説明

プリント配線基板、プリント配線基板の実装構造、リード部品の実装構造およびプリント配線基板実装方法

【課題】プリント配線基板に実装するリード部品の実装時にプレスフィット工法、半田付け工法のいずれを用いてもプリント配線基板の設計変更なく対応可能なプリント配線基板を提供する。
【解決手段】プリント配線基板1のスルーホール11の断面形状を楕円穴形状とし、リード部品のリード12を、一方の端部に押圧面を、また、中央部に扁平に張り出した張り出し部12aを有する形状とし、かつ、張り出し部12aの長辺aの長さが、楕円穴形状のスルーホール11の短辺方向の内径dに略等しく、かつ、リード12が回転可能な状態でリード部品に取り付けられる。実装時に、リード部品の実装工法に応じてリード12を回転させてスルーホール11内に挿入する。例えば、プレスフィット工法を用いて実装する場合、リード12の張り出し部12aの長辺の方向がスルーホール11の短辺方向に一致するように位置合わせし、リード12をスルーホール11内に圧入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線基板、プリント配線基板の実装構造、リード部品の実装構造およびプリント配線基板実装方法に関し、特に、リード部品などが実装されたプリント配線基板の実装工程に好適に適用することができる。
【背景技術】
【0002】
一般的に、回路間を接続するための回路パターンがプリントされたプリント配線基板において、コネクタ等のリード部品のリードをスルーホール内に挿入することにより該リード部品をプリント配線基板に実装する際のリード部品の実装工法としては、例えば特許文献1の特開2006−324057号公報「プリント基板へのプレスフィット端子の圧入方法および圧入装置」に記載されているようなプレスフィット工法と、例えば特許文献2の特開2008−091362号公報「プリント回路板およびプリント回路板の製造方法」に記載されているような半田付け工法との2種類に大別される。プレスフィット工法は、リード部品のプレスフィット用のリードをプリント配線基板のスルーホールに圧入することによって実装する実装工法であり、一方の半田付け工法は、リード部品のリードをプリント配線基板のスルーホールに挿入した後、半田付けすることにより実装する実装工法である。
【0003】
ここで、リード部品のリードやプリント配線基板のスルーホールは、前述の2種類の実装工法に適した形状および寸法となっており、2種類の実装工法の間で共用することはできない。
【0004】
つまり、リード部品をプリント配線基板へ実装する場合は、設計段階で最初に決められたリード部品の実装工法に合わせて、プリント配線基板のスルーホール部それぞれを異なる形状や寸法に設計する。したがって、リード部品の実装工法が異なると、リード部品のリードやスルーホールのサイズや形状が異なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−324057号公報(第6−8頁)
【特許文献2】特開2008−091362号公報(第4−5頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のように、一般に、リード部品の実装工法が異なると、リード部品のリードやスルーホールのサイズや形状が異なるため、プリント配線基板のスルーホール部の設計は、リード部品の実装工法に合わせて実施されている。したがって、最初に決定したリード部品の実装工法以外では、リード部品をプリント配線基板に実装することができず、生産数量の増加などによる生産ラインの変更等に対応するためには、リード部品の実装工法に合わせた生産治具を新たに用意しなければならず、生産準備の柔軟性に欠けるといった課題がある。
【0007】
具体的には、急激な生産増に対応して、例えば、プレスフィット用のリード部品をプレスフィット工法で実装するプリント配線基板を増産する場合、当該プレスフィット工法用の生産ラインを追加することが必要である。つまり、プレスフィット工法専用に設計されたプリント配線基板に対して、プレスフィット用のリードを有するリード部品を実装しようとする場合は、プレスフィット工法専用の生産治具(プレス機など)を用いないと、リード部品のリードをプリント配線基板のスルーホールに圧入することができなくなっている。このため、プレスフィット工法に用いる生産治具(例えばプレス機など)の準備に時間がかかり、柔軟な生産対応を行うことができないといった課題がある。
