ブレーキブースタ
本発明は、ブレーキペダルで、および、ドライバの入力に応じて及びドライバの入力から独立して電子制御装置で作動可能なブレーキバイワイヤ形式の自動車ブレーキシステム用サーボブレーキに関し、サーボブレーキの入力部材におけるブレーキペダル又はブレーキペダルに強固に結合されたサーボ部材の連結が、入力部材との関係でブレーキペダルまたはブレーキペダルに強固に接続されたサーボ部材の制限された相対移動を可能とし、これにより、ブレーキペダルまたはブレーキペダルに強固に結合されたサーボ部材との間の分離が、特にブレーキバイワイヤ作動モードで確保されるように構成される。サーボ部材と入力部材との間のサーボブレーキの作動で生じる摩擦を低減するため、本発明は、サーボ部材(10)がブレーキペダル(4)に強固に結合され、及び/又は、サーボブレーキの入力部材(7)に2つの部材(10,7又は8)が相対移動する領域に、これらの部材(10,7又は8)の相互に対する相対移動で形成される摩擦を低減する手段が設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキバイワイヤタイプの自動車ブレーキシステム用ブレーキブースタに関し、ブレーキペダルと、ドライバの要請の機能およびドライバの意思からは独立した電子制御ユニットとの双方により作動可能で、ブレーキブースタの入力部材に対するブレーキペダル又はこのブレーキペダルに常時接続される力伝達部材の連結が、ブレーキペダルまたはこのブレーキペダルに常時接続される力伝達部材の入力部材に対する制限された相対移動を可能とし、これが、特にブレーキバイワイヤ作動モードで、ブレーキペダルまたはこのブレーキペダルに常時接続される力伝達部材との間の力伝達の分離を確実にするように、行われるブレーキブースタに関する。
【背景技術】
【0002】
この形式のブレーキブースタは、特許文献1に記載されている。従来公知のブレーキブースタの入力部材を形成するピストンロッドが、長手方向の開口を有し、この開口がブレーキペダルに常時結合されるボルトを保持する。この長手方向の開口は、ボルトまたはブレーキペダルに対する入力部材の制限された相対移動を許容し、この結果、ドライブスリップ制御の際にブレーキブースタが使用されたとき、または、ドライバの意思からは独立して作動されたときに、ブレーキペダルを静止させたまま、入力部材が作動方向に移動する。入力部材とボルトとの間に大きな摩擦が発生すると、これらの部材の磨耗量を増大させ、これらを腐食させ、車両のドライバに不快で破壊を生じたかのような感覚を生じさせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】ヨーロッパ特許EP0417945B1
【発明の概要】
【0004】
したがって、本発明の目的は、上記の一般的形式のブレーキブースタを改善し、上述の不都合の大部分を防止することが可能とすることにある。
【0005】
この目的を達成する本発明は、ブレーキペダルに常時接続される力伝達部及び/又はブレーキブースタの入力部材が、2つの部材の相互に対する相対移動領域に、相互に対する部材の相対移動中に発生する摩擦を低減する手段を設けられる。
【0006】
本発明の有益な発展例が従属形式の請求項2から13に特定されている。
【0007】
本発明の他の特徴および利点は、添付図面を参照する以下の10の実施形態の説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明によるブレーキブースタを備えたブレーキバイワイヤの自動車ブレーキシステムの作動ユニットを立体的に示す図を示す。
【図2】図2の(a),(b)は、それぞれ本発明の主題の第1の実施形態の側面図および前面図を示す。
【図3】図3の(a),(b)は、それぞれ本発明の主題の第2の実施形態の側面図および前面図を示す。
【図4】図4の(a),(b)は、それぞれ本発明の主題の第3の実施形態の側面図および平面図を示す。
【図5】本発明の主題の第4の実施形態の側面図を示す。
【図6】図6の(a),(b)は、それぞれ本発明の主題の第5の実施形態の側面図および前面図を示す。
【図7】図7の(a),(b)は、それぞれそれぞれ本発明の主題の第6の実施形態の立体図を示す。
【図8】図8の(a),(b),(c)は、それぞれ本発明の主題の第7の実施形態のスライドシューの細部の2つの立体図および説明図を示す。
【図9】図9の(a),(b),(c)は、それぞれ本発明の主題の第8の実施形態のスライドシュー、緩衝部材および固定部材の2つの立体図および展開図を示す。
【図10】本発明の主題の第9の実施形態の立体図を示す。
