説明

フラットケーブルおよびその接続構造

【課題】プリント基板上の電極への接続端子の位置合わせを容易にでき、複数のプリント基板間に接続されるフラットケーブルの接続端子近傍の変形に伴う接続不良を低減することができるフラットケーブルおよびその接続構造を提供する。
【解決手段】幅方向に複数並列に配置された導体13と、絶縁性を有するフィルム状の被覆材からなり複数の導体13を被覆する被覆部14とを備えたフラットケーブル1において、被覆部14の幅方向の両側に、被覆部14の導体13を被覆する位置よりも下方へ突出するように前記被覆材が折り曲げられて形成された折り曲げ部3を有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のプリント基板間の接続に用いられるフラットケーブルとその接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車載用インバータ内の複数の基板間接続には、ワイヤハーネスとコネクタが用いられている。近年車載機器には、高信頼、低コストとともに小型・軽量化が要求されており、小型化には基板サイズの縮小が不可欠である。
【0003】
コネクタを用いた接続では、プリント基板への取り付け面積が広くなるため、基板サイズを縮小することを妨げる場合がある。また、ワイヤハーネスを用いた接続では、複数のワイヤハーネスを手作業で接続しているため、工数削減が困難となっている。そのため、ワイヤハーネスレスおよびコネクタレスの接続技術が求められていた。
【0004】
その問題を解決するために、複数のプリント基板間にフラットケーブルを配置して電気的接続する接続構造が考案されている。例えば、特許文献1では、図6に示すように、少なくとも二つのプリント基板部20、21同士が捨て板部22により一体化されてなる集合基板23を設けるとともに、フレキシブルケーブル24を配設するための二本のスリット25を所定の間隔を隔てて形成し、この二本のスリット25を介してフレキシブルケーブル24の中間部を捨て板部22の背面側に沿って配設したのち、フレキシブルケーブル24の両接続端子26を各プリント基板部20、21の電極パッド27に接続し、捨て板部22を切除するプリント基板部20、21相互間のケーブル接続方法が考案されている。
【0005】
特許文献1では、複数のプリント基板部20、21相互間をフレキシブルケーブル24で接続する場合に、フレキシブルケーブル24の接続端子26をプリント基板部20、21上の電極パッド27へ容易に位置合わせできるとされている。
【0006】
また、特許文献2では、図7に示すように、フレキシブルフラットケーブル30の端子部31の先端側の被覆部32を残存させ、接続されるプリント基板33のランド35近傍に形成した角穴34に、残存させた被覆部32を挿入することによってフレキシブルフラットケーブル30の端子部31とプリント基板33のランド35との位置合わせを行うことが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−162757号公報
【特許文献2】特開2005−252016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に示される接続構造では、フレキシブルケーブル24の位置合わせを行う際に、フレキシブルケーブル24を、プリント基板部20、21と捨て板部22とが一体化されてなされた集合基板23に設けられた二本のスリット25に通過させる工程が必須である。このとき、フレキシブルケーブル24を、スリット25を介して屈曲をさせた状態で位置合わせするため、接続端子26近傍でフレキシブルケーブル24が湾曲してしまい、プリント基板部20、21の電極パッド27に対し、接続端子26が浮いた状態になる。特に、集合基板23に接続するフレキシブルケーブル24の長さを、集合基板23の厚みやスリット25の幅の分だけ余分に考慮する必要があるため、フレキシブルケーブル24の長さが最適でないと、フレキシブルケーブル24の湾曲が顕著になる虞がある。このようなフレキシブルケーブル24に湾曲が発生すると、接続端子26と電極パッド27とを半田などで接続する際に、接続がしにくく接続が不十分となるという問題がある。
【0009】
また、特許文献2に示される接続構造では、被覆部32をその長手方向に位置する角穴34に挿入するため、フレキシブルフラットケーブル30がプリント基板33に対して傾斜して、端子部31とランド35との間に隙間が生じるおそれがある。特に、フレキシブルフラットケーブル30を作成する際の巻き取り工程でフレキシブルフラットケーブル30に巻き癖による湾曲が発生し、その湾曲が残存している場合、この構造では、フレキシブルフラットケーブル30の初期的な湾曲を抑制することができない。そのため、プリント基板33のランド35に対し、端子部31が浮いてしまい、特許文献1と同様、端子部31とランド35とを接続する際に、接続がしにくく接続が不十分となるという問題がある。
