説明

フォトイメージャブル組成物

【課題】本発明のフォトイメージャブル組成物はプリント配線板の製造に好適に使用される。
【解決手段】本発明は、ポリマーバインダーと、光重合性化合物と、光開始剤とを含むネガ型フォトイメージャブル組成物を提供する。該組成物は、ポリマーバインダーが次式:


で表される少なくとも一種のアクリレート化合物から得られる重合単位を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ水溶液中で現像可能なネガ型(negative−acting)フォトイメージング(photoimageable)組成物に関する。該組成物は、プリント配線板製造におけるアルカリエッチング、金メッキ、無電解ニッケル浸漬金メッキ(ENIG)の各プロセスにおいてフォトレジストとして使用できる。
【背景技術】
【0002】
フォトイメージャブル組成物(例えば特許文献1〜3に開示)は、多くの場合スチレンや無水マレイン酸共重合体等の疎水性の高い多官能モノマー又はオリゴマーを添加して疎水性を改善することを中心に開発されている。これによりフォトイメージャブル組成物の化学的耐性が向上し、プリント配線板の製造におけるアルカリエッチングや金メッキ等において良好な効果を得ている。しかしながら、これら先行技術によれば、組成物が脆弱であること、ホールドタイムがかなり短いこと、現像後にスカムが生成しやすい等の問題が常に生じ、プリント配線板の収率に影響を及ぼしている。
【特許文献1】米国特許第5609991号
【特許文献2】米国特許第5698370号
【特許文献3】米国特許第5576145号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記問題点を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、特定のアクリレートを必須重合単位として重合させたポリマーバインダーが、得られるフォトイメージャブル組成物の化学的耐性を向上させ、上述の望ましくない副次的効果を低減させ、収率を著しく向上させることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、ネガ型フォトイメージャブル組成物を提供することを目的とし、該組成物は、プリント配線板の製造においてフォトレジストとして使用できる。
【0005】
本発明のフォトイメージャブル組成物は、
A)ポリマーバインダーと、
B)光重合性化合物と、
C)光開始剤とを含み、
成分A)のポリマーバインダーは、式(1)で表される少なくとも一種のモノマーから得られる重合単位を含有することを特徴とする。
【0006】
【化1】

【0007】
(式中、R1はH又はメチル基であり、R2、R3、R4及びR5はそれぞれ独立してH、ハロゲン又は置換若しくは無置換のC1〜C10アルキル基を表す。)
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、特に断らない限り、組成物に関するパーセントはいずれも重量パーセントを表す。
【0009】
本組成物の成分(A)であるポリマーバインダーは、アルカリ水溶液での現像を実現するための十分な酸官能性を有し、酸価は70KOHmg/g以上、好ましくは100KOHmg/g以上、より好ましくは130KOHmg/g超であり、且つ上限は250KOHmg/gである。酸官能性は、通常、カルボン酸官能性であるが、例えば、スルホン酸官能性及び/又はリン酸官能性であってもよい。
【0010】
本発明の組成物において、成分(A)であるポリマーバインダーの量は、組成物の総重量に対し、30〜80wt%、好ましくは45〜75wt%であり、重量平均分子量は、20000〜200000、好ましくは35000〜120000である。
【0011】
従って、本発明のポリマーバインダーは、酸官能性モノマー及び非酸官能性モノマーから誘導される単位を重合単位として有する。適切な酸官能性モノマーは特に限定されず、当業者に知られたものでよく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、2−ヒドロキシプロピルアクリロイルホスフェート及び2−ヒドロキシ−α−アクリロイルホスフェートを挙げることができるが、これらに限定されない。本発明の一実施形態においては、好ましい酸官能性モノマーはアクリル酸とメタクリル酸である。本発明のポリマーバインダーは、酸官能性モノマーを一種以上含有していてもよい。
【0012】
本発明によれば、前記酸官能性モノマーと共重合する非酸官能性モノマーは、式(1)で表される構造を有するモノマーを少なくとも一種含む。
【0013】
【化2】

