説明

プラズマセンサ及びその関連方法

プラズマセンサ、プラズマセンサシステム及びそれらの関連方法について開示されている。イベントを予測する方法は、2つの電極にキャリア信号を供給する段階と、それら2つの電極間でプラズマを生成する段階とを有する。その方法はまた、プラズマによる変調信号を測定する段階と、特定の値を生成するように変調信号を操作する段階と、その値を閾値と比較する段階とを有する。最後に、その方法は、その比較に基づいて、そのイベントの可能性を決定する段階を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、測定システムに関し、特に、プラズマセンサ及びそれに関連する使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ガスタービンエンジン等の軸流ファン及び圧縮器の安全性及び効率は典型的には一部が、燃焼のために高圧の圧空を供給する圧縮器の性能により制限される。ガスタービンエンジンは、動作中に圧縮器セクションにおいて回転失速するようになり、そのことは、飛行機のデザイナーにとって特に関心があることである。失速は、最大の燃料効率を達成する能力を有するエンジンの全体的な性能に負の影響を与える。エンジンオペレータが失速の始まりを予測するために利用可能な既存の診断用センサは存在しないため、エンジンは、動作圧力及び速度の広い範囲に亘って安全な失速マージンで圧縮器を維持する燃料管理ストラテジにより動作される必要がある。そのような堅実な設定でエンジンを動作させることは、典型的には、低減された失速マージンで失速の近傍条件のみが通常得られる最大性能及び効率をエンジンが達成することを妨げる。
【0003】
失速の始まりの処理についての能動管理は、動作中の失速マージンを低減させる可能性がある。しかしながら、圧縮器セクションの安定性を成功裏に管理するように試みる従来の技術は、フルスケールの圧縮器の典型的に厳しい動作環境を凌ぐことができないまま提供されたセンサを用いてきた。特に、熱及び振動は典型的には、殆ど瞬間的なセンサの破壊の原因になる。
【発明の概要】
【発明を解決するための手段】
【0004】
下で開示している実施例の詳細説明は、開示の範囲を以下に詳述している実施例に限定するように意図されていない。そうではなく、以下の詳述は、当業者がその説明を理解することができるように、その開示において原理を例示するように意図されている。開示されている実施例はガスタービンエンジンについての圧縮器ケースについて提供し、開示されているセンサは、ファン、タービン、ポンプ、ジェットエンジン、高速船用エンジン、発電所、過給器、低圧圧縮器、高圧圧縮器及び/又は何れかの他のアプリケーションを含む何れかの適切な軸流装置についての失速警告又はサージ警告を提供するように用いられることが可能であるが、それらに限定されるものではない。更に、以下で用いているように、用語“センサ”は、プラズマセンサシステム、プラズマセンサ、プラズマプローブ、プラズマ風速計等のことをいう。また、“プラズマ”及び“グロー放電”は、本明細書を通して互換できるように用いられている。
【0005】
ガスタービンの圧縮器部分は、システムにおける流量が臨界値以下になるとき、失速している。圧縮器の失速についての前兆が、圧縮器ロータの先端間隙間領域における非定常圧力にある過渡的な短波長撹乱の形で存在する可能性がある。それらの前兆は、失速の始まりの指標(indicator)であることが可能であるブレード圧力信号の回転当たりのコヒーレンス(coherence)における減少をもたらす。失速の警告は、中央翼弦位置近傍におけるブレード通過圧力信号のリアルタイムの統計的自己相関測定を実行することにより動作中に得られる。
【0006】
失速の前兆の能動的管理は、動作中に失速マージンを減らすことを可能にする。失速マージンは、圧縮器セクションの時間分解圧力履歴を解析することにより減らされることが可能であり、その圧縮器セクションは、下で詳述するように、時間分解ロータ先端圧力シグネチャ(signature)のリアルタイムの自己相関を用いることが可能である。ブレード通過圧力シグネチャのブレード当たりのコヒーレンスは、相関インデックスを演算するためにモニタされ、その相関インデックス値は、ロータブレードにおける負荷に関連して変化する。圧縮器の負荷が小さい動作条件中には、圧力信号におけるコヒーレンスは高く、略1である。しかしながら、圧縮器ブレードにおける負荷が増加されるにつれて、ブレード通過の圧力シグネチャはより無秩序状態になり、一の回転を次の回転と比較するとき、コヒーレンス測度(measure)を減らす。これは、圧縮器が失速に近づくにつれて増加する圧力時系列におけるランダムな外乱によりもたらされる。その相関における適切な閾値の選択により、失速が生じる前に、失速を予測することが可能である。予測された失速により、オペレータは失速を回避するために必要なステップをとることを可能にするように、能動安定度管理処理を用いることが可能である。
【0007】
ここで説明する実施例は、一般に、例えば、ハイパーソニックマッハ数において流れ外乱を測定するための交流(AC)駆動されるプラズマセンサ(例えば、風速計)を提供する。流れ外乱は、例えば、流路に隣接して検知される圧力変化、速度変化若しくは流れにおいて又は流れから検知される何れかの他の外乱又は変化であることが可能である。下で詳述するように、ここで説明している実施例のセンサにおいては、一次検知要素としてカプセル化されることが可能である2つの電極間の小さい空間ボリュームにおいて生成されるAC駆動グロー放電又はプラズマ放電が用いられる。プラズマ放電は、好適には、低電力のAC電源(例えば、約W以下)等のAC電源により駆動される。それらの電極間で生成されるプラズマは、電極間のギャップ内で又はギャップを越えて通過する流れにおける外乱と相互作用し、その外乱は、2つの電極間の時間分解電圧降下をモニタすることにより検出され、この電圧変化はACキャリアの振幅に影響する。
【0008】
