説明

プラズマ蒸発による亜鉛めっき方法及び設備

本発明は、基材が次々と少なくとも1つのプラズマ処理ゾーンを通り搬送される、1つ又は複数の鋼製品を含む連続基材のプラズマ処理用の方法及びシステムであって、処理ゾーン内でプラズマを発生させるための電力が、基材がこのゾーンを通過しているときこの処理ゾーン内に存在する基材の面積に応じて変化することを特徴とする方法及びシステムに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラーの列、又はモノレール搬送システムなどの広い意味で全ての種類の装置を用いて処理ゾーン内を搬送される、全ての種類の横断面を有するシート、桁、プレート及び異形材のみならず支持部上に配置される部品、例えばフック又は金属バスケットの形態の鋼基材をプラズマ亜鉛めっきするための方法及び設備に関するものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
この方法で処理すべき基材は、アルカリ脱脂及び酸洗浄の後に濯ぎ及び乾燥を行う公知技術によって事前に汚染除去された後、又は例えばショットブラスト機械を用いた機械的な表皮剥離によって汚染除去された後、本発明の主題である、大気圧よりも小さい圧力で機能するプラズマ亜鉛めっき設備に導入される。一般に、このシステムは、アルゴン雰囲気で0.0005〜0.05ミリバールの間(0.05〜5Pa)の圧力で機能する。
【0003】
この設備は、処理すべき基材を導入するための及び処理すべき基材を取り出す可能性のある真空エアロックからなり、真空処理タンクが続き、処理すべき部品を導入するために基材が真空エアロックを通って入たり出たりするときに、亜鉛めっきされた基材を取り出すために真空エアロックまたは貯蔵タンクで終端することが好ましい。後者の場合基材は、設備内で先ず最初に一方向に移動し、次いで設備の真空エアロックに戻るために反対方向に移動する。
【0004】
基材を導入し、取り出すための1つ又は2つの真空エアロックを使用することによって、処理が行われる領域を常に空気がないように維持することが可能になり、このことが、特に鋼と亜鉛との間に酸化界面が存在することを防止し、したがって鋼に対する亜鉛被覆の最適な接着を可能にするための、この方法が正しく機能する基本点である。
【0005】
本発明による設備は、イオン照射侵食によって鋼表面を活性化させるための1つ又は複数の区画を備える。この処理を行うために様々な装置を想定することができる。例えば、国際公開第02/12591号に記載されるような処理すべき基材の周りに放電を閉じ込めるための磁気ミラーを使用する鋼のマグネトロン・エッチング用装置、又は基材と対面するアノードに対して基材を負のバイアスをかけることによる直流発電機によって生じるイオン加速器に連結された誘導プラズマ源、又はイオン・ガンの使用が想定され得る。全ての場合で、この装置を通過する単位時間当たりの鋼基材の面積に応じてエッチング装置の出力を制御すること、特に鋼基材が処理ゾーン内に存在しないとき鋼基材のためのプラズマ活性化源への電力供給を切断することができることが必要である。これは、この場合にはエネルギーの使用の必要がないことは別として、設備の壁を加熱することによって設備を損傷させるリスクが存在するからである。逆に言えば、基材がこの処理ゾーンに入るとき、プラズマ活性化源を始動させ、その出力を漸次増加させることができる必要がある。
【0006】
この設備は、1つ又は複数の亜鉛プラズマ蒸発亜鉛めっき区画も備える。国際公開第02/16664号で既に知られ、それに記載される方法は、ある量の亜鉛を液体状態に維持し、アノードを構成する対極に対してこの液体亜鉛を平均して負のバイアスをかけることによって亜鉛蒸気内に生じるプラズマを用いてこの液体亜鉛を蒸発させるための保持容器を使用する。亜鉛めっき真空容器へは、どのようなガスの通過も隔離される、真空チャンバ内に設置される真空炉内に維持される亜鉛に浸漬される供給チューブを介して、この保持容器に液体亜鉛が供給され、ガス圧力を調節することによって、亜鉛めっきが行われる真空タンク内に設置される保持容器内の液体亜鉛の液量を調節することが可能である。
【0007】
亜鉛蒸気内に発生するプラズマは一般に、マグネトロン放電を使用して得られる。保持容器の上方の亜鉛蒸気の圧力は、液体亜鉛の表面上で消散される電力によって変わり、鋼基材上に単位時間当たり堆積することができる亜鉛の重量を決定する。この蒸気圧力は、一般的に数kg/分の亜鉛の蒸発重量に相当する数ミリバールに達する可能性がある。したがって、国際公開第02/16664号に既に記載されるように、亜鉛蒸気が基材以外の、一般に常温である全ての冷表面上に凝縮することによって設備全体を汚染することを防止するために、加熱された壁を有する閉じ込めチャンバを設けることが絶対に必要である。被覆すべき基材が開口部を通り侵入することができるように、入口開口部及び出口開口部がこの閉じ込めチャンバに設けられる。したがって、亜鉛被覆は、閉じ込めチャンバを通過する基材の冷表面上に直接固体状態で亜鉛蒸気が凝縮することによって得られる。基材の表面の温度は、通常150℃未満である。
【0008】
したがって、プラズマに供給され、プラズマからの発出するイオン照射を介して保持容器内の液体亜鉛の表面上に消散される電力を、この閉じ込めチャンバ内を単位時間あたりに通過する鋼基材の面積に応じて適応させることができることが有利である。特に本発明によれば、閉じ込めチャンバ内に基材が存在しないときこの電力供給は切断される、逆に言えば液体亜鉛の表面上に消散される電力は、基材が閉じ込めチャンバに入るとき始動し、漸次増加する。これは、基材の表面上の亜鉛の均一な厚さを確実にできるようにするためのみならず、特に基材が閉じ込めチャンバを通過していないとき閉じ込めチャンバの入口開口部及び出口開口部を通る亜鉛の損失を限定するために行われる。これは、亜鉛及びエネルギーの経済的な浪費は別として、亜鉛汚染が制御されない場合、亜鉛汚染がプラズマ蒸発による亜鉛めっき設備を著しく損傷させる可能性があるからである。
