説明

プラスチック燃料タンクの製造方法

パリソンがブロー成形または熱成形により成形され、付属品が金属部分(9)を備え、かつタンクの成形と同時にタンクの内部壁に固定され、タンクが成形型から取り出され、かつ金属部分の位置が位置決めされ、しかも開口が、金属部分の位置に応じてタンクの壁に作製される、内部付属品(たとえばベントシステム用の液体/蒸気分離装置)を備えたプラスチック燃料タンクの製造方法。ベントシステム用の液体/蒸気分離装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
第1の態様によれば、本発明は、付属品を備えたプラスチック燃料タンク(FT)の製造方法に関する。他の態様によれば、本発明は、特定の付属品、すなわち、FTベントシステム用の液体/蒸気分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体タンクは、収容されている液体と共に移動しうる場合、一般的には、タンクが種々の応力、すなわち、任意の方向および任意の大きさの移動、熱応力、過少圧力および過剰圧力を受けているときに環境安全を保証するベントシステムを備えている。
【0003】
この要件は、燃料タンクの場合、特定的にはそれが自動車に取り付けられる場合に課され、液体燃料の漏出を防止したりタンクの充填時におけるおよび液体が前記タンク内に貯蔵される期間全体にわたるガスの圧力および体積の大きな変化に対処したりするうえで不可欠である。
【0004】
これらの問題を解決するために、タンク内に浸漬された安全バルブを使用する解決手段が開発されてきた。ただし、バルブの上側部分は、タンクの壁を貫通する。このバルブは、一般的には、ガス中に存在するタンク由来の液体蒸気をトラップしうる材料が入っているモジュールまたはキャニスターに通じたダクト内に開口する。しかしながら、それにもかかわらず、乗物の突然の移動や過度の大きい傾き角のような特定の動作状況に起因して、タンク由来の液体が、安全バルブのバリヤーを通り抜けて、キャニスターに通じるダクト内に進入したり、さらには後者にまで達して、蒸気の自由流動を撹乱したりするという事実があるので、このタイプのシステムは、依然として問題を抱えていることが珍しいことではない。
【0005】
タンクからの液体のこの偶発的なキャリーオーバーを解決するために、液体を捕集しかつ蒸気を自由に通過させる装置として作用するように意図された死空間をこのダクト内に介在させることにより、キャニスターに通じるダクトを介して逃散する液体を保持すべく、探索が行われてきた。
【0006】
従来の燃料システムでは、上述の付属品(バルブ、装置)は、成形後に燃料タンクに固定され、かつタンクの壁を貫通する。しかしながら、現在、欧州においても全世界においても、大気中および一般環境中への汚染物質の排出規制に関する要件が実質的に強化されている。
【0007】
こうした排出を規制するために、とくに、タンク内および/または充填パイプ内にコンポーネント(ベントライン、バルブ、バッフル、スティフナーなど)を定置することに注意が払われている(とくに本出願人名義の出願(特許文献1)を参照されたい)。しかしながら、これらのコンポーネントを成形後のタンクに固定する場合、一般的には、前記コンポーネントをタンク内に導入してそれに固定できるようにするためにタンクに少なくとも1つの開口を設けることが必要である。
【0008】
したがって、本出願人は、これらのコンポーネントをタンクの成形時に容易に固定しうる方法(いくつかの係属出願の課題)を開発してきた。しかしながら、すでに説明したように、いわゆる「ベントライン」を構成する上述の付属品(バルブ、それらを接続するベントダクト、液体/蒸気(L/V)分離装置)をキャニスターに接続しなければならない。しかしながら、このキャニスターは、一般的には、タンクの外側に位置決めされる。したがって、タンクの壁を貫通しかつキャニスターへのベントラインの接続を可能にする接続を提供することが必要である。
【0009】
タンクの壁を貫通してキャニスターに接続される内部ベントラインを有するそのようなシステムは、たとえば、特許文献2に記載されている。しかしながら、この文献は、この接続を形成する実用的方法についてなんら示唆を与えていない。事実上、一方では、キャニスターに通じるダクトを接続しなければならない内部ベントラインの端の厳密な位置を外側からいかにして位置決めするか、他方では、密封接続をいかにして取得するかについては明らかでない。
