説明

プラスチック基板用の高性能複合体材料

成形可能な多層複合体及びそれを製造する方法であって、該多層複合体は寸法安定性を有する。前記複合体は少なくとも二つのポリマー基板を含み、各ポリマー基板は第1及び第2表面を有して、前記少なくとも二つのポリマー基板の各々は、各々の二つの連続したポリマー基板がお互いに接着されるように順次配置される。さらに、多層複合体を用いた液晶ディスプレイの作製において使用される成形可能な多層複合体及びそれを製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実質的なプラスチック複合体に関し、前記プラスチック複合体は、該複合体に特別な性能を付与するために異なる組成を有する複数の層を含み、様々な製造工程及び対象とする用途における様々な要求性能を満たすことを可能にする。
【0002】
特に、本発明はディスプレイデバイスにおいて使用される実質的なプラスチック複合体に関するが、それには限られず一般性は失われない。
【背景技術】
【0003】
対象用途における性能を保証する特別な性質を有するさらに進んだポリマー材料に対する需要は増加している。さらに、高コストのポリマーと低コストのポリマーとを組み合わせた多層フィルム構造において新たな発展が必要とされている。
【0004】
例えば、液晶媒体に基づく平面パネルディスプレイ作製における現在の工業的手法は、構造材料としてガラスを使用し、前記材料の上には多くの処理段階が実行される。図1を参照すると、下部ガラス基板109に関する処理段階は以下から構成されてよい:マトリックス形態の薄膜トランジスタ(TFT)113等のアクティブ要素の作製、その後の、例えばインジウムスズ酸化物(ITO)等の導電層108及びいわゆるアクティブディスプレイの下部に関する薄いアラインメント層105の蒸着である。(パッシブアドレスディスプレイにおいて、透明な導電体が一連の相互に垂直なライン、すなわち列及び行電極にパターニングされる。列及び行電極は複数のセルを規定する。)上部ガラス基板102に関する処理段階は以下から構成されてよい:カラーフィルターマトリックス103の作製、例えばインジウムスズ酸化物(ITO)等の導電層104、その後の薄いアラインメント層107の蒸着である。ガラス基板102及び109の双方は、その後周囲部、スペーサ112及び減圧によりガラスプレート102及び109の間の空隙内部に注入された液晶材料106を密封して組み立てられる。最終的な組み立ては、偏光フィルム101及び110、及びバックライト111を通過する光源114の取り付けを含む。
【0005】
汎用材料であるためガラスは基板に広く使用され、ディスプレイ製造に必要とされる多くの特徴を提供する。これらの特徴には、高温に対する耐性、寸法安定性、水分に対するバリア性、耐溶媒性、構造強度、剛直性、及び透明性、が含まれる。液晶材料は、偏光フィルムとともに、TFTの制御の下で光を調節する。液体材料は、前記二つのガラス基板102と109との間の空間(セルギャップとして知られる)によって決定されるある体積を占める。スペーサは、セルギャップの厚みを正確に規定するために使用される。TFTは、アクティブ要素がこのセルギャップ寸法内部に作製されてよいように形成される。現在のディスプレイの構造は、三つの主要なカラーサブピクセルからなるピクセル要素に基づく。
【0006】
偏光フィルム101及び110の役割は、液晶媒体がどのように機能するかで理解されてよい。液晶材料は、光の偏光状態をうまく利用する。一つの方向において、偏光状態を変化させることなく(黒または“オフ”状態)偏光は液晶媒体によって透過される。上部偏光子(例えば、プラスチックフィルム)が入射光の偏光に直交であるとき、光は透過されない。TFTを経由して適用される電場の下で、液晶材料配向における変化(例えば、ねじれ)は、偏光を変化させ、次々に透過光の偏光を調節する。偏光の変化の程度に依存して、様々な量の光が透過される。結果的に光の強度のレベルは調節される。
【0007】
典型的な平面パネルディスプレイはピクセルのマトリックスを含み、順番に三つのサブピクセルを含み、各々が主要な色、通常赤、緑及び青を表す。各々のサブピクセルは上述のように機能する。三つの色の強さを同時に変えることによって、人の眼はピクセルを与えられた色として知覚する。全マトリックスにわたってそのような変化を起こすことによって、カラーイメージが作られてよい。
【0008】
平面パネルディスプレイに対するこの方法には幾つかの欠点がある。ガラスは脆性でこわれやすい材料であり、ガラスを保護するため高価且つ複雑な段階がとられない限り、衝撃及び振動を受ける環境において不適切なものである。ガラスは密度が高く且つ重く、大きなディスプレイの重量をさらに重くする。液晶材料は液体として取り扱われ、スペーサ及びシール、そして減圧注入技術を必要とする。これら全ての要件が、製造工程にさらなるコスト及び複雑性を与える。
【0009】
従来の液晶ディスプレイ(LCDs)製造法において、二つのガラス板の各々が個別に処理される。各板の処理は、様々な層の蒸着、デバイスパターニング及び他の技術を含む。各板が処理された後、相補物と組み合わされ、液晶材料が二つの板の間のギャップ内部に注入される。最近の進歩において、ある製造業者はガラスプレートをプラスチックで代替した。全ての場合において、製造業者は“モノリシック”法を採用しており、これは上述の相反する工程上の要求を満たすために、単一のポリマーフィルムが基板材料として選択されるものである。工程上の全ての基準を同時に満たすことが出来る単一のポリマー(モノリス)は存在しないので、これらの方法は製造の観点からみて成功であるとはいえない。従って、複合体または複数のポリマー層からなる“高性能”構造に対する要求が存在し、賢明に組み合わされる場合、該構造は処理条件に対する外部からの関与なしにそれ自身を調節して最終製品に所望の性能特性を与えるようにする。一般性を失うことなしに、そのような高性能(適応)複合体積層体の典型的な用途は、液晶ディスプレイ産業におけるものであろう。
【特許文献1】米国特許第6,304,309号明細書
【特許文献2】米国特許第5,399,390号明細書
【特許文献3】米国特許第6,372,608号明細書
【特許文献4】米国特許第6,696,325号明細書
【非特許文献1】Applied Physics Letters,vol.78,p3592
【非特許文献2】Optical Review,vol.10,p352
【非特許文献3】Journal of Asia Display/IDW 2001、pp.339−342
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
現在の基板の製造方法、及び一般的な平面パネル液晶ディスプレイ産業に関連する基板の製造方法には多くの欠点がある。ガラス板(または基板)を別個に処理することは、時間を要し、または、もしももう一つの処理ラインが平行して板を処理するために追加される場合には、高価なものとなる。さらに、各々の相補的な板が異なる処理条件を受け、板の位置あわせのとき誤差を生じる可能性がある。同様に、アラインメント工程自身誤差の影響を受けやすい。プラスチック材料を使用することによって処理はさらに複雑になる。そのような板は一般的に非常に薄く、軽量で、柔軟であり、損傷なしに取り扱うことが一般的に困難である。さらに、典型的なアラインメントシステムは本来は光学的であり、剛直な材料で使用するために開発されたものである。
【0011】
従って、平面パネルディスプレイの製造において、より一般的には、平面または非平面のどちらかであってよいディスプレイ、例えば曲面を有するディスプレイ等、の製造において、ガラス基板の代替をすすめる要求がある。同様に、材料内部にエレクトロニクスが構築されることを可能にする方法及び材料に対する要求がある。さらに、ガラス基板に関して適切な代替を行なう工程に対する要求がある。柔軟かつ頑強なプラスチックディスプレイの開発は、ディスプレイ製品の多様さ及び使用量の双方において増大をもたらすであろう。特に、柔軟性は、適合性(conformability)及び耐久性が主なコンセプトである全く新しい形のディスプレイマーケットに開放される。ガラスと比較する場合の主な強みとして、プラスチック基板はディスプレイの重量及び厚みを低減し、作製及び使用の間実質的にディスプレイの破損の問題を排除する。さらに、プラスチック基板は、それらのロールツーロール(R2R)工程及び印刷技術との互換性に起因して、コストを大きく低減する可能性を提供する。
【0012】
プラスチックは、LCD(液晶ディスプレイ)においてガラスを代替するために、ガラスの性質を幾つか提供する必要がある。これらの性質は、透明性、寸法安定性、バリア特性、耐溶媒性、低い熱膨張係数、表面の平滑さ、接着強度及び耐クラック性を含む。これらの要求の全てを同時に満たすことができるプラスチックフィルムは存在しないので、実行可能な解決方法は、複合体多層構造から形成された材料に基づくプラスチックを開発することである。
【0013】
ガラス基板をプラスチックで代替するため、既知の方法が調べられた。一つの手法としては、Yamanakaらの、2001年10月16日に発行された米国特許第6,304,309号明細書において、樹脂フィルムモノリスであるプラスチック基板、様々な円柱状の支持部材、接着層及び液晶層に積層された複数の液晶層を有する液晶ディスプレイデバイスが記載される。Yamanakaらの方法では、以下で議論される相反する問題点を扱うために設計されたプラスチック多層材料は作製しない。より正確には、プラスチック基板部材はモノリシック要素であり、光学的透明性の高さ、平滑性、寸法安定性、機械的安定性、熱安定性及び水及び溶媒に対するバリア性に対する要求を満たすのに適切な複合体ではない。同様に、P.Machらの、Applied Physics Letters,vol.78,p3592、“Monolithically integrated, flexible display of polymer−dispersed liquid crystal driven by rubber−stamped organic thin−film transistors”と題された論文において、モノリシックなポリエチレンナフタレート(PEN)基板の使用、及びスィッチング要素としてポリマー分散型液晶を使用する液晶ディスプレイデバイスを作製するための基板について記述されている。この場合も、同様に、プロトタイプは製造可能性に関する所望の目標に到達しない。該目標とは製造プロセス条件の相反する要求を満たす実質的に非モノリシックのプラスチック材料を製造することである。Optical Engineering vol.41、p2195において、Fujikakeら、は、薄いプラスチックシート間にポリマー繊維を含む、柔軟な強誘電性液晶(FLC)デバイスの性質について記述している。ポリカーボネートのプラスチックシートは一般的なモノリシック材料であるが、その製造可能性を改良するようなかたちで改良または使用されてこなかった。同様の結論が“Rollable polymer−stabilized ferroelectric liquid crystal device using thin plastic sheets”(Satoら、Optical Review,vol.10,p352)と題された論文において記述された基板に関して示されている。
