説明

ブロックイソシアナートシリコーン樹脂

本発明は、新しいブロックイソシアナートシリコーン樹脂に関する。それは、貯蔵安定な一部型硬化性コーティング組成物を製造するのに用いることができる。これらのコーティングは、加熱されるまでは、硬化しない。コーティングは、自動車の外装、革布地、電子部品、木の床、および表面を含む多くの基材に、耐候性保護を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
なし。
【0002】
本発明は、貯蔵安定な一部型硬化性コーティング組成物を製造するのに用いられ得る新しいブロックイソシアナートシリコーン樹脂に関する。これらのコーティングは、加熱されるまでは、硬化しない。これらコーティングは、自動車の外装、革布地、電子部品、木の床、および表面を包含する多くの基材に耐候性保護を提供する。イソシアナートは湿気と反応性であり、かつ毒性問題を有するため、所定の場所において硬化される準備ができるまでは、イソシアナートを形成しない物質を製造することは、有用であると思われる。さらに、自動車の上塗り(top coats)、および電子包装(エレクトロニクスパッケージ)のような適用(応用)では、一部型での供給が好まれている。また、該物質が、容易に該基材をオーブンに曝すことができる革布地保護コーティングのような製造(manufacturing)の設定(setting)において適用される如何なる保護コーティングへの適用(応用)も、本発明の加熱活性化一部型処方の利用性を評価することであろう。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、平均式(I) R1a(R2O)bSiO(4-(a+b)/2)[ここで、各R1は、一価かつ独立して、アルキル基、アリール基、および一般式(II) −NHC(O)Z(式中、Zは、上昇温度で解離し、相当するイソシアナートを生成させるようなブロッキング剤である)から選ばれ、R1基は同じでも異なっていてもよく、R2は水素または一価のC1〜C4のアルキル基であり、aは0.7〜2.2であり、bは0〜0.5であり、および(a+b)は0.7〜2.3であり、ただしシリコーン樹脂分子あたり平均して少なくとも1個のブロックイソシアナート基がある]を有するブロックイソシアナートシリコーン樹脂である。
【0004】
1のアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、およびオクタデシルにより例示される。あるいは、該アルキル基は1〜8個の炭素原子を含む。あるいは、該アルキル基はメチルである。
【0005】
1のアリール基は、フェニル、ナフチル、ベンジル、トリル、キシリル、メチルフェニル、2−フェニルエチル、2−フェニル−2−メチルエチル、クロロフェニル、ブロモフェニル、およびフルオロフェニルにより例示される。あるいは、該アリール基は6〜8個の炭素原子を含む。あるいは、該アリール基はフェニルである。
【0006】
1基の50モルパーセントまでは珪素結合アリール基でよい。あるいはR1基の10〜30モルパーセントは珪素結合アリール基である。あるいはR1基の20〜30モルパーセントは珪素結合アリール基である。
【0007】
本明細書において使われる用語<<ブロックイソシアナート>>とは、加熱の際、フェノール、ピリジノール、チオフェノール、メチルエチルケトキシム、アミド、カプロラクタム、イミダゾール、およびピラゾールから選択されるブロッキング剤とともにイソシアナートに変換する基のことをいう。Macromolecules36(13)4727 2003において記載されているように、ブロックイソシアナートの形成は伝統的にブロッキング剤とイソシアナート含有物質を反応させることにより行われ、典型的に:
R’NCO + HZ −> R’NHCOZ
のとおり例示され、式中、HZは上で列挙されたフェノールのようなブロッキング剤であり、R1は本ブロックイソシアナートが結合している基剤分子である。
【0008】
あるいは、本ブロックイソシアナートは、アミン官能性物質から、カルボニルビスカプロラクタム(CBC)との反応を通じ、形成され得る:
R’NH2 + CBC −> R’NHC(O)カプロラクタム
【0009】
【化1】

この反応は、イソシアナートが硬化の際のみに形成されることから、重要である。このことが、該イソシアナートは毒性問題を持っているので、取り扱いをしやすくしている。
本発明において、下付き文字aは0.7〜2.2、あるいは0.7〜2.0、あるいは1.0〜1.6の値を有し、下付き文字bは0〜0.5、あるいは0〜0.2の値を有し、そして下付き文字(a+b)は0.7〜2.3、あるいは0.7〜2.0、あるいは0.7〜1.9の値を有する。
【0010】
本ブロックイソシアナートシリコーン樹脂は、シリコーン樹脂分子あたり少なくとも1個のブロックイソシアナート基を有さなければならない。組成物において用いられるときは、ブロックイソシアナート当量は、150〜1500、あるいは300〜1000となり得る。本明細書において使われる<<当量>>とは、所望基、例えばここでは、本ブロックイソシアナート基1モルを含有する物質の重量を意味する。
【0011】
本ブロックイソシアナートシリコーン樹脂は、
(1)
(A’)平均式(III) R3a(R2O)bSiO(4-(a+b)/2)(式中、各R3は一価かつ独立して、アルキル基、アリール基、およびアミノ官能性炭化水素基から選ばれ、R3基は同じでも異なっていてもよく、R2、a、b、およびa+bは、上で定義されているとおりであり、ただしアミノ官能性シリコーン樹脂分子あたり平均少なくとも1個の第1級アミノ含有炭化水素基がある)を有するアミノ官能性シリコーン樹脂;および
(B’)カルボニルビスカプロラクタム(ここで、アミノ官能性シリコーン樹脂(A')中に存在する第1級アミノ基のモル数に対し10%モル過剰まで、該カルボニルビスカプロラクタムが添加される);
を含む混合物を形成し、そして
(2)該混合物を本ブロックイソシアナートシリコーン樹脂が形成されるまである温度で加熱すること
により調製されていてよい。
【0012】
3のアルキル基およびアリール基は、R1に関して上記された同じ基に
より例示される。
【0013】
本アミノ含有炭化水素基は、式 −R4NHR5または−R4NHR4NHR5 (式中、各R4は独立して少なくとも2個の炭素原子を有する二価炭化水素基(radical)であり、R5は水素またはアルキル基である)を有する基により例示される。各R4は、典型的に2〜20個の炭素原子を有するアルキレン基(radical)である。R4は、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CHCH3−、−CH2CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−、−CH2CH2CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH(CH2CH3)CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2−、および−CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2−により例示される。アルキル基たるR5は、R1に関して上で例示されたとおりである。
