Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
プラズマディスプレィ前面板用黒色化シールドメッシュの製造方法
説明

プラズマディスプレィ前面板用黒色化シールドメッシュの製造方法

【課題】コストパフォーマンスに優れ、プロセス構築が比較的平易という電気めっき法の長所を生かし、かつ、電流分布により黒色度が不均一になることのない、プラズマディスプレィ前面板用黒色化シールドメッシュの製造方法を提供する。
【解決手段】 プラズマディスプレィの前面板における電磁波シールドのために使用する、黒色化シールドメッシュの製造方法であって、(1)透明樹脂シート1上に銅箔2を貼り合わせる工程と、(2)前記銅箔2のエッチングにより銅メッシュパターンを形成する工程と、(3)前記銅メッシュパターン表面上へ電気めっきにより鉄−炭素合金4を被覆することによる黒色化を行う工程とを順次有することを特徴とするプラズマディスプレィ前面板用黒色化シールドメッシュの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレィの前面に、有害電磁波の遮蔽のために設置する、プラズマディスプレィ前面板用黒色化シールドメッシュの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレィパネル(以下、PDPとも記す)における画像表示は、次のようにして行われる。PDP内に充填されたキセノンやネオンが放電によって励起して、紫外領域から近赤外領域にわたる線スペクトルが発生し、この中の紫外線が蛍光体に当たると、この蛍光体から画像表示のための可視光が発生する。この放電に伴って発生した電磁波がPDPから漏洩するため、その遮蔽の目的で、PDPの前面に金属製のシールドメッシュを設置する。メッシュの開口部から画像を見ることができ、金属であるライン部が電磁波を遮蔽する。このライン部は、ディスプレィの画面上に見えるため、画像の視認性の向上の目的で表面を黒くする。黒色化された表面は、光沢なく、外部から入射した光の反射を防止する。
【0003】
このようなシールドメッシュ表面の黒色化の方法として、いろいろな提案がなされている。特許文献1では、透明基材に貼り合わせる面に電気めっきで、パターンニング後に表面および側面を化成処理で黒化する。化成処理は、素材である銅を化学的に酸化して銅酸化物を生成している。これは銅上に異種の元素を被覆するものでないが、生成する銅酸化物が針状の形態となるため、それが時々透明基材上に脱落して、透明度を低下させる場合がある。針状でない形態の析出物の場合には、黒色度が不十分である。
【0004】
特許文献2では、黒色系粒子を含むイオン性高分子や、導電性高分子のモノマーの溶液や、黒色系の色調を有する電気めっき皮膜を形成するめっき液の中で通電することにより、金属層上に黒色電気析出層を積層する。ここで黒色電気析出層は、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリブタジエン樹脂、マレイン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂あるいはその変性体をアミノ化またはカルボキシル化したものなどのイオン性高分子にカーボンブラック、チタンブラック、アニリンブラックの黒色系粒子を含むもの、または、ピロール、アニリン、チオフェンおよびその誘導体の重合物である黒色系の導電性高分子、または、ニッケル系、クロム系、ロジウム系、スズ-ニッケル-銅三元合金系またはスズ-ニッケル-モリブデン三元合金系である黒色系の色調を有する電気めっき被膜である。特許文献3では、メッシュ状の金属層の表面および側面へ、めっき法で黒色処理層を設ける。この黒色処理層は、銅、コバルト,ニッケル,亜鉛,スズ、若しくはクロムから選択された少なくとも1種の単体、または化合物を含有する。特許文献4では、透明基材上に、第1黒色層,金属層,第2黒色層を順次形成し、それをパターンニングして電磁波シールド材を製造する方法が示されている。ここで、第1、第2黒色層は黒色樹脂層,黒色無機層、黒色金属酸化物層のいずれかであり、黒色金属酸化物はイオンプレーティング,スパッター,真空蒸着,無電解めっき,電気めっきのいずれかまたは2つ以上を組合せた方法で形成されるとしている。さらに、特許文献5においては、電磁波遮蔽用シールド材として、銅箔メッシュの前面、および側面に鉄と少なくとも1つ以上の他金属成分、特には、銅−コバルト−鉄−ニッケルからなる無光沢の黒色電気めっき層をコーティングしたものを示している。
