説明

フランジ付きハウジング部材とその成形方法及び装置

【課題】フランジ付きハウジング部材であっても外周面全面に渡ってしごき加工を加えることができ、機械加工を施すことなく全体にわたり十分精度を出すことができ、部品点数の低減、リードタイムの短縮が図れ、コスト的にも作業性の面でも有利なフランジ付きハウジング部材とその成形方法及び装置を提供する。
【解決手段】筒状をした胴部1の一端部にフランジ予備成形部2が設けられた成形素材Wを所定の外面形状のパンチ10に保持し、成形素材Wをサイジングダイ15によりしごき胴部1の内外両周面をサイジングし、フランジ予備成形部2をパンチ10とフランジ成形ダイ19との間で挟圧しフランジFを成形することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状をした胴部の一端部びフランジが設けられたフランジ付きハウジング部材とその成形方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車エンジンの回転トルク伝達機構に組み込まれる等速ジョイントの外輪は、筒状をした胴部の一端部が閉塞部により閉塞され、胴部の外周よりフランジが外部に突出された、フランジ付きハウジング部材であり、胴部の内周面には複数本のトラック溝と、各トラック溝間にケージ案内面が形成されている。
【0003】
このような部品を成形する従来の方法は、胴部の内外周面をサイジングして仕上げた後に、端部にフランジを溶接し閉塞する方法がある。しかし、この方法では、フランジと胴部という2つの部品は必要になりコスト的に不利である。
【0004】
ここにおいて、「サイジング」とは、寸法精度を向上させるためにワークを型により加圧することをいい、「フランジ」とは、一般的には、胴部の外周面より放射方向に突出した部分であるが、本明細書では、特にことわらない限り胴部の端部を閉塞する閉塞部と一体的に形成された部分のことをいい、「閉塞部」とは胴部の端部を閉塞する部分のみをいう。
【0005】
また、他の方法として、熱間鍛造によりフランジ付きで貫通孔が設けられた鍛造素材を形成した後、外面側は、機械加工を施し、外径やフランジなどを所定のものに仕上げ、内面側は、ブローチ加工によりトラック溝やケージ案内面を形成し、最終的に高周波焼き入れを行ない、筒状胴部の一端部に蓋体を取り付ける方法もある。しかし、この方法では、機械加工やブローチ加工は、加工時間がかかり、ブローチ自体も高価で、製造コスト的にも作業性の面からも好ましくない。
【0006】
下記特許文献1では、反フランジ側から内面仕上げ用のポンチを挿入して筒状胴部の内周面を仕上げた後、当該ポンチと同じ方向からダイスを挿入して筒状胴部の外周面にしごき加工を施す方法が提案されている。
【0007】
下記特許文献2では、鍛造成形したワークを、フランジ側を下にして支持し、胴部内には内面仕上げ用のポンチを挿入し、外面には、軸心に沿って複数分割されたしごきダイスを配置し、前記ポンチとしごきダイスの一方を軸方向に移動してダイスの内側にワークを通過させることにより、ワークの外面をダイスによりしごき、ワークの内面をポンチ外周面に密着させ、ワークの内外両面を仕上げる方法が提案されている。
【0008】
しかし、特許文献1の方法では、フランジ付きハウジング部材では、ダイスにより外周面にしごき加工を加える場合、当然のことながらフランジが邪魔になり外周面全面に渡ってしごき加工を加えることができず、このため、全体にわたり十分精度が出ない虞がある。しかも、型から製品を抜き出す際、外周をもう一度しごき型がしごき返すことになることから、精度が低下する可能性がある。
【0009】
特許文献2の方法も特許文献1の方法と同様に課題を有しているが、予めワークを切削加工しなければならないため、リードタイムが長くなり、コスト的にも作業性の面からも好ましくなく、また、鍛流線が切削加工により切断されることから強度的にも好ましくないという不具合もある。
【特許文献1】特許第2661669号公報(請求項1、第3図参照)
【特許文献2】特開昭63−273523号公報(特許請求の範囲、第1図参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記従来技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、フランジ付きハウジング部材であっても外周面全面に渡ってしごき加工を加えることができ、機械加工を施すことなく全体にわたり十分精度を出すことができ、部品点数の低減、リードタイムの短縮が図れ、コスト的にも作業性の面でも有利なフランジ付きハウジング部材とその成形方法及び装置を提供することを目的とする。
【0011】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、外側成形面を有する第1の型と、内側成形面を有する第2の型との間で成形素材をしごき加工し成形する成形方法であって、前記第1の型と第2の型とのいずれか一方に、筒状をした胴部の一端部にフランジ予備成形部が設けられた前記成形素材を保持する工程と、
前記第1の型と第2の型により前記成形素材をしごき前記胴部の少なくとも内面をサイジングする工程と、前記フランジ予備成形部を前記第1の型とフランジ成形ダイとの間で挟圧しフランジを成形する工程と、を有するフランジ付きハウジング部材の成形方法である。
【0012】
上記目的を達成するための請求項10に記載の発明は、筒状をした胴部の一端部にフランジ予備成形部が設けられた成形素材の前記胴部をしごき加工し成形する成形装置であって、前記成形素材の胴部内周面を成形する外側成形面を有する第1の型と、前記第1の型が入り込む開口部に、前記外側成形面との間で前記成形素材の胴部をしごき加工する内側成形面を有する第2の型と、前記第1の型との間で前記フランジ予備成形部を挟圧しフランジを形成するフランジ成形ダイと、を有するフランジ付きハウジング部材の成形装置である。