【図11】図11の(a),(b),(c)は、それぞれ本発明の主題の第10の実施形態のスライドブロックの細部の立体図、平面図および説明図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に示す作動ユニットは、負圧式ブレーキブースタ1が好ましいブレーキブースタと、タンデム型マスターシリンダ2が好ましいマスターシリンダとを備え、このマスターシリンダはブレーキブースタ1の下流側に接続され、このマスターシリンダの圧力側は、液圧開ループおよび閉ループを形成する制御ユニット(いずれも図示しない)の中間接続部に接続され、更に、マスターシリンダ2に設けられた圧力媒体リザーバ3を備える。ブレーキブースタ1を作動するために、ドライバによりブレーキペダル4が使用され、特にブレーキバイワイヤ(brake-by-wire)作動モードでブレーキペダル4と共に作用してドライバに通常のブレーキペダル感覚を与えるペダル移動距離シミュレータ5(図示のみ)が設けられている。どのようなドライバの減速要求及び/又はブレーキペダル4の作動距離が、少なくとも1つのセンサ装置6で検出され、この信号は電子制御ユニット(図示しない)に供給される。電子制御ユニットの出力信号は、特にブレーキブースタ1に設けられた電磁石を作動するために使用することができ、この電磁石により、ブレーキブースタ1に供給する空気を制御する空圧制御値(pneumatic control value)を、ドライバの意思から独立して作動(activate)させることができる。
【0010】
ブレーキペダル4に連結された入力部材、または、上述の制御弁を作動するためにドライバによって用いられるピストンロッド7は、ピストンロッドヘッド8を有し、この中に長手方向開口9が形成されている。この長手方向開口9は力伝達部10を保持し、この力伝達部はブレーキペダル4に接続され、ボルトとして具体化されている。これにより、上述の部材8,10は、ブレーキバイワイヤ作動モードにおけるブレーキペダル4とブレーキブースタ1との間の力伝達接続の分離を確実にする軸方向間隙または距離aが、図中左に示す長手方向開口9の境界部とボルト10との間に設けられるように、配置される。ボルト10と、長手方向開口9の図中左の境界との間に設けられた軸方向間隙または距離bは、ブレーキブースタ1がドライバの意思から独立して作動されたときに、ブレーキペダル4がこれに沿って移動するのを防止する。ブレーキブースタ1のブースト力が作用する可動壁の移動、又は、マスターシリンダ2の第1ピストン(図示しない)にその出力を伝達するブレーキブースタ1の出力部材の移動を検出するために移動センサ11が用いられる。
【0011】
ペダル移動シミュレータ5は、上述のように、ブレーキバイワイヤ作動モードで、ブレーキブースタ1の作動とは独立してブレーキペダル4に作用する戻し力をシミュレートすることができ、これは具体的には、ブレーキバイワイヤ作動モードで、ブレーキペダル4とブレーキブースタ1との間の力伝達接続の分離中に作動することができ、概略的にのみ示す作動および不作動装置12により、ブレーキバイワイヤモード以外で不作動とされるように、形成される。
【0012】
本発明の主題(subject matter)の第1の実施形態(図2の(a),(b)に示す)では、ピストンロッドヘッド8の長手方向ガイド開口9に、摺動特性の良好なプラスチック製ライニング13が設けられ、このライニング13は、互いに対して相対移動したときに、ピストンロッドヘッド8とボルト10との間に発生する摩擦を最小とする。
【0013】
図3の(a),(b)および図4の(a),(b)に示す本発明の実施形態では、ボルト10は、ピストンロッドヘッド8内で案内される領域内に、摺動特性の良好な材料で形成された層14が設けられる。ピストンロッドヘッド8は、ここでは開口フォークヘッドとして形成してあり、ボルト10の周部に部分的に係合し、その開口端に閉鎖部材15が設けられ、この閉鎖部材は、例えばラッチ接続(latching connection)16により、確実にロックする態様でフォークヘッドに接続される。このため、閉鎖部材15は、フォークヘッド8に形成された背面に係合し、対応する形状に形成されたラッチ係合用突起17を有する。ボルト10は、溶接接続部18(図2の(b)、図4の(b))によりブレーキペダル4に常時接続され、または、セルフロックねじ付ナット19(図3の(b))によりブレーキペダル4に取付けることができる。
【0014】