【0009】
上記の結果によって、この設備の処理装置は、基材が処理装置のうちの1つを通過するとき、
・基材が処理装置内に入るとき処理装置の電源を入れるステップと、
・基材が完全に処理装置を通過するときのこの方法の基準動作電力に到達するまで、処理装置を通過する基材の面積に比例して処理装置に供給される電力を増加させるステップと、
・基材が端から端まで処理装置を通過している限り、基材の通過速度に応じて一定の基準処理電力を維持するステップと、
・基材が装置から出て最早初めから終わりまで通過していないとき、装置内の基材の面積に比例して処理装置に供給される電力を減少させるステップと、
・基材がないとき処理装置に供給する電力供給を切断するステップとを含む、全く同じ手順で機能する利点を有する。
【0010】
本発明による、プラズマ蒸発亜鉛めっき設備内での処理すべき基材の通過中の、始動、動作体制の維持、次いで各処理装置の停止のこの手順は、設備に対する汚染を防止し、エネルギーを節約する。
【0011】
設備を柔軟に機能させる理由で、少なくとも1台の存在検出器が各処理装置の入口に設置され、少なくとも1台の検出器が各処理装置の出口に設置される場合、処理されるべき基材を様々な処理ユニットのためのトリガーとして使用することが可能になる。したがって本発明による設備は、各処理装置の入口及び出口に、すなわち各プラズマ又はエッチング活性化ユニット及びプラズマ蒸発亜鉛めっきユニットに対応する各閉じ込めチャンバの、基材の通過の方向に対して上流側及び下流側に検出器を備える。
【0012】
用途の性質のために基本的に変わり得る長さ及び横断面を有する処理すべき基材又はこれらの基材を構成する製品は、入口エアロックが開放されるや否や、おおよその精度で設備の入口に位置付けることができる。設備内で基材の前進を調節するためのシステム、並びに基材の前進に従属する設備の様々な処理装置の機能を調節するためのシステムを設けることが必要である。これは、例えば汚染及びエネルギーの損失などの既に上記で述べた問題点を避けるためのみならず、異なる幾何学的形状を有する基材の最適な動作条件の下での処理に対して最大の柔軟性を与える目的もある。この調節は、処理すべき基材の搬送モード、例えばローラー上を、又はフックの間に吊るされての搬送、及びモノレール移動システムによって搬送される長い基材、又は様々な処理装置を通過するモノレール上を搬送されるバスケット内に配設される部品とは独立である。
【0013】
したがって本発明は、これらの処理装置の各々の上流及び下流に設置される検出器による、処理される基材の前進の検出に従属する各処理装置の独立した機能化に関する。
【0014】
基材が移動するときに始動する及び停止する様々な処理装置の独立管理は、設備の以下の階層的管理によって実施できると有利である。
・設備を作動状態下に置くこと、保守のために再度大気に開放することを可能にし、そして動作に際しては、設備の真空エアロック又はエアロックからの鋼基材の迅速な導入及び排出のために、搬送速度で、及び設備の様々な処理装置内で基材の処理中の一般により低い処理速度で、真空エアロック及び鋼基材の移動を制御できることを可能にするマスター・プログラム。
・1台が処理装置の入口に設置され、もう1台が処理鋼基材の装置の出口に設置される少なくとも2基の検出器によって、基材の存在で作動する処理装置毎の1つのスレーブ・プログラム。このスレーブ・プログラムは、工程の機能化のために必要な物理的条件が達成されたとき、マスター・プログラムによって伝達される信号に従属する。実際面ではこのマスター信号は、設備の処理区画全体が、通常0.0005〜0.05ミリバールである基準アルゴン圧力に到達するときに得られる。各スレーブ・プログラムは、既に前に述べたように、始動、動作体制へ傾斜的に上昇する電力増加、基材が入口検出器及び出口検出器により検出されている限りの動作体制の維持、装置に接続される電力に対する傾斜的減少、及び基材が最早2基の検出器によって検出されないときの電力の切断である、供給される電力制御の同様な手順によって特徴付けられる。
【0015】
プラズマ蒸発亜鉛めっき設備の制御のためのこの階層的構造は、本発明による設備の使用の具体的な態様を構成する。
【0016】
基材がこの処理装置を通過するとき、スレーブ・プログラムによって各処理装置が独立に始動し、停止する、亜鉛めっき設備のこの階層的制御の大きな利点は、設備の制御ソフトウエアの改変なしに、単に入口真空エアロック及び/又は出口真空エアロックの真空ポンプ汲み出し能力、並びに装荷領域からエアロックまでの、又は逆に真空エアロックから排出領域までの搬送速度を増大させることによって、基材がその入口真空エアロック及び出口真空エアロック又はエアロックを介して設備に入り設備を出る間の非生産的待ち時間を減少させ得ることである。
【0017】
処理の進行中に基材の移動がマスター・プログラムによって制御されるときは、そのためにできるだけ速い、したがって基材が設備の様々な処理装置を通過するときに使用される処理速度よりも少なくとも速い基材の搬送速度を、基材を装荷領域から真空エアロックまで、又は真空エアロックから排出領域まで移動させるために使用する必要がある。
【0018】
本発明の他の詳細及び特殊性は、添付の図面を参照して行われる本発明による設備及び方法の具体的な実施例の非限定的な実例として以下に与えられる説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明による鋼基材用のプラズマ蒸発亜鉛めっきラインの概略図。
【図2】3台のプラズマ処理装置を備える、本発明による設備の一部分の一例の概略図。
【図3】イオン源を有する真空タンクと搬送タンクを有する装置を備える典型的な配置を示す図。
【図4】2つの装置の各々に搬送及びポンプ汲み出しタンクが先行する、2つの亜鉛めっき装置を示す図。
【実施例】
【0020】
様々な図において、同じ符号は同様な又は同一の要素に関する。
【0021】
