニル」は、2からn で示される炭素数を有するアルキニル基を意味するC2-nアルキニルは、環状または直鎖または分枝鎖であってよい。
【0072】
用語「シクロアルキル」または「シクロアルキル環」は、上で定義されるように、アルキル基を意味し、3から15環員を有する単一または縮合炭素環式構造において、飽和または部分的に不飽和の炭素環をさらに含む。シクロアルキル基の例は、これに制限されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテン-1-イル、シクロペンテン-2-イル、シクロペンテン-3-イル、シクロヘキシル、シクロヘキセン-1-イル、シクロヘキセン-2-イル、シクロヘキセン-3-イル、シクロへプチル、ビシクロ〔4,3,0〕ノナニル、ノルボルニルなどを含む。シクロアルキル基は、アシル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、カルボアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミド、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、スルフィニル、スルホニルおよびホルミルから選択される置換基と任意に置換されてよい。
【0073】
nが4から15の正数である用語「C3-nシクロアルキル」は、3からn で示される炭素数を有するシクロアルキル環または環式構造を意味する。
【0074】
用語「ヘテロシクロアルキル」、「複素環」または「ヘテロシクロアルキル環」は、上に定義されるシクロアルキル基を意味し、3から15環員(例えば、テトラヒドロフラニルは、酸素原子を一つ含む5環員を有する)を有する単一または縮合炭素環式構造において、1から4個のヘテロ原子(例えば、N, O, S, P)またはヘテロ基(例えば、NH, NRx, PO2, SO, SO2)をさらに含む。ヘテロシクロアルキル、複素環またはヘテロシクロアルキル環の例は、これに制限されないが、ピロリジノ、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロジチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、チオクサニル、ピペラジニル、アゼチジニル、オクセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オクセパニル、チエパニル、オクサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、1,2,3,6-テトラヒドロピリジニル、2-ピロリニル3-ピロリニル、インドリニル、2H-ピラニル、4H-ピラニル、ジオクサニル、1,3-ジオクソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、3-アザビシクロ〔3,1,0〕ヘキサニル、3-アザビシクロ 〔4,1,0〕ヘプタニル、3H-インドリルおよびキノリジニルを含む。上に上げる化合物のリストに由来するように、前述のヘテロシクロアルキル基は、可能なら、C-結合またはN-結合であってよい。ヘテロシクロアルキル、複素環、ヘテロシクロアルキル環は、アシル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、オキソ、チオカルボニル、イミノ、カルボアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミド、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、スルフィニル、スルホニルおよびホルミルから選択される置換基と任意に置換されてよい。
【0075】
nが4から15の正数である用語「C3-nヘテロシクロアルキル」は、環に3からn で示される原子数、および上に定義されるように、少なくともヘテロ基を一つ有するヘテロシクロアルキル基を意味する。
【0076】
用語「ハロ」は、臭素、塩素、フッ素またはヨウ素置換基を意味する。
【0077】
用語「アリール」または「アリール環」は、抱合された単環式または多環式構造で、5から14の環原子を有する、nが1から3の正数である「4n+2」電子を有する共通の芳香族基を意味する。アリールは、直接結合されるか、あるいはC1-3アルキル基(アラルキルとしても示される)を介して結合されてよい。アリールの例は、これに制限されないが、フェニル、ベンジル、フェネチル、1-フェニルエチル、トリル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニルなどを含む。アリール基は、アシル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、アジド、アルキチオ、カルボアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミド、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、スルフィニル、スルホニルおよびホルミルから選択される一つ以上の置換基と任意に置換されてよい。
【0078】
nが5から14の正数である用語「C5-nアリール」は、炭素,窒素、酸素および硫黄を含む5からn で示される原子数を有するアリール基を意味する。C5-nアリールは、単環式または多環式であってよい。
【0079】
用語「ヘテロアリール」または「ヘテロアリール環」は、上に定義されるようにアリール環を意味し、酸素、窒素、硫黄またはリンから選択される1から4個のヘテロ原子をさらに含む。ヘテロアリールの例は、これに制限されないが、ピリジル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソアグサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、シノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オクサジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンズオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニリル、ナフチリジニルおよびフロピリジニル基を含む。ヘテロアリールは、アシル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、アジド、アルキチオ、カルボアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミド、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、スルフィニル、スルホニルおよびホルミルから選択される一つ以上の置換基と任意に置換されてよい。ヘテロアリールは、直接結合されるか、あるいは、C1-3アルキル(ヘテロアラルキルとしても示される)を介して結合されてよい。 上に挙げられる化合物のリストに由来するように、前述のヘテロアリール基は、可能ならC-結合またはN-結合であってよい。
【0080】
nが5から14の正数である用語「C5-nヘテロアリール」は、炭素、窒素、酸素および硫黄原子を含む5からn で示される原子数を有するヘテロアリール基を意味する。C5-nヘテロアリールは単環式または多環式であってよい。
【0081】
用語「アミノ酸」は、アミノ基を含む有機酸を意味する。用語は、自然に発生するアミノ酸と合成アミノ酸の双方を含む、よって、アミノ基は、必要とされないが、酸の隣の炭素に結合してよい。C結合アミノ酸(C-coupled amino acid)置換基は、そのカルボン酸官能基を介して親分子のヘテロ原子(窒素または酸素)に結合する。C結合アミノ酸は、ヘテロ原子が酸素のとき、親分子とともにエステルを、そしてヘテロ原子が窒素のとき、アミドを形成する。 アミノ酸の例は、これに制限されないが、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、アスパラギン、グルタミン、チロシン、ヒスチジン、リジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、デスモシン、オルニチン、2-アミノ酪酸、シクロヘキシルアラニン、ジメチルグリシン、フェニルグリシン、ノルバリン、ノルロイシン、ヒドロキシリジン、アロヒドロキシリジン、ヒドロキシプロリン、イソデスモシン、アロイソロイシン、エチルグリシン、β-アラニン、アミノアジピン酸、アミノ酪酸、エチルアスパラギンおよびN-メチルアミノ酸を含む。アミノ酸は、純粋LまたはD異性体あるいは LとD異性体の混合物であってよい。
【0082】
II. 医薬製剤およびその生成方法
本発明は、ファルネシルジベンゾジアゼピノン、または活性成分として医薬的に許容されるその塩またはプロドラッグ、および以下に記述される医薬的に許容される担体または媒体を含む、医薬製剤に関する。ファルネシルジベンゾジアゼピノンを含む医薬製剤は、様々な疾患および障害、特に腫瘍疾患などの無秩序な細胞成長および増殖に関連する疾患の治療に役立つ。ファルネシルジベンゾジアゼピノンまたはその医薬的に許容される塩またはプロドラッグは、疾患、特に腫瘍性疾患の治療または予防的治療びために調製および投与される。製剤は、約0.1% から約99.9%、約1% から約98%、約5% から約95%、約10% から約80% または約15% から約60%の重量の活性成分を含む。
【0083】
本発明による新規製剤のために、関心が向けられる活性成分は、
【0084】
【化1】
式中、 W1、W2 および W3は、それぞれ、
【0085】
【化2】
【0086】
または、W3、W2またはW1がそれぞれ-CH=O、-CH(OC1-6アルキル)2、-CH2OH、-CH2OC1-6アルキルまたはC(O)OR7のいずれかである場合にW3、W2 またはW1での三環系終端部(tricycle terminates)からの鎖から独立して選択され、
R1 は、H、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、C3-10シクロアルキル、C3-10ヘテロシクロアルキル、C(O)H、C(O)C1-10アルキル、C(O)C2-10アルケニル、C(O)C2-10アルキニル、C(O)C6-10アリール、C(O)C5-10ヘテロアリール、C(O)C3-10シクロアルキル、 C(O)C3-10ヘテロシクロアルキル、 またはC結合アミノ酸から選択され、
R2、R3および R4は、それぞれ、H、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、C3-10シクロアルキル、C3-10ヘテロシクロアルキル、C(O)H、C(O)C1-10アルキル、C(O)C2-10アルケニル、C(O)C2-10アルキニル、C(O)C6-10アリール、C(O)C5-10ヘテロアリール、C(O)C3-10シクロアルキル、C(O)C3-10ヘテロシクロアルキルまたはC結合アミノ酸から独立して選択され、
R5およびR6は、それぞれ、H、OH、OC1-6アルキル、OC(O)C1-6アルキル、NH2、NHC1-6アルキル、N(C1-6アルキル)2、NHC(O)C1-6アルキルから独立して選択され、 R7は、H、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、C3-10シクロアルキルおよびC3-10ヘテロシクロアルキルから選択され、
X1、X2、X3、X4またはX5の一つがハロゲンで、残りがHであり、
式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7のいずれかがアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基を含む場合、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基は、アシル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、カルボアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミド、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオ、C1-6アルキル、C2-7アルケニル、C2-7アルキニル、C3-10シクロアルキル、C3-10ヘテロシクロアルキル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、オキソ、グアニジノおよびホルミルから選択される置換基と任意で置換される、化学式Iにより定義されるファルネシルジベンゾジアゼピノン、およびエステル、エーテル、N アルキル化またはN アシル化された派生物、またはその医薬的に許容される塩、溶媒またはプロドラッグである。
【0087】
ある実施形態において、R1は、Hであり、他の全ての基は以前に開示された通りである。他の実施形態において、R1は、-CH3であり、他の全ての基は以前に開示された通りである。他の実施形態において、R1は、C1-10アルキルであり、他の全ての基は以前に開示された通りである。本実施形態のサブクラスにおいて、アルキル基は、ハロ、フルオロ、C6-10アリールおよびC5-10ヘテロアリールから選択された置換基と任意に置換される。他の実施形態において、R1は、-C(O)C1-10アルキルで、他の全ての基は以前に開示された通りである。他の実施形態において、R2はHで、他の全ての基は以前に開示された通りである。他の実施形態において、R3はHで、他の全ての基は以前に開示された通りである。他の実施形態において、R4はHで、他の全ての基は以前に開示された通りである。他の実施形態において、R2、R3およびR4は、それぞれHで、他の全ての基は以前に開示された通りである。他の実施形態において、R2、R3およびR4のうち1つはCH3で、他はそれぞれHであり、他の全ての基は以前に開示された通りである。他の実施形態において、R2、R3およびR4のうち2つはCH3で、もう1つはHであり、他の全ての基は以前に開示された通りである。他の実施形態において、R2、R3およびR4はそれぞれCH3で、他の全ての基は以前に開示された通りである。他の実施形態において、R2、R3およびR4はそれぞれHで、W1は-CH=C(CH3)-であり、他の全ての基は以前に開示された通りである。他の実施形態において、R2、R3およびR4はそれぞれHで、W2は-CH=C(CH3)-であり、他の全ての基は以前に開示された通りである。他の実施形態において、R2、R3およびR4はそれぞれHで、W3は-CH=C(CH3)-であり、他の全ての基は以前に開示された通りである。他の実施形態において、R1はHで、R2、R3およびR4は、それぞれHで、他の全ての基は以前に開示された通りである。他の実施形態において、R1はHで、W1、W2およびW3のそれぞれは-CH=C(CH3)-で、他の全ての基は以前に開示された通りである。他の実施形態において、R1はHで、W1、W2およびW3のそれぞれは-CH2CH(CH3)-で、他の全ての基は以前に開示された通りである。他の実施形態において、X1はBrで、X2、 X3、X4およびX5のそれぞれはHで、他の全ての基は以前に開示された通りである。他の実施形態において、W1、W2およびW3のそれぞれが-CH=C(CH3)-で、R2、R3およびR4のそれぞれがH の場合、R1はHではない。 さらなる実施形態において、W1、W2およびW3のそれぞれが-CH=C(CH3)-で、R2、R3およびR4のそれぞれがH の場合、R1はCH3ではない。さらなる実施形態において、W1、W2およびW3のそれぞれが-CH=C(CH3)-で、R2、R3およびR4のそれぞれがH の場合、R1はHまたはCH3のいずれでもない。さらなる実施形態において、三環からの鎖が、W2またはW1がそれぞれ-CH=O、-CH(OC1-6アルキル)2、-CH2OH、-CH2OC1-6アルキルまたはC(O)OR7のいずれかである、W1またはW2で終わる場合、R1 はHである。本発明は、全てのエステル、エーテル、N アルキル化またはN アシル化された派生物、および前述の化合物のその医薬的に許容される塩,溶媒およびプロドラッグを含む。
【0088】
特定の関心がむけられる例は、以下のように定義される化合物1から130、
【0089】
【化3】
【0090】
または化合物1から130のいずれか一つの医薬的に許容される塩,溶媒またはプロドラッグである。好ましくは、活性成分は、化合物1またはその医薬的に許容される塩,溶媒またはプロドラッグである。
【0091】
本発明による新規製剤は、非経口または非経口でない投与に適した形態で、上記に定義されている、化合物1、化学式Iの化合物、化合物1から130のいずれか一つ、または医薬的に許容される担体または媒体と共にその医薬的に許容される塩またはプロドラッグであるファルネシルジベンゾジアゼピノン類から選択される活性成分を含む。
【0092】
医薬的に許容される担体は、「担体」原料として本明細書で集合的に称される、治療剤投与のための一つ以上の非毒性の医薬的に許容される担体および/または稀釈剤および/または補助剤および/または賦形剤および/または媒体を意味する。担体は、任意に他の活性成分または添加物を含んでよい。活性成分以外の医薬的に許容される担体および添加物は、製剤に含まれ、例えば、薬物の性質および投与形態により異なる用途をもつ。
【0093】
本発明の組成物は、制御または持続放出型配給系(例えば、生物浸食性マトリックス)を使用して供給されてよい。(ファルネシルジベンゾジアゼピノンを含む)本発明の製剤の投与に適した薬物供給のための例示的な遅延放出供給系は、米国特許番号4,452,775 (Kent 所有)、5,039,660 (Leonard所有 )および3,854,480 (Zaffaroni 所有)に記述されている。
【0094】
A 非経口医薬製剤
非経口投与用の製剤は、ファルネシルジベンゾジアゼピノンまたは活性成分としてその塩、溶媒またはプロドラッグおよび医薬的に許容される担体を含む、水溶性または非水溶性等張無菌注射液、乳濁液または懸濁液の形態であってよい。注入に使用される非経口形態は、注入できる程度に流体でなければならなく、生理学的に適合しなければならない。これらの溶液または懸濁液は、非経口投与に適したすぐに使用できる製剤であるか、投与直前にバルク製剤(例えば、濃縮液、粉末または顆粒)を再調製することから調製されてよい。
【0095】
本明細書に記述されるバルク製剤は、注入用水、注入用無菌水、生理用食塩水および水中のデキストロース、好ましくは0.9%の生理用食塩水または水中の5%のデキストロース(D5W)などの医薬的に許容される水溶性媒体中で、投与前に再調製される。他の実施形態において、すぐに使用できる活性成分の濃度は、製剤の総容量の約0.01 から約50 mg/mL 、好ましくは、約0.05から約35 mg/mL 、より好ましくは、約0.1から約20 mg/mL、最も好ましくは、約1から約10 mg/mLである。
【0096】
非経口製剤は、ファルネシルジベンゾジアゼピノンおよび医薬的に許容される疎水性担体、例えば、脂肪乳濁液および界面活性剤、重合体マトリックス、生体適合性重合体、リポスフィア、小胞、ミセル、粒子およびリポソームを含む製剤、を含む。脂肪乳濁液は、上述の賦形剤に加え、所望の浸透圧を維持するために、脂質および水性相および乳化剤(例えば、リン脂質、ポロキサマー、ポリソルベートおよびポリオキシエチレンヒマシ油)などの添加剤、および浸透圧剤(例えば、塩化ナトリウム、グリセロール、ソルビトール、キシリトールおよびグルコース)を含む。
【0097】
製剤は、ソルビタンエステル、脂質(例えば、リン脂質)、トコフェロールPEG コハク酸、ポロキサマー407および188、またはポリオキシエチル化ヒマシ油(例えば、Cremophor ELTM)から選択される一つ以上の界面活性剤を含んでよい。ソルビタンエステルの例は、ポリソルベート80(例えば、TweenTM 80またはCrillet 4 HPTM)、ポリソルベート60、ポリソルベート40およびポリソルベート20、好ましくは、ポリソルベート60または80、最も好ましくは、ポリソルベート80を含む。ある実施形態において、界面活性剤の活性成分に対する重量比は、約1:1 から 100:1、好ましくは、約2;1から50:1、より好ましくは約5:1から30:1、最も好ましくは、約10:1 から約 25:1である。例えば、界面活性剤が脂質である場合、界面活性剤はミセルまたはリポソームを形成してよい。脂質は、例えば、リン脂質およびホスファチジルコリン(PG)、卵ホスファチジルコリン(EPG)、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルグリセロールおよびスフィンゴミエリンなどのリン脂質派生物から選択されてよい。リポソーム直径は、約20から約1000nm、好ましくは、約80から約300nmの範囲であってよい。製剤は、任意で、一つ以上のコレステロールなどの添加剤、またはPVPまたはマンニトールなどの凍結保護剤を含む。リポソーム製剤は、任意でバルク製剤を生成するために凍結乾燥される。
【0098】
バルク製剤は、医薬的に許容される溶媒をさらに含んでよい。例えば、溶媒は、エタノール、コーン油、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、ポリ(エチレングリコール)300または400(PEG 300および400)、グリコフロール、N-メチルピロリドン、ソルビトール、N,N-ジメチルアセトアミド、グリセリン、好ましくは、エタノールまたはプロピレングリコール、より好ましくは、エタノールUSP から選択されてよい。バルク製剤は、好ましくは、溶媒の活性成分に対して約1:1 から約100:1、約1:1から約50:1、 約 1:1 から約 15:1または約2:1 から約 10:1(エタノールの密度が25°Cで約0.789 g/mLのとき)の重量比を有する。
【0099】
製剤は、例えば、セトリミド、ドクサートナトリウム、グリセリルモノオレート、ポリビニルピロリドン(ポビドン、PVP)およびポリ(エチレングリコール)(PEG)、好ましくは、PVPまたはPEG 400などの親水性重合体などの一つ以上の溶解補助剤をさらに含むことができる。溶解補助剤の活性成分に対する重量比は、一般的に、約1:1 から約100:1、約1:1から約50:1、約 1:1 から約 15:1または約 2:1から約10:1である。
【0100】
製剤は、抗酸化剤などの一つ以上の安定化剤を含む添加剤をさらに含んでよい。好ましい抗酸化剤は、アスコルビン酸を伴うまたは伴わないアスコルビン酸ナトリウムを含む。抗酸化剤の活性成分に対する重量比は、一般的に、約1:20 から約 20:1、約 1:10 から約10:1または約 1:5 から約5:1である。
【0101】
バルク製剤は、水:活性成分比が約1:2 から約50:1、約 1:2 から約 25:1、約1:1 から約10:1または約 1:1 から約 5:1で、水溶性媒体、好ましくは、無菌水または注射用水も含んでよい。
【0102】
バルク製剤は、供給時にその場ですぐに再調製できる個体形態(例えば、粉末または顆粒)であってもよい。上述の賦形剤に加え、個体形態は、任意で、バルク剤(例えば、マンニトール、グリシン、ラクトース、スクロース、トレハロース、デキストラン、ヒドロキシエチルスターチ、フィコールおよびゼラチン)およびクリオまたは水解防止剤を含む。
【0103】
医薬製剤は、局所的麻酔(ベンジルアルコール、キシロカインHcIおよびプロカインHcIなど)、抗炎症剤(ヒドロコルチゾンなど)、抗凝固剤(ヘパリンなど)、長期効果のための精管収縮剤(エピネフリンなど)または組織の透過性を増大する薬剤(ヒアルロニダーゼなど)を含む、投与補助剤をさらに含んでよい。これらの投与補助剤は、患者の安全および/または薬物供給の用途のために使用される。
【0104】
医薬製剤は、活性成分の濃度および製剤を生物学的に許容される形態、生物学的に適合可能な無菌形態、分解生成物、懸濁粒子の除去、および微生物の汚染の除去を維持するため、緩衝液、防腐剤、抗酸化剤および抗菌剤を含む安定化剤および浸透圧調節剤も含んでよい。
【0105】
例えば、静脈内(IV)使用(連続静脈内注入)において、化学式Iの化合物の無菌製剤および一つ以上の界面活性剤は、一般的に使用される静脈内流体のいずれかに溶解または懸濁され、注射または注入により投与されてよい。静脈内流体は、これに制限されないが、生理食塩水、リン酸塩緩衝剤食塩水、5% グルコースまたはRinger’sTM溶液を含む。筋肉内調製において、本発明の化合物の無菌製剤または化合物を形成する適切な可溶性塩またはプロドラッグは、注入用水(WFI)、生理食塩水または5%グルコースなどの医薬的稀釈剤に溶解され、投与されてよい。化合物の適切な可溶性形態は、水溶性ベースまたは医薬的に許容される油ベース、例えば、エチルオレートなどの長鎖脂肪酸のエステルで、懸濁液として調製、投与されてよい。
【0106】
B 非経口でない医薬製剤
任意で、上述のバルク非経口製剤は、例えば、経口、局所的または鼻腔内投与などの非経口でない投与のために製剤を調製するために直接使用されてよい。一つ以上の賦形剤またはビヒクルが、より容易に処理できる形態を提供するように添加されてよい。上述のバルク製剤は、ゼラチンのカプセル(任意で腸溶性被覆)に充填または経口投与のため懸濁液または溶液に使用されてよい。
【0107】
経口使用において、錠剤およびカプセルなどの個体製剤は、特に有効である。持続放出または腸溶性被覆された調合物も、考案されてよい。小児および老人の用途において、懸濁液、溶液および咀嚼錠が特に適切である。経口投与において、医薬組成物は、例えば、錠剤、咀嚼錠、カプセル、ゼラチンカプセル、懸濁液、乳濁液、溶液または液体シロップまたはエリキシル剤、ウェハなどの形態である。一般的な経口投与において、製剤は、例えば、不活性稀釈剤(例えば、ナトリムおよびカルシウム炭酸塩、およびリン酸ナトリウムおよびカルシウム、およびラクトース)、充填剤(例えば、リン酸カルシウム、グリシン、ラクトース、メイズ澱粉、マンニトール、ソルビトールまたはスクロース)、壊変剤(例えば、じゃがいも澱粉、トウモロコシ澱粉およびアルギニン酸)結合剤(例えば、アカシアガム、澱粉、ゼラチン、スクロース、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、ソルビトールまたはメチルセルローストラガカント、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびエチルセルロース)、加湿剤、潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムまたは他の金属ステアリン酸、ステアリン酸、ポリ(エチレングリコール)、ワックス、油、シリカおよびコロイドシリカ、シリコン流体またはタルク)甘味剤、芳香剤、香味剤(例えば、ペパーミント、冬緑油、果物風味、チェリー、グレープ、バブルガムなど)、着色剤および防腐剤を含む、一つ以上の賦形剤または添加剤を含んでよい。着色剤は、投与形態の外見をより魅力的にする、または製品の同定を助けるために使用されてよい。経口医薬組成物は、活性成分の治療に効果的な量を含む、単位用量の形態で製造されることが好まれる。担体は、消化管での吸収を遅延するために、グリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートなど被覆賦形剤を含んでもよい。
【0108】
一般的に、水溶性または油性溶液、懸濁液、乳濁液、溶液またはエリキシル液の形態である経口流体調合物は、懸濁化剤、乳化剤、非水溶性薬剤、防腐剤、着色剤および香味剤などの従来の添加剤を含んでよい。流体調合物の添加剤の例は、アカシア、アーモンドオイル、エチルアルコール、やし油、ゼラチン、グルコースシロップ、グリセリン、水素添加食用脂、レシチン、メチルセルロース、微結晶セルロース、メチルまたはプロピルパラヒドロキシベンゾエート、プロピレングリコール、ソルビトールまたはソルビン酸を含む。
【0109】
局所使用において、本発明の化合物は、皮膚または鼻および喉の粘膜に適用できる適切な形態で調製されてもよく、クリーム、軟膏、点鼻、液体スプレーまたは吸入、ロレンジ、または喉塗布用の形態を取ることができる。そのような局所的製剤は、活性成分の表面浸透を容易にするために、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの化学化合物を含むことができる。眼または耳への用途において、本発明の化合物は、軟膏、クリーム、ローション、塗布用または粉末のような親水性または疎水性ベースで調製される流体または半流体の形態で存在してよい。直腸投与において、本発明の化合物は、ココアバター、ワックスまたは他のグリセリドなどの従来の担体と混合された座剤の形態で投与されてよい。
【0110】
非経口でない製剤中(例えば、経口、局所または鼻腔内)の活性成分の最終濃度は、非経口製剤より高くてよい。活性成分は、製剤全体の重量の10%から100%から構成されてよい。
【0111】
C 医薬製剤の製造方法
本発明の製剤は、医薬的製造分野で知られる任意の方法により調製されてよい。医薬性製剤の製造における当該分野で認識されるプロトコルおよび標準が、例えば、R.J. Strickley, Pharm. Res.(2004), vol. 21, no. 2, 201-230; M.J. Akers, J. Pharm. Sci.(2002), vol. 91, no. 11, 2283-2300およびB. Nuijen, Investigational New Drugs(2001), vol. 19, 143-153で入手可能である。
【0112】
製剤は、FDA条件および当該分野で知られる方式により調製される。本発明の製剤は、生理学的に適合性のある再構成された製剤を製造するための許容範囲内の溶媒および/または添加剤濃度で調製および使用される。例えば、すぐに使用できるポリソルベート80(例えば、TweenTM 80またはCrillet 4 HPTM)の製剤(再調製)の濃度は、好ましくは、25%(v/v)以下、PEG 400は、好ましくは、20%(v/v)以下、PVP(例えば、KollidonTM 12PF)は、好ましくは、40%(v/v)以下、およびエタノールの濃度は、好ましくは、10% (v/v)以下である。
本明細書で記述されるすぐに使用できる製剤の調製方法は、(a)製剤に適した形態でファルネシルジベンゾジアゼピノンを含むバルク製剤を提供するステップと、(b) (a)で提供されたバルク製剤を水溶性媒体組成物と任意の順番で混合することにより組み合わせるステップとを含む。バルクおよびすぐに使用できる製剤は、上述のようである。好ましくは、混合ステップ(b)は、投与直前に実施される。
バルク製剤は、ファルネシルジベンゾジアゼピノンまたはその医薬的に許容される塩またはプロドラッグ、界面活性剤、任意で一つ以上の溶媒、任意で一つ以上の溶解補助剤および任意で抗酸化剤などの一つ以上の安定化剤を任意の順番で混合することにより組み合わせることにより提供される。界面活性剤、溶媒、溶解補助剤および他の賦形剤の例および比率は、上に提供されている。
例えば、製剤の調製方法は、(a)エタノール溶液を得るために活性成分とエタノール、(b)水溶液を得るために抗酸化剤と無菌水、(c)混合液を得るために親水性重合体と界面活性剤、(d)ステップ(a)のエタノール溶液とステップ(c)の混合液、および(e)医薬製剤を生成するためにステップ(b)とステップ(d)の溶液を混合することにより組み合わせるステップを含む。
【0113】
本発明は、本明細書に記述するような製剤の調製方法を提供する。本方法は、(a)水性媒体中でファルネシルジベンゾジアゼピノンをリポソームに充填するステップと、(b)バルク製剤を生成するために水溶性リポソームファルネシルジベンゾジアゼピノンを凍結乾燥するステップと、(c)(b)で得たバルク製剤と水性媒体組成物を任意の順番で混合することにより組み合わせるステップを含む。好ましくは、バルク製剤は、リン脂質などの脂質界面活性剤と、任意で一つ以上の添加剤を含む。水性媒体は、一般的に、注射用水、注射用無菌水、食塩水および水中のデキストロース、好ましくは、0.9%食塩水または水中の5%デキストロース(D5W)から選択される。混合ステップ(c)は、非経口投与直前に実施されてよい。ステップ(a)で得た製剤は、非経口投与に直接使用されてよい。
【0114】
リポソームに組み込まれたファルネシルジベンゾジアゼピノンは、従来の方法により実施される。手順の例は、例えば、Straubingerら、Pharmaceutical Research(1994), vol. 11, no. 6, 889-896; Bernackiら、Int. J. Cancer (1997), vol. 71, 103-107; Cattelら、J. Control Release(2003), vol. 91, 417-429;およびSagristaら、Int. J. Pharmaceutics(2004), vol. 278, 239-254の文献で見つけられる。例示的手順として、リン脂質および活性化合物(2-25mol% vs脂質、好ましくは、4-20mol%)は、メタノール、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラヒドロフランまたはその組み合わせなどの有機溶媒に溶解され、任意で小胞安定化コレステロール剤を含む。有機溶媒は、in vacuoおよび/または窒素気流により除去される。脂質-活性成分複合体は、ビヒクルまたは水溶性媒体中で膨張し、任意で小胞サイズを均質化するために押出機に通される。リポソーム製剤は、任意で凍結乾燥され、投与前に再調製されるか、または非経口投与に適した水性媒体で直接稀釈されてよい。
【0115】
ファルネシルジベンゾジアゼピノンの医薬的に許容される塩、またはそのプロドラッグは、対応する酸または塩基を添加することにより、または調製前に媒体中でそのまま生成される。
【0116】
バルクまたは再調製の製剤は、当該分野で認識される技法を使用して滅菌されてよい。好ましくは、製剤は、再調製前または後に濾過により滅菌される。
【0117】
本発明の製剤は、使用するまで、アンプル、バイアルまたは容器に気密密封される。容器は、ゴムまたは他の高分子素材で作られたストッパーで無菌環境で蓋をされてよく、任意でテフロンTM(ポリテトラフルオロエチレン)で被覆される。バイアルまたはアンプルは、本発明のファルネシルジベンゾジアゼピノン製剤の1単位用量を含んでよい。単位用量は、1回の投与で供給するのに適した量であるファルネシルジベンゾジアゼピノンの量を含む製剤の量である。しかし、製剤が、例えば、連続した静脈内注入によるなど、長期に渡り投与される場合、二つつ以上の分離単位用量(例えば、アンプルまたは密封されたバイアル)が使用されてよい。活性成分としてファルネシルジベンゾジアゼピノンを含む製剤の単位用量は、約10から3000mgの活性成分、または約20から1000mgの活性成分を含んでよい。気密密封された単位用量の製剤は、すぐに使用できる製剤の化合物または適切な媒体中のその塩またはプロドラッグであってよい。任意で、製剤は、すぐに使用できるようにシリンジに充填されてもよい。
【0118】
気密密封された容器は、バルク製剤の単位用量も含んでよい。適切な無菌溶媒または媒体を含む第二の容器またはバイアルも、好ましくは、ビヒクルは水性媒体である第一の容器の中味を投与前にどのように溶解するかの説明書とともに提供されてよい。バルク製剤も、適切な無菌媒体で再調製後、非経口投与用に使用される調合産物を提供するために、第一または第二区分シリンジに充填されてよい。
【0119】
医薬製剤は、本明細書に記述されるような医薬製剤などの必要な材料および新生物成長状態(neoplastic condition)の治療におけるその使用の書面による説明書を適切な容器で提供する市販パッケージに包装されてよい。
【0120】
III 投与形態と腫瘍性疾患の治療方法
