説明

フィルム組成物

【課題】口腔フィルム組成物の溶解速度を制御する。
【解決手段】少なくとも二つの水溶性層を重ね合わせた多層状フィルムを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この一部継続出願は、本明細書に十分に示されているように、その全体が本明細書に組み入れられる、2004年3月3日に提出された米国特許出願第10/792,066号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、一般に、局所的及び/又は全身的活性剤の送逹における使用のためのフィルム組成物、より特定的には、歯及び歯肉へ口腔剤を送逹するための、遅溶解性又は遅崩壊性細片(strip)に関する。
【背景技術】
【0003】
歯の表面及び/又は口の口腔組織へ、口腔ケア活性剤を送逹するための送逹デバイスはよく知られている。これらのデバイスは典型的には、接着性表面及び適した口腔ケア活性剤を含んでなる可動性の口腔細片又はフィルムの形をとる。
【0004】
最も注目すべきこうしたフィルム組成物は、現在入手可能な医師の処方不要の歯ホワイトニングシステムに関し、米国特許第5,894,017号、第5,891,453号及び第6,045,811号に記載されているような、その表面に歯ホワイトニング組成物が適用されている薄い細片又はプラスチックフィルムを含んでなるホワイトニング(whitening)システムが含まれる。
【0005】
しかしながら、こうしたフィルム組成物の問題点は、フィルム組成物の溶解速度に関し、より具体的には、こうしたフィルム組成物の溶解速度を制御することに関している。理想的には、フィルム組成物は長期間口中に存在すべきではないが、口腔ケア活性剤が、その活性を発揮する時間を持てるように十分に遅く溶解又は崩壊すべきである。さらに、フィルム溶解速度を制御することは、障壁保護のような他のフィルム利点の改良も容易にする。
【発明の開示】
【0006】
本発明者は、多層状フィルムを形成している個々の水溶性層を操作することにより、多層状フィルムの溶解速度の改良された制御が達成されることを見いだした。具体的には、本発明者は、多層状フィルムの溶解速度が、重ね合わされた少なくとも二つの水溶性層により制御することが可能であることを発見した。これらの重ね合わされた層の成分はお互いに相互作用して、より低い溶解又は崩壊速度を有する新たな成分を形成する。少なくとも二つの層は、幾つかの方法により、例えば、単に反対に荷電された水溶性ポリマーを使用してそれぞれの層を生成することにより、形成することができる。また、少なくとも一つの中性的に荷電している水溶性ポリマーに少なくとも一つの多価カチオンイオン源を加えて一つの層を形成させ、そして陰性に荷電した水溶性ポリマーを使用して別の層を形成させることにより、少なくとも二つの層を形成させることもできる。相互作用性層は、また、アニオン性か又はカチオン性界面活性剤及び水溶性ポリマーを含んでなる水溶性層を、中性的に荷電したポリマー及び水溶性塩を含んでなる水溶性層と重ね合わせることによっても形成することが可能である。
【0007】
従って、本発明の一つの側面は、口腔において遅溶解性フィルム生成物を提供することである。
【0008】
本発明の別の側面は、複数の相互作用性水溶性層であって、それらが合わされたときに、多層状フィルム生成物であって、それを形成するのに使用した個々のフィルム層のいずれよりも遅い溶解速度を有する多層状フィルム生成物、を生じる、相互作用水溶性層を含んでなるフィルム生成物を提供することである。
【0009】
本発明のさらに別の側面は、局所的又は全身的活性剤を送逹するための遅溶解性フィルム生成物を提供することである。
【0010】
本発明のさらに一つの別の側面は、局所的又は全身的活性剤を送逹するためのフィルム生成物を提供することであり、そのフィルムは、水性環境において、1分〜12時間以内に、場合により3分〜6時間以内に、又は、場合により10分〜1時間以内に溶解する又は崩壊する。
【0011】
本発明のさらに一つの側面は、経費を減少させ、製造の安全性を改善する、有機溶媒を必要としないような、両方の層における水溶性材料の使用である。
【発明の要旨】
【0012】
一つの態様において、本発明は:
a)i)中性水溶性ポリマー;及び
ii)多価カチオンイオン源;
を含んでなる第一の水溶性層;及び
b)アニオン性水溶性ポリマーを含んでなる第二の水溶性層;
を含んでなる多層独立型フィルム組成物に関し、その多層フィルム組成物は、水中において、個々の水溶性層のいずれよりも遅い速度で溶解又は分散する。
【0013】
別の態様において、本発明は:
a)カチオン性ポリマーを含んでなる第一の水溶性層;及び
b)アニオン性ポリマーを含んでなる第二の水溶性層;
を含んでなる多層独立型フィルム組成物に関し、その多層フィルム組成物は、水中において、個々の水溶性層のいずれよりも遅い速度で溶解又は分散する。
【0014】
さらに別の態様において、本発明は:
a)i)中性水溶性ポリマー;及び
ii)アニオン性界面活性剤;
を含んでなる第一の水溶性層;及び
b)カチオン性水溶性ポリマーを含んでなる第二の水溶性層;
を含んでなる多層独立型フィルム組成物に関し、その多層フィルム組成物は、水中において、個々の水溶性層のいずれよりも遅い速度で溶解又は分散する。
【0015】
さらに別の態様において、本発明は:
a)i)中性水溶性ポリマー;及び
ii)カチオン性界面活性剤;
を含んでなる第一の水溶性層;及び
b)アニオン性水溶性ポリマーを含んでなる第二の水溶性層;
を含んでなる多層独立型フィルム組成物に関し、その多層フィルム組成物は、水中において、個々の水溶性層のいずれよりも遅い速度で溶解又は分散する。
【0016】
さらに一つの他の態様において、本発明は:
a)i)中性水溶性ポリマー;及び
ii)アニオン性又はカチオン性界面活性剤;
を含んでなる第一の水溶性層;及び
b)i)中性水溶性ポリマー;
ii)水溶性塩
を含んでなる第二の水溶性層;
を含んでなる多層独立型フィルム組成物に関し、その多層フィルム組成物は、水中において、個々の水溶性層のいずれよりも遅い速度で溶解又は分散する。
【0017】
製造及び使用する方法も開示されている。
【発明の詳細な説明】
【0018】
本発明のフィルム組成物は、必須の要素及び本明細書に記載した本発明の限定、追加の又は任意の成分のいずれかを含んでなり、それらから成る、またはそれらから本質的に成ることが可能である。
【0019】
すべてのパーセンテージ、部及び比は、明記しない限り、本発明の湿潤フィルム組成物の総重量に基づいている。リストされた成分に関する、すべてのこうした重量は、活性レベルに基づいており、そしてそれ故、明記しない限り、商業的に入手可能な材料に含まれているであろう坦体又は副生成物を含んでいない。
【0020】
本明細書において使用する、用語「安全な及び有効な量」とは、独立して本明細書に開示されている利点を含む、例えば、歯ホワイトニング、抗菌及び/又は鎮痛性利点のような正の利点を有意に誘導するためには十分であるが、しかし重大な副作用を避けるためには十分に低い、即ち、当業者の健全な判断の範囲内において、合理的な対危険便益比を提供する、局所的又は全身的活性剤のような、化合物又は組成物の量を意味する。
【0021】
本明細書において使用する、用語「接着剤」とは、局所適用又は投与の部位へ固着できるいずれかの材料又は組成物を意味し、限定されるわけではないが、粘膜付着、感圧接着(圧力の適用により接着する)、給湿(moistenable)接着(水の存在下で接着)及び急速又は粘着型接着(表面との接触直後に接着)が含まれる。
【0022】
本明細書において使用する、句「荷電された存在物」は、限定されるわけではないが、アニオン性又はカチオン性ポリマー、アニオン性又はカチオン性界面活性剤、水溶性塩、多価カチオン源、及びそれらの混合物を含む。
【0023】
本明細書において使用する、用語「外来物質」とは、ほこり、感染性微生物などを意味する。
【0024】
場合により、本発明のフィルム組成物は透明である。本明細書において定義する、用語「透明」とは、裸眼で観察して、透明から半透明の範囲である。
【0025】
必須の及び任意の成分を含む、本発明のフィルム組成物は、以下に詳細に記載されている。
