フィードバックベースの複数の対象の最適化を介したスポットカラーの描写
【課題】色に関する画質属性を最小化するフィードバックループによる制御を行なう。
【解決手段】改善されたスポットカラーを描写すると同時にL*、a*、b*、斑点、粒状性等のベクトルとして規定された状態を用いて画質属性の関数を一度に最小化するためスポットカラーレシピを選択する、フィードバック制御ベースのシステム及び方法を開示する。インライン分光光度計システム又は完全/部分的な幅のアレイセンサを用いて色を計測する。センサを利用できない場合、プリント装置のモデルを用いて画質属性の関数を最適化する。問題となるスポットカラーに関する、改善される一連の画質属性と共に問題となるスポットカラーを選択する。スポットカラーが装置上で描写されたときに画質属性の関数が最小となるよう、カラーマーキング装置の処理アクチュエータ及びカラーレシピに関する設定値を調整する。様々なワークフローを説明する。
【解決手段】改善されたスポットカラーを描写すると同時にL*、a*、b*、斑点、粒状性等のベクトルとして規定された状態を用いて画質属性の関数を一度に最小化するためスポットカラーレシピを選択する、フィードバック制御ベースのシステム及び方法を開示する。インライン分光光度計システム又は完全/部分的な幅のアレイセンサを用いて色を計測する。センサを利用できない場合、プリント装置のモデルを用いて画質属性の関数を最適化する。問題となるスポットカラーに関する、改善される一連の画質属性と共に問題となるスポットカラーを選択する。スポットカラーが装置上で描写されたときに画質属性の関数が最小となるよう、カラーマーキング装置の処理アクチュエータ及びカラーレシピに関する設定値を調整する。様々なワークフローを説明する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ベクトルとして決定された状態を用いて形成される画質の属性の関数を最小にすることによりなる、フィードバック制御をベースとする新しいシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
顧客の需要に対応するため、商業プリント業界では正確で一貫したスポットカラーとカラー画像を作成することが求められる。一般的な4色のCMYKプリンタでは、例えば、スポットカラーのエミュレーションに関してCMYKプリンタ上に所与の色(実験)を描写する際、所望する実験値を作り出すCMYKの値の範囲がある。利用可能なCMYKの範囲は、ある色では(例えば-中間調の中間色)広く、別の色では狭い、又はゼロである(例えば飽和色)。範囲内の各CMYKの値は所望される実験値を作り出すが、そのレシピを用いてプリントされたスポットカラーは、粒状性、斑点、色の安定性、インクコスト等のその他の属性においてかなりの差が生じる可能性がある。したがって、CMYKのレシピを利用可能なレシピの中から選択して、画質の最適化を図ることが所望される。このような技術には、所与の色に関する全ての可能なCMYKレシピを演算し、その中から選択する過程が含まれるため、この最適化を実行する方法はコンピュータに集約される。CMYKレシピの選択によっては、種々の色分類の均一性及びコントラストの違いにより、スポットカラーの外見がノイズを含む可能性がある。あるプリンタ上でのスポットカラーのテストでは、C、M、Y及びKの分類を適切に選択することで、プリントのノイズの出現を抑制し、プリントを滑らかに見せる。正確な色を作り出すだけでなくより滑らかな色を描写する(ノイズの少ない)とき、最適化されたCMYKレシピが価値のあるものと見なされる。
【0003】
従来技術の方法では、最適値を含み得る又は含み得ない開ループでの複数を対象とした最適化が使用されている。このような使用法は既知であるが、同時に複数の画質属性を最小化するフィードバックベースによるアプローチが必要である。色の描写における画質を改善するために、CMYKレシピ及び処理アクチュエータを同時に検索することができるが、最適化は一回に単一の色に対してしか実行されない。そこで、ほとんどのCMYK色が選択された画質属性に関してほぼ最適な状態でプリントされるように、処理アクチュエータを最適な画質属性の設定値に設定する必要がある。
【0004】
したがって、本技術分野では、問題となる色に関する画質属性を同時に最小化するフィードバックループによる制御が必要となる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、ベクトルとして決定された状態を用いて形成される画質の属性の関数を最小にすることによりなる、フィードバック制御をベースとする新しいシステム及び方法に関する。例示的な一実施形態では、対象のカラーマーキング装置上の選択したスポットカラーに関する改善されることが望まれる一連の画質の属性を伴って、一連の問題となるスポットカラーが選択される。選択された関心のあるスポットカラーが対象の装置上で描写されるときに画質属性の関数が最小になるように、対象のカラーマーキング装置に関する処理アクチュエータ及びカラーレシピに関するする設定値が調整される。インライン分光光度計システム(ILS)又は完全/部分的な幅のアレイセンサを用いて色を計測する。フィードバックベースの最小化により、安定性と最適性の両方がもたらされる。本明細書の教示は、プリンタ又はプリンタモデルの両方に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、カラーマーキング装置の制御システムで使用するソリューションを初期化するための例示的な一実施形態の最適化を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1の制御装置の流れ処理を示すフローチャートである。
【図3】図3は、制御装置が必要とする測定値を得ることができるセンサがあればいつでも、直接プリンタに適用可能な実施形態のブロック図である。
【図4】図4は、カラーマーキング装置において画質を改善する本方法の例示的な一実施形態を示すフローチャートである。
【図5】図5は、図4のステップ402に対して考察された、問題となる色を選択する例示的な一実施形態を示すフローチャートである。
【図6】図6は、全累積コストJTを最小化するGAアルゴリズムを用いて得られた結果を示す表である。
【図7】図7は、傾斜降下アルゴリズムに続いて、全累積コストJTを最小化するためのLMアルゴリズムを用いて得られた結果を示す表である。
【図8】図8は、6つの入力値を用いた、全累積コストJTを最小化するためのGAアルゴリズムを用いて得られた結果を示す表である。
【図9】図9は、6つの入力値を用いた、累積コストJTを最小化するためのLQR制御装置を用いて得られた結果を示す表である。
【図10】図10は、公称及び最適な処理アクチュエータに関するコスト関数(上段)、正確さ(中段)、及び斑点のレベル(下段)を比較した、公称及び最適な処理アクチュエータの設定での結果を示すグラフである。
【図11】図11は、初期設定の着色剤レシピを用いた公称の処理アクチュエータと、初期設定の着色剤レシピを用いた最適な処理アクチュエータと、最適な処理アクチュエータ及び着色剤レシピと、に関する公称及び最適なコスト関数(上段)、正確さ(中段)、及び斑点のレベル(下段)を比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
「装置独立型色空間」とは、一般的に色を規定又は示すために使用する、あらゆる標準的な色空間である。
【0008】
「装置依存型色空間」とは、描写装置の特性等の付加的な情報が無ければ、一般に色を規定するために使用できない、非標準的な色空間である。
【0009】
「色分解」とは、対象マーキングシステム着色剤のうちの一つ対応する個々の分離のことを指す。
【0010】
本明細書で用いられる「スポットカラー」とは、単一の分類としてプリントされる、単一のインクにより生成される全ての色を指す。スポットカラー内の均一で正確な色により、顧客の要求に一致させることができるたかどうかを判定可能である。
【0011】
「問題となる色」とは、スポットカラーのライブラリ内の一色以上のスポットカラーで、あらゆるプリント技術を用いてプリントされたハードコピーのサンプルにより規定することができる非標準のスポットカラーもこの中に含まれることを意図する。問題となる色の中には、全色域体積が縮小しないようカラーマーキング装置の色域の頂点の一色以上の色も含まれる。
【0012】
「カラーレシピ」とは、色を配合するための用いられる、処理する色の組合せ(例えば、CMYK又はCMYKOV)のことを指す。N色のプリントシステム(N≧4)では、スポットカラーは一般にグレイ置換(GCR:Gray Component Replacement)を用いて表される。
【0013】
「プリンタモデル」により、対象色空間内の値が装置独立型色空間内の値に変換される。プリンタモデルは、確立した技術を用いて更新することができる4入力3出力の参照表(LUT)の形態をとることができる。
【0014】
「画質属性モデル」とは、所与のカラーマーキング装置に関してカラーレシピ及び処理パラメータと、画像の色及び一連の画質属性と、を関連付ける関数である。
【0015】
「処理パラメータ」とは、デジタル文書再生装置において色を管理するための、一つ以上の操作プロセス、制御装置、又はワークフローの調整、あるいは変更のために用いられる装置の設定値のことを指す。
【0016】
「処理設定値」とは、カラーマーキング装置におけるマーキングエンジンの操作機能を統制する一つ以上の処理パラメータのことを指す。設定値を組合せると、それぞれの一次着色剤の特定な質量レベルにより実現可能な、現像される色の組合せを制限されて装置の色域の限度が決定される。
【0017】
「装置依存型着色剤のアクチュエータ」とは、カラーデジタルプリンタにおける一連のカラーレシピのことを指し、本技術分野では周知である。
【0018】
「画質属性」とは、所与の画質の不具合の数学的表現であり、さらにインクのコストもこれに含むことができる。画質属性は、原色データの基底変動も示すことができ、そこからより高いレベルの画質の測定基準を導くことができる。一連の画質属性には色の不具合と、粒状性、斑点、及び色の安定性のうちの少なくとも一つとが含まれる。
【0019】
「斑点」とは、出力プリント上の色の好ましくない不均一のことを指す。このような不均一は、例えば、ベルトから画像形成面へのトナー転写の不具合により発生する。斑点は、粒状性と似ているが、それより大きな空間規模で発生する。
【0020】