不安定である場合、時間分解若しくは時間変化電圧降下又は変調は、センサの方位に依存して、外部流れにおける不安定な速度、圧力又は流量特性と相関関係を有することが可能である。そのギャップにおける流れ外乱が変化するにつれてのプラズマ電圧の変化については、その電極ギャップ内の通電粒子における流れ外乱の影響により説明されることが可能である。グロー放電に含まれるイオン化種及びメタステーブル種は、流れ外乱の方向の抗力を受ける。この抗力は、プラズマ粒子がギャップを横断するとき、電極の下流端の方にプラズマ粒子の軌跡を集合的に偏向させる。それらの粒子の一部はギャップの外に出され、その時点で、それらの粒子は装置内の電流にはもはや寄与しない。これは、電圧の上昇として表される。センサの周波数応答はかなり高く(例えば、15MHzであり)、ギャップにおけるプラズマのイオン移動度により決定される。その周波数帯域は、キャリアの変調はそのキャリアより高い周波数では生じないため、プラズマ放電を駆動するACキャリアにより設定される。換言すれば、グロー放電は、高い移動度を有するイオン化ガス粒子を有することが可能であるため、センサにおける検知要素の有効質量はかなり小さく、そのことは、例えば、約15MHzを上回る周波数応答を可能にし、プラズマを生成するように用いられるAC波形の周波数のみにより有効に制限される。また、可動部がないために、それらの実施例のセンサは、高いレベルの機械的ロバスト性を特徴付ける。
【0009】
更に、プラズマセンサの一部の実施例は、次の追加の有利点、即ち、実施例のセンサはACキャリア周波数までの周波数補償は必要ないこと、実施例のセンサは、熱線装置により生成される出力以上に改善される信号対雑音比により優れた同相除去を有する振幅変調出力を有すること、実施例のセンサは容易に壊れるセンサ要素を含まないこと、実施例のセンサは小さい空間ボリュームを有すること、実施例のセンサは温度の変化に対して鈍感(温度非依存性)であり、熱に基づくセンサに比べて較正が容易であること、及び実施例のセンサは、複数の異なる(例えば、真空中のようなかなり低い圧力からかなり高い圧力までの)圧力において動作可能であること、のうちの1つ又はそれ以上を有する。温度に関しては、一部の実施例においては、センサは、イリジウムに基づく電極が用いられる場合に、1800℃以上の温度で用いられる電極材料の融点以下の高温に対して熱を通さない。ここで説明している実施例のプラズマセンサは、フルスケールの圧縮器の振動及び温度を切り抜け、ここで説明しているコヒーレンス技術によって必要とされるブレード通過シグネチャを解決するのに必要な帯域幅を提供し、下で説明する無線の能力を提供する。更に、ここで説明している実施例のセンサは、高速且つ高エンタルピーの流れについて1MHz以上の帯域幅を有し、外部周波数補償回路の使用を必要としない。また、実施例のセンサ又はプラズマ風速計は、従来のセンサにより適合されなかった周波数応答により、小さい空間ボリュームのポイントにおける速度変動又は圧力変動の測定を提供する。
【0010】
更に、実施例のプラズマセンサは、例えば、タービン(例えば、ガスタービン機構)、ショックチューブ、ショック境界層実験、高エンタルピーのハイパーソニック流れ、プラズマトンネル等の多様なアプリケーション及び環境において用いられることが可能である。
【0011】
実施例のプラズマセンサは、圧縮器減速の重要な特徴の測定に成功する。この特徴には、ブレード通過不安定性、減速前に生じる相関性の低下、回転している減速セルの外観、及び遷音速軸流圧縮器におけるフル減速イベントがある。不安定な電圧特性は、下で詳述するように、圧縮器減速の力学に関して好適に比較される。
【0012】
実施例のプラズマセンサは、上記のように、電圧信号を無線で送信する能力も有する。この能力は、センサが高電圧AC波形で駆動されることによるものである。この波形は、適切にデザインされたアンテナにより捕捉されることが可能である電磁エネルギーを勿論のこと、伝送する。このことは、エンジンからワイヤを引き出す必要なしに、安定性管理のためにガスタービン圧縮器で用いられることが可能であるその場測定装置を実施する可能性を提供し、信号は、圧縮器ケースに備えられたAMアンテナに対して無線伝送することが可能である。
【0013】
実施例のセンサは、航空ジェットエンジンで用いられる圧縮器セクションに対して典型的である飛行用フルスケールサイズの圧縮器セクションに関する減速予測及び安定性管理の経路を提供する。実施例のセンサは、フルサイズのガスタービンエンジンにおいて直面する機械応力及び熱応力を切り抜けることが可能である一方、圧縮器の失速を予測することが可能である過渡的圧力シグネチャを解決する必要がある帯域幅を提供することが可能である。この予測警告は、圧縮器が失速マージンにかなり近いように動作されるようにし、従って、圧縮器の動作効率を高くする安定性管理システムの実施を可能にする。
【0014】
ここで説明する一実施例の方法は、2つの電極においてキャリア信号を供給することと、2つの電極間でプラズマを生成することとを有するイベントを予測する方法を有する。その実施例の方法はまた、プラズマからの変調信号を測定する段階と、その変調信号を操作して値を生成する段階と、その値を閾値と比較する段階とを有する。最後に、その実施例の方法は、その比較に基づいてそのイベントの可能性を決定する段階を有する。
【0015】
ここで説明する実施例のプラズマセンサシステムは、キャリア信号生成器と、2つの電極と、それら2つの電極においてキャリア信号を適用することにより生成される2つの電極間のプラズマとを有する。実施例のシステムはまた、プラズマからの変調信号を測定するプローブと、いまにも起ころうとしているイベントの前兆を与える自己相関スキームで用いられることが可能である信号を生成するようにセンサ出力を複調するプロセッサとを有する。しかしながら、他の実施例においては、そのイベントは、サージ、流れ変動、流れ逆転等である可能性がある。
【0016】
更に、ここで説明している実施例のプラズマセンサは、2つの電極において流れ外乱の証拠を捕捉する手段と、例えば、圧縮器の失速等のイベントの発端を示す値を生成する証拠を操作する手段とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例のプラズマセンサシステムを示す図である。
