説明

ブレードサーバーのバックアップ電源

【課題】バックアップ電源をセットするために専用設計されないブレードサーバーのエンクロージャーに、電源ユニット又はブレードに代わってセットして便利に使用する。
【解決手段】バックアップ電源20は、複数のブレード50と、このブレード50に電力を供給する複数の電源ユニット60を脱着自在にセットするエンクロージャー40に電源ユニット60に代わってセットされる。バックアップ電源20は、エンクロージャー40に脱着自在にセットできる外装ケース21と接続部22とを備え、この外装ケース21の内部に、複数の電池31と、この電池31の出力をブレード50の電源ライン53に供給できる電圧に変換するDC/DCコンバータ32と、エンクロージャー40にセットされる状態で、入力される電力で電池31を充電すると共に、停電時に電池31の出力をブレード50の電源ライン53に供給する充放電制御回路33とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のブレードを脱着自在にセットしているブレードサーバーのエンクロージャーに、電源ユニットに代わってセットできるバックアップ電源に関する。
【背景技術】
【0002】
ブレードサーバーは、停電時に正常な動作を保証する必要がある。このことを実現するために、エンクロージャーの外部に設置される鉛蓄電池を内蔵するバックアップ電池が開発されている。このバックアップ電源は、停電時に交流の商用電源に代わってブレードサーバーに電力を供給する。したがって、このバックアップ電源は、ブレードサーバーの商用電源の入力側に接続されて、停電時に商用電源に変わって交流電力を出力する。このため、このバックアップ電源は、停電を検出すると鉛蓄電池の出力をDC/ACインバータで商用電源と同じ電圧の交流に変換して出力する。停電時には、鉛蓄電池から出力される電力は、バックアップ電源のDC/ACインバータで交流に変換され、さらにブレードサーバーに内蔵される電源回路でもって、入力される交流を所定の電圧の直流に変換して各々のブレードに供給する。この回路構成によると、鉛蓄電池の出力は、DC/ACインバータと電源回路を介して各々のブレードに供給されるので、鉛蓄電池から出力される電力の利用効率が低くなる欠点がある。さらに、このバックアップ電源は、エンクロージャーの外部に設置されるので、便利に使用できない欠点もある。この欠点を解消するために、複数のブレードをセットするエンクロージャーの底部にセットできるバックアップ電源が開発されている。(特許文献1参照)
【0003】
特許文献1のバックアップ電源は、内蔵する電池に充電される電力を交流に変換することなく、DC/DCコンバータで所定の直流電圧に変換して出力する。したがって、DC/DCコンバータの出力を直接にブレードサーバーの電源ラインに供給して電池の利用効率を高くできる。しかしながら、このバックアップ電源は、エンクロージャーの底部に設けた専用の収納スペースにセットすることから、バックアップ電源をセットするために、エンクロージャーを専用に設計する必要がある。したがって、バックアップ電源をセットするように設計されない汎用のブレードサーバーにはセットできない欠点がある。
【特許文献1】特開2003−309935号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、以上の欠点を解決することを目的に開発されたもので、本発明の重要な目的は、バックアップ電源をセットするために専用設計されないブレードサーバーのエンクロージャーに、電源ユニット又はブレードに代わってセットして、極めて便利に使用できるブレードサーバーのバックアップ電源を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0005】
本発明の請求項1のバックアップ電源は、複数のブレード50を脱着自在にセットできると共に、このブレード50に電力を供給する複数の電源ユニット60、80を脱着自在にセットできるようにしてなるエンクロージャー40を備えるブレードサーバーのバックアップ電源20、70である。このバックアップ電源20は、電源ユニット60、80に代わってエンクロージャー40に脱着自在にセットできる外装ケース21、71と接続部22、72とを備え、この外装ケース21、71の内部に、充電できる複数の電池31と、この電池31の出力をブレード50の電源ライン53に供給できる電圧に変換するDC/DCコンバータ32と、エンクロージャー40に電源ユニット60、80に代わってセットされる状態で、入力される電力で電池31を充電すると共に、停電時に電池31の出力をDC/DCコンバータ32を介してブレード50の電源ライン53に供給する充放電制御回路33とを備えている。