【0013】
上記目的を達成するための請求項18に記載の発明は、鍛造により成形されたハウジング部材であって、筒状の胴部と、当該胴部の一端部を閉塞する閉塞部と、前記一端部から外方突出するフランジとが一体に成形され、かつ、前記胴部がしごき加工によりサイジングされており、前記フランジから前記胴部に連続した鍛流線を有することを特徴とするフランジ付きハウジング部材である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1,10に記載の発明によれば、成形素材の胴部を第1の型と第2の型によりしごいて、少なくとも内面をサイジングし、フランジ予備成形部を第1の型とフランジ成形ダイとの間で挟圧しフランジを成形するため、フランジ付きハウジング部材であっても機械加工を施すことなく全体にわたり十分精度を出すことができる。また、冷温間鍛造で成形でき、熱間鍛造を使用しないので、脱炭層の発生も抑制でき、成形品も強度が低下する虞のない高精度なものが得られる。さらに、成形後にフランジあるいは蓋部材を取付ける必要がないので、部品点数の低減、リードタイムの短縮が図れ、コスト的にも作業性の面でも有利となる。
【0015】
特に、請求項5に記載の発明のように、成形素材の胴部を所定長サイジングした状態で一時的に停止し、この停止中にフランジの成形を開始すれば、成形素材を第2の型で保持した状態でフランジを成形でき、しかも第2の型の背面を利用してフランジを成形でき、成形素材に引け部分のない極めて精度よいフランジを簡単に成形できる。
【0016】
請求項18に記載の発明によれば、胴部の一端部にフランジ予備成形部が設けられた成形素材の内外両周面をしごき加工することによりサイジングし、胴部から、前記フランジ予備成形部を挟圧して形成した前記閉塞部及びフランジに至る鍛流線が連続している成形品は、強度が優れたものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
<第1の実施形態>
図1(A)〜(C)は本発明の第1の実施形態に係る成形方法を工程順に示す概略断面図、図2は成形装置の要部を示す分解断面図、図3は図2の3−3線に沿う断面図、図4は図2の4−4線に沿う断面図である。
【0019】
まず、フランジ付きハウジング部材の成形方法について概説すれば、図1(A)に示すように、成形素材Wを第1の型(以下、パンチと称す)10に保持した状態で、図1(B)に示すように、第2の型(以下、サイジングダイと称す)15との共働で成形素材をしごき、胴部1の内外両周面をサイジングする。次に、図1(C)に示すように、フランジ予備成形部2をアップセットし、フランジFを成形する。
【0020】
さらに詳述する。ここで使用される成形装置は、図2に示すように、成形素材Wを保持し、外周面に成形面(簡単のため外側成形面)が形成されているパンチ10と、パンチ10に保持された成形素材Wをしごき加工して胴部1の内外両周面をサイジングする、内周面に成形面(簡単のため内側成形面)が形成されているサイジングダイ15と、フランジ予備成形部2をパンチ10との間で挟圧しフランジF(図1C参照)を形成するフランジ成形ダイ19とを有している。
【0021】
成形素材Wは、例えば、自動車用エンジンの回転トルク伝達機構に組み込まれる等速ジョイントの外輪用のものであるため、筒状をした胴部1の一端開口を閉塞するように、フランジ成形用のフランジ予備成形部2が設けられている。
【0022】
パンチ10は、図1(A)に示すように、基台11上に立設された位置固定の柱状体であり、上部には、図2,3に示すように、胴部1の内周面に複数本のトラック溝を形成する突条部12と、各トラック溝間にケージ案内面を形成する凹溝部13が交互に複数形成された外側成形面が形成されている。
【0023】
サイジングダイ15は、パンチ10に対し昇降可能に設けられたプレスラム16に支持部材17を介して取り付けられており、図2,4に示すように、中央に成形素材Wをパンチ10の外周面に加圧するしごき加工するための開口部18を有するリング状部材であるが、この内側成形面は、円弧状の面のみでなく、種々の形状を有する面であってもよい。本実施形態の開口部18の略下半部は、成形素材Wをしごきの容易化のためにテーパ状部18aとされ、略上半部は、成形素材Wを所定の外径寸法にサイジングする円筒部18bとされている。
【0024】
また、このサイジングダイ15に関しては、図5に示すように、開口部18が成形品Waの形状に対応する大きさを有し、その口縁部分が所定半径Rを有する円弧状部分18cとされ、内周面部分が直線的に傾斜されたテーパ状部18aを有するものであってもよい。
【0025】
フランジ成形ダイ19は、本実施形態では、プレスラム16に設けられ、その下面は平坦な加圧面20とされたプレート状部材である。
【0026】
なお、成形装置には、成形後の成形素材Wをパンチ10から取外すために、例えば、図1に一点鎖線で示すような取り外し部材21を、サイジングダイ15の上部に設け、後端に配置したばね22により中心に向って弾発してもよい。取り外し部材21の先端部は、成形素材Wが通過しやすいようにテーパ面とすることが好ましい。
【0027】
フランジ予備成形部2は、図2に示すように、フランジ予備成形部2の外径D1は、胴部1の外径D2以下の大きさとすることが好ましい。より好ましくは、開口部18の内径より小さくすることが好ましい。これによりフランジ予備成形部2が開口部18に入り易く、開口部18の内径よりやや大きい外径を有する胴部1の外周に対するしごきによるサイジングが容易となり、精度の悪化を防止できる。
