フォトマスクの検査方法及び検査装置
【課題】洗浄処理により欠陥が除去されたか否かの判定を高精度且つ効率よく行うことができるフォトマスクの検査方法及び検査装置を提供する。
【解決手段】1回目のフォトマスク110の検査において欠陥が検出されると欠陥の位置が欠陥情報記憶部117に記憶される。1枚分のフォトマスクの検査が終了すると、欠陥情報は検査結果記録部121に記録される。欠陥除去処理(洗浄処理等)を実施した後、2回目の検査を行う。この2回目の検査では、検査結果記録部121から1回目の検査結果を読み出し、1回目の検査で欠陥が検出された部分及びその周囲の領域に対応する領域の画像を受光素子114で取得する。欠陥検査部116は、受光素子114で取得した画像(画像データ)と、画像データ記憶部115に記憶された基準となる画像データとを比較して欠陥の有無を判定する。
【解決手段】1回目のフォトマスク110の検査において欠陥が検出されると欠陥の位置が欠陥情報記憶部117に記憶される。1枚分のフォトマスクの検査が終了すると、欠陥情報は検査結果記録部121に記録される。欠陥除去処理(洗浄処理等)を実施した後、2回目の検査を行う。この2回目の検査では、検査結果記録部121から1回目の検査結果を読み出し、1回目の検査で欠陥が検出された部分及びその周囲の領域に対応する領域の画像を受光素子114で取得する。欠陥検査部116は、受光素子114で取得した画像(画像データ)と、画像データ記憶部115に記憶された基準となる画像データとを比較して欠陥の有無を判定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び磁気デバイス等の製造工程において素子や配線等のパターンの形成に用いられるフォトマスクの検査方法及び検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置(LSI)の高性能化に伴って、ウェハ上に形成される素子や配線のより一層の微細化が要求されている。通常、半導体装置の製造には多くのフォトリソグラフィ工程が介在しており、それらのフォトリソグラフィ工程ではフォトマスク(レチクルともいう)に形成されたパターンをフォトレジスト膜に転写している。フォトマスクはウェハ上に素子や配線等を形成するときの原版となるため、欠陥がないことが重要である。そのため、フォトマスクの作成時には複数回の検査が実施され、異物が付着していれば洗浄して異物を除去し、パターン不良があればパターンを修正している。
【0003】
ところで、フォトマスクの検査には、ダイ比較検査と、データ比較検査との2通りの方法がある。ダイ比較検査はフォトマスクに同一のパターンが並んで存在する場合に適用され、それらのパターン同士を比較して相違した部分を欠陥としている。一方、データ比較検査では、フォトマスクのパターンと設計データとを比較して欠陥を検出している。
【0004】
図1は、ダイ比較検査に使用するフォトマスク検査装置の構成を示すブロック図である。この検査装置は、ステージ11と、光源12と、光学レンズ(対物レンズ)13と、受光素子14と、画像データ記憶部15と、欠陥検査部16と、欠陥情報記憶部17と、レンズ制御部18と、ステージ駆動部19と、制御部20とにより構成されている。
【0005】
制御部20はレンズ制御部18を介して光学レンズ13のフォーカスを制御したり、ステージ駆動部19を介してステージ11の移動を制御する。また、制御部20は、光源12のオン−オフを制御するとともに、画像データ記憶部15、欠陥検査部16及び欠陥情報記憶部17の制御も行う。
【0006】
ステージ11は水平方向(X方向及びY方向)に移動可能であり、検査対象となるフォトマスク10はこのステージ11上に載置される。ステージ11の下方には光源12が配置され、ステージ11の上方には光学レンズ13及び受光素子14が配置されている。光源12から出力された光は、ステージ11を透過してフォトマスク10を下側から照射する。そして、フォトマスク10を透過した光は光学レンズ13で集光され、受光素子14に入力される。受光素子14からは、ステージ11の移動に伴って、フォトマスク10のパターンに応じた信号が出力される。
【0007】
受光素子14から出力された信号は、画像データとして画像データ記憶部15又は欠陥検査部16に入力される。画像データ記憶部15は、受光素子14から入力した画像データを一時的に記憶し、制御部20から送られてくる信号に応じたタイミングで欠陥検査部16に出力する。また、欠陥検査部16は、制御部20からの信号に応じて、受光素子14から入力した画像データと画像データ記憶部15に記憶されている画像データとを比較し、2つの画像データに相違点があれば欠陥と判定する。そして、欠陥があると判定したときは、欠陥情報記憶部17に欠陥情報として欠陥部分の座標が書き込まれる。このとき、欠陥部分の座標は制御部20から取得する。
【0008】
次に、上述した構成の従来のフォトマスク検査装置を使用したダイ比較検査方法について、図2に示す模式図を参照して説明する。ここでは、図2に示すように、フォトマスク10に同一の2つのパターン(チップAのパターンとチップBのパターン)が並んで存在しているものとする。
【0009】
まず、フォトマスク10をステージ11上に載置し、フォトマスク10のXY方向とステージ11のXY方向が一致するようにアライメントを調整する。その後、制御部20に検査領域を設定する。また、光源12をオンにして光量を調整するとともに、制御部10によりレンズ制御部18を駆動して光学レンズ13のフォーカス調整を行う。
【0010】
次に、制御部20に検査の開始を指示する。これにより、制御部20はステージ駆動部19を制御し、ステージ11をX方向に一定の速度で移動させる。そうすると、フォトマスク10の透過部及び遮光部に応じて光源12から出力された光がフォトマスク10を透過し又はフォトマスク10で遮光され、それに応じた信号が受光素子14から出力される。チップAのパターンを走査しているときは、制御部20からの信号に応じて、受光素子14から出力された信号がチップAのパターンの画像データ(以下、単に「チップAの画像データ」という)として画像データ記憶部15に蓄積される。
【0011】
チップAのパターンの走査が1ライン分終了すると、続けてチップBのパターンの走査が開始される。このとき、制御部20からの信号に応じて、チップBのパターンの走査中に受光素子14から出力された信号は、チップBのパターンの画像データ(以下、単に「チップBの画像データ」という)として欠陥検査部16に直接入力される。欠陥検査部16は、受光素子14から出力されたチップBの画像データと、画像データ記憶部15に蓄積されているチップAの画像データとを比較し、相違点があればその座標を欠陥部分の座標として認識して欠陥情報として欠陥情報記憶部17に記憶する。
【0012】
このようにして、チップAのパターン及びチップBのパターンの1ライン分の走査が終了すると、制御部20はステージ駆動部19を介してステージ11を所定のピッチだけY方向に移動する。また、画像データ記憶部15は、制御部20からの信号によりクリアされる。その後、次のラインの走査が開始され、チップAの画像データとチップBの画像データとの比較による欠陥検出が行われる。このようにして、検査領域全体の検査が行われる。
【0013】
次に、データ比較検査について説明する。図3は、データ比較検査に使用するフォトマスク検査装置の構成を示すブロック図である。この検査装置は、ステージ31と、光源32と、光学レンズ(対物レンズ)33と、受光素子34と、画像データ記憶部35と、欠陥検査部36と、欠陥情報記憶部37と、レンズ制御部38と、ステージ駆動部39と、制御部40と、設計データ記憶部42と、画像展開部43と、データ補正部44とにより構成されている。
【0014】
制御部40は、レンズ制御部38を介して光学レンズ33のフォーカスを制御したり、ステージ駆動部39を介してステージ31の移動を制御する。また、制御部40は、光源32のオン−オフを制御するとともに、設計データ記憶部42、画像データ展開部43、データ補正部44、画像データ記憶部35、欠陥検査部36及び欠陥情報記憶部37の制御も行う。
【0015】
ステージ31は水平方向(X方向及びY方向)に移動可能であり、検査対象となるフォトマスク30はこのステージ31上に載置される。ステージ31の下方には光源32が配置され、ステージ31の上方には光学レンズ33及び受光素子34が配置されている。光源32から出力された光は、ステージ31を透過してフォトマスク30を下側から照射する。そして、フォトマスク30を透過した光は光学レンズ33で集光され、受光素子34に入力される。この受光素子34の出力は、画像データとして欠陥検査部36に入力される。
【0016】
一方、設計データ記憶部42には、フォトマスク30のパターンの設計データ41が記憶されている。画像データ展開部43は、設計データ記憶部42に記憶されている設計データを展開して画像データを得る。このとき、画像データ展開部43は、データ補正部44に格納されている補正データに応じて、設計データを展開して得た画像データを補正する。この補正処理は、設計データと、その設計データから実際にマスク上に形成されるパターンとの差を補正するものである。例えば、設計データが図4(a)に示すように矩形のパターンのデータであっても、フォトマスク30に実際に形成されるパターンは図4(b)に示すように角部が湾曲した形状(円弧状)となる。画像データの補正を行わないと、設計データを展開して得た画像データと実際のパターンから取得した画像データとを比較したときに、図4(b)に示すパターンの角部を欠陥と判定してしまう。このような不具合を回避するために、設計データを展開して得た画像データを補正することが必要となる。
【0017】
画像データ記憶部35は、制御部40からの信号に応じて画像データ展開部43から画像データを1ライン分づつ読み出し、欠陥検査部36に出力する。欠陥検査部36は、受光素子34から入力した画像データと画像データ記憶部35に記憶されている画像データとを比較し、欠陥の有無を判定する。そして、欠陥があると判定したときは、欠陥情報記憶部37に欠陥情報として欠陥部分の座標が書き込まれる。欠陥部分の座標は、制御部40から取得する。
【0018】
次に、上述した構成の従来のフォトマスク検査装置を使用したデータ比較検査方法について説明する。
【0019】
まず、フォトマスク30をステージ31上に載置し、フォトマスク30のXY方向とステージ31のXY方向が一致するようにアライメントを調整する。その後、制御部40に検査領域を設定する。また、光源32をオンにして光量を調整するとともに、制御部40によりレンズ制御部38を駆動して光学レンズ33のフォーカス調整を行う。
【0020】
一方、予め設計データ41を設計データ記憶部42に記憶させておく。画像データ展開部43は、制御部40からの信号に応じて設計データ記憶部42から設計データを読み出し、その設計データを展開して画像データを得る。このとき、画像データ展開部43は、データ補正部44に格納された補正データに基づいて画像データを補正する。画像データ記憶部35は、制御部40からの信号に基づいて、画像データ展開部43から最初の1ライン分の画像データを読み出して記憶する。
【0021】
次に、制御部40に検査の開始を指示する。これにより、制御部40はステージ駆動部39を制御してステージ31をX方向に一定の速度で移動させる。そうすると、フォトマスク30の透過部及び遮光部に応じて光源32から出力された光がフォトマスク30を透過し又はフォトマスク30で遮光され、それに応じた信号が受光素子34から出力される。この信号は、画像データとして欠陥検査部36に入力される。
【0022】
欠陥検査部36は、制御部40からの信号に応じて、画像データ記憶部35から入力される画像データと受光素子34から入力される画像データとを比較し、欠陥の有無を判定する。そして、欠陥があると判定したときは、欠陥情報記憶部37に欠陥情報として欠陥部分の座標が書き込まれる。
【0023】
1ライン分の検査が終了すると、制御部40からの信号に基づいて画像データ記憶部35はクリアされ、その後次の1ライン分の画像データが画像データ展開部43から読み出されて画像データ記憶部35に記憶される。また、制御部40は、ステージ駆動部39を制御して、ステージ31を所定のピッチだけY方向に移動する。次いで、次のラインの走査が開始され、フォトマスク30のパターンから得た画像データと設計データ41から得た画像データとの比較により欠陥検出が行われる。このようにして、検査領域全体の検査が行われる。
【0024】
データ比較検査では、フォトマスク30のパターンから得た画像データと設計データ41から得た画像データとを比較するので、ダイ比較検査と異なり、フォトマスク30に同一のパターンが並んで存在していない場合でも検査が可能である。
【0025】
ダイ比較検査又はデータ比較検査により欠陥が検出されたフォトマスクは、オペレータにより異物の付着による欠陥とパターン不良による欠陥とに分類される。つまり、オペレータは、検査装置に付属する表示装置に欠陥部分の画像を表示して、欠陥部分の状態と欠陥部分の大きさとから、欠陥が異物の付着によるものなのか、パターン不良によるものなのかを判定する。このとき、透過光による観察だけでなく、反射光による観察も行われる。
【0026】
異物の付着による欠陥と判定されたフォトマスクは洗浄工程に送られて洗浄処理され、パターン不良による欠陥と判定されたフォトマスクは修正工程に送られてパターンが修正される。なお、異物の付着による欠陥と判定されたフォトマスクは、洗浄処理後に再度フォトマスク検査装置による検査が行われ、欠陥の有無が判定される。ここで、再度欠陥が検出された場合は、修正工程に送られて物理的な方法で異物が除去される。その結果パターンの修正が必要になればパターンの修正が行われる。
【0027】
ところで、近年の半導体装置の高密度化に伴ってフォトマスクのパターンはより一層微細化される傾向にあり、フォトマスクの検査でも微小な欠陥を検出することが要求されている。そのような要求に応じて検査装置の欠陥検出能力も向上しており、微細な欠陥の検出も可能になっている。しかし、欠陥のサイズが微細な場合は、オペレータ(作業者)が欠陥部分を観察して異物の付着による欠陥なのか、パターンの欠陥なのかを判断することが困難である。
【0028】
オペレータの負荷を軽減するために、検査で欠陥が検出されたフォトマスクを全て修正工程に送り、異物の付着による欠陥の場合も修正工程で異物を除去することが考えられる。しかし、修正工程では欠陥の状態に応じてフォトマスクを1枚ずつ個別に処理する必要があるので、処理時間が膨大になり、現実的ではない。
【0029】
特許文献1には、欠陥が検出されたフォトマスクのうちパターン不良であることが確実であるフォトマスクのみを修正工程に送って修正処理し、それ以外のものは全て洗浄工程に送って洗浄処理することが提案されている。
【0030】
図5は、特許文献1によるフォトマスクの検査・修正処理を示すフローチャートである。まず、ステップS11において、前述したフォトマスク検査装置による検査を実施する。そして、ステップS12において欠陥の有無を判定し、欠陥が無いと判定したときは当該フォトマスクの検査・修正処理を終了する。しかし、ステップS12において欠陥が有ると判定したときは、ステップS13に移行する。
【0031】
