説明

フェニルピロールアミノグアニヂン誘導体

本発明はその互変異性形を含む、一般式(I)のフェニルピロールアミノグアニヂン誘導体又はその医薬として許容される塩に関し、ここでnは1、2又は3である。本発明はさらにメラノコルチン受容体又は関連する系、例えば、メラニン形成細胞刺激ホルモンに関連する疾患の治療のための上記フェニルピロールアミノグアニヂン誘導体の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明はフェニルピロールアミノグアニヂン誘導体に関する。本発明はさらにメラノコルチン受容体又は関連する系、例えば、メラニン形成細胞刺激ホルモンに関連する疾患の治療のための上記フェニルピロールアミノグアニヂン誘導体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
メラノコルチン(MC)受容体に高い特異的結合を示すいくつかの大きな直鎖状及び環状ペプチドは本分野において知られる。これらのペプチドのアゴニストの及び/又はアンタゴニストの特性もまた知られる。例えば、WO 99/21571を参照のこと。
【0003】
さらに、MC受容体に対して活性を示すいくつかの低分子量化合物、例えば、イソキノリン、スピロピリヂン及びベンズイミダゾールが知られる。例えば、WO 99/55679、WO 99/64002及びWO 01/05401を参照のこと。MC受容体に対してはたらく他の化合物を開示するさらなる文献について、引用はWO 00/74679、WO 00/58361、WO 02/18327、WO 02/12166、WO 01/55106、WO 01/55107、WO 01/55109、WO 02/11715及びWO 02/12178についてなされる。
【0004】
しかしながら、MC受容体に対してアゴニストの又はアンタゴニストの特性を示す低分子量化合物を提供する大きな必要性がまだある。本発明に係る化合物は上記に挙げられる化合物とは構造的に異なり、及びその結果、MC受容体に対して活性を示す新しいクラスの化合物を構成する。
【0005】
本発明に係る化合物に対していくらかの構造的関係を有する先行技術化合物はWO 98/23267中に示される化合物を含む:
【化1】

このヒドロキシグアニヂン誘導体はキサンチンオキシダーゼ/キサンチンデヒドロゲナーゼ酵素に対して証明された活性を有する。
【0006】
同様に、WO 03/013509中に開示される化合物は抗炎症特性及びMC受容体に対する顕著なアフィニティを示す。WO 03/013509中に開示される化合物の一般的な構造は以下のとおりである:
【化2】

ここでXは(CH2nであり、及びnは0、1又は2である。
【0007】
本発明に係る化合物はピロール環のアミノグアニヂン置換基がアミノグアニヂン置換基中に存在する炭素原子の周りの最小限の回転自由のみを許容する、より固定した構造に改変されている点で、WO 03/013509中に開示される化合物とは異なる。
【発明の概要】
【0008】
発明の要約
したがって、第一の局面において、本発明はその互変異性形を含む一般式(I)の化合物
【化3】

又はその医薬として許容される塩に関し、ここで
nは1、2又は3である;
それぞれのR1、R2、R3、R4及びR5は水素、場合により置換されるC1-6−アルキル、場合により置換されるC3-6−シクロアルキル、場合により置換されるC2-6−アルケニル、場合により置換されるC4-6−アルカヂエニル、場合により置換されるC2-6−アルキニル、ヒドロキシ、場合により置換されるC1-6−アルコキシ、場合により置換されるC2-6−アルケニルオキシ、カルボキシ、場合により置換されるC1-6−アルコキシカルボニル、場合により置換されるC1-6−アルキルカルボニル、フォルミル、C1-6−アルキルスルフォニルアミノ、場合により置換されるアリール、場合により置換されるアリールオキシカルボニル、場合により置換されるアリールオキシ、場合により置換されるアリールカルボニル、場合により置換されるアリールアミノ、アリールスルフォニルアミノ、場合により置換されるヘテロアリール、場合により置換されるヘテロアリールオキシカルボニル、場合により置換されるヘテロアリールオキシ、場合により置換されるヘテロアリールカルボニル、場合により置換されるヘテロアリールアミノ、ヘテロアリールスルフォニルアミノ、場合により置換されるヘテロシクリル、場合により置換されるヘテロシクリルオキシカルボニル、場合により置換されるヘテロシクリルオキシ、場合により置換されるヘテロシクリルカルボニル、場合により置換されるヘテロシクリルアミノ、ヘテロシクリルスルフォニルアミノ、アミノ、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノ、カルバモイル、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノカルボニル、アミノ−C1-6−アルキル−アミノカルボニル、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノ−C1-6−アルキル−アミノカルボニル、C1-6−アルキルカルボニルアミノ、アミノ−C1-6−アルキル−カルボニルアミノ、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノ−C1-6−アルキル−カルボニルアミノ、シアノ、グアニヂノ、カルバミド、C1-6−アルカノイルオキシ、C1-6−アルキルスルフォニル、C1-6−アルキルスルフィニル、C1-6−アルキルスルフォニル−オキシ、アミノスルフォニル、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノスルフォニル、ニトロ、場合により置換されるC1-6−アルキルチオ及びハロゲンから成る群から独立に選択される、
【0009】
ここでどの窒素結合C1-6−アルキルもヒドロキシ、C1-6−アルコキシ、C2-6−アルケニルオキシ、アミノ、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノ、カルボキシ、C1-6−アルキルカルボニルアミノ、ハロゲン、C1-6−アルキルチオ、C1-6−アルキル−スルフォニル−アミノ又はグアニヂンで場合により置換される;
【0010】
それぞれのR6及びR7は水素、場合により置換されるC1-6−アルキル、場合により置換されるC2-6−アルケニル、場合により置換されるC4-6−アルカヂエニル、場合により置換されるC2-6−アルキニル、場合により置換されるC1-6−アルコキシカルボニル、場合により置換されるC1-6−アルキルカルボニル、場合により置換されるアリール、場合により置換されるアリールオキシカルボニル、場合により置換されるアリールカルボニル、場合により置換されるヘテロアリール、場合により置換されるヘテロアリールオキシカルボニル、場合により置換されるヘテロアリールカルボニル、アミノカルボニル、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノカルボニル、アミノ−C1-6−アルキル−アミノカルボニル及びモノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノ−C1-6−アルキル−アミノカルボニルから成る群から独立に選択される;又はR6及びR7は共に5−又は6−員窒素含有環を形成しうる。
【0011】
さらなる局面において、本発明は本発明に係る化合物及び医薬として許容される担体又は賦形剤を含む医薬組成物に関する。
またさらなる局面において、本発明は本発明に係る医薬組成物を含む投与形態に関する。
さらに他の局面において、本発明は医薬としての使用のための本発明に係る化合物に関する。
またさらなる局面において、本発明は炎症状態、例えば、急性又は慢性炎症状態、真性糖尿病、インスリン抵抗性、男性勃起の機能障害を含む性機能障害、食欲不振を含む摂食障害、肥満、精神障害、内分泌系の機能障害、血液及びリンパ系の薬物誘発障害、アレルギー性障害、心血管系の障害及び痛みから成る群から選択される疾患の治療のための医薬の製造のための本発明に係る化合物の使用に関する。
【0012】
類推されるように、本発明はまた炎症状態、例えば、急性又は慢性炎症状態、真性糖尿病、インスリン抵抗性、雄性勃起の機能障害を含む性機能障害、食欲不振を含む摂食障害、肥満、精神障害、内分泌系の機能障害、血液及びリンパ系の薬物誘発障害、アレルギー性障害、心血管系の障害及び痛みから成る群から選択される疾患又は障害を有する哺乳類の治療方法にも関し、前記方法は前記哺乳類に治療的に有効な量の本発明に係る化合物を投与することを含む。
本発明の他の局面は付属の請求項及び以下の説明から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1−1】特異的なフェニルピロールアミノグアニヂン誘導体を示す。
【図1−2】特異的なフェニルピロールアミノグアニヂン誘導体を示す。
【図1−3】特異的なフェニルピロールアミノグアニヂン誘導体を示す。
【図1−4】特異的なフェニルピロールアミノグアニヂン誘導体を示す。
【図1−5】特異的なフェニルピロールアミノグアニヂン誘導体を示す。
【図1−6】特異的なフェニルピロールアミノグアニヂン誘導体を示す。
【図1−7】特異的なフェニルピロールアミノグアニヂン誘導体を示す。
【図1−8】特異的なフェニルピロールアミノグアニヂン誘導体を示す。
【図1−9】特異的なフェニルピロールアミノグアニヂン誘導体を示す。
【図1−10】特異的なフェニルピロールアミノグアニヂン誘導体を示す。
【図1−11】特異的なフェニルピロールアミノグアニヂン誘導体を示す。
【図1−12】特異的なフェニルピロールアミノグアニヂン誘導体を示す。
【図2】図2は本発明に係る化合物2、[1−(2−ニトロフェニル)−1H−ピロール−2−イル−アリリデンアミノ]グアニヂニウム酢酸塩(図1、構造番号19を参照のこと)への合成経路を示す。
【図3】図3は本発明に係る化合物3、[1−(2−ブロモフェニル)−1H−ピロール−2−イル−アリリデンアミノ]グアニヂニウム酢酸塩(図1、構造番号53を参照のこと)への合成経路を示す。
【図4】図4はMC1受容体分析(本明細書中の実施例3を参照のこと)において本発明に係る化合物3、[1−(2−ブロモフェニル)−1H−ピロール−2−イル−アリリデンアミノ]グアニヂニウム酢酸塩(図1、構造番号53を参照のこと)について得られた競合曲線を示す。X軸はlog[化合物]を示し、及びY軸は%での特異的結合を示す。
【図5】図5は雄ラットへの単一の静脈内投与後の血漿中の本発明に係る化合物1、[1−(4−クロロフェニル)−1H−ピロール−2−イル−アリリデンアミノ]グアニヂニウム酢酸塩(図1、構造番号1を参照のこと)の平均濃度を示す。標的投与値:10mg/kg。結果はng/mLとして表される。
【図6】図6は雄ラットへの単一の静脈内投与後の血漿中の本発明に係る化合物3、[1−(2−ブロモフェニル)−1H−ピロール−2−イル−アリリデンアミノ]グアニヂニウム酢酸塩(図1、構造番号53を参照のこと)の平均濃度を示す。標的投与値:10mg/kg。結果はng/mLとして表される。
【図7】図7は雄ラットへの単一の静脈内投与後の血漿中の本発明に係る化合物2、[1−(2−ニトロフェニル)−1H−ピロール−2−イル−アリリデンアミノ]グアニヂニウム酢酸塩(図1、構造番号19を参照のこと)の平均濃度を示す。標的投与値:10mg/kg。結果はng/mLとして表される。
【図8】図8は雄ラットへの単一の経口投与後の血漿中の本発明に係る化合物1、[1−(4−クロロフェニル)−1H−ピロール−2−イル−アリリデンアミノ]グアニヂニウム酢酸塩(図1、構造番号1を参照のこと)の平均濃度を示す。標的投与値:10mg/kg。結果はng/mLとして表される。
【図9】図9は雄ラットへの単一の経口投与後の血漿中の本発明に係る化合物3、[1−(2−ブロモフェニル)−1H−ピロール−2−イル−アリリデンアミノ]グアニヂニウム酢酸塩(図1、構造番号53を参照のこと)の平均濃度を示す。標的投与値:10mg/kg。結果はng/mLとして表される。
【図10】図10は雄ラットへの単一の経口投与後の血漿中の本発明に係る化合物2、[1−(2−ニトロフェニル)−1H−ピロール−2−イル−アリリデンアミノ]グアニヂニウム酢酸塩(図1、構造番号19を参照のこと)の平均濃度を示す。標的投与値:10mg/kg。結果はng/mLとして表される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の詳細な説明
定義
本文脈において、用語「C1-6−アルキル」はメチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、第二−ブチル、第三−ブチル、n−ペンチル、イソ−ペンチル、ネオ−ペンチル及びn−ヘキシルの如き1〜6の炭素原子を有する直鎖の又は有枝鎖の炭化水素基を意味すると意図され、及び用語「C1-4−アルキル」は1〜4の炭素原子を有する直鎖の又は有枝鎖の炭化水素基、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、第二−ブチル及び第三−ブチルを含むと意図される。
【0015】
用語「C1-6−アルキル」が本明細書中で使用されるときはいつでも、その特に興味深い態様は「C1-4−アルキル」であることが理解されるべきである。
本明細書中で使用されるとき、用語「C3-6−シクロアルキル」はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルの如き3〜6の炭素原子を有する環状炭化水素基を意味すると意図される。
同様に、用語「C2-6−アルケニル」及び「C4-6−アルカヂエニル」はそれぞれ2〜6及び4〜6の炭素原子を有する、及びそれぞれ1及び2の不飽和結合を含む直鎖の又は有枝鎖の炭化水素基を含むと意図される。アルケニル基の例はビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル及びヘキセニルである。アルカヂエニル基の例はブタヂエニル、ペンタヂエニル及びヘキサヂエニルを含む。アルケニルの好ましい例はビニル、アリル及びブテニル、特にアリルである。
【0016】
本文脈において、用語「C2-6−アルキニル」は2〜6の炭素原子を有する及び1以上の三重結合を含む直鎖の又は有枝鎖の炭化水素基を意味すると意図される。
2-6−アルキニル基の例示的な例はアセチレン、プロピニル、ブチニル、及びこれらの有枝形を含む。不飽和(三重結合)の位置は炭素鎖に沿ってどの位置でもありうる。当業者に知られるように「C2-6−アルキニル」はヂ−イン又はエンヂ−インであるので、1超の結合は不飽和でありうる。
【0017】
本明細書中で使用されるとき、用語「C1-6−アルコキシ」はメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソ−プロポキシ、n−ブトキシ、イソ−ブトキシ、第二−ブトキシ、第三−ブトキシ、n−ペントキシ、イソ−ペントキシ、ネオ−ペントキシ及びn−ヘキソキシの如き、C1-6−アルキル−オキシを意味すると意図され、及び用語「C1-4−アルコキシ」はC1-4−アルキル−オキシ、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソ−プロポキシ、n−ブトキシ、イソ−ブトキシ、第二−ブトキシ及び第三−ブトキシを意味すると意図される。
用語「C1-6−アルコキシ」が本明細書中で使用されるときはいつでも、その特に興味深い態様は「C1-4−アルコキシ」であることが理解されるべきである。
そのように、用語「C2-6−アルケニル−オキシ」はC2-6−アルケニル−オキシを意味すると意図される。
本明細書中で、用語「ハロゲン」はフルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードを含む。詳細には、フルオロ、クロロ及びブロモは好ましい。
【0018】
本文脈において、すなわち、用語「アルキル」、「アルケニル」、「アルカヂエニル」及び「アルキニル」に関連して、用語「場合により置換される」は問題の基は(不飽和炭素原子に結合されるとき互変異性ケト形で存在しうる)ヒドロキシ、C1-6−アルコキシ、C2-6−アルケニルオキシ、カルボキシ、(ケト又はアルデヒド官能基を形成する)オキソ、C1-6−アルコキシカルボニル、C1-6−アルキルカルボニル、フォルミル、アリール、アリールオキシ−カルボニル、アリールオキシ、アリールアミノ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアミノ、ヘテロアリールオキシ−カルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、アミノ、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノ、カルバモイル、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノカルボニル、アミノ−C1-6−アルキル−アミノカルボニル、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノ−C1-6−アルキル−アミノカルボニル、C1-6−アルキルカルボニルアミノ、シアノ、グアニヂノ、カルバミド、C1-6−アルキル−スルフォニル−アミノ、アリール−スルフォニル−アミノ、ヘテロアリール−スルフォニル−アミノ、C1-6−アルカノイルオキシ、C1-6−アルキル−スルフォニル、C1-6−アルキル−スルフィニル、C1-6−アルキルスルフォニルオキシ、ニトロ、C1-6−アルキルチオ及びハロゲンから選択される基(単数又は複数)で、1回又は数回、好ましくは1〜3回置換されうることを意味すると意図され、ここでどのアリール及びヘテロアリールも「場合により置換されるアリール及びヘテロアリール」について以下に特に示されるように置換されることができ、及び置換基を表すどのアルキル、アルコキシ等もヒドロキシ、C1-6−アルコキシ、C2-6−アルケニルオキシ、アミノ、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノ、カルボキシ、C1-6−アルキルカルボニルアミノ、ハロゲン、C1-6−アルキルチオ、C1-6−アルキル−スルフォニル−アミノ又はグアニヂンで置換されうる。
【0019】
好ましくは、上記に挙げられる置換基は(不飽和炭素原子に結合されるとき互変異性ケト形で存在しうる)ヒドロキシ、C1-6−アルコキシ(すなわち、C1-6−アルキル−オキシ)、C2-6−アルケニルオキシ、カルボキシ、(ケト又はアルデヒド官能基を形成する)オキソ、C1-6−アルキルカルボニル、フォルミル、アリール、アリールオキシ、アリールアミノ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、アミノ、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノ、カルバモイル、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノカルボニル、アミノ−C1-6−アルキル−アミノカルボニル、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノ−C1-6−アルキル−アミノカルボニル、C1-6−アルキルカルボニルアミノ、グアニヂノ、カルバミド、C1-6−アルキル−スルフォニル−アミノ、C1-6−アルキル−スルフォニル、C1-6−アルキル−スルフィニル、C1-6−アルキルチオ及びハロゲンから選択され、ここでどのアリール及びヘテロアリールも「場合により置換されるアリール及びヘテロアリール」について以下に特に示されるように置換されうる。
【0020】
上記置換基の特に好ましい例はヒドロキシ、C1-6−アルコキシ、C2-6−アルケニルオキシ、アミノ、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノ、カルボキシ、C1-6−アルキルカルボニルアミノ、ハロゲン、C1-6−アルキルチオ、C1-6−アルキル−スルフォニル−アミノ及びグアニヂン、特にハロゲンである。したがって、特に好ましい「場合により置換されるC1-6−アルキル」基はトリブロモメチル、トリクロロメチル又はトリフルオロメチルの如き、トリハロ−C1-6−アルキルの如き、ハロゲン置換アルキル基を含む。
【0021】
用語「場合により置換されるC1-6−アルコキシ」はアルコキシ基が(不飽和炭素原子に結合されるとき互変異性ケト形で存在しうる)ヒドロキシ、C1-6−アルコキシ(すなわち、C1-6−アルキル−オキシ)、C2-6−アルケニルオキシ、カルボキシ、(ケト又はアルデヒド官能基を形成する)オキソ、C1-6−アルコキシカルボニル、C1-6−アルキルカルボニル、フォルミル、アリール、アリールオキシカルボニル、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、カルバモイル、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノカルボニル、アミノ−C1-6−アルキル−アミノカルボニル、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノ−C1-6−アルキル−アミノカルボニル、シアノ、グアニヂノ、カルバミド、C1-6−アルキル−スルフォニル−アミノ、アリール−スルフォニル−アミノ、ヘテロアリール−スルフォニル−アミノ、C1-6−アルカノイルオキシ、C1-6−アルキル−スルフォニル、C1-6−アルキル−スルフィニル、C1-6−アルキルスルフォニルオキシ、ニトロ、C1-6−アルキルチオ及びハロゲンから選択される基(単数又は複数)で、1回又は数回、好ましくは1〜3回置換されうることを意味すると意図され、ここでどのアリール及びヘテロアリールも「場合により置換されるアリール及びヘテロアリール」について以下に特に示されるように置換されうる。
【0022】
上記置換基の特に好ましい例はヒドロキシ、C1-6−アルキル、C1-6−アルコキシ、C2-6−アルケニルオキシ、カルボキシ、ハロゲン又はC1-6−アルキルチオから選択される1又は2の置換基を有するものである。
本文脈において、用語「アリール」はフェニル、ナフチル、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル、アントラシル、フェナントラシル、ピレニル、ベンゾピレニル、フルオレニル及びキサンテニルの如き、完全に又は部分的に芳香族の炭素環状環又は環系を意味すると意図され、その中でフェニルは好ましい例である。
用語「ヘテロアリール」は1以上の炭素原子がヘテロ原子、例えば、窒素(=N−又は−NH−)、硫黄、及び/又は酸素原子で置き換えられている、完全に又は部分的に芳香族の炭素環状環又は環系を意味すると意図される。上記ヘテロアリール基の例はオキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピローリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリヂニル、ピリミヂニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、クマリル、フリール、チエニル、キノリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾヂアゾリル、ベンゾオキソゾリル、フタラジニル、フタラニル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソキノリル、アクリヂニル、カルバゾリル、ヂベンズアゼピニル、インドリル、ベンゾピラゾリル及びフェノキサゾニルである。
【0023】
特に興味深いヘテロアリール基はオキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピローリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリヂニル、ピリミヂニル、ピラジニル、ピリダジニル、フリール、チエニル、キノリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソキノリル及びインドリル、特にピローリル、イミダゾリル、ピリヂニル、ピリミヂニル、チエニル、キノリル、テトラゾリル及びイソキノリルである。
【0024】
本文脈において、用語「ヘテロシクリル」は1以上の炭素原子がヘテロ原子、例えば、窒素(=N−又は−NH−)、硫黄、及び/又は酸素原子で置き換えられている非芳香族炭素環状環又は環系を意味すると意図される。上記ヘテロシクリル基の例はイミダゾリヂン、ピペラジン、ヘキサヒドロピリダジン、ヘキサヒドロピリミヂン、ヂアゼパン、ヂアゾカン、ピローリヂン、ピペリヂン、アゼパン、アゾカン、アジリヂン、アジリン、アゼチヂン、ピローリン、トロパン、オキサジナン(モルフォリン)、アゼピン、ヂヒドロアゼピン、テトラヒドロアゼピン、ヘキサヒドロアゼピン、オキサゾラン、オキサゼパン、オキサゾカン、チアゾラン、チアジナン、チアゼパン、チアゾカン、オキサゼタン、ヂアゼタン、チアゼタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、オキセパン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロチオピラン、チエパン、ヂチアン、ヂチエパン、ヂオキサン、ヂオキセパン、オキサチアン及びオキサチエパンである。
【0025】
ヘテロシクリル基の好ましい例はイミダゾリヂン、ピペラジン、ヘキサヒドロ−ピリダジン、ヘキサヒドロピリミヂン、ヂアゼパン、ヂアゾカン、ピローリヂン、ピペリヂン、アゼパン、アゾカン、アゼチヂン、トロパン、オキサジナン(モルフォリン)、オキサゾラン、オキサゼパン、チアゾラン、チアジナン、及びチアゼパン、特にイミダゾリヂン、ピペラジン、ヘキサヒドロピリダジン、ヘキサヒドロピリミヂン、ヂアゼパン、ピローリヂン、ピペリヂン、アゼパン、オキサジナン(モルフォリン)及びチアジナンである。
【0026】
本文脈において、すなわち、用語「アリール」、「ヘテロアリール」、及び「ヘテロシクリル」に関連して、用語「場合により置換される」は問題の基は(エノール系中に存在するとき互変異性ケト形で表されうる)ヒドロキシ、C1-6−アルキル、C1-6−アルコキシ、C2-6−アルケニルオキシ、(互変異性エノール形で表されうる)オキソ、カルボキシ、C1-6−アルコキシカルボニル、C1-6−アルキルカルボニル、フォルミル、アリール、アリールオキシ、アリールアミノ、アリールオキシカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアミノ、アミノ、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノ、カルバモイル、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノカルボニル、アミノ−C1-6−アルキル−アミノカルボニル、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノ−C1-6−アルキル−アミノカルボニル、C1-6−アルキルカルボニルアミノ、シアノ、グアニヂノ、カルバミド、C1-6−アルカノイルオキシ、C1-6−アルキル−スルフォニル−アミノ、アリール−スルフォニル−アミノ、ヘテロアリール−スルフォニル−アミノ、C1-6−アルキル−スルフォニル、C1-6−アルキル−スルフィニル、C1-6−アルキルスルフォニルオキシ、ニトロ、スルファニル、アミノ、アミノ−スルフォニル、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノ−スルフォニル、ヂハロゲン−C1-4−アルキル、トリハロゲン−C1-4−アルキル及びハロゲンから選択される基(単数又は複数)で、1回又は数回、好ましくは1〜5回、詳細には1〜3回置換されうることを意味すると意図され、ここで置換基を表すアリール及びヘテロアリールはC1-4−アルキル、C1-4−アルコキシ、ニトロ、シアノ、アミノ又はハロゲンで1〜3回置換されることができ、及び置換基を表すどのアルキル、アルコキシ等もヒドロキシ、C1-6−アルコキシ、C2-6−アルケニルオキシ、アミノ、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノ、カルボキシ、C1-6−アルキル−カルボニルアミノ、ハロゲン、C1-6−アルキルチオ、C1-6−アルキル−スルフォニル−アミノ又はグアニヂンで置換されうる。
【0027】
好ましくは、上記に挙げられる置換基はヒドロキシ、C1-6−アルキル、C1-6−アルコキシ、(互変異性エノール形で表されうる)オキソ、カルボキシ、C1-6−アルキルカルボニル、フォルミル、アミノ、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノ、カルバモイル、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノカルボニル、アミノ−C1-6−アルキル−アミノカルボニル、C1-6−アルキルカルボニルアミノ、グアニヂノ、カルバミド、C1-6−アルキル−スルフォニル−アミノ、アリール−スルフォニル−アミノ、ヘテロアリール−スルフォニル−アミノ、C1-6−アルキル−スルフォニル、C1-6−アルキル−スルフィニル、C1-6−アルキルスルフォニルオキシ、スルファニル、アミノ、アミノ−スルフォニル、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノ−スルフォニル又はハロゲンから選択され、ここで置換基を表すどのアルキル、アルコキシ等もヒドロキシ、C1-6−アルコキシ、C2-6−アルケニルオキシ、アミノ、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノ、カルボキシ、C1-6−アルキルカルボニルアミノ、ハロゲン、C1-6−アルキルチオ、C1-6−アルキル−スルフォニル−アミノ又はグアニヂンで置換されうる。
【0028】
上記置換基の特に好ましい例はC1-6−アルキル、C1-6−アルコキシ、アミノ、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノ、スルファニル、カルボキシ又はハロゲンであり、ここで置換基を表すどのアルキル、アルコキシ等もヒドロキシ、C1-6−アルコキシ、C2-6−アルケニルオキシ、アミノ、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノ、カルボキシ、C1-6−アルキルカルボニルアミノ、ハロゲン、C1-6−アルキルチオ、C1-6−アルキル−スルフォニル−アミノ又はグアニヂンで置換されうる。
【0029】
用語「その塩」は無機酸、例えば、ハロゲン化水素酸;典型的に塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸又はヨー化水素酸;硫酸;硝酸;リン酸等;又は有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、ヒドロ酢酸、2−ヒドロキシプロパン酸、2−オキソプロパン酸、エタン二酸、プロパン二酸、ブタン二酸、(Z)−2−ブテン二酸、(E)−ブテン二酸、2−ヒドロキシブタン二酸、2,3−ヂヒドロキシブタン二酸、2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボン酸、メタンスルフォン酸、エタンスルフォン酸、ベンゼンスルフォン酸、4−メチルベンゼンスルフォン酸、シクロヘキサンスルファミン酸、2−ヒドロキシ安息香酸、4−アミノ−2−ヒドロキシ安息香酸、及び当業者に知られる他の酸の如き適切な酸で、アミンの如き官能基の塩基形を処理することにより得られる医薬として許容される酸添加塩を意味すると意図される。
【0030】
用語「医薬として許容される」は、用語「その塩」に関連して使用されるとき、上記塩はそれが投与される患者において都合の悪い効果を引き起こさないことを意味する。そのように、用語「医薬として許容される」は、用語「担体」及び/又は「賦形剤」に関連して使用されるとき、上記担体及び/又は賦形剤は使用される用量で及び濃度で、それが投与される患者において都合の悪い効果を引き起こさないことを意味する。
【0031】
本説明及び請求項において、例えば、置換基等の文脈における、「1の(“a”)」成分に関する引用は、別段の定めなき限り又はこれがその場合でないことが特定の文脈から明らかでない限り、1以上のそのような成分をいうと意図される。例えば、表現「A、B及びCから成る群から選択される成分」はA、B及びCの全ての組み合わせ、すなわち、A;B;C;A+B;A+C;B+C又はA+B+Cを含むと意図される。
【0032】
用語「治療的に有効な量」は所望の結果を作出するために十分な用量又は量を意味する。
上記所望の結果は上記用量又は量の受容者において客観的な又は主観的な改善を含みうる。
「予防処置」は、処置が疾患、病理又は医学的障害の発展の危険性を減らす、妨げる又は減少させる目的のために投与されるので、疾患、病理又は医学的障害の徴候又は症状を示さない又は疾患、病理又は障害の初期の徴候又は症状のみを示す患者に投与される処置である。予防処置は疾患又は障害に対する予防的な処置として機能する。「予防活性」は病理、疾患又は障害の徴候又は症状を示さない又は病理、疾患又は障害の初期の徴候又は症状のみを示す患者に投与されるとき、病理、疾患又は障害を発展する患者の危険性を減らす、妨げる又は減少させる本明細書中に開示される化合物又はその組成物の如き剤の活性である。
【0033】
本文脈において、用語「治療的処置」又は単に「処置(治療)」は、処置が病理、疾患又は障害のそれらの徴候又は症状を減らす又は消去する目的のために患者に投与される、病理、疾患又は障害の症状又は徴候を示す患者に投与される処置を意味する。「治療活性」は上記徴候又は症状を患う患者に投与されるとき、病理、疾患又は障害の徴候又は症状を消去する又は減らす、本明細書中に開示される化合物又はその組成物の如き剤の活性である。
【0034】
用語「患者」は本明細書中で使用されるとき、非限定的に、生物;例えば、ヒト、非ヒト霊長類(例えば、ヒヒ、オランウータン、サル)、マウス、ブタ、ウシ、ヤギ、ネコ、ウサギ、ラット、モルモット、ハムスター、ウマ、サル、ヒツジ又は他の非ヒト哺乳類を含む哺乳類;例えば、トリ(例えば、ニワトリ又はアヒル)又は魚類の如き非哺乳類脊椎動物、及び非哺乳類無脊椎動物を含む非哺乳類を含む。本発明の好ましい態様において、患者はヒトである。
【0035】
本文脈において、用語「その互変異性形」又は「互変異性体」は平衡で存在し及び容易に1の異性形からもう一つに変換される2以上の構造異性体のうちの1をいう。異なる互変異性形は同じ分子式を有し、及び水素原子及び電子の転移を伴って相互変換可能な形態である。したがって、本発明に係る化合物がその化学構造によって例示されるとき特に示される分子の全ての可能な互変異性形も本発明の範囲内に含まれることが理解されるであろう。
【0036】
本発明に係る化合物
上記に示されるように、本発明は上記に示される一般式(I)の化合物に関する。式(I)から見られうるように、アミノグアニヂン置換基はその位置2又は3でピロール環に結合されうる、すなわち、一般式(Ia)及び(Ib)の化合物は単にピロール環への結合の部位により互いに異なる。
したがって、他の局面において、本発明はその互変異性形を含む一般式(Ia)又は(Ib)の化合物
【化4】

