説明

プラズマ発生装置およびプラズマ処理装置

【課題】簡易な構成で均一なプラズマを発生させることができるプラズマ発生装置およびプラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】プラズマ発生装置100は、マイクロ波を発生させるマイクロ波発生部2と、一端がマイクロ波発生部2と接続された第1の導波管3と、第1の導波管3のマイクロ波発生部2と接続された側とは反対の側に接続された第2の導波管4と、を備えている。第2の導波管4は、円環状のスロット5が設けられたH面と、H面に対して垂直な方向に伸びるE面と、を有している。H面に対して垂直な方向における第1の導波管3の断面寸法Lh1と、第2の導波管4の断面寸法Lh2と、は、同じとされ、E面に対して垂直な方向における第2の導波管4の断面寸法は、第1の導波管3の断面寸法よりも大きくされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、プラズマ発生装置およびプラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ処理装置の代表的なものとして、周波数が100MHz〜数10GHzのマイクロ波によりプラズマを発生させる「マイクロ波励起型」のプラズマ処理装置がある。マイクロ波励起型のプラズマ源は、高周波プラズマ源などに比べてプラズマ電位が低いので、ダメージの少ないレジスト・アッシング(resist ashing)や、バイアス電圧を印加した異方性エッチングなどに広く用いられている。
ここで、被処理物(例えば、半導体ウェーハやフラットパネルディスプレイ用のガラス基板など)は、年々大面積化が進められている。そのため、大面積にわたって密度が高く且つ均一なプラズマを発生させることができるプラズマ発生装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
しかしながら、特許文献1に開示されたプラズマ発生装置においては、TE10モードで伝播してくるマイクロ波をTEMモードに変換する同軸変換部を設ける必要がある。
そのため、より簡易な構成で均一なプラズマを発生させることができるプラズマ発生装置の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−324551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、簡易な構成で均一なプラズマを発生させることができるプラズマ発生装置およびプラズマ処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係るプラズマ発生装置は、マイクロ波を発生させるマイクロ波発生部と、一端が前記マイクロ波発生部と接続された第1の導波管と、前記第1の導波管の前記マイクロ波発生部と接続された側とは反対の側に接続された第2の導波管と、を備えている。また、前記第2の導波管は、円環状のスロットが設けられた第1の面と、前記第1の面に対して垂直な方向に伸びる第2の面と、を有している。そして、前記第1の面に対して垂直な方向における前記第1の導波管の断面寸法と、前記第2の導波管の断面寸法と、は同じとされ、前記第2の面に対して垂直な方向における前記第2の導波管の断面寸法は、前記第1の導波管の断面寸法よりも大きくされている。
【0006】
また、実施形態に係るプラズマ処理装置は、上記のプラズマ発生装置と、大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能な処理容器と、前記処理容器の内部を所定の圧力まで減圧する減圧部と、前記処理容器の内部に設けられ、被処理物を載置する載置部と、前記処理容器の内部にプロセスガスを供給するガス供給部と、前記処理容器に設けられ、マイクロ波を透過させる窓部と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態によれば、簡易な構成で均一なプラズマを発生させることができるプラズマ発生装置およびプラズマ処理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施の形態に係るプラズマ発生装置およびプラズマ処理装置を例示するための模式図である。
【図2】本実施の形態に係るプラズマ発生装置を例示するための模式図である。
【図3】板部の位置がマイクロ波とプラズマとのカップリングに与える影響を例示するための模式グラフ図である。
【図4】比較例に係るプラズマ発生装置を例示するための模式図である。
【図5】窓部における電界強度分布を例示するための模式図である。