本明細書に開示される医薬製剤は、標準的手法(USP、FDA)により調製され、 腫瘍細胞、腫瘍、癌または前癌を軽減、予防または除去するために選択される用量で投与される(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, PA; and Goodman and Gilman, Pharmaceutical Basis of Therapeutics, Pergamon Press, New York, NYを参照。本内容は、化学療法を含むヒトの治療のための様々な薬物投与の方法の一般的な説明のために、本明細書に参考資料として引用される)。 本発明の医薬製剤は、経口、局所的または鼻腔内など非経口または非経口ではない経路で投与されてよい。投与の非経口経路は、皮内、皮下(SC, s.q., sub-Q, Hypo)、筋肉内(IM)、静脈内(IV)および連続静脈内注入(CIV )、動脈内、髄内、心腔内、関節内(関節)、滑膜内(滑液部位)、脊髄内、頭蓋内およびクモ膜下(滑液)を含む。非経口注射または薬物製剤の注入に効果的な周知の手段がそのような投与を達成するために使用されてよい。
【0121】
本発明は、哺乳類の癌細胞の成長および/または増殖を阻害する方法、および哺乳類の新生物成長状態の治療方法に関する。哺乳類は、有蹄類(例えば、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、ブタ)およびげっ歯、ネコ、イヌおよび霊長類(すなわち、ヒトおよびヒト以外の霊長類)を含む有蹄類以外を含む。好ましくは、前記哺乳類はヒトである。
【0122】
本明細書で使用されるように、用語「腫瘍」、「腫瘍性疾患」、「新生物」、「癌」、「腫瘤」および「増殖性疾患」は、自立的増殖、すなわち、部分的または完全な構造構成および正常な組織との機能協調の欠損を示す異なる塊を一般的に形成する細胞成長の急速な増殖により特徴づけられる、異常状態の可能性をもつ細胞を意味する。この用語は、造血器新生物(例えば、リンパ腫または白血病)だけでなく、全ての種類の前癌および癌成長、または発癌工程、転移性組織または悪性形質転換細胞、組織あるいは臓器、組織病理学タイプまたは侵入段階に無関係なタイプを含む個体新生物(例えば、肉種または癌腫)を含む。造血器新生物は、骨髄、リンパ球または赤血球系統の子孫から生じる白血病(血中および骨髄中の白血球(白血球細胞)およびその先駆物質に関する)およびリンパ腫(リンパ球に関する)を含む、造血器構造(血液細胞の形成に関する構造)および免疫システムの成分に影響する悪性腫瘤である。個体新生物は、筋肉、軟骨、血管、線維性組織、脂肪または骨などの結合組織に由来する悪性腫瘍である肉腫を含む。個体新生物は、外表皮(例えば、皮膚および消化管、肺および子宮頸部の内層)および様々な腺(例えば、胸、膵臓、甲状腺)を内層する内表皮を含む表皮構造から生じる悪性腫瘍である癌腫も含む。本発明の方法による治療に特に感受性のある腫瘍の例は、白血病、および肝細胞癌、肉腫、血管内皮細胞癌、乳癌、中枢神経系癌(例えば、星状細胞腫、神経膠肉腫、神経芽細胞腫、乏突起神経膠腫および神経膠芽種)、前立腺癌、肺および気管支癌、咽頭癌、食道癌、結腸癌、結直腸癌、胃腸癌、メラノーマ、卵巣および子宮内膜癌、腎細胞および膀胱癌、肝癌、内分泌癌(例えば、甲状腺)および膵臓癌を含む。
【0123】
ファルネシルジベンゾジアゼピノンは、癌細胞または癌組織と接触または癌細胞または癌組織に導入される。一般的に、in vivoで本発明の医薬組成物を供給するための本発明の方法は、当該分野で認識されるプロトコルにおける医薬製剤のための本発明のファルネシルジベンゾジアゼピノンの置換である、唯一の実質的な手順変更により、医薬製剤の供給のための当該分野で認識されるプロトコルを使用する。製剤、担体または媒体と同様に、ファルネシルジベンゾジアゼピノンを含有する製剤が投与される経路は、腫瘍の位置だけでなく種類による。広範囲の投与経路が使用されてよい。ファルネシルジベンゾジアゼピノンは、静脈内注入または腹膣内注入または注射により投与されてよい。例えば、アクセス可能な個体腫瘤または腫瘍において、製剤は、腫瘤または腫瘍に直接注射により投与されてよい。造血器新生物において、製剤は、静脈内または血管内に投与されてよい。転移性または脳腫瘤などの体内の容易にアクセスできない腫瘍において、製剤は、哺乳類の身体を通して全身的に搬送されることにより、腫瘍および遠隔転移に到達するような手法、例えば、くも膜下的、静脈内的、筋肉内的または経口的に投与されてよい。ファルネシルジベンゾジアゼピノンを含有する製剤は、皮下、腹腔内、局所的(例えば、メラノーマに対して)、直腸的(例えば、結直腸腫瘍)、経膣的(例えば、頸部または膣腫瘍に対して)、経腔的または吸入スプレー(例えば肺腫瘍に対して)により投与されてもよい。
【0124】
ファルネシルジベンゾジアゼピノン製剤は、腫瘍細胞の成長または増殖を阻害または腫瘍性疾患を治療するのに効果的な量で投与される。用語「阻害」は、癌細胞の抑制、死滅、静止または破壊を意味する。本方法による哺乳類の癌細胞成長の阻害は、いくつかの方法で監視されてよい。in vitro癌細胞成長は、本化合物で治療されてよく、化合物が不在の培養された同じ細胞と比較した成長または死滅に対して監視される。例えば、100ミクロモルでの50%以上の成長の停止または成長の遅延速度(すなわち、増殖速度)は、癌細胞の発生阻害を示す(Anticancer Drug Development Guide: preclinical screening, clinical trials and approval; B.A. Teicher and P.A. Andrews, ed., 2004, Humana Press, Totowa, NJ を参照)。代替的に、癌細胞阻害は、対象とする癌の動物モデルに医薬製剤を投与することにより監視されてよい。 実験的なヒト以外の動物の癌モデルの例は、当該分野に周知であり、本明細書に例として以下に記載されている。製剤で治療されなかった対照群動物の腫瘤と比較して、製剤で治療された動物の腫瘤成長の停止(すなわち、さらなるサイズの増加がない)または腫瘤サイズの減少(すなわち、少なくとも58%の腫瘤サイズの減少)は、有意な腫瘤成長阻害を示す(Anticancer Drug Development Guide: preclinical screening, clinical trials and approval; B.A. Teicher and P.A. Andrews, ed., 2004, Humana Press, Totowa, NJを参照)。
【0125】
用語「治療」は、疾患、疾患の徴候または疾患の傾向を治療、治癒、緩和、軽減、変更、回復、改善または抑制する目的により、哺乳類へのファルネシルジベンゾジアゼピノン含有製剤の使用または投与、または腫瘍疾患、腫瘍疾患の徴候または腫瘍疾患の傾向のある哺乳類からの摘出組織または細胞株への製剤の使用または投与を意味する。用語「治療する」は、結果として哺乳類の腫瘍細胞の予防、軽減または除去を生じるのに有効なファルネシルジベンゾジアゼピノンの量(治療的有効量)を哺乳類に投与することとして定義される。治療的有効量および投与のタイミングは、個人の基準で判断され、少なくとも部分的に、受給者の年齢、体重、性別、食事および一般健康状態の考慮、疾患状態の性質および重度、および過去の治療および他の疾患の存在に基づく。他の要因は、投与の経路および頻度、投与された化合物の活性、代謝安定、化合物の作用および排泄の長さ、薬物の組み合わせ、受給者の化合物への許容および腫瘍または増殖性疾患の種類も含む。ある実施形態において、化合物の治療的有効量は、1日、哺乳類の約0.5mg/体重1kgから約750mg/体重1kg g である。他の実施形態において、治療的有効量は、1日、約0.5mg/体重1kgから約300mg/体重1kgである。また他の実施形態において、治療的有効量は、1日、約1mg/体重1kgから約50mg/体重1kgである。上の実施形態の治療的有効量は、例えば、ヒトの患者の場合、ミリグラム/体表面1平方メートル(mg/m2)で表されてもよい。異なる哺乳類の換算計数は、Freireichら、Quantitative comparison of toxicity of anticancer agents in mouse, rat, dog, monkey and man, Cancer Chemoth. Report, 1966, 50(4): 219-244)に見出されるだろう。連続静脈内注入(CIV)により投与される場合、治療有効量は、約10mg/m2/日から1000mg/m2/日、約20mg/m2/日から750mg/m2/日、約30mg/m2/日から約500mg/m2/日、または約120mg/m2/日から約480mg/m2/日の範囲である。
【0126】
特別な条件(例えば、子供の患者)が必要な場合、上述の治療有効量は、本明細書で記載される範囲外であってよい。そのような高または低用量は、本発明の範囲内である。
【0127】
ヒトの腫瘤治療の効果を監視するために、腫瘤サイズおよび/または腫瘤形状が治療開始前および後に測定され、腫瘤サイズがさらなる成長を停止した場合、または腫瘤のサイズがたとえば、10% 以上(例えば、20%,30%,40%,50%,60%,70%,80%,90%または100%(つまり腫瘍の不在))小さくなった場合、治療は有効と判断される。生存期間の延長、疾患が進行するまでの時間、部分応答および客観的奏功率は、治験薬の臨床作用の代用測定法である。腫瘤縮小は、一つの治療特定応答と判断される。このシステムは、患者が正確な測定可能な内臓嚢を有するという条件に限られている。in vivo腫瘤サイズの判断方法は、腫瘤のタイプにより異なり、例えば、医療画像または腫瘍学分野(MRI, CAT, PET等)で知られる多様な画像技術だけでなく、組織学的技術および流動細胞計測法を含む。特定の癌の種類において、血清腫瘤マーカーの評価は、応答(例えば、前立腺癌に対して前立腺特異抗原(PSA)、および結腸癌に対して癌胎児性抗原(CEA))を評価するために使用されてもよい。癌成長の監視方法は、血中の細胞数(例えば、白血病での)または骨痛の緩和(例えば前立腺癌)を含む。
【0128】
ファルネシルジベンゾジアゼピノン製剤は、1日1回投与されてもよい、または化合物は、1日を通して、適切な間隔で2、3、4またはそれ以上のサブ用量として投与されてよい。その場合、各サブ用量に含有するファルネシルジベンゾジアゼピノは、合計日用量に到達するために、対応して小さくなければならない。用量単位は、例えば、数日間に渡りファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物の持続放出を提供する従来の持続放出性製剤を使用して、数日に渡り供給するように混合されてもよい。持続放出性製剤は、当該分野で周知である。本実施形態において、用量単位は、対応する複数の1日量を含む。有効量は、単一投与(例えば、経口、局所的投与またはボーラス非経口注射)として、または遅延注射または連続注入、例えば、30分以上から約24時間のいずれかで投与されてよい。製剤は、例えば、最大30日まで、治療として投与されてよい。さらに、組成物の治療的有効量での患者の治療は、単一治療または一連の治療(例えば、各治療の間隔が2ヶ月の4週間の治療を3回繰り返す)を含んでよい。本発明に含まれるファルネシルジベンゾジアゼピノンの有効量、毒性およびin vivo半減期の例は、従来の方法を使用するか適切な動物モデルを使用してin vivo試験に基づいてなされてよい。
【0129】
哺乳類およびヒトを含む患者の腫瘤の治療は、単一の薬剤として、または放射線治療および化学療法などの他の周知の抗癌治療との組み合わせで本発明の製剤を投与することにより達成されてよい。ファルネシルジベンゾジアゼピノンは、周知の抗癌性化合物または化学療法薬と共にまたは加えて投与されてよい。化学療法類は、増殖抑制または細胞毒性剤、抗菌タイプの薬剤、アルキル化剤、代謝拮抗薬、ホルモン剤、アロマターゼ剤、免疫学的な薬剤、インターフェロン型の薬剤、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(例えば、COX-2阻害剤)、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、テロメナーゼ阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、抗成長因子受容体の薬物、抗HER剤、抗EGFR剤、抗脈管形成薬、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、ras-rafシグナル伝達経路阻害剤、細胞周期阻害剤、他のCDK阻害剤、チューブリン結合剤、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤などを含む。化学療法の薬剤の例は、これに制限されないが、5-フルオロウラシル、マイトマイシンC、メトトレキセート、水酸化尿素、シクロホスファアミド、ダカルバジン、マイトキサントロン、アンソラサイクリン(エピルビシンおよびドキソルビシン)、CPT-11、カンプトテシン、およびその派生物、エトポシド、ナベルビン、ビンブラスチン、プレグナソーム、カルボプラチンおよシスプラチンなどのプラチナ化合物、タクソールおよびタキソテールなどのタクサン類、タモキシフェンおよび抗エストロゲンなどのホルモン治療、ハーセプチンおよびイレッサなどの受容体への抗体、アロマターゼ阻害剤、プロゲステロン剤およびLHRH類似体、IL2およびインターフェロンなどの生体応答修飾物質、任意でリポソーム製剤内のシクロスポリン類似体PSC833などの多種逆転剤を含む(他の例は、The Merck Index, 12th edition (1996), Therapeutic Category and Biological Activity Index, lists under “Antineoplastic”セクション。本明細書に参考資料として引用する)。
【0130】
ファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物の毒性と治療的効果は、細胞培養または実験動物の標準医薬的手法により判断されてよい。治療的効果は、上述および本明細の例の動物モデルで判断される。毒性研究は、10%の試験動物の致死量(LD10)を判断するために実施される。動物は、死亡または20%以上の体重減少を生じない高用量である最大許容量(MTD)で治療される。有効量(ED)は、化合物の治療計数を判断するため,当該腫瘤モデルのMTDに関連付けられる。1.0に近い治療計数(MTD/ED)は、ある化学療法剤について許容可能であることが発見されたが、従来の化学治療法剤の好ましい治療計数は、1.25以上である。
【0131】
細胞培養検定および動物研究から得たデータは、ヒトに使用するための投与範囲の調製に使用されてよい。本発明の組成物の用量は、一般的に、MTDを含む循環濃度の範囲内である。用量は、使用された用量および使用された投与経路によりこの範囲内で変動してよい。本発明の方法で使用された化合物のいずれも、治療有効量は、基本的に、細胞培養検定から推定されてよい。用量は、化合物の循環血漿濃度範囲を達成するために動物モデルで調製されてよい。そのような情報は、ヒトにおける効果的な用量をより正確に判断するために使用することができる。血漿中のレベルは、例えば、高性能液体クロマトグラフィーにより測定されてよい。
【0132】
化合物の抗腫瘍効果を判断するための動物モデルは、一般的に、マウスで行われる。マウス腫瘍細胞が、同種(同系モデル)からのマウスの後測部に皮下的に接種されるか、ヒト腫瘍細胞が重度の複合免疫欠損(SCID)マウスまたは他の免疫欠損マウス(ヌードマウス)(異種移植モデル)の後測部に皮下的に接種される。
【0133】
マウス遺伝子学の進歩は、癌を含む多様なヒト疾患の研究のための多くのマウスモデルを作り出した。国立癌研究所(National Cancer Institute )主催のMMHCC(ヒト癌協会(Human Cancer Consortium)のマウスモデル)ウェブページは、既知の癌モデルの疾患部特定の要約を提供し、検索可能な癌モデルデータベース、およびNCI-MMHCCマウス情報リポジトリにリンクしている。マウス情報リポジトリは、The Jackson Laboratory, Charles River Laboratories, Taconic, Harlan, Mutant Mouse Regional Resource Centers (MMRRC) National Network and at the European Mouse Mutant Archive でも検索できる。そのようなモデルは、ファルネシルジベンゾジアゼピノンのin vivo 試験だけでなく治療有効量の判断にも使用されてよい。
【0134】
さらに、ファルネシルジベンゾジアゼピノンの医薬的に許容される塩またはプロドラッグを含む本発明の製剤は、上に定義した疾患の治療または予防のために組成物で使用されてもよい。
【0135】
[実施例]
本明細書で例示される製剤は、実質的に、それぞれ受入番号IDAC 231203-01および070303-01(International Depository Authority of Canada (IDAC), Bureau of Microbiology, Health Canada, 1015 Arlington Street, Winnipeg, Manitoba, Canada, R3E 3R2)を有するMicromonospora [S01]046株または046-ECO11株のいずれかの発酵ブレスから分離された純粋化合物1を使用して調合された。化合物1は、2004年8月にWO 2004/065591としても発行されたが、2004年1月21日に提出された米国特許番号10/762,107に記述された手順により生成および分離され、参考資料として本明細書に引用する。化学式Iのどの化合物も、本発明の製剤の化合物1を置換してよい。化合物1から11、14、17、18、46、63、64、67、77、78、80、82から85、87、89、92、95から98、100から103、105、107および108を含む化学式I の化合物は、米国特許番号2006/0079512で開示された手順により調合された。
特に記述されない限り、全ての試薬、溶媒または賦形剤は、Sigma-AldrichまたはFisher Scientificにより供給された。KollidonTM 12PF (PVP)、LutrolTM E400 (PEG 400)およびCremophorTM ELは、BASFにより供給された。脂質(EPC、DMPCおよびPEG2000DSPE)およびコレステロールは、Northern LipidsまたはAvanti(R)Polar Lipidsにより供給された。
特に記述されない限り、本仕様および請求項で使用される材料の量、安定性および溶解性などの性質、薬物動力学に関する結果、有効性に関する結果、GI50などを表す全ての数は、全例において、用語「約」により修飾されるものと理解する。つまり、特に明記しない限り、本仕様および添付の請求項に記載される数値パラメータは、近似値である。少なくとも、そして本請求の範囲の均等原理の使用を制限しようとするものではなく、各数値パラメータは、少なくとも、有効数字の数に関しておよび通常の四捨五入法を適用することにより解釈される。本発明の広範囲で記載される数値範囲およびパラメータは近似値であるが、実施例、表および図で設定された数値は、できる限り正確に報告されている。いずれの数値も、実験、試験測定、統計分析などにより生じるある種ののエラーを固有に含む可能性がある。
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は、本発明が属する分野に精通した者により容易に理解されるような同等の意味をもつ。本明細書に記載されるものと類似または同等の方法および材料は、本発明の実技または試験に使用されてよいが、適切な方法および材料は、以下に記述される。さらに、材料、方法および実施例は、例示的なものであり、制限されるものではない。
【実施例1】
【0136】
実施例1:バルク製剤A、BおよびC
製剤A、BおよびCは、以下に記述する手順で調合された。表1は、調合で使用した異なる材料およびそれぞれの割合を要約する。同じ製剤が、当該分野に知られた大規模な方法および設備を使用し、本発明の製剤の同等の平均割合を維持して大量に生成されてよい。
【0137】
【表1】
【0138】
1.製剤 A
適切な数の血清ボトル(USPタイプ1;ホウケイ酸;透明;2mL、5mL、10mLまたは30mLのサイズ)およびテフロンTM-被覆ブチルストッパーは、15分間、オートクレーブバックで、121°Cで加熱減菌された。
【0139】
エタノール中の化合物1のストック溶液は、メスフラスコで調合(250mg/mL)された。PVP(KollidonTM 12PF)のストック溶液は、メスフラスコのエタノール中(450mg/mL)で調合された。ポリソルベート80(1401mg)の量は、20mLのシンチレーションバイアルで計量された。PVP溶液(893μL、402mgのPVPを含む)が、バイアルに添加され、混合液を30秒間ボルテックスにかけた。化合物1溶液(320μL、80mgを含む)が、添加され、混合液を30秒間ボルテックスにかけた。混合液を減菌環境で、濾過(0.2ミクロンNL16 S&S無菌, Schleicher & Schuell供給)して滅菌し、いつでも再調製できる80mgの化合物1を含むバルク製剤を得る。製剤A は、経口投与のように使用されてよい。
【0140】
減菌環境において、5mgの化合物1(表1を参照)を含む用量が、各殺菌血清ボトルに添加され、ボトルはテフロンTM被覆されたストッパーで栓をし、アルミニウムシールで密封された。
【0141】
2.製剤B
適切な数の血清ボトル(USPタイプ1;ホウケイ酸;透明;2mL、5mL、10mLまたは30mLのサイズ)およびテフロンTM-被覆ブチルストッパーは、15分間、オートクレーブバックで、121°Cで加熱減菌された。
【0142】
エタノール中の化合物1のストック溶液は、メスフラスコで調合(250mg/mL)された。PEG400(LutrolTM E400)のストック溶液は、メスフラスコのエタノール中(650mg/mL)で調合された。ポリソルベート80(1401mg)の量は、20mLのシンチレーションバイアルで計量された。PEG400溶液(618μL、402mgのLutrolTMを含む)がバイアルに添加され、混合液を30秒間ボルテックスにかけた。化合物1溶液(320μL、80mgを被覆)が、添加され、混合液を30秒間ボルテックスにかけた。混合液を減菌環境で、濾過(0.2ミクロンNL16 S&S無菌)して滅菌し、いつでも再調製できる80mgの化合物1を含むバルク製剤を得た。製剤Bは、経口投与のように使用されてよい。
【0143】
減菌環境において、5mgの化合物1(表1を参照)を含む用量が、各殺菌血清ボトルに添加され、ボトルはテフロンTM被覆されたストッパーで栓をし、アルミニウムシールで密封された。
【0144】
3.製剤C
120mgの量が1.8mLのエタノールに溶解され、3gのCremophorTM ELを添加する。溶液は30秒間ボルテックスにかけられた。混合液は、そのまま経口投与のために使用された。
【実施例2】
【0145】
実施例2:バルク製剤B1からB10
A.製剤B1からB9
調合:
【0146】
製剤B1からB9は、以下の製剤B(例1-A-2)の方法により調合された。製剤B6からB9において、アスコルビン酸を用いてまたは使用せずに、水およびアスコルビン酸ナトリウムがさらに添加された。B1からB3は、それぞれの薬物の安定性の作用を検証するために、1回に賦形剤1つのみが使用された、対照製剤としても使用された。製剤B4は、エタノールの低含有(B4は、約25μLのエタノール/5 mgの薬物を含む)である上の製剤Bと対応した。製剤B5は、抗酸化剤としてアスコルビン酸ナトリウムを含んだ。製剤B6からB8は、水含有が上昇したが、緩衝液および抗酸化剤として作用する、同量のアスコルビン酸/アスコルビン酸ナトリウムを含んだ。表2は、調合で使用した異なる材料およびそれぞれの割合を要約する。
【0147】
【表2】
【0148】
安定性:
研究の目的は、薬物分解を防止するための水、アスコルビン酸およびアスコルビン酸ナトリウムの相対安定性および作用を検証するためである。バルク製剤B1からB9は、光から保護された垂直位置で、約5°C、約25°C(±2°C、60%の相対湿度(RH))および約40°C(±2°C、70%のRH)に維持された。薬物含有量は、1、2、3週間および2ヶ月後に、HPLCにより試験された。製剤B5およびB8も、4ヶ月後に試験された。結果を表3に示す。
【0149】
【表3】
【0150】
HPLC分析は、第一の製剤(B4)の薬物分解が、ポリソルベート80のみが存在する薬物の場合に同じ傾向を示し、これは、ポリソルベート80が薬物の分解を引き起こす主な賦形剤であることを示す。この傾向は、保管温度の上昇の機能として明らかに増幅した。
【0151】
表3に示すように、製剤B1は、25と40°Cで保管された場合、薬剤内容のわずかな分解を特徴づけたが、冷蔵された場合、分解は認められなかった。周辺温度は、エタノールなどの極性およびプロトン性溶媒で、高化合物1の分解を誘発した。前の研究は、化合物1がメタノールに溶解された場合、わずかに酸化したことを示した。
【0152】
12.58%の2N塩酸溶液を含む製剤B9は、2ヶ月で、最大40%の薬物損失を伴う、周辺温度での著しい薬物分解を示した。一方で、完全な薬物分解が、同じ期間後、40°Cで見られた。しかし、製剤B9の薬物含有量は、冷蔵保管された場合、安定している。
【0153】
製剤B5からB8の全ての薬物含有量は、2ヶ月で、最初の含有量の95-105%の範囲内に留まった。しかし、安定性の差が、4ヶ月間、40°Cで保管された場合、B5とB8の間で見られた。この特定の場合には、高い水含有量が薬物分解の防止に貢献したかもしれない。
【0154】
抗酸化剤なしのポリソルベート80とエタノールを含む製剤B2およびB4は、2ヶ月以上、室温または5°Cで保管された場合、安定性に欠けた。これらの製剤が使用された場合、これらは、再調製前に調合され、短期間、低温で保管されることが望ましい。
【0155】
L-アスコルビン酸ナトリウムの存在は、製剤B5において、最大4ヶ月、最高40°Cの温度で、薬物の分解を防止した、ICHガイドライン(International Conference on Harmonisation of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use, Guideline Q1A(R2)、2003年2月、参考資料としてそのまま記載される)によると、 薬物は、周辺温度で少なくとも8ヶ月間、冷蔵保管の場合12ヶ月間、安定することがこれらの結果から予測される。水の存在が薬物の分解を遅延したと思われる。製剤組成物への水の添加は、抗酸化剤としてのL-アスコルビン酸ナトリウムのみの使用に可能であった。
【0156】
結果に基づき、水およびL-アスコルビン酸ナトリウムが、本明細書で記述されるように、薬物の分解を防止し、界面活性剤製剤の保管期間を延長するのに好まれる。水量は、1エタノールと等しくなければならない。L-アスコルビン酸ナトリウムは、ポリソルベート80のため、化合物1製品に存在する可能性のある最大遊離脂肪酸と等しくなければならない。
【0157】
B.バルク製剤 B10
調合:
【0158】
製剤B10は、重量比の混合により生成された。化合物1(3.15%)、ポリソルベート80(Crillet 4 HPTM、55.15%)、PEG 400(15.76%)、絶対エタノール(12.45%)、水(注射水(WFI)、12.45%)、および(+)-アスコルビン酸ナトリウム(1.04%)。ポリソルベート80はJ.T. Baker、絶対エタノールはCommercial Alcohols Inc.、PEG 400および(+)-アスコルビン酸ナトリウムはSpectrum、そしてWFIはVWRから入手した。
【0159】
バルク製剤B10は、以下により調合された。化合物1をエタノールに溶解し、濾過(0.22-ミクロPES(ポリエーテルスルホン)膜フィルタ)により滅菌して溶液Aを生成した。(+)-アスコルビン酸ナトリウムを注射用水に溶解し、濾過(0.22-ミクロPES)により滅菌して溶液Bを生成した。ポリエチレングリコールは、ポリソルベート80(両方、5時間160-165°Cで乾熱により滅菌された。)に添加され、溶液Cを生成した。無菌的に、溶液Aと溶液Bは,連続的に溶液Cに添加された。最終バルク溶液B10は、減菌Millipak-60TMカートリッジを通して濾過殺菌された。
【0160】
安定性:
製剤B10を5±3および25±2°C(相対湿度60±2%)で安定性の検定をした。時間0の活性成分の含有量は、95.0%であった。5±3°Cで2ヶ月後、活性成分の含有量は、97.3%であった。25±2°Cで2ヶ月後、活性成分の含有量は、96.7%であった。製剤は、表2および3の最も適切な2つの製剤である、アスコルビン酸(B5のように)および水(B8のように)を含有するとき、最も安定性があると予測される。
【実施例3】
【0161】
実施例3:すぐに使用できる界面活性剤D1からD11
以下のD1からD11の製剤も調合された。最終稀釈は、10および1mg/mLの化合物1で等張性媒体で行われた。使用された等張性媒体は、0.9%生理食塩水および5%デキストロースの両方であった。表4は、10mg/mLの製剤で使用された組成物の要約である。これら全ての生成のために使用された手順は以下に記載される。
【0162】
【表4】
【0163】
ストック溶液:
エタノール中、250 mg/mLでの化合物1(上述のように得た)
ポリソルベート80(TweenTM 80、Sigma-Aldrich)エタノール中750mg/mL
PVP(KollidonTM12PF-ポリビニルピロリドン)エタノール中700mg/mL
PEG 400(LutrolTM E400)そのまま使用
【0164】
20μL(5mgを含む)の量の化合物1溶液を培養チューブ(13×100mm)に添加した。所望する量(表4を参照)のポリソルベート80の溶液、および適切な量(表4を参照)のPVPまたはPEG 400を添加した。溶液は、各添加の間に10秒間、ボルテックスにかけられた。等張性媒体(0.9%生理食塩水または5%デキストロース)を10mg/mLの化合物1の濃度に到達するように添加し、溶液を手で3分間振った。10mg/mLの溶液の100μLの量を第二チューブに移動し、等張性媒体の残りの900μLの量を1mg/mLに到達するように添加し、手で3分間振った。
【0165】
製剤D1-D10は、全て透明な溶液を生じ、薬物は、10mg/mLおよび1mg/mLの両方、少なくとも6時間、溶液中に留まった。製剤D11は、透明な溶液を生じ、薬物は、10mg/mLおよび1mg/mLの間の全ての濃度で、少なくとも6時間溶液中に留まった。
【0166】
すぐに使用できる製剤D11(6または10mg/mL濃度)も、D5W(5%デキストロース)を用いて、20%エタノール(v/v)、20%PEG 400(w/v)および60%ポリソルベート80(w/v)を含み、濃度が化合物1の24または40mg/mLのバルク製剤(製剤B4)の再調製により調合された。
【0167】
製剤D11も、活性成分として化合物1を化合物2(製剤D11(2))または化合物46(製剤D11(46))に置換えることにより調製された。製剤D11(2)およびD11(46)の両方は、透明な溶液を生じ、それぞれの活性成分は、10mg/mLと1mg/mLの間の全ての濃度で、少なくとも6時間、溶液中に留まった。これらの製剤は、in vivo研究で使用された。
【実施例4】
【0168】
実施例4:リポソーム製剤E1からE25
化合物1のリポソーム製剤は、コレステロールとともにまたはなしで、様々なリン脂質を使用して生成された。略語は、以下の意味をもつ。
API:活性医薬的成分 (ここで、化合物1、MW:462.6)
EPC:卵ホスファチジルコリン(MW:386.6)
DMPC:ジミリストイルホスファチジルコリン(MW:677.9)
PEG2000DSPE:ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン-PEG(MW:2810.3)
Chol:コレステロール (MW:386.6)
【0169】
リン脂質およびコレステロールは、Northern Lipids およびAvanti(R)Polar Lipidsにより供給された。活性成分化合物1は、実施例1に記述される特許出願により調合された。表5は、各製剤で使用された成分の濃度を要約する。
【0170】
【表5】
【0171】
リポソーム製剤E1からE25は、以下の手順により調合された。
【0172】
化合物1(50mg/mL)のストック溶液は、メタノール/クロロホルム(1:1)の混合液で調合された。各脂質(EPC、DMPCおよびDSPE-PEG (すなわちPEG2000DSPE))のストック溶液は、同じ溶媒系を使用した、3つに分けた40mg/mLの溶液として調合された。最後に、コレステロールのストック溶液も同じ溶媒系を使用して、40mg/mLで調合された。必要な脂質(EPC, DMPC and PEG2000DSPE)、コレステロールおよび活性成分(化合物1)のストック溶液量*は、1mL以上なら、培養チューブ(12×75mm)または丸底フラスコで混合された。
【0173】
*必要量の例:所望する60 mM の全水和モル濃度および成分のモル比が80:20 (EPC/API)の製剤E5は、材料の合計0.06ミリモル(1 mLスケールに対して)、すなわち、0.048ミリモルEPCおよび0.012ミリモルAPIを必要とし、それぞれ必要な0.91 mLおよび0.11 mLのストック溶液を得た。
【0174】
結果として得た溶液は徐々に混合された。溶媒は、回転蒸発により除去され、残存溶媒は、少なくとも4時間、好ましくは一晩、真空で蒸発させた。
【0175】
水化は、チューブ(1mL)に5%(w/v)のデキストロース溶液を添加して行われた。水化は、水浴セットで、所望する温度で、脂質のTm以上の温度で行われた。例えば、EPC-only(Tm=-2.5°C)製剤は室温で水化され、DMPC製剤(Tm=23°C)は、30°Cで行われた。脂質/薬物混合物は、残留フィルムが観察されなくなるまで、ボルテックスを使用して激しくかき混ぜることにより懸濁された。必要な場合、音波浴も使用した(交互で音波破砕およびボルテックス)。
【0176】
懸濁液を一晩4°Cで水化し、あれば、非結合薬物を沈殿または結晶化する。リポソーム懸濁液は、Avanti Polar Lipids(少なくとも500μLのリポソームおよび1mLのシリンジを用いた)ミニ押出機を使用して押し出された。リポソーム懸濁液は、100nmのポリカーボネートフィルターに21回通し、50nmのフィルタに21回通した。100nmおよび50nmの双方の押出において、懸濁液は、(沈殿した薬物を除去するために)押出を開始した側の反対側から収集され、押出機は洗浄された。
【0177】
1mL以上のリポソームを調合する場合には、10mL LipexTM押出機(Northern Lipids)を使用した。押出は、窒素ガスを使用して、100nmのフィルタに10回、50nmのフィルタに10回、または所望するリポソームのサイズが達成されるまで行われた。
【0178】
リポソームは、減菌フードで4°C に保ち、0.2μmの減菌フィルタを通して濾過することにより滅菌された。製剤は、動的光散乱(DLS、Malvern NanoSizer NSTMを使用して、自動モードで、5%のデキストロースで測定された)で粒子のBrownian 運動を測定することによりリポソームサイズを判断するために特徴付された。Brownian 運動は、粒子を取り囲む分子の衝突による流体中の粒子のランダム運動である。製剤E1-4、6-12、15、17および18-24において、リポソームの平均直径は、102-190nmの間に含まれる。製剤E5、13-14、16および25の平均リポソーム直径は、120-165nmの間に含まれる。リポソームサイズは、少なくとも3週間まで変化しなかった。
【実施例5】
【0179】
実施例5:製剤F
2004年9月27日に申請された米国特許申請番号10/951,436に記述されるように、製剤Fは、30:30:40のPEG/PG/水の溶液に化合物1を溶解することにより生成された。PG は、プロピレングリコールで、Sigma-Aldrichにより供給された。化合物1の濃度は、溶液に適切な量を溶解することにより調節され、得られた製剤をそのまま使用した。例えば、20mg/mLの溶液を得るのに、mLにつき、20 mg の化合物1が上の溶液に溶解された。