【0014】
(式中、R1はH又はメチル基であり、R2、R3、R4及びR5はそれぞれ独立してH、ハロゲン(即ち、フッ素、塩素又は臭素)、又は置換若しくは無置換のC1〜C10アルキル基を表す。)
【0015】
本発明の一実施形態においては、式(1)の構造を有するモノマーはベンジル(メタ)アクリレートである。
【0016】
フォトイメージャブル組成物のエッチング耐性は二重結合等量(DBE)に依存し、この値が大きいほど良好なエッチング耐性が得られる。ベンゼン環のDBEは4であり、優れたエッチング耐性を付与することができる。式(1)の構造がベンゼン環を含むことにより、式(1)化合物の化学的耐性が向上し、アルカリ水溶液中で行われる現像時のアルカリ耐性が改善される。これにより現像後には、向上した接着性が得られ、良好なアルカリエッチング耐性が得られることになる。
【0017】
式(1)の構造を有するモノマーの量は、ポリマーバインダー固形物100wt%に対し、5wt%以上、好ましくは5〜35wt%である。
【0018】
酸官能性モノマーと重合可能な適切な非酸官能性モノマーとしては、メチルアクリレートやメチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、オクチルアクリレート、オクチルメタクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、エチレングリコ−ルジアクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、デカンジオールアクリレート、デカンジオールジメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリプロパンジオールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、2,2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)−プロパンジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、1−フェニルエチレン−1,2−ジメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、1,4−ベンゼンジオールジメタクリレート等のアクリレート類;2−メチルスチレンやビニルトルエン等の置換又は無置換スチレン類;ビニルアクリレートやビニルメタクリレート等のビニルエステル類を挙げることができる。本発明の本実施形態によれば、好ましい非酸官能性モノマーは、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、オクチルアクリレート及びオクチルメタクリレートである。
【0019】
本発明の成分(B)の光重合性化合物は通常、エチレン性不飽和官能基、特にα,β−エチレン性不飽和官能基を有するモノマー或いは短鎖オリゴマーであり、一官能基、二官能基或いは多官能基のモノマー或いは短鎖オリゴマーが挙げられる。本発明に好適な成分(B)としては、ポリマーバインダーの製造に有用な上述の酸官能性モノマー及び非酸官能性モノマーを挙げることができるがこれらに限定されず、なかでも非酸官能性モノマーが好ましい。二官能基或いは多官能基を有する重合性モノマーとしては、トリエチレングリコールジメタクリレートやポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、1−フェニルエチレン−1,2−ジメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,5−ペンタノールジメタクリレート、ジアリルフマレート、スチレン、1,4−ベンゼンジオールジメタクリレート、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、1,3,5−トリイソプロペニルベンゼン、エトキシ変性トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、及びビスフェノール−A−エポキシジアクリレート(普及品)を挙げることができるが、これらに限定されない。適切なオリゴマーとしては、ウレタンアクリレートオリゴマー類や、脂肪族ウレタンオリゴマー類、エポキシアクリレートオリゴマー類を挙げることができる。本発明の樹脂組成物において、これら光重合性化合物は単独又は二種以上を混合して使用することができる。光重合性化合物の量は通常、組成物の総重量に対し、5〜50wt%、好ましくは10〜40wt%である。
【0020】
本組成物の成分(C)は光開始剤であり、露光に際しフリーラジカルを生成し、フリーラジカルの移動によって重合を開始させることができる。光開始剤の種類は、当業者によく知られている。本発明に好適な光開始剤としては、n−フェニルグリシンや9−フェニルアクリジン、ベンゾイン類、ベンジルジメチルケタール、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体(例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メチルメルカプトフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体)等を挙げることができるが、これらに限定されない。更に、適切な9−フェニルアクリジンホモログ、例えば、米国特許第5217845号(該特許の開示内容を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する)に開示のホモログもまた本発明の光開始剤として有用である。
【0021】
光開始剤の量は、1.5〜20wt%、好ましくは2〜15wt%である。
【0022】
本発明の組成物は、当業者によく知られた添加剤、即ち成分(D)を任意に含有することができる。この例としては、染料、安定化剤、カップラー、可撓性付与剤、フィラー又はそれらの組合せを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0023】
本発明のフォトイメージャブル組成物は、プリント配線板製造においてフォトレジストとして使用できる。例えば、液状組成物を用いて或いはドライフィルムの転写形成によりフォトイメージャブル組成物層を銅張板の銅表面に形成する。次いでフォトマスクを介してフォトイメージャブル組成物層を化学線露光することにより、露光領域のモノマーが重合し、デベロッパーに対して耐性を有する架橋構造が形成される。また、未露光領域は希アルカリ水溶液、例えば、1%炭酸ナトリウム水溶液で現像される。ポリマーバインダーに含有されるカルボキシル基の塩形成はアルカリ水溶液により促進されるため、バインダーは溶解除去可能となる。現像後、非被覆銅膜はアルカリ性エッチャント、例えば、銅−アミン錯塩とアンモニア水との混合溶液、によってエッチング除去され、プリント配線が形成される。最後に、残留するフォトレジスト層を水酸化ナトリウム等のストリッパーで除去する。
【0024】
以下、実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【実施例】
【0025】
ポリマーA−1の合成