【図6】第1の導波管と第2の導波管とにおけるマイクロ波の伝播形態を例示するための模式図である。
【図7】窓部における電界強度分布を例示するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本実施の形態に係るプラズマ発生装置およびプラズマ処理装置を例示するための模式図である。
図2は、本実施の形態に係るプラズマ発生装置を例示するための模式図である。なお、図2は図1におけるA−A矢視図である。
図1に示すように、プラズマ処理装置100には、プラズマ発生装置1、処理容器102、窓部103、載置部104、ガス供給部105、減圧部106、ゲートバルブ107などが設けられている。
【0010】
まず、本実施の形態に係るプラズマ発生装置1について例示する。
図1、図2に示すように、プラズマ発生装置1には、マイクロ波発生部2、第1の導波管3、第2の導波管4、スロット5、共振制御部6が設けられている。
マイクロ波発生部2は、所定の周波数(例えば、2.45GHz)を有するマイクロ波Mを発生させ、第1の導波管3に向けて放射する。
第1の導波管3は、一端がマイクロ波発生部2と接続されている。
第2の導波管4は、第1の導波管3のマイクロ波発生部2と接続された側とは反対の側に接続されている。
【0011】
共振制御部6は、第2の導波管4の第1の導波管3が接続された側とは反対の側に設けられている。
【0012】
また、第1の導波管3、第2の導波管4の窓部103の側に設けられた面(H面)(第1の面の一例に相当する)がマイクロ波Mの電界方向に垂直な面となっている。また、H面に対して垂直な方向に伸びる面(E面)(第2の面の一例に相当する)がマイクロ波Mの電界方向に平行な面となり、マイクロ波Mの進行側に設けられH面およびE面に対して垂直な面が反射面(短絡面;R面)となっている。ただし、本実施の形態においては、後述する共振制御部6に設けられた板部6aの主面がR面となっている。また、第2の導波管4のH面には、円環状のスロット5が設けられている。
【0013】
そして、第1の導波管3、第2の導波管4のマイクロ波Mの進行方向に垂直な方向の断面は矩形状を呈している。
また、H面に対して垂直な方向における第1の導波管3の断面寸法Lh1と、第2の導波管4の断面寸法Lh2とは同じとなっており、E面に対して垂直な方向における第2の導波管4の断面寸法Lw2は、第1の導波管3の断面寸法Lw1よりも大きくなっている。
【0014】
例えば、E面に対して垂直な方向における第2の導波管4の断面寸法Lw2は、第1の導波管3の断面寸法Lw1に対して2.5倍程度大きくすることができる。
この場合、例えば、第1の導波管3のH面に対して垂直な方向における断面寸法Lh1は27mm、E面に対して垂直な方向における断面寸法Lw1は96mmとすることができる。この場合、例えば、第2の導波管4のH面に対して垂直な方向における断面寸法Lh2は27mm、E面に対して垂直な方向における断面寸法Lw2は96mmを超えるもの(例えば、240mm)とすることができる。また、例えば、スロット5の内径寸法5bを224mm、幅寸法5cを11mmとすることができる。
【0015】
また、図2に示すように、第1の導波管3の中心軸3aと第2の導波管4の中心軸4aとが同軸となっている。
また、スロット5の中心5aは、平面視において第2の導波管4の中心軸4aと重なる位置に設けられている。
また、スロット5の中心5aは、平面視において後述する窓部103の中心103bと重なる位置に設けられている。すなわち、スロット5は、窓部103の中心103bに対して点対称となるように設けられている。
【0016】
共振制御部6は、第2の導波管4の内部空間を伝播されてきたマイクロ波Mを反射させることで定在波を形成させるとともに、マイクロ波Mを共振させる。
共振制御部6には、板部6a、移動部6bが設けられている。
板部6aは、第2の導波管4の第1の導波管3と接続された側とは反対の側(終端側)に設けられ、マイクロ波Mを反射させる。
移動部6bは、板部6aの位置を第2の導波管4の軸方向に変化させる。
そして、移動部6bは、板部6aの位置を変化させることで定在波の電界強度の強い部分の位置を変化させる。この場合、定在波の電界強度の強い部分の位置が、マイクロ波Mを放射する位置(スロット5の位置)となるようにすることができる。
【0017】
なお、第2の導波管4内に形成された定在波の電界強度の強い部分の位置が、マイクロ波Mを放射する位置(スロット5の位置)となるように、板部6aの位置を予め調整しておくようにすれば、移動部6bは設けなくてもよい。その場合、板部6aは調整後に位置が固定されるものであってもよい。
