ブレーキ制御装置
【課題】 マスタシリンダ圧の急増によって運転者に与える違和感を低減したブレーキ制御装置を提供する。
【解決手段】 コントロールユニットは、回生制動力の増加に伴って回生輪の摩擦制動力を減少させ、回生輪に設けられたインバルブを閉弁するとともにアウトバルブを開弁し、ポンプによって、回生輪のホイルシリンダからリザーバに排出された作動油をマスタシリンダに還流する際、圧力制御弁の開弁量を制御することとした。
【解決手段】 コントロールユニットは、回生制動力の増加に伴って回生輪の摩擦制動力を減少させ、回生輪に設けられたインバルブを閉弁するとともにアウトバルブを開弁し、ポンプによって、回生輪のホイルシリンダからリザーバに排出された作動油をマスタシリンダに還流する際、圧力制御弁の開弁量を制御することとした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回生制動を行う車両用ブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回生制動を行う車両にあっては、マスタシリンダ圧を増圧してホイルシリンダに供給することで摩擦制動を行い、ホイルシリンダ圧をリザーバに還流して減圧を行う技術が開示されている。この技術にあっては、ある輪の制動力を回生制動から摩擦制動に切り換える際、ホイルシリンダ内の作動油をマスタシリンダに還流するため、ポンプを駆動するとともにポンプ吐出側とマスタシリンダとの間に設けられたゲート弁を開弁している。
【特許文献1】特開2002−255018号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記従来技術にあっては、ゲート弁の開弁によって作動油がマスタシリンダに還流されるため、マスタシリンダ圧が急増してブレーキペダルの反力が大きくなり、運転者に違和感を与えていた。
【0004】
本発明は上記問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、マスタシリンダ圧の急増によって運転者に与える違和感を低減したブレーキ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、本願発明では、コントロールユニットは、回生制動力の増加に伴って回生輪の摩擦制動力を減少させ、回生輪に設けられたインバルブを閉弁するとともにアウトバルブを開弁し、ポンプによって、回生輪のホイルシリンダからリザーバに排出された作動油をマスタシリンダに還流する際、圧力制御弁の開弁量を制御することとした。
【0006】
よって、マスタシリンダ圧の急増によって運転者に与える違和感を低減したブレーキ制御装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明のブレーキ制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例に基づき説明する。
【実施例1】
【0008】
[システム構成]
実施例1につき説明する。図1は実施例1におけるブレーキ制御装置のシステム構成図である。ブレーキ制御装置は、回生ブレーキユニットMBU、コントロールユニットC/U、マスタシリンダM/C、油圧ユニットH/U、ホイルシリンダW/C(FL〜RR)を有する。
【0009】
ブレーキペダルBPが踏み込まれると、マスタシリンダM/Cが増圧されて液圧ユニットH/Uを介して各ホイルシリンダW/C(FL〜RR)を増圧する。減圧時にはコントロールユニットC/Uの指令によって液圧ユニットH/Uが駆動される。
【0010】
回生ブレーキユニットMBUは回生制動を行い、コントロールユニットC/Uに対し回生制動力の値を出力する。コントロールユニットC/Uは回生制動力の値に基づき液圧ユニットH/Uを駆動し、各ホイルシリンダW/C(FL〜RR)の液圧を制御する。
【0011】
[油圧回路]
図2は実施例1における油圧ユニットH/Uの油圧回路図である。油圧ユニットH/Uは、ホイルシリンダW/CとマスタシリンダM/Cとに接続されている。
【0012】
ブレーキ回路は独立した2つの系統、すなわちP系統とS系統に分かれ、各系統に対応したブレーキ回路10P,20Sを有している。ブレーキ回路10Pは左前輪のホイルシリンダW/C(FL)と右後輪のホイルシリンダW/C(RR)とに接続され、ブレーキ回路20Sは右前輪のホイルシリンダW/C(FR)と左後輪のホイルシリンダW/C(RL)とに接続されており、いわゆるX配管構造となっている。なお、ブレーキ回路はX配管でなくともよい。
【0013】
ブレーキペダルBPは、運転者の踏み込み操作を倍力装置BSおよびインプットロッドIRを介してマスタシリンダM/Cへ伝達する。
【0014】
マスタシリンダM/Cはタンデム型であり、前後に並んだ2つのマスタシリンダピストンによってシリンダの中に2つの液圧室が隔成されている。2つの液圧室は、それぞれリザーバタンクRESからブレーキ液の供給を受ける。一方の液圧室はブレーキ回路10Pに接続され、他方の液圧室はブレーキ回路20Sに接続されている。
【0015】
マスタシリンダM/Cは、ブレーキペダルBPが踏み込まれると、ブレーキペダルBPの踏み込み量に応じた液圧(以下、マスタシリンダ圧Pmcという)を上記2つの液圧室に発生する。このマスタシリンダ圧Pmcが、それぞれブレーキ回路10P,20Sに供給される。
【0016】
なお、各マスタシリンダピストンの外周には周知のカップ状のシール部材が設けられており、ピストンストローク時には、このシール部材により各液圧室とリザーバタンクRESとの連通が遮断されることで、各液圧室内の加圧が可能となる。
【0017】
このとき、リザーバタンクRESからはブレーキ回路10P,20Sへブレーキ液が供給されず、マスタシリンダM/Cの液圧室からのみブレーキ回路10P,20Sへブレーキ液が供給されることになる。
【0018】
一方、ブレーキペダルBPが戻されると、各マスタシリンダピストンが(液圧室内に設けられた)戻しバネの力で戻される。このとき、上記シール部材の構造により、マスタシリンダM/Cの液圧室とリザーバタンクRESが連通する。これにより、リザーバタンクRESのブレーキ液をマスタシリンダM/Cの液圧室に供給することが再び可能となる。
【0019】
ブレーキ回路10PのマスタシリンダM/C側(以下、上流という)からホイルシリンダW/C側(以下、下流という)に向かう途中には、常開の比例電磁弁であるゲートアウトバルブGV−OUT(P)が設けられている。ブレーキ回路10PにはゲートアウトバルブGV−OUT(P)と並列に油路10jが接続されている。
【0020】
油路10j上には、下流側から上流側へ向かうブレーキ液の流れを防止するチェック弁10pが設けられている。以下、ゲートアウトバルブGV−OUT(P)上流側のブレーキ回路10Pをブレーキ回路10nとし、ゲートアウトバルブGV−OUT(P)下流側のブレーキ回路10Pをブレーキ回路10kという。
【0021】
ブレーキ回路10kは、ブレーキ回路10a,10bに分岐している。ブレーキ回路10a,10bは、それぞれホイルシリンダW/C(FL,RR)に接続している。ブレーキ回路10a,10b上には、常開の比例電磁弁であるインバルブIN/V(FL、RR)がそれぞれ設けられている。
【0022】
ブレーキ回路10aには、インバルブIN/V(FL)と並列に油路10lが接続されている。油路10l上には、上流側から下流側へ向かうブレーキ液の流れを防止するチェック弁10qが設けられている。同様に、インバルブIN/V(RR)と並列に接続された油路10m上には、上流側から下流側へ向かうブレーキ液の流れを防止するチェック弁10rが設けられている。
【0023】
インバルブIN/V(FL、RR)の下流側のブレーキ回路10a,10bには、リターン回路10c,10dがそれぞれ接続されている。リターン回路10c,10dにはそれぞれ常閉のオン・オフ電磁弁であるアウトバルブOUT/V(FL),15が設けられている。リターン回路10c,10dは合流してリターン回路10eを形成している。リターン回路10eは、油圧ユニットH/U内に設けられたリザーバ16に接続している。
【0024】
一方、ゲートアウトバルブGV−OUT(P)の上流側のブレーキ回路10nには、吸入回路10gが接続している。吸入回路10g上には、吸入回路10gの連通・遮断を切り換える常閉のオン・オフ電磁弁であるゲートインバルブGV−IN(P)が設けられている。吸入回路10gは、リザーバ16からのリターン回路10fと合流して吸入回路10hを形成している。
【0025】
油圧ユニットH/Uには、マスタシリンダM/C以外の液圧源として、ブレーキ液の吸入・吐出を行うポンプPが設置されている。ポンプPはモータMにより作動するギヤポンプであり、第1ポンプP1(P系統)および第2ポンプP2(S系統)を備えている。
【0026】
第1ポンプP1の吸入側は、吸入回路10hに接続されている。第1ポンプP1の吐出側は、吐出回路10iに接続されており、吐出回路10iを介してブレーキ回路10kに接続されている。
【0027】
なお、リターン回路10f上には、チェック弁10sが設けられており、吸入回路10g(ゲートインバルブGV−IN(P))からリザーバ16へ向かうブレーキ液の流れを防止する。
【0028】
吐出回路10i上には、チェック弁10uが設けられており、ブレーキ回路10k(ゲートアウトバルブGV−OUT(P))またはブレーキ回路10a,10b(ホイルシリンダW/C)から第1ポンプP1(吐出側)へ向かうブレーキ液の流れを防止する。ブレーキ回路20S側の油圧回路も、上記ブレーキ回路10Pと同様に構成されている。
【0029】
