説明

ファン

【課題】ロータを静止体に組み付けた後にロータのバランス修正を行う必要がある。
【解決手段】回転部22と静止部21とで構成されたモータ12と、複数の翼112と翼を固定する翼支持部111とで構成されると共にモータ12を覆うインペラ11と、翼12の下方に位置する下プレート部132と、翼12の側方を覆う側壁部133と、翼12の上方に位置し中心軸J1方向に貫通する吸気口151を有する上プレート部131と、で構成されたハウジング13と、を備えたファン1であって、翼支持部111の下面には、周方向に延びるバランス修正部を有しており、下プレート部132には、中心軸J1方向においてバランス修正部と重なる位置に、バランス修正部の一部が下プレート部132の下方から目視可能な貫通孔が備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転体のアンバランス修正が可能な送風ファンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の高密度化に伴い、電子機器に搭載される電子部品と電子部品を冷却する送風ファンとが近接して配置される傾向がある。送風ファンは、回転体、つまりインペラが回転することで、空気流を発生させている。つまり、インペラにアンバランスが生ずることで、回転時に回転アンバランスが生じ、回転アンバランスが振動の原因となっている。
【0003】
回転体のアンバランスの修正方法としては、例えば、特開平06−284666号公報に開示されたものがある。
【特許文献1】特開平06−284666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に例示されるタイプのブラシレスモータでは、ロータヨークの内側の一部にバラスウェイトが装着され、バランス修正が図られている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のバランス修正については、モータを組み立てる過程で行う必要がある。つまり、ロータを静止体に組み付ける前に、ロータのバランス修正が行われる。ロータ単品にてアンバランス修正を行った場合、静止体に組み付け後に、回転中心とロータの中心軸がずれて組み立てられた場合、結果的に回転体にアンバランスが生じ、振動の原因になってしまう。
【0006】
上記の問題を解決するためには、ロータを静止体に組み付けた後にロータのバランス修正を行う必要がある。
【0007】
本発明は、ロータを静止体に組み付けた後にバランス修正を行うことを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の例示的な第1の側面に係る送風ファンは、回転部と、前記回転部の外側面に固定され、前記回転部により中心軸を中心に回転する翼支持部と、前記翼支持部に固定される複数の翼と、前記回転部および前記複数の翼の下方に位置する下プレート部と、前記複数の翼の側方を覆う側面部と、前記複数の翼の上方に位置し、前記中心軸方向に貫通する吸気口を有する上プレート部と、を備え、前記翼支持部の下面には、周方向に延びるバランス修正部を有しており、前記下プレート部には、前記中心軸方向において前記バランス修正部と重なる位置に、前記バランス修正部の一部が下プレート部の下方から目視可能な貫通孔が備えられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、回転部を静止部に組み付けた後に、回転部のアンバランス修正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、一の実施形態に係る送風ファンの断面図である。
【図2】図2は、モータ近傍の断面図である。
【図3】図3は、スリーブの断面図である。
【図4】図4は、スリーブの上面図である。
【図5】図5は、スリーブの底面図である。
【図6】図6は、軸受部近傍の断面図である。
【図7】図7は、送風ファンの上面図である。
【図8】図8は、送風ファンの底面図である。
【図9】図9は、インペラの一部を拡大して示した図である。
【図10】図10は、インペラの一部を拡大して示した図である。
【図11】図11は、インペラの一部を拡大して示した図である。
【図12】図12は、インペラの一部を拡大して示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書では、モータの中心軸方向における図1の上側である図1の上側を単に「上側」と呼び、下側を単に「下側」と呼ぶ。なお、上下方向は、実際の機器に組み込まれたときの位置関係や方向を示すものではない。また、中心軸に平行な方向を「軸方向」と呼び、中心軸を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0012】