【図2】図1の実施例のプラズマセンサシステムのプラズマプローブ部分を示すより詳細な図である。
【図3】図2の実施例のプラズマプローブ部分に含まれる実施例の電極を示すより詳細な図である。
【図4A】図1の実施例のプラズマセンサシステムに含まれる、図3の実施例の電極の拡大図である。
【図4B】図1の実施例のプラズマセンサシステムに含まれる、図3の実施例の電極の拡大図である。
【図5A】実施例のケース内に収容された、図1の実施例のプラズマセンサの一部を示す図である。
【図5B】実施例のロータ、実施例のキャリア及び変調信号を示す、図5Aと同様の図である。
【図6A】実施例の流れ外乱の存在下での2つの電極間の実施例のプラズマ放電を示す図である。
【図6B】実施例の流れ外乱の存在下での2つの電極間の実施例のプラズマ放電を示す図である。
【図6C】実施例の流れ外乱の存在下での2つの電極間の実施例のプラズマ放電を示す図である。
【図6D】実施例の流れ外乱の存在下での2つの電極間の実施例のプラズマ放電を示す図である。
【図7】図5Bの実施例の変調信号の変調を示す図である。
【図8】実施例の処理信号を示す実施例のインタフェースを示す図である。
【図9】実施例のロータ及びケースを示す図1の実施例のプラズマセンサシステムの一部の拡大図である。
【図10】実施例のブレード通路周波数を示す実施例の電圧スペクトルプロットである。
【図11】実施例のブレード通路周波数のプロットである。
【図12】実施例の失速を示す実施例の電圧プロットを示す図である。
【図13】実施例の失速を示す実施例の相関インデックス及び実施例の電圧プロットを示す図である。
【図14】実施例の旋回失速セルを示す実施例の相関インデックス及び実施例の電圧プロットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、実施例のプラズマセンサ及びシステム100であって、この実施例においては、交流(AC)プラズマ風速計として示されている、プラズマセンサ及びシステムを示している。しかしながら、他の実施例は、他の種類のセンサ及び/又は直流(DC)を有することが可能である。実施例のプラズマセンサは、信号生成器102、変換器104、ケーブル106、プラズマプローブ108、電圧プローブ110、信号測定装置112及びコンピュータ114を有する。信号発生器102は、周期的な電圧又は電流、例えば、AC信号等を生成する何れかの種類の適切なシステムであることが可能である。更に、信号生成器102は、例えば、コンピュータ制御されることが可能であり、信号生成のための内部発振器を有する固体増幅器であることが可能であるが、外部信号ソースを受け入れることも可能である。外部信号ソースが用いられるとき、外部信号ソース部分(図示せず)は、増幅器により増幅される信号生成装置からの信号を受信するために用いられることが可能である。
【0019】
変換器104は、例えば、高周波数昇圧変換器等の何れかの種類の変換器であることが可能である。信号発生器102の動作周波数は、動作中に、信号増幅器102及び変換器104をタンク回路の“共振”モード特性にするように選択される。この動作周波数は、以下では、キャリア周波数fcと呼ぶことにする。一実施例においては、変換器104は、約800kHz又はそれ以上の周波数で共振する。例えば、変換器104は、1MHz又は2MHzのどちらかの共振周波数を有するが、他の実施例においては、他の周波数が用いられることが可能である。
【0020】
下で更に詳述するように、信号増幅器102及び変換器104は、周波数fcで高電圧AC信号を生成する。その生成されたAC信号は、例えば、正弦波、方形波、三角波、鋸波等の種々の波形の何れかを有することが可能である。正弦波形は典型的には、他の波形に比べて高調波の発生が少ないため、ここで説明している実施例の生成されたAC信号は正弦波形である。
【0021】
実施例のプラズマプローブ108は、接近しているが間隔を置いている2つの電極を有し、ケーブル106を介して変換器104に接続されている。実施例のケーブル106は、高電圧信号を搬送することができる。AC信号が、ケーブル106を介してプラズマプローブ108に供給され、2つの電極間でプラズマ放電が生成される。下で、実施例のプラズマプローブ108について更に詳述している。
【0022】
図示しているように、信号発生器102と、変換器104と、ケーブル106と、プラズマプローブ108とを有する実施例のプラズマセンサ100は、抵抗R、プラズマプローブ108及びケーブル106で表されているコンデンサ並びに変換器104で表されているインダクタンスLを有するCRLC回路を示している。従って、そのシステムの全体的なインピーダンスは、周波数依存性であり、出力電圧が最大である最適な周波数(即ち、共振周波数)を有する。この共振周波数でその回路を動作させることにより、プラズマプローブ108の電極間でプラズマ放電が開始される十分に高い電圧が得られる。更に、この実施例においては、変換器104は、ケーブル106及びプラズマプローブ108の抵抗よりかなり高い抵抗を有する。これにより、プラズマプローブ108に一定電流が供給される一方、そのシステム100の動作中にプラズマプローブ108における抵抗の変動にも拘わらず、プラズマがプローブ108の電極間で生成される。電流の小さい変動が、そのような一定電流システムにおいて生じ得る。従って、ここで用いている用語“一定電流”は、電流が実質的に一定である一方、その電流における小さい変動が存在し得ることを意味している。
【0023】
動作中、実施例のプラズマシステム100は、信号発生器102の周波数を調節することにより、共振するように調節される。調節されるとき、プラズマプローブ108に掛けられる電力は約5W以下である。そのシステムの電圧は、共振周波数以外の周波数においてはかなり低くなるため、この実施例においては、ケーブル106の長さは、そのシステムの共振周波数を低くすることが可能である容量損失を回避するように最短に保たれている。更に、一部の実施例においては、そのシステムは、そのシステムが共振状態を維持することを保証するようにリアルタイムにモニタされることが可能である。これは、例えば、システムが共振状態に維持されることを保証するように、システムをモニタし、信号発生器102の周波数を自動的に調節するハードウェア及び/又はソフトウェアにより又は手動で達成されることが可能である。