本発明による設備は、バッチのプラズマ蒸発亜鉛めっきラインを備え、図1に示すように、基本的に以下の装置から構成される。
・鋼桁などの長い基材を導入するための、図1に示すようにローラー列から構成される場合のある基材を導入するためのゾーン1。この基材搬送システムはモーター駆動されるローラーの列によって搬送するためのシステムである。当然基材を吊るしそれらをゾーン1から設備の様々な他のゾーンに搬送するためのモノレール搬送システムなどの他の搬送システムも予測することができる。
・隣接する処理ゾーン3を連続的に必要とされるアルゴン圧力で真空下に維持し、したがってこの処理ゾーンが空気の導入によって汚染することを避けることができるようにする入口真空エアロック2。必要とされるアルゴン圧力は、通常0.05Pa〜5Paである。
・基材のプラズマ活性化のためのゾーン3と2つのプラズマ亜鉛めっきゾーン4及び5を備えるいくつかの処理ゾーン。このゾーン4及び5は、動作モードで、好ましくは5×10−4ミリバール〜5×10−2ミリバールの部分的なアルゴン圧力下に連続的に維持される。
・処理ゾーン3、4、5を空気のない状態に保持しながら、基材をこれらの処理ゾーンから出口及び排出ゾーン3に排出するための出口エアロック6。
【0022】
本発明による設備の代替実施例では、この入口真空エアロック2は、基材が完全に処理ゾーン3、4、5に入った後、搬送システムの移動の方向を逆にすることによって基材が入口エアロック2に戻るとき、出口真空エアロックとしても働く。この場合、真空貯蔵容器を図1の出口真空エアロック6のところに設けることができる。
【0023】
基材の処理が導入ゾーン1から処理ゾーン3、4、5に向かって1方向で行われ、次にこれらの処理ゾーン3、4、5から導入ゾーン1に向かってもう1つの方向に行われるとき、基材を排出させるための出口ゾーン7が不要であり、このことによってエアロック及びこの基材搬送するゾーンを省くことは別として、より短い長さを有する設備を製造することも可能になることは明らかである。
【0024】
図2は、プラズマ亜鉛めっき設備で使用される処理要素の典型的な実例を示す。この処理ゾーンは、以下の連続する要素から構成される。
・鋼表面のプラズマ活性化のための装置9を装備する容器8。図に示されない基材は、自由懸架でこの容器8を通過する。
・高真空ポンプ汲み出しと基材の搬送のための容器10。この容器10によって、隣接する活性化容器8及び亜鉛めっき容器11内のアルゴン作動圧力を維持することが可能になる。この容器10によって、容器10を通過する基材をモーター駆動されるローラー上で支持し、前方に移動させることも可能になる。
・活性化容器8内で鋼基材がプラズマ活性化された後、この鋼基材を亜鉛めっきするためのプラズマ亜鉛めっき容器11。
・基材を搬送するための第2の高真空ポンプ汲み出し容器12。
・鋼基材を亜鉛めっきするための第2のプラズマ亜鉛めっき容器13。
【0025】
入口真空エアロック2は、図3により詳細に示すように、処理ゾーン3、4、5の全てをこの真空エアロック2から隔離する気密ドア14によって活性化容器8から切り離されている。基材は、気密ドア14の開口部後、入口真空エアロック2を介して導入ゾーン1からプラズマ活性化装置9を備える活性化容器8内に導入される。最初は電力が供給されていないこの装置9は、活性化容器8の入口のところに設けられた検出器15によって基材が検出されるや否や作動させられる。この活性化容器からの出口のところに、基材用の第2の検出器16が設けられる。
【0026】
電力が、活性化容器8内の基材の存在によって2基の検出器15、16が作動させられるときの基準動作出力に到達するまで、プラズマ活性化装置9に加えられる電力は、漸次、2基の検出器15と16の間の空間を通過する基材の長さに比例して増加する。入口検出器15が最早作動しなくなるや否や、活性化装置9に供給される電力は2基の検出器15と16の間に残る基材の長さに比例して減少させられ、遂には基材が最早入口基材又は出口検出器16のどちらかによっても検出されないとき電力は遮断される。
【0027】
プラズマ亜鉛めっき設備のこの具体的な構成では、基材は、入口真空エアロック2内と搬送及び高真空ポンプ汲み出し容器10及び12内に設置されるモーター駆動ローラーの床17上を搬送される。入口真空エアロック2と、活性化容器8と、搬送及びポンプ汲み出し容器10内を始めから終わりまで通過し、処理すべき基材を懸架することを可能にし、活性化装置9が処理すべき負荷の通過に対して幾何学的に適応させることを可能にする、例えばモノレールなどの他の搬送手段も、モーター駆動されるローラー17の床を有するテーブルと同じ機能を満たすことができるようにする。この搬送手段が、真空容器8内のプラズマ活性化装置9の上流及び下流の基材のための入口検出器15及び出口検出器16を介した基材9のプラズマ活性化のための装置の調節に何の影響も有さないことは明らかである。
【0028】
基材の表面が活性化装置9内で活性化された後、この基材は第1のプラズマ亜鉛めっき容器11に向かって搬送及びポンプ汲み出し容器10内のローラー床テーブル17まで導かれ、そこで基材は自由に懸架され、次いで第2のプラズマ亜鉛めっき容器13を自由懸架で通過する前に、もう一度搬送及びポンプ汲み出し容器12内のローラー床テーブル17によって支持され、搬送される。
【0029】
亜鉛めっきされるべき基材が1つの容器から他の容器に移動することを可能にする、搬送容器10及び12とプラズマ亜鉛めっき容器11及び13の間で高真空用に設計されるこの気密接続部は、フレキシブル・チューブ18を用いて設けられる。好ましくは、これらのフレキシブル接続部18は、搬送及びポンプ汲み出し容器10及び12に固定され、図示しないジャッキによって亜鉛めっき容器11及び13の機械加工されたフランジにクランプされる。この具体的な構成の利点は、保守の期間内に完全に取り外す又は上昇させることができ、したがって対応する容器の内側に配置される装置に対して最大限のアクセスをもたらすことができるベルの形状の容器の頂部部分がその上に置かれたテーブルから構成される、亜鉛めっき容器11及び13の使用が可能になることである。