【0028】
本実施形態では、フランジ予備成形部2を成形するフランジ成形ダイの挟圧位置は、サイジングダイ15が胴部1を全長にわたりサイジングした直後あるいは成形素材Wに対しサイジングダイ15が移動している間であってもよく、また、サイジングダイ15がサイジングを行っている途中であってもよい。
【0029】
したがって、図1に示すように、フランジ成形ダイ19をプレスラム16の直下に設け、フランジ成形ダイ19とサイジングダイ15との間を成形素材Wを伴うパンチ10が入り込む程度としてもよく、図示はしないが、プレスラム16とは離間した下方位置に設け、成形素材Wを伴うパンチ10が入り込むと直ちにフランジ予備成形部2の成形を開始してもよい。
【0030】
つまり、本実施形態のフランジ成形ダイ19が成形素材Wを挟圧する挟圧位置は、パンチ10が成形素材Wの胴部1を軸方向全長にわたってサイジングを完了した通過位置、あるいは軸方向途中位置であればよい。ここに、通過位置とは、サイジング直後もしくはパンチ10とサイジングダイ15の相対的に移動中の位置をいう。
【0031】
次に、成形方法を説明する。
【0032】
まず、図1(A)に示すように、パンチ10の上部に成形素材Wをセットし、プレスラム16を下降する。成形素材Wは、図1(B)に示すように、サイジングダイ15のテーパ状部18a及び円筒部18bでしごかれ、所定の外径寸法にサイジングされる。
【0033】
この結果、胴部1の内周面には、パンチ10の突条部12と凹溝部13の形状が転写され、トラック溝とケージ案内面が形成される。このしごき加工は、成形素材Wの胴部1を軸方向全長に渡り施されることになるので、成形後の胴部1は、全体にわたり高精度なものとなる。
【0034】
さらに、プレスラム16を下降すると、図1(C)に示すように、フランジ成形ダイ19の下面の加圧面20がパンチ10に保持された状態の成形素材Wのフランジ予備成形部2を所定の厚さとし、フランジFを有する成形品Waを形成する。
【0035】
このように本実施形態では、1回のプレス作業で、成形素材Wのサイジングと、トラック溝とケージ案内面の形成と、フランジの成形を行なうことができるので、極めて簡単に成形できる。別工程でフランジの成形を行なうと、パンチ10から一旦成形素材Wを外すことになり、この結果、成形した後の胴部1の内周面の形状が変化したり精度が低下する虞があるが、本実施形態では、パンチ10から成形素材Wを外すことなくフランジを成形するので、胴部1は全体にわたり極めて高精度となる。
【0036】
1回のプレス作業でフランジまでも成形すれば、胴部1とフランジFが一体化された成形品Waとなるので、後にフランジを溶接する必要がなく、溶接時の熱入力もないので、強度が優れたものとなり、成形品Waの薄肉化ないし軽量化が可能となり、これによるコストの低減を図ることもできるのみでなく、熱歪も生じないので精度が向上し、音振性能が向上し、ジョイントガタの発生を防止し、ジョイント性能も向上することになる。また、部品点数や工数の低減を図ることもできる。
【0037】
さらにいえば、従来のように熱間鍛造で成形すると、いわゆる抜け勾配を大きくしなければならず、しかも胴部1内に発生する中バリの除去の必要性から、成形品の精度が低下し、胴部の内面にキズが生じる虞があるが、本実施形態では、熱間鍛造を使用する必要がないため、抜け勾配を大きくする必要もなく、胴部1内のサイジングも容易にでき、この点で極めて精度的に有利となり、しかも、脱炭層が生じることもない。
【0038】
なお、成形品Waの取り出しは、プレスラム16を上昇すると、取り外し部材21の先端部が成形品Waと係合することになり、パンチ10の上部から外すことができ、図外の排出機構により型外に取り出す。
【0039】
なお、本実施形態では、図1(C)に示すように、フランジFは、閉塞部Faと一体に形成しているが、場合によっては、閉塞部Faを有しないもの、つまり、円筒状の胴部の外周面より放射方向に突出した部分のみを有するように形成してもよい。このような成形品を形成するには、成形素材Wは、フランジ予備成形部2が円筒状のものを使用すればよい。
【0040】
<第2の実施形態>
図6(A)〜(C)は本発明の第2の実施形態に係る成形方法を工程順に示す概略断面図である。なお、図6(A)〜(C)には、図1〜4に示す部材と同一乃至性質共通する部材には同一符号を付し、明細書中での説明を省略することがあるが、これは、以下の図面及び説明においても同様である。
【0041】
本実施形態に係る成形方法では、第1実施形態と相違し、フランジ成形ダイ19を独立した昇降機構(不図示)により作動させるようにしている。
【0042】
この成形方法は、まず、図6(A)に示すように、パンチ10の上部に成形素材Wをセットし、フランジ成形ダイ19を昇降機構によりサイジングダイ15の近傍まで下降させた状態とする。
【0043】
次に、図6(B)に示すように、プレスラム16を下降すると、成形素材Wは、前述した実施形態と同様に、サイジングダイ15でしごかれ、所定の外径寸法にサイジングされ、胴部1にトラック溝とケージ案内面が形成される。このしごき加工も、成形素材Wの胴部1において軸方向全長に渡り施されるので、成形後の胴部1は、全体にわたり高精度なものとなる。
【0044】
本実施形態では、フランジ成形ダイ19がサイジングダイ15の近傍まで下降し、昇降機構により加圧力が付加されているので、サイジングダイ15にしごかれパンチ10に保持された状態の成形素材Wは、直ちに、図6(B)に示すように、フランジ成形ダイ19の下面の加圧面20にアップセットされ、フランジ予備成形部2が押圧され、所定の厚さのフランジFに成形される。つまり、本実施形態のフランジ予備成形部2の挟圧位置は、第1の実施形態とは相違し、サイジングと殆ど同時で、サイジングダイ15の背面とパンチ10の先端部が整合したとき、フランジ成形ダイ19で挟圧することになる。本明細書において、「整合」とは、サイジングダイ15の背面とパンチ10の先端部が、これらの移動方向において一致することをいう。