メタクリル酸224g、メチルメタクリレート288g、ブチルアクリレート104g、ベンジルアクリレート120g及びブチルメタクリレート64gを、溶媒としての2−ブタノン575gとイソプロパノール175gと共に四つ口丸底フラスコに投入し、攪拌、加熱還流した。次に、溶媒2−ブタノン100gと開始剤2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3gの混合液を1時間かけて滴下し、反応混合物を0.5時間還流した。続いて、2−ブタノン50gと2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1gを添加し、2時間還流した。更に、2−ブタノン150gと2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4gを添加し、6時間還流した。得られた反応物を冷却し、粘度9800(25℃)、平均分子量約82000のポリマーバインダーA−1を得た。
【0026】
ポリマーA−2の合成
メタクリル酸224g、メチルメタクリレート304g、ブチルアクリレート136g、ベンジルメタクリレート120g及び2−エチルヘキシルアクリレート88gを、溶媒としての2−ブタノン575gとイソプロパノール175gと共に四つ口丸底フラスコに投入し、攪拌、加熱還流した。次に、溶媒2−ブタノン100gと開始剤2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3gの混合液を1時間かけて滴下し、反応混合物を0.5時間還流した。続いて、2−ブタノン50g、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1g及びスチレン48gを添加し、2時間還流した。更に、2−ブタノン150gと2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4gを添加し、6時間還流した。得られた反応物を冷却し、粘度11500(25℃)、平均分子量約60000のポリマーバインダーA−2を得た。
【0027】
ポリマーA−3の合成
メタクリル酸224g、メチルメタクリレート288g、ブチルアクリレート104g及びブチルメタクリレート64gを、溶媒としての2−ブタノン575gとイソプロパノール175gと共に四つ口丸底フラスコに投入し、攪拌、加熱還流した。次に、2−ブタノン100g、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3g、スチレン120gの混合液を1時間かけて滴下し、0.5時間還流した。続いて、2−ブタノン50gと2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1gを添加し、2時間還流した。更に、2−ブタノン150gと2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4gを添加し、6時間還流した。次いで、得られた反応物を冷却し、粘度11000(25℃)、平均分子量約80000のポリマーバインダーA−3を得た。
【0028】
ポリマーA−4の合成
メタクリル酸224g、メチルメタクリレート304g、ブチルアクリレート136g及び2−エチルヘキシルアクリレート88gを、溶媒としての2−ブタノン575gとイソプロパノール175gと共に四つ口丸底フラスコに投入し、攪拌、加熱還流した。溶媒2−ブタノン100g、開始剤2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3g、スチレン48gの混合液を1時間かけて滴下し、0.5時間還流した。次に、2−ブタノン50gと2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1gを添加し、2時間還流した。続いて、2−ブタノン150gと2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4gを添加し、6時間還流した。次いで、得られた反応物を冷却し、粘度10000(25℃)、平均分子量約70000のポリマーバインダーA−4を得た。
【0029】
ポリマーA−5の合成
メタクリル酸224g、メチルメタクリレート368g、ブチルアクリレート104g、ベンジルアクリレート40g及びブチルメタクリレート64gを四つ口丸底フラスコに投入し、攪拌、加熱還流した。溶媒2−ブタノン100gと開始剤2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3gの混合液を1時間かけて滴下し、0.5時間還流した。次に、2−ブタノン50gと2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1gを添加し、2時間還流した。続いて、2−ブタノン150gと2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4gを添加し、6時間還流した。次いで、得られた反応物を冷却し、粘度8000(25℃)、平均分子量約45000のポリマーバインダーA−5を得た。
【0030】
ポリマーA−6の合成
メタクリル酸224g、メチルメタクリレート206g、ブチルアクリレート104g、ベンジルアクリレート202g及びブチルメタクリレート64gを、溶媒としての2−ブタノン575gとイソプロパノール175gと共に四つ口丸底フラスコに投入し、攪拌、加熱還流した。次に、溶媒2−ブタノン100gと開始剤2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3gの混合液を1時間かけて滴下し、0.5時間還流した。続いて、2−ブタノン50gと2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1gを添加し、2時間還流した。更に、2−ブタノン150gと2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4gを添加し、6時間還流した。次いで、得られた反応物を冷却し、粘度7000(25℃)、平均分子量約100000のポリマーバインダーA−6を得た。
【0031】
ポリマーA−7の合成
メタクリル酸224g、メチルメタクリレート388g、ブチルアクリレート104g、ベンジルアクリレート20g及びブチルメタクリレート64gを、溶媒としての2−ブタノン575gとイソプロパノール175gと共に四つ口丸底フラスコに投入し、攪拌、加熱還流した。次に、溶媒2−ブタノン100gと開始剤2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3gの混合液を1時間かけて滴下し、0.5時間還流した。続いて、2−ブタノン50gと2,2’−アゾビスイソブチロニトリル1gを添加し、2時間還流した。更に、2−ブタノン150gと2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4gを添加し、6時間還流した。次いで、得られた反応物を冷却し、粘度5500(25℃)、平均分子量約65000のポリマーバインダーA−7を得た。
【0032】
【表1】