また、第2の導波管4の内部に形成された定在波の電界強度の強い部分の位置がマイクロ波を放射する位置(スロット5の位置)となるように第2の導波管4の終端部の位置を予め規定することで共振制御部6を省略することもできる。
ただし、共振制御部6を設けるようにすれば、電界強度の強い部分の位置をスロット5の位置に合わせることが容易となる。
図3は、板部の位置がマイクロ波とプラズマとのカップリングに与える影響を例示するための模式グラフ図である。なお、図3中におけるM1とM2とでは板部6aの位置が異なるものとなっている。
図3に示すように、板部6aの位置を変化させればマイクロ波MとプラズマPとのカップリングを変化させることができる。例えば、板部6aの位置を変化させることで、図3中のM2のようにマイクロ波MとプラズマPとのカップリングを高めることができる。すなわち、板部6aの位置を変化させることで電界強度の強い部分の位置をスロット5の位置に合わせることができるので、マイクロ波MのエネルギーをプラズマPに効率よく吸収させることができる。
【0018】
この場合、マイクロ波発生部2から放射されるマイクロ波Mの周波数(例えば、2.45GHz)においてマイクロ波MとプラズマPとのカップリングが最も高くなるようにすることが好ましい。
例えば、板部6aの位置を変化させることで図3中のM2の状態とすれば、2.45GHz近傍におけるマイクロ波MとプラズマPとのカップリングを最も高くすることができる。
【0019】
次に、第1の導波管3、第2の導波管4、スロット5に関してさらに例示をする。
図4は、比較例に係るプラズマ発生装置を例示するための模式図である。
図5は、窓部における電界強度分布を例示するための模式図である。なお、電界強度分布をモノトーン色の濃淡で表し、電界強度が強い程濃く、弱いほど淡くなるように表示した。
【0020】
図4に示すように、プラズマ発生装置51には第1の導波管3が設けられている。
第1の導波管3の一端は、マイクロ波発生部2に接続され、他端は閉鎖されている。
また、第1の導波管3のH面には、2つのスロット55がE面に沿って開口している。2つのスロット55は、第1の導波管3の中心軸3aに対して線対称となるように設けられている。また、第1の導波管3の中心軸3aは、平面視において窓部103の中心103bを通るようにされている。すなわち、プラズマ発生装置51には第2の導波管4が設けられておらず、第1の導波管3のH面に2つの細長いスロット55が設けられている。また、スロット55は、第1の導波管3の中心軸3a、窓部103の中心軸103aに対して線対称となるように設けられている。
【0021】
この様な構成を有するプラズマ発生装置51において、マイクロ波発生部2から第1の導波管3内にマイクロ波Mが放射されると、放射されたマイクロ波Mは第1の導波管3内を伝播してスロット55から窓部103に導入される。
そして、窓部103においては図5に例示をしたような電界強度分布が形成されることになる。
【0022】
すなわち、2つの細長いスロット55が第1の導波管3の中心軸3aに対して線対称となるように設けられているので、図5に示すように電界強度分布も第1の導波管3の中心軸3a、ひいては窓部103の中心軸103aに対して線対称となる。
この様な電界強度分布が形成されると、それに応じて発生するプラズマPの密度も導波管3の中心軸3aに対して線対称となる。そのため、大面積にわたって密度が高く且つ均一なプラズマPを発生させることが困難となるおそれがある。
【0023】
次に、本実施の形態に係るプラズマ発生装置1の場合について例示する。
図6は、第1の導波管と第2の導波管とにおけるマイクロ波の伝播形態を例示するための模式図である。なお、電界強度分布をモノトーン色の濃淡で表し、電界強度が強い程濃く、弱いほど淡くなるように表示した。
図7は、窓部における電界強度分布を例示するための模式図である。なお、電界強度分布をモノトーン色の濃淡で表し、電界強度が強い程濃く、弱いほど淡くなるように表示した。
【0024】
プラズマ発生装置1において、マイクロ波発生部2から第1の導波管3内にマイクロ波Mが放射されると、放射されたマイクロ波Mは第1の導波管3を介して第2の導波管4内に伝播される。
この際、E面に対して垂直な方向における第2の導波管4の断面寸法Lw2は、第1の導波管3の断面寸法Lw1よりも大きくなっているので、第2の導波管4内に伝播されたマイクロ波MがE面に対して垂直な方向に広げられることになる。
【0025】
そのため、第2の導波管4内においては、E面に対して垂直な方向において電界強度の強い部分を複数形成することができる。