【0014】
あるいは、第一級アミノ含有炭化水素基は、−CH2CH2NH2、−CH2CH2CH2NH2、−CH2CH2CH2CH2NH2、−CH2CH2CH2CH2CH2NH2、−CH2CH2CH2CH2CH2CH2NH2、−CH2CH2NHCH2CH2NH2、−CH2CH2CH2NHCH2CH2CH2NH2、および−CH2CH2CH2CH2NHCH2CH2CH2CH2NH2を包含する。
【0015】
本発明において有用なアミノ官能性シリコーン樹脂は、当業界で、特に米国特許出願番号60/487698、国際公開(WO)2005/010076、および米国公開番号20060205868において記述された方法により調製されていてよい。それら特許は本明細書において援用されている。一般的に、本発明において有用な該アミノ官能性シリコーン樹脂は、二つの方法の一つにより、アルコキシシランの加水分解重縮合により調製され得る。例えば、非アミノ官能性アルコキシシランの加水分解が強酸を用いた触媒化によって遂行され得、アミノ官能性シランの添加とこれらの種の塩基触媒による平衡化とが続き、該アミノ官能性シリコーン樹脂を与える。他の場合、開始から存在するアミノ官能性アルコキシシラン(単数もしくは複数)とともに、全体の加水分解が塩基触媒による条件下で行われ得る。双方の場合、該加水分解に続いて、副生成物のアルコールの蒸留除去、濾過、および溶剤の除去が行われ、生成物を提供する。
【0016】
本アミノ官能性シリコーン樹脂は、第一級アミノ炭化水素基のモル数に対して10%モル過剰まで、あるいは化学量論量比(1:1モル比)で、カルボニルビスカプロラクタム(CBC、Allinco、オランダ国)化合物と混合されて、混合物を形成する。一般的に、添加される第一級アミノ基に対するブロックイソシアナート基のモル比は0.9:1〜1.2:1、あるいは1:1〜1:1である。その後、該混合物は、本ブロックイソシアナートシリコーン樹脂が形成されるまで、加熱される。あるいは、該混合物は、本ブロックイソシアナートシリコーン樹脂が形成されるまで、50〜150℃において、加熱される。あるいは、該混合物は、100℃で0.3〜3時間、加熱される。副生成物のカプロラクタムは真空ストリッピングで除去され得、さらに反応完結まで、進められる。
【0017】
また、イソシアナート官能性シリコーン樹脂を用いて開始し、それを先述したブロッキング剤と反応することによりブロックイソシアナートに変換することによりブロックイソシアナートシリコーン樹脂を製造してもよい。該イソシアナート官能性シリコーン樹脂は、アミノ官能性シリコーン樹脂をジホスゲンと反応して製造されることができる。
【0018】
本発明の別の実施形態は、(A)分子あたり平均して少なくとも2個のブロックイソシアナート基を含有するブロックイソシアナートシリコーン樹脂;および(B)各場合、平均して少なくとも2個の炭素結合ヒドロキシル基またはアミノ官能性炭化水素基を有する、官能性シリコーン物質、官能性有機物質またはそれらの混合物[ここで、該官能性有機物質は有機ポリオールおよび有機アミンから選択され、該官能性シリコーン物質は平均式 R6n(R2O)mSiO(4-(n+m)/2)(式中、各R6は一価かつ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アリール基のない少なくとも3個の炭素原子を有するカルビノール基、少なくとも6個の炭素原子を有するアリール含有カルビノール基、またはアミノ官能性炭化水素基から選ばれ、R6基は同じでも異なっていてもよく、R2は水素または一価のC1〜C4のアルキル基であり、nは0.7〜2.2であり、mは0〜0.5であり、そしてm+nは0.7〜2.3である)を有し、ここで、炭素結合ヒドロキシル基+アミノ基に対するブロックイソシアナート基の合計モル比が0.9:1〜1.3:1であり、ただし該官能性シリコーン物質が用いられる場合、平均して分子あたり少なくとも1個のカルビノール基またはアミノ官能性炭化水素基がある]を含む、硬化性コーティング組成物である。
【0019】
本発明の他の実施形態は、
(1)(A)分子あたり少なくとも2個のブロックイソシアナート基を含有するブロックイソシアナートシリコーン樹脂;および
(B)各場合、平均して少なくとも2個の炭素結合ヒドロキシル基またはアミノ官能性炭化水素基を有する、官能性シリコーン物質、官能性有機物質またはそれらの混合物[ここで、該官能性有機物質は有機ポリオールおよび有機アミンから選択され、該官能性シリコーン物質は平均式 R6n(R2O)mSiO(4-(n+m)/2)(式中、各R6は一価かつ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アリール基のない少なくとも3個の炭素原子を有するカルビノール基、少なくとも6個の炭素原子を有するアリール含有カルビノール基、またはアミノ官能性炭化水素基から選ばれ、R6基は同じでも異なっていてもよく、R2は水素または一価のC1〜C4のアルキル基であり、nは0.7〜2.2であり、mは0〜0.5であり、そしてm+nは0.7〜2.3である)を有し、ここで、炭素結合ヒドロキシル基+アミノ基に対するブロックイソシアナート基の合計モル比が0.9:1〜1.3:1であり、ただし該官能性シリコーン物質が用いられる場合、分子あたり平均して少なくとも1個のカルビノール基またはアミノ官能性炭化水素基がある]
を含む混合物を形成することを含む、硬化性コーティング組成物の製造方法に関する。
【0020】
本発明の他の実施形態は、
(1)(A)分子あたり少なくとも2個のブロックイソシアナート基を含有するブロックイソシアナートシリコーン樹脂;および
(B)各場合、平均して少なくとも2個の炭素結合ヒドロキシル基またはアミノ官能性炭化水素基を有する、官能性シリコーン物質、官能性有機物質またはそれらの混合物[ここで、該官能性有機物質は有機ポリオールおよび有機アミンから選択され、該官能性シリコーン物質は平均式 R6n(R2O)mSiO(4-(n+m)/2)(式中、各R6は一価かつ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アリール基のない少なくとも3個の炭素原子を有するカルビノール基、少なくとも6個の炭素原子を有するアリール含有カルビノール基、またはアミノ官能性炭化水素基から選ばれ、R6基は同じでも異なっていてもよく、R2は水素または一価のC1〜C4のアルキル基であり、nは0.7〜2.2であり、mは0〜0.5であり、そしてm+nは0.7〜2.3である)を有し、ここで、炭素結合ヒドロキシル基+アミノ基に対するブロックイソシアナート基の合計モル比が0.9:1〜1.3:1であり、ただし該官能性シリコーン物質が用いられる場合、分子あたり平均して少なくとも1個のカルビノール基またはアミノ官能性炭化水素基がある]