【0024】
実施例のプラズマセンサ100はまた、図示しているように、プラズマプローブ108の出力を測定する電圧プローブ110を有する。図示している実施例の電圧プローブ110は、ケーブル106のT字型接合部においてそのケーブルと、また信号測定装置112と接続されている。電圧は、図示している実施例においてはかなり高いため、1000:1の高電圧且つ高帯域幅プローブが、信号測定装置112に悪影響を及ぼさないように電圧を低くするように用いられることが可能である。更に、一部の実施例においては、AM受信器が、下で説明しているように、生成されたプラズマのAM伝送特性を有効に使うように、電圧プローブ108に代えて用いられることが可能である。
【0025】
信号測定装置112は、波形を取得することができる何れかの装置であることが可能である。例えば、信号測定装置112は、ケーブル106において信号波形を取得することができるディジタルオシロスコープ等のオシロスコープ、ディジタル無線器状装置(例えば、GNU無線器)、他のハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェアであることが可能である。
【0026】
動作中、信号測定装置112は、ケーブル106において信号波形を取得し、取得された信号を解析するコンピュータ114にその波形を転送する。コンピュータ114は、例えば、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ワークステーション、携帯情報端末等の何れかの標準的なプロセッサベースのシステムであることが可能であるが、それらに限定されるものではない。更に、別個の信号測定装置112及びコンピュータ114を用いるのではなく、一部の実施例においては、それらの装置は単独の装置に組み合わされることが可能である。信号測定装置112及びコンピュータ114を組み合わせについては、別個であるか結合された装置であるかに拘わらず、以下、信号解析システムと呼ぶ。
【0027】
図2は、図1の実施例のプラズマプローブ108の詳細図である。図示しているように、実施例のプラズマプローブ108は、微小な空隙204だけ離れた2つの電極202を有する。この実施例においては、それらの電極202はかなり薄く、例えば、約0.1mm以下である。一部の実施例においては、電極202は、0.457mm(0.0018インチ)の硬化型ステンレス鋼を材料として従来のケミカルミリング処理によりフォトエッチングされる。ケミカルミリング処理を用いることにより、電極の正確な幾何学的構成を保証することが可能であり、得られる測定の精度が向上する。更に、電極202は、例えば、ステンレス鋼、タングステン、白金又は何れかの他の適切な材料等の種々の材料から作られることが可能である。
【0028】
電極202はまた、システムの動作中に電極202間に形成されるプラズマがスパッタする(sputter)(例えば、揺動する、又は不安定になる)可能性を低減するように誘電体材料がコーティングされることが可能である。これはまた、電極の寿命及び測定の精度を改善する助けになる。実施例の誘電体コーティングは、約1乃至3μmのかなり薄いコーティングであることが可能であり、当業者がよく知っているように、真空引きされたチャンバ内で形成されることが可能である。更に、その誘電体コーティングは、例えば、二酸化珪素又は他の適切な材料等の酸化物層であることが可能である。
【0029】
更に、電極202は、中央の薄い部分に沿って分離されることが可能である接合された対として作られることが可能である。図3は、電極202の詳細図である。この実施例においては、各々の電極は長さが約2.92cm(1.15インチ)であるが、他の実施例においては、より長い又はより短い長さの電極が用いられることが可能である。更に、実施例の電極202は、用いられることが可能である位置決めねじの位置が電極202及び/又は空隙204を調節するように、切り出し304を有する。
【0030】
図示しているように、電極202は、キャリア又は固定具206に挿入され、ファスナ208は、ナイロン製ねじ又は何れかの他の適切な機械式又は化学式ファスナ等のねじであることが可能である。一部の実施例においては、固定具206は、1.27cm(0.5インチ)の直径のプラスチック製ロッドから作られ、それに電極202を受け入れるように0.51mm(0.02インチ)のスロットが切られていて、ファスナ208が、電極202をしっかりと捕捉するようにスリーブを締め付けている。更に、一部の実施例においては、電極202の先端は、プラズマ放電領域における空力遮蔽を低減するようにミリング処理により電極の厚さの約半分(例えば、0.457mmの約半分)以下にエッチングされる。更に、一部の実施例においては、電極202は、ケミカルミリング処理中の何れかの堆積される汚染又は不完全なものを除去するようにその先端部分に沿って600グリッドの紙やすりで軽く磨くことにより使用する準備を行い、そのケミカルミリング処理は、例えば、均一でよく制御された放電を保証するようにそれらの電極の先端が略平行であるように、空隙において前後に紙やすり内に入れた隙間ゲージを動かすことにより行うことが可能である。更に、実施例のプラズマプローブ108は、一般の形状因子が熱線センサと略同じように紐において備えられることが可能である。図4A及び4Bは、電極の先端及び空隙204についての2つの拡大図である。図4Aは側面図であり、図4Bは先端図である。
【0031】
電極202の寸法は、一部の実施例においては他の実施例に比べて、かなり関心がある可能性がある。例えば、流路における速度変化が測定される実施例においては、電極202はより大きい空力特性を有する。センサ100が流路に隣接して備えられ、例えば、圧力変化等の流れ外乱が測定される実施例においては、電極の水力特性は重要でない。
【0032】