【0026】
水溶性ポリマー
考えられた特定の態様に依存し、非イオン性又は荷電中性ポリマー、カチオン性又はアニオン性水溶性ポリマーを、本発明のフィルム組成物の形成に使用することが可能である。
【0027】
適した水溶性ポリマーの例には、限定されるわけではないが、以下のものが含まれる;
メチルセルロースのようなアルキルセルロース、ヒドロキシブチルセルロース、ヒドロキシルエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースのようなヒドロキシアルキルセルロース;ヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなヒドロキシアルキルアルキルセルロース;カルボキシメチルセルロースのようなカルボキシアルキルセルロース;カルボキシメチルセルロースナトリウムのようなカルボキシアルキルセルロースのアルカリ金属塩;カルボキシメチルエチルセルロースのようなカルボキシアルキルアルキルセルロース;カルボキシアルキルセルロースエステル;デンプン;カルボキシメチルアミロペクチンナトリウムのようなペクチン;キトサンのようなキチン誘導体;ポリクオタニウム(polyquaternium)−10、ポリクオタニウム−16、ポリクオタニウム−28、ポリクオタニウム−44、ポリクオタニウム−46、ポリクオタニウム−55、ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドコポリマー、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートコポリマーのようなカチオン性ポリマー;アルギン酸及びそれらのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩、カラジーナン、ガラクトマンナン、トラガカント、寒天、アラビアガム、グァーガム及びキサンタンガムのようなポリサッカリド;ポリアクリル酸及びそれらの塩;メタクリレート−ビニルアルコールコポリマーを含む、ポリメタクリル酸及びそれらの塩;ポリビニルアルコール;ポリビニルアルコールコポリマー又は誘導体;酢酸ビニル−ビニルアルコールコポリマー;ポリビニルピロリドン;加水分解ポリビニルピロリドン;ポリアクリルアミド;ポリ(メタクリルアミド);デキストラン;ポリエチレングリコール及びポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンブロックコポリマー、及びそれらの混合物。
【0028】
非イオン性ポリマー
非イオン性水溶性ポリマーは、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー又は誘導体、酢酸ビニル−ビニルアルコールコポリマー、ポリビニルピロリドン、加水分解ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリ(メタクリルアミド)、デキストラン、ポリエチレングリコール及びポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンブロックコポリマー、及びそれらの混合物である。
【0029】
特定の態様において、中性又は非イオン性水溶性ポリマーには、限定されるわけではないが、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー(PVP/VA)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、及びそれらの混合物が含まれる。
【0030】
適したHEC、HPC、HPMC及びMCポリマーは、Hercules, Wilmington, DE により供給されている。適したPVP及びPVP/VAポリマーは、International Specialties Products (ISP), Wayne, NJ. により供給されている。適したPVAポリマーは、DuPont, Wilmington, DE. により供給されている。そして適したPEGポリマーは、BASF, Mount Olive, NJ. により供給されている。
【0031】
本発明のフィルム組成物中に取り込まれた場合、中性又は非イオン性水溶性ポリマーは、湿潤フィルム組成物の重量で、約0.1%〜約50%、場合により約0.2%〜約40%、場合により約0.5%〜約30%の濃度で存在する。
【0032】
アニオン性ポリマー
本発明に従ったアニオン性水溶性ポリマーには、限定されるわけではないが、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロースナトリウム、ペクチン、カラジーナン、カルボキシメチルグァーガム、アルギン酸ナトリウム、アニオン性ポリアクリルアミドコポリマー、アルカリ可溶性ラテックス、カルボキシメチルメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシプロピルグァー、及び他のアニオン性炭水化物誘導体、ならびにこれらのポリマーの一つまたはそれより多くを含んでいる混合物が含まれる。他の適したアニオン性ポリマーには、ポリマレイン酸、ポリスルホネート及びこれらの混合物が含まれる。Gantrezのような、追加のアニオン性ポリマー性ポリカルボキシレートは、本明細書において、その参照文献に引用されている全ての参照文献を含んで、その全体が援用される、1991年8月6日に発行された、Gaffar et alによる米国特許第5,037,637号に記載されている。特定の態様において、アニオン性ポリマーは、カルボキシビニルポリマーである。カルボキシビニルポリマーは、その全体が本明細書において援用される、1957年7月2日に発行された、Brown による米国特許第2,798,053号に記載されている。カルボキシビニルポリマーは、Carbopol(登録商標)934、940、941、946及び956として、B. F. Goodrich Company により提供されている。これらのアニオン性ポリマーの混合物もまた、本明細書において使用することが可能である。
【0033】
アニオン性水溶性の第一のイオン性ポリマーとして、又はそれらの成分として使用することができる商業的に入手可能な製品には、CMC−9M31(カルボキシメチルセルロースナトリウム;Hercules Incorporated )、CMHC420H(カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース;Hercules Incorporated )、PectinLM104AS−Z(アニオン性ペクチン;Hercules Incorporated )、GelcarinGP911商標カラジーナン(FMC Biopolymer, Philadelphia, PA. )、Galactosol(カルボキシメチルグァーガム、Hercules Incorporated )、AlcogumL−29(アルカリ可溶性ラテックス;Alco Products )、KelginMV(アルギン酸ナトリウム;Kelco, San Diego )、Reten215(アニオン性ポリアクリルアミド;Hercules Incorporated )又はそれらの混合物が含まれる。
【0034】
特定の態様において、アニオン性ポリマーには、カルボキシメチルセルロースナトリウム(Hercules, Wilmington, DE により供給されている)、ペクチン(Hercules, Wilmington, DE により供給されている)カラジーナン、アルギン酸ナトリウム(Keltone HVCR, ISP Alginates, San Diego, CA. により供給されている)、ポリアクリル酸ナトリウム(Nihon Junyaku, Tokio, Japan により供給されている)、ポリメタクリル酸ナトリウム(Darvan #7 として供給されている、R.T. Vanderbilt, Norwalk,CT. )、マレイン酸ナトリウム/メチルビニルエーテルコポリマー(Gantrez S-97 として供給されている、ISP, Wayne, NJ )、ならびにこれらのポリマーの一つまたはそれより多くを含んでいる混合物が含まれる。