【0030】
この亜鉛めっき容器11及び13は、対応する亜鉛めっき装置19及び20それぞれの一部をなす。これらの亜鉛めっき処理装置19及び20はそれぞれ以下の機器を備える。
・対応する亜鉛めっき容器11又は13内に設置される坩堝23に供給するための液体亜鉛の蓄えを溶融状態で維持し、温度を調節するための炉22を収容する真空容器21。この真空容器21と対応する亜鉛めっき容器11又は13との間の接続部は、供給チューブ24を用いて排他的に且つそれぞれに設けられる。このチューブ24はガス密封式であり、通常5×10−4〜5×10−2ミリバールの亜鉛めっき容器11又は13内の一定のアルゴン圧力を維持することが可能でなければならず、一方炉22を収容する真空容器21内のアルゴン又は窒素ガス圧力は通常0.1〜2000ミリバールの間を変化することができる。これは、炉22を収容する真空容器21内のガス圧力をそれぞれ減少させ、又は増加させることによって、対応する亜鉛めっき容器11又は13内に設けられる坩堝23を空にし、又は液体亜鉛を供給するのを可能にするために不可欠である。
・亜鉛蒸気閉じ込めチャンバ25を通過する亜鉛めっきされるべき基材に近接して亜鉛蒸気を閉じ込める亜鉛蒸気閉じ込めチャンバ25が上に載っている前記坩堝23から構成される、プラズマ亜鉛めっき機器を収容する前記亜鉛めっき真空容器11又は13。この閉じ込め部25の壁は、亜鉛が固体形態であれ液体形態であれその上に凝縮できないように、ジュール効果による従来型の手段によって全体的に加熱される。一般にこの閉じ込めチャンバ25の壁の内側温度は400℃〜500℃である。この閉じ込めチャンバ25は、入口開口部26と出口開口部27を有する。閉じ込めチャンバ25の各開口部26及び27の近傍と、亜鉛めっき容器11又は13のそれぞれの内側には、基材が上記で既に開示された考え方に従って移動するとき、亜鉛の蒸発のために働くプラズマに連結される電力を調節することを可能にする基材存在検出器28及び29が設けられる。一般に高密度グラファイトから作られる電気的に伝導性の坩堝23は、真空容器21内のガス圧力の調節を介してチューブ24を用いて液体亜鉛が供給される。この坩堝23は、閉じ込めチャンバ25の内側に設置されるアノード(図示せず)に対して平均して負にバイアスされる。一般に磁気回路が坩堝23の下に設置されて、坩堝23内に入っている液体亜鉛の表面上へのプラズマのエネルギーの消散によって生じる亜鉛蒸気内にマグネトロン放電を生じさせることを可能にする。基材の処理中、基材入口検出器28のみが作動しているとき、プラズマに加えられる電力は、基材の存在によって2基の検出器28及び29が作動させられる基準動作電力に到達するまで、漸次、2基の検出器28と29の間の空間を通過する基材の長さに比例して増加させられる。出口検出器29が依然として作動しているが基材入口検出器28が最早作動しなくなるや否や、亜鉛の蒸発のために働くプラズマに供給される電力は、2基の検出器28と29の間に残っている基材の長さに比例して減少させられ、遂に閉じ込めチャンバ25の基材入口及び出口開口部の近傍に設置される1台又はもう1台の検出器によって基材が最早検出されなくなるとき電力が遮断される。チャンバ25の上流の入口検出器28又はチャンバ25の下流の出口検出器29の用語は、基材の移動方向に対する検出器の位置に応じてのみ決まる。結果として、検出器28及び29は単一の方向に機能する設備内の絶対的な入口又は出口の性格を有するけれども、これは、ただ1つのエアロックを有し、したがって先ず最初に1つの方向に、次いでもう1つの方向に機能する設備の場合には当てはまらない。この場合、基材の移動の1つの方向での入口検出器は、反対方向での出口検出器になり、逆の場合も同様である。
【0031】
基材が金属シートからなるとき、この入口検出器15及び28と出口検出器16及び29は、例えば問題の処理ゾーン内に存在するシートの面積を求めるためにシートの幅を測定することもできる。
【0032】
本発明の動作条件及び具体的な構成
a)処理中のガス圧力の制御
エアロック2及び6が、処理ゾーン3、4及び5内に行きわたるアルゴン圧力よりも低い圧力でないとき、これら入口エアロック2及び出口エアロック6の気密ドア14を用いてこれらの処理ゾーンを隔離することによって、設備の処理ゾーン3、4、及び5内の一定ガス圧力を維持するために、マスター・プログラムが、気密ドア14、並びにそれぞれの真空容器に接続される真空ポンプ30のスイッチのオン、オフ切り替えを制御する。一般に、アルゴンはこれらのゾーン内に0.05〜5Paの圧力で、好ましくはほぼ0.5Paの圧力で存在する。
【0033】
b)製造中の移動システム
この移動システムは、真空エアロック2及び6の入場及び出場のための迅速前進速度である搬送速度と、亜鉛めっきのためのより遅い処理速度との2つの異なる速度範囲の存在によって特徴付けられる。これは、真空エアロック内への入場及び出場時間を限定することによって十分な生産性を確実にするために不可欠である。この搬送速度は、過渡的な影響を限定するために処理速度よりも大きい。一般に、処理速度は30m/分よりも小さく、搬送速度は20m/分よりも大きい。
【0034】
基材の前進は、全処理サイクル中に基材が移動する経路上に設置される基材存在検出器によって制御され、マスター・プログラムによって制御される。基材が移動することを可能にする各真空密封ドア14の上流及び下流に少なくとも1台の基材存在検出器があり、少なくとも1台の基材存在検出器がゾーン3、4及び5内の処理機器の各品目の上流15、別に28と、下流16、別に29にある。上流及び下流検出器によって伝達される信号を気密ドア14又は処理機器の品目に対して監視することによって、基材の通過の開始及び終了を決めることができる。
【0035】
マスター・プログラムによって制御される基材の前進は、入口エアロック2及び出口エアロック6と処理ゾーン3、4及び5との間の気密隔離ドア14開口に依存し、それ自体設備のこれらの処理ゾーン3、4及び5内に広く行きわたるガス圧力の測定値に依存する。