【0045】
フランジFの形成後は、プレスラム16の上昇と同時に又は成形終了後、フランジ成形ダイ19は、昇降機構により上昇する。
【0046】
なお、成形品Waの取り出しは、フランジ成形ダイ19と干渉しない位置に設けられた取り外し部材21と成形品Waとの係合によりパンチ10から外し、図外の排出機構により型外に取り出す。
【0047】
本実施形態においても、前述に実施形態と同様、1回のプレス作業で、成形素材Wのサイジングと、トラック溝とケージ案内面の形成を行なうことができるなど種々の効果を奏する。
【0048】
<第3の実施形態>
図7(A)(B)は本発明の第3の実施形態に係る成形方法の工程の要部を示す概略断面図である。
【0049】
本実施形態に係る成形方法は、フランジ成形ダイ19内でフランジFを所定形状に仕上げるようにしている。例えば、図7(A)に示すように、フランジ成形ダイ19の加圧面側にフランジ成形用の型部23を形成すれば、成形素材Wのフランジ予備成形部2をパンチ10との間で挟圧したとき、フランジ予備成形部2が型部23に対応するように所定形状に成形されることになる。したがって、例えば、型部23に、等速ジョイントと回転トルク伝達機構の他の部品とを連結するガイド部25を形成するための凹部24を設ければ、成形後の成形品Waは、ガイド部25を有するものとなり、組立性、作業性が大幅に向上する。
【0050】
このようなフランジ成形ダイ19に設ける型部23によるフランジ予備成形部2の成形は、型部23によって下記のような種々の変形例が考えられる。
【0051】
(変形例1)
図8は本実施形態の変形例1に係る成形装置の要部を示す概略断面図、図9(A)は温間鍛造による成形素材を示し、図9(B)のA−A線に沿う概略断面図、図9(B)は図9(A)のB−B線に沿う概略断面図、図10(A)はフランジ成形後の状態の成形品を示し、図10(B)のA−A線に沿う概略断面図、図10(B)は図10(A)のB−B線に沿う概略断面図である。
【0052】
本変形例の成形品Waは、図10(A)(B)に示すように、フランジFが胴部1から放射方向外方に向って均等に延出されたもので、成形素材Wとしては、図9(A)(B)に示すように、胴部1の上部に均等な所上定厚さt1のフランジ予備成形部2を設けたものが使用される。
【0053】
成形素材Wがサイジングダイ15でしごかれた後又はこのしごきが加えられている間に、フランジ予備成形部2がフランジ成形ダイ19の型部23内に入ると、フランジ予備成形部2は、放射方向外方に向かう延出が型部23により規制され、円盤状のフランジFが形成されることになる。
【0054】
(変形例2)
図11は本実施形態の変形例2に係る成形装置の概略断面図、図12(A)は温間鍛造による成形素材を示し、図12(B)のA−A線に沿う概略断面図、図12(B)は図12(A)の平面図、図13(A)はフランジ成形後の状態の成形品を示し、図13(B)のA−A線に沿う概略断面図、図13(B)は図13(A)の平面図である。
【0055】
本変形例の成形品Waは、図13(A)(B)に示すように、胴部1から放射方向に複数の突出部26が突出された形状のフランジFを形成するもので、成形素材Wとしては、図12(A)(B)に示すものと同様、胴部1の上部に均等な所上定厚さt2のフランジ予備成形部2を設けたものが使用される。
【0056】
フランジ成形ダイ19は、その内周面に突出部26に対応する凹部が複数形成された型部23を有するものが使用され、フランジ予備成形部2がフランジ成形ダイ19内で加圧されると、型部23の形状に対応する突出部26を有するフランジFが形成されることになる。
【0057】
(変形例3)
図14(A)は温間鍛造による成形素材を示し、図14(B)のA−A線に沿う概略断面図、図14(B)は図14(A)の平面図、図15(A)はフランジ成形後の状態の成形品を示し、図15(B)のA−A線に沿う概略断面図、図15(B)は図15(A)の平面図である。
【0058】
本変形例の成形品Waは、前記変形例2で使用したものと略同様のフランジ成形ダイ19を使用し、3つの突出部27が突出された形状のフランジFを形成するもので、成形素材Wとしては、図14(A)(B)に示すように、胴部1の上部にフランジFを形成する部分に余剰肉を盛ったフランジ予備成形部2を有するものが使用される。
【0059】
このようにすれば、フランジ予備成形部2がフランジ成形ダイ19内で加圧されると、余剰肉により比較的大きなフランジFが成形されるので、成形品に対し機械加工を施す場合の取代を少なくすることができる。
【0060】
なお、フランジ予備成形部2に設ける余剰肉を盛った部分は、必ずしも周方向で均等な位置に設ける必要はなく、不均等に設けると、異形のフランジFを成形することもできる。
【0061】
<第4の実施形態>
前述した実施形態では、フランジ予備成形部2に余剰肉を設けることにより異形のフランジFを成形しているが、サイジングダイ15でしごき、フランジ成形ダイ19によりフランジFを形成した後、フランジFの外周に対しトリミングを実施することにより異形のフランジFとしてもよい。なお、トリミングの手段としては、機械加工や、塑性加工など種々の方法を使用することができる。
【0062】
このようにすれば、異形のフランジFを迅速にかつ簡単に形成することができる。
【0063】
<第5の実施形態>
図16(A)〜(C)は本発明の第5の実施形態に係る成形方法を工程順に示す概略断面図である。
