説明

フレキシブルプリント配線板

【課題】フレキシブルプリント配線板の製造時の応力集中に基づく、ICチップ、LSIチップ等のデバイス実装時のインナーリードの断線やソルダーレジストのクラック発生を防止することができるフレキシブルプリント配線板を提供する。
【解決手段】絶縁層11と、この絶縁層11の少なくとも一方面に積層された導体層をパターニングして形成され半導体チップが実装されると共に複数の配線が並設された配線パターン12を具備するフレキシブルプリント配線板10において、前記配線パターン12が形成されていない余白領域に、ストライプ状のダミーパターン23〜26が当該フレキシブルプリント配線板の長手方向を基準にして幅方向に略対称に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線パターンを有すると共に半導体チップの支持基体となるTABテープ、フレキシブルプリント回路(FPC)などのフレキシブルプリント配線板に関し、特にプラズマディスプレイ(PDP)などに使用され、一配線板当たりが幅広で大面積であるフレキシブルプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロニクス産業の発達に伴い、IC(集積回路)チップ、LSI(大規模集積回路)チップ等の電子部品を実装するプリント配線板の需要が急激に増加している。一方、プラズマディスプレイ(PDP)では、幅広で大きなプリント配線板が用いられる。PDPでは、液晶ディスプレイ(LCD)より高い電圧を使用するため、PDP用プリント配線板はLCD用プリント配線板と比較して配線の幅が太くピッチも大きくなるからである。
【0003】
このような幅広のフレキシブルプリント配線板では、テープ搬送時、特に巻き出し、巻き取りの際のテープ変形により、特定箇所に応力が集中して、ICチップボンディングなどによる実装後に、インナーリード部の切れやソルダーレジストのクラックが発見されるという問題がある。
【0004】
すなわち、図4に示すように、フレキシブルプリント配線板1は、製造工程の各処理後又は製品検査実施後、ガイドローラ2及び3にガイドされてリール4に巻き取られるが、この際にフレキシブルプリント配線板1は巻き取り前のバッファとして水平方向の搬送からガイドローラ2を介してU字状部5に向かって下向きに搬送されU字状部5の最下端では下向きから上向きに方向転換されてガイドローラ3に向かって搬送されることになり、ガイドローラ2及び3の領域での曲げ方向とU字状部5での曲げ方向とが異なるので、特定箇所に応力が集中し易い状態となる。また、フレキシブルプリント配線板1は、図5に示すように、通常、配線パターン1a面を内側にして幅方向に反っており、幅広になるほど反りが大きくなる傾向にあり、ガイドローラ2及び3の領域で上記の反りが反転することでフレキシブルプリント配線板1の特定箇所に応力集中が生じやすくなる。
【0005】
このようなフレキシブルプリント配線板において、フィルム上に形成された配線の非平行部分の全体の長さをほぼ等しくすることにより、複数の応力耐性を中央部とその周辺部で均等にし、かつその応力耐性自体を一層向上させることができるテープキャリアが提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
しかしながら、上述した応力集中による問題は、配線パターンが形成されていない余白部の影響が原因ではないかと予測している。
【0007】
一方、デバイス実装時の温度変化の繰り返しによる配線パターンへのクラックや断線の発生を防止する目的で、パターン密度を略均一にするように、又は配線パターンに類似するように、又は熱膨張係数が略均一になるように、デバイスホールの周囲に配線パターンとは電気的に接続されていないダミーパターンを設けたフィルムキャリアが提案されている(特許文献2参照)。
【0008】
しかしながら、このようなダミーパターンを設けても、テープ製造時に発生する問題は解消されない。
【0009】
【特許文献1】特許3350352号公報(特許請求の範囲、段落[0005]等)
【特許文献2】特開平11−45913号公報(特許請求の範囲、段落[0010]、[0030]等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、このような事情に鑑み、フレキシブルプリント配線板の製造時の応力集中に基づく、ICチップ、LSIチップ等のデバイス実装時のインナーリードの断線やソルダーレジストのクラック発生を防止することができるフレキシブルプリント配線板を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決する本発明の第1の態様は、絶縁層と、この絶縁層の少なくとも一方面に積層された導体層をパターニングして形成され半導体チップが実装されると共に複数の配線が並設された配線パターンを具備するフレキシブルプリント配線板において、前記配線パターンが形成されていない余白領域に、ストライプ状のダミーパターンが当該フレキシブルプリント配線板の長手方向を基準にして幅方向に略対称に形成されていることを特徴とするフレキシブルプリント配線板にある。