【0036】
c)処理機器の従属化
処理機器の各品目は、プラズマ処理装置の上流15及び別に28に設置される少なくとも1台の基材存在検出器と、プラズマ処理装置の下流16及び別に29に設置される少なくとも1台の基材存在検出器による基材の検出を介して、基材の前進に従属させられる。
【0037】
d)処理機器の制御
各処理装置9、19及び20は、前記装置の上流及び下流に設置される検出器によって伝達される信号に従って処理装置の始動、処理のために供給されるプラズマに連結される電力の増加、維持、且つ減少を制御し、最終的にそれのスイッチ切りを制御するこの処理装置に固有のスレーブ・プログラムによって制御される。プラズマに連結される電力は、入口検出器15又は別に28のみが作動されるとき、入口すなわち上流と、出口すなわち下流の検出器との間に位置する基材の面積に比例して増加する。プラズマに連結される電力は、2基の検出器15及び16又は別に28及び29が基材によって作動しているときは基準値になる。プラズマに連結される電力は、基材の移動に対して下流の、出口検出器16又は別々に29のみが作動するとき、2台の検出器の間に位置する基材の面積に比例して減少する。この基材存在検出器は、それが機械式、磁気式、電気式又は光学式であろうが、任意の原理に従って機能することができる。
【0038】
e)プラズマ亜鉛めっきユニットを制御するためのスレーブ・プログラムの具体的な機能
図4を参照し、プラズマ亜鉛めっき装置19又は20を考慮すると、プラズマ亜鉛めっき装置19又は20を制御するためのスレーブ・プログラムは以下の機能を含む。
・液体亜鉛の蓄えを貯蔵する炉22を収容する真空容器21内のガス圧力に作用することによって、坩堝23の底部に出る供給チューブ24を介して、坩堝23内の液体亜鉛の液量を、例えば重量測定、電気的な接触又は光学的な測定などの任意の手段によって制御し、維持する機能。
・壁内への液体又は固体形態でのどのような亜鉛の凝縮も防止するために、閉じ込めチャンバ25の内部壁を通常400℃〜500℃である、最小限の一定温度に維持する機能。
・坩堝23に接続される電力供給を介して亜鉛蒸気内に形成されるプラズマに連結される電力を、入口検出器28及び出口検出器29によって提供される以下の方式で制御する機能。
−入口検出器28及び出口検出器29が作動していない限り、電力供給部は閉じ込めチャンバ25でプラズマを発生させるためのどのような電力も供給しない、又はより一般には最小限の電力しか供給しない。
−入口検出器28が基材の存在によって作動するとき、プラズマに連結され、電力供給部によって供給される電力を、入口検出器28及び対応する出口検出器29が作動するとき供給部によって供給される一定の基準電力に到達するように、閉じ込めチャンバ25内に収容される基材の面積に比例して増加させる。
−入口検出器が基材によって作動するのを中止するとき、プラズマに連結される電力を閉じ込めチャンバ25内に収容される基材の面積に比例して漸次減少させる。
−入口検出器28及び出口検出器29の両方が非作動のとき、供給部が最早どのような電力も供給しない、又はより一般には最小限の電力しか供給しない。
【0039】
基材が第2の亜鉛めっき装置20から第1の亜鉛めっき装置19に移動する場合は、プラズマ亜鉛めっき装置に対してこの場合は入口検出器28が出口検出器になり、出口検出器29が入口検出器になるので、この処理は2基の検出器28及び29に対して逆になる。
【0040】
実際的な用途の実例
図1から図4に示すような設備によって、長い鋼基材をプラズマ亜鉛めっきすることができる。この設備は、導入ゾーン1内の基材装荷テーブル31と、入口真空エアロック2と、常にアルゴンの0.005ミリバールに維持される、基材を処理するためのゾーン3、4及び5と、出口真空エアロック6と、出口ゾーン7に基材を排出するためのテーブル32とを備える。
【0041】
基材を設備内に入れ設備から出すための2つの入口真空エアロック2と出口真空エアロック6との間に設置される処理ゾーンは、亜鉛堆積物の良好な接着を与えるためにイオン照射によって鋼基材の表面を活性化し、どのような表面酸化物又は汚染物も除去するための処理ゾーン3を備える。この処理ゾーン3に、拡散ポンプ30を装備する搬送及び高真空ポンプ汲み出し容器10、第1のプラズマ亜鉛めっき容器11と、第2の搬送及びポンプ汲み出し容器12と、最後に第2のプラズマ亜鉛めっき容器13が続く。この第2のプラズマ亜鉛めっき容器13は、気密ドア14を介して出口真空エアロック6に連結される。これらの処理ゾーンは、真空エアロック2又は6内に広く行きわたる残留空気圧力が10−4ミリバールよりも大きいとき、気密ドア14によって入口真空エアロック2及び出口真空エアロック6から特に隔離される。この搬送システムはモーター駆動ローラー17の列からなり、基材は導入ゾーン1から出口ゾーン7に向かって設備を通り搬送される。
【0042】
この設備は、装荷テーブル1上にまとめて置かれるとき、最大12m長のコンクリート・バー及びガーダーなどの、長い基材を処理するように設計される。したがって、この基材は、互いに並んで延びるいくつかの製品からなる。バッチ当たり亜鉛めっきすることのできる鋼の重量は、処理される基材の幾何学的形状及び求められる亜鉛層の厚さに応じて、通常500kg〜1300kgである。
【0043】
この処理手順は以下のステップを含む。
・基材を装荷テーブル31上に装荷するステップ、
・気密ドア14を閉じることによって処理ゾーン3、4及び5を入口真空エアロック2から隔離するステップ、
・再度雰囲気に入口真空エアロック2を開口するステップ、
・入口ゾーン1に隣接する入口エアロック2の外部気密ドア14を開くステップ、
・基材を60m/分の搬送速度で入口真空エアロック2の底部まで導入し、負荷存在検出器33を用いて入口エアロック2の端部のところの負荷の頭を検出することによって、ローラー17の床を停止させるステップ、
・入口真空エアロック2の外部気密ドア14を閉じるステップ、