【0064】
前述した実施形態では、パンチ10により成形素材Wを保持し、サイジングダイ15によりパンチ10に保持された成形素材Wにしごき加工しているが、逆に、ダイ側で成形素材Wを保持し、ダイとパンチとの共働によりしごき加工を行なってもよい。つまり、前述した実施形態の第1の型と第2の型を逆に使用し成形してもよい。
【0065】
本実施形態の成形装置は、図16(A)に示すように、成形素材Wを保持するサイジングダイ15と、保持された成形素材Wをサイジングダイ15との共働によりしごき加工して胴部1の内外両周面をサイジングするパンチ10と、フランジ予備成形部2をパンチ10との間で挟圧しフランジFを形成するフランジ成形ダイ19とを有している。
【0066】
パンチ10は、プレスラム16に設けられた柱状体であり、サイジングダイ15は、位置固定に設けられているが、中央の開口部18に成形素材Wを保持している。なお、開口部18の構成は略上半部はテーパ状部18aで、略下半部は円筒部18bとされ、成形素材Wは開口部18の上半部であるテーパ状部18aで保持される。
【0067】
したがって、図16(A)に示すように、サイジングダイ15の下部に成形素材Wをセットし、プレスラム16を下降すると、図16(B)に示すように、成形素材Wは、パンチ10とサイジングダイ15のテーパ状部18a及び円筒部18bでしごかれ、所定の外径寸法にサイジングされる。
【0068】
さらに、プレスラム16を下降すると、図16(C)に示すように、フランジ成形ダイ19の上面の加圧面20が成形素材Wのフランジ予備成形部2を所定の厚さのフランジFとする。
【0069】
このように本実施形態でも、前記実施形態と同様、1回のプレス作業で、成形素材Wのサイジングと、トラック溝とケージ案内面の形成と、フランジの成形を行なうことができる。
【0070】
<第6の実施形態>
図17(A)〜(E)は本発明の第6の実施形態に係る成形方法を工程順に示す概略断面図で、(A)は成形素材のセット状態、(B)は第1サイジング工程後の停止状態、(C)は停止時でのフランジ成形状態、(D)は第2サイジング工程の完了状態、(E)は成形品排出可能状態をそれぞれ示している。
【0071】
前述した実施形態では、成形素材W全体をサイジングした後に、単にフランジ成形ダイ19によりフランジ予備成形部2をパンチ10との間で挟圧して押し潰してフランジFを形成しているので、成形素材Wは、パンチ10のみで支持された状態でフランジ予備成形部2が挟圧される。このため、フランジ予備成形部2の内周面から胴部1の内周面に至る角部が、外方に膨らみ、いわゆる引けにより空部が生じたり、フランジFの成形途中から成形素材W全体が成形方向に移動し、成形精度が低下したり、さらには、軸線に対し直交する面を有する平坦できれいなフランジFに仕上げられず、所望の外径寸法を得るにはフランジ予備成形部2にかなりのボリュームが必要になる可能性がある。
【0072】
このため、本実施形態では、成形素材Wの胴部1の上部をサイジングした状態でサイジングダイ15を一時的に停止し、サイジングダイ15により成形素材Wの胴部1の上部を外周から保持し、成形素材Wの移動を規制し、この状態でフランジ成形ダイ19によりフランジ予備成形部2を挟圧して押し潰し、フランジFを形成している。
【0073】
更に詳述する。まず、図17(A)に示すように、パンチ10の上部に成形素材Wをセットし、プレスラム16を下降し、軸方向所定長を第1のサイジングをし、その後一時停止する。成形素材Wは、図17(B)に示すように、サイジングダイ15のテーパ状部18a及び円筒部18bでしごかれ、軸方向所定長のみが所定の外径寸法にサイジングされる。
【0074】
サイジングダイ15の停止位置としては、サイジングダイ15の背面とパンチ10の先端部が整合したときの位置とすることが好ましい。この位置であれば、フランジ成形時にフランジFをパンチ10のみでなくサイジングダイ15でも受けることができ、しかもサイジングダイ15の平坦な背面15aを利用してフランジFを成形できるので、引けによる空部の発生を防止できるのみでなく、フランジFをより平坦に成形でき、成形品Waの精度が一層向上することになる。
【0075】
そして、図17(D)に示すように、さらにプレスラム16を下降し、成形素材Wの残りの部分に対し第2のサイジングを行なう。第2のサイジングにより、胴部1の内周面には、パンチ10の突条部12と凹溝部13の形状が転写され、トラック溝とケージ案内面が形成された成形品Waとなる。これによりしごき加工は、成形素材Wの胴部1を軸方向全長に渡り施されることになり、成形後の胴部1を全体にわたり高精度なものにすることができる。
【0076】
このように本実施形態では、前記実施形態が奏する効果に加え、第1のサイジング後一時停止し、第2のサイジングを行うが、1回のプレス作業で、成形素材Wのサイジングと、トラック溝とケージ案内面の形成と、フランジの成形を行うことになるので、成形した後の胴部1の内周面の形状が変化したり精度が低下する虞がなく、胴部1は全体にわたり極めて高精度となる。
【0077】
最後に、図17(E)に示すように、フランジ成形ダイ19を上昇し、パンチ10上の成形品Waからランジ成形ダイ19を離すと、図外の排出機構などを用いて成形品Waを型外に取り出すことができる。なお、フランジ成形ダイ19の上昇は、フランジFの成形直後でも、第2サイジングと同時であってもよい。
【0078】
<第7の実施形態>
図18(A)〜(E)は本発明の第7の実施形態に係る成形方法を工程順に示す概略断面図である。
【0079】