【化5】

又はその医薬として許容される塩に関し、ここで
nは1、2又は3である;
【0037】
それぞれのR1、R2、R3、R4及びR5は水素、場合により置換されるC1-6−アルキル、場合により置換されるC3-6−シクロアルキル、場合により置換されるC2-6−アルケニル、場合により置換されるC4-6−アルカヂエニル、場合により置換されるC2-6−アルキニル、ヒドロキシ、場合により置換されるC1-6−アルコキシ、場合により置換されるC2-6−アルケニルオキシ、カルボキシ、場合により置換されるC1-6−アルコキシカルボニル、場合により置換されるC1-6−アルキルカルボニル、フォルミル、C1-6−アルキルスルフォニルアミノ、場合により置換されるアリール、場合により置換されるアリールオキシカルボニル、場合により置換されるアリールオキシ、場合により置換されるアリールカルボニル、場合により置換されるアリールアミノ、アリールスルフォニルアミノ、場合により置換されるヘテロアリール、場合により置換されるヘテロアリールオキシカルボニル、場合により置換されるヘテロアリールオキシ、場合により置換されるヘテロアリールカルボニル、場合により置換されるヘテロアリールアミノ、ヘテロアリールスルフォニルアミノ、場合により置換されるヘテロシクリル、場合により置換されるヘテロシクリルオキシカルボニル、場合により置換されるヘテロシクリルオキシ、場合により置換されるヘテロシクリルカルボニル、場合により置換されるヘテロシクリルアミノ、ヘテロシクリルスルフォニルアミノ、アミノ、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノ、カルバモイル、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノカルボニル、アミノ−C1-6−アルキル−アミノカルボニル、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノ−C1-6−アルキル−アミノカルボニル、C1-6−アルキルカルボニルアミノ、アミノ−C1-6−アルキル−カルボニルアミノ、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノ−C1-6−アルキル−カルボニルアミノ、シアノ、グアニヂノ、カルバミド、C1-6−アルカノイルオキシ、C1-6−アルキルスルフォニル、C1-6−アルキルスルフィニル、C1-6−アルキルスルフォニル−オキシ、アミノスルフォニル、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノスルフォニル、ニトロ、場合により置換されるC1-6−アルキルチオ及びハロゲンから成る群から独立に選択される、
【0038】
ここでどの窒素結合C1-6−アルキルもヒドロキシ、C1-6−アルコキシ、C2-6−アルケニルオキシ、アミノ、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノ、カルボキシ、C1-6−アルキルカルボニルアミノ、ハロゲン、C1-6−アルキルチオ、C1-6−アルキル−スルフォニル−アミノ又はグアニヂンで場合により置換される;
それぞれのR6及びR7は水素、場合により置換されるC1-6−アルキル、場合により置換されるC2-6−アルケニル、場合により置換されるC4-6−アルカヂエニル、場合により置換されるC2-6−アルキニル、場合により置換されるC1-6−アルコキシカルボニル、場合により置換されるC1-6−アルキルカルボニル、場合により置換されるアリール、場合により置換されるアリールオキシカルボニル、場合により置換されるアリールカルボニル、場合により置換されるヘテロアリール、場合により置換されるヘテロアリールオキシカルボニル、場合により置換されるヘテロアリールカルボニル、アミノカルボニル、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノカルボニル、アミノ−C1-6−アルキル−アミノカルボニル及びモノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノ−C1-6−アルキル−アミノカルボニルから成る群から独立に選択される;又はR6及びR7は共に5−又は6−員窒素含有環を形成しうる。
【0039】
上記に議論されるように、一般式(Ia)の化合物においてアミノグアニヂン置換基は位置2でピロール環に結合され、一方で一般式(Ib)の化合物においてアミノグアニヂン置換基は位置3でピロール環に結合される。以下の記述において、アミノグアニヂン置換基が位置2でピロール環に結合される化合物のみが好ましい置換基、製造方法等に関して示される。しかしながら、アミノグアニヂン置換基が位置2でピロール環に結合される本発明に係る化合物について以下になされる全ての記述はまたアミノグアニヂン置換基が位置3でピロール環に結合される本発明に係る化合物に適用することが理解されるべきである。さらに、本明細書中の一般式(I)の化合物はそれらのトランス異性形で全て示される。しかしながら、一般式(I)の化合物はまたそれらのシス異性形でも存在しうることが理解されるべきである。したがって、トランス配置が好ましいが、上記分子中の二重結合の周りの配置はシス又はトランスのいずれかでありうる。
【0040】
当業者により理解されるであろうように、一般式(I)の化合物は以下に例示されるさまざまな互変異性形で存在しうる(化合物(Ia)についてのみ例示される)。明らかに、本発明に係る化合物の全ての可能な互変異性形は企図され及びそれゆえ本発明の範囲内に含まれる。
【化6】

【0041】
本発明に係る化合物は基本的な特性を有し、及びその結果としてそれらは適切な医薬として許容される酸での処理によりそれらの活性な酸添加塩に変換されうる。上記酸の例は塩酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、ヨー化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の如き無機酸又は酢酸、プロピオン酸、ヒドロ酢酸、2−ヒドロキシプロパン酸、2−オキソプロパン酸、エタン二酸、プロパン二酸、ブタン二酸、(Z)−2−ブテン二酸、(E)−ブテン二酸、2−ヒドロキシブタン二酸、2,3−ヂヒドロキシブタン二酸、2−ヒドロキシ−1,2,3−プロパントリカルボン酸、メタンスルフォン酸、エタンスルフォン酸、ベンゼンスルフォン酸、4−メチルベンゼンスルフォン酸、シクロヘキサンスルファミン酸、2−ヒドロキシ安息香酸、4−アミノ−2−ヒドロキシ安息香酸の如き有機酸、及び当業者に知られる他の酸を含む。
【0042】
置換基R1、R2、R3、R4及びR5は上記に示される置換基の群から個々に選択されうる。しかしながら、本発明の好ましい態様において、それぞれのR1、R2、R3、R4及びR5は水素、場合により置換されるC1-6−アルキル、場合により置換されるC2-6−アルケニル、場合により置換されるC2-6−アルキニル、ヒドロキシ、場合により置換されるC1-6−アルコキシ、場合により置換されるC2-6−アルケニルオキシ、カルボキシ、場合により置換されるC1-6−アルコキシカルボニル、場合により置換されるC1-6−アルキルカルボニル、フォルミル、アミノ、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノ、カルバモイル、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノカルボニル、アミノ−C1-6−アルキル−アミノカルボニル、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノ−C1-6−アルキル−アミノカルボニル、C1-6−アルキルカルボニルアミノ、アミノ−C1-6−アルキル−カルボニルアミノ、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノ−C1-6−アルキル−カルボニルアミノ、シアノ、カルバミド、C1-6−アルカノイルオキシ、C1-6−アルキルスルフォニル、C1-6−アルキルスルフィニル、C1-6−アルキルスルフォニル−オキシ、アミノスルフォニル、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノスルフォニル、ニトロ、場合により置換されるC1-6−アルキルチオ及びハロゲンから成る群から独立に選択される。
【0043】
本発明のより好ましい態様において、それぞれのR1、R2、R3、R4及びR5は水素、場合により置換されるC1-6−アルキル、場合により置換されるC2-6−アルケニル、ヒドロキシ、場合により置換されるC1-6−アルコキシ、アミノ、シアノ、ニトロ及びブロモ、クロロ及びフルオロの如きハロゲンから成る群から独立に選択される。非常に好ましい(非置換)C1-6−アルキル基の特定の例はメチル又はエチル、詳細にはメチルの如きC1-4−アルキルを含む。非常に好ましい置換されるC1-6−アルキル基の特定の例はハロゲン置換C1-4−アルキル、例えば、トリハロ−C1-4−アルキル、詳細にはトリブロモメチル、トリクロロメチル及びトリフルオロメチルの如き置換されるC1-4−アルキルを含み、その中でトリクロロメチル及びトリフルオロメチルは特に好ましい。非常に好ましい(非置換)C2-6−アルケニル基の特定の例はビニル、アリル及びブテニル、詳細にはアリルの如き、C2-4−アルケニルを含む。非常に好ましい(非置換)C1-6−アルコキシ基の特定の例はメトキシ又はエトキシ、詳細にはメトキシの如きC1-4−アルコキシを含む。
【0044】
置換基R6及びR7に関して、これらの置換基は水素、場合により置換されるC1-6−アルキル、場合により置換されるC2-6−アルケニル、場合により置換されるC4-6−アルカヂエニル、場合により置換されるC2-6−アルキニル、場合により置換されるC1-6−アルコキシカルボニル、場合により置換されるC1-6−アルキルカルボニル、場合により置換されるアリール、場合により置換されるアリールオキシカルボニル、場合により置換されるアリールカルボニル、場合により置換されるヘテロアリール、場合により置換されるヘテロアリールオキシカルボニル、場合により置換されるヘテロアリールカルボニル、アミノカルボニル、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノカルボニル、アミノ−C1-6−アルキル−アミノカルボニル及びモノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノ−C1-6−アルキル−アミノカルボニルから成る群からそれぞれ独立に選択されうる;又はR6及びR7は共に5−又は6−員窒素含有環を形成しうる。本発明の好ましい態様において、R6及びR7のうちの少なくとも1は水素である。本発明の特に好ましい態様において、R6及びR7は両方とも水素である、すなわち、本発明に係る化合物は一般式(II)中に示される構造を有する:
【化7】