【0006】
本発明の請求項2のバックアップ電源は、複数のブレード50を脱着自在にセットできると共に、このブレード50に電力を供給する複数の電源ユニット60、80を脱着自在にセットできるようにしてなるエンクロージャー40を備えるブレードサーバーのバックアップ電源10である。このバックアップ電源10は、ブレード50に代わってエンクロージャー40に脱着自在にセットできる外装ケース11と接続部12とを備え、この外装ケース11の内部に、充電できる複数の電池31と、この電池31の出力をブレード50の電源ライン53に供給できる電圧に変換するDC/DCコンバータ32と、エンクロージャー40にブレード50に代わってセットされる状態で、入力される電力で電池31を充電すると共に、停電時に電池31の出力をDC/DCコンバータ32を介してブレード50の電源ライン53に供給する充放電制御回路33とを備えている。
【0007】
以上の請求項1または請求項2のバックアップ電源は、バックアップ電源をセットするために専用設計されないブレードサーバーのエンクロージャーに、電源ユニットに代わって、またはブレードに代わってセットすることで極めて便利に使用できる特徴がある。さらに、以上のバックアップ電源は、電池の出力を交流に変換するのではなく、DC/DCコンバータで各々のブレードの電源に供給できる直流電圧に変換して出力するので、電池の出力を効率よくブレードに供給できる。このことは、電池の充電容量に対するブレードサーバーの動作時間を長くする極めて大切な特徴を実現する。
【0008】
本発明のブレードサーバーのバックアップ電源は、エンクロージャー40の下部にセットされる電源ユニット60、または、エンクロージャー40の背面にセットされる電源ユニット80に代わってセットすることができる。
【0009】
本発明のブレードサーバーのバックアップ電源は、DC/DCコンバータ32の出力電圧を12±1Vとすることができる。
【0010】
本発明のブレードサーバーのバックアップ電源は、外装ケース21、71の前面に冷却ファン24、74を設けることができる。
以上のバックアップ電源は、冷却ファンでもって外装ケースの前面からエンクロージャーの外部に換気して冷却できるので、内蔵される発熱素子を効率よく冷却できる。
【0011】
本発明のブレードサーバーのバックアップ電源は、外装ケース21、71の前面に、エンクロージャー40にロック状態でセットされるロックレバー27、77を設けることができる。
【0012】
本発明のブレードサーバーのバックアップ電源は、外装ケース11、21、71に収納する電池31を、ニッケル水素電池又はリチウムイオン電池とすることができる。
以上のバックアップ電源は、ブレードや電源ユニットに代わってセットしながら、停電時におけるブレードの電池による動作時間を長くできる。それは、外装ケースをブレードや電源ユニットに代わってセットできるように大きさを制限しながら、二次電池の体積に対する充電容量を大きくできるからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのブレードサーバーのバックアップ電源を例示するものであって、本発明はバックアップ電源の構造や回路構成を以下のものに特定しない。
【0014】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0015】
図1に示すバックアップ電源10、20は、ブレードサーバーのブレード50に代わってセットされ、あるいは電源ユニット60に代わってセットされて、停電時にブレード50に電力を供給して所定の時間はブレードサーバーを動作状態に保持する。バックアップ電源10、20が、停電してからブレードサーバーを動作状態に保持する時間は、ブレードサーバーを正常に終了処理できる時間よりも長く、たとえば2分ないし10分とする。
【0016】
バックアップ電源10、20が脱着できるようにセットされるブレードサーバーは、複数のブレード50を脱着自在にセットでき、さらに、各々のブレード50に電力を供給する複数の電源ユニット60を、ブレード50の下方に脱着自在にセットできるようにしてなる収納ケースとしてのエンクロージャー40を備えている。図のエンクロージャー40は、ブレード50を複数段、すなわち2段に収納して、各段に複数列、図にあっては8列にブレード50を収納できるようにしている。さらに、図のエンクロージャー40は、ブレード50の下方に、6列に電源ユニット60を水平方向に並べて収納できる構造としている。