を含む混合物を形成し、
(2)該ブロックイソシアナートが相当するイソシアナートに解離し、硬化反応の進行を可能にするよう、該混合物を加熱する
ことを含む、硬化コーティング組成物の製造方法に関する。
【0021】
本発明の他の実施形態は、上記された方法により調製された硬化コーティング組成物に関する。
【0022】
分子あたり平均して少なくとも2個のブロックイソシアナート基を含有するブロックイソシアナートシリコーン樹脂(A)は上記されたとおりである。該ブロックイソシアナートシリコーン樹脂の当量は150〜1500、あるいは300〜1000であってよい。
【0023】
成分(B)のシリコーン官能性物質に関して、そのアルキル基およびアリール基はR1に関して上記されたとおりである。下付き文字nは0.7〜2.2、あるいは1.0〜2であり、下付き文字mは0〜0.5、あるいは0〜0.2であり、および下付き文字m+nは0.7〜2.3、あるいは1〜2である。
【0024】
本シリコーン官能性物質に関して、用語<<カルビノール基>>は、少なくとも1個の炭素結合ヒドロキシル(COH)基を含有する如何なる基としても定義される。よって、該カルビノール基は、例えば
【0025】
【化2】

のような1個よりも多いCOH基を含有してよい。
アリール基のない、少なくとも3個の炭素原子を有する本カルビノール基は、式 R7OH(式中、R7は少なくとも3個の炭素原子を有する二価の炭化水素基または少なくとも3個の炭素原子を有する二価の炭化水素オキシ基である)を有する基により例示される。基R7は、−(CH2x−(式中、xは3〜10の値を有する)、−CH2CH(CH3)−、−CH2CH(CH3)CH2−、−CH2CH2CH(CH2CH3)CH2CH2CH2−、および−OCH(CH3)(CH2y−(式中、yは1〜10の値を有する)から選択されるアルキレン基により例示される。アリール基のない、少なくとも3個の炭素原子を有する本カルビノール基はまた、式 R8(OH)CH2OH[式中、R8は式 −CH2CH2(CH2yOCH2CH−(式中、yは1〜10の値を有する)を有する基である]を有する基により例示される。
【0026】
少なくとも6個の炭素原子を有する本アリール含有カルビノール基は、式 R9OH[式中、R9は、−(CH2z64−、−CH2CH(CH3)(CH2z64−(式中、zは0〜10の値を有する)および−(CH2y64(CH2z−(式中、zおよびyは上記のとおりである)から選ばれるアリーレン基である]を有する基により例示される。あるいは、本アリール含有カルビノール基は6〜14個の炭素原子、あるいは6〜10個の炭素原子を有する。
【0027】
本カルビノール官能性シリコーン物質は分子あたり平均して少なくとも1個のカルビノール基を有する。本カルビノール官能性シリコーン物質上での炭素結合ヒドロキシル基の当量は100〜1000、あるいは200〜800でよい。
【0028】
本発明において有用なカルビノール官能基を含有するシリコーン官能性物質は、当業界、特に米国公開特許出願US20060235142および国際公開番号WO2005/037887において記載された方法により調製されていてよい。それら特許は本明細書において援用されている。一般的に、本カルビノール官能性シリコーン物質は、(A’)平均式 R10d(R2O)eSiO(4-(d+e)/2)(式中、各R10は一価でかつ独立して、アルキル基、アリール基および水素原子から選ばれ、R10基は同じでも異なっていてもよく、R2は上記のとおりであり、dは0.7〜2.2であり、eは0〜0.5であり、およびd+eは0.7〜2.3である)を有し、ただしシリコーン樹脂中において存在する少なくとも2個の珪素結合水素原子がある少なくとも1種の水素官能性シリコーン物質と;(B’)少なくとも1種のアルケニル末端アルコールとを;(C’)ヒドロシリル化触媒;および任意に(D')少なくとも1種の溶剤の存在下で反応させることにより調製されていてよい。
【0029】
本シリコーン官能性物質において有用なアミノ官能性炭化水素基は、式 −R11NHR12または−R11NHR11NHR12(式中、各R11は、独立して少なくとも2個の炭素原子を有する二価の炭化水素基(radical)であり、R12は、水素またはアルキル基である)を有する基により例示される。各R11は、2〜20個の炭素原子を有するアルキレン基(radical)でよい。R11は、−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH2CHCH3−、−CH2CH2CH2CH2−、−CH2CH(CH3)CH2−、−CH2CH2CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH(CH2CH3)CH2CH2CH2−、−CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2−、および−CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2−により例示される。アルキル基たるR12は、R1に関して上で例示されているとおりである。R12がアルキル基である場合、メチル基でよい。
【0030】
典型的なアミノ官能性炭化水素基は、−CH2CH2NH2、−CH2CH2CH2NH2、−CH2CHCH3NH、−CH2CH2CH2CH2NH2、−CH2CH2CH2CH2CH2NH2、−CH2CH2CH2CH2CH2CH2NH2、−CH2CH2NHCH3、−CH2CH2CH2NHCH3、−CH2(CH3)CHCH2NHCH3、−CH2CH2CH2CH2NHCH3、−CH2CH2NHCH2CH2NH2、−CH2CH2CH2NHCH2CH2CH2NH2、−CH2CH2CH2CH2NHCH2CH2CH2CH2NH2、−CH2CH2NHCH2CH2NHCH3、−CH2CH2CH2NHCH2CH2CH2NHCH3、−CH2CH2CH2CH2NHCH2CH2CH2CH2NHCH3、および−CH2CH2NHCH2CH2NHCH2CH2CH2CH3である。
【0031】
本発明において有用なアミノ官能性炭化水素基を含有するシリコーン官能性物質は、本アミノ官能性シリコーン樹脂に関して上記された方法により調製されていてよい。それら方法は本明細書において援用されている。