【0010】
また、複数のプリント基板をフラットケーブルで一括して容易に接続するには、リフローはんだ接続が望ましく、フラットケーブルの湾曲を抑制する構造を設けることが強く要望されている。
【0011】
そこで、本発明の目的は、かかる従来技術の課題を解決し、プリント基板上の電極への接続端子の位置合わせを容易にでき、複数のプリント基板間に接続されるフラットケーブルの接続端子近傍の変形に伴う接続不良を低減することができるフラットケーブルおよびその接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために請求項1に記載の発明は、幅方向に複数並列に配置された導体と、絶縁性を有するフィルム状の被覆材からなり前記複数の導体を被覆する被覆部とを備えたフラットケーブルにおいて、前記被覆部の幅方向の両側に、前記被覆部の前記導体を被覆する位置よりも下方へ突出するように前記被覆材が折り曲げられて形成された折り曲げ部を有することを特徴とするものである。
【0013】
請求項2に記載の発明は、前記折り曲げ部は、その導体長手方向の中央部に切り欠き部が形成されたものである。
【0014】
請求項3に記載の発明は、前記切り欠き部は、前記被覆部の片側の折り曲げ部のみに形成されたものである。
【0015】
請求項4に記載の発明は、複数の電極パッドを有するプリント基板部を少なくとも2つ有すると共に、これらプリント基板部を連結一体化する捨て板部を有する集合基板の前記プリント基板部同士を、請求項1〜3のいずれかに記載のフラットケーブルを介して接続するフラットケーブルの接続構造であって、前記集合基板には、前記フラットケーブルの幅方向の両側に形成された折り曲げ部を挿入させるフラットケーブル固定用スリットが形成されており、前記折り曲げ部が前記フラットケーブル固定用スリットに挿入されることで前記フラットケーブルが前記集合基板に固定されると共に前記導体の接続端子がそれぞれ対応する前記電極パッド上に配置されるものである。
【0016】
請求項5に記載の発明は、前記集合基板には、前記捨て板部を前記集合基板から切除するための切除用スリットが断続して形成されているものである。
【0017】
請求項6に記載の発明は、前記切除用スリットの延長方向と前記フラットケーブル固定用スリットの延長方向とが直交し、かつ、前記切除用スリットが、直列して形成された複数のスリット片からなるものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、プリント基板上の電極への接続端子の位置合わせを容易にでき、複数のプリント基板間に接続されるフラットケーブルの接続端子近傍の変形に伴う接続不良を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は被覆材に折り曲げ加工を施したフラットケーブルの斜視説明図である。
【図2】図2はフラットケーブル固定用スリットを形成した集合基板の平面図であり、図2(a)はフラットケーブル固定前の集合基板を示し、図2(b)はフラットケーブル固定後の集合基板を示す。
【図3】図3は図2(b)のA−A断面図であり、図3(a)はフラットケーブル固定前の集合基板を示し、図3(b)はフラットケーブル固定後の集合基板を示し、図3(c)は図3(b)の集合基板から捨て板部を切除した状態を示し、図3(d)は図3(c)のフラットケーブルの折り曲げ部に切り欠き部を設けた状態を示す。
【図4】図4は図2(b)のB−B断面図であり、図4(a)はフラットケーブル固定前の集合基板を示し、図4(b)はフラットケーブル固定後の集合基板を示す。
【図5】図5は折り曲げ部に切り欠き部を形成した他の実施の形態に係るフラットケーブルの斜視説明図である。
【図6】図6は従来例(特許文献1)の特徴を示す説明図である。
【図7】図7は従来例(特許文献2)の特徴を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態の構成を図1乃至図4に基づいて詳細に説明する。
【0021】
ここで、図1は本発明における被覆材に折り曲げ加工を施したフラットケーブルの斜視図であり、図2(a)はフラットケーブル固定用スリットを形成した集合基板の平面図であり、図2(b)は図1のフラットケーブルを固定した集合基板の平面図である。また、図3(a)、(b)、図4(a)、(b)はそれぞれ図2(b)に示すA−A断面、B−B断面を描いた図であり、それぞれ(a)はフラットケーブル固定前、(b)は固定後の断面を示している。
【0022】