ステップS13では、オペレータが表示装置に表示された欠陥部分の画像を観察し、欠陥がパターン不良によるものか又はその他の原因によるものかを判定する。欠陥がパターン不良によるものであることが確実な場合は、ステップS17に移行して、修正処理を実行する。一方、ステップS13で欠陥が異物の付着によるものである場合、又は異物の付着によるものかパターンの不良によるものかが判断できない場合は、ステップS14に移行する。
【0032】
ステップS14では、フォトマスクに対し洗浄処理を実施する。その後、ステップS15に移行して、再度フォトマスク検査装置による検査を実施する。そして、ステップS16において欠陥の有無を判定し、欠陥が無いと判定したときは当該フォトマスクの検査・修正処理を終了する。しかし、ステップS16において欠陥があると判定したときは、ステップS17に移行して修正処理を実行する。
【0033】
特許文献2には、洗浄処理後のフォトマスクの欠陥部分(1回目の検査で欠陥が検出された部分)をSEM(走査電子顕微鏡)やフォトマスク検査装置を用いて観察し、異物が除去されたか否かを判断することが提案されている。この場合、1回目の検査時に欠陥部分の座標が判明しているので、この座標をSEM又はフォトマスク検査装置に入力することにより、観察位置を1回目の検査で検出された欠陥の位置まで移動させることは容易である。
【0034】
図6は、特許文献2によるフォトマスクの検査・修正処理を示すフローチャートである。まず、ステップS21において、前述したフォトマスク検査装置による検査を実施する。そして、ステップS22において欠陥の有無を判定し、欠陥がないと判定したときは当該フォトマスクの検査・修正処理を終了する。しかし、ステップS22において欠陥があると判定したときは、ステップS23に移行する。
【0035】
ステップS23では、オペレータが表示装置に表示された欠陥部分の画像を観察し、欠陥がパターン不良によるものか、異物の付着によるものかを判定する。パターン不良によるものと判定した場合はステップS26に移行して、パターンの修正が行われる。一方、ステップS23において、欠陥が異物の付着によるものと判定した場合は、ステップS24に移行する。
【0036】
ステップS24では、フォトマスクに対し洗浄処理を実施する。その後、ステップS25に移行する。ステップS25では、SEM又は前述したフォトマスク検査装置を使用し、1回目の検査で欠陥があると判定した部分の座標を入力して表示装置に当該座標の位置及びその周辺の領域の画像を表示させ、欠陥の有無を判定する。この欠陥の有無の判定は、オペレータが表示装置に表示された画面を観察して行われる。そして、欠陥がないと判定した場合は当該フォトマスクの検査・修正処理を終了し、欠陥があると判定した場合はステップS26に移行して欠陥部分を修正する。
【0037】
この方法では、1回目の検査(ステップS21)で検出した欠陥部分の座標をSEM又はフォトマスク検査装置に入力することにより、1回目の検査で欠陥を検出した部分のみを選択的に観察することができる。従って、オペレータ自身が欠陥の有無を判定する必要はあるものの、フォトマスク検査装置によりフォトマスク全体を検査する場合に比べて、検査時間を大幅に短縮することができる。
【特許文献1】特開平06−67407号公報
【特許文献2】特開2003−185592号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0038】
しかしながら、本願発明者等は、上述した従来のフォトマスクの検査方法には以下に示す問題点があると考える。すなわち、引用文献1に記載された方法では、欠陥が検出されたフォトマスクのうちパターン不良であることが確実なもの以外を全て洗浄処理して再検査(ステップS15における検査)するので、再検査が必要なフォトマスクの数が多くなる。通常、フォトマスクの検査には1枚当たり5〜6時間(検査領域のサイズが100mm×100mm程度の場合)かかるので、再検査が必要なフォトマスクの数が多くなると、スループット及びコストの点から問題となる。
【0039】
引用文献2に記載された方法では、異物が除去できたかどうかの確認をオペレータの視覚に頼るため判定ミスが発生する可能性があり、信頼性が十分であるとはいえない。
【0040】
本発明は、洗浄処理により欠陥が除去されたか否かの判定を高精度且つ効率よく行うことができるフォトマスクの検査方法及び検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0041】
上記した課題は、画像取得部によりフォトマスクの画像を取得し、欠陥検査部により基準となる画像データと比較して欠陥を検出する第1の工程と、前記第1の工程で検出した欠陥の位置を欠陥情報として欠陥情報記憶部に記憶する第2の工程と、前記第2の工程で記憶した欠陥情報をフォトマスク毎に固有の識別コードに関連付けて検査結果記録部に記録する第3の工程と、欠陥除去処理を実施する第4の工程と、前記第3の工程で記録した前記欠陥情報を読み出し、前記欠陥除去処理後のフォトマスクから前記第1の工程で検出した欠陥の位置及びその周辺の領域のみの画像を前記画像取得部により取得し、前記欠陥検査部により基準となる画像データと比較して欠陥の有無を判定する第5の工程とを有することを特徴とするフォトマスクの検査方法により解決する。
【0042】
また、上記した課題は、フォトマスクが載置されるステージと、前記ステージの上に載置されたフォトマスクの画像を取得する画像取得部と、欠陥検出の基準となる第1の画像データを記憶する画像データ記憶部と、前記画像取得部により取得された画像のデータを第2の画像データとし、当該第2の画像データと前記画像データ記憶部に記憶された前記第1の画像データとを比較して欠陥を検出する欠陥検査部と、前記欠陥検査部により検出された欠陥の位置を欠陥情報として記憶する欠陥情報記憶部と、少なくとも1枚分のフォトマスクの欠陥情報を当該フォトマスクに固有の識別コードに関連付けて記録する検査結果記録部と、前記画像取得部、前記画像データ記憶部、前記欠陥検査部及び前記検査結果記録部を制御する制御部とを有し、前記制御部は、前記検査結果記録部に欠陥情報が記録されたフォトマスクを再検査するときに、前記検査結果記録部に記録された欠陥情報に基づき前記画像取得部を制御して前記フォトマスクから前回の検査で検出された欠陥の位置及びその周辺の領域のみの画像を取得し前記第2の画像データとして前記欠陥検査部に入力させ、前記欠陥検出部は入力された前記第2の画像データと前記画像データ記憶部に記憶された第1の画像データとを比較して欠陥の有無を判定することを特徴とするフォトマスクの検査装置により解決する。
【0043】
本発明においては、1回目のフォトマスクの検査において欠陥が検出されると、その欠陥の位置を欠陥情報として欠陥情報記憶部に記憶する。そして、1枚分のフォトマスクの検査が終了すると、そのフォトマスクの欠陥情報をフォトマスクに固有の識別コードに関連付けて検査結果記録部に記録する。
【0044】
その後、欠陥除去処理(例えば洗浄処理)を実施し、2回目の検査を行う。この2回目の検査は、検査結果記録部から1回目の検査結果を読み出し、フォトマスクから1回目の検査で欠陥が検出された部分及びその周囲の領域に対応する領域の画像を画像取得部で取得し、その画像(画像データ)と基準となる画像データとを欠陥検査部で比較することにより行われる。
【0045】
このように、本発明においては、2回目の検査工程では1回目の検査工程で欠陥が検出された部分のみを検査するので、フォトマスク全体を再検査する方法に比べて検査時間が著しく短縮される。また、本発明においては、2回目の検査工程においても、フォトマスクから取得した画像のデータと基準となる画像データとの比較を欠陥検出部により自動的に行うので、オペレータによる人為的なミスが発生するおそれがなく、検査の信頼性が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0047】
(第1の実施形態)
図7は、本発明の第1の実施形態に係るフォトマスク検査装置の構成を示すブロック図である。本実施形態は、本発明をダイ比較検査用検査装置に適用した例を示している。
【0048】
この検査装置は、ステージ111と、光源112と、光学レンズ(対物レンズ)113と、受光素子114と、画像データ記憶部115と、欠陥検査部116と、欠陥情報記憶部117と、レンズ制御部118と、ステージ駆動部119と、制御部120と、検査結果記録部121とにより構成されている。
【0049】
制御部120はレンズ制御部118を介して光学レンズ113のフォーカスを制御したり、ステージ駆動部119を介してステージ111の移動を制御する。また、制御部120は、光源112のオン−オフを制御するとともに、画像データ記憶部115、欠陥検査部116、欠陥情報記憶部117及び検査結果記録部121の制御も行う。
【0050】
ステージ111は水平方向(X方向及びY方向)に移動可能であり、検査対象となるフォトマスク110はこのステージ111上に載置される。ステージ111の下方には光源112が配置され、ステージ111の上方には光学レンズ113及び受光素子114が配置されている。光源112から出力された光は、ステージ111を透過してフォトマスク110を下側から照射する。そして、フォトマスク110を透過した光は光学レンズ113で集光され、受光素子114に入力される。受光素子114からは、ステージ111の移動に伴って、フォトマスク110のパターンに応じた信号が出力される。
【0051】
受光素子114から出力された信号は、画像データとして画像データ記憶部115又は欠陥検査部116に入力される。画像データ記憶部115は、受光素子114から入力した画像データを一時的に記憶し、制御部120から送られてくる信号に応じたタイミングで欠陥検査部116に出力する。また、欠陥検査部116は、制御部120からの信号に応じて、受光素子114から入力した画像データと画像データ記憶部115に記憶されている画像データとを比較し、2つの画像データに相違点があれば欠陥と判定する。そして、欠陥があると判定したときは、欠陥情報記憶部117に欠陥情報として欠陥部分の座標が書き込まれる。このとき、欠陥部分の座標は制御部120から取得する。
【0052】
検査結果記録部121には、欠陥情報記憶部117に記憶された欠陥情報が、当該フォトマスク110毎に固有の識別コード(例えばシリアル番号等)に関連付けて記憶される。この検査結果記録部121には、複数枚分のフォトマスクの欠陥情報を記録することが可能である。
【0053】
なお、本実施形態において、フォトマスク110の画像を取得する画像取得部は、光源112、光学レンズ113、受光素子114及びステージ駆動部119により構成されている。
【0054】
次に、上述した構成のフォトマスク検査装置を使用したダイ比較検査方法について説明する。
【0055】
1回目の検査のときは、前述した従来の検査装置と同様にフォトマスク110を検査する。すなわち、フォトマスク110をステージ111上に載置し、フォトマスク110のXY方向とステージ111のXY方向とが一致するようにアライメントを調整する。そして、2つの同一パターンのうちの一方のパターンを走査して受光素子114から出力される信号(画像データ)を画像データ記憶部115に蓄積し、その後他方のパターンを走査しながら、受光素子114から出力される信号(画像データ)と画像データ記憶部115に記憶されている画像データとを欠陥検査部116で比較して、欠陥の有無を判定する。欠陥があると判定したときは、欠陥情報記憶部117に、欠陥情報として欠陥部分の座標が記憶される。
【0056】
このようにしてフォトマスク110の検査が終了すると、制御部120は欠陥情報記憶部117に記憶された欠陥情報を、検査したフォトマスク110に固有の識別コードに関連付けて検査結果記録部121に記録する。欠陥があると判定されたフォトマスク110は、オペレータにより洗浄工程に送られるものと修正工程に送られるものとに分別される。
【0057】
図8は、洗浄処理されたフォトマスクの検査方法(2回目の検査)を示すフローチャートである。この図8を参照して、本実施形態の検査方法を説明する。
【0058】
まず、ステップS31において、検査準備を行う。すなわち、洗浄処理(欠陥除去処理)されたフォトマスク110をステージ111上に載置し、フォトマスク110のXY方向とステージ111のXY方向とが一致するようにアライメントを調整する。その後、制御部120に検査対象のフォトマスク110の識別コードを入力する。また、光源112の光量の調整や、光学レンズ113のフォーカスの調整を行う。
【0059】
次に、制御部120に検査の開始を指示する。これによりステップS32に移行し、制御部120は検査結果記録部121から1回目の検査における欠陥情報を読み出す。そして、ステップS33において、チップAの欠陥部分(1回目の検査で欠陥を検出した位置に対応する位置)にステージ111を移動する。
【0060】
次に、ステップS34に移行し、例えば図9に示すように、チップAの欠陥部分のパターンを走査する。このとき、本実施形態では、欠陥部分を中心とする512ピクセル×512ピクセルの正方形の領域126の画像を256階調で取得する。なお、本実施形態では、1ピクセルのサイズは90〜100nm程度とする。チップAのパターンから取得した画像のデータ(以下、単に「チップAの画像データ」という)は、画像データ記憶部115に記憶される。なお、図9中125は、1回目の検査で検出された欠陥を仮想的に示している。
【0061】
次に、ステップS35に移行して、チップBのパターンの欠陥部分(1回目の検査で欠陥を検出した位置に対応する位置)にステージ111を移動する。そして、ステップS36において、チップBの欠陥部分のパターンを走査する。この場合も、欠陥部分を中心とする512ピクセル×512ピクセルの正方形の領域126の画像を256階調で取得する。このチップBのパターンの画像データ(以下、単に「チップBの画像データ」という)は、欠陥検査部116内に記憶される。
【0062】
次に、ステップS37に移行し、欠陥検査部116は画像データ記憶部115に記憶されているチップAの画像データと、欠陥検査部116内に記憶されているチップBの画像データとを比較して、欠陥の有無を判定する。2つの画像データに相違点があれば欠陥有りと判定し、欠陥部分の位置(座標)と欠陥部分の周囲の画像データとが欠陥情報記憶部117に記憶される。
【0063】
次に、ステップS38において、検査結果記録部121に記録されている当該フォトマスク110の欠陥部分の全ての検査が終了したか否かが判定される。終了していないと判定した場合はステップS32に戻り、上述した処理を繰り返す。このようにして、本実施形態では、1回目の検査で欠陥が検出された部分のみを再度検査する。
【0064】
この2回目の検査で欠陥が検出されたフォトマスク110は、洗浄により除去することができない欠陥を有しているので、修正工程において修正処理される。
【0065】
本実施形態においては、上述したように、洗浄処理後に実施される2回目の検査において、フォトマスク110の全体を検査するのではなく、1回目の検査により欠陥と判定された部分とその周囲の領域のみを検査装置により自動的に検査する。従って、フォトマスク全体を再検査する場合に比べて検査時間が著しく短縮される。例えば、従来の検査方法では、検査領域のサイズが100mm×100mmのフォトマスクの全面検査に5〜6時間かかっていた。一方、本実施形態によれば、1枚のフォトマスクに50箇所の欠陥があったとしても、検査に要する時間は10分間程度である。更に、2回目以降の検査では,全ての領域における検査データから1回目の検査により欠陥と判定された部分を抽出するわけではないので、該データを検査装置がアクセスする速度も早くなる。