【実施例6】
【0180】
実施例6:CD1マウスでの製剤BおよびFの医薬的性質
A..薬動学:
表6は、Cmax、TmaxおよびAUCを含む製剤F(30および50mg/kg)および再調製された製剤B(at 30 mg/kg)の投与から得た重要な結果を要約する。Cmax値は、観察された血漿濃度の最大値を表し、Tmax値は、最大値が観察された時間を表し、AUCは、血漿濃度対時間曲線下の領域を表す。
【0181】
【表6】
【0182】
バルク製剤Bは、薬動学(PK)研究に使用される3mg/mL濃度に達するために、5%デキストロースを使用して再調製された。製剤Fは、mLごとに20mgの30:30:40のPEG/PG/水の溶液を溶解することにより生成され、そのまま(20mg/mL)PK試験に使用された。
【0183】
CD1のメスマウス(年齢6週間)に、上述の製剤B の化合物1の単一静脈(30mg/kg;10mL/kg)の量、および製剤Fの単一静脈量(30および50mg/kg;1.5および2.5mL/kg)または製剤F(50mg/kg;2.5mL/kg)の30分注入のいずれかを接種した。グループごとに4匹のマウスが、3分、5分、15分、30分、1時間、2時間、4時間および8時間で致死された。血液が心臓穿刺によりEDTA含有チューブに回収され、脳が即時回収され、ドライアイスで即時冷凍された。サンプルは、LC/MS/MSにより分析された。標準曲線は、定量(LOQ)≦15ng/mLの制限のある25から2000ng/mLの範囲であった。定量(LOQ)の制限以下の化合物1の血漿および脳の濃度値は、ゼロに設定された。平均濃度値および標準偏差(SD)は、薬動学研究(n=4動物/時間点)の各時間点で計算された。
【0184】
PK研究は、製剤Fと比較して再調製されたBにおいて、製剤約2.8倍の最大血漿濃度(Cmax)の著しい増加を示した。また、AUCは、製剤B対製剤Fにおいて、同量(30mg/kg)で、3分と8時間の間で3倍になった。
【0185】
B..組織分布:
製剤B(Aと同様、再調製)を使用したマウス脳での薬物蓄積が、同量(30mg/kg)で製剤Fと比較された。出血または炎症は製剤Bを用いたマウスの脳で観察されなかった。毛細管の炎症が、製剤Fを用いた30および50mg/kgの用量で観察された。
【0186】
様々な組織が、図1に示すように、5および30分の時間点で投与された。血漿の薬物レベルが30分後に2桁下がったが、脳組織の薬物濃度は、比較的一定のままであった。脳の脂肪に対する薬物濃度の比率は、血液-脳バリアが脳組織に薬物交差を制限しないようであったことを示唆する。
【実施例7】
【0187】
実施例7:マウスでの製剤CおよびFの経口生物利用性
製剤Cには稀釈は必要なく、実施例1で記述されたように生成された。化合物1の濃度は26mg/mLで、投与量は120mg/kgであった。
【0188】
製剤Fは、30:30:40PEG/PG/水の20mg/mLの溶液として、実施例4に従い生成された。投与量は、120mg/kgであった。
【0189】
双方の製剤は、強制栄養により、PO(per os、経口)投与に使用された。投与量は、個々のマウスの体重要素により調節された。AUC(PO)結果は、実施例6に記述されるように判断された。
【0190】
経口生物利用性(F)が、以下の化学式を使用して判断された。
【0191】
【数1】
【0192】
式中、AUC(IV)および投与(IV)値は、実施例6で記述されるように、再調製された製剤BのIV投与で得られた結果と対応する。投与量120mg/kgで、製剤Cの経口生物利用性は、製剤Fの経口生物利用性(2.6%.)と比較して3.4%であった。
【実施例8】
【0193】
実施例8:CD1マウスでの製剤BおよびFの毒性
CD1マウスを用いた、製剤Fの単一用量IV注射の最大許容用量(MTD)は、100 mg/kg(PEG/PG/水30:30:40で10mg/mL濃度)であった。この用量を使用して、注射部で浮腫および壊死が観察された。
【0194】
CD1マウスを用いた、再調製された製剤B の単一用量IV 注射の最大許容用量(MTD)は、150mg/kg(20mg/mL濃度、5%デキストロースで再調製)であった。再調製された製剤Bの複数用量の治療は、2週間に渡り1日1回(Q1D×5×2週)注射されたとき、目に見えたマウスの体重減少を生じずに、最大150mg/kg(15mg/mL濃度、5%デキストロースで再調製)までよく許容された。再調製された製剤BのMTTD(最大総許容用量)は、約150mg/kgであった。
【実施例9】
【0195】
実施例9.製剤D11を使用した薬動学研究
化合物1の最終濃度が6 mg/mlの製剤D11は、iv,ipおよびscボーラス投与で使用された。経口投与において、製剤Cが、Cremophor ELTM/エタノール(50%:50%)で、6mg/mlの最終濃度で使用された。投与前に、動物(メスCrl:CD1マウス;年齢6週、22-24g)の体重を量り、ランダムに選択され、異なる治療グループに割り当てられた。化合物1は、静脈内(iv)、皮下(sc)、腹腔内(ip)または経口(po)経路により割り当てた動物に投与された。化合物1の投与量は、体重1kgごとに5mLであった。動物は、採血前に5%のイソフルランで麻酔された。採血は、採血時間点(2分、5分、15分、30分、1時間、2時間、4時間および8時間)ごとに4匹の動物から心臓穿刺により凝結防止剤K2EDTAを含むマイクロタイナーチューブに回収された。回収後、サンプルは、遠心分離され、各サンプルから得た血漿は、回復され、後の分析のため(約-80°Cで)冷凍して保存された。5分および30分の時間点で、以下の臓器が各動物から採取された。脳、肺、脅格筋、脂肪組織、腎臓、ひ臓、胸腺および肝臓。組織は、後の分析のため(約-80°Cで)凍結された。サンプルは、LC/MS/MSで分析された。標準曲線は、定量(LOQ)≦25ng/mLの制限と10ng/mLの検知制限(LOD)を伴う、25から2000ng/mLの範囲であった。
【0196】
定量制限(LOQ)以下に下がる化合物1の血漿値はゼロに設定された。平均濃度値および標準偏差(SD)は、薬動学の各時間点(n=4動物/時間点)で計算された。以下の薬動学パラメータが計算された。時間ゼロから最後の濃度測定可能時間点(AUC0-t)までの血漿濃度対時間曲線下の領域、無限大まで外挿された血漿濃度対時間曲線(AUCinf)下の領域、観察された最大血漿濃度(Cmax)、最大血漿濃度の時間(tmax)、目に見える一次排泄最終速度定数(kel)、目に見える一次排泄最終半減期は、0.693/kel(t1/2)として計算されるだろう。静脈内投与後の化合物1の全身除去(CL)は、用量/AUCinfを使用して計算された。薬動学パラメータは、KineticaTM4.1.1(InnaPhase Corporation, Philadelphia, PA)を使用して計算された。
【0197】
結果
30 mg/kgで、静脈内(iv)、腹腔内(ip)、皮下(sc)および経口(po)投与後の化合物1の平均血漿濃度は、図2に示される。
【0198】
30mg/kg用量のIV投与後の化合物1の平均(±SD)血漿濃度は、双指数関数的な形で急速に減少し、結果として非常に短い半減期であった(それぞれ、4.6分および2.56時間のt1/2aおよびb)。一方、腹腔内および皮下投与後の化合物1の薬動学は、ゆっくりとした放出を示唆するPK プロファイルを示した。これらの双方の投与経路によると、化合物血漿濃度は、8時間以上、医薬的に適切なレベルで維持、継続されている。経口投与は、結果として中程度だが、薬物レベルを維持した。これらのデータは、化合物1が経口的に生物利用性である(IVボーラス投与と比較したとき、~5-8%)ことを示唆する。
【0199】
30mg/kgでの静脈内(iv)、腹腔内(ip)または皮下(sc)投与後30分の化合物1の平均組織濃度を、図3に示す。30分の時間点は、血漿濃度が3つの投与経路の全てにおいて類似しているため、選択された。化合物1はivおよびip投与後に十分に分散される。驚いたことに、ipおよびsc投与は、類似したPKプロファイルを示したが、組織レベルはsc投与後、著しく低い。これは、ivおよびip投与と比較して、sc投与後のピークレベルの不在により説明されてよい。
【実施例10】
【0200】
実施例10:製剤D11を使用したIn vivo抗腫瘍効果研究
動物研究が、動物実験(Charte du comite d’ethique du CNRS, 2003)の倫理ガイドラインおよびUnited Kingdom Coordinating Committee on Cancer Research (UKCCCR)(Workman ら. (1998),Br. J. Cancer, vol 77, no 1, 1-10)の英語“Guidelines for the welfare of animals in experimental neoplasia (Second Edition)” により行われた。
【0201】
A.ラットC6神経こう芽細胞腫マウスモデル
ラットC6神経こう芽細胞腫効果の研究が、INSERM U318 (Grenoble, France)で実施された。ラットC6神経こう芽細胞腫モデルは、N-ニトロソメチルウレアにより誘発されたラット神経膠腫から得たラットC6細胞株の使用に基づく(Bendaら.(1968), Science, vol 161, 370-371)。各投与日に、バルク製剤B11(20%エタノール中に24および40mg/mL、20%PEG-400および60%ポリソルベート80)の化合物1ストック溶液が、製剤D11(5%エタノール、5%PEG-400、15%ポリソルベート80および75%D5W)の6mg/mLおよび10mg/mLの化合物1の投液を調合するために、水中の無菌5%デキストロース(D5W)で稀釈された。
【0202】
ラット神経こう種効果の研究において、SC with 5×106 C6細胞(0日)をメスの胸腺欠損(nu/nu)ヌードマウス(年齢6-7週)に接種した。腫瘍を発生した動物は、腫瘍が触診可能(6日目)になったときに、ランダム化された。グループ1(対照群)は、日6-18(q1d×13)に1日1回、薬物無しの製剤D11 IP(5mL/kg)を受けた。グループ2は、6から13日目に1日1回、20mg/kgの化合物1(6mg/mL)IP、次の14から18日目に1日1回、10mg/kgを受けた。グループ3は、6から13日目に1日1回、30mg/kgの化合物1(6mg/mL)SC、次の14から18日目に1日1回、15mg/kgを受けた。グループ4は、2週間、100mg/kg q1d×5の化合物1(10mg/mL)IVを受けた。各動物は、腫瘍が推定された最終点のサイズ(~2,500mm3)または研究の最終日(18日目)に安楽死された。治療期間は、腫瘍細胞接種後、6から18日目の13日にわたった。腫瘍成長阻害(TGI)は、媒体対照群の数匹の動物が腫瘍負荷のため致死されなければならなかった16日目の腫瘍細胞接種後に計算された。
【0203】
抗腫瘍活性の決定
腫瘍成長は、キャリパを使用して腫瘍の長さ(L)および幅(W)を測定することにより2日毎に調査された。測定は、標準式TV=(L×W2)/2を使用して腫瘍量(TV; mm3)に変換された。n日目の腫瘍量は、次の式、TVnがn日目の腫瘍量で、TV0が0日目の腫瘍量である、RTV=TVn/TV0に従い、相対腫瘍量(RTV)として表された。腫瘍成長阻害のパーセンテージ(%TGI)は、1−(治療群の平均RTV/対照群の平均RTV)×100により決定された。NCI 標準によると、%TGI of≧58%(T/C≦42%)は、抗腫瘍活性の指標である。統計分析は、Prismソフトウェアを使用して、両側非対比t検定により計算された。研究が完了するまで、治療中および治療後、少なくとも週2回、動物の体重を量った。マウスは、顕在的なあらゆる重度な薬物関連の副作用の徴候をみるために頻繁に検査された。動物は、3日間連続して15%以上の体重減少、または1日で20%の体重減少を示した場合、安楽死された。
【0204】
各マウスの最終時点(TTE)は、以下の公式により計算された。
【0205】
【数2】
【0206】
TTEが日で表される場合、最終点腫瘍量は、mm3、bは切片、mは、log変換された腫瘍データセットの直線回帰により得た直線である。この値は、日で表される対照群と比較した治療群の中央TTEの増加、または対照群の中央TTEのパーセンテージとして定義される、腫瘍成長遅延%(%TGD)を判断するために使用された。
【0207】
結果:
化合物1は、投与経路により異なる濃度で、3つの異なる経路であるSC、IPまたはIVで投与された。最大体重減少である15%は、20mg/kg(Q1D×8)、次に10mg/kg (Q1D×7)を受けたIP群で、11%の体重ロスは、30mg/kg(Q1D×8) 、次に15mg/kg(Q1D×7)を受けたSC群で13日目に観察された。著しい体重減少は、IV群では観察されなかった。腫瘍成長阻害における異なる治療経路の効果は、18日目に分析された。有効データ(図4)は、IPまたはSCのいずれかで、製剤D11を含む化合物1の毎日のボーラス投与は、この腫瘍モデルで66%および60%(P≦0.0001)の%TGIの著しい抗腫瘍効果を生じたことを示す。媒体対照に関して、腫瘍量の有意差は、100mg/kg(Q1D×5)での2週間にわたる製剤D11の静脈(IV)ボーラス投与で見られなかった。これらのデータは、化合物1の効果は、長期曝露(SCおよびIP投与において)に関連するだろうことを示唆する。同じ製剤を使用した連続静脈注入は、静脈ボーラス投与の代替であってよい。
【0208】
B..ヒトU-87MG神経こう種細胞腫マウスモデル
ヒトU-87MG(ATCC(R) no. HTB-14TM)神経こう種細胞腫抗腫瘍効果研究は、INSERM U318(Grenoble, France)で実施された。U-87MG細胞株は、44歳の白人女性の脳神経こう種細胞腫から取り出された。各投与日に、化合物1ストック溶液(バルク製剤B11の24および40mg/mL)は、すぐに使用できる製剤D11(5%エタノール、5%PEG-400、15%ポリソルベート80および75%D5W)の6mg/mLの化合物1の投与液を調製するために、水中の無菌5%デキストロース(D5W)で稀釈された。
【0209】
ヒト神経こう種細胞腫抗腫瘍効果研究において、SC with 5×106 U-87MG細胞(0日)をメスの胸腺欠損(nu/nu)ヌードマウス(年齢6-7週)に接種した。腫瘍を発生した動物は、腫瘍が触診可能(24日目)になったときに、ランダム化された(グループに10匹)。グループ1(対照群)は、1日1回(q1d×15)、薬物無しの媒体 (5%エタノール、5%PEG-400、15%ポリソルベート80および75%D5W)SC(5mL/kg)を受けた。グループ2は、2週間にわたり(24-28 および32-35日目)、30mg/kgの化合物(6 mg/mL)SC 1q1d×5を受けた。グループ3(陽性対照群)は、150mg/kg、q4d×3でテモゾロミドPOを受けた。各動物は、腫瘍が既定の最終点の大きさ(~2,500 mm3)に到った時、または研究の最終日(40日目)に安楽死された。腫瘍成長阻害(TGI)は、ビヒクル対照群の数匹の動物が腫瘍負荷のため致死されなければならなかった34日目の腫瘍細胞接種後に計算された。
【0210】
化合物1は、10.9mMのIC50を用いた本細胞株でin vitro活性を示した。本モデルの化合物1の抗腫瘍活性は、SCボーラス注射により試験された(図5)。投与法は、研究を通して顕著な体重減少が観察されず、よく許容された。TGIは、媒体対照群の数匹の動物が腫瘍負荷のため致死されなければならなかった34日目に計算された。化合物1が日単位で投与された場合(図6)、中程度の抗腫瘍効果(%TGI=36%;P=0.05)が、観察された。
【0211】
C..ヒトPC3前立腺癌マウスモデル
化合物1の抗癌活性が、6、9および10mg/mL濃度で製剤D11使用してマウスのヒトPC3前立腺モデルで試験された(表7)。HRLNオスヌードマウス(生後8週間)は、右側部に1mm3のPC3腫瘍断片を皮下的に移植された。腫瘍が平均サイズの80から120mgに達し、治療が下の表のように開始された時、動物はランダム化(グループごとに10匹)された。
【0212】
【表7】
【0213】
腫瘍測定は、キャリパを使用して週2回行われ、式幅2(mm)×長さ(mm)×0.52を使用して腫瘍量(ミリグラム)に変換された。体重も週2回記録された。統計分析は、非対比両側スチューデント t検定を使用して行われた。
【0214】
%T/Cは、対照群の動物が抗腫瘍の負荷のため致死されなければならなかった38日目に計算された。静脈治療は、(おそらく短い半減期と治療的に有効な薬物レベルの持続に欠けるため)活性を生じなかった。一方、8時間に渡り薬物レベルを治療的有効薬物濃度に保持した場合の1から5、8から12および15から19日目に与えられた30mg/kgで、または3日ごとに7回(1、4、7、10、13、16および19日目)50mg/kgの皮下投与は、それぞれ25.5%および14.6%の%T/C(P<0.0001)の著しい抗腫瘍活性を生じた。
【0215】
図7は、ヒト前立腺腫瘍異種移植片に対する製D11の剤化合物1の抗腫瘍効果を示す。図8は、個別の動物の治療22日目の抗腫瘍効果の結果を示す。
【0216】
D.ヒトMDA-MB乳癌マウスモデル
化合物1の抗腫瘍活性は、6および10mg/mLの濃度で製剤D11を使用して、マウスのヒトMDA-MB-231乳癌モデルでさらに試験された(表8を参照)。HRLNメスヌードマウス(生後8週間)は、右側部の5×106MDA-MB-231腫瘍細胞株(sc)で治療された。腫瘍が平均サイズの80から120mgに達し、治療が下の表のように開始された時、動物はランダム化された(グループに10匹)。
【0217】
【表8】
【0218】
腫瘍測定は、キャリパを使用して週2回行われ、式幅2(mm)×長さ(mm)×0.52を使用して腫瘍量(ミリグラム)に変換された。体重も週2回記録された。統計分析は、非対比両側スチューデント t検定を使用して行われた。
【0219】
%T/Cは、対照群の動物が抗腫瘍の負荷のため致死されなければならなかった21日目に計算された。静脈治療は、(おそらく短い半減期と治療的に有効な薬物レベルの持続に欠けるため)活性を生じなかった。一方、21日間、毎日与えられた20mg/kgで、または1から5、8から12に与えられた30mg/kgでの皮下投与は、それぞれ40%および35%の%T/C(P<0.0001)の有意な抗腫瘍活性を生じた。3日毎に7回(1、4、7、10、13、16および19日目)にそれぞれ50および30mg/kgでの皮下または腹腔内投与も、中程度だが統計的に有意な68%(P=0.0019)および58%(P=0.0007)のT/C値を得、効果的であった。
【0220】
図9は、ヒト乳癌腫量異種移植に対する製剤D11での化合物1の抗腫瘍効果の結果を示す。図10は、治療21日目の抗腫瘍効果の結果を示す。
【実施例11】
【0221】
実施例11:製剤D11のIn VivoCIV投与
A.CIVを与えられたラットにおける製剤D11のIn vivo薬動学:
【0222】
スプラーグドーレイラットは、連続14日間、2mL/kg/時間の速度で、25mg/kg/日、50mg/kg/dayまたは75mg/kg/日で化合物1の静脈注入を連続14日にわたり受けた(製剤D11)。以下の時間点(1日目;投与開始後2、6および12時間、2日目;6時間(投与開始後約30時間)、6および10日目;6時間、および15日;投与終了1時間前、そして投与終了後5分、15分、30分、1時間、および2時間)で3ラット/性別/グループのけい静脈から血液がK2EDTAを含有するチューブに回収された。
【0223】
この14日の化合物1のIV連続注入の結果は、表9および図11に示す。25mg/kg/日または75mg/kg/日を受けたグループにおいて、それぞれ347ng/mL(~0.8mM)および1,796ng/mL(~3.9mM)の定常状態血漿濃度の定常状態の化合物1の血漿濃度が、14日のCIV注入をとおして観察された。50mg/kg/日の中用量グループにおいて、測定前(1,150ng/mLまたは~2.5mM)に測定したとき、化合物1の血漿濃度は、10日目(1,753ng/mLまたは~3.8mM)に異常に高く、14日目に定常状態レベルに戻った。これは、分析または生物学的変動を示唆する。50mg/kg/日および75mg/kg/日グループの平均定常状態血漿濃度は、それぞれ~2.5mM and ~3.9mM濃度の14日の注入期間中in vivo抗腫瘍活性実験で定義された2mMの治療限界値を超えた。異なるグループのAUCsは、増加用量レベルとともに増加したが、この増加は、25mg/kg/日グループの116,418ng/mL*h、50mg/kg/日グループの396,134ng/mL*h、最後に75mg/kg/日グループの597,378ng/mL*hのAUCの用量比例よりわずかに大きかった。異なるグループにおける化合物1の注入が停止したとき、化合物1が、血漿から急速に取り除かれたことを示す、血漿からの化合物の急速な除去が全グループで観測された。化合物1の注入停止後2時間での化合物1の平均濃度は、低容量グループ(25mg/kg/日)で28ng/mLに、中用量グループ(50mg/kg/日)で53ng/mLに、そして高用量グループ(75mg/kg/日)で75ng/mLに低下した。化合物1のT1/2zは、異なる用量グループにおいて1.2から1.6時間の間で変動した。
【0224】
【表9】
【0225】
要約すると、結果は、2mMの治療限界値より上の定常状態化合物1血漿濃度が、ラットでの50および75mg/kg/日の用量速度の化合物1の14日IV連続注入で得られたことを示す。化合物1の投与が14日後に停止されたとき、薬物は、全用量グループにおいて、ラットの血漿から急速に除去された。
【0226】
B.CIVを与えられたサルにおける製剤D11のIn vivo薬動学
カニクイザルに化合物1を14日間にわたり5mg/kg/日、15mg/kg/日または30mg/kg/dayで、連続IV注入を与えた。薬剤は、14日間連続で、2ml/kg/時間の速度で大腿静脈に静脈内的(24時間/日)に注入した。血液サンプルを治療期間の1、2、6、10および15日目に各サルから採取した。静脈穿刺でサルを出血させ、サンプルをK2EDTAを含むチューブに回収した。1日目に、サンプルを治療開始2、6および12時間後に採取した。追加のサンプルを注入開始の30時間後(2日目)に採取した6および10日目に、袋を換えた約6時間後にサンプルを採取した。注入14日最終日、15日目に、投与量の停止1時間前、および投与量停止後5分、30分、1時間、2時間、4時間、8時間および24時間に採取された。
【0227】
この化合物1の14日IV連続注入の結果を表10および図12に示す。5mg/kg/日用量または15mg/kg/日を与えられたグループにおける定常状態化合物1血漿濃度は、それぞれ358ng/mL(~0.8mM)および1,173ng/mL(~2.5mM)の平均定常状態血漿(30時間と14日の間)とともに、14日CIV注入を通して観察された。30mg/kg/日の高用量グループにおける化合物1血漿濃度は、1日目に2,814ng/mL(~6.1mM)から6日目に4,354 ng/mL(~9.4mM)、10日目までに6,855ng/mL(~15mM)、15日目までに8,561ng/mL(~18.5 mM)の14日注入期間をとおして増加した。15mg/kg/日および30mg/kg/日グループの血漿濃度は、14日注入期間にわたるin vivo抗腫瘍活性実験において、治療閾値を超えた。異なるグループのAUCsは、5 mg/kg/日グループの平均AUCの119,018ng/mL*h、15mg/kg/日グループの400,116ng/mL*h(グループ間で3.4倍の増加、これは用量レベルで3倍の増加に比例)とともに、低および中用量グループの間で与えられた用量におおよそ比例的に増加した。しかし、高用量グループ(30mg/kg/日)のAUC値は、著しく大きい、すなわち、用量レベルの2倍増加に関わらず、中用量グループのそれより4.7倍である1,874,950ng/mL*hであった。異なるグループの化合物1の注入が終了したとき、血漿からの化合物1の急速な除去が全てのグループで観察された。化合物1のT1/2zは、異なる用量グループで8.1から11.5時間の間で変動した。
【0228】
【表10】
【0229】
要約すると、結果は、治療閾値2mM以上の安定した化合物1血漿濃度は、サルにおける化合物1の14日IV連続注入で得られることを示した。化合物1の投与が14日後に停止されたとき、薬物は、全ての用量グループでサルの血漿から急速に除去された。
【0230】
C.ラットおよびサルにおける化合物1のIn vivo毒性
14日連続静脈内注入(bのように)として投与されたとき、重度な化合物に関連した毒性は、サルにおいて観察されず、食欲不振および中程度の回復可能な貧血を含む副作用は回復可能であった。ひ臓における肝細胞および泡沫状組織球の蓄積(マクロファージ)の拡散空洞化が、サルにおいて観察され、これは使用した媒体の浄化を示す。退行性変化は、注入部を含むいずれの臓器でも観察されず、体重、眼用状態、心電図活動および他のサルで査定したパラメータに作用はなかった。
【0231】
ラットにおける14日注入(aのように)は、全ての治療および対照群の注入部で壊死化および炎症性病変と関連した。毒性は、媒体によるもので、注入管の小さいサイズおよび並行カテーテル路感染に起因した。
【0232】
単一ボーラス静脈投与は、健康なラットにおける85mg/kgのMTDおよびサルにおける約35mg/kgのMTDを示した。
【0233】
急性毒性もサルにおける24時間CIV投与スケジュールで評価され、24時間の期間(2mL/kg/時間の注入速度)で35mg/kgおよび70mg/kgの用量は両方ともよく許容された。
【実施例12】
【0234】
実施例12:ヒトにおける化合物1の薬動学のシュミュレーション
マウス、ラットおよびサルを含む3種から化合物1の血漿濃度−時間データを使用して、化合物1の薬動学パラメータのための相対方程式を得るため、そしてそれらの相対方程式からヒト薬動学的パラメータを推定するために、分析を実行した。
【0235】
化合物1の血漿濃度は、静脈注入または連続注入後、マウス、ラットおよびサルから得た。マウス、ラットおよびサルの化合物1薬動学的パラメータは、ソフトウェアプログラムNONMEMTM (バージョン5)の一つの機能である母集団薬動学的分析を使用して推定された。ヒトにおける典型的な化合物1の母集団薬動学的パラメータは、3種の動物で推定された薬動学的パラメータから得た相対方程式から外挿された。9日または14日連続注入後の化合物1の血漿濃度−時間プロファイルは、それぞれ、典型的な母集団浄化(平均CL)、50%高い浄化(平均CL+50%×平均CL)、および50%低い浄化(平均CL−50%×平均CL)を用いて、患者(体重70kg;体表面積、1.8m2)でシュミレーションされた。
【0236】
中央コンパートメントからの1次除去を用いた2つのコンパートメントモデルは、マウスおよびラットにおける静脈内ボーラス注入(30mg/kg)、ラットにおける7日連続注入(50から170mg/kg/日)およびサルにおける14日連続注入(5から30mg/kg/日)後の化合物1の血漿濃度−時間プロファイルを適切に記述した。マウス、ラットおよびサルにおける化合物1の推定された母集団薬動学的パラメータを、表11に示す。
【0237】
【表11】
【0238】
サルにおける14日連続注入は、5、15および30mg/kg/日の用量レベルで、それぞれ、0.75、2.57および14.07μMの平均定常状態血漿濃度、およびそれぞれ対応する0.63、0.57および0.23L/h/kgの平均浄化値を結果として得た。Michaelis-Menten除去を用いた2コンパートメントモデルの適用は、リニアモデルよりサルの濃度データをよりよく表現している。ヒトの目標濃度は、線形薬動学が仮定する2μMであるため、ヒト血漿濃度における全てのシュミレーションは、線形一次除去を用いた2コンパートメントモデルに基づき実行された。
【0239】
薬動学的パラメータ浄化(CL)、分散量(V1およびV2)および内コンパートメント浄化(Q)における相対方程式が導きだされた。ヒトにおける化合物1の母集団PKパラメータが相対方程式から外挿され、推定値が表11に示される。ヒトでのシュミュレーション化合物血漿濃度−時間プロファイルを図13に示し、推定された注入濃度の最終を表12に示す。
【0240】
【表12】
【0241】
30mg/m2/日の用量での化合物1の14日連続注入のシュミュレーションから、平均患者のパラメータを使用して推定された定常状態血漿濃度は、0.29 μM (表12)であった。我々は、5mg/kg/日および15mg/kg/日の用量での14日連続IV注入で、定常状態化合物1血漿濃度が14日CIV注入を通して観察された、サルにおける化合物1の薬動学的プロファイルにおいて観察してきた。よって、ヒトにおける180mg/m2/日(4.5mg/kg/日)での化合物1の用量は、14日以上の連続IV注入中に定常状態濃度を生成するだろうことが予測されてよい。
【実施例13】
【0242】
実施例13:製剤B10のヒトへの投与
上述のバルク製剤を癌治療のためにヒトに使用した。バルク製剤は、患者への投与前に無菌0.9%生理食塩水で再調製された。バルク製剤バイアルは、52mLの0.9%生理食塩水、注入バックおよび投与セット(ポンプコネクタ付)を含む無菌60mL前充填されたシリンジからなる薬物再調製キットおよび拡張セットとともに提供される。拡張セットは、耐サイフォン弁および無菌0.2ミクロンインラインフィルターを含む。バイアルの内容物は、前充填シリンジを利用して52mLの無菌0.9%生理食塩水で稀釈される。この過剰充填は、265mg/バイアルに対応する、4.48mg/mLの化合物1を含む最低摘出可能な59mLのプリミックス量があることを確実にする。投与製剤は、0.9%生理食塩水の本薬物濃度で均等である。
【0243】
投与量により、投与製剤は、250-mL、500-mLまたは1-L EVAまたはPP注入バックに移される。注入バックは、24時間注入のためにCADD Prizm VIP 6101モデルポンプに接続される。毎日の用量は、プログラム可能で薬剤師によりロックされるポンプの流量で調節される。患者は、重度の副作用および治療の有効性のために監視される。
【0244】
例えば、1.8 m2 の体表面積のヒト患者に180mg/m2の毎日量が14日の期間中に与えられる。患者は、約3.014mL/時間に調節された流量で、約72.34mL(薬物の324.1mg)の毎日量、合計1012.8mL(薬物の4537.4mg)の上の再調製された製剤を投与される。14日注入が2つの7日注入、すなわち、7日後に注入バック(各バックは総量約506.4mLを投与する)を交換して与えられた。患者を、それから、7日間休養させる。1回以上のさらなる14日注入治療が、反応および重度の副作用により、用量を調節または調節せずに同様の方法で与えられる。
【0245】
本明細書に引用された全ての特許請求および出版された参考資料は、本明細書にそのまま引用される。対立がある場合、定義を含む本明細書が管理する。本発明は、特に、その好適な実施形態を参照に表示および記述されるが、多様な形態の変更および詳細が、付属の特許請求により含まれる本発明の範囲から逸脱することなくなされることを当業者により理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0246】
【図1】図1は、異なる臓器組織および血漿(血漿、肝臓、腎臓、ひ臓、肺、脂肪および脳)における再調製された製剤Bのボーラス注射後、5 および30分後の化合物1の濃度を示す図である。
【図2】図2は、スイスマウスにおける30 mg/kgの静脈内(iv)、腹腔内(ip)、皮下および(sc)ボーラス投与(製剤D11を使用)、および経口(po) 投与(製剤C を使用)後の化合物1の平均(±SD)血漿濃度を示す。
【図3】図3は、製剤D11を使用した30 mg/kgの静脈内(iv)、腹腔内(ip)、皮下(sc)ボーラス投与30分後の様々な組織における化合物1の平均濃度を示す。
【図4】図4は、IP で5 mL/kg (6-18日目)を投与した媒体対照群(円)と比較して、IPで20 mg/kg(6-13日目)を投与後10 mg/kg (14-18日目) (逆三角)を投与、SCで20 mg/kg (6-13日目)を投与後15 mg/kg (14-18日目) (四角)を投与、およびIVで100 mg/kg (6-10日目および 13-17日目) (三角)を投与した場合、メスの胸腺(nu/nu)欠損ヌードマウスにおけるラット神経こう腫(C6)腫瘍異種移植片に対する化合物1(製剤D11)のin vivo抗腫瘍活性を示す。治療は、腫瘍が触知可能(6日目)になってから開始された。
【図5】図5は、ヒト神経こう腫(U-87MG)腫瘍異種移植片に対する化合物1(製剤D11)のin vivo抗腫瘍活性から異なるグループ(平均 ± SEM)の腫瘍体積の成長曲線を示す。治療は、腫瘍が触知可能(24日目)になってから開始された。化合物1 (30 mg/kg) (四角)および 薬物無し対照媒体(5 mL/kg)(円)が、2週間 (q1d × 5) 2 wk 、1日(月曜日から金曜日)1回、SC で投与された。テモドゾルイミド(ダイヤモンド型)は、陽性対照として使用され、4 日毎(合計3治療)に150 mg/g 、PO で投与された。
【図6】図6は、対照群の動物が腫瘍負荷のため致死されなければならい34日目で比較された場合の、図5のin vivo活性検定での異なる治療群の全動物の腫瘍体積を示す。
【図7】図7は、ボーラス注射による製剤D11を使用した、オスのハーランヌードマウスにおけるヒト前立腺腫瘍(PC3)異種移植片に対する化合物1の抗腫瘍効果を示す。
【図8】図8は、ボーラス製剤D11投与を使用した、治療22日目の個々のオスのハーランヌードマウスにおけるヒト前立腺腫瘍(PC3)異種移植片に対する化合物1の抗腫瘍効果を示す。
【図9】図9は、製剤D11ボーラス投与を使用した、メスのハーランヌードマウスにおけるヒト胸部腫瘍(MDA-MB-231)異種移植片に対する化合物1の抗腫瘍効果を示す。
【図10】図10は、製剤D11ボーラス投与を使用した、治療21日目の個々のメスのハーランヌードマウスにおけるヒト胸部腫瘍(MDA-MB-231)異種移植片に対する化合物1の抗腫瘍効果を示す。
【図11】図11は、25 mg/kg/日、50 mg/kg/日および75 mg/kg/日で、連続して静脈内注入(CIV)を14日間(336 時間)投与した時のスプラーグドーレイラットにおける化合物1(製剤D11)の注入中および注入後の平均(±SD)血漿濃度を示す。
【図12】図12は、5 mg/kg/日、15 mg/kg/日および30 mg/kg/日で、CIVを14日間(336 時間)投与した時のカニクイザルにおける化合物1(製剤D11)の注入中および注入後の平均(±SD) 血漿濃度を示す。
【図13】図13は、14日間、30 mg/m2/日で製剤D11をCIV 注入した後のヒトにおける模擬された化合物1の血漿濃度-時間プロファイルを示す。
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2005年6月2日に申請した仮出願USSN 60/686,394の35 USC §119に基づく有効性を主張し、全ての教示は、全目的のために参考資料として本明細書の一部とする。
【0002】
(本発明の分野)
本発明は、ファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物、すなわち、以下に定義される化合物1、またはその類似物または医薬的に許容される塩またはプロドラッグを含む医薬製剤に関する。そのような製剤は、経口または鼻腔内を含む経口投与または非経口ではない投与に適したすぐに使用できる溶液、またはその場ですぐに再調整できるバルク製剤である。さらに、本発明は、製剤の製造方法、そのような製剤の使用方法および薬物の製造におけるその使用方法にも言及する。
