ブッシュ及びこれを使用した送風機
【課題】径の異なる複数の電線に容易に対応することができ、さらに防虫・防塵性の能力を向上させることができるブッシュを提供すること。
【解決手段】この発明のブッシュによれば、電線引出孔10aの孔縁に嵌め合わされる嵌合溝8が外周部に形成された外枠3と、所定の間隔を空けて互いに対向する前面膜1及び後面膜2とを有し、前面膜1に形成され電線を通過させる第1の開口1aは、後面膜2に形成され電線を通過させる第2の開口2aよりも大きい。
【解決手段】この発明のブッシュによれば、電線引出孔10aの孔縁に嵌め合わされる嵌合溝8が外周部に形成された外枠3と、所定の間隔を空けて互いに対向する前面膜1及び後面膜2とを有し、前面膜1に形成され電線を通過させる第1の開口1aは、後面膜2に形成され電線を通過させる第2の開口2aよりも大きい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体を構成するパネル等に形成された電線を引き出すための電線引出孔に取り付けられ電線を保持するブッシュ及びこれを使用した送風機に関し、特に保持する電線の径の変化に対応でき、さらに防虫・防塵性の高いブッシュ及びこれを使用した送風機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1等で提案されているブッシュは、電線引出孔に嵌め込まれるリング状本体と、このリング状本体の前後に設けられた前面膜及び後面膜とを備えており、この前面膜と後面膜は、電線を貫通させて保持する目的で、同一径の開口を中央部にそれぞれ形成している。
【0003】
【特許文献1】実開平5−25617号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような構造の従来のブッシュにおいては、前面膜と後面膜とに同一径の開口を設けているため使用可能な電線の径は狭い範囲に限られていた。そのため、開口の径が異なる複数のブッシュを必要としたり、電線径に合わせて前面膜と後面膜の開口を追加工にて開け直すことを必要としたりするといった課題があった。
【0005】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、径の異なる複数の電線に容易に対応することができ、さらに防虫・防塵性の能力を向上させることができるブッシュを提供することを目的とする。また、このブッシュを使用した送風機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明のブッシュは、電線を引き出す電線引出孔に取り付けられ、電線引出孔の孔縁に沿って延在し、外周部に孔縁に嵌め合わされる嵌合溝が形成された外枠と、外枠の前後開口からそれぞれ内側に延び、所定の間隔を空けて互いに対向する前面膜及び後面膜とを有し、前面膜及び後面膜はそれぞれ電線を通過させる開口を有しており、前面膜及び後面膜のいずれか一方に形成された第1の開口は、他方に設けられた第2の開口よりも大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のブッシュによれば、電線引出孔の孔縁に嵌め合わされる嵌合溝が外周部に形成された外枠と、所定の間隔を空けて互いに対向する前面膜及び後面膜とを有し、前面膜及び後面膜はそれぞれ電線を通過させる開口を有し、前面膜及び後面膜のいずれか一方に形成された第1の開口は、他方に設けられた第2の開口よりも大きいので、高い防虫・防塵性能を保ちながら、径の異なる複数の電線に容易に対応することができるという効果を奏する。また、開口の径が異なる複数のブッシュを用意する必要がなくなるとともに、電線径に合わせて前面膜と後面膜の開口を追加工にて開け直す必要もなくなるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明にかかるブッシュの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明にかかる実施の形態1のブッシュの正面図である。図2は、この発明にかかる実施の形態1のブッシュの背面図である。図3は、この発明にかかる実施の形態1のブッシュの上面図である。図4は、この発明にかかる実施の形態1のブッシュの縦断面図である。