(ブレーキ制御)
上記構成の油圧ユニットH/Uは、通常ブレーキ時において下記倍力制御を実行可能であるほか、車両挙動制御等の自動ブレーキ制御やアンチスキッド制御を実行可能である。
【0030】
ここで車両挙動制御とは、車両の実ヨーレイトをヨーレイトセンサ等により検出し、また、舵角センサ等を用いて目標ヨーレイトを求め、この目標ヨーレイトと実ヨーレイトとが一致するように特定の車輪のみに制動力を付与する公知の技術である。また、アンチスキッド制御とは、擬似車体速度と車輪速度との関係からスリップ率等を算出し、このスリップ率が所望の値となるようにホイルシリンダ圧の増減圧制御を行う公知の技術である。
【0031】
車両挙動制御等の自動ブレーキ制御時には、ブレーキ回路10P側を例にとると、ゲートアウトバルブGV−OUT(P)を閉弁する一方、ゲートインバルブGV−IN(P)を開弁する。同時にポンプPを作動させ、マスタシリンダM/Cから吸入回路10g,10hおよび吐出回路10iを介してブレーキ回路10a,10bに向けてブレーキ液を供給する。
【0032】
さらに、車両挙動安定に必要な制動力に応じたホイルシリンダ目標液圧Pwc*を発生させるように、ゲートアウトバルブGV−OUT(P)またはインバルブIN/V(FL、RR)を制御する。ブレーキ回路20S側でも同様である。
【0033】
また、アンチスキッド制御時には、車輪FLを例にとると、ホイルシリンダW/Cに接続されているアウトバルブOUT/V(FL)を開弁するとともにインバルブIN/V(FL)を閉弁し、ホイルシリンダW/Cのブレーキ液をリザーバ16に排出することにより減圧を行う。また、車輪FLがロック傾向から回復したら、アウトバルブOUT/V(FL)を閉弁してホイルシリンダ圧を保持する。
【0034】
また、ポンプPを作動させるとともにインバルブIN/V(FL)を開弁して適宜増圧を行う。ポンプPは、減圧時にリザーバ16に逃がしたブレーキ液をブレーキ回路10kに戻す役割を果たす。
【0035】
[回生・摩擦協調制動制御]
図3は回生制動と摩擦制動の協調制御のメインフローである。制動力は回生制動と摩擦制動(液圧制動)の和であるため、回生制動力増加時にはホイルシリンダ圧を減圧し、回生制動力減少時にはホイルシリンダ圧を増圧することにより要求制動力(非回生輪の制動力と同一の制動力等)を実現する。
【0036】
ステップS1では回生ブレーキユニットMBUから回生制動力を取得し、ステップS2へ移行する。
【0037】
ステップS2では、コントロールユニットC/Uにおいて回生輪の摩擦制動力変化量を作成する。摩擦制動力+回生制動力が要求制動力となるよう、回生制動力の変化に合わせて摩擦制動力の変化量を決定する。
【0038】
ステップS3では回生輪の摩擦制動力変化量>0であるかどうかが判断され、YESであれば増圧としてステップS4へ移行し、NOであれば保持または減圧としてステップS5へ移行する。
【0039】
ステップS4では回生輪の摩擦制動力増加制御を行い、制御を終了する。
【0040】
ステップS5では回生輪の摩擦制動力非減少制御(保持または減圧)を行い、制御を終了する。
【0041】
[摩擦制動力増加制御]
図4は実施例1における回生輪の摩擦制動力増加制御のフローチャートである。図3のステップS4に相当する。
【0042】
ステップS41では回生輪のホイルシリンダW/C増圧に必要な液量およびリザーバ16,26の残留液量を算出し、残留液量があれば(残留液量≠0)、必要液量≦リザーバ16,26の残留液量かを判断する。
YESであればリザーバ残留液量のみによってホイルシリンダW/C増圧が可能であり、ステップS42へ移行する。NOであればマスタシリンダM/C内の作動油を必要とするためステップS43へ移行する。
【0043】
ステップS42ではリザーバ16,26の残留液をポンプPによってホイルシリンダW/Cに供給するため、図2のP,S系統のうち回生輪が属する側のゲートアウトバルブGV−OUTを閉弁してマスタシリンダM/Cとポンプ吐出側とを遮断し、ステップS44へ移行する。
【0044】
ステップS43ではマスタシリンダM/C内の作動油を供給してホイルシリンダW/Cを増圧する。その際、図2のP,S系統のうち回生輪が属する側のゲートアウトバルブGV−OUTの開弁量を制御し、マスタシリンダM/Cへの作動油の還流量を制御してマスタシリンダ圧の上昇勾配を低減し、ブレーキペダルBPの反力の急変を抑制して制御を終了する。
【0045】
ステップS44では回生輪に接続するインバルブIN/Vを開弁し、ステップS45へ移行する。
【0046】
ステップS45ではモータMを駆動してポンプPによりリザーバ16,26内の作動油をホイルシリンダW/Cに供給し、回生輪の摩擦制動力を増加させてステップS46へ移行する。
【0047】
ステップS46では回生輪インバルブIN/Vを開弁し、制御を終了する。
【0048】
[摩擦制動力非増加(保持・減圧)制御]
図5は実施例1における回生輪の摩擦制動力非増加(保持・減圧)制御のフローである。図3のステップS5に相当する。
【0049】
ステップS511では回生制動力≠0であるかどうかが判断され、YESであればステップS512へ移行し、NOであれば制御を終了する。
【0050】
ステップS512では回生輪のインバルブIN/Vを閉弁し、ステップS513へ移行する。常閉のアウトバルブOUT/Vは閉弁されているため、回生輪は保持状態となる。
【0051】
ステップS513では回生輪の摩擦制動力変化量<0であるかどうかが判断され、YESであれば減圧を行うためステップS514へ移行し、NOであれば保持状態を継続するためステップS517へ移行する。
【0052】
ステップS514では回生輪のアウトバルブOUT/Vを開弁し、ステップS515へ移行する。アウトバルブOUT/Vの開弁により、回生輪ホイルシリンダW/C内の作動油はリザーバ16,26に排出される。
【0053】
ステップS515ではモータMを駆動し、リザーバ16,26内の作動油をマスタシリンダM/Cへ還流する。
【0054】
ステップS516では、P,S系統のうち回生輪が属する系統のゲートアウトバルブGV−OUTの開弁量を制御し、マスタシリンダM/Cへ還流される作動油の量を調節してブレーキペダルBPの反力変化速度を緩和し、制御を終了する。
【0055】
ステップS517では、保持状態であるためモータMの駆動を停止し、制御を終了する。
【0056】
[回生・摩擦協調制動制御の経時変化]
図6は実施例1における回生・摩擦協調制動制御のタイムチャートである。
(時刻t10)
時刻t10において運転者による制動が開始され、ホイルシリンダ圧が上昇する。
【0057】
(時刻t11)
時刻t11において回生制動が開始され、摩擦制動力が減少する(ステップS3→S5)。回生輪のインバルブIN/Vが閉弁、アウトバルブOUT/Vが開弁されて回生輪ホイルシリンダW/Cの作動油がリザーバ16,26に排出され、減圧される。回生制動力の分だけ減圧が行われ、液圧による摩擦制動力を低下させる(ステップS511→S514)。
その際、モータMを駆動してポンプPによりリザーバ16,26の作動油をマスタシリンダM/Cに還流するが、マスタシリンダ圧の急増によりブレーキペダルBPの反力が急変して運転者に与える違和感を抑制するため、P,S系統のうち回生輪の属する系統のゲートアウトバルブGV−OUTの開弁量を制御する(ステップS516)。
【0058】
(時刻t12)
時刻t12において回生制動力が一定となり、回生輪は保持状態とされてインバルブIN/VおよびアウトバルブOUT/Vはともに閉弁される。また、モータMおよびポンプPは停止される。
【0059】
(時刻t13)
時刻t13において回生制動力が減少し、摩擦制動力が増加して増圧が行われる(ステップS3→S4)。実施例1では回生輪のホイルシリンダW/C増圧に必要な液量≧リザーバ16,26の残留液量であるものとする(ステップS41→S43)。
マスタシリンダM/C内の作動油によってホイルシリンダW/Cを増圧する必要があるため、回生輪のインバルブIN/Vを開弁する(ステップS46)。この場合も、ブレーキペダルBPの反力急増を抑制するためゲートアウトバルブGV−OUTの開弁量を制御する(ステップS43)。
【0060】
(時刻t14)
時刻t14において回生制動が終了し、ゲートアウトバルブGV−OUTが閉弁される。
【0061】
[実施例1の効果]
(1)コントロールユニットC/Uは、
回生制動力の増加に伴って回生輪の摩擦制動力を減少させ、
回生輪に設けられたインバルブIN/Vを閉弁するとともにアウトバルブOUT/Vを開弁し、
ポンプPによって、回生輪のホイルシリンダW/Cからリザーバ16,26に排出された作動油をマスタシリンダM/Cに還流する際、ゲートアウトバルブGV−OUTの開弁量を制御することとした。
【0062】
これにより、リザーバ16,26から還流される作動油の量を制御してマスタシリンダ圧の急増を抑制し、運転者に与える違和感を低減したブレーキ制御装置を提供することができる。
【0063】
(4)コントロールユニットC/Uは、摩擦制動力を増加させるために必要な作動油の量よりもリザーバ16,26内の作動油の量が大きい場合、ゲートアウトバルブGV−OUTを閉弁するとともにインバルブIN/Vを開弁し、ポンプPを駆動することとした。
【0064】
リザーバ16,26の残留液のみによってホイルシリンダW/C増圧が可能である場合、マスタシリンダM/C内の作動油を用いずにリザーバ残留液によってのみ回生輪ホイルシリンダW/Cを増圧し、マスタシリンダ圧の変動を抑制してブレーキペダルBPの反力変化による違和感を抑制することができる。
【0065】
(6)コントロールユニットC/Uは制動力協調制御手段(ステップS1〜S5)を有し、