【背景技術】
【0003】
新しいファルネシルジベンゾジアゼピノンである化合物1は、放線菌類、ミクロモノスポラ菌種の新種から分離される。化合物1の生成方法は、2004年1月21日に申請された米国特許出願番号10/762,107 および2004年8月に出版されたWO 2004/065591に開示されている。化合物1は、抗炎症作用、抗菌および抗癌活性を含む生化学的活性の効力も示した。2004年9月27日に申請された米国特許出願番号10/951,436は、動物モデルでのファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物1のin vivo抗癌効力を記述している。化合物1の類似物は、2004年11月8日申請された米国特許仮出願60/625,653 で開示されている。各USSN 10/762,107、WO 2004/065591、USSN 10/951,436およびUSSN 60/625,653は、参考資料としてそのまま本明細書の一部とする。
【0004】
ファルネシルジベンゾジアゼピノンおよび類似物は、親油性で、水性媒体に容易に溶解されない。強化された活性化合物の溶解度に加え、製剤の安定性および生理学的適合性も非経口投与において必要とされる。
【0005】
溶液が使用前に視覚的に透明であることが、非経口製剤におけるUSP (米国薬局方)の条件の一つである。従って、溶液が直接使用されるか、または粉末あるいは濃縮から溶媒を添加することにより再調製されるかに関わらず、無色透明な溶液のバイアルが投与前に所望される。さらに、この基準に適合するために、微粒子の数を最低限に抑えなければならない。微粒子は、有効性がなく、毛細血管を塞ぎ、健康に重大な悪影響を及ぼす可能性のある未溶解薬物を意味する。しかし、脂肪または脂質の乳濁液または懸濁液などの製剤は、非経口使用用にも開発されている。
【0006】
疎水性薬物の調製方法の一つは、界面活性剤の使用である。化学療法での医薬的用途に対して市販される界面活性剤を使用した薬物の製剤には、Bristol Myers Squibb からのVePesidTM (ポリソルベート80を用いたエトポシド)、VumonTM (CremophorTM EL (ポリオキシエチル化ヒマシ油)を用いたテニポシド)およびTaxolTM (CremophorTM EL を用いたパクリタキセル)の3つ、そしてSanofi Aventis からのTaxotereTM (ポリソルベート80のドセタキセル)がある。医薬的界面活性剤の経口使用が許容されるため、界面活性剤を使用したバルク非経口製剤も、ゼラチンカプセル、ゲルーレスまたは溶液、乳濁液または懸濁液に取り込まれるなどの経口調合物を製造するために直接使用されてよい。
【0007】
非経口薬物製剤は、リポソーム技術を使用して調製されてもよい。リポソーム製剤は、例えば、薬物の生物利用性を増大するため、組織の特異的送達、薬物毒性の減少および注入部位における壊死または他の有害な作用を生じる沈殿の阻止のために使用される。化学療法剤送達のためのリポソーム製剤の一般原則は、1999年に出版された総論に記述されている(Drummond D.C. et al, Pharmacological Reviews (1999), vol. 51, no. 4, 691-743)。効果的な医薬的治療としてのリポソーム薬物製剤の例は、抗真菌剤アンフォテリシン(AmbisomeTM, Gilead)、および抗癌剤ダウノルビシン(DaunoXomeTM, Gilead)および ドキソルビシン(DoxilTM, Alza, およびMyocetTM, Elan)である。リポソーム製剤の他の例は、老化関連黄斑変性用のVisudyneTM (QLT 光線療法) として市販されている非水溶性ベンゾポルフィリンである。
【0008】
疎水性薬物に対するリポソーム製剤も、パクリタキセルおよびドセタキセルなどのタクサン類(Straubinger 等, Pharmaceutical Research (1994), vol. 11, no. 6, 889-896; Bernacki 等, Int. J. Cancer (1997), vol. 71, 103-107; Cattel 等, J. Control. Release (2000), vol. 63, 19-30 and (2003), vol. 91, 417-429; Straubinger 等, AAPS PharmSci (2003), vol. 5, no. 4, Article 32, 1-11; Soepenberg 等, Eur. J. Cancer (2004), vol. 40, 681-688)を使用して、ポルフィリンなどの光感作剤(Reddi, J. Photochem. Photobio. B: Biology (1997), vol. 37, 189-195; Gurny 等, J. Photochem. Photobio. B: Biology (2002), vol. 66, 89-106; Sagrista 等, Int. J. Pharmaceutics (2004), vol. 278, 239-254; de Witte et al, Adv. Drug Delivery (2004), vol. 56, 17-30; Namiki 等, Pharmacological Research (2004), 65-76)を使用して、およびHCT(ヒドロクロロチアジド)およびCT (クロロチアジド)などのチアジド系利尿薬(Antimisiaris et al, J. Drug Targeting (2001), vol. 9, no. 1, 61-74)を使用して研究されている。
【発明の開示】
【発明の効果】
【0009】
本発明は、以下に定義されるファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物、すなわち、化学式Iの化合物、化合物1から130のいずれか一つ、化合物1、以下に定義される化合物2から7、9から11、14、17、18、46、63、64、67、77、78、80、82から85、87、89、92、95から98、100から103および105のいずれか一つ、またはエーテル、エステル、N-アルキル化またはN-アシル化派生物、または医薬的に許容される塩、活性成分としての上述の化合物のいずれか一つのプロドラッグの溶媒和、および医薬的に許容される担体またはビヒクル(vehicle)を含む適切な医薬製剤に関する。
【0010】
一側面において、本発明は、投与直前に混合および/または稀釈してまたはせずに、非経口または非経口でない送達に適したファルネシルジベンゾジアゼピノン濃度で医薬製剤を提供する。他の実施形態において、製剤は、非経口投与に適したすぐに使用できる水溶性溶液である。他の実施形態において、製剤は、非経口投与直前に再調製するバルク製剤である。さらなる実施形態において、製剤は、遊離またはリポソームファルネシルジベンゾジアゼピノンを含む。
【0011】
ある側面において、本発明は、ファルネシルジベンゾジアゼピノンおよび医薬的に許容される疎水性担体を含む製剤を提供する。ある実施形態において、疎水性担体は、少なくとも一つの医薬的に許容される界面活性剤を含む。他の実施形態において、界面活性剤は、ソルビタンエステル、リン脂質、コハク酸トコフェロールPEGまたはポリオキシエチル化ヒマシ油である。他の実施形態において、界面活性剤は、ポリソルベート80(例えば、TweenTM 80またはCrillet 4 HPTM)、ポリソルベート60、ポリソルベート40およびポリソルベート20、より好ましくは、ポリソルベート60または80、最も好ましくは、ポリソルベート80から選択されるソルビタンエステルである。 他の実施形態において、界面活性剤は、ポリオキシエチル化ヒマシ油である。他の実施形態において、界面活性剤は、脂質、好ましくは、リン脂質またはリン脂質派生物である。本実施形態のサブクラスにおいて、界面活性剤がリン脂質またはリン脂質派生物の場合、製剤は、リポソーム製剤である。好ましくは、リポソームの直径が約20 nm から約1000 nm の範囲、より好ましくは、約80 nm から約300 nm の範囲である。さらなる実施形態において、界面活性剤の活性成分に対する重量比は、約1:1から約100:1、好ましくは、約2:1から約50:1、より好ましくは、約5:1から約30:1、最も好ましくは、約10:1から約25:1である。
【0012】
本発明は、活性成分、界面活性剤および医薬的に許容される溶媒として、ファルネシルジベンゾジアゼピノンまたは医薬的に許容される塩またはそのプロドラッグを含む製剤をさらに提供する。ある実施形態において、溶媒は、エタノール、プロピレングリコール、グリコフロール、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンおよびグリセリン、好ましくは、エタノールまたはプロピレングリコール、より好ましくは、エタノールUSP から選択される。他の実施形態において、製剤は、溶媒の活性成分の重量比が約1:1から約100:1、好ましくは、約1:1から約50:1、より好ましくは、約1:1から約15:1、最も好ましくは、約2:1から約10:1の範囲である。
【0013】
本発明は、活性成分、界面活性剤および溶解補助剤としてファルネシルジベンゾジアゼピノンまたは医薬的に許容される塩またはそのプロドラッグを含む製剤をさらに提供する。ある実施形態において、製剤は、セトリミド、ドクサートナトリウム、グリセリルモノオレート、ポリビニルピロリドン(ポビドン, PVP)およびポリ(エチレングリコール)(PEG)から選択される溶解補助剤、好ましくは、PVP またはPEG 400から選択される親水性重合体をさらに含む。 他の実施形態において、溶解補助剤の活性成分に対する重量比は、約1:1から約100:1、好ましくは、約1:1から約50:1、より好ましくは、1:1から約15:1、最も好ましくは、約2:1から約10:1である。さらなる実施形態において、製剤は、医薬的に許容される溶媒をさらに含む。
【0014】
本発明は、活性成分、界面活性剤および抗酸化剤としてファルネシルジベンゾジアゼピノンまたは医薬的に許容される塩またはそのプロドラッグを含む製剤をさらに提供する。ある実施形態において、抗酸化剤は、アスコルビン酸ナトリウムなどのアスコルビン酸またはアスコルビン酸塩である。他の実施形態において、公抗酸化剤の活性成分に対する重量比は、約1:20から約20:1、好ましくは、約1:10から約10:1、さらに好ましくは、約1:5から約5:1、最も好ましくは、約1:5から約2:1である。さらなる実施形態において、本発明は、医薬的に許容される溶媒または溶解補助剤または両方をさらに含む。
【0015】
本発明は、活性成分、界面活性剤および水性媒体としてファルネシルジベンゾジアゼピノンまたは医薬的に許容される塩またはそのプロドラッグを含む製剤をさらに提供する。ある実施形態において、製剤は、バルク製剤であり、水性媒体は、滅菌水または注射用水である。他の実施形態において、水の活性成分に対する重量比は、約1:2から約50:1、好ましくは、約1:2から約25:1、より好ましくは、約1:1から約10:1、最も好ましくは、約1:1から約5:1である。他の実施形態において、製剤は、すぐに使用できる溶液であり、水性媒体は、注射用水、注射用減菌水、水中の生理食塩またはデキストロース、好ましくは、水中で0.9% 生理用食塩水または5% デキストロース(D5W)である。他の実施形態において、すぐに使用できる製剤の活性成分の濃度は、製剤の約0.01から約50 mg/mLの総容量、好ましくは、約0.05から約35 mg/mL、より好ましくは、約0.1から約20 mg/mL、最も好ましくは、約1から約10 mg/mLである。さらなる実施形態において、製剤は、医薬的に許容される溶媒、溶解補助剤または抗酸化剤またはその組み合わせをさらに含む。
【0016】
本発明は、バルク製剤の調製方法である、任意の順序で、ファルネシルジベンゾジアゼピノンまたは医薬的に許容される塩またはそのプロドラッグおよび界面活性剤を混合するステップを含む方法も提供する。ある実施形態において、本方法は、少なくとも一つの溶解補助剤の取り込みを含む。他の実施形態において、本方法は、PVPおよびPEG 400から選択される少なくとも一つの溶解補助剤の取り込みを含む。他の実施形態において、本方法は、安定剤、好ましくは、抗酸化剤を含む添加剤の取り込みを含む。さらなる実施形態において、抗酸化剤は、少なくとも一つのアスコルビン酸またはアスコルビン酸塩、好ましくは、アスコルビン酸ナトリウムを含む。また他の実施形態において、添加剤は、少なくとも一つのアスコルビン酸またはアスコルビン酸塩、好ましくは、アスコルビン酸ナトリウムおよび水性媒体を含む。
【0017】
本発明は、製剤の調製方法である、a)活性成分とエタノールを混合することにより組み合わせてエタノール溶液を得るステップと、b)抗酸化剤と減菌水を混合することにより組み合わせて水溶液を得るステップと、c)親水性重合体と界面活性剤を混合することにより組み合わせて混合液を得るステップと、d)ステップ(a)のエタノール溶液とステップ(c)の混合液を混合することにより組み合わせるステップと、e)ステップ(b)の水溶液とステップ(d)の溶液を混合することにより組み合わせて医薬製剤を生産するステップとを含む方法をさらに提供する。ある実施形態において、調製された製剤は、バルク製剤である。
【0018】
他の側面において、本発明は、すぐに使用できる製剤の調製方法である、(a) 製剤に適した形態でファルネシルジベンゾジアゼピノンを含むバルク製剤を提供するステップと、(b) (a) で提供されたバルク製剤と水性媒体組成物を任意の順序で混合するステップを含む方法を提供する。ある実施形態において、バルク製剤は、一つ以上の添加剤をさらに含む。好ましい実施形態において、添加剤は、一つ以上が好ましくは界面活性剤である、一つ以上の溶解補助剤である。他の実施形態において、任意で、バルクファルネシルジベンゾジアゼピノン製剤は、ファルネシルジベンゾジアゼピノンのリポソーム形態または医薬的に許容される塩またはそのプロドラッグである。他の実施形態において、水性媒体は、注射用水、注射用滅菌水、水中の生理用食塩およびデキストロース、好ましくは、水中0.9% の生理用食塩または5%のデキストロース(D5W)から選択される。他の実施形態において、混合ステップ(b) は、投与直前に実施される。
【0019】
本発明は、すぐに使用できる製剤の調製方法である、(a)ファルネシルジベンゾジアゼピノンを含む個体形態を提供するステップと、(b) (a) で提供された個体形態と界面活性剤および水性媒体組成物および一つ以上の添加剤を含むビヒクルをあらゆる順序で混合するステップを含む方法を提供する。ある実施形態において、添加剤は、一つ以上の溶媒、一つ以上の溶解補助剤または界面活性剤およびその組み合わせから選択される。
【0020】
本発明は、製剤の調製方法である、(a) 水性媒体中で、ファルネシルジベンゾジアゼピノンとリポソームが形成されるように脂質界面活性剤を混合するステップと、(b) バルク製剤を製造するために、水溶性リポソームファルネシルジベンゾジアゼピノンを凍結乾燥するステップを含む方法をさらに提供する。ある実施形態において、本方法は、(c) すぐに使用できる製剤を製造するために、(b) で得られたバルク製剤と水性媒体組成物を任意の順番で混合するステップをさらに含む。他の実施形態において、バルク製剤はリン脂質を含む。他の実施形態において、バルク製剤は、リン脂質および一つ以上の添加剤を含む。他の実施形態において、水性媒体は、注射用水、注射用滅菌水、水中の生理用食塩およびデキストロース、好ましくは、水中(D5W)で0.9% 生理用食塩または5%デキストロースから選択される。他の実施形態において、混合ステップ(c)は、投与直前に実施される。
【0021】
また他の側面において、本発明は、腫瘍性疾患の治療用に密封されたバイアルに非経口的に供給される医薬組成物と説明書を含む製品、キットまたは市販パッケージを提供する。 ある実施形態において、本発明は、本発明のバルク製剤を含む最初のバイアル、生理学的に適した水溶媒体を含む第二バイアル、および腫瘍性疾患の治療用説明書を含む製品を提供する。ここで、第二バイアルの前記水性媒体は、最初のバイアルのバルク製剤を溶解する。
【0022】
さらなる側面において、本発明は、哺乳類における腫瘍症の治療で使用するための説明書とともに、化学式Iの化合物または医薬的に許容される塩またはそのプロドラッグの連続的静脈内注入投与を含む、連続的静脈内注入用の市販パッケージ、キットまたはシステムを提供する。ある実施形態において、注入投与は、濃縮された形態で、市販パッケージ、キットまたはシステムは、注入用との再調製用に水性媒体を含む前充填したシリンジまたは他の容器をさらに含む。他の実施形態において、市販パッケージ、キットまたはシステムは、注入バックをさらに含む。他の実施形態において、市販パッケージ、キットまたはシステムは、コネクタをさらに含む。また他の実施形態において、市販パッケージ、キットまたはシステムは、ポンプコネクタおよび耐サイフォン弁を含む投与セットをさらに含む。他の実施形態において、市販パッケージ、キットまたはシステムは、移動性注入ポンプをさらに含む。
【0023】
他の側面において、本発明は、非経口投与に使用されるすぐに使用できる製品またはその場ですぐに調製できる製品を提供するための一つまたは二つに区分されたシリンジに充填された非経口的に供給される稀釈されたまたはバルク製剤を含む、製品、キットまたは市販パッケージを提供する。
【0024】
本発明は、上述のような製剤、さらに一つ以上の添加剤を含む経口または鼻腔内に供給可能な製剤を提供する。ある実施形態において、バルク製剤は、任意に腸溶性被覆されたカプセルに充填され、経口投与に使用される。他の実施形態において、バルク製剤は、溶液、懸濁液または乳濁液を生成するために適切な媒体に稀釈され、経口投与に使用される。
【0025】
さらなる側面において、本発明は、ファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物を用いた治療が示唆される状態または疾患、すなわち、腫瘍または腫瘍性疾患を患う患者の治療方法である、本明細書に記述される医薬的に効果のある量の製剤を投与するステップを含む方法を提供する。ある実施形態において、製剤は、非経口的に投与される。本発明は、抗腫瘍剤、抗癌剤または抗悪性腫瘍剤として、本明細書に記述されるような製剤の使用をさらに提供する。本発明は、腫瘍性疾患の治療に役立つ薬物の製造におけるそのような製剤の使用をさらに提供する。
【0026】
本発明の製剤により治療可能な腫瘍性疾患の例は、白血病、メラノーマ、中枢神経系癌(神経こう芽種、神経こう肉種、星状こう細胞腫および乏突起細胞腫を含む)乳癌、肺癌、膵臓癌、卵巣癌、腎臓癌、結腸および大腸癌、および前立腺癌などの哺乳類の腫瘍を含む。他の実施形態において、上述の方法および使用における腫瘍性疾患は、白血病、乳癌、前立腺癌およびCNS 癌から選択される。
【0027】
(本発明の詳細な説明)
本発明は、ファルネシルジベンゾジアゼピノンまたは医薬的に許容される塩またはそのプロドラッグを含み、非経口投与に適した医薬製剤に関する。本発明の実施形態において、製剤は、ファルネシルジベンゾジアゼピノンおよび生理学的に適合性のある媒体および任意で一つ以上の添加物を含むバルク組成物である。他の実施形態において、製剤は、非経口投与直前に調製される。
【0028】
本発明は、ファルネシルジベンゾジアゼピノンまたはその医薬的に許容される塩またはプロドラッグを含み、リポソームに装填された、非経口投与に適した医薬製剤にさらに関する。本発明の実施形態において、製剤は、リポソームファルネシルジベンゾジアゼピノンおよび生理学的に適合性のある媒体を含むバルク製剤である。他の実施形態において、製剤は、非経口投与の直前に調製される。
【0029】
また他の側面において、本発明は、前記製剤の調製方法を提供する。方法の一つは、バルクファルネシルジベンゾジアゼピノン製剤を提供するステップとそれを医薬的に許容される媒体に溶解するステップとを含む。本方法の一側面において、バルクファルネシルジベンゾジアゼピノン製剤はリポソーム調合物である。
【0030】
ある側面において、本発明は、腫瘍、前癌および癌などの病気を治療する方法を提供し、前記方法は、本明細書に記述される製剤を必要とする患者に投与することを含む。
【0031】
他の側面において、本発明は、前記病気の治療に対する製剤の製造においてファルネシルジベンゾジアゼピノン製剤の使用を提供する。本発明は、腫瘍性疾患の治療における本発明の製剤の使用をさらに提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
I 定義
定義されない限り、本明細書で使用される専門用語および科学用語の全ては、本発明が属する分野に精通する者により通常理解される意味を有する。
【0033】
用語「薬物」、「活性成分」、「活性医薬的成分」、「API」または「ファルネシルジベンゾジアゼピノン」とは、ファルネシル部分分子を含有するジベンゾジアゼピノン化合物のクラス、およびそのような化合物の派生物を意味する。その用語は、これに制限されるものではないが、化合物1として本明細書に示される10-ファルネシル-4,6,8-トリヒドロキシ-ジベンゾジアゼピン-11-one、または化合物2から87または化学式Iとして定義される化合物の類似体または医薬的に許容される塩またはそのプロドラッグを含む。
【0034】
用語「医薬的に許容される塩またはプロドラッグ」とは、哺乳類に投与されるとき、化学式Iの化合物または生物学的活性代謝物またはその残留物を直接または間接的に提供することができる、あらゆる医薬的に許容されるエステル、エステルの塩、またはファルネシルジベンゾジアゼピノンの他の派生物のいずれかを意味する。特に所望される塩またはプロドラッグは、そのような化合物が(例えば、経口投与される化合物が血中により容易に吸収可能にすることにより)哺乳類に投与される時、本発明の化合物の溶解度、有効性または生物利用性などの改良された性質を有する、または親種に関する生物学的部分(例えば、脳またはリンパ系)に親化合物の供給を強化するものである。本発明の化合物の医薬的に許容されるプロドラッグは、これに制限されないが、カルバメート、アシルオキシメチルおよびアシルオキシエチル派生物、エステル類、アミノ酸エステル類、リン酸エステル類、硫酸またはスルホン酸エステル類を含む。塩は、酸添加塩および塩基添加塩の双方を意味する。塩の性質は、医薬的に許容される場合、重要ではない。酸添加塩の例は、これに制限されるものではないが、塩化水素酸、塩化臭素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、カルボン酸、硫酸、リン酸、蟻酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、シュウ酸、リンゴ酸、グルタミン酸、プロピオン酸、グリコール酸、グルコン酸、マレイン酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、パントテン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、スルファニル酸、メシル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、ステアリン酸、アルギン酸、β-ヒドロキシ酪酸、マロン酸、ガラクタル酸、ガラクツロン酸などを含む。適切な医薬的に許容される塩基添加塩は、これに制限されるものではないが、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛から生成された金属塩、またはN,N’-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン、リジン、プロカインなどから生成された有機塩を含む。医薬的に許容される塩のさらなる例は、Berge等、Journal of Pharmaceutical Sciences (1977), vol 66, no1, 1-19にリストされている。これら全ての塩は、適切な酸または塩基を用いて化合物を処理することによりファルネシルジベンゾジアゼピノンから従来の方法で調製されてよい。
【0035】
用語「溶媒和」とは、有機または無機にかかわらず、一つ以上の溶媒分子を伴う化合物の物理的関連を意味する。この物理的関連は、水素結合を含む。ある場合には、溶媒和は、例えば、一つ以上の溶媒分子が結晶固形物の結晶格子に取り込まれる場合、単離することができる。「溶媒和」とは、溶相および単離可能溶媒和(isolable solvates)の双方を含む。溶媒和物の例は、水和物、エタノラート、メタノラートなどを含む。
【0036】
本発明の用語「製剤」または「組成物」は、非経口投与または経口または鼻腔内投与に適した、以下に定義されるファルネシルジベンゾジアゼピノンおよび医薬的に許容される担体または媒体を含むすぐに使用できる医薬的に許容される製剤または医薬的に許容される再調製可能なバルク製剤を意味する。本明細書で使用されるように、「医薬組成物」または「医薬製剤」は、医薬的に効果のある量のファルネシルジベンゾジアゼピノンおよび医薬的に許容される担体を含む。
【0037】
本発明の用語「バルク製剤」または「バルク組成物」は、後の調合、調製または配合のために、バルク形態の医薬的に許容される濃縮された製剤を意味する。バルク製剤は、非経口または経口または鼻腔内投与用に医薬的に許容される形態にさらに調製または再調製されてよい。バルク製剤は、活性成分および医薬的に許容される担体または媒体を含む。バルク製剤は、任意で一つ以上の添加剤を含み、任意でリポソームバルク製剤であってよい。
【0038】
本発明の用語「再調製」または「すぐに使用できる」製剤または組成物、および同等の表現は、非経口投与用に医薬的に許容されるすぐに使用できる濃度を有する医薬的に許容される製剤を意味する。再調製された製剤は、非経口投与または経口または鼻腔内投与用に医薬的に許容され、生理学的に適合する形態への再調製の結果またはさらなる稀釈またはバルク製剤の生成であってよい。バルク製剤は、活性成分および医薬的に許容される担体または媒体を含む。バルク製剤は、任意で一つ以上の添加剤をさらに含み、任意でリポソームバルク製剤であってよい。
【0039】
用語「医薬的に許容される担体」は、一つ以上の非毒性の医薬的に許容される担体および/または稀釈剤および/または補助剤および/または賦形剤を意味し、本明細書で一括して「担体」材料として呼ばれ、所望するなら、治療剤の投与のために他の活性成分または添加剤を含む。医薬的に許容される担体の例は、これに制限されるものではないが、生理食塩水、緩衝生理食塩水、5%デキストロース、水、グリセロール、エタノール、プロピレングリコール、ポリ(エチレングリコール)(例えば、PEG 300および400)、疎水性担体、ポリソルベート80(例えば、TweenTM 80またはCrillet 4 HPTM)、ポリオキシエチル化ヒマシ油(例えば、Cremophor ELTM)、ポロキサマー407および188およびその組み合わせなどの溶媒、媒体または媒質を含む。用語は、特定的に細胞培養培地を除く。経口投与薬物において、医薬的に許容される担体の例は、これに制限されるものではないが、不活性稀釈剤、壊変剤、結合剤、潤滑剤、甘味剤、香味剤、着色剤および防腐剤などの医薬的に許容される賦形剤も含む。
【0040】
用語「疎水性担体」とは、疎水性薬物の医薬製剤に使用される担体を意味する。疎水性担体の例は、これに制限されるものではないが、脂肪乳濁液、界面活性剤、脂質、PEG化リン脂質、重合体母材、生物学的適合重合体およびリポスフィア、小胞、ミセル、粒子およびリポソームを含む。
【0041】
用語「媒体」、「溶媒」または「媒質」は、非経口投与用にバルク製剤またはすぐに使用できる製剤のいずれかを得るために、薬物または製剤を溶解する溶媒として働く液体を意味する。媒体は、水溶性または水混和性(水溶性補助溶剤)、または非水溶性(油性)であってよい。補助溶剤の例は、これに制限されるものではないが、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリ(エチレングリコール)300 NF 、N-メチルピロリドン、グリコフロール、ソルビトールおよびN,N-ジメチルアセトアミドを含む。水性媒体または媒質の例はこれに制限されるものではないが、注射用水、0.9% 生理食塩水、緩衝生理食塩水および水中の5% デキストロース(D5W)を含む。非水溶性または油性媒体の例は、これに制限されないが、ピーナッツ油、コーン油、綿実油、胡麻油、大豆油、エチルオレアートおよびイソプロピルミリステートを含む。
【0042】
用語「医薬的に許容される界面活性剤」または「界面活性剤」は、液体の表面張力を軽減し、2つの液体間の界面張力を下げる医薬的に許容される物質、またはその組み合わせを意味する。界面活性剤は、通常、疎水性基(その「テイル」)と親水性基(その「ヘッド」)の双方を含むという意味の両親媒性の有機化合物である。従って、これらは、一般的に、有機溶剤および水双方に溶けにくい。界面活性剤は、そのヘッドに正式に荷電された基の存在または不在により分類される。非イオン界面活性剤は、そのヘッドに荷電された基をもたない。イオン界面活性剤のヘッドは、実質荷電を保有する。荷電が陰性なら、界面活性剤は陰イオン性であり、荷電が陽性なら、陽イオン性であり、2つの逆荷電された基を有するヘッドと含むなら、双イオン性である。界面活性剤の例は、これに制限されないが、ポリオキシエチル化ヒマシ油(例えば、Cremophor ELTM)、トコフェロールPEGコハク酸、ポロキサマー(例えば、ポロキサマー407および188)、ポリソルベート80(例えば、TweenTM 80 もしくは Crillet 4 HPTM)、ポリソルベート60、ポリソルベート40およびポリソルベート20などのソルビタンエステルおよび脂質(例えば、リン脂質)を含む。医薬的使用に適した界面活性剤のさらなる例は、例えば、米国特許6,761,903 (Chen所有)に記述されている。界面活性剤は、溶液中でミセル(例えば、ポリソルベート)として知られる凝集体またはリポソーム(例えばリン脂質)に結合してもよい。
【0043】
用語「リポソーム」および「リポソーム製剤」は、完全に閉鎖した脂質二層膜を意味する。リポソームは、単一ラメラ小胞(単一二層膜を保有する)または多重ラメラ小胞(複数の膜層を保有し、各膜は水性層で次の膜と分離される)であってよい。二層構造は、脂質の疎水性テイルが中心に向かい、親水性ヘットが水性相に向かうようになっている。リポソームの生成に使用される脂質の例は、これに制限されないが、天然または派生リン脂質、αトコフェロール有機酸派生物およびコレステロールヘミコハク酸の塩形状、およびその組み合わせを含む。リン脂質は、これに制限されないが、ホスファチジルコリン(例えば、EPC、HEPC、SPC、HSPC、 DLPC、DMPC、DPPC、DSPC、DOPC、POPC)、スフィンゴミエリン(例えば、ESM、MSM)、ホスファチジルエタノールアミン(DMPE、DPPE、DSPE、DOPE )、ホスファチジルグリセロール(例えば、EPG、DMPG、DPPG、DSPG、POPG )およびリン酸塩(例えば、DMPA、DPPA、DSPA ))、セラミド(例えば、C2CER, C8CER, C14CER, C16CER, C18CER, C20CER )、およびビオチン化またはペグ化されたリン脂質およびセラミド(例えば、PEG2000DSPE, PEG2000DMPE, PEG2000DPPE および PEG2000CnCER (n=8, 14, 20))を含む。リポソーム製剤は、脂質2層の安定化を助けるコレステロールなどの添加剤も含んでよい。バルク粉末を製造するためにリポソーム製剤が凍結乾燥される時など、他の添加剤、例えば、抗凍結剤またはバルク剤(例えばポリビニルピロリドンまたはマンニトール)も使用されてよい。
【0044】
用語「リポソーム薬物」は、リポソームの閉鎖された脂質二層膜内に含まれることにより、外部水性相から分離される薬物または活性成分を意味し、薬物は、小胞の中心部に存在するか、脂質二層の脂質に溶解されてもよい。よって、用語「薬物装填されたリポソーム」は、前記活性成分を含むリポソーム形態を意味する。
【0045】
用語「賦形剤」または「添加剤」は、活性成分以外の、製剤に含まれ、例えば、薬物の性質および投与方法などによる異なる目的をもつ医薬的に許容される添加剤を意味する。賦形剤の例は、これに制限されないが、担体、補助溶剤、安定化剤、溶解剤および界面活性剤、緩衝液、抗酸化剤、浸透圧調節剤、バルク剤、潤滑剤、乳濁液、懸濁液または粘性剤、抗菌剤、キレート剤、防腐剤、甘味剤、芳香剤、香味剤、投与補助およびその組み合わせを含む。賦形剤または添加剤のいくつかは、その性質および製剤の性質により、一つ以上の機能または使用の可能性を備えてよい。
【0046】
用語「補助溶剤」および「溶解補助剤」は、生理学的に許容される製剤の活性成分の溶解度を強化する、医薬的に許容される賦形剤を意味する。適切な補助溶剤は、これに制限されないが、KollidonTM 12PFまたは17PFなどの PVP (ポリビニルピロリドンまたはポビドンとして知られる)、PEG 300および400 (例えば、 LutrolTM E400)などのPEG(ポリ(エチレングリコール))、セトリミド、ドキュセートナトリウム、グリセリルモノオレート、ラウリル硫酸ナトリウムおよび界面活性剤を含んでよい。
【0047】
用語「安定化剤」または「安定剤」は、製剤の活性成分の物理的または化学的安定性を強化する、医薬的に許容される賦形剤を意味する。適切な安定化剤の例は、これに制限されないが、緩衝液、抗酸化剤、キレート剤、クライオおよび水解防止剤、デリバリー重合体(溶解補助剤も)バルク剤、浸透圧調節剤および抗菌剤を含む。
【0048】
用語「抗酸化剤」は、活性成分より早く酸化されるまたは酸化を防ぐことにより活性成分の酸化を防ぐ、医薬的に許容される賦形剤を意味する。抗酸化剤の例は、これに制限されないが、アセトン重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、システイン、システイナート塩酸塩、亜ジチオン酸ナトリウム、ゲンチシン酸、ゲンチシン酸エタノールアミン、グルタミン酸モノナトリウム塩、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、モノチオグリセロール、プロピルガレート、亜硫酸ナトリウム、チオグリコレートナトリウム、ビタミンE 、アスコルビン酸およびアスコルビン酸ナトリウムなどのアスコルビン酸塩を含む。
【0049】
用語「乳化剤」は、油または脂肪乳濁液などの乳濁液の調製または安定化を強化する医薬的に許容される賦形剤を意味する。乳化剤の例は、これに制限されないが、卵または大豆レシチンなどのリン脂質、またはポロキソマーなどの界面活性剤、およびポリソルベートおよびポリオキシエチレンヒマシ油などの他のポリオキシエチレン派生物を含む。
【0050】
用語「緩衝液」は、緩衝システム特有の特定の範囲内に溶液のpHを維持するのを補助する、分解阻止を補助する、および/または生理学的pH調節の維持を補助する、医薬的に許容される賦形剤を意味する。適切な緩衝液は、これに制限されないが、酢酸、クエン酸、リン酸、酒石酸、乳酸、アスコルビン酸、コハク酸、アミノ酸などを含む。
【0051】
用語「バルク剤」とは、製剤にバルクを添加することにより乾燥または冷凍乾燥時に適切なケーキを形成する医薬的に許容される賦形剤を意味する。適切なバルク剤は、これに制限されないが、マンニトール、グリシン、ラクトース、スクロース、トレハロース、デキストラン、ヒドロキシエチルスターチ、フィコールおよびゼラチンを含む。
【0052】
用語「浸透圧調節剤」は、溶液中に存在するとき、薬物が患者の組織細胞に生理学的に適合するように低張液を等張に調節することにより、添加されると注入の痛みを軽減する医薬的に許容される賦形剤を意味する。浸透圧調節剤の例は、これに制限されないが、グリセリン、ラクトース、マンニトール、デキストロース、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムおよびソルビトールを含む。
【0053】