「粒状性」とは、全ての方向に対して一般に1ミリメートル毎に0.4周期より大きな空間周波数周期的な密度の変動を指す。異なる空間周波数範囲、及び/又は異なる色空間(例えば、密度よりはむしろ「L*」で)での測定変動といった別の定義も存在する。
【0021】
「色の安定性」とは、所与の装置依存型色彩に関する出力される色の時間、異なる出力装置間、及び/又は出力画像の異なる部分の間のうちの一つ以上に関する、出力色の変動を特徴づける、多色プリンタの特徴のことを指す。色の安定性の異なる種類を、出力される装置依存型色彩の色域に渡って特徴づけ、モデル化することができる。
【0022】
「カラーマーキング装置」とは、モノクロ又はカラーデジタル文書再生アーキテクチャ、プリンタ/複写機、デジタルプリントプレス、及びその他の多機能書類再生装置を含んだ幅広い種類のデジタル画像システムを指すことを意図する。
【0023】
本明細書で使用される用語「画質属性の関数」には、i番目の色に関する改善すべき画質属性に関する個々のコスト関数の加重和が含まれる。一実施形態において、i番目の色に関する画質属性の関数は下記の式により表される。
【数1】
上記の式で、
【数2】
とはi番目の色を実現するために所望されるコストを示し、
【数3】
はi番目の色に関して選択される画質属性による各コストに割り当てられる重みを示し、
【数4】
は「i番目の色に関して選択される各画質属性に関連するコストを示す。本明細書の種々の実施形態は、||JT||を最小化することに関し、JTは選択される一連の画質属性に対して改善を必要とするM色の問題となる色に関する個々のコスト関数
【数5】
を含むベクトルである。
【0024】
ujはM個の要素を含む入力ベクトルuのj番目の要素を意味する。ベクトルuを与えると、モデルPは、Q個の要素を含む出力ベクトルXを推定する。例えば、ベクトルu=[C、M、Y、K]をモデルPに与えることにより、X=[L*,a*,b*,g,m,vs]が推定される。但し、「L*a*b*」は、推定される色の値を示し、「g、m、vs」は粒状性、斑点(NMFとして数値化された)及び視覚スクリーンの推定レベルをそれぞれ示す。
【0025】
Jaは所与の色を正確に表すコストを示す。Jg、Jm、及びJvsの値は、粒状性、斑点、及び視覚スクリーンにそれぞれ関連するコストを示す。この目的はベクトルuを見出すことであり、このベクトルuを、モデルPに与えると、下記の式で表される全累計コスト関数JTを最小化することができる。:
【数6】
上記の式でwa、wg、wm、及びwvsの値は各コストに割り当てられる正の重みであり、
【数7】
の値は各画質属性に関して実現が望まれるコストである。
【0026】
(フィードバックによる制御システムの実施例)
次に、図1のブロック図100を参照する。このブロック図は、プリンタの制御システム(図3)が用いるソリューションを初期化するために用いられる最適化の一実施形態を示す。プリンタのモデルだけが使用可能な場合は、図1のフィードバック制御装置を最終ソリューションとして使用することができる。図1では、プリンタモデル102は、CMYKの初期設定値を部分的に含むベクトルuを受け取り、一連のL*a*b*の値104を生成し、112、114、及び116でそれぞれ画質属性g、m、vsを生成する。L*、a*、b*の値104は色差生成装置108へ送られる。生成装置108は、一連の対象のL*a*b*の値106とL*a*b*の値104の色差を判定する。一回目の試行では、差分計算回路108により計算された差110(ΔEで示す)を低い精度でベクトルu101を示すコストJaとみなすことができ、続く試行では、低い精度でベクトルu124を示すコストを見なすことができる。選択された一連の画質属性の(112、114、及び116)及び色差110はコスト関数生成装置118へ送られ、そこで全累積コストJT120が決定される。試行ごとに、閾値126により所望される精度のレベルが実現されたかどうか、さもなければ最大試行回数に達したかどうかが判定される。所望される精度が実現された場合は、次いでモジュール126が、値JT、装置依存型着色剤、及び対象画質属性の値g、m、及びvs(128)を記憶装置130に格納し、フィードバックループは処理を終了させる。各試行の後、最適化ブロック122はコストJT120を受け取り、累積コストJTを最小化し、ベクトルu124を出力する。ベクトルu124は、フィードバックとして次の試行を開始するモデル102に送られる。このフィードバックループは、閾値126の条件が一致されるまで続けられる。アクチュエータベクトルであるソリューションu*が、実際のプリンタで試行されてコストを改善するために用いる設定値を含むことができるように、対象の色ごとに種々の処理設定値を変更する必要があることを理解されたい。その実施形態は関しては図3で説明する。
【0027】
次に図2のフローチャートを参照して、図1のフィードバック制御装置の処理をさらに詳しく説明する。この処理はステップ200で始まり、すぐにステップ202へ進む。
【0028】
ステップ202で、一連の画質属性及び処理設定値を選択する。
【0029】
ステップ204で、装置依存型着色剤及び処理設定値の組合せを作る。
【0030】
ステップ206で、装置依存型着色剤及び処理設定値をモデルに入力して、このモデルが個々の一連の画質属性を推定する。あるいは、装置依存型着色剤をプリントし、プリントされた色を計測する手順により画質属性を判定する。
【0031】
ステップ208で、このマップ化に関する全累積コスト(JT)を計算する。
【0032】
ステップ210で、全累積コストが許容閾値レベルに達したかどうか、さもなければ最大試行回数まで行われたかが判定される。許容閾値レベルに達している場合、ステップ212で、最適化を実行して値JTを最小にする。この結果が、新しい装置依存型着色剤の組合せ(CMYK)及び処理設定値となる。この処理はステップ206に対して繰り返され、新しい装置依存型着色剤及び処理設定値が生成され、新しい累積コストが計算される。次いで、新しい累積コストは閾値に対して比較される。閾値条件(ステップ210の条件)と一致する、又は最大試行回数が行われるまで、処理は同様に繰り返される。その後、全累積コストJT、装置依存型着色剤、処理設定値、及び一連の画質属性は記憶装置130に格納される。
【0033】
次に図3の制御システムを参照する。この図では、制御装置が必要とする画質属性を得ることができるセンサがあればいつでも直接プリンタに適用できる実施形態の制御システムのブロック図300が示される。
【0034】
図3では、所与の問題となる色に関する一連のIQの対象302が、それぞれ異なる生成装置304に送られる。IQ対象の例として、例えば、[L*a*b*g,m,vs]を挙げることができる。差分計算装置304が、最初のIQ対象と、計測されたIQの値324との間の差分308を判定する。制御装置310が差分308を受け取り、調整量(Δu)312を生成して初期設定値u*316を作成する。加算装置314が、制御装置により決定された調整量を最初のソリューションの設定u*(図1の)に加算して、その新しい調整値u315をカラーマーキング装置318に送る。プリンタ318が一つのカラーパッチ320をプリントして、これをセンサ322が測定する。センサ322は、インラインセンサ又はオフラインセンサ及び/又は本技術分野では既知のIQ測定装置でよい。センサ322は、画質属性のセットに関するIQ値測定値324を出力する。次いで、これらの測定値は304に送られ、次の試行で、別のソリューションが制御装置310によって判定される。この処理は、プリントされた色が許容可能な品質レベルに達しない限り所定の試行回数の間続けられる。アクチュエータベクトルuが装置依存型着色剤のアクチュエータ及び処理アクチュエータの両方を含んでいることを確認することが重要である。特定のスポットカラーの最適化を切望する顧客がいない限り、処理アクチュエータを、個々のスポットカラーのバイアス上で変更することはできない(これは色にうるさい顧客に関してよく起こる)。従って、問題となるスポットカラーのグループに関する最適化において、処理アクチュエータの変更も含まれる場合、一種の規制/交換条件を設けておく必要がある。ベクトルの入力及び出力を拡張して、個々の装置依存型着色剤のアクチュエータ(CMYK)及び共通の処理アクチュエータを有する色のグループ全体を共に最適化することができる。グループのサイズが大きいとき、容積もすぐに大きくなってしまうことを理解されたい。
【0035】
本明細書の別の実施形態では、二つのレベルを有する制御機構で繰り返して最適化が行われる、外側のループでは共通の処理アクチュエータが用いられ、内側のループでは個々の装置依存型着色剤のアクチュエータが用いられる。内側のループに関するコスト関数は、式(3)と同じであり、外側のループに関するコスト関数は、単純に内側のループ又はそのグループ内の各スポットカラーの「重要性」に基づく加重和に関する全JTの合計と同じである。このような実施形態も、付随する請求項の範囲に含まれることを意図される。
【0036】
(最適化処理設定値の設定)
しかし、このアプローチの一つの短所は、一度に単一の色に対してでしか最適化を行うことができないことである。したがって、ほとんどの色が、その画質属性に関して最適に近い形でプリントされるように、処理アクチュエータが最適な画質属性の設定値でセットアップされる必要がある。そこで次に説明することは、カラー画像の描写において改善された画質属性に対する最適な処理設定値を判定する方法である。画質属性は、上記の斑点、ハーフトーンノイズ、粒状性等の選択された一連の画質パラメータに関して計測される。
【0037】
この実施形態では、処理のセットアップを最適化する方法は、その処理の画質属性のモデルを用いて実行される。装置依存型着色剤の値(CMYK)と、処理パラメータとの間の関数として、画質属性モデルを作成される。L12のスクリーニング計画を用いてパラメトリックモデルを作成することができる。この実施形態では、(1)モデルを用いて画質属性に対する鋭敏性を有する最も鋭敏な色を判定するステップと、(2)あらゆる既知の最適化アルゴリズム(多重回答最適化アルゴリズム)又はパラメトリック最適化アルゴリズムを用いて、最適な処理設定値を計算するステップと、の二つのステップを用いる。
【0038】
(鋭敏な色の判定(ステップ1))