【0032】
本アミノ官能性シリコーン物質は分子あたり平均して少なくとも1個のアミノ基を有する。本アミノ官能性シリコーン物質上のアミン水素基の当量は、80〜800、あるいは100〜500であってよい。
【0033】
本有機ポリオール(有機カルビノールと同義)は、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、グリセロール、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリトリトール、マンニトール、ソルビトール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、一般的にポリ(エチレンオキシ)グリコール、ジプロピレングリコール、一般的にポリ(プロピレンオキシ)グリコール、ジブチレングリコール、ポリ(ブチレンオキシ)グリコール、およびポリカプロラクトンにより例示される。用いられていてよいより高分子量の他のポリヒドロキシ物質は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、およびエピクロロヒドリンのようなエポキシドの重合生成物である。ヒドロキシル含有ポリエステル、ポリチオエーテル、ポリアセタール、ポリカルボナート、およびポリエステルアミドもまた、単独または上のポリオールと組み合わせて用いられていてよい。適するポリエステルは、多価アルコールと多塩基、好ましくは二塩基カルボン酸との反応生成物を包含する。しばしば用いられる多価アルコールは上述された二価アルコールを包含する。ジカルボン酸の例は、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、グルタル酸、フタル酸、マレイン酸、およびフマル酸を包含する。典型的なポリエーテルポリオールは、式 HO(RO)oHを有するポリアルキレンエーテルポリオールにより例示される(式中、Rはアルキレン基であり、oは当該ポリエーテルポリオールが少なくとも250の数平均分子量を有するに充分大きい整数である)。これらのポリアルキレンエーテルポリオールはポリウレタン製品のよく知られた成分であり、公知の方法により、アルキレンオキシドのような環状エーテルと、グリコール、ジヒドロキシエーテル、および同様のものとの重合により、調製されることができる。特によくある高分子量ポリオールはポリテトラメチレングリコールである。市販のポリオールはDesmophen(登録商標)R−221−75ポリオール(当量515g/モル炭素結合ヒドロキシル)(バイエル、米国ペンシルベニア州ピッツバーグ)である。
【0034】
本有機ポリオール物質は分子あたり平均して少なくとも1個の炭素結合ヒドロキシル基を有する。本有機ポリオール物質上の炭素結合ヒドロキシル基の当量は80〜800、あるいは100〜600であってよい。
【0035】
本有機アミンは、シンナミルアミン(3−フェニル−2−プロペニルアミン)、4−フェニル−3−ブテニルアミン、5−フェニル−4−ペンテニルアミン、6−フェニル−5−ヘキセニルアミン、7−フェニル−6−ペ(pe)プテニルアミン、1−メチル−3−フェニル−2−プロペニルアミン、2−メチル−4−フェニル−3−ブテニルアミン、およびその他のような第一級アミン;N−メチルシンナミルアミン(N−メチル−(3−フェニル−2−プロペニル)−アミン)、N−エチルシンナミルアミン(N−エチル−(3−フェニル−2−プロペニル)−アミン)、N−プロピルシンナミルアミン(N−プロピル−(3−フェニル−2−プロペニル)−アミン)、N−ブチルシンナミルアミン(N−ブチル−(3−フェニル−2−プロペニル)−アミン)、N−メチル−(4−フェニル‐3−ブテニル)−アミン、N−エチル−(4−フェニル−3−ブテニル)−アミン、N−プロピル−(4−フェニル−3−ブテニル)−アミン、N−ブチル−(4−フェニル−3−ブテニル)−アミン、およびその他のような第二級アミン;ならびに、N,N−ジメチルシンナミルアミン(N,N−ジメチル−(3−フェニル−2−プロペニル)−アミン)、N,N−ジエチルシンナミルアミン(N,N−ジエチル−(3−フェニル−2−プロペニル)−アミン)、N,N−ジプロピルシンナミルアミン(N,N−ジプロピル−(3−フェニル−2−プロペニル)−アミン)、N,N−ジブチルシンナミルアミン(N,N−ジブチル−(3−フェニル−2−プロペニル)−アミン)、N,N−ジメチル−(4−フェニル−3−ブテニル)−アミン、N,N−ジエチル−(4−フェニル−3−ブテニル)−アミン、N,N−ジプロピル−(4−フェニル−3−ブテニル)−アミン、およびN,N−ジブチル−(4−フェニル−3−ブテニル)−アミンのような第三級アミンにより例示されることができる。
【0036】
本有機アミン物質は分子あたり平均して少なくとも1個のアミノ基を有する。本有機アミン物質上のアミン−水素基の当量は50〜700、あるいは100〜500であってよい。
【0037】
本コーティング組成物にとって、炭素結合ヒドロキシル(シリコーン官能性カルビノールおよび有機ポリオール双方からの炭素結合ヒドロキシルを包含する)基およびアミノ基(アミノ官能性シリコーン物質および有機アミン双方を包含する)に対するブロックイソシアナート基の合計モル比は0.9:1〜1.3:1、あるいは1.0:1〜1.2:1である。
【0038】
任意に、硬化速度修飾剤(成分(C))を本コーティング組成物に加えてよい。成分(C)、本硬化速度修飾剤は、本コーティング組成物の硬化時間に影響する如何なる物質でもあり得、硬化加速剤、硬化阻害剤、および硬化触媒を包含する。例は、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(ジメトキシフェニル)ホスフィン、トリス(ヒドロキシプロピル)ホスフィン、およびトリス(シアノエチル)ホスフィンのような、ホスフィン化合物;テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボラート、メチルトリブチルホスホニウムテトラフェニルボラート、およびメチルトリシアノエチルホスホニウムテトラフェニルボラートのような、ホスホニウム塩;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1,4−ジシアノ−6−[2−メチルイミダゾリル−(1)]−エチル−S−トリアジン、および2,4−ジシアノ−6−[2−ウンデシルイミダゾリル−(1)]−エチル−S−トリアジンのような、イミダゾール;1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリタート、2−メチルイミダゾリウムイソシアヌラート、2−エチル−4−メチルイミダゾリウムテトラフェニルボラート、および2−エチル−1,4−ジメチルイミダゾリウムテトラフェニルボラートのような、イミダゾリウム塩;2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミン、テトラメチルブチルグアニジン、N−メチルピペラジン、および2−ジメチルアミノ−1−ピロリンのような、アミン;トリエチルアンモニウムテトラフェニルボラートのような、アンモニウム塩;1,5−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−5−ノネン、および1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)−オクタンのような、ジアザビシクロ化合物;ならびに、それらのジアザビシクロ化合物の、テトラフェニルボラート、フェノール塩、フェノールノボラック塩、および2−エチルヘキサノアート、およびレゾルシノールのようなアルコールを包含する。