制動力協調制御手段(ステップS1〜S5)は、ゲートアウト弁GV−OUTの開弁量を制御することで、マスタシリンダ圧の圧力上昇勾配を制御することとした。
【0066】
(7)コントロールユニットC/UはマスタシリンダM/Cへの作動油の還流量を制御することとした。(6)、(7)ともに、上記(1)と同様の効果を得ることができる。
【実施例2】
【0067】
実施例2につき説明する。基本構成は実施例1と同様である。実施例2ではマスタシリンダ圧センサPMCを設け、ブレーキペダルBPの操作を検出する点で異なる。
【0068】
図7は実施例2のシステム構成図、図8は油圧回路図である。マスタシリンダ圧センサPMCが追加された以外は実施例1と同様である。コントロールユニットC/Uは、マスタシリンダ圧に基づき運転者のブレーキペダルBP操作・非操作を検出する。
【0069】
[実施例2における摩擦制動力非増加(保持・減圧)制御]
図9は実施例2における回生輪の摩擦制動力非増加(保持・減圧)制御のフローである。図3のステップS5に相当する。
【0070】
ステップS521〜S524は、図5のステップS511〜S514と同様である。また、ステップS525はステップS517と同様である。
【0071】
ステップS526ではマスタシリンダ圧センサPMCのセンサ値を取得し、ステップS527へ移行する。
【0072】
ステップS527ではマスタシリンダ圧に基づき運転者のブレーキ操作が中止されたかどうかが判断され、YESであればブレーキ中止としてステップS528へ移行し、NOであればブレーキ続行として制御を終了する。
【0073】
ステップS528、S529は、図5のステップS515,S516と同様にモータMによりポンプPを駆動してリザーバ16,26から残留作動油をマスタシリンダM/Cに還流し、還流量をゲートアウトバルブGV−OUTによって制御する。
【0074】
[実施例2における回生・摩擦協調制動制御の経時変化]
図10は実施例2における回生・摩擦協調制御のタイムチャートである。なお、ブレーキ操作状態はマスタシリンダ圧センサPMCの検出値により判断する。
(時刻t20)
図6の時刻t10と同様である。
【0075】
(時刻t21)
時刻t21において回生制動が開始され、回生輪のインバルブIN/Vが閉弁、アウトバルブOUT/Vが開弁されて減圧が開始される(ステップS521→S524)。回生制動力の分だけ液圧による摩擦制動力を低下させる。
この時点ではブレーキペダルBPの踏み込みが継続されているため、ポンプPによるリザーバ残留液の還流は行われず、モータMは駆動されない。同様に、ゲートアウトバルブGV−OUTの開弁量の制御も行われない。
【0076】
(時刻t22)
時刻t22において回生制動力が一定となり、回生輪は保持状態とされてインバルブIN/VおよびアウトバルブOUT/Vはともに閉弁される。
【0077】
(時刻t23)
時刻t23において回生制動力が減少し、摩擦制動力が増加して増圧が行われる(ステップS3→S4)。実施例2では回生輪のホイルシリンダW/C増圧に必要な液量≦リザーバ16,26の残留液量であるものとする(ステップS41→S42)。
リザーバ16,26の残留液のみで回生輪ホイルシリンダW/C増圧に必要な液量を確保可能であるため、マスタシリンダM/Cからの作動油の補充は不要であり、ゲートアウトバルブGV−OUTを閉弁(ステップS42)、回生輪インバルブIN/Vを開弁(ステップS43)してモータMを駆動する。
これによりポンプPによりリザーバ16,26内の作動油を回生輪ホイルシリンダW/Cに供給する(ステップS45)。
【0078】
(時刻24)
時刻t24において回生制動が終了し、ゲートアウトバルブGV−OUTが閉弁されて摩擦制動力変化量=0となってモータMが停止される(ステップS3→S5、S521→S526)。ブレーキ操作状態は継続するためゲートアウトバルブGV−OUTの開弁量制御は行われない(ステップS527のNO判断)。
【0079】
[実施例2の効果]
(2)コントロールユニットC/Uは、
ブレーキ操作検出手段によってブレーキペダルが非操作状態と検出された場合、回生輪に設けられたインバルブIN/Vを閉弁するとともにアウトバルブOUT/Vを開弁することとした。
【0080】
これにより、上記(1)と同様の効果を得ることができる。また、ブレーキ操作中はマスタシリンダM/Cへの還流は行われないため(ステップS527のNO判断)、ブレーキ操作中におけるブレーキペダルBPの反力変動が発生せず、運転者に与える違和感をさらに低減することができる。
【実施例3】
【0081】
実施例3につき説明する。実施例3では、ポンプPの駆動によらず、ゲートアウトバルブGV−OUTの開弁によってリザーバ16,26の残留液をマスタシリンダM/Cに還流する点で異なる。なお、システム構成図および油圧回路は、実施例2(図7、図8)と同様である。また、メインフロー(図3)は実施例1と同様である。
【0082】
[実施例3における摩擦制動力増加制御]
図11は実施例3における摩擦制動力増加制御のフローチャートである。
【0083】
ステップS421ではマスタシリンダ圧センサPMCのセンサ値を取得し、ステップS422へ移行する。
【0084】
ステップS422ではセンサ値に基づきブレーキ操作が中止されたかどうかが判断され、YESであればブレーキ中止(ブレーキ非操作状態)としてステップS423へ移行し、NOであれば制御を終了する。
【0085】
ステップS423では回生輪インバルブIN/Vを開弁し、ステップS422へ移行する。
【0086】
ステップS424ではゲートアウトバルブGV−OUTの開弁量を制御し、制御を終了する。
【0087】
摩擦制動力が必要な場合はマスタシリンダM/Cから回生輪ホイルシリンダW/Cへ作動油を供給するため、回生輪のインバルブIN/VおよびゲートアウトバルブGV−OUTを開弁する。その際、ゲートアウトバルブGV−OUTの開弁量を制御することで、マスタシリンダM/Cからの作動油流出速度を制限し、ブレーキペダルBPの必要以上の移動を抑制する。
【0088】
[実施例3における摩擦制動力非増加(保持・減圧)制御]
図12は実施例3における回生輪の摩擦制動力非増加(保持・減圧)制御のフローである。図3のステップS5に相当する。
【0089】
ステップS531〜S534は、図9(実施例2)のステップS521〜S524と同様である。
【0090】
ステップS535ではではマスタシリンダ圧センサPMCのセンサ値を取得し、ステップS536へ移行する。
【0091】
ステップS536ではマスタシリンダ圧に基づき運転者のブレーキ操作が中止されたかどうかが判断され、YESであればブレーキ中止(ブレーキ非操作状態)としてステップS528へ移行し、NOであればブレーキ続行として制御を終了する。
【0092】
ステップS537ではゲートインバルブGV−INを開弁し、ステップS538へ移行する。
【0093】
ステップS538ではゲートアウトバルブGV−OUTを閉弁し、制御を終了する。
【0094】
ブレーキペダルBPが操作されていなければリザーバ16,26内の作動油をマスタシリンダM/Cに還流しても運転者に対する違和感は発生しないため、ブレーキ非操作状態であればゲートインバルブGV−INを開弁し、リザーバ16,26とマスタシリンダM/Cを連通して還流を行う。その際ゲートアウトバルブGV−OUTを閉弁し、作動油のホイルシリンダW/C側への流出を防止する。
【0095】
[実施例3における回生・摩擦協調制動制御の経時変化]
図13は実施例3における回生・摩擦協調制御のタイムチャートである。なお、ブレーキ操作状態はマスタシリンダ圧センサPMCの検出値により判断する。
【0096】
(時刻t30)
実施例1のt10および実施例2のt20と同様である。
【0097】
(時刻t31)
時刻t31において回生制動が開始され、回生輪のインバルブIN/Vが閉弁、アウトバルブOUT/Vが開弁されて減圧が開始される(ステップS531→S534)。回生制動力の分だけ液圧による摩擦制動力を低下させる。
ブレーキペダルBPが踏み込まれていないため、ゲートインバルブGV−INを開弁してリザーバ16,26残留液の還流を行う。その際、ゲートアウトバルブGV−OUTは閉弁される。
【0098】
(時刻t32)
時刻t32において回生制動力が一定となり、回生輪は保持状態とされてインバルブIN/VおよびアウトバルブOUT/Vはともに閉弁される。
【0099】
(時刻t33)
時刻t33において回生制動力が減少し、摩擦制動力が増加して増圧が行われる(ステップS3→S4)。同時にブレーキ操作が開始され、インバルブIN/Vを開弁してマスタシリンダ圧による回生輪ホイルシリンダ増圧が開始される。その際ゲートアウトバルブGV−OUTの開弁量が制御され、このゲートアウトバルブGV−OUTのオリフィス効果によってマスタシリンダ圧の急減が抑制される。
【0100】
(時刻34)
時刻t34において回生制動が終了し、ゲートアウトバルブGV−OUTが閉弁されて摩擦制動力変化量=0となる。
【0101】
[実施例3の効果]
(3)コントロールユニットC/Uは、
ブレーキ操作検出手段によってブレーキペダルが非操作状態と検出された場合、回生輪に設けられたインバルブIN/Vを閉弁するとともにアウトバルブOUT/Vを開弁し、
回生輪のホイルシリンダW/Cからリザーバ16,26に排出された作動油をマスタシリンダM/Cに還流する際、ゲートアウトバルブGV−OUTを開弁することとした。
【0102】
これにより、ポンプPを用いずにゲートアウトバルブGV−OUTを開弁するのみでリザーバ16,26の残留液をマスタシリンダM/Cに還流し、モータMの駆動電流を抑制してエネルギー効率を向上させることができる。