【0033】
本発明のフォトイメージャブル組成物は、表2に示す各成分を各量ブレンドし、温度を20〜40℃に維持してブレンド物を攪拌器で均一に攪拌することにより得た。
【0034】
【表2】

【0035】
注:
B1:エポキシ変性トリメチロールプロパントリアクリレート(PHOTOMER(登録商標)4155、コグニス(Cognis)社)
B2:脂肪族ウレタンオリゴマー
B3:トリメチロールプロパントリアクリレート(ETERMER(登録商標)231、エターナルケミカル社)
B4:トリメチロールプロパントリメタクリレート(ETERMER(登録商標)331、エターナルケミカル社)
B5:ビスフェノール−A−エポキシジアクリレート(スタンダード)(ETERCURE(登録商標)621A−80、エターナル社)
C1:n−フェニルグリシン(NPG、ハンプフォード(Hampford)社)
C2:イミダゾール二量体(BCIM、ブラックゴールド(Black Gold)社)
D1:カップラー:無色クリスタルバイオレット
D2:ピーコックグリーンダイ
【0036】
特性試験:
(1)ワニス組成物を均一に混合した後、膜厚38ミクロンに塗布しコーティングを形成した。
(2)銅張板の銅表面の前処理を化学マイクロエッチングにより行った。マイクロエッチングの程度は40〜60マイクロインチとした。
(3)プレスフィルム:ホットローラー温度:110±5℃、圧力:3kgw/cm2、スピード:1.5m/min。
(4)露光:現像点群の50%が現像された後、Stouffer21を用いフォトレジストステップ数8(銅ステップ数9)で露光した。接着性試験における試験ネガの線幅は20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100ミクロンとした。
(5)現像:1%Na2CO3水溶液を使用し、温度は28±0.3℃、現像点は50%BPとした。
(6)アルカリエッチング試験:フラスコ試験、pH=9.5、温度=50℃。
予めカットしたサンプルシートをエッチング溶液(即ち、アンモニア水でpH9.5に調整した銅エッチング用アルカリエッチング溶液)に2分間浸漬し、すばやく取出してから大量の水でリンスし乾燥させた。サンプルシートの銅表面に残存しているフォトレジスト回路のうち最も細い配線を顕微鏡にて検出した。
(7)金メッキ試験:pH=6.0、温度=60℃、金濃度[Au+]=2g/L、電流密度:約15ASF、時間:6分、金メッキ溶液(NT−1000、アウロメックス(Auromex Co. Ltd.)社提供)。
(8)無電解ニッケル浸漬金メッキ試験:
(a)無電解ニッケルメッキ:温度:85℃、時間60分
無電解ニッケルメッキバス溶液(NIMUDEM NPR−4、ウエムラ(Uyemura Co. Ltd.)社提供)。
(b)浸漬金メッキ:温度:85℃、時間:15分
無電解金メッキバス溶液(AURICAL TTT−24、ウエムラ(Uyemura Co. Ltd.)社提供)。
【0037】
【表3】