本発明の他の実施形態(図5および6参照)では、ピストンロッドヘッド8は軸方向ボルト20として形成され、このボルトはブレーキペダル4に配置されたガイド21,22内を案内される。図5に示す実施形態では、ガイド21は、2つの摺動セグメント21a,21bを有し、これらの摺動セグメントは互いに対向配置され、一方、ボルト20は、図6に支援す変形例では摺動層23を設けられている。特に図6の(b)から明らかなように、ガイド22はブレーキペダル4に溶接されている。
【0015】
図7の(a),(b)に示す他の変形例では、1本アームピストンロッドヘッド80に摺動面24,25を設けられ、これらの摺動面は好適なプラスチックからなり、このプラスチックで、ピストンロッドヘッド80は、図示のボルト26を案内するその領域を射出成形により被包(encapsulate)される。ブレーキペダル(図示しない)から離隔する側を向くピストンロッドヘッド80の端部に配置され、この上で、ボルト26の比較的大きな径半径方向カラー28が作動行程の終わりで衝突する緩衝部材27が、ブレーキペダルストップを緩衝するために使用される。ボルト26を固定するために、ねじ付ナット26lが設けられる。
【0016】
図8の(a)−(c)に示す実施形態では、ピストンロッドヘッド81が、圧延部材(milled part)の形態の2本アームフォークヘッドとして形成されている。しかし、フォークヘッドを溶接屈曲部材(welded bent part)として形成することも可能である。上述の摩擦を低減するために、スライドシュー29,30が設けられ、これらのスライドシューは内側からフォークヘッドに装着することができ、例えばラッチ部材31による等、確実にロック係合する接続により、これに接続することができる。ブレーキペダル4に向くスライドシュー29,30の面は、作動中にブレーキペダル4の効果的な案内を確実に行う。図示の変形例では、ボルト32は2つ又はそれ以上の部材で形成されており、固定部材35a,35bで固定された弾性緩衝部材33,34により、そのストッパがフォークヘッド上で緩衝される。これに代え、1つの緩衝部材(図示しない)をそのアーム間でフォークヘッド81の前部領域に配置することができる。
【0017】
図9の(a)−(c)に示す例示的な実施形態では、スライドシュー129,130がフォークヘッド108上に差し込まれ、図8の(a),(b)との関連説明した固定部材35により固定され、この固定部材は更に、ボルト131またはその固定ナット134のストッパを緩衝し、これによりフォークヘッド108の端部でその位置を固定するために、弾性緩衝部材133を取付固定する。図9の(a)に示すフォークヘッド108は2本アームの圧延部材で形成されているが、図9の(b)に示すフォークヘッド108aは1本アーム構造に形成されている。図9の(c)は、スライドシュー130、緩衝部材133、および、固定部材35a,35bを示し、これはフォークヘッド108,108aの双方の実施形態に用いることができる。スライドシュー129,130のラッチ配置は、固定部材35をオフセットさせ、したがって、ボルト131aのサイズに適合させることを可能とする。
【0018】
図10に示す本発明の主題の第9の例示的な実施形態のデザインは、図9の(a)に示す実施形態にほぼ対応する。上述の2つの実施形態における主たる相違は、フォークヘッドのデザインであり、図10のデザインでは、一端で開き、そのアーム上に、緩衝部材−,138用の固定部材35a,bで固定されるスリーブ状のスライドシュー135a,135b,136a,136bが差し込まれるフォークヘッド108cとして形成されている。勿論、上述のスライドシューは、射出成形することにより、好適なプラスチックフォークヘッド108cを被包して製造することができる。
【0019】
最後に、図11の(a),(b),(c)に示す第10の実施形態では、その端部が閉じられたフォークヘッド109は、2本アームの圧延部材として形成されており、互いに反対側に配置されたその長手方向開口内で、スライドブロック110,111が案内され、これらのスライドブロック110,111はボルト131の両端部に配置される。フォークヘッド109の外側に配置されたボルト132の部材112,113は、先の例と同様に、緩衝部材114,115と共に作用する。これに代え、対応した形状のスライドブロック110,111も、ブレーキペダル4のストッパとして用いることができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキバイワイヤタイプの自動車ブレーキシステム用ブレーキブースタに関し、ブレーキペダルと、ドライバの要請の機能およびドライバの意思からは独立した電子制御ユニットとの双方により作動可能で、ブレーキブースタの入力部材に対するブレーキペダル又はこのブレーキペダルに常時接続される力伝達部材の連結が、ブレーキペダルまたはこのブレーキペダルに常時接続される力伝達部材の入力部材に対する制限された相対移動を可能とし、これが、特にブレーキバイワイヤ作動モードで、ブレーキペダルまたはこのブレーキペダルに常時接続される力伝達部材との間の力伝達の分離を確実にするように、行われるブレーキブースタに関する。