【0045】
本発明の興味深い態様において、R4は水素であり、及びR1、R2、R3及びR5は上記に定義されるとおりである。したがって、本発明のこの態様にしたがって、本発明に係る化合物は一般式(III)中に示される構造を有する:
【化8】

ここで上記置換基のそれぞれは上記に定義されるとおりである。詳細には、R6及びR7の両方が水素であることは好ましい。
【0046】
本発明のさらなる興味深い態様において、R1及びR4は水素であり、及びR2、R3及びR5は上記に定義されるとおりである。したがって、本発明のこの態様にしたがって、本発明に係る化合物は一般式(IV)中に示される構造を有する:
【化9】

ここで上記置換基のそれぞれは上記に定義されるとおりである。詳細には、R6及びR7の両方が水素であることは好ましい。
【0047】
本発明の好ましい態様において、R1、R4及びR5は水素であり、及びR2及びR3は上記に定義されるとおりである。したがって、本発明のこの態様にしたがって、本発明に係る化合物は一般式(V)中に示される構造を有する:
【化10】

ここで上記置換基のそれぞれは上記に定義されるとおりである。詳細には、R6及びR7の両方が水素であることは好ましい。
【0048】
一般式(I)、(II)、(III)、(IV)及び(IV)に関連して上記に示される化合物に関して、個々の置換基は異なる位置で環系に結合されうることが理解されるであろう。より詳細には、及び上記一般式(V)に関連して、R2及びR3の結合は以下のとおりでありうる:本発明の1の態様において、R2は2−位に位置され、及びR3は3−位に位置される。本発明の他の態様において、R2は2−位に位置され、及びR3は4−位に位置される。本発明のさらに他の態様において、R2は2−位に位置され、及びR3は5−位に位置される。本発明のさらなる態様において、R2は2−位に位置され、及びR3は6−位に位置される。本発明のまたさらなる態様において、R2は3−位に位置され、及びR3は4−位に位置される。本発明のまたさらなる態様において、R2は3−位に位置され、及びR3は5−位に位置される。本発明のまた他の態様において、R2は3−位に位置され、及びR3は6−位に位置される。
【0049】
本発明の他の好ましい態様において、R1、R2、R4及びR5は水素であり、及びR3は上記に定義されるとおりである。したがって、本発明のこの態様にしたがって、本発明に係る化合物は一般式(VI)中に示される構造を有する:
【化11】

ここで上記置換基のそれぞれは上記に定義されるとおりである。詳細には、R6及びR7の両方が水素であることは好ましい。
【0050】
本発明の1の態様において、R3は2−位に位置される。本発明の他の態様において、R3は3−位に位置される。本発明のまた他の態様において、R3は4−位に位置される。
本発明のまたさらなる興味深い態様において、R1、R2、R3、R4及びR5の全ては水素である。
本発明に係る化合物に関してなされる上記記述の全てはアミノグアニヂン置換基が位置2又は3でピロール環に結合される本発明に係る化合物に同等に適用することが理解されるべきである(通常アミノグアニヂン置換基が位置2でピロール環に結合される本発明に係る化合物についてのみ例示され及び議論されるが)。それにもかかわらず、本発明の好ましい態様において、アミノグアニヂン置換基は位置2でピロール環に結合されることが好ましい、すなわち、好ましい態様において、本発明に係る化合物は一般式(Ia)及び上記一般式(II)〜(VI)中に示される立体化学を有する。
【0051】
上記に示されるように、nは1、2又は3の整数である。本発明の好ましい態様において、nは1又は2である。本発明の最も好ましい態様において、nは1である。
現在特に興味深いものと考えられる本発明にしたがう化合物は図1中に示される。
【0052】
本発明に係る化合物の調製方法
本発明に係る化合物は当業者に知られる標準の方法により調製されうる。したがって、上記一般式(Ia)又は(Ib)の化合物は本質的にWO 03/013509中に示されるように調製されうる、すなわち、一般式(IIa)又は(IIb)の化合物
【化12】

【化13】

は好適な有機溶媒:
【化14】

中で一般式(III)のアミノグアニヂン誘導体と反応され、ここで個々の置換基は上記に示されるのと同じ意味を有する。好ましくは、一般式(IIa)又は(IIb)の化合物は、アミノグアニヂン誘導体が重炭酸塩の如き、酸添加塩の形態である一般式(III)のアミノグアニヂン誘導体と反応される。
【0053】
化合物(IIa)は周知のWittig反応により出発化合物(IVa)から容易に調製されうる:
【化15】

【0054】
中間体化合物(Va)の形成はアルコキシド、例えば、ナトリウム又はカリウム第三−ブトキシドの如き強塩基の存在下で、好適な有機溶媒、典型的にヂメチルスルフォキシド、ヂメチルフォルムアミド、ヘキサメチルフォスフォロトリアミドの如きプロトン溶媒中で行われる。中間体(Va)は続いて標準の方法を用いて酸加水分解により所望の(IIa)に変換される。理解されるであろうように、化合物(IIb)は出発化合物(IVa)ではなく出発化合物(IVb)を用いることにより類似の方法で達成されうる:
【化16】