鋭敏な色を識別するために、まずCMYK及び処理パラメータ(アクチュエータとして)を画質属性(反応として)に関連させるモデルを作成する。次いで、問題となる色の各グループ(例えば、PANTONE(登録商標)フォーミュラガイドのコート紙用の色のリストの中のデジタルカラープリンタに関して約560色の色域内の全色)に関して、様々な処理設定値の組合せのもとで対象のL*a*b*を作り出すことができる、あらゆるCMYKの組合せを色のモデルを用いて徹底的に検索する。そして、これらのCMYKの組合せを、対応する処理設定値を有する画質属性のモデルに与えて、所与の色に関して有効な、予測される画質属性の範囲を識別する(画質属性値の範囲が高いほど、その設定でより鋭敏な色が処理される)。次いで、有効な画質属性の範囲に基づいてグループ内の色を順位付けして、次の工程で処理を行うために上位N色(例えば、10)の鋭敏な色を取り出す。但し、色のグループは均一に抽出された色L*a*b*の色域内の一連の色でもよい。ステップ(2)の間に全色域体積が縮小しないよう、必要に応じて色、例えば、その色域の頂点にある色を追加することができる。
【0039】
(最適な処理設定値の計算(ステップ2))
ここで、複数の対象のコスト関数を用いる処理設定値をどのようにして見出して、スポットカラーを描写するときの画質属性を改善するのかを議論する。次に、2ステップのアプローチ(ステップA/B)を説明する。まず、処理アクチュエータを最適化して(ステップA)固定された着色剤レシピを用いて画質属性を改善する。第2のステップ(ステップB)と適用して、第1ステップで得られた処理アクチュエータを固定した状態で、着色剤レシピを変更するための検索を行って、この一連の色に関する画質属性を改善する。これについて以下で説明する。
【0040】
(処理アクチュエータの最適化(ステップA))
値uを5つの要素を含む入力ベクトルとする。入力ベクトルuから得られる出力xを推定するモデルをPに画定させる。この場合、入力ベクトルu=[ETAC、FuseTemp、XferCurrent、TC、TA]を、モデルP(ETACはトナー領域の範囲、FuseTempは定着器の温度、TCはトナー密度、TAはトナー有効期間)に適用したときのxはベクトル[L*a*b*m]である。変数mは画質属性のレベルを示す(この場合、入力ベクトルuを用いたときの画質属性のパラメータとしてNMFで示される斑点)。但し、Pは実際のプリンタに関しても用いることができる。低い精度でi番目のスポットカラーの色を示すためのコストを値
【数8】
とする。NMFとして定数化される斑点のレベルを示すコストを値
【数9】
とする。問題となる色iに関する累積コスト関数
【数10】
は下記に式で表すことができる。
【数11】
但し、値
【数12】
及び値
【数13】
は、個々のコスト及び色に割り当てられる正の重みである。別の因子も問題となる画質属性に応じて式(3)に加えることができる。
【0041】
画質属性の改善を必要とするM色のスポットカラーがあると仮定する。
【数14】
を累積コストの値を含むベクトルをとする。最適化の課題を次のように定式化することができる。L≦u≦Hになるように、(a)u*を見出し、(b)||JT||を最小化する。但し値L及び値Hは、ベクトルuに含まれる各要素に関する下限値、及び上限値であり、演算子「|| ||」はベクトルのノルムを示す。この最適化は全ての着色剤レシピが固定されている間に行われる。
【0042】
(着色剤レシピの最適化(ステップB))
値
【数15】
を4つの要素を含む入力ベクトルとする。Pcに入力ベクトル
【数16】
から得られる出力
【数17】
を推計するモデルを画定させる。この場合、入力ベクトル
【数18】
が、モデルPcに適用されたとき、値
【数19】
はベクトル
【数20】
となる。但し、値Pcを実際のプリンタに対して用いることもできる。問題となる各色iに関する累積コストの関数
【数21】
は式(3)で表すことができる。従って最適化の課題は次のようになる。(a)値
【数22】
を見出し、(b)値
【数23】
を最小化して
【数24】
となるようにする。但し処理アクチュエータの入力値は上記で得られる全ての入力値、即ち、値u*に固定される。
【0043】
次に図4のフローチャートを参照して、このカラーマーキング装置において画質を改善する方法の例示的な一実施形態を説明する。この方法ステップ400で始まり、処理はすぐにステップ402に進む。
【0044】
ステップ402で、一連の問題となるスポットカラーが選択される。一連の問題となるスポットカラーは、スポットカラーのライブラリからの一つ以上のスポットカラーでよく、ハードコピーのサンプルにより規定された非標準のスポットカラーを含むこともできる。このハードコピーのサンプルは、例えば、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、乾式複写、インクジェット等のプリント技術を用いてプリントすることができる。カラーマーキング装置の色域体積全体が縮小しないように、選択された一連の問題となる色には、色域の頂点にある一つ以上の色が含まれる。ユーザは、コンピュータのワークステーションを用いて、一連の問題となる色を選択することができる、又は遠隔装置から有線又は無線のネットワークを介してそれらを受け取ることができる。図5のフローチャートを参照して、ある実施形態に関する問題となる色の選択について説明する。
【0045】
次に、図5のフローチャートを手短に参照して、図4のステップ402に対して説明した例示的な一実施形態に関する問題となる色の選択について説明する。処理は、ステップ500で始まり、すぐにステップ502へ進む。
【0046】
ステップ502で、問題となる色のグループから第1の色を選択する。ある実施形態では、問題となる色のグループは、均一に抽出された色域内の一連の色を含む。別の実施形態では、色域体積全体が縮小しないように、色のグループはカラーマーキング装置に色域の頂点にある色を含む。
【0047】
ステップ504で、色と処理設定値のモデルを用いて、異なる処理設定値の組合せのもとで、その色を作り出すことができる全てのカラーレシピの組合せを選択する。
【0048】
ステップ506で、問題となる色のグループから処理するべき色がまだ残っているかどうかを判定する。残っている場合、次にこの処理がステップ502に対して繰り返され、問題となる色グループから次の色が取り出される。次の色に関して、再度色と処理設定値のモデルを用いて、異なる処理設定値の組合せのもとで、この色を作成できる全てのカラーレシピの組合せを選択する。この処理は、次の色に対しても繰り返され、問題となる色グループ内の全ての色が処理されて、それにしたがって色毎のレシピの組合せが選択されるまで続く。
【0049】
ステップ508で、選択されたカラーレシピの組合せを、それに対応する処理設定値と共に、画質属性モデルに通して処理設定値に対する画質属性の鋭敏性を判定する。
【0050】
ステップ510で、ステップ508で判定された各色の鋭敏性に基づいて、これらの色を順位付けされる。
【0051】
ステップ512で、鋭敏性の範囲の順位に基づいて、一部の色を選択する。これらの色が、選択された問題となる色となる。
【0052】
ここで、図4のフローチャートを再度参照する。
【0053】
ステップ404で、それらは選択された問題となる色に対して改善されることが望まれる一連の画質属性を選択する。本明細書の種々の実施形態において、画質属性には、色の不具合と、粒状性、斑点、及び色の安定性のうちの少なくとも一つと、が含まれる。問題となる色に関する、その他の画質属性を選んで改善することができることは言うまでもない。このような属性を追加することも、付随する請求項の範囲に含まれる。
【0054】
ステップ406で、問題となる色がカラーマーキング装置上で描写されるとき、画質属性のコスト関数が最小になるように、カラーマーキング装置の処理アクチュエータ及びカラーレシピに関する設定値を調整する。処理設定値は、例えば、感光体の電圧、ドナーロール及び磁気ロールの電圧、定着器の温度、転写電流、トナー密度、媒体、及びハーフトーンでよい。種々の実施形態において、処理設定値及びカラーレシピの調整には、カラーレシピの値及び処理アクチュエータを、画像の色及び画質属性に関連付ける、色と画質の属性モデルが用いられる。ある実施形態では、式(1)に関して説明した通り、画質属性の関数には、問題となるi番目の色に対して改善されることが望まれる個々の画質属性の関数の加重和が含まれる。その後、この実施形態では、さらに処理は終了する。
実行の結果
【0055】
ソリューションのベクトルu=[CMYK]とした。モデルPを用いて出力ベクトルX=[L*a*b*gm、vs]を推定した。重みをwa=5、wg=5、wm=wvs=1として式(2)を最適化のための複数の対象のコスト関数として用いることで、色の精度の値Jaをより強調した。問題となる色を正確に再生するためのコストの値Jaは、DeltaE2000の式で得られる。値Jgは粒状のレベルである。値Jmは斑点のレベルである。値Jvsは視覚スクリーンのレベルである。最初に、所望するコストの対象
【数25】
を設定する。遺伝的アルゴリズム(GA)を用いて、10色の問題となるスポットカラーのグループに関する全累積コスト関数JTを最小化するソリューションのベクトルu*を捜索する。このケースで得られたソリューションを図6の表に示す。601の欄には、精度をだけを考慮したときに所望される値L*a*b*が示されている。値JTを選択することで、得られた結果は602の欄に示されている。但し、色8及び色10では、良好なDeltaE2000の数字が得られていない。
【0056】
次に、601の欄のL*、a*、及びb*の値と、GAから得られた(図6の)NMF、VS、及びVNHFの値を結合させることにより、各スポットカラーの設定値を決定する。それに加えて、GAにより得られた結果である値u*を制御アルゴリズム、即ちレーベンベルグ・マルカート(LM:Levenberg−Marquardt)法の初期値として用いて、前回の結果に対して改善するよう試みる。次いで、各色に関する新しい累積コストJTの値は、GAを用いて得られる値と比較される。試行ごとにこの比較が行われる。この値が閾値より小さい場合、新しいソリューションu*LMが記憶され、それ以外ならこの新しいソリューションは破棄され、新しい試行が行われ最大試行回数20までこれが繰り返される。図7の表には、その結果が示されている。そこでは、色2及び色4に関するコストJTの値が改善されていることが分かる。その他の色に関する性能が改善されなかった理由は、両方のケースに関して同じモデル、即ちLM、及びGAを用いたため、GAが偶然に最小値を見出し、そのためLMアルゴリズムが最小値を見出すことができなかったためであると考えられる。LMがプリンタ上で実行された場合は、モデルとプリンタの間にはシステムノイズにより差が発生するため、結果はこれとは異なる。上記の微調整のステップを用いていたら、色番号2に関するGAにより得られた性能を改善することもできたであろう。GAにより得られたソリューションを局部的に検索することができれば、ブラック及びシアンをGAにより決定された値のままにして、マジェンダ及び黄色の入力を均一にスイープすることができる。3Dプロットでアルゴリズムが最適化を試みる表面を示すことができるため、意図的にこれを行う。