【背景技術】
【0002】
この形式のブレーキブースタは、特許文献1に記載されている。従来公知のブレーキブースタの入力部材を形成するピストンロッドが、長手方向の開口を有し、この開口がブレーキペダルに常時結合されるボルトを保持する。この長手方向の開口は、ボルトまたはブレーキペダルに対する入力部材の制限された相対移動を許容し、この結果、ドライブスリップ制御の際にブレーキブースタが使用されたとき、または、ドライバの意思からは独立して作動されたときに、ブレーキペダルを静止させたまま、入力部材が作動方向に移動する。入力部材とボルトとの間に大きな摩擦が発生すると、これらの部材の磨耗量を増大させ、これらを腐食させ、車両のドライバに不快で破壊を生じたかのような感覚を生じさせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】ヨーロッパ特許EP0417945B1
【発明の概要】
【0004】
したがって、本発明の目的は、上記の一般的形式のブレーキブースタを改善し、上述の不都合の大部分を防止することが可能とすることにある。
【0005】
この目的を達成する本発明は、ブレーキペダルに常時接続される力伝達部及び/又はブレーキブースタの入力部材が、2つの部材の相互に対する相対移動領域に、相互に対する部材の相対移動中に発生する摩擦を低減する手段を設けられる。
【0006】
本発明の有益な発展例が従属形式の請求項2から13に特定されている。
【0007】
本発明の他の特徴および利点は、添付図面を参照する以下の10の実施形態の説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明によるブレーキブースタを備えたブレーキバイワイヤの自動車ブレーキシステムの作動ユニットを立体的に示す図を示す。
【図2】図2の(a),(b)は、それぞれ本発明の主題の第1の実施形態の側面図および前面図を示す。
【図3】図3の(a),(b)は、それぞれ本発明の主題の第2の実施形態の側面図および前面図を示す。
【図4】図4の(a),(b)は、それぞれ本発明の主題の第3の実施形態の側面図および平面図を示す。
【図5】本発明の主題の第4の実施形態の側面図を示す。
【図6】図6の(a),(b)は、それぞれ本発明の主題の第5の実施形態の側面図および前面図を示す。
【図7】図7の(a),(b)は、それぞれそれぞれ本発明の主題の第6の実施形態の立体図を示す。
【図8】図8の(a),(b),(c)は、それぞれ本発明の主題の第7の実施形態のスライドシューの細部の2つの立体図および説明図を示す。
【図9】図9の(a),(b),(c)は、それぞれ本発明の主題の第8の実施形態のスライドシュー、緩衝部材および固定部材の2つの立体図および展開図を示す。
【図10】本発明の主題の第9の実施形態の立体図を示す。
【図11】図11の(a),(b),(c)は、それぞれ本発明の主題の第10の実施形態のスライドブロックの細部の立体図、平面図および説明図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に示す作動ユニットは、負圧式ブレーキブースタ1が好ましいブレーキブースタと、タンデム型マスターシリンダ2が好ましいマスターシリンダとを備え、このマスターシリンダはブレーキブースタ1の下流側に接続され、このマスターシリンダの圧力側は、液圧開ループおよび閉ループを形成する制御ユニット(いずれも図示しない)の中間接続部に接続され、更に、マスターシリンダ2に設けられた圧力媒体リザーバ3を備える。ブレーキブースタ1を作動するために、ドライバによりブレーキペダル4が使用され、特にブレーキバイワイヤ(brake-by-wire)作動モードでブレーキペダル4と共に作用してドライバに通常のブレーキペダル感覚を与えるペダル移動距離シミュレータ5(図示のみ)が設けられている。どのようなドライバの減速要求及び/又はブレーキペダル4の作動距離が、少なくとも1つのセンサ装置6で検出され、この信号は電子制御ユニット(図示しない)に供給される。電子制御ユニットの出力信号は、特にブレーキブースタ1に設けられた電磁石を作動するために使用することができ、この電磁石により、ブレーキブースタ1に供給する空気を制御する空圧制御値(pneumatic control value)を、ドライバの意思から独立して作動(activate)させることができる。