まず、図1に示すように、フラットケーブル1は、線状に形成され幅方向(水平方向)に複数平行に並ばれた導体13と、これら複数の導体13を上下から被覆(ラミネート)する被覆部14とを備える。
【0023】
導体13はSnめっきが施された平角線からなり、それぞれ両端部に接続端子2を有する。接続端子2は、それぞれ被覆部14から露出されており、幅方向に並んで形成されている。
【0024】
被覆部14は、絶縁性を有する薄いフィルム状の被覆材で形成される。被覆材は、薄く耐熱性および絶縁性に優れる樹脂フィルム、例えばポリイミドからなる。また、被覆部14は、上述の複数の導体13からなる導体群15より幅広に形成されており、導体群15を幅方向の中央で被覆するようになっている。被覆部14は、幅方向の両側に、被覆部14の導体群15を被覆する位置よりも下方へ突出するように被覆材が折り曲げられて形成された折り曲げ部3を有する。折り曲げ部3は、例えば図1に示すように、導体13と並行な折れ線16(導体13の長手方向)に沿って直角に折り曲げられて形成されている。折り曲げ部3は、図2(a)に示すプリント基板たる集合基板4に導体13を接続するとき集合基板4のフラットケーブル固定用スリット10に挿入するためのものである。折り曲げ部3がフラットケーブル固定用スリット10に挿入されることにより、フラットケーブル1が集合基板4に固定されると共に導体13の接続端子2が集合基板4の電極パッド7上に自動的に位置決めされるようになっている。
【0025】
導体群15を被覆材で被覆した製造途中のフラットケーブルは平面状になっているが、被覆部14の幅方向の両側部を下方に折り曲げるように加熱プレスすることによって両側部に図1に示すような折り曲げ部3を形成する。なお、折り曲げ部3は、フラットケーブル固定用スリット10に挿入される部分の長さ(L)が、集合基板4の厚さ(D)の半分(D/2)か、または半分(D/2)よりも長い長さとなるように形成されることがフラットケーブル1の固定および位置ずれ防止の観点から好ましい。
【0026】
次に、図2(a)に示すように、集合基板4は、離間して形成された2つのプリント基板部5、6と、これらプリント基板部5、6間に形成されプリント基板部5、6を連結一体化する捨て板部8とを備える。
【0027】
プリント基板部5、6は、フラットケーブル1を介して接続されるようになっている。プリント基板部5、6の上面には、フラットケーブル1の接続端子2を接続するための電極パッド7が複数形成されている。電極パッドは7、捨て板部8に臨むプリント基板部5、6の略外周部に一列に形成されている。電極パッド7は、フラットケーブル1の一端側のそれぞれの接続端子2と一対一に対応するように接続端子2と同じ数だけ形成されている。
【0028】
また、捨て板部8に臨むプリント基板部5、6と捨て板部8とには、フラットケーブル1の折り曲げ部3を挿入可能なフラットケーブル固定用スリット10が形成されている。フラットケーブル固定用スリット10は、電極パッド7にフラットケーブル1の接続端子2を接続するときフラットケーブル1の位置決めをするためのものであり、フラットケーブル固定用スリット10に折り曲げ部3を挿入することでフラットケーブル1が集合基板4に固定されると共に導体13の接続端子2がそれぞれ対応する電極パッド7上に自動的に配置されるようになっている。また、フラットケーブル固定用スリット10は、所定の間隔を隔てて2つ形成されている。ここで、所定の間隔とは、被覆部14の折り曲げ部3間の間隔と同じであり、少なくともフレキシブルケーブル1の幅寸法以下、且つプリント基板部5、6上に並ぶ電極パッド7の列の一端から他端までの寸法以上である。フラットケーブル固定用スリット10の長さは、フラットケーブル1の被覆部14の長さより僅かに長く形成されている。また、フラットケーブル固定用スリット10の幅は、フラットケーブル1の折り曲げ部3が収納できるよう被覆部14の厚みの約2倍に形成されている。図2(b)に示すように、捨て板部8、フラットケーブル固定用スリット10及びフラットケーブル1の被覆部14の長さは、フラットケーブル1の折り曲げ部3をフラットケーブル固定用スリット10に収納した際に、フラットケーブル1両端の接続端子2と各プリント基板部5、6の電極パッド7とが自動的に位置合わせをなし得るよう予め所定の長さに設定されている。
【0029】
また、捨て板部8とプリント基板部5、6の間の集合基板4には、捨て板部8を集合基板4から切除可能にするための切除用スリット9が形成されている。切除用スリット9はプリント基板部5、6の幅方向(電極パッド7の並列方向)に沿って断続的に直列して形成された複数のスリット片17a、17bからなり、フラットケーブル固定用スリット10と複数のスリット片17a、17bの延長方向が直交するように形成されている。特に、各スリット片17a、17bは、フラットケーブル固定用スリット10と交わらないようにフラットケーブル固定用スリット10から離間して形成されており、フラットケーブル固定用スリット10とスリット片17a、17bとによって囲まれる捨て板部8を維持してスリットとしての形状を保つようになっている。