【0103】
(5)コントロールユニットC/Uは制動力協調制御手段(ステップS1〜S5)を有し、
制動力協調制御手段は、
ポンプPによってリザーバ16,26内の作動油をマスタシリンダM/Cに還流する際、回生輪に設けられたインバルブIN/Vを開弁し、ゲートアウトバルブGV−OUTの開弁量を制御することとした。
【0104】
これにより、ゲートアウトバルブGV−OUTのオリフィス効果によってマスタシリンダ圧の急減を抑制することができる。
【0105】
[他の実施例]
以上、本発明を実施するための最良の形態を実施例に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は各実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】実施例1におけるブレーキ制御装置のシステム構成図である。
【図2】実施例1における油圧ユニットH/Uの油圧回路構成である。
【図3】回生制動と摩擦制動の協調制御のメインフローである。
【図4】実施例1における回生輪の摩擦制動力増加制御のフローチャートである。
【図5】実施例1における回生輪の摩擦制動力非増加(保持・減圧)制御のフローである。
【図6】実施例1における回生・摩擦協調制動制御のタイムチャートである。
【図7】実施例2におけるブレーキ制御装置のシステム構成図である。
【図8】実施例2における油圧ユニットH/Uの油圧回路構成である。
【図9】実施例2における回生輪の摩擦制動力非増加(保持・減圧)制御のフローである。
【図10】実施例2における回生・摩擦協調制御のタイムチャートである。
【図11】実施例3における摩擦制動力増加制御のフローチャートである。
【図12】実施例3における回生輪の摩擦制動力非増加(保持・減圧)制御のフローである。
【図13】実施例3における回生・摩擦協調制御のタイムチャートである。
【符号の説明】
【0107】
16,26リザーバ
M/C マスタシリンダ
FL〜RR 各輪
W/C(FL〜RR) ホイルシリンダ
MBU 回生ブレーキユニット
IN/V インバルブ
OUT/V アウトバルブ
P ポンプ
M モータ
GV−OUT ゲートアウトバルブ(圧力制御弁)
C/U コントロールユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は、回生制動を行う車両用ブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回生制動を行う車両にあっては、マスタシリンダ圧を増圧してホイルシリンダに供給することで摩擦制動を行い、ホイルシリンダ圧をリザーバに還流して減圧を行う技術が開示されている。この技術にあっては、ある輪の制動力を回生制動から摩擦制動に切り換える際、ホイルシリンダ内の作動油をマスタシリンダに還流するため、ポンプを駆動するとともにポンプ吐出側とマスタシリンダとの間に設けられたゲート弁を開弁している。
【特許文献1】特開2002−255018号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記従来技術にあっては、ゲート弁の開弁によって作動油がマスタシリンダに還流されるため、マスタシリンダ圧が急増してブレーキペダルの反力が大きくなり、運転者に違和感を与えていた。
【0004】
本発明は上記問題点に着目してなされたもので、その目的とするところは、マスタシリンダ圧の急増によって運転者に与える違和感を低減したブレーキ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、本願発明では、コントロールユニットは、回生制動力の増加に伴って回生輪の摩擦制動力を減少させ、回生輪に設けられたインバルブを閉弁するとともにアウトバルブを開弁し、ポンプによって、回生輪のホイルシリンダからリザーバに排出された作動油をマスタシリンダに還流する際、圧力制御弁の開弁量を制御することとした。
【0006】
よって、マスタシリンダ圧の急増によって運転者に与える違和感を低減したブレーキ制御装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明のブレーキ制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例に基づき説明する。
【実施例1】
【0008】
[システム構成]
実施例1につき説明する。図1は実施例1におけるブレーキ制御装置のシステム構成図である。ブレーキ制御装置は、回生ブレーキユニットMBU、コントロールユニットC/U、マスタシリンダM/C、油圧ユニットH/U、ホイルシリンダW/C(FL〜RR)を有する。
【0009】
ブレーキペダルBPが踏み込まれると、マスタシリンダM/Cが増圧されて液圧ユニットH/Uを介して各ホイルシリンダW/C(FL〜RR)を増圧する。減圧時にはコントロールユニットC/Uの指令によって液圧ユニットH/Uが駆動される。
【0010】
回生ブレーキユニットMBUは回生制動を行い、コントロールユニットC/Uに対し回生制動力の値を出力する。コントロールユニットC/Uは回生制動力の値に基づき液圧ユニットH/Uを駆動し、各ホイルシリンダW/C(FL〜RR)の液圧を制御する。
【0011】
[油圧回路]
図2は実施例1における油圧ユニットH/Uの油圧回路図である。油圧ユニットH/Uは、ホイルシリンダW/CとマスタシリンダM/Cとに接続されている。
【0012】
ブレーキ回路は独立した2つの系統、すなわちP系統とS系統に分かれ、各系統に対応したブレーキ回路10P,20Sを有している。ブレーキ回路10Pは左前輪のホイルシリンダW/C(FL)と右後輪のホイルシリンダW/C(RR)とに接続され、ブレーキ回路20Sは右前輪のホイルシリンダW/C(FR)と左後輪のホイルシリンダW/C(RL)とに接続されており、いわゆるX配管構造となっている。なお、ブレーキ回路はX配管でなくともよい。
【0013】
ブレーキペダルBPは、運転者の踏み込み操作を倍力装置BSおよびインプットロッドIRを介してマスタシリンダM/Cへ伝達する。
【0014】
マスタシリンダM/Cはタンデム型であり、前後に並んだ2つのマスタシリンダピストンによってシリンダの中に2つの液圧室が隔成されている。2つの液圧室は、それぞれリザーバタンクRESからブレーキ液の供給を受ける。一方の液圧室はブレーキ回路10Pに接続され、他方の液圧室はブレーキ回路20Sに接続されている。
【0015】
マスタシリンダM/Cは、ブレーキペダルBPが踏み込まれると、ブレーキペダルBPの踏み込み量に応じた液圧(以下、マスタシリンダ圧Pmcという)を上記2つの液圧室に発生する。このマスタシリンダ圧Pmcが、それぞれブレーキ回路10P,20Sに供給される。
【0016】
なお、各マスタシリンダピストンの外周には周知のカップ状のシール部材が設けられており、ピストンストローク時には、このシール部材により各液圧室とリザーバタンクRESとの連通が遮断されることで、各液圧室内の加圧が可能となる。
【0017】
このとき、リザーバタンクRESからはブレーキ回路10P,20Sへブレーキ液が供給されず、マスタシリンダM/Cの液圧室からのみブレーキ回路10P,20Sへブレーキ液が供給されることになる。
【0018】
一方、ブレーキペダルBPが戻されると、各マスタシリンダピストンが(液圧室内に設けられた)戻しバネの力で戻される。このとき、上記シール部材の構造により、マスタシリンダM/Cの液圧室とリザーバタンクRESが連通する。これにより、リザーバタンクRESのブレーキ液をマスタシリンダM/Cの液圧室に供給することが再び可能となる。
【0019】
ブレーキ回路10PのマスタシリンダM/C側(以下、上流という)からホイルシリンダW/C側(以下、下流という)に向かう途中には、常開の比例電磁弁であるゲートアウトバルブGV−OUT(P)が設けられている。ブレーキ回路10PにはゲートアウトバルブGV−OUT(P)と並列に油路10jが接続されている。
【0020】
油路10j上には、下流側から上流側へ向かうブレーキ液の流れを防止するチェック弁10pが設けられている。以下、ゲートアウトバルブGV−OUT(P)上流側のブレーキ回路10Pをブレーキ回路10nとし、ゲートアウトバルブGV−OUT(P)下流側のブレーキ回路10Pをブレーキ回路10kという。
【0021】
ブレーキ回路10kは、ブレーキ回路10a,10bに分岐している。ブレーキ回路10a,10bは、それぞれホイルシリンダW/C(FL,RR)に接続している。ブレーキ回路10a,10b上には、常開の比例電磁弁であるインバルブIN/V(FL、RR)がそれぞれ設けられている。
【0022】
ブレーキ回路10aには、インバルブIN/V(FL)と並列に油路10lが接続されている。油路10l上には、上流側から下流側へ向かうブレーキ液の流れを防止するチェック弁10qが設けられている。同様に、インバルブIN/V(RR)と並列に接続された油路10m上には、上流側から下流側へ向かうブレーキ液の流れを防止するチェック弁10rが設けられている。
【0023】
インバルブIN/V(FL、RR)の下流側のブレーキ回路10a,10bには、リターン回路10c,10dがそれぞれ接続されている。リターン回路10c,10dにはそれぞれ常閉のオン・オフ電磁弁であるアウトバルブOUT/V(FL),15が設けられている。リターン回路10c,10dは合流してリターン回路10eを形成している。リターン回路10eは、油圧ユニットH/U内に設けられたリザーバ16に接続している。
【0024】