用語「抗菌剤」は、製剤中の微生物の繁殖を阻止する医薬的に許容される添加物を意味する。抗菌剤の例は、これに制限されないが、硝酸フェニル水銀、チメルソール 、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、フェノール、クレゾール、クロロブタノールを含む。
【0054】
用語「投与補助」は、投与および/または薬物の活性を補助する医薬的に許容される賦形剤を意味する。投与補助の例は、これに制限されないが、局所麻酔剤(ベンジルアルコール、キシロカインHCl およびプロカインHCl など)、抗炎症剤(ハイドロコルチゾンなど)、抗凝固剤(ヘパリンなど)、延長用精管収縮剤(エピネフリンなど)または組織透過性を増加する薬剤(ヒアルロニダーゼなど)を含む。
【0055】
用語「v/v 」は、溶液または混合液に総容量に対する容量で表される濃度を意味する。例えば、v/vで表されるパーセンテージは、100 mLの溶液または混合液に対する成分のミリリットル数を意味する。
【0056】
用語「w/v」は、溶液または混合液の総容量に対する重量で表される濃度を意味する。例えば、w/vで表されるパーセンテージは、100 mL の溶液または混合液に対する成分のグラム数を意味する。
【0057】
用語「w/w」は、溶液または混合液の総重量に対する重量で表される濃度を意味する。例えば、w/wで表されるパーセンテージは、100 gの溶液または混合液に対する成分のグラム数を意味する。
【0058】
本明細書で使用されるように、「重量比」は、双方の量が重量により表され(例えば、mg)、双方が製剤中に存在する場合、第二成分量と比較した第一成分量を意味する。例えば、界面活性剤に対する活性成分の重量比が1:5からなる製剤は、活性成分の各mgに対して、実質的に5 mgの界面活性剤を含む。
【0059】
本明細書で使用されるように、「有効量」は、医療目的(例えば、予防または治療)に有効であると判断される量を意味し、多くの要因により変動する。そのような非限定要因は、投与経路および頻度そして治療目的を含む。
【0060】
本明細書で使用されるように、用語「単位用量」は、ヒトや他の哺乳類のための単位用量として適した物理的に最適な単位を意味し、各単位は、適切な担体と関連して、所望する治療効果を出すために計算された所定量のファルネシルジベンゾジアゼピノンを含む。薬物が(例えば7から28日間の連続した静脈内注入を介して)長期間に渡り投与される場合、一つ以上の最適な単位用量(例えば、アンプルまたは密封されたバイアル)が単独投与で投与されてよい。
【0061】
用語「再調製」は、保存または保管のために以前変更された物質を溶媒または媒体を添加することにより、投与前に元の状態に戻すプロセスを意味する。例えば、濃縮された溶液または懸濁液の稀釈または乾燥または冷凍乾燥された製剤を含む乾燥製剤の溶解である。
【0062】
用語「殺菌」は、微生物増殖または患者の汚染を防止するために、製剤後および/またはバルク製剤の再調製前に薬物に存在する可能性のある微生物を実質的に除去または中和するプロセスを意味する。殺菌プロセスの例は、これに制限されないが、蒸気減菌、乾熱雑菌、濾過、ガス殺菌、電離放射線を含む。
【0063】
用語「凍結乾燥」は、薬物または製剤溶液を乾燥するプロセスを意味し、製品凍結後、水が昇華されるプロセスである。
【0064】
用語「非経口」および「非経口投与」は、患者の皮膚内または皮膚を介するなど、腸以外のパラ消化管方式の投与でのボーラス注射および/または製剤の注入を意味する。非経口方式の投与の例は、これに制限されないが、皮内、皮下(s.c., s.q., sub-Q, Hypo)、筋肉内(i.m.)、静脈内(i.v.)、動脈内、髄内、心腔内、関節内(関節)、滑膜内(滑液部位)、脊髄内、頭蓋内およびクモ膜下(滑液)を含む。非経口でない方式の投与は、これに制限されないが、経口、眼球内、鼻腔内、局所、経皮、直腸、舌下および粘膜を含む。
【0065】
本明細書で使用されるように、略記は、それらの一般的な意味を有する。特に記載がない限り、略記「Ac」、「Me」、「Et」、「Pr」「i-Pr」、「Bu」および「Ph」は、それぞれ、アセチル、メチル、エチル、プロピル(n- またはイソプロピル)、イソプロピル、ブチル(n-, sec-, iso- or tert-ブチル)およびフェニルを意味する。
【0066】
用語「アルキル」は、直鎖、分枝または環状の飽和炭化水素基を意味する。アルキル基の例は、これに制限されないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチルなどを含む。アルキル基は、アシル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、カルボアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミド、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、オキソ、グアニジノおよびホルミルから選択される置換基と任意に置換されてよい。
【0067】
nが2から12の整数である用語「C1-nアルキル」は、1から「n 」で示される炭素数を有するアルキル基を意味する。C1-nアルキルは、環状または直鎖または分枝鎖であってよい。
【0068】
用語「アルケニル」は、1から6個の炭素-炭素二重結合を含む、直線、分枝、または環状の不飽和炭化水素基を意味する。アルケニル基の例は、これに制限されないが、ビニル、1-プロペン-2-イル、1-ブテン-4-イル、2-ブテン-4-イル、1-ペンテン-5-イルなどを含む。アルケニル基は、アシル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、カルボアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミド、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、ホルミル、オキソおよびグアニジノから選択される置換基と任意に置換されてよい。不飽和炭化水素鎖の二重結合部は、シスまたはトランス配置のいずれかであってよい。
【0069】
nが3から12の正数を有する、用語「C2-nアルケニル」は、2からn で示される炭素数を有するアルケニル基を意味する。C2-nアルケニルは、環状または直鎖または分枝鎖であってよい。
【0070】
用語「アルキニル」は、少なくとも1炭素-炭素三重結合を含む、直線、分枝または環状の不飽和炭化水素基を意味する。アルキニル基の例は、これに制限されないが、エチニル、1-プロピン-3-イル、1-ブチン-4-イル、2-ブチン-4-イル、1-ペンチン-5-イルなどを含む。アルキニル基は、アシル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、カルボアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミド、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、ホルミル、オキソおよびグアニジノから選択される置換基と任意に置換されてよい。
【0071】
nが3から12の正数である用語「C2-nアルキニル」は、2からn で示される炭素数を有するアルキニル基を意味するC2-nアルキニルは、環状または直鎖または分枝鎖であってよい。
【0072】
用語「シクロアルキル」または「シクロアルキル環」は、上で定義されるように、アルキル基を意味し、3から15環員を有する単一または縮合炭素環式構造において、飽和または部分的に不飽和の炭素環をさらに含む。シクロアルキル基の例は、これに制限されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテン-1-イル、シクロペンテン-2-イル、シクロペンテン-3-イル、シクロヘキシル、シクロヘキセン-1-イル、シクロヘキセン-2-イル、シクロヘキセン-3-イル、シクロへプチル、ビシクロ〔4,3,0〕ノナニル、ノルボルニルなどを含む。シクロアルキル基は、アシル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、カルボアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミド、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、スルフィニル、スルホニルおよびホルミルから選択される置換基と任意に置換されてよい。
【0073】
nが4から15の正数である用語「C3-nシクロアルキル」は、3からn で示される炭素数を有するシクロアルキル環または環式構造を意味する。
【0074】
用語「ヘテロシクロアルキル」、「複素環」または「ヘテロシクロアルキル環」は、上に定義されるシクロアルキル基を意味し、3から15環員(例えば、テトラヒドロフラニルは、酸素原子を一つ含む5環員を有する)を有する単一または縮合炭素環式構造において、1から4個のヘテロ原子(例えば、N, O, S, P)またはヘテロ基(例えば、NH, NRx, PO2, SO, SO2)をさらに含む。ヘテロシクロアルキル、複素環またはヘテロシクロアルキル環の例は、これに制限されないが、ピロリジノ、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロジチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、チオクサニル、ピペラジニル、アゼチジニル、オクセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オクセパニル、チエパニル、オクサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、1,2,3,6-テトラヒドロピリジニル、2-ピロリニル3-ピロリニル、インドリニル、2H-ピラニル、4H-ピラニル、ジオクサニル、1,3-ジオクソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、3-アザビシクロ〔3,1,0〕ヘキサニル、3-アザビシクロ 〔4,1,0〕ヘプタニル、3H-インドリルおよびキノリジニルを含む。上に上げる化合物のリストに由来するように、前述のヘテロシクロアルキル基は、可能なら、C-結合またはN-結合であってよい。ヘテロシクロアルキル、複素環、ヘテロシクロアルキル環は、アシル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、オキソ、チオカルボニル、イミノ、カルボアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミド、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、スルフィニル、スルホニルおよびホルミルから選択される置換基と任意に置換されてよい。
【0075】
nが4から15の正数である用語「C3-nヘテロシクロアルキル」は、環に3からn で示される原子数、および上に定義されるように、少なくともヘテロ基を一つ有するヘテロシクロアルキル基を意味する。
【0076】
用語「ハロ」は、臭素、塩素、フッ素またはヨウ素置換基を意味する。
【0077】
用語「アリール」または「アリール環」は、抱合された単環式または多環式構造で、5から14の環原子を有する、nが1から3の正数である「4n+2」電子を有する共通の芳香族基を意味する。アリールは、直接結合されるか、あるいはC1-3アルキル基(アラルキルとしても示される)を介して結合されてよい。アリールの例は、これに制限されないが、フェニル、ベンジル、フェネチル、1-フェニルエチル、トリル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニルなどを含む。アリール基は、アシル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、アジド、アルキチオ、カルボアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミド、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、スルフィニル、スルホニルおよびホルミルから選択される一つ以上の置換基と任意に置換されてよい。
【0078】
nが5から14の正数である用語「C5-nアリール」は、炭素,窒素、酸素および硫黄を含む5からn で示される原子数を有するアリール基を意味する。C5-nアリールは、単環式または多環式であってよい。
【0079】
用語「ヘテロアリール」または「ヘテロアリール環」は、上に定義されるようにアリール環を意味し、酸素、窒素、硫黄またはリンから選択される1から4個のヘテロ原子をさらに含む。ヘテロアリールの例は、これに制限されないが、ピリジル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソアグサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、シノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オクサジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンズオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニリル、ナフチリジニルおよびフロピリジニル基を含む。ヘテロアリールは、アシル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、アジド、アルキチオ、カルボアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミド、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、スルフィニル、スルホニルおよびホルミルから選択される一つ以上の置換基と任意に置換されてよい。ヘテロアリールは、直接結合されるか、あるいは、C1-3アルキル(ヘテロアラルキルとしても示される)を介して結合されてよい。 上に挙げられる化合物のリストに由来するように、前述のヘテロアリール基は、可能ならC-結合またはN-結合であってよい。
【0080】
nが5から14の正数である用語「C5-nヘテロアリール」は、炭素、窒素、酸素および硫黄原子を含む5からn で示される原子数を有するヘテロアリール基を意味する。C5-nヘテロアリールは単環式または多環式であってよい。
【0081】
用語「アミノ酸」は、アミノ基を含む有機酸を意味する。用語は、自然に発生するアミノ酸と合成アミノ酸の双方を含む、よって、アミノ基は、必要とされないが、酸の隣の炭素に結合してよい。C結合アミノ酸(C-coupled amino acid)置換基は、そのカルボン酸官能基を介して親分子のヘテロ原子(窒素または酸素)に結合する。C結合アミノ酸は、ヘテロ原子が酸素のとき、親分子とともにエステルを、そしてヘテロ原子が窒素のとき、アミドを形成する。 アミノ酸の例は、これに制限されないが、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、アスパラギン、グルタミン、チロシン、ヒスチジン、リジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、デスモシン、オルニチン、2-アミノ酪酸、シクロヘキシルアラニン、ジメチルグリシン、フェニルグリシン、ノルバリン、ノルロイシン、ヒドロキシリジン、アロヒドロキシリジン、ヒドロキシプロリン、イソデスモシン、アロイソロイシン、エチルグリシン、β-アラニン、アミノアジピン酸、アミノ酪酸、エチルアスパラギンおよびN-メチルアミノ酸を含む。アミノ酸は、純粋LまたはD異性体あるいは LとD異性体の混合物であってよい。
【0082】
II. 医薬製剤およびその生成方法
本発明は、ファルネシルジベンゾジアゼピノン、または活性成分として医薬的に許容されるその塩またはプロドラッグ、および以下に記述される医薬的に許容される担体または媒体を含む、医薬製剤に関する。ファルネシルジベンゾジアゼピノンを含む医薬製剤は、様々な疾患および障害、特に腫瘍疾患などの無秩序な細胞成長および増殖に関連する疾患の治療に役立つ。ファルネシルジベンゾジアゼピノンまたはその医薬的に許容される塩またはプロドラッグは、疾患、特に腫瘍性疾患の治療または予防的治療びために調製および投与される。製剤は、約0.1% から約99.9%、約1% から約98%、約5% から約95%、約10% から約80% または約15% から約60%の重量の活性成分を含む。
【0083】
本発明による新規製剤のために、関心が向けられる活性成分は、
【0084】
【化1】
式中、 W1、W2 および W3は、それぞれ、
【0085】
【化2】
【0086】
または、W3、W2またはW1がそれぞれ-CH=O、-CH(OC1-6アルキル)2、-CH2OH、-CH2OC1-6アルキルまたはC(O)OR7のいずれかである場合にW3、W2 またはW1での三環系終端部(tricycle terminates)からの鎖から独立して選択され、
R1 は、H、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、C3-10シクロアルキル、C3-10ヘテロシクロアルキル、C(O)H、C(O)C1-10アルキル、C(O)C2-10アルケニル、C(O)C2-10アルキニル、C(O)C6-10アリール、C(O)C5-10ヘテロアリール、C(O)C3-10シクロアルキル、 C(O)C3-10ヘテロシクロアルキル、 またはC結合アミノ酸から選択され、
R2、R3および R4は、それぞれ、H、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、C3-10シクロアルキル、C3-10ヘテロシクロアルキル、C(O)H、C(O)C1-10アルキル、C(O)C2-10アルケニル、C(O)C2-10アルキニル、C(O)C6-10アリール、C(O)C5-10ヘテロアリール、C(O)C3-10シクロアルキル、C(O)C3-10ヘテロシクロアルキルまたはC結合アミノ酸から独立して選択され、
R5およびR6は、それぞれ、H、OH、OC1-6アルキル、OC(O)C1-6アルキル、NH2、NHC1-6アルキル、N(C1-6アルキル)2、NHC(O)C1-6アルキルから独立して選択され、 R7は、H、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、C3-10シクロアルキルおよびC3-10ヘテロシクロアルキルから選択され、
X1、X2、X3、X4またはX5の一つがハロゲンで、残りがHであり、
式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7のいずれかがアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基を含む場合、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基は、アシル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、カルボアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミド、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオ、C1-6アルキル、C2-7アルケニル、C2-7アルキニル、C3-10シクロアルキル、C3-10ヘテロシクロアルキル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、オキソ、グアニジノおよびホルミルから選択される置換基と任意で置換される、化学式Iにより定義されるファルネシルジベンゾジアゼピノン、およびエステル、エーテル、N アルキル化またはN アシル化された派生物、またはその医薬的に許容される塩、溶媒またはプロドラッグである。
【0087】
ある実施形態において、R1は、Hであり、他の全ての基は以前に開示された通りである。他の実施形態において、R1は、-CH3であり、他の全ての基は以前に開示された通りである。他の実施形態において、R1は、C1-10アルキルであり、他の全ての基は以前に開示された通りである。本実施形態のサブクラスにおいて、アルキル基は、ハロ、フルオロ、C6-10アリールおよびC5-10ヘテロアリールから選択された置換基と任意に置換される。他の実施形態において、R1は、-C(O)C1-10アルキルで、他の全ての基は以前に開示された通りである。他の実施形態において、R2はHで、他の全ての基は以前に開示された通りである。他の実施形態において、R3はHで、他の全ての基は以前に開示された通りである。他の実施形態において、R4はHで、他の全ての基は以前に開示された通りである。他の実施形態において、R2、R3およびR4は、それぞれHで、他の全ての基は以前に開示された通りである。他の実施形態において、R2、R3およびR4のうち1つはCH3で、他はそれぞれHであり、他の全ての基は以前に開示された通りである。他の実施形態において、R2、R3およびR4のうち2つはCH3で、もう1つはHであり、他の全ての基は以前に開示された通りである。他の実施形態において、R2、R3およびR4はそれぞれCH3で、他の全ての基は以前に開示された通りである。他の実施形態において、R2、R3およびR4はそれぞれHで、W1は-CH=C(CH3)-であり、他の全ての基は以前に開示された通りである。他の実施形態において、R2、R3およびR4はそれぞれHで、W2は-CH=C(CH3)-であり、他の全ての基は以前に開示された通りである。他の実施形態において、R2、R3およびR4はそれぞれHで、W3は-CH=C(CH3)-であり、他の全ての基は以前に開示された通りである。他の実施形態において、R1はHで、R2、R3およびR4は、それぞれHで、他の全ての基は以前に開示された通りである。他の実施形態において、R1はHで、W1、W2およびW3のそれぞれは-CH=C(CH3)-で、他の全ての基は以前に開示された通りである。他の実施形態において、R1はHで、W1、W2およびW3のそれぞれは-CH2CH(CH3)-で、他の全ての基は以前に開示された通りである。他の実施形態において、X1はBrで、X2、 X3、X4およびX5のそれぞれはHで、他の全ての基は以前に開示された通りである。他の実施形態において、W1、W2およびW3のそれぞれが-CH=C(CH3)-で、R2、R3およびR4のそれぞれがH の場合、R1はHではない。 さらなる実施形態において、W1、W2およびW3のそれぞれが-CH=C(CH3)-で、R2、R3およびR4のそれぞれがH の場合、R1はCH3ではない。さらなる実施形態において、W1、W2およびW3のそれぞれが-CH=C(CH3)-で、R2、R3およびR4のそれぞれがH の場合、R1はHまたはCH3のいずれでもない。さらなる実施形態において、三環からの鎖が、W2またはW1がそれぞれ-CH=O、-CH(OC1-6アルキル)2、-CH2OH、-CH2OC1-6アルキルまたはC(O)OR7のいずれかである、W1またはW2で終わる場合、R1 はHである。本発明は、全てのエステル、エーテル、N アルキル化またはN アシル化された派生物、および前述の化合物のその医薬的に許容される塩,溶媒およびプロドラッグを含む。
【0088】
特定の関心がむけられる例は、以下のように定義される化合物1から130、
【0089】
【化3】
【0090】
または化合物1から130のいずれか一つの医薬的に許容される塩,溶媒またはプロドラッグである。好ましくは、活性成分は、化合物1またはその医薬的に許容される塩,溶媒またはプロドラッグである。
【0091】
本発明による新規製剤は、非経口または非経口でない投与に適した形態で、上記に定義されている、化合物1、化学式Iの化合物、化合物1から130のいずれか一つ、または医薬的に許容される担体または媒体と共にその医薬的に許容される塩またはプロドラッグであるファルネシルジベンゾジアゼピノン類から選択される活性成分を含む。
【0092】
医薬的に許容される担体は、「担体」原料として本明細書で集合的に称される、治療剤投与のための一つ以上の非毒性の医薬的に許容される担体および/または稀釈剤および/または補助剤および/または賦形剤および/または媒体を意味する。担体は、任意に他の活性成分または添加物を含んでよい。活性成分以外の医薬的に許容される担体および添加物は、製剤に含まれ、例えば、薬物の性質および投与形態により異なる用途をもつ。
【0093】
本発明の組成物は、制御または持続放出型配給系(例えば、生物浸食性マトリックス)を使用して供給されてよい。(ファルネシルジベンゾジアゼピノンを含む)本発明の製剤の投与に適した薬物供給のための例示的な遅延放出供給系は、米国特許番号4,452,775 (Kent 所有)、5,039,660 (Leonard所有 )および3,854,480 (Zaffaroni 所有)に記述されている。
【0094】
A 非経口医薬製剤
非経口投与用の製剤は、ファルネシルジベンゾジアゼピノンまたは活性成分としてその塩、溶媒またはプロドラッグおよび医薬的に許容される担体を含む、水溶性または非水溶性等張無菌注射液、乳濁液または懸濁液の形態であってよい。注入に使用される非経口形態は、注入できる程度に流体でなければならなく、生理学的に適合しなければならない。これらの溶液または懸濁液は、非経口投与に適したすぐに使用できる製剤であるか、投与直前にバルク製剤(例えば、濃縮液、粉末または顆粒)を再調製することから調製されてよい。
【0095】
本明細書に記述されるバルク製剤は、注入用水、注入用無菌水、生理用食塩水および水中のデキストロース、好ましくは0.9%の生理用食塩水または水中の5%のデキストロース(D5W)などの医薬的に許容される水溶性媒体中で、投与前に再調製される。他の実施形態において、すぐに使用できる活性成分の濃度は、製剤の総容量の約0.01 から約50 mg/mL 、好ましくは、約0.05から約35 mg/mL 、より好ましくは、約0.1から約20 mg/mL、最も好ましくは、約1から約10 mg/mLである。
【0096】
非経口製剤は、ファルネシルジベンゾジアゼピノンおよび医薬的に許容される疎水性担体、例えば、脂肪乳濁液および界面活性剤、重合体マトリックス、生体適合性重合体、リポスフィア、小胞、ミセル、粒子およびリポソームを含む製剤、を含む。脂肪乳濁液は、上述の賦形剤に加え、所望の浸透圧を維持するために、脂質および水性相および乳化剤(例えば、リン脂質、ポロキサマー、ポリソルベートおよびポリオキシエチレンヒマシ油)などの添加剤、および浸透圧剤(例えば、塩化ナトリウム、グリセロール、ソルビトール、キシリトールおよびグルコース)を含む。
【0097】
製剤は、ソルビタンエステル、脂質(例えば、リン脂質)、トコフェロールPEG コハク酸、ポロキサマー407および188、またはポリオキシエチル化ヒマシ油(例えば、Cremophor ELTM)から選択される一つ以上の界面活性剤を含んでよい。ソルビタンエステルの例は、ポリソルベート80(例えば、TweenTM 80またはCrillet 4 HPTM)、ポリソルベート60、ポリソルベート40およびポリソルベート20、好ましくは、ポリソルベート60または80、最も好ましくは、ポリソルベート80を含む。ある実施形態において、界面活性剤の活性成分に対する重量比は、約1:1 から 100:1、好ましくは、約2;1から50:1、より好ましくは約5:1から30:1、最も好ましくは、約10:1 から約 25:1である。例えば、界面活性剤が脂質である場合、界面活性剤はミセルまたはリポソームを形成してよい。脂質は、例えば、リン脂質およびホスファチジルコリン(PG)、卵ホスファチジルコリン(EPG)、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルグリセロールおよびスフィンゴミエリンなどのリン脂質派生物から選択されてよい。リポソーム直径は、約20から約1000nm、好ましくは、約80から約300nmの範囲であってよい。製剤は、任意で、一つ以上のコレステロールなどの添加剤、またはPVPまたはマンニトールなどの凍結保護剤を含む。リポソーム製剤は、任意でバルク製剤を生成するために凍結乾燥される。
【0098】
バルク製剤は、医薬的に許容される溶媒をさらに含んでよい。例えば、溶媒は、エタノール、コーン油、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、ポリ(エチレングリコール)300または400(PEG 300および400)、グリコフロール、N-メチルピロリドン、ソルビトール、N,N-ジメチルアセトアミド、グリセリン、好ましくは、エタノールまたはプロピレングリコール、より好ましくは、エタノールUSP から選択されてよい。バルク製剤は、好ましくは、溶媒の活性成分に対して約1:1 から約100:1、約1:1から約50:1、 約 1:1 から約 15:1または約2:1 から約 10:1(エタノールの密度が25°Cで約0.789 g/mLのとき)の重量比を有する。
【0099】
製剤は、例えば、セトリミド、ドクサートナトリウム、グリセリルモノオレート、ポリビニルピロリドン(ポビドン、PVP)およびポリ(エチレングリコール)(PEG)、好ましくは、PVPまたはPEG 400などの親水性重合体などの一つ以上の溶解補助剤をさらに含むことができる。溶解補助剤の活性成分に対する重量比は、一般的に、約1:1 から約100:1、約1:1から約50:1、約 1:1 から約 15:1または約 2:1から約10:1である。
【0100】
製剤は、抗酸化剤などの一つ以上の安定化剤を含む添加剤をさらに含んでよい。好ましい抗酸化剤は、アスコルビン酸を伴うまたは伴わないアスコルビン酸ナトリウムを含む。抗酸化剤の活性成分に対する重量比は、一般的に、約1:20 から約 20:1、約 1:10 から約10:1または約 1:5 から約5:1である。
【0101】
バルク製剤は、水:活性成分比が約1:2 から約50:1、約 1:2 から約 25:1、約1:1 から約10:1または約 1:1 から約 5:1で、水溶性媒体、好ましくは、無菌水または注射用水も含んでよい。
【0102】
バルク製剤は、供給時にその場ですぐに再調製できる個体形態(例えば、粉末または顆粒)であってもよい。上述の賦形剤に加え、個体形態は、任意で、バルク剤(例えば、マンニトール、グリシン、ラクトース、スクロース、トレハロース、デキストラン、ヒドロキシエチルスターチ、フィコールおよびゼラチン)およびクリオまたは水解防止剤を含む。
【0103】
医薬製剤は、局所的麻酔(ベンジルアルコール、キシロカインHcIおよびプロカインHcIなど)、抗炎症剤(ヒドロコルチゾンなど)、抗凝固剤(ヘパリンなど)、長期効果のための精管収縮剤(エピネフリンなど)または組織の透過性を増大する薬剤(ヒアルロニダーゼなど)を含む、投与補助剤をさらに含んでよい。これらの投与補助剤は、患者の安全および/または薬物供給の用途のために使用される。
【0104】
医薬製剤は、活性成分の濃度および製剤を生物学的に許容される形態、生物学的に適合可能な無菌形態、分解生成物、懸濁粒子の除去、および微生物の汚染の除去を維持するため、緩衝液、防腐剤、抗酸化剤および抗菌剤を含む安定化剤および浸透圧調節剤も含んでよい。
【0105】
例えば、静脈内(IV)使用(連続静脈内注入)において、化学式Iの化合物の無菌製剤および一つ以上の界面活性剤は、一般的に使用される静脈内流体のいずれかに溶解または懸濁され、注射または注入により投与されてよい。静脈内流体は、これに制限されないが、生理食塩水、リン酸塩緩衝剤食塩水、5% グルコースまたはRinger’sTM溶液を含む。筋肉内調製において、本発明の化合物の無菌製剤または化合物を形成する適切な可溶性塩またはプロドラッグは、注入用水(WFI)、生理食塩水または5%グルコースなどの医薬的稀釈剤に溶解され、投与されてよい。化合物の適切な可溶性形態は、水溶性ベースまたは医薬的に許容される油ベース、例えば、エチルオレートなどの長鎖脂肪酸のエステルで、懸濁液として調製、投与されてよい。
【0106】
B 非経口でない医薬製剤
任意で、上述のバルク非経口製剤は、例えば、経口、局所的または鼻腔内投与などの非経口でない投与のために製剤を調製するために直接使用されてよい。一つ以上の賦形剤またはビヒクルが、より容易に処理できる形態を提供するように添加されてよい。上述のバルク製剤は、ゼラチンのカプセル(任意で腸溶性被覆)に充填または経口投与のため懸濁液または溶液に使用されてよい。
【0107】
経口使用において、錠剤およびカプセルなどの個体製剤は、特に有効である。持続放出または腸溶性被覆された調合物も、考案されてよい。小児および老人の用途において、懸濁液、溶液および咀嚼錠が特に適切である。経口投与において、医薬組成物は、例えば、錠剤、咀嚼錠、カプセル、ゼラチンカプセル、懸濁液、乳濁液、溶液または液体シロップまたはエリキシル剤、ウェハなどの形態である。一般的な経口投与において、製剤は、例えば、不活性稀釈剤(例えば、ナトリムおよびカルシウム炭酸塩、およびリン酸ナトリウムおよびカルシウム、およびラクトース)、充填剤(例えば、リン酸カルシウム、グリシン、ラクトース、メイズ澱粉、マンニトール、ソルビトールまたはスクロース)、壊変剤(例えば、じゃがいも澱粉、トウモロコシ澱粉およびアルギニン酸)結合剤(例えば、アカシアガム、澱粉、ゼラチン、スクロース、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、ソルビトールまたはメチルセルローストラガカント、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびエチルセルロース)、加湿剤、潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムまたは他の金属ステアリン酸、ステアリン酸、ポリ(エチレングリコール)、ワックス、油、シリカおよびコロイドシリカ、シリコン流体またはタルク)甘味剤、芳香剤、香味剤(例えば、ペパーミント、冬緑油、果物風味、チェリー、グレープ、バブルガムなど)、着色剤および防腐剤を含む、一つ以上の賦形剤または添加剤を含んでよい。着色剤は、投与形態の外見をより魅力的にする、または製品の同定を助けるために使用されてよい。経口医薬組成物は、活性成分の治療に効果的な量を含む、単位用量の形態で製造されることが好まれる。担体は、消化管での吸収を遅延するために、グリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートなど被覆賦形剤を含んでもよい。
【0108】
一般的に、水溶性または油性溶液、懸濁液、乳濁液、溶液またはエリキシル液の形態である経口流体調合物は、懸濁化剤、乳化剤、非水溶性薬剤、防腐剤、着色剤および香味剤などの従来の添加剤を含んでよい。流体調合物の添加剤の例は、アカシア、アーモンドオイル、エチルアルコール、やし油、ゼラチン、グルコースシロップ、グリセリン、水素添加食用脂、レシチン、メチルセルロース、微結晶セルロース、メチルまたはプロピルパラヒドロキシベンゾエート、プロピレングリコール、ソルビトールまたはソルビン酸を含む。
【0109】
局所使用において、本発明の化合物は、皮膚または鼻および喉の粘膜に適用できる適切な形態で調製されてもよく、クリーム、軟膏、点鼻、液体スプレーまたは吸入、ロレンジ、または喉塗布用の形態を取ることができる。そのような局所的製剤は、活性成分の表面浸透を容易にするために、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの化学化合物を含むことができる。眼または耳への用途において、本発明の化合物は、軟膏、クリーム、ローション、塗布用または粉末のような親水性または疎水性ベースで調製される流体または半流体の形態で存在してよい。直腸投与において、本発明の化合物は、ココアバター、ワックスまたは他のグリセリドなどの従来の担体と混合された座剤の形態で投与されてよい。
【0110】
非経口でない製剤中(例えば、経口、局所または鼻腔内)の活性成分の最終濃度は、非経口製剤より高くてよい。活性成分は、製剤全体の重量の10%から100%から構成されてよい。
【0111】
C 医薬製剤の製造方法