【0057】
次のこのケースに関して、u=[CMYKTfTc]とする。但し、Tfは定着器の転写電流を示し、Tcはトナー密度を示す。モデルPを用いて、出力X=[L*a*b*g m、vs]を推定する。前と同じ変数/設定を有する同じ10色のスポットカラーに関するGAアルゴリズムを用いる。実際に変わった点は、4つの入力値の代わりに6つの入力値を用いたことである。図8の表には、このケースに対して得られた結果が示されている。これらの結果を図6の表の結果と比較すると、各色に関する全てのコスト関数JT、が最小化されていることが分かる。これは、複数の対象に関する関数を最小化するために処理される入力値をより多く利用できるためである。図8の中のいくつかのDeltaE2000の値は、図6の中の値より大きいが、m、g、及びvsの全ての値は、図8の中の値より小さいことが分かる。重みを用いて変更可能な交換条件がある。このケースに関して、付加的な処理アクチュエータTf及びTcを使用するため、1つのスポットカラー又はその周囲のスポットカラーのグループに関してのみ最小化を行えばよいことに留意されたい。
【0058】
最後のケースでは、L*、a*、及びb*の値と、図8のGAから得られたNMF、VS、及びVNHFの値とを結合させることにより、スポットカラー毎の設定値が決定される。図8で結果を得た後、制御装置を操作してこれらの結果のさらなる改善を試みる。今度は、対角行列を有する線形二次レギュレータ(LQR)を設計する。この対角行列はQの値Q11=Q22=Q33=5、Q44=Q55=Q66=1、及びRの値R11=R22=R33=R44=R55=R66=0.01を含む。20回の試行の模擬試験を実行して、その結果を図9の表に示す。但し、前回のケースと同様、このGAアルゴリズムはほとんどの色に関して良好なソリューションをもたらしたため、LQRアルゴリズムは番号2の色の性能のみ改善すること可能であった。前回と同様に、その他の色に関する性能が改善されなかった理由は両方のケースに関して同じモデル、即ちLQR及びGAを用いたため、GAが偶然に最小値を見出し、そのためLMアルゴリズムが最小値を見出すことができなかったためである。
【0059】
(処理アクチュエータ及びカラーレシピの最適化)
次に、処理パラメータに対して最も鋭敏性を有する画質属性を有する一連の鋭敏な色の画質属性を改善するために、上記の2ステップによるアプローチを、どのように適用するかについて説明する。このケースに関して、20色の鋭敏な色が選択され、それにプラス14色が追加される(色域の頂点の色)。後者の一連の色は、処理アクチュエータを最適化している間、色域が縮小しないことを保証するために選択する。第1のステップで同時摂動確率近似(SPSA)アルゴリズムを用いる。入力u=[ETAC、FuseTemp、XferCurrent、TC、TA]は、調整するための5つの要素を含む。各色に関するコスト関数は、20色の鋭敏な色に関して
【数26】
とし、残りの色に関して
【数27】
とする式(3)、及び||JT||を用いた最適化により決定する。SPSAに関する試行回数は120回で、模擬試験で用いられるパラメータはλ0=0.007、α1=0.602、α2=0.101及びc=0.01である。各色に関する最初のCMYKの値は、公称の処理設定値における逆プリンタモデル(最大GCRを有するICCディステネーションプロファイル)により決定する。図10には、公称の処理アクチュエータの設定値及び最適な処理アクチュエータの設定値を用いた結果が示されている。図10の上段のプロットでは、各スポットカラーに関する、個々のコスト
【数28】
が示され、処理アクチュエータを最適化したときに、コストが最小化されたことが分かる。中段のプロットでは、各色に関する精度のコスト
【数29】
が示され、下段のプロットでは斑点のコスト
【数30】
が示されている。各スポットに関するコスト
【数31】
の削減が起こる大きな要因は、最初20色(処理設定値に対してより鋭敏な色)に関する斑点のレベルが最小となることである。この模擬試験に関して、この方法を用いて得られた最適な処理アクチュエータの値がその実行可能な値の限度の境界に存在する、即ち、ETAC、定着器の温度、トナー密度、及びトナーエイジは最小値で設定され、転写電流はその最大値で設定されたことに焦点があてられたことは価値がある。通常の装置の操作に関して要求されるその他の規制により、これら限界の設定値を使用することできない。このような場合、下限L及び上限Hは、より妥当な操作範囲に規制される。
【0060】
次に、遺伝的アルゴリズム(GA)を用いて第2のステップを実行して各スポットカラーに関するコストを最小化するソリューション
【数32】
を検索する。これは、第1のステップで得られた最適な処理アクチュエータを用いて実行される。図11には、第1のステップで用いられた同じ
【数33】
の値に関する結果が示されている。但し、両方の変数、即ち処理アクチュエータ及び着色剤レシピを最適化することにより、色の精度及び斑点のレベルは著しく低下した。また、番号21〜番号34の色は、限界の位置する色で、過度にプリンタの色域がアルゴリズムにより縮小しないようプリンタの色域を規制するために選択されているので、これらの色に関するいくつかの画質属性は、ほとんど又は全く改善が望めない。所望すれば、式(3)で相対的な重みを変更して、プリンタの色域に対する好みの画質属性を実現することができ、又その逆も可能である。最適な媒体及びハーフトーンを決定して、入力ベクトルu内の関連する要素を選択することにより、画質属性を最大化するために本明細書の教示を用いることもできることを理解されたい。TRC線形化及びカスタム・プロファイリング関数を作成する直前のセットアップの手順の一部として、この方法を用いることができ、これによりプリント作成に関する他の全ての関数を通常通り実行することができる。
【0061】
図1及び図3の機能ブロック図は説明図であり、全てのモジュールにより実行される、いくらか、又は全ての機能が、専用コンピュータシステムにより全体又は一部として実行可能であることを理解されたい。種々のモジュールは、一つ以上の構成要素を含むことができ、これらの構成要素も、同様に、意図する機能を実行するために設計されたソフトウェア及び/又はハードウェアを含むことができることを理解されたい。モジュールは一つ以上のソフトウェアモジュールをさらに含むことができ、これらのソフトウェアモジュールはオペレーティングシステム、ドライバ、装置コントローラ、及びその他の装置をさらに含むことができ、そのうちのいくらか、又は全てがネットワークを介して接続することができることを理解されたい。
【技術分野】
【0001】
本開示は、ベクトルとして決定された状態を用いて形成される画質の属性の関数を最小にすることによりなる、フィードバック制御をベースとする新しいシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
顧客の需要に対応するため、商業プリント業界では正確で一貫したスポットカラーとカラー画像を作成することが求められる。一般的な4色のCMYKプリンタでは、例えば、スポットカラーのエミュレーションに関してCMYKプリンタ上に所与の色(実験)を描写する際、所望する実験値を作り出すCMYKの値の範囲がある。利用可能なCMYKの範囲は、ある色では(例えば-中間調の中間色)広く、別の色では狭い、又はゼロである(例えば飽和色)。範囲内の各CMYKの値は所望される実験値を作り出すが、そのレシピを用いてプリントされたスポットカラーは、粒状性、斑点、色の安定性、インクコスト等のその他の属性においてかなりの差が生じる可能性がある。したがって、CMYKのレシピを利用可能なレシピの中から選択して、画質の最適化を図ることが所望される。このような技術には、所与の色に関する全ての可能なCMYKレシピを演算し、その中から選択する過程が含まれるため、この最適化を実行する方法はコンピュータに集約される。CMYKレシピの選択によっては、種々の色分類の均一性及びコントラストの違いにより、スポットカラーの外見がノイズを含む可能性がある。あるプリンタ上でのスポットカラーのテストでは、C、M、Y及びKの分類を適切に選択することで、プリントのノイズの出現を抑制し、プリントを滑らかに見せる。正確な色を作り出すだけでなくより滑らかな色を描写する(ノイズの少ない)とき、最適化されたCMYKレシピが価値のあるものと見なされる。
【0003】
従来技術の方法では、最適値を含み得る又は含み得ない開ループでの複数を対象とした最適化が使用されている。このような使用法は既知であるが、同時に複数の画質属性を最小化するフィードバックベースによるアプローチが必要である。色の描写における画質を改善するために、CMYKレシピ及び処理アクチュエータを同時に検索することができるが、最適化は一回に単一の色に対してしか実行されない。そこで、ほとんどのCMYK色が選択された画質属性に関してほぼ最適な状態でプリントされるように、処理アクチュエータを最適な画質属性の設定値に設定する必要がある。
【0004】
したがって、本技術分野では、問題となる色に関する画質属性を同時に最小化するフィードバックループによる制御が必要となる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、ベクトルとして決定された状態を用いて形成される画質の属性の関数を最小にすることによりなる、フィードバック制御をベースとする新しいシステム及び方法に関する。例示的な一実施形態では、対象のカラーマーキング装置上の選択したスポットカラーに関する改善されることが望まれる一連の画質の属性を伴って、一連の問題となるスポットカラーが選択される。選択された関心のあるスポットカラーが対象の装置上で描写されるときに画質属性の関数が最小になるように、対象のカラーマーキング装置に関する処理アクチュエータ及びカラーレシピに関するする設定値が調整される。インライン分光光度計システム(ILS)又は完全/部分的な幅のアレイセンサを用いて色を計測する。フィードバックベースの最小化により、安定性と最適性の両方がもたらされる。本明細書の教示は、プリンタ又はプリンタモデルの両方に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、カラーマーキング装置の制御システムで使用するソリューションを初期化するための例示的な一実施形態の最適化を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1の制御装置の流れ処理を示すフローチャートである。