これらの化合物のうち、第3級アミン、ホスフィン化合物、イミダゾール化合物、ジアザビシクロ化合物、およびこれらの塩が典型的に用いられる。ジシアンジアミドおよび三弗化硼素がまた用いられていてもよい。
【0039】
硬化速度修飾剤たる成分(C)は、また、脂肪族不飽和結合を有する化合物、有機燐化合物、有機硫黄化合物、窒素含有化合物、および錫化合物により例示されることができる。脂肪族不飽和結合を有する該化合物の例は、プロパルギルアルコール、エン−イン化合物、およびマレイン酸ジメチルのようなマレイン酸エステルを包含する。該有機燐化合物の例は、トリオルガノホスフィン、ジオルガノホスフィン、オルガノホスホン、およびトリオルガノ亜燐酸エステルである。該有機硫黄化合物は、オルガノメルカプタン、ジオルガノ硫化物(スルフィド)、硫化水素、ベンゾチアゾール、および二亜硫酸ベンゾチアゾールを包含する。該窒素含有化合物は、アンモニア、第一級、第二級または第三級アルキルアミン、アリールアミン、尿素、およびヒドラジンを包含する。該アミンは、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、1,4−ジアザ−ビシクロ−(2,2,2)−オクタン、N−セチルジメチルアミン、N−メチル−N’−ジメチルアミノエチル−ピペラジン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、および1,2−ジメチルイミダゾールにより例示される。有機錫化合物もまた用いられていてよく、錫(II)アセタート、錫(II)オクトアート、錫(II)エチルヘキソアート、および錫(II)ラウラートのようなカルボン酸錫(II)塩のような物質、並びに、ジブチル錫ジアセタート、ジブチル錫ジラウラート、ジブチル錫マレアート、およびジオクチル錫ジアセタートにより例示されるようなカルボン酸ジアルキル錫塩のような物質を包含してよい。これらのような錫塩は、単独か、アミノピリジン、アミノピリミジン、ヒドラジノピリジン、およびテトラヒドロピリミジンのようなアミジンとの錯体としてか、どちらかで用いられていてよい。鉛、鉄、水銀、ビスマス、コバルト、およびマンガンのような他の金属に基づいた化合物もまた用いられていてよく、コバルト(III)アセチルアセトナート、ナフトエ酸コバルト、ナフトエ酸マンガン、オレイン酸鉛、ナフテン酸亜鉛、およびナフテン酸ジルコニウムのような化合物を包含してよい。シラアミン、および、水酸化テトラアルキルアンモニウムのような塩基性窒素化合物、水酸化ナトリウムのようなアルカリ金属水酸化物、ならびにナトリウムメチラートのようなアルカリ金属アルコラートのような他の化合物もまた用いられていてよい。
【0040】
硬化速度修飾剤(成分(C))を本コーティング組成物に添加することが望ましい場合、コーティング処方の合計重量に基づいて、0.001〜5重量部、あるいは同じ基準で0.1〜2重量部の量で添加されることができる。
【0041】
本発明のコーティング組成物は、さらに、重合可能系において、従来から使われている他の成分を含んでよい。これらの成分は、溶剤、可塑剤、顔料、着色料、染料、界面活性剤、増粘剤、熱安定剤、水準化剤、抗クレーター化剤、充填剤、沈降阻害剤、紫外光吸収剤、および同様のものを包含するが、これらに限られていない。促進剤、熱安定剤、紫外光吸収剤等のような添加剤は、反応混合物に親密に分散されていてよく、明らかに、これにより本ポリマーの統合部になっている。好ましい抗酸化剤は、立体障害のフェノール化合物である。有機亜燐酸塩のような安定剤もまた有用である。好ましいUV阻害剤はベンゾトリアゾール化合物である。
【0042】
本発明のコーティング組成物は、さらに、少なくとも1種の充填剤を含むことができる。該充填剤は、中空微小球(ミクロスフェア)、燻蒸(ヒュームド)シリカ、沈降シリカ、水和(hydrous)珪酸、カーボンブラック、石英粉末(ground quartz)、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪藻土、珪灰石、焼成粘土(クレー)、クレー、タルク、カオリン、酸化チタン、ベントナイト、酸化鉄、酸化亜鉛、ガラスバルーン(単数)、ガラスビーズ、マイカ、ガラス粉末、ガラスバルーン(複数)、炭塵、アクリル樹脂粉末、フェノール樹脂粉末、セラミック粉末、ゼオライト、スレート粉末、有機繊維、および無機繊維により例示される。
【0043】
本発明のコーティング組成物は、さらに、少なくとも1種の泡安定剤および少なくとも1種の発泡剤、ならびに任意に鎖延長剤や架橋剤を含むことができる。該泡安定剤は、シリコーン、あるいはシリコーンポリエーテルにより例示される。該発泡剤は、水、液体二酸化炭素、CFCs、HCFCs、HFCsそしてペンタン、あるいは、水または水とHCFCとの混合物により例示される。これらの成分の本発明の組成物への添加は、高められた熱安定性を有する発泡組成物を生成する。
【0044】
本発明のコーティング組成物は、均一な混合物を形成するために、成分(A)および成分(B)、ならびに如何なる任意成分をも混合(もしくは機械的に撹拌(agitating))することにより調製されていてよい。これは、当業界では知られている、スパーテル、機械的撹拌機(メカニカルスターラー)、邪魔板(バッフル)および/または回転翼(ブレード)を含有するインライン混合システム、動力インライン混合機(ミキサー)、ホモジナイザー、ドラムローラー、3本ロールミル、シグマブレードミキサー、パン生地ミキサー、および2本ロールミルにより例示される、如何なる便利な混合法によっても達成されていてよい。混合の順序は重大とは考えられない。一旦混合されると、本コーティング組成物は、貯蔵安定性であり、熱に曝されるまで硬化しない。この熱は、バッチ様式もしくは連続様式でのオーブンを用いて、または熱線銃(ヒートガン)もしくはランプにより、あるいはオーブンを用いて、発生されていてよい。一般的に、本組成物は、硬化を有効にさせるために、100℃よりも高い温度に40分間よりも長く、あるいは140℃よりも高く15分間よりも長く、あるいは180℃よりも高く5分間よりも長いよう、加熱されるべきである。必要であれば、本組成物は、250℃まで加熱可能である。