【0008】
(本発明の目的)
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、プリント配線基板へ実装されるリード部品の実装工法として、プレスフィット工法、半田付け工法のいずれの場合であっても、プリント配線基板の設計変更なく対応することが可能なプリント配線基板、プリント配線基板の実装構造、リード部品の実装構造およびプリント配線基板実装方法を提供することを、その目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の課題を解決するため、本発明によるプリント配線基板、プリント配線基板の実装構造、リード部品の実装構造およびプリント配線基板実装方法は、次のような特徴的な構成を採用している。
【0010】
(1)本発明によるプリント配線基板は、回路間を接続するための回路パターンがプリントされるとともに、リード部品を実装するために該リード部品のリードを挿入するスルーホールを有するプリント配線基板であって、前記スルーホールは、断面が楕円穴形状からなり、前記リード部品のリードが、一方の端部に平面形状の押圧面を有するとともに、中央部に一方向に扁平に張り出した張り出し部を有する形状からなり、かつ、前記張り出し部の長辺の長さが、楕円穴形状の前記スルーホールの短辺方向の内径に略等しく、かつ、該リードが回転可能な状態で前記リード部品に取り付けられていることを特徴とする。
【0011】
(2)本発明によるプリント配線基板の実装構造は、回路間を接続するための回路パターンがプリントされるとともに、リード部品を実装するために該リード部品のリードを挿入するスルーホールを有するプリント配線基板の実装構造であって、前記スルーホールは、断面が楕円穴形状からなり、楕円穴形状の前記スルーホールの短辺方向の内径が、前記リード部品のリードの中央部に一方向に扁平に張り出して形成された張り出し部の長辺の長さに略等しいことを特徴とする。
【0012】
(3)本発明によるリード部品の実装構造は、回路間を接続するための回路パターンがプリントされるとともに、断面が楕円穴形状のスルーホールを有するプリント配線基板に対して、前記スルーホール内にリードを挿入することによって実装するリード部品の実装構造であって、前記リードが、一方の端部に平面形状の押圧面を有するとともに、中央部に一方向に扁平に張り出した張り出し部を有する形状からなり、かつ、前記張り出し部の長辺の長さが、楕円穴形状の前記スルーホールの短辺方向の内径に略等しく、かつ、該リードが回転可能な状態で取り付けられていることを特徴とする。
【0013】
(4)本発明によるプリント配線基板実装方法は、回路間を接続するための回路パターンがプリントされるとともにスルーホールを有するプリント配線基板に対して、前記スルーホールにリード部品のリードを挿入することによって該リード部品を実装するプリント配線基板実装方法であって、前記スルーホールは、断面が楕円穴形状からなり、前記リード部品のリードが、一方の端部に平面形状の押圧面を有するとともに、中央部に一方向に扁平に張り出した張り出し部を有する形状からなり、かつ、前記張り出し部の長辺の長さが、楕円穴形状の前記スルーホールの短辺方向の内径に略等しく、かつ、該リードが、回転可能な状態で前記リード部品に取り付けられていて、前記リード部品の実装時に、前記リード部品を実装する実装工法に応じて、該リードを、任意の角度で回転させた状態で、前記プリント配線基板の楕円穴形状の前記スルーホールに挿入することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のプリント配線基板、プリント配線基板の実装構造、リード部品の実装構造およびプリント配線基板実装方法によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0015】
つまり、本発明によれば、プリント配線基板へ実装されるリード部品の実装工法として、プレスフィット工法、半田付け工法のいずれを適用する場合であっても、プリント配線基板の設計変更を行うことなく、リード部品をプリント配線基板へ実装して、必要とするプリント配線基板を生産することができるので、プリント配線基板の生産調整を行う際に、現在保有している生産治具の状況を考慮することなく、柔軟に対応することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るプリント配線基板の実装構造およびリード部品の実装構造の一例を示す断面図である。