本実施の形態のブッシュ20は、弾性及び難燃性を有するゴム又は熱可塑性エラストマーなどを主成分として作製され、板金等の板部材により作製された機器カバーなどに設けられる電線を引き出すための電線引出孔(板部材端辺部に形成された切り欠き)に取り付けられる。ブッシュ20は、概略U字状(角部が丸められたコ字状)に湾曲する外枠3と、外枠3の前側の開口から内側に向かって半円平面状に延びて形成された前面膜1と、外枠3の後側の開口から内側に向かって半円平面状に延びて形成された後面膜2とから構成されている。外枠3の外周部には、電線引出孔に装着されたときに、この電線引出孔の孔縁に嵌め合わされる嵌合溝8が全長にわたって形成されている(図3、図4)。嵌合溝8の幅は、電線引出孔と間の密閉が確実となるように電線引出孔が形成される板部材の厚さと同じか若干小さい。
【0010】
前面膜1と後面膜2とは、互いに平行になるように広がり、所定の間隔Sを空けて対向している(図4)。前面膜1と後面膜2とは、可撓性を有するように薄く成形されている。前面膜1の外枠3開口側の中央部には、図示しない電線を通過させる開口として、概略長円を長手方向に半分に分割した形状の第1の開口1aが形成されている。同じく後面膜2の中央部には、同じように電線を通過させる開口として、概略半円形状の第2の開口2aが形成されている。第2の開口2aの開口縁の中央部に切り込み2bが設けられている。切り込み2bは、第1の開口1aの径を超える位置まで延びている(図4)。前面膜1と後面膜2とは、第1の開口1aと第2の開口2aが形成されたことにより、各々太さの大きいU字状を成している。U字状の両端部に形成された直線状の端辺1b,2cは、後述のようにブッシュ20が装着されているカバー側面が、取付面に取り付けられたとき、その取付面に密着する。
【0011】
図5は、電線が貫通したブッシュ20の様子を前方から見た斜視図である。図6は、電線が貫通したブッシュ20の様子を後方から見た斜視図である。電線6は複数本の芯線6aが一体に被覆されて構成されている。電線6は結束された芯線6aの数により径(断面積)が変わる。図5及び図6に示す電線6は最大径のものである(芯線6aの数は3本に省略されている)。
【0012】
本実施の形態においては、前面膜1に設けられた第1の開口1aの大きさは、電線6の最大径に対応するように、電線6の最大径と概略等しい大きさとされている。また、後面膜2に設けられた第2の開口2aの大きさは、電線6の最小径に対応するように、電線6の最小径と概略等しい大きさとされている。最大径の電線6に対してブッシュ20を使用する場合、第1の開口1aが製品の外方を向くようにブッシュ20を配置する。一方、最小径の電線6に対してブッシュ20を使用する場合、第2の開口2aが製品の外方を向くようにブッシュ20を配置する。なお、本実施の形態においては、前面膜1に第1の開口1aが設けられ、後面膜2に第2の開口2aが設けられているが、後面膜2に第1の開口1aが設けられ、前面膜1に第2の開口2aが設けられてもよい。
【0013】
第2の開口2aにおいては、電線6が最小径以上の径の場合、図6に示すように、切り込み2bが開き、また開口縁が必要な量だけ撓むことで電線6の周囲に隙間ができることなく電線6を適切に支持するようにされている。すなわち、第2の開口2aの開口縁は、可撓性に富むよう十分に薄く成形されており、さらに第2の開口2aの開口縁には切り込み2bが設けられているので、電線6が最小径以上の径の場合、容易に撓み、径の異なる複数の電線6に適切に対応することができる。これにより、開口の径が異なる複数のブッシュを用意する必要がなくなるとともに、電線径に合わせて前面膜と後面膜の開口を追加工する必要もなくなる。なお、本実施の形態において、第2の開口2aの開口縁に設けられた切り込み2bは1箇所であるが、切り込み2bは適宜数を増やして設けられてもよい。
【0014】
図7は、カバー側面10にブッシュ20を取り付ける様子を示す斜視図である。図8は、カバー側面10にブッシュ20を取り付けた様子を示す斜視図である。カバー側面10は、例えば、一面を開放した直方体箱状を成し筐体外壁に設けられた端子台などを覆うカバーの一側面である。本実施の形態の電線引出孔10aは、図7に示すように板部材であるカバー側面10の端辺部に設けられた切り欠きである。電線引出孔10aは、長円を長手方向に半分に分割したような偏平なU字状を成しており、ブッシュ20の外枠3は、この電線引出孔10aと相似形のU字状を成しており、電線引出孔10aに取り付けられた際、電線引出孔10aの孔縁に嵌合溝8を嵌め合わせて密着する。