【0005】
以上のように、前面および側面を黒色化処理した電磁波シールドメッシュの製造方法は多くの提案がなされている。これらでは、メッシュ状に加工された金属基材の表面を溶液中で電気的にカソ−ディックに分極し(陰極電解し)、黒色皮膜を被覆するものが多い。これは、このようなプロセスが、透明樹脂シート上に形成された金属メッシュに対して、透明樹脂シート部の透明性を維持しながら、金属表面を選択的に黒色化するのに好適であるためである。しかも、溶液と、電解装置を用意すれば、設備投資も含め低コストで処理を行うことが可能である。
【0006】
しかし、このような電解処理を行うプロセスにおいては、電極となる面内で電流分布が生じ、それによっていろいろな不具合が起こる。電流分布は、電極内の部位による電流密度の大小のばらつきのことであり、溶液の電気伝導度,電解槽内での電極の位置関係、溶液中の成分,槽全体に加える電流の大きさ,液の流れなど様々な因子による影響を受ける。電流分布による不具合の典型的な例は、サイズの大きい電極にめっきを行なった時に、電極の中央部はめっきの膜厚が薄く、端部で膜厚が極めて大きくなることである。これは、端部で電流密度が上昇するためであり、単に膜厚が大きいだけでなく析出しためっきの形態や成分の異常を伴うことがある。これを抑制するため、端部へ電流集中しないよう、電極端部近傍に遮蔽板を設けるなどの手段を講じることが一般的である。しかし、電極のサイズが大きくなると、電流密度の均一化はより困難となる。
【0007】
電磁波シールドメッシュの製造プロセスにおける電流分布による不具合は、黒色化の程度が面内の部位により変化することである。黒色の程度は、析出した黒色化合物の成分と厚さによって決まるが、特に、黒色化合物が2元系以上の金属からなるものである場合、その組成が電流密度によって変化するため、いわゆる「色むら」を生じやすい。これは、プラズマディスプレイの前面板としては問題となりうる。大型化が進むプラズマディスプレィでは、シールドメッシュも大サイズとなるため、面内の色調の均一化は一層難しくなるため、色調の管理をより行ないやすい方法が必要であった。
【特許文献1】特開2002−9484号公報
【特許文献2】特開平10−56289号公報
【特許文献3】国際公開WO2004−093513号パンフレット
【特許文献4】特開2000−223886号公報
【特許文献5】特開2005−79596号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、プラズマディスプレィの前面板における電磁波シールドのために使用する、黒色化シールドメッシュの製造方法において、コストパフォーマンスに優れ、プロセス構築が比較的平易という電気めっき法の長所を生かし、かつ、電流分布により黒色度が不均一になることのない、前記製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、プラズマディスプレィの前面板における電磁波シールドのために使用する、黒色化シールドメッシュの製造方法であって、
(1)透明樹脂シート上に銅箔を貼り合わせる工程と、
(2)前記銅箔のエッチングにより銅メッシュパターンを形成する工程と、
(3)前記銅メッシュパターン表面上へ電気めっきにより鉄−炭素合金を被覆することによる黒色化を行う工程と、
を順次有することを特徴とするプラズマディスプレィ前面板用黒色化シールドメッシュの製造方法である。
請求項2に記載の発明は、前記黒色化を行う工程が、前記銅メッシュパターン表面上に金属鉄と炭素分と鉄水酸化物または鉄酸化物とからなる黒色皮膜を電気めっきにより被覆させることにより黒色化する工程であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレィ前面板用黒色化シールドメッシュの製造方法である。
請求項3に記載の発明は、前記黒色化を行う工程が、少なくとも(1)鉄分として10〜60g/Lの第1鉄塩、(2)有機酸、(3)水酸化アルカリおよび(4)pH緩衝性のない電気伝導塩を含み、pHを2.0以上とした電気めっき液を用い、液を強制撹拌しないで行なわれることを特徴とする請求項2に記載のプラズマディスプレィ前面板用黒色化シールドメッシュの製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コストパフォーマンスに優れ、プロセス構築が比較的平易という電気めっき法の長所を生かし、かつ、電流分布により黒色度が不均一になることのない、プラズマディスプレィ前面板用黒色化シールドメッシュの製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明によるプラズマディスプレィ前面板用黒色化シールドメッシュの製造方法を、その一実施の形態に基いて工程を追って説明する。図1,2は、本発明の電磁波シールドメッシュの製造方法の工程を示した図で、図1は断面図,図2は平面図である。