【0055】
医薬組成物
本発明に係る化合物は医薬として許容される担体又は賦形剤を含む組成物中で好ましく投与される。用語「医薬として許容される」はそれが投与される患者において都合の悪い効果を引き起こさない担体又は賦形剤を意味する。上記医薬として許容される担体及び賦形剤は本分野において周知である(Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th edition, A. R. Gennaro, Ed., Mack Publishing Company[1990]; Pharmaceutical Formulation Development of Peptides and Proteins, S. Frokjaer and L. Hovgaard, Eds., Taylor & Francis[2000];及び Handbook of Pharmaceutical Excipients, 3rd edition, A. Kibbe, Ed., Pharmaceutical Press[2000])。投与されるべき正確な用量は状況に因る。通常、用量は処置される状態又は徴候の重篤さ又は広がりを妨げる又は減らすことができるべきである。本発明に係る化合物の有効な量はとりわけ、疾患、用量、投与スケヂュール、本発明に係る化合物が単独で投与されるか又は他の治療用剤と共に投与されるかどうか、患者の一般的な健康等に因ることは当業者に明らかであろう。一般的に、及び詳細には経口経路を介して投与される場合、本発明に係る化合物は処置期間をとおして0.1〜100mg/キロ体重の用量で投与されるべきである。
【0056】
上記医薬組成物は液体、ジェル、凍結乾燥されたもの、粉末、圧縮固体又は他の好適な形態を含むさまざまな形態で調合されうる。好ましい形態は処置される特定の徴候に因るであろう、及び当業者に明らかであろう。
【0057】
上記医薬組成物は経口で、皮下に、静脈内に、脳内に、鼻内に、経皮で、腹腔内に、筋内に、肺内に、膣に、直腸に、眼内に又は例えば、PowderJect又はProLease技術を用いて他の許容される様式で投与されうる。上記組成物はポンプ又はインプランテーションの如き本分野において周知の技術を用いて、ボーラス注入は許容されるが、点滴により連続して投与されうる。いくつかの場合、上記組成物は溶液又はスプレイとして直接的に適用されうる。好ましい投与様式は処置される特定の徴候に因るであろう、及び当業者に明らかであろう。しかしながら、現在好ましい投与様式は経口経路を介するものである。
【0058】
本発明に係る医薬組成物は他の治療用剤と共に投与されうる。これらの剤は同じ医薬組成物の一部として組み込まれうる又は同時に若しくは他の許容される処置スケヂュールにしたがって本発明に係る組成物とは別に投与されうる。
【0059】
経口投与
経口投与のために、上記医薬組成物は固体又は液体形で、例えば、カプセル、錠剤、懸濁物、エマルジョン又は溶液の形態でありうる。上記医薬組成物はある量の活性成分を含む投与単位の形態で好ましく作出される。ヒト又は他の哺乳類のための好適な毎日の用量は患者の状態及び他の因子に因り広く変化しうるが、ルーティンの方法を用いて当業者により決定されうる。
【0060】
経口投与のための固体投与形態はカプセル、錠剤、坐剤、粉末及び顆粒を含みうる。上記固体投与形態において、上記活性化合物はスクロース、ラクトース又はデンプンの如き少なくとも1の不活性希釈剤と混合されうる。上記投与形態はまた、通常の実施のように、追加の物質、例えば、ステアリン酸マグネシウムの如き潤滑剤をも含みうる。カプセル、錠剤及びピルの場合、上記投与形態はまた緩衝剤をも含みうる。錠剤及びピルは追加として腸溶性コーティングと共に調製されうる。
【0061】
本発明に係る化合物はラクトース、スクロース、デンプン粉末、アルカン酸のセルロースエステル、ステアリン酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸及び硫酸のナトリウム及びカルシウム塩、アカシア、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピローリドン、及び/又はポリビニルアルコールの如き補助剤と混合され、及び慣用の投与のために錠剤化され又はカプセル化されうる。あるいは、本発明に係る化合物は塩水、水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール、(トウモロコシ油、ピーナッツ油、綿実油又はゴマ油の如き)油、トラガカントゴム、及び/又はさまざまな緩衝液中に溶解されうる。他の補助剤及び投与様式は医薬分野において周知である。上記担体又は希釈剤は単独の又はろうを伴うモノステアリン酸グリセリル又はヂステアリン酸グリセリル又は本分野において周知の他の材料の如き時間遅延材料を含みうる。
【0062】
上記医薬組成物は滅菌の如き慣用の医薬の操作にかけられうる及び/又は保存剤、安定化剤、浸潤剤、乳化剤、緩衝剤、充填剤等の如き慣用の補助剤を含みうる。
経口投与のための液体投与形態は水の如き本分野において通常使用される不活性希釈剤を含む医薬として許容されるエマルジョン、溶液、懸濁物、シロップ及びエリキシル剤を含みうる。上記組成物はまた浸潤剤、甘味剤、香味剤及び香剤の如き補助剤をも含みうる。本発明はまた1以上の本発明に係る化合物を含む医薬調製物の製造プロセスに、及びメラニン形成細胞刺激ホルモン受容体に関連するさまざまな医療及び獣医学的実施のためのそれらの使用にも関する。
【0063】
治療的使用
本発明に係る化合物はメラノコルチン系において試験されており、及び驚くべきことにMC受容体に結合し、及び機能分析において活性を示すことができることが示されている。本発明に係る化合物は特定のMC受容体の又はいくつかのMC受容体、例えば、MC1、MC3、MC4及び/又はMC5受容体のアゴニスト又はアンタゴニストである。
【0064】
MC受容体は7の膜貫通ドメインを形成する単一のポリペプチドから全て組み立てられるG−タンパク質連結型受容体のクラスに属する。MC1、MC2、MC3、MC4及びMC5と呼ばれる5のそのような受容体型が示されている。MC受容体のシグナリングは主にcAMPを介して仲介されるが、他のシグナル変換経路もまた知られる。それらは体内に明確に分布される。
【0065】
MC受容体はMC受容体の明確なサブタイプにより仲介されると考えられるさまざまな生理学的活性に関連する。しかしながら多くの場合、選択的MC1受容体アゴニストは顕著な抗炎症活性を有するが、α−MSHのような非特異的MC受容体アゴニストについて示される器官保護効果を欠くように見えるという発見により例示されるように、どのサブタイプが効果の原因であるかは完全に明らかではなく、ここで追加のMC3及び/又はMC5受容体刺激は器官保護効果を得るために必要とされることが示唆されている。他の例はMC3及びMC4受容体刺激の両方が必要とされるか又は上記受容体のうちの1の刺激のみが必要とされるかが明らかでないメラノコルチン受容体刺激の中枢効果である。
【0066】
MSH−ペプチドは動機づけ、学習、記憶、(摂食及び性を含む)行為、(免疫刺激性及び免疫抑制性を含む)炎症、体温、痛み知覚、血圧、心拍、血管の調子、脳血流、異なる器官における栄養効果、神経成長、胎盤発達、内分泌及び外分泌機能、アルドステロン合成及び放出、チロキシン放出、精子形成、卵巣重量、プロラクチン及びFSH分泌、効果又は他のホルモン、女性における子宮出血、皮脂及びフェロモン分泌、血中グルコース値、ナトリウム排泄増加、子宮内胎児成長、及び分娩に関する他の事件(例えば、Eberie: The melanotropins: Chemistry, physiology and mechanisms of action, Basel: Karger, Switzerland. 1988, ISBN 3−8055−4678−5; Gruber et al., Am. J. Physiol. 1989, 257, R681−R694; De Wildt et al., 3. Cardiovascular Pharmacology, 1995, 25, 898−905を参照のこと)並びにナトリウム排泄増加を誘導すること(Tin et al., Hypertension. 1987, 10, 619−627)の如き多くの異なるプロセスに影響しうることが長い間知られている。
【0067】
さらに、α−MSHの免疫調節活性は免疫刺激性及び免疫抑制性効果の両方を含むこともまた周知である。いくつかの研究は、α−MSHはIL−1α、IL−1β、IL−6及びTNFαの如き前炎症性サイトカインの効果に拮抗し、及び抗炎症性サイトカイン、IL−10の生成を誘発することを示している(概略のために、Catania & Lipton, Endocr Rev. 1993 Oct;14(5):564−76を参照のこと)。
【0068】
摂食行為は中枢神経系及び末梢部位の両方を含む生理学的調節経路の複雑なネットワークにより調節される。レプチン、インスリン、NPY(神経ペプチドY)、オレキシン、CRF(コルチコトロピン放出因子、放出ホルモン)及びメラノコルチンペプチドの如き因子(Schwartz, Nature Medicine 1998, 4, 385−386)は体重、体脂肪量及び成長速度に影響しうる食物摂取の量を制御することが知られる。最近の研究は食物摂取の制御のためのMC受容体、特にMC4受容体の役割を示しており、及びメラノコルチン及びMC4受容体はレプチンの下流の重要な因子であることを示す証拠がある。メラノコルチンペプチドα−MSH及びACTH(1−24)の脳室内注入は摂食を顕著に阻害することが示されている(Poggioli et al., Peptides, 1986, 7, 843−848; Vergoni et al., Neuropeptides, 1986, 7, 153−158)。
【0069】
MC5−受容体は最近、外分泌腺機能5の制御における役割があるとされている(van der Kraan, et al., Endocrinol. 1998, 139, 2348−2355; Chen et al., Cell. 1997, 91, 789−798)。
【0070】
さらに、メラノコルチンペプチドは、それらはおそらくMC受容体に対する上記ペプチドの中枢アゴニスト効果により仲介されて、男性において勃起を引き起こすので(Donovan, Psychol. Med., 1978, 8, 305−316)、性機能に対して明確な効果を有する。MC受容体ブロッカーはメラノコルチンペプチドの勃起効果を阻害しうることもまた示されている(Vergoni et al., Eur. J. Pharmacol., 1998, 362; 95−101)。
【0071】
本発明に係る化合物はそれらを炎症状態、例えば、関節炎に関連する疾患を含む関節炎、変形性関節炎、慢性関節リウマチ、脊椎関節症(例えば、強直性脊椎炎)、(リウマチ熱後の関節炎を含む)反応性関節炎、ヘーノホ−シェーンライン紫斑病、及びライター病、全身性エリテマトーデスの如き結合組織障害、多発性筋炎/皮膚筋炎、全身性硬化症、混合型結合組織疾患、サルコイドーシス及び乾性角結膜炎を含む初期シェーグレン症候群、リウマチ性多発性筋痛、及び他の型の脈管炎、(痛風を含む)結晶沈積疾患、ピロリン酸関節症、急性石灰性関節周囲炎;(クローン病及び潰瘍性大腸炎を含む)炎症性腸疾患、大腸の憩室疾患、及び過敏性腸症候群、膵炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の如き炎症性上及び下気道疾患、アレルギー性及び非アレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性及び非アレルギー性結膜炎、アレルギー性及び非アレルギー性皮膚炎、外傷及び術後ストレス症候群、真性糖尿病、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、男性勃起の機能障害を含む性機能障害、食欲不振を含む摂食障害、肥満、精神障害、内分泌系の機能障害、血液及びリンパ系の薬物誘発障害、アレルギー障害、心血管系の障害及び痛みの如き急性又は慢性炎症状態の治療のために有用にさせる価値のある治療特性を有する。
以下に、本発明に係る化合物が処置のために有用である状態及び疾患が詳細に示される。
【0072】
炎症状態
式(I)の化合物及び/又はその医薬として許容される塩は一酸化窒素の生成に関連する炎症、増大された量(アップレギュレートされた量)の誘導型一酸化窒素合成酵素に関連する炎症、転写アクチベーターの活性化に関連する炎症、核因子カッパーベータに関連する炎症、マクロファージ、好中球、単球、ケラチン生成細胞、線維芽細胞、メラニン形成細胞、色素細胞及び内皮細胞に関連する炎症、例えば、インターロイキン、詳細にはインターロイキン1(IL−1)、インターロイキン6(IL−6)及び腫瘍壊死因子α(TNF−α)の如き炎症性サイトカインの増大された生成及び/又は放出に関連する炎症の如き、炎症、炎症状態又は炎症性疾患の治療のためにそれらを有用にさせる、価値のある薬理学的特性を有する。
【0073】
本明細書において、「増大された生成」は健康な個体における内因性化合物の量に比較した、患者における局所的に、領域的に又は体系的に増大された形成、増大された放出、増大された量の内因性化合物をいう。本明細書において、「アップレギュレートされた」は健康な個体におけるそれと比較した上記化合物の増大された活性又は量をいう。
【0074】
本明細書において、「減少された生成」は健康な個体における内因性化合物の量に比較した、患者における減少された形成、減少された放出又は減少された量の内因性化合物をいう。本明細書において、「ダウンレギュレートされた」は健康な個体におけるそれと比較した上記化合物の減少された活性又は量をいう。
【0075】
詳細には、陽性の治療効果又は予防効果は、炎症又は炎症様状態が1以上の以下のもの:アレルギー、過敏症、細菌感染、ウイルス感染、毒性剤により引き起こされる炎症、熱、自己免疫疾患、UV−照射、X−線照射、γ−照射、α−又はβ−粒子を含む源による照射損傷、日焼け、高温又は機械的傷害により引き起こされる又はそれらに関連する状態において見られうる。さらに、場合により低酸素領域の再酸素添加が続く、低酸素症のための炎症は典型的に重篤な炎症が続いて起こるが、その状態は本発明に係る化合物での処置によりよい方向に影響されうる。
【0076】
本発明の非常に特異的な態様において、本発明に係る化合物は炎症成分を有する皮膚疾患を含む、どんな起源でも(真皮及び表皮を含む)皮膚の炎症疾患の予防又は治療処置のために投与されうる。本発明のこの態様の特定の例は皮膚の接触皮膚炎、皮膚の日焼け、どんな原因でも火傷、及び化学剤により引き起こされる皮膚の炎症、乾癬、脈管炎、壊疽性膿皮症、円板状エリテマトーデス、湿疹、掌蹠膿疱症、及び尋常性天疱瘡の治療を含む。さらなる炎症疾患は慢性関節リウマチ、滑液包炎、腱滑膜炎又は腱周囲炎、筋緊張による炎症、神経圧縮、関節周囲炎又は被膜炎、筋肉緊張及び筋肉機能障害を含む全ての種類の柔組織リウマチを含む。さらに、炎症疾患はスティル病を含む若年性慢性関節炎、若年性慢性関節リウマチ、若年性強直性脊椎炎の如き小児における全ての種類の関節炎を含む。
炎症成分を有する腹の疾患を含む、腹における炎症疾患の処置のための式(I)の化合物又はその薬理学的に許容される塩の投与もまた本発明に含まれる。本発明に係る化合物での上記疾患の処置の特定の例は未知の起源の1を含む胃炎、悪性胃炎(委縮性胃炎)、潰瘍性大腸炎(潰瘍性大腸炎)、クローン病(クローン病)、全身性硬化症、十二指腸潰瘍、セリアック病、食道炎、胃潰瘍、急性及び慢性胃炎、ヘリコバクターピロリ感染、セリアック病、グルテン過敏性腸症、疱疹状皮膚炎、熱帯性スプルー、ホウィップル病、照射腸炎、全身性アミロイドーシス、好酸球性胃腸炎、小腸リンパ管拡張症、炎症性腸疾患、結腸の憩室疾患、及び過敏性腸症候群である。
【0077】
自己免疫的性質のもの及び一般的な性質の他の炎症疾患を含む、体系的又は一般的及び/又は局所的免疫学的疾患の処置のための式(I)の化合物又はその薬理学的に許容される塩の投与もまた本発明に含まれる。特定の例は慢性関節リウマチ、乾癬性関節炎、全身性硬化症、リウマチ性多発性筋痛、ヴェーゲナー肉芽腫症、サルコイドーシス、好酸球性筋膜炎、反応性関節炎、ベヒテレフ病、全身性エリテマトーデス、側頭動脈炎、ベーチェット病、バーガー病、グッドパスチャー症候群、好酸球性肉芽腫、線維筋痛症、筋炎、及び混合型結合組織疾患の処置を含む。未知の起源の関節炎を含む、関節炎もまたその中に含まれる。
【0078】
炎症に関連する末梢及び/又は中枢神経系の疾患の処置のための式(I)の化合物又はその薬理学的に許容される塩の投与は本発明にさらに含まれる。大脳脈管炎、多発性硬化症、自己免疫性眼炎及び多発性神経障害の処置は本発明のこの局面に含まれる。アポトーシス細胞死を妨げるための中枢神経系の炎症の処置のための本発明に係る化合物の投与もまた本発明に含まれる。さらに、本発明に係る化合物のいくつかは神経再生を誘導する明確な能力を示すので、陽性の治療効果がしばしばこの領域における細胞の損傷に関連する中枢神経系疾患において見られる。本発明のこの局面はまた中枢神経系への外傷性傷害、脳水腫、多発性硬化症、アルツハイマー病、中枢神経系における細菌及びウイルス感染、卒中、及び中枢神経系における出血の処置をも含む。
【0079】
炎症に関連する眼及び涙腺の疾患の処置のための式(I)の化合物又はその薬理学的に許容される塩の投与もまた本発明に含まれる。上記疾患の特定の例は前部及び後部ブドウ膜炎、網膜脈管炎、視神経炎、視神経脊髄炎、ヴェーゲナー肉芽腫症、シェーグレン症候群、上強膜炎、強膜炎、眼に影響するサルコイドーシス及び眼に影響する多発性軟骨炎を含む。
【0080】
炎症に関連する耳の疾患の処置のための式(I)の化合物又はその薬理学的に許容される塩の投与もまた本発明に含まれ、その特定の例は耳に影響する多発性軟骨炎及び外耳炎を含む。
【0081】
炎症に関連する鼻の疾患の処置のための式(I)の化合物又はその薬理学的に許容される塩の投与もまた本発明に含まれ、その特定の例はサルコイドーシス、多発性軟骨炎及び鼻の正中肉芽腫である。
【0082】
口、咽頭及び唾液腺の炎症に関連する疾患の処置のための式(I)の化合物又はその薬理学的に許容される塩の投与もまた本発明に含まれる。特定の例はヴェーゲナー肉芽腫症、正中肉芽腫、シェーグレン症候群及びこれらの領域における多発性軟骨炎を含む。
【0083】
例えば、肺及び/又は気道における急性又は慢性又は次慢性炎症の如き、肺及び/又は気道における炎症に関連する疾患の処置のための式(I)の化合物又はその薬理学的に許容される塩の投与もまた本発明に含まれる。特定の例は特発性肺胞炎、初期の肺高血圧、気管支炎、慢性気管支炎、サルコイドーシス、炎症性体系的疾患における肺胞炎、炎症性体系的疾患における肺高血圧、ヴェーゲナー肉芽腫症、グッドパスチャー症候群、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の如き上及び下気道疾患、COPDにおける悪化、アレルギー性及び非アレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性及び非アレルギー性結膜炎、急性呼吸疾患及び/又は慢性及び/又は次慢性気道及び肺疾患の処置を含む。
【0084】
心臓の炎症に関連する疾患の処置のための式(I)の化合物又はその薬理学的に許容される塩の投与もまた本発明に含まれる。特定の例は心膜炎、特発性心膜炎、心筋炎、高安動脈炎、川崎病、冠状動脈脈管炎、炎症性体系的疾患における心膜炎、炎症性体系的疾患における心筋炎、心内膜炎及び炎症性体系的疾患における心内膜炎の処置を含む。
【0085】
肝臓の炎症に関連する疾患の処置のための式(I)の化合物又はその薬理学的に許容される塩の投与もまた本発明に含まれる。特定の例は肝炎、慢性活性肝炎、胆汁性肝硬変、毒性剤による肝臓障害、インターフェロン誘発肝炎、ウイルス感染により誘発される肝炎、食欲不振により誘発される肝臓障害及び機械的外傷により引き起こされる肝臓障害の処置を含む。
【0086】
膵臓の炎症に関連する疾患の処置のための式(I)の化合物又はその薬理学的に許容される塩の投与もまた本発明に含まれる。特定の例は急性膵炎、慢性膵炎の治療(及び予防)を含む。
【0087】
さらに、LDL−コレステロールの増大された絶食値を伴う状態、LDL−コレステロール及びトリグリセリド混合の増大された絶食値を伴う状態、トリグリセリドの増大された絶食値を伴う状態及びHDL−コレステロールの増大された絶食値を伴う状態に関連する疾患の処置のための式(I)の化合物又はその薬理学的に許容される塩の投与もまた本発明に含まれる。
【0088】
甲状腺の炎症に関連する疾患の処置のための式(I)の化合物又はその薬理学的に許容される塩の投与もまた本発明に含まれる。本発明のこれらの態様の特定の例は甲状腺炎、自己免疫甲状腺炎及び橋本甲状腺炎の処置を含む。
【0089】
腎臓の炎症に関連する疾患の処置のための式(I)の化合物又はその薬理学的に許容される塩の投与もまた本発明に含まれる。特定の例は糸球体腎炎、全身性エリテマトーデスにおける糸球体腎炎、結節性動脈周囲炎、ヴェーゲナー肉芽腫症、グッドパスチャー症候群、HLAb27関連疾患、IgA腎炎(IgA=免疫グロブリンA)、腎盂腎炎、慢性腎盂腎炎及び間質性腎炎の処置を含む。
【0090】
関節の炎症に関連する疾患の処置のための式(I)の化合物又はその薬理学的に許容される塩の投与もまた本発明に含まれる。特定の例はベヒテレフ病、乾癬性関節炎、慢性関節リウマチ、潰瘍性大腸炎における関節炎、クローン病における関節炎、全身性エリテマトーデスにおける関節の影響、全身性硬化症、混合型結合組織疾患、反応性関節炎、ライター症候群の処置を含む。さらに、どんな関節の関節症、詳細には指の関節、膝及び股関節部の関節症の処置も本発明のこの態様に含まれる。
【0091】
血管の炎症に関連する疾患の処置のための式(I)の化合物又はその薬理学的に許容される塩の投与もまた本発明に含まれる。特定の例は側頭動脈炎、結節性動脈周囲炎、動脈硬化症、高安動脈炎及び川崎病の処置を含む。特に有益なものは動脈硬化症に対する保護及びその予防を与える本発明に係るいくつかの化合物の能力である。これは部分的には内皮細胞及び血管壁に対する酸化低密度リポタンパク質の活性により引き起こされる誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)の誘発を予防するいくつかの式(I)の化合物又はその薬理学的に許容される塩の能力のためである。
【0092】
炎症疾患はまた感染、敗血症性椎間板炎、結核、(転移、骨髄腫及びその他の如き)悪性疾患、脊髄腫瘍、強直性脊椎炎、急性円盤脱症、慢性円盤疾患/変形性関節症、骨粗しょう症、及び骨軟化症を含む背部の痛みを引き起こす全ての種類の炎症状態をも含む。それはまたパジェット病、副甲状腺亢進症、腎性骨形成異常症、脊椎すべり症、脊髄狭窄症先天異常及び線維筋痛症をも含む。
【0093】
どんな起源の感染に関連する炎症の処置のための式(I)の化合物又はその薬理学的に許容される塩の投与もまた本発明に含まれる。特定の例はウイルス、細菌、ぜん虫、原生動物及び真菌により引き起こされる感染の二次的な炎症の処置を含み、及びAIDS、細菌性敗血症、全身性真菌感染、リケッチア(Rickettsial)病、トキシックショック症候群、感染性単核球症、クラミヂアトラコマチス、オウム病クラミヂア、サイトメガロウイルス感染、カムピロバクター、サルモネラ、インフルエンザ、ポリオ、トキソプラズマ症、ラッサ熱、黄熱、ビルハルツ住血吸虫、大腸菌、エンテロコッカス属、プレテウス属、クレブシエラ属、シュードモナス属、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、カンジダアルビカンス、結核、おたふくかぜ、感染性単核球症、肝炎及びコクサッキーウイルスの如き状態を含む。
【0094】
例えば、1以上の毒性物質及び/又は薬物に関連する化学的外傷の如き、どんな起源の外傷及び/又は組織傷害に関連する炎症の処置のための式(I)の化合物又はその薬理学的に許容される塩の投与もまた本発明に含まれる。上記薬物は三環状抗うつ薬、リチウム塩、プレニルアミン、フェノチジン誘導体、アドリアマイシンを含む化学予防薬を含む。電磁気照射を含む物理的外傷もまた損傷を引き起こしうる。
【0095】
インスリン抵抗性及び真性糖尿病
インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、脂肪組織及び筋肉における低度の炎症がインスリンのシグナル変換における欠陥の発展、及びそれによりインスリン抵抗性及び最後には真性糖尿病の発展に顕著な役割を果たす真性II型糖尿病を含む真性糖尿病に関連する炎症の処置のための式(I)の化合物又はその薬理学的に許容される塩の投与もまた本発明に含まれる。インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、真性II型糖尿病を含む真性糖尿病の処置のための式(I)の化合物又はその薬理学的に許容される塩の投与もまた本発明に含まれる。
【0096】
摂食障害
例えば、食欲不振及び過食症の如き、摂食障害に関連する炎症の処置のための式(I)の化合物又はその薬理学的に許容される塩の投与もまた本発明に含まれる。例えば、食欲不振及び過食症の如き、摂食障害の処置のための式(I)の化合物又はその薬理学的に許容される塩の投与もまた本発明に含まれる。
【0097】
肥満
脂肪組織及び筋肉における低度の炎症がインスリン抵抗性及び最後には真性糖尿病、例えば、真性II型糖尿病、異常脂血症、高血圧及びアテローム性動脈硬化症を含む肥満の合併症の発展に顕著な役割を果たす、肥満に関連する炎症の処置のための式(I)の化合物又はその薬理学的に許容される塩の投与もまた本発明に含まれる。肥満及び/又はメタボリックシンドームの処置のための式(I)の化合物又はその薬理学的に許容される塩の投与もまた本発明に含まれる。
【0098】
うっ血性心不全
心臓内でのTNF−α生成を含む低度の炎症が衰えている心臓における線維症及び心筋リモデリングの発展に顕著な役割を果たす、うっ血性心不全に関連する炎症の処置のための式(I)の化合物又はその薬理学的に許容される塩の投与もまた本発明に含まれる。うっ血性心不全の処置のための式(I)の化合物又はその薬理学的に許容される塩の投与もまた本発明に含まれる。
【0099】
性機能障害
式(I)の化合物及び/又はその医薬として許容される塩は、男性において勃起を誘発すること、動物交配において勃起を誘発すること、交配させることが難しい動物、詳細には希少種又は価値のある系統、ペット、ネコ、イヌ、ウマにおいて性交を刺激すること又は動物、例えば、ペット、ネコ等において性行動を減少させること、不能症及び男性及び女性の両方における性駆動の欠損又は異常な性駆動を含む性駆動に関連する障害を治療することの如き、性機能/機能障害の処置のためにそれらを有用にさせる価値のある薬理学的特性を有する。
【0100】
精神障害
式(I)の化合物及び/又はその医薬として許容される塩は精神病、うつ病、不安、老年性痴呆、アルツハイマー病、薬物乱用障害及び食欲不振及び過食症の如き摂食障害の如き、精神障害の処置のためにそれらを有用にさせる価値のある薬理学的特性を有する。
【0101】
内分泌系の機能障害
式(I)の化合物及び/又はその医薬として許容される塩は過剰月経、子宮内膜症、分娩に関連する事件、プロラクチンに関連する機能障害、成長ホルモンに関連する機能障害、テストステロンに関連する機能障害、エストロゲンに関連する機能障害、糖質コルチコイドに関連する機能障害、流産の予防のための及び/又は分娩に関連する事件の処置のための、流産を誘発する黄体形成ホルモン及び卵胞刺激ホルモンに関連する機能障害の如き、内分泌系及び他のホルモン系の機能障害の処置のためにそれらを有用にさせる価値のある薬理学的特性を有する。
【0102】
血液及びリンパ系の薬物誘発障害
血液細胞及び血液細胞形成器官(例えば、骨髄及びリンパ組織)に影響する(薬物過敏症を含む)薬物誘発過敏症の処置を含む、血液及びリンパ系の薬物誘発障害の処置のための本発明に係る化合物の投与もまた本発明に含まれる。本発明のこの局面の特定の態様は貧血、顆粒球減少症、血小板減少症、白血球減少症、再生不良性貧血、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少症及び自己免疫性顆粒球減少症の処置を含む。
【0103】
アレルギー障害
本発明に係る化合物はまた速いアレルギー障害(I型アレルギー)の処置のためにも投与されうる。アナフィラキシー反応、アナフィラキシー様反応、喘息、アレルギー型の喘息、未知の起源の喘息、鼻炎、枯草熱及び花粉アレルギーの処置は本発明のこの態様に含まれる。
【0104】
心血管系の障害
式(I)の化合物又はその医薬として許容される塩は血圧、心拍、血管の調子に関連する障害、ナトリウム排泄増加、出血、卒中、虚血に関連する障害、梗塞、再灌流傷害、心臓の、詳細には虚血中の不整脈の如き、心血管系の障害の処置のために又は心臓の以前の虚血期間の再酸素添加に関連する不整脈の処置のためにそれらを有用にさせる価値のある薬理学的特性を有する。
【0105】
痛み
式(I)の化合物又はその医薬として許容される塩は中枢起源の痛み、CNSへの損傷、卒中、梗塞後に見られる痛み、末梢起源の痛み、慢性の痛み、神経障害及び治療効果が中脳水道周囲灰白質における受容体の刺激により達成される障害の如き、痛みの処置のためにそれらを有用にさせる価値のある薬理学的特性を有する。
【0106】
他の使用
皮膚の日焼け
表皮細胞において色素形成を刺激する本発明に係る化合物の能力のために、いくつかの本発明に係る化合物はまた美容理由のための皮膚の日焼けを誘発するために、白斑又は皮膚の色を暗くすることが所望される他の状態の処置のためにも有用でありうる。さらに、皮膚の細胞において色素形成を阻害するいくつかの本発明に係る化合物の能力のために、それらはまた美容理由のためにより明るい皮膚の色を誘発するために又は皮膚のより明るい色が所望される状態中にも有用でありうる。
【0107】
式(I)の化合物又はその医薬として許容される塩は皮膚の日焼けを引き起こし、皮膚の色を暗くするために、皮膚においてメラニン合成を誘発するために、皮膚の日焼けを減少させ、皮膚の色を明るくするために、皮膚においてメラニン合成を減少させる又はブロックするために、皮膚において抗炎症活性を引き起こすために、表皮成長を調節するために、傷の治癒を改善するために、ざ瘡、脂漏、しゅさ性ざ瘡、アトピー性皮膚炎、乾癬及び皮膚の腺、例えば、皮脂腺の機能不全に関連する状態及び皮脂の過剰生成又は生成不足を処置するために、それらを有用にさせる価値のある薬理学的特性を有する。
【0108】
セカンドメッセンジャーエレメントのin vivo形成
本発明に係る化合物はcAMPの如きセカンドメッセンジャーエレメントのin vivo形成を阻害する又は刺激するために有用である。上記阻害/刺激は例えば、分析又は診断目的のために、in vitroで細胞又は破壊された細胞系において使用されうる。
【0109】
標識及びタグ
分析及び診断目的のために、本発明に係る化合物はMC−受容体の定量及び組織局在のための、解離/結合定数の分析のための、及びシンチグラフィー、陽電子放出トモグラフィー(PET)又は単光子放出コンピューター化トモグラフィー(SPECT)の使用によるin vivo結合のイメージングのための又は疾患の診断及び悪性細胞がMC受容体を含む悪性疾患の処置のための、放射性リガンド結合において使用される、1以上の放射活性標識又はガンマ若しくは陽電子放出アイソトープを含む放射活性形で使用されうる。
【0110】
あるいは、本発明に係る化合物はそれぞれの化合物の検出を許容するどんな他の型の標識、例えば、蛍光、ビオチン、NMR、MRI又はガンマ照射、光子若しくは生化学プロセスにより又は光若しくはUV−光(後者は光アフィニティ技術によるMC受容体の共有結合標識化に有用な化合物を得るために)により活性化される標識でも標識化されうる。
【0111】
式(I)の化合物又はその薬理学的に許容される塩はまた毒性剤(すなわち、ドクソルビシン、リシン、ヂフテリア毒素又はその他)でもタグを付けられ、及びMC受容体を有する悪性細胞への標的化デリバリーのために使用され又は悪性疾患及び他のMC受容体発現疾患の処置のために免疫系を誘発するために内因性免疫系を活性化することができる化合物(例えば、T−細胞抗原、例えば、CD3又はその他に結合することができる化合物、モノクローナル抗体又はその他)でタグを付けられうる。そのようにして形成されたハイブリッド化合物は細胞毒性細胞を悪性黒色腫細胞又はMC1−受容体含有悪性細胞に方向付け、及び腫瘍成長を阻害するであろう。
【0112】
式(I)の化合物又はその薬理学的に許容される塩は共有又は非共有結合(単数又は複数)により化学的に抗体に結合されうる。
本発明に係る化合物は動物において、詳細にはヒトにおいて疾患、障害及び/又は病理学的状態の処置及び診断のために使用されうる。
本発明に係る化合物は所望の構造(単数又は複数)の1又はいくつかの他の分子(単数又は複数)に共有結合的に又は非共有結合的に結合されうる;そのようにして形成された改変された化合物又は複合体は本発明に係る化合物について本明細書中に示される及び以下に与えられる実施例中に開示されるのと同じ目的のために使用されうる。本発明の特に重要な態様において、放射活性標識化分子は放射活性標識化された式(I)の化合物又はその薬理学的に許容される塩を作出するために、式(I)の化合物又はその薬理学的に許容される塩に共有結合的に結合される。
【0113】
本発明に係る化合物のいくつかはヒトを含む哺乳類においてキサンチンオキシダーゼに対する効果を有する。
本発明は以下の非限定的な実施例によりさらに例示される。
【実施例】
【0114】
実験
実施例1−合成
[1−(2−ニトロフェニル)−1H−ピロール−2−イル−アリリデンアミノ]グアニヂニウム酢酸塩(図1、構造番号19を参照のこと)を以下に示されるように及び図2中に例示されるように合成した。
【0115】
1−(2−ニトロ−フェニル)−1H−ピロール(1a)の合成
1.37g(9.9mmol)2−ニトロ−アニリン及び1.3ml(11mmol)の2,5−ヂメトキシ−テトラヒドロフランを20ml酢酸中で1時間還流した。上記反応混合物を蒸発させ、及び残留物をEtOAc中に希釈し、及び水、NaHCO3(飽和)、水で洗浄し、及びその後Na2SO4上で乾燥させた。上記溶媒を蒸発させ、及び1.8g(96%)の1aを油として得た。
【0116】
1−(2−ニトロ−フェニル)−1H−ピロール−2−カルブアルデヒド(2a)の合成
POCl3を0〜10℃でDMFに添加し、その後50mlのCCl4を室温で添加した。50mlのCCl4中の4.5g(24mmol)1aの溶液を約10℃で1時間上記反応混合物にゆっくりと添加した。上記反応混合物を15分間還流し、及び50mlのH2O中の50gのNaOAc,3H2Oの溶液を添加し、及び還流を15分間続けた。上記混合物を冷却し、エーテルで抽出し、及びNa2SO4上で乾燥させた。8.0g(65%)の2aをEtOAc:石油エーテルを溶離液として用いたカラムクロマトグラフィーにより単離した。
【0117】
1−(2−ニトロ−フェニル)−2−(2−[1,3]ヂオキソラン−2−イル−ビニル)−1H−ピロール(3a)の合成
DMSO中の2.98g(13.8mmol)2a、1.2当量のトリブチル−[1,3]ヂオキソラン−2−イルメチル−λ5−フォスファン及び1.5当量のKOtBuを60℃で24時間攪拌した。上記反応をTLC(EtOAc:石油エーテル 1:2)によりモニターした。冷却後、上記反応混合物を水に注ぎ、及びエーテルで抽出し、及び上記溶媒を蒸発させた。半固体残留物をエーテルで希釈し、及びろ過して残留のBu3POを除去し、及び生成物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc:石油エーテル 1:2)により精製し、2.6g(66%)の3aを得た。
【0118】
3−[1−(2−ニトロ−フェニル)−1H−ピロール−2−イル]−プロペナル(4a)の合成
50mlヂエチルエーテル中の2.6g(9.1mmol)3aの溶液を10%水性HClと共に1時間攪拌した。上記反応混合物を5%NaHCO3で洗浄し、NaHCO3上で乾燥させた。溶媒の蒸発後、2g(91%)の4aを得た。
【0119】
[1−(2−ニトロフェニル)−1H−ピロール−2−イル−アリリデンアミノ]グアニヂニウム酢酸塩(5a)の合成
2g(8.3mmol)4a及び1.1当量のアミノグアニヂン重炭酸塩をTHF中で混合し、及び30分間還流した。上記溶媒を蒸発させ、及び残留物をアセトニトリルで希釈し、及び生成物を結晶化させた。アセトニトリルからの結晶化による精製は1.35g(55%)の最終生成物5a(m.p.192−194℃)を与えた。
【化17】