・入口真空エアロック2を高真空下に置くステップ、
・入口真空エアロック2と第1の処理ゾーン3の間の中間気密ドア14を開口させるステップ、
・処理すべき負荷を9m/分のその処理速度で前進させるステップ、
・入口検出器15及び出口検出器16によって作動する第1の処理ゾーン3内で表面のプラズマ活性化処理を行うステップ、
・入口検出器28及び出口検出器29によって作動する亜鉛めっき装置19内でプラズマ蒸発亜鉛めっき処理を行うステップ、
・対応する入口検出器28及び出口検出器29によって作動する第2の亜鉛めっき装置20内でプラズマ蒸発亜鉛めっき処理を行うステップ、
・基材が出口真空エアロック6の端部で検出されるとき、第2の亜鉛めっき装置20とこの出口真空エアロック6の間の気密ドア14を再度閉じるステップ、
・出口真空エアロック6を大気に再度開口するステップ、
・大気圧力が出口真空エアロック6内に到達するとき、このエアロック6の外部気密ドアを開口するステップ、
・排出テーブル32の端部が排出ゾーン7内で検出されるまで、基材を60m/分の搬送速度で出口真空エアロック6から運び出すステップ、
・基材を排出テーブル32から排出するステップ、
・出口真空エアロック6の外部気密ドア14を閉じるステップ、
・出口真空エアロック6を高真空に置くステップ、および
・出口真空エアロック6と第2の亜鉛めっき装置20の間の内部気密ドア14を開口するステップ。
【0044】
60m/分の搬送速度では処理すべき基材を入口真空エアロック2内に導入するのに掛かる時間、又は基材が出口真空エアロック6から放電テーブル32への出る時間は、約12秒のみであり、一方9m/秒の処理速度での入口真空エアロック2からの開放の時間は約80秒である。この設備では、出口真空エアロック6での新たなサイクルのための3.41分に対して、入口真空エアロック2内での新たなサイクルのための時間は4分である。したがってこの設備の生産性を時間当たり約19トンに限定するのは、入口真空エアロック2の動作サイクルの時間に対応するより長い時間である。
【0045】
この実際的な実例は、待ち時間を減少させ、設備の生産性を増加させるために、最高の考え得る搬送速度で作動する利点を示す。
【0046】
装荷テーブル31は、開放されるや否や装荷することができる。負荷が入口真空エアロック2内に検出されないとき、入口真空エアロック2は隔離され大気圧に再度置かれる。同じ原理が出口真空エアロック6に適用され、各処理ユニットの上流及び下流の入口検出器及び出口検出器によってスレーブ・プログラムを介して、処理のために必要な電力の制御が可能になり、このシステムは、工程の管理が設備の様々な処理装置の上流及び下流での基材の検出によって決まるので、設備の全ての移動及び工程の集中化された制御を必要とせずに、入口真空エアロック2を開放するための時間によって決まるその最大生産量とテーブル31の装荷によって限定されるより低い生産量との間で機能することができる。
【0047】
設備が生産のための準備ができた後、処理ゾーン3、4及び5内で0.005ミリバールの基準アルゴン圧力に到達し、2つのプラズマ亜鉛めっきユニット19及び20の坩堝23に液体亜鉛が供給されるとき、マスター・プログラムは、真空下に置き、入口真空エアロック2及び出口真空エアロック6を再度大気へ開口させ、並びにそれぞれ60m/分の搬送速度及び9m/分の処理速度で入口真空エアロック2から活性化容器8へ、亜鉛めっき装置20から出口真空エアロック6へ、及び処理ゾーン3、4及び5の間で基材を搬送する手順を行いながら、装荷テーブル31から放電テーブル32への処理すべき基材の通過をできる限り迅速に制御する。
【0048】
この活性化ゾーン3は、無線周波数(RF)発電機によって供給される誘導プラズマ源と、直流(DC)発電機を用いて、誘導源によって発生したアルゴンイオンを基材の表面に向かって加速させる、誘導源に対面するアノードから構成される基材のプラズマ活性化のための装置を備える。このプラズマ活性化装置は、アルゴンの5×10−3ミリバールの圧力が活性化容器8内で到達するときに、基材が入口検出器15及び出口検出器16を通り過ぎるとき、以下の論理シーケンスを介して制御される。
もし(「検出器15」=ON、且つ「検出器16」=OFF)なら、
RF電力をONにし、
DC電力を傾斜的に上昇させる
そうでない場合、もし(「検出器15」=ON、且つ「検出器16」=ON)なら、
RF電力をONにし、
DC電力を基準値にする
そうでない場合、もし(「検出器15」=OFF、且つ「検出器16」=ON)なら
RF電力をONにし、
DC電力を傾斜的に下降させる
そうでない場合、もし(「検出器15」=OFF、且つ「検出器16」=OFF)なら
DC電力をOFFにし、
RF電力をOFFにする。
【0049】
5×10−3ミリバールのアルゴン圧力が亜鉛めっきゾーン4の亜鉛めっき容器11内で到達し、閉じ込めチャンバ25の内部壁が500℃であり、さらに坩堝23に液体亜鉛が供給されているとき、プラズマ亜鉛被覆装置19は、基材が入口検出器28及び出口検出器29を通過するとき以下の論理シーケンスを介して制御される。
もし(「検出器28」=ON、且つ「検出器29」=OFF)なら
「坩堝23」のZnレベルを制御し、
プラズマ電力を傾斜的に上昇させる
そうでない場合、もし(「検出器28」=ON、且つ「検出器29」=ON)なら
「坩堝23」のZnレベルを制御し、
プラズマ電力を基準値にする
そうでない場合、もし(「検出器28」=OFF、且つ「検出器29」=ON)なら
「坩堝23」のZnレベルを制御し、
プラズマ電力を傾斜的に下降させる
そうでない場合、もし(「検出器28」=OFF、且つ「検出器29」=OFF)なら
プラズマ電力を最小限の値にする
【0050】