一連の工程を通す時、電磁波シールドメッシュを1枚毎の単位に切断して処理することもできるが、一般的にはシートをロールから巻き出し、連続的に配置されたチャンバーを通すことで連続的に処理して、再度ロールに巻き取る形態のいわゆる「リール・トゥー・リール」方式が採用される場合が多い。本発明の形態は「リール・トゥー・リール」方式に限定されないが、以下では、この方式を念頭にして説明する。
【0012】
透明樹脂シート1の上に、銅箔2をラミネートする。このラミネートの方法は特に限定されない。一般的なラミネートの方法は、透明樹脂シート1に透明接着剤を塗布してから、銅箔2をラミネートすることである。このほか、接着剤を介さずに、透明樹脂シートに無電解銅めっきで銅箔を析出させるなどの方法を取ることもできる。透明樹脂シート1の材料としては、透明性が高いことが必要である。また、後続の処理で化学薬品が接触するため、それらの薬品に対する耐性を有することも必要である。そのような材料としては、アクリル,ポリオレフィン,ポリエステル,ポリイミド,ポリビニル,ポリカーボネート,ポリアミド系樹脂やエンジニアリングプラスチックと呼ばれるものが挙げられるが、価格や耐熱性等の点でPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂が適当である。
【0013】
次に、銅箔2の表面にエッチング用のレジスト3を被覆し、パターンニングする。一般的な電磁波シールドメッシュでは、メッシュのライン幅は5〜70μm,ラインの間隔は100〜1000μm程度であり、その仕様によってレジストの種類やパターンニングの方法が選択される。一般的な方法は、感光性のドライフィルムレジストまたは液状レジストをコーティングし、フォトマスクを通して露光、現像するものである。この方法では、ライン幅5〜20μmの高精細パターンを形成できる。しかし、精細度よりもコストを重視する場合には、レジスト3を印刷で形成することもできる。
【0014】
次に、銅箔2をエッチングして銅メッシュパターンを形成する。エッチングの方法は、一般的に、塩化第2鉄、または、塩化第2銅を主成分とするエッチング液を使用した化学的エッチングを行なう。エッチング後には、エッチングレジスト3を除去する。除去の方法は、用いるレジストにもよるが、通常は、アルカリ性の水溶液に浸漬して溶解除去する。
【0015】
形成された銅メッシュパターンの表面を黒色化するが、その直前処理として表面を脱脂、および、化学粗化することが望ましい。銅メッシュパターン表面には、エッチングレジストの残渣などの有機物が付着し、その部分は後続の処理において処理液の濡れ性が劣るためにムラを生じる場合がある。そこで、それらを除くために脱脂処理を行うことが望ましい。脱脂処理は、市販の酸性またはアルカリ性の脱脂液に浸漬するか、脱脂液中で電解処理を行う。また、黒色化される銅メッシュパターンの表面は、入射される外部からの光を散乱させるため、平坦でなく凹凸があった方がよい。そのため、銅メッシュパターンの表面を化学的に粗化する。この処理は、化学粗化液、または、ソフトエッチング液などと呼ばれる水溶液中に、銅メッシュパターンを浸漬することによって行なう。この液は、一般的に、過硫酸ナトリウム,過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩や、過酸化水素水などの成分を含む。このような、脱脂および粗化のプロセスは、最終的に黒色化した銅メッシュパターンの仕様や、上述のような表面の汚れ付着の度合いによって必要性が変わるため、導入が必要かどうかは事業者によって決められるべきである。
【0016】
次に、銅メッシュパターンに、電気めっきで鉄−炭素合金皮膜4を被覆して黒色化する。鉄−炭素合金めっきは、少なくとも(1)鉄分として10〜60g/Lの第1鉄塩、(2)有機酸、(3)水酸化アルカリおよび(4)pH緩衝性のない電気伝導塩を含み、pHを2.5以上とした電気めっき液を用いて行なうのが好ましい。