【0120】
エレメント分析
発見:C 53.7、H 5.1、N 23.3
計算:C 53.6、H 5.1、N 23.5
【0121】
実施例2−合成
[1−(2−ブロモフェニル)−1H−ピロール−2−イル−アリリデンアミノ]グアニヂニウム酢酸塩(図1、構造番号53を参照のこと)を以下に示されるように及び図3中に例示されるように合成した。
1−(2−ブロモ−フェニル)−2−(2−[1,3]ヂオキソラン−2−イル−ビニル)−1H−ピロール(3b)の合成
20ml DMSO中の3.12g(12.5mmol)の1−(2−ブロモ−フェニル)−1H−ピロール−2−カルブアルデヒド及び1.2当量のトリブチル−[1,3]ヂオキソラン−2−イルメチル−λ5−フォスファン及び1.5当量のKOtBuを2時間攪拌した。上記反応混合物を47℃まで加熱し、及び一晩攪拌した。上記反応混合物を室温まで冷却し、及び200mlの水に注ぎ、及びヂエチルエーテルで抽出し、Na2SO4上で乾燥させ、及び上記溶媒を蒸発させた。油っぽい残留物を得、それを一晩結晶化させた。上記沈殿物をヂエチルエーテルで洗浄し、ろ過し、及び乾燥させた。E及びZ異性体の混合物を得た。カラムクロマトグラフィーによる精製は2g(50%)のE異性体3bを与えた。
【0122】
3−[1−(2−ブロモ−フェニル)−1H−ピロール−2−イル]−プロペナル(4b)の合成
1.74g(5.4mmol)3bを20mlのヂエチルエーテル中に溶解し、及び20mlの10%水性HClと共に40分間攪拌した。上記反応をTLC(EtOAc:石油エーテル 1:2)によりモニターした。上記反応混合物を5%NaHCO3で洗浄し、NaHCO3上で乾燥させ、及び溶媒を蒸発させた。上記生成物をカラムクロマトグラフィー(EtOAc:石油エーテル 1:5)により単離し、0.9g(60%)の4bを得た。
【0123】
[1−(2−ブロモフェニル)−1H−ピロール−2−イル−アリリデンアミノ]グアニヂニウム酢酸塩(5b)の合成
0.9g(3.26mmol)4b及び1.2当量のアミノグアニヂン重炭酸塩を10mlのエタノール及び2mlの酢酸中で混合し、及び30分間還流した。上記溶媒を蒸発させ、及び油っぽい残留物をアセトニトリル中に溶解し、及び数滴のヂエチルエーテルを添加した。冷蔵庫中での3日後、沈殿物が形成され、それをろ過し、ヂエチルエーテルで洗浄し、及び乾燥させた。340mg(31%)の最終生成物5bを白色結晶(m.p.166−168℃)として得た。
【化18】

【0124】
エレメント分析
発見: C 48.6、H 4.5、N 18.2
計算: C 49.0、H 4.6、N 17.9
【0125】
実施例3−in vitro薬理学及び結合分析
適用される方法の説明
MC受容体についての結合アフィニティの決定を[125I]−[Nle4,D−Phe7]α−MSH([125I]−NDP−MSH)放射性リガンド結合により行った。簡単に述べると、MC1を発現するが、他のMC受容体を発現しないマウスB16−F1黒色腫細胞をマウスMC1受容体に対する結合アフィニティ研究のために使用した(Siegrist et al.;1988,J. Recept. Res., 8(1−4):323−43)。ヒトMC3、MC4及びMC5受容体アフィニティについてはヒト組換えCHO細胞を使用した(Schloth et al.1997, Neuropeptides 31:565−71,1997)。細胞をHEPES緩衝液中に懸濁し、及びマイクロウェルプレートの使用により10-10〜10-6の濃度範囲の放射性リガンド及び試験化合物を添加した。37℃(MC1受容体分析については22℃)でのインキュベーション後、結合した及びフリーの[125I]−NDP−MSHの分離を緩衝液での複数回の洗浄により行った。
【0126】
結果を試験化合物の存在下で得られたコントロール特異的結合のパーセントとして表した。それぞれの分析についての平均値は以下の表1中に示される。IC50値(コントロール特異的結合の最大の半分の阻害を引き起こす濃度)及びHill係数(nH)をHill式曲線フィッティングを用いて競合曲線の非直線回帰分析により決定した。阻害定数(Ki)をCheng Prusoff式(Ki=IC50/(1+(L/KD))、ここでL=分析における放射性リガンドの濃度、及びKD=受容体についての放射性リガンドのアフィニティ)から計算した。
【0127】
【表1】

【0128】
全てWO 03/013509中に開示される化合物のクラスに属する3のリファレンス化合物、及び本発明にしたがう3の化合物を試験した。見られうるように、分析された本発明に係る化合物はピロール環のアミノグアニヂン置換基の構造においてのみ対応するリファレンス化合物と異なった。
【0129】
リファレンス化合物1:
[1−[4−クロロフェニル]−1H−ピロール−2−イル−メチレンアミノ]グアニヂニウム酢酸塩
リファレンス化合物2:
[1−[2−ニトロフェニル]−1H−ピロール−2−イル−メチレンアミノ]グアニヂニウム酢酸塩
リファレンス化合物3:
[1−[2−ブロモフェニル]−1H−ピロール−2−イル−メチレンアミノ]グアニヂニウム酢酸塩
本発明に係る化合物1(図1、構造番号1を参照のこと):
[1−(4−クロロフェニル)−1H−ピロール−2−イル−アリリデンアミノ]グアニヂニウム酢酸塩
本発明に係る化合物2(図1、構造番号19を参照のこと):
[1−(2−ニトロフェニル)−1H−ピロール−2−イル−アリリデンアミノ]グアニヂニウム酢酸塩
本発明に係る化合物3(図1、構造番号53を参照のこと):
[1−(2−ブロモフェニル)−1H−ピロール−2−イル−アリリデンアミノ]グアニヂニウム酢酸塩
【0130】
結果
驚くべきことに、本発明に係る化合物1はリファレンス化合物1に比較されるときマウスMC1及びヒトMC4受容体の両方に対して著しく増大された結合アフィニティを示した(以下の表IIを参照のこと)。この結果はピロール環のアミノグアニヂン置換基の本改変はWO 03/013509中に開示される化合物に比較されるときMC1及びMC4受容体に対して著しく増大された結合アフィニティの化合物をもたらすことを示す。
【0131】
【表2】

【0132】
本発明に係る化合物2はリファレンス化合物2に比較されるときマウスMC1受容体に対して著しく増大された結合アフィニティを示した(以下の表IIIを参照のこと)。この結果はピロール環のアミノグアニヂン置換基の改変はMC1受容体についての増大された結合アフィニティをもたらすという本発明に係る化合物1で見られる驚くべき発見を確実にする。驚くべきことに、上記結果はフェニル環の4−位における塩素原子(本発明に係る化合物1)を2−位におけるニトロ基(本発明に係る化合物2)で置換することはMC1受容体に対する特異的結合アフィニティを誘発したことをさらに示す。
【0133】
【表3】

【0134】
本発明に係る化合物3はリファレンス化合物3に比較されるときマウスMC1並びにヒトMC3及びMC4受容体に対して著しく増大された結合アフィニティを示した(以下の表IVを参照のこと)。この結果はピロール環のアミノグアニヂン置換基の改変はMC1受容体についての増大された結合アフィニティをもたらすという本発明に係る化合物1及び2で見られる驚くべき発見を確実にする。驚くべきことに、上記結果はフェニル環の4−位における塩素原子(本発明に係る化合物1)又はフェニル環の2−位におけるニトロ基(本発明に係る化合物2)を2−位における臭素原子(本発明に係る化合物3)で置換することはMC1、MC3及びMC4受容体に対する結合アフィニティをさらに増大させたことをさらに示す。
【0135】
【表4】

【0136】
MC1受容体分析において本発明に係る化合物3について得られた競合曲線は図4中に示される。
以下の実施例において、本発明に係る化合物のin vitro及びin vivo効果を試験する方法が示される。上記方法の目的は抗炎症効果及び虚血、炎症又は薬物の毒性効果の結果として起こる細胞/組織/器官機能不全又は破壊を阻害する又は予防する能力について本発明に係る化合物を試験することである。
【0137】
慢性炎症における炎症応答又は悪化は腫瘍壊死因子α(TNF−α)、インターロイキン(IL−1β、IL−8、IL−10)、一酸化窒素(NO)、及びフリー酸素ラヂカルの如き、細胞由来仲介物質の生成により特徴付けられ、それらは最終的に全身の血管中の細動脈緊張の欠損、増大された毛細血管浸透性、維持される低血圧及び肺における肺胞空間内の好中球及び好酸球を含む白血球の蓄積に関連する器官機能不全を伴う広く広がる内皮損傷を誘発するであろう。感染性物質から放出されるリポ多糖(LPS)はTNF−αを含むいくつかの炎症仲介物質を誘発することにより感染に対する炎症応答において中心的な役割を果たす。TNF−α生成を阻害する能力での処置はそれゆえ著しい抗炎症効果を有すると考えられる。本発明者はいくつかの実験セットアップにおいて炎症応答を作出するためにLPS刺激を用いており、及び本発明に係る化合物の抗炎症効果のための第一マーカーはTNF−α生成を阻害する能力である。
【0138】
実施例4 in vivo効果−ラットにおけるLPS誘発TNF−α及びIL10生成の阻害
実験動物。雌Wistarラット(〜250g)をCharles River,Sulzfeld,Germanyから得、温度(22〜24℃)及び湿度制御された(40〜70%)部屋で12時間の明暗周期(6:00A.M.から6:00P.M.まで光が点く)で飼った。上記ラットを140mmol/kgのナトリウム、275mmol/kgのカリウム及び23%タンパク質(Altromin International, Lage, Germany)を含む標準のげっ歯類食餌で維持し、及び水を自由にとらせた。
【0139】
動物調製。イソフルラン−一酸化二窒素麻酔で、動物の腹腔大動脈及び下方大静脈に、それぞれ大腿動脈及び静脈を介して、永久医療グレードTygonカテーテルを埋め込んだ。器械設置後、上記動物を実験の日まで7〜10日間個々に飼った。
実験プロトコル。実験前に全てのラットを訓練により実験のために使用される拘束ケージに適応させた。実験の日、上記動物を拘束ケージに移し、及び150mMグルコースを含む媒体溶液の静脈内点滴を開始した。上記点滴速度は実験をとおして0.5ml/時間であった。短い適応期間後、リポ多糖(LPS)の点滴を開始した。LPS(E coli抗原型0127 B8,L 3129,Sigma, St. Louis, USA)をi.v.点滴として1時間にわたりデリバリーされる4mg/体重kgの用量で与えた。
0.3mlの動脈血サンプルをLPS点滴の開始120分後に採った。
【0140】
実験群:
LPS点滴に加えて、全てのラットを媒体(0.5mL 20%PEG200)又は以下の用量のうちの1の試験化合物のボーラス注入で処置した:LPS点滴の開始5分前に静脈内に与えられる0.1;1.0;5.0mg/kg。
試験化合物:本発明に係る化合物1(図1、構造番号1)、本発明に係る化合物2(図1、構造番号19)及び本発明に係る化合物3(図1、構造番号53)。
血漿中のTNF−α及びIL−10の計測:血液サンプルを0.5mM EDTA、pH7.4、及び20×106IU/mlアプロチニンを含む事前に冷却された試験管中に集めた。4℃での遠心分離後、血漿サンプルを事前に冷却された試験管に移し、及び後のTNF−α及びIL−10計測のために−20℃で貯蔵した。血漿中のTNF−α及びIL−10をELISA(Biotrak, Amersham, UK)により決定した。
統計的分析。結果を平均±SEとして表す。繰り返された計測のためのツーウェイANOVAを群間の差について試験するために使用した。P<0.05の場合、対応する期間の間の差をunpaired t−試験により有意差の値のBonferroni’s correctionで評価する。
【0141】
結果
本発明に係る化合物番号1及び化合物番号3はLPS点滴の開始120分後の血清TNF−αの値により評価されるようにLPS誘発TNF−α遊離を減少させた。5.0mg/kg用量値で両方の化合物は媒体処置(13950±486pg/ml)に比較されるときTNF−αの血清値を〜60%減少させた(表Vを参照のこと)。化合物番号2の最大抗炎症効果は0.1mg/kg用量値で得られた(表Vを参照のこと)。
【0142】
【表5】

【0143】
全ての3の化合物はLPS点滴の開始120分後の血清TNF−αの値により評価されるようにLPS誘発IL10遊離を減少させた。化合物番号2及び化合物番号1について、最大効果は5.0mg/kg用量値で得られ、ここで上記化合物は媒体処置(7402±1739pg/ml)に比較されるときIL10の血清値を〜46及び25%減少させた(表VIを参照のこと)。化合物番号3の最大抗炎症効果は1.0mg/kg用量値で得られ、ここで上記化合物は媒体処置に比較してIL10応答を〜55%減少させた(表VIを参照のこと)。
【0144】
【表6】