【0030】
次にプリント基板部5、6とフラットケーブル1の接続方法について説明する。
【0031】
まず、図2に示した集合基板4の電極パッド7にメタルマスクを用いてクリームはんだを一定量塗布する。
【0032】
次に、図1に示すフラットケーブル1の折り曲げ部3を、図2(b)、図3および図4に示すように、フラットケーブル固定用スリット10に手作業で収納する。このとき、フラットケーブル固定用スリット10は切除用スリット9と交わっておらず、シンプルな直線状に形成されているため、フラットケーブル固定用スリット10内に折り曲げ部3を円滑に収納(挿入)できる。
【0033】
これにより、捨て板部8の長さと、フラットケーブル固定用スリット10の形状と、フラットケーブル1の折り曲げ部3の形状との関係から、フラットケーブル1の両端の接続端子2と各プリント基板部5、6の電極パッド7との位置合わせおよび固定が容易に実現できる。すなわち、折り曲げ部3がフラットケーブル固定用スリット10に挿入されることでフラットケーブル1が集合基板4に固定されると共に導体13の接続端子2がそれぞれ対応する電極パッド7上に配置され、プリント基板5、6の電極パッド7上に接続端子2を容易に、かつ、正確に位置合わせできる。
【0034】
次に、集合基板4と集合基板4上に位置合わせおよび固定されたフラットケーブル1をリフロー炉(図示せず)に投入することによってはんだ接続を行う。フラットケーブル1に折り曲げ部3を形成していることから、フラットケーブル1がその長手方向にわたって湾曲するなどの初期変形が抑制されるため、フラットケーブル1の接続端子2近傍の変形に伴う接続不良を低減することができる。またフラットケーブル固定用スリット10に折り曲げ部3を挿入した場合にフラットケーブル1の位置合わせ、固定が自動的になされ、リフローはんだ接続においても振動などによって位置ずれが発生することがないため、安定した接続状態を得ることができる。また、電極パッド7に塗布されたクリームはんだは表面張力によって各電極パッド7に溶け分かれるため、短絡は発生しない。
【0035】
以上により、2つのプリント基板部5、6を被覆部14を折り曲げたフラットケーブル1によって容易に接続することが可能となる。また、プリント基板部5、6をフラットケーブル1によって接続した後、図3(c)に示すように、切除用スリット9に合わせて切断機等で集合基板4を切断して捨て板部8を切除する。切除用スリット9は直列して形成された複数のスリット片17a、17bからなるため、スリット片17a、17b間の集合基板4を切断するだけで捨て板部8を容易に切除できる。切断機は、2つの刃間に集合基板を挟んで切断するような簡易な手工具であってもよい。またさらに、プリント基板部5、6をフラットケーブル1で接続してなる基板間接続部品18は、フラットケーブル1を折り曲げて車載機器等の他の部品に組み立てられることが多い。このため、図3(d)に示すように、フラットケーブル1から折り曲げ部3の導体長手方向の中央部を切除して基板間接続工程が終了する。
【0036】
このように、被覆部14の幅方向の両側に、被覆部14の導体13を被覆する位置よりも下方へ突出するように被覆材が折り曲げられて形成された折り曲げ部3を有するものとしたため、フラットケーブル1自体の剛性を高くでき、フラットケーブル1の初期変形を矯正することができる。そして、フラットケーブル固定用スリット10にフラットケーブル1の折り曲げ部3を挿入することにより、プリント基板部5、6上の電極パッド7への接続端子2の位置合わせを容易にでき、複数のプリント基板部5、6間に接続されるフラットケーブル1の接続端子2近傍の変形に伴う接続不良を低減することができる。
【0037】
また、集合基板4には、フラットケーブル1の幅方向の両側に形成された折り曲げ部3を挿入させるフラットケーブル固定用スリット10が形成されており、折り曲げ部3がフラットケーブル固定用スリット10に挿入されることでフラットケーブル1が集合基板4に固定されると共に導体13の接続端子2がそれぞれ対応する電極パッド7上に配置されるものとしたため、フラットケーブル1の折り曲げ部3をフラットケーブル固定用スリット10に収納することで、接続の際にフラットケーブル1の位置を固定でき、プリント基板部5、6上の電極パッド7への接続端子2の位置合わせを容易にでき、複数のプリント基板部5、6間に接続されるフラットケーブル1の接続端子2近傍の変形に伴う接続不良を低減することができる。
【0038】
集合基板4には、捨て板部8を集合基板4から切除するための切除用スリット9が断続して形成されているものとしたため、捨て板部8を容易に切除できる。