【0015】
本実施の形態のブッシュ20は、外枠3の両端部外周に係合突起7を有している。一方、電線引出孔10aが形成されたカバー側面10は、図示しない機器筐体へ安定して取り付けられるために、電線引出孔10a以外の部分の端縁が全周にわたって折り曲げられ、これにより折り曲げ部11が形成されている。折り曲げ部11は、ブッシュ20が電線引出孔10aに取り付けられた際、係合突起7と係合する被係合部を構成している。係合突起7は、折り曲げ部11に係合することでブッシュ20の脱落を抑制する。
【0016】
このように本実施の形態のブッシュ20は、電線引出孔10aに設けられた折り曲げ部11に係合して電線引出孔10aからの脱落を抑制する係合突起7を有しているので、一度電線引出孔10aに装着されたブッシュ20は脱落することがなく、作業性を向上させる。また、ブッシュ20の紛失等もなくなる。なお、ブッシュ20は、上記のように、最大径の電線6に対してブッシュ20を使用する場合と、最小径の電線6に対してブッシュ20を使用する場合とでその向きが反対となるので、どちらの向きでも折り曲げ部11と係合可能なように、係合突起7は嵌合溝8を挟んで対向する位置に合計で4個が設けられている(図3)。
【0017】
さらに、係合突起7の外枠3湾曲部側は、ブッシュ20を電線引出孔10aに装着し易くするために傾斜面7aとなっている。また、傾斜面7aと反対側は、折り曲げ部11と良好に係合するように、折り曲げ部11と平行となる平面7bとなっている。なお、本実施の形態においては、平面7bを、ブッシュの開口側の端辺1b,2cに対して、折り曲げ部11の板厚以上退いた位置に形成している。これは、端辺1b,2cが折り曲げ部11の裏面よりも突出するようにして、端辺1b,2cが取付面に確実に密着して隙間ができないようにするためである。
【0018】
実施の形態2.
図9は、この発明にかかるブッシュが送風機に取り付けられた様子を示すものであり、送風機筐体に設けられた端子台をカバーを透過して見る斜視図である。図10は、図9の端子台の部分を拡大して示すものであり、送風機筐体に設けられた端子台をカバーを透過して見る斜視図である。
【0019】
送風機16の筐体外面に端子台12が固定されている。一面を開放した直方体箱状のカバー13が端子台12を覆っている。カバー13の一側面であるカバー側面10に端子台12から延びる電線6を引き出す電線引出孔が形成されている。実施の形態1と同様なブッシュ20がこの電線引出孔に装着されている。
【0020】
カバー13は、送風機16の筐体外面に安定して取り付けられるために、電線引出孔以外の部分の開口部端縁が全周にわたって折り曲げられており、これにより折り曲げ部11が形成されている。ブッシュ20の両端部外周に設けられた係合突起7は、ブッシュ20がカバー側面10に取り付けられた際、折り曲げ部11と係合する。ブッシュ20は、カバー側面10と送風機16の筐体外面との間に挟まれ、電線6周囲の隙間を密閉する。これにより、防虫・防塵性の能力を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明のブッシュは、筐体を構成するパネル等に形成された電線を引き出すための電線引出孔に取り付けられ、電線を保持するブッシュに適用されて有用なものであり、特に保持する電線の径の変化に対応することが要求され、さらに高い防虫・防塵性を要求されるブッシュに適用されて最適なものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明にかかる実施の形態1のブッシュの正面図である。
【図2】この発明にかかる実施の形態1のブッシュの背面図である。
【図3】この発明にかかる実施の形態1のブッシュの上面図である。
【図4】この発明にかかる実施の形態1のブッシュの縦断面図である。
【図5】電線が貫通したブッシュの様子を前方から見た斜視図である。
【図6】電線が貫通したブッシュの様子を後方から見た斜視図である。
【図7】カバー側面にブッシュを取り付ける様子を示す斜視図である。
【図8】カバー側面にブッシュを取り付けた様子を示す斜視図である。
【図9】この発明にかかるブッシュが送風機に取り付けられた様子を示す、送風機筐体に設けられた端子台をカバーを透過して見る斜視図である。