【0145】
実施例5
in vitroでのヒト白血球によるLPS誘発TNF−α生成の阻害
20mLヒト血液をEDTAを含む採血管中に集めた。PBMCをAmersham’s Instruction 71−7167−00 AD,2002−06中のようにFicoll−Paque Plusを用いて単離する。PBMCをTryphan Blue Solution(Sigma)を用いてカウントし、及び5×105細胞/mLの濃度で10mM Hepes(Sigma)、2mM L−グルタミン(Sigma)、0.1%BSA(Sigma)及び50U/50μg/mLペニシリン/ストレプトマイシン(Sigma)で補充されたRPMI 1640(Applichem)中でインキュベートした。単離されたPBMCを培地、10ng LPS/mL(Sigma)及び試験化合物を含む24ウェル平底プレート(Corning Incorporated)中で加湿された5%CO2、95%空気中で37℃でインキュベートする。18時間後、上記サンプルを遠心分離し、及び上清中のTNF−αをHuman Biotrak ELISA System(Amersham)からの腫瘍壊死因子アルファ[(h)TNF−α]を用いて計測する。
【0146】
上記サンプルをドナー当たり以下のようにインキュベートする:
RPMI中のPBMC’s(時間コントロール)
10ng LPS/mL(媒体)でのPBMC’s
PBMC’s、10ng LPS/mL、10-17Mリファレンス化合物又は試験化合物
PBMC’s、10ng LPS/mL、10-15Mリファレンス化合物又は試験化合物
PBMC’s、10ng LPS/mL、10-13Mリファレンス化合物又は試験化合物
PBMC’s、10ng LPS/mL、10-11Mリファレンス化合物又は試験化合物
PBMC’s、10ng LPS/mL、10-9Mリファレンス化合物又は試験化合物
PBMC’s、10ng LPS/mL、10-7Mリファレンス化合物又は試験化合物
全てのサンプルを1.4×10-4M〜1.8×10-3Mの間ではじめのストック溶液から希釈する。全ての溶液をバイアルの表面への上記化合物の結合に対して保護するためにBSAコーティングされたバイアル中で扱う。
データを平均±SEとして表す。LPS誘発TNF−α遊離に対する試験化合物の効果をLPS−媒体群中のTNF−α蓄積の割合として表す。
全ての比較をStudent’s unpaired t−試験で分析する。差は0.05の確率値(p)で有意と考えられる。
【0147】
実施例6
ラットにおけるLPS吸入後の好中球及び好酸球浸潤の阻害
M&B A/S,DK−8680 Ry,Denmarkからの雄Sprague−Dawleyラット(体重〜200g)を使用する。上記ラットを標準ケージ3型中に入れ、及び温度(22〜24℃)及び湿度制御(40〜70%)室で12時間明暗周期(6:00A.M.から6:00P.M.まで光が点く)で飼う。食餌はオートクレーブされたAltromin 1324 special formulation, Produced by Altromin Denmark, Chr. Pedersen A/S, 4100 Ringsted, Denmarkである。食餌及び水は制約なしに投与される。
【0148】
順応後、上記ラットを実験群にランダムに割り当て、及びLPS誘発の開始に及びLPS誘発8時間後に再び試験化合物でi.v.投与する。
3のグループ中のラットを0.1mlヒプノルム/ドルミカムpr.100gで麻酔し、及び試験化合物でi.v.投与する。投与後即座にそれらを吸入チャンバー中に入れ、そこでそれらを霧状にされたLPS溶液にかける。LSPの濃度は1mg/mlである。投与時間は15分間である。上記ラットを試験物質の投与24時間後に安楽死させる。最後の時、上記ラットをCO2/O2で安楽死させる。
【0149】
その後気管支肺胞洗浄を6×2.5mlのPBSを右肺に入れる及び抜くことにより行う。洗浄は胸骨及び肋骨の除去後に胸郭中に残る肺で行われる。左肺への結合はこの手順の間に縛って止める。気管支肺胞流体(BALF)を1000rpmで4℃で10分間遠心分離する。上清の除去後、上記細胞ペレットを0.5mlPBS中に再懸濁し、及び総細胞カウントを行う。May−Gruwald Glemsa染色で染められたBALFの2のスミアーをそれぞれのラットから作出する。それぞれのラットからのBALFを総細胞カウントに及び白血球のディファレンシャルカウントにかける。
【0150】
実験群:
LPS点滴に加えて、全てのラットを以下のもののいずれかのボーラス注入で処置する:
媒体(0.5mL等張塩水);
リファレンス化合物:例えば、リファレンス化合物番号1(例えば、0.1、0.2、1.0又は5.0mg/kg/bw)及び/又はリファンレンス化合物番号2(例えば、0.1、0.2、1.0又は5.0mg/kg/bw)及び/又はリファレンス化合物番号3(0.1、0.2、1.0又は5.0mg/kg/bw)及び/又はα−MSH(例えば、0.1、0.2、1.0又は5.0mg/kg/bw)。最後に、LPS吸入なしの時間コントロール群を媒体で処置する。
【0151】
統計
データを平均±S.E.として表す。群間で比較を分散の一方向分析により行い、続いてFishers Least Significant Difference試験を行う。差は0.05値で有意と考えられる。
【0152】
実施例7
in vivoでのブタにおけるLPS誘発サイトカイン放出及び肺高血圧の阻害
雌Landraceブタ(〜30kg)を一晩絶食させるが、水は自由に取らせる。その後上記ブタを筋内ケタミン(10mg/kg)及びミダゾラム(0.25mg/kg)で事前投薬する。麻酔は静脈内ケタミン(5mg/kg)で誘発する。上記ブタに経口で挿管し、及び麻酔をフェンタニル(60μg/kg/時間)及びミダゾラム(6mg/kg/時間)の連続的な静脈内点滴で維持する。上記動物を体積制御人工呼吸器(Servo 900 ventilator;Siemens Elema, Solna, Sweden)で5cm H2Oのポジティブエンド−呼気圧で肺換気する。一回換気量を10〜15ml/kgに維持し、及び呼吸速度を炭酸正常状態(34〜45mmHgの範囲内の動脈二酸化炭素圧力[PaCO2])を維持するよう調節する(20〜25呼吸/分)。人工呼吸を105mmHgより高い動脈酸素圧力(PaO2)に合計で達するよう意図して空気中の酸素で行う。1の動脈及び2の静脈の鞘を点滴、流体で満たされたカテーテルを通した血圧計測、血液サンプリングのために及びカテーテルを導入するために頸動脈及び対応する静脈中に置く。
【0153】
Swan−Ganzカテーテル(Edwards Lifescience Corp., Irvine, CA)を右大動脈上静脈を介して肺動脈中に挿入する。バルーンを先にかぶせたカテーテルの局在を、それは肺動脈への心臓の右側を通る上昇であるのでモニター上で特徴的な圧のトレースを観察することにより、及びx−線により決定する。もう一つのカテーテル(5French;St. Jude Medical Company, St. Paul, MN)を連続血圧モニタリング及び血液サンプリングのために左頸動脈内に挿入する。尿カテーテルを尿回収のために挿入する。心臓パフォーマンスを評価するとき、一時的なペースカテーテルを心拍を標準化するために右心房(x−線でガイドする)へ静脈鞘をとおして挿入する。
【0154】
血流力学的モニタリング。動脈血圧、(心電図からの)心拍、及び肺動脈圧(PAP)の連続観察を行う。
リポ多糖点滴。 Escherichia coliリポ多糖エンドトキシン(E. coli 026: 6,Bacto Lipopolysaccharides;Difco Laboratories, Detroit, MI)を沈殿物を溶解するためにそれぞれの実験120分前に塩水中に溶解する。安定化期間後、リポ多糖点滴を2.5μg/kg/時間の速度のベースラインで開始し、及び30分間で15μg/kg/分まで徐々に増大させる。この後、点滴を2.5μg/kg/時間の速度で150分間維持し、及びその後は中止した。
【0155】
介入群:上記コントロール群にLPS点滴が開始される直前に介入群と等しい体積の媒体を与える。介入群に単一の静脈内ボーラス注入としてリファレンス化合物(例えば、0.1、0.2、1.0又は5.0mg/kg)又は試験化合物(例えば、0.1、0.2、1.0又は5.0mg/kg)の用量を与える。
【0156】
サイトカイン。EDTA−安定化血液から得られた新鮮な凍結血漿サンプル(−80℃)を製造業者の教示にしたがう商業的に入手可能な酵素結合免疫吸着剤分析の使用によるTNFαの計測のために使用する。
統計。データを平均±S.E.として表す。群間で比較を分散の一方向分析、続いてFishers Least Significant Difference試験により行う。差は0.05値で有意と考えられる。
【0157】
以下に一時的に虚血のモデルの2の例を示す。動脈血供給における減少された/完全な抑止により誘発される虚血は好中球蓄積、他の炎症応答及び細胞死を含む複数の組織反応を誘発する。虚血/炎症の結果として起こる多くの細胞/組織/器官不全又は破壊を(完全に又は部分的に)阻害し又は予防しうる化合物の同定は非常に有益である。本発明者は一時的な虚血の2のモデルを使用する:1)急性心筋梗塞の発展、及びフィブリン溶解性治療又は冠状動脈血管形成術のいずれかにより達成されるような続く血液供給の回復をまねる、ラットにおける心筋虚血再灌流モデル(実施例8);及び2)主要な外科的介入(例は腹腔大動脈瘤のための外科的介入でありうる)を受ける患者において見られるような腎臓血液供給における一時的な減少により誘発されるAFRに類似の急性腎不全(ARF)を誘発する、両側の腎動脈閉塞(実施例9)。
【0158】
実施例8
ラットにおける左前方下降冠状動脈の60分間の閉塞により誘発される心筋梗塞サイズの阻害。
柵で育てられた及び特定病原体フリーの雌Wistarラット(250g)をCharles River, Hannover, Germanyから得る。上記動物を温度(22〜24℃)及び湿度(40〜70%)制御室で12時間明暗周期(6:00A.M.から6:00P.M.まで光が点く)で飼う。全ての動物に水道水及び約140mmol/kgのナトリウム、275mmol/kgのカリウム及び23%タンパク質(Altrominカタログ番号1310、Altromin International, Lage, Germany)を含むペレット化ラット食餌を自由に取らせる。上記ラットの下方大静脈及び腹腔大動脈中に大腿静脈及び動脈を介して永久医療グレードTygonカテーテルを設置する。一週間後、上記ラットをO2中の4%イソフルランを含む吸入チャンバー中で麻酔する。気管内管の挿入後、上記動物をHugo Basile Rodent ventilatorを用いてO2中の1.0%イソフルランを伴って人工呼吸する。一回換気量は8〜10ml/kg b.w.であり、及び呼吸速度は75min-1であり、それは7.35〜7.45の動脈pHを維持する。手術の間、上記動物を37〜38℃の直腸温度を維持する加熱テーブル上に置く。標準のECG(第二のリード)をHugo Sachs ECG Couplerを用いて計測し、及びPowerLabにおいて4,000Hzでオンラインで回収する。胸骨傍の開胸及び心膜の切開後、左前方下降冠状動脈(LAD)を見えるように位置する。結紮の再開を許容するオクルダーを伴う非侵襲的6−0絹縫合を肺動脈幹及び左心耳の下部右端の間のLADの周りに置く。10分後、左前方下降冠状動脈(LAD)を閉塞する。閉塞が成功したことをECGにおける変化(ST−セグメント上昇及びR−波増幅における増大)により及びMAPにおける減少により確認する。再灌流を上記オクルダーを開くことにより60分後に行う。コントロールラットに模擬手術を行う。
上記ラットを以下のi.v.処置の1にかける:
【0159】
媒体:0.5ml 150mM NaCl。
リファレンス化合物:0.5ml 150mM NaCl中の例えば、リファレンス化合物番号1、リファレンス化合物番号2又はリファレンス化合物番号3(例えば、0.1、0.2、1.0又は5.0mg/kg b.w.)又は例えば、α−MSH(例えば、0.1、0.2、1.0又は5.0mg α−メラニン形成細胞刺激ホルモン/kg b.w.)。
【0160】
試験化合物:0.5ml 150mM NaCl中の例えば、0.1、0.2、1.0又は5mg試験化合物/kg b.w.。
処置を再灌流5分前に行う。
【0161】
虚血及び壊死心筋層の大きさの決定
上記ラットを虚血/再灌流後に麻酔された状態に維持し、及びLADの再閉塞を3時間の再灌流後に行う。この期間中、ECG及びMAPを連続して計測する。その後、Evans Blue染色(1ml;2%w/v)を虚血領域の大きさを決定するためにi.v.投与する。虚血領域の大きさを決定するために及び非虚血心筋層から虚血心筋層を分離するために、心臓を除去し及び水平スライスに切る。虚血領域を単離し、及び0.5%塩化トリフェニルテトラゾリウム溶液中で37℃で10分間インキュベートする。壊死組織の大きさをその後コンピューター化イメージプログラムの使用により計測する。動物の追加のセットアップを、うっ血性心不全の発展に対する薬理学的処置の効果を評価するために手術後にブプレノルフィンで処置し、及び二週間後に左心室末端拡張期圧(LVEDP)の計測のためにそれらのケージに戻す。LVEDPを右頸動脈を介して左心室に挿入される2Fマイクロチップカテーテルを用いて計測する。イソフルラン濃度を平均動脈圧(MAP)を85〜90mmHgに安定化するよう調節する。
【0162】
統計
データを平均±S.E.として表す。群内で比較をStudent’s paired t試験で分析する。群間で比較を分散の一方向分析、続いてFishers Least Significant Difference試験により行う。差は0.05値で有意と考えられる。
【0163】
実施例9
ラットにおける腎動脈の40分間の両側閉塞により誘発される腎不全の阻害
柵で育てられた及び特定病原体フリーの雌Wistarラット(250g)をCharles River, Hannover, Germanyから得る。上記動物を温度(22〜24℃)及び湿度(40〜70%)制御室で12時間明暗周期(6:00A.M.から6:00P.M.まで光が点く)で飼う。全ての動物に水道水及び約140mmol/kgのナトリウム、275mmol/kgのカリウム及び23%タンパク質(Altrominカタログ番号1310、Altromin International, Lage, Germany)を含むペレット化ラット食餌を自由に取らせる。
【0164】
事前に慢性静脈カテーテルを設置した上記ラットを代謝ケージに入れ、及び上記代謝ケージへの2日間の順応期間後、実験的ARFを両方の腎動脈の60分間の閉塞により誘発する。手術中、上記ラットをイソフルラン−一酸化二窒素で麻酔し、及び37℃の直腸温度を維持するために加熱テーブル上に置く。両方の腎臓を脇腹切開をとおして暴露し、腎周脂肪から切り離すことにより可動にし、その後腎動脈の少しの部分を静脈から穏やかに切り離す。上記腎動脈をなめらかな表面の血管クリップ(60g圧;World Precision Instruments, UK)で40分間閉塞する。総虚血を腎臓表面全体が青白くなることを観察することにより確認する。虚血の期間中、傷を体温を維持するために一時的に閉じる。上記クリップを除去した後、腎臓を血液の再流を示す色の変化を確実にするためにさらなる2〜5分間観察する。その後上記傷を3−0絹縫合で閉じる。上記ラットを代謝ケージに戻し、及び毎日24時間の尿排出及び水摂取を5日間計測する。コントロール群として、ラットを腎動脈の閉塞なしでARFラットに使用されるものと同一の模擬手術にかける。模擬手術されたラットをARFのラットと並行してモニターする。
上記ラットを以下のi.v.処置の1にかける:
【0165】
媒体:0.5ml 150mM NaCl。
リファレンス化合物:0.5ml 150mM NaCl中の例えば、リファレンス化合物番号1、リファレンス化合物番号2又はリファレンス化合物番号3(例えば、0.1、0.2、1.0又は5.0mg/kg b.w.)又は例えば、α−MSH(例えば、0.1、0.2、1.0又は5.0mg α−メラニン形成細胞刺激ホルモン/kg b.w.)。
試験化合物:0.5ml 150mM NaCl中の例えば、0.1、0.2、1.0又は5mg試験化合物/kg b.w.。処置を腎臓の再灌流5分前及び続いて6及び24時間後に行う。
【0166】
統計
データを平均±S.E.として表す。群内で比較をStudent’s paired t試験で分析する。群間で比較を分散の一方向分析、続いてFishers Least Significant Difference試験により行う。差は0.05値で有意と考えられる。
さらに、シスプラチン誘発腎不全のモデルについての例(実施例10)を与える。腎毒性はシスプラチン処置の周知の副作用である。それにもかかわらず、必ずしも用量限定的でない腎毒性が患者の大部分にまだ影響し、及び糸球体ろ過速度における顕著な減少が処置中に観察される。シスプラチンの腎毒性は特に近位の細管のS3セグメントにおける及びヘンレわなの厚い上行肢における外髄質中のネフロンに対する直接的な細胞毒性損傷として見られる。それゆえシスプラチン処置はしばしば尿を希釈する能力の不全を含む細管再吸収欠陥をもたらす。低マグネシウム血症はシスプラチンで処置される患者の約50%において観察され、及びおそらく腎臓マグネシウム(Mg)再吸収における欠陥のためである。最近の研究は、Mg供給はシクロスポリンAの腎毒性活性に対する保護における重要な因子であることを示唆しており、及びMg欠損及びシスプラチン誘発腎毒性の間の可能性のある関係が最近示唆されている。低マグネシウム血症を予防するために意図される処置はそれゆえMg供給の要求を減少させるためだけでなく、シスプラチンの腎毒性を減少させるためにも有益な効果を有するであろう。
【0167】
実施例10
シスプラチン誘発腎不全の阻害
事前に慢性静脈カテーテルを設置したラットを代謝ケージに入れ、及び上記代謝ケージへの順応期間後、上記ラットを腹腔内シスプラチン注入0.5ml 150mM NaCl中の5.0mg/kg bw又は媒体(0.5ml 150mM NaCl)で処置する。5日後、上記ラットをその後代謝ケージに戻し、及び次の5日間毎日24時間の尿排出及び水摂取を計測し及び集めた。全てのラットをその後ハロタン/N2O中で麻酔し、及び動脈血サンプルを事前に冷却したEDTAコーティングされたバイアル中に回収する。上記血液サンプルを0.5mM EDTA、pH7.4、及び20×106IU/mlアプロチニンを含む事前に冷却した試験管中に回収する。4℃での遠心分離後、血漿サンプルを事前に冷却した試験管に移し、及び後のクレアチニン及びマグネシウム(Mg)の計測のために−20℃で貯蔵する。これに加えて、血液回収前の最後の24時間に回収された尿中のクレアチニンもまた計測する。糸球体ろ過速度(GFR)の指標として使用されるクレアチニンクリアランス(Ccr)はその後Ccr=Vu×Ucr/Pcrとして計算されることができ、ここでVuは24時間の尿生成であり;Ucrは尿中のクレアチニン濃度であり及びPcrは血漿中のクレアチニン濃度である。尿及び血漿中のクレアチニン計測は臨床化学システムVITROS 950(Ortho−Clinical Diagnostics Inc., Johnson & Johnson, NJ)及びRoche Hitachi Modular(Roche Diagnostics, Mannheim, Germany)の使用により行う。
上記ラットを以下のi.v.処置の1にかける:
【0168】
媒体:0.5ml 150mM NaCl
リファレンス化合物:0.5ml 150mM NaCl中の例えば、リファレンス化合物番号1、リファレンス化合物番号2又はリファレンス化合物番号3(例えば、0.1、0.2、1.0又は5.0mg/kg b.w.)又は例えば、α−MSH(例えば、0.1、0.2、1.0又は5.0mg α−メラニン形成細胞刺激ホルモン/kg b.w.)。
【0169】
試験化合物:0.5ml 150mM NaCl中の例えば、0.1、0.2、1.0又は5mg試験化合物/kg b.w.。処置を腎臓の再灌流5分前及び続いて6及び24時間後に与える。
【0170】
統計
データを平均±S.E.として表す。群内で比較をStudent’s paired t試験で分析する。群間で比較を分散の一方向分析、続いてFishers Least Significant Difference試験により行う。差は0.05値で有意と考えられる。
以下に、関節炎に対する治療効果について本発明に係る化合物を試験するモデルを示す。
【0171】
実施例11
〜150gのLewisラットを使用する(n=10/群)。0日目、尾の基部にコラーゲンの皮内注入による感作(コラーゲンII型/IFA)を行う。11、14、16、18及び21日目に、足の評価を行う。
エンドポイント:−足浮腫
−臨床関節スコア
−体重
化合物を毎日一回胃洗浄により予防的に(群b)又は治療的に(群c)投与する。
評価のための群は:
a)媒体 0日目からの処置
b)予防的 0日目からの処置
c)治療的 0日目からの処置
【0172】
以下の調合物はラットにおける顕著な血漿暴露に十分に耐え及び関連したことを示す以前の研究に基づいて、20%PEG200、40%クレモフォル(Cremophor)RH40、25%ラブラソル(Labrasol)又は30%ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンを媒体として使用した。
【0173】
血液の採取及び血漿の調製
4日目、3日目の投与24時間後:0.25ml血液サンプル、
21日目、20日目の投与24時間後:0.25ml血液サンプル、
21日目、21日目の投与5時間後:0.25ml血液サンプル、
サンプルをサイトカインの計測まで−80℃で貯蔵する。
【0174】
血漿中のTNF−αの計測:
ELISA(Biotrak、Amersham、UK)による。
統計分析
結果を平均±S.E.として表す。繰り返される計測についてのツーウェイANOVAを群間の差について試験するために使用する。P<0.05の場合、対応する期間の間の差はunpaired t−試験及び有意差の値のBonferroni’sコレクションにより評価する。
【0175】
実施例12
研究の目的
目的:
−食餌誘発肥満(DIO)を発展する高い可能性を示す、選択的に飼育された雄Sprague−Dawleyラットにおける及び/又はホモ接合のZuckerラットにおける食物摂取、水摂取及び体重に対する本発明に係る化合物での32日までの処置の効果を決定する。
【0176】
−本発明に係る化合物での繰り返される処置は標準の経口グルコース試験により調べられるグルコースハンドリング及びインスリン抵抗性を変えるかどうかを決定する。
−本発明に係る化合物での繰り返される処置はDIO及び/又はホモ接合のZuckerラットにおける体組成を変えるかどうかを決定する。
−本発明に係る化合物での繰り返される処置は浸潤マクロファージの平均数により評価される脂肪組織炎症に影響するかどうかを決定する。
【0177】
これに加えて、本研究の目的はインスリン及び他の関連する生化学マーカーの分析のためにベースラインの及び研究の終わりの血液サンプルをサンプリングすることである。
実験プロトコル
動物
DIO及び/又はホモ接合Zuckerラットを実験で使用する。DIOラットにおいて、上記動物が22週齢に達し、及び3週目〜22週目に高脂肪食(HF−食:高脂肪食(4.41kcal/g−エネルギー%:炭水化物 51.4kcal%、脂肪31.8kcal%、タンパク質16.8kcal%;食餌#12266B;Research Diets, New Jersey, USA))を開始したとき実験が始まる。
ホモ接合Zuckerラットにおいて、上記ラットが8週齢に達したとき実験を開始する。
上記ラットを制御された温度条件で通常の光周期下で個々に飼う。
【0178】
ランダム化及び投与
全ての動物を以下の薬物処置群(n=10)の1に参加させるために体重にしたがってランダム化する。
【0179】
媒体群:毎日1回又は毎日2回経口で、静脈内に又は皮下に与えられる媒体の投与を受けるラット、ここで上記媒体はほとんどの場合、以下のものの1である:20%PEG200、40%クレモフォル(Cremophor)RH40、25%ラブラソル(Labrasol)又は30%ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン。
処置群:用量当たり50mg/kgまでの投与値で毎日1回又は毎日2回経口で、静脈内に又は皮下に与えられる本発明に係る化合物の投与を受けるラット。
全ての化合物は32日までの間光が消える3時間前に投与される。
全ての群について、上記実験を即座に、手順に上記動物を慣らすために毎日模擬胃管栄養を伴う3日間の訓練期間に進める。
動物を体重に基づいて3日目に6の処置群にランダム化するであろう。
【0180】
化合物及び投与
本発明に係る化合物(例えば、化合物番号1及び化合物番号2)は媒体(20%PEG200、40%クレモフォル(Cremophor)RH40、25%ラブラソル(Labrasol)又は30%ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン)中に毎週の基礎で溶解され、及び経口胃管栄養、静脈内注入又は皮下注入(5ml/kgまでの体積)を介して毎日1回又は2回投与されるであろう。
【0181】
媒体(20%PEG200、40%クレモフォル(Cremophor)RH40、25%ラブラソル(Labrasol)又は30%ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン)は毎週の基礎で調製され、及び経口胃管栄養、静脈内注入又は皮下注入(5ml/kgまでの体積)を介して毎日1回又は2回投与されるであろう。
【0182】
実験プロトコル
投与−3日目から実験の終わりまで体重及び24時間食物及び水摂取を毎日又は隔週で記録する。
基礎及び最後の血液サンプルをグルコース、コレステロール、インスリン、トリグリセリド及び遊離脂肪酸の計測のために回収する。
経口グルコース耐性試験は処置前及び処置2週間後の対の基礎で又はあるいは処置4週間後までのみのいずれかで行われるであろう。終わりの体組成及び続いて浸潤マクロファージの組織学的/定量的評価は研究期間の終わり近くに行われるであろう(以下の手順を参照のこと)。
【0183】
経口グルコース耐性試験(OGTT)
ラットを通常の摂取の50%まで絶食させる、すなわち、暗周期が5PMに始まる場合、通常の食物供給の50%が前日の正午12時に与えられる。
動物にOGTTの前日に規則的な時点で化合物をPO投与する。次の日の朝8AMに、上記動物は2g/kgグルコース(グルコース500mg/ml)の経口グルコースロードを受ける。静脈血サンプルをグルコース及びインスリンの計測のためにグルコースの経口投与後−15、0、15、30、60、120、180及び240分の時点でヘパリン化管中に採る。経口グルコースロードは正確な投与を確実にするシリンジにつなげられる胃管を介して胃管栄養として与えられる。OGTT後、動物に再び食物を与え、及びそれらのそれぞれの化合物を投与する。
【0184】
血液サンプリング及び血漿計測
基礎及び最後の血液サンプル(約0.4mlのプロセスされた血漿)を投与開始前の−3日目に及び研究の終わりに再び回収する。動物をサンプリング前に通常の摂取の50%まで絶食させる。50%の食物は前日の正午12時に与えられる。血液をグルコース、コレステロール、インスリン、トリグリセリドのためにサンプル管ヘパリン化採血管、及び遊離脂肪酸のために1%NaFを含むEDTA採血管中に回収する。
OGTTの間に及び基礎/終わりに回収された血漿グルコース、トリグリセリド及びコレステロールの分析のためのサンプルを標準の酵素分析キットを用いて計測する。血漿インスリンを敏感なELISAベースの分析を用いてそれぞれのデータ点について二重で計測する。FFAを計測するための血漿をVako NEFA Cキットを用いて分析する。
【0185】
終わり
研究の終わりに殺した後、体の白色脂肪組織区画を除去し及び計量する。脂肪貯蔵分析は腸間膜の、腹膜後の、精巣上体の、皮下鼡径部の白色脂肪を含む。脂肪区画を最終的に次の立体的解析の使用による組織炎症(浸潤マクロファージ)の分析のために4%フォルマリン緩衝パラフォルムアルデヒド(PFA)中に固定化する。
データ、報告、及び統計的評価
データの統計的評価は、統計的有意差が確立される(p<0.05;Fishers)場合には媒体及び処置群の間で適切なhoc後分析を伴う分散の一方向分析(ANOVA)を用いて行う。
【0186】
実施例13
本発明に係る化合物の静脈内及び経口投与後のラットにおける血漿速度論
この研究は10mg/kgの投与値でのSprague Dawleyラットへの投与後の本発明に係る化合物1(図1、構造番号1を参照のこと)、本発明に係る化合物2(図1、構造番号19を参照のこと)及び本発明に係る化合物3(図1、構造番号53を参照のこと)の静脈内薬物動態及び経口バイオアベイラビリティを決定した。
3の雄ラットの6群は10mg/kgの投与値で本発明に係る化合物1、2又は3の単一静脈内又は単一経口投与のいずれかを受けた。血液サンプルを投与後さまざまな時点で得た。血漿サンプルを好適なLC−MS/MS法を用いて変わらない試験項目について分析した。薬物動態パラメーターを個々の血漿濃度から見積もった。
【0187】
悪い効果は本発明に係る化合物1、2又は3の静脈内又は経口投与後に示されなかった。本発明に係る化合物1の静脈内投与後に、平均血漿濃度は5.70時間の平均の見かけの境界半減期でゆっくりと下がった。本発明に係る化合物1の体系クリアランスは穏やかであり、及び分散の体積は総体内水分を超えており、組織への広範囲な分布を示唆した。
本発明に係る化合物1の経口投与後、最大血漿濃度は投与8時間後に観察された。その後平均血漿濃度は4.61時間の見かけの境界半減期でゆっくりと下がった。化合物番号1の平均絶対経口バイオアベイラビリティは34.8%であった。
【0188】
本発明に係る化合物3の静脈内投与後、平均血漿濃度は3.14時間の平均の見かけの境界半減期ですばやく下がった。化合物3の体系クリアランスは高く、及び分布の体積は総体内水分を超えており、組織への広範囲な分布を示唆した。
本発明に係る化合物3の経口投与後、最大血漿濃度は投与4時間後に観察された。その後、平均血漿濃度は3.30時間の見かけの境界半減期ですばやく下がった。本発明に係る化合物3の平均絶対経口バイオアベイラビリティは20.6%であった。
本発明に係る化合物2の静脈内投与後、平均血漿濃度は3.25時間の平均の見かけの境界半減期ですばやく下がった。本発明に係る化合物2の体系クリアランスは高く、及び分散の体積は総体内水分を超えており、組織への広範囲な分布を示唆した。
本発明に係る化合物2の経口投与後、最大血漿濃度は投与2.5時間後に観察された。その後、平均血漿濃度は2.25時間の見かけの境界半減期ですばやく下がった。本発明に係る化合物2の平均絶対経口バイオアベイラビリティは3.20%であった。
【0189】
分析方法
血漿サンプルを好適なLC−MS/MSを用いて本発明に係る化合物1、2又は3の濃度について分析した。
動物及び管理
18の雄Sprague Dawleyラット、投与時に8〜9週齢をCharles River(UK)Limitedから得た。
上記動物を研究での使用前に実験ユニットで少なくとも5日間飼った。
試験前保管期間中、上記動物を好適なHome Officeコンプライアントポリプロピレン及びステンレススチールケージ内で複数で飼った。研究期間中、上記動物を上げられたワイアメッシュの床を伴うポリプロピレン及びステンレススチールケージ内で単独で飼った。
標準の研究室食餌(SDSラット及びマウス維持食餌番号1、Special Diet Services, Witham, UK)及び水道水を動物に随意に与え、及び室温及び湿度を毎日の基礎でモニターした。
上記動物の外見及び行為を処置への反応を評価するために少なくとも毎日モニターした。
【0190】
用量調製及び投与
フェーズ1及び4:静脈内及び経口投与化合物1(27.15mg)のための化合物1調合物を適切な体積のポリエチレングリコール200(2.7mL)中に溶解した。適切な体積の滅菌水(10.8mL)をその後2mg/mLの標的濃度を達成するように添加した(調合物の最終的な重量:13.4931g)。
フェーズ2及び5:静脈内及び経口投与化合物3(27.83mg)のための化合物3調合物を適切な体積のポリエチレングリコール200(2.8mL)中に溶解した。適切な体積の滅菌水(11.2mL)をその後2mg/mLの標的濃度を達成するように添加した(調合物の最終的な重量:13.81604g)。
フェーズ3及び6:静脈内及び経口投与化合物2(27.69mg)のための化合物2調合物を適切な体積のポリエチレングリコール200(2.8mL)中に溶解した。適切な体積の滅菌水(11.2mL)をその後2mg/mLの標的濃度を達成するように添加した(調合物の最終的な重量:13.72737g)。
それぞれの用量調合物を0.22μmフィルターユニット(Millipore)を用いてろ過した。
【0191】
18の雄ラットはそれぞれ10mg/kgの投与値で化合物1、2又は3のいずれかの単一静脈内又は単一経口投与を受けた。上記調合物を胃管栄養によりそれぞれの動物に経口で投与し、及び尾の静脈を介してそれぞれの動物に静脈内投与した。上記用量を5mL/kgの用量体積で投与した。上記調合物を以下の表中の詳細にしたがってそれぞれの動物に投与した:
【0192】
【表7】