「最小限の値」はある場合には電力供給の完全な、簡単な切断を意味する可能性があることに留意されたい。全ては坩堝23内に収容される液体亜鉛の温度を、それが固化するのを防止するために維持するのに必要な電力によって決まる。一般に、閉じ込めチャンバ25の高温の壁によって放射される出力で十分であり、この場合電力供給は切断(プラズマ電力OFFに)することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材を少なくとも1つのプラズマ処理ゾーン(3、4、5)を次々に通って移動させる、1つ又は複数の鋼製品を含む基材を連続してプラズマ処理するための方法において、前記基材が前記プラズマ処理ゾーン(3、4、5)を通過する際に、前記プラズマ処理ゾーン(3、4、5)内でプラズマを発生させるために供給される電力を、前記プラズマ処理ゾーン(3、4、5)内に存在する前記基材の面積に応じて変化させることを特徴とする、基材を連続してプラズマ処理するための方法。
【請求項2】
前記基材が前記プラズマ処理ゾーン(3、4、5)に入る際にプラズマを前記プラズマ処理ゾーン内で発生させ、前記製品が前記プラズマ処理ゾーン(3、4、5)を出る際にプラズマを非活性化させることを特徴とする、請求項1に記載された基材を連続してプラズマ処理するための方法。
【請求項3】
前記基材が前記基材の搬送方向に前記プラズマ処理ゾーン(3、4、5)の全長に沿って延在するときの基準動作電力に到達するまで、前記プラズマ処理ゾーン(3、4、5)内でプラズマを発生させる前記電力を、前記プラズマ処理ゾーン(3、4、5)に入る前記基材の面積に比例して増加させることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載された基材を連続してプラズマ処理するための方法。
【請求項4】
前記製品が前記プラズマ処理ゾーンを出る際に、最小限の動作電力に到達するまで、または前記基材が前記プラズマ処理ゾーン(3、4、5)を完全に出たときに、発生した前記プラズマへの前記電力の供給が切断されるまで、前記プラズマ処理ゾーン(3、4、5)内に存在する前記基材の前記面積に比例して前記プラズマを発生させる前記電力を減少させることを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載された基材を連続してプラズマ処理するための方法。
【請求項5】
前記プラズマ処理ゾーン(3、4、5)内へ前記基材が入ったこと及び前記プラズマ処理ゾーン(3、4、5)から前記基材が出たことを検出すること、並びに、
前記基材の検出に基づいて、前記プラズマを発生させる前記電力を、前記プラズマ処理ゾーン(3、4、5)内に存在する前記基材の面積に応じて制御することを特徴とする、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載された基材を連続してプラズマ処理するための方法。
【請求項6】
前記プラズマ処理ゾーン(3、4、5)内の前記基材の前記処理を、前記プラズマ処理ゾーン(3、4、5)内へ前記基材が入ったことの検出、及び前記プラズマ処理ゾーン(3、4、5)から前記基材が出たことの検出によって発生する信号に基づいてスレーブ・プログラムによって独立に制御し、該スレーブ・プログラムが、前記プラズマ処理ゾーン(3、4、5)内でのプラズマの発生に先立って必要とされる物理的な条件が達成されるとき、マスター・プログラムによって送られる信号に依存することを特徴とする、請求項5に記載された基材を連続してプラズマ処理するための方法。
【請求項7】
前記基材を第1のプラズマ処理ゾーン(3)を通り、続いて少なくとも1つの第2のプラズマ処理ゾーン(4、5)を通って移動させ、前記第1のプラズマ処理ゾーン(3)の中で前記基材の前記表面をイオン照射によって活性化し、前記第2のプラズマ処理ゾーン(4、5)の中で、前記基材をプラズマによって蒸発した亜鉛の凝縮によって前記基材の前記表面を被覆することを特徴とする、請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載された基材を連続してプラズマ処理するための方法。
【請求項8】
前記基材が移動するときの前記第2のプラズマ処理ゾーン(4、5)内に存在する前記基材の面積に応じて、前記第2のプラズマ処理ゾーン(4、5)内で電力を前記プラズマに供給し、前記電力が前記プラズマから前記第2の処理ゾーン(4、5)内に存在する液体亜鉛の表面上に放出されるイオンの照射によって消散されることを特徴とする、請求項7に記載された基材を連続してプラズマ処理するための方法。
【請求項9】
前記基材を、入口真空エアロック(2)及び出口真空エアロック(6)を介して、前記プラズマ処理ゾーン(3、4、5)に移動させ、および前記プラズマ処理ゾーン(3、4、5)から移動させることを特徴とする、請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載された基材を連続してプラズマ処理するための方法。
【請求項10】
前記基材を、前記プラズマ処理ゾーン(3、4、5)内での前記基材の処理速度によって決まる、前記処理速度よりも大きな搬送速度で、前記入口真空エアロック(2)内に導入し、前記出口真空エアロック(6)から離れさせることを特徴とする、請求項9に記載された基材を連続してプラズマ処理するための方法。
【請求項11】
1つ又は複数の鋼製品を含む基材を連続的にプラズマ処理する設備であって、処理ゾーンが設けられたチャンバを有する少なくとも1つのプラズマ処理装置(9、19、20)と、前記基材を前記プラズマ処理装置(9、19、20)の前記処理ゾーンを通過させる搬送手段(17)とを有する設備において、
検出器(15、16、28、29)が前記処理装置(9、19、20)の入口及び出口に設けられ、前記検出器(15、16、28、29)が、前記基材が前記処理ゾーンを通過する際に前記処理ゾーン内に存在する前記基材の面積に応じて前記処理ゾーン内にプラズマを発生させるために設けられた電力供給部にスレーブ・プログラムを用いて協働することを特徴とする、設備。
【請求項12】
前記基材の表面を活性化させるためのプラズマイオン源を有する真空容器(8)を有する第1の処理装置(9)と、それに続く、前記基材を亜鉛めっきするための亜鉛めっき真空容器(11、13)を有する少なくとも1つの第2の処理装置(19、20)とを備えることを特徴とする、請求項11に記載された設備。