【0066】
また、本実施形態によれば、欠陥の有無が検査装置により自動的に判定されるので、人為的なミスが発生するおそれがなく、検査の信頼性が高い。
【0067】
なお、本実施形態では1枚分のフォトマスクの欠陥情報を記憶する欠陥情報記憶部117と、複数枚分のフォトマスクの欠陥情報を記憶する検査結果記録部121とを個別に設けているが、欠陥情報記憶部117と検査結果記録部121とが一体的に構成されていてもよい。
【0068】
(第1の実施形態の変形例)
上述した第1の実施形態では欠陥部分毎に、画像データの取得、画像データの比較及び欠陥の有無の判定の各工程を順番に繰り返す場合について説明したが、全ての欠陥部分の画像データを取得した後、画像データの比較及び欠陥の有無の判定をまとめて行うようにしてもよい。これにより、画像データの比較及び欠陥の有無の判定が終わるまでステージ111の移動開始を待つ必要がなくなり、検査に要する時間を更に短縮することができる。
【0069】
また、第1の実施形態では、2回目の検査において、チップAのパターンとチップBのパターンとの両方の画像データを取得している。1回目の検査で欠陥を検出したときに、どちらのチップのパターンに欠陥があるのかを示す情報と、欠陥部分に対応する部分の欠陥の無いチップの画像データ(チップAのパターンに欠陥があるときはチップBのパターンの画像データ、チップBのパターンに欠陥があるときはチップAのパターンの画像データ:以下、「無欠陥画像データ」という)とを検査結果記録部121に記録しておくことにより、一方のチップのパターンの画像データを取得する工程を省略することができる。図10は、このときの検査方法を示すフローチャートである。
【0070】
まず、上述した第1の実施形態と同様に、ステップS41において検査準備を行い、ステップS42において検査結果記録部121から1回目の検査における欠陥情報(欠陥部分の座標、どちらのチップのパターンに欠陥があるのかを示す情報、及び無欠陥画像データ)を読み出す。このとき、制御部120は、検査結果記録部121から対応する無欠陥画像データを画像データ記憶部115に転送する。
【0071】
次に、ステップS43に移行し、制御部120は、1回目の検査で欠陥が検出された位置(欠陥部分)にステージを移動する。そして、ステップS44において、その欠陥部分を中心とする一定の範囲(例えば、512ピクセル×512ピクセルの範囲)を走査し、受光素子114から出力される信号を画像データとして欠陥検査部116に記憶する。
【0072】
次に、ステップS45において、欠陥検査部116は、画像データ記憶部115に記憶された無欠陥画像データと、欠陥検査部116に記憶された画像データ(フォトマスクから取得した画像データ)とを比較して欠陥の有無を判定する。欠陥有りと判定したときは、欠陥部分の座標が欠陥情報記憶部117に記憶される。
【0073】
次いで、ステップS46において、検査結果記録部121に記録されている当該フォトマスク110の欠陥部分の全ての検査が終了したか否かが判定される。終了していないと判定した場合はステップS42に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0074】
この方法によれば、ステージ111の移動回数が少なくなり、上述した第1の実施形態に比べて、検査時間をより一層短縮することができる。
【0075】
(第2の実施形態)
図11は、本発明の第2の実施形態に係るフォトマスク検査装置の構成を示すブロック図である。本実施形態は、本発明をデータ比較検査用検査装置に適用した例を示している。
【0076】
この検査装置は、ステージ131と、光源132と、光学レンズ(対物レンズ)133と、受光素子134と、画像データ記憶部135と、欠陥検査部136と、欠陥情報記憶部137と、レンズ制御部138と、ステージ駆動部139と、制御部140と、設計データ記憶部142と、画像展開部143と、データ補正部144と、検査結果記録部145とにより構成されている。
【0077】
制御部140は、レンズ制御部138を介して光学レンズ133のフォーカスを制御したり、ステージ駆動部139を介してステージ131の移動を制御する。また、制御部140は、光源132のオン−オフを制御するとともに、設計データ記憶部142、画像データ展開部143、データ補正部144、画像データ記憶部135、欠陥検査部136、欠陥情報記憶部137及び検査結果記録部145の制御も行う。
【0078】
ステージ131は水平方向(X方向及びY方向)に移動可能であり、検査対象となるフォトマスク130はこのステージ131上に配置される。ステージ131の下方には光源132が配置され、ステージ131の上方には光学レンズ133及び受光素子134が配置されている。光源132から出力された光は、ステージ131を透過してフォトマスク130を下側から照射する。そして、フォトマスク130を透過した光は光学レンズ133で集光され、受光素子134に入力される。この受光素子134の出力は、画像データとして欠陥検査部136に入力される。
【0079】
一方、設計データ記憶部142には、フォトマスク130のパターンの設計データ141が記憶されている。画像データ展開部143は、設計データ記憶部142に記憶されている設計データを展開して画像データを得る。このとき、画像データ展開部143は、データ補正部144に格納されている補正データに応じて、設計データを展開して得た画像データを補正する。この補正処理は、設計データと、その設計データから実際にフォトマスク130に形成されるパターンとの差を補正するものである(図2(a),(b)参照)。
【0080】
画像データ記憶部135は、制御部140からの信号に応じて画像データ展開部143から画像データを1ライン分づつ読み出し、欠陥検査部136に出力する。欠陥検査部136は、受光素子134から入力した画像データと画像データ記憶部135に記憶されている画像データとを比較し、欠陥の有無を判定する。そして、欠陥があると判定したときは、欠陥情報記憶部137に欠陥情報として欠陥部分の座標が書き込まれる。欠陥部分の座標は、制御部140から取得する。
【0081】
検査結果記録部145には、欠陥情報記憶部137に記憶された欠陥情報が、当該フォトマスク130毎に固有の識別コード(例えばシリアル番号等)に関連付けて記憶される。この検査結果記録部145には、複数枚分のフォトマスクの欠陥情報を記録することが可能である。
【0082】
次に、上述した構成のフォトマスク検査装置を使用したデータ比較検査方法について説明する。
【0083】
1回目の検査のときは、前述した従来の検査装置と同様にフォトマスク130を検査する。すなわち、フォトマスク130をステージ131上に載置し、フォトマスク130のXY方向とステージ131のXY方向とが一致するようにアライメントを調整する。そして、設計データ記憶部142に記憶されている設計データ141を画像データ展開部143により展開して得た画像データと、フォトマスク130を走査して得た画像データとを比較して、欠陥の有無を判定する。欠陥があると判定したときは、欠陥情報記憶部137に欠陥情報として欠陥部分の位置座標が記憶される。
【0084】
このようにしてフォトマスク130の検査が終了すると、制御部140は欠陥情報記憶部137に記憶された欠陥情報を、検査したフォトマスク130に固有の識別コードに関連付けて検査結果記録部145に記録する。欠陥があると判定されたフォトマスク130は、オペレータ(作業者)により洗浄工程に送られるものと修正工程に送られるものとに分別される。
【0085】
図12は、洗浄処理されたフォトマスクの検査方法(2回目の検査)を示すフローチャートである。この図12を参照して、本実施形態の検査方法を説明する。
【0086】
まず、ステップS51において、検査準備を行う。すなわち、洗浄処理されたフォトマスク130をステージ131上に載置し、フォトマスク130のXY方向とステージ131のXY方向とが一致するようにアライメントを調整する。また、設計データ記憶部142には検査対象のフォトマスク130の設計データを記憶させておく。その後、制御部140に検査対象のフォトマスク130の識別コードを入力する。また、光源132の光量の調整や、光学レンズ131のフォーカス調整を行う。
【0087】
次に、制御部140に検査の開始を指示する。これにより、ステップS52に移行し、制御部140は検査結果記録部145から1回目の検査における欠陥情報を読み出す。そして、ステップS53において、画像データ展開部143から欠陥部分(1回目の検査で欠陥を検出した位置に対応する位置)の画像データを読み出し、画像データ記憶部135に記憶する。ここでは、欠陥部分を中心とする512ピクセル×512ピクセルの正方形の領域の画像データを記憶する。なお、本実施形態においても、1ピクセルのサイズは90〜100nm程度とする。
【0088】
次に、ステップS54において、欠陥部分の位置にステージ131を移動する。そして、ステップS55に移行して、フォトマスク130の欠陥部分のパターンを走査する。この場合も、欠陥部分を中心とする512ピクセル×512ピクセルの正方形の領域の画像データを取得する。この受光素子134で取得した画像データは、欠陥検査部136に記憶される。
【0089】
次に、ステップS56に移行し、欠陥検査部136は画像データ記憶部135に記憶されている画像データ(設計データから得られた画像データ)と、欠陥検査部136に記憶されている画像データ(フォトマスク130から取得した画像データ)とを比較して、欠陥の有無を判定する。2つの画像データに相違点があれば欠陥ありと判定し、欠陥部分の座標が欠陥情報記憶部137に記憶される。
【0090】
次に、ステップS57において、検査結果記録部145に記録されている当該フォトマスク130の欠陥部分の全ての検査が終了したか否かが判定される。終了していないと判定した場合はステップS52に戻り、上述した処理を繰り返す。このようにして、本実施形態では、1回目の検査で欠陥が検出された部分のみを再検査する。
【0091】
本実施形態においても、洗浄処理後に実施される2回目の検査において、フォトマスク130の全体を検査するのではなく、1回目の検査により欠陥と判定された部分とその周囲の領域のみを検査装置により自動的に検査する。従って、フォトマスク全体を検査する場合に比べて検査時間が著しく短縮される。
【0092】
また、本実施形態によれば、欠陥の有無が検査装置により自動的に判定されるので、人為的なミスが発生するおそれがなく、検査の信頼性が高い。
【0093】
なお、本実施形態においても、1枚分のフォトマスクの欠陥情報を記憶する欠陥情報記憶部137と、複数枚分のフォトマスクの欠陥情報を記憶する検査結果記録部145とが個別に設けられている場合について説明したが、欠陥情報記憶部137と検査結果記録部145とが一体的に構成されていてもよい。
【0094】
(第2の実施形態の変形例)
上述した第2の実施形態では、欠陥部分毎に、画像データの取得、画像データの比較及び欠陥の有無の判定の各工程を順番に繰り返す場合について説明したが、全ての欠陥部分の画像データを取得した後、画像データの比較及び欠陥の有無の判定をまとめて行うようにしてもよい。これにより、画像データの比較及び欠陥の有無の判定が終わるまでステージ131の移動開始を待つ必要がなくなり、検査に要する時間を更に短縮することができる。
【0095】
また、上述した第2の実施形態では、2回目の検査においても設計データを展開しそれにより得た画像データを補正する処理を行っているが、1回目の検査で欠陥を検出したときに、画像データ展開部143から欠陥部分に対応する部分の画像データ(補正済みの画像データ)を取得して検査結果記憶部145に記憶しておいてもよい。これにより、2回目の検査において設計データを展開する工程及びそれにより得た画像データを補正する工程が不要になり、検査装置の負荷が軽くなる。
【0096】
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態に係るフォトマスクの検査方法について説明する。
【0097】
第1及び第2の実施形態においては、1枚のフォトマスク中に異物の付着による欠陥とパターン不良による欠陥とがある場合、1回目の検査終了後に洗浄処理(欠陥除去処理)が施され、2回目の検査で欠陥部分の検査が行われる。この場合、2回目の検査では、異物が付着していた部分だけでなく、パターン不良の部分も検査される。パターン不良による欠陥の場合は洗浄により欠陥を除去することはできないので、2回目の検査(洗浄処理後の検査)でパターン不良による欠陥部分を検査するのは無駄である。
【0098】
そこで、本実施形態に係る検査方法では、1回目の検査でパターン不良による欠陥であることが判明している部分は2回目の検査を省略する。なお、本実施形態は、第1の実施形態で説明したダイ比較検査用検査装置又は第2の実施形態で説明したデータ比較検査用検査装置を使用して実現される。ここでは、説明の便宜上、図7に示す構成のダイ比較検査用検査装置を使用するものとする。
【0099】
図13,図14は、本発明の第3の実施形態に係るフォトマスクの検査方法を示すフローチャートである。図13は1回目の検査時のフローチャートを示し、図14は2回目(洗浄処理後)の検査時のフローチャートを示している。最初に、図13のフローチャート及び図7のブロック図を参照して、1回目の検査について説明する。
【0100】
まず、ステップS61において、検査装置により、第1の実施形態で説明したようにフォトマスク110の1回目の検査を行う。その後、ステップS62において、オペレータ(作業者)は、欠陥部分の画像を見ながら欠陥の種類を判定する。すなわち、パターン不良のように修正が必要な欠陥の場合はステップS63に移行し、欠陥情報記憶部117に記憶された欠陥情報にフラグ“D”を付加する。また、異物の付着のように洗浄が必要な欠陥の場合はステップS64に移行し、欠陥情報記憶部117に記憶された欠陥情報にフラグ“P”を付加する。更に、欠陥ではないものの検査装置により欠陥と判定された擬似欠陥の場合は、ステップS65に移行して、欠陥情報記憶部117に記憶された欠陥情報にフラグ“F”を付加する。なお、擬似欠陥とは、例えば図2(a),(b)に示すように、フォトマスクの作成工程において発生する設計データと実際のパターンとの相違部分が欠陥と判定されたものなどである。
【0101】
その後、ステップS66において、全ての欠陥部分にフラグを付加したか否かが判定される。フラグを付加していない欠陥部分がある場合は、ステップS62に戻って、上述した処理を実行する。
【0102】
このようにして、当該フォトマスク110の全ての欠陥情報に、“D”、“P”及び“F”のいずれか1つのフラグが付加される。これらの欠陥情報は、当該フォトマスク110に固有の識別コード(シリアル番号等)に関連付けて、検査結果記録部121に記録される。
【0103】
次に、図14のフローチャート及び図7のブロック図を参照して、2回目の検査(洗浄処理後の検査)について検査方法を説明する。
【0104】
まず、ステップS71において、フォトマスク110をステージ111上に載置した後、当該フォトマスク110の欠陥情報を検査結果記録部121から読み込む。そして、ステップS72に移行し、制御部120は、欠陥情報に付加されているフラグが“P”か否かを判定する。フラグが“P”以外の場合(換言するとフラグが“D”又は“F”の場合)、すなわち1回目の検査で異物の付着による欠陥でないと判定された欠陥の場合は、ステップS71に戻り、次の欠陥情報を読み出す。