【0017】
このエンクロージャー40は、16組のブレード50を脱着自在にセットできる。ただし、ブレードサーバーは、常に16組のブレード50を使用しないので、ブレード50をセットしない部分に、ブレード50に代わってバックアップ電源10がセットされる。
【0018】
また、図のエンクロージャー40は、6列の電源ユニット60を脱着自在にセットできる構造としているが、常に6組の電源ユニット60を使用しないので、電源ユニット60をセットしない部分に、電源ユニット60に代わってバックアップ電源20がセットされる。
【0019】
バックアップ電源10、20は、ブレード50に代わって、あるいは電源ユニット60に代わってエンクロージャー40に脱着自在にセットできる外装ケース11、21と接続部12、22とを備えている。ブレード50に代わってセットされるバックアップ電源10の外装ケース11は、ブレード50を接続する部分に脱着自在に挿入できる外形としている。電源ユニット60に代わってセットされるバックアップ電源20の外装ケース21は、電源ユニット60をセットする部分に脱着自在に挿入できる外形としている。
【0020】
さらに、エンクロージャー40は、図2に示すように、セットされるブレード50や電源ユニット60に接続されるバスラインや通信ラインや電源ライン等を設けているコネクトベイ41を背面に備えている。エンクロージャー40の定位置にセットされるブレード50や電源ユニット60は、定位置にセットされる状態で、コネクトベイ41に接続される接続端子やコネクタからなる接続部52、62を設けており、この接続部52、62を介してコネクトベイ41に接続される。したがって、ブレード50や電源ユニット60に代わってセットされるバックアップ電源10、20も、エンクロージャー40の定位置にセットされる状態で、コネクトベイ41に接続される接続部12、22を設けている。
【0021】
図3は、ブレードサーバーのブロック図を示している。この図に示すブレードサーバーは、入力される商用電源をブレード50の電源ライン53に供給する電源ユニット60を備えている。電源ユニット60は、入力される商用電源を直流に変換するAC/DC変換回路63と、このAC/DC変換回路63から出力される直流をブレード50の電源ライン53に供給する電圧に変換するDC/DCコンバータ64とを備えている。この図のブレードサーバーは、ブレード50に電源回路54を内蔵しており、電源ユニット60から供給される直流電圧を内部の回路に最適な電圧に変換するサブDC/DCコンバータ55を内蔵している。図のブレードサーバーは、電源ユニット60からブレード50の電源ライン53に供給する電圧を12Vとし、ブレード50は、この12Vを5V、3.3V、1Vに変換するサブDC/DCコンバータ55を内蔵している。
【0022】
バックアップ電源10、20は、充電できる複数の電池31と、電池31の出力電圧をブレード50の電源ライン53に供給できる直流電圧に変換するDC/DCコンバータ32と、入力される電力で電池31を充電すると共に、停電を検出して電池31の出力をDC/DCコンバータ32を介してブレード50の電源ライン53に供給する状態を制御する充放電制御回路33とを備えている。
【0023】
電池31は、複数のニッケル水素電池からなり、複数のニッケル水素電池を直列に接続して出力電圧を高くし、あるいは直列と並列に接続して出力電圧と出力電流を大きくしている。バックアップ電源10、20に内蔵される電池31は、たとえば400W〜2kWの電力を、2分〜10分連続して出力できる容量に設定される。電池31にはニッケル水素電池に代わってリチウムイオン電池も使用できる。リチウムイオン電池は、ニッケル水素電池よりも体積に対する容量を大きくできる。
【0024】