【0014】
1995年3月21日に付与された米国特許第5,399,390号明細書において、Akinsは実質的にモノリシックなポリマー基板を用いた液晶デバイスについて記述しているが、前記基板は高い光学的透明性、平滑性、寸法安定性、機械的安定性、熱安定性、及び、水及び溶媒に対するバリア性に対する要求を満たすのに適切な複合体ではない。ある著者は、TFT回路を様々な非プラスチック基板からプラスチックシート上部に移動するための方法に注目している。例えば、2002年4月16日にShimodaらに付与された米国特許第6,372,608号明細書、及びShimodaらのJournal of Asia Display/IDW 2001、pp.339−342、“Low Temperature Poly−Si TFT LCD Transferred onto Plastic Substrate Using Surface Free Technology by Laser Ablation/Annealing”と題された論文は、高エネルギーレーザービームを用いて薄膜デバイスをガラス基板から分離する方法を開示する。2004年2月24日にTsaiらに付与された米国特許第6,696,325号明細書は、薄膜デバイスをプラスチック層上部に移動するための方法を開示する。これらの技術のうち商業的生産におけるものはなく、ディスプレイデバイス中の電極パターン、配向層、偏光層、バリア層及び液晶層の形成に関するさらなる問題点を提出するものはない。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、寸法安定性を有する成形可能な多層複合体に関し、前記複合体は少なくとも二つのポリマー基板を含み、各ポリマー基板は第1及び第2表面を有し、前記少なくとも二つのポリマー基板の各々は、各二つの連続的なポリマー基板が互いに接着されるように順次配置される。
【0016】
本発明は、液晶ディスプレイの作製において使用するための成形可能な複合体材料にさらに関し、前記複合体材料は上部及び下部表面を有する第1支持体複合体であって、前記第1支持体複合体の下部表面はその上に配置された第1透明電極を有する第1支持体複合体と、上部及び下部表面を有する第2支持体複合体であって、前記第2支持体複合体の上部表面はその上に配置された第2透明電極を有する第2支持体複合体と、前記第1支持体複合体の下部表面と前記第2支持体複合体の上部表面との間に配置された液晶層とを含む。
【0017】
本発明は、同様に、液晶ディスプレイを形成するのに適した成形可能な複合体を形成する方法に関し、前記方法は以下の段階を含む:
a)上部及び下部表面を有する第1支持体複合体であって、前記第1支持体複合体の下部表面はその上に配置された第1透明電極を有する第1支持体複合体を提供する段階と;
b)上部及び下部表面を有する第2支持体複合体であって、前記第2支持体複合体の上部表面はその上に配置された第2透明電極を有する第2支持体複合体を提供する段階と;
c)前記第1支持体複合体の下部表面と前記第2支持体複合体の上部表面との間に液晶フィルムを配置する段階と、
d)前記第1及び第2支持体複合体を互いに接着する段階;
前記第1及び第2支持体複合体は上述のような成形可能な多層複合体である。
【0018】
本発明は、同様に液晶ディスプレイを形成するのに適した成形可能な複合体材料を形成する方法に関し、前記方法は、
a)上部及び下部表面を有する第1支持体複合体であって、前記第1支持体複合体の下部表面はその上に配置された第1透明電極を有する第1支持体複合体を提供する段階と、
b)上部及び下部表面を有する第2支持体複合体であって、前記第2支持体複合体の上部表面はその上に配置された第2透明電極を有する第2支持体複合体を提供する段階と、
c)前記第1複合体及び前記第2複合体に配置された前記透明電極をパターニングする段階と、
d)前記第1及び第2複合体にレジストレーションフィーチャ(registrations features)を形成する段階と、
e)液晶流体でレジストレーションフィーチャを満たす段階と、
f)前記第1及び第2支持体複合体を互いに接着する段階と、を含み、
前記第1及び第2支持体複合体は上述の成形可能な多層複合体である。
【0019】
前述の及び他の目的、強み、及び本発明の特徴は、添付された図に関連する例示によって与えられる以下の例示的実施形態についての非制限的な記述を読むことによりさらに明白になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、耐溶媒性、寸法安定性、水分透過の抑制、及び良好な光学的透明性を同時に必要とするプラスチック基板の使用に関する現在の欠点を排除することを意図している。現行の工業的手法は、バリア層及び液晶平面パネルディスプレイを作製する他の種の層と組み合わせたモノリシックポリマー基板の使用に注目している。モノリシックポリマーは上述の相反する要求に同時に対応することができないので、現行の工業的手法は結果的に制限を受ける。
【0021】
ここで、本発明の非制限的な例示的実施形態が記述される。これらの非制限的な例示的実施形態は、複合体または複数のポリマー層について記述するものであり、賢明に組み合わされるとき、プロセス条件に対する外部の関与なしに最終製品に対して所望の性能特性を与えるようにそれ自身(それら自身)を調節する。この高性能複合体材料は、同様に、仕様の範囲内で異なる環境条件に対して使用してよいという観点において、所望の性能特性を保持するように最終製品にさらなる信頼性を付与する。
【0022】
概説するならば、本発明の非制限的な例示的実施形態による高性能複合体材料が、それに限らず、及び一般性を失うことなく、ディスプレイ産業において使用されてよい。ディスプレイ産業において使用されるとき、前記高性能複合体材料は、光学的透明性の高さ、平滑性、寸法安定性、機械的安定性、熱安定性、及び、水及び溶媒に対するバリア性に対する要求を満たすという有利な点を示す。
【0023】
本発明の範囲を狭めることなしに、液晶ディスプレイにおいて使用される可能性を有するポリマーは、半結晶、半結晶アモルファス、またはアモルファス熱可塑性樹脂に該当するが、ただし溶媒キャストによるものである。熱可塑性半結晶ポリマーの群は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、例えばDuPont Melinex、及びポリエチレンナフタレート(PEN)を含む。例えば、Tg(ガラス転移温度)が〜120℃であるDuPont Teonex PENは、溶融処理され得る半結晶熱可塑性ポリマーに関して高い方の温度範囲にある。Tgが140℃超のポリマーは一般的に融点が高すぎて、ポリマーが大きく劣化することなく溶融処理することができない。次の群は、熱可塑性であるが、非晶性であるポリマーであり、これらのポリマーは、例えばDuPont PURE-ACE及びGE Lexan等、Tgが〜150℃であるポリカーボネート(PC)から、例えばSumitomo BakeliteのSumilite等、Tgが〜220℃であるポリエーテルスルホン(PES)までに及ぶ。熱可塑性ではあるけれども、これらのポリマーもまた高い光学的透明性を与えるため溶媒キャストされてよい。第3の群は、溶融処理することができない高Tg材料を含む。これらは、芳香族フッ素含有ポリアリレート(PAR)、例えばFerraniaのArylite多環式オレフィン(PCO−ポリノルボルネンとしても知られる)、例えばPromerusのAppear及びポリイミド(PI)、例えばDuPont Kaptonを含む。表1には様々なポリマー及びそれらの物理的性質を列記する。
【0024】
【表1】

【0025】
液晶ディスプレイ産業においてプラスチック基板の使用が広まる前に、対応が必要な問題が多く存在する。プラスチックはガラスと比較して温度に対する感度が非常に高いので、導電フィルム及びアラインメント層に関する低温蒸着技術が使用されるべきである。インジウムスズ酸化物、バリアコーティング及びトランジスタ等の電子回路要素の製造を含むディスプレイ製造において受けることが多い高い処理温度にフィルムが耐えるために、結果的に熱安定性及び寸法安定性が制御される。FPD(平面パネルディスプレイ)技術において、高品質ディスプレイはアクティブマトリックスTFTアレイによって達成される。プラスチック基板はガラスの代替物であるが、ガラス上のアモルファスシリコン(a−Si)及びポリシリコン(poly−Si)TFTの双方に関する標準的なプロセス技術は、通常使用可能なプラスチックに対応に対応するものと比較して高い(通常のa−Si TFTに関して〜350℃、poly−Si TFTに関して〜450℃)。有機TFTはプラスチック基板に関して適切な技術であるが、それらの性能は最近の改良にもかかわらず、いまだ不十分なものである。
【0026】
温度の変化は寸法安定性に影響し、寸法安定性はディスプレイデバイスを作製するのに使用される異なる層の正確な位置合わせを達成するのに必要とされる。しかも、製造プロセスの間、プラスチックは温度サイクルを受ける。ディスプレイデバイス製造に関して、フィルムとしての寸法再現性の制御は必要とされる温度において繰り返される。フィルムは、それが加熱されるとき、及び冷却されるとき、基板のフィーチャの正確なアラインメントのために、各熱サイクル工程が実施された後収縮すべきではない。加えて、温度サイクル間のフィルムの膨張は、プラスチックフィルム表面上に蒸着された回路または他のフィーチャを破壊する、クラックを生じるまたは変形を起こすのに十分なほど大きい寸法変化をもたらす可能性がある。この理由で、フィルムの線形膨張係数は可能な限り低くあるべきであって、典型的には20ppm/℃よりも低いオーダーである。あるケースでは、ポリマーフィルムは熱安定化処理によって最低限の収縮を示すようになる可能性がある。0.1%のオーダーの値、及び典型的には0.05%よりも低い値が達成されてよい。熱安定化は、ポリマーのガラス転移を緩和する効果にさらなる効果を有してよい。これらの効果は、複雑な電子回路をプラスチック上に蒸着するのに必要な寸法再現性を抑制するのに十分有意な収縮または膨張として示される。適切に熱安定化されるとき、あるプラスチックフィルムは寸法的に安定なままであり、200℃を超えるオーダーの、有意に高い基板温度まで再現性がある。熱安定化の効果は熱機械的分析によって従来どおり測定されてよい。結果的に熱安定化はプラスチックフィルムの配向した領域内部で効果的に残留応力効果を開放する。ガラス転移より高い温度における長時間の熱安定化は、プラスチックフィルムにおけるさらなる収縮を低減する可能性がある。プラスチックフィルムは、収縮を低減するためTgより高い温度において加熱(アニール)されてよい。同様に、プラスチックフィルムは収縮を低減するためにTg−Tの範囲の温度において加熱(アニール)されてよく、TはTgより低い温度である。言い換えると、安定化により熱膨張係数は予測可能なものとなる。線熱膨張係数は、典型的には、流れ方向(machine direction)に沿って、及びそれと直角方向(transverse direction)において測定され、プラスチックフィルムの平面内部の各分子軸内の配向の程度を反映する。単一のフィルムを熱安定化する代わりに、二つ以上のフィルムを互いにラミネートして、または他の方法で接着して、それらの組み合わされた膨張係数がお互いを補償するようにすることによって同じ効果が得られてよい。この方法で、膨張係数がゼロ、または殆どゼロのフィルムが得られてよい。結果的に、熱膨張係数がゼロ、またはゼロに近い広い種類のポリマーから選択された基板を含むプラスチック複合体を作製することが可能である。この方法で、寸法安定性における望ましい再現性が達成されてよい。その結果、それは寸法変化を制限及び予測し、製造プロセスにおいて使われ得る温度での寸法再現性を与える性能である。