【0105】
一方、ステップS72において、フラグが“P”であると判定した場合は、ステップS73に移行する。そして、制御部120はステージ111を移動して欠陥部分を走査し、ステップS74において欠陥の有無を判定する。ステップS74で欠陥があると判定した場合、すなわち洗浄により欠陥を除去できなかった場合はステップS75に移行して、欠陥情報のフラグを“D”に変更し、欠陥情報記憶部117に記憶する。一方、ステップS74において欠陥が無いと判定した場合、すなわち洗浄により欠陥が除去された場合はステップS76に移行して、欠陥情報のフラグを“F”に変更し、欠陥情報記憶部117に記憶する。
【0106】
次いで、ステップS77に移行し、制御部120は全ての欠陥部分の検査が終了したか否かを判定する。ステップS77において、全ての欠陥部分の検査が終了していないと判定した場合は、ステップS71に戻って上述した処理を繰り返す。一方、ステップS77において全ての欠陥部分の検査が終了したと判定した場合は、処理を完了する。このようにして、2回目の検査では“P”のフラグが付加された欠陥部分のみが検査され、その結果に応じて欠陥情報のフラグが“D”又は“F”に変更される。
【0107】
本実施形態においては、1回目の検査で“P”のフラグが付加された欠陥部分のみ、すなわち洗浄により欠陥が除去される可能性がある部分のみを再検査するので、第1の実施形態に比べて検査時間を更に短縮することができる。
【0108】
また、本実施形態においては、2回目の検査(洗浄処理後の検査)終了後は、欠陥部分に付加されているフラグが、修正が必要な欠陥であることを示す“D”、又は修正が不要な欠陥(擬似欠陥等)であることを示すフラグ“F”のいずれかになる。従って、修正工程では、フラグ“D”が付加された欠陥のみの修正を行えばよく、修正工程を効率化することができる。
【0109】
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態に係るフォトマスクの検査方法について説明する。
【0110】
第1及び第2の実施形態では、欠陥部分を中心とする比較的広い範囲(512ピクセル×512ピクセル)の画像データを比較して欠陥の有無を判定している。これは、2つの画像を比較するときに、パターンマッチング処理を行って2つの画像のパターンを正確に一致させる必要があるためである。この場合、光学的近接効果補正(OPC:Optical Proximity Correction)などの複雑な補正を行って形成されたパターンが比較範囲内にあると、設計データと実際に形成されたパターンとの相違部分が欠陥(擬似欠陥)として検出されるおそれがある。
【0111】
そこで、本実施形態においては、1回目の検査で欠陥が検出されると、欠陥の重心(中心点)の座標を欠陥情報として記憶しておき、2回目の検査では欠陥部分の周囲(欠陥部分を含まず)の比較的広い範囲の画像のデータを用いてパターンマッチング処理を行い、その後欠陥部分の重心を中心とする比較的狭い範囲における画像(欠陥部分の画像)のデータを比較して、欠陥の有無を判定する。なお、本実施形態は、第1の実施形態で説明したダイ比較検査用検査装置又は第2の実施形態で説明したデータ比較検査用検査装置を使用して実現される。ここでは、説明の便宜上、図7に示す構成のダイ比較検査用検査装置を使用するものとする。
【0112】
図15(a)〜(e)は、本実施形態に係るフォトマスクの検査方法を示す模式図である。本実施形態においては、1回目の検査で欠陥を検出すると、その欠陥部分の重心(中心点)を求めて、その重心からX方向に±5ピクセル、Y方向に±5ピクセルの矩形の領域の位置を欠陥領域とし、検査結果記録部121に記録する。
【0113】
図15(a)は、1回目の検査で欠陥を検出したときの画像の例を示している。この図15(a)に示すように、1回目の検査で欠陥が検出されたときは、欠陥部分の重心を中心とし、X方向に±5ピクセル、Y方向に±5ピクセルの範囲を欠陥領域として欠陥情報記憶部118に記憶する。フォトマスク110の検査が終了すると、欠陥情報記録部118に記憶された欠陥情報(欠陥領域の情報を含む)は、当該フォトマスクに固有の識別コードに関連付けて検査結果記録部121に記録される。
【0114】
2回目の検査では、検査結果記録部121から読み出した欠陥情報に基づいて、欠陥部分に対応する512ピクセル×512ピクセルの領域の画像データを取得する(図9参照)。図15(b)はチップAのパターンから取得した欠陥部分の画像データを示し、図15(c)はチップBのパターンから取得した欠陥部分の画像データを示している。そして、これらの画像データのうち欠陥領域(図中破線で示す矩形の領域)以外の部分を用いてパターンマッチング処理を行い。両者の画像のパターンを完全に一致させる。
【0115】
次に、制御部120は、チップAのパターンから取得した画像データ及びチップBのパターンから取得した画像データからそれぞれ欠陥領域の画像データを抽出し、それらの欠陥領域の画像データを比較する。図15(d)は図15(b)の画像データから抽出した欠陥領域の画像データを示す図であり、図15(e)は図15(c)の画像データから抽出した欠陥領域の画像データを示す図である。制御部120は、これら2つの欠陥領域の画像データに相違点がある場合は欠陥有りと判定し、相違点が無い場合は欠陥無しと判定する。
【0116】
本実施形態では、第1の実施形態と同様の効果を得ることができるのに加えて、欠陥部分の極めて小さい領域(欠陥領域)における画像データの比較により欠陥の有無を判定するので、余分なパターンの比較が行われず、擬似欠陥等による誤判定が回避できるという効果を奏する。
【0117】
以下、本発明の諸態様を、付記としてまとめて記載する。
【0118】
(付記1)画像取得部によりフォトマスクの画像を取得し、欠陥検査部により基準となる画像データと比較して欠陥を検出する第1の工程と、
前記第1の工程で検出した欠陥の位置を欠陥情報として欠陥情報記憶部に記憶する第2の工程と、
前記第2の工程で記憶した欠陥情報をフォトマスク毎に固有の識別コードに関連付けて検査結果記録部に記録する第3の工程と、
欠陥除去処理を実施する第4の工程と、
前記第3の工程で記録した前記欠陥情報を読み出し、前記欠陥除去処理後のフォトマスクから前記第1の工程で検出した欠陥の位置及びその周辺の領域のみの画像を前記画像取得部により取得し、前記欠陥検査部により基準となる画像データと比較して欠陥の有無を判定する第5の工程と
を有することを特徴とするフォトマスクの検査方法。
【0119】
(付記2)前記基準となる画像データは、前記画像取得部により取得された画像であることを特徴とする付記1に記載のフォトマスクの検査方法。
【0120】
(付記3)前記基準となる画像データは、前記フォトマスクの設計データを展開して得られたデータであることを特徴とする付記1に記載のフォトマスクの検査方法。
【0121】
(付記4)前記第5の工程では、前記画像取得部で取得した前記欠陥の周辺の領域の画像データと前記基準となる画像データとのパターンマッチング処理を行い、その後前記欠陥の位置の画像とそれに対応する部分の前記基準となる画像データとを比較して欠陥の有無を判定することを特徴とする付記1に記載のフォトマスクの検査方法。
【0122】
(付記5)前記第2の工程と前記第3の工程との間に前記欠陥除去処理により除去可能な欠陥か否かを判定して除去可能な欠陥については前記欠陥情報に特定のフラグを付加する工程を有し、
前記第5の工程では、前記フォトマスクから前記特定のフラグが付加された欠陥情報に対応する領域の画像のみを取得して、前記欠陥検査部による欠陥の有無の判定を行うことを特徴とする付記1に記載のフォトマスクの検査方法。
【0123】
(付記6)フォトマスクが載置されるステージと、
前記ステージの上に載置されたフォトマスクの画像を取得する画像取得部と、
欠陥検出の基準となる第1の画像データを記憶する画像データ記憶部と、
前記画像取得部により取得された画像のデータを第2の画像データとし、当該第2の画像データと前記画像データ記憶部に記憶された前記第1の画像データとを比較して欠陥を検出する欠陥検査部と、
前記欠陥検査部により検出された欠陥の位置を欠陥情報として記憶する欠陥情報記憶部と、
少なくとも1枚分のフォトマスクの欠陥情報を当該フォトマスクに固有の識別コードに関連付けて記録する検査結果記録部と、
前記画像取得部、前記画像データ記憶部、前記欠陥検査部及び前記検査結果記録部を制御する制御部とを有し、
前記制御部は、前記検査結果記録部に欠陥情報が記録されたフォトマスクを再検査するときに、前記検査結果記録部に記録された欠陥情報に基づき前記画像取得部を制御して前記フォトマスクから前回の検査で検出された欠陥の位置及びその周辺の領域のみの画像を取得し前記第2の画像データとして前記欠陥検査部に入力させ、前記欠陥検出部は入力された前記第2の画像データと前記画像データ記憶部に記憶された第1の画像データとを比較して欠陥の有無を判定することを特徴とするフォトマスクの検査装置。
【0124】
(付記7)前記画像データ記憶部には、前記画像取得部で取得した画像が前記第1の画像データとして記憶されることを特徴とする付記6に記載のフォトマスクの検査装置。
【0125】
(付記8)更に、フォトマスクの設計データを記憶する設計データ記憶部と、
前記設計データ記憶部に記憶された前記設計データを展開して画像データを得る画像データ展開部とを有し、
前記画像データ記憶部は、前記画像データ展開部で展開された画像データを前記第1の画像データとして記憶することを特徴とする付記6に記載のフォトマスクの検査装置。
【0126】
(付記9)前記画像データ展開部は、前記設計データとそれにより形成されるフォトマスクの実際のパターンとの差を補正するデータ補正処理を行うことを特徴とする付記8に記載のフォトマスクの検査装置。
【0127】
(付記10)前記欠陥検出部は、前記第1の画像データのうち欠陥の周辺の領域の画像データを用いて前記第2の画像データとのパターンマッチング処理を行い、その後前記欠陥の位置における画像データとそれに対応する部分の前記第1の画像データとを比較して欠陥の有無を判定することを特徴とする付記6に記載のフォトマスクの検査装置。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】図1は、ダイ比較検査に使用する従来のフォトマスク検査装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、ダイ比較検査方法を示す模式図である。
【図3】図3は、データ比較検査に使用する従来のフォトマスク検査装置の構成を示すブロック図である。
【図4】図4(a)は設計データを示す模式図、図4(b)は設計データによりフォトマスクに実際に形成されるパターンを示す模式図である。
【図5】図5は、従来のフォトマスクの検査・修正処理を示すフローチャート(その1)である。
【図6】図6は、従来のフォトマスクの検査・修正処理を示すフローチャート(その2)である。
【図7】図7は、本発明の第1の実施形態に係るフォトマスク検査装置の構成を示すブロック図である。
【図8】図8は、第1の実施形態に係るフォトマスクの検査方法(2回目の検査)を示すフローチャートである。
【図9】図9は、第1の実施形態に係るフォトマスクの検査方法を示す模式図である。
【図10】図10は、本発明の第1の実施形態の変形例のフォトマスクの検査方法を示すフローチャートである。
【図11】図11は、本発明の第2の実施形態に係るフォトマスク検査装置の構成を示すブロック図である。
【図12】図12は、第2の実施形態に係るフォトマスクの検査方法(2回目の検査)を示すフローチャートである。
【図13】図13は、本発明の第3の実施形態に係るフォトマスクの検査方法を示すフローチャート(その1)である。
【図14】図14は、本発明の第3の実施形態に係るフォトマスクの検査方法を示すフローチャート(その2)である。
【図15】図15(a)〜(e)は、本発明の第4の実施形態に係るフォトマスクの検査方法を示す模式図である。
【符号の説明】
【0129】
10,30,110,130…フォトマスク、
11,31,111,131…ステージ
12,32,112,132…光源、
13,33,113,133…光学レンズ、
14,34,114,134…受光素子、
15,35,115,135…画像データ記憶部、
16,36,116,136…欠陥検査部、
17,37,117,137…欠陥情報記憶部、
18,38,118,138…レンズ制御部、
19,39,119,139…ステージ駆動部、
20,40,120,140…制御部、
41,141…設計データ、
42,142…設計データ記憶部、
43,143…画像データ展開部、
44,144…データ補正部、
121,145…検査結果記録部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及び磁気デバイス等の製造工程において素子や配線等のパターンの形成に用いられるフォトマスクの検査方法及び検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置(LSI)の高性能化に伴って、ウェハ上に形成される素子や配線のより一層の微細化が要求されている。通常、半導体装置の製造には多くのフォトリソグラフィ工程が介在しており、それらのフォトリソグラフィ工程ではフォトマスク(レチクルともいう)に形成されたパターンをフォトレジスト膜に転写している。フォトマスクはウェハ上に素子や配線等を形成するときの原版となるため、欠陥がないことが重要である。そのため、フォトマスクの作成時には複数回の検査が実施され、異物が付着していれば洗浄して異物を除去し、パターン不良があればパターンを修正している。
【0003】
ところで、フォトマスクの検査には、ダイ比較検査と、データ比較検査との2通りの方法がある。ダイ比較検査はフォトマスクに同一のパターンが並んで存在する場合に適用され、それらのパターン同士を比較して相違した部分を欠陥としている。一方、データ比較検査では、フォトマスクのパターンと設計データとを比較して欠陥を検出している。
【0004】
図1は、ダイ比較検査に使用するフォトマスク検査装置の構成を示すブロック図である。この検査装置は、ステージ11と、光源12と、光学レンズ(対物レンズ)13と、受光素子14と、画像データ記憶部15と、欠陥検査部16と、欠陥情報記憶部17と、レンズ制御部18と、ステージ駆動部19と、制御部20とにより構成されている。
【0005】
制御部20はレンズ制御部18を介して光学レンズ13のフォーカスを制御したり、ステージ駆動部19を介してステージ11の移動を制御する。また、制御部20は、光源12のオン−オフを制御するとともに、画像データ記憶部15、欠陥検査部16及び欠陥情報記憶部17の制御も行う。
【0006】
ステージ11は水平方向(X方向及びY方向)に移動可能であり、検査対象となるフォトマスク10はこのステージ11上に載置される。ステージ11の下方には光源12が配置され、ステージ11の上方には光学レンズ13及び受光素子14が配置されている。光源12から出力された光は、ステージ11を透過してフォトマスク10を下側から照射する。そして、フォトマスク10を透過した光は光学レンズ13で集光され、受光素子14に入力される。受光素子14からは、ステージ11の移動に伴って、フォトマスク10のパターンに応じた信号が出力される。