【0035】
本発明のフィルム組成物中に取り込まれた場合、アニオン性水溶性ポリマーは、湿潤フィルム組成物の重量で、約0.01%〜約50%、場合により約0.1%〜約40%、そして場合により約0.4%〜約30%の濃度で存在する。
【0036】
カチオン性ポリマー
適した水溶性カチオン性ポリマーは、例えば、例えば、PolymerJR400(登録商標)の商品名でAmerchol から入手可能な四級化ヒドロキシエチルセルロースのようなカチオン性セルロース誘導体;カチオン性デンプン;ジアリルアンモニウム塩とアクリルアミドのコポリマー;例えば、Luviquat(登録商標)(BASF )のような四級化ビニルピロリドン/ビニルイミダゾールポリマー;ポリグリコールとアミンの縮合生成物;例えば、ラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン(Lamequat(登録商標)L、Grunau GmbH )のような四級化コラーゲンポリペプチド;四級化コムギポリペプチド;ポリエチレンイミン;例えば、Amidomethiconeのようなカチオン性シリコンポリマー;アジピン酸とジメチルアミノヒドロキシプロピルジエチレントリアミンのコポリマー(Cartaretine(登録商標)Sandoz AG );ポリアクリルアミドポリマー及びコポリマー;アクリル酸とジメチルジアリルアンモニウムクロリドのコポリマー(Merquat(登録商標)550、Chemviron );例えば、FR−A 2 252 840に記載されているようなポリアミノポリアミド;エピクロロヒドリン/ジメチルアミンポリマー(EPI−DMA)又は、ポリアミンとジカルボン酸との反応により得られたポリアミノアミドのエピハロヒドリン反応生成物及びそれらの架橋水溶性ポリマー;ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)及びDADMAC/アクリルアミドコポリマーのようなDADMACのポリマー;例えば、四級化キトサンのようなカチオン性キチン誘導体、場合により、ジハロアルキル(例えば、ジブロモブタン)とビス−ジアルキルアミン(例えば、ビス−ジメチルアミノ−1,3−プロパン)の微結晶性販売縮合生成物、例えば、Celanese, USA のJaguar(登録商標)CBS、Jaguar(登録商標)C−17、Jaguar(登録商標)C−16のようなカチオン性グァーガム、例えば、Miranol, USA のMirapol(登録商標)A−15、Mirapol(登録商標)AD−1、Mirapol(登録商標)AZ−1のような四級化アンモニウム塩ポリマー;イオネンポリマー、及びそれらの混合物である。
【0037】
本明細書において有用なイオネンポリマーの例には、限定されるわけではないが、両方が本明細書において援用される、米国特許第5,681,862及び5,575,993号、に示されているものが含まれる。さらに、その全体が本明細書において援用される、米国特許第5,256,252号に示されているポリマーもまた、本明細書において使用することが可能である。
【0038】
特定の態様において、カチオン性水溶性ポリマーには、限定されるわけではないが、キトサン(Protasan UP CL213として供給されている、FMC Biopolymer, Philadelphia, PA. )、ポリクオタニウム−10、ポリクオタニウム−11(ISP, Wayne, NJ )、ポリクオタニウム−16(BASF, Mount Olive, NJ )、ポリクオタニウム−24(Amerchol, Edison, NJ )、ポリクオタニウム−28(ISP, Wayne, NJ )、ポリクオタニウム−44(BASF, Mount Olive, NJ )、ポリクオタニウム−46(BASF, Mount Olive, NJ )、ポリビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドコポリマー(ISP, Wayne, NJ )、及びそれらの混合物が含まれる。
【0039】
本発明のフィルム組成物中に取り込まれた場合、カチオン性水溶性ポリマーは、湿潤フィルム組成物の重量で、約0.01%〜約50%、場合により約0.1%〜約40%、そして場合により約0.4%〜約30%の濃度で存在する。
【0040】
本発明の特定の態様に取り込まれた場合、アニオン性水溶性ポリマー対カチオン性水溶性ポリマーの比は、約20:1〜約1:20、場合により約5:1〜約1:5、場合により約2:1〜約1:2である。
【0041】
多価カチオンイオン源
本発明の組成物の特定の態様に組み入れられているのは、アルカリ土類金属、遷移金属又はそれらの混合物のような、少なくとも二つの正の電荷を有するカチオンイオンを提供するための多価カチオンイオン源である。
【0042】
有用な多価カチオンイオン源には、限定されるわけではないが、アルミニウム塩、クロム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、鉄塩、バリウム塩、マンガン塩、第一スズ塩、及びそれらの混合物のような水溶性塩が含まれる。具体的水溶性塩には、限定されるわけではないが、塩化第一スズ、 塩化マンガン、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、及びそれらの混合物が含まれる。
【0043】
本発明のフィルム組成物中に取り込まれた場合、カチオンイオン源は、湿潤フィルム組成物の重量で、約0.001%〜約10%、場合により約0.01%〜約5%、そして場合により約0.02%〜約2%の濃度で存在する。
【0044】
水溶性塩
本発明の組成物の特定の態様に組み入れられているのは、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、酢酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、それらの酸性塩、及びそれらの混合物のような、水溶性塩である。
【0045】
本発明のフィルム組成物中に取り込まれた場合、水溶性塩は、湿潤フィルム組成物の重量で、約0.001%〜約10%、場合により約0.01%〜約5%、そして場合により約0.02%〜約2%の濃度で存在する。
【0046】
アニオン性界面活性剤
本明細書において有用なアニオン性界面活性剤には、限定されるわけではないが、アルキル基中に8〜20の炭素原子を有するアルキル硫酸塩の水溶性塩(例えば、アルキル硫酸ナトリウム)、及び8〜20の炭素原子を有する脂肪酸の硫酸化モノグリセリドの水溶性塩が含まれる。ラウリル硫酸ナトリウム(Rhodia Inc, Cranbury, NJ )及びココナッツモノグリセリドスルホン酸ナトリウムは、この型のアニオン性界面活性剤の例である。他の適したアニオン性界面活性剤は、ラウリルサルコシン酸ナトリウムのようなサルコシン酸塩、ココイルタウリン酸ナトリウムのようなタウリン塩、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、ラウロイルイセチオン酸ナトリウム、ラウレスカルボン酸ナトリウム及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(Witco, Houston, TX )である。アニオン性界面活性剤の混合物もまた用いることが可能である。多くの適したアニオン性界面活性剤が、その全体が本明細書において援用される、Agricola, et al. による米国特許第3,959,458号に開示されている。
【0047】
特定の態様において、アニオン性界面活性剤には、限定されるわけではないが、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、C12〜15パレス−15スルホン酸ナトリウム(BASF, Mount Olive, NJ )、ココイルメチルタウリン酸ナトリウム(Croda, Parsippany, NJ )、ラウリルスルホコハク酸二ナトリウム(McIntire Group, University Park, IL )、及びそれらの混合物が含まれる。
【0048】