【0012】
かかる第1の態様では、ストライプ状のダミーパターンがフレキシブルプリント配線板の長手方向を基準にして幅方向に略対称に形成されているので、フレキシブルプリント配線板の可撓性が均一化され、製造工程での搬送時に反りが反転される場合等においても応力の発生が軽減され且つ分散され、ICチップ、LSIチップ等のデバイス実装時のインナーリードの断線やソルダーレジストのクラックが防止される。
【0013】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記ストライプ状のダミーパターンのダミー配線が、前記配線の並設方向に形成されていることを特徴とするフレキシブルプリント配線板にある。
【0014】
かかる第2の態様では、配線長手方向にストライプ状に形成されたダミーパターンを有するので、フレキシブルプリント配線板の可撓性がより有効に均一化され、製造工程での搬送時に反りが反転される場合等においても応力の発生が軽減され且つ分散され、ICチップ、LSIチップ等のデバイス実装時のインナーリードの断線やソルダーレジストのクラックが防止される。
【0015】
本発明の第3の態様は、第1又は2の態様において、前記配線パターンが、前記配線が当該フレキシブルプリント配線板の長さ方向に亘って設けられたものであり、前記ダミーパターンは、前記配線の並設方向両側に配置されていることを特徴とするフレキシブルプリント配線板にある。
【0016】
かかる第3の態様では、配線パターンの配線並設方向両側の余白部の剛性が低下されることにより可撓性が均一化され、製造工程の搬送時における応力集中が効率的に緩和される。
【0017】
本発明の第4の態様は、第1〜3の何れかの態様において、当該フレキシブルプリント配線板の幅が48mm以上の幅広配線板であることを特徴とするフレキシブルプリント配線板にある。
【0018】
かかる第4の態様では、48mm以上と幅広の配線板であっても製造工程での搬送時の応力集中が緩和される。
【0019】
本発明の第5の態様は、第1〜4の何れかの態様において、当該フレキシブルプリント配線板は、前記配線パターンのそれぞれの配線長手方向中央部の前記半導体チップを実装する領域にデバイスホールを有すると共に当該デバイスホールの長さ方向両側の少なくとも一方側に配線並設方向に並んだ複数のスリットからなる屈曲用のフレックススリットを具備し、当該フレックススリットは、各スリット間の繋ぎ部の配線並設方向の位置が、前記デバイスホールの配線並設方向両端の位置を幅方向にずれるように形成されていることを特徴とするフレキシブルプリント配線板にある。
【0020】
かかる第5の態様では、テープ搬送時のデバイスホールの長さ方向端部での応力集中が抑制される。また、フレックススリットを介しての屈曲時におけるデバイスホールに沿って設けられたインナーリードへの応力集中が緩和される。
【0021】
本発明の第6の態様は、第5の態様において、前記ダミーパターンは、前記フレックススリットが設けられた領域で分割された状態で設けられていることを特徴とするフレキシブルプリント配線板にある。
【0022】
かかる第6の態様では、フレックススリットで分割された領域毎にダミーパターンが設けられ、これにより応力集中が効率的に抑制される。
【発明の効果】
【0023】
本発明のフレキシブルプリント配線板は、ストライプ状のダミーパターンがフレキシブルプリント配線板の長手方向を基準にして幅方向に略対称に形成されているので、フレキシブルプリント配線板の可撓性が均一化され、製造工程での搬送時に反りが反転される場合等においても応力の発生が防止され、デバイス実装時のインナーリードの断線やソルダーレジストのクラックが防止されるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態に係るフレキシブルプリント配線板をその製造方法及び使用例と共に説明する。勿論、本発明はこれに限定されるものでないことはいうまでもない。
【0025】
(実施形態1)
図1には実施形態1に係るフレキシブルプリント配線板の概略平面を示す。なお、図示したものは一製品分のフレキシブルプリント配線板であり、フレキシブルプリント配線板は、長尺のテープ状の状態で連続的に製造され、また、一般的には、テープ状の状態で配送されながらICチップなどの電子部品を実装後、一製品毎に切断されるが、切断後実装される場合もある。以下、テープ状のフレキシブルプリント配線板として説明する。
【0026】