【0007】
受光素子14から出力された信号は、画像データとして画像データ記憶部15又は欠陥検査部16に入力される。画像データ記憶部15は、受光素子14から入力した画像データを一時的に記憶し、制御部20から送られてくる信号に応じたタイミングで欠陥検査部16に出力する。また、欠陥検査部16は、制御部20からの信号に応じて、受光素子14から入力した画像データと画像データ記憶部15に記憶されている画像データとを比較し、2つの画像データに相違点があれば欠陥と判定する。そして、欠陥があると判定したときは、欠陥情報記憶部17に欠陥情報として欠陥部分の座標が書き込まれる。このとき、欠陥部分の座標は制御部20から取得する。
【0008】
次に、上述した構成の従来のフォトマスク検査装置を使用したダイ比較検査方法について、図2に示す模式図を参照して説明する。ここでは、図2に示すように、フォトマスク10に同一の2つのパターン(チップAのパターンとチップBのパターン)が並んで存在しているものとする。
【0009】
まず、フォトマスク10をステージ11上に載置し、フォトマスク10のXY方向とステージ11のXY方向が一致するようにアライメントを調整する。その後、制御部20に検査領域を設定する。また、光源12をオンにして光量を調整するとともに、制御部10によりレンズ制御部18を駆動して光学レンズ13のフォーカス調整を行う。
【0010】
次に、制御部20に検査の開始を指示する。これにより、制御部20はステージ駆動部19を制御し、ステージ11をX方向に一定の速度で移動させる。そうすると、フォトマスク10の透過部及び遮光部に応じて光源12から出力された光がフォトマスク10を透過し又はフォトマスク10で遮光され、それに応じた信号が受光素子14から出力される。チップAのパターンを走査しているときは、制御部20からの信号に応じて、受光素子14から出力された信号がチップAのパターンの画像データ(以下、単に「チップAの画像データ」という)として画像データ記憶部15に蓄積される。
【0011】
チップAのパターンの走査が1ライン分終了すると、続けてチップBのパターンの走査が開始される。このとき、制御部20からの信号に応じて、チップBのパターンの走査中に受光素子14から出力された信号は、チップBのパターンの画像データ(以下、単に「チップBの画像データ」という)として欠陥検査部16に直接入力される。欠陥検査部16は、受光素子14から出力されたチップBの画像データと、画像データ記憶部15に蓄積されているチップAの画像データとを比較し、相違点があればその座標を欠陥部分の座標として認識して欠陥情報として欠陥情報記憶部17に記憶する。
【0012】
このようにして、チップAのパターン及びチップBのパターンの1ライン分の走査が終了すると、制御部20はステージ駆動部19を介してステージ11を所定のピッチだけY方向に移動する。また、画像データ記憶部15は、制御部20からの信号によりクリアされる。その後、次のラインの走査が開始され、チップAの画像データとチップBの画像データとの比較による欠陥検出が行われる。このようにして、検査領域全体の検査が行われる。
【0013】
次に、データ比較検査について説明する。図3は、データ比較検査に使用するフォトマスク検査装置の構成を示すブロック図である。この検査装置は、ステージ31と、光源32と、光学レンズ(対物レンズ)33と、受光素子34と、画像データ記憶部35と、欠陥検査部36と、欠陥情報記憶部37と、レンズ制御部38と、ステージ駆動部39と、制御部40と、設計データ記憶部42と、画像展開部43と、データ補正部44とにより構成されている。
【0014】
制御部40は、レンズ制御部38を介して光学レンズ33のフォーカスを制御したり、ステージ駆動部39を介してステージ31の移動を制御する。また、制御部40は、光源32のオン−オフを制御するとともに、設計データ記憶部42、画像データ展開部43、データ補正部44、画像データ記憶部35、欠陥検査部36及び欠陥情報記憶部37の制御も行う。
【0015】
ステージ31は水平方向(X方向及びY方向)に移動可能であり、検査対象となるフォトマスク30はこのステージ31上に載置される。ステージ31の下方には光源32が配置され、ステージ31の上方には光学レンズ33及び受光素子34が配置されている。光源32から出力された光は、ステージ31を透過してフォトマスク30を下側から照射する。そして、フォトマスク30を透過した光は光学レンズ33で集光され、受光素子34に入力される。この受光素子34の出力は、画像データとして欠陥検査部36に入力される。
【0016】
一方、設計データ記憶部42には、フォトマスク30のパターンの設計データ41が記憶されている。画像データ展開部43は、設計データ記憶部42に記憶されている設計データを展開して画像データを得る。このとき、画像データ展開部43は、データ補正部44に格納されている補正データに応じて、設計データを展開して得た画像データを補正する。この補正処理は、設計データと、その設計データから実際にマスク上に形成されるパターンとの差を補正するものである。例えば、設計データが図4(a)に示すように矩形のパターンのデータであっても、フォトマスク30に実際に形成されるパターンは図4(b)に示すように角部が湾曲した形状(円弧状)となる。画像データの補正を行わないと、設計データを展開して得た画像データと実際のパターンから取得した画像データとを比較したときに、図4(b)に示すパターンの角部を欠陥と判定してしまう。このような不具合を回避するために、設計データを展開して得た画像データを補正することが必要となる。
【0017】
画像データ記憶部35は、制御部40からの信号に応じて画像データ展開部43から画像データを1ライン分づつ読み出し、欠陥検査部36に出力する。欠陥検査部36は、受光素子34から入力した画像データと画像データ記憶部35に記憶されている画像データとを比較し、欠陥の有無を判定する。そして、欠陥があると判定したときは、欠陥情報記憶部37に欠陥情報として欠陥部分の座標が書き込まれる。欠陥部分の座標は、制御部40から取得する。
【0018】
次に、上述した構成の従来のフォトマスク検査装置を使用したデータ比較検査方法について説明する。
【0019】
まず、フォトマスク30をステージ31上に載置し、フォトマスク30のXY方向とステージ31のXY方向が一致するようにアライメントを調整する。その後、制御部40に検査領域を設定する。また、光源32をオンにして光量を調整するとともに、制御部40によりレンズ制御部38を駆動して光学レンズ33のフォーカス調整を行う。
【0020】
一方、予め設計データ41を設計データ記憶部42に記憶させておく。画像データ展開部43は、制御部40からの信号に応じて設計データ記憶部42から設計データを読み出し、その設計データを展開して画像データを得る。このとき、画像データ展開部43は、データ補正部44に格納された補正データに基づいて画像データを補正する。画像データ記憶部35は、制御部40からの信号に基づいて、画像データ展開部43から最初の1ライン分の画像データを読み出して記憶する。
【0021】
次に、制御部40に検査の開始を指示する。これにより、制御部40はステージ駆動部39を制御してステージ31をX方向に一定の速度で移動させる。そうすると、フォトマスク30の透過部及び遮光部に応じて光源32から出力された光がフォトマスク30を透過し又はフォトマスク30で遮光され、それに応じた信号が受光素子34から出力される。この信号は、画像データとして欠陥検査部36に入力される。
【0022】
欠陥検査部36は、制御部40からの信号に応じて、画像データ記憶部35から入力される画像データと受光素子34から入力される画像データとを比較し、欠陥の有無を判定する。そして、欠陥があると判定したときは、欠陥情報記憶部37に欠陥情報として欠陥部分の座標が書き込まれる。
【0023】
1ライン分の検査が終了すると、制御部40からの信号に基づいて画像データ記憶部35はクリアされ、その後次の1ライン分の画像データが画像データ展開部43から読み出されて画像データ記憶部35に記憶される。また、制御部40は、ステージ駆動部39を制御して、ステージ31を所定のピッチだけY方向に移動する。次いで、次のラインの走査が開始され、フォトマスク30のパターンから得た画像データと設計データ41から得た画像データとの比較により欠陥検出が行われる。このようにして、検査領域全体の検査が行われる。
【0024】
データ比較検査では、フォトマスク30のパターンから得た画像データと設計データ41から得た画像データとを比較するので、ダイ比較検査と異なり、フォトマスク30に同一のパターンが並んで存在していない場合でも検査が可能である。
【0025】
ダイ比較検査又はデータ比較検査により欠陥が検出されたフォトマスクは、オペレータにより異物の付着による欠陥とパターン不良による欠陥とに分類される。つまり、オペレータは、検査装置に付属する表示装置に欠陥部分の画像を表示して、欠陥部分の状態と欠陥部分の大きさとから、欠陥が異物の付着によるものなのか、パターン不良によるものなのかを判定する。このとき、透過光による観察だけでなく、反射光による観察も行われる。
【0026】
異物の付着による欠陥と判定されたフォトマスクは洗浄工程に送られて洗浄処理され、パターン不良による欠陥と判定されたフォトマスクは修正工程に送られてパターンが修正される。なお、異物の付着による欠陥と判定されたフォトマスクは、洗浄処理後に再度フォトマスク検査装置による検査が行われ、欠陥の有無が判定される。ここで、再度欠陥が検出された場合は、修正工程に送られて物理的な方法で異物が除去される。その結果パターンの修正が必要になればパターンの修正が行われる。
【0027】
ところで、近年の半導体装置の高密度化に伴ってフォトマスクのパターンはより一層微細化される傾向にあり、フォトマスクの検査でも微小な欠陥を検出することが要求されている。そのような要求に応じて検査装置の欠陥検出能力も向上しており、微細な欠陥の検出も可能になっている。しかし、欠陥のサイズが微細な場合は、オペレータ(作業者)が欠陥部分を観察して異物の付着による欠陥なのか、パターンの欠陥なのかを判断することが困難である。
【0028】
オペレータの負荷を軽減するために、検査で欠陥が検出されたフォトマスクを全て修正工程に送り、異物の付着による欠陥の場合も修正工程で異物を除去することが考えられる。しかし、修正工程では欠陥の状態に応じてフォトマスクを1枚ずつ個別に処理する必要があるので、処理時間が膨大になり、現実的ではない。
【0029】
特許文献1には、欠陥が検出されたフォトマスクのうちパターン不良であることが確実であるフォトマスクのみを修正工程に送って修正処理し、それ以外のものは全て洗浄工程に送って洗浄処理することが提案されている。
【0030】
図5は、特許文献1によるフォトマスクの検査・修正処理を示すフローチャートである。まず、ステップS11において、前述したフォトマスク検査装置による検査を実施する。そして、ステップS12において欠陥の有無を判定し、欠陥が無いと判定したときは当該フォトマスクの検査・修正処理を終了する。しかし、ステップS12において欠陥が有ると判定したときは、ステップS13に移行する。
【0031】
ステップS13では、オペレータが表示装置に表示された欠陥部分の画像を観察し、欠陥がパターン不良によるものか又はその他の原因によるものかを判定する。欠陥がパターン不良によるものであることが確実な場合は、ステップS17に移行して、修正処理を実行する。一方、ステップS13で欠陥が異物の付着によるものである場合、又は異物の付着によるものかパターンの不良によるものかが判断できない場合は、ステップS14に移行する。
【0032】
ステップS14では、フォトマスクに対し洗浄処理を実施する。その後、ステップS15に移行して、再度フォトマスク検査装置による検査を実施する。そして、ステップS16において欠陥の有無を判定し、欠陥が無いと判定したときは当該フォトマスクの検査・修正処理を終了する。しかし、ステップS16において欠陥があると判定したときは、ステップS17に移行して修正処理を実行する。
【0033】
特許文献2には、洗浄処理後のフォトマスクの欠陥部分(1回目の検査で欠陥が検出された部分)をSEM(走査電子顕微鏡)やフォトマスク検査装置を用いて観察し、異物が除去されたか否かを判断することが提案されている。この場合、1回目の検査時に欠陥部分の座標が判明しているので、この座標をSEM又はフォトマスク検査装置に入力することにより、観察位置を1回目の検査で検出された欠陥の位置まで移動させることは容易である。
【0034】
図6は、特許文献2によるフォトマスクの検査・修正処理を示すフローチャートである。まず、ステップS21において、前述したフォトマスク検査装置による検査を実施する。そして、ステップS22において欠陥の有無を判定し、欠陥がないと判定したときは当該フォトマスクの検査・修正処理を終了する。しかし、ステップS22において欠陥があると判定したときは、ステップS23に移行する。
【0035】
ステップS23では、オペレータが表示装置に表示された欠陥部分の画像を観察し、欠陥がパターン不良によるものか、異物の付着によるものかを判定する。パターン不良によるものと判定した場合はステップS26に移行して、パターンの修正が行われる。一方、ステップS23において、欠陥が異物の付着によるものと判定した場合は、ステップS24に移行する。
【0036】
ステップS24では、フォトマスクに対し洗浄処理を実施する。その後、ステップS25に移行する。ステップS25では、SEM又は前述したフォトマスク検査装置を使用し、1回目の検査で欠陥があると判定した部分の座標を入力して表示装置に当該座標の位置及びその周辺の領域の画像を表示させ、欠陥の有無を判定する。この欠陥の有無の判定は、オペレータが表示装置に表示された画面を観察して行われる。そして、欠陥がないと判定した場合は当該フォトマスクの検査・修正処理を終了し、欠陥があると判定した場合はステップS26に移行して欠陥部分を修正する。
【0037】
この方法では、1回目の検査(ステップS21)で検出した欠陥部分の座標をSEM又はフォトマスク検査装置に入力することにより、1回目の検査で欠陥を検出した部分のみを選択的に観察することができる。従って、オペレータ自身が欠陥の有無を判定する必要はあるものの、フォトマスク検査装置によりフォトマスク全体を検査する場合に比べて、検査時間を大幅に短縮することができる。
【特許文献1】特開平06−67407号公報
【特許文献2】特開2003−185592号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0038】
しかしながら、本願発明者等は、上述した従来のフォトマスクの検査方法には以下に示す問題点があると考える。すなわち、引用文献1に記載された方法では、欠陥が検出されたフォトマスクのうちパターン不良であることが確実なもの以外を全て洗浄処理して再検査(ステップS15における検査)するので、再検査が必要なフォトマスクの数が多くなる。通常、フォトマスクの検査には1枚当たり5〜6時間(検査領域のサイズが100mm×100mm程度の場合)かかるので、再検査が必要なフォトマスクの数が多くなると、スループット及びコストの点から問題となる。
【0039】