【特許文献1】国際公開第2004/024487号パンフレット
【特許文献2】米国特許第6,860,285号明細書
【特許文献3】欧州特許第1 110 697号明細書
【特許文献4】仏国特許出願公開第04.08196号明細書
【特許文献5】仏国特許出願公開第05.06574号明細書
【特許文献6】欧州特許第1 439 973号明細書
【特許文献7】欧州特許第1 196 303号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、上述の課題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、一態様によれば、本発明は、
パリソンがブロー成形または熱成形により成形され、
付属品が金属部分を備え、かつタンクの成形と同時にタンクの内部壁に固定され、
タンクが成形型から取り出され、かつ金属部分の位置が位置決めされ、しかも
開口が、金属部分の位置に応じてタンクの壁に作製される、
内部付属品を備えたプラスチック燃料タンクの製造方法に関する。
【0012】
「燃料タンク」という用語は、さまざまな変化に富んだ使用条件下および環境条件下で燃料を貯蔵しうる密閉タンクを意味するものとする。このタンクの例は、自動車に装備されるタンクである。
【0013】
本発明に係る燃料タンクは、プラスチックから作製される。
【0014】
「プラスチック」という用語は、少なくとも1種の合成樹脂ポリマーを含む任意の材料を意味するものとする。
【0015】
すべてのタイプのプラスチックが好適でありうる。熱可塑性材料の部類に属するプラスチックはとくに好適である。
【0016】
「熱可塑性材料」という用語は、熱可塑性エラストマーやそのブレンドをはじめとする任意の熱可塑性ポリマーを意味するものとする。「ポリマー」という用語は、ホモポリマーおよびコポリマー(特定的には二元コポリマーまたは三元コポリマー)の両方を意味するものとする。そのようなコポリマーの例は、ランダムコポリマー、線状ブロックコポリマーおよび他のブロックコポリマー、ならびにグラフトコポリマーであるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
融点が分解温度未満である任意のタイプの熱可塑性のポリマーまたはコポリマーが好適である。少なくとも摂氏10度にわたる融解範囲を有する合成熱可塑性材料がとくに好適である。そのような材料の例としては、分子量の多分散を呈するものが挙げられる。
【0018】
特定的には、ポリオレフィン、熱可塑性ポリエステル、ポリケトン、ポリアミド、およびそのコポリマーを使用することが可能である。ポリマーまたはコポリマーのブレンドを使用することも可能であり、同様に、高分子材料と、無機、有機、および/または天然の充填剤、たとえば、カーボン、塩、および他の無機誘導体、天然繊維または高分子繊維など(ただし、これらに限定されるものではない)と、のブレンドを使用することも可能である。以上に記載されたポリマーまたはコポリマーのうちの少なくとも1つを含む結合一体化積重層からなる多層構造体を使用することも可能である。
【0019】
利用されることの多いポリマーの1つは、ポリエチレンである。高密度ポリエチレン(HDPE)を用いて優れた結果が得られている。
【0020】
タンクの壁は、熱可塑性物質の単一層もしくは2層で構成されうる。1層以上の存在可能な追加の層は、有利には、液体および/または気体に対する障壁である材料で作製された層で構成されうる。好ましくは、障壁層の特性および厚さは、タンクの内表面に接触する液体および気体の透過率を最小限に抑えるように選択される。好ましくは、この層は、障壁樹脂、すなわち、燃料に対して不透過性である樹脂、たとえば、EVOH(部分加水分解エチレン/ビニルアセテートコポリマー)などを基材とする。他の選択肢として、燃料に対して不透過性になるようにタンクを表面処理(フッ素化またはスルホン化)に付すことが可能である。
【0021】
本発明に係るタンクは、好ましくは、HDPEを基材とする外層間に位置するEVOHを基材とする障壁層を含む。