【図10】図9の端子台の部分を拡大して示す、送風機筐体に設けられた端子台をカバーを透過して見る斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
1 前面膜
1a 第1の開口
1b 端辺
2 後面膜
2a 第2の開口
2b 切り込み
2c 端辺
3 外枠
6 電源電線(電線)
7 係合突起
7a 傾斜面
7b 平面
8 嵌合溝
10 カバー側面(板部材)
10a カバー側面の端辺部に設けられた切り欠き(電線引出孔)
11 折り曲げ部(被係合部)
12 端子台
13 カバー(取付部品)
16 送風機
20 ブッシュ
S 間隔
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体を構成するパネル等に形成された電線を引き出すための電線引出孔に取り付けられ電線を保持するブッシュ及びこれを使用した送風機に関し、特に保持する電線の径の変化に対応でき、さらに防虫・防塵性の高いブッシュ及びこれを使用した送風機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1等で提案されているブッシュは、電線引出孔に嵌め込まれるリング状本体と、このリング状本体の前後に設けられた前面膜及び後面膜とを備えており、この前面膜と後面膜は、電線を貫通させて保持する目的で、同一径の開口を中央部にそれぞれ形成している。
【0003】
【特許文献1】実開平5−25617号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような構造の従来のブッシュにおいては、前面膜と後面膜とに同一径の開口を設けているため使用可能な電線の径は狭い範囲に限られていた。そのため、開口の径が異なる複数のブッシュを必要としたり、電線径に合わせて前面膜と後面膜の開口を追加工にて開け直すことを必要としたりするといった課題があった。
【0005】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、径の異なる複数の電線に容易に対応することができ、さらに防虫・防塵性の能力を向上させることができるブッシュを提供することを目的とする。また、このブッシュを使用した送風機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明のブッシュは、電線を引き出す電線引出孔に取り付けられ、電線引出孔の孔縁に沿って延在し、外周部に孔縁に嵌め合わされる嵌合溝が形成された外枠と、外枠の前後開口からそれぞれ内側に延び、所定の間隔を空けて互いに対向する前面膜及び後面膜とを有し、前面膜及び後面膜はそれぞれ電線を通過させる開口を有しており、前面膜及び後面膜のいずれか一方に形成された第1の開口は、他方に設けられた第2の開口よりも大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のブッシュによれば、電線引出孔の孔縁に嵌め合わされる嵌合溝が外周部に形成された外枠と、所定の間隔を空けて互いに対向する前面膜及び後面膜とを有し、前面膜及び後面膜はそれぞれ電線を通過させる開口を有し、前面膜及び後面膜のいずれか一方に形成された第1の開口は、他方に設けられた第2の開口よりも大きいので、高い防虫・防塵性能を保ちながら、径の異なる複数の電線に容易に対応することができるという効果を奏する。また、開口の径が異なる複数のブッシュを用意する必要がなくなるとともに、電線径に合わせて前面膜と後面膜の開口を追加工にて開け直す必要もなくなるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明にかかるブッシュの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明にかかる実施の形態1のブッシュの正面図である。図2は、この発明にかかる実施の形態1のブッシュの背面図である。図3は、この発明にかかる実施の形態1のブッシュの上面図である。図4は、この発明にかかる実施の形態1のブッシュの縦断面図である。本実施の形態のブッシュ20は、弾性及び難燃性を有するゴム又は熱可塑性エラストマーなどを主成分として作製され、板金等の板部材により作製された機器カバーなどに設けられる電線を引き出すための電線引出孔(板部材端辺部に形成された切り欠き)に取り付けられる。ブッシュ20は、概略U字状(角部が丸められたコ字状)に湾曲する外枠3と、外枠3の前側の開口から内側に向かって半円平面状に延びて形成された前面膜1と、外枠3の後側の開口から内側に向かって半円平面状に延びて形成された後面膜2とから構成されている。外枠3の外周部には、電線引出孔に装着されたときに、この電線引出孔の孔縁に嵌め合わされる嵌合溝8が全長にわたって形成されている(図3、図4)。嵌合溝8の幅は、電線引出孔と間の密閉が確実となるように電線引出孔が形成される板部材の厚さと同じか若干小さい。