図1に示す本実施形態のフレキシブルプリント配線板10は、TABテープであり、テープ状の絶縁フィルム11の一方面に、複数の配線パターン12が連続的に形成されている。同図に示すように、絶縁フィルム11は、幅方向両側に移送用のスプロケット孔13を一定間隔で有すると共に、電子部品の実装領域にデバイスホール14を具備し、さらに、デバイスホール14のテープ長手方向両側の所定の位置には、テープ幅方向に延びるフレックススリット15及び16を具備する。フレックススリット15及び16は、テープ屈曲用に設けられるものであり、テープ幅方向に延びる複数の(本実施形態では3つの)スリット17を幅狭の繋ぎ部18を介して連設したものである。なお、フレックススリット15及び16は、デバイスホール14の一方側のみに設けられていてもよく、また、設けられてなくてもよい。
【0027】
配線パターン12は、テープ長手方向に延びる複数本の配線を具備し、図面上部からデバイスホール14までの配線を、本実施形態では出力側配線21、デバイスホール14から図面下部まで延びる配線を入力側配線22とする。また、各配線21及び22のデバイスホール14に臨む端部をインナーリード21a及び22a、テープ長手方向端部に延びた端部をアウターリード21b及び22bとし、図示は省略するが、一般的には、これらを除く領域が、図示しないソルダーレジスト層によって覆われている。
【0028】
ここで、本発明のフレキシブルプリント配線板10は、配線パターン12のテープ幅方向両側の余白領域A〜Dにテープ長手方向に亘って延びるダミー配線をストライプ状に配置したダミーパターン23〜26を具備する。ダミーパターン23〜26は、配線パターン12を形成した導体層から形成されたものであり、ダミーパターン23〜26の各ダミー配線は、配線パターン12とは電気的に非連続となっている。なお、ダミーパターン23〜26は、ソルダーレジスト層により覆われていても覆われていなくてもよい。
【0029】
また、ダミーパターン23〜26を設ける範囲、及び各ダミー配線の幅及びピッチは、配線パターン12のパターン形状や配線密度との兼ね合いで適宜設定すればよい。すなわち、配線パターン12及びダミーパターン23〜26の全体で、特に幅方向に亘っての剛性ができるだけ均一になるように設計すればよく、ダミー配線の幅及びピッチは特に限定されるものではない。
【0030】
本発明で用いられる絶縁フィルム11としては、可撓性を有すると共に耐薬品性及び耐熱性を有する材料を用いることができる。かかる絶縁フィルム11の材料としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、BTレジン、液晶ポリマー等を挙げることができ、特に、ビフェニル骨格を有する全芳香族ポリイミド(例えば、商品名:ユーピレックス;宇部興産(株))が好ましい。なお、絶縁フィルム11の厚さは、一般的には、25〜125μm、好ましくは、50〜75μmである。
【0031】
また、配線パターン12は、絶縁フィルム11に形成されたデバイスホール14及びスプロケット孔13などが形成された一方の面に、一般的には、銅やアルミニウムからなる導電体箔などの導体層をパターニングしたパターンがベース層となり、構成されている。このような導体層は、絶縁フィルム11上に直接積層しても、接着剤層を介して熱圧着等により形成してもよい。導体層の厚さは、例えば、6〜70μm、好ましくは、8〜35μmである。導電体箔からなる導体層としては、銅箔が好ましい。
【0032】
なお、絶縁フィルム11上に導電体箔を設けるのではなく、導電体箔に、例えば、ポリイミド前駆体を塗布し、加熱してポリイミドフィルムからなる絶縁フィルムとすることもできる。
【0033】
また、絶縁フィルム11上に設けられた導体層は、フォトリソグラフィー法によりパターニングされる。すなわち、フォトレジストを導体層の上面に塗布して露光・現像し、残留したフォトレジスト層をマスクとして導体層をエッチング液で化学的に溶解(エッチング処理)して除去し、さらにフォトレジスト層をアルカリ液等にて溶解除去することにより、導体層をパターニングして絶縁フィルム上に形成するが、このとき同時にダミーパターン23〜26も形成される。
【0034】
なお、配線パターン12のベース層上には、必要に応じて、スズメッキ層などが形成され、さらに、インナーリード21a及び22a並びにアウターリード21b及び22bには、電子部品等との接続条件により、例えば、ニッケルメッキ層及び金メッキ層が形成される場合もあるが、これらの構成は本発明の本質的な部分ではなく、特に限定されるものではない。勿論、ダミーパターン23〜26は、ベース層のみで形成されていても、ベース層上にメッキ層が形成されたものであってもよい。
【0035】
以上説明した実施形態1に係るフレキシブルプリント配線板10は、配線パターン12の幅方向両側の余白領域A〜Dにテープ長手方向のストライプ状のダミーパターン23〜26を有するので、幅方向に亘った剛性が略均一化され、換言すると、可撓性が均一化され、反りが低減される。すなわち、余白領域A〜Dに導体層をべた(べた一面)、すなわち、導体層を余白領域全体にそのまま残した場合と比較して、テープに均一な屈曲柔軟性が付与される。これにより、テープ製造及び検査工程における搬送時において、例えば反りが反転される場合等においても応力集中が発生し難くなるので、ICチップ、LSIチップ等の電子部品の実装時において、インナーリード21a及び22aに断線が生じることがなく、また、ソルダーレジストへのクラックの発生が防止される。