【0022】
本発明によれば、タンク内の付属品はまた、少なくとも部分的にプラスチックで作製される。好ましくは、それは、主にプラスチックを基材とする。それは、タンクと同一のプラスチックを基材とするものであってもよいしそうでなくてもよい。好適なプラスチックの1つは、POM(すなわち、ポリオキシメチレン、ポリアセチル)である。なぜなら、それは、高価ではあるが、燃料油中およびアルコール系燃料中で寸法安定性を有する材料であるからである。他の選択肢として、塑性射出成形能があり、低コストであり、しかも燃料との適合性があることから、HDPEを使用することが可能である。リベットパンチングによりタンク壁に固定するのであれば、オプションとして他の材料の使用が可能である。
【0023】
本発明によれば、タンクは、パリソンを成形することにより作製される。「パリソン」という用語は、所要の形状および寸法に成形した後にタンクの壁を形成するように意図された一般的には押し出されたプリフォームを意味するものとする。このプリフォームは、必ずしもワンピースプリフォームでなければならないというわけではない。
【0024】
したがって、有利には、パリソンは、実際上、たとえば2枚のシートでありうる2つの個別部片から形成される。しかしながら、好ましくは、これらの部片は、特許文献3(その内容は、この目的で参照により本出願に組み入れられるものとする)に記載される完全に同一の押し出された管状パリソンをカットすることにより得られる。この変形形態によれば、単一パリソンを押し出した後、パリソンは、2つの個別部品(シート)が得られるように直径方向に対向した2本の線に沿って長手方向にカットされる。
【0025】
独立して押し出された一定の厚さの2枚のシートを成形する場合と比較して、この手段によれば、好適な押出し装置(一般的には、位置調整可能なピンを有するダイを備えた押出し機)を利用して得られるさまざまな厚さ(すなわち、その長さに沿って厚さが一定でない)のパリソンを使用することが可能である。そのようなパリソンでは、成形型内の材料のさまざまな変形率に起因してパリソンの特定箇所で成形時に起こる厚さの減少が考慮される。
【0026】
パリソンを2つの部片の形態で成形した後、一般的には、これらの部片は、それぞれ燃料タンクの下部壁および上部壁を形成する。
【0027】
すでに述べたように、成形は、熱成形により(一般的には成形型の背後で真空下で吸引することにより)またはブロー成形により(成形型内に加圧流体を注入することにより)さらには両者の組合せにより実施可能である。
【0028】
本発明の範囲内の当該付属品は、一般的には従来の燃料システムの一部分である付属品である。特定的には、すでに述べたように、内部付属品は、タンクのベントラインの少なくとも一部分を構成しうるものであり、かつ好ましくはキャニスターである外部付属品に接続されるように意図されうるものである。しかしながら、本発明に係る方法が、タンクの内部および外部にそれぞれ位置する2つのコンポーネントを接続するためにタンクの壁を貫通する通路を必要とする電気接続、または任意の他のタイプの接続を形成するうえにも好適でありうることに留意されたい。この変形形態では、内部および外部の付属品は、タンクの壁に作製された開口を介して接続される。「外部」という用語は、タンクにより境界が規定された内部空間に接触した状態を意味する「内部」とは対照的に、タンクの外側の周囲環境に接触した状態を意味するものとする。
【0029】
内部付属品がベントラインの少なくとも一部分である実施形態では、この部分は、たとえば、バルブ、パイプ、装置などでありうる。好ましくは、それは、すでに記載したようなL/V分離装置である。その場合、この装置は、好ましくは、キャニスターに接続された対応するダクトへの接続を可能にするダクトを備える。
【0030】
本発明に係る方法では、内部付属品は、成形後に燃料タンクを形成するように意図されたパリソンに、特定的にはその内部壁(すなわち、タンクの外側に面するその外部壁とは対照的にタンクの内部空間に面する壁)上に固定/装着される。このことは、それがタンクの内部壁に直接接触した状態にあるかまたは中間固定手段(それ自体はタンク壁に直接接触した状態にある)に装着されるかのいずれかであることを意味する。「接触」という用語は、取外し可能な機械的固定(ネジ、ボルトなど)または溶接のような永久的固定のいずれかを意味するものとする。後者は、浸透性の観点からみて良好な結果を与え、パリソンが成形時に溶融/軟化される本発明の範囲内で実用可能である。しかし、それを適用できるようにするために、タンクのプラスチックと付属品のプラスチックとが相溶可能であることが必要である。