一方、ゲートアウトバルブGV−OUT(P)の上流側のブレーキ回路10nには、吸入回路10gが接続している。吸入回路10g上には、吸入回路10gの連通・遮断を切り換える常閉のオン・オフ電磁弁であるゲートインバルブGV−IN(P)が設けられている。吸入回路10gは、リザーバ16からのリターン回路10fと合流して吸入回路10hを形成している。
【0025】
油圧ユニットH/Uには、マスタシリンダM/C以外の液圧源として、ブレーキ液の吸入・吐出を行うポンプPが設置されている。ポンプPはモータMにより作動するギヤポンプであり、第1ポンプP1(P系統)および第2ポンプP2(S系統)を備えている。
【0026】
第1ポンプP1の吸入側は、吸入回路10hに接続されている。第1ポンプP1の吐出側は、吐出回路10iに接続されており、吐出回路10iを介してブレーキ回路10kに接続されている。
【0027】
なお、リターン回路10f上には、チェック弁10sが設けられており、吸入回路10g(ゲートインバルブGV−IN(P))からリザーバ16へ向かうブレーキ液の流れを防止する。
【0028】
吐出回路10i上には、チェック弁10uが設けられており、ブレーキ回路10k(ゲートアウトバルブGV−OUT(P))またはブレーキ回路10a,10b(ホイルシリンダW/C)から第1ポンプP1(吐出側)へ向かうブレーキ液の流れを防止する。ブレーキ回路20S側の油圧回路も、上記ブレーキ回路10Pと同様に構成されている。
【0029】
(ブレーキ制御)
上記構成の油圧ユニットH/Uは、通常ブレーキ時において下記倍力制御を実行可能であるほか、車両挙動制御等の自動ブレーキ制御やアンチスキッド制御を実行可能である。
【0030】
ここで車両挙動制御とは、車両の実ヨーレイトをヨーレイトセンサ等により検出し、また、舵角センサ等を用いて目標ヨーレイトを求め、この目標ヨーレイトと実ヨーレイトとが一致するように特定の車輪のみに制動力を付与する公知の技術である。また、アンチスキッド制御とは、擬似車体速度と車輪速度との関係からスリップ率等を算出し、このスリップ率が所望の値となるようにホイルシリンダ圧の増減圧制御を行う公知の技術である。
【0031】
車両挙動制御等の自動ブレーキ制御時には、ブレーキ回路10P側を例にとると、ゲートアウトバルブGV−OUT(P)を閉弁する一方、ゲートインバルブGV−IN(P)を開弁する。同時にポンプPを作動させ、マスタシリンダM/Cから吸入回路10g,10hおよび吐出回路10iを介してブレーキ回路10a,10bに向けてブレーキ液を供給する。
【0032】
さらに、車両挙動安定に必要な制動力に応じたホイルシリンダ目標液圧Pwc*を発生させるように、ゲートアウトバルブGV−OUT(P)またはインバルブIN/V(FL、RR)を制御する。ブレーキ回路20S側でも同様である。
【0033】
また、アンチスキッド制御時には、車輪FLを例にとると、ホイルシリンダW/Cに接続されているアウトバルブOUT/V(FL)を開弁するとともにインバルブIN/V(FL)を閉弁し、ホイルシリンダW/Cのブレーキ液をリザーバ16に排出することにより減圧を行う。また、車輪FLがロック傾向から回復したら、アウトバルブOUT/V(FL)を閉弁してホイルシリンダ圧を保持する。
【0034】
また、ポンプPを作動させるとともにインバルブIN/V(FL)を開弁して適宜増圧を行う。ポンプPは、減圧時にリザーバ16に逃がしたブレーキ液をブレーキ回路10kに戻す役割を果たす。
【0035】
[回生・摩擦協調制動制御]
図3は回生制動と摩擦制動の協調制御のメインフローである。制動力は回生制動と摩擦制動(液圧制動)の和であるため、回生制動力増加時にはホイルシリンダ圧を減圧し、回生制動力減少時にはホイルシリンダ圧を増圧することにより要求制動力(非回生輪の制動力と同一の制動力等)を実現する。
【0036】
ステップS1では回生ブレーキユニットMBUから回生制動力を取得し、ステップS2へ移行する。
【0037】
ステップS2では、コントロールユニットC/Uにおいて回生輪の摩擦制動力変化量を作成する。摩擦制動力+回生制動力が要求制動力となるよう、回生制動力の変化に合わせて摩擦制動力の変化量を決定する。
【0038】
ステップS3では回生輪の摩擦制動力変化量>0であるかどうかが判断され、YESであれば増圧としてステップS4へ移行し、NOであれば保持または減圧としてステップS5へ移行する。
【0039】
ステップS4では回生輪の摩擦制動力増加制御を行い、制御を終了する。
【0040】
ステップS5では回生輪の摩擦制動力非減少制御(保持または減圧)を行い、制御を終了する。
【0041】
[摩擦制動力増加制御]
図4は実施例1における回生輪の摩擦制動力増加制御のフローチャートである。図3のステップS4に相当する。
【0042】
ステップS41では回生輪のホイルシリンダW/C増圧に必要な液量およびリザーバ16,26の残留液量を算出し、残留液量があれば(残留液量≠0)、必要液量≦リザーバ16,26の残留液量かを判断する。
YESであればリザーバ残留液量のみによってホイルシリンダW/C増圧が可能であり、ステップS42へ移行する。NOであればマスタシリンダM/C内の作動油を必要とするためステップS43へ移行する。
【0043】
ステップS42ではリザーバ16,26の残留液をポンプPによってホイルシリンダW/Cに供給するため、図2のP,S系統のうち回生輪が属する側のゲートアウトバルブGV−OUTを閉弁してマスタシリンダM/Cとポンプ吐出側とを遮断し、ステップS44へ移行する。
【0044】
ステップS43ではマスタシリンダM/C内の作動油を供給してホイルシリンダW/Cを増圧する。その際、図2のP,S系統のうち回生輪が属する側のゲートアウトバルブGV−OUTの開弁量を制御し、マスタシリンダM/Cへの作動油の還流量を制御してマスタシリンダ圧の上昇勾配を低減し、ブレーキペダルBPの反力の急変を抑制して制御を終了する。
【0045】
ステップS44では回生輪に接続するインバルブIN/Vを開弁し、ステップS45へ移行する。
【0046】
ステップS45ではモータMを駆動してポンプPによりリザーバ16,26内の作動油をホイルシリンダW/Cに供給し、回生輪の摩擦制動力を増加させてステップS46へ移行する。
【0047】
ステップS46では回生輪インバルブIN/Vを開弁し、制御を終了する。
【0048】
[摩擦制動力非増加(保持・減圧)制御]
図5は実施例1における回生輪の摩擦制動力非増加(保持・減圧)制御のフローである。図3のステップS5に相当する。
【0049】
ステップS511では回生制動力≠0であるかどうかが判断され、YESであればステップS512へ移行し、NOであれば制御を終了する。
【0050】
ステップS512では回生輪のインバルブIN/Vを閉弁し、ステップS513へ移行する。常閉のアウトバルブOUT/Vは閉弁されているため、回生輪は保持状態となる。
【0051】
ステップS513では回生輪の摩擦制動力変化量<0であるかどうかが判断され、YESであれば減圧を行うためステップS514へ移行し、NOであれば保持状態を継続するためステップS517へ移行する。
【0052】
ステップS514では回生輪のアウトバルブOUT/Vを開弁し、ステップS515へ移行する。アウトバルブOUT/Vの開弁により、回生輪ホイルシリンダW/C内の作動油はリザーバ16,26に排出される。
【0053】
ステップS515ではモータMを駆動し、リザーバ16,26内の作動油をマスタシリンダM/Cへ還流する。
【0054】
ステップS516では、P,S系統のうち回生輪が属する系統のゲートアウトバルブGV−OUTの開弁量を制御し、マスタシリンダM/Cへ還流される作動油の量を調節してブレーキペダルBPの反力変化速度を緩和し、制御を終了する。
【0055】
ステップS517では、保持状態であるためモータMの駆動を停止し、制御を終了する。
【0056】
[回生・摩擦協調制動制御の経時変化]
図6は実施例1における回生・摩擦協調制動制御のタイムチャートである。
(時刻t10)
時刻t10において運転者による制動が開始され、ホイルシリンダ圧が上昇する。
【0057】
(時刻t11)
時刻t11において回生制動が開始され、摩擦制動力が減少する(ステップS3→S5)。回生輪のインバルブIN/Vが閉弁、アウトバルブOUT/Vが開弁されて回生輪ホイルシリンダW/Cの作動油がリザーバ16,26に排出され、減圧される。回生制動力の分だけ減圧が行われ、液圧による摩擦制動力を低下させる(ステップS511→S514)。
その際、モータMを駆動してポンプPによりリザーバ16,26の作動油をマスタシリンダM/Cに還流するが、マスタシリンダ圧の急増によりブレーキペダルBPの反力が急変して運転者に与える違和感を抑制するため、P,S系統のうち回生輪の属する系統のゲートアウトバルブGV−OUTの開弁量を制御する(ステップS516)。
【0058】
(時刻t12)
時刻t12において回生制動力が一定となり、回生輪は保持状態とされてインバルブIN/VおよびアウトバルブOUT/Vはともに閉弁される。また、モータMおよびポンプPは停止される。
【0059】
(時刻t13)
時刻t13において回生制動力が減少し、摩擦制動力が増加して増圧が行われる(ステップS3→S4)。実施例1では回生輪のホイルシリンダW/C増圧に必要な液量≧リザーバ16,26の残留液量であるものとする(ステップS41→S43)。
マスタシリンダM/C内の作動油によってホイルシリンダW/Cを増圧する必要があるため、回生輪のインバルブIN/Vを開弁する(ステップS46)。この場合も、ブレーキペダルBPの反力急増を抑制するためゲートアウトバルブGV−OUTの開弁量を制御する(ステップS43)。
【0060】
(時刻t14)