【0193】
投与される用量体積を用量投与の日のそれぞれの動物の体重にしたがって計算した。投与される用量の重量を記録した。
それぞれの動物が受けた実際の用量は付録2中に示される。
【0194】
外科的手順
動物に単一の体内留置される大腿カニューレを外科的に準備した。上記カニューレを皮下で切り取り、及び尾の腹側の表面をとおして外に出した。上記カニューレを出口部位にかぶさる金属の尾用カフ、及びスプリング組立てにより保護した。上記動物を保管ケージに単独で戻し、及びそれぞれのカニューレのつながっていない末端をケージのあたりに取り付けられたスイヴェルジョイントに結合した。
上記動物を手術前の事前投薬として及び手術およそ24時間後に皮下経路により5mg/kgの投与量のCarprofen(Zenecarp(商標),C−Vet VP,50mg/mL)で処置した。
動物を少なくとも5日間の回復期間後に、十分な臨床試験及び体重増加プロファイルに基づいて研究へのエントリーに承認した。
【0195】
血液サンプリング
血液サンプル(約0.3mL)をそれぞれの動物の大腿静脈から採り、抗凝固剤としてリチウムヘパリンを含む管に入れた。
静脈内投与
血液サンプルを用量投与後以下の時点で3のラットから回収した:
投与3、6、15、45分及び1.5、2.5、4、6、8、24時間後。
経口投与
血液サンプルを用量投与後以下の時点で3のラットから回収した:
投与5、15、45分及び1.5、2.5、4、6、8、24時間後。
血液サンプルのプロセッシング
実施上可能な限り早く、血液サンプルを約1200gで約4℃で10分間遠心分離した。血漿サンプルを試験項目濃度の分析前に約−20℃で凍結保存した。
【0196】
血漿サンプルの分析
較正標準の調製
化合物1、2及び3を5mM酢酸アンモニウム中に希釈した。これらの溶液の等分はコントロール血漿に加えたとき、血漿濃度約1〜5000ng/mLの範囲を与えた。
【0197】
内部標準
[1−(4−クロロフェニル)−1H−ピロール−2−イル−メチレンアミノ]グアニヂニウム酢酸塩を化合物1、2及び3についての内部標準(IS)として使用した。内部標準を5mM酢酸アンモニウム中に希釈し、及び約100ng/mLの血漿濃度として添加した。
【0198】
サンプル調製及び分析
それぞれのバッチについて、較正及び繰り返しのクオリティコントロールサンプルを化合物1、2及び3について範囲1〜5000ng/mLにわたり調製した。
投与溶液を5mM酢酸アンモニウムを用いて希釈し、約100ng/mLの標的血漿濃度を得た。一旦希釈したら、上記投与溶液をクオリティコントロールサンプルとして調製した。
【0199】
標準、クオリティコントロール及び試験サンプルを調製し、抽出し、及び新たに調製したブランクサンプルと共にバッチ中で分析した。
最も低い較正標準より低い決定された濃度になった試験サンプルを<LLOQとして報告した。
【0200】
キー分析装置
マススペクトロメーター(API4000)、Applied Biosystems。
Micro HPLC pump & Vacuum Degasser(Series 200),Perkin Elmer。
オートサンプラー(HTS Pal)、CTC Analytics。
データハンドリングシステム(Analyst Version 1.4)、Applied Biosystems。
研究室情報管理システム、Watson 7.0、Thermo Electron。
分析カラム:Synergi Fusion、20×2.0mmID.2μm。(Phenomenex)。
ガードカラム:KrudKatcher、0.5μm、Phenomenex。
キーマススペクトロメーターパラメーター
イオン化モード:TurboIonSpray
Q1 Resolution:Unit
Q3 Resolution:Unit
モニターされるイオン:
【0201】
【表8】

【0202】
キークロマトグラフィーパラメーター
移動相A:100%アセトニトリル
移動相B:10mM酢酸アンモニウム+0.1%蟻酸
【0203】
【表9】

【0204】
受容標準
方法確立のための受容標準は以下のとおりであった:ひとまとめに扱われる較正サンプルの75%はそれらの実際の濃度の30%以内に計算しなおさなければならず、及びQCサンプルの分析の正確さ及び精度はそれぞれ、100±30%及び≦30%以内であるべきである。
サンプル分析についての受容標準は以下のとおりであった:ひとまとめに扱われる較正サンプルの75%はそれらの実際の濃度の30%以内に計算しなおさなければならず、及びQCサンプルの少なくとも66%はそれらの実際の濃度の30%以内でなければならない。
【0205】
薬物動態分析
化合物1、2及び3の薬物動態パラメーターはWinNonLin Pro version 5.0.1(Pharsight2005)を用いた非区画分け分析に由来した。
以下のパラメーターは、適切である場合、個々の血漿濃度対時間プロファイルに由来した:
0 時間0に対するはじめの2の濃度の外挿しなおしにより見積もられる理論濃度。
Cmax 最大観察濃度。
Tmax Cmaxの起こる時間。
AUC0-t (直線的な台形規則により計算される)時間0から最後の計測可能な濃度でのサンプリング時間までの濃度対時間曲線下の領域。
AUC0- 時間0からAUC0-t+Clast/λzから計算される無限大時間までの濃度対時間曲線下の領域。
λz 見かけの最終速度定数。
1/2 2/λzから計算される見かけの最終半減期。
CL 用量/AUCとして計算される体系クリアランス。
ss (AUMC/AUC)×CLとして計算される、定常状態での見かけの分布体積、ここでAUMCははじめの瞬間の曲線下の領域である。
MRT AUMC/AUC0-として計算される平均滞在時間。
MAT MRT(経口)−MRT(静脈内)として計算される平均吸収時間。
F% 経口及び静脈内投与後に由来する平均値に基づく[AUC0-t(経口)*用量(iv)/AUC0-t(iv)*用量(経口)]*100として計算される絶対経口バイオアベイラビリティ。
λz及び対応するt1/2値の見積もりについて考慮した。3以上の点がλz及びt1/2が見積もられるために最終相内で必要とされる。以下の追加の変数をt1/2及びAUCの信頼できない可能性のある見積もりの同定を助けるために表にした:
#pts λの計算において使用されるデータ点の数
下のλz λzの計算において含まれる値についての時間上の下限
上のλz λzの計算において含まれる値についての時間上の上限
λz期間 (上のλz−下のλz)/t1/2として見積もられる。<2の値は、λz及び対応するt1/2見積もりは信頼できない可能性があることを示すであろう(Purves 1992)。
%AUCextrap Clastから無限大までの外挿のためであるAUC0-の割合。
薬物動態パラメーターを、中央値として報告されるTmaxを除いては、幾何平均として報告した。変動の幾何係数を:
【数1】