【0027】
構造的な用途において使用される市販の半結晶ポリマー、例えば二軸配向ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)等、における寸法安定性は、機械的性能、熱膨張、及び長期の寸法安定性において明白な異方性を示す。さらに配向したPETフィルムは、長期にわたる応力緩和に起因して異方的に収縮する。IBM Journal of Research、vol.23、p66においてBlumentrittによって記述されるように、平面における性質がほぼ等方的であるフィルムが、お互いに様々な角度でフィルムを積層することによって得られてよい。この方法において、積層フィルムはほぼ等方的な性質を持ち、熱膨張係数を大きく低減する。
【0028】
寸法安定性に加えて、プラスチックフィルムまたは複合体の処理温度の上限(Tp)が決定される。半結晶ポリマーに関してはTgはTpを決定しないが、アモルファスポリマーに関してはほぼ決定する。しかしながら、プラスチックフィルムにハードコートを塗布することによってTpは変化してよい。ハードコートは、耐溶媒性または他の形態のバリア保護を達成するため塗布されてよい。ハードコートの存在下で、Tpはハードコートの熱安定性によって決定される。
【0029】
上述の因子に加えて、水分及び耐溶媒性はプラスチック複合体設計において考慮されるべき要素を構成する。平面パネルディスプレイにおいて様々な層を堆積するとき、異なる溶媒及び化学薬品が使用されてよい。アモルファスポリマーは半結晶ポリマーと比較して耐溶媒性が低い。耐溶媒性は、ハードコートの塗布によって改良されてよい。水の吸着は、寸法安定性及び再現性に十分影響するほど有意である可能性がある。ポリノルボルナジエン等の環状ポリオレフィンは低吸湿(200ppmより低いオーダー)であり、吸湿を低減または大きく抑制するようポリマーを選択、または処理することが可能であることは当業者にはよく知られている。
【0030】
上記因子に加えて、プラスチック複合体フィルムの表面平滑性及び清浄さは、続く層、例えばバリア及び導電性コーティング、が完全に接着することを保証する。表面欠陥(隆起及び空隙)は、導電層の性能に不利益を与える可能性がある。従って、コーティング層が表面欠陥を平滑にするため塗布されてよく、さらに取り扱い時の表面の傷を低減する。
【0031】
押出コーティング、押出ラミネート、フィルムラミネート、及びフレキソコーティングは、複合体構造を構築するために使用されてよい四つの異なる製造技術である。押出コーティング及びラミネーテトによって作られる製品の物理的性質及び性能特性は、フィルムラミネートによって作られたものと同一であってよい。同様に、最終構造の主な構成要素の多くは同じである。
【0032】
押出コーティングは、基板上部に押出物の溶融層を塗る工程である。基板は、紙、ホイル、または押し出された溶融ポリマーの温度に耐えるプラスチックフィルムであってもよい。溶融ポリマーは、基板上を実際に流れる非常に粘性の液体である。この流れの過程の間、ポリマーは表面全体を均一にぬらす。紙等の多孔質の基板に関して、不均一表面の隙間に入る。双方の現象は接着に寄与する。結果的な接着に影響する他の因子は、固有の接着−溶融ポリマーが基板の化学組成と如何によく一致するか、または適合するか−である。従って押出コーティングは複合体プラスチック構造を作製するために使用されてよい。
【0033】
加工操作における押出ラミネートは、溶融ポリマーを使用した二つの基板の結合である。この場合、押出物は二つのロールによって形成されたニップに入る。二つの基板もまた、各ロール上を移動することによってニップに入る。従って、押出物はサンドイッチ材料の中央部分である。上述したものと同じ因子−流れ、基板不均一性、及び固有の接着−は、結果として得られるサンドイッチ複合体において三つの材料の接着を制御する因子である。接着を促進するためプライマーが使用されることが多い。押出コーティングまたは押出ラミネート前の基板へのプライマーの塗布は、フィルムラミネーティング操作に関して設計された装置のある部品を使用する:コーティングステーション(coating station)及び乾燥ステーション(drying station)である。ある事例において、例えば溶媒中のポリウレタンまたはポリエステル接着剤等のラミネート接着材には、プライマーとしての使用が見出される可能性がある。一般的な経験則は、材料を接着剤として使用するときは、通常塗布されるコーティング重量の約半分の接着剤を使用することである。ポリエチレンイミンまたはエチレンアクリル酸ポリマー等幾つかの材料は、プライマーとして使用するために特定の配合がされている。従って、押出ラミネートは複合体プラスチック構造を作製するために使用されてよい。
【0034】
フレキソコーティング(フレキソグラフィーとしても知られる)は物質の薄いフィルムまたは層を、他のポリマーまたは複合体材料であってよい第2表面上部に堆積するロールツーロール法であり、前記物質はポリマー及び液晶媒体を含む。
【0035】
フィルムラミネートの工程は、押出コーティング及び押出ラミネート工程とは完全に異なる;それはラミネート接着剤を使用することによる、フィルムの他基板−フィルム、紙、またはホイル−への結合である。接着剤は一つのラミネーション基板上部に塗布され、もしもそれが溶媒または水を含む場合にはオーブン内で乾燥され、その後圧力下で加熱されたニップステーション内で他の基板と結合される。二つ以上の基板を含む最終製品に関して、さらなるラミネート段階が必要であってよい。ラミネート操作における結合値(bond values)は、ラミネート接着剤に固有の特性に依存する。十分な結合力及び必要な接着力は、各々の基板に十分接着するために必要とされる。例えばコーティング重量、ニップ温度、処理レベル等の他の値も、同様に最終的な結合値に影響する。フィルムラミネートも同様に複合体プラスチック構造を作製するために使用されてよい。
【0036】
例として、複合体(ラミネート)を形成する様々な材料がローラー上に巻き込まれ、例えばラミネーティングローラー等、材料を互いに圧縮するための手段へと供給される。例示的実施形態において、複合体(ラミネート)の端部はラミネーションの後接合(seal)されてよい。接合は、例えば超音波接合または同様の技術等、プラスチックの溶着法を用いて達成されてよい。他の例示的実施形態では、複合体材料はシートに分割される。この場合、切断された端部は都合のよいことに接合されたものと同様になる。シートは全四側面において接合されるので、分離が要求されるときまで、複合体は減圧によって互いに保持されていてよい。
【0037】
さらなる例示的実施形態では、複合体の端部を溶着するよりも、むしろ接着剤が上部または下部プラスチック複合体基板の内部表面の外側端部上に堆積され、複合体の様々な層を保持するための接着を隣接する関係において形成してよい。この代替的な例示的実施形態において、複合体の上部及び下部基板は続く処理段階において互いに分離することが要求される可能性があるので、例えば離型剤等、弱い接着剤が使用されてよい。保護層は、もしも存在する場合、互いに、または上記基板層に溶着または接着される必要がない。なぜなら、それらの層は複合体の残りが分離される前に除去される可能性があり、静電的引力により基板層と接した状態であり続けるためである。様々な層を互いに接着するために、プラスチック溶着法または接着剤をラミネーティングローラーと組み合わせて使用することが可能である。他の例示的な実施形態において、複合体は、単独で、ラミネーティングローラーまたは層を互いに押し付けるための他のデバイスを用いて接着されてよい。接着の後、複合体はローラー周囲に巻かれてよく、または、カッターまたは剪断機を用いて個別のシートに分割されてよい。複合体、巻かれたものまたは分割されたもののどちらか、はさらなる処理が可能である。
【0038】
現在の用途において、液晶ディスプレイは平面構造に形状を制限されてきた。なぜなら、液晶材料は従来二つの剛直なガラスシートの間に保持され、該ガラスシートは上述のようにバリア性、光学的な透明性、及びディスプレイを作製するのに要求される様々なプロセス条件に耐え得るような容易性のために望ましかったからである。そのようなディスプレイが所望されるように成形され得るように、ディスプレイはプラスチックまたは実質的にプラスチックの複合体材料から作製されてよい。例として、テレビまたはコンピュータスクリーンのための曲面を有するディスプレイが作製され、及び成形され、表示品質が改良されてよい。他の例示的実施形態において、典型的な形状は長方形の凹型であってよい。曲面を有するディスプレイの他の例示的な実施形態は、自動車用のディスプレイ(ダッシュボードディスプレイ)、航空機制御パネルディスプレイ及び様々な機械において使用されるディスプレイの分野におけるものであってよい。従って、さらなる例示的な実施形態において、ポリマー複合体の個々のシートが曲面を有する若しくはアーチ状の形態に成形されてよく、または、任意の、ただし型本体の形状に合うようコンフォーマルな方法で成形されてよい。形状を作製するために、例えばブロー成形、真空成形、延伸及びその他様々な方法等、当業者に知られたどのような成形方法が使用されてもよい。この方法において、複合体層は平面形態に制限されない。液晶以外のディスプレイ技術(例えば、有機発光ダイオードディスプレイ技術等)の関連で、ディスプレイまたはディスプレイの一部は“高性能複合体”プラスチック材料から同様に作製されてよく、異なる形態をとるための上述のような様々な方法によって与えられてよい。
【0039】