例えば、図6に例示をしたものの場合には、E面に対して垂直な方向における電界強度の強い部分が、第1の導波管3内においては1箇所であったものを第2の導波管4内においては3箇所とすることができる。そのため、第2の導波管4内において、電界強度の強い部分がマトリクス状に並ぶようにすることができる。
【0026】
そして、電界強度の強い部分がマトリクス状に並ぶようにすれば、円環状のスロット5上に電界強度の強い部分がより多く形成されるようにすることができる。また、スロット5の中心5aに対して点対称となるような位置に電界強度の強い部分が形成されるようにすることができる。
そのため、窓部103の中心103bに対して点対称となるような位置に電界強度が強められたマイクロ波Mを導入することができる。
【0027】
この場合、窓部103においては図7に例示をしたような電界強度分布が形成されることになる。
すなわち、図7に例示をしたように、窓部103の中心103bに対して点対称となるような電界強度分布が形成される。
【0028】
この様な電界強度分布が形成されると、それに応じて発生するプラズマPの密度も窓部103の中心103bに対して点対称となる。そのため、大面積にわたって密度が高く且つ均一なプラズマPを発生させることが容易となる。
【0029】
ここで、E面に対して垂直な方向において形成される電界強度の強い部分の数は、第2の導波管4の断面寸法Lw2(E面に対して垂直な方向における断面寸法)により変化させることができる。
そのため、被処理物の大きさなどに応じて導波管4の断面寸法Lw2を適宜変更すれば、所望の面積にわたって密度が高く且つ均一なプラズマPを発生させることが可能となる。
【0030】
次に、図1に戻って本実施の形態に係るプラズマ処理装置100について例示をする。 処理容器102は、有底の略円筒形状を呈し、大気よりも減圧された雰囲気を維持可能とされている。また、処理容器102は、ステンレスやアルミニウム合金などの金属材料から形成されている。
【0031】
処理容器102の上部には開口部が設けられ、開口部には窓部103が設けられている。
【0032】
窓部103は、石英やアルミナなどの誘電体材料から形成され、マイクロ波Mを透過させることができるようになっている。また、処理容器102の開口部と窓部103との間には図示しないOリングなどのシール部材が設けられ、気密が維持できるようになっている。
窓部103の上方には、前述した第2の導波管4が設けられている。また、前述したように、スロット5の中心5aは、平面視において窓部103の中心103bと重なる位置に設けられている。
【0033】
処理容器102の内部には、被処理物Wを載置する載置部104が設けられている。載置部104には図示しない静電チャックなどの保持部やヒータなどの加熱部などが内蔵されている。そして、図示しない保持部により載置部104の上面に載置された被処理物Wを保持することができるようになっている。また、図示しない加熱部により被処理物Wの加熱ができるようになっている。
【0034】
処理容器102の側壁上部にはガス導入口102aが設けられている。ガス導入口102aは、窓部103の下方に位置するプラズマPの発生領域に向けてプロセスガスGを導入することができるような位置に設けられている。
ガス供給部105は、配管105aを介してガス導入口102aに接続されている。ガス供給部105は、ガス導入口102aを介して処理容器102の内部にプロセスガスGを供給する。ガス供給部105は、例えば、プロセスガスGが収納された高圧ボンベなどとすることができる。また、ガス供給部105から処理容器102の内部にプロセスガスGを供給する際に流量や圧力などを制御する図示しないMFC(Mass Flow Controller)などを設けるようにすることができる。
【0035】
プロセスガスGは、プラズマ処理の種類などにより適宜選択される。例えば、被処理物Wのエッチング処理を行う場合には、プロセスガスGは、酸素ガス(O)単体、あるいは酸素ガスにCF、NF、SFなどのフッ素系ガスを添加した混合ガス、これらのガスに水素ガスを添加したガスなどとすることができる。なお、プロセスガスGは例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0036】
処理容器102の底面には、排気口102bが設けられている。排気口102bには、排気管108、圧力制御部109を介して減圧部106が接続されている。
減圧部106は、処理容器102の内部が所定の圧力となるように減圧する。減圧部106は、例えば、ターボ分子ポンプ(TMP:Turbo Molecular Pump)などとすることができる。