(1)第1鉄塩は、硫酸第1鉄,塩化第1鉄,スルファミン酸第1鉄などの塩を使用することができる。濃度は、第1鉄イオン濃度で、10〜60g/Lが適当である。20〜50g/Lがさらに好ましい。濃度が低いと、めっきの色むらが発生しやすい。濃度が高いことはあまり問題ないが、塩の溶解度と経済的な理由から60g/L程度を上限とすることが適当である。
(2)有機酸は、めっき皮膜の形成において皮膜に炭素分が含有される炭素源となる。めっき皮膜中の炭素含有率は、有機酸の種類やその他のめっき液成分、およびめっき条件で異なるが、0.001〜20重量%の範囲内である。皮膜の黒色化、および、その均一化の観点からは、ギ酸,グリオキシル酸,グリコール酸,マンデル酸,シュウ酸,酒石酸,乳酸,ピルビン酸などが有効であるがその効果の理由は不明である。このような有機酸の濃度は、1〜100mmol/Lが適当であり、10〜50mmol/Lがさらに好ましい。なお、黒色化に対する最適濃度は、有機酸の種類やその他のめっき液成分、およびめっき条件により異なる。また、2種以上の有機酸を混合して添加してもよい。
(3)水酸化アルカリは、めっき液のpH値を2.0〜5、さらに好ましくは2.3〜3.5に調整するために使用する。pHの上限は、めっき液中の鉄塩が水酸化物として沈殿しない限界として決められる。pHの下限を下回るとめっき皮膜は黒色化しにくくなり、全体的に灰色になるか、または黒及び灰色の色調のムラが著しくなる。水酸化アルカリとしては、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化リチウムが使用できる。アンモニアは使用しない。
(4)pH緩衝性のない電気伝導塩は、めっき液の電気伝導度を高めることによりめっき面内の電流分布を小さくするために添加される。強酸の金属塩類、例えば硫酸,硝酸,塩酸のナトリウム,カリウム,リチウム塩が適当であり、その濃度は、1〜100g/Lがよい。10〜50g/Lがさらに好ましい。濃度が低すぎると電気伝導度を高める効果がなく、濃度が高すぎると第1鉄塩の溶解度を制限してしまう。pH緩衝性がないことの理由は、後述のように、めっき面近傍でのpHを上昇させることによって、黒色化させるためである。アンモニウム塩はpH緩衝性があるため適当でない。
【0017】
本発明の鉄−炭素合金めっきによる黒色化のメカニズムは、次のように考えられる。めっきが析出するカソード面では、第1鉄イオンの還元反応
Fe2+ + 2e → Fe (1)
に加えて、水素発生反応が起こる。
2H2O + 2e → H2 + 2OH (2)
この反応でOHが生成することにより電極近傍ではpHが上昇する。そして、液中の第1鉄塩と水酸化鉄を生成し、それを巻き込んで析出するため黒色化すると考えられる。
2OH + Fe2+ → Fe(OH)2 (3)
Fe2+ + Fe(OH) 2 + 2e → 黒色析出物 (4)
したがって、共存する有機酸のpH緩衝性が高すぎる場合には、水酸化鉄の生成が行なわれにくくなり黒色化が不十分となる場合がある。また、有機酸の種類によっては被めっき面近傍のpHが上昇しにくくなるため、(3)の反応が起きにくくなり黒色化、およびその均一化には不適となる場合がある。
【0018】
特開平6−49680号公報および特開平9−202991号公報において、鉄−炭素合金めっきを行なうためのめっき浴が報告されている。特開平6−49680号公報では、(a)鉄塩、並びに(b)炭素数2以上の脂肪酸モノカルボン酸及び水酸基を一つ含むか又は含まない脂肪族ジカルボン酸から選ばれた少なくとも一種の化合物、を有する水溶液からなるめっき浴を示している。また、特開平9−202991号公報では、(a)鉄塩、 (b)炭素数2以上で水酸基を含まない脂肪酸モノカルボン酸、水酸基を1つ含むかまたは含まない脂肪族ジカルボン酸、脂肪族トリカルボン酸、及びこれらのカルボン酸の塩から選ばれた少なくとも一種の脂肪族カルボン酸類、並びに(c)次亜リン酸系化合物、亜リン酸系化合物及び水溶性アミンボランコンプレックスから選ばれた少なくとも一種の化合物を含有する水溶液からなるめっき浴を示している。ところが、これらで示されるめっき浴では、本発明における電磁波シールドメッシュの黒色化に使用することは不適当である。これは、これらの液を使用すると、むしろ、析出物は光沢〜灰色となり、実質的に金属鉄と炭素分と鉄水酸化物または鉄酸化物からなる黒色皮膜とはならないためである。
【0019】