本発明の製剤は、医薬的製造分野で知られる任意の方法により調製されてよい。医薬性製剤の製造における当該分野で認識されるプロトコルおよび標準が、例えば、R.J. Strickley, Pharm. Res.(2004), vol. 21, no. 2, 201-230; M.J. Akers, J. Pharm. Sci.(2002), vol. 91, no. 11, 2283-2300およびB. Nuijen, Investigational New Drugs(2001), vol. 19, 143-153で入手可能である。
【0112】
製剤は、FDA条件および当該分野で知られる方式により調製される。本発明の製剤は、生理学的に適合性のある再構成された製剤を製造するための許容範囲内の溶媒および/または添加剤濃度で調製および使用される。例えば、すぐに使用できるポリソルベート80(例えば、TweenTM 80またはCrillet 4 HPTM)の製剤(再調製)の濃度は、好ましくは、25%(v/v)以下、PEG 400は、好ましくは、20%(v/v)以下、PVP(例えば、KollidonTM 12PF)は、好ましくは、40%(v/v)以下、およびエタノールの濃度は、好ましくは、10% (v/v)以下である。
本明細書で記述されるすぐに使用できる製剤の調製方法は、(a)製剤に適した形態でファルネシルジベンゾジアゼピノンを含むバルク製剤を提供するステップと、(b) (a)で提供されたバルク製剤を水溶性媒体組成物と任意の順番で混合することにより組み合わせるステップとを含む。バルクおよびすぐに使用できる製剤は、上述のようである。好ましくは、混合ステップ(b)は、投与直前に実施される。
バルク製剤は、ファルネシルジベンゾジアゼピノンまたはその医薬的に許容される塩またはプロドラッグ、界面活性剤、任意で一つ以上の溶媒、任意で一つ以上の溶解補助剤および任意で抗酸化剤などの一つ以上の安定化剤を任意の順番で混合することにより組み合わせることにより提供される。界面活性剤、溶媒、溶解補助剤および他の賦形剤の例および比率は、上に提供されている。
例えば、製剤の調製方法は、(a)エタノール溶液を得るために活性成分とエタノール、(b)水溶液を得るために抗酸化剤と無菌水、(c)混合液を得るために親水性重合体と界面活性剤、(d)ステップ(a)のエタノール溶液とステップ(c)の混合液、および(e)医薬製剤を生成するためにステップ(b)とステップ(d)の溶液を混合することにより組み合わせるステップを含む。
【0113】
本発明は、本明細書に記述するような製剤の調製方法を提供する。本方法は、(a)水性媒体中でファルネシルジベンゾジアゼピノンをリポソームに充填するステップと、(b)バルク製剤を生成するために水溶性リポソームファルネシルジベンゾジアゼピノンを凍結乾燥するステップと、(c)(b)で得たバルク製剤と水性媒体組成物を任意の順番で混合することにより組み合わせるステップを含む。好ましくは、バルク製剤は、リン脂質などの脂質界面活性剤と、任意で一つ以上の添加剤を含む。水性媒体は、一般的に、注射用水、注射用無菌水、食塩水および水中のデキストロース、好ましくは、0.9%食塩水または水中の5%デキストロース(D5W)から選択される。混合ステップ(c)は、非経口投与直前に実施されてよい。ステップ(a)で得た製剤は、非経口投与に直接使用されてよい。
【0114】
リポソームに組み込まれたファルネシルジベンゾジアゼピノンは、従来の方法により実施される。手順の例は、例えば、Straubingerら、Pharmaceutical Research(1994), vol. 11, no. 6, 889-896; Bernackiら、Int. J. Cancer (1997), vol. 71, 103-107; Cattelら、J. Control Release(2003), vol. 91, 417-429;およびSagristaら、Int. J. Pharmaceutics(2004), vol. 278, 239-254の文献で見つけられる。例示的手順として、リン脂質および活性化合物(2-25mol% vs脂質、好ましくは、4-20mol%)は、メタノール、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラヒドロフランまたはその組み合わせなどの有機溶媒に溶解され、任意で小胞安定化コレステロール剤を含む。有機溶媒は、in vacuoおよび/または窒素気流により除去される。脂質-活性成分複合体は、ビヒクルまたは水溶性媒体中で膨張し、任意で小胞サイズを均質化するために押出機に通される。リポソーム製剤は、任意で凍結乾燥され、投与前に再調製されるか、または非経口投与に適した水性媒体で直接稀釈されてよい。
【0115】
ファルネシルジベンゾジアゼピノンの医薬的に許容される塩、またはそのプロドラッグは、対応する酸または塩基を添加することにより、または調製前に媒体中でそのまま生成される。
【0116】
バルクまたは再調製の製剤は、当該分野で認識される技法を使用して滅菌されてよい。好ましくは、製剤は、再調製前または後に濾過により滅菌される。
【0117】
本発明の製剤は、使用するまで、アンプル、バイアルまたは容器に気密密封される。容器は、ゴムまたは他の高分子素材で作られたストッパーで無菌環境で蓋をされてよく、任意でテフロンTM(ポリテトラフルオロエチレン)で被覆される。バイアルまたはアンプルは、本発明のファルネシルジベンゾジアゼピノン製剤の1単位用量を含んでよい。単位用量は、1回の投与で供給するのに適した量であるファルネシルジベンゾジアゼピノンの量を含む製剤の量である。しかし、製剤が、例えば、連続した静脈内注入によるなど、長期に渡り投与される場合、二つつ以上の分離単位用量(例えば、アンプルまたは密封されたバイアル)が使用されてよい。活性成分としてファルネシルジベンゾジアゼピノンを含む製剤の単位用量は、約10から3000mgの活性成分、または約20から1000mgの活性成分を含んでよい。気密密封された単位用量の製剤は、すぐに使用できる製剤の化合物または適切な媒体中のその塩またはプロドラッグであってよい。任意で、製剤は、すぐに使用できるようにシリンジに充填されてもよい。
【0118】
気密密封された容器は、バルク製剤の単位用量も含んでよい。適切な無菌溶媒または媒体を含む第二の容器またはバイアルも、好ましくは、ビヒクルは水性媒体である第一の容器の中味を投与前にどのように溶解するかの説明書とともに提供されてよい。バルク製剤も、適切な無菌媒体で再調製後、非経口投与用に使用される調合産物を提供するために、第一または第二区分シリンジに充填されてよい。
【0119】
医薬製剤は、本明細書に記述されるような医薬製剤などの必要な材料および新生物成長状態(neoplastic condition)の治療におけるその使用の書面による説明書を適切な容器で提供する市販パッケージに包装されてよい。
【0120】
III 投与形態と腫瘍性疾患の治療方法
本明細書に開示される医薬製剤は、標準的手法(USP、FDA)により調製され、 腫瘍細胞、腫瘍、癌または前癌を軽減、予防または除去するために選択される用量で投与される(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, PA; and Goodman and Gilman, Pharmaceutical Basis of Therapeutics, Pergamon Press, New York, NYを参照。本内容は、化学療法を含むヒトの治療のための様々な薬物投与の方法の一般的な説明のために、本明細書に参考資料として引用される)。 本発明の医薬製剤は、経口、局所的または鼻腔内など非経口または非経口ではない経路で投与されてよい。投与の非経口経路は、皮内、皮下(SC, s.q., sub-Q, Hypo)、筋肉内(IM)、静脈内(IV)および連続静脈内注入(CIV )、動脈内、髄内、心腔内、関節内(関節)、滑膜内(滑液部位)、脊髄内、頭蓋内およびクモ膜下(滑液)を含む。非経口注射または薬物製剤の注入に効果的な周知の手段がそのような投与を達成するために使用されてよい。
【0121】
本発明は、哺乳類の癌細胞の成長および/または増殖を阻害する方法、および哺乳類の新生物成長状態の治療方法に関する。哺乳類は、有蹄類(例えば、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、ブタ)およびげっ歯、ネコ、イヌおよび霊長類(すなわち、ヒトおよびヒト以外の霊長類)を含む有蹄類以外を含む。好ましくは、前記哺乳類はヒトである。
【0122】
本明細書で使用されるように、用語「腫瘍」、「腫瘍性疾患」、「新生物」、「癌」、「腫瘤」および「増殖性疾患」は、自立的増殖、すなわち、部分的または完全な構造構成および正常な組織との機能協調の欠損を示す異なる塊を一般的に形成する細胞成長の急速な増殖により特徴づけられる、異常状態の可能性をもつ細胞を意味する。この用語は、造血器新生物(例えば、リンパ腫または白血病)だけでなく、全ての種類の前癌および癌成長、または発癌工程、転移性組織または悪性形質転換細胞、組織あるいは臓器、組織病理学タイプまたは侵入段階に無関係なタイプを含む個体新生物(例えば、肉種または癌腫)を含む。造血器新生物は、骨髄、リンパ球または赤血球系統の子孫から生じる白血病(血中および骨髄中の白血球(白血球細胞)およびその先駆物質に関する)およびリンパ腫(リンパ球に関する)を含む、造血器構造(血液細胞の形成に関する構造)および免疫システムの成分に影響する悪性腫瘤である。個体新生物は、筋肉、軟骨、血管、線維性組織、脂肪または骨などの結合組織に由来する悪性腫瘍である肉腫を含む。個体新生物は、外表皮(例えば、皮膚および消化管、肺および子宮頸部の内層)および様々な腺(例えば、胸、膵臓、甲状腺)を内層する内表皮を含む表皮構造から生じる悪性腫瘍である癌腫も含む。本発明の方法による治療に特に感受性のある腫瘍の例は、白血病、および肝細胞癌、肉腫、血管内皮細胞癌、乳癌、中枢神経系癌(例えば、星状細胞腫、神経膠肉腫、神経芽細胞腫、乏突起神経膠腫および神経膠芽種)、前立腺癌、肺および気管支癌、咽頭癌、食道癌、結腸癌、結直腸癌、胃腸癌、メラノーマ、卵巣および子宮内膜癌、腎細胞および膀胱癌、肝癌、内分泌癌(例えば、甲状腺)および膵臓癌を含む。
【0123】
ファルネシルジベンゾジアゼピノンは、癌細胞または癌組織と接触または癌細胞または癌組織に導入される。一般的に、in vivoで本発明の医薬組成物を供給するための本発明の方法は、当該分野で認識されるプロトコルにおける医薬製剤のための本発明のファルネシルジベンゾジアゼピノンの置換である、唯一の実質的な手順変更により、医薬製剤の供給のための当該分野で認識されるプロトコルを使用する。製剤、担体または媒体と同様に、ファルネシルジベンゾジアゼピノンを含有する製剤が投与される経路は、腫瘍の位置だけでなく種類による。広範囲の投与経路が使用されてよい。ファルネシルジベンゾジアゼピノンは、静脈内注入または腹膣内注入または注射により投与されてよい。例えば、アクセス可能な個体腫瘤または腫瘍において、製剤は、腫瘤または腫瘍に直接注射により投与されてよい。造血器新生物において、製剤は、静脈内または血管内に投与されてよい。転移性または脳腫瘤などの体内の容易にアクセスできない腫瘍において、製剤は、哺乳類の身体を通して全身的に搬送されることにより、腫瘍および遠隔転移に到達するような手法、例えば、くも膜下的、静脈内的、筋肉内的または経口的に投与されてよい。ファルネシルジベンゾジアゼピノンを含有する製剤は、皮下、腹腔内、局所的(例えば、メラノーマに対して)、直腸的(例えば、結直腸腫瘍)、経膣的(例えば、頸部または膣腫瘍に対して)、経腔的または吸入スプレー(例えば肺腫瘍に対して)により投与されてもよい。
【0124】
ファルネシルジベンゾジアゼピノン製剤は、腫瘍細胞の成長または増殖を阻害または腫瘍性疾患を治療するのに効果的な量で投与される。用語「阻害」は、癌細胞の抑制、死滅、静止または破壊を意味する。本方法による哺乳類の癌細胞成長の阻害は、いくつかの方法で監視されてよい。in vitro癌細胞成長は、本化合物で治療されてよく、化合物が不在の培養された同じ細胞と比較した成長または死滅に対して監視される。例えば、100ミクロモルでの50%以上の成長の停止または成長の遅延速度(すなわち、増殖速度)は、癌細胞の発生阻害を示す(Anticancer Drug Development Guide: preclinical screening, clinical trials and approval; B.A. Teicher and P.A. Andrews, ed., 2004, Humana Press, Totowa, NJ を参照)。代替的に、癌細胞阻害は、対象とする癌の動物モデルに医薬製剤を投与することにより監視されてよい。 実験的なヒト以外の動物の癌モデルの例は、当該分野に周知であり、本明細書に例として以下に記載されている。製剤で治療されなかった対照群動物の腫瘤と比較して、製剤で治療された動物の腫瘤成長の停止(すなわち、さらなるサイズの増加がない)または腫瘤サイズの減少(すなわち、少なくとも58%の腫瘤サイズの減少)は、有意な腫瘤成長阻害を示す(Anticancer Drug Development Guide: preclinical screening, clinical trials and approval; B.A. Teicher and P.A. Andrews, ed., 2004, Humana Press, Totowa, NJを参照)。
【0125】
用語「治療」は、疾患、疾患の徴候または疾患の傾向を治療、治癒、緩和、軽減、変更、回復、改善または抑制する目的により、哺乳類へのファルネシルジベンゾジアゼピノン含有製剤の使用または投与、または腫瘍疾患、腫瘍疾患の徴候または腫瘍疾患の傾向のある哺乳類からの摘出組織または細胞株への製剤の使用または投与を意味する。用語「治療する」は、結果として哺乳類の腫瘍細胞の予防、軽減または除去を生じるのに有効なファルネシルジベンゾジアゼピノンの量(治療的有効量)を哺乳類に投与することとして定義される。治療的有効量および投与のタイミングは、個人の基準で判断され、少なくとも部分的に、受給者の年齢、体重、性別、食事および一般健康状態の考慮、疾患状態の性質および重度、および過去の治療および他の疾患の存在に基づく。他の要因は、投与の経路および頻度、投与された化合物の活性、代謝安定、化合物の作用および排泄の長さ、薬物の組み合わせ、受給者の化合物への許容および腫瘍または増殖性疾患の種類も含む。ある実施形態において、化合物の治療的有効量は、1日、哺乳類の約0.5mg/体重1kgから約750mg/体重1kg g である。他の実施形態において、治療的有効量は、1日、約0.5mg/体重1kgから約300mg/体重1kgである。また他の実施形態において、治療的有効量は、1日、約1mg/体重1kgから約50mg/体重1kgである。上の実施形態の治療的有効量は、例えば、ヒトの患者の場合、ミリグラム/体表面1平方メートル(mg/m2)で表されてもよい。異なる哺乳類の換算計数は、Freireichら、Quantitative comparison of toxicity of anticancer agents in mouse, rat, dog, monkey and man, Cancer Chemoth. Report, 1966, 50(4): 219-244)に見出されるだろう。連続静脈内注入(CIV)により投与される場合、治療有効量は、約10mg/m2/日から1000mg/m2/日、約20mg/m2/日から750mg/m2/日、約30mg/m2/日から約500mg/m2/日、または約120mg/m2/日から約480mg/m2/日の範囲である。
【0126】
特別な条件(例えば、子供の患者)が必要な場合、上述の治療有効量は、本明細書で記載される範囲外であってよい。そのような高または低用量は、本発明の範囲内である。
【0127】
ヒトの腫瘤治療の効果を監視するために、腫瘤サイズおよび/または腫瘤形状が治療開始前および後に測定され、腫瘤サイズがさらなる成長を停止した場合、または腫瘤のサイズがたとえば、10% 以上(例えば、20%,30%,40%,50%,60%,70%,80%,90%または100%(つまり腫瘍の不在))小さくなった場合、治療は有効と判断される。生存期間の延長、疾患が進行するまでの時間、部分応答および客観的奏功率は、治験薬の臨床作用の代用測定法である。腫瘤縮小は、一つの治療特定応答と判断される。このシステムは、患者が正確な測定可能な内臓嚢を有するという条件に限られている。in vivo腫瘤サイズの判断方法は、腫瘤のタイプにより異なり、例えば、医療画像または腫瘍学分野(MRI, CAT, PET等)で知られる多様な画像技術だけでなく、組織学的技術および流動細胞計測法を含む。特定の癌の種類において、血清腫瘤マーカーの評価は、応答(例えば、前立腺癌に対して前立腺特異抗原(PSA)、および結腸癌に対して癌胎児性抗原(CEA))を評価するために使用されてもよい。癌成長の監視方法は、血中の細胞数(例えば、白血病での)または骨痛の緩和(例えば前立腺癌)を含む。
【0128】
ファルネシルジベンゾジアゼピノン製剤は、1日1回投与されてもよい、または化合物は、1日を通して、適切な間隔で2、3、4またはそれ以上のサブ用量として投与されてよい。その場合、各サブ用量に含有するファルネシルジベンゾジアゼピノは、合計日用量に到達するために、対応して小さくなければならない。用量単位は、例えば、数日間に渡りファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物の持続放出を提供する従来の持続放出性製剤を使用して、数日に渡り供給するように混合されてもよい。持続放出性製剤は、当該分野で周知である。本実施形態において、用量単位は、対応する複数の1日量を含む。有効量は、単一投与(例えば、経口、局所的投与またはボーラス非経口注射)として、または遅延注射または連続注入、例えば、30分以上から約24時間のいずれかで投与されてよい。製剤は、例えば、最大30日まで、治療として投与されてよい。さらに、組成物の治療的有効量での患者の治療は、単一治療または一連の治療(例えば、各治療の間隔が2ヶ月の4週間の治療を3回繰り返す)を含んでよい。本発明に含まれるファルネシルジベンゾジアゼピノンの有効量、毒性およびin vivo半減期の例は、従来の方法を使用するか適切な動物モデルを使用してin vivo試験に基づいてなされてよい。
【0129】
哺乳類およびヒトを含む患者の腫瘤の治療は、単一の薬剤として、または放射線治療および化学療法などの他の周知の抗癌治療との組み合わせで本発明の製剤を投与することにより達成されてよい。ファルネシルジベンゾジアゼピノンは、周知の抗癌性化合物または化学療法薬と共にまたは加えて投与されてよい。化学療法類は、増殖抑制または細胞毒性剤、抗菌タイプの薬剤、アルキル化剤、代謝拮抗薬、ホルモン剤、アロマターゼ剤、免疫学的な薬剤、インターフェロン型の薬剤、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(例えば、COX-2阻害剤)、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、テロメナーゼ阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、抗成長因子受容体の薬物、抗HER剤、抗EGFR剤、抗脈管形成薬、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、ras-rafシグナル伝達経路阻害剤、細胞周期阻害剤、他のCDK阻害剤、チューブリン結合剤、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤などを含む。化学療法の薬剤の例は、これに制限されないが、5-フルオロウラシル、マイトマイシンC、メトトレキセート、水酸化尿素、シクロホスファアミド、ダカルバジン、マイトキサントロン、アンソラサイクリン(エピルビシンおよびドキソルビシン)、CPT-11、カンプトテシン、およびその派生物、エトポシド、ナベルビン、ビンブラスチン、プレグナソーム、カルボプラチンおよシスプラチンなどのプラチナ化合物、タクソールおよびタキソテールなどのタクサン類、タモキシフェンおよび抗エストロゲンなどのホルモン治療、ハーセプチンおよびイレッサなどの受容体への抗体、アロマターゼ阻害剤、プロゲステロン剤およびLHRH類似体、IL2およびインターフェロンなどの生体応答修飾物質、任意でリポソーム製剤内のシクロスポリン類似体PSC833などの多種逆転剤を含む(他の例は、The Merck Index, 12th edition (1996), Therapeutic Category and Biological Activity Index, lists under “Antineoplastic”セクション。本明細書に参考資料として引用する)。
【0130】
ファルネシルジベンゾジアゼピノン化合物の毒性と治療的効果は、細胞培養または実験動物の標準医薬的手法により判断されてよい。治療的効果は、上述および本明細の例の動物モデルで判断される。毒性研究は、10%の試験動物の致死量(LD10)を判断するために実施される。動物は、死亡または20%以上の体重減少を生じない高用量である最大許容量(MTD)で治療される。有効量(ED)は、化合物の治療計数を判断するため,当該腫瘤モデルのMTDに関連付けられる。1.0に近い治療計数(MTD/ED)は、ある化学療法剤について許容可能であることが発見されたが、従来の化学治療法剤の好ましい治療計数は、1.25以上である。
【0131】
細胞培養検定および動物研究から得たデータは、ヒトに使用するための投与範囲の調製に使用されてよい。本発明の組成物の用量は、一般的に、MTDを含む循環濃度の範囲内である。用量は、使用された用量および使用された投与経路によりこの範囲内で変動してよい。本発明の方法で使用された化合物のいずれも、治療有効量は、基本的に、細胞培養検定から推定されてよい。用量は、化合物の循環血漿濃度範囲を達成するために動物モデルで調製されてよい。そのような情報は、ヒトにおける効果的な用量をより正確に判断するために使用することができる。血漿中のレベルは、例えば、高性能液体クロマトグラフィーにより測定されてよい。
【0132】
化合物の抗腫瘍効果を判断するための動物モデルは、一般的に、マウスで行われる。マウス腫瘍細胞が、同種(同系モデル)からのマウスの後測部に皮下的に接種されるか、ヒト腫瘍細胞が重度の複合免疫欠損(SCID)マウスまたは他の免疫欠損マウス(ヌードマウス)(異種移植モデル)の後測部に皮下的に接種される。
【0133】
マウス遺伝子学の進歩は、癌を含む多様なヒト疾患の研究のための多くのマウスモデルを作り出した。国立癌研究所(National Cancer Institute )主催のMMHCC(ヒト癌協会(Human Cancer Consortium)のマウスモデル)ウェブページは、既知の癌モデルの疾患部特定の要約を提供し、検索可能な癌モデルデータベース、およびNCI-MMHCCマウス情報リポジトリにリンクしている。マウス情報リポジトリは、The Jackson Laboratory, Charles River Laboratories, Taconic, Harlan, Mutant Mouse Regional Resource Centers (MMRRC) National Network and at the European Mouse Mutant Archive でも検索できる。そのようなモデルは、ファルネシルジベンゾジアゼピノンのin vivo 試験だけでなく治療有効量の判断にも使用されてよい。
【0134】
さらに、ファルネシルジベンゾジアゼピノンの医薬的に許容される塩またはプロドラッグを含む本発明の製剤は、上に定義した疾患の治療または予防のために組成物で使用されてもよい。
【0135】
[実施例]
本明細書で例示される製剤は、実質的に、それぞれ受入番号IDAC 231203-01および070303-01(International Depository Authority of Canada (IDAC), Bureau of Microbiology, Health Canada, 1015 Arlington Street, Winnipeg, Manitoba, Canada, R3E 3R2)を有するMicromonospora [S01]046株または046-ECO11株のいずれかの発酵ブレスから分離された純粋化合物1を使用して調合された。化合物1は、2004年8月にWO 2004/065591としても発行されたが、2004年1月21日に提出された米国特許番号10/762,107に記述された手順により生成および分離され、参考資料として本明細書に引用する。化学式Iのどの化合物も、本発明の製剤の化合物1を置換してよい。化合物1から11、14、17、18、46、63、64、67、77、78、80、82から85、87、89、92、95から98、100から103、105、107および108を含む化学式I の化合物は、米国特許番号2006/0079512で開示された手順により調合された。
特に記述されない限り、全ての試薬、溶媒または賦形剤は、Sigma-AldrichまたはFisher Scientificにより供給された。KollidonTM 12PF (PVP)、LutrolTM E400 (PEG 400)およびCremophorTM ELは、BASFにより供給された。脂質(EPC、DMPCおよびPEG2000DSPE)およびコレステロールは、Northern LipidsまたはAvanti(R)Polar Lipidsにより供給された。
特に記述されない限り、本仕様および請求項で使用される材料の量、安定性および溶解性などの性質、薬物動力学に関する結果、有効性に関する結果、GI50などを表す全ての数は、全例において、用語「約」により修飾されるものと理解する。つまり、特に明記しない限り、本仕様および添付の請求項に記載される数値パラメータは、近似値である。少なくとも、そして本請求の範囲の均等原理の使用を制限しようとするものではなく、各数値パラメータは、少なくとも、有効数字の数に関しておよび通常の四捨五入法を適用することにより解釈される。本発明の広範囲で記載される数値範囲およびパラメータは近似値であるが、実施例、表および図で設定された数値は、できる限り正確に報告されている。いずれの数値も、実験、試験測定、統計分析などにより生じるある種ののエラーを固有に含む可能性がある。
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は、本発明が属する分野に精通した者により容易に理解されるような同等の意味をもつ。本明細書に記載されるものと類似または同等の方法および材料は、本発明の実技または試験に使用されてよいが、適切な方法および材料は、以下に記述される。さらに、材料、方法および実施例は、例示的なものであり、制限されるものではない。
【実施例1】
【0136】
実施例1:バルク製剤A、BおよびC
製剤A、BおよびCは、以下に記述する手順で調合された。表1は、調合で使用した異なる材料およびそれぞれの割合を要約する。同じ製剤が、当該分野に知られた大規模な方法および設備を使用し、本発明の製剤の同等の平均割合を維持して大量に生成されてよい。
【0137】
【表1】
【0138】
1.製剤 A
適切な数の血清ボトル(USPタイプ1;ホウケイ酸;透明;2mL、5mL、10mLまたは30mLのサイズ)およびテフロンTM-被覆ブチルストッパーは、15分間、オートクレーブバックで、121°Cで加熱減菌された。
【0139】
エタノール中の化合物1のストック溶液は、メスフラスコで調合(250mg/mL)された。PVP(KollidonTM 12PF)のストック溶液は、メスフラスコのエタノール中(450mg/mL)で調合された。ポリソルベート80(1401mg)の量は、20mLのシンチレーションバイアルで計量された。PVP溶液(893μL、402mgのPVPを含む)が、バイアルに添加され、混合液を30秒間ボルテックスにかけた。化合物1溶液(320μL、80mgを含む)が、添加され、混合液を30秒間ボルテックスにかけた。混合液を減菌環境で、濾過(0.2ミクロンNL16 S&S無菌, Schleicher & Schuell供給)して滅菌し、いつでも再調製できる80mgの化合物1を含むバルク製剤を得る。製剤A は、経口投与のように使用されてよい。
【0140】
減菌環境において、5mgの化合物1(表1を参照)を含む用量が、各殺菌血清ボトルに添加され、ボトルはテフロンTM被覆されたストッパーで栓をし、アルミニウムシールで密封された。
【0141】
2.製剤B
適切な数の血清ボトル(USPタイプ1;ホウケイ酸;透明;2mL、5mL、10mLまたは30mLのサイズ)およびテフロンTM-被覆ブチルストッパーは、15分間、オートクレーブバックで、121°Cで加熱減菌された。
【0142】
エタノール中の化合物1のストック溶液は、メスフラスコで調合(250mg/mL)された。PEG400(LutrolTM E400)のストック溶液は、メスフラスコのエタノール中(650mg/mL)で調合された。ポリソルベート80(1401mg)の量は、20mLのシンチレーションバイアルで計量された。PEG400溶液(618μL、402mgのLutrolTMを含む)がバイアルに添加され、混合液を30秒間ボルテックスにかけた。化合物1溶液(320μL、80mgを被覆)が、添加され、混合液を30秒間ボルテックスにかけた。混合液を減菌環境で、濾過(0.2ミクロンNL16 S&S無菌)して滅菌し、いつでも再調製できる80mgの化合物1を含むバルク製剤を得た。製剤Bは、経口投与のように使用されてよい。
【0143】
減菌環境において、5mgの化合物1(表1を参照)を含む用量が、各殺菌血清ボトルに添加され、ボトルはテフロンTM被覆されたストッパーで栓をし、アルミニウムシールで密封された。
【0144】
3.製剤C
120mgの量が1.8mLのエタノールに溶解され、3gのCremophorTM ELを添加する。溶液は30秒間ボルテックスにかけられた。混合液は、そのまま経口投与のために使用された。
【実施例2】
【0145】
実施例2:バルク製剤B1からB10
A.製剤B1からB9
調合:
【0146】
製剤B1からB9は、以下の製剤B(例1-A-2)の方法により調合された。製剤B6からB9において、アスコルビン酸を用いてまたは使用せずに、水およびアスコルビン酸ナトリウムがさらに添加された。B1からB3は、それぞれの薬物の安定性の作用を検証するために、1回に賦形剤1つのみが使用された、対照製剤としても使用された。製剤B4は、エタノールの低含有(B4は、約25μLのエタノール/5 mgの薬物を含む)である上の製剤Bと対応した。製剤B5は、抗酸化剤としてアスコルビン酸ナトリウムを含んだ。製剤B6からB8は、水含有が上昇したが、緩衝液および抗酸化剤として作用する、同量のアスコルビン酸/アスコルビン酸ナトリウムを含んだ。表2は、調合で使用した異なる材料およびそれぞれの割合を要約する。
【0147】
【表2】
【0148】
安定性:
研究の目的は、薬物分解を防止するための水、アスコルビン酸およびアスコルビン酸ナトリウムの相対安定性および作用を検証するためである。バルク製剤B1からB9は、光から保護された垂直位置で、約5°C、約25°C(±2°C、60%の相対湿度(RH))および約40°C(±2°C、70%のRH)に維持された。薬物含有量は、1、2、3週間および2ヶ月後に、HPLCにより試験された。製剤B5およびB8も、4ヶ月後に試験された。結果を表3に示す。
【0149】
【表3】
【0150】
HPLC分析は、第一の製剤(B4)の薬物分解が、ポリソルベート80のみが存在する薬物の場合に同じ傾向を示し、これは、ポリソルベート80が薬物の分解を引き起こす主な賦形剤であることを示す。この傾向は、保管温度の上昇の機能として明らかに増幅した。
【0151】
表3に示すように、製剤B1は、25と40°Cで保管された場合、薬剤内容のわずかな分解を特徴づけたが、冷蔵された場合、分解は認められなかった。周辺温度は、エタノールなどの極性およびプロトン性溶媒で、高化合物1の分解を誘発した。前の研究は、化合物1がメタノールに溶解された場合、わずかに酸化したことを示した。
【0152】
12.58%の2N塩酸溶液を含む製剤B9は、2ヶ月で、最大40%の薬物損失を伴う、周辺温度での著しい薬物分解を示した。一方で、完全な薬物分解が、同じ期間後、40°Cで見られた。しかし、製剤B9の薬物含有量は、冷蔵保管された場合、安定している。
【0153】
製剤B5からB8の全ての薬物含有量は、2ヶ月で、最初の含有量の95-105%の範囲内に留まった。しかし、安定性の差が、4ヶ月間、40°Cで保管された場合、B5とB8の間で見られた。この特定の場合には、高い水含有量が薬物分解の防止に貢献したかもしれない。
【0154】
抗酸化剤なしのポリソルベート80とエタノールを含む製剤B2およびB4は、2ヶ月以上、室温または5°Cで保管された場合、安定性に欠けた。これらの製剤が使用された場合、これらは、再調製前に調合され、短期間、低温で保管されることが望ましい。
【0155】
L-アスコルビン酸ナトリウムの存在は、製剤B5において、最大4ヶ月、最高40°Cの温度で、薬物の分解を防止した、ICHガイドライン(International Conference on Harmonisation of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use, Guideline Q1A(R2)、2003年2月、参考資料としてそのまま記載される)によると、 薬物は、周辺温度で少なくとも8ヶ月間、冷蔵保管の場合12ヶ月間、安定することがこれらの結果から予測される。水の存在が薬物の分解を遅延したと思われる。製剤組成物への水の添加は、抗酸化剤としてのL-アスコルビン酸ナトリウムのみの使用に可能であった。
【0156】
結果に基づき、水およびL-アスコルビン酸ナトリウムが、本明細書で記述されるように、薬物の分解を防止し、界面活性剤製剤の保管期間を延長するのに好まれる。水量は、1エタノールと等しくなければならない。L-アスコルビン酸ナトリウムは、ポリソルベート80のため、化合物1製品に存在する可能性のある最大遊離脂肪酸と等しくなければならない。
【0157】
B.バルク製剤 B10
調合:
【0158】
製剤B10は、重量比の混合により生成された。化合物1(3.15%)、ポリソルベート80(Crillet 4 HPTM、55.15%)、PEG 400(15.76%)、絶対エタノール(12.45%)、水(注射水(WFI)、12.45%)、および(+)-アスコルビン酸ナトリウム(1.04%)。ポリソルベート80はJ.T. Baker、絶対エタノールはCommercial Alcohols Inc.、PEG 400および(+)-アスコルビン酸ナトリウムはSpectrum、そしてWFIはVWRから入手した。
【0159】
バルク製剤B10は、以下により調合された。化合物1をエタノールに溶解し、濾過(0.22-ミクロPES(ポリエーテルスルホン)膜フィルタ)により滅菌して溶液Aを生成した。(+)-アスコルビン酸ナトリウムを注射用水に溶解し、濾過(0.22-ミクロPES)により滅菌して溶液Bを生成した。ポリエチレングリコールは、ポリソルベート80(両方、5時間160-165°Cで乾熱により滅菌された。)に添加され、溶液Cを生成した。無菌的に、溶液Aと溶液Bは,連続的に溶液Cに添加された。最終バルク溶液B10は、減菌Millipak-60TMカートリッジを通して濾過殺菌された。
【0160】
安定性:
製剤B10を5±3および25±2°C(相対湿度60±2%)で安定性の検定をした。時間0の活性成分の含有量は、95.0%であった。5±3°Cで2ヶ月後、活性成分の含有量は、97.3%であった。25±2°Cで2ヶ月後、活性成分の含有量は、96.7%であった。製剤は、表2および3の最も適切な2つの製剤である、アスコルビン酸(B5のように)および水(B8のように)を含有するとき、最も安定性があると予測される。
【実施例3】
【0161】
実施例3:すぐに使用できる界面活性剤D1からD11
以下のD1からD11の製剤も調合された。最終稀釈は、10および1mg/mLの化合物1で等張性媒体で行われた。使用された等張性媒体は、0.9%生理食塩水および5%デキストロースの両方であった。表4は、10mg/mLの製剤で使用された組成物の要約である。これら全ての生成のために使用された手順は以下に記載される。