【図2】プレスフィット工法を適用した場合の図1に示すプリント配線基板の実装構造およびリード部品の実装構造の一例を示す断面図である。
【図3】半田付け工法を適用した場合の図1に示すプリント配線基板の実装構造およびリード部品の実装構造の一例を示す断面図である。
【図4】図1に示すプリント配線基板の実装構造およびリード部品の実装構造においてリード部品のリードをプリント配線基板のスルーホールへ実装する際の実装手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明によるプリント配線基板、プリント配線基板の実装構造、リード部品の実装構造およびプリント配線基板実装方法の好適な実施形態について添付図を参照して説明する。
【0018】
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要をまず説明する。本発明は、プリント配線基板へ実装されるリード部品の実装工法として、プレスフィット工法および半田付け工法のいずれを用いている場合であっても、プリント配線基板の設計の変更を行うことなく、プリント配線基板にリード部品を実装することを可能とするプリント配線基板の実装構造とリード部品の実装構造とを実現していことを特徴とする。
【0019】
(実施形態の構成例)
本発明に係るプリント配線基板の実装構造およびリード部品の実装構造について、その一例を、図1を用いて詳細に説明する。図1は、本発明に係るプリント配線基板の実装構造およびリード部品の実装構造の一例を示す断面図であり、プレスフィット工法と半田付け工法との双方に対応することが可能なプリント配線基板のスルーホールとリード部品のリードとのそれぞれの構造の一例を示している。
【0020】
図1に示すように、プリント配線基板1のスルーホール11に実装されるリード部品のリード12は、プレスフィット用として、一方の端部に圧力を加えるための平面形状の押圧面を有するとともに、中央部には一方向に扁平に張り出した張り出し部12a(断面が長辺aと短辺bとの矩形状の構造を有する部位)を有し、かつ、リード部品のプリント配線基板への実装時に90度回転することが可能な構造を有している。
【0021】
一方、プリント配線基板1に形成されるスルーホール11は、該スルーホール11に実装されるプレスフィット用のリード12の寸法、形状に合わせて設計され、断面が長手方向の内径c、短手方向の内径dの楕円穴形状からなっている。ここで、プレスフィット用のリード12の中央部に位置する扁平な形状の張り出し部12aの長辺aは、断面が楕円穴形状のスルーホール11の短手方向の内径dと略等しく、長手方向の内径cよりも短い寸法であり、また、張り出し部12aの短辺bは、スルーホール11の長手方向の内径c、短手方向の内径dのいずれよりも短い寸法である。
【0022】
なお、リード部品のリード12をプリント配線基板1のスルーホール11内に実装する際に、適用しようとするリード部品の実装工法に応じて、リード12の張り出し部12aの長辺方向(長辺寸法a)をスルーホール11の短手方向(短手方向の内径寸法d)に合わせた状態に位置合わせして、リード12をスルーホール11内に圧入したり、あるいは、リード12の張り出し部12aの長辺方向(長辺寸法a)をスルーホール11の短手方向に合わせた状態からスルーホール11の長手方向(長手方向の内径寸法c)に達するまでリード12を90度回転させてから、リード12をスルーホール11内に緩挿したりすることが可能である。
【0023】
また、プリント配線基板1の表裏両面のスルーホール11周辺およびスルーホール11内の側壁には、リード部品やリード部品のリード12との電気的な接続を行うためのランド13が形成されている。
【0024】
かくのごとき実装構造を有するプリント配線基板1において、例えば、リード部品のリード12のスルーホール11への実装工法として、プレスフィット工法を適用する場合は、リード12の長辺方向がスルーホール11の短手方向に向くように回転させることなく(回転角0度のままにして)、リード12とスルーホール11との双方の位置合わせを行う。かかる状態では、リード12の中央部に位置する張り出し部12aの長辺aがスルーホール11の短手方向の内径dに略等しいので、リード部品のリード12に圧力をかけて、リード12をスルーホール11内に押し込んでいくことによって、リード12の長辺方向とスルーホール11内のランド13が密着して電気的に接続された状態になる。