本発明のフィルム組成物中に取り込まれた場合、アニオン性界面活性剤は、湿潤フィルム組成物の重量で、約0.001%〜約10%、場合により約0.005%〜約5%、そして場合により約0.01%〜約2%の濃度で存在する。
【0049】
カチオン性界面活性剤
カチオン源として有用なカチオン性界面活性剤には、限定されるわけではないが、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、臭化セトリモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、ポリオキシエチレン及びココナッツアミン、及びそれらの混合物が含まれる。
【0050】
特定の態様において、カチオン性界面活性剤には、限定されるわけではないが、塩化セチルピリジニウム(Spectrum Laboratory Products ,Gardena, CA. )、塩化ベンザルコニウム(Lonza, Fairlawn, NJ )、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム(Mallinckrodt Baker, Philipsburg, NJ )、及びそれらの混合物が含まれる。
【0051】
本発明のフィルム組成物中に取り込まれた場合、カチオン性界面活性剤は、湿潤フィルム組成物の重量で、約0.001%〜約10%、場合により約0.005%〜約5%、そして場合により約0.01%〜約2%の濃度で存在する。
【0052】
フィルム組成物を製造する方法
多層フィルムを、しかるべく製造することが可能である。一つの態様において、中性又は非イオン性ポリマー、アニオン性又はカチオン性界面活性剤、及び所望の活性成分(適切な場合、補助剤と一緒に)を含んでいるポリマー溶液を作製する。この溶液を、ナイフ又はローラー応用又は噴霧プロセスにより、プラスチック又は金属で作製された不活性加工シート上に塗布する。乾燥後に、基礎層とも称される、最初のフィルムを生じる。次の工程において、中性又は非イオン性ポリマー、水溶性塩及び所望の活性成分(適切な場合、補助剤と一緒に)を含んでいる第二のポリマー溶液を作製する。第二のポリマー溶液を、基礎層の上で注型し、そして乾燥させると、三層複合物が生じる。理論に制限されることなく、複合層が、組み合わされて界面又は中間複合層を形成する個々の層よりも溶解し難いように、組み合わされた水溶性層間に界面又は中間複合層が形成され、全体として減少した溶解度そして対応する多層フィルムの増加した保持時間を生じると信じられている。さらに、理論に制限されることなく、各々の層により提供された荷電された存在物間の相互作用、そして場合により、界面活性剤及び/又はポリマー分子により提供された疎水性相互作用により、界面又は中間複合層が生じると信じられている。
【0053】
水溶性中性ポリマー、塩、界面活性剤の濃度及び比を操作することにより、二又は多層フィルムの溶解速度をより速く又はより遅く調整することが可能である。組み合わされている層の厚さは、生じたフィルムの溶解速度を操作するために使用することが可能である、追加のパラメーターである。
【0054】
場合により、一つまたはそれより多くの続いてのポリマー溶液層を、この三層複合物のどちらかに応用することが可能である。この場合において加えられた第三の層は、対称的構造を生じるように第二のものと同一の組成物を有することが可能であり、又は異なったものでもよい。
【0055】
別のやり方では、アニオン性又はカチオン性ポリマー及び所望の活性成分(適切な場合、補助剤と一緒に)を含んでいるポリマー溶液を作製する。この溶液を、ナイフ又はローラー応用又は噴霧プロセスにより、プラスチック又は金属で作製された不活性加工シート上に塗布する。乾燥後に、基礎層とも称される、最初のフィルムを生じる。次の工程において、基礎層中のポリマーと反対の電荷を有するポリマー(又は、カチオン性又はアニオン性界面活性剤と混合された中性的に荷電されたポリマー、又は基礎層中のポリマーの電荷と反対の電荷を有する多価イオン源)及び所望の活性成分(適切な場合、補助剤と一緒に)を含んでいる第二のポリマー溶液を作製する。第二のポリマー溶液を基礎層の上で注型し、そして乾燥させると、三層複合物が生じる。これと同一の様式で、カチオン性水溶性ポリマーを含んでいる水溶性層を、同様に、アニオン性表面活性剤と混合された、中性的に荷電された水溶性ポリマーから形成された水溶性層へ加えることが可能である。これと同一の様式で、アニオン性水溶性ポリマーを含んでいる水溶性層を、同様に、カチオン性表面活性剤又は多価カチオンイオン源と混合された、中性的に荷電された水溶性ポリマーから形成された水溶性層へ加えることが可能である。
【0056】
乾燥工程は、室温で又は加熱することにより達成することが可能である。
【0057】
水溶性中性、カチオン性又はアニオン性ポリマー、塩、界面活性剤の濃度及び比を操作することにより、二又は多層フィルムの溶解速度をより速く又はより遅く調整することが可能である。組み合わされている層の厚さは、生じたフィルムの溶解速度を操作するために使用することが可能である、追加のパラメーターである。
【0058】
追加の層を、上に教示したように加えることが可能である。
【0059】
本発明に従ったプロセスは、連続的に及びバッチ式の両方で実施することが可能である。連続的プロセスに使用される不活性物質は、好ましくは、加工シート又は金属シート又は細片であり、一方、バッチ式プロセスにおいては、いずれの不活性物質を使用することも、原理的には可能である。
【0060】
本出願のフィルム層は、両方ともその全体が本明細書において援用される、Leung et al. による米国特許第6,596,298号及びXu et al. による米国特許第6,419,903号に開示されているような慣用的フィルム作製技術を使用して製造する。
【0061】
加えて、本発明のフィルム層は、その全体が本明細書において援用される、Repka et al. による米国特許第6,375,963B1号に記載されているような、ホットメルト押出技術を使用して製造することが可能である。
【0062】
多様な層の厚さは、約30ミクロン〜約150ミクロン、場合により約45ミクロン〜約130ミクロン、そして場合により約70ミクロン〜約120ミクロンの範囲であることができる。場合により、第一の又は裏当て層(backing layer)は、約1ミクロン〜約20ミクロン、場合により約3ミクロン〜約15ミクロン、場合により約5ミクロン〜約12ミクロンの範囲であることができる。
【0063】
任意成分
多様な局所的及び全身的活性剤もまた、本発明のフィルム組成物内に取り込むことが可能である。本明細書において使用される用語「局所及び全身的活性剤」は、治癒的、予防的及び美容的活性物質又はそれらの組成物を含む。これらの活性剤が取り組むことができる状態の例には、それらの一つまたはそれ以上に限定されるわけではないが、歯の外観及び構造的変化、ホワイトニング、染色漂白、染色除去、プラーク除去、歯石除去、虫歯の穴予防及び治療、炎症性及び/又は出血歯肉、粘膜創傷、病変、潰瘍、アフタ性潰瘍、口唇ヘルペス、歯膿瘍、歯及び/又は歯肉疼痛、歯過敏(例えば、温度変化に対する)、歯加強、及び上記の状態及び微生物増殖のような他の原因により生じる口臭の除去が含まれる。加えて、本発明のフィルムは、唇及び一般的な皮膚の創傷、病変、潰瘍、口唇ヘルペス、などを治療する及び/又は予防するために有用である。
【0064】
口腔内及び周辺での使用に適した局所的活性剤には、口腔での使用に安全だと一般に考えられている、そして口腔の全体としての健康に変化を提供する、いずれかの物質が含まれる。本発明における局所的口腔ケア活性剤のレベルは、一般に湿潤フィルムの重量で、約0.01%〜約40%、又は、場合により、約0.1%〜20%であることができる。
【0065】
本発明の局所的口腔ケア活性剤は、当該技術分野で以前に開示されている多くの活性剤を含むことができる。以下は、本発明に使用することができる、口腔ケア活性剤の非全包括的リストである。
【0066】
精油を、本発明のフィルムに含ませる、又は付随させることができる。本明細書での使用に適した精油は、前にその全体が本明細書において援用された、Leung et al. による米国特許第6,596,298号に詳細に記載されている。