【0031】
したがって、リベットパンチングなどのような他の技術(好ましくは、パリソンが溶融/軟化されることの利点をも生かして)を使用することも可能である。これは、本出願人名義の出願特許文献4(その内容は参照により本出願に組み入れられるものとする)に記載の技術である。この場合、内部付属品は、好ましくは、前記技術を適用しうるように、したがって、パリソンに属する溶融プラスチックを押圧貫通させうるように、少なくとも1つのオリフィスを備える。このオリフィスは、有利には、付属品のカバー中および/または付属品もしくはそのカバーに装着された(もしくはそれと一緒にワンピースから成形された)突出物中もしくは固定用タブ中に作製される。好ましくは、付属品は、動作時に応力および振動を制限するように分配された複数の固定用タブを含む。
【0032】
付属品は、任意の公知の方式で、たとえば、ロボットまたはコア(成形型の内部部品)を用いて、パリソンの内部壁に固定可能である。後者の変形形態が好ましく、この課題に関するさらに詳しい内容は、本出願人名義の特許文献5(その内容は参照により本出願に組み入れられるものとする)に記載されている。
【0033】
本発明に係る方法に使用される金属部分は、任意の形状をとりうる。しかしながら、それは、内部付属品がパイプ(もしくは管)で構成されているかまたはそれを備えている場合、好ましくは、前記パイプ(管)を主にその端で包囲する金属リングである。
【0034】
この部分は、任意の金属、好ましくは、タンクに収容されるように意図された炭化水素に対して耐性を有する金属を基材としうる。金属は、後で誘導センサーにより検出しうるように、好ましくは磁性である。ステンレス鋼は、良好な結果を与える。
【0035】
本発明に係る方法では、タンク内の金属部分の位置は、特定のデバイス(検出器)を用いて検出される。それは、X線検出器(ただし、その結果の光学処理が複雑になる)または誘導検出器(その使用容易性およびその経費の点で特筆される)でありうる。後者が好ましい。
【0036】
本発明に係る方法では、タンク壁の開口は、一般的には、金属部分の真正面に作製され、これは、任意の好適な用具を用いて行われる。これは、タンクのすべての開口をカットするために使用されるものと同一のナイフでありうる。好ましくは、このナイフは、削り屑がタンク内に落下するのを防止するものでなければならない。
【0037】
開口を作製した後、以上ですでに述べた好ましい一変形形態によれば、内部付属品は、好ましくは外部付属品に接続される。一般的には、これを行うために、2つの付属品は、2つの付属品のパイプを接続一体化させるようにパイプを備える。この場合、大気中への炭化水素の排出を防止するために、接続は、好ましくは、タンク内にかつ実用上の理由でタンク壁の開口のごく近傍に位置決めされる。
【0038】
とくに好ましい方式では、2つのパイプは、クイック接続技術またはスナップ嵌合技術により集成しうるような幾何形状の端を有する。一般的には、この技術では、一方の部品(雄部として知られるもの)は、他方の部分(雌部として知られる)に嵌入される。特定的には、内部付属品パイプの端が外側金属リングを含む場合、この部分は、接続の雌部であり、外部付属品パイプの端は、その中に把持される雄部である。この変形形態では、金属部分はまた、2つの付属品間の良品質の接続の達成に関与する。
【0039】
2つのパイプの間の密封接続を達成するために、一般的には、それらの一方はシールを備える。このシールは、雄部の外周上または雌部の内周上に存在しうる。好ましくは、シールは、雌部の内周上に位置決めされ、とくに好ましい方式では、それは、内側に湾曲したフラットな環状シールである。この方式では、外部付属品パイプの端は、シールに嵌入する。この目的では、シールは、好ましくは、変形可能な材料を基材とする。それは、好ましくはエラストマー(たとえばNBR(ニトリルゴム)タイプまたはFPM(フッ素ゴム)タイプのもの)、より特定的にはフルオロエラストマー(FPM)である。