引用文献2に記載された方法では、異物が除去できたかどうかの確認をオペレータの視覚に頼るため判定ミスが発生する可能性があり、信頼性が十分であるとはいえない。
【0040】
本発明は、洗浄処理により欠陥が除去されたか否かの判定を高精度且つ効率よく行うことができるフォトマスクの検査方法及び検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0041】
上記した課題は、画像取得部によりフォトマスクの画像を取得し、欠陥検査部により基準となる画像データと比較して欠陥を検出する第1の工程と、前記第1の工程で検出した欠陥の位置を欠陥情報として欠陥情報記憶部に記憶する第2の工程と、前記第2の工程で記憶した欠陥情報をフォトマスク毎に固有の識別コードに関連付けて検査結果記録部に記録する第3の工程と、欠陥除去処理を実施する第4の工程と、前記第3の工程で記録した前記欠陥情報を読み出し、前記欠陥除去処理後のフォトマスクから前記第1の工程で検出した欠陥の位置及びその周辺の領域のみの画像を前記画像取得部により取得し、前記欠陥検査部により基準となる画像データと比較して欠陥の有無を判定する第5の工程とを有することを特徴とするフォトマスクの検査方法により解決する。
【0042】
また、上記した課題は、フォトマスクが載置されるステージと、前記ステージの上に載置されたフォトマスクの画像を取得する画像取得部と、欠陥検出の基準となる第1の画像データを記憶する画像データ記憶部と、前記画像取得部により取得された画像のデータを第2の画像データとし、当該第2の画像データと前記画像データ記憶部に記憶された前記第1の画像データとを比較して欠陥を検出する欠陥検査部と、前記欠陥検査部により検出された欠陥の位置を欠陥情報として記憶する欠陥情報記憶部と、少なくとも1枚分のフォトマスクの欠陥情報を当該フォトマスクに固有の識別コードに関連付けて記録する検査結果記録部と、前記画像取得部、前記画像データ記憶部、前記欠陥検査部及び前記検査結果記録部を制御する制御部とを有し、前記制御部は、前記検査結果記録部に欠陥情報が記録されたフォトマスクを再検査するときに、前記検査結果記録部に記録された欠陥情報に基づき前記画像取得部を制御して前記フォトマスクから前回の検査で検出された欠陥の位置及びその周辺の領域のみの画像を取得し前記第2の画像データとして前記欠陥検査部に入力させ、前記欠陥検出部は入力された前記第2の画像データと前記画像データ記憶部に記憶された第1の画像データとを比較して欠陥の有無を判定することを特徴とするフォトマスクの検査装置により解決する。
【0043】
本発明においては、1回目のフォトマスクの検査において欠陥が検出されると、その欠陥の位置を欠陥情報として欠陥情報記憶部に記憶する。そして、1枚分のフォトマスクの検査が終了すると、そのフォトマスクの欠陥情報をフォトマスクに固有の識別コードに関連付けて検査結果記録部に記録する。
【0044】
その後、欠陥除去処理(例えば洗浄処理)を実施し、2回目の検査を行う。この2回目の検査は、検査結果記録部から1回目の検査結果を読み出し、フォトマスクから1回目の検査で欠陥が検出された部分及びその周囲の領域に対応する領域の画像を画像取得部で取得し、その画像(画像データ)と基準となる画像データとを欠陥検査部で比較することにより行われる。
【0045】
このように、本発明においては、2回目の検査工程では1回目の検査工程で欠陥が検出された部分のみを検査するので、フォトマスク全体を再検査する方法に比べて検査時間が著しく短縮される。また、本発明においては、2回目の検査工程においても、フォトマスクから取得した画像のデータと基準となる画像データとの比較を欠陥検出部により自動的に行うので、オペレータによる人為的なミスが発生するおそれがなく、検査の信頼性が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0047】
(第1の実施形態)
図7は、本発明の第1の実施形態に係るフォトマスク検査装置の構成を示すブロック図である。本実施形態は、本発明をダイ比較検査用検査装置に適用した例を示している。
【0048】
この検査装置は、ステージ111と、光源112と、光学レンズ(対物レンズ)113と、受光素子114と、画像データ記憶部115と、欠陥検査部116と、欠陥情報記憶部117と、レンズ制御部118と、ステージ駆動部119と、制御部120と、検査結果記録部121とにより構成されている。
【0049】
制御部120はレンズ制御部118を介して光学レンズ113のフォーカスを制御したり、ステージ駆動部119を介してステージ111の移動を制御する。また、制御部120は、光源112のオン−オフを制御するとともに、画像データ記憶部115、欠陥検査部116、欠陥情報記憶部117及び検査結果記録部121の制御も行う。
【0050】
ステージ111は水平方向(X方向及びY方向)に移動可能であり、検査対象となるフォトマスク110はこのステージ111上に載置される。ステージ111の下方には光源112が配置され、ステージ111の上方には光学レンズ113及び受光素子114が配置されている。光源112から出力された光は、ステージ111を透過してフォトマスク110を下側から照射する。そして、フォトマスク110を透過した光は光学レンズ113で集光され、受光素子114に入力される。受光素子114からは、ステージ111の移動に伴って、フォトマスク110のパターンに応じた信号が出力される。
【0051】
受光素子114から出力された信号は、画像データとして画像データ記憶部115又は欠陥検査部116に入力される。画像データ記憶部115は、受光素子114から入力した画像データを一時的に記憶し、制御部120から送られてくる信号に応じたタイミングで欠陥検査部116に出力する。また、欠陥検査部116は、制御部120からの信号に応じて、受光素子114から入力した画像データと画像データ記憶部115に記憶されている画像データとを比較し、2つの画像データに相違点があれば欠陥と判定する。そして、欠陥があると判定したときは、欠陥情報記憶部117に欠陥情報として欠陥部分の座標が書き込まれる。このとき、欠陥部分の座標は制御部120から取得する。
【0052】
検査結果記録部121には、欠陥情報記憶部117に記憶された欠陥情報が、当該フォトマスク110毎に固有の識別コード(例えばシリアル番号等)に関連付けて記憶される。この検査結果記録部121には、複数枚分のフォトマスクの欠陥情報を記録することが可能である。
【0053】
なお、本実施形態において、フォトマスク110の画像を取得する画像取得部は、光源112、光学レンズ113、受光素子114及びステージ駆動部119により構成されている。
【0054】
次に、上述した構成のフォトマスク検査装置を使用したダイ比較検査方法について説明する。
【0055】
1回目の検査のときは、前述した従来の検査装置と同様にフォトマスク110を検査する。すなわち、フォトマスク110をステージ111上に載置し、フォトマスク110のXY方向とステージ111のXY方向とが一致するようにアライメントを調整する。そして、2つの同一パターンのうちの一方のパターンを走査して受光素子114から出力される信号(画像データ)を画像データ記憶部115に蓄積し、その後他方のパターンを走査しながら、受光素子114から出力される信号(画像データ)と画像データ記憶部115に記憶されている画像データとを欠陥検査部116で比較して、欠陥の有無を判定する。欠陥があると判定したときは、欠陥情報記憶部117に、欠陥情報として欠陥部分の座標が記憶される。
【0056】
このようにしてフォトマスク110の検査が終了すると、制御部120は欠陥情報記憶部117に記憶された欠陥情報を、検査したフォトマスク110に固有の識別コードに関連付けて検査結果記録部121に記録する。欠陥があると判定されたフォトマスク110は、オペレータにより洗浄工程に送られるものと修正工程に送られるものとに分別される。
【0057】
図8は、洗浄処理されたフォトマスクの検査方法(2回目の検査)を示すフローチャートである。この図8を参照して、本実施形態の検査方法を説明する。
【0058】
まず、ステップS31において、検査準備を行う。すなわち、洗浄処理(欠陥除去処理)されたフォトマスク110をステージ111上に載置し、フォトマスク110のXY方向とステージ111のXY方向とが一致するようにアライメントを調整する。その後、制御部120に検査対象のフォトマスク110の識別コードを入力する。また、光源112の光量の調整や、光学レンズ113のフォーカスの調整を行う。
【0059】
次に、制御部120に検査の開始を指示する。これによりステップS32に移行し、制御部120は検査結果記録部121から1回目の検査における欠陥情報を読み出す。そして、ステップS33において、チップAの欠陥部分(1回目の検査で欠陥を検出した位置に対応する位置)にステージ111を移動する。
【0060】
次に、ステップS34に移行し、例えば図9に示すように、チップAの欠陥部分のパターンを走査する。このとき、本実施形態では、欠陥部分を中心とする512ピクセル×512ピクセルの正方形の領域126の画像を256階調で取得する。なお、本実施形態では、1ピクセルのサイズは90〜100nm程度とする。チップAのパターンから取得した画像のデータ(以下、単に「チップAの画像データ」という)は、画像データ記憶部115に記憶される。なお、図9中125は、1回目の検査で検出された欠陥を仮想的に示している。
【0061】
次に、ステップS35に移行して、チップBのパターンの欠陥部分(1回目の検査で欠陥を検出した位置に対応する位置)にステージ111を移動する。そして、ステップS36において、チップBの欠陥部分のパターンを走査する。この場合も、欠陥部分を中心とする512ピクセル×512ピクセルの正方形の領域126の画像を256階調で取得する。このチップBのパターンの画像データ(以下、単に「チップBの画像データ」という)は、欠陥検査部116内に記憶される。
【0062】
次に、ステップS37に移行し、欠陥検査部116は画像データ記憶部115に記憶されているチップAの画像データと、欠陥検査部116内に記憶されているチップBの画像データとを比較して、欠陥の有無を判定する。2つの画像データに相違点があれば欠陥有りと判定し、欠陥部分の位置(座標)と欠陥部分の周囲の画像データとが欠陥情報記憶部117に記憶される。
【0063】
次に、ステップS38において、検査結果記録部121に記録されている当該フォトマスク110の欠陥部分の全ての検査が終了したか否かが判定される。終了していないと判定した場合はステップS32に戻り、上述した処理を繰り返す。このようにして、本実施形態では、1回目の検査で欠陥が検出された部分のみを再度検査する。
【0064】
この2回目の検査で欠陥が検出されたフォトマスク110は、洗浄により除去することができない欠陥を有しているので、修正工程において修正処理される。
【0065】
本実施形態においては、上述したように、洗浄処理後に実施される2回目の検査において、フォトマスク110の全体を検査するのではなく、1回目の検査により欠陥と判定された部分とその周囲の領域のみを検査装置により自動的に検査する。従って、フォトマスク全体を再検査する場合に比べて検査時間が著しく短縮される。例えば、従来の検査方法では、検査領域のサイズが100mm×100mmのフォトマスクの全面検査に5〜6時間かかっていた。一方、本実施形態によれば、1枚のフォトマスクに50箇所の欠陥があったとしても、検査に要する時間は10分間程度である。更に、2回目以降の検査では,全ての領域における検査データから1回目の検査により欠陥と判定された部分を抽出するわけではないので、該データを検査装置がアクセスする速度も早くなる。
【0066】
また、本実施形態によれば、欠陥の有無が検査装置により自動的に判定されるので、人為的なミスが発生するおそれがなく、検査の信頼性が高い。
【0067】
なお、本実施形態では1枚分のフォトマスクの欠陥情報を記憶する欠陥情報記憶部117と、複数枚分のフォトマスクの欠陥情報を記憶する検査結果記録部121とを個別に設けているが、欠陥情報記憶部117と検査結果記録部121とが一体的に構成されていてもよい。
【0068】
(第1の実施形態の変形例)
上述した第1の実施形態では欠陥部分毎に、画像データの取得、画像データの比較及び欠陥の有無の判定の各工程を順番に繰り返す場合について説明したが、全ての欠陥部分の画像データを取得した後、画像データの比較及び欠陥の有無の判定をまとめて行うようにしてもよい。これにより、画像データの比較及び欠陥の有無の判定が終わるまでステージ111の移動開始を待つ必要がなくなり、検査に要する時間を更に短縮することができる。
【0069】
また、第1の実施形態では、2回目の検査において、チップAのパターンとチップBのパターンとの両方の画像データを取得している。1回目の検査で欠陥を検出したときに、どちらのチップのパターンに欠陥があるのかを示す情報と、欠陥部分に対応する部分の欠陥の無いチップの画像データ(チップAのパターンに欠陥があるときはチップBのパターンの画像データ、チップBのパターンに欠陥があるときはチップAのパターンの画像データ:以下、「無欠陥画像データ」という)とを検査結果記録部121に記録しておくことにより、一方のチップのパターンの画像データを取得する工程を省略することができる。図10は、このときの検査方法を示すフローチャートである。
【0070】
まず、上述した第1の実施形態と同様に、ステップS41において検査準備を行い、ステップS42において検査結果記録部121から1回目の検査における欠陥情報(欠陥部分の座標、どちらのチップのパターンに欠陥があるのかを示す情報、及び無欠陥画像データ)を読み出す。このとき、制御部120は、検査結果記録部121から対応する無欠陥画像データを画像データ記憶部115に転送する。
【0071】
次に、ステップS43に移行し、制御部120は、1回目の検査で欠陥が検出された位置(欠陥部分)にステージを移動する。そして、ステップS44において、その欠陥部分を中心とする一定の範囲(例えば、512ピクセル×512ピクセルの範囲)を走査し、受光素子114から出力される信号を画像データとして欠陥検査部116に記憶する。
【0072】
次に、ステップS45において、欠陥検査部116は、画像データ記憶部115に記憶された無欠陥画像データと、欠陥検査部116に記憶された画像データ(フォトマスクから取得した画像データ)とを比較して欠陥の有無を判定する。欠陥有りと判定したときは、欠陥部分の座標が欠陥情報記憶部117に記憶される。
【0073】
次いで、ステップS46において、検査結果記録部121に記録されている当該フォトマスク110の欠陥部分の全ての検査が終了したか否かが判定される。終了していないと判定した場合はステップS42に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0074】
この方法によれば、ステージ111の移動回数が少なくなり、上述した第1の実施形態に比べて、検査時間をより一層短縮することができる。
【0075】
(第2の実施形態)
図11は、本発明の第2の実施形態に係るフォトマスク検査装置の構成を示すブロック図である。本実施形態は、本発明をデータ比較検査用検査装置に適用した例を示している。
【0076】