本発明では、銅メッシュパターン表面に黒色の鉄−炭素合金を析出させる。炭素分は、共存する有機酸がその源となる。詳細なメカニズムは不明であるが、有機酸が何らかの作用で分解して、金属鉄および、水酸化物に取り込まれたものと考えられる。しかし、鉄−炭素合金の炭素分は黒色化の程度を決定づける因子ではなく、他の2元系以上の合金においてその組成比によって色むらが生じることとは異なる。これが、本発明においては電流密度等の電解条件による「色むら」が生じにくく、均一化しやすくなる主な理由である。
【0020】
本発明では、電気めっきを行なう時に、めっき槽内での強制撹拌を行なわないのがとくに好ましい。特定な方向への液撹拌を行うと、めっき表面で(2)の反応により生じた水酸化物イオンの濃度は、下流に行くほど高くなるため、めっき面内での色調の分布を生じる。そのため、液中に外部から侵入した粒子等をろ過するための循環系程度の緩やかな液流動を設け、液がめっき面に直接当たる構造は避ける。また、空気撹拌も行なわない。リール・トゥー・リール方式では、被めっき材である銅メッシュパターンが液中を一定速度で搬送され、それが基材に対して液を適当に流動させる作用を十分に持つ。
【0021】
本発明では、銅メッシュパターン表面上へ電気めっきで鉄−炭素合金を被覆することにより黒色化するが、めっき条件等の詳細は以下の通りである。
(電流密度)
カソードの電流密度は、0.5〜10A/dm2が適当である。低すぎると、電極表面での水素発生反応の電流効率が下がって(3)の反応が起こりにくくなるため、黒色化が不十分となる。また、必要な膜厚を得るための時間が長くなる。一方、電流密度が高すぎると、析出する鉄の表面形状が不均一になりやすい。ただ、最適な電流密度は、液の流動の状態、めっきされる銅メッシュパターンの搬送速度や第1鉄イオン濃度により変化するため、そのめっき装置に対して適正化されるべきである。
(温度)
めっき液の温度は、20〜60℃が適当である。低すぎると、第1鉄塩や電気伝導塩の溶解度が制限される、および、金属鉄の析出効率が低下する。高すぎると、液中の化学種の拡散速度が向上しすぎるため、黒色化が起こりにくくなったり、部分的にムラが生じたりする。
(槽内の構造)
リール・トゥー・リール方式によるめっき槽内構造の概略図を図3に示す。この図において、下面に銅メッシュパターンを形成した透明樹脂シート5は、入り側および出側の両端部に設けられたスリット6を通って、めっき槽7に搬送される。めっき槽7内では、めっき液8を隔て、アノード9と対向している。銅メッシュパターンへの給電は、めっき槽7の外部に設置された給電部10において行なわれる。めっき液8は、リザーバタンク11に蓄えられているが、めっき時には、フィルター付きポンプ12を経てめっき槽7に導入され、そして、オーバーフローでリザーバタンク11に戻る。めっき槽内では、銅メッシュパターンの端部で電流密度が増大することを防ぐために、遮蔽板を設ける。
(膜厚)
銅メッシュパターン上の黒色化鉄−炭素合金は、十分な黒色の色調が得られる膜厚であればよい。鉄金属に換算すると、0.02〜0.5μm、好ましくは、0.05〜0.2μmである。膜厚が薄すぎると、黒色の色調が薄すぎたり色ムラが発生する。逆に膜厚が厚すぎると、取り込まれた酸化物量も増大するため、めっき表面の抵抗値が増大する。抵抗値が増大することは、電磁波シールドとしてアース接点の接触抵抗が大きくなりシールド性が低下する。
(アノード)
アノードは、不溶性または、可溶性のものが使用できるが、可溶性の鉄アノードを使用することが望ましく、市販の鉄板を使用できる。表面の不働態化を防ぐため、電流密度が大きくなりすぎないよう、アノード面積はカソード面積(エッチング後の実表面積)の2倍以上に大きくすることが望ましい。一方、白金被覆チタン電極などの不溶性アノードを使用すると、電解中にその表面で液中の第1鉄イオンの酸化反応(Fe2+ → Fe3+ +e)が生じ、濃度が低下してしまう。そのため、不溶性アノードを使用する場合には、第1鉄イオンの酸化反応を抑えるため、めっき液にL-アスコルビン酸,硫酸ヒドロキシルアミン,ホルマリン,次亜リン酸などの犠牲酸化剤となりうる還元剤を添加することもできる。犠牲酸化剤は、自身が酸化を受けることによって、共存する成分の酸化を防ぐために添加される成分である。また、構造が複雑になるが、イオン交換膜でめっき浴と仕切られた隔室内に不溶性アノードを設置するという方法も取り得る。
【0022】
電気めっきにより鉄−炭素合金を被覆した銅メッシュパターン付きのシートは、その後、水洗、乾燥され、リール・トゥー・リール方式の場合は、ロールに巻き取られる。これにより、一連の製造工程を終える。