【0067】
歯ホワイトニング活性剤を、本発明の口腔組成物中に含ませることができる。ホワイトニングに適した活性剤は、シュウ酸、過酸化物、金属亜塩素酸塩、過ホウ酸、過炭酸塩、ペルオキソ酸及びそれらの混合物から成る群より選択される。適した過酸化化合物には:過酸化水素、過酸化カルシウム、過酸化ナトリウム、過酸化カルバミド、過酸化尿素、過炭酸ナトリウム及びそれらの混合物が含まれる。場合により、過酸化物は過酸化水素である。適した金属亜塩素酸塩には、亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸バリウム、亜塩素酸マグネシウム、亜塩素酸リチウム、亜塩素酸ナトリウム及び亜塩素酸カリウムが含まれる。追加のホワイトニング活性剤は、次亜塩素酸塩及び二酸化塩素であることができる。好ましい亜塩素酸塩は亜塩素酸ナトリウムである。ホワイトニング活性剤の有効性は、場合により、触媒の手段により増強することが可能である、即ち、二成分、過酸化物−触媒システム。有用なホワイトニング活性剤触媒又は触媒剤は、その全体が本明細書において援用される、McLaughlin, Gerald らによる米国特許第6,440,396号に見ることができる。
【0068】
過酸化物活性剤を取り込む場合、本発明のフィルム組成物は、場合により、過酸化物安定剤を含むことが可能である。本明細書での使用に適した過酸化物活性剤の安定剤には、限定されるわけではないが、PEG40又はPEG600のようなポリエチレングリコール;クエン酸亜鉛のような亜鉛塩;ポリオキシアルキレン ブロック−ポリマー(例えば、Pluronics);アミノカルボン酸又はそれらの塩;グリセロール;Blue#1又はGreen#3のような色素;リン酸、リン酸ナトリウム又はピロリン酸水素ナトリウムのようなリン酸;塩化第一スズのような第一スズ塩;スズ酸ナトリウム;クエン酸;エチドロン酸;Carbopol(登録商標)シリーズのようなカルボマー又はカルボキシポリメチレン;ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、及びそれらの混合物が含まれる。
【0069】
本明細書において有用な抗歯石剤にはリン酸が含まれる。リン酸には、ピロリン酸、ポリリン酸、ポリホスホン酸及びそれらの混合物が含まれる。ピロリン酸はなかでも、歯科ケア製品での使用において、最もよく知られている。ピロリン酸塩に由来するピロリン酸イオンは、歯へ送逹される。本発明に有用なピロリン酸塩には、二アルカリ金属ピロリン酸塩、四アルカリ金属ピロリン酸塩及びそれらの混合物が含まれる。水和されていないピロリン酸二水素二ナトリウム(Na)、ピロリン酸四ナトリウム(Na)及びピロリン酸四カリウム(K)、ならびに水和物形が好ましい。抗結石リン酸には、カリウム及びナトリウムピロリン酸塩;トリポリリン酸ナトリウム;エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホネート、1−アザシクロヘプタン−1,1−ジホスホネート及び直鎖アルキルジホスホネートのようなジホスホネート;直鎖カルボン酸及びクエン酸ナトリウム及び亜鉛、が含まれる。
【0070】
ピロリン酸塩の代わりに、又は組み合わせて使用することができる剤には、ポリアクリレートを含む合成アニオン性ポリマー、及び無水マレイン酸またはマレイン酸とメチルビニルエーテルのコポリマー(例えば、Gantrez により記載されている、例えば、その全体が本明細書において援用される、Gaffar et alによる米国特許第4,627,977号)、ならびに例えば、ポリアミノプロパンスルホン酸(AMPS)、クエン酸亜鉛三水和物、ポリリン酸(例えば、トリポリリン酸;ヘキサメタリン酸)、ジホスホネート(例えば、EHDP、AMP)、ポリペプチド(ポリアスパラギン酸及びポリグルタミン酸)、及びそれらの混合物が含まれる。
【0071】
一つまたはそれより多くのフッ素イオン源が、齲歯予防薬として、フィルム組成物内に取り込まれている。フッ素イオンは、この目的のために多くの口腔ケア組成物に含まれており、同様に、同じ様式で本発明においても取り込むことができる。こうしたフッ素イオン源の詳細な例は、その全体が本明細書において援用される、Nair et al. による米国特許第6,121,315号に見ることができる。
【0072】
また本発明で有用であるのは、歯脱感作剤である。本発明で使用することができる歯脱感作剤には、硝酸カリウム、クエン酸、クエン酸塩、塩化ストロンチウムなど、ならびに当該技術分野で周知である他の脱感作剤が含まれる。本発明の歯科ホワイトニング組成物内に含まれる脱感作剤の量は、硝酸カリウムの濃度、所望される強度及び意図される治療時間に従って、変動してもよい。従って、含まれていたとしても、他の脱感作剤は、好ましくは、歯科ホワイトニング組成物の重量で、約0.1%〜約10%の範囲、より好ましくは、湿潤フィルム組成物の重量で、約1〜約7%の範囲の量で含まれているであろう。
【0073】
抗菌剤もまた、口腔剤又は局所的皮膚及び/又は全身的活性剤として、本発明のフィルム組成物に存在することが可能である。こうした剤には、限定されるわけではないが、通常トリクロサンと称されている、5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)−フェノール、クロルヘキシジン、アレキシジン、ヘキセチジン、サンギナリン、塩化ベンザルコニウム、サリチルアミド、臭化ドミフェン、塩化セチルピリジニウム(CPC)、塩化テトラデシルピリジニウム(TPC);塩化N−テトラデシル−4−エチルピリジニウム(TDEPC);オクテニジン;デルモピノール、オクタピノール及び他のピペリジノ誘導体、ナイアシン調製物;亜鉛/第一スズイオン剤;オーグメンチン、アモキシシリン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン及びメトロニダゾールのような抗生物質;及び上記の抗菌剤の類似体、誘導体及び塩、及びそれらの混合物が含まれる。
【0074】
口腔剤又は局所的皮膚及び/又は全身的活性剤として、本発明のフィルム組成物中に、抗炎症剤をまた存在させることが可能である。こうした剤は、限定されるわけではないが、プロピオン酸誘導体;酢酸誘導体;フェナム酸誘導体;ビフェニルカルボン酸誘導体;及びオキシカムのような非ステロイド性抗炎症剤又はNSAIDsを含むことができる。これらNSAIDSのすべてが、その全体が本明細書において援用される、1991年1月15日に提出された、Sunshine et al. による米国特許第4,985,459号に十分に記載されている。有用なNSAIDSの例には、アセチルサリチル酸、イブプロフェン、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、フェンブフェン、ケトプロフェン、インドプロフェン、ピルプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、ミクロプロフェン、チオキサプロフェン、スプロフェン、アルミノプロフェン、チアプロフェン酸、フルプロフェン、ブクロクス酸及びそれらの混合物が含まれる。また有用であるのは、ヒドロコーチゾンなどのようなステロイド性抗炎症剤、及びメロキシカム、セレコキシブ、ロフェコキシブ、ヴァルデコキシブ、エトリコキシブ又はそれらの混合物のようなCOX−2阻害剤である。いずれの上記抗炎症剤の混合物も使用することができる。
【0075】
麻酔剤もまた、本明細書において取り込むことができる。適した麻酔剤の例には、限定されるわけではないが、ベンゾカイン、ベトキシカイン、ビフェナミン、ブピバカイン、ブタカイン、塩酸ジブカイン、ジクロニン、リドカイン、メピバカイン、プロカイン、プロパニジド、プロパノカイン、プロパラカイン、プロピポカイン、プロポフォール、塩酸プロポキシカイン、プソイドコカイン、塩酸テトラカイン及びそれらの混合物が含まれる。
【0076】