【0162】
【表4】
【0163】
ストック溶液:
エタノール中、250 mg/mLでの化合物1(上述のように得た)
ポリソルベート80(TweenTM 80、Sigma-Aldrich)エタノール中750mg/mL
PVP(KollidonTM12PF-ポリビニルピロリドン)エタノール中700mg/mL
PEG 400(LutrolTM E400)そのまま使用
【0164】
20μL(5mgを含む)の量の化合物1溶液を培養チューブ(13×100mm)に添加した。所望する量(表4を参照)のポリソルベート80の溶液、および適切な量(表4を参照)のPVPまたはPEG 400を添加した。溶液は、各添加の間に10秒間、ボルテックスにかけられた。等張性媒体(0.9%生理食塩水または5%デキストロース)を10mg/mLの化合物1の濃度に到達するように添加し、溶液を手で3分間振った。10mg/mLの溶液の100μLの量を第二チューブに移動し、等張性媒体の残りの900μLの量を1mg/mLに到達するように添加し、手で3分間振った。
【0165】
製剤D1-D10は、全て透明な溶液を生じ、薬物は、10mg/mLおよび1mg/mLの両方、少なくとも6時間、溶液中に留まった。製剤D11は、透明な溶液を生じ、薬物は、10mg/mLおよび1mg/mLの間の全ての濃度で、少なくとも6時間溶液中に留まった。
【0166】
すぐに使用できる製剤D11(6または10mg/mL濃度)も、D5W(5%デキストロース)を用いて、20%エタノール(v/v)、20%PEG 400(w/v)および60%ポリソルベート80(w/v)を含み、濃度が化合物1の24または40mg/mLのバルク製剤(製剤B4)の再調製により調合された。
【0167】
製剤D11も、活性成分として化合物1を化合物2(製剤D11(2))または化合物46(製剤D11(46))に置換えることにより調製された。製剤D11(2)およびD11(46)の両方は、透明な溶液を生じ、それぞれの活性成分は、10mg/mLと1mg/mLの間の全ての濃度で、少なくとも6時間、溶液中に留まった。これらの製剤は、in vivo研究で使用された。
【実施例4】
【0168】
実施例4:リポソーム製剤E1からE25
化合物1のリポソーム製剤は、コレステロールとともにまたはなしで、様々なリン脂質を使用して生成された。略語は、以下の意味をもつ。
API:活性医薬的成分 (ここで、化合物1、MW:462.6)
EPC:卵ホスファチジルコリン(MW:386.6)
DMPC:ジミリストイルホスファチジルコリン(MW:677.9)
PEG2000DSPE:ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン-PEG(MW:2810.3)
Chol:コレステロール (MW:386.6)
【0169】
リン脂質およびコレステロールは、Northern Lipids およびAvanti(R)Polar Lipidsにより供給された。活性成分化合物1は、実施例1に記述される特許出願により調合された。表5は、各製剤で使用された成分の濃度を要約する。
【0170】
【表5】
【0171】
リポソーム製剤E1からE25は、以下の手順により調合された。
【0172】
化合物1(50mg/mL)のストック溶液は、メタノール/クロロホルム(1:1)の混合液で調合された。各脂質(EPC、DMPCおよびDSPE-PEG (すなわちPEG2000DSPE))のストック溶液は、同じ溶媒系を使用した、3つに分けた40mg/mLの溶液として調合された。最後に、コレステロールのストック溶液も同じ溶媒系を使用して、40mg/mLで調合された。必要な脂質(EPC, DMPC and PEG2000DSPE)、コレステロールおよび活性成分(化合物1)のストック溶液量*は、1mL以上なら、培養チューブ(12×75mm)または丸底フラスコで混合された。
【0173】
*必要量の例:所望する60 mM の全水和モル濃度および成分のモル比が80:20 (EPC/API)の製剤E5は、材料の合計0.06ミリモル(1 mLスケールに対して)、すなわち、0.048ミリモルEPCおよび0.012ミリモルAPIを必要とし、それぞれ必要な0.91 mLおよび0.11 mLのストック溶液を得た。
【0174】
結果として得た溶液は徐々に混合された。溶媒は、回転蒸発により除去され、残存溶媒は、少なくとも4時間、好ましくは一晩、真空で蒸発させた。
【0175】
水化は、チューブ(1mL)に5%(w/v)のデキストロース溶液を添加して行われた。水化は、水浴セットで、所望する温度で、脂質のTm以上の温度で行われた。例えば、EPC-only(Tm=-2.5°C)製剤は室温で水化され、DMPC製剤(Tm=23°C)は、30°Cで行われた。脂質/薬物混合物は、残留フィルムが観察されなくなるまで、ボルテックスを使用して激しくかき混ぜることにより懸濁された。必要な場合、音波浴も使用した(交互で音波破砕およびボルテックス)。
【0176】
懸濁液を一晩4°Cで水化し、あれば、非結合薬物を沈殿または結晶化する。リポソーム懸濁液は、Avanti Polar Lipids(少なくとも500μLのリポソームおよび1mLのシリンジを用いた)ミニ押出機を使用して押し出された。リポソーム懸濁液は、100nmのポリカーボネートフィルターに21回通し、50nmのフィルタに21回通した。100nmおよび50nmの双方の押出において、懸濁液は、(沈殿した薬物を除去するために)押出を開始した側の反対側から収集され、押出機は洗浄された。
【0177】
1mL以上のリポソームを調合する場合には、10mL LipexTM押出機(Northern Lipids)を使用した。押出は、窒素ガスを使用して、100nmのフィルタに10回、50nmのフィルタに10回、または所望するリポソームのサイズが達成されるまで行われた。
【0178】
リポソームは、減菌フードで4°C に保ち、0.2μmの減菌フィルタを通して濾過することにより滅菌された。製剤は、動的光散乱(DLS、Malvern NanoSizer NSTMを使用して、自動モードで、5%のデキストロースで測定された)で粒子のBrownian 運動を測定することによりリポソームサイズを判断するために特徴付された。Brownian 運動は、粒子を取り囲む分子の衝突による流体中の粒子のランダム運動である。製剤E1-4、6-12、15、17および18-24において、リポソームの平均直径は、102-190nmの間に含まれる。製剤E5、13-14、16および25の平均リポソーム直径は、120-165nmの間に含まれる。リポソームサイズは、少なくとも3週間まで変化しなかった。
【実施例5】
【0179】
実施例5:製剤F
2004年9月27日に申請された米国特許申請番号10/951,436に記述されるように、製剤Fは、30:30:40のPEG/PG/水の溶液に化合物1を溶解することにより生成された。PG は、プロピレングリコールで、Sigma-Aldrichにより供給された。化合物1の濃度は、溶液に適切な量を溶解することにより調節され、得られた製剤をそのまま使用した。例えば、20mg/mLの溶液を得るのに、mLにつき、20 mg の化合物1が上の溶液に溶解された。
【実施例6】
【0180】
実施例6:CD1マウスでの製剤BおよびFの医薬的性質
A..薬動学:
表6は、Cmax、TmaxおよびAUCを含む製剤F(30および50mg/kg)および再調製された製剤B(at 30 mg/kg)の投与から得た重要な結果を要約する。Cmax値は、観察された血漿濃度の最大値を表し、Tmax値は、最大値が観察された時間を表し、AUCは、血漿濃度対時間曲線下の領域を表す。
【0181】
【表6】
【0182】
バルク製剤Bは、薬動学(PK)研究に使用される3mg/mL濃度に達するために、5%デキストロースを使用して再調製された。製剤Fは、mLごとに20mgの30:30:40のPEG/PG/水の溶液を溶解することにより生成され、そのまま(20mg/mL)PK試験に使用された。
【0183】
CD1のメスマウス(年齢6週間)に、上述の製剤B の化合物1の単一静脈(30mg/kg;10mL/kg)の量、および製剤Fの単一静脈量(30および50mg/kg;1.5および2.5mL/kg)または製剤F(50mg/kg;2.5mL/kg)の30分注入のいずれかを接種した。グループごとに4匹のマウスが、3分、5分、15分、30分、1時間、2時間、4時間および8時間で致死された。血液が心臓穿刺によりEDTA含有チューブに回収され、脳が即時回収され、ドライアイスで即時冷凍された。サンプルは、LC/MS/MSにより分析された。標準曲線は、定量(LOQ)≦15ng/mLの制限のある25から2000ng/mLの範囲であった。定量(LOQ)の制限以下の化合物1の血漿および脳の濃度値は、ゼロに設定された。平均濃度値および標準偏差(SD)は、薬動学研究(n=4動物/時間点)の各時間点で計算された。
【0184】
PK研究は、製剤Fと比較して再調製されたBにおいて、製剤約2.8倍の最大血漿濃度(Cmax)の著しい増加を示した。また、AUCは、製剤B対製剤Fにおいて、同量(30mg/kg)で、3分と8時間の間で3倍になった。
【0185】
B..組織分布:
製剤B(Aと同様、再調製)を使用したマウス脳での薬物蓄積が、同量(30mg/kg)で製剤Fと比較された。出血または炎症は製剤Bを用いたマウスの脳で観察されなかった。毛細管の炎症が、製剤Fを用いた30および50mg/kgの用量で観察された。
【0186】
様々な組織が、図1に示すように、5および30分の時間点で投与された。血漿の薬物レベルが30分後に2桁下がったが、脳組織の薬物濃度は、比較的一定のままであった。脳の脂肪に対する薬物濃度の比率は、血液-脳バリアが脳組織に薬物交差を制限しないようであったことを示唆する。
【実施例7】
【0187】
実施例7:マウスでの製剤CおよびFの経口生物利用性
製剤Cには稀釈は必要なく、実施例1で記述されたように生成された。化合物1の濃度は26mg/mLで、投与量は120mg/kgであった。
【0188】
製剤Fは、30:30:40PEG/PG/水の20mg/mLの溶液として、実施例4に従い生成された。投与量は、120mg/kgであった。
【0189】
双方の製剤は、強制栄養により、PO(per os、経口)投与に使用された。投与量は、個々のマウスの体重要素により調節された。AUC(PO)結果は、実施例6に記述されるように判断された。
【0190】
経口生物利用性(F)が、以下の化学式を使用して判断された。
【0191】
【数1】
【0192】
式中、AUC(IV)および投与(IV)値は、実施例6で記述されるように、再調製された製剤BのIV投与で得られた結果と対応する。投与量120mg/kgで、製剤Cの経口生物利用性は、製剤Fの経口生物利用性(2.6%.)と比較して3.4%であった。
【実施例8】
【0193】
実施例8:CD1マウスでの製剤BおよびFの毒性
CD1マウスを用いた、製剤Fの単一用量IV注射の最大許容用量(MTD)は、100 mg/kg(PEG/PG/水30:30:40で10mg/mL濃度)であった。この用量を使用して、注射部で浮腫および壊死が観察された。
【0194】
CD1マウスを用いた、再調製された製剤B の単一用量IV 注射の最大許容用量(MTD)は、150mg/kg(20mg/mL濃度、5%デキストロースで再調製)であった。再調製された製剤Bの複数用量の治療は、2週間に渡り1日1回(Q1D×5×2週)注射されたとき、目に見えたマウスの体重減少を生じずに、最大150mg/kg(15mg/mL濃度、5%デキストロースで再調製)までよく許容された。再調製された製剤BのMTTD(最大総許容用量)は、約150mg/kgであった。
【実施例9】
【0195】
実施例9.製剤D11を使用した薬動学研究
化合物1の最終濃度が6 mg/mlの製剤D11は、iv,ipおよびscボーラス投与で使用された。経口投与において、製剤Cが、Cremophor ELTM/エタノール(50%:50%)で、6mg/mlの最終濃度で使用された。投与前に、動物(メスCrl:CD1マウス;年齢6週、22-24g)の体重を量り、ランダムに選択され、異なる治療グループに割り当てられた。化合物1は、静脈内(iv)、皮下(sc)、腹腔内(ip)または経口(po)経路により割り当てた動物に投与された。化合物1の投与量は、体重1kgごとに5mLであった。動物は、採血前に5%のイソフルランで麻酔された。採血は、採血時間点(2分、5分、15分、30分、1時間、2時間、4時間および8時間)ごとに4匹の動物から心臓穿刺により凝結防止剤K2EDTAを含むマイクロタイナーチューブに回収された。回収後、サンプルは、遠心分離され、各サンプルから得た血漿は、回復され、後の分析のため(約-80°Cで)冷凍して保存された。5分および30分の時間点で、以下の臓器が各動物から採取された。脳、肺、脅格筋、脂肪組織、腎臓、ひ臓、胸腺および肝臓。組織は、後の分析のため(約-80°Cで)凍結された。サンプルは、LC/MS/MSで分析された。標準曲線は、定量(LOQ)≦25ng/mLの制限と10ng/mLの検知制限(LOD)を伴う、25から2000ng/mLの範囲であった。
【0196】
定量制限(LOQ)以下に下がる化合物1の血漿値はゼロに設定された。平均濃度値および標準偏差(SD)は、薬動学の各時間点(n=4動物/時間点)で計算された。以下の薬動学パラメータが計算された。時間ゼロから最後の濃度測定可能時間点(AUC0-t)までの血漿濃度対時間曲線下の領域、無限大まで外挿された血漿濃度対時間曲線(AUCinf)下の領域、観察された最大血漿濃度(Cmax)、最大血漿濃度の時間(tmax)、目に見える一次排泄最終速度定数(kel)、目に見える一次排泄最終半減期は、0.693/kel(t1/2)として計算されるだろう。静脈内投与後の化合物1の全身除去(CL)は、用量/AUCinfを使用して計算された。薬動学パラメータは、KineticaTM4.1.1(InnaPhase Corporation, Philadelphia, PA)を使用して計算された。
【0197】
結果
30 mg/kgで、静脈内(iv)、腹腔内(ip)、皮下(sc)および経口(po)投与後の化合物1の平均血漿濃度は、図2に示される。
【0198】
30mg/kg用量のIV投与後の化合物1の平均(±SD)血漿濃度は、双指数関数的な形で急速に減少し、結果として非常に短い半減期であった(それぞれ、4.6分および2.56時間のt1/2aおよびb)。一方、腹腔内および皮下投与後の化合物1の薬動学は、ゆっくりとした放出を示唆するPK プロファイルを示した。これらの双方の投与経路によると、化合物血漿濃度は、8時間以上、医薬的に適切なレベルで維持、継続されている。経口投与は、結果として中程度だが、薬物レベルを維持した。これらのデータは、化合物1が経口的に生物利用性である(IVボーラス投与と比較したとき、~5-8%)ことを示唆する。
【0199】
30mg/kgでの静脈内(iv)、腹腔内(ip)または皮下(sc)投与後30分の化合物1の平均組織濃度を、図3に示す。30分の時間点は、血漿濃度が3つの投与経路の全てにおいて類似しているため、選択された。化合物1はivおよびip投与後に十分に分散される。驚いたことに、ipおよびsc投与は、類似したPKプロファイルを示したが、組織レベルはsc投与後、著しく低い。これは、ivおよびip投与と比較して、sc投与後のピークレベルの不在により説明されてよい。
【実施例10】
【0200】
実施例10:製剤D11を使用したIn vivo抗腫瘍効果研究
動物研究が、動物実験(Charte du comite d’ethique du CNRS, 2003)の倫理ガイドラインおよびUnited Kingdom Coordinating Committee on Cancer Research (UKCCCR)(Workman ら. (1998),Br. J. Cancer, vol 77, no 1, 1-10)の英語“Guidelines for the welfare of animals in experimental neoplasia (Second Edition)” により行われた。
【0201】
A.ラットC6神経こう芽細胞腫マウスモデル
ラットC6神経こう芽細胞腫効果の研究が、INSERM U318 (Grenoble, France)で実施された。ラットC6神経こう芽細胞腫モデルは、N-ニトロソメチルウレアにより誘発されたラット神経膠腫から得たラットC6細胞株の使用に基づく(Bendaら.(1968), Science, vol 161, 370-371)。各投与日に、バルク製剤B11(20%エタノール中に24および40mg/mL、20%PEG-400および60%ポリソルベート80)の化合物1ストック溶液が、製剤D11(5%エタノール、5%PEG-400、15%ポリソルベート80および75%D5W)の6mg/mLおよび10mg/mLの化合物1の投液を調合するために、水中の無菌5%デキストロース(D5W)で稀釈された。
【0202】
ラット神経こう種効果の研究において、SC with 5×106 C6細胞(0日)をメスの胸腺欠損(nu/nu)ヌードマウス(年齢6-7週)に接種した。腫瘍を発生した動物は、腫瘍が触診可能(6日目)になったときに、ランダム化された。グループ1(対照群)は、日6-18(q1d×13)に1日1回、薬物無しの製剤D11 IP(5mL/kg)を受けた。グループ2は、6から13日目に1日1回、20mg/kgの化合物1(6mg/mL)IP、次の14から18日目に1日1回、10mg/kgを受けた。グループ3は、6から13日目に1日1回、30mg/kgの化合物1(6mg/mL)SC、次の14から18日目に1日1回、15mg/kgを受けた。グループ4は、2週間、100mg/kg q1d×5の化合物1(10mg/mL)IVを受けた。各動物は、腫瘍が推定された最終点のサイズ(~2,500mm3)または研究の最終日(18日目)に安楽死された。治療期間は、腫瘍細胞接種後、6から18日目の13日にわたった。腫瘍成長阻害(TGI)は、媒体対照群の数匹の動物が腫瘍負荷のため致死されなければならなかった16日目の腫瘍細胞接種後に計算された。
【0203】
抗腫瘍活性の決定
腫瘍成長は、キャリパを使用して腫瘍の長さ(L)および幅(W)を測定することにより2日毎に調査された。測定は、標準式TV=(L×W2)/2を使用して腫瘍量(TV; mm3)に変換された。n日目の腫瘍量は、次の式、TVnがn日目の腫瘍量で、TV0が0日目の腫瘍量である、RTV=TVn/TV0に従い、相対腫瘍量(RTV)として表された。腫瘍成長阻害のパーセンテージ(%TGI)は、1−(治療群の平均RTV/対照群の平均RTV)×100により決定された。NCI 標準によると、%TGI of≧58%(T/C≦42%)は、抗腫瘍活性の指標である。統計分析は、Prismソフトウェアを使用して、両側非対比t検定により計算された。研究が完了するまで、治療中および治療後、少なくとも週2回、動物の体重を量った。マウスは、顕在的なあらゆる重度な薬物関連の副作用の徴候をみるために頻繁に検査された。動物は、3日間連続して15%以上の体重減少、または1日で20%の体重減少を示した場合、安楽死された。
【0204】
各マウスの最終時点(TTE)は、以下の公式により計算された。
【0205】
【数2】
【0206】
TTEが日で表される場合、最終点腫瘍量は、mm3、bは切片、mは、log変換された腫瘍データセットの直線回帰により得た直線である。この値は、日で表される対照群と比較した治療群の中央TTEの増加、または対照群の中央TTEのパーセンテージとして定義される、腫瘍成長遅延%(%TGD)を判断するために使用された。
【0207】
結果:
化合物1は、投与経路により異なる濃度で、3つの異なる経路であるSC、IPまたはIVで投与された。最大体重減少である15%は、20mg/kg(Q1D×8)、次に10mg/kg (Q1D×7)を受けたIP群で、11%の体重ロスは、30mg/kg(Q1D×8) 、次に15mg/kg(Q1D×7)を受けたSC群で13日目に観察された。著しい体重減少は、IV群では観察されなかった。腫瘍成長阻害における異なる治療経路の効果は、18日目に分析された。有効データ(図4)は、IPまたはSCのいずれかで、製剤D11を含む化合物1の毎日のボーラス投与は、この腫瘍モデルで66%および60%(P≦0.0001)の%TGIの著しい抗腫瘍効果を生じたことを示す。媒体対照に関して、腫瘍量の有意差は、100mg/kg(Q1D×5)での2週間にわたる製剤D11の静脈(IV)ボーラス投与で見られなかった。これらのデータは、化合物1の効果は、長期曝露(SCおよびIP投与において)に関連するだろうことを示唆する。同じ製剤を使用した連続静脈注入は、静脈ボーラス投与の代替であってよい。
【0208】
B..ヒトU-87MG神経こう種細胞腫マウスモデル
ヒトU-87MG(ATCC(R) no. HTB-14TM)神経こう種細胞腫抗腫瘍効果研究は、INSERM U318(Grenoble, France)で実施された。U-87MG細胞株は、44歳の白人女性の脳神経こう種細胞腫から取り出された。各投与日に、化合物1ストック溶液(バルク製剤B11の24および40mg/mL)は、すぐに使用できる製剤D11(5%エタノール、5%PEG-400、15%ポリソルベート80および75%D5W)の6mg/mLの化合物1の投与液を調製するために、水中の無菌5%デキストロース(D5W)で稀釈された。
【0209】
ヒト神経こう種細胞腫抗腫瘍効果研究において、SC with 5×106 U-87MG細胞(0日)をメスの胸腺欠損(nu/nu)ヌードマウス(年齢6-7週)に接種した。腫瘍を発生した動物は、腫瘍が触診可能(24日目)になったときに、ランダム化された(グループに10匹)。グループ1(対照群)は、1日1回(q1d×15)、薬物無しの媒体 (5%エタノール、5%PEG-400、15%ポリソルベート80および75%D5W)SC(5mL/kg)を受けた。グループ2は、2週間にわたり(24-28 および32-35日目)、30mg/kgの化合物(6 mg/mL)SC 1q1d×5を受けた。グループ3(陽性対照群)は、150mg/kg、q4d×3でテモゾロミドPOを受けた。各動物は、腫瘍が既定の最終点の大きさ(~2,500 mm3)に到った時、または研究の最終日(40日目)に安楽死された。腫瘍成長阻害(TGI)は、ビヒクル対照群の数匹の動物が腫瘍負荷のため致死されなければならなかった34日目の腫瘍細胞接種後に計算された。
【0210】
化合物1は、10.9mMのIC50を用いた本細胞株でin vitro活性を示した。本モデルの化合物1の抗腫瘍活性は、SCボーラス注射により試験された(図5)。投与法は、研究を通して顕著な体重減少が観察されず、よく許容された。TGIは、媒体対照群の数匹の動物が腫瘍負荷のため致死されなければならなかった34日目に計算された。化合物1が日単位で投与された場合(図6)、中程度の抗腫瘍効果(%TGI=36%;P=0.05)が、観察された。
【0211】
C..ヒトPC3前立腺癌マウスモデル
化合物1の抗癌活性が、6、9および10mg/mL濃度で製剤D11使用してマウスのヒトPC3前立腺モデルで試験された(表7)。HRLNオスヌードマウス(生後8週間)は、右側部に1mm3のPC3腫瘍断片を皮下的に移植された。腫瘍が平均サイズの80から120mgに達し、治療が下の表のように開始された時、動物はランダム化(グループごとに10匹)された。
【0212】
【表7】
【0213】
腫瘍測定は、キャリパを使用して週2回行われ、式幅2(mm)×長さ(mm)×0.52を使用して腫瘍量(ミリグラム)に変換された。体重も週2回記録された。統計分析は、非対比両側スチューデント t検定を使用して行われた。
【0214】
%T/Cは、対照群の動物が抗腫瘍の負荷のため致死されなければならなかった38日目に計算された。静脈治療は、(おそらく短い半減期と治療的に有効な薬物レベルの持続に欠けるため)活性を生じなかった。一方、8時間に渡り薬物レベルを治療的有効薬物濃度に保持した場合の1から5、8から12および15から19日目に与えられた30mg/kgで、または3日ごとに7回(1、4、7、10、13、16および19日目)50mg/kgの皮下投与は、それぞれ25.5%および14.6%の%T/C(P<0.0001)の著しい抗腫瘍活性を生じた。
【0215】
図7は、ヒト前立腺腫瘍異種移植片に対する製D11の剤化合物1の抗腫瘍効果を示す。図8は、個別の動物の治療22日目の抗腫瘍効果の結果を示す。
【0216】
D.ヒトMDA-MB乳癌マウスモデル
化合物1の抗腫瘍活性は、6および10mg/mLの濃度で製剤D11を使用して、マウスのヒトMDA-MB-231乳癌モデルでさらに試験された(表8を参照)。HRLNメスヌードマウス(生後8週間)は、右側部の5×106MDA-MB-231腫瘍細胞株(sc)で治療された。腫瘍が平均サイズの80から120mgに達し、治療が下の表のように開始された時、動物はランダム化された(グループに10匹)。
【0217】
【表8】
【0218】
腫瘍測定は、キャリパを使用して週2回行われ、式幅2(mm)×長さ(mm)×0.52を使用して腫瘍量(ミリグラム)に変換された。体重も週2回記録された。統計分析は、非対比両側スチューデント t検定を使用して行われた。
【0219】
%T/Cは、対照群の動物が抗腫瘍の負荷のため致死されなければならなかった21日目に計算された。静脈治療は、(おそらく短い半減期と治療的に有効な薬物レベルの持続に欠けるため)活性を生じなかった。一方、21日間、毎日与えられた20mg/kgで、または1から5、8から12に与えられた30mg/kgでの皮下投与は、それぞれ40%および35%の%T/C(P<0.0001)の有意な抗腫瘍活性を生じた。3日毎に7回(1、4、7、10、13、16および19日目)にそれぞれ50および30mg/kgでの皮下または腹腔内投与も、中程度だが統計的に有意な68%(P=0.0019)および58%(P=0.0007)のT/C値を得、効果的であった。
【0220】
図9は、ヒト乳癌腫量異種移植に対する製剤D11での化合物1の抗腫瘍効果の結果を示す。図10は、治療21日目の抗腫瘍効果の結果を示す。
【実施例11】
【0221】
実施例11:製剤D11のIn VivoCIV投与
A.CIVを与えられたラットにおける製剤D11のIn vivo薬動学:
【0222】
スプラーグドーレイラットは、連続14日間、2mL/kg/時間の速度で、25mg/kg/日、50mg/kg/dayまたは75mg/kg/日で化合物1の静脈注入を連続14日にわたり受けた(製剤D11)。以下の時間点(1日目;投与開始後2、6および12時間、2日目;6時間(投与開始後約30時間)、6および10日目;6時間、および15日;投与終了1時間前、そして投与終了後5分、15分、30分、1時間、および2時間)で3ラット/性別/グループのけい静脈から血液がK2EDTAを含有するチューブに回収された。
【0223】
この14日の化合物1のIV連続注入の結果は、表9および図11に示す。25mg/kg/日または75mg/kg/日を受けたグループにおいて、それぞれ347ng/mL(~0.8mM)および1,796ng/mL(~3.9mM)の定常状態血漿濃度の定常状態の化合物1の血漿濃度が、14日のCIV注入をとおして観察された。50mg/kg/日の中用量グループにおいて、測定前(1,150ng/mLまたは~2.5mM)に測定したとき、化合物1の血漿濃度は、10日目(1,753ng/mLまたは~3.8mM)に異常に高く、14日目に定常状態レベルに戻った。これは、分析または生物学的変動を示唆する。50mg/kg/日および75mg/kg/日グループの平均定常状態血漿濃度は、それぞれ~2.5mM and ~3.9mM濃度の14日の注入期間中in vivo抗腫瘍活性実験で定義された2mMの治療限界値を超えた。異なるグループのAUCsは、増加用量レベルとともに増加したが、この増加は、25mg/kg/日グループの116,418ng/mL*h、50mg/kg/日グループの396,134ng/mL*h、最後に75mg/kg/日グループの597,378ng/mL*hのAUCの用量比例よりわずかに大きかった。異なるグループにおける化合物1の注入が停止したとき、化合物1が、血漿から急速に取り除かれたことを示す、血漿からの化合物の急速な除去が全グループで観測された。化合物1の注入停止後2時間での化合物1の平均濃度は、低容量グループ(25mg/kg/日)で28ng/mLに、中用量グループ(50mg/kg/日)で53ng/mLに、そして高用量グループ(75mg/kg/日)で75ng/mLに低下した。化合物1のT1/2zは、異なる用量グループにおいて1.2から1.6時間の間で変動した。
【0224】
【表9】
【0225】
要約すると、結果は、2mMの治療限界値より上の定常状態化合物1血漿濃度が、ラットでの50および75mg/kg/日の用量速度の化合物1の14日IV連続注入で得られたことを示す。化合物1の投与が14日後に停止されたとき、薬物は、全用量グループにおいて、ラットの血漿から急速に除去された。
【0226】
B.CIVを与えられたサルにおける製剤D11のIn vivo薬動学
カニクイザルに化合物1を14日間にわたり5mg/kg/日、15mg/kg/日または30mg/kg/dayで、連続IV注入を与えた。薬剤は、14日間連続で、2ml/kg/時間の速度で大腿静脈に静脈内的(24時間/日)に注入した。血液サンプルを治療期間の1、2、6、10および15日目に各サルから採取した。静脈穿刺でサルを出血させ、サンプルをK2EDTAを含むチューブに回収した。1日目に、サンプルを治療開始2、6および12時間後に採取した。追加のサンプルを注入開始の30時間後(2日目)に採取した6および10日目に、袋を換えた約6時間後にサンプルを採取した。注入14日最終日、15日目に、投与量の停止1時間前、および投与量停止後5分、30分、1時間、2時間、4時間、8時間および24時間に採取された。
【0227】
この化合物1の14日IV連続注入の結果を表10および図12に示す。5mg/kg/日用量または15mg/kg/日を与えられたグループにおける定常状態化合物1血漿濃度は、それぞれ358ng/mL(~0.8mM)および1,173ng/mL(~2.5mM)の平均定常状態血漿(30時間と14日の間)とともに、14日CIV注入を通して観察された。30mg/kg/日の高用量グループにおける化合物1血漿濃度は、1日目に2,814ng/mL(~6.1mM)から6日目に4,354 ng/mL(~9.4mM)、10日目までに6,855ng/mL(~15mM)、15日目までに8,561ng/mL(~18.5 mM)の14日注入期間をとおして増加した。15mg/kg/日および30mg/kg/日グループの血漿濃度は、14日注入期間にわたるin vivo抗腫瘍活性実験において、治療閾値を超えた。異なるグループのAUCsは、5 mg/kg/日グループの平均AUCの119,018ng/mL*h、15mg/kg/日グループの400,116ng/mL*h(グループ間で3.4倍の増加、これは用量レベルで3倍の増加に比例)とともに、低および中用量グループの間で与えられた用量におおよそ比例的に増加した。しかし、高用量グループ(30mg/kg/日)のAUC値は、著しく大きい、すなわち、用量レベルの2倍増加に関わらず、中用量グループのそれより4.7倍である1,874,950ng/mL*hであった。異なるグループの化合物1の注入が終了したとき、血漿からの化合物1の急速な除去が全てのグループで観察された。化合物1のT1/2zは、異なる用量グループで8.1から11.5時間の間で変動した。
【0228】
【表10】
【0229】
要約すると、結果は、治療閾値2mM以上の安定した化合物1血漿濃度は、サルにおける化合物1の14日IV連続注入で得られることを示した。化合物1の投与が14日後に停止されたとき、薬物は、全ての用量グループでサルの血漿から急速に除去された。
【0230】
C.ラットおよびサルにおける化合物1のIn vivo毒性
14日連続静脈内注入(bのように)として投与されたとき、重度な化合物に関連した毒性は、サルにおいて観察されず、食欲不振および中程度の回復可能な貧血を含む副作用は回復可能であった。ひ臓における肝細胞および泡沫状組織球の蓄積(マクロファージ)の拡散空洞化が、サルにおいて観察され、これは使用した媒体の浄化を示す。退行性変化は、注入部を含むいずれの臓器でも観察されず、体重、眼用状態、心電図活動および他のサルで査定したパラメータに作用はなかった。
【0231】
ラットにおける14日注入(aのように)は、全ての治療および対照群の注入部で壊死化および炎症性病変と関連した。毒性は、媒体によるもので、注入管の小さいサイズおよび並行カテーテル路感染に起因した。
【0232】
単一ボーラス静脈投与は、健康なラットにおける85mg/kgのMTDおよびサルにおける約35mg/kgのMTDを示した。
【0233】
急性毒性もサルにおける24時間CIV投与スケジュールで評価され、24時間の期間(2mL/kg/時間の注入速度)で35mg/kgおよび70mg/kgの用量は両方ともよく許容された。
【実施例12】
【0234】
実施例12:ヒトにおける化合物1の薬動学のシュミュレーション
マウス、ラットおよびサルを含む3種から化合物1の血漿濃度−時間データを使用して、化合物1の薬動学パラメータのための相対方程式を得るため、そしてそれらの相対方程式からヒト薬動学的パラメータを推定するために、分析を実行した。
【0235】
化合物1の血漿濃度は、静脈注入または連続注入後、マウス、ラットおよびサルから得た。マウス、ラットおよびサルの化合物1薬動学的パラメータは、ソフトウェアプログラムNONMEMTM (バージョン5)の一つの機能である母集団薬動学的分析を使用して推定された。ヒトにおける典型的な化合物1の母集団薬動学的パラメータは、3種の動物で推定された薬動学的パラメータから得た相対方程式から外挿された。9日または14日連続注入後の化合物1の血漿濃度−時間プロファイルは、それぞれ、典型的な母集団浄化(平均CL)、50%高い浄化(平均CL+50%×平均CL)、および50%低い浄化(平均CL−50%×平均CL)を用いて、患者(体重70kg;体表面積、1.8m2)でシュミレーションされた。
【0236】
中央コンパートメントからの1次除去を用いた2つのコンパートメントモデルは、マウスおよびラットにおける静脈内ボーラス注入(30mg/kg)、ラットにおける7日連続注入(50から170mg/kg/日)およびサルにおける14日連続注入(5から30mg/kg/日)後の化合物1の血漿濃度−時間プロファイルを適切に記述した。マウス、ラットおよびサルにおける化合物1の推定された母集団薬動学的パラメータを、表11に示す。
【0237】
【表11】
【0238】
サルにおける14日連続注入は、5、15および30mg/kg/日の用量レベルで、それぞれ、0.75、2.57および14.07μMの平均定常状態血漿濃度、およびそれぞれ対応する0.63、0.57および0.23L/h/kgの平均浄化値を結果として得た。Michaelis-Menten除去を用いた2コンパートメントモデルの適用は、リニアモデルよりサルの濃度データをよりよく表現している。ヒトの目標濃度は、線形薬動学が仮定する2μMであるため、ヒト血漿濃度における全てのシュミレーションは、線形一次除去を用いた2コンパートメントモデルに基づき実行された。
【0239】
薬動学的パラメータ浄化(CL)、分散量(V1およびV2)および内コンパートメント浄化(Q)における相対方程式が導きだされた。ヒトにおける化合物1の母集団PKパラメータが相対方程式から外挿され、推定値が表11に示される。ヒトでのシュミュレーション化合物血漿濃度−時間プロファイルを図13に示し、推定された注入濃度の最終を表12に示す。
【0240】
【表12】
【0241】
30mg/m2/日の用量での化合物1の14日連続注入のシュミュレーションから、平均患者のパラメータを使用して推定された定常状態血漿濃度は、0.29 μM (表12)であった。我々は、5mg/kg/日および15mg/kg/日の用量での14日連続IV注入で、定常状態化合物1血漿濃度が14日CIV注入を通して観察された、サルにおける化合物1の薬動学的プロファイルにおいて観察してきた。よって、ヒトにおける180mg/m2/日(4.5mg/kg/日)での化合物1の用量は、14日以上の連続IV注入中に定常状態濃度を生成するだろうことが予測されてよい。