図1は、本発明の例示的な一の実施形態に係る送風ファン1の断面図である。送風ファン1は、遠心ファンであり、例えば、ノート型パーソナルコンピュータ内の電子部品の冷却に利用される。送風ファン1は、インペラ11と、モータ12と、ハウジング13と、を備える。インペラ11は、モータ12の回転部22から径方向外方に延びる。インペラ11は、モータ12により中心軸J1を中心に回転する。
【0013】
インペラ11は樹脂製であり、回転部22に固定される翼支持部111と、複数の翼112と、を有する。翼支持部111は、モータ12と連結するためのロータ固定部1111と、複数の翼112と連結するための翼固定部1112と、で構成されている。ロータ固定部1111は、中心軸J1方向に沿って伸びる円筒状である。翼固定部1112は、ロータ固定部1111の外周面における下方領域から径方向外方に向けて延びる略円盤状である。ロータ固定部1111の内周面は、モータ12の回転部22に固定される。複数の翼112は、中心軸J1を中心として翼支持部111の上面に配置され、外周面から径方向外方に向かって延びている。翼支持部111および複数の翼112は樹脂の射出成型により一繋がりの部材として構成される。
【0014】
送風ファン1では、モータ12によりインペラ11が中心軸J1を中心として回転されることにより、エアの流れが発生する。
【0015】
ハウジング13は、モータ12およびインペラ11を収納する。ハウジング13は、上プレート部131と、取付板132(以下、下プレート部132と呼ぶ。)と、側壁部133と、を有する。上プレート部131は金属にて形成された、略板状の部材である。上プレート部131は、モータ12およびインペラ11の上方に位置する。上プレート部131は、上下に貫通する1つの吸気口151を有する。吸気口151は、軸方向においてインペラ11およびモータ12に重なる。吸気口151は、中心軸J1と重なる略円形である。
【0016】
下プレート部132は、金属板のプレス加工にて形成された、略板状の部材である。下プレート部132は、モータ12およびインペラ11の下方に位置する。側壁部133は、樹脂にて形成される。側壁部133は、インペラ11の側方を覆う。側壁部133の上端部には、上プレート部131がネジ止め等により固定される。側壁部133の下端部は、下プレート部132とインサート成型により締結される。側壁部133は、中心軸J1方向から見て、略U字状であり、径方向外方に向けて開口する送風口153を有する。より詳しく説明すると、側壁部133の開口の上下には上プレート部131、下プレート部132のそれぞれが配置されており、上プレート部131と、下プレート部132と、側壁部133の開口によって囲まれた部位が送風口153である。側壁部133はインサート成型以外の手法により設けられてよく、樹脂以外の材料により形成されてもよい。また側壁部133に対する上プレート部131および下プレート部132の固定方法に関しては、上記に限定されない。
【0017】
図2は、モータ近傍の断面図である。モータ12は、アウターロータ型である。モータ12は、静止部21と、回転部22と、を備える。静止部21は、軸受部23と、ステータ210と、回路基板25と、ブッシュ26と、を有する。
【0018】
軸受部23は、ステータ210よりも径方向内側に配置される。軸受部23は、スリーブ231と、軸受ハウジング232と、を有する。スリーブ231は、中心軸J1を中心とする略円筒状である。スリーブ231は、金属の焼結体である。スリーブ231には、潤滑油が含浸されている。スリーブ231の外周面には軸方向に延びる複数の圧力調整用の循環溝275が設けられる。複数の循環溝275は、周方向に等間隔で配置される。軸受ハウジング232は、ハウジング円筒部241とキャップ242とにより構成される。ハウジング円筒部241は、中心軸J1を中心とする略円筒状である。スリーブ231は、接着剤によりハウジング円筒部241の内周面に固定される。軸受ハウジング232は、金属にて形成される。キャップ242は、ハウジング円筒部241の下端部に固定される。キャップ242は、ハウジング円筒部241の下部を閉塞する。スリーブ231は、接着剤以外で固定されてもよく、例えば、圧入によりハウジング円筒部241の内周面に固定されてもよい。
【0019】
ブッシュ26は略環状の部材である。ブッシュ26は、金属部材を切削加工することにより形成される。ブッシュ26の内周面は、軸受部23の外周面における下方領域に固定される。また、ブッシュ26の外周面は、下プレート部132の孔部に固定される。
【0020】