【0010】
ブレーキペダル4に連結された入力部材、または、上述の制御弁を作動するためにドライバによって用いられるピストンロッド7は、ピストンロッドヘッド8を有し、この中に長手方向開口9が形成されている。この長手方向開口9は力伝達部10を保持し、この力伝達部はブレーキペダル4に接続され、ボルトとして具体化されている。これにより、上述の部材8,10は、ブレーキバイワイヤ作動モードにおけるブレーキペダル4とブレーキブースタ1との間の力伝達接続の分離を確実にする軸方向間隙または距離aが、図中左に示す長手方向開口9の境界部とボルト10との間に設けられるように、配置される。ボルト10と、長手方向開口9の図中左の境界との間に設けられた軸方向間隙または距離bは、ブレーキブースタ1がドライバの意思から独立して作動されたときに、ブレーキペダル4がこれに沿って移動するのを防止する。ブレーキブースタ1のブースト力が作用する可動壁の移動、又は、マスターシリンダ2の第1ピストン(図示しない)にその出力を伝達するブレーキブースタ1の出力部材の移動を検出するために移動センサ11が用いられる。
【0011】
ペダル移動シミュレータ5は、上述のように、ブレーキバイワイヤ作動モードで、ブレーキブースタ1の作動とは独立してブレーキペダル4に作用する戻し力をシミュレートすることができ、これは具体的には、ブレーキバイワイヤ作動モードで、ブレーキペダル4とブレーキブースタ1との間の力伝達接続の分離中に作動することができ、概略的にのみ示す作動および不作動装置12により、ブレーキバイワイヤモード以外で不作動とされるように、形成される。
【0012】
本発明の主題(subject matter)の第1の実施形態(図2の(a),(b)に示す)では、ピストンロッドヘッド8の長手方向ガイド開口9に、摺動特性の良好なプラスチック製ライニング13が設けられ、このライニング13は、互いに対して相対移動したときに、ピストンロッドヘッド8とボルト10との間に発生する摩擦を最小とする。
【0013】
図3の(a),(b)および図4の(a),(b)に示す本発明の実施形態では、ボルト10は、ピストンロッドヘッド8内で案内される領域内に、摺動特性の良好な材料で形成された層14が設けられる。ピストンロッドヘッド8は、ここでは開口フォークヘッドとして形成してあり、ボルト10の周部に部分的に係合し、その開口端に閉鎖部材15が設けられ、この閉鎖部材は、例えばラッチ接続(latching connection)16により、確実にロックする態様でフォークヘッドに接続される。このため、閉鎖部材15は、フォークヘッド8に形成された背面に係合し、対応する形状に形成されたラッチ係合用突起17を有する。ボルト10は、溶接接続部18(図2の(b)、図4の(b))によりブレーキペダル4に常時接続され、または、セルフロックねじ付ナット19(図3の(b))によりブレーキペダル4に取付けることができる。
【0014】
本発明の他の実施形態(図5および6参照)では、ピストンロッドヘッド8は軸方向ボルト20として形成され、このボルトはブレーキペダル4に配置されたガイド21,22内を案内される。図5に示す実施形態では、ガイド21は、2つの摺動セグメント21a,21bを有し、これらの摺動セグメントは互いに対向配置され、一方、ボルト20は、図6に支援す変形例では摺動層23を設けられている。特に図6の(b)から明らかなように、ガイド22はブレーキペダル4に溶接されている。
【0015】
図7の(a),(b)に示す他の変形例では、1本アームピストンロッドヘッド80に摺動面24,25を設けられ、これらの摺動面は好適なプラスチックからなり、このプラスチックで、ピストンロッドヘッド80は、図示のボルト26を案内するその領域を射出成形により被包(encapsulate)される。ブレーキペダル(図示しない)から離隔する側を向くピストンロッドヘッド80の端部に配置され、この上で、ボルト26の比較的大きな径半径方向カラー28が作動行程の終わりで衝突する緩衝部材27が、ブレーキペダルストップを緩衝するために使用される。ボルト26を固定するために、ねじ付ナット26lが設けられる。
【0016】