上気道活性剤もまた本明細書において使用することが可能である。こうした活性剤の例は、プロピルヘキセドリン、フェニレフリン、フェニルプロパノラミン、プソイドエフェドリン、塩酸ナファゾリン、塩酸オキシメタゾリン、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸キシロメタゾリン及び塩酸エチルノルエピネフリンを含む、うっ血除去使用のために全身的又は局所的に投与される、交感神経様作動薬;クロルフェニラミン、ブロモフェニラミン、クレマスチン、ケトチフェン、アザタジン、ロラタジン、テルフェナジン、セチリジン、アステミゾール、タジフィリン、レボカバスチン、ジフェンヒドラミン、テメラスチン、エトロチフェン、アクリバスチン、アゼラスチン、エバスチン、メキタジン、ミゾラスチン、レボセチリジン、モメタゾン、フロエート、カレバスチン、ラマトロバン、デスロラタジン、ノベラスチン、セレノチフェン、アリナスチン、エフレチリジン、トリトクァリン、ノラステミゾール、タゴリジン、エピナスチン、アクリバスチン及びそれらの混合物のような抗ヒスタミン剤;デキストロメトルファン、ベンゾナテート及びグイフェネシン及びそれらの混合物のような鎮咳剤である。他の有用な上気道活性剤は、その全体が本明細書において援用される、米国特許第4,619,934号に見いだせる。
【0077】
消化管活性剤もまた取り込むことが可能である。適した消化管活性剤には、アトロピン、クリジニウムおよびジサイクロミンを含む抗コリン作用薬;水酸化アルミニウム、次サリチル酸ビスマス、ラニチジンビスマスクエン酸塩、次クエン酸ビスマス、次硝酸ビスマスのような塩基性ビスマス塩、アルミニウムスクロースオクタスルフェート又はビスマススクロースオクタスルフェートのような多硫酸化サッカリドのアルミニウム又はビスマス塩、シメチコン、炭酸カルシウム及びマガルドラートを含む制酸剤(制酸剤の他の例は、本明細書において援用される、21CFR 331.11 に見ることができる);シメチジン、ファモチジン、ニザチジン及びラニチジンを含むH(2)受容体アンタゴニスト;ビサコジル、ピコスルファート及びカサントロールを含む緩下剤(緩下剤の他の例は、本明細書において援用される、Federal Registry, Vol. 50, No. 10, Jan. 15, 1985, pp. 2152-58 に見ることができる);スクラルファート及びスクラルファート湿性ゲルを含む胃保護剤;シサプリド、メトクロプラミド及びエイサプロドを含む胃カイネティック及びプロカイネテティック剤;オメプラゾール、ランソプラゾールを含むプロトンポンプ阻害剤、及びジフェノキシラート及びロペラミドを含む下痢止め薬;アモキシシリン、メトロニダゾール、エリスロマイシン又はニトロフラントインのような、潰瘍誘発生物体ヘリコバクター ピロリに対して静菌性又は殺菌性である剤、及びその全体が本明細書において援用される、米国特許第5,256,684号に開示されているH.ピロリを治療するための他の剤;アミロペクチン、カラゲマム、硫酸化デキストリン、イノシトール6リン酸又は他の類似の剤及びそれらの混合物、が含まれる。
【0078】
栄養剤は口腔の状態を改善することができ、そして本発明の口腔ケア物質又は組成物に含ませることが可能である。栄養剤の例には、ミネラル、ビタミン、口腔栄養サプリメント、腸栄養サプリメント、及びそれらの混合物が含まれる。
【0079】
ニコチンのような喫煙中止剤もまた、本発明のフィルム組成物中に取り込むことができる。
【0080】
個々の酵素又はいくつかの適合性酵素の組み合わせも又本発明の口腔ケア物質又は組成物に含ませることが可能である。
【0081】
酵素は、生きているデバイスにおける化学反応の生物学的触媒である。酵素は、それらが働く基質を結合し、中間体酵素基質複合体を形成する。この複合体は次ぎに、反応生成物へ変換され、そしてその特異的酵素機能を継続する酵素を遊離する。
【0082】
酵素は、口腔の清浄のために使用された場合、いくつかの利点を提供する。プロテアーゼは、歯表面上に吸収され、プラークを生じる第一の層である、薄皮を形成する、唾液タンパク質を分解する。リパーゼを伴ったプロテアーゼは、細菌細胞壁及び膜の構造成分を形成する、タンパク質及び脂質を溶解することにより、細菌を破壊する。デキストラナーゼは、細菌接着のためのマトリックスを形成する、細菌により産生される有機骨格構造を解体する。プロテアーゼ及びアミラーゼは、プラーク形成を防止するのみでなく、カルシウムを結合する炭水化物タンパク質複合体を粉砕することにより結石の発生を予防し、石灰化も予防する。本発明において有用な酵素には、商業的に入手可能なプロテアーゼ、グルカノヒドロラーゼ、エンドグリコシダーゼ、アミラーゼ、ムタナーゼ、リパーゼ及びムチナーゼ又はそれらの適合性混合物のいずれもが含まれる。好ましいものは、プロテアーゼ、デキストラナーゼ、エンドグリコシダーゼ及びムタナーゼであり、最も好まれるのは、パパイン、エンドグリコシダーゼ、リゾチーム又はデキストラナーゼとムタナーゼの混合物である。
【0083】
本発明で使用することが可能な他の材料には、一般に知られている口及び喉製品が含まれる。これらの製品には、限定されるわけではないが、抗真菌剤、抗生物質及び鎮痛剤が含まれる;抗酸化剤は、本発明の組成物のような組成物において有用であると一般に認められている。本発明の口腔ケア組成物又は物質に含ませることができる抗酸化剤には、限定されるわけではないが、ビタミンE、アスコルビン酸、尿酸、カロテノイド、ビタミンA、フラボノイド及びポリフェノール、植物抗酸化剤、メラトニン、アミノインドール、リポ酸、及びそれらの混合物が含まれる。
【0084】
ヒスタミン−(H−2)受容体アンタゴニスト化合物(H−2アンタゴニスト)を、本発明の口腔ケア組成物において使用することができる。本明細書で使用する場合、選択的H−2アンタゴニストとは、H−2受容体を遮断するが、ヒスタミン−(H−1)受容体を遮断することにおいては意味のある活性を有していない化合物である。
【0085】
追加の有用な活性剤を、その全体が本明細書において援用される、米国特許第6,638,528号に見ることができる。
【0086】
追加の坦体材料もまた、本発明のフィルム組成物へ加えることができる。これらの材料は、前に述べたもの以外の特性のために追加の成分として加えることが可能であり、そして湿潤剤を含むことが可能であり、そして、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコールなどを含む。フィルム組成物は、活性物質それ自身と一緒に、一つまたはそれより多くの活性物質増強剤(例えば、触媒)、及び/又は活性物質の放出及び/又は活性を修飾するためのポテンシエーター(potentiator)を含んでなることができる。
【0087】
本発明のフィルム組成物は、場合により、例えば、フィルムの表面上に堆積する、又はフィルムの原体内へ含浸させることができる、芳香剤、着色剤その他のような追加の物質を追加として含んでなることができる。局所的又は全身的活性剤は、好ましくは歯ホワイトニング物質である。歯ホワイトニング物質は、過酸化物含有ゲルの形を取ることが可能である。適したゲルは、過酸化水素又は有機過酸化物のような過酸化物含有グリセロールに基づくことができる。適したゲルは、例えば、The Block Drug Company (USA) (以後 GlaxoSmithKline plc により取得された)によりPROXIGELの登録商標で販売されていた、US−A−3,657,413に開示されているゲルである。他の適した過酸化物含有ゲルは、例えば、上に引用した参照文献に開示されている。フィルムは、その表面に堆積された局所的又は全身的活性剤を有することができる。
【0088】
pH調節剤もまた、ゲルの貯蔵安定性を最適にするため、及び口腔組織にとって物質を安全にするために加えることができる。これらのpH調節剤又は緩衝液は、口腔ケア物質のpHを調節するために適している、いずれかの材料であることが可能である。適した材料には、炭酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、スズ酸ナトリウム、トリエタノールアミン 、クエン酸、塩酸、クエン酸ナトリウム及びそれらの組み合わせが含まれる。pH調節剤は、物質又は組成物のpHを適した値、例えば、約4.5〜約11、好ましくは約5.5〜約8.5、より好ましくは約6〜約7、に調節するために十分な量で加える。pH調節剤は、一般に、口腔ケア物質の重量で、約0.01%〜約15%、そして好ましくは約0.05%〜約5%の量で存在する。