【0040】
実用的かつ経済的な一変形形態によれば、上述のシールおよび金属リングは、シールの構成材料を用いて金属をオーバーモールド成形することによりワンピースから作製される。次に、このピースは、好適な幾何形状で内部付属品パイプ上に取り付けられ、その後、タンクの内側に固定される。
【0041】
本発明の好ましい変形形態によれば、外部付属品パイプは、タンクのプラスチックと相溶可能なプラスチックを基材とするフランジを備え、そのサイズ、位置、および幾何形状は、タンクの外部壁上でタンクの開口の周上への溶接を可能にするようなものである。この手段により、全集成体を不浸透性にすることが可能である。一般的には、この溶接は、2つのパイプを、以上に記載のスナップ嵌合に付した後で行われる。一般的には、実用上の理由で、フランジは、クイック接続の雄部から遠くにならないように位置決めされ、結果的に、後者は、フランジよりもわずかに下でタンク壁のごく近傍に位置決めされる。以上に述べたスナップ嵌合の雄部を有する単一ピースから作製されるフランジは、作製(たとえば射出成形により)および使用が容易である。そのようなピースは、一般的には管として記述される。
【0042】
本発明の他の好ましい変形形態によれば、2つのパイプは、スナップ嵌合の雌部をそれぞれ形成する一端を有する。一般的には、スナップ嵌合の雄部を形成してクイック接続を可能にする一端をそれぞれ有する2つのコンポーネントを含む以上に記載したようなフランジは、フランジの1つのコンポーネントの雄端がタンクの内側の方向に方向付けられかつフランジの他方のコンポーネントの雄端がタンクの外側の方向に方向付けられるように、タンクの外部壁上でタンクの開口の周に溶接される。フランジの2つのコンポーネントは、好ましくは、フランジがタンクの外部壁上に溶接される前に溶接される。一般的には、フランジのこの溶接は、2つのパイプがそれぞれフランジの端の1つとのスナップ嵌合に付される前に行われる。この変形形態は、外部付属品パイプを接続する前にフランジをタンク壁上に溶接可能であるという利点を有する。
【0043】
好ましくは、フランジ(適切であれば管)は、炭化水素に対して優位に不浸透性であるあり、たとえば、(すでに記載したように)多層化されるかまたは表面処理される。最後に、不浸透性をさらに強化するために、溶接を行った後、たとえばレーザー線により溶接されるフィルムで覆うことが可能である点に留意されたい。この技術は、本出願人名義の特許文献6(その内容は、この目的で参照により本出願に組み入れられるものとする)の課題である。
【0044】
他の態様によれば、本発明はまた、主にプラスチックを基材とする燃料タンクに関する。ただし、本燃料タンクは、その内部壁に固定された状態で同様に主にプラスチックを基材とする付属品を含み、前記付属品はまた、主にプラスチックで作製され、かつそれを他の付属品に接続するための少なくとも1つのパイプ(管)を含み、特徴として、このパイプの端は、外側から金属リングにより取り付けられる。言うまでもないが、この端は、自由であり(タンク壁に固定されていない)、かつそれに付属品が固定されたときはタンクの内部空間内に完全に含まれる。
【0045】
従来の事例によれば、付属品パイプの端は、好ましくは、すでに説明したようにシールをも備える。
【0046】
特定的には、本発明のこの態様によれば、付属品は、タンクベントシステムの一部分を構成する。付属品が、少なくとも1つの死空間と、液滴を担持したガス用の入口パイプと、液体が除去されたガス用の出口パイプと、デッドボリューム内にトラップされた液体を除去するためのデバイスと、を含む、主にプラスチックを基材とするすでに記載したようなL/V分離装置である場合、本発明は、良好な結果を与える。
【0047】
このタイプの装置では、死空間は、任意の幾何形状を有しうる。好ましくは、それは、ほぼ円筒状のモジュールにより境界が規定された空間を有する。好ましくは、部品(バッフル、デフレクターなど)は、キャニスター内に吐出されるガス中に含まれるドロップレットを捕集するようにこの空間内に配置される。好ましくは、モジュールは、すでに記載したようにカバーを含み、このカバーは、好ましくは、リベットパンチングによるタンク壁への前記モジュールの固定を可能にするオリフィスを備えた固定用タブを含む。これらの部品はすべて、好ましくは、プラスチックで作製され、そして任意の公知の技術(溶接、スナップ嵌合など)により成形され集成される。