ステータ210は、中心軸J1を中心とする略環状の部材である。ステータ210は、ステータコア211と、ステータコア211上に構成された複数のコイル212と、を有する。ステータコア211は、薄板状の珪素鋼板が積層されて形成される。ステータコア211は、略円環状のコアバック211aと、コアバック211aから径方向外方に向けて突出した複数のティース211bと、を有する。複数のコイル212は、複数のティース211bのそれぞれに導線が券回されることで構成される。ステータ210の下方には、回路基板25が配置される。コイル212の引出線が、回路基板25に電気的に接続される。回路基板25は、FPC(Flexible Print Circuitboad)である。
【0021】
回転部22は、シャフト221と、スラストプレート224と、ロータホルダ222と、ロータマグネット223と、を有する。シャフト22は、中心軸J1を中心として配置される。
【0022】
ロータホルダ222は、中心軸J1を中心とする有蓋略円筒状である。ロータホルダ222は、筒部222aと、蓋部222cと、を有する。蓋部222cは、シャフト41の上端部から径方向外方に広がる。蓋部222cの下面は、シャフトを囲む略環状の面である。蓋部222cの下面は、スリーブ231の上面231bおよび軸受ハウジング232の上面と軸方向に対向する。以下、蓋部222cにおける、スリーブ231の上面231bおよび軸受ハウジング232の上面と軸方向に対向する部位を「第1スラスト部222d」という。
【0023】
スラストプレート224は、径方向外方に広がる略円盤状の部位を有する。スラストプレート224は、シャフト221の下端部に固定される。スラストプレート224の上面は、シャフト221を囲む略環状の面である。スラストプレート224の上面は、スリーブ231の下面231cと軸方向に対向する。以下、スラストプレート224を「第2スラスト部224」という。また、第2スラスト部224の下面は、軸受ハウジング232のキャップ242の上面と対向する。シャフト221は、スリーブ231に挿入される。スラストプレート224は、シャフト221と一繋がりの部材として構成されてもよい。
【0024】
シャフト221は、ロータホルダ222と一繋がりの部材として構成される。シャフト221およびロータホルダ222は、金属部材を切削加工することにより形成される。すなわち、蓋部222cとシャフト221とは連続している。シャフト221は、ロータホルダ222と別部材により構成されてもよい。その場合、ロータホルダ222の蓋部222cには、シャフト221の上端部が固定される。また、ロータホルダ222の蓋部222cの径方向外側の端部から軸方向下側に延びる筒部222aの内周面には、ロータマグネット223が固定される。
【0025】
ロータホルダ222は、蓋部222cの下面から下側に延びる略環状の環状筒部222bを、さらに有する。径方向において、第1スラスト部222dは、環状筒部222bよりも内側に位置する。環状筒部222bはステータ210よりも径方向内側に位置する。環状筒部222bの内周面は、軸受ハウジング232の上部の外周面と径方向に対向する。環状筒部222bの内周面と、軸受ハウジング232との間にシール間隙35が構成される。シール間隙35には潤滑油が介在する。
【0026】
ロータ固定部1112の内周面は、ロータホルダ222の筒部222aの外周面に固定される。すなわち、シャフト221の上端部は、ロータホルダ222を介してインペラ11に固定される。インペラ11は、ロータホルダ222と一繋がりの部材として構成されてもよい。その場合は、シャフト221の上端部は、インペラ11に直接的に固定される。
【0027】
ロータマグネット223は、中心軸J1を中心とする略円筒状である。既述のように、ロータマグネット223は、筒部222aの内周面に固定される。ロータマグネット223は、ステータ210の径方向外側に配置される。
【0028】
図3は、スリーブ231の断面図である。スリーブ231の内周面231aの上部および下部には、複数のヘリングボーン形状の溝で構成される第1ラジアル動圧溝列271および第2ラジアル動圧溝列272が設けられる。また、図4は、スリーブ231の上面図である。スリーブ231の上面231bには複数のスパイラル形状の溝で構成される第1スラスト動圧溝列273が設けられる。また、図5は、スリーブ231の底面図である。スリーブ231の下面231cにはスパイラル形状の第2スラスト動圧溝列274が設けられる。
【0029】