【0089】
例えば、ゲルは、上記のようにフィルム層の表面上に直接的に堆積することができる。もしくは、ゲルを上記のフィルム層内に吸収させる、又はフィルム材料の原体内に含浸させる、又は多層化フィルムの層間に堆積させることができる。
【0090】
上述のようなフィルム材料の表面上に物質を堆積させる方法は既知である、例えば、印刷(printing)、例えば、シルクスクリーン印刷、含浸させたローラー間の通過、薬液注入(dosing)、ポンプ及びノズル、吹き付け、浸し塗りその他。物質をフィルム材料の原体内へ含浸させる方法も知られており、例えば、物質を細片(strip)材料と混合し、次ぎに細片を形成するか、又は細片内へ物質が含浸される条件下で、細片を物質に暴露する。もしくは、フィルム材料の一つの例は、気泡材料、特に連続気泡材料であることができ、物質を気泡のセル内へ導入することにより、細片材料内へ物質を含浸させることができる。
【0091】
本発明のデバイスは、適切なアラインメントでデバイスを歯に適用する際において使用者を助けるため、一つまたはそれより多くの視覚可能なシンボル、例えば、テキスト文、商標、会社ロゴ、色領域、又は視覚可能な線又は切り欠きのようなアラインメント特徴、で印を付けることができる。こうしたアラインメント特徴は、歯にデバイスを適用する間に、デバイスのどちらの方向を上にするか、又はデバイスの対のどちらが上の歯に、及びどちらが下の歯に意図されているかを使用者に示すためのシンボルを含んでなることができる。この様式で、デバイスをより視覚的に魅力のあるものへ及び/又はより容易に使用できるようにすることができる。こうしたシンボル(単数又は複数)は、吸着剤材料の層が付着される表面とは反対の、可塑的に変形可能な材料の表面に、慣用的印刷又は浮き出しプロセス、例えば、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷その他により付けることができる。
【0092】
もし、こうした視覚可能シンボルをこの表面に付けたら、場合により、例えば、それを保護するために、被覆層をシンボルの上にあてがうことが可能である。この被覆層は、この層を通して視覚可能なシンボルを見ることを可能にするため、透明又は半透明であろう。こうした被覆層は、場合により、フィルムと接触した被覆層の材料を圧縮すること(例えば、圧延)によりあてがうことが可能である。
【0093】
局所的及び全身的活性剤を送逹するための方法
特定の態様において、本発明は、局所的又は全身的活性剤の保持が、局所活性又は適切な全身的吸収のために必要とされる所で使用することが可能である。本発明のフィルム組成物は、歯表面ホワイトニングに特に有用である。一般に、歯ホワイトニング活性剤の送逹は、米国特許第5,894,017;5,891,453;6,045,811;及び6,419,906号(これらの各々は、本明細書においてその全体が援用される)に記載されている様式で、一本の歯又は複数の歯及び歯肉へ、こうした化合物/活性剤の安全及び有効量を含有する発明フィルムを局所的に適用することを含んでいる。適用の頻度及び使用期間は、必要とされる又は望まれる治療のレベル、例えば、歯ホワイトニングの程度及び/又は望まれる局所創傷治癒/消毒の程度に依存して広く変動するであろう。
【0094】
皮膚又は粘膜のためのパッチとして適用される場合、本発明のフィルムは、より強い治療、又は薬剤の経皮送逹を必要としている、問題の皮膚領域に有用であることが可能である。パッチは、閉塞性、半閉塞性又は非閉塞性であることが可能である。本発明の局所又は全身的活性剤は、フィルムの表面内に含まれるか又は表面上に被覆されることが可能であり、あるいはフィルムの適用に先だって皮膚へ適用されることが可能である。フィルムはまた、Burkett et al. によるPCT出願WO9701313に記載されている、発熱反応のための化学開始剤のような活性剤も含むことが可能である。場合により、フィルムは、夜間療法の形として、夜に適用することが可能である。有用な経皮システムの例は米国特許第3,598,122;3,598,123;3,731,683;3,797,494;4,286,592;4,314,557;4,379,454;4,435,180;4,559,222;4,568,343;4,573,999;4,588,580;4,645,502;4,704,282;4,816,258;4,849,226;4,908,027;4,943,435;及び5,004,610号に記載されており、これらの全てが、全体として本明細書において援用される。経皮送逹に一般に付随する活性剤は、両方ともその全体が本明細書において援用される、米国特許第5,843,468及び5,853,751号に開示されている。
【実施例】
【0095】
実施例
以下の実施例に例示したフィルム組成物は、本発明のフィルム組成物の具体的態様を例示しているが、それらに制限されることは意図されていない。本発明の精神及び範囲から離れることなく、当業者は他の修飾を企図することが可能である。
【0096】
すべての例示されたフィルム組成物は、慣用的製剤及び混合技術により調製することが可能である。成分量は、重量パーセントとしてリストされており、希釈剤、賦形剤などのような副材料は除外されている。リストされた製剤は、それ故、リストされた成分及びこうした成分に付随するいずれかの副材料を含んでなる。
【0097】
実施例I
以下は、本発明の多層フィルムの例である。
【0098】
【表1】

【0099】
適した容器(A)中、水、塩化カルシウム及びヒドロキシエチルセルロースを、均質な溶液が形成されるまで混合する。
【0100】
別の容器(B)中、水、ポビドン及びアルギン酸塩を、溶解しそして均一になるまで混合する。
【0101】
容器Aの内容物は次ぎに、室温にて、非粘着性表面上、所望の厚さで注型し、本発明の多層フィルムの第一の層を形成させる。注型層は、場合により、温かい空気流下で乾燥することが可能である。
【0102】
容器Bの内容物は次ぎに、室温にて、上記の第一のフィルム上で所望の厚さで注型し、多層フィルムの第二の層を形成させる。注型層は、場合により、温かい空気流下で乾燥することが可能である。
【0103】
実施例II
以下は、本発明の多層麻酔剤フィルムの例である。
【0104】
【表2】

【0105】
適した容器(A)中、水、キトサン及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを、均質な溶液が形成されるまで混合する。
【0106】
別の容器(B)中、水、Plasdone、カルボキシメチルセルロース及びリドカイン塩基を、溶解しそして均一になるまで混合する。
【0107】
容器Aの内容物は次ぎに、室温にて、非粘着性表面上、所望の厚さで注型し、本発明の多層麻酔剤フィルムの第一の層を形成させる。注型層は、場合により、温かい空気流下で乾燥することが可能である。
【0108】
容器Bの内容物は次ぎに、室温にて、上記の第一のフィルム上で所望の厚さで注型し、多層麻酔剤フィルムの第二の層を形成させる。注型層は、場合により、温かい空気流下で乾燥することが可能である。
【0109】
実施例III
以下は、本発明の多層歯ホワイトニングフィルムの例である。
【0110】
【表3】

【0111】
適した容器(A)中、水、ラウリル硫酸ナトリウム及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを、均質な溶液が形成されるまで混合する。
【0112】
別の容器(B)中、水、ポビドン、リン酸二ナトリウム、グリセリン及び過酸化水素を、溶解しそして均一になるまで混合する。
【0113】
容器Aの内容物は次ぎに、室温にて、非粘着性表面上、所望の厚さで注型し、本発明の多層歯ホワイトニングフィルムの第一の層を形成させる。注型層は、場合により、温かい空気流下で乾燥することが可能である。
【0114】
容器Bの内容物は次ぎに、室温にて、上記の第一のフィルム上で所望の厚さで注型し、多層歯ホワイトニングフィルムの第二の層を形成させる。注型層は、場合により、温かい空気流下で乾燥することが可能である。