【0010】
前面膜1と後面膜2とは、互いに平行になるように広がり、所定の間隔Sを空けて対向している(図4)。前面膜1と後面膜2とは、可撓性を有するように薄く成形されている。前面膜1の外枠3開口側の中央部には、図示しない電線を通過させる開口として、概略長円を長手方向に半分に分割した形状の第1の開口1aが形成されている。同じく後面膜2の中央部には、同じように電線を通過させる開口として、概略半円形状の第2の開口2aが形成されている。第2の開口2aの開口縁の中央部に切り込み2bが設けられている。切り込み2bは、第1の開口1aの径を超える位置まで延びている(図4)。前面膜1と後面膜2とは、第1の開口1aと第2の開口2aが形成されたことにより、各々太さの大きいU字状を成している。U字状の両端部に形成された直線状の端辺1b,2cは、後述のようにブッシュ20が装着されているカバー側面が、取付面に取り付けられたとき、その取付面に密着する。
【0011】
図5は、電線が貫通したブッシュ20の様子を前方から見た斜視図である。図6は、電線が貫通したブッシュ20の様子を後方から見た斜視図である。電線6は複数本の芯線6aが一体に被覆されて構成されている。電線6は結束された芯線6aの数により径(断面積)が変わる。図5及び図6に示す電線6は最大径のものである(芯線6aの数は3本に省略されている)。
【0012】
本実施の形態においては、前面膜1に設けられた第1の開口1aの大きさは、電線6の最大径に対応するように、電線6の最大径と概略等しい大きさとされている。また、後面膜2に設けられた第2の開口2aの大きさは、電線6の最小径に対応するように、電線6の最小径と概略等しい大きさとされている。最大径の電線6に対してブッシュ20を使用する場合、第1の開口1aが製品の外方を向くようにブッシュ20を配置する。一方、最小径の電線6に対してブッシュ20を使用する場合、第2の開口2aが製品の外方を向くようにブッシュ20を配置する。なお、本実施の形態においては、前面膜1に第1の開口1aが設けられ、後面膜2に第2の開口2aが設けられているが、後面膜2に第1の開口1aが設けられ、前面膜1に第2の開口2aが設けられてもよい。
【0013】
第2の開口2aにおいては、電線6が最小径以上の径の場合、図6に示すように、切り込み2bが開き、また開口縁が必要な量だけ撓むことで電線6の周囲に隙間ができることなく電線6を適切に支持するようにされている。すなわち、第2の開口2aの開口縁は、可撓性に富むよう十分に薄く成形されており、さらに第2の開口2aの開口縁には切り込み2bが設けられているので、電線6が最小径以上の径の場合、容易に撓み、径の異なる複数の電線6に適切に対応することができる。これにより、開口の径が異なる複数のブッシュを用意する必要がなくなるとともに、電線径に合わせて前面膜と後面膜の開口を追加工する必要もなくなる。なお、本実施の形態において、第2の開口2aの開口縁に設けられた切り込み2bは1箇所であるが、切り込み2bは適宜数を増やして設けられてもよい。
【0014】
図7は、カバー側面10にブッシュ20を取り付ける様子を示す斜視図である。図8は、カバー側面10にブッシュ20を取り付けた様子を示す斜視図である。カバー側面10は、例えば、一面を開放した直方体箱状を成し筐体外壁に設けられた端子台などを覆うカバーの一側面である。本実施の形態の電線引出孔10aは、図7に示すように板部材であるカバー側面10の端辺部に設けられた切り欠きである。電線引出孔10aは、長円を長手方向に半分に分割したような偏平なU字状を成しており、ブッシュ20の外枠3は、この電線引出孔10aと相似形のU字状を成しており、電線引出孔10aに取り付けられた際、電線引出孔10aの孔縁に嵌合溝8を嵌め合わせて密着する。
【0015】