DC/DCコンバータ32は、電池31の充電電圧をブレード50の電源ライン53に供給できる電圧、たとえば、図3にあっては11.5Vに設定している。DC/DCコンバータ32の出力電圧は、ブレード50の電源ライン53に直流電力を供給できるように、12V±1Vの範囲に設定される。図のバックアップ電源10、20は、DC/DCコンバータ32の出力側に逆流を阻止するダイオード34を接続している。このバックアップ電源10、20は、電源ユニット60からバックアップ電源10、20に電流が逆流することがないので、常にDC/DCコンバータ32を動作状態として、停電時にはDC/DCコンバータ32を介して電池31から電源ライン53に電力を供給できる。動作状態にあるDC/DCコンバータ32は電力を消費するが、この電力は、電池31から供給することなく、バックアップ電源10、20に入力される電力を電池31の充電電圧に変換する電源回路35から供給できる。このバックアップ電源10、20は、停電時に時間遅れなく、すなわち電源ライン53に入力される電圧を遮断することなく、ブレード50の電源ライン53に電力を供給できる。ここで、図3のバックアップ電源10、20は、入力される電力を商用電源である交流電源としている。したがって、図のバックアップ電源10、20は、電源回路35をAC/DCコンバータ35Aとして、入力される交流電源を直流に変換して充放電制御回路33に供給している。
【0025】
充放電制御回路33は、電池31の残容量を検出して、常に電池31を所定の残容量に保持するように電源回路35から入力される直流で充電する。この充放電制御回路33は、たとえば、電池31の残容量を80%〜100%に保持するように、電池31の充電を制御する。また、充放電制御回路33は、電池31の過放電を防止するために、電池31の残容量が最低容量まで減少すると、DC/DCコンバータ32の動作を停止して電池31の放電を停止する。
【0026】
充放電制御回路33は、DC/DCコンバータ32を常時動作状態として、ダイオード34を介して停電時には電池31からブレード50の電源ライン53に電力を供給することもできるが、停電を検出して、DC/DCコンバータ32を動作状態に切り換えることもできる。この充放電制御回路33は、入力される商用電源の電圧を検出して、商用電源の電圧が設定値よりも小さくなると停電と判定して、DC/DCコンバータ32を動作状態に切り換えて、電池31からDC/DCコンバータ32を介してブレード50の電源ライン53に電力を供給する。交流の商用電源の電圧は、時間と共に変化するので、交流電圧を検出して停電を検出するには、1/2サイクルの時間を必要とする。
【0027】
充放電制御回路33は、図示しないが、商用電源の交流を、積分回路又は微分回路でもって、商用電源に対して90度位相のずれた変相信号とし、この変相信号と、交流電源から入力される入力信号の両方を別々に二乗回路で二乗し、各々の二乗回路の出力を加算回路で加算することで、商用電源の停電を、1/2サイクルよりも短い時間で検出できる。
この回路は、商用電源から入力される入力信号をωとするとき、以下の式を実現して、Aの電圧の直流を出力する。すなわち、交流を入力して直流を出力する。この式においてAは、商用電源のピーク電圧となる。
(Asinω)+(Acosω)=Aが成立する。
この回路は、商用電源が入力される状態では、加算回路が一定の直流電圧(A)を出力するが、停電すると、この出力電圧が直ちに変化して、停電を検出できる。すなわち、入力される商用電源が所定の周期で所定の電圧となるサインカーブに沿って変化しているかどうかを瞬時に判定する。
【0028】
商用電源の停電を検出して、DC/DCコンバータ32を動作状態とするバックアップ電源10、20は、停電してブレード50の電源ライン53の電圧が設定値まで低下するより先に動作状態として、電源ライン53に電力を供給する。ブレード50の電源ライン53は、大容量の電解コンデンサ56を接続しているので、停電しても瞬時に電圧は低下しない。この電解コンデンサ56によって、電源ライン53の電圧が、設定電圧、すなわち、ブレード50を正常に動作できる最低電圧に低下する以前に、DC/DCコンバータ32を動作状態として、電池31から電源ライン53に電力を供給して、ブレード50を停電によっても動作状態に保持する。電池31から電源ライン53に供給される電力でブレードサーバーが終了処理などの所定の処理をして電源を遮断した後、充放電制御回路33は、DC/DCコンバータ32の動作を停止して、電池31の放電を停止する。
【0029】
さらに、図4は、入力される電力を交流電源とせず、直流電源とするバックアップ電源10、20を示している。図のバックアップ電源10、20は、電源ユニット60から出力される直流電源を入力電力として、ブレード50の電源ライン53から入力している。図のバックアップ電源10、20は、DC/DCコンバータ32からブレード50の電源ライン53に供給する出力ライン36を、電池31を充電する電力の入力ライン37に併用している。図のバックアップ電源10、20は、DC/DCコンバータ32の出力側に逆流を阻止するダイオード34を接続しており、このダイオードの出力側を分岐して電源回路35に接続している。この構造は、出力ライン36と入力ライン37を同一ラインとして1本にすることができる。このバックアップ電源10、20は、入力される電力を直流とするので、電源回路35をDC/DCコンバータ35Bとして、入力される直流を電池31の充電電圧に変換して充放電制御回路33に供給している。