図2を参照すると、本発明の非制限的な実施形態が示されている。全体的には、液晶ポリマー層205が二つのパターニングされた導電性電極層204及び206の間に挟まれ、それらに関連する活性の電子的エレメント212が活性層207内部に構築される。偏光子202及び209からなる全構造、及び液晶、電極及び活性デバイスエレメントは、実質的にプラスチックである二つの複合体支持層208及び203によって支持されてよい。下部基板210によってディスプレイ領域に拡散及び分配された光源213は、ディスプレイを明るくする。液晶材料における光学的な変化は、対向する電極の選択された要素に対して電圧を印加することによって得られる。保護層201及び211は例えば溶媒等の物質からの傷及び他の物理的な損傷に対する耐性を与え、例えば、ポリマー、アクリレート、アルコキシシリル置換アクリレートまたは20%から80%の間でアクリレートを含有するシリカ粒子であってよい。図2に説明される複数の層の機能は、それらが与えられた順番で、表2において、制限されることなしに例示のために記述される。表2の左側の列、「層」という見出しの下方には、四つの主たる層の分類が示されている。これらの層は示された順序で組み立てられる;すなわち、「底部層」があり、該底部層は「電子層」に結合され、該電子層は「液晶層」に結合され、該液晶層は「上部層」に結合される。これは、液晶ディスプレイの基本的な階層をなす。表2において、各層に関連する「副層」は複数の「層」で構成されてよい。下に記述されるように、例として、各「副層」を構成する複数の層は、「副層」の要求(「望ましい特性」)に依存して異なる順序で組み立てられてよい。
【0040】
【表2】

【0041】
再度図2を参照すると、大抵はプラスチック層203である上部複合体(表2 上部層)、及び大抵はプラスチック層208である下部支持複合体(表2 下部層)は、異なる製造ラインにおいて製造されてよい。殆どの場合、幾つかのディスプレイが一つの複合体層上に製造されてよい。下部層プラスチック複合体208は、アクティブマトリックスLCDの場合においてTFT製造のための支持体である。層203及び208の双方は、ある性質を最適化するように選ばれる複数の層から構成されてよい。これらの支持体双方は、液晶ディスプレイ製造において従来使用されたガラス層を代替する。支持体層208は、例えば水分(水蒸気)透過に対する耐性、耐溶媒性、(上述したような)寸法安定性及び後述するような非熱的または非熱的に近い挙動等、特別な性質を持つように製造されてよい。同様に、上部複合体203も同様にこれらの性質、またはこれらの性質の一部を示してよい。
【0042】
プラスチック複合体203及び208は、10分から100時間の間100℃を超える温度(140℃−350℃)でさらに焼成またはアニーリングされ、続く処理工程操作における変形を低減してよい。多層の中間複合体203及び208を作製するために使用されてよいプラスチック基板の例は、表1の候補から選択される一つのタイプのポリマーからなるフィルム、及び、例えばポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)、ポリ(アリールエーテルケトン)(PAEK)、ポリ(スルホン)(PSF)、ポリ(エーテルスルホン)(PES、Sumilite(登録商標)FST−X014を含む)、ポリ(エステルスルホン)、芳香族フッ素ポリ(エステル)、ポリ(エーテルイミド)(PEI)、ポリ(エーテルケトンケトン)(PEKK)、ポリ(フェニレンスルフィド)(PPSd)、酸化型ポリアリーレン/ポリアリーレンスルフィド/ポリアリーレンスルホン(”Ceramer”/”Cramer Plus”)(PPS/PPSO2)、環状オレフィンコポリマー(AppearTM 3000)、ポリアリレート(AryLiteTM A 100HC)、ポリ(カーボネート)(PureAce)、ポリ(エチレンナフタレン)(PEN、及びその異性体(例えば2,6−、1,4−、1,5−、2,7−、及び2,3−PEN))(Teonex Q65(登録商標)を含む)、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET、Melinex ST504(登録商標)、ポリブチレンテレフタレート、及びポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレートを含む))等の熱可塑性フィルムの組み合わせを含むが、これらに制限されない。他のポリマーとしては、ポリイミド(例えばポリアクリル酸イミド)、ポリカーボネート、ポリメタクリレート(例えば、ポリイソブチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、及びポリメチルメタクリレート)、ポリアクリレート(例えば、ポリブチルアクリレート及びポリメチルアクリレート)、ポリスチレン(例えば、アタクチックポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、シンジオタクチックポリ−アルファ−メチルスチレン、シンジオタクチックポリジクロロスチレン、これらポリスチレンのコポリマー及びブレンド)、ポリアルキレンポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、及びポリ(4−メチル)ペンテン)、フッ素化ポリマー(例えば、ペルフルオロアルコキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレン−プロピレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン、及びポリクロロトリフルオロエチレン)、塩素化ポリマー(例えば、ポリ塩化ビニリデン及び塩化ビニル)、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリエーテル−アミド、アイオノマー樹脂、エラストマー(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、及びネオプレン)、及びポリウレタン、が含まれる。
【0043】
これらのフィルムは、処理の間基板のたわみ(変形)を防ぐような方法で組み合わされてよい。複合体ラミネート構造のたわみに対する抵抗は、例えばR.F.Gibson,”Principles of Composite Material Mechanics”,McGraw−Hill,New York,1994に記述されるような、様々な理論から予測されてよい。古典的なラミネート理論が、機械的な、熱的な、及び湿度と温度とに関係する荷重条件下の複合材の挙動を記述するために使用されてよい。熱応力を受ける積層された異方性複合体の構造の最適化は、複合体の熱弾性特性及び温度の確率的な解析及び有限要素解析を通じて、決定されてよい。
【0044】
他の実施形態では、同様のたわみ抑制効果を達成するために、100℃において、500−750nmのSiOのハードコートが、中間複合体208の上部側面及び下部側面に各々層208a及び208bとして堆積されてよい。例えば酸化タンタル及び酸窒化シリコン等の他の材料、及びSiO、酸化タンタル及び酸窒化シリコンの組み合わせ、が同様の効果を達成するため代わりに使用されてよい。他の実施形態では、SiO及びスピンオングラス、または酸化チタンドープシリカスピンオンガラスからなるハードコートが、例えばフレキソ印刷技術を用いて基板上に印刷され、その後炉内で硬化及びアニールされる。
【0045】
他の実施形態では、同様のたわみ抑制効果を達成するために、プラスチック複合体203または208が、例えば一時的な接着剤等、離型剤を用いて剛直な基板に付けられてよい。この例では、プラスチック基板203または208は異なる処理段階をその基板と共に通過し、その後基板から離れる。
【0046】
層206及び207は表2において示されたような電子層を構成する。電子層は埋め込まれた機能の概念を具現する。層207は活性副層であり、薄膜アクティブマトリックストランジスタ要素212を支持する。この後者の要素は中間の複合体副層207内に埋め込まれてよい。導電性の副層206及び204は対向電極であり、支持体副層203の下部及び活性副層207の上部に取り付けられる。透明電極導電性副層は、インジウム−スズ酸化物(ITO)、または、例えば導電性を改良するための金等、他の物質と組み合わされたITOを蒸着することによって作製される。中間ポリマー複合体の表面は平滑であり、ITO層の良好な性能のため表面粗さRaのオーダーは2.0nmである。平滑性及び表面保護は、組み合わされた中間複合体207−208、すなわち層208の上部表面及び層207の下部表面、の間に配置された上部ハードコート(耐摩耗性)層を塗布することによって達成されてよい。他の透明導電体(例えば酸化亜鉛等)が、ピクセル電極に関してITOの代わりに使用されてよく、または透明電極材料が波長の範囲内で光反応性のフォトレジストを用いて電極にパターニングされてよい。層206及び204の厚みは約70〜200nmであってよく、典型的にはプラスチック基板上へとスパッタ蒸着される。他の蒸着工程が同様に実施されてよい。スパッタリングまたは他のプロセスは、層204及び206が透明であり、容易にパターニングされ、及びディスプレイ用途に関して適切な抵抗値を有するように制御される。ITO層に関する例示的な抵抗値は100Ω/squareであり、40−500Ω/squareの範囲である。スパッタリング及び他の方法によるITOの蒸着は、当業者にはよく知られている。O’Mara W.の”Liquid Crystal Flat Panel Displays: Manufacturing Science and Technology”,Van Nostrand Reinhold(1993) pp114−117を参照されたい。この明細書中で言及される該参考文献、及び他の全ての参考文献は、参考のために全てここに組み込まれる。スパッタ蒸着されたSiOのハードコートバリア層206a及び204aは、導電層206及び204の上部に各々蒸着されてよい。他の実施形態において、SiO及びスピンオンガラスからなるハードコートが、例えばフレキソ印刷技術を用いて基板上に印刷され、その後炉内で硬化及びアニールされる。フレキソ印刷の解像度は40から100nmのオーダーである。ハードコートの各々はガスバリアとして働き、そのようなバリアを作製する方法の非制限的な例示的実施形態に関連して以下に述べられる。さらに、下部の保護フィルム206aは電極に由来するイオン性の不純物(例えばNa、Sn、Inのようなもの)が液晶層205内部に移動することを防ぐ。さらに上部コートバリア層204aは、ITO電極導電副層204が電気的及び機械的に安定であるように、セルギャップに相当するサイズを有する二次的な外部からの物質が液晶層205内部に入ることを防ぐ。
【0047】