本実施の形態のブッシュ20は、外枠3の両端部外周に係合突起7を有している。一方、電線引出孔10aが形成されたカバー側面10は、図示しない機器筐体へ安定して取り付けられるために、電線引出孔10a以外の部分の端縁が全周にわたって折り曲げられ、これにより折り曲げ部11が形成されている。折り曲げ部11は、ブッシュ20が電線引出孔10aに取り付けられた際、係合突起7と係合する被係合部を構成している。係合突起7は、折り曲げ部11に係合することでブッシュ20の脱落を抑制する。
【0016】
このように本実施の形態のブッシュ20は、電線引出孔10aに設けられた折り曲げ部11に係合して電線引出孔10aからの脱落を抑制する係合突起7を有しているので、一度電線引出孔10aに装着されたブッシュ20は脱落することがなく、作業性を向上させる。また、ブッシュ20の紛失等もなくなる。なお、ブッシュ20は、上記のように、最大径の電線6に対してブッシュ20を使用する場合と、最小径の電線6に対してブッシュ20を使用する場合とでその向きが反対となるので、どちらの向きでも折り曲げ部11と係合可能なように、係合突起7は嵌合溝8を挟んで対向する位置に合計で4個が設けられている(図3)。
【0017】
さらに、係合突起7の外枠3湾曲部側は、ブッシュ20を電線引出孔10aに装着し易くするために傾斜面7aとなっている。また、傾斜面7aと反対側は、折り曲げ部11と良好に係合するように、折り曲げ部11と平行となる平面7bとなっている。なお、本実施の形態においては、平面7bを、ブッシュの開口側の端辺1b,2cに対して、折り曲げ部11の板厚以上退いた位置に形成している。これは、端辺1b,2cが折り曲げ部11の裏面よりも突出するようにして、端辺1b,2cが取付面に確実に密着して隙間ができないようにするためである。
【0018】
実施の形態2.
図9は、この発明にかかるブッシュが送風機に取り付けられた様子を示すものであり、送風機筐体に設けられた端子台をカバーを透過して見る斜視図である。図10は、図9の端子台の部分を拡大して示すものであり、送風機筐体に設けられた端子台をカバーを透過して見る斜視図である。
【0019】
送風機16の筐体外面に端子台12が固定されている。一面を開放した直方体箱状のカバー13が端子台12を覆っている。カバー13の一側面であるカバー側面10に端子台12から延びる電線6を引き出す電線引出孔が形成されている。実施の形態1と同様なブッシュ20がこの電線引出孔に装着されている。
【0020】
カバー13は、送風機16の筐体外面に安定して取り付けられるために、電線引出孔以外の部分の開口部端縁が全周にわたって折り曲げられており、これにより折り曲げ部11が形成されている。ブッシュ20の両端部外周に設けられた係合突起7は、ブッシュ20がカバー側面10に取り付けられた際、折り曲げ部11と係合する。ブッシュ20は、カバー側面10と送風機16の筐体外面との間に挟まれ、電線6周囲の隙間を密閉する。これにより、防虫・防塵性の能力を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明のブッシュは、筐体を構成するパネル等に形成された電線を引き出すための電線引出孔に取り付けられ、電線を保持するブッシュに適用されて有用なものであり、特に保持する電線の径の変化に対応することが要求され、さらに高い防虫・防塵性を要求されるブッシュに適用されて最適なものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】この発明にかかる実施の形態1のブッシュの正面図である。
【図2】この発明にかかる実施の形態1のブッシュの背面図である。
【図3】この発明にかかる実施の形態1のブッシュの上面図である。
【図4】この発明にかかる実施の形態1のブッシュの縦断面図である。
【図5】電線が貫通したブッシュの様子を前方から見た斜視図である。
【図6】電線が貫通したブッシュの様子を後方から見た斜視図である。
【図7】カバー側面にブッシュを取り付ける様子を示す斜視図である。
【図8】カバー側面にブッシュを取り付けた様子を示す斜視図である。
【図9】この発明にかかるブッシュが送風機に取り付けられた様子を示す、送風機筐体に設けられた端子台をカバーを透過して見る斜視図である。
【図10】図9の端子台の部分を拡大して示す、送風機筐体に設けられた端子台をカバーを透過して見る斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