【実施例】
【0023】
以下、本発明を実施例によりさらに説明する。
PET製の透明シート(500mm×500mm,厚さ50μm)に18μm厚さの銅箔を、アクリル系樹脂の透明接着剤でラミネートした。一般的な方法により、銅箔上に感光性のドライフィルムをラミネートし、露光、現像、塩化第2鉄エッチング、レジスト剥離という工程を通し、ライン幅50μm,ライン間隔300μmのメッシュパターンを形成した。
このシートを用いて、各種電気めっき条件による黒色化を検討した。電気めっきの液および基本的なめっき条件は下記の通りであり、これに対して表1に示されるように液組成やめっき条件を変化させ、メッシュ上の色調やムラを調べた。なお、めっき時には、シートはプラスチック板に貼りつけて固定した。また、めっき槽に投入する前には、過硫酸ナトリウム100g/L,硫酸50g/Lの溶液に室温で30秒浸漬して銅表面を化学粗化し、その後水洗を行なった。
【0024】
(共通条件)
めっき液 硫酸第1鉄(FeSO4・7H2O)200g/L (Feとして 40g/L)
硫酸ナトリウム 20 g/L
pH 3 (NaOHで調整)
めっき条件 電流密度 5.0 A/dm2
温度 50 ℃
めっき時間 10秒
撹拌 なし
めっき槽 800mm×800mm×200mmのバッチ型槽
遮蔽板 シートの端部に10mm隔てて額縁上の遮蔽板を設置
アノード 鉄板(500mm×500mm)
【0025】
めっきされたシートを水洗、乾燥し、外観を観察してその結果を表1にまとめた。
【0026】
[表1]


【0027】
表1の結果から、本発明の製造方法により、シートの表面を均一に黒色化することができ、良好なプラズマディスプレィ前面板用の電磁波シールドメッシュを作製できることを見出した。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明によるプラズマディスプレィ前面板用黒色化シールドメッシュの製造工程図(断面図)である。
【図2】本発明によるプラズマディスプレィ前面板用黒色化シールドメッシュの製造工程図(平面図)である。
【図3】リール・トゥー・リール方式によるめっき槽内構造の概略図である。
【符号の説明】
【0029】
1・・・透明樹脂シート
2・・・銅箔
3・・・エッチング用のレジスト
4・・・鉄−炭素合金皮膜
5・・・銅メッシュパターンを形成した透明樹脂シート
6・・・スリット
7・・・めっき槽
8・・・めっき液
9・・・アノード
10・・・給電部
11・・・リザーバタンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマディスプレィの前面板における電磁波シールドのために使用する、黒色化シールドメッシュの製造方法であって、
(1)透明樹脂シート上に銅箔を貼り合わせる工程と、
(2)前記銅箔のエッチングにより銅メッシュパターンを形成する工程と、
(3)前記銅メッシュパターン表面上へ電気めっきにより鉄−炭素合金を被覆することによる黒色化を行う工程と、
を順次有することを特徴とするプラズマディスプレィ前面板用黒色化シールドメッシュの製造方法。
【請求項2】
前記黒色化を行う工程が、前記銅メッシュパターン表面上に金属鉄と炭素分と鉄水酸化物または鉄酸化物とからなる黒色皮膜を電気めっきにより被覆させることにより黒色化する工程であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレィ前面板用黒色化シールドメッシュの製造方法。
【請求項3】
前記黒色化を行う工程が、少なくとも(1)鉄分として10〜60g/Lの第1鉄塩、(2)有機酸、(3)水酸化アルカリおよび(4)pH緩衝性のない電気伝導塩を含み、pHを2.0以上とした電気めっき液を用い、液を強制撹拌しないで行なわれることを特徴とする請求項2に記載のプラズマディスプレィ前面板用黒色化シールドメッシュの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−270659(P2008−270659A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−114398(P2007−114398)
【出願日】平成19年4月24日(2007.4.24)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】