図示している実施例においては、空隙204は、プラズマが自由流及び“フラップ”の方に逃げないように十分小さく設定される。この挙動は、測定される信号を飽和することが可能であるACキャリアにおいて強い正弦波変動及び高い高調波を生成する可能性があり、従って、その流れについて適切な情報を得ることをより困難にする可能性がある。更に、この実施例においては、プラズマを生成するキャリア信号の電力(振幅)はまた、プラズマが逃げないよう十分小さい値に設定される。更に、この実施例においては、プラズマを生成するキャリア信号の電力(振幅)は、プラズマをオフに切り換えないように又は断続的に操作しないよう十分大きく設定される。上記のように、適切な電極を維持すると共にプラズマが逃げないように及び断続的なプラズマにならないようにすることは、例えば、流れの速度、流路における又は流路近傍の圧力、若しくはそれらの変化を含む流れ外乱の大きさに測定される電圧が正比例することと、それらの測定が再現性を有することとを保証する。
【0033】
電極202間のプラズマの生成は、そのシステムを共振状態にするように信号発生器102の周波数を調節することにより開始され、その共振状態は、変換器104を介する出力を最大化する。この実施例においては、このことは、放電を開始するのに必要な閾値以下の低入力電力レベルに信号発生器102を初期設定することにより行われる。信号発生器102の電力は、その場合、グロー放電が生成されるポイントに対して増加される。空隙の大きさ及び圧力に依存して、この開始電圧は、例えば、電圧プローブ110により測定される約700乃至1000Vrms(二乗平均平方根)の範囲内にあることが可能である。一部の実施例においては、プラズマが開始された後、プラズマを維持するために必要な電力はプラズマ生成を開始するために必要な電力より小さいため、入力電力は、増幅器において僅かに低くされることが可能である。更に、上記のように、プラズマの発生後、過剰に高い電圧は、プラズマが逃げるようにし、それ故、正確な流れを測定することをより困難にする。
【0034】
この実施例においては、一端、プラズマが開始されると、電極202における電圧は、プラズマを介して流れる流れの外乱からの電流のために、即座に低下する(例えば、約330Vrmsの低さまで)。動作中、電圧は、例えば、流れの束と、流れにおける又は流れの近傍の圧力、若しくはそれらの変化を含む流れの外乱の大きさに依存して、それらの2つの限界(即ち、この実施例においては、約700乃至1000Vrms及び330Vrms)間で変動する。更に、一部の実施例においては、プラズマプローブ108の電極202間のプラズマが継続することを保証するように、プラズマ及び電圧振幅がモニタされる。例えば、電圧が低過ぎて減少しない場合、そのプラズマはスパッタする又は断続的になる可能性があり、そのことは、正確な流れを測定することをより困難にする。更に上記のように、電圧が高くなり過ぎる場合、プラズマは逃げる可能性があり、正確な流れ外乱測定を得ることをより困難にする可能性がある。このことは、例えば、プラズマがはためかないことも保証する一方、プラズマをモニタし、継続的なプラズマを保証するのに必要な、信号発生器102の振幅を調節する人間、ハードウェア及び/又はソフトウェアにより達成される。
【0035】
図5A及び5Bは、圧縮器ロータ502に近接し、タービン又はロータケース504と同一平面にある又はタービン又はロータケース504から凹められていることが示されている。例えば、センサ及びプローブ108は特に、タービンのブレード列の真上の位置でケース504の内側の壁に対して同一平面にあるように備えられることが可能である。この構成においては、センサは、ここで説明しているように、ブレードの回転と干渉することなく又はブレードの回転により破壊されることなく、回転しているブレードと近接して、圧力変動を測定することができる。
【0036】
ジェットエンジンの厳しい環境下で特に理解される他の有利点が存在する。例えば、実施例のプラズマセンサは、例えば、1335℃(2400°F)程度の高い温度を含む極端に高い温度で実行されることが可能である。更に、一部の実施例においては、プラズマプローブは、絶縁体510により囲まれた導体、即ち、ワイヤ507、509を収容する外側ケース508を有することが可能である。一部の実施例においては、絶縁体510は、例えば、MgO等の絶縁性セラミック粒子を覆う保護用金属製外側シースを有することが可能である。セラミック粒子510は、2つのワイヤ507、509が動作中にショートしないようにする。電極の対202は2つの導体507、509により構成され、それらは、上記のように、約0.15mm(0.006インチ)だけ間隔を置いている。端部における接合は切断されていて、導体507、509は、上記のように、細かいやすりを用いて平坦に研削されることが可能である。実施例のプローブ108はケース内に位置付けられることが可能である。ケース、並びにセンサ及びプローブは、例えば、直径が約5.4mm(0.137インチ)である6乃至32個のスクリューを受け入れるように大きさ決めされた12.7mm(0.5インチ)の深いねじ穴内に位置付けられるように大きさ決めされているが、それらを含む何れかの大きさであることが可能である。更に、一部の実施例においては、微小電子機械システム(MEMS:MicroElectroMechanical System)により構成されることが可能である。
【0037】
図5Aの実施例においては、外側ケース508のプラグ端部は、AC発生器102に装置を接続するように用いられている。特に、1つのリード線は高電圧に接続され、他のリード線は接地されている。プラズマプローブ108は、広範な制御パラメータにより動作されることが可能であるが、一実施例においては、装置は、約5W以下の最大電力である、約1Wの電力レベルで約350Vrmsの2MHzのキャリア信号で動作される。キャリア信号の周波数は、装置の周波数応答を決定する。実際の上限は、約15MHzのオーダーにある放電におけるイオンの移動度により決定される。先端における電圧は、AC波形を搬送するリード線のプラグにおいて電圧を読み取ることによりモニタされることが可能である。センサ出力を無線で読み取ることも可能である。これは、強い電磁界が電極の対202の近傍の高電圧リード線から発せられるために可能である。この電磁界は、適切にデザインされたアンテナにより容易に捕捉されることが可能であり、圧縮器セクション内部でのその場測定のワイヤリングを容易にする可能性を提供する。