【0045】
本発明のブロックイソシアナートシリコーン樹脂は、貯蔵安定な硬化性一部型コーティング組成物を製造するに、有用である。さらに、それらは、熱安定性、耐候性、耐引っ掻き性を追加することができ、かつウレタンまたは尿素コーティングに処方されると、吸水性を下げることができる。それらは、特に、自動車の上塗り(topcoats)のような保護コーティングにおいて、エレクトロニクスパッケージ、皮革処理および接着剤において、有用である。
【実施例】
【0046】
試験方法:
60°光沢(グロス):(ASTM D523−89)
測定された光沢(グロス)のランク付けはサンプルからの正反射率を黒色ガラス標準からのものに比較することにより得られた。60°光沢(グロス)はほとんどのサンプルを比較するために用いられている。試験作業は光沢(グロス)計(BYK−ガードナー Micro−Tri−gloss、カタログ#4522)を用いて行われた。コーティング表面上で最低5回の読み取られて、平均が報告された。より高い値がより平滑でかつより反射するコーティングを指し示す。
【0047】
鉛筆硬度:(ASTM D3363)
コーティングは、黒鉛の硬さの増加していく複数本の製図用鉛筆でその表面を引っ掻いてみてランク付けされた。コ−ティング硬度は、該コーティングを通して、引っ掻くことのできない最高の黒鉛の硬さとしてランク付けされた。
【0048】
ガードナー逆衝撃試験:(ASTM D2794)
1.3cmの丸くなった尖端を有する1.8kgのシャフトが、土台に入れられているテストパネル上に35.6cmまで落とされる。該テストパネルは該土台において直径1.6cmの凸状半球へと押し出された。ひび割れの検出されている場合、コーティング破損が起こった。0の値は最低の落下の高さでさえも、コーティング破損が起こったことを指し示す一方で、30の値は最大の落下の高さの利用された場合、破損が起こらなかったことを指し示した。
【0049】
熱重量分析
熱重量分析がTAインストルメンツ(米国デラウェア州ニューキャッスル)TGA2950を用いて行われた。およそ7〜12mgの単一片の試験見本が白金(Pt)皿に入れられ、窒素(N2)雰囲気下、10℃/分で1000℃に加熱され、重量損失が継続して監視され、記録された。同様な試験が、空気および窒素(N2)雰囲気下、500℃まででも行われた。空気中500℃でのおよび窒素(N2)中500℃と1000℃とでの重量損失が表2に報告された。不確実性は2重の分析に基づいて±5%であると推定された。
物質
参考目的に
PrOHは(HO(CH23)(CH32SiO1/2を指定する
M は(CH33SiO1/2を指定する
NH2 は(CH3)(CH2CH2CH2NH2)SiO2/2を指定する
Ph は(C65)(CH3)SiO2/2を指定する
Ph はC65SiO3/2を指定する
Me はCH3SiO3/2を指定する
【0050】
【化3】

【0051】
カルビノール官能性シリコーン樹脂A: MPrOH0.35Me0.3Ph0.3の調製
2379.5gのフェニルトリメトキシシランと1634.6gのメチルトリメトキシシランとが2.3gのトリフルオロメタンスルホン酸(TFMSA)で触媒され、その後500.9gの脱イオン水で加水分解され、続いて副生成物のメタノールを蒸留除去した。1316.4gの1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジシロキサン(TMDS)と588.6gの酢酸が添加され、混合物は50℃に3時間加熱された。メタノールや酢酸メチルが蒸留により除去された。1800gのヘプタンが添加され、混合物は(i)飽和重炭酸ナトリウム水および(ii)多数の分量の脱イオン水で洗われた。混合物はその後濾過され、必要に応じて、蒸留により溶媒が除去され、3385gのMH0.393Me0.304Ph0.303のSiH官能性樹脂中間体(MHはH(CH32SiO1/2を指定し、TMeはCH3SiO3/2を指定し、そしてTPhはC65SiO3/2を指定する)を与えた。
その後、249.9gのこのSiH官能性シリコーン樹脂MH0.393Me0.304Ph0.303が250gのキシレンに溶解され、70−95℃に加熱された。触媒量(1.8g)の1重量パーセントのPt(Al23)が添加され、続いて196.5gのアリルアルコールが添加された。混合物は70−110℃で、FTIRスペクトルにおいて約2165cm-1でのピークの消失を追跡することによって決定されたとおりに、SiHの消費されるまで、加熱された。必要に応じて、トリフェニルホスフィンおよびカーボンブラックが添加された。生成混合物は濾過され、そして溶媒が除去されて、301.9gのMPrOH0.35Me0.3Ph0.3を与えた。MPrOHは(HO(CH23)(CH32SiO1/2を指定し、TPhはC65SiO3/2を指定し、TMeはCH3SiO3/2を指定し、そしてアリルアルコールはCH2=CHCH2OHである。炭素結合ヒドロキシル基の当量は302である。
【0052】
アミノ官能性シリコーン樹脂B: M0.10NH20.40Ph0.49の調製
キシレン(164.9g)中のフェニルトリメトキシシラン(198.4g、1.00モル)とアミノプロピルジエトキシメチルシラン(153.4g、0.80モル)との混合物が脱イオン水(36.1g、2.00モル)と反応させられ、続いて蒸留により揮発性物質163.8gを除去した。エトキシトリメチルシラン(71.0g、0.60モル)、追加のキシレン(25mL)および追加の脱イオン水(52.3g、2.90モル)が添加された。水相が共沸蒸留により除去された。反応混合物は濾過され、揮発性物質は真空下ロータリーエバポレーターで除去された。ストリップされた生成組成物、M0.10NH20.40Ph0.49の一部型分がトルエンに76.3%に希釈された。溶液中のアミン水素基の当量は150である。
【0053】
アミノ官能性シリコーン樹脂C: M0.03Ph0.35NH20.62の調製
フェニルメチルジメトキシシラン(159.5g、0.875モル)、ヘキサメチルジシロキサン(10.66g、0.066モル)およびトリフルオロメタンスルホン酸(0.15g)の混合物が脱イオン水(4.55g、0.25モル)と60℃で3時間反応させられた。アミノプロピルジエトキシメチルシラン(287.0g、1.50モル)および追加の脱イオン水(38.3g、2.13モル)が追加され、揮発性物質(126.4g)が蒸留により除去された。Hi−Sol 10(131.0g)および追加の脱イオン水(43.06g、2.38モル)が添加された。水相が共沸蒸留により除去され、続いて蒸留により濃度をHi−Sol 10中、M0.03Ph0.35NH20.62の72.0%溶液にされ、その後濾過された。溶液中のアミン水素基の当量は137である。