【図3】図3は、制御装置が必要とする測定値を得ることができるセンサがあればいつでも、直接プリンタに適用可能な実施形態のブロック図である。
【図4】図4は、カラーマーキング装置において画質を改善する本方法の例示的な一実施形態を示すフローチャートである。
【図5】図5は、図4のステップ402に対して考察された、問題となる色を選択する例示的な一実施形態を示すフローチャートである。
【図6】図6は、全累積コストJTを最小化するGAアルゴリズムを用いて得られた結果を示す表である。
【図7】図7は、傾斜降下アルゴリズムに続いて、全累積コストJTを最小化するためのLMアルゴリズムを用いて得られた結果を示す表である。
【図8】図8は、6つの入力値を用いた、全累積コストJTを最小化するためのGAアルゴリズムを用いて得られた結果を示す表である。
【図9】図9は、6つの入力値を用いた、累積コストJTを最小化するためのLQR制御装置を用いて得られた結果を示す表である。
【図10】図10は、公称及び最適な処理アクチュエータに関するコスト関数(上段)、正確さ(中段)、及び斑点のレベル(下段)を比較した、公称及び最適な処理アクチュエータの設定での結果を示すグラフである。
【図11】図11は、初期設定の着色剤レシピを用いた公称の処理アクチュエータと、初期設定の着色剤レシピを用いた最適な処理アクチュエータと、最適な処理アクチュエータ及び着色剤レシピと、に関する公称及び最適なコスト関数(上段)、正確さ(中段)、及び斑点のレベル(下段)を比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
「装置独立型色空間」とは、一般的に色を規定又は示すために使用する、あらゆる標準的な色空間である。
【0008】
「装置依存型色空間」とは、描写装置の特性等の付加的な情報が無ければ、一般に色を規定するために使用できない、非標準的な色空間である。
【0009】
「色分解」とは、対象マーキングシステム着色剤のうちの一つ対応する個々の分離のことを指す。
【0010】
本明細書で用いられる「スポットカラー」とは、単一の分類としてプリントされる、単一のインクにより生成される全ての色を指す。スポットカラー内の均一で正確な色により、顧客の要求に一致させることができるたかどうかを判定可能である。
【0011】
「問題となる色」とは、スポットカラーのライブラリ内の一色以上のスポットカラーで、あらゆるプリント技術を用いてプリントされたハードコピーのサンプルにより規定することができる非標準のスポットカラーもこの中に含まれることを意図する。問題となる色の中には、全色域体積が縮小しないようカラーマーキング装置の色域の頂点の一色以上の色も含まれる。
【0012】
「カラーレシピ」とは、色を配合するための用いられる、処理する色の組合せ(例えば、CMYK又はCMYKOV)のことを指す。N色のプリントシステム(N≧4)では、スポットカラーは一般にグレイ置換(GCR:Gray Component Replacement)を用いて表される。
【0013】
「プリンタモデル」により、対象色空間内の値が装置独立型色空間内の値に変換される。プリンタモデルは、確立した技術を用いて更新することができる4入力3出力の参照表(LUT)の形態をとることができる。
【0014】
「画質属性モデル」とは、所与のカラーマーキング装置に関してカラーレシピ及び処理パラメータと、画像の色及び一連の画質属性と、を関連付ける関数である。
【0015】
「処理パラメータ」とは、デジタル文書再生装置において色を管理するための、一つ以上の操作プロセス、制御装置、又はワークフローの調整、あるいは変更のために用いられる装置の設定値のことを指す。
【0016】
「処理設定値」とは、カラーマーキング装置におけるマーキングエンジンの操作機能を統制する一つ以上の処理パラメータのことを指す。設定値を組合せると、それぞれの一次着色剤の特定な質量レベルにより実現可能な、現像される色の組合せを制限されて装置の色域の限度が決定される。
【0017】
「装置依存型着色剤のアクチュエータ」とは、カラーデジタルプリンタにおける一連のカラーレシピのことを指し、本技術分野では周知である。
【0018】
「画質属性」とは、所与の画質の不具合の数学的表現であり、さらにインクのコストもこれに含むことができる。画質属性は、原色データの基底変動も示すことができ、そこからより高いレベルの画質の測定基準を導くことができる。一連の画質属性には色の不具合と、粒状性、斑点、及び色の安定性のうちの少なくとも一つとが含まれる。
【0019】
「斑点」とは、出力プリント上の色の好ましくない不均一のことを指す。このような不均一は、例えば、ベルトから画像形成面へのトナー転写の不具合により発生する。斑点は、粒状性と似ているが、それより大きな空間規模で発生する。
【0020】
「粒状性」とは、全ての方向に対して一般に1ミリメートル毎に0.4周期より大きな空間周波数周期的な密度の変動を指す。異なる空間周波数範囲、及び/又は異なる色空間(例えば、密度よりはむしろ「L*」で)での測定変動といった別の定義も存在する。
【0021】
「色の安定性」とは、所与の装置依存型色彩に関する出力される色の時間、異なる出力装置間、及び/又は出力画像の異なる部分の間のうちの一つ以上に関する、出力色の変動を特徴づける、多色プリンタの特徴のことを指す。色の安定性の異なる種類を、出力される装置依存型色彩の色域に渡って特徴づけ、モデル化することができる。
【0022】
「カラーマーキング装置」とは、モノクロ又はカラーデジタル文書再生アーキテクチャ、プリンタ/複写機、デジタルプリントプレス、及びその他の多機能書類再生装置を含んだ幅広い種類のデジタル画像システムを指すことを意図する。
【0023】
本明細書で使用される用語「画質属性の関数」には、i番目の色に関する改善すべき画質属性に関する個々のコスト関数の加重和が含まれる。一実施形態において、i番目の色に関する画質属性の関数は下記の式により表される。
【数1】
上記の式で、
【数2】
とはi番目の色を実現するために所望されるコストを示し、
【数3】
はi番目の色に関して選択される画質属性による各コストに割り当てられる重みを示し、
【数4】
は「i番目の色に関して選択される各画質属性に関連するコストを示す。本明細書の種々の実施形態は、||JT||を最小化することに関し、JTは選択される一連の画質属性に対して改善を必要とするM色の問題となる色に関する個々のコスト関数
【数5】
を含むベクトルである。
【0024】
ujはM個の要素を含む入力ベクトルuのj番目の要素を意味する。ベクトルuを与えると、モデルPは、Q個の要素を含む出力ベクトルXを推定する。例えば、ベクトルu=[C、M、Y、K]をモデルPに与えることにより、X=[L*,a*,b*,g,m,vs]が推定される。但し、「L*a*b*」は、推定される色の値を示し、「g、m、vs」は粒状性、斑点(NMFとして数値化された)及び視覚スクリーンの推定レベルをそれぞれ示す。
【0025】
Jaは所与の色を正確に表すコストを示す。Jg、Jm、及びJvsの値は、粒状性、斑点、及び視覚スクリーンにそれぞれ関連するコストを示す。この目的はベクトルuを見出すことであり、このベクトルuを、モデルPに与えると、下記の式で表される全累計コスト関数JTを最小化することができる。:
【数6】
上記の式でwa、wg、wm、及びwvsの値は各コストに割り当てられる正の重みであり、
【数7】
の値は各画質属性に関して実現が望まれるコストである。
【0026】
(フィードバックによる制御システムの実施例)
次に、図1のブロック図100を参照する。このブロック図は、プリンタの制御システム(図3)が用いるソリューションを初期化するために用いられる最適化の一実施形態を示す。プリンタのモデルだけが使用可能な場合は、図1のフィードバック制御装置を最終ソリューションとして使用することができる。図1では、プリンタモデル102は、CMYKの初期設定値を部分的に含むベクトルuを受け取り、一連のL*a*b*の値104を生成し、112、114、及び116でそれぞれ画質属性g、m、vsを生成する。L*、a*、b*の値104は色差生成装置108へ送られる。生成装置108は、一連の対象のL*a*b*の値106とL*a*b*の値104の色差を判定する。一回目の試行では、差分計算回路108により計算された差110(ΔEで示す)を低い精度でベクトルu101を示すコストJaとみなすことができ、続く試行では、低い精度でベクトルu124を示すコストを見なすことができる。選択された一連の画質属性の(112、114、及び116)及び色差110はコスト関数生成装置118へ送られ、そこで全累積コストJT120が決定される。試行ごとに、閾値126により所望される精度のレベルが実現されたかどうか、さもなければ最大試行回数に達したかどうかが判定される。所望される精度が実現された場合は、次いでモジュール126が、値JT、装置依存型着色剤、及び対象画質属性の値g、m、及びvs(128)を記憶装置130に格納し、フィードバックループは処理を終了させる。各試行の後、最適化ブロック122はコストJT120を受け取り、累積コストJTを最小化し、ベクトルu124を出力する。ベクトルu124は、フィードバックとして次の試行を開始するモデル102に送られる。このフィードバックループは、閾値126の条件が一致されるまで続けられる。アクチュエータベクトルであるソリューションu*が、実際のプリンタで試行されてコストを改善するために用いる設定値を含むことができるように、対象の色ごとに種々の処理設定値を変更する必要があることを理解されたい。その実施形態は関しては図3で説明する。
【0027】
次に図2のフローチャートを参照して、図1のフィードバック制御装置の処理をさらに詳しく説明する。この処理はステップ200で始まり、すぐにステップ202へ進む。
【0028】
ステップ202で、一連の画質属性及び処理設定値を選択する。
【0029】
ステップ204で、装置依存型着色剤及び処理設定値の組合せを作る。
【0030】
ステップ206で、装置依存型着色剤及び処理設定値をモデルに入力して、このモデルが個々の一連の画質属性を推定する。あるいは、装置依存型着色剤をプリントし、プリントされた色を計測する手順により画質属性を判定する。
【0031】
ステップ208で、このマップ化に関する全累積コスト(JT)を計算する。
【0032】