液晶層205を駆動するために、ピクセルトランジスタ要素のアクティブマトリックスは、中間複合体ラミネート構造207の上または内部に形成され、中間複合体ラミネート構造207は支持体層208に結合される。他の例示的な実施形態では、アクティブ要素212は層208上に直接形成されてよい。その結果、ピクセル回路及び対向電極は、中間プラスチック複合体基板を利用し、ピクセル回路は薄膜トランジスタ(TFT)及び通常蓄積キャパシタを含む。TFTは、当業者に知られたどのような方法によって作製されてもよい。例えば、TFTゲート電極はピクセルのスキャンラインに接続され、ドレイン電極はピクセルのデータラインに接続される。ピクセル電極はインジウムドープスズ酸化物(ITO)でコートされてよい。もしも反射ディスプレイが要求されるときは、例えばアルミニウム等の反射金属は使用されてよい。対向電極は、ITOコートされたポリマー(プラスチック)基板から構成されてよい。個々のピクセル要素は、アクティブマトリックス液晶アレイを作製するための配列に作製され、または配置されてよい。ピクセル要素は通常ピクセル配列に関して列及び行の関係で作製され、TFTのゲート電極は列において互いに連結され、TFTのドレイン電極は行において互いに連結される。各ピクセルTFTのソース電極は、そのピクセル電極に連結され、ピクセルアレイ中の他の全ての回路要素から電気的に独立される。TFT回路設計の他の方法が考えられうる。例えば、いわゆるフィールドシーケンシャルカラーディスプレイ回路がピクセルアレイのスィッチングを達成するために使用されてよい。
【0048】
他の例示的な実施形態において、薄膜トランジスタアレイは、例えば導電性有機ポリマー等、他の導電性材料から作製されてよい。これらは上述のものと同様の方法によって生成され、及びパターニングされてよく、または、トランジスタ若しくは電極は一つの、若しくはXia,Y.ら,Chem.Rev.(1999)99(7),1823に記述されるようなジェット印刷技術若しくはミクロ接触印刷技術の組み合わせによって生成されてよい。
【0049】
トランジスタアレイについて前述したことは例示的な目的のみのためであり、トランジスタ配列を多重化する設計またはトランジスタアレイの構成をどのようなかたちであっても制限することを意図しないことは理解されるべきである。
【0050】
従来、層205は液晶層である。もしも層材料がツイステッドネマチックまたはスーパーツイステッドネマチックタイプであるよう選択された場合、さらなるプロセス上の制限が製造手順にもたらされる。一般にスペーサー粒子が、例えば中間複合体205等、基板表面上部に噴霧される。さらに層205は粗く磨かれたポリイミドの上部層を有するが、これは液晶材料を配向するために使用される。しかしながら、従来の液晶ディスプレイデバイスにおいて、ポリイミドの位置合わせされたフィルムが、ポリアミド酸の重縮合反応を通じて形成されて、重合反応のため250℃〜350℃の温度を必要とする。従って、この高い温度はプラスチック複合体基板材料の選択に大きな制限を課す。スペーサー粒子は数マイクロメータのオーダーの均一なセルギャップを画定し、該ギャップは液晶媒体の選択及びディスプレイの機能的役割に依存する。その後液晶材料はセルギャップ内部に減圧注入され、構造全体は最終的に密封される。
【0051】
他の例示的実施形態において、ポリマー層はエンボス加工され、または他の方法として液晶流体を収容するための機能を有するリザーバで形成されてよい。その後リザーバはリザーバ境界に接着するポリマー層上部で密封されてよい。この方法において、リザーバ壁の高さがセルギャップ間隔を決定し、スペーサー粒子は必要ない。さらに、リザーバは二つ以上のプラスチック層の間の液晶流体を密封するという有利な点を提供し、液晶ディスプレイ要素の独立した処理を可能にし得る。エンボス加工は冷プロセスまたは熱プロセスによって達成されてよく、エンボス加工ツールが加熱されない(冷エンボス加工)かまたは加熱される(熱エンボス加工)かのどちらかである。エンボス加工ツールは、複製されるべきリザーバ要素のパターンを含む。前記パターンは、ウェルの四角の配列で構成されてよく、その寸法、配分、密度、深さ及び壁の厚さは、与えられるピクセル要素のものと同様、同じ、または非常に小さいサイズであるように選択される。パターニングされたリザーバの四角の配列は、トランジスタの位置と一対一対応するように正確に整合するように選択されてよい。この場合、リザーバがピクセル要素のサイズを決定する。リザーバは、同様に、他の幾何学的パターンにエンボス加工することによって作製されてよく、前記形状は非制限的に同一寸法の六角形形状のリザーバの配列、同一寸法の円形状のリザーバの配列、長方形または正方形ウェルの配列、及びそれらの組み合わせを含む。熱または冷エンボス加工の代わりに、リザーバの配列は文献(Xia,Y.ら,Chem.Rev.(1999)99(7),1823)に記述されるような、どのようなミクロ接触印刷技術によって形成されてもよい。
【0052】
もしも事実上固体であるポリマーのフィルムで従来のツイステッドネマチックまたはスーパーツイステッドネマチック液晶を代替する場合には、製造プロセスの単純化が達成される可能性がある。例えば、液晶ポリマー(PLC)材料のフィルムが副層205として使用されてよい。用語、液晶ポリマーは最も広い意味で使用され、ポリマー材料及び液晶成分を含む全ての混合物を包含する。一つの方法によると、液晶はポリマー中にそれらのミクロ滴を液晶濃度30〜80重量パーセントの範囲の濃度で分散することによって安定化されてよい(ポリマー分散型液晶(PDLC))。液晶は不連続層を想定し、及びマトリックスは連続層である。従来の液晶分散系に対するPDLCフィルムの有利な点の中には、大きなロールツーロールプラスチック基板の製造の容易さ、及びスィッチ可能なウィンドウ及びディスプレイの製造における容易さがある。PDLC複合体は、不連続層及び連続層の間の屈折率のずれ(ヘイズ)を受ける可能性がある。PDLC材料は高い電圧を必要とする可能性、樹脂の安定性に欠ける可能性、望ましくない色を有する可能性、リバースモード容量(reverse−mode capability)(すなわち、オフ状態透明性/オン状態不透明性)に欠ける可能性がある。ポリマー安定化コレステリックテキスチャー(PSCT)液晶複合体も同様に開発されてきた。PSCTは、約5重量パーセント紫外線放射硬化予備ポリマーと95パーセント超のコレステリック液晶との混合物のゲル化によって調製される。硬化後、ディスプレイはポリマーネットワークによって安定化された(ゲル層)連続的液晶層で構成される。PSCT中における液晶の高濃度に起因して、ゲルディスプレイは剛直な密封されたガラス支持体の間で調製されるという不利な点を有する;この要求はディスプレイに使用されるときこの技術の主な不利な点である。
【0053】
他の非制限的な例は、例えばRaychem Corporationによって製造されたような、ネマチック曲線状配列層(nematic curvilinear aligned phase)(NCAP)材料である。図2における層205は、例えばNCAPにおいてそうであるように、エマルジョン形態で使用されてよい。この方法において、NCAPエマルジョンは連続ウェブ(continuous web)中間プラスチック複合体上部に直接コートされてよく、及び水は蒸発され均一なフィルムを形成した。ウェブがこの方法でコートされたとき、PLC NCAP材料自身はピクセル回路と対向電極との間に均一な空間を形成する。これはスペーサービーズ、減圧セル充填及び密封に関する必要性を不要にする。偏光副層202及び209はNCAPを使用するとき省略されてよい。なぜなら、コントラストは光散乱及び色素吸着によってのみ生成されるためである。偏光層202及び209を省略することによって、NCAPに基づくディスプレイは“オン”状態において明るくてよい。それらは“オフ”状態において改良された黒を提供するために多色性色素と共に、またはそれなしに使用されてよい。透過性対電圧の電気光学的応答曲線は、NCAP材料に関して十分急ではなく、ツイステッドネマチックまたはスーパーツイステッドネマチックディスプレイに関して設計される同種の複合化スキームにおいてそれらが使用されることを可能にする。NCAP材料は典型的には双安定ではないため、複合化の他の方法が課されてよい。プラスチック上のTFTアクティブマトリックスの使用は、この複合化の制限が克服されることを可能にし、結果的に柔軟な、プラスチックの、情報量が高い明るいディスプレイを提供する。上記の例は説明的な目的のためだけである。なぜなら、PLC層はそのようなポリマーベース材料のどのような種類から選択されてよく、当業者にはよく知られているためである。
【0054】
他の非制限的例は、Dainippon Ink UCL−001のような単官能基アクリレートモノマーと組み合わせたChisso(CS−1030)により提供されるようなポリマー安定化強誘電性液晶(FLC)材料である。CS−1030は円錐角28°であり、−5℃においてキラルスメクチックC層、70℃においてスメクチックA層、74℃においてキラルネマクチック層及び88℃において等方性層である。組成20wt%モノマーのFLC−アクリレートモノマー溶液は78℃においてキラルネマチックから等方性への層転移を示す。有用なことに、FLC−モノマー溶液は第1にネマチック相に加熱される。溶液は、その後透明ITO電極を取り付けたプラスチック基板と粗く磨かれたポリイミドフィルム(例えばJSRのAL−1254)との間に挟まれてよい。配向フィルムは、FLC及びモノマー材料の両方を配向させる。複合体構造はその後365nmのUV光で照光され、このモノマー成分の重合及び結果として得られるポリマーのFLC材料からの層分離を引き起こす。複合体を室温に冷却することで、分離した液晶材料は強誘電性分子配向を示すキラルスメクチックC層への層分離を受ける。この方法の主な業績は、グレースケール特性を有するPLC材料及び高速スィッチングタイムが偽“固体”ポリマーマトリックスフィルム形式において得られる可能性があることである。
【0055】
層210は、光ガイドとして働いてよい下部基板層である。これはテーパーを有する構造であってよく、その目的は例えば213等の光源から光をピクセル要素の配列内部に誘導することである。これは例えば発光ダイオード等の光源が取り付けられた保護副層211と組み合わされる。積層の上部は保護層201で終了する。
【0056】
図2を参照すると、他の非制限的な例示的実施形態において、偏光層202が層203及び204の間に配置されてよい。同様に、偏光層209は層207及び208の間に配置されてよい。
【0057】
図3に示される他の例示的実施形態において、幾つかの層の機能が組み合わされてよい。このように、導電副層206の機能は、活性副層207及び支持副層208の機能と組み合わされてよい。この方法において層を組み合わせる目的は、製造工程を容易にする、または製造工程を最適化することである。これは、与えられた製造工程のセットに最も良く適合するよう適応されるように多層構造を設計することによって達成される。例えば、以下でより詳細に説明されるように、トランジスタ回路要素が配置される副層208は加熱及び冷却に関して高い寸法安定性を示すだけではなく、フォトリソグラフィ及び洗浄プロセスにおいて使用される溶媒の範囲にもまた耐え得る。従って、互いにこれらの性質の全てを有する多層中間複合体は、与えられたプロセス変数の範囲を同時に満たすことが可能である。