【0054】
アミノ官能性シリコーン樹脂D: M0.184Ph0.404NH20.158Ph0.251の調製
フェニルトリメトキシシラン(2067.1g、10.43モル)、メチルフェニルジメトキシシラン(3040.2g、16.70モル)およびトリフルオロメタンスルホン酸(2.55g)の混合物が脱イオン水(469.4g、26.06モル)と還流下15分間反応させられた。ヘキサメチルジシロキサン(710.8g、8.75モル)が添加され、混合物は60℃に3時間加熱された。アミノプロピルジエトキシメチルシラン(1195.6g、6.25モル)および追加の脱イオン水(225.8g、12.51モル)(が添加され)揮発性物質(2328g)が蒸留により除去された。n−ヘプタン(1265.5g)および追加の脱イオン水(694.8g、38.56モル)が添加され、水相が共沸蒸留により除去された。反応混合物は濾過され、揮発性物質が真空下ロータリーエバポレーターで除去された。無溶媒樹脂はアミン水素の387当量を有した。
【0055】
ポリオール1:
Desmophen(登録商標)A870BAは、バイエル社(米国ペンシルベニア州ピッツバーグ)より酢酸ブチル中で供給されるヒドロキシル官能性ポリアクリラート樹脂(70%固形分)である。それは、576g/モル当量の炭素結合ヒドロキシルを有する。
【0056】
ブロックイソシアナート1:
Tolonate(登録商標)D2メチルエチルケトキシムブロックヘキサメチレンジイソシアナート(当量370g/モルのブロックイソシアナート(芳香族溶媒中、75%固形分)(ローディア、米国ニュージャージー州クランバリー)
【0057】
対照(コントロール):
ブロックイソシアナート1を用いて、表1に示されたとおりに、一部型ウレタン処方が、ポリオール1と10%過剰(化学量論量に対して、炭素結合ヒドロキシに対するブロックイソシアナートのモル比1.1:1)の該ブロックイソシアナートを配合して、ウレタンコーティングを製造するように調製された。
【0058】
実施例1: ブロックイソシアナートシリコーン樹脂Eの調製:
ある分量のアミノ官能性シリコーン樹脂B(132.0g、0.336モルNH2)がさらにトルエン(154.3g)に稀釈され、Allinco(オランダ国、ゲレーン)製カルボニルビスカプロラクタム(84.8g、0.336モル)と100℃で1時間反応させられた。反応混合物は4%塩化カルシウム水で洗われ、無水塩化カルシウムで乾燥され、濾過され、そして真空下ロータリーエバポレーターにて66.2%溶液に濃縮され、当量776のブロックイソシアナート溶液を結果的に伴った。
【0059】
実施例2− ブロックイソシアナートシリコーン樹脂Fの調製:
ある分量のアミノ官能性シリコーン樹脂C(92.22g、0.334モルNH2)がさらにHi−Sol 10(125.0g)に稀釈され、カルボニルビスカプロラクタム(84.45g、0.335モル)と100℃で1時間反応させられた。反応混合物は4%塩化カルシウム水で洗われ、無水硫酸マグネシウムで乾燥され、濾過され、真空下ロータリーエバポレーターにて濃縮され、そしてトルエンを用いて65.7%溶液に稀釈され、当量512のブロックイソシアナート溶液を結果的に伴った。
【0060】
実施例3−5 一部型ウレタン処方の調製
実施例1および2でそれぞれ調製されたブロックイソシアナートシロキサン樹脂EおよびFを用いて、表1に示されたとおりに、一部型ウレタン処方が、表1に示されたとおりの(化学量論量に対して)10%過剰のブロックイソシアナートをカルビノール官能性シリコーン樹脂Aまたは有機ポリオールとブレンドして、ウレタンコーティングを製造するように調製された。
【0061】
実施例6− 一部型尿素処方の調製
ブロックイソシアナートシロキサン樹脂Eを用いて、一部型尿素処方が、表1に示されたとおりの(化学量論量に対して)10%過剰のブロックイソシアナートをアミノ官能性シリコーン樹脂Dとブレンドして、調製された。
【0062】
対照(コントロール)と実施例3−6とに関して、各一部型処方が三つの異なる形状で評価された:1)アルミニウムパネル上に0.003インチ ドローダウンコーティングし、硬化した、2)アルミニウム皿型中に3mmの厚さの層として注ぎ、モノリスへと硬化し、外観、および、空気中と窒素(N2)雰囲気中とでの高温重量損失に関して、評価した、3)栓付バイアル中に注ぎ、粘度変化に関して、時間とともに評価し、一部型としての保管能力を調べた。処方および硬化物質の外観および触感観察が表1に示されている。表2は硬化物質のコーティング特性およびモノリス熱安定性特性を表示する。
【0063】
【表1】

【0064】
【表2】

【0065】
実施例3〜6に記載されたブロックイソシアナートシリコーン樹脂を利用する一部型ウレタンおよび尿素は、対照(コントロール)と同程度のコーティング特性および対照(コントロール)を超えての改善された熱安定性を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均式(I) R1a(R2O)bSiO(4-(a+b)/2)
[式中、各R1は、一価かつ独立して、アルキル基、アリール基、および一般式(II) −NHC(O)Z(式中、Zは、高温で解離し、相当するイソシアナートを生じるようになるブロッキング剤である)から選ばれ、R1基は同じでも異なっていてもよく、R2は水素または一価のC1〜C4のアルキル基であり、aは0.7〜2.2であり、bは0〜0.5であり、そして(a+b)は0.7〜2.3であり、ただしシリコーン樹脂分子あたり平均して少なくとも1個のブロックイソシアナート基がある]
を有する、ブロックイソシアナートシリコーン樹脂。
【請求項2】
前記ブロックイソシアナートが150〜1500の当量を有する、請求項1のブロックイソシアナート。
【請求項3】
aが0.7〜2.0であり、bが0〜0.2であり、そして(a+b)が0.7〜2.0である、請求項1または2のブロックイソシアナート。
【請求項4】
(1)(A’)平均式(III) R3a(R2O)bSiO(4-(a+b)/2)
(式中、各R3は一価かつ独立して、アルキル基、アリール基、およびアミノ官能性炭化水素基から選ばれ、R3基は同じでも異なっていてもよく、R2は水素または一価のC1〜C4のアルキル基であり、aは0.7〜2.2であり、bは0〜0.5であり、そして(a+b)は0.7〜2.3であり、ただしアミノ官能性シリコーン樹脂分子あたり平均して少なくとも1個の第1級アミノ含有炭化水素基がある)を有するアミノ官能性シリコーン樹脂;および
(B’)カルボニルビスカプロラクタム(ここで、アミノ官能性シリコーン樹脂(A')中に存在する第1級アミノ基のモルに対し10モル%過剰までの該カルボニルビスカプロラクタムが添加される);