図6は、軸受部23近傍の断面図である。シャフト221の外周面と、スリーブ231の内周面231aとの間に、ラジアル間隙が構成される。ラジアル間隙は、第1ラジアル間隙311と、第1ラジアル間隙よりも下方に位置する第2ラジアル間隙312と、を有する。第1ラジアル間隙311は、シャフト221の外周面と、スリーブ231の内周面231aの第1ラジアル動圧溝列271が設けられる部位との間に構成される。第1ラジアル間隙311には潤滑油が介在する。また、第2ラジアル間隙312は、シャフトの外周面と、スリーブ231の内周面231aの第2ラジアル動圧溝列272が設けられる部位との間に構成される。第2ラジアル間隙312には潤滑油が介在する。第1ラジアル間隙311および第2ラジアル間隙312は、潤滑油の流体動圧を発生させるラジアル動圧軸受部31を構成する。
【0030】
スリーブ231の上面231bの第1スラスト動圧溝列273が設けられる部位と、ロータホルダ222の第1スラスト部222dの下面との間に、第1スラスト間隙34が構成される。第1スラスト間隙34には潤滑油が介在される。第1スラスト間隙34は、潤滑油の流体動圧を発生させるスラスト動圧軸受部を構成する。以下、第1スラスト間隙34を「上スラスト動圧軸受部34」と呼ぶ。
【0031】
スリーブ231の下面231cの第2スラスト動圧溝列274が設けられる部位と、第2スラスト部224の上面との間に、第2スラスト間隙32が構成される。第2スラスト間隙32には潤滑油が介在される。第2スラスト間隙32は、潤滑油の流体動圧を発生させるスラスト動圧軸受部を構成する。以下、第2スラスト間隙32を「下スラスト動圧軸受部32」と呼ぶ。上スラスト動圧軸受部34と下スラスト動圧軸受部32とは、循環溝275により連通している。
【0032】
軸受ハウジング232のキャップ242の上面と、スラストプレートの下面との間に、第3スラスト間隙33が構成される。
【0033】
モータ12ではシール間隙35、上スラスト動圧軸受部34、ラジアル動圧軸受部31、下スラスト動圧軸受部32および第3スラスト間隙33が互いに繋がった1つの袋構造をなし、袋構造に潤滑油が連続して存在する。袋構造では、図6に示すシール間隙35のみに潤滑油の界面が形成される。回転部22は、軸受部23により、中心軸J1を中心に、静止部21に対して回転可能に支持される。
【0034】
モータ12では、ステータ210に電力が供給されることにより、ロータマグネット223とステータ210との間に、中心軸J1を中心とするトルクが発生する。これにより、回転部22およびインペラ11が、中心軸J1を中心として回転する。インペラ11の回転により、吸気口151からハウジング13内へとエアが吸引され、送風口153から送出される。
【0035】
図7には、送風ファン1を軸方向上方から見た平面図が示されている。吸気口151は、J1を中心とする円形状である。吸気口151の形状は、送風ファン1に求められる特性に応じて、変更可能であり、円形状には限定されない。また、吸気口151の中心が中心軸J1に対して偏心していても良い。
【0036】
複数の翼112の内端は、中心軸J1方向から見て吸気口151に露出している。これにより、インペラ11が回転した際に、吸気口151から効率よく空気が吸気される。また、ロータ固定部1111は、中心軸J1方向から見て吸気口151に露出している。吸気口151の内縁とロータ固定部1111の外周面との径方向間隙が大きければ、インペラ11が回転した際に吸気量が多く、静圧が小さい。吸気口151の内縁とロータ固定部1111の外周面との径方向間隙が小さければ、吸気量が少なくなり、静圧が高くなる。つまり、吸気量と静圧とはトレードオフの関係になる。
【0037】
図8には、送風ファン1を軸方向下方から見た底面図である。下プレート部132には、中心軸J1を中心とする略円弧状の第一の貫通孔154と、第二の貫通孔155が形成されている。第一の貫通孔154は、中心軸J1方向から見てバランス修正部1113と重なっている。バランス修正部1113については後述する。
【0038】
図9は、本発明にかかるバランス修正部1113の第1実施形態を示した断面図である。ロータ固定部1111と翼固定部1112との間には、中心軸J1方向上方に向けて窪む、環状凹部で構成されたバランス修正部1113が形成されている。また、上述のとおり第一の貫通孔154とバランス修正部1113との周方向位置は略同じである。バランス修正部1113の径方向の内端から外端までの全域が第一貫通孔154に露出されている。
【0039】
インペラ11および回転体22は、それぞれの重心が、径方向において中心軸J1と一致しておらず、モータ2が回転した際に中心軸J1の周りを重心が回転することになり、振動が発生してしまう。そこで、回転体22にインペラを組み合わせた後に径方向において重心位置が中心軸J1と可能な限り重なるようにアンバランス修正を行うのが望ましい。
【0040】