【0038】
試験結果に示されるように、実施例1〜6の組成物、即ち、ポリマーバインダー成分がベンジル(メタ)アクリレートから得られる重合単位を含む組成物は、アルカリエッチング耐性、金メッキ耐性、及び無電解メッキニッケル浸漬金耐性を有し、良好なアルカリ耐性によりアルカリ水溶液中での現像時に良好な解像度が得られる。一方、比較例1、2の組成物、即ち、ポリマーバインダーがベンジル(メタ)アクリレートから得られる重合単位を含まない組成物は物性に劣り、例えば、試験結果に示されるように細線接着性と現像後の解像度が不十分である。従って、表3の物性試験結果から、本ポリマーバインダーがベンジル(メタ)アクリレートから得られる重合単位を含む場合、得られる組成物は金メッキ耐性と無電解ニッケル浸漬金耐性とを有するので、ベンゼン環が存在するポリマーバインダーが本発明のフォトイメージャブル組成物に良好なエッチング耐性を付与し得ることが分かる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトイメージャブル組成物であって、該組成物の総重量に対し、
(A)30〜80wt%のポリマーバインダーと、
(B)5〜50wt%の光重合性化合物と、
(C)1.5〜20wt%の光開始剤とを含み、
成分(A)のポリマーバインダーが式(1):
【化1】

(式中、R1はH又はメチル基であり、R2、R3、R4及びR5はそれぞれ独立してH、ハロゲン、又は置換若しくは無置換のC1〜C10アルキル基を表す)で表される構造を有する少なくとも一種のモノマーから得られる重合単位を含有することを特徴とする、フォトイメージャブル組成物。
【請求項2】
前記ポリマーバインダーの総重量に対し、式(1)で表されるモノマーの量は少なくとも5wt%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
式(1)で表される前記モノマーはベンジル(メタ)アクリレートである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記光重合性化合物はα,β−エチレン性不飽和化合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
成分(A)の重量平均分子量は20000〜200000である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
成分(A)の重量平均分子量は35000〜120000である、請求項5に記載の組成物。


【公開番号】特開2007−34286(P2007−34286A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−180956(P2006−180956)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(598170187)エターナル ケミカル シーオー.,エルティーディー. (13)
【氏名又は名称原語表記】ETERNAL CHEMICAL CO.,LTD.
【Fターム(参考)】