【0025】
一方、リード部品のリード12のスルーホール11への実装工法として、半田付け工法を適用する場合は、リード12の長辺方向がスルーホール11の長手方向に向くようにリード12を90度回転させた状態にして、リード12とスルーホール11との双方の位置合わせを行う。かかる状態では、リード12の長辺aがスルーホール11の長手方向の内径cよりも小さく、かつ、リード12の短辺bがスルーホール11の短手方向の内径dよりも小さいので、スルーホール11側壁のランド13と挿入するリード12との間には空隙が生じる状態にある。したがって、リード12をスルーホール11側壁のランド13内に緩挿した後、半田を流し込むことによって、リード12とスルーホール11とがスルーホール11内のランド13を介して電気的に接続された状態になる。
【0026】
かくのごとき実装構造を用いることによって、リード部品の実装工法としてプレスフィット工法または半田付け工法のいずれを適用する場合であっても、プリント配線基板1の設計変更を行うことなく、リード部品の実装工法に応じて、リード部品のリード12を回転角0度のままにしたり、90度回転させたりすることにより、実装することが可能になる。このため、例えば、プレスフィット用の生産治具を備えていなく、半田鏝しか保有していない生産ラインであっても、リード部品のリード12をプリント配線基板1のスルーホール11に実装して電気的に接続することができる。
【0027】
次に、リード部品がコネクタの場合を例に採って、リード部品のリード12とプリント配線基板1のスルーホール11とのそれぞれの実装構造の具体例について、2種類のリード部品の実装工法に対応付けて、図2および図3を用いてさらに説明する。図2は、プレスフィット工法を適用した場合の図1に示すプリント配線基板の実装構造およびリード部品の実装構造の一例を示す断面図であり、図3は、半田付け工法を適用した場合の図1に示すプリント配線基板の実装構造およびリード部品の実装構造の一例を示す断面図である。ここで、図2、図3のいずれも、前述のように、リード部品としてコネクタ14を用いる場合について示している。
【0028】
まず、図2を用いて、リード部品のコネクタ14をプレスフィット工法によってプリント配線基板1に実装する場合について説明する。図2において、まず、コネクタ14のリード12とプリント配線基板1のスルーホール11との位置合わせをした後、リード12を回転させることなく(回転角0度のままにして)、コネクタ14のリード12の中央部において、図2中で左右に広がっている張り出し部12aの長辺方向がスルーホール11の短手方向に向いている状態のまま、プレスフィット工法を用いて、コネクタ14のリード12の押圧面に圧力をかけて、プリント配線基板1のスルーホール11内に圧入する。
【0029】
ここで、コネクタ14のリード12の中央部に位置する張り出し部12aの長辺aが、プリント配線基板1のスルーホール11の短手方向の内径dと略等しいので、かくのごとき圧入操作によって、コネクタ14のリード12の張り出し部12aの長辺方向の端部が、スルーホール11内のランド13に密着した状態のまま、押し込まれることになり、コネクタ14のリード12とプリント配線基板1のスルーホール11とが電気的に接続された状態になる。
【0030】
次に、図3を用いて、リード部品のコネクタ14を半田付け工法によってプリント配線基板1に実装する場合について説明する。図3において、まず、コネクタ14のリード12とプリント配線基板1のスルーホール11との位置合わせをした後、リード12を90度回転させて、コネクタ14のリード12の中央部において、図2中で左右に広がっていた張り出し部12aの長辺方向が図3中で上下方向のスルーホール11の長手方向に向く状態にして、コネクタ14のリード12をプリント配線基板1のスルーホール11内に緩挿する。
【0031】
リード12を90度回転させた状態においては、コネクタ14のリード12の中央部に位置する張り出し部12aの長辺aは、プリント配線基板1のスルーホール11の長手方向の内径cよりも短く、かつ、張り出し部12aの短辺bは、プリント配線基板1のスルーホール11の短手方向の内径dよりも短い。したがって、プレスフィット専用の生産治具(例えばプレス機)などを用いてリード部品のリード12に圧力を加えるようなことをしなくても、コネクタ14のリード12を、プリント配線基板1のスルーホール11内に容易