ステップ210で、全累積コストが許容閾値レベルに達したかどうか、さもなければ最大試行回数まで行われたかが判定される。許容閾値レベルに達している場合、ステップ212で、最適化を実行して値JTを最小にする。この結果が、新しい装置依存型着色剤の組合せ(CMYK)及び処理設定値となる。この処理はステップ206に対して繰り返され、新しい装置依存型着色剤及び処理設定値が生成され、新しい累積コストが計算される。次いで、新しい累積コストは閾値に対して比較される。閾値条件(ステップ210の条件)と一致する、又は最大試行回数が行われるまで、処理は同様に繰り返される。その後、全累積コストJT、装置依存型着色剤、処理設定値、及び一連の画質属性は記憶装置130に格納される。
【0033】
次に図3の制御システムを参照する。この図では、制御装置が必要とする画質属性を得ることができるセンサがあればいつでも直接プリンタに適用できる実施形態の制御システムのブロック図300が示される。
【0034】
図3では、所与の問題となる色に関する一連のIQの対象302が、それぞれ異なる生成装置304に送られる。IQ対象の例として、例えば、[L*a*b*g,m,vs]を挙げることができる。差分計算装置304が、最初のIQ対象と、計測されたIQの値324との間の差分308を判定する。制御装置310が差分308を受け取り、調整量(Δu)312を生成して初期設定値u*316を作成する。加算装置314が、制御装置により決定された調整量を最初のソリューションの設定u*(図1の)に加算して、その新しい調整値u315をカラーマーキング装置318に送る。プリンタ318が一つのカラーパッチ320をプリントして、これをセンサ322が測定する。センサ322は、インラインセンサ又はオフラインセンサ及び/又は本技術分野では既知のIQ測定装置でよい。センサ322は、画質属性のセットに関するIQ値測定値324を出力する。次いで、これらの測定値は304に送られ、次の試行で、別のソリューションが制御装置310によって判定される。この処理は、プリントされた色が許容可能な品質レベルに達しない限り所定の試行回数の間続けられる。アクチュエータベクトルuが装置依存型着色剤のアクチュエータ及び処理アクチュエータの両方を含んでいることを確認することが重要である。特定のスポットカラーの最適化を切望する顧客がいない限り、処理アクチュエータを、個々のスポットカラーのバイアス上で変更することはできない(これは色にうるさい顧客に関してよく起こる)。従って、問題となるスポットカラーのグループに関する最適化において、処理アクチュエータの変更も含まれる場合、一種の規制/交換条件を設けておく必要がある。ベクトルの入力及び出力を拡張して、個々の装置依存型着色剤のアクチュエータ(CMYK)及び共通の処理アクチュエータを有する色のグループ全体を共に最適化することができる。グループのサイズが大きいとき、容積もすぐに大きくなってしまうことを理解されたい。
【0035】
本明細書の別の実施形態では、二つのレベルを有する制御機構で繰り返して最適化が行われる、外側のループでは共通の処理アクチュエータが用いられ、内側のループでは個々の装置依存型着色剤のアクチュエータが用いられる。内側のループに関するコスト関数は、式(3)と同じであり、外側のループに関するコスト関数は、単純に内側のループ又はそのグループ内の各スポットカラーの「重要性」に基づく加重和に関する全JTの合計と同じである。このような実施形態も、付随する請求項の範囲に含まれることを意図される。
【0036】
(最適化処理設定値の設定)
しかし、このアプローチの一つの短所は、一度に単一の色に対してでしか最適化を行うことができないことである。したがって、ほとんどの色が、その画質属性に関して最適に近い形でプリントされるように、処理アクチュエータが最適な画質属性の設定値でセットアップされる必要がある。そこで次に説明することは、カラー画像の描写において改善された画質属性に対する最適な処理設定値を判定する方法である。画質属性は、上記の斑点、ハーフトーンノイズ、粒状性等の選択された一連の画質パラメータに関して計測される。
【0037】
この実施形態では、処理のセットアップを最適化する方法は、その処理の画質属性のモデルを用いて実行される。装置依存型着色剤の値(CMYK)と、処理パラメータとの間の関数として、画質属性モデルを作成される。L12のスクリーニング計画を用いてパラメトリックモデルを作成することができる。この実施形態では、(1)モデルを用いて画質属性に対する鋭敏性を有する最も鋭敏な色を判定するステップと、(2)あらゆる既知の最適化アルゴリズム(多重回答最適化アルゴリズム)又はパラメトリック最適化アルゴリズムを用いて、最適な処理設定値を計算するステップと、の二つのステップを用いる。
【0038】
(鋭敏な色の判定(ステップ1))
鋭敏な色を識別するために、まずCMYK及び処理パラメータ(アクチュエータとして)を画質属性(反応として)に関連させるモデルを作成する。次いで、問題となる色の各グループ(例えば、PANTONE(登録商標)フォーミュラガイドのコート紙用の色のリストの中のデジタルカラープリンタに関して約560色の色域内の全色)に関して、様々な処理設定値の組合せのもとで対象のL*a*b*を作り出すことができる、あらゆるCMYKの組合せを色のモデルを用いて徹底的に検索する。そして、これらのCMYKの組合せを、対応する処理設定値を有する画質属性のモデルに与えて、所与の色に関して有効な、予測される画質属性の範囲を識別する(画質属性値の範囲が高いほど、その設定でより鋭敏な色が処理される)。次いで、有効な画質属性の範囲に基づいてグループ内の色を順位付けして、次の工程で処理を行うために上位N色(例えば、10)の鋭敏な色を取り出す。但し、色のグループは均一に抽出された色L*a*b*の色域内の一連の色でもよい。ステップ(2)の間に全色域体積が縮小しないよう、必要に応じて色、例えば、その色域の頂点にある色を追加することができる。
【0039】
(最適な処理設定値の計算(ステップ2))
ここで、複数の対象のコスト関数を用いる処理設定値をどのようにして見出して、スポットカラーを描写するときの画質属性を改善するのかを議論する。次に、2ステップのアプローチ(ステップA/B)を説明する。まず、処理アクチュエータを最適化して(ステップA)固定された着色剤レシピを用いて画質属性を改善する。第2のステップ(ステップB)と適用して、第1ステップで得られた処理アクチュエータを固定した状態で、着色剤レシピを変更するための検索を行って、この一連の色に関する画質属性を改善する。これについて以下で説明する。
【0040】
(処理アクチュエータの最適化(ステップA))
値uを5つの要素を含む入力ベクトルとする。入力ベクトルuから得られる出力xを推定するモデルをPに画定させる。この場合、入力ベクトルu=[ETAC、FuseTemp、XferCurrent、TC、TA]を、モデルP(ETACはトナー領域の範囲、FuseTempは定着器の温度、TCはトナー密度、TAはトナー有効期間)に適用したときのxはベクトル[L*a*b*m]である。変数mは画質属性のレベルを示す(この場合、入力ベクトルuを用いたときの画質属性のパラメータとしてNMFで示される斑点)。但し、Pは実際のプリンタに関しても用いることができる。低い精度でi番目のスポットカラーの色を示すためのコストを値
【数8】
とする。NMFとして定数化される斑点のレベルを示すコストを値
【数9】
とする。問題となる色iに関する累積コスト関数
【数10】
は下記に式で表すことができる。
【数11】
但し、値
【数12】
及び値
【数13】
は、個々のコスト及び色に割り当てられる正の重みである。別の因子も問題となる画質属性に応じて式(3)に加えることができる。
【0041】
画質属性の改善を必要とするM色のスポットカラーがあると仮定する。
【数14】
を累積コストの値を含むベクトルをとする。最適化の課題を次のように定式化することができる。L≦u≦Hになるように、(a)u*を見出し、(b)||JT||を最小化する。但し値L及び値Hは、ベクトルuに含まれる各要素に関する下限値、及び上限値であり、演算子「|| ||」はベクトルのノルムを示す。この最適化は全ての着色剤レシピが固定されている間に行われる。
【0042】
(着色剤レシピの最適化(ステップB))
値
【数15】
を4つの要素を含む入力ベクトルとする。Pcに入力ベクトル
【数16】
から得られる出力
【数17】
を推計するモデルを画定させる。この場合、入力ベクトル
【数18】
が、モデルPcに適用されたとき、値
【数19】
はベクトル
【数20】
となる。但し、値Pcを実際のプリンタに対して用いることもできる。問題となる各色iに関する累積コストの関数
【数21】
は式(3)で表すことができる。従って最適化の課題は次のようになる。(a)値
【数22】
を見出し、(b)値
【数23】
を最小化して
【数24】
となるようにする。但し処理アクチュエータの入力値は上記で得られる全ての入力値、即ち、値u*に固定される。
【0043】
次に図4のフローチャートを参照して、このカラーマーキング装置において画質を改善する方法の例示的な一実施形態を説明する。この方法ステップ400で始まり、処理はすぐにステップ402に進む。
【0044】
ステップ402で、一連の問題となるスポットカラーが選択される。一連の問題となるスポットカラーは、スポットカラーのライブラリからの一つ以上のスポットカラーでよく、ハードコピーのサンプルにより規定された非標準のスポットカラーを含むこともできる。このハードコピーのサンプルは、例えば、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、乾式複写、インクジェット等のプリント技術を用いてプリントすることができる。カラーマーキング装置の色域体積全体が縮小しないように、選択された一連の問題となる色には、色域の頂点にある一つ以上の色が含まれる。ユーザは、コンピュータのワークステーションを用いて、一連の問題となる色を選択することができる、又は遠隔装置から有線又は無線のネットワークを介してそれらを受け取ることができる。図5のフローチャートを参照して、ある実施形態に関する問題となる色の選択について説明する。
【0045】
次に、図5のフローチャートを手短に参照して、図4のステップ402に対して説明した例示的な一実施形態に関する問題となる色の選択について説明する。処理は、ステップ500で始まり、すぐにステップ502へ進む。
【0046】
ステップ502で、問題となる色のグループから第1の色を選択する。ある実施形態では、問題となる色のグループは、均一に抽出された色域内の一連の色を含む。別の実施形態では、色域体積全体が縮小しないように、色のグループはカラーマーキング装置に色域の頂点にある色を含む。
【0047】
ステップ504で、色と処理設定値のモデルを用いて、異なる処理設定値の組合せのもとで、その色を作り出すことができる全てのカラーレシピの組合せを選択する。