【0038】
実施例のプラズマセンサは、振幅変調の原理について効果を発揮する、電極202における電圧降下は、放電領域を介して通過する空気流における外乱により変調される。この挙動は、振幅変調波形が共通モードノイズによる信号汚染に対する耐性があるために、センサの優位性を表す。変調特性を示す波形の詳細については、図5Bに示されている。図5Bに示されているように、AC波形は電極の対202の方に流れる。上部ワイヤ507は、入力されたAC波形515を示している。AC波形は、電極202間でプラズマ517を生成し、入力される流れ外乱519により変調される。
【0039】
図6A乃至Dは、電極の対202の間の流れ外乱が異なる流れ外乱519についてのAC波形515により生成されるプラズマ517において有する実施例の効果を示している。図示しているように、図6Aは、流れ外乱519の存在下で電極202間で生成されるプラズマ517を示し、図6Bは、小さい流れ外乱519の存在下での電極202間のプラズマ517を示し、図6Cは、大きい流れ外乱519の存在下での電極202間のプラズマ517を示し、図6Dは、時間依存性変動流れ外乱519の存在下でのプラズマ517を示している。上記のように、流れ外乱は、速度、圧力又は他の何れかの力、応力、干渉、それらの変化等であることが可能である。
【0040】
流れ外乱519は、電流密度が一定電流を維持するように増加するように、イオンが空隙204から追い出されるようにすることが可能であり、そのことはまた、プラズマを駆動する電圧を増加するようにする。この電圧増加は直接、測定可能であり、圧力の変化に相関することが可能であり、従って、流速、圧力又は他の外乱に相関することが可能である。更に、図示しているように、より大きい流れ外乱は、プラズマ517が空隙204において歪められるようにする可能性がある。例えば、プラズマ517は、平均流れ外乱519における増加に応じて“伸び”、そして図6Dに示すように、流れ外乱519における時間依存性変動に応じて“振動する”。それらの時間依存性変動は、外乱周波数fmにより正弦波信号として変調されることが可能である。
【0041】
空隙204におけるプラズマ517と可変抵抗との間の類似性を得ることが可能である。例えば、プラズマ517の電圧の二乗平均平方根(r.m.s)は、抵抗が電極202における電流を正弦しているかのように、空隙204を介して流れ外乱517の大きさにより変動する。即ち、この“空隙抵抗”は、流れ外乱変化の大きさとして変動し、従って、空隙204における電圧降下を変える。故に、流れ外乱の大きさが平均して増加するにつれて、プラズマプローブ108からの平均電圧出力は増加する。このような電圧増加又が減少は、その場合、測定され、平均圧力、流速等が演算される。
【0042】
流れ外乱519の平均の大きさを決定することに加えて、そのシステムは、流れ外乱519(例えば、周期的な外乱等)における変動に関する情報を決定するように用いられることも可能である。例えば、図6Dを参照して上記されているように、周期的な流れ外乱519は、プラズマ517が周波数fmにおいて振動するようにすることが可能である。これについては、図5Bにも示されている。図5Bにおいては、ボトムワイヤ509が、プラズマ振動により変調された振幅変調引き出しAC波形521を示している。プラズマを生成するキャリア波形が、周波数fcにおいて示され、増幅器/発生器により生成される。空気流における外乱519は、周波数fmの周期的外乱として示されているように、fc、fc−fm、fc+fmにおいて周波数コンテンツを有する古典的振幅変調波形を生成するようにキャリアを変調する。
【0043】
図7に示されているように、サイドバンドにおける情報を再生するように、変調された信号は復調される必要がある。この変調信号がその周波数領域で解析されるとき、外乱周波数fmは、キャリア周波数fcにおける中央のピークから等距離にある(即ち、fc−fm及びfc+fmにおいて)2つのサイドバンドとして現れる。fcにおいて‘キャリア’により与えられる情報は、流れの平均的状態を表し、時間分解不安定性が、差周波数及び和周波数における所謂‘サイドバンド’により担持される。
【0044】
その復調は、変調信号fmがリアルタイムに解かれることが可能であるように、例えば、ホストPC(図1を参照されたい)において効率的にディジタル信号処理を実行するようにデザインされた取得システムにより実行されることが可能である。この取得システムは、アナログ−ディジタル変換を実行するUniversal Software Radio Peripheral(USRP)として知られているソフトウェアライブラリ及びハードウェア装置を有することが可能である。その取得システムは、プラズマセンサの性能をモニタするように用いられることが可能であるリアルタイムのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を備えている。異なる信号処理ブロックが、コンピュータスクリーン上に示される結果により種々の種類の信号処理を行うソフトウェアにおいて共に‘ワイヤリングされる’ことが可能である。これについては、図8に、3つのプロットが示されているインタフェースの画像が示されていて、最上部のプロットは変調された信号のスペクトルが表されている。時系列に変調され、そのスペクトルはベースバンド(中央のプロット)に変換されている。インタフェースは、より高い高調波と共に1kHzにおけるスペクトルにおける一次ピークを示す。最下部の図は、何れかの従来の速度センサ又は圧力センサによりかなりみられる時系列の変調を示している。
【0045】