時刻t14において回生制動が終了し、ゲートアウトバルブGV−OUTが閉弁される。
【0061】
[実施例1の効果]
(1)コントロールユニットC/Uは、
回生制動力の増加に伴って回生輪の摩擦制動力を減少させ、
回生輪に設けられたインバルブIN/Vを閉弁するとともにアウトバルブOUT/Vを開弁し、
ポンプPによって、回生輪のホイルシリンダW/Cからリザーバ16,26に排出された作動油をマスタシリンダM/Cに還流する際、ゲートアウトバルブGV−OUTの開弁量を制御することとした。
【0062】
これにより、リザーバ16,26から還流される作動油の量を制御してマスタシリンダ圧の急増を抑制し、運転者に与える違和感を低減したブレーキ制御装置を提供することができる。
【0063】
(4)コントロールユニットC/Uは、摩擦制動力を増加させるために必要な作動油の量よりもリザーバ16,26内の作動油の量が大きい場合、ゲートアウトバルブGV−OUTを閉弁するとともにインバルブIN/Vを開弁し、ポンプPを駆動することとした。
【0064】
リザーバ16,26の残留液のみによってホイルシリンダW/C増圧が可能である場合、マスタシリンダM/C内の作動油を用いずにリザーバ残留液によってのみ回生輪ホイルシリンダW/Cを増圧し、マスタシリンダ圧の変動を抑制してブレーキペダルBPの反力変化による違和感を抑制することができる。
【0065】
(6)コントロールユニットC/Uは制動力協調制御手段(ステップS1〜S5)を有し、
制動力協調制御手段(ステップS1〜S5)は、ゲートアウト弁GV−OUTの開弁量を制御することで、マスタシリンダ圧の圧力上昇勾配を制御することとした。
【0066】
(7)コントロールユニットC/UはマスタシリンダM/Cへの作動油の還流量を制御することとした。(6)、(7)ともに、上記(1)と同様の効果を得ることができる。
【実施例2】
【0067】
実施例2につき説明する。基本構成は実施例1と同様である。実施例2ではマスタシリンダ圧センサPMCを設け、ブレーキペダルBPの操作を検出する点で異なる。
【0068】
図7は実施例2のシステム構成図、図8は油圧回路図である。マスタシリンダ圧センサPMCが追加された以外は実施例1と同様である。コントロールユニットC/Uは、マスタシリンダ圧に基づき運転者のブレーキペダルBP操作・非操作を検出する。
【0069】
[実施例2における摩擦制動力非増加(保持・減圧)制御]
図9は実施例2における回生輪の摩擦制動力非増加(保持・減圧)制御のフローである。図3のステップS5に相当する。
【0070】
ステップS521〜S524は、図5のステップS511〜S514と同様である。また、ステップS525はステップS517と同様である。
【0071】
ステップS526ではマスタシリンダ圧センサPMCのセンサ値を取得し、ステップS527へ移行する。
【0072】
ステップS527ではマスタシリンダ圧に基づき運転者のブレーキ操作が中止されたかどうかが判断され、YESであればブレーキ中止としてステップS528へ移行し、NOであればブレーキ続行として制御を終了する。
【0073】
ステップS528、S529は、図5のステップS515,S516と同様にモータMによりポンプPを駆動してリザーバ16,26から残留作動油をマスタシリンダM/Cに還流し、還流量をゲートアウトバルブGV−OUTによって制御する。
【0074】
[実施例2における回生・摩擦協調制動制御の経時変化]
図10は実施例2における回生・摩擦協調制御のタイムチャートである。なお、ブレーキ操作状態はマスタシリンダ圧センサPMCの検出値により判断する。
(時刻t20)
図6の時刻t10と同様である。
【0075】
(時刻t21)
時刻t21において回生制動が開始され、回生輪のインバルブIN/Vが閉弁、アウトバルブOUT/Vが開弁されて減圧が開始される(ステップS521→S524)。回生制動力の分だけ液圧による摩擦制動力を低下させる。
この時点ではブレーキペダルBPの踏み込みが継続されているため、ポンプPによるリザーバ残留液の還流は行われず、モータMは駆動されない。同様に、ゲートアウトバルブGV−OUTの開弁量の制御も行われない。
【0076】
(時刻t22)
時刻t22において回生制動力が一定となり、回生輪は保持状態とされてインバルブIN/VおよびアウトバルブOUT/Vはともに閉弁される。
【0077】
(時刻t23)
時刻t23において回生制動力が減少し、摩擦制動力が増加して増圧が行われる(ステップS3→S4)。実施例2では回生輪のホイルシリンダW/C増圧に必要な液量≦リザーバ16,26の残留液量であるものとする(ステップS41→S42)。
リザーバ16,26の残留液のみで回生輪ホイルシリンダW/C増圧に必要な液量を確保可能であるため、マスタシリンダM/Cからの作動油の補充は不要であり、ゲートアウトバルブGV−OUTを閉弁(ステップS42)、回生輪インバルブIN/Vを開弁(ステップS43)してモータMを駆動する。
これによりポンプPによりリザーバ16,26内の作動油を回生輪ホイルシリンダW/Cに供給する(ステップS45)。
【0078】
(時刻24)
時刻t24において回生制動が終了し、ゲートアウトバルブGV−OUTが閉弁されて摩擦制動力変化量=0となってモータMが停止される(ステップS3→S5、S521→S526)。ブレーキ操作状態は継続するためゲートアウトバルブGV−OUTの開弁量制御は行われない(ステップS527のNO判断)。
【0079】
[実施例2の効果]
(2)コントロールユニットC/Uは、
ブレーキ操作検出手段によってブレーキペダルが非操作状態と検出された場合、回生輪に設けられたインバルブIN/Vを閉弁するとともにアウトバルブOUT/Vを開弁することとした。
【0080】
これにより、上記(1)と同様の効果を得ることができる。また、ブレーキ操作中はマスタシリンダM/Cへの還流は行われないため(ステップS527のNO判断)、ブレーキ操作中におけるブレーキペダルBPの反力変動が発生せず、運転者に与える違和感をさらに低減することができる。
【実施例3】
【0081】
実施例3につき説明する。実施例3では、ポンプPの駆動によらず、ゲートアウトバルブGV−OUTの開弁によってリザーバ16,26の残留液をマスタシリンダM/Cに還流する点で異なる。なお、システム構成図および油圧回路は、実施例2(図7、図8)と同様である。また、メインフロー(図3)は実施例1と同様である。
【0082】
[実施例3における摩擦制動力増加制御]
図11は実施例3における摩擦制動力増加制御のフローチャートである。
【0083】
ステップS421ではマスタシリンダ圧センサPMCのセンサ値を取得し、ステップS422へ移行する。
【0084】
ステップS422ではセンサ値に基づきブレーキ操作が中止されたかどうかが判断され、YESであればブレーキ中止(ブレーキ非操作状態)としてステップS423へ移行し、NOであれば制御を終了する。
【0085】
ステップS423では回生輪インバルブIN/Vを開弁し、ステップS422へ移行する。
【0086】
ステップS424ではゲートアウトバルブGV−OUTの開弁量を制御し、制御を終了する。
【0087】
摩擦制動力が必要な場合はマスタシリンダM/Cから回生輪ホイルシリンダW/Cへ作動油を供給するため、回生輪のインバルブIN/VおよびゲートアウトバルブGV−OUTを開弁する。その際、ゲートアウトバルブGV−OUTの開弁量を制御することで、マスタシリンダM/Cからの作動油流出速度を制限し、ブレーキペダルBPの必要以上の移動を抑制する。
【0088】
[実施例3における摩擦制動力非増加(保持・減圧)制御]
図12は実施例3における回生輪の摩擦制動力非増加(保持・減圧)制御のフローである。図3のステップS5に相当する。
【0089】
ステップS531〜S534は、図9(実施例2)のステップS521〜S524と同様である。
【0090】
ステップS535ではではマスタシリンダ圧センサPMCのセンサ値を取得し、ステップS536へ移行する。
【0091】
ステップS536ではマスタシリンダ圧に基づき運転者のブレーキ操作が中止されたかどうかが判断され、YESであればブレーキ中止(ブレーキ非操作状態)としてステップS528へ移行し、NOであればブレーキ続行として制御を終了する。
【0092】
ステップS537ではゲートインバルブGV−INを開弁し、ステップS538へ移行する。
【0093】
ステップS538ではゲートアウトバルブGV−OUTを閉弁し、制御を終了する。
【0094】
ブレーキペダルBPが操作されていなければリザーバ16,26内の作動油をマスタシリンダM/Cに還流しても運転者に対する違和感は発生しないため、ブレーキ非操作状態であればゲートインバルブGV−INを開弁し、リザーバ16,26とマスタシリンダM/Cを連通して還流を行う。その際ゲートアウトバルブGV−OUTを閉弁し、作動油のホイルシリンダW/C側への流出を防止する。
【0095】
[実施例3における回生・摩擦協調制動制御の経時変化]
図13は実施例3における回生・摩擦協調制御のタイムチャートである。なお、ブレーキ操作状態はマスタシリンダ圧センサPMCの検出値により判断する。
【0096】
(時刻t30)
実施例1のt10および実施例2のt20と同様である。
【0097】
(時刻t31)
時刻t31において回生制動が開始され、回生輪のインバルブIN/Vが閉弁、アウトバルブOUT/Vが開弁されて減圧が開始される(ステップS531→S534)。回生制動力の分だけ液圧による摩擦制動力を低下させる。
ブレーキペダルBPが踏み込まれていないため、ゲートインバルブGV−INを開弁してリザーバ16,26残留液の還流を行う。その際、ゲートアウトバルブGV−OUTは閉弁される。