1 前面膜
1a 第1の開口
1b 端辺
2 後面膜
2a 第2の開口
2b 切り込み
2c 端辺
3 外枠
6 電源電線(電線)
7 係合突起
7a 傾斜面
7b 平面
8 嵌合溝
10 カバー側面(板部材)
10a カバー側面の端辺部に設けられた切り欠き(電線引出孔)
11 折り曲げ部(被係合部)
12 端子台
13 カバー(取付部品)
16 送風機
20 ブッシュ
S 間隔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線を引き出す電線引出孔に取り付けられ、前記電線引出孔の孔縁に沿って延在し、外周部に当該孔縁に嵌め合わされる嵌合溝が形成された外枠と、
前記外枠の前後開口からそれぞれ内側に延び、所定の間隔を空けて互いに対向する前面膜及び後面膜とを有し、
前記前面膜及び前記後面膜はそれぞれ電線を通過させる開口を有しており、
前記前面膜及び前記後面膜のいずれか一方に形成された第1の開口は、他方に設けられた第2の開口よりも大きい
ことを特徴とするブッシュ。
【請求項2】
前記第2の開口の開口縁に少なくとも1箇所の切り込みが設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のブッシュ。
【請求項3】
前記第1の開口の大きさが電線の最大径に概略等しく、前記第2の開口の大きさが電線の最小径に概略等しい
ことを特徴とする請求項1または2に記載のブッシュ。
【請求項4】
前記電線引出孔が板部材の端辺部に形成された概略U字状の孔であり、前記外枠は前記U字状の孔の孔縁に沿って延在する概略U字状を成す
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のブッシュ。
【請求項5】
前記外枠は、前記板部材の前記電線引出孔の両端部に設けられた被係合部に係合して前記電線引出孔からの脱落を抑制する係合突起を両端部外周に有している
ことを特徴とする請求項4に記載のブッシュ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のブッシュを使用した送風機。
【請求項1】
電線を引き出す電線引出孔に取り付けられ、前記電線引出孔の孔縁に沿って延在し、外周部に当該孔縁に嵌め合わされる嵌合溝が形成された外枠と、
前記外枠の前後開口からそれぞれ内側に延び、所定の間隔を空けて互いに対向する前面膜及び後面膜とを有し、
前記前面膜及び前記後面膜はそれぞれ電線を通過させる開口を有しており、
前記前面膜及び前記後面膜のいずれか一方に形成された第1の開口は、他方に設けられた第2の開口よりも大きい
ことを特徴とするブッシュ。
【請求項2】
前記第2の開口の開口縁に少なくとも1箇所の切り込みが設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のブッシュ。
【請求項3】
前記第1の開口の大きさが電線の最大径に概略等しく、前記第2の開口の大きさが電線の最小径に概略等しい
ことを特徴とする請求項1または2に記載のブッシュ。
【請求項4】
前記電線引出孔が板部材の端辺部に形成された概略U字状の孔であり、前記外枠は前記U字状の孔の孔縁に沿って延在する概略U字状を成す
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のブッシュ。
【請求項5】
前記外枠は、前記板部材の前記電線引出孔の両端部に設けられた被係合部に係合して前記電線引出孔からの脱落を抑制する係合突起を両端部外周に有している
ことを特徴とする請求項4に記載のブッシュ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のブッシュを使用した送風機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2010−146811(P2010−146811A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−321309(P2008−321309)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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