【0058】
他の例示的な実施形態において、ポリマー液晶層205は、層204の下部表面上にそれを配置することによって組み合わされてよく、層204はその上に全ての層が既に組み合わされている(201、202、203)。
【0059】
さらに他の例示的な実施形態において、液晶ポリマー層205は流体またはフィルム形態で独立に形成されてよく、その後層204、203、202及び201上に、その順で、堆積されてよい。
【0060】
さらなる例示的実施形態において、偏光層202は保護層201と組み合わされてよい。この組み合わされた層は、その後、予め層204と組み合わされた層203の上部表面と組み合わされてよい。例えばたわみ(変形)に対する安定化層等、追加的な層が、層203と組み合わされていてもよい。
【0061】
さらに他の例示的実施形態において、変更層209は第1に支持体層208と組み合わされてよい。変更層は上述のようにハードコートされていてよく、またはハードコートされていなくてもよい。組み合わされた層208及び209は、その後活性副層207と組み合わされてよく、その後導電層206と組み合わされてよく、または層206及び207は前段階において組み合わされ、その後層209及び208を組み合わせたものと組み合わされてよい。
【0062】
さらに他の例示的実施形態において、ポリマー液晶層205は、最初に、上述の方法で順次組み合わされた209、208、207及び206を組み合わせた層の上に配置されてよい。
【0063】
様々な中間複合体の実質的プラスチック層の機能的役割は図4に説明される例によってさらに明らかにされるが、これは平面パネル液晶ディスプレイの作製において有用な高性能プラスチック中間複合体の概念的な構造であり得る。例えば図2の支持体副層208であってよい複合体構造は、本発明の例示的実施形態に従って調製された性能を有してよい。高性能複合体は、411、413、414、m、...、n−1、n、で示されたn平行層のサンドイッチ状積層体を含んでよく、それらはポリマー基板材料から作成され、光学的に等方性または異方性材料であってよい。層nの数は所望の性質によって変更されてよいことは理解されるべきである。
【0064】
埋め込まれた機能を有する多層バリア複合体
図5を参照すると、埋め込まれた機能としてバリア性を有する中間複合体によって実施される例が示される。複合体フィルム積層体は、良好な機械的及び熱的性質と同様に、特に高いガスバリア効果及び同様に良好な可視スペクトルにおける光学的透明性を有するように作製される。ポリマー基板上にアクティブデバイスを調製するための多段階フォトリソグラフィは基板の寸法安定性を必要とする。寸法変化は、エッチング段階及びすすぎ段階の間水分及び溶媒を吸収するために起こる可能性がある。水及び溶媒に対して適切なバリアを提供する積層複合体材料を開発することは有用である。以下の例示的実施形態において、多層バリア複合体は以下に記述されるように連続して配列された三つの中間複合体のセットを含む。
【0065】
中間複合体A及びBは、非化学量論的で光学的に透明な酸化シリコン(SiO)またはs−ブロック2族またはp−ブロック元素3または4族の金属酸化物で気相蒸着によってコーティングされた少なくとも一つのポリマー基板を含む。中間体A及びBは結合層(接着層)で互いに結合され、中間複合体Cを与える。さらなる水分及び酸素バリア層であってよい他のフィルムDは、中間複合体Cの上にコートされる。基板層EはSiOまたはs−ブロック2族またはp−ブロック元素3または4族の金属酸化物で気相蒸着によってコーティングされた中間複合体層である。スキン層Fは、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンまたはそれらのコポリマーから、または図4の記述において上述されたようなポリマーから選択される熱可塑性樹脂を含む他の中間複合体であってよい。中間複合体C、D、E及びFは組み合わされ、最終バリア複合体を与える。構成フィルムの特定の順序及び厚みは特定の要求に合致するように配置されてよい。多数の中間複合体Cは、バリア性をさらに強化するためにも使用されてよい。さらに、SiOx及び関連するセラミックコーティング(SiNx、非化学量論的酸化窒化ケイ素、および気相蒸着によるs−ブロック2族またはp−ブロック元素3または4族の金属酸化物)が単層または多層ポリマーフィルムの両面に塗布され、バリア性及び熱機械的性質を強化してよい。気相コーティング法は当業者にはよく知られている。フィルムへのセラミック層の塗布は、好ましくは30〜100nmの範囲で酸化層厚みを与えるように実行されてよい。コートされるフィルムのウェブ速度は、この厚みを与えるために必要とされるように選択される。
【0066】
基板層A、B及び/またはD及び/またはEは、同様に異なるポリマーの共押出から作製されてよい。共押出は、上記熱可塑性樹脂、及び例えば部分的に加水分解したエチレン酢酸ビニル(EVOH)ポリマーから選択された、樹脂のガスバリア層の一つの一つ以上の層から構成されてよい。バリア層は、特に上記熱可塑性樹脂の二つの層間に挟まれる。
【0067】
もしもSiOまたはp−ブロック元素3または4族の金属酸化物で気相コートされたポリアミドが基板表面層Aとして配置される場合、結果として得られるフィルム複合体もまた、ガス透過性の値が低いことに加えて、機械的安定性が高いことによって、優れたものとなる。例えば市販の反応性2パックポリウレタン(2−pack polyurethane)接着剤などの接着剤がラミネート複合体の個々の層の間を結合するために使用されてよい。ポリオレフィン性接着プロモータ、例えばポリエチレン、エチレンエチルアクリレート(EEA)またはエチレンメチルメタクリレート(EMMA)、または当業者に知られた他のプロモータも、同様に使用されてよい。
【0068】
図5に示される説明的例示において、フィルム複合体は以下の積層体である:
A SiO502で気相コートされたポリアミド層501であって、その上に接着層503が塗布される;
B SiO502で気相コートされたポリエステル層504;
D 加水分解された酢酸基を30%有するEVOHバリア層505;
E SiO502で気相コートされたポリエステル層506;及び
F ポリ(エチレンナフタレン)(PEN)スキン層507。
【0069】
フィルム複合体積層体は以下のように製造される:SiOで気相コートされた個々の基板層A及びBは最初に図5において示されるように積層され、中間複合体Cを与える。このラミネーションは、ポリウレタン(ポリイソシアネート及びポリオール)ベースの接着システムを用いて実施される。ウレタン複合体は化学量論的に調整され、接着剤硬化の間二酸化炭素の形成を防ぐ。クラス10000またはそれ以上の低湿度(湿度制御された)クリーンルーム内でのラミネーションが好ましい。SiOで気相コートされたポリエステル層EはSiO側がPENスキン層Fに隣接するよう積層される。
【0070】
EVOH層Dは既に製造された中間複合体Cの上に積層される。このC及びDからなる複合体は、層E及びFを組み合わせることで既に製造された複合体と、最終段階において互いに積層される。ラミネーションは、一般的に100〜300m/分、好ましくは150〜250m/分の速度で典型的に実行される。ラミネート装置の仕様に依存して他の速度が可能であるかもしれない。複合体積層体は酸素(DIN 53380−3によると、<0.08cm−m−1−bar)及び水蒸気透過性(DIN 53122によると、35℃において、<0.08g/m)が低い。ポリマーの他の組み合わせ、及び層の他の順序が考えられてよい。例えば、実質的にバリア性が改良された液晶ポリマーの薄層が、他のポリマー層の一つの面の表面に積層されてよい。バリア複合体の用途分野は、ソーラーパネル、液晶ディスプレイの基板、発光ダイオードの基板及び表板(superstrate)構造、及び有機トランジスタの基板に関する積層体を含む。さらに、複合体バリア層の熱膨張係数が知られているとき、この複合体構造は、全体の複合体構造が与えられた温度範囲にわたって熱膨張係数が低いかまたはゼロとなるように反対の熱膨張係数を有する他のものと組み合わされてよい。この方法で、ある程度の寸法安定性が複合体構造全体に付与される。
【0071】
高性能熱複合体
熱安定化はプラスチックフィルムの配向した領域内部で残留応力の効果を開放する。適切に熱安定化されたとき、あるプラスチックフィルムは寸法的に安定なままであり、基板温度が有意に高くなるまで再現性がある。長期にわたるガラス転移点より高い温度における熱安定化により、さらにプラスチックフィルムにおける収縮を低減してよい。しかしながら、ポリマーは一般的に従来のガラスのような他の材料と比較してより大きな熱膨張係数を有する。ポリマーが、相違する熱膨張係数を有する他の材料と組み合わされるとき、温度変化により、もしも熱膨張が妨げられる場合には、熱可塑性材料内部で引張及び他の応力が増大する可能性がある。それが膨張または収縮しないように、または温度に対して予測可能な若しくは制御可能な熱膨張(収縮)を示すような、調整された熱応答を有する複合ラミネート材料を持つことが望ましい。電気に関するまたは他の種のセンシング及び干渉(intervention)の使用なしに、多少なりとも非熱的方法でそれらが振舞うように、雰囲気温度で自動的に変化に適応する層の材料が作製されてよい。この自己−調整性を有する、または高性能の、挙動はプラスチック基板の用途において特に魅力的であり、前記プラスチック基板は例えばそれらの上に印刷された薄膜トランジスタ等のアクティブ電子デバイスを有する。そのようなデバイスの作製は、多段階フォトリソグラフィによってTFTを作製するために使用される微細な線要素のパターニングにおいて高い精度を必要とする。トランジスタデバイスが取り付けられたポリマー表面の熱膨張及び収縮は、その機能を損なう可能性がある。
【0072】
ポリマーに関して、熱膨張はガラス転移温度より上と下とでは異なる。非対称性積層体におけるたわみに繋がる支配的な因子は、個々の層の熱膨張係数の相違である。複合体において適切な層の組み合わせを選択することによって、材料の熱膨張または収縮を制御することによって寸法変化を低減することが可能である。従って、非熱的挙動を示す中間複合体積層体を含む高性能複合体材料を形成することが可能である。図4を再度参照すると、複合体は下部表面410及び上部表面412を有する基板411を含み、基板411は熱膨張係数を有する。高性能複合体は、下部表面413及び上部表面415を有し、表面413を基板411の表面412に結合することによって形成される層414をさらに有する。層414は負の係数である屈折率によって特徴付けられる熱膨張係数を有する。例えば、膨張に起因して、フィルム厚みがおおよそ変化する量は、屈折率の熱的変化におおよそ反比例する。これは、Δd/ΔT≒−Δn/ΔTという表現で与えられ、dはポリマー厚み、nは屈折率であり、ΔTは温度変化である。熱光学係数、G、は線熱膨張係数α、及びG=α(n−1)+dn/dTを通じて屈折率に関係する。もしもα(n−1)項の値が屈折率の温度係数dn/dTの一つと完全に反対である場合、熱光学係数Gは理想的にはゼロである。従って、もしも屈折率の温度係数が十分に負である場合は、複合体は熱的に安定(非熱的)に作製される。