【0115】
実施例IV
以下は、本発明の多層歯ホワイトニングフィルムの例である。
【0116】
【表4】

【0117】
適した容器(A)中、水、ラウリル硫酸ナトリウム、過酸化水素及びポビドンを、均質な溶液が形成されるまで混合する。
【0118】
別の容器(B)中、水及びキトサンを、溶解しそして均一になるまで混合する。
【0119】
容器Aの内容物は次ぎに、室温にて、非粘着性表面上、所望の厚さで注型し、本発明の多層歯ホワイトニングフィルムの第一の層を形成させる。注型層は、場合により、温かい空気流下で乾燥することが可能である。
【0120】
容器Bの内容物は次ぎに、室温にて、上記の第一のフィルム上で所望の厚さで注型し、多層歯ホワイトニングフィルムの第二の層を形成させる。注型層は、場合により、温かい空気流下で乾燥することが可能である。
【0121】
実施例V
以下は、本発明の多層歯ホワイトニングフィルムの例である。
【0122】
【表5】

【0123】
適した容器(A)中、水、塩化セチルピリジニウム、Pluracare、過酸化水素及びPlasdoneを、均質な溶液が形成されるまで混合する。
【0124】
別の容器(B)中、水及びカルボキシメチルセルロースを、溶解しそして均一になるまで混合する。
【0125】
容器Aの内容物は次ぎに、室温にて、非粘着性表面上、所望の厚さで注型し、本発明の多層歯ホワイトニングフィルムの第一の層を形成させる。注型層は、場合により、温かい空気流下で乾燥することが可能である。
【0126】
容器Bの内容物は次ぎに、室温にて、上記の第一のフィルム上で所望の厚さで注型し、多層歯ホワイトニングフィルムの第二の層を形成させる。注型層は、場合により、温かい空気流下で乾燥することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層独立型フィルム組成物であって、
a)i)中性水溶性ポリマー;及び
ii)多価カチオンイオン源;
を含んでなる第一の水溶性層;及び
b)アニオン性水溶性ポリマーを含んでなる第二の水溶性層;
を含んでなり、水中において、個々の水溶性層のいずれよりも遅い速度で溶解又は分散する組成物。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルム組成物であって、中性水溶性ポリマーが、ヒドロキシブチルセルロース、ヒドロキシルエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール及びそれらの混合物から成る群より選択される組成物。
【請求項3】
請求項1に記載のフィルム組成物であって、多価カチオンイオン源が、アルミニウム塩、クロム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、鉄塩、バリウム塩、マンガン塩、第一スズ塩及びそれらの混合物から成る群より選択される組成物。
【請求項4】
請求項1に記載のフィルム組成物であって、アニオン性水溶性ポリマーが、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、カラジーナン、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム、マレイン酸ナトリウム/メチルビニルエーテルコポリマー及びそれらの混合物から成る群より選択される組成物。
【請求項5】
多層独立型フィルム組成物であって、
a)カチオン性ポリマーを含んでなる第一の水溶性層;及び
b)アニオン性ポリマーを含んでなる第二の水溶性層;
を含んでなり、水中において、個々の水溶性層のいずれよりも遅い速度で溶解又は分散する組成物。
【請求項6】
請求項5に記載のフィルム組成物であって、カチオン性水溶性ポリマーが、キトサン、ポリクオタニウム−10、ポリクオタニウム−11、ポリクオタニウム−16、ポリクオタニウム−24、ポリクオタニウム−28、ポリクオタニウム−44、ポリクオタニウム−46、ポリビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドコポリマー及びそれらの混合物から成る群より選択される組成物。
【請求項7】
請求項5に記載のフィルム組成物であって、アニオン性水溶性ポリマーが、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、カラジーナン、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム、マレイン酸ナトリウム/メチルビニルエーテルコポリマー及びそれらの混合物から成る群より選択される組成物。
【請求項8】
多層独立型フィルム組成物であって、
a)i)中性水溶性ポリマー;及び
ii)アニオン性又はカチオン性界面活性剤;
を含んでなる第一の水溶性層;及び
b)i)中性水溶性ポリマー;
ii)水溶性塩
を含んでなる第二の水溶性層;
を含んでなり、水中において、個々の水溶性層のいずれよりも遅い速度で溶解又は分散する組成物。
【請求項9】
請求項8に記載のフィルム組成物であって、第一の水溶性層の中性水溶性ポリマーが、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドブロックコポリマー、ポリビニルアルコール及びそれらの混合物から成る群より選択される組成物。
【請求項10】
請求項8に記載のフィルム組成物であって、アニオン性界面活性剤が、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、C12〜15パレス−15スルホン酸ナトリウム、ココイルメチルタウリン酸ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸二ナトリウム及びそれらの混合物から成る群より選択される組成物。
【請求項11】
請求項8に記載のフィルム組成物であって、カチオン性界面活性剤が、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム及びそれらの混合物から成る群より選択される組成物。
【請求項12】
請求項8に記載のフィルム組成物であって、水溶性塩が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、酢酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、それらの酸性塩、及びそれらの混合物から成る群より選択される組成物。
【請求項13】
多層独立型フィルム組成物であって、
a)i)中性水溶性ポリマー;及び
ii)アニオン性界面活性剤;
を含んでなる第一の水溶性層;及び
b)カチオン性水溶性ポリマーを含んでなる第二の水溶性層;
を含んでなり、水中において、個々の水溶性層のいずれよりも遅い速度で溶解又は分散する組成物。
【請求項14】
フィルム組成物であって、
a)カチオン性界面活性剤を含んでなる第一の水溶性層;及び
b)アニオン性水溶性ポリマーを含んでなる第二の水溶性層;
を含んでなり、水中において、それらの混合物のいずれよりも遅い速度で溶解又は分散する組成物。
【請求項15】
三層独立型フィルムであって、
a)荷電された存在物を含んでなる第一の水溶性層;
b)荷電された存在物を含んでなる第二の水溶性層;及び
c)第一及び第二の層の荷電された存在物の相互作用により形成された複合層;
を含んでなり、水中において、第一又は第二の水溶性層のいずれよりも遅い速度で溶解又は分散するフィルム。

【公表番号】特表2007−526294(P2007−526294A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501364(P2007−501364)
【出願日】平成17年2月21日(2005.2.21)
【国際出願番号】PCT/IB2005/000449
【国際公開番号】WO2005/092271
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(503181266)ワーナー−ランバート カンパニー リミテッド ライアビリティー カンパニー (167)
【Fターム(参考)】