【0036】
(実施形態2)
図2には実施形態2に係るフレキシブルプリント配線板の概略平面を示す。なお、図1と同一機能を有する部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
【0037】
本実施形態のフレキシブルプリント配線板10Aは、実施形態1の配線パターン12とはパターン形状が多少異なる配線パターン12Aを有する。
【0038】
また、フレックススリット15A及び16Aの繋ぎ部18Aの位置を、デバイスホール14のテープ幅方向両端部の幅方向の位置から幅方向にずらしている点が、実施形態1とは相違する。すなわち、実施形態1では、デバイスホール14の幅方向両端部のテープ幅方向の位置と、フレックススリット15及び16の繋ぎ部18のテープ幅方向の位置とが、ほぼ一致していたが、本実施形態では、テープ長手方向に亘って一列に並ばないように設計した。これにより、テープ搬送時に屈曲方向が転換されてもデバイスホール14の幅方向両端部近傍に応力集中が生じ難く、また、フレックススリット15A及び16Aで屈曲しても(折り曲げても)、インナーリード21a及び22aに応力集中が生じ難いという効果を奏する。
【0039】
(実施形態3)
図3には実施形態3に係るフレキシブルプリント配線板の概略平面を示す。なお、図2と同一機能を有する部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
【0040】
本実施形態のフレキシブルプリント配線板10Bは、実施形態2のダミーパターン23〜26とはパターン形状が多少異なるダミーパターン23A〜26Aを有する。
【0041】
ここで、ダミーパターン23A〜26Aは、配線パターン12Aのテープ幅方向両側の余白領域A〜Dにテープ長手方向に対して傾斜した方向に延びるダミー配線をストライプ状に配置したものであり、テープ幅方向の両側のダミーパターン23Aと24A、及びダミーパターン25Aと26Aとは、それぞれ傾斜方向が異なり、テープ長さ方向を基準にしてそれぞれ線対称になるように傾斜したダミー配線を傾斜して設けたものである。これにより、テープ幅方向の剛性が略均一化されるようになっている。なお、本実施形態では、ダミーパターン23Aと25A、及びダミーパターン24Aと26Aとでは、ダミー配線の傾斜方向が異なっているが、テープ長さ方向を基準にしてそれぞれ線対称になるようになっていれば、それぞれ同一方向としてもよい。また、ダミー配線の傾斜角度も特に限定されるものではない。
【0042】
また、ダミーパターン23A〜26Aを設ける範囲、及び各ダミー配線の幅及びピッチは、配線パターン12Aのパターン形状や配線密度との兼ね合いで適宜設定すればよく、配線パターン12A及びダミーパターン23A〜26Aの全体で、特に幅方向に亘っての剛性ができるだけ均一になるように設計すればよいことは、上述した実施形態と同様である。
【0043】
(その他の実施形態)
以上説明した実施形態では、配線がテープ幅方向に並設されているが、配線がテープ長手方向に並設されていても、又は、斜めに並設されていても、配線長手方向にストライプ状のダミーパターンを、特に配線パターンの並設方向両側に設けることにより、同様な効果を奏することができる。
【0044】
また、上述した実施形態ではデバイスホールが1つ設けられた例を示したが、デバイスホールが2つ以上設けられたものでも、本発明に包含されることはいうまでもない。
【実施例】
【0045】
(実施例1)
実施形態1と同様な構造で、テープ幅70mm、一製品当たりのテープ長手方向の長さが57mmのフレキシブルプリント配線板(3層TABテープ)を製造した。出力側のアウターリード21bは、リード本数が400本でピッチが80μmとし、入力側のアウターリード22bは、リード本数が200本でピッチが250μmとした。また、出力側のインナーリード21aはピッチが60μmとし、入力側のインナーリード22aはピッチが80μmとした。なお、各ダミーパターン23〜36には、ピッチ750μmで各30本ずつのダミー配線を設けた。
【0046】
(実施例2)
実施形態2と同様な構造とした以外は、実施例1と同様にフレキシブルプリント配線板を製造した。
【0047】
(比較例1)
ダミーパターン23〜26の領域に、ベタの導体層を残した以外は、実施例1と同様にフレキシブルプリント配線板を製造した。
【0048】
(比較例2)
ダミーパターン23〜26の領域に、ベタの導体層を残した以外は、実施例2と同様にフレキシブルプリント配線板を製造した。
【0049】
(比較例3)