タングステン等の比重の大きな金属が含有された接着剤であるバランス部材1114をバランス修正部に貼り付けることによって、バランス修正が行われる。効率よくバランス修正を行うには、少量のバランス部材1114を貼り付けることでバランス修正が完了させる必要がある。よって、可能な限りインペラ11の径方向外方にアンバランス修正部材1114を貼り付けたい。上記で示した位置にバランス修正部113を配置することで、バランス部材1114を貼り付けるスペースを稼ぎつつ、可能な限り径方向外側に形成することができる。
【0041】
このようなバランス修正部1113の形状にすることにより、送風ファン1を組み立てた後で、第一の貫通孔154から治具を挿入し、バランス修正部材1114を塗布することが可能である。送風ファン1は、回転体の組立工程において、同軸度のズレ等が生じる。よって、送風ファン1を構成する部材ごとにバランス調整しながら組み立てるのではなく、送風ファン1として組み立てた後にバランス調整するので、工程数を削減できる共に、回転バランス精度が高い送風ファン1を提供可能である。
【0042】
本実施形態によれば、軸受として精度の高いスラスト動圧軸受が採用されているため、軸方向の移動量が少ない。よって、上プレート部131、下プレート部132に可能な限りインペラ11を近づけることができる。よって、バランス修正部1113を下プレート部132に近づけることができる。
【0043】
バランス修正完了後、軸方向下方から下プレート部132の底面にシール部材14を貼付し、空気の流出を防ぐと共に静圧を維持している。
【0044】
回路基板25は、下プレート部131の上側において、中心軸J1を中心として第1の貫通孔154が配置される方向とは異なる方向に配置される。そして、第2の貫通孔155を通過して下プレート部131の下側に引き回され、第2下プレート部131の径方向外方に引き出される。回路基板25は、複数のティース211bに券回されたコイル212の引出線が半田付けしやすいようにステータ211の周方向に沿って延びている。これにより、回路基板25が邪魔になることなく、第1の貫通孔154からバランス修正部1113にバランス修正部材1114を貼り付けることができる。
【0045】
図10は、バランス修正部における、第2の実施形態を示した断面図である。本実施形態のバランス修正部1113aは、中心軸方向下側に向けて突出する環状の凸部形状となっている。このバランス修正部1113aにクリップタイプのバランス修正部材1114aが凸部の径方向外側面と内側面を挟み込まれる。この実施形態を採用することにより、バランス修正部材1114aの固定方法が簡素化されるため、バランス修正工数(タクト)が削減される。
【0046】
図11は、バランス修正部における、第3の実施形態を示した断面図である。本実施形態のバランス修正部1113bは、中心軸方向上側に向けて窪む環状の凹部と、凹部の径方向外方に位置し中心軸方向下側に向けて突出する環状の凸部と、を有している。言い換えれば、図9で示した第1実施形態に加えて、中心軸方向下側に向けて突出する環状の凸部を備えている。この実施形態を採用することにより、塗布するバランス修正部材1114が径方向外方へ流出することを防止可能であると共に、凸部が有することで、バランス修正部1113bが下プレート部131に近い位置に配置可能である。変形例としては、凸部の内側に配置される凹部は必須ではなく、凸部のみが配置されていてもよい。
【0047】
図12は、バランス修正部における、第4の実施形態を示した断面図である。本実施形態のバランス修正部1113cの径方向位置は、ロータホルダ222と翼支持部111との間に位置される。換言すれば、ロータホルダ222の外周面をバランス修正部1113cの一部とする。これにより、バランス修正部1113の加工が簡単になるという利点を有する。
【0048】
本発明によれば、送風ファンが完成した状態でバランス修正を行うことができるため、振動の低減効果をえることができる。実施形態では、スラスト流体動圧軸受に関して説明をしているが、より単純な構造である、すべり軸受が採用された送風ファンに適用してもよい。また、スラスト流体動圧軸受においては、組み立て手順が複雑であるが、組み立てて順に影響を受けることなく、バランス修正を行うことができる。以上、上記実施形態における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせられてよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、回転体のアンバランスを修正するためのファンモータとして利用することできる。
【符号の説明】
【0050】
J1 中心軸
1 送風ファン
11 インペラ
12 モータ
13 ハウジング
14 シール部材
21 静止部
22 回転部
23 軸受部
25 回路基板
26 ブッシュ
31 ラジアル動圧軸受部
32 第2スラスト間隙(下スラスト動圧軸受部)
33 第3スラスト間隙
34 第1スラスト間隙(上スラスト動圧軸受部)