【0030】
充放電制御回路33は、電池31の残容量を検出して、常に電池31を所定の残容量に保持するように電源回路35から入力される直流で充電し、停電時においては、電池31から放電してブレード50の電源ライン53に電力を供給する。この充放電制御回路33も、DC/DCコンバータ32を常時動作状態として、ダイオード34を介して停電時には電池31からブレード50の電源ライン53に電力を供給することもできるが、停電を検出して、DC/DCコンバータ32を動作状態に切り換えることもできる。この充放電制御回路33は、たとえば、入力される電源ライン53の電圧を検出して、電源ライン53の電圧が設定値よりも小さくなると停電と判定することができ、あるいは、通信ライン(図示せず)を介して接続されるコネクトベイ41からの信号で停電を検出することができる。充放電制御回路33は、停電を検出すると、DC/DCコンバータ32を動作状態に切り換えて、電池31からDC/DCコンバータ32を介してブレード50の電源ライン53に電力を供給する。
【0031】
図5と図6は、電源ユニット60に代わってセットされるバックアップ電源20を示している。これ等のバックアップ電源20は、外装ケース21の前後にDC/DCコンバータ32と電池31を内蔵している。充放電制御回路は、内蔵される回路基板23に実装される。さらに、このバックアップ電源20は、図1に示すように、エンクロージャー40の下部にセットされる電源ユニット60に代わってセットされる。このバックアップ電源20は、外装ケース21の前面に冷却ファン24を設けて、冷却ファン24でもって内蔵する発熱部品、たとえばDC/DCコンバータ32のスイッチング素子のFET、整流用のダイオード、電池31などに強制送風して冷却する。外装ケース21は、前面の冷却ファン24が吸入する空気、あるいは排気する空気を通過させる多数の貫通孔26を前面パネル25に設けている。
【0032】
さらに、図の外装ケース21は、前面に、エンクロージャー40にロック状態でセットされるロックレバー27を設けている。このロックレバー27は、弾性金属板からなり、外装ケース21の側面に係止フック28を弾性的に突出させている。係止フック28は、エンクロージャー40に設けた係止部(図示せず)に係止されて、バックアップ電源20が抜けるのを阻止する。このバックアップ電源20は、ロックレバー27を操作して、係止フック28を外して、エンクロージャー40から外すことができる。
【0033】
図7と図8は、エンクロージャー40に、ブレード50に代わって使用されるバックアップ電源10を示している。このバックアップ電源10は、多数の電池31を収納して充電容量を大きくできる。このため、停電時に消費電力の大きい多数のブレード50に、長い時間にわたって連続して動作状態に保持できる。このバックアップ電源10も、DC/DCコンバータ32を実現する回路基板(図示せず)に充放電制御回路を実装している。
【0034】
以上のバックアップ電源10、20は、ブレード50に代わって、あるいは電源ユニット60に代わってエンクロージャー40にセットされて、エンクロージャー40に設けているコネクトベイ41に接続される接続部12、22を設けている。接続部12、22は、外装ケース11、21の奥部に設けられて、エンクロージャー40にセットされる状態で、コネクトベイ41に接続される。ブレードサーバーは、ブレード50に代わって、あるいは電源ユニット60に代わってバックアップ電源10、20をセットすることで、停電時に所定の時間は動作状態に保持できる。ブレードサーバーは、複数のバックアップ電源10、20をセットして、停電時には、各々のバックアップ電源10、20から、ブレード50の電源ライン53に電力を供給して、動作状態に保持することができる。
【0035】