【0048】
装置内に存在する液体を除去するためのデバイスはまた、任意の公知のタイプのものでありうる。それは、死空間内のオリフィスを密封するシンプルバルブ(たとえば、上述の特許文献1に見られるようなアンブレラ型バルブ)でありうる。他の選択肢として、それは、死空間内のオリフィスを介して液体を吸引できるように真空を形成するポンプでありうる。このポンプは、この目的のために特別に提供されるポンプでありうるが、好ましくは、本出願人名義の特許文献7(その内容は、この目的で参照により本出願に組み入れられるものとする)に記載されるような主燃料ポンプである。この変形形態では、ポンプを停止した時にオリフィスを介して液体が逆流できないようにノンリターンバルブを有するオリフィスを提供することも有利である。真空を発生させるための燃料ポンプの作用は、直接的または間接的でありうる(すなわち、前記ポンプは、ベンチュリー管を作動させうる)。
【0049】
とくに好ましい一変形形態によれば、死空間は、ノンリターンバルブを備えたオリフィスが存在する二次チャンバーを含み、この二次チャンバーは、エンジン燃料供給ポンプにより作動されるベンチュリー管により排出可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
図1〜3により本発明を例示するが、これらに限定されるものではない。
【0051】
図1は、L/V分離装置全体の(概略)軸方向断面図で本発明の一変形形態を示している。
【0052】
図2および3は、それぞれ、L/V分離装置とタンクの外側の付属品(図示せず)との間の接続の全体図および前記タンクの外部壁上に溶接されたフランジの断面図を示している。
【0053】
図1では、装置は、たとえばクリスマスツリー接続、クイック接続、または他の接続を介してベントラインに接続されるように意図されたガス入口パイプ(1)を含む。それはまた、ガス出口パイプ(2)を含むとともに、蒸気からの液体の分離を可能にするバッフル(4)を備えた死空間(3)をも含む。この空間は、ベントゾーンとして作用し、アンブレラバルブ(6)を備えたオリフィスが穿設された水平壁(5)を含む。このオリフィスは、液体吸引ゾーンとして作用する二次チャンバー(7)内に通じる。このゾーンは、同様にクリスマスツリー型接続、クイック接続などによりポンプ(図示せず)に接続されるように意図された管(8)に装着される。
【0054】
ポンプが動作状態にある時、チャンバー(7)内に収容された液体を管(8)により排出することが可能である。バルブ(6)に関して、それは、ポンプが休止状態にある時、液体がオリフィス(5)を介してベントゾーン(3)内に逆流するのを防止する。
【0055】
出口パイプ(2)の端は、金属リング(9)を外側に備え、かつ内側に湾曲した環状シール(10)を内側に備える。この端は、キャニスター(図示せず)に接続されたパイプ(管)に装着されたスナップ嵌合の雄部を受容するように意図された雌部を形成する。またこの雄部は、シール中に圧入される。例示された変形形態では、シールは、金属リングにオーバーモールド成形したものである。
【0056】
この装置は、その上部面を壁に溶接したり、リベットパンチングしたりすることなどにより、燃料タンクの内部壁に固定可能である。
【0057】
図2では、装置は、雌型端(2)を有するパイプを備える。この端は、フランジの一方のコンポーネントの雄型端(11)に接続され、前記フランジは、タンクの外部壁上に溶接される。フランジは、タンクの外側の方向に方向付けられた他方の雄型コンポーネント(12)をも含む。
【0058】
図3は、フランジをタンクの外部壁上に溶接した状態でフランジの2つのコンポーネント(11,12)を集成(一般的には溶接により)する方法を例示している。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】L/V分離装置全体の(概略)軸方向断面図で本発明の一変形形態を示している。