【0048】
ステップ506で、問題となる色のグループから処理するべき色がまだ残っているかどうかを判定する。残っている場合、次にこの処理がステップ502に対して繰り返され、問題となる色グループから次の色が取り出される。次の色に関して、再度色と処理設定値のモデルを用いて、異なる処理設定値の組合せのもとで、この色を作成できる全てのカラーレシピの組合せを選択する。この処理は、次の色に対しても繰り返され、問題となる色グループ内の全ての色が処理されて、それにしたがって色毎のレシピの組合せが選択されるまで続く。
【0049】
ステップ508で、選択されたカラーレシピの組合せを、それに対応する処理設定値と共に、画質属性モデルに通して処理設定値に対する画質属性の鋭敏性を判定する。
【0050】
ステップ510で、ステップ508で判定された各色の鋭敏性に基づいて、これらの色を順位付けされる。
【0051】
ステップ512で、鋭敏性の範囲の順位に基づいて、一部の色を選択する。これらの色が、選択された問題となる色となる。
【0052】
ここで、図4のフローチャートを再度参照する。
【0053】
ステップ404で、それらは選択された問題となる色に対して改善されることが望まれる一連の画質属性を選択する。本明細書の種々の実施形態において、画質属性には、色の不具合と、粒状性、斑点、及び色の安定性のうちの少なくとも一つと、が含まれる。問題となる色に関する、その他の画質属性を選んで改善することができることは言うまでもない。このような属性を追加することも、付随する請求項の範囲に含まれる。
【0054】
ステップ406で、問題となる色がカラーマーキング装置上で描写されるとき、画質属性のコスト関数が最小になるように、カラーマーキング装置の処理アクチュエータ及びカラーレシピに関する設定値を調整する。処理設定値は、例えば、感光体の電圧、ドナーロール及び磁気ロールの電圧、定着器の温度、転写電流、トナー密度、媒体、及びハーフトーンでよい。種々の実施形態において、処理設定値及びカラーレシピの調整には、カラーレシピの値及び処理アクチュエータを、画像の色及び画質属性に関連付ける、色と画質の属性モデルが用いられる。ある実施形態では、式(1)に関して説明した通り、画質属性の関数には、問題となるi番目の色に対して改善されることが望まれる個々の画質属性の関数の加重和が含まれる。その後、この実施形態では、さらに処理は終了する。
実行の結果
【0055】
ソリューションのベクトルu=[CMYK]とした。モデルPを用いて出力ベクトルX=[L*a*b*gm、vs]を推定した。重みをwa=5、wg=5、wm=wvs=1として式(2)を最適化のための複数の対象のコスト関数として用いることで、色の精度の値Jaをより強調した。問題となる色を正確に再生するためのコストの値Jaは、DeltaE2000の式で得られる。値Jgは粒状のレベルである。値Jmは斑点のレベルである。値Jvsは視覚スクリーンのレベルである。最初に、所望するコストの対象
【数25】
を設定する。遺伝的アルゴリズム(GA)を用いて、10色の問題となるスポットカラーのグループに関する全累積コスト関数JTを最小化するソリューションのベクトルu*を捜索する。このケースで得られたソリューションを図6の表に示す。601の欄には、精度をだけを考慮したときに所望される値L*a*b*が示されている。値JTを選択することで、得られた結果は602の欄に示されている。但し、色8及び色10では、良好なDeltaE2000の数字が得られていない。
【0056】
次に、601の欄のL*、a*、及びb*の値と、GAから得られた(図6の)NMF、VS、及びVNHFの値を結合させることにより、各スポットカラーの設定値を決定する。それに加えて、GAにより得られた結果である値u*を制御アルゴリズム、即ちレーベンベルグ・マルカート(LM:Levenberg−Marquardt)法の初期値として用いて、前回の結果に対して改善するよう試みる。次いで、各色に関する新しい累積コストJTの値は、GAを用いて得られる値と比較される。試行ごとにこの比較が行われる。この値が閾値より小さい場合、新しいソリューションu*LMが記憶され、それ以外ならこの新しいソリューションは破棄され、新しい試行が行われ最大試行回数20までこれが繰り返される。図7の表には、その結果が示されている。そこでは、色2及び色4に関するコストJTの値が改善されていることが分かる。その他の色に関する性能が改善されなかった理由は、両方のケースに関して同じモデル、即ちLM、及びGAを用いたため、GAが偶然に最小値を見出し、そのためLMアルゴリズムが最小値を見出すことができなかったためであると考えられる。LMがプリンタ上で実行された場合は、モデルとプリンタの間にはシステムノイズにより差が発生するため、結果はこれとは異なる。上記の微調整のステップを用いていたら、色番号2に関するGAにより得られた性能を改善することもできたであろう。GAにより得られたソリューションを局部的に検索することができれば、ブラック及びシアンをGAにより決定された値のままにして、マジェンダ及び黄色の入力を均一にスイープすることができる。3Dプロットでアルゴリズムが最適化を試みる表面を示すことができるため、意図的にこれを行う。
【0057】
次のこのケースに関して、u=[CMYKTfTc]とする。但し、Tfは定着器の転写電流を示し、Tcはトナー密度を示す。モデルPを用いて、出力X=[L*a*b*g m、vs]を推定する。前と同じ変数/設定を有する同じ10色のスポットカラーに関するGAアルゴリズムを用いる。実際に変わった点は、4つの入力値の代わりに6つの入力値を用いたことである。図8の表には、このケースに対して得られた結果が示されている。これらの結果を図6の表の結果と比較すると、各色に関する全てのコスト関数JT、が最小化されていることが分かる。これは、複数の対象に関する関数を最小化するために処理される入力値をより多く利用できるためである。図8の中のいくつかのDeltaE2000の値は、図6の中の値より大きいが、m、g、及びvsの全ての値は、図8の中の値より小さいことが分かる。重みを用いて変更可能な交換条件がある。このケースに関して、付加的な処理アクチュエータTf及びTcを使用するため、1つのスポットカラー又はその周囲のスポットカラーのグループに関してのみ最小化を行えばよいことに留意されたい。
【0058】
最後のケースでは、L*、a*、及びb*の値と、図8のGAから得られたNMF、VS、及びVNHFの値とを結合させることにより、スポットカラー毎の設定値が決定される。図8で結果を得た後、制御装置を操作してこれらの結果のさらなる改善を試みる。今度は、対角行列を有する線形二次レギュレータ(LQR)を設計する。この対角行列はQの値Q11=Q22=Q33=5、Q44=Q55=Q66=1、及びRの値R11=R22=R33=R44=R55=R66=0.01を含む。20回の試行の模擬試験を実行して、その結果を図9の表に示す。但し、前回のケースと同様、このGAアルゴリズムはほとんどの色に関して良好なソリューションをもたらしたため、LQRアルゴリズムは番号2の色の性能のみ改善すること可能であった。前回と同様に、その他の色に関する性能が改善されなかった理由は両方のケースに関して同じモデル、即ちLQR及びGAを用いたため、GAが偶然に最小値を見出し、そのためLMアルゴリズムが最小値を見出すことができなかったためである。
【0059】
(処理アクチュエータ及びカラーレシピの最適化)
次に、処理パラメータに対して最も鋭敏性を有する画質属性を有する一連の鋭敏な色の画質属性を改善するために、上記の2ステップによるアプローチを、どのように適用するかについて説明する。このケースに関して、20色の鋭敏な色が選択され、それにプラス14色が追加される(色域の頂点の色)。後者の一連の色は、処理アクチュエータを最適化している間、色域が縮小しないことを保証するために選択する。第1のステップで同時摂動確率近似(SPSA)アルゴリズムを用いる。入力u=[ETAC、FuseTemp、XferCurrent、TC、TA]は、調整するための5つの要素を含む。各色に関するコスト関数は、20色の鋭敏な色に関して
【数26】
とし、残りの色に関して
【数27】
とする式(3)、及び||JT||を用いた最適化により決定する。SPSAに関する試行回数は120回で、模擬試験で用いられるパラメータはλ0=0.007、α1=0.602、α2=0.101及びc=0.01である。各色に関する最初のCMYKの値は、公称の処理設定値における逆プリンタモデル(最大GCRを有するICCディステネーションプロファイル)により決定する。図10には、公称の処理アクチュエータの設定値及び最適な処理アクチュエータの設定値を用いた結果が示されている。図10の上段のプロットでは、各スポットカラーに関する、個々のコスト
【数28】
が示され、処理アクチュエータを最適化したときに、コストが最小化されたことが分かる。中段のプロットでは、各色に関する精度のコスト
【数29】
が示され、下段のプロットでは斑点のコスト
【数30】
が示されている。各スポットに関するコスト
【数31】
の削減が起こる大きな要因は、最初20色(処理設定値に対してより鋭敏な色)に関する斑点のレベルが最小となることである。この模擬試験に関して、この方法を用いて得られた最適な処理アクチュエータの値がその実行可能な値の限度の境界に存在する、即ち、ETAC、定着器の温度、トナー密度、及びトナーエイジは最小値で設定され、転写電流はその最大値で設定されたことに焦点があてられたことは価値がある。通常の装置の操作に関して要求されるその他の規制により、これら限界の設定値を使用することできない。このような場合、下限L及び上限Hは、より妥当な操作範囲に規制される。
【0060】
次に、遺伝的アルゴリズム(GA)を用いて第2のステップを実行して各スポットカラーに関するコストを最小化するソリューション
【数32】
を検索する。これは、第1のステップで得られた最適な処理アクチュエータを用いて実行される。図11には、第1のステップで用いられた同じ
【数33】
の値に関する結果が示されている。但し、両方の変数、即ち処理アクチュエータ及び着色剤レシピを最適化することにより、色の精度及び斑点のレベルは著しく低下した。また、番号21〜番号34の色は、限界の位置する色で、過度にプリンタの色域がアルゴリズムにより縮小しないようプリンタの色域を規制するために選択されているので、これらの色に関するいくつかの画質属性は、ほとんど又は全く改善が望めない。所望すれば、式(3)で相対的な重みを変更して、プリンタの色域に対する好みの画質属性を実現することができ、又その逆も可能である。最適な媒体及びハーフトーンを決定して、入力ベクトルu内の関連する要素を選択することにより、画質属性を最大化するために本明細書の教示を用いることもできることを理解されたい。TRC線形化及びカスタム・プロファイリング関数を作成する直前のセットアップの手順の一部として、この方法を用いることができ、これによりプリント作成に関する他の全ての関数を通常通り実行することができる。