として計算した、ここで、SDinは自然対数転換データの標準偏差である。
【0206】
実際のサンプリング時間を薬物動態パラメーターの全ての計算について使用した。血液サンプリング時間偏差は表7中に要約される。定量限界より低い血漿濃度は薬物動態分析について0として取った。
データ値は1000以下の数については3の顕著なディジットについて及び1000超の数については最も近い整数について表示される。
【0207】
結果
投与される用量
用量投与は事件なしに達成され、及びどの動物にとっても留意される悪い作用はなかった。動物の体重及び用量投与情報は付録2中に与えられる。
【0208】
バイオ分析
研究血漿サンプルを抽出し、及び新たに調製したブランクサンプル、較正標準及びクオリティコントロールサンプルと共にバッチで分析した。
化合物1、2及び3についての較正データ及びクオリティコントロールサンプルは受容標準に合い、及び結果は付録1中に示される。
化合物1についてのクオリティコントロール確立バッチは繰越しのために失敗したが、これは上記サンプルの分析前に扱われた。高いクオリティコントロールの全体的な正確さ及び偏りは受容標準外であったが、それぞれのバッチはそれらの個々の受容標準に合った。最も低い較正標準より低い決定された濃度になった研究サンプルを<LLOQとして報告した。
【0209】
本発明に係る化合物1の静脈内投与後の薬物動態
10mg/kgの投与値の単一の静脈内投与後の血漿中の本発明に係る化合物1の濃度は表VII中に示され、及び図5中に表される。薬物動態パラメーター見積もりは表XIII中に示される。
静脈内投与後、血漿中の本発明に係る化合物1の最も高い平均濃度は2247ng/mLの平均値で投与3分後に見られた。
その後、本発明に係る化合物1の平均血漿濃度は5.70時間の平均の見かけの境界半減期で落ちた。
平均で、雄ラットの血漿中の本発明に係る化合物1の体系血漿クリアランス(CL)は2709mL/時間/kgであり、それはラットにおける肝臓血流(3312mL/時間/kg、Davies 1993)の約82%である。雄ラットにおける本発明に係る化合物1の分布の平均の見かけの体積は17521mL/kgであり、それはラットにおける総体内水分のそれ(668mL/kg、Davies 2003)より顕著に大きい。大きな分布体積は、本発明に係る化合物1が組織に広く分布されることを示す。
本発明に係る化合物1に対する雄ラットの体系暴露における動物間変動性は低かった(AUC0-tの変動係数(CV)は20%未満であった)。
【0210】
本発明に係る化合物3の静脈内投与後の薬物動態
10mg/kgの投与値の単一の静脈内投与後の血漿中の本発明に係る化合物3の濃度は表VIII中に示され、及び図6中に表される。薬物動態パラメーター見積もりは表XIV中に示される。
静脈内投与後、血漿中の本発明に係る化合物3の最も高い平均濃度は3170ng/mLの平均値で投与3分後に見られた。
その後、本発明に係る化合物3の平均血漿濃度は3.14時間の平均の見かけの境界半減期で落ちた。
平均で、雄ラットの血漿中の本発明に係る化合物3の体系血漿クリアランス(CL)は4194mL/時間/kgであり、それはラットにおける肝臓血流(3312mL/時間/kg、Davies 1993)より大きい。雄ラットにおける本発明に係る化合物3の分布の平均の見かけの体積は13361mL/kgであり、それはラットにおける総体内水分のそれ(668mL/kg、Davies 2003)より顕著に大きい。大きな分布体積は、本発明に係る化合物3が組織へ広く分布されることを示す。
本発明に係る化合物3に対する雄ラットの体系暴露における動物間変動性は低かった(AUC0-tの変動係数(CV)は30%未満であった)。
【0211】
本発明に係る化合物2の静脈内投与後の薬物動態
10mg/kgの投与値の単一の静脈内投与後の血漿中の本発明に係る化合物2の濃度は表IX中に示され、及び図7中に表される。薬物動態パラメーター見積もりは表XV中に示される。
【0212】
静脈内投与後、血漿中の本発明に係る化合物2の最も高い平均濃度は2353ng/mLの平均値で投与3分後に見られた。その後、本発明に係る化合物2の平均血漿濃度は3.25時間の平均の見かけの境界半減期で落ちた。
平均で、雄ラットの血漿中の本発明に係る化合物2の体系血漿クリアランス(CL)は5075mL/時間/kgであり、それはラットにおける肝臓血流(3312mL/時間/kg、Davies 1993)より大きい。雄ラットにおける本発明に係る化合物2の分布の平均の見かけの体積は18504mL/kgであり、それはラットにおける総体内水分のそれ(668mL/kg、Davies 2003)より顕著に大きい。大きな分布体積は、本発明に係る化合物2が組織へ広く分布されることを示す。
本発明に係る化合物2に対する雄ラットの体系暴露における動物間変動性は低かった(AUC0-tの変動係数(CL)は30%未満であった)。
【0213】
本発明に係る化合物1の経口投与後の薬物動態
10mg/kgの投与値の単一の経口投与後の血漿中の本発明に係る化合物1の濃度は表X中に示され、及び図8中に表される。薬物動態パラメーター見積もりは表XVI中に示される。
10mg/kgの標的用量での本発明に係る化合物1の経口投与後、本発明に係る化合物1の観察される最大血漿濃度は92.9ng/mLの平均値で投与8時間後(tmax)に達成された。その後、本発明に係る化合物1の平均血漿濃度は4.61時間の見かけの境界半減期で落ちた。平均吸収時間(MAT)は2.10時間であり、本発明に係る化合物1の吸収はこの時間までに十分に完了していることを示した。
雄ラットにおける本発明に係る化合物1の平均絶対経口バイオアベイラビリティは34.8%であった。
【0214】
本発明に係る化合物3の経口投与後の薬物動態
10mg/kgの投与値の単一の経口投与後の血漿中の本発明に係る化合物3の濃度は表XI中に示され、及び図9中に表される。薬物動態パラメーター見積もりは表XVII中に示される。
10mg/kgの標的用量での本発明に係る化合物3の経口投与後、本発明に係る化合物3の最大血漿濃度は92.5ng/mLの平均値で投与4時間後(tmax)に達成された。その後、本発明に係る化合物3の平均血漿濃度は3.30時間の見かけの境界半減期で落ちた。雄ラットにおける平均吸収時間(MAT)は3.52時間であり、本発明に係る化合物3の吸収はこの時間までに十分に完了していることを示した。
雄ラットにおける本発明に係る化合物3の平均絶対経口バイオアベイラビリティは20.6%であった。
【0215】
本発明に係る化合物2の経口投与後の薬物動態
10mg/kgの投与値での単一の経口投与後の血漿中の本発明に係る化合物2の濃度は表XII中に示され、及び図10中に表される。薬物動態パラメーター見積もりは表XVIII中に示される。
10mg/kgの標的用量での本発明に係る化合物2の経口投与後、本発明に係る化合物2の最大血漿濃度は17.1ng/mLの平均値で投与2.5時間後(tmax)に達成された。その後、本発明に係る化合物2の平均血漿濃度は2.25時間の見かけの境界半減期で落ちた。
ラットにおける本発明に係る化合物2の平均絶対経口バイオアベイラビリティは3.20%であった。
【0216】
結論
この研究の目的は10mg/kgの投与値でのSprague Dawleyラットへの投与後の本発明に係る化合物1、2及び3の静脈内薬物動態及び経口バイオアベイラビリティを決定することであった。
本発明に係る化合物1、2及び3の静脈内又は経口投与後に悪い作用は見られなかった。10mg/kgの静脈内投与後、本発明に係る化合物1の平均血漿濃度は5.70時間の平均の見かけの境界半減期でゆっくりと落ちた。本発明に係る化合物1の体系クリアランスは穏やかであり、及び分布体積は総体内水分を超えており、組織への広範囲な分布を示した。
10mg/kgの標的用量での経口投与後、本発明に係る化合物1の最大血漿濃度は投与8時間後に観察された。その後、平均血漿濃度は4.61時間の見かけの境界半減期でゆっくりと落ちた。本発明に係る化合物1の平均絶対経口バイオアベイラビリティは34.8%であった。
【0217】
10mg/kgの静脈内投与後、本発明に係る化合物3の平均血漿濃度は3.14時間の平均の見かけの境界半減期ですばやく落ちた。本発明に係る化合物3の体系クリアランスは高く、及び分布体積は総体内水分を超えており、組織への広範囲な分布を示した。
10mg/kgの標的用量での経口投与後、本発明に係る化合物3の最大血漿濃度は投与4時間後に観察された。その後、上記平均血漿濃度は3.30時間の見かけの境界半減期ですばやく落ちた。本発明に係る化合物3の平均絶対経口バイオアベイラビリティは20.6%であった。
【0218】
10mg/kgの静脈内投与後、本発明に係る化合物2の平均血漿濃度は3.25時間の平均の見かけの境界半減期ですばやく落ちた。本発明に係る化合物2の体系クリアランスは高く、及び分布体積は総体内水分を超えており、組織への広範囲な分布を示した。
10mg/kgの標的用量での経口投与後、本発明に係る化合物2の最大血漿濃度は投与2.5時間後に観察された。その後、平均血漿濃度は2.25時間の見かけの境界半減期ですばやく落ちた。本発明に係る化合物2の平均絶対経口バイオアベイラビリティは3.20%であった。
【0219】
【表10】

【0220】
【表11】

【0221】
【表12】

【0222】
【表13】

【0223】
【表14】

【0224】
【表15】

【0225】
【表16】

【0226】
【表17】

【0227】
【表18】

【0228】
【表19】

【0229】
【表20】

【0230】
【表21】

【0231】
【表22】

【0232】
【表23】

【0233】
【表24】

【0234】
【表25】

【0235】
【表26】

【0236】
【表27】

【0237】
【表28】

【0238】
【表29】

【0239】
【表30】

【0240】
実施例14
約7週齢(〜180g)の雄Sprague−Dawleyラット(ManiFeedWin)は12/12 L/D周期下で及び温度及び湿度制御室内で維持されるであろう。
上記動物は粉末化食餌及び水道水を含むフィーダーを搭載した個々のケージ内で1週間の順応を許容される。順応期間中、ラットを、それらをpo胃管栄養手順に慣らすために毎日扱う。
上記動物を投与前に体重で合わせた群にランダム化する。それぞれの動物は7日間の薬物洗浄期間を伴って4回まで投与されうる。
それぞれの投与後、食餌、水摂取及びロコモーター活動は投与1、2、4、8、12、18及び24時間後に繰返しの基礎でモニターされるであろう。
【0241】
化合物及び投与
本発明に係る化合物(例えば、化合物1、化合物2及び化合物3)は媒体(20%PEG200、40%クレモフォル(Cremophor)RH40、25% ラブラソル(Labrasol)又は30%ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン)中に毎週の基礎で溶解され、及び経口胃管栄養、静脈内注入又は皮下注入(5ml/kgまでの体積)を介して毎日1回又は2回投与されるであろう。媒体(20%PEG200、40%クレモフォル(Cremophor)RH40、25% ラブラソル(Labrasol)又は30%ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン)は毎週の基礎で調製され、及び経口胃管栄養、静脈内注入又は皮下注入(5ml/kgまでの体積)を介して毎日1回又は2回投与されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その互変異性形を含む一般式(I)の化合物
【化1】

又はその医薬として許容される塩であって、ここで
nは1、2又は3である;
それぞれのR1、R2、R3、R4及びR5は水素、場合により置換されるC1-6−アルキル、場合により置換されるC3-6−シクロアルキル、場合により置換されるC2-6−アルケニル、場合により置換されるC4-6−アルカヂエニル、場合により置換されるC2-6−アルキニル、ヒドロキシ、場合により置換されるC1-6−アルコキシ、場合により置換されるC2-6−アルケニルオキシ、カルボキシ、場合により置換されるC1-6−アルコキシカルボニル、場合により置換されるC1-6−アルキルカルボニル、フォルミル、C1-6−アルキルスルフォニルアミノ、場合により置換されるアリール、場合により置換されるアリールオキシカルボニル、場合により置換されるアリールオキシ、場合により置換されるアリールカルボニル、場合により置換されるアリールアミノ、アリールスルフォニルアミノ、場合により置換されるヘテロアリール、場合により置換されるヘテロアリールオキシカルボニル、場合により置換されるヘテロアリールオキシ、場合により置換されるヘテロアリールカルボニル、場合により置換されるヘテロアリールアミノ、ヘテロアリールスルフォニルアミノ、場合により置換されるヘテロシクリル、場合により置換されるヘテロシクリルオキシカルボニル、場合により置換されるヘテロシクリルオキシ、場合により置換されるヘテロシクリルカルボニル、場合により置換されるヘテロシクリルアミノ、ヘテロシクリルスルフォニルアミノ、アミノ、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノ、カルバモイル、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノカルボニル、アミノ−C1-6−アルキル−アミノカルボニル、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノ−C1-6−アルキル−アミノカルボニル、C1-6−アルキルカルボニルアミノ、アミノ−C1-6−アルキル−カルボニルアミノ、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノ−C1-6−アルキル−カルボニルアミノ、シアノ、グアニヂノ、カルバミド、C1-6−アルカノイルオキシ、C1-6−アルキルスルフォニル、C1-6−アルキルスルフィニル、C1-6−アルキルスルフォニルオキシ、アミノスルフォニル、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノスルフォニル、ニトロ、場合により置換されるC1-6−アルキルチオ及びハロゲンから成る群から独立に選択される、
ここでどの窒素結合C1-6−アルキルもヒドロキシ、C1-6−アルコキシ、C2-6−アルケニルオキシ、アミノ、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノ、カルボキシ、C1-6−アルキルカルボニルアミノ、ハロゲン、C1-6−アルキルチオ、C1-6−アルキル−スルフォニル−アミノ又はグアニヂンで場合により置換される;
それぞれのR6及びR7は水素、場合により置換されるC1-6−アルキル、場合により置換されるC2-6−アルケニル、場合により置換されるC4-6−アルカヂエニル、場合により置換されるC2-6−アルキニル、場合により置換されるC1-6−アルコキシカルボニル、場合により置換されるC1-6−アルキルカルボニル、場合により置換されるアリール、場合により置換されるアリールオキシカルボニル、場合により置換されるアリールカルボニル、場合により置換されるヘテロアリール、場合により置換されるヘテロアリールオキシカルボニル、場合により置換されるヘテロアリールカルボニル、アミノカルボニル、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノカルボニル、アミノ−C1-6−アルキル−アミノカルボニル及びモノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノ−C1-6−アルキル−アミノカルボニルから成る群から独立に選択される;又はR6及びR7は共に5−又は6−員窒素含有環を形成しうる、
化合物。
【請求項2】
式中、各R1、R2、R3、R4及びR5は水素、場合により置換されるC1-6−アルキル、場合により置換されるC2-6−アルケニル、場合により置換されるC2-6−アルキニル、ヒドロキシ、場合により置換されるC1-6−アルコキシ、場合により置換されるC2-6−アルケニルオキシ、カルボキシ、場合により置換されるC1-6−アルコキシカルボニル、場合により置換されるC1-6−アルキルカルボニル、フォルミル、アミノ、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノ、カルバモイル、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノカルボニル、アミノ−C1-6−アルキル−アミノカルボニル、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノ−C1-6−アルキル−アミノカルボニル、C1-6−アルキルカルボニルアミノ、アミノ−C1-6−アルキル−カルボニルアミノ、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノ−C1-6−アルキル−カルボニルアミノ、シアノ、カルバミド、C1-6−アルカノイルオキシ、C1-6−アルキルスルフォニル、C1-6−アルキルスルフィニル、C1-6−アルキルスルフォニルオキシ、アミノスルフォニル、モノ−及びヂ(C1-6−アルキル)アミノスルフォニル、ニトロ、場合により置換されるC1-6−アルキルチオ及びハロゲンから成る群から独立に選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式中、各R1、R2、R3、R4及びR5は水素、場合により置換されるC1-6−アルキル、場合により置換されるC2-6−アルケニル、ヒドロキシ、場合により置換されるC1-6−アルコキシ、アミノ、シアノ、ニトロ及びハロゲンから成る群から独立に選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
6及びR7は両方水素である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
4は水素であり、及びR1、R2、R3及びR5は請求項1〜3のいずれかにおいて定義されるとおりである、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
1及びR4は水素であり、及びR2、R3及びR5は請求項1〜3のいずれかにおいて定義されるとおりである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
1、R4及びR5は水素であり、及びR2及びR3は請求項1〜3のいずれかにおいて定義されるとおりである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
2は2−位に位置され、及びR3は3−位に位置される、請求項6又は7に記載の化合物。
【請求項9】
2は2−位に位置され、及びR3は4−位に位置される、請求項6又は7に記載の化合物。
【請求項10】
2は2−位に位置され、及びR3は5−位に位置される、請求項6又は7に記載の化合物。
【請求項11】
2は2−位に位置され、及びR3は6−位に位置される、請求項6又は7に記載の化合物。
【請求項12】
2は3−位に位置され、及びR3は4−位に位置される、請求項6又は7に記載の化合物。
【請求項13】
2は3−位に位置され、及びR3は5−位に位置される、請求項6又は7に記載の化合物。
【請求項14】
2は3−位に位置され、及びR3は6−位に位置される、請求項6又は7に記載の化合物。
【請求項15】
1、R2、R4及びR5は水素であり、及びR3は請求項1〜3のいずれかにおいて定義されるとおりである、請求項7に記載の化合物。
【請求項16】
3は2−位に位置される、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
3は3−位に位置される、請求項15に記載の化合物。
【請求項18】
3は4−位に位置される、請求項15に記載の化合物。
【請求項19】
1、R2、R3、R4及びR5の全ては水素である、請求項15に記載の化合物。
【請求項20】
前記化合物は一般式(Ia)中に示される構造
【化2】

を有し、及びここでn、R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7は請求項1〜19のいずれか1項において定義されるとおりである、請求項1〜19のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項21】
前記化合物は一般式(Ib)中に示される構造
【化3】

を有し、及びここでn、R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7は請求項1〜19のいずれか1項において定義されるとおりである、請求項1〜19のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項22】
nは1である、請求項1〜21のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項23】
請求項1〜22のいずれか1項に記載の化合物、及び医薬として許容される担体又は賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項24】
請求項23中に記載の医薬組成物を含む投与形態。
【請求項25】
前記投与形態は固体投与形態である、請求項24に記載の投与形態。
【請求項26】
前記固体投与形態は錠剤又はカプセルの形態である、請求項25に記載の固体投与形態。
【請求項27】
医薬としての使用のための、請求項1〜22のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項28】
肥満の治療のための医薬の製造のための、請求項1〜22のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項29】
インスリン抵抗性の治療のための医薬の製造のための、請求項1〜22のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項30】
真性糖尿病の治療のための医薬の製造のための、請求項1〜22のいずれか1項に記載の化合物の使用。

【図1−1】
image rotate

【図1−2】
image rotate

【図1−3】
image rotate

【図1−4】
image rotate

【図1−5】
image rotate

【図1−6】
image rotate

【図1−7】
image rotate

【図1−8】
image rotate

【図1−9】
image rotate

【図1−10】
image rotate

【図1−11】
image rotate

【図1−12】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2009−539809(P2009−539809A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−513710(P2009−513710)
【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【国際出願番号】PCT/EP2007/055715
【国際公開番号】WO2007/141343
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(508059720)アクション ファーマ アクティーゼルスカブ (2)
【Fターム(参考)】