以上の実施例においては、ブレードサーバーは、エンクロージャー40の下部に電源ユニット60をセットしているが、ブレードサーバーは、図9に示すように、エンクロージャー40の背面であって、コネクトベイ41の上下のスペース42、42に電源ユニット80を設置することもできる。この電源ユニット80は、定位置にセットされる状態で、コネクトベイ41に接続される接続端子やコネクタからなる接続部82を設けており、この接続部82を介してコネクトベイ41に接続される。このブレードサーバーは、背面のスペース42に、電源ユニット80を脱着自在にセットし、また、この電源ユニット80に代わってバックアップ電源70をセットすることができる。
【0036】
図10と図11は、エンクロージャー40の背面であって、コネクトベイ41の上下のスペース42に電源ユニット80に代わってセットされるバックアップ電源70を示している。このバックアップ電源70は、外装ケース71の前後にDC/DCコンバータ32と電池31を内蔵している。充放電制御回路は、内蔵される回路基板73に実装される。さらに、このバックアップ電源70は、外装ケース71の前面(エンクロージャー40の背面側)に冷却ファン74を設けて、冷却ファン74でもって内蔵する発熱部品、たとえばDC/DCコンバータ32のスイッチング素子のFET、整流用のダイオード、電池31などに強制送風して冷却する。外装ケース71は、前面の冷却ファン74が吸入する空気、あるいは排気する空気を通過させる貫通孔76を前面パネル75に設けている。
回路基板73上には、図3のブロック図の回路を利用するときは、DC/DCコンバータ32、充放電制御回路33、ダイオード34、電源回路35のAC/DCコンバータ35A等に対応した電子部品が実装されることになる。また、回路基板73上には、図4のブロック図の回路を利用するときは、DC/DCコンバータ32、充放電制御回路33、ダイオード34、電源回路35のDC/DCコンバータ35B等に対応した電子部品が実装されることになる。
【0037】
さらに、図の外装ケース71は、前面に、エンクロージャー40にロック状態でセットされるロックレバー77を設けている。このロックレバー77は、弾性金属板からなり、外装ケース71の上面に係止フック78を弾性的に突出させている。係止フック78は、エンクロージャー40に設けた係止部(図示せず)に係止されて、バックアップ電源70が抜けるのを阻止する。このバックアップ電源70は、ロックレバー77を操作して、係止フック78を外して、エンクロージャー40から外すことができる。
【0038】
このバックアップ電源70も、電源ユニット80に代わってエンクロージャー40の定位置にセットされる状態で、コネクトベイ41に接続される接続部72を設けている。接続部72は、外装ケース71の奥部に設けられて、エンクロージャー40にセットされる状態で、コネクトベイ41に接続される。ブレードサーバーは、電源ユニット80に代わってバックアップ電源70をセットすることで、停電時に所定の時間は動作状態に保持できる。ブレードサーバーは、複数のバックアップ電源70をセットして、停電時には、各々のバックアップ電源70から、ブレード50の電源ライン53に電力を供給して、動作状態に保持することができる。
なお、図10、11では、厚みのある板状である箱型のバックアップ電源において、一側面を下側にして配置しているが、一平面(図11における背面)を下側に配置して、換言すれば、図10、11の状態より90度回転した状態で、スペース42に設定することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施例にかかるバックアップ電源がセットされるブレードサーバーの一例を示す斜視図である。
【図2】図1に示すブレードサーバーの垂直断面図である。
【図3】図1に示すブレードサーバーのブロック図である。
【図4】ブレードサーバーの他の一例を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施例にかかるバックアップ電源の斜視図である。
【図6】図5に示すバックアップ電源を背面から見た分解斜視図である。
【図7】本発明の他の実施例にかかるバックアップ電源の斜視図である。
【図8】図7に示すバックアップ電源を背面から見た分解斜視図である。
【図9】本発明の他の実施例にかかるバックアップ電源がセットされるブレードサーバーを示す垂直断面図である。
【図10】本発明の他の実施例にかかるバックアップ電源の斜視図である。
【図11】図10に示すバックアップ電源を背面から見た分解斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
10…バックアップ電源
11…外装ケース
12…接続部
20…バックアップ電源
21…外装ケース
22…接続部
23…回路基板