【0039】
また、切除用スリット9の延長方向とフラットケーブル固定用スリット10の延長方向とが直交し、かつ、切除用スリット9が、直列して形成された複数のスリット片17a、17bからなるものとしたため、フラットケーブル固定用スリット10と切除用スリット9が交わるのを防ぐことができ、かつ、切断すべき集合基板4の長さを短く抑えることができ、捨て板部8を容易に切除できる。
【0040】
また、前記の実施の形態においては、フラットケーブル1の折り曲げ部3がフラットケーブル1の剛性を高くするという作用効果を備えているが、この作用効果は接続端子2近傍のフラットケーブル1の湾曲を矯正できる程度であればよく、フラットケーブル1の導体長手方向の湾曲を抑制するための剛性を阻害しない範囲で、図5に示すように、折り曲げ部3の長手方向の中央部に切り欠き部19を設けても良い。具体的には、被覆部14の両側に形成された一対の折り曲げ部3のうち、片側又は、両側の折り曲げ部3に切り欠き部19を設けてもよい。このような構造とすることにより、フラットケーブル1が導体13の長手方向に沿って湾曲するのを抑制することができると共に、集合基板4から捨て板部8を切除する際に、捨て板部8を除去するのにかかる応力によってフラットケーブル1自体が割れたり損傷する危険性を低減することができる。
【0041】
また、切り欠き部19は、被覆部14の片側の折り曲げ部3のみに形成されるものにすると、フラットケーブル1が導体長手方向に沿って湾曲するのを抑制することができると共に、集合基板4から捨て板部8を切除する際に、捨て板部8を除去するのにかかる応力によってフラットケーブル1自体が割れたり損傷したりする危険性を低減する効果をより効果的に得ることができる。
【0042】
また、折り曲げ部3には、金属線などの補強部材(図示せず)が内部に含まれていてもよい。補強部材を内部に含む折り曲げ部3とすることにより、フラットケーブル1の長手方向の湾曲を抑制するための剛性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 フラットケーブル
2 接続端子
3 折り曲げ部
4 集合基板
5 プリント基板部
6 プリント基板部
7 電極パッド
8 捨て板部
9 切除用スリット
10 フラットケーブル固定用スリット
13 導体
14 被覆部
15 導体群
16 折れ線
17a スリット片
17b スリット片
18 基板間接続部品
19 切り欠き部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向に複数並列に配置された導体と、絶縁性を有するフィルム状の被覆材からなり前記複数の導体を被覆する被覆部とを備えたフラットケーブルにおいて、
前記被覆部の幅方向の両側に、前記被覆部の前記導体を被覆する位置よりも下方へ突出するように前記被覆材が折り曲げられて形成された折り曲げ部を有することを特徴とするフラットケーブル。
【請求項2】
前記折り曲げ部は、その導体長手方向の中央部に切り欠き部が形成された請求項1記載のフラットケーブル。
【請求項3】
前記切り欠き部は、前記被覆部の片側の折り曲げ部のみに形成された請求項2記載のフラットケーブル。
【請求項4】
複数の電極パッドを有するプリント基板部を少なくとも2つ有すると共に、これらプリント基板部を連結一体化する捨て板部を有する集合基板の前記プリント基板部同士を、請求項1〜3のいずれかに記載のフラットケーブルを介して接続するフラットケーブルの接続構造であって、
前記集合基板には、前記フラットケーブルの幅方向の両側に形成された折り曲げ部を挿入させるフラットケーブル固定用スリットが形成されており、前記折り曲げ部が前記フラットケーブル固定用スリットに挿入されることで前記フラットケーブルが前記集合基板に固定されると共に前記導体の接続端子がそれぞれ対応する前記電極パッド上に配置されることを特徴とするフラットケーブルの接続構造。
【請求項5】
前記集合基板には、前記捨て板部を前記集合基板から切除するための切除用スリットが断続して形成されている請求項4に記載のフラットケーブルの接続構造。
【請求項6】
前記切除用スリットの延長方向と前記フラットケーブル固定用スリットの延長方向とが直交し、かつ、前記切除用スリットが、直列して形成された複数のスリット片からなる請求項5記載のフラットケーブルの接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−48945(P2012−48945A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−189399(P2010−189399)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】