【図2】L/V分離装置とタンクの外側の付属品(図示せず)との間の接続の全体図を示している。
【図3】前記タンクの外部壁上に溶接されたフランジの断面図を示している。
【符号の説明】
【0060】
1 ガス入口パイプ
2 ガス出口パイプ
3 死空間
4 バッフル
5 水平壁
6 アンブレラバルブ
7 チャンバー
9 金属リング
10 環状シール
11 雄型端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パリソンがブロー成形または熱成形により成形され、
内部付属品が金属部分を備え、かつタンクの成形と同時に該タンクの内部壁に固定され、
前記タンクが成形型から取り出され、かつ前記金属部分の位置が位置決めされ、しかも
開口が、前記金属部分の位置に応じて前記タンクの壁に作製されることを特徴とする、
内部付属品を備えたプラスチック燃料タンクの製造方法。
【請求項2】
前記内部付属品が、オリフィスを有する少なくとも1つのカバーおよび/または突出物を含むこと、ならびに前記内部付属品が、前記オリフィスを介してリベットパンチングにより前記パリソンに固定されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記内部付属品が、前記タンクの壁に作製された前記開口を介して外部付属品に接続されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記内部付属品がタンクベントラインの少なくとも一部分であること、および前記外部付属品がキャニスターであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ベントラインの一部分が液体/蒸気分離装置であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記内部付属品がパイプで作製されているかまたはそれを備えていること、および前記金属部分が、前記パイプを主にその端で包囲するリングであることを特徴とする、請求項3〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記外部付属品もまたパイプを備え、かつ前記内部付属品パイプおよび前記外部付属品パイプが、雄部を雌部に挿入するクイック接続技術により集成される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記内部付属品パイプの端が前記接続の雌部であること、前記外部付属品パイプの端が前記接続の雄部であること、およびシールが前記雌部の端でその内周を覆うように位置決めされることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記外部付属品パイプが、前記タンクのプラスチックと相溶可能なプラスチックを基材とするフランジを備え、かつ該フランジが、前記タンクの外側で該タンクの開口の周上に溶接される、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
主にプラスチックを基材とする燃料タンクであって、前記燃料タンクが、該タンクの内部壁に固定された状態で同様に主にプラスチックを基材とする付属品を含み、かつ前記付属品が、該付属品を他の付属品に接続するための少なくとも1つのパイプ(管)を含む燃料タンクであって、前記パイプの端が外側から金属リングにより取り付けられることを特徴とする燃料タンク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−534216(P2009−534216A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−505889(P2009−505889)
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際出願番号】PCT/EP2007/053810
【国際公開番号】WO2007/122168
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(507383057)イナジー・オートモーティブ・システムズ・リサーチ・(ソシエテ・アノニム) (65)
【Fターム(参考)】