35 シール間隙
111 カップ(翼支持部)
112 翼
131 上プレート部
132 下プレート部
133 側壁部
151 吸気口
153 送風口
154 第一の貫通孔
155 第二の貫通孔
210 ステータ
211 ステータコア
212 コイル
221 シャフト
222 ロータホルダ
222a 筒部
222b 環状筒部
222c 蓋部
222d 第1スラスト部
223 ロータマグネット
224 スラストプレート(第2スラスト部)
231 スリーブ
232 軸受ハウジング
241 ハウジング円筒部
242 キャップ部
271 第1ラジアル動圧溝列
272 第2ラジアル動圧溝列
273 第1スラスト動圧溝列
274 第2スラスト動圧溝列
275 循環溝
1111 ロータ固定部
1112 翼固定部
1113 バランス調整部
1114 バランス調整用の樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転部と静止部と、で構成されたモータと、
複数の翼と、前記複数の翼を固定する翼支持部と、で構成されると共に、前記モータを覆うインペラと、
前記複数の翼の下方に位置する下プレート部と、前記複数の翼の側方を覆う側壁部と、前記複数の翼の上方に位置し、中心軸方向に貫通する吸気口を有する上プレート部と、で構成されたハウジングと、
を備えたファンであって、
前記翼支持部の下面には、周方向に延びるバランス修正部を有しており、
前記下プレート部には、前記中心軸方向において前記バランス修正部と重なる位置に、前記バランス修正部の一部が前記下プレート部の下方から目視可能な貫通孔が備えられている。
【請求項2】
前記バランス修正部は、前記中心軸方向上側に向けて窪む環状の凹部である請求項1に記載のファン。
【請求項3】
前記バランス修正部は、前記中心軸方向下側に向けて突出する環状の凸部である請求項1に記載のファン。
【請求項4】
前記貫通孔は、円弧状である請求項1から3のいずれかに記載のファン。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のファンは、
ステータに券回された巻線の端末が結線される回路基板を有しており、前記回路基板が前記中心軸を基準として、前記貫通孔が形成される方向とは異なる方向に伸びている。
【請求項6】
前記翼支持部は、
前記中心軸方向に伸び前記ロータホルダの外周面に固定されるロータ固定部と、
前記ロータ固定部の下端から径方向外方に伸びる翼固定部と、
で構成されており、
前記バランス修正部は、前記ロータ固定部と前記翼固定部との間に配置される請求項1から5のいずれかに記載のファン。
【請求項7】
前記バランス修正部は、前記ロータホルダと前記翼支持部との間に配置される請求
項2に記載のファン。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載のファンは、
中心軸を中心として回動可能なシャフトと、
前記シャフトの下端部に固定されたスラストプレートと、
筒部と、環状筒部と、蓋部と、で構成され、前記シャフトの上端部に固定されたロータホルダと、
前記ロータホルダの下面に対向し、スリーブと、キャップ部とを備えた軸受ハウジングと、を有した軸受部と、
を備えており、
前記環状筒部の内周面と前記軸受ハウジングとの間にシール間隙と、
前記スリーブの上面と前記蓋部の下面との間に第1スラスト間隙と、
前記スリーブの下面と前記スラストプレートの上面との間に第2スラスト間隙がと、
前記スリーブと前記軸受ハウジングとの間で、潤滑油の流体動圧を発生させるラジアル動圧軸受部と、
前記キャップ部の上面と、前記スラストプレートの下面との間に形成された第3スラスト間隙と、
を有し、
前記シール間隙、前記第1スラスト間隙、前記ラジアル動圧軸受部、前記第2スラスト間隙および前記第3スラスト間隙が互いに繋がった1つの袋構造をなし、該袋構造に潤滑油が連続して存在し、前記シール間隙のみに潤滑油の界面が形成される。
【請求項9】
前記軸受ハウジングの下端の開口部が前記キャップによって塞がれている請求項8に記載のファン。
【請求項10】
前記下プレート部の下方に、シール部材が貼り付けられることで、前記貫通孔が塞がれる請求項1から9のいずれかに記載のファン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−15038(P2013−15038A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146729(P2011−146729)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000232302)日本電産株式会社 (697)
【Fターム(参考)】