ダミーパターン23〜26の領域の導体層を全て除去した以外は、実施例1と同様にフレキシブルプリント配線板を製造した。
【0050】
(比較例4)
ダミーパターン23〜26の領域の導体層を全て除去した以外は、実施例2と同様にフレキシブルプリント配線板を製造した。
【0051】
(試験例)
各実施例及び各比較例のフレキシブルプリント配線板を各125m製造した後、ICチップを実装した。その後、全製品について電気検査を行って断線の有無を検査し、下記式から断線発生率を計算した。結果を表1に示す。
【0052】
断線発生率=100×(不良判定された製品数)/(検査実施製品数)
【0053】
この結果、ダミーパターン23〜26を設け、フレックススリット15A及び16Aの繋ぎ部18の位置をデバイスホール14の両端部からずらした実施例2の配線板では断線発生が全くなく、また、繋ぎ部18の位置はずらしていないが、ダミーパターン23〜26を設けた実施例1の配線板でも、断線発生率が1.6%と非常に小さかった。
【0054】
これに対し、ダミーパターンを設けないで、ベタの導体層を残した比較例1及び2や余白部の導体層を全て除去した比較例3及び4では、剛性の均一性がないため、断線発生率が何れも3%以上と高いものであった。
【0055】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施形態1に係るフィルムキャリアテープ(3層TABテープ)を示す概略平面図である。
【図2】本発明の実施形態2に係るフィルムキャリアテープ(3層TABテープ)を示す概略平面図である。
【図3】本発明の実施形態3に係るフィルムキャリアテープ(3層TABテープ)を示す概略平面図である。
【図4】フレキシブルプリント配線板の製造工程の様子を示す概略図である。
【図5】フレキシブルプリント配線板の一例の反りの様子を示す概略図である。
【符号の説明】
【0057】
10,10A,10B フレキシブルプリント配線板
11 絶縁フィルム
12,12A 配線パターン
13 スプロケット孔
14 デバイスホール
15,15A,16,16A フレックススリット
17 スリット
18,18A 繋ぎ部
23〜26,23A〜26A ダミーパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層と、この絶縁層の少なくとも一方面に積層された導体層をパターニングして形成され半導体チップが実装されると共に複数の配線が並設された配線パターンを具備するフレキシブルプリント配線板において、前記配線パターンが形成されていない余白領域に、ストライプ状のダミーパターンが当該フレキシブルプリント配線板の長手方向を基準にして幅方向に略対称に形成されていることを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
【請求項2】
請求項1において、前記ストライプ状のダミーパターンのダミー配線が、前記配線の並設方向に形成されていることを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記配線パターンが、前記配線が当該フレキシブルプリント配線板の長さ方向に亘って設けられたものであり、前記ダミーパターンは、前記配線の並設方向両側に配置されていることを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかにおいて、当該フレキシブルプリント配線板の幅が48mm以上の幅広配線板であることを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかにおいて、当該フレキシブルプリント配線板は、前記配線パターンのそれぞれの配線長手方向中央部の前記半導体チップを実装する領域にデバイスホールを有すると共に当該デバイスホールの長さ方向両側の少なくとも一方側に配線並設方向に並んだ複数のスリットからなる屈曲用のフレックススリットを具備し、当該フレックススリットは、各スリット間の繋ぎ部の配線並設方向の位置が、前記デバイスホールの配線並設方向両端の位置を幅方向にずれるように形成されていることを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
【請求項6】
請求項5において、前記ダミーパターンは、前記フレックススリットが設けられた領域で分割された状態で設けられていることを特徴とするフレキシブルプリント配線板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−196878(P2006−196878A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−352611(P2005−352611)
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【出願人】(000006183)三井金属鉱業株式会社 (1,121)
【Fターム(参考)】