図8の(a)−(c)に示す実施形態では、ピストンロッドヘッド81が、圧延部材(milled part)の形態の2本アームフォークヘッドとして形成されている。しかし、フォークヘッドを溶接屈曲部材(welded bent part)として形成することも可能である。上述の摩擦を低減するために、スライドシュー29,30が設けられ、これらのスライドシューは内側からフォークヘッドに装着することができ、例えばラッチ部材31による等、確実にロック係合する接続により、これに接続することができる。ブレーキペダル4に向くスライドシュー29,30の面は、作動中にブレーキペダル4の効果的な案内を確実に行う。図示の変形例では、ボルト32は2つ又はそれ以上の部材で形成されており、固定部材35a,35bで固定された弾性緩衝部材33,34により、そのストッパがフォークヘッド上で緩衝される。これに代え、1つの緩衝部材(図示しない)をそのアーム間でフォークヘッド81の前部領域に配置することができる。
【0017】
図9の(a)−(c)に示す例示的な実施形態では、スライドシュー129,130がフォークヘッド108上に差し込まれ、図8の(a),(b)との関連説明した固定部材35により固定され、この固定部材は更に、ボルト131またはその固定ナット134のストッパを緩衝し、これによりフォークヘッド108の端部でその位置を固定するために、弾性緩衝部材133を取付固定する。図9の(a)に示すフォークヘッド108は2本アームの圧延部材で形成されているが、図9の(b)に示すフォークヘッド108aは1本アーム構造に形成されている。図9の(c)は、スライドシュー130、緩衝部材133、および、固定部材35a,35bを示し、これはフォークヘッド108,108aの双方の実施形態に用いることができる。スライドシュー129,130のラッチ配置は、固定部材35をオフセットさせ、したがって、ボルト131aのサイズに適合させることを可能とする。
【0018】
図10に示す本発明の主題の第9の例示的な実施形態のデザインは、図9の(a)に示す実施形態にほぼ対応する。上述の2つの実施形態における主たる相違は、フォークヘッドのデザインであり、図10のデザインでは、一端で開き、そのアーム上に、緩衝部材−,138用の固定部材35a,bで固定されるスリーブ状のスライドシュー135a,135b,136a,136bが差し込まれるフォークヘッド108cとして形成されている。勿論、上述のスライドシューは、射出成形することにより、好適なプラスチックフォークヘッド108cを被包して製造することができる。
【0019】
最後に、図11の(a),(b),(c)に示す第10の実施形態では、その端部が閉じられたフォークヘッド109は、2本アームの圧延部材として形成されており、互いに反対側に配置されたその長手方向開口内で、スライドブロック110,111が案内され、これらのスライドブロック110,111はボルト131の両端部に配置される。フォークヘッド109の外側に配置されたボルト132の部材112,113は、先の例と同様に、緩衝部材114,115と共に作用する。これに代え、対応した形状のスライドブロック110,111も、ブレーキペダル4のストッパとして用いることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキブースタの入力部材に対するブレーキペダル又はブレーキペダルに常時結合される力伝達部の連結が、入力部材に対する、ブレーキペダル又はブレーキペダルに常時結合される力伝達部材の制限された相対運動を可能とし、これが、特に、ブレーキバイワイヤ作動モードで、ブレーキペダル又はブレーキペダルに常時結合される力伝達部材との間の分離を確保するように形成され、ブレーキペダルと、ドライバの要請およびドライバの意思から独立した機能としての電子制御装置との双方により作動可能なブレーキバイワイヤ形式の自動車ブレーキシステム用ブレーキブースタであって、
ブレーキペダル(4)に常時結合される力伝達部材(10)及び/又はブレーキブースタ(1)の入力部材(7)が、2つの部材(10,7又は8)の相対移動領域内に、相互に対する部材(10,7又は8)の相対移動中に発生する摩擦を低減する手段を設けられることを特徴とするブレーキブースタ。
【請求項2】
前記入力部材(7;26;32;131)は、ブレーキペダル(4)又はブレーキペダル(4)に常時結合される力伝達部の移動範囲の端部で、少なくとも1つの弾性緩衝部材(27,33,34,133,138,114,115)を有することを特徴とする請求項1に記載のブレーキブースタ。
【請求項3】
ブレーキブースタ(1)の入力部材(7)は、ブレーキペダル(4)に面するその端部にピストンロッドヘッド(8)を有し、このピストンロッドヘッドに長手方向ガイド開口(9)が設けられ、前記力伝達部材(10)は、長手方向ガイド開口(9)内を案内されるボルトで形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のブレーキブースタ。
【請求項4】