【0098】
(時刻t32)
時刻t32において回生制動力が一定となり、回生輪は保持状態とされてインバルブIN/VおよびアウトバルブOUT/Vはともに閉弁される。
【0099】
(時刻t33)
時刻t33において回生制動力が減少し、摩擦制動力が増加して増圧が行われる(ステップS3→S4)。同時にブレーキ操作が開始され、インバルブIN/Vを開弁してマスタシリンダ圧による回生輪ホイルシリンダ増圧が開始される。その際ゲートアウトバルブGV−OUTの開弁量が制御され、このゲートアウトバルブGV−OUTのオリフィス効果によってマスタシリンダ圧の急減が抑制される。
【0100】
(時刻34)
時刻t34において回生制動が終了し、ゲートアウトバルブGV−OUTが閉弁されて摩擦制動力変化量=0となる。
【0101】
[実施例3の効果]
(3)コントロールユニットC/Uは、
ブレーキ操作検出手段によってブレーキペダルが非操作状態と検出された場合、回生輪に設けられたインバルブIN/Vを閉弁するとともにアウトバルブOUT/Vを開弁し、
回生輪のホイルシリンダW/Cからリザーバ16,26に排出された作動油をマスタシリンダM/Cに還流する際、ゲートアウトバルブGV−OUTを開弁することとした。
【0102】
これにより、ポンプPを用いずにゲートアウトバルブGV−OUTを開弁するのみでリザーバ16,26の残留液をマスタシリンダM/Cに還流し、モータMの駆動電流を抑制してエネルギー効率を向上させることができる。
【0103】
(5)コントロールユニットC/Uは制動力協調制御手段(ステップS1〜S5)を有し、
制動力協調制御手段は、
ポンプPによってリザーバ16,26内の作動油をマスタシリンダM/Cに還流する際、回生輪に設けられたインバルブIN/Vを開弁し、ゲートアウトバルブGV−OUTの開弁量を制御することとした。
【0104】
これにより、ゲートアウトバルブGV−OUTのオリフィス効果によってマスタシリンダ圧の急減を抑制することができる。
【0105】
[他の実施例]
以上、本発明を実施するための最良の形態を実施例に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は各実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】実施例1におけるブレーキ制御装置のシステム構成図である。
【図2】実施例1における油圧ユニットH/Uの油圧回路構成である。
【図3】回生制動と摩擦制動の協調制御のメインフローである。
【図4】実施例1における回生輪の摩擦制動力増加制御のフローチャートである。
【図5】実施例1における回生輪の摩擦制動力非増加(保持・減圧)制御のフローである。
【図6】実施例1における回生・摩擦協調制動制御のタイムチャートである。
【図7】実施例2におけるブレーキ制御装置のシステム構成図である。
【図8】実施例2における油圧ユニットH/Uの油圧回路構成である。
【図9】実施例2における回生輪の摩擦制動力非増加(保持・減圧)制御のフローである。
【図10】実施例2における回生・摩擦協調制御のタイムチャートである。
【図11】実施例3における摩擦制動力増加制御のフローチャートである。
【図12】実施例3における回生輪の摩擦制動力非増加(保持・減圧)制御のフローである。
【図13】実施例3における回生・摩擦協調制御のタイムチャートである。
【符号の説明】
【0107】
16,26リザーバ
M/C マスタシリンダ
FL〜RR 各輪
W/C(FL〜RR) ホイルシリンダ
MBU 回生ブレーキユニット
IN/V インバルブ
OUT/V アウトバルブ
P ポンプ
M モータ
GV−OUT ゲートアウトバルブ(圧力制御弁)
C/U コントロールユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタシリンダと、
車両の各輪に設けられ、摩擦制動力を発生させるホイルシリンダと、
前記各輪に設けられ、回生制動力を発生させる回生ブレーキユニットと、
前記各輪に設けられたインバルブおよびアウトバルブと、
前記ホイルシリンダから排出された作動油を貯留するリザーバと、
前記リザーバ内の作動油を前記マスタシリンダに還流するポンプと、
前記ポンプを駆動するモータと、
前記ポンプの吐出側と前記マスタシリンダとの間に設けられた圧力制御弁と、
前記モータを駆動するとともに、前記摩擦制動力と前記回生制動力を協調制御するコントロールユニットと
を備え、
前記コントロールユニットは、
前記回生制動力の増加に伴って回生輪の摩擦制動力を減少させ、
前記回生輪に設けられた前記インバルブを閉弁するとともに前記アウトバルブを開弁し、
前記ポンプによって、前記回生輪のホイルシリンダから前記リザーバに排出された作動油を前記マスタシリンダに還流する際、前記圧力制御弁の開弁量を制御すること
を特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項2】
マスタシリンダと、
車両の各輪に設けられ、摩擦制動力を発生させるホイルシリンダと、
前記各輪に設けられ、回生制動力を発生させる回生ブレーキユニットと、
前記各輪に設けられたインバルブおよびアウトバルブと、
前記ホイルシリンダから排出された作動油を貯留するリザーバと、
前記リザーバ内の作動油を前記マスタシリンダに還流するポンプと、
前記ポンプを駆動するモータと、
前記ポンプの吐出側と前記マスタシリンダとの間に設けられた圧力制御弁と、
前記モータを駆動するとともに、前記摩擦制動力と前記回生制動力を協調制御するコントロールユニットと、
ブレーキペダルの操作状態を検出するブレーキ操作検出手段と
を備え、
前記コントロールユニットは、
前記回生制動力の増加に伴って回生輪の摩擦制動力を減少させ、
前記ブレーキ操作検出手段によって前記ブレーキペダルが非操作状態と検出された場合、前記回生輪に設けられた前記インバルブを閉弁するとともに前記アウトバルブを開弁し、
前記ポンプによって、前記回生輪のホイルシリンダから前記リザーバに排出された作動油を前記マスタシリンダに還流する際、前記圧力制御弁の開弁量を制御すること
を特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項3】
マスタシリンダと、
車両の各輪に設けられ、摩擦制動力を発生させるホイルシリンダと、
前記各輪に設けられ、回生制動力を発生させる回生ブレーキユニットと、
前記各輪に設けられたインバルブおよびアウトバルブと、
前記ホイルシリンダから排出された作動油を貯留するリザーバと、
前記ポンプの吐出側と前記マスタシリンダとの間に設けられた圧力制御弁と、
前記モータを駆動するとともに、前記摩擦制動力と前記回生制動力を協調制御するコントロールユニットと、
前記リザーバ内の作動油を前記マスタシリンダに還流するポンプと、
前記ポンプを駆動するモータと、
ブレーキペダルの操作状態を検出するブレーキ操作検出手段と
を備え、
前記コントロールユニットは、
前記回生制動力の増加に伴って回生輪の摩擦制動力を減少させ、
前記ブレーキ操作検出手段によって前記ブレーキペダルが非操作状態と検出された場合、前記回生輪に設けられた前記インバルブを閉弁するとともに前記アウトバルブを開弁し、
前記回生輪のホイルシリンダから前記リザーバに排出された作動油を前記マスタシリンダに還流する際、前記圧力制御弁を開弁すること
を特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のブレーキ制御装置において、
前記コントロールユニットは、前記摩擦制動力を増加させるために必要な作動油の量よりも前記リザーバ内の作動油の量が大きい場合、前記圧力制御弁を閉弁するとともに前記インバルブを開弁し、前記ポンプを駆動すること
を特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項5】
マスタシリンダと、
車両の各輪に設けられ、摩擦制動力を発生させるホイルシリンダと、
前記各輪に設けられ、回生制動力を発生させる回生ブレーキユニットと、
前記各輪に設けられたインバルブおよびアウトバルブと、
前記ホイルシリンダから排出された作動油を貯留するリザーバと、
前記ポンプの吐出側と前記マスタシリンダとの間に設けられた圧力制御弁と、
前記モータを駆動するとともに、前記摩擦制動力と前記回生制動力を協調制御するコントロールユニットと、
前記リザーバ内の作動油を前記マスタシリンダに還流するポンプと、
前記ポンプを駆動するモータと、
ブレーキペダルの操作状態を検出するブレーキ操作検出手段と
を備え、
前記コントロールユニットは制動力協調制御手段を有し、
前記制動力協調制御手段は、
前記回生制動力の増加に伴って前記回生輪のホイルシリンダ内における作動油を前記リザーバに排出することで前記摩擦制動力を減少させ、
前記ポンプによって前記リザーバ内の作動油を前記マスタシリンダに還流する際、前記回生輪に設けられた前記インバルブを開弁し、前記圧力制御弁の開弁量を制御すること
を特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項6】
マスタシリンダと、
車両の各輪に設けられ、摩擦制動力を発生させるホイルシリンダと、
前記各輪に設けられ、回生制動力を発生させる回生ブレーキユニットと、
前記各輪に設けられたインバルブおよびアウトバルブと、
前記ホイルシリンダから排出された作動油を貯留するリザーバと、
前記ポンプの吐出側と前記マスタシリンダとの間に設けられた圧力制御弁と、
前記モータを駆動するとともに、前記摩擦制動力と前記回生制動力を協調制御するコントロールユニットと、