【0061】
図1及び図3の機能ブロック図は説明図であり、全てのモジュールにより実行される、いくらか、又は全ての機能が、専用コンピュータシステムにより全体又は一部として実行可能であることを理解されたい。種々のモジュールは、一つ以上の構成要素を含むことができ、これらの構成要素も、同様に、意図する機能を実行するために設計されたソフトウェア及び/又はハードウェアを含むことができることを理解されたい。モジュールは一つ以上のソフトウェアモジュールをさらに含むことができ、これらのソフトウェアモジュールはオペレーティングシステム、ドライバ、装置コントローラ、及びその他の装置をさらに含むことができ、そのうちのいくらか、又は全てがネットワークを介して接続することができることを理解されたい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラーマーキング装置における画質を改善する方法であって、
一連の問題となるスポットカラーを選択するステップと、
前記選択された問題となる色に関する、改善されることが望まれる一連の画質属性を選択するステップと、
前記カラーマーキング装置を用いて前記選択された問題となる色が描写されたときに前記画質属性の関数が最小になるように、カラーマーキング装置の処理アクチュエータ及びカラーレシピに関する設定値を調整するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記一連の画質属性には、色の不具合と、粒状性、斑点、及び色の安定性のうちの少なくとも一つと、が含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記処理設定値及び前記カラーレシピを調整するステップには、カラーレシピの値及び処理アクチュエータを、画の像色及び前記画質属性に関連づける、色と画質属性のモデルを用いることが含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記処理設定値には、感光体の電圧、ドナー及び磁気ロールの電圧、定着器の温度、転写電流、トナー密度、媒体、及びハーフトーンのうちのいずれかが含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記一連の問題となるスポットカラーを選択するステップには、
問題となる色の各グループ内の各色に関して、異なる処理設定値の組合せのもとで、カラーモデルを用いてその色を作り出す全てのカラーレシピの組合せを選択することと、
前記選択されたカラーレシピの各組合せを、それらに対応する処理設定値と共に、前記処理設定値に対する前記画質属性モデルに通して、前記処置設定値に対する前記画質属性の鋭敏性を判定することと、
判定された各色の鋭敏性に基づいて前記色を順位付けすることと、
それらの順位に基づいて一部の前記色を選択することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
カラーマーキング装置上で改善されたスポットカラーの描写を行うフィードバック制御システムであって、
メモリ及び記憶媒体と、
前記記憶媒体及び前記メモリと通信するプロセッサであって、前記プロセッサは方法を行うためのマシン可読命令を実行し、前記方法は、
一連の問題となるスポットカラーを選択するステップと、
前記選択された問題となるスポットカラーに関する、改善されることが望まれる一連の画質属性を選択するステップと、
前記カラーマーキング装置を用いて前記選択された問題となる色が描写されたときに前記画質属性の関数が最小となるように、カラーマーキング装置の処理アクチュエータ及びカラーレシピに関する設定値を調整するステップを含む、プロセッサと、を含むシステム。
【請求項7】
前記一連の画質属性には、色の不具合と、粒状性、斑点、及び色の安定性のうちの少なくとも一つと、が含まれる、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記処理設定値及び前記カラーレシピを調整するステップには、カラーレシピの値及び処理アクチュエータを、画像の色及び前記画質属性に関連づける、色と画質属性のモデルを用いることが含まれる、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記処理設定値には、感光体の電圧、ドナー及び磁気ロールの電圧、定着器の温度、転写電流、トナー密度、媒体、及びハーフトーンのうちのいずれかが含まれる、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記一連の問題となるスポットカラーを選択するステップには、
問題となる色の各グループ内の各色に関して、色のモデルを用いて異なる処理設定値の組合せのもとで、その色を作り出す全てのカラーレシピの組合せを選択することと、
前記選択されたカラーレシピの組合せを、それらに対応する処理設定値と共に、前記画質属性モデルに通して、前記処理設定値に対する前記画質属性の鋭敏性を判定することと、
各色の判定された鋭敏性に基づいて前記色を順位付けすることと、
それらの順位に基づいて前記一部の色を選択することが含まれる、請求項6に記載のシステム。
【請求項1】
カラーマーキング装置における画質を改善する方法であって、
一連の問題となるスポットカラーを選択するステップと、
前記選択された問題となる色に関する、改善されることが望まれる一連の画質属性を選択するステップと、
前記カラーマーキング装置を用いて前記選択された問題となる色が描写されたときに前記画質属性の関数が最小になるように、カラーマーキング装置の処理アクチュエータ及びカラーレシピに関する設定値を調整するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記一連の画質属性には、色の不具合と、粒状性、斑点、及び色の安定性のうちの少なくとも一つと、が含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記処理設定値及び前記カラーレシピを調整するステップには、カラーレシピの値及び処理アクチュエータを、画の像色及び前記画質属性に関連づける、色と画質属性のモデルを用いることが含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記処理設定値には、感光体の電圧、ドナー及び磁気ロールの電圧、定着器の温度、転写電流、トナー密度、媒体、及びハーフトーンのうちのいずれかが含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記一連の問題となるスポットカラーを選択するステップには、
問題となる色の各グループ内の各色に関して、異なる処理設定値の組合せのもとで、カラーモデルを用いてその色を作り出す全てのカラーレシピの組合せを選択することと、
前記選択されたカラーレシピの各組合せを、それらに対応する処理設定値と共に、前記処理設定値に対する前記画質属性モデルに通して、前記処置設定値に対する前記画質属性の鋭敏性を判定することと、
判定された各色の鋭敏性に基づいて前記色を順位付けすることと、
それらの順位に基づいて一部の前記色を選択することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
カラーマーキング装置上で改善されたスポットカラーの描写を行うフィードバック制御システムであって、
メモリ及び記憶媒体と、
前記記憶媒体及び前記メモリと通信するプロセッサであって、前記プロセッサは方法を行うためのマシン可読命令を実行し、前記方法は、
一連の問題となるスポットカラーを選択するステップと、
前記選択された問題となるスポットカラーに関する、改善されることが望まれる一連の画質属性を選択するステップと、
前記カラーマーキング装置を用いて前記選択された問題となる色が描写されたときに前記画質属性の関数が最小となるように、カラーマーキング装置の処理アクチュエータ及びカラーレシピに関する設定値を調整するステップを含む、プロセッサと、を含むシステム。
【請求項7】
前記一連の画質属性には、色の不具合と、粒状性、斑点、及び色の安定性のうちの少なくとも一つと、が含まれる、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記処理設定値及び前記カラーレシピを調整するステップには、カラーレシピの値及び処理アクチュエータを、画像の色及び前記画質属性に関連づける、色と画質属性のモデルを用いることが含まれる、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記処理設定値には、感光体の電圧、ドナー及び磁気ロールの電圧、定着器の温度、転写電流、トナー密度、媒体、及びハーフトーンのうちのいずれかが含まれる、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記一連の問題となるスポットカラーを選択するステップには、
問題となる色の各グループ内の各色に関して、色のモデルを用いて異なる処理設定値の組合せのもとで、その色を作り出す全てのカラーレシピの組合せを選択することと、
前記選択されたカラーレシピの組合せを、それらに対応する処理設定値と共に、前記画質属性モデルに通して、前記処理設定値に対する前記画質属性の鋭敏性を判定することと、
各色の判定された鋭敏性に基づいて前記色を順位付けすることと、
それらの順位に基づいて前記一部の色を選択することが含まれる、請求項6に記載のシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−9369(P2013−9369A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−132422(P2012−132422)
【出願日】平成24年6月11日(2012.6.11)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月11日(2012.6.11)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】
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