前記長手方向ガイド開口(9)は、プラスチックライニング及び/又はスリーブ及び/又はプラスチックスリーブ(23)を設けられたボルト(10;20)が設けられることを特徴とする請求項3に記載のブレーキブースタ。
【請求項5】
前記ピストンロッドヘッド(8)は、少なくとも一部がボルト(10)の回りに係合するフォークヘッドとして形成されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載のブレーキブースタ。
【請求項6】
前記フォークヘッド(8)は、前記ブレーキペダル(4)に面するその端部で、開構造に形成され、このフォークヘッド(8)に確実にロックする態様で結合される閉鎖部(15)により、閉じられることを特徴とする請求項5に記載のブレーキブースタ。
【請求項7】
前記フォークヘッド(80)は、1本アームのデザインに形成され、ボルト(26)を案内する領域に、スライドシュー(24,25)が設けられ、これらのスライドシューは、互いに対向して配置され、射出成形により、フォークヘッド(80)をプラスチックで被包することで形成されることを特徴とする請求項5に記載のブレーキブースタ。
【請求項8】
前記フォークヘッド(81)は、2本アームのデザインに形成され、前記ボルト(32)を案内する領域内にスライドシュー(29,30)を有し、これらのスライドシューは、互いに対向して配置され、内側から装着可能で、確実にロックする接続(31)により、フォークヘッド(81)に取付けられることを特徴とする請求項5に記載のブレーキブースタ。
【請求項9】
前記フォークヘッド(108,108a)は、1本アームデザイン(108a)又は2本アームデザイン(108)に形成され、ボルト(131)を案内する領域内に、1つのスライドシュー(129)または2つのスライドシュー(129,130)を有し、これらのスライドシューは、互いに対向して配置され、フォークヘッドの1つ又は複数のフォークヘッド(108,108a)上に差し込まれ、固定部材(35,−)で固定されることを特徴とする請求項5に記載のブレーキブースタ。
【請求項10】
前記フォークヘッド(108c)は、ブレーキペダルに向く端部が、開デザインに形成される請求項9に記載のブレーキブースタ。
【請求項11】
前記固定部材(35a,35b)は、ボルト(131)の衝撃を緩衝するために、弾性緩衝部材(114,115,133,138)を保持することを特徴とする請求項2又は3に記載のブレーキブースタ。
【請求項12】
前記フォークヘッド(109)は、2本アームのデザインに形成され、前記ボルト(131)はスライドブロック(110,111)を設けられ、これらのスライドブロックは、フォークヘッド(109)の長手方向のガイド開口内を案内されることを特徴とする請求項5に記載のブレーキブースタ。
【請求項13】
前記ピストンロッドヘッド(8)が軸方向ボルト(20)として形成され、この軸方向ボルトは、ブレーキペダル(4)に形成されたスライドガイド(21,22)内を案内されることを特徴とする請求項1又は2に記載のブレーキブースタ。
【請求項1】
ブレーキブースタの入力部材に対するブレーキペダル又はブレーキペダルに常時結合される力伝達部の連結が、入力部材に対する、ブレーキペダル又はブレーキペダルに常時結合される力伝達部材の制限された相対運動を可能とし、これが、特に、ブレーキバイワイヤ作動モードで、ブレーキペダル又はブレーキペダルに常時結合される力伝達部材との間の分離を確保するように形成され、ブレーキペダルと、ドライバの要請およびドライバの意思から独立した機能としての電子制御装置との双方により作動可能なブレーキバイワイヤ形式の自動車ブレーキシステム用ブレーキブースタであって、
ブレーキペダル(4)に常時結合される力伝達部材(10)及び/又はブレーキブースタ(1)の入力部材(7)が、2つの部材(10,7又は8)の相対移動領域内に、相互に対する部材(10,7又は8)の相対移動中に発生する摩擦を低減する手段を設けられることを特徴とするブレーキブースタ。
【請求項2】
前記入力部材(7;26;32;131)は、ブレーキペダル(4)又はブレーキペダル(4)に常時結合される力伝達部の移動範囲の端部で、少なくとも1つの弾性緩衝部材(27,33,34,133,138,114,115)を有することを特徴とする請求項1に記載のブレーキブースタ。
【請求項3】
ブレーキブースタ(1)の入力部材(7)は、ブレーキペダル(4)に面するその端部にピストンロッドヘッド(8)を有し、このピストンロッドヘッドに長手方向ガイド開口(9)が設けられ、前記力伝達部材(10)は、長手方向ガイド開口(9)内を案内されるボルトで形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のブレーキブースタ。