前記リザーバ内の作動油を前記マスタシリンダに還流するポンプと、
前記ポンプを駆動するモータと、
ブレーキペダルの操作状態を検出するブレーキ操作検出手段と
を備え、
前記コントロールユニットは制動力協調制御手段を有し、
前記制動力協調制御手段は、
前記回生制動力の増加に伴って前記回生輪のホイルシリンダ内における作動油を前記リザーバに排出することで前記摩擦制動力を減少させ、
前記ポンプによって前記リザーバ内の作動油を前記マスタシリンダに還流する際、前記回生輪に設けられた前記インバルブを開弁し、前記圧力制御弁の開弁量を制御することで、前記マスタシリンダ圧の圧力上昇勾配を制御すること
を特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項7】
マスタシリンダと、
車両の各輪に設けられ、摩擦制動力を発生させるホイルシリンダと、
前記各輪の回生制動力を制御するコントロールユニットと、
前記各輪に設けられたインバルブおよびアウトバルブと、
前記ホイルシリンダから排出された作動油を貯留するリザーバと、
前記ポンプの吐出側と前記マスタシリンダとの間に設けられた圧力制御弁と、
前記リザーバ内の作動油を前記マスタシリンダに還流するポンプと、
前記ポンプを駆動するモータと
を備え、
前記コントロールユニットは、前記回生制動力の増加に伴って前記回生輪のホイルシリンダ内における作動油を前記リザーバに排出し、
前記ポンプによって前記リザーバ内の作動油を前記マスタシリンダに還流する際、前記圧力制御弁の開弁量を制御することにより、前記マスタシリンダへの作動油の還流量を制御すること
を特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項1】
マスタシリンダと、
車両の各輪に設けられ、摩擦制動力を発生させるホイルシリンダと、
前記各輪に設けられ、回生制動力を発生させる回生ブレーキユニットと、
前記各輪に設けられたインバルブおよびアウトバルブと、
前記ホイルシリンダから排出された作動油を貯留するリザーバと、
前記リザーバ内の作動油を前記マスタシリンダに還流するポンプと、
前記ポンプを駆動するモータと、
前記ポンプの吐出側と前記マスタシリンダとの間に設けられた圧力制御弁と、
前記モータを駆動するとともに、前記摩擦制動力と前記回生制動力を協調制御するコントロールユニットと
を備え、
前記コントロールユニットは、
前記回生制動力の増加に伴って回生輪の摩擦制動力を減少させ、
前記回生輪に設けられた前記インバルブを閉弁するとともに前記アウトバルブを開弁し、
前記ポンプによって、前記回生輪のホイルシリンダから前記リザーバに排出された作動油を前記マスタシリンダに還流する際、前記圧力制御弁の開弁量を制御すること
を特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項2】
マスタシリンダと、
車両の各輪に設けられ、摩擦制動力を発生させるホイルシリンダと、
前記各輪に設けられ、回生制動力を発生させる回生ブレーキユニットと、
前記各輪に設けられたインバルブおよびアウトバルブと、
前記ホイルシリンダから排出された作動油を貯留するリザーバと、
前記リザーバ内の作動油を前記マスタシリンダに還流するポンプと、
前記ポンプを駆動するモータと、
前記ポンプの吐出側と前記マスタシリンダとの間に設けられた圧力制御弁と、
前記モータを駆動するとともに、前記摩擦制動力と前記回生制動力を協調制御するコントロールユニットと、
ブレーキペダルの操作状態を検出するブレーキ操作検出手段と
を備え、
前記コントロールユニットは、
前記回生制動力の増加に伴って回生輪の摩擦制動力を減少させ、
前記ブレーキ操作検出手段によって前記ブレーキペダルが非操作状態と検出された場合、前記回生輪に設けられた前記インバルブを閉弁するとともに前記アウトバルブを開弁し、
前記ポンプによって、前記回生輪のホイルシリンダから前記リザーバに排出された作動油を前記マスタシリンダに還流する際、前記圧力制御弁の開弁量を制御すること
を特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項3】
マスタシリンダと、
車両の各輪に設けられ、摩擦制動力を発生させるホイルシリンダと、
前記各輪に設けられ、回生制動力を発生させる回生ブレーキユニットと、
前記各輪に設けられたインバルブおよびアウトバルブと、
前記ホイルシリンダから排出された作動油を貯留するリザーバと、
前記ポンプの吐出側と前記マスタシリンダとの間に設けられた圧力制御弁と、
前記モータを駆動するとともに、前記摩擦制動力と前記回生制動力を協調制御するコントロールユニットと、
前記リザーバ内の作動油を前記マスタシリンダに還流するポンプと、
前記ポンプを駆動するモータと、
ブレーキペダルの操作状態を検出するブレーキ操作検出手段と
を備え、
前記コントロールユニットは、
前記回生制動力の増加に伴って回生輪の摩擦制動力を減少させ、
前記ブレーキ操作検出手段によって前記ブレーキペダルが非操作状態と検出された場合、前記回生輪に設けられた前記インバルブを閉弁するとともに前記アウトバルブを開弁し、
前記回生輪のホイルシリンダから前記リザーバに排出された作動油を前記マスタシリンダに還流する際、前記圧力制御弁を開弁すること
を特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のブレーキ制御装置において、
前記コントロールユニットは、前記摩擦制動力を増加させるために必要な作動油の量よりも前記リザーバ内の作動油の量が大きい場合、前記圧力制御弁を閉弁するとともに前記インバルブを開弁し、前記ポンプを駆動すること
を特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項5】
マスタシリンダと、
車両の各輪に設けられ、摩擦制動力を発生させるホイルシリンダと、
前記各輪に設けられ、回生制動力を発生させる回生ブレーキユニットと、
前記各輪に設けられたインバルブおよびアウトバルブと、
前記ホイルシリンダから排出された作動油を貯留するリザーバと、
前記ポンプの吐出側と前記マスタシリンダとの間に設けられた圧力制御弁と、
前記モータを駆動するとともに、前記摩擦制動力と前記回生制動力を協調制御するコントロールユニットと、
前記リザーバ内の作動油を前記マスタシリンダに還流するポンプと、
前記ポンプを駆動するモータと、
ブレーキペダルの操作状態を検出するブレーキ操作検出手段と
を備え、
前記コントロールユニットは制動力協調制御手段を有し、
前記制動力協調制御手段は、
前記回生制動力の増加に伴って前記回生輪のホイルシリンダ内における作動油を前記リザーバに排出することで前記摩擦制動力を減少させ、
前記ポンプによって前記リザーバ内の作動油を前記マスタシリンダに還流する際、前記回生輪に設けられた前記インバルブを開弁し、前記圧力制御弁の開弁量を制御すること
を特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項6】
マスタシリンダと、
車両の各輪に設けられ、摩擦制動力を発生させるホイルシリンダと、
前記各輪に設けられ、回生制動力を発生させる回生ブレーキユニットと、
前記各輪に設けられたインバルブおよびアウトバルブと、
前記ホイルシリンダから排出された作動油を貯留するリザーバと、
前記ポンプの吐出側と前記マスタシリンダとの間に設けられた圧力制御弁と、
前記モータを駆動するとともに、前記摩擦制動力と前記回生制動力を協調制御するコントロールユニットと、
前記リザーバ内の作動油を前記マスタシリンダに還流するポンプと、
前記ポンプを駆動するモータと、
ブレーキペダルの操作状態を検出するブレーキ操作検出手段と
を備え、
前記コントロールユニットは制動力協調制御手段を有し、
前記制動力協調制御手段は、
前記回生制動力の増加に伴って前記回生輪のホイルシリンダ内における作動油を前記リザーバに排出することで前記摩擦制動力を減少させ、
前記ポンプによって前記リザーバ内の作動油を前記マスタシリンダに還流する際、前記回生輪に設けられた前記インバルブを開弁し、前記圧力制御弁の開弁量を制御することで、前記マスタシリンダ圧の圧力上昇勾配を制御すること
を特徴とするブレーキ制御装置。
【請求項7】
マスタシリンダと、
車両の各輪に設けられ、摩擦制動力を発生させるホイルシリンダと、
前記各輪の回生制動力を制御するコントロールユニットと、
前記各輪に設けられたインバルブおよびアウトバルブと、
前記ホイルシリンダから排出された作動油を貯留するリザーバと、
前記ポンプの吐出側と前記マスタシリンダとの間に設けられた圧力制御弁と、
前記リザーバ内の作動油を前記マスタシリンダに還流するポンプと、
前記ポンプを駆動するモータと
を備え、
前記コントロールユニットは、前記回生制動力の増加に伴って前記回生輪のホイルシリンダ内における作動油を前記リザーバに排出し、
前記ポンプによって前記リザーバ内の作動油を前記マスタシリンダに還流する際、前記圧力制御弁の開弁量を制御することにより、前記マスタシリンダへの作動油の還流量を制御すること
を特徴とするブレーキ制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−202678(P2009−202678A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−45431(P2008−45431)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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