【0073】
従って、複合された実質的プラスチック基板は、調整された熱的応答を有する。複合体は、耐溶媒性基板または表面を備えた中間複合体、熱膨張係数を有し且つポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)、ポリ(アリールエーテルケトン)(PAEK)、ポリ(スルホン)(PSF)、ポリ(エーテルスルホン)(PES、Sumilite(登録商標)FST−X014を含む)、ポリ(エステルスルホン)、芳香族フッ素ポリ(エステル)、ポリ(エーテルイミド)(PEI)、ポリ(エーテルケトンケトン)(PEKK)、ポリ(フェニレンスルフィド)(PPSd)、酸化型ポリアリーレン/ポリアリーレンスルフィド/ポリアリーレンスルホン(”Ceramer”/”Cramer Plus”)(PPS/PPSO2)、環状オレフィンコポリマー(AppearTM 3000)、ポリアリレート(AryLiteTM A 100HC)、ポリ(カーボネート)(PureAce)、ポリ(エチレンナフタレン)(PEN、及びその異性体(例えば2,6−、1,4−、1,5−、2,7−、及び2,3−PEN))(Teonex Q65(登録商標)を含む)、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET、Melinex ST504(登録商標)、ポリブチレンテレフタレート、及びポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート を含む))等の熱可塑性フィルムの一つ、または組み合わせから選択される材料を含む基板または複合体を含む。他のポリマーとしては、ポリイミド(例えばポリアクリル酸イミド)、ポリアルキレンポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、及びポリ(4−メチル)ペンテン)、フッ素化ポリマー(例えば、ペルフルオロアルコキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレン−プロピレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン、及びポリクロロトリフルオロエチレン)、塩素化ポリマー(例えば、ポリ塩化ビニリデン及び塩化ビニル)、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂が含まれる。積層構造は、基板表面上に形成されたポリマー層または複数の層からなる中間複合体積層体をさらに含む。前記ポリマー層は、負の熱光学係数によって特徴付けられる温度に依存する屈折率を有する。本発明の例示的実施形態に対応するあるポリマー層は、負の熱光学係数を有し、その範囲は−2×10−5/℃から約−18×10−5/℃の間である。例えば、下部基板410及び上部基板412を有する基板411は上述のポリマー材料の種類から選択されてよい。
【0074】
例示的実施形態において、耐溶媒性基板は、例えばAryliteTM A 200 HC等のポリ(アリレート)を含む。この材料は、屈折率(633nm)が1.64であり、−55℃〜+85℃の間の熱膨張係数が53ppmである。それは、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、ヘキサメチルジシラザン、n−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、トルエン、氷酢酸、48%HBr、37%HClに耐性であり、70%硝酸、及び98% 硫酸中で少したわむが、しかし83%リン酸、30%過酸化水素、40%塩化第二鉄及び炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムの飽和溶液中では反応しない。興味ある温度範囲において、これは、熱光学係数がゼロであり材料が非熱的な様式で挙動するために、AryliteTM上方の層が、約−34×10−6°K−1の屈折率の温度係数dn/dTを有する。
【0075】
プラスチック液晶ディスプレイ
この例において、機能性プラスチック液晶ディスプレイデバイスの作製が記述される。この例は、幾つかの層の機能を組み合わせて埋め込まれた電子的機能を示す単一の複合体フィルム構造を与えるという考えを実現する。例示的実施形態において、埋め込まれた機能を有する下部プラスチック層を形成するために、例えばAryliteTM A 200 HC等のポリ(アリレート)が使用される。フィルムのサンプルは、洗浄され、減圧下でアニールされる。その後サンプルは続くパターニング段階においてアルミニウム金属でパターニングされる。従って、一連のフォトリソグラフィ段階が、TFTを指定するためのアルミニウムデータラインを作製するためにまず実行される。そのようなラインを作製するための技術はTFT製造分野の当業者にはよく知られている。続く段階において、薄膜トランジスタは米国特許第6,225,149号明細書に記述される方法と同様に作製される。典型的なピクセルの写真が図6で示される。ピクセル領域は透明な金またはITO電極を上部に配置される。これはプラスチック層の作製を完了させ、それはTFT配列の埋め込まれた電子的機能を含む。これは、独立型プラスチック複合体フィルムであり、その機能は個々のTFTを試験することによって実証される。与えられたトランジスタに関する電流対電圧曲線は図7に示される。この埋め込まれた機能を有する複合体は、プラスチック液晶ディスプレイ用途に関するプラスチックの電子的機能ウィンドウのシート形態で使用できる。機能性プラスチックLCDを完成するために、例えばMerck E7等のネマチック相液晶が適切な量の紫外光感光性アクリレートモノマーと混合される。この流体は、続いて2μmのスペーサビーズ(Sekisui Products)と混合され、一面をITOでコートされたプラスチックフィルムは流体内部に押し入れられる。全ユニットは、その後UV光に露出され、LCのポリマーからの相分離を引き起こし、その一方で同時にITOプラスチック層を埋め込まれたTFT機能を有する複合体層に結合する。柔軟なプラスチック複合体液晶デバイスは、その後適切な印加電圧でスィッチングされてよい。
【0076】
本発明は特定の実施形態及びそれらの例示によって記述されてきたが、本発明の範囲から逸脱することなしに現在の特別な実施形態に修正が行なわれてよいことが当業者には明らかであることは注目すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】液晶ディスプレイパネルに関する現行の設計例の断面図(正確な縮尺ではない)である。
【図2】本発明によるプラスチックディスプレイパネルの非制限的な例示的実施形態の断面図(正確な縮尺ではない)である。
【図3】中間複合体層が分類される本発明によるプラスチックディスプレイパネルの非制限的な例示的実施形態の断面図(正確な縮尺ではない)である。
【図4】本発明による高性能複合体の非制限的な例示的実施形態の断面図(正確な縮尺ではない)である。
【図5】ある種のパターンまたは機能的要求に従って蒸着された中間複合体層を分類する方法の非制限的な例示的実施形態の断面図(正確な縮尺ではない)である。
【図6】プラスチック液晶ディスプレイにみられる典型的なピクセルの図である。
【図7】プラスチック液晶ディスプレイにみられる薄膜トランジスタの典型的な性能曲線である。
【符号の説明】
【0078】
201 保護層
202 偏光子
203 複合体支持層
204 導電性電極層
205 液晶ポリマー層
206 導電性電極層
207 活性層
208 複合体支持層
209 偏光子
210 下部基板
211 保護層
212 活性の電子的エレメント
213 光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも二つのポリマー基板を含み、
各ポリマー基板は第1及び第2表面を有し、前記少なくとも二つのポリマー基板の各々は連続して配置され、
各々の二つの連続したポリマー基板は互いに接着される、
寸法安定性を有する成形可能な多層複合体。
【請求項2】
各々の二つの連続したポリマー基板は、前記二つの連続したポリマー基板の一方の前記第2表面と、前記二つの連続したポリマー基板の他方の前記第1表面との間に配置された接着層を用いて互いに接着される、請求項1に記載の成形可能な多層複合体。
【請求項3】
前記接着剤が2パックポリウレタンである、請求項2に記載の成形可能な多層複合体。
【請求項4】
接着促進剤をさらに含む、請求項2に記載の成形可能な多層複合体。
【請求項5】
前記接着促進剤が、ポリエチレン、エチレンエチルアクリレート及びエチレンメチルメタクリレートからなる群から選択される、請求項4に記載の成形可能な多層複合体。
【請求項6】
前記各々二つの連続するポリマー基板が、押出コーティング、押出ラミネート、フィルムキャスティング、フレキソコーティング及びそれらの組み合わせからなる群から選択される方法を用いて互いに接着される、請求項1に記載の成形可能な多層複合体。
【請求項7】
少なくとも一つのポリマー基板の少なくとも一つの表面は光学的に透明なコーティングで被覆される、請求項1に記載の成形可能な多層複合体。
【請求項8】
前記光学的に透明なコーティングは、SiOx、SiNx、及び、sブロック2族、pブロック3族及び4族の金属酸化物からなる群から選択される、請求項2に記載の成形可能な多層複合体。
【請求項9】
少なくとも一つのポリマー基板の少なくとも一つの表面上部にコーティングされた水分及びガスバリア層をさらに含む、請求項1に記載の成形可能な多層複合体。
【請求項10】
前記水分及びガスバリア層は部分的に加水分解されたエチレン酢酸ビニルポリマーである、請求項9に記載の成形可能な多層複合体。
【請求項11】
熱可塑性樹脂をさらに含む、請求項1に記載の成形可能な多層複合体。
【請求項12】
前記熱可塑性樹脂がポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン及びそれらの共重合体からなる群から選択される、請求項11に記載の成形可能な多層複合体。
【請求項13】
前記熱可塑性樹脂は、前記熱可塑性樹脂と前記少なくとも一つのポリマー基板との間に配置された接着層を用いて前記少なくとも二つのポリマー基板のうち少なくとも一つと接着される、請求項11に記載の成形可能な多層複合体。
【請求項14】
前記接着剤が2パックポリウレタンである、請求項13に記載の成形可能な多層複合体。
【請求項15】