を含む混合物を形成し、そして
(2)該混合物をブロックイソシアナートシリコーン樹脂が形成されるまである温度で加熱する
ことを含む、ブロックイソシアナートシリコーン樹脂の調製方法。
【請求項5】
(A)分子あたり平均して少なくとも2個のブロックイソシアナート基を含有するブロックイソシアナートシリコーン樹脂;および
(B)各場合、平均して少なくとも2個の炭素結合ヒドロキシル基またはアミノ官能性炭化水素基を有する、官能性シリコーン物質、官能性有機物質またはそれらの混合物[ここで、該官能性有機物質は有機ポリオールおよび有機アミンから選択され、該官能性シリコーン物質は平均式 R6n(R2O)mSiO(4-(n+m)/2)(式中、各R6は一価かつ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アリール基のない少なくとも3個の炭素原子を有するカルビノール基、少なくとも6個の炭素原子を有するアリール含有カルビノール基、またはアミノ官能性炭化水素基から選ばれ、R6基は同じでも異なっていてもよく、R2は水素または一価のC1〜C4のアルキル基であり、nは0.7〜2.2であり、mは0〜0.5であり、そしてm+nは0.7〜2.3である)を有し、ここで、炭素結合ヒドロキシル基+アミノ基に対するブロックイソシアナート基の合計モル比が0.9:1〜1.3:1であり、ただし該官能性シリコーン物質が用いられる場合、分子あたり平均して少なくとも1個のカルビノール基またはアミノ官能性炭化水素基がある]
を含む、硬化性コーティング組成物。
【請求項6】
前記ブロックイソシアナートが150〜1500の当量を有する、請求項5の硬化性コーティング組成物。
【請求項7】
nが1.0〜2であり、mが0〜0.2であり、そして下付き文字m+nが1〜2である、請求項5または6の硬化性コーティング組成物。
【請求項8】
炭素結合ヒドロキシル基+アミノ基に対するブロックイソシアナート基の合計モル比が1.0:1〜1.2:1である、請求項5〜7のいずれかの硬化性コーティング組成物。
【請求項9】
(1)(A)分子あたり少なくとも2個のブロックイソシアナート基を含有するブロックイソシアナートシリコーン樹脂;および
(B)各場合、平均して少なくとも2個の炭素結合ヒドロキシル基またはアミノ官能性炭化水素基を有する、官能性シリコーン物質、官能性有機物質またはそれらの混合物[ここで、該官能性有機物質は有機ポリオールおよび有機アミンから選択され、該官能性シリコーン物質は平均式 R6n(R2O)mSiO(4-(n+m)/2)(式中、各R6は一価かつ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アリール基のない少なくとも3個の炭素原子を有するカルビノール基、少なくとも6個の炭素原子を有するアリール含有カルビノール基、またはアミノ官能性炭化水素基から選ばれ、R6基は同じでも異なっていてもよく、R2は水素原子または一価のC1〜C4のアルキル基であり、nは0.7〜2.2であり、mは0〜0.5であり、そしてm+nは0.7〜2.3である)を有し、ここで、炭素結合ヒドロキシル基+アミノ基に対するブロックイソシアナート基の合計モル比が0.9:1〜1.3:1であり、ただし該官能性シリコーン物質が用いられる場合、分子あたり平均して少なくとも1個のカルビノール基またはアミノ官能性炭化水素基がある]
を含む混合物を形成する
ことを含む、硬化性コーティング組成物の製造方法。
【請求項10】
前記ブロックイソシアナートが150〜1500の当量を有する、請求項9の硬化性コーティング組成物の製造方法。
【請求項11】
nが1.0〜2であり、mが0〜0.2であり、そして下付き文字m+nが1〜2である、請求項9または10の硬化性コーティング組成物の製造方法。
【請求項12】
炭素結合ヒドロキシル基+アミノ基に対するブロックイソシアナート基の合計モル比が1.0:1〜1.2:1である、請求項9〜11のいずれかの硬化性コーティング組成物の製造方法。
【請求項13】
(1)(A)分子あたり少なくとも2個のブロックイソシアナート基を含有するブロックイソシアナートシリコーン樹脂;および
(B)各場合、平均して少なくとも2個の炭素結合ヒドロキシル基またはアミノ官能性炭化水素基を有する、官能性シリコーン物質、官能性有機物質またはそれらの混合物[ここで、該官能性有機物質は有機ポリオールおよび有機アミンから選択され、該官能性シリコーン物質は平均式 R6n(R2O)mSiO(4-(n+m)/2)(式中、各R6は一価かつ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アリール基のない少なくとも3個の炭素原子を有するカルビノール基、少なくとも6個の炭素原子を有するアリール含有カルビノール基、またはアミノ官能性炭化水素基から選ばれ、R6基は同じでも異なっていてもよく、R2は水素または一価のC1〜C4のアルキル基であり、nは0.7〜2.2であり、mは0〜0.5であり、そしてm+nは0.7〜2.3である)を有し、ここで、炭素結合ヒドロキシル基+アミノ基に対するブロックイソシアナート基の合計モル比が0.9:1〜1.3:1であり、ただし該官能性シリコーン物質が用いられる場合、分子あたり平均して少なくとも1個のカルビノール基またはアミノ官能性炭化水素基がある]
を含む混合物を形成し、
(2)該ブロックイソシアナートが相当するイソシアナートに解離し、硬化反応の進行を可能にするために、該混合物を加熱する
ことを含む、硬化コーティング組成物の製造方法。
【請求項14】
前記ブロックイソシアナートが150〜1500の当量を有する、請求項13の硬化コーティング組成物の製造方法。
【請求項15】
nが1.0〜2であり、mが0〜0.2であり、そして下付き文字m+nが1〜2である、請求項13または14の硬化コーティング組成物の製造方法。
【請求項16】
炭素結合ヒドロキシル基+アミノ基に対するブロックイソシアナート基の合計モル比が1.0:1〜1.2:1である、請求項13〜15のいずれかの硬化コーティング組成物の製造方法。
【請求項17】
請求項13〜16のいずれかの方法により調製された、硬化コーティング組成物。

【公表番号】特表2010−513663(P2010−513663A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542788(P2009−542788)
【出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【国際出願番号】PCT/US2007/024919
【国際公開番号】WO2008/088492
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】