この検査装置は、ステージ131と、光源132と、光学レンズ(対物レンズ)133と、受光素子134と、画像データ記憶部135と、欠陥検査部136と、欠陥情報記憶部137と、レンズ制御部138と、ステージ駆動部139と、制御部140と、設計データ記憶部142と、画像展開部143と、データ補正部144と、検査結果記録部145とにより構成されている。
【0077】
制御部140は、レンズ制御部138を介して光学レンズ133のフォーカスを制御したり、ステージ駆動部139を介してステージ131の移動を制御する。また、制御部140は、光源132のオン−オフを制御するとともに、設計データ記憶部142、画像データ展開部143、データ補正部144、画像データ記憶部135、欠陥検査部136、欠陥情報記憶部137及び検査結果記録部145の制御も行う。
【0078】
ステージ131は水平方向(X方向及びY方向)に移動可能であり、検査対象となるフォトマスク130はこのステージ131上に配置される。ステージ131の下方には光源132が配置され、ステージ131の上方には光学レンズ133及び受光素子134が配置されている。光源132から出力された光は、ステージ131を透過してフォトマスク130を下側から照射する。そして、フォトマスク130を透過した光は光学レンズ133で集光され、受光素子134に入力される。この受光素子134の出力は、画像データとして欠陥検査部136に入力される。
【0079】
一方、設計データ記憶部142には、フォトマスク130のパターンの設計データ141が記憶されている。画像データ展開部143は、設計データ記憶部142に記憶されている設計データを展開して画像データを得る。このとき、画像データ展開部143は、データ補正部144に格納されている補正データに応じて、設計データを展開して得た画像データを補正する。この補正処理は、設計データと、その設計データから実際にフォトマスク130に形成されるパターンとの差を補正するものである(図2(a),(b)参照)。
【0080】
画像データ記憶部135は、制御部140からの信号に応じて画像データ展開部143から画像データを1ライン分づつ読み出し、欠陥検査部136に出力する。欠陥検査部136は、受光素子134から入力した画像データと画像データ記憶部135に記憶されている画像データとを比較し、欠陥の有無を判定する。そして、欠陥があると判定したときは、欠陥情報記憶部137に欠陥情報として欠陥部分の座標が書き込まれる。欠陥部分の座標は、制御部140から取得する。
【0081】
検査結果記録部145には、欠陥情報記憶部137に記憶された欠陥情報が、当該フォトマスク130毎に固有の識別コード(例えばシリアル番号等)に関連付けて記憶される。この検査結果記録部145には、複数枚分のフォトマスクの欠陥情報を記録することが可能である。
【0082】
次に、上述した構成のフォトマスク検査装置を使用したデータ比較検査方法について説明する。
【0083】
1回目の検査のときは、前述した従来の検査装置と同様にフォトマスク130を検査する。すなわち、フォトマスク130をステージ131上に載置し、フォトマスク130のXY方向とステージ131のXY方向とが一致するようにアライメントを調整する。そして、設計データ記憶部142に記憶されている設計データ141を画像データ展開部143により展開して得た画像データと、フォトマスク130を走査して得た画像データとを比較して、欠陥の有無を判定する。欠陥があると判定したときは、欠陥情報記憶部137に欠陥情報として欠陥部分の位置座標が記憶される。
【0084】
このようにしてフォトマスク130の検査が終了すると、制御部140は欠陥情報記憶部137に記憶された欠陥情報を、検査したフォトマスク130に固有の識別コードに関連付けて検査結果記録部145に記録する。欠陥があると判定されたフォトマスク130は、オペレータ(作業者)により洗浄工程に送られるものと修正工程に送られるものとに分別される。
【0085】
図12は、洗浄処理されたフォトマスクの検査方法(2回目の検査)を示すフローチャートである。この図12を参照して、本実施形態の検査方法を説明する。
【0086】
まず、ステップS51において、検査準備を行う。すなわち、洗浄処理されたフォトマスク130をステージ131上に載置し、フォトマスク130のXY方向とステージ131のXY方向とが一致するようにアライメントを調整する。また、設計データ記憶部142には検査対象のフォトマスク130の設計データを記憶させておく。その後、制御部140に検査対象のフォトマスク130の識別コードを入力する。また、光源132の光量の調整や、光学レンズ131のフォーカス調整を行う。
【0087】
次に、制御部140に検査の開始を指示する。これにより、ステップS52に移行し、制御部140は検査結果記録部145から1回目の検査における欠陥情報を読み出す。そして、ステップS53において、画像データ展開部143から欠陥部分(1回目の検査で欠陥を検出した位置に対応する位置)の画像データを読み出し、画像データ記憶部135に記憶する。ここでは、欠陥部分を中心とする512ピクセル×512ピクセルの正方形の領域の画像データを記憶する。なお、本実施形態においても、1ピクセルのサイズは90〜100nm程度とする。
【0088】
次に、ステップS54において、欠陥部分の位置にステージ131を移動する。そして、ステップS55に移行して、フォトマスク130の欠陥部分のパターンを走査する。この場合も、欠陥部分を中心とする512ピクセル×512ピクセルの正方形の領域の画像データを取得する。この受光素子134で取得した画像データは、欠陥検査部136に記憶される。
【0089】
次に、ステップS56に移行し、欠陥検査部136は画像データ記憶部135に記憶されている画像データ(設計データから得られた画像データ)と、欠陥検査部136に記憶されている画像データ(フォトマスク130から取得した画像データ)とを比較して、欠陥の有無を判定する。2つの画像データに相違点があれば欠陥ありと判定し、欠陥部分の座標が欠陥情報記憶部137に記憶される。
【0090】
次に、ステップS57において、検査結果記録部145に記録されている当該フォトマスク130の欠陥部分の全ての検査が終了したか否かが判定される。終了していないと判定した場合はステップS52に戻り、上述した処理を繰り返す。このようにして、本実施形態では、1回目の検査で欠陥が検出された部分のみを再検査する。
【0091】
本実施形態においても、洗浄処理後に実施される2回目の検査において、フォトマスク130の全体を検査するのではなく、1回目の検査により欠陥と判定された部分とその周囲の領域のみを検査装置により自動的に検査する。従って、フォトマスク全体を検査する場合に比べて検査時間が著しく短縮される。
【0092】
また、本実施形態によれば、欠陥の有無が検査装置により自動的に判定されるので、人為的なミスが発生するおそれがなく、検査の信頼性が高い。
【0093】
なお、本実施形態においても、1枚分のフォトマスクの欠陥情報を記憶する欠陥情報記憶部137と、複数枚分のフォトマスクの欠陥情報を記憶する検査結果記録部145とが個別に設けられている場合について説明したが、欠陥情報記憶部137と検査結果記録部145とが一体的に構成されていてもよい。
【0094】
(第2の実施形態の変形例)
上述した第2の実施形態では、欠陥部分毎に、画像データの取得、画像データの比較及び欠陥の有無の判定の各工程を順番に繰り返す場合について説明したが、全ての欠陥部分の画像データを取得した後、画像データの比較及び欠陥の有無の判定をまとめて行うようにしてもよい。これにより、画像データの比較及び欠陥の有無の判定が終わるまでステージ131の移動開始を待つ必要がなくなり、検査に要する時間を更に短縮することができる。
【0095】
また、上述した第2の実施形態では、2回目の検査においても設計データを展開しそれにより得た画像データを補正する処理を行っているが、1回目の検査で欠陥を検出したときに、画像データ展開部143から欠陥部分に対応する部分の画像データ(補正済みの画像データ)を取得して検査結果記憶部145に記憶しておいてもよい。これにより、2回目の検査において設計データを展開する工程及びそれにより得た画像データを補正する工程が不要になり、検査装置の負荷が軽くなる。
【0096】
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態に係るフォトマスクの検査方法について説明する。
【0097】
第1及び第2の実施形態においては、1枚のフォトマスク中に異物の付着による欠陥とパターン不良による欠陥とがある場合、1回目の検査終了後に洗浄処理(欠陥除去処理)が施され、2回目の検査で欠陥部分の検査が行われる。この場合、2回目の検査では、異物が付着していた部分だけでなく、パターン不良の部分も検査される。パターン不良による欠陥の場合は洗浄により欠陥を除去することはできないので、2回目の検査(洗浄処理後の検査)でパターン不良による欠陥部分を検査するのは無駄である。
【0098】
そこで、本実施形態に係る検査方法では、1回目の検査でパターン不良による欠陥であることが判明している部分は2回目の検査を省略する。なお、本実施形態は、第1の実施形態で説明したダイ比較検査用検査装置又は第2の実施形態で説明したデータ比較検査用検査装置を使用して実現される。ここでは、説明の便宜上、図7に示す構成のダイ比較検査用検査装置を使用するものとする。
【0099】
図13,図14は、本発明の第3の実施形態に係るフォトマスクの検査方法を示すフローチャートである。図13は1回目の検査時のフローチャートを示し、図14は2回目(洗浄処理後)の検査時のフローチャートを示している。最初に、図13のフローチャート及び図7のブロック図を参照して、1回目の検査について説明する。
【0100】
まず、ステップS61において、検査装置により、第1の実施形態で説明したようにフォトマスク110の1回目の検査を行う。その後、ステップS62において、オペレータ(作業者)は、欠陥部分の画像を見ながら欠陥の種類を判定する。すなわち、パターン不良のように修正が必要な欠陥の場合はステップS63に移行し、欠陥情報記憶部117に記憶された欠陥情報にフラグ“D”を付加する。また、異物の付着のように洗浄が必要な欠陥の場合はステップS64に移行し、欠陥情報記憶部117に記憶された欠陥情報にフラグ“P”を付加する。更に、欠陥ではないものの検査装置により欠陥と判定された擬似欠陥の場合は、ステップS65に移行して、欠陥情報記憶部117に記憶された欠陥情報にフラグ“F”を付加する。なお、擬似欠陥とは、例えば図2(a),(b)に示すように、フォトマスクの作成工程において発生する設計データと実際のパターンとの相違部分が欠陥と判定されたものなどである。
【0101】
その後、ステップS66において、全ての欠陥部分にフラグを付加したか否かが判定される。フラグを付加していない欠陥部分がある場合は、ステップS62に戻って、上述した処理を実行する。
【0102】
このようにして、当該フォトマスク110の全ての欠陥情報に、“D”、“P”及び“F”のいずれか1つのフラグが付加される。これらの欠陥情報は、当該フォトマスク110に固有の識別コード(シリアル番号等)に関連付けて、検査結果記録部121に記録される。
【0103】
次に、図14のフローチャート及び図7のブロック図を参照して、2回目の検査(洗浄処理後の検査)について検査方法を説明する。
【0104】
まず、ステップS71において、フォトマスク110をステージ111上に載置した後、当該フォトマスク110の欠陥情報を検査結果記録部121から読み込む。そして、ステップS72に移行し、制御部120は、欠陥情報に付加されているフラグが“P”か否かを判定する。フラグが“P”以外の場合(換言するとフラグが“D”又は“F”の場合)、すなわち1回目の検査で異物の付着による欠陥でないと判定された欠陥の場合は、ステップS71に戻り、次の欠陥情報を読み出す。
【0105】
一方、ステップS72において、フラグが“P”であると判定した場合は、ステップS73に移行する。そして、制御部120はステージ111を移動して欠陥部分を走査し、ステップS74において欠陥の有無を判定する。ステップS74で欠陥があると判定した場合、すなわち洗浄により欠陥を除去できなかった場合はステップS75に移行して、欠陥情報のフラグを“D”に変更し、欠陥情報記憶部117に記憶する。一方、ステップS74において欠陥が無いと判定した場合、すなわち洗浄により欠陥が除去された場合はステップS76に移行して、欠陥情報のフラグを“F”に変更し、欠陥情報記憶部117に記憶する。
【0106】
次いで、ステップS77に移行し、制御部120は全ての欠陥部分の検査が終了したか否かを判定する。ステップS77において、全ての欠陥部分の検査が終了していないと判定した場合は、ステップS71に戻って上述した処理を繰り返す。一方、ステップS77において全ての欠陥部分の検査が終了したと判定した場合は、処理を完了する。このようにして、2回目の検査では“P”のフラグが付加された欠陥部分のみが検査され、その結果に応じて欠陥情報のフラグが“D”又は“F”に変更される。
【0107】
本実施形態においては、1回目の検査で“P”のフラグが付加された欠陥部分のみ、すなわち洗浄により欠陥が除去される可能性がある部分のみを再検査するので、第1の実施形態に比べて検査時間を更に短縮することができる。
【0108】
また、本実施形態においては、2回目の検査(洗浄処理後の検査)終了後は、欠陥部分に付加されているフラグが、修正が必要な欠陥であることを示す“D”、又は修正が不要な欠陥(擬似欠陥等)であることを示すフラグ“F”のいずれかになる。従って、修正工程では、フラグ“D”が付加された欠陥のみの修正を行えばよく、修正工程を効率化することができる。
【0109】
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態に係るフォトマスクの検査方法について説明する。
【0110】
第1及び第2の実施形態では、欠陥部分を中心とする比較的広い範囲(512ピクセル×512ピクセル)の画像データを比較して欠陥の有無を判定している。これは、2つの画像を比較するときに、パターンマッチング処理を行って2つの画像のパターンを正確に一致させる必要があるためである。この場合、光学的近接効果補正(OPC:Optical Proximity Correction)などの複雑な補正を行って形成されたパターンが比較範囲内にあると、設計データと実際に形成されたパターンとの相違部分が欠陥(擬似欠陥)として検出されるおそれがある。
【0111】
そこで、本実施形態においては、1回目の検査で欠陥が検出されると、欠陥の重心(中心点)の座標を欠陥情報として記憶しておき、2回目の検査では欠陥部分の周囲(欠陥部分を含まず)の比較的広い範囲の画像のデータを用いてパターンマッチング処理を行い、その後欠陥部分の重心を中心とする比較的狭い範囲における画像(欠陥部分の画像)のデータを比較して、欠陥の有無を判定する。なお、本実施形態は、第1の実施形態で説明したダイ比較検査用検査装置又は第2の実施形態で説明したデータ比較検査用検査装置を使用して実現される。ここでは、説明の便宜上、図7に示す構成のダイ比較検査用検査装置を使用するものとする。
【0112】
図15(a)〜(e)は、本実施形態に係るフォトマスクの検査方法を示す模式図である。本実施形態においては、1回目の検査で欠陥を検出すると、その欠陥部分の重心(中心点)を求めて、その重心からX方向に±5ピクセル、Y方向に±5ピクセルの矩形の領域の位置を欠陥領域とし、検査結果記録部121に記録する。
【0113】