接着促進剤をさらに含む、請求項13に記載の成形可能な多層複合体。
【請求項16】
前記接着促進剤が、ポリエチレン、エチレンエチルアクリレート及びエチレンメチルメタクリレートからなる群から選択される、請求項15に記載の成形可能な多層複合体。
【請求項17】
前記熱可塑性樹脂が、押出コーティング、押出ラミネート、フィルムキャスティング、フレキソコーティング及びそれらの組み合わせからなる群から選択される方法を用いて前記少なくとも二つのポリマー基板のうち少なくとも一つと接着される、請求項11に記載の成形可能な多層複合体。
【請求項18】
前記少なくとも二つのポリマー基板が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリノルボルネン、多環式オレフィン、ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリアルキレンポリマー、フッ素化ポリマー、塩素化ポリマー、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリエーテルアミド、アイオノマー樹脂、エラストマー、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリールエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエステルスルホン、芳香族フッ素化ポリエステル、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンケトン、ポリフェニレンスルフィド、酸化型ポリアリーレン/ポリアリーレンスルフィド/ポリアリーレンスルホン、環状オレフィン共重合体、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレン、ポリエチレンテレフタレート及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の成形可能な多層複合体。
【請求項19】
前記少なくとも二つのポリマー基板が二軸配向フィルムの形態である、請求項13に記載の成形可能な多層複合体。
【請求項20】
少なくとも一つのポリマー基板は、他の全てのポリマー基板の全体の熱膨張係数と合わされたとき、熱膨張係数が一般的にゼロに等しくなる熱膨張係数を有するように選択される、請求項1に記載の成形可能な多層複合体。
【請求項21】
少なくとも一つのポリマー基板は、他の全てのポリマー基板の全体の熱膨張係数と合わされたとき、熱膨張係数が負になる熱膨張係数を有するように選択される、請求項1に記載の成形可能な多層複合体。
【請求項22】
少なくとも一つのポリマー基板は、他の全てのポリマー基板の全体の熱膨張係数と合わされたとき、熱膨張係数が正になる熱膨張係数を有するように選択される、請求項1に記載の成形可能な多層複合体。
【請求項23】
上部及び下部表面を有し、下部表面はその上に配置された第1透明電極を有する第1支持体複合体;
上部及び下部表面を有し、上部表面はその上に配置された第2透明電極を有する第2支持体複合体;
前記第1支持体複合体の下部表面と前記第2支持体複合体の上部表面との間に配置された液晶層;
を含む複合体材料であって、
前記第1及び第2支持体複合体は請求項1から22の何れか一項に記載の成形可能な多層複合材料である、
液晶ディスプレイの作製に使用するための成形可能な複合体材料。
【請求項24】
前記第1支持体複合体の上部表面上に配置された第1偏光層及び前記第2支持体複合体の下部表面上に配置された第2偏光層をさらに含む、請求項23に記載の成形可能な複合体材料。
【請求項25】
前記第1偏光層は前記第1支持体複合体に埋め込まれ、前記第2偏光層は前記第2支持体複合体に埋め込まれた、請求項24に記載の成形可能な複合体材料。
【請求項26】
前記第1支持体複合体の上部表面上に配置された第1保護層及び前記第2支持体複合体の下部表面上に配置された第2保護層をさらに含む、請求項23に記載の成形可能な複合体材料。
【請求項27】
前記第1及び第2保護層はポリマー、アクリレート、アルコキシシリル置換アクリレート及びシリカ粒子を20から80%の間含むアクリレートからなる群から選択される、請求項26に記載の成形可能な複合体材料。
【請求項28】
前記第1保護層と前記第1支持体複合体の上部表面との間に配置された第1偏光層と、前記第2保護層と前記第2支持体複合体の下部表面との間に配置された第2偏光層とをさらに含む、請求項26に記載の成形可能な複合体材料。
【請求項29】
前記第1偏光層は前記第1支持体複合体に埋め込まれ、前記第2偏光層は前記第2支持体複合体に埋め込まれた、請求項28に記載の成形可能な複合体材料。
【請求項30】
少なくとも一つの前記支持体複合体の少なくとも一つの表面上に堆積されたハードコートをさらに含む、請求項23に記載の成形可能な複合体材料。
【請求項31】
前記ハードコート材料がSiO、酸化タンタル、酸窒化シリコン及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項30に記載の成形可能な複合体材料。
【請求項32】
前記ハードコートの厚みは500nmから750nmの間である、請求項31に記載の成形可能な複合体材料。
【請求項33】
前記ハードコート材料がSiOx、スピン−オン−ガラス、酸化チタンドープシリカスピン−オン−ガラス及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項31に記載の成形可能な複合体材料。
【請求項34】
前記ハードコートは少なくとも一つの前記支持体複合体の少なくとも一つの表面上部に印刷される、請求項33に記載の成形可能な複合体材料。
【請求項35】
前記ハードコートはフレキソプリンターを用いて印刷され炉内でアニールされる、請求項34に記載の成形可能な複合体材料。
【請求項36】
前記第1及び第2透明電極は、インジウムスズ酸化物、インジウムスズ酸化物と金との合金及び酸化亜鉛からなる群から選択される材料から形成される、請求項23に記載の成形可能な複合体材料。
【請求項37】
前記第1及び第2透明電極は対向電極である、請求項23に記載の成形可能な複合体材料。
【請求項38】
a)上部及び下部表面を有する第1支持体複合体であって、前記第1支持体複合体の下部表面はその上に配置された第1透明電極を有する第1支持体複合体を提供する段階と、
b)上部及び下部表面を有する第2支持体複合体であって、前記第2支持体複合体の上部表面はその上に配置された第2透明電極を有する第2支持体複合体を提供する段階と、
c)前記第1支持体複合体の下部表面と前記第2支持体複合体の上部表面との間に液晶フィルムを配置する段階と、
d)前記第1及び第2支持体複合体を互いに接着する段階と、を含み、
前記第1及び第2支持体複合体は請求項1から22の何れか一項に記載の成形可能な多層複合体である、
液晶ディスプレイを形成するのに適した成形可能な複合体材料を形成する方法。
【請求項39】
前記段階a)及びb)が、離型剤を用いて剛直な基板を前記第1及び第2支持体複合体を取り付ける段階をさらに含み、前記方法は前記剛直な基板を取り外す段階e)をさらに含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記離型剤が一時的に接着性である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
e)第1保護層を前記第1支持体複合体に塗布する段階と;及び
f)第2保護層を前記第2支持体複合体に塗布する段階と、
をさらに含む、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
e)第1偏光子を前記第1支持体複合体に塗布する段階と;及び
f)第2偏光子を前記第2支持体複合体に塗布する段階と、
をさらに含む、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
g)第1保護層を前記第1偏光子に塗布する段階と;及び
h)第2保護層を前記第2偏光子に塗布する段階と、
をさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
a)上部及び下部表面を有する第1支持体複合体であって、前記第1支持体複合体の下部表面はその上に配置された第1透明電極を有する第1支持体複合体を提供する段階と、
b)上部及び下部表面を有する第2支持体複合体であって、前記第2支持体複合体の上部表面はその上に配置された第2透明電極を有する第2支持体複合体を提供する段階と、
c)前記第1複合材料及び前記第2複合体に配置された前記透明電極をパターニングする段階と、
d)前記第1及び第2複合体内にレジストレーションフィーチャを形成する段階と、
e)液晶流体でレジストレーションフィーチャを満たす段階と、
f)前記第1及び第2支持体複合体を互いに接着する段階と、を含み、
前記第1及び第2支持体複合体は請求項1から22の何れか一項に記載の成形可能な多層複合体である、液晶ディスプレイの形成に関して適切な成形可能な複合体材料を形成する方法。
【請求項45】
段階a)及びb)が、離型剤を用いて剛直な基板を前記第1及び第2支持体複合体を取り付ける段階をさらに含み、前記方法は前記剛直な基板を取り外す段階g)をさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記離型剤が一時的に接着性である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
g)第1保護層を前記第1支持体複合体に塗布する段階と;及び
h)第2保護層を前記第2支持体複合体に塗布する段階と、
をさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
g)第1偏光子を前記第1支持体複合体に塗布する段階と;及び
h)第2偏光子を前記第2支持体複合体に塗布する段階と、
をさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
i)第1保護層を前記第1偏光子に塗布する段階と;及び
j)第2保護層を前記第2偏光子に塗布する段階と、
をさらに含む、請求項48に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−512273(P2008−512273A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−530562(P2007−530562)
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【国際出願番号】PCT/CA2005/001397
【国際公開番号】WO2006/029517
【国際公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(507079747)
【Fターム(参考)】