24…冷却ファン
25…前面パネル
26…貫通孔
27…ロックレバー
28…係止フック
31…電池
32…DC/DCコンバータ
33…充放電制御回路
34…ダイオード
35…電源回路 35A…AC/DCコンバータ
35B…DC/DCコンバータ
36…出力ライン
37…入力ライン
40…エンクロージャー
41…コネクトベイ
42…スペース
50…ブレード
52…装着部
53…電源ライン
54…電源回路
55…サブDC/DCコンバータ
56…電解コンデンサ
60…電源ユニット
62…装着部
63…AC/DC変換回路
64…DC/DCコンバータ
70…バックアップ電源
71…外装ケース
72…接続部
73…回路基板
74…冷却ファン
75…前面パネル
76…貫通孔
77…ロックレバー
78…係止フック
80…電源ユニット
82…装着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のブレード(50)を脱着自在にセットできると共に、このブレード(50)に電力を供給する複数の電源ユニット(60)、(80)を脱着自在にセットできるようにしてなるエンクロージャー(40)を備えるブレードサーバーのバックアップ電源であって、
前記電源ユニット(60)、(80)に代わってエンクロージャー(40)に脱着自在にセットできる外装ケース(21)、(71)と接続部(22)、(72)とを備え、この外装ケース(21)、(71)の内部に、充電できる複数の電池(31)と、この電池(31)の出力を、ブレード(50)の電源ライン(53)に供給できる電圧に変換するDC/DCコンバータ(32)と、前記エンクロージャー(40)に電源ユニット(60)、(80)に代わってセットされる状態で、入力される電力で電池(31)を充電すると共に、停電時に電池(31)の出力をDC/DCコンバータ(32)を介してブレード(50)の電源ライン(53)に供給する充放電制御回路(33)とを備えることを特徴とするブレードサーバーのバックアップ電源。
【請求項2】
複数のブレード(50)を脱着自在にセットできると共に、このブレード(50)に電力を供給する複数の電源ユニット(60)、(80)を脱着自在にセットできるようにしてなるエンクロージャー(40)を備えるブレードサーバーのバックアップ電源であって、
前記ブレード(50)に代わってエンクロージャー(40)に脱着自在にセットできる外装ケース(11)と接続部(12)とを備え、この外装ケース(11)の内部に、充電できる複数の電池(31)と、この電池(31)の出力を、ブレード(50)の電源ライン(53)に供給できる電圧に変換するDC/DCコンバータ(32)と、前記エンクロージャー(40)にブレード(50)に代わってセットされる状態で、入力される電力で電池(31)を充電すると共に、停電時に電池(31)の出力をDC/DCコンバータ(32)を介してブレード(50)の電源ライン(53)に供給する充放電制御回路(33)とを備えることを特徴とするブレードサーバーのバックアップ電源。
【請求項3】
前記エンクロージャー(40)の下部にセットされる電源ユニット(60)、または背面にセットされる電源ユニット(80)に代わってセットされるようにしてなる請求項1に記載されるブレードサーバーのバックアップ電源。
【請求項4】
前記DC/DCコンバータ(32)の出力電圧が12±1Vである請求項1又は2に記載されるブレードサーバーのバックアップ電源。
【請求項5】
前記外装ケース(21)、(71)の前面に冷却ファン(24)、(74)を設けている請求項1又は2に記載されるブレードサーバーのバックアップ電源。
【請求項6】
前記外装ケース(21)、(71)の前面に、エンクロージャー(40)にロック状態でセットされるロックレバー(27)、(77)を設けている請求項1又は2に記載されるブレードサーバーのバックアップ電源。
【請求項7】
前記外装ケース(11)、(21)、(71)に収納している電池(31)がニッケル水素電池又はリチウムイオン電池である請求項1又は2に記載されるブレードサーバーのバックアップ電源。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−88211(P2010−88211A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−254547(P2008−254547)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】