前記成形方法では、フランジ成形時に成形素材Wをサイジングダイ15により外周から保持するのみであるため、フランジ成形ダイ19から加圧力が成形素材Wに加わると、場合によってはサイジングダイ15が位置ズレを起こす可能性がある。この位置ズレは、フランジFの成形に悪影響を及ぼす虞があるので、本実施形態では、固定手段Kを用いてサイジングダイ15の位置を固定している。
【0080】
固定手段Kとしては、サイジングダイ15を位置固定的に支持することができるものであれば、どのようなものであってもよいが、ダイクッション30を利用することが好ましい。
【0081】
ダイクッション30は、パンチ10の周囲に同軸的に設けられたクッションパッド31と、クッションパッド31を昇降可能に支持するクッションピン32とから構成され、サイジングダイ15が前述した停止位置にあるとき、図18(C)に示すように、上昇して下方からサイジングダイ15を支持し、フランジ成形ダイ19により成形素材Wを加圧しても、サイジングダイ15は当初の停止位置を水平に保持する。
【0082】
なお、固定手段Kとしては、ダイクッション30のみでなく、閉塞ダイセットに用いられる油圧、ばね、ガスクッションなどを使用してもよく、また、ストッパ部材(不図示)をパンチ10の側方に設け、サイジングダイ15の停止時に突出し、下方からサイジングダイ15を支持するものであってもよい。
【0083】
この成形方法も、前述した第6の実施形態と同様、図18(A)に示すようにパンチ10の上部に成形素材Wをセットし、図18(B)に示すように、プレスラム16を下降し、成形素材Wの胴部の一部をサイジングダイ15でしごき、第1サイジングを行った後に、停止する。これにより、成形素材Wの胴部の一部は、外周面が所定の外径寸法にサイジングされる。
【0084】
次に、図18(C)に示すように、停止状態のサイジングダイ15に向ってクッションピン32によりクッションパッド31を上昇させ、下方からサイジングダイ15を支持する。この支持状態で、フランジ成形ダイ19を下降し、成形素材Wを加圧し、フランジFを成形する。このようにすれば、フランジ成形ダイ19による加工中、サイジングダイ15はダイクッション30により常時保持され、成形素材Wの胴部周辺を支持するサイジングダイ15が変位することがないため、成形が円滑に行われ、成形品Waの精度が向上することになり、成形素材Wのフランジ予備成形部2がフランジ成形ダイ19の下面の加圧面20により加圧されるとき、サイジングダイ15の背面15a(図18C参照)を利用して押圧変形され、平坦な所定の厚さのフランジFを成形できる。
【0085】
フランジFの形成後は、図18(D)に示すように、再度、プレスラム16を下降し、成形素材Wの胴部をサイジングダイ15でしごく第2サイジングを行う。これにより成形素材Wの胴部全体がサイジングされ、所定の外径寸法に仕上げられ、内周面にトラック溝とケージ案内面を形成される。
【0086】
最後に、図18(E)に示すように、フランジ成形ダイ19を上昇し、成形品Waを図外の排出機構などを用いて型外に取り出す。
【0087】
本実施形態においても、前述した第1の実施形態と同様、1回のプレス作業で、成形素材Wのサイジングと、トラック溝とケージ案内面の形成を行なうことができる。
【0088】
<第8の実施形態>
図19は本発明の第8の実施形態に係る成形装置を示す概略断面図である。この成形装置は、成形素材Wを加圧する面側、つまり、サイジングダイ15の背面15aにフランジFを形成するための凹部33が形成され、この凹部33内でフランジFを所定形状に仕上げるようにしたものである。
【0089】
図19に示すように、凹部33を有するサイジングダイ15を用いて、フランジ予備成形部2をフランジ成形ダイ19とパンチ10との間で挟圧すれば、閉空間内でフランジ予備成形部2を押圧成形することになるので、フランジ予備成形部2の伸びが凹部33に規制され、フランジ予備成形部2が凹部33に対応する、所定形状をしたフランジFに成形されることになり、極めて高精度なフランジFを成形することができる。
【0090】
このようなサイジングダイ15に凹部33を設けてフランジ予備成形部2を成形する場合には、凹部33によっては、前述した図13、図14、図15に示すもののような種々の変形例も考えられる。
【0091】
<第9の実施形態>
図20(A)〜(D)は本発明の第9の実施形態に係る成形方法を工程順に示す概略断面図である。
【0092】
前述した第6〜第8の実施形態では、パンチ10により成形素材Wを保持し、サイジングダイ15によりパンチ10に保持された成形素材Wに第1及び第2のサイジング加工を施しているが、前記第5の実施形態と同様、逆に、サイジングダイ15側で成形素材Wを保持し、サイジングダイ15とパンチ10との共働によりしごき加工を行なってもよい。
【0093】
図20(A)に示すように、サイジングダイ15の下部に成形素材Wをセットし、プレスラム16を下降すると、図20(B)に示すように、成形素材Wは、パンチ10とサイジングダイ15のテーパ状部18a及び円筒部18bでしごかれ、所定の外径寸法にサイジングされる。このサイジングは、成形素材Wの軸線方向に沿って胴部の内外両周面を軸線方向に沿って一部のみをしごく第1のサイジングであり、成形素材Wは、フランジ予備成形部2がサイジングダイ15の背面15aより突出した状態である。
【0094】
第1のサイジングが完了した後、パンチ10の加工動作は一時的に停止され、この停止中に、図20(C)に示すように、フランジ成形ダイ19が、図外の駆動手段により上昇し、フランジ予備成形部2をパンチ10との間で挟圧し、フランジ成形ダイ19の背面の加圧面20が成形素材Wのフランジ予備成形部2を所定の厚さのフランジFに成形する。
【0095】
フランジFの成形が完了すると、図20(D)に示すように、フランジ成形ダイ19を、図外の駆動手段により下降した状態で、さらに、プレスラム16によりパンチ10を下降し、第2のサイジングが施される。