【請求項4】
前記長手方向ガイド開口(9)は、プラスチックライニング及び/又はスリーブ及び/又はプラスチックスリーブ(23)を設けられたボルト(10;20)が設けられることを特徴とする請求項3に記載のブレーキブースタ。
【請求項5】
前記ピストンロッドヘッド(8)は、少なくとも一部がボルト(10)の回りに係合するフォークヘッドとして形成されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載のブレーキブースタ。
【請求項6】
前記フォークヘッド(8)は、前記ブレーキペダル(4)に面するその端部で、開構造に形成され、このフォークヘッド(8)に確実にロックする態様で結合される閉鎖部(15)により、閉じられることを特徴とする請求項5に記載のブレーキブースタ。
【請求項7】
前記フォークヘッド(80)は、1本アームのデザインに形成され、ボルト(26)を案内する領域に、スライドシュー(24,25)が設けられ、これらのスライドシューは、互いに対向して配置され、射出成形により、フォークヘッド(80)をプラスチックで被包することで形成されることを特徴とする請求項5に記載のブレーキブースタ。
【請求項8】
前記フォークヘッド(81)は、2本アームのデザインに形成され、前記ボルト(32)を案内する領域内にスライドシュー(29,30)を有し、これらのスライドシューは、互いに対向して配置され、内側から装着可能で、確実にロックする接続(31)により、フォークヘッド(81)に取付けられることを特徴とする請求項5に記載のブレーキブースタ。
【請求項9】
前記フォークヘッド(108,108a)は、1本アームデザイン(108a)又は2本アームデザイン(108)に形成され、ボルト(131)を案内する領域内に、1つのスライドシュー(129)または2つのスライドシュー(129,130)を有し、これらのスライドシューは、互いに対向して配置され、フォークヘッドの1つ又は複数のフォークヘッド(108,108a)上に差し込まれ、固定部材(35,−)で固定されることを特徴とする請求項5に記載のブレーキブースタ。
【請求項10】
前記フォークヘッド(108c)は、ブレーキペダルに向く端部が、開デザインに形成される請求項9に記載のブレーキブースタ。
【請求項11】
前記固定部材(35a,35b)は、ボルト(131)の衝撃を緩衝するために、弾性緩衝部材(114,115,133,138)を保持することを特徴とする請求項2又は3に記載のブレーキブースタ。
【請求項12】
前記フォークヘッド(109)は、2本アームのデザインに形成され、前記ボルト(131)はスライドブロック(110,111)を設けられ、これらのスライドブロックは、フォークヘッド(109)の長手方向のガイド開口内を案内されることを特徴とする請求項5に記載のブレーキブースタ。
【請求項13】
前記ピストンロッドヘッド(8)が軸方向ボルト(20)として形成され、この軸方向ボルトは、ブレーキペダル(4)に形成されたスライドガイド(21,22)内を案内されることを特徴とする請求項1又は2に記載のブレーキブースタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2010−517840(P2010−517840A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547547(P2009−547547)
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【国際出願番号】PCT/EP2007/055025
【国際公開番号】WO2008/095546
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(500030596)コンチネンタル・テベス・アーゲー・ウント・コンパニー・オーハーゲー (126)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【国際出願番号】PCT/EP2007/055025
【国際公開番号】WO2008/095546
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(500030596)コンチネンタル・テベス・アーゲー・ウント・コンパニー・オーハーゲー (126)
【Fターム(参考)】
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