圧力制御部109は、処理容器102の内圧を検出する図示しない真空計などの出力に基づいて、処理容器102の内圧が所定の圧力となるように制御する。圧力制御部109は、例えば、APC(Auto Pressure Controller)などとすることができる。
【0037】
処理容器102の側壁には被処理物Wを処理容器102内部に搬入したり、被処理物Wを処理容器102内部から搬出したりするための搬入搬出口102cが設けられている。 そして、搬入搬出口102cを気密に閉鎖できるようにゲートバルブ107が設けられている。
ゲートバルブ107は、O(オー)リングのような図示しないシール部材を備える扉107aを有し、ゲート開閉機構107bにより開閉される。扉107aが閉まった時には、図示しないシール部材が搬入搬出口102cの近傍の壁面に押しつけられ、搬入搬出口102cが気密に閉鎖されるようになっている。
その他、載置部104の外周や上方などにガスの流動を制御する図示しない整流板などを適宜設けるようにすることができる。
【0038】
また、プラズマ処理装置100には図示しない制御部が設けられ、プラズマ処理装置100に設けられた各要素の動作や処理条件などが制御できるようになっている。例えば、板部6aの位置、プロセスガスGやマイクロ波Mの導入、処理容器102内部の圧力、載置部104の温度などが制御できるようになっている。
【0039】
次に、プラズマ発生装置1、プラズマ処理装置100の作用について例示をする。
ゲートバルブ107の扉107aをゲート開閉機構107bにより開く。
図示しない搬送部により、被処理物Wを搬入搬出口102cから処理容器102内に搬入する。搬入された被処理物Wは載置部104上に載置され、載置部104に内蔵された静電チャックなどの保持部により保持される。
図示しない搬送部を処理容器102の外に退避させる。
【0040】
ゲート開閉機構107bによりゲートバルブ107の扉107aを閉じる。
減圧部106により処理容器102内が所定の圧力となるように減圧される。この際、処理容器102の内圧を検出する図示しない真空計などの出力に基づいて、処理容器102内が所定の圧力となるように圧力制御部109により制御される。
【0041】
次に、ガス供給部105からガス導入口102aを介して処理容器102の内部にプロセスガスGを供給する。この際、図示しないMFC(Mass Flow Controller)などにより供給するプロセスガスGの流量や圧力などが制御される。
一方、プラズマ発生装置1において、マイクロ波発生部2から所定の周波数(例えば、2.45GHz)を有するマイクロ波Mが第1の導波管3に向けて放射される。
第1の導波管3に放射されたマイクロ波Mは、第1の導波管3を介して第2の導波管4内に伝播される。
この際、第2の導波管4内に伝播されたマイクロ波MがE面に対して垂直な方向に広げられることになる。そのため、第2の導波管4内において、E面に対して垂直な方向においても電界強度の強い部分が複数形成される。
また、必要に応じて、移動部6bにより板部6aの位置を変化させることで、スロット5の位置に定在波の電界強度の強い部分が形成されるようにする。その様にすれば、前述したように、スロット5の中心5aに対して点対称となるような位置に電界強度の強い部分が形成されるようにすることができる。
【0042】
電界強度が強められたマイクロ波Mは、円環状のスロット5を介して窓部3に導入される。この際、窓部103の中心103bに対して点対称となるような位置に電界強度が強められたマイクロ波Mが導入されることになる。
窓部103に導入されたマイクロ波Mは、窓部103の表面を伝播して、処理容器102内に放射される。そして、処理容器102内に放射されたマイクロ波Mのエネルギーにより、プラズマPが発生する。この場合、窓部103の中心103bに対して点対称となるような位置に電界強度が強められたマイクロ波Mが導入されるので、大面積にわたって密度が高く且つ均一なプラズマPを発生させることができる。
【0043】
プラズマP中の電子密度が導入されるマイクロ波Mを遮蔽できる密度(カットオフ密度)以上となると、マイクロ波Mは窓部103の下面から一定距離(スキンデプス)だけ入るまでの間に反射されるようになる。そのため、マイクロ波Mの定在波が形成されることになる。
【0044】