【0096】
このように本実施形態でも、前記実施形態と同様、1回のプレス作業で、成形素材Wのサイジングと、トラック溝とケージ案内面の形成と、フランジの成形を行なうことができる。
【0097】
上述した第1〜第9の実施形態により成形された成形品Waは、基本的には機械加工や溶接を使用することなく、しごき及びサイジングと、挟圧により成形品Waを成形したもので、フランジFから胴部1まで連続した鍛流線を有するフランジ付きハウジング部材となる。
【0098】
ここにおいて、鍛流線は、図21に示すように、フランジFおける胴部側と反対側の端面、または閉塞部Faにおける胴部側と反対側の端面から開始し、フランジFの突出方向に向ってフランジF内へ延び、フランジF内で湾曲して折り返してから胴部1へ至る連続線である。したがって、成形品Waは、鍛流線が途中で切断されることのない連続したものとなり、伝達トルクに対して強度が優れたものとなるので、成形品の薄肉化ないし軽量化を図り、コストを低減することもできる。特に、フランジFから胴部1に向う鍛流線が連続しているので、最も応力集中しやすい部分の強度が高くなる。
【0099】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲内で種々改変することができる。例えば、上述した実施形態では、胴部1の端部に略平坦なフランジFを形成しているが、等速ジョイントの外輪としては、フランジFからシャフトが突出されたものもある。このような成形品Wa、いわゆるハウジングウイズシャフトであっても成形することができる。ただし、この場合には、シャフトがフランジ成形ダイにより加圧されないようにする必要がある。
【0100】
前記実施形態の成形素材Wは、等速ジョイントの外輪を成形するものであるが、これのみでなく、筒状をした胴部1と、当該胴部1の一端部を閉塞するように設けられるフランジ予備成形部2とを有する成形素材Wであれば、どのようなものに対しても使用することができる。
【0101】
前記実施形態の胴部1は、等速ジョイントの外輪用のものであるため、断面円形をしたものであるが、本発明は、他の部品にも適用することができるので、必ずしも断面円形でなく、断面矩形状のものなど異形状のものもであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、自動車エンジンの回転トルク伝達機構に組み込まれる等速ジョイントの外輪用のフランジ付きハウジング部材を、1回のプレス工程で高精度に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】(A)(B)(C)は本発明の第1の実施形態に係る成形方法を工程順に示す概略断面図である。
【図2】成形装置の要部を示す分解断面図である。
【図3】図2の3−3線に沿う断面図である。
【図4】図2の4−4線に沿う断面図である。
【図5】サイジングダイの変形例を示す断面図である。
【図6】(A)(B)(C)は本発明の第2の実施形態に係る成形方法を工程順に示す概略断面図である。
【図7】(A)(B)は本発明の第3の実施形態に係る成形方法の工程の要部を示す概略断面図である。
【図8】本実施形態の変形例1に係る成形装置の要部を示す概略断面図である。
【図9】(A)は温間鍛造による成形素材を示し、(B)のA−A線に沿う概略断面図、(B)は(A)のB−B線に沿う概略断面図である。
【図10】(A)はフランジ成形後の状態の成形品を示し、(B)のA−A線に沿う概略断面図、(B)は(A)のB−B線に沿う概略断面図である。
【図11】本実施形態の変形例2に係る成形装置の概略断面図である。
【図12】(A)は温間鍛造による成形素材を示し、(B)のA−A線に沿う概略断面図、(B)は(A)の平面図である。
【図13】(A)はフランジ成形後の状態の成形品を示し、(B)のA−A線に沿う概略断面図、(B)は(A)の平面図である。
【図14】(A)は温間鍛造による成形素材を示し、(B)のA−A線に沿う概略断面図、(B)は(A)の平面図である。
【図15】(A)はフランジ成形後の状態の成形品を示し、(B)のA−A線に沿う概略断面図、(B)は(A)の平面図である。
【図16】(A)(B)(C)は本発明の第5の実施形態に係る成形方法を工程順に示す概略断面図である。
【図17】本発明の第6の実施形態に係る成形方法を工程順に示す概略断面図で、(A)は成形素材のセット状態、(B)はサイジング工程初期の一時停止状態、(C)は一時停止時でのフランジ成形状態、(D)はサイジング完了状態、(E)は成形品排出可能状態をそれぞれ示す。
【図18】(A)(B)(C)(D)(E)は本発明の第7の実施形態に係る成形方法を工程順に示す概略断面図である。
【図19】本発明の第8の実施形態に係る成形装置を示す概略断面図である。
【図20】(A)(B)(C)(D)は本発明の第9の実施形態に係る成形装置を示す概略断面図である。
【図21】本発明により形成された成形品の鍛流線の変形例を示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0104】
1…胴部、
2…フランジ予備成形部、
10…パンチ(支持体)、
15…サイジングダイ、
15a…サイジングダイの背面、
19…フランジ成形ダイ、
30…ダイクッション、
F…フランジ、
Fa…閉塞部、
K…固定手段、
W…成形素材、
Wa…成形品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側成形面を有する第1の型と、内側成形面を有する第2の型との間で成形素材をしごき加工し成形する成形方法であって、