図9は、ロータ904の先端906の下流側の位置におけるケース504内に収容された実施例のプラズマセンサ100を示している。この実施例における流れは、矢印Xの方向にある。この実施例においては、特に、実施例のプラズマセンサ100の位置は、先端906の下流側の翼弦の長さの2.1%である。プラズマセンサ100は、ロータの先端906と中央の翼弦908との間に存在し得る失速の始まりに対して最大感度が観測できるように位置付けられている。
【0046】
圧縮器がまさに失速、サージ又は他のイベントが開始しようとしているかどうかを判定するように、実施例のプラズマセンサ100は、流れ外乱、例えば、圧力を周期的に測定する。圧力値は、相関係数を生成するアルゴリズムにより操作される。その係数値は閾値と比較される。例えば、減少係数は、圧縮器が失速に近づくにつれて生じる流れの無秩序性によるものである。その相関性は、ロータの上の動的圧力センサによるリアルタイムの統計的解析により演算される。この解析は、複数のブレードに亘って積分される、圧力信号の回転毎のコヒーレンスに基づいて相関測度を演算する。積分時間はユーザにより規定され、積分時間が長過ぎる場合、ウィンドウ及び特徴は平均化される一方、積分時間が短過ぎる場合、ウィンドウ及び信号は過度に雑音が多い可能性がある。一部の実施例においては、3つ乃至5つのブレード通路が、積分窓を演算するように、20ブレードシステムにおいて用いられる。自己相関信号は、ブレード通路周波数において少なくとも10回サンプリングされる。1つの有用なアルゴリズムは、次の式1のようであり、
【0047】
【数1】

ここで、tは現在のサンプリング回数であり、C(t)は時間の関数としての相関測度であり、iはサンプルインデックスであり、Piは時間t=iにおける測度圧力であり、wndはサンプル数で表された相関窓の大きさであり、そしてshaftは1シャフト回転におけるサンプル数である。このようにして、相関が規定され、所定時間における圧力(Pi)と現在の回転に対する正確に1回転における圧力(Pi−shaft)の積が加算される。その加算は、t−wndからtまで窓において実行される。この値は、Pi及びPi−shaftの個々の積を二乗の合計の平方根で除算される。この測定はリアルタイムになされ、例えば、エンジン制御器へのフィードバックとして用いられることが可能である。
【0048】
相関測度は、圧縮器が失速に近づいているときにロータブレード502においてセンサ、例えば、プラズマセンサ100により得られる圧力−時間トレースが回転当たり再現性よく変化することに基づいて規定される。上記の規定により、相関インデックスは1から−1に変化するが、圧縮器の挙動によって、低い値は通常、0に制限される。値1は、ブレード通路圧力信号についての一の回転から次の回転に完全な再現を表す。同様に、略1の値は、システムが圧力信号の失速から外れている、及び大部分が周期的であることを表す。安定な動作の境界が近づいてくるにつれて、周期性は崩壊し、相関測度は減少する。
【0049】
上記のように、wndは、サンプルが平均化された窓を表す。この窓は、シャフトの1回転に含まれる最大サンプル数までの何れかの値であることが可能である。しかしながら、この大きい窓は、関連する重要な過渡的情報全てを平均化される。また、上記のように、小さ過ぎる窓は、演算された雑音の多い相関を有する。上記のように、一部の実施例においては、その値は、約3乃至5個のバルブ間に亘る一の値である。
【0050】
図10は、実施例のブレード通路周波数(BPF)を示すプロットである。図10で用いているデータは、実施例のプラズマセンサにより収集されたものであり、そのプラズマセンサは、ブレードの先端における圧力の時間分解不安定性測定を記録している。その圧力は、5kHz以下のブレード通路周波数の約10倍を軽く超える256kHzのレートで取得されたものである。ブレード通路圧力シグネチャは、プラズマセンサ100の性能の有用な指標である。このデータ集合について実行される、ナイキスト周波数の半分の周波数におけるアンチエイリアジング以外のフィルタリングは存在しない。プラズマセンサ100は、略2.5kHzから開始し、圧縮器が最大速度までスプーリングされるにつれて、約5kHzに増加される、ブレード通路周波数を明らかに検出することができる。
【0051】
基本的なブレード通路周波数が解かれるばかりでなく、この周波数についての2つの付加的な高調波も理解することができる。個々のブレードからの圧力信号も、図11に示している3つの連続的な回転において5つの別個のブレードの時間履歴により解かれることができる。その圧力信号は、特定のブレードが後続されるとき、一の回転から次の回転に明らかに繰り返し可能である。
【0052】
図12は、非失速動作から過渡的な失速に中間的な速度で減速され、次いで非失速状態に戻った圧縮器の電圧−時間プロットを示している。失速の瞬間が、大きい無秩序な変動を伴った、圧力信号の大きい摂動としてはっきり示されている。実際には、失速の正確な瞬間は、プラズマの大規模な偏向又はグロー放電の瞬間的な消滅を表す可能性のある大きいスパイク存在により決定される。この特定の実施例は、最大回転速度の59%から開始した過渡的失速を表している。
【0053】
前回転電圧自己相関について、図13に示されている。上側のグラフは、各々の回転又はその回転の一部における電圧(即ち、時間当たりの)を示している一方、下側のグラフは、各々の回転又はその回転の一部における相関インデックスを示している。そのグラフに示されているように、相関インデックスは失速においてかなり減少することが明らかである。失速前のその相関インデックスの値は略1であり、0.95に低下する。
【0054】
図14は、過渡的な小規模の長さの失速の始まりのイベントが、一連の電圧−時間プロットにおける低頻度の外乱である旋回失速セルの発現により後続される。それらの失速セルは、5つのロータ旋回において約3つのセルの継続時間を有し、それらの旋回失速セルは、最初のイベントの生成後に後続する旋回において大きさが急速に成長し、失速開始イベントが開始した後、複数の旋回において十分に発現される。
【0055】