図15(a)は、1回目の検査で欠陥を検出したときの画像の例を示している。この図15(a)に示すように、1回目の検査で欠陥が検出されたときは、欠陥部分の重心を中心とし、X方向に±5ピクセル、Y方向に±5ピクセルの範囲を欠陥領域として欠陥情報記憶部118に記憶する。フォトマスク110の検査が終了すると、欠陥情報記録部118に記憶された欠陥情報(欠陥領域の情報を含む)は、当該フォトマスクに固有の識別コードに関連付けて検査結果記録部121に記録される。
【0114】
2回目の検査では、検査結果記録部121から読み出した欠陥情報に基づいて、欠陥部分に対応する512ピクセル×512ピクセルの領域の画像データを取得する(図9参照)。図15(b)はチップAのパターンから取得した欠陥部分の画像データを示し、図15(c)はチップBのパターンから取得した欠陥部分の画像データを示している。そして、これらの画像データのうち欠陥領域(図中破線で示す矩形の領域)以外の部分を用いてパターンマッチング処理を行い。両者の画像のパターンを完全に一致させる。
【0115】
次に、制御部120は、チップAのパターンから取得した画像データ及びチップBのパターンから取得した画像データからそれぞれ欠陥領域の画像データを抽出し、それらの欠陥領域の画像データを比較する。図15(d)は図15(b)の画像データから抽出した欠陥領域の画像データを示す図であり、図15(e)は図15(c)の画像データから抽出した欠陥領域の画像データを示す図である。制御部120は、これら2つの欠陥領域の画像データに相違点がある場合は欠陥有りと判定し、相違点が無い場合は欠陥無しと判定する。
【0116】
本実施形態では、第1の実施形態と同様の効果を得ることができるのに加えて、欠陥部分の極めて小さい領域(欠陥領域)における画像データの比較により欠陥の有無を判定するので、余分なパターンの比較が行われず、擬似欠陥等による誤判定が回避できるという効果を奏する。
【0117】
以下、本発明の諸態様を、付記としてまとめて記載する。
【0118】
(付記1)画像取得部によりフォトマスクの画像を取得し、欠陥検査部により基準となる画像データと比較して欠陥を検出する第1の工程と、
前記第1の工程で検出した欠陥の位置を欠陥情報として欠陥情報記憶部に記憶する第2の工程と、
前記第2の工程で記憶した欠陥情報をフォトマスク毎に固有の識別コードに関連付けて検査結果記録部に記録する第3の工程と、
欠陥除去処理を実施する第4の工程と、
前記第3の工程で記録した前記欠陥情報を読み出し、前記欠陥除去処理後のフォトマスクから前記第1の工程で検出した欠陥の位置及びその周辺の領域のみの画像を前記画像取得部により取得し、前記欠陥検査部により基準となる画像データと比較して欠陥の有無を判定する第5の工程と
を有することを特徴とするフォトマスクの検査方法。
【0119】
(付記2)前記基準となる画像データは、前記画像取得部により取得された画像であることを特徴とする付記1に記載のフォトマスクの検査方法。
【0120】
(付記3)前記基準となる画像データは、前記フォトマスクの設計データを展開して得られたデータであることを特徴とする付記1に記載のフォトマスクの検査方法。
【0121】
(付記4)前記第5の工程では、前記画像取得部で取得した前記欠陥の周辺の領域の画像データと前記基準となる画像データとのパターンマッチング処理を行い、その後前記欠陥の位置の画像とそれに対応する部分の前記基準となる画像データとを比較して欠陥の有無を判定することを特徴とする付記1に記載のフォトマスクの検査方法。
【0122】
(付記5)前記第2の工程と前記第3の工程との間に前記欠陥除去処理により除去可能な欠陥か否かを判定して除去可能な欠陥については前記欠陥情報に特定のフラグを付加する工程を有し、
前記第5の工程では、前記フォトマスクから前記特定のフラグが付加された欠陥情報に対応する領域の画像のみを取得して、前記欠陥検査部による欠陥の有無の判定を行うことを特徴とする付記1に記載のフォトマスクの検査方法。
【0123】
(付記6)フォトマスクが載置されるステージと、
前記ステージの上に載置されたフォトマスクの画像を取得する画像取得部と、
欠陥検出の基準となる第1の画像データを記憶する画像データ記憶部と、
前記画像取得部により取得された画像のデータを第2の画像データとし、当該第2の画像データと前記画像データ記憶部に記憶された前記第1の画像データとを比較して欠陥を検出する欠陥検査部と、
前記欠陥検査部により検出された欠陥の位置を欠陥情報として記憶する欠陥情報記憶部と、
少なくとも1枚分のフォトマスクの欠陥情報を当該フォトマスクに固有の識別コードに関連付けて記録する検査結果記録部と、
前記画像取得部、前記画像データ記憶部、前記欠陥検査部及び前記検査結果記録部を制御する制御部とを有し、
前記制御部は、前記検査結果記録部に欠陥情報が記録されたフォトマスクを再検査するときに、前記検査結果記録部に記録された欠陥情報に基づき前記画像取得部を制御して前記フォトマスクから前回の検査で検出された欠陥の位置及びその周辺の領域のみの画像を取得し前記第2の画像データとして前記欠陥検査部に入力させ、前記欠陥検出部は入力された前記第2の画像データと前記画像データ記憶部に記憶された第1の画像データとを比較して欠陥の有無を判定することを特徴とするフォトマスクの検査装置。
【0124】
(付記7)前記画像データ記憶部には、前記画像取得部で取得した画像が前記第1の画像データとして記憶されることを特徴とする付記6に記載のフォトマスクの検査装置。
【0125】
(付記8)更に、フォトマスクの設計データを記憶する設計データ記憶部と、
前記設計データ記憶部に記憶された前記設計データを展開して画像データを得る画像データ展開部とを有し、
前記画像データ記憶部は、前記画像データ展開部で展開された画像データを前記第1の画像データとして記憶することを特徴とする付記6に記載のフォトマスクの検査装置。
【0126】
(付記9)前記画像データ展開部は、前記設計データとそれにより形成されるフォトマスクの実際のパターンとの差を補正するデータ補正処理を行うことを特徴とする付記8に記載のフォトマスクの検査装置。
【0127】
(付記10)前記欠陥検出部は、前記第1の画像データのうち欠陥の周辺の領域の画像データを用いて前記第2の画像データとのパターンマッチング処理を行い、その後前記欠陥の位置における画像データとそれに対応する部分の前記第1の画像データとを比較して欠陥の有無を判定することを特徴とする付記6に記載のフォトマスクの検査装置。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】図1は、ダイ比較検査に使用する従来のフォトマスク検査装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、ダイ比較検査方法を示す模式図である。
【図3】図3は、データ比較検査に使用する従来のフォトマスク検査装置の構成を示すブロック図である。
【図4】図4(a)は設計データを示す模式図、図4(b)は設計データによりフォトマスクに実際に形成されるパターンを示す模式図である。
【図5】図5は、従来のフォトマスクの検査・修正処理を示すフローチャート(その1)である。
【図6】図6は、従来のフォトマスクの検査・修正処理を示すフローチャート(その2)である。
【図7】図7は、本発明の第1の実施形態に係るフォトマスク検査装置の構成を示すブロック図である。
【図8】図8は、第1の実施形態に係るフォトマスクの検査方法(2回目の検査)を示すフローチャートである。
【図9】図9は、第1の実施形態に係るフォトマスクの検査方法を示す模式図である。
【図10】図10は、本発明の第1の実施形態の変形例のフォトマスクの検査方法を示すフローチャートである。
【図11】図11は、本発明の第2の実施形態に係るフォトマスク検査装置の構成を示すブロック図である。
【図12】図12は、第2の実施形態に係るフォトマスクの検査方法(2回目の検査)を示すフローチャートである。
【図13】図13は、本発明の第3の実施形態に係るフォトマスクの検査方法を示すフローチャート(その1)である。
【図14】図14は、本発明の第3の実施形態に係るフォトマスクの検査方法を示すフローチャート(その2)である。
【図15】図15(a)〜(e)は、本発明の第4の実施形態に係るフォトマスクの検査方法を示す模式図である。
【符号の説明】
【0129】
10,30,110,130…フォトマスク、
11,31,111,131…ステージ
12,32,112,132…光源、
13,33,113,133…光学レンズ、
14,34,114,134…受光素子、
15,35,115,135…画像データ記憶部、
16,36,116,136…欠陥検査部、
17,37,117,137…欠陥情報記憶部、
18,38,118,138…レンズ制御部、
19,39,119,139…ステージ駆動部、
20,40,120,140…制御部、
41,141…設計データ、
42,142…設計データ記憶部、
43,143…画像データ展開部、
44,144…データ補正部、
121,145…検査結果記録部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像取得部によりフォトマスクの画像を取得し、欠陥検査部により基準となる画像データと比較して欠陥を検出する第1の工程と、
前記第1の工程で検出した欠陥の位置を欠陥情報として欠陥情報記憶部に記憶する第2の工程と、
前記第2の工程で記憶した欠陥情報をフォトマスク毎に固有の識別コードに関連付けて検査結果記録部に記録する第3の工程と、
欠陥除去処理を実施する第4の工程と、
前記第3の工程で記録した前記欠陥情報を読み出し、前記欠陥除去処理後のフォトマスクから前記第1の工程で検出した欠陥の位置及びその周辺の領域のみの画像を前記画像取得部により取得し、前記欠陥検査部により基準となる画像データと比較して欠陥の有無を判定する第5の工程と
を有することを特徴とするフォトマスクの検査方法。
【請求項2】
前記第5の工程では、前記画像取得部で取得した前記欠陥の周辺の領域の画像データと前記基準となる画像データとのパターンマッチング処理を行い、その後前記欠陥の位置の画像とそれに対応する部分の前記基準となる画像データとを比較して欠陥の有無を判定することを特徴とする請求項1に記載のフォトマスクの検査方法。
【請求項3】
前記第2の工程と前記第3の工程との間に前記欠陥除去処理により除去可能な欠陥か否かを判定して除去可能な欠陥については前記欠陥情報に特定のフラグを付加する工程を有し、
前記第5の工程では、前記フォトマスクから前記特定のフラグが付加された欠陥情報に対応する領域の画像のみを取得して、前記欠陥検査部による欠陥の有無の判定を行うことを特徴とする請求項1に記載のフォトマスクの検査方法。
【請求項4】
フォトマスクが載置されるステージと、
前記ステージの上に載置されたフォトマスクの画像を取得する画像取得部と、
欠陥検出の基準となる第1の画像データを記憶する画像データ記憶部と、
前記画像取得部により取得された画像のデータを第2の画像データとし、当該第2の画像データと前記画像データ記憶部に記憶された前記第1の画像データとを比較して欠陥を検出する欠陥検査部と、
前記欠陥検査部により検出された欠陥の位置を欠陥情報として記憶する欠陥情報記憶部と、
少なくとも1枚分のフォトマスクの欠陥情報を当該フォトマスクに固有の識別コードに関連付けて記録する検査結果記録部と、
前記画像取得部、前記画像データ記憶部、前記欠陥検査部及び前記検査結果記録部を制御する制御部とを有し、
前記制御部は、前記検査結果記録部に欠陥情報が記録されたフォトマスクを再検査するときに、前記検査結果記録部に記録された欠陥情報に基づき前記画像取得部を制御して前記フォトマスクから前回の検査で検出された欠陥の位置及びその周辺の領域のみの画像を取得し前記第2の画像データとして前記欠陥検査部に入力させ、前記欠陥検出部は入力された前記第2の画像データと前記画像データ記憶部に記憶された第1の画像データとを比較して欠陥の有無を判定することを特徴とするフォトマスクの検査装置。
【請求項1】
画像取得部によりフォトマスクの画像を取得し、欠陥検査部により基準となる画像データと比較して欠陥を検出する第1の工程と、
前記第1の工程で検出した欠陥の位置を欠陥情報として欠陥情報記憶部に記憶する第2の工程と、
前記第2の工程で記憶した欠陥情報をフォトマスク毎に固有の識別コードに関連付けて検査結果記録部に記録する第3の工程と、
欠陥除去処理を実施する第4の工程と、
前記第3の工程で記録した前記欠陥情報を読み出し、前記欠陥除去処理後のフォトマスクから前記第1の工程で検出した欠陥の位置及びその周辺の領域のみの画像を前記画像取得部により取得し、前記欠陥検査部により基準となる画像データと比較して欠陥の有無を判定する第5の工程と
を有することを特徴とするフォトマスクの検査方法。
【請求項2】
前記第5の工程では、前記画像取得部で取得した前記欠陥の周辺の領域の画像データと前記基準となる画像データとのパターンマッチング処理を行い、その後前記欠陥の位置の画像とそれに対応する部分の前記基準となる画像データとを比較して欠陥の有無を判定することを特徴とする請求項1に記載のフォトマスクの検査方法。
【請求項3】
前記第2の工程と前記第3の工程との間に前記欠陥除去処理により除去可能な欠陥か否かを判定して除去可能な欠陥については前記欠陥情報に特定のフラグを付加する工程を有し、
前記第5の工程では、前記フォトマスクから前記特定のフラグが付加された欠陥情報に対応する領域の画像のみを取得して、前記欠陥検査部による欠陥の有無の判定を行うことを特徴とする請求項1に記載のフォトマスクの検査方法。
【請求項4】
フォトマスクが載置されるステージと、
前記ステージの上に載置されたフォトマスクの画像を取得する画像取得部と、
欠陥検出の基準となる第1の画像データを記憶する画像データ記憶部と、
前記画像取得部により取得された画像のデータを第2の画像データとし、当該第2の画像データと前記画像データ記憶部に記憶された前記第1の画像データとを比較して欠陥を検出する欠陥検査部と、
前記欠陥検査部により検出された欠陥の位置を欠陥情報として記憶する欠陥情報記憶部と、
少なくとも1枚分のフォトマスクの欠陥情報を当該フォトマスクに固有の識別コードに関連付けて記録する検査結果記録部と、
前記画像取得部、前記画像データ記憶部、前記欠陥検査部及び前記検査結果記録部を制御する制御部とを有し、
前記制御部は、前記検査結果記録部に欠陥情報が記録されたフォトマスクを再検査するときに、前記検査結果記録部に記録された欠陥情報に基づき前記画像取得部を制御して前記フォトマスクから前回の検査で検出された欠陥の位置及びその周辺の領域のみの画像を取得し前記第2の画像データとして前記欠陥検査部に入力させ、前記欠陥検出部は入力された前記第2の画像データと前記画像データ記憶部に記憶された第1の画像データとを比較して欠陥の有無を判定することを特徴とするフォトマスクの検査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−170914(P2007−170914A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−366554(P2005−366554)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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