前記第1の型と第2の型とのいずれか一方に、筒状をした胴部の一端部にフランジ予備成形部が設けられた前記成形素材を保持する工程と、
前記第1の型と第2の型により前記成形素材をしごき前記胴部の少なくとも内面をサイジングする工程と、
前記フランジ予備成形部を前記第1の型とフランジ成形ダイとの間で挟圧しフランジを成形する工程と、
を有するフランジ付きハウジング部材の成形方法。
【請求項2】
前記フランジ成形工程におけるフランジ予備成形部の挟圧を、前記サイジング工程の後に行うことを特徴とする請求項1に記載のフランジ付きハウジング部材の成形方法。
【請求項3】
前記フランジ成形工程におけるフランジ予備成形部の挟圧を、前記サイジング工程直後の前記成形素材と前記第2の型との相対的に移動中に行うことを特徴とする請求項2に記載のフランジ付きハウジング部材の成形方法。
【請求項4】
前記フランジ成形工程におけるフランジ予備成形部の挟圧を、前記サイジング工程中に行うことを特徴とする請求項1に記載のフランジ付きハウジング部材の成形方法。
【請求項5】
前記サイジング工程は、前記胴部の内外両周面を所定長サイジングして一時的に停止し、前記フランジ成形工程を行なった後、再度前記成形素材の残りの部分をサイジングすることを特徴とする請求項1に記載のフランジ付きハウジング部材の成形方法。
【請求項6】
前記フランジ成形工程は、前記第2の型の背面と前記第1の型の先端部が整合したとき、前記フランジ成形ダイで挟圧することを特徴とする請求項5に記載のフランジ付きハウジング部材の成形方法。
【請求項7】
前記フランジ成形工程は、前記第2の型を固定手段により支持した停止状態時に行うことを特徴とする請求項6に記載のフランジ付きハウジング部材の成形方法。
【請求項8】
前記フランジ予備成形部は、前記胴部の外径以下の大きさとしたことを特徴とする請求項7に記載のフランジ付きハウジング部材の成形方法。
【請求項9】
前記フランジ予備成形部は、成形後の前記フランジの形状に対応した位置に余剰肉を設けたことを特徴とする請求項8に記載のフランジ付きハウジング部材の成形方法。
【請求項10】
筒状をした胴部の一端部にフランジ予備成形部が設けられた成形素材の前記胴部をしごき加工し成形する成形装置であって、
前記成形素材の胴部内周面を成形する外側成形面を有する第1の型と、
前記第1の型が入り込む開口部に、前記外側成形面との間で前記成形素材の胴部をしごき加工する内側成形面を有する第2の型と、
前記第1の型との間で前記フランジ予備成形部を挟圧しフランジを形成するフランジ成形ダイと、
を有するフランジ付きハウジング部材の成形装置。
【請求項11】
前記フランジ成形ダイは、前記フランジ予備成形部を挟圧する挟圧位置を、前記第2の型又は第1の型が前記成形素材の胴部を軸方向全長にわたってサイジングを完了した通過位置としたことを特徴とする請求項10に記載のフランジ付きハウジング部材の成形装置。
【請求項12】
前記フランジ成形ダイは、前記フランジ予備成形部を挟圧する挟圧位置を、前記第2の型又は第1の型が前記成形素材の胴部を軸方向途中位置までサイジングした位置としたことを特徴とする請求項10に記載のフランジ付きハウジング部材の成形装置。
【請求項13】
前記第2の型は、前記フランジ成形ダイとの挟圧により前記フランジを形成するとき、固定手段により固定位置に保持されることを特徴とする請求項10に記載のフランジ付きハウジング部材の成形装置。
【請求項14】
前記フランジ成形ダイは、前記成形素材を加圧する面側にフランジ成形用の型部が形成され、この型部で前記成形素材のフランジ予備成形部を前記第1の型との間で挟圧しフランジを形成することを特徴とする請求項10に記載のフランジ付きハウジング部材の成形装置。
【請求項15】
前記第2の型は、前記成形素材を加圧する面側にフランジ成形用の型部が形成され、この型部で前記成形素材のフランジ予備成形部を前記第1の型と前記フランジ成形ダイとの間で挟圧しフランジを形成することを特徴とする請求項10に記載のフランジ付きハウジング部材の成形装置。
【請求項16】
前記フランジ予備成形部は、前記胴部の外径以下の大きさとしたことを特徴とする請求項10に記載のフランジ付きハウジング部材の成形装置。
【請求項17】
前記フランジ予備成形部は、成形後の前記フランジの形状に対応するように余剰肉を設けたことを特徴とする請求項16に記載のフランジ付きハウジング部材の成形装置。
【請求項18】
鍛造により成形されたハウジング部材であって、
筒状の胴部と、当該胴部の一端部を閉塞する閉塞部と、前記一端部から外方突出するフランジとが一体に成形され、かつ、前記胴部がしごき加工によりサイジングされており、前記フランジから前記胴部に連続した鍛流線を有することを特徴とするフランジ付きハウジング部材。
【請求項19】
前記鍛流線は、前記フランジにおける前記胴部側と反対側の端面、または前記閉塞部における前記胴部側と反対側の端面から開始し、前記フランジの前記突出方向に向って前記フランジ内へ延び、前記フランジ内で湾曲して折り返してから前記胴部へ至る連続線であることを特徴とする請求項18に記載のフランジ付きハウジング部材。
【請求項20】
前記フランジから前記胴部に至る全ての鍛流線が、前記フランジ内から前記胴部内までの経路で連続していることを特徴とする請求項19に記載のフランジ付きハウジング部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2007−181878(P2007−181878A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−219741(P2006−219741)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】