【実施例13】
【0242】
実施例13:製剤B10のヒトへの投与
上述のバルク製剤を癌治療のためにヒトに使用した。バルク製剤は、患者への投与前に無菌0.9%生理食塩水で再調製された。バルク製剤バイアルは、52mLの0.9%生理食塩水、注入バックおよび投与セット(ポンプコネクタ付)を含む無菌60mL前充填されたシリンジからなる薬物再調製キットおよび拡張セットとともに提供される。拡張セットは、耐サイフォン弁および無菌0.2ミクロンインラインフィルターを含む。バイアルの内容物は、前充填シリンジを利用して52mLの無菌0.9%生理食塩水で稀釈される。この過剰充填は、265mg/バイアルに対応する、4.48mg/mLの化合物1を含む最低摘出可能な59mLのプリミックス量があることを確実にする。投与製剤は、0.9%生理食塩水の本薬物濃度で均等である。
【0243】
投与量により、投与製剤は、250-mL、500-mLまたは1-L EVAまたはPP注入バックに移される。注入バックは、24時間注入のためにCADD Prizm VIP 6101モデルポンプに接続される。毎日の用量は、プログラム可能で薬剤師によりロックされるポンプの流量で調節される。患者は、重度の副作用および治療の有効性のために監視される。
【0244】
例えば、1.8 m2 の体表面積のヒト患者に180mg/m2の毎日量が14日の期間中に与えられる。患者は、約3.014mL/時間に調節された流量で、約72.34mL(薬物の324.1mg)の毎日量、合計1012.8mL(薬物の4537.4mg)の上の再調製された製剤を投与される。14日注入が2つの7日注入、すなわち、7日後に注入バック(各バックは総量約506.4mLを投与する)を交換して与えられた。患者を、それから、7日間休養させる。1回以上のさらなる14日注入治療が、反応および重度の副作用により、用量を調節または調節せずに同様の方法で与えられる。
【0245】
本明細書に引用された全ての特許請求および出版された参考資料は、本明細書にそのまま引用される。対立がある場合、定義を含む本明細書が管理する。本発明は、特に、その好適な実施形態を参照に表示および記述されるが、多様な形態の変更および詳細が、付属の特許請求により含まれる本発明の範囲から逸脱することなくなされることを当業者により理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0246】
【図1】図1は、異なる臓器組織および血漿(血漿、肝臓、腎臓、ひ臓、肺、脂肪および脳)における再調製された製剤Bのボーラス注射後、5 および30分後の化合物1の濃度を示す図である。
【図2】図2は、スイスマウスにおける30 mg/kgの静脈内(iv)、腹腔内(ip)、皮下および(sc)ボーラス投与(製剤D11を使用)、および経口(po) 投与(製剤C を使用)後の化合物1の平均(±SD)血漿濃度を示す。
【図3】図3は、製剤D11を使用した30 mg/kgの静脈内(iv)、腹腔内(ip)、皮下(sc)ボーラス投与30分後の様々な組織における化合物1の平均濃度を示す。
【図4】図4は、IP で5 mL/kg (6-18日目)を投与した媒体対照群(円)と比較して、IPで20 mg/kg(6-13日目)を投与後10 mg/kg (14-18日目) (逆三角)を投与、SCで20 mg/kg (6-13日目)を投与後15 mg/kg (14-18日目) (四角)を投与、およびIVで100 mg/kg (6-10日目および 13-17日目) (三角)を投与した場合、メスの胸腺(nu/nu)欠損ヌードマウスにおけるラット神経こう腫(C6)腫瘍異種移植片に対する化合物1(製剤D11)のin vivo抗腫瘍活性を示す。治療は、腫瘍が触知可能(6日目)になってから開始された。
【図5】図5は、ヒト神経こう腫(U-87MG)腫瘍異種移植片に対する化合物1(製剤D11)のin vivo抗腫瘍活性から異なるグループ(平均 ± SEM)の腫瘍体積の成長曲線を示す。治療は、腫瘍が触知可能(24日目)になってから開始された。化合物1 (30 mg/kg) (四角)および 薬物無し対照媒体(5 mL/kg)(円)が、2週間 (q1d × 5) 2 wk 、1日(月曜日から金曜日)1回、SC で投与された。テモドゾルイミド(ダイヤモンド型)は、陽性対照として使用され、4 日毎(合計3治療)に150 mg/g 、PO で投与された。
【図6】図6は、対照群の動物が腫瘍負荷のため致死されなければならい34日目で比較された場合の、図5のin vivo活性検定での異なる治療群の全動物の腫瘍体積を示す。
【図7】図7は、ボーラス注射による製剤D11を使用した、オスのハーランヌードマウスにおけるヒト前立腺腫瘍(PC3)異種移植片に対する化合物1の抗腫瘍効果を示す。
【図8】図8は、ボーラス製剤D11投与を使用した、治療22日目の個々のオスのハーランヌードマウスにおけるヒト前立腺腫瘍(PC3)異種移植片に対する化合物1の抗腫瘍効果を示す。
【図9】図9は、製剤D11ボーラス投与を使用した、メスのハーランヌードマウスにおけるヒト胸部腫瘍(MDA-MB-231)異種移植片に対する化合物1の抗腫瘍効果を示す。
【図10】図10は、製剤D11ボーラス投与を使用した、治療21日目の個々のメスのハーランヌードマウスにおけるヒト胸部腫瘍(MDA-MB-231)異種移植片に対する化合物1の抗腫瘍効果を示す。
【図11】図11は、25 mg/kg/日、50 mg/kg/日および75 mg/kg/日で、連続して静脈内注入(CIV)を14日間(336 時間)投与した時のスプラーグドーレイラットにおける化合物1(製剤D11)の注入中および注入後の平均(±SD)血漿濃度を示す。
【図12】図12は、5 mg/kg/日、15 mg/kg/日および30 mg/kg/日で、CIVを14日間(336 時間)投与した時のカニクイザルにおける化合物1(製剤D11)の注入中および注入後の平均(±SD) 血漿濃度を示す。
【図13】図13は、14日間、30 mg/m2/日で製剤D11をCIV 注入した後のヒトにおける模擬された化合物1の血漿濃度-時間プロファイルを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬的に許容される界面活性剤を含む医薬的に許容される媒体とともに活性成分を含む医薬製剤であって、前記活性成分が、化学式Iの化合物またはその医薬的に許容される塩、溶媒和またはプロドラッグである医薬製剤;
【化1】
(式中、 W1, W2 および W3は、それぞれ、
【化2】
あるいは、W3、W2またはW1がそれぞれ -CH=O、-CH(OC1-6アルキル)2、-CH2OH、-CH2OC1-6アルキルまたはC(O)OR7のいずれかである場合に、W3、W2またはW1での三環系終端部からの鎖から独立して選択され;
R1は、H、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、C3-10シクロアルキル、C3-10ヘテロシクロアルキル、C(O)H、C(O)C1-10アルキル、C(O)C2-10アルケニル、C(O)C2-10アルキニル、C(O)C6-10アリール、C(O)C5-10ヘテロアリール、C(O)C3-10シクロアルキル、 C(O)C3-10ヘテロシクロアルキル、 またはC結合アミノ酸から選択され;
R2、R3および R4は、それぞれ、H、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、C3-10シクロアルキル、C3-10ヘテロシクロアルキル、C(O)H、C(O)C1-10アルキル、C(O)C2-10アルケニル、C(O)C2-10アルキニル、C(O)C6-10アリール、C(O)C5-10ヘテロアリール、C(O)C3-10シクロアルキル、C(O)C3-10ヘテロシクロアルキルまたは C結合アミノ酸から独立して選択され、
R5およびR6は、それぞれ、H、OH、OC1-6アルキル、OC(O)C1-6アルキル、 NH2、NHC1-6アルキル、N(C1-6アルキル)2、NHC(O)C1-6アルキルから独立して選択され;
R7は、H、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、C3-10シクロアルキルおよびC3-10ヘテロシクロアルキルから選択され;
X1、X2、X3、X4およびX5は、それぞれHであるか;
X1、X2、X3、X4またはX5の一つがハロゲンで、残りがHであり;
式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7のいずれかがアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基を含む場合、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基は、アシル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、カルボアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミド、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオ、C1-6アルキル、C2-7アルケニル、C2-7アルキニル、C3-10シクロアルキル、C3-10ヘテロシクロアルキル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、オキソ、グアニジノおよびホルミルから選択される置換基と任意で置換される)。
【請求項2】
前記活性成分が、以下の化合物1から130:
【化3】
またはその医薬的に許容される塩、溶媒和またはプロドラッグからなる群より選択される、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
前記活性成分が、化合物1から7、9から11、14、17、18、46、63、64、67、77、78、80、82から85、87、89、92、95から98、100から103、および105、またはその医薬的に許容される塩、溶媒和またはプロドラッグのいずれか一つである、請求項2に記載の医薬製剤。
【請求項4】
前記活性成分が、化合物1:
【化4】
またはその医薬的に許容される塩またはプロドラッグである、請求項2に記載の医薬製剤。
【請求項5】
前記製剤が、界面活性剤と活性成分との重量比が約1:1から約100:1である、請求項1から4のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項6】
前記製剤が、界面活性剤と活性成分との重量比が約2:1から約50:1である、請求項5に記載の医薬製剤。
【請求項7】
前記界面活性剤が、ソルビタンエステル、ポリオキシエチル化ヒマシ油またはリン脂質である、請求項5または6に記載の医薬製剤。
【請求項8】
前記界面活性剤が、ポリソルベート80である、請求項7に記載の医薬製剤。
【請求項9】
前記製剤が、ポリソルベート80と活性成分との重量比が約10:1から約25:1である、請求項8に記載の医薬製剤。
【請求項10】
前記ビヒクルが、医薬的に許容される溶媒をさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項11】
前記溶媒がエタノールであり、エタノールと活性成分との重量比が約1:1から約100:1である、請求項10に記載の医薬製剤。
【請求項12】
前記重量比が約1:1から約50:1である、請求項11に記載の医薬製剤。
【請求項13】
前記重量比が約1:1から約15:1である、請求項12に記載の医薬製剤。
【請求項14】
前記ビヒクルが溶解補助剤をさらに含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項15】
前記溶解補助剤が、親水性重合体である、請求項14に記載の医薬製剤。
【請求項16】
前記親水性重合体が、ポリ(エチレングリコール)(PEG)またはポリビニルピロリドン(PVP)から選択される、請求項15に記載の医薬製剤。
【請求項17】
前記製剤が、溶解補助剤と活性成分との重量比が約1:1から約100:1である、請求項14から16のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項18】
前記製剤が、溶解補助剤と活性成分との重量比が約1:1から約50:1である、請求項17に記載の医薬製剤。
【請求項19】
前記製剤が、溶解補助剤と活性成分の重量比が約1:1から約15:1である、請求項18に記載の医薬製剤。
【請求項20】
抗酸化剤をさらに含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項21】
前記抗酸化剤が、アスコルビン酸ナトリウムを含む、請求項20に記載の医薬製剤。
【請求項22】
前記抗酸化剤が、アスコルビン酸をさらに含む、請求項21に記載の医薬製剤。
【請求項23】
前記製剤が、抗酸化剤と活性成分との重量比が約1:20から約20:1である、請求項20から22のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項24】
前記製剤が、抗酸化剤と活性成分との重量比が約1:5から約5:1である、請求項23に記載の医薬製剤。
【請求項25】
前記製剤が、抗酸化剤と活性成分との重量比が約1:5から約2:1である、請求項24に記載の医薬製剤。
【請求項26】
前記製剤が、水性成分をさらに含む、請求項1から25のいずれか一項に記載の医薬的組成物。
【請求項27】
前記水性成分は水であり、水と活性成分との重量比が約1:2から約25:1である、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記水と活性成分との重量比が約1:1から約10:1である、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記水性成分が、0.9%生理食塩水および5%デキストロースから選択され、製剤の総容量の約0.01から約50 mg/mLの活性成分濃度を含む、請求項26に記載の医薬的組成物。
【請求項30】
前記製剤が、界面活性剤と活性成分との重量比が約5:1から約30:1となる界面活性剤、エタノールと活性成分との重量比が約1:1から約15:1となるエタノール、および親水性重合体と活性成分との重量比が約1:1から約15:1となる親水性重合体を含む、請求項4に記載の医薬製剤。
【請求項31】
前記製剤が、界面活性剤と活性成分との重量比が約5:1から約30:1となる界面活性剤、エタノールと活性成分との重量比が約1:1から約15:1となるエタノール、親水性重合体と活性成分との重量比が約1:1から約15:1となる親水性重合体、および抗酸化剤と活性成分との重量比が約1:5から約5:1となる抗酸化剤を含む、請求項4に記載の医薬製剤。
【請求項32】
前記製剤が、界面活性剤と活性成分との重量比が約5:1から約30:1となる界面活性剤、エタノールと活性成分との重量比が約1:1から約15:1となるエタノール、親水性重合体と活性成分との重量比が約1:1から約15:1となる親水性重合体、抗酸化剤と活性成分との重量比が約1:5から約5:1となる抗酸化剤、および水と活性成分と重量比が約1:1から約10:1となる水を含む、請求項4に記載の医薬製剤。
【請求項33】
前記製剤が、水性媒体および製剤の総容量の0.01から50 mg/mLの範囲の活性成分濃度をさらに含む、請求項32に記載の医薬製剤。
【請求項34】
請求項1に記載の医薬製剤の調製方法であって、活性成分と界面活性剤とを混合することにより組み合わせるステップを含む、調製方法。
【請求項35】
請求項4に記載の医薬製剤の調製方法であって、活性成分と界面活性剤とを混合することにより組み合わせるステップを含む、調製方法。
【請求項36】
請求項5から9のいずれか一項に記載の医薬製剤の調製方法であって、活性成分と界面活性剤とを混合することにより組み合わせるステップを含む、調製方法。
【請求項37】
請求項11から13のいずれか一項に記載の医薬製剤の調製方法であって、任意の順番で、活性成分、界面活性剤およびエタノールを混合することにより組み合わせるステップを含む、調製方法。
【請求項38】
請求項15から19のいずれか一項に記載の医薬製剤の調製方法であって、任意の順番で、活性成分、界面活性剤、エタノールおよび親水性重合体を混合することにより組み合わせるステップを含む、調製方法。
【請求項39】
請求項20から25のいずれか一項に記載の医薬製剤の調製方法であって、任意の順番で、活性成分、界面活性剤、エタノール、親水性重合体および抗酸化剤を混合することにより組み合わせるステップを含む、調製方法。
【請求項40】
請求項27または28に記載の医薬製剤の調製方法であって、任意の順番で、活性成分、界面活性剤、エタノール、親水性重合体、抗酸化剤および水を混合することにより組み合わせるステップを含む、調製方法。
【請求項41】
以下のa)〜e)のステップを含む、請求項32に記載の医薬製剤の調製方法;
a)活性成分とエタノールを混合することにより組み合わせてエタノール溶液を得るステップと、
b)抗酸化剤と水を混合することにより組み合わせて水溶液を得るステップと、
c)親水性重合体と界面活性剤を混合することにより組み合わせて混合液を得るステップと、
d)ステップ(a)のエタノール溶液とステップ(c)の混合液を混合することにより組み合わせるステップと、
e)ステップ(b)の水溶液とステップ(d)の溶液を混合することにより組み合わせて医薬製剤を生産するステップ。
【請求項42】
前記製剤と0.9%生理食塩水および5%デキストロースから選択される水性媒体とを組み合わせるステップをさらに含む、請求項34から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
新生物成長状態の治療のための薬物の製造における、請求項1から33のいずれか一項に記載の製剤の使用。
【請求項44】
新生物成長状態の治療のための薬物の製造における、請求項4に記載の製剤の使用。
【請求項45】
新生物成長状態の治療のための薬物の製造における、請求項5から9のいずれか一項に記載の製剤の使用。
【請求項46】
新生物成長状態の治療のための薬物の製造における、請求項11から13のいずれか一項に記載の製剤の使用。
【請求項47】
新生物成長状態の治療のための薬物の製造における、請求項15から19のいずれか一項に記載の製剤の使用。
【請求項48】
新生物成長状態の治療のための薬物の製造における、請求項20から25のいずれか一項に記載の製剤の使用。
【請求項49】
新生物成長状態の治療のための薬物の製造における、請求項27または28に記載の製剤の使用。
【請求項50】
新生物成長状態の治療のための薬物の製造における、請求項30から33のいずれか一項に記載の製剤の使用。
【請求項51】
新生物成長状態の治療のための薬物の製造における、請求項32に記載の製剤の使用。
【請求項52】
新生物成長状態の治療のための、請求項30から33のいずれか一項に記載の製剤の使用。
【請求項53】
前記製剤は、少なくとも7日間、1日24時間、連続的な静脈内注入により投与される、請求項43から52のいずれか一項に記載の使用。
【請求項54】
前記製剤は、14から28日間、1日24時間、連続的な静脈内注入により投与される、請求項53に記載の使用。
【請求項55】
新生物成長状態の治療のための請求項1から28に記載のいずれか一項に記載の医薬製剤および説明書を含む、市販パッケージ。
【請求項56】
新生物成長状態の治療のための請求項30から32に記載のいずれか一項に記載の医薬製剤および説明書を含む、市販パッケージ。
【請求項57】
新生物成長状態の治療のための請求項29または33に記載の医薬製剤および説明書を含む、市販パッケージ。
【請求項58】
前記医薬製剤が、第一の密封されたバイアルに入っており、前記市販パッケージは、第一のバイアルの中味を溶解するのに適した医薬的に許容される水性媒体を含有する前充填されたシリンジをさらに含む、請求項55に記載の市販パッケージ。
【請求項59】
前記医薬製剤が、第一の密封されたバイアルに入っており、前記市販パッケージは、前記第一のバイアルの中味を溶解するのに適した医薬的に許容される水性媒体を含有する前充填されたシリンジをさらに含む、請求項56に記載の市販パッケージ。
【請求項60】
注入バックをさらに含む、請求項58または59に記載の市販パッケージ。
【請求項61】
前記注入バックが、酢酸エチルビニル(EVA)またはポリプロピレン(PP)注入バックである、請求項60に記載の市販パッケージ。
【請求項1】
医薬的に許容される界面活性剤を含む医薬的に許容される媒体とともに活性成分を含む医薬製剤であって、前記活性成分が、化学式Iの化合物またはその医薬的に許容される塩、溶媒和またはプロドラッグである医薬製剤;
【化1】
(式中、 W1, W2 および W3は、それぞれ、
【化2】
あるいは、W3、W2またはW1がそれぞれ -CH=O、-CH(OC1-6アルキル)2、-CH2OH、-CH2OC1-6アルキルまたはC(O)OR7のいずれかである場合に、W3、W2またはW1での三環系終端部からの鎖から独立して選択され;
R1は、H、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、C3-10シクロアルキル、C3-10ヘテロシクロアルキル、C(O)H、C(O)C1-10アルキル、C(O)C2-10アルケニル、C(O)C2-10アルキニル、C(O)C6-10アリール、C(O)C5-10ヘテロアリール、C(O)C3-10シクロアルキル、 C(O)C3-10ヘテロシクロアルキル、 またはC結合アミノ酸から選択され;
R2、R3および R4は、それぞれ、H、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、C3-10シクロアルキル、C3-10ヘテロシクロアルキル、C(O)H、C(O)C1-10アルキル、C(O)C2-10アルケニル、C(O)C2-10アルキニル、C(O)C6-10アリール、C(O)C5-10ヘテロアリール、C(O)C3-10シクロアルキル、C(O)C3-10ヘテロシクロアルキルまたは C結合アミノ酸から独立して選択され、
R5およびR6は、それぞれ、H、OH、OC1-6アルキル、OC(O)C1-6アルキル、 NH2、NHC1-6アルキル、N(C1-6アルキル)2、NHC(O)C1-6アルキルから独立して選択され;
R7は、H、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、C3-10シクロアルキルおよびC3-10ヘテロシクロアルキルから選択され;
X1、X2、X3、X4およびX5は、それぞれHであるか;
X1、X2、X3、X4またはX5の一つがハロゲンで、残りがHであり;
式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR7のいずれかがアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基を含む場合、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基は、アシル、アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、カルボアルコキシ、カルボキシ、カルボキシアミド、シアノ、ハロ、ヒドロキシル、ニトロ、チオ、C1-6アルキル、C2-7アルケニル、C2-7アルキニル、C3-10シクロアルキル、C3-10ヘテロシクロアルキル、C6-10アリール、C5-10ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、スルフィニル、スルホニル、オキソ、グアニジノおよびホルミルから選択される置換基と任意で置換される)。
【請求項2】
前記活性成分が、以下の化合物1から130:
【化3】
またはその医薬的に許容される塩、溶媒和またはプロドラッグからなる群より選択される、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
前記活性成分が、化合物1から7、9から11、14、17、18、46、63、64、67、77、78、80、82から85、87、89、92、95から98、100から103、および105、またはその医薬的に許容される塩、溶媒和またはプロドラッグのいずれか一つである、請求項2に記載の医薬製剤。
【請求項4】
前記活性成分が、化合物1:
【化4】
またはその医薬的に許容される塩またはプロドラッグである、請求項2に記載の医薬製剤。
【請求項5】
前記製剤が、界面活性剤と活性成分との重量比が約1:1から約100:1である、請求項1から4のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項6】
前記製剤が、界面活性剤と活性成分との重量比が約2:1から約50:1である、請求項5に記載の医薬製剤。
【請求項7】
前記界面活性剤が、ソルビタンエステル、ポリオキシエチル化ヒマシ油またはリン脂質である、請求項5または6に記載の医薬製剤。
【請求項8】
前記界面活性剤が、ポリソルベート80である、請求項7に記載の医薬製剤。
【請求項9】
前記製剤が、ポリソルベート80と活性成分との重量比が約10:1から約25:1である、請求項8に記載の医薬製剤。
【請求項10】
前記ビヒクルが、医薬的に許容される溶媒をさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項11】
前記溶媒がエタノールであり、エタノールと活性成分との重量比が約1:1から約100:1である、請求項10に記載の医薬製剤。
【請求項12】
前記重量比が約1:1から約50:1である、請求項11に記載の医薬製剤。
【請求項13】
前記重量比が約1:1から約15:1である、請求項12に記載の医薬製剤。
【請求項14】
前記ビヒクルが溶解補助剤をさらに含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項15】
前記溶解補助剤が、親水性重合体である、請求項14に記載の医薬製剤。
【請求項16】
前記親水性重合体が、ポリ(エチレングリコール)(PEG)またはポリビニルピロリドン(PVP)から選択される、請求項15に記載の医薬製剤。
【請求項17】
前記製剤が、溶解補助剤と活性成分との重量比が約1:1から約100:1である、請求項14から16のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項18】
前記製剤が、溶解補助剤と活性成分との重量比が約1:1から約50:1である、請求項17に記載の医薬製剤。
【請求項19】
前記製剤が、溶解補助剤と活性成分の重量比が約1:1から約15:1である、請求項18に記載の医薬製剤。
【請求項20】
抗酸化剤をさらに含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項21】
前記抗酸化剤が、アスコルビン酸ナトリウムを含む、請求項20に記載の医薬製剤。
【請求項22】
前記抗酸化剤が、アスコルビン酸をさらに含む、請求項21に記載の医薬製剤。
【請求項23】
前記製剤が、抗酸化剤と活性成分との重量比が約1:20から約20:1である、請求項20から22のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項24】
前記製剤が、抗酸化剤と活性成分との重量比が約1:5から約5:1である、請求項23に記載の医薬製剤。
【請求項25】
前記製剤が、抗酸化剤と活性成分との重量比が約1:5から約2:1である、請求項24に記載の医薬製剤。
【請求項26】
前記製剤が、水性成分をさらに含む、請求項1から25のいずれか一項に記載の医薬的組成物。
【請求項27】
前記水性成分は水であり、水と活性成分との重量比が約1:2から約25:1である、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記水と活性成分との重量比が約1:1から約10:1である、請求項27に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記水性成分が、0.9%生理食塩水および5%デキストロースから選択され、製剤の総容量の約0.01から約50 mg/mLの活性成分濃度を含む、請求項26に記載の医薬的組成物。
【請求項30】
前記製剤が、界面活性剤と活性成分との重量比が約5:1から約30:1となる界面活性剤、エタノールと活性成分との重量比が約1:1から約15:1となるエタノール、および親水性重合体と活性成分との重量比が約1:1から約15:1となる親水性重合体を含む、請求項4に記載の医薬製剤。
【請求項31】
前記製剤が、界面活性剤と活性成分との重量比が約5:1から約30:1となる界面活性剤、エタノールと活性成分との重量比が約1:1から約15:1となるエタノール、親水性重合体と活性成分との重量比が約1:1から約15:1となる親水性重合体、および抗酸化剤と活性成分との重量比が約1:5から約5:1となる抗酸化剤を含む、請求項4に記載の医薬製剤。
【請求項32】
前記製剤が、界面活性剤と活性成分との重量比が約5:1から約30:1となる界面活性剤、エタノールと活性成分との重量比が約1:1から約15:1となるエタノール、親水性重合体と活性成分との重量比が約1:1から約15:1となる親水性重合体、抗酸化剤と活性成分との重量比が約1:5から約5:1となる抗酸化剤、および水と活性成分と重量比が約1:1から約10:1となる水を含む、請求項4に記載の医薬製剤。
【請求項33】
前記製剤が、水性媒体および製剤の総容量の0.01から50 mg/mLの範囲の活性成分濃度をさらに含む、請求項32に記載の医薬製剤。
【請求項34】
請求項1に記載の医薬製剤の調製方法であって、活性成分と界面活性剤とを混合することにより組み合わせるステップを含む、調製方法。
【請求項35】
請求項4に記載の医薬製剤の調製方法であって、活性成分と界面活性剤とを混合することにより組み合わせるステップを含む、調製方法。
【請求項36】
請求項5から9のいずれか一項に記載の医薬製剤の調製方法であって、活性成分と界面活性剤とを混合することにより組み合わせるステップを含む、調製方法。
【請求項37】
請求項11から13のいずれか一項に記載の医薬製剤の調製方法であって、任意の順番で、活性成分、界面活性剤およびエタノールを混合することにより組み合わせるステップを含む、調製方法。
【請求項38】
請求項15から19のいずれか一項に記載の医薬製剤の調製方法であって、任意の順番で、活性成分、界面活性剤、エタノールおよび親水性重合体を混合することにより組み合わせるステップを含む、調製方法。
【請求項39】
請求項20から25のいずれか一項に記載の医薬製剤の調製方法であって、任意の順番で、活性成分、界面活性剤、エタノール、親水性重合体および抗酸化剤を混合することにより組み合わせるステップを含む、調製方法。
【請求項40】
請求項27または28に記載の医薬製剤の調製方法であって、任意の順番で、活性成分、界面活性剤、エタノール、親水性重合体、抗酸化剤および水を混合することにより組み合わせるステップを含む、調製方法。
【請求項41】
以下のa)〜e)のステップを含む、請求項32に記載の医薬製剤の調製方法;
a)活性成分とエタノールを混合することにより組み合わせてエタノール溶液を得るステップと、
b)抗酸化剤と水を混合することにより組み合わせて水溶液を得るステップと、
c)親水性重合体と界面活性剤を混合することにより組み合わせて混合液を得るステップと、
d)ステップ(a)のエタノール溶液とステップ(c)の混合液を混合することにより組み合わせるステップと、
e)ステップ(b)の水溶液とステップ(d)の溶液を混合することにより組み合わせて医薬製剤を生産するステップ。
【請求項42】
前記製剤と0.9%生理食塩水および5%デキストロースから選択される水性媒体とを組み合わせるステップをさらに含む、請求項34から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
新生物成長状態の治療のための薬物の製造における、請求項1から33のいずれか一項に記載の製剤の使用。
【請求項44】
新生物成長状態の治療のための薬物の製造における、請求項4に記載の製剤の使用。
【請求項45】
新生物成長状態の治療のための薬物の製造における、請求項5から9のいずれか一項に記載の製剤の使用。
【請求項46】
新生物成長状態の治療のための薬物の製造における、請求項11から13のいずれか一項に記載の製剤の使用。
【請求項47】
新生物成長状態の治療のための薬物の製造における、請求項15から19のいずれか一項に記載の製剤の使用。
【請求項48】
新生物成長状態の治療のための薬物の製造における、請求項20から25のいずれか一項に記載の製剤の使用。
【請求項49】
新生物成長状態の治療のための薬物の製造における、請求項27または28に記載の製剤の使用。
【請求項50】
新生物成長状態の治療のための薬物の製造における、請求項30から33のいずれか一項に記載の製剤の使用。
【請求項51】
新生物成長状態の治療のための薬物の製造における、請求項32に記載の製剤の使用。
【請求項52】
新生物成長状態の治療のための、請求項30から33のいずれか一項に記載の製剤の使用。
【請求項53】
前記製剤は、少なくとも7日間、1日24時間、連続的な静脈内注入により投与される、請求項43から52のいずれか一項に記載の使用。
【請求項54】
前記製剤は、14から28日間、1日24時間、連続的な静脈内注入により投与される、請求項53に記載の使用。
【請求項55】
新生物成長状態の治療のための請求項1から28に記載のいずれか一項に記載の医薬製剤および説明書を含む、市販パッケージ。
【請求項56】
新生物成長状態の治療のための請求項30から32に記載のいずれか一項に記載の医薬製剤および説明書を含む、市販パッケージ。
【請求項57】
新生物成長状態の治療のための請求項29または33に記載の医薬製剤および説明書を含む、市販パッケージ。
【請求項58】
前記医薬製剤が、第一の密封されたバイアルに入っており、前記市販パッケージは、第一のバイアルの中味を溶解するのに適した医薬的に許容される水性媒体を含有する前充填されたシリンジをさらに含む、請求項55に記載の市販パッケージ。
【請求項59】
前記医薬製剤が、第一の密封されたバイアルに入っており、前記市販パッケージは、前記第一のバイアルの中味を溶解するのに適した医薬的に許容される水性媒体を含有する前充填されたシリンジをさらに含む、請求項56に記載の市販パッケージ。
【請求項60】
注入バックをさらに含む、請求項58または59に記載の市販パッケージ。
【請求項61】
前記注入バックが、酢酸エチルビニル(EVA)またはポリプロピレン(PP)注入バックである、請求項60に記載の市販パッケージ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2008−542308(P2008−542308A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−513880(P2008−513880)
【出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【国際出願番号】PCT/CA2006/000884
【国際公開番号】WO2006/128288
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(507395533)タリオン ファーマシューティカルズ インク. (2)
【氏名又は名称原語表記】THALLION PHARMACEUTICALS INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【国際出願番号】PCT/CA2006/000884
【国際公開番号】WO2006/128288
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(507395533)タリオン ファーマシューティカルズ インク. (2)
【氏名又は名称原語表記】THALLION PHARMACEUTICALS INC.
【Fターム(参考)】
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