【請求項13】
気密ドア(14)によって前記第1の処理装置(9)の前記真空容器(8)から分離された入口真空エアロック(2)が前記第1の処理装置(9)の上流に設けられ、前記基材の入場を検出する検出器(15)が前記第1の処理装置(9)の前記処理ゾーンの上流の前記真空容器(8)内に設けられ、前記基材の出場を検出する検出器(16)が前記処理ゾーンの下流の前記真空容器(8)内に設けられることを特徴とする、請求項12に記載された設備。
【請求項14】
前記入口真空エアロック(2)が、前記気密ドア(14)の反対側に、前記基材が到着したことを検出するための検出器(33)を備えることを特徴とする、請求項13に記載された設備。
【請求項15】
前記第2の処理装置(19、20)の前記亜鉛めっき真空容器(10、13)が、
液体亜鉛を収容する坩堝(23)が存在する前記亜鉛蒸気の閉じ込めるチャンバ(25)と、
前記処理ゾーンの前記閉じ込めチャンバ(25)内で、前記坩堝(23)内に収容された液体亜鉛の表面上のプラズマのエネルギーの消散によって亜鉛蒸気の形成を可能にする、前記プラズマを発生させる手段と、
前記閉じ込めチャンバ(25)の上流で前記亜鉛めっき真空容器(11、13)内に設けられた、前記基材の入場を検出する検出器(28)と、
前記チャンバ(25)の下流で、前記真空容器(11、13)内に設けられた前記基材の出場を検出する検出器(29)と
を備えることを特徴とする、請求項12から請求項14までのいずれか一項に記載された設備。
【請求項16】
前記坩堝(23)に、前記亜鉛めっき真空容器(11、13)から分離された真空容器(21)内に設置された炉(22)からチューブ(24)を用いて液体亜鉛が供給され、前記炉(22)が、少なくとも部分的に溶融状態に維持された亜鉛を収容し、前記炉(22)内に前記チューブ(24)の端部が浸漬されるようになっていることを特徴とする、請求項15に記載された設備。
【請求項17】
前記亜鉛めっき真空容器(11、13)に気密ドア(14)によって前記亜鉛めっき容器(11、13)から分離された出口真空エアロック(6)が続くことを特徴とする、請求項12から請求項16までのいずれか一項に記載された設備。
【請求項18】
前記出口真空エアロック(6)が、前記第2の処理装置(19、20)の前記気密ドア(14)を通って、前記基材が完全に通過することを検出するための検出器を備えることを特徴とする、請求項17に記載された設備。
【請求項19】
前記基材を前記第1の処理装置及び第2の処理装置の前記処理ゾーンを通り移動させるための手段を有する搬送容器(10、12)が、前記第1の処理装置(9)と前記第2の処理装置(19、20)の間に設けられることを特徴とする、請求項12から請求項18までのいずれか一項に記載された設備。
【請求項20】
前記亜鉛めっき真空容器(11、13)を通って前記基材を通過させるための駆動手段(17)を有する搬送容器(10、12)が、前記亜鉛めっき真空容器(11、13)に先行し、又は前記亜鉛めっき真空容器(11、13)の後に続くことを特徴とする、請求項12から請求項19までのいずれか一項に記載された設備。
【請求項21】
前記真空容器(8、10、11、12、13)が、前記容器の内部に設けられた機器へのアクセスを可能にするために完全に取り外す又は上昇させることができる、問題の前記容器のベル形状の頂部が配置されるテーブルを備えることを特徴とする、請求項12から請求項20までのいずれか一項に記載された設備。
【請求項22】
前記亜鉛めっき真空容器(11、13)がチューブ(18)の形態の柔軟な気密接続部によって1つ又は複数の隣接する真空容器(10、12)に接続され、前記基材を連続する前記真空容器の間で前記接続部を通過させることができることを特徴とする、請求項12から請求項21までのいずれか一項に記載された設備。
【請求項23】
前記プラズマ処理装置(9、19、20)内にプラズマを作り出すに先立って必要とされる物理的な条件の存在によって前記基材の通過を制御するマスター・プログラムと、
各プラズマ処理装置と関連させ、前記マスター・プログラムに依存するスレーブ・プログラムと
を備え、前記スレーブ・プログラムが、前記入口検出器(15、28)が前記基材を検出し、前記出口検出器(16、29)によって前記基材が検出されないとき、前記基材の面積に比例して前記プラズマに連結される前記電力が増加するように、且つ前記入口検出器(15、28)及び前記出口検出器(16、29)が前記基材を検出するとき、前記電力が基準値になるように、かつ前記出口検出器(16、29)のみが前記基材の存在を検知するとき、前記入口検出器(15、28)と出口検出器(16、29)の間に位置する前記基材の前記面積に比例して前記電力が減少するように、前記入口検出器(15、28)及び出口検出器(16、29)からの信号に従って、前記プラズマを発生させる前記電力を調節するために前記入口検出器(15、28)及び出口検出器(16、29)と協働することを特徴とする、請求項11から請求項22までのいずれか一項に記載された設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−503358(P2011−503358A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533547(P2010−533547)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【国際出願番号】PCT/EP2008/065168
【国際公開番号】WO2009/065745
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(510112165)インダストリアル プラズマ サービシーズ アンド テクノロジーズ − イーペーエステー ゲーエムベーハー (3)
【Fターム(参考)】