すると、マイクロ波Mの反射面がプラズマ励起面となって、このプラズマ励起面で安定的にプラズマPが励起されるようになる。このプラズマ励起面で励起された安定的なプラズマP中においては、イオンや電子がプロセスガスGの分子と衝突することにより、励起された原子や分子、遊離原子(ラジカル)などのプラズマ生成物が生成される。生成されたプラズマ生成物は、処理容器102内を下方に拡散して被処理物Wの表面に飛来することで、エッチング、アッシング、薄膜堆積、表面改質、プラズマドーピングなどの各種のプラズマ処理が行われる。
プラズマ処理が終了した被処理物Wは搬入搬出口102cを介して処理容器102の外に搬出される。以後、同様にして他の被処理物Wのプラズマ処理を行うこともできる。
【0045】
本実施の形態に係るプラズマ発生装置1、プラズマ処理装置100によれば、簡易な構成であっても大面積にわたって密度が高く且つ均一なプラズマを発生させることができる。そのため、年々大面積化が進められている半導体ウェーハやフラットパネルディスプレイ用のガラス基板などに対して面内均一性の高いプラズマ処理を行うことができる。
【0046】
以上、実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、プラズマ発生装置1、プラズマ処理装置100などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置、数などは、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0047】
1 プラズマ発生装置、2 マイクロ波発生部、3 第1の導波管、3a 中心軸、4 第2の導波管、4a 中心軸、5 スロット、5a 中心、6 共振制御部、6a 板部、6b 移動部、100 プラズマ処理装置、102 処理容器、103 窓部、103a 中心軸、103b 中心、104 載置部、105 ガス供給部、106 減圧部、Lh1 断面寸法、Lh2 断面寸法、Lw1 断面寸法、Lw2 断面寸法、M マイクロ波、P プラズマ、W 被処理物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波を発生させるマイクロ波発生部と、
一端が前記マイクロ波発生部と接続された第1の導波管と、
前記第1の導波管の前記マイクロ波発生部と接続された側とは反対の側に接続された第2の導波管と、
を備え、
前記第2の導波管は、円環状のスロットが設けられた第1の面と、前記第1の面に対して垂直な方向に伸びる第2の面と、を有し、
前記第1の面に対して垂直な方向における前記第1の導波管の断面寸法と、前記第2の導波管の断面寸法と、は、同じとされ、
前記第2の面に対して垂直な方向における前記第2の導波管の断面寸法は、前記第1の導波管の断面寸法よりも大きくされていること、を特徴とするプラズマ発生装置。
【請求項2】
前記スロットの中心は、平面視において前記第2の導波管の中心軸と重なる位置に設けられたことを特徴とする請求項1記載のプラズマ発生装置。
【請求項3】
前記第1の面は、前記マイクロ波の電界方向に垂直な面であり、
前記第2の面は、前記マイクロ波の電界方向に平行な面であることを特徴とする請求項1または2に記載のプラズマ発生装置。
【請求項4】
前記第2の導波管の前記第1の導波管と接続された側とは反対の側に設けられ、前記マイクロ波を反射させる板部と、
前記板部の位置を変化させる移動部と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のプラズマ発生装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載のプラズマ発生装置と、
大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能な処理容器と、
前記処理容器の内部を所定の圧力まで減圧する減圧部と、
前記処理容器の内部に設けられ、被処理物を載置する載置部と、
前記処理容器の内部にプロセスガスを供給するガス供給部と、
前記処理容器に設けられ、マイクロ波を透過させる窓部と、
を備えたことを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記プラズマ発生装置に設けられた円環状のスロットの中心は、平面視において前記窓部の中心と重なる位置に設けられたことを特徴とする請求項5記載のプラズマ処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−190546(P2012−190546A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50495(P2011−50495)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】