図14における綿密な検査により、失速が生じる前に、相関インデックスにおける小さい低下があることが分かる。この相関インデックスにおける低下は僅かであるが、回転失速セルの出現前に、5乃至10回の回転においてみられる。従って、実施例のプラズマセンサは、失速を予測し、失速を回避するように失速管理システムを実施するように失速の始まりに先立って警告することが可能である。そのようなシステムは、失速マージンと略同じであるガスタービンを動作させ、失速が十分に発現する前に補正手段を実施するように制御システムにより必要なフィードバックを提供することを可能にする。
【0056】
本明細書の内容については、特定の実施例に関連付けて示しているが、それらの実施例の開示に限定されるものではない。そうではなく、本出願は、同時提出の特許請求の範囲に入る全ての例及び修正を網羅することができるように意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イベントを予測する方法であって:
2つの電極にキャリア信号を供給する段階;
前記2つの電極間にプラズマを生成する段階;
前記プラズマによる変調信号を測定する段階;
前記変調信号を値が生成されるように操作する段階;
前記値を閾値と比較する段階;及び
前記比較に基づいて前記イベントの可能性を決定する段階;
を有する方法。
【請求項2】
前記イベントは軸流装置の失速である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記軸流装置は圧縮器である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記変調信号は流れ外乱から生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記流れ外乱は圧力の変動である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記電極は、軸流装置のケース内に収容されている又は前記軸流装置のケースと同一平面にある、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記電極はブレード通路と隣接して備えられている請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記電極はブレードの先端の下流に備えられている、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記プラズマにおける流れ外乱は速度流から特定の角度で生じる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記変調信号を無線で送信する段階を更に有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
キャリア信号を生成するキャリア信号生成器;
前記キャリア信号がプラズマを生成するように送信される少なくとも2つの電極;
前記プラズマによる変調信号を測定するプローブ;及び
特定の値を生成し、前記値を閾値と比較するように前記変調信号を操作して、前記比較に基づいてイベントの可能性を決定するプロセッサ;
を有するプラズマセンサシステム。
【請求項12】
前記イベントは軸流装置の失速である、請求項11に記載のプラズマセンサシステム。
【請求項13】
前記軸流装置は圧縮器である、請求項12に記載のプラズマセンサシステム。
【請求項14】
前記変調信号は流れ外乱から生成される、請求項11に記載のプラズマセンサシステム。
【請求項15】
前記流れ外乱は圧力変動である、請求項11に記載のプラズマセンサシステム。
【請求項16】
前記電極の少なくとも一は、ロータのケース内に収容されている又は前記ロータのケースと同一平面にある、請求項11に記載のプラズマセンサシステム。
【請求項17】
前記電極はブレード通路と隣接して備えられている、請求項11に記載のプラズマセンサシステム。
【請求項18】
前記電極はロータの先端の下流に備えられている、請求項11に記載のプラズマセンサシステム。
【請求項19】
前記プラズマにおける流れ外乱は速度流から特定の角度で生じる、請求項11に記載のプラズマセンサシステム。
【請求項20】
前記変調信号は無線で伝送される、請求項11に記載のプラズマセンサシステム。
【請求項21】
流れ外乱の証拠を2つの電極において捕捉する手段;及び
イベントの始まりを表す値を生成するように前記証拠を操作する手段;
を有するプラズマセンサ。
【請求項22】
前記イベントは軸流装置の失速である、請求項21に記載のプラズマセンサ。
【請求項23】
前記軸流装置は圧縮器である、請求項22に記載のプラズマセンサ。
【請求項24】
前記流れ外乱の前記証拠は変調信号において捕捉される、請求項21に記載のプラズマセンサ。
【請求項25】
前記流れ外乱は圧力変動である、請求項21に記載のプラズマセンサ。
【請求項26】
前記電極の少なくとも一は、ロータのケース内に収容されている又は前記ロータのケースと同一平面にある、請求項21に記載のプラズマセンサ。
【請求項27】
前記電極はブレード通路と隣接して備えられている、請求項21に記載のプラズマセンサ。
【請求項28】
前記電極はロータの先端の下流に備えられている、請求項21に記載のプラズマセンサシステム。
【請求項29】
前記プラズマにおける流れ外乱は速度流から特定の角度で生じる、請求項21に記載のプラズマセンサ。
【請求項30】
前記変調信号は無線で伝送される、請求項21に記載のプラズマセンサ。

【公表番号】特表2011−503527(P2011−503527A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−529051(P2010−529051)
【出願日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際出願番号】PCT/US2008/079389
【国際公開番号】WO2009/058537
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(510099039)ユニヴァーシティー オブ ノートル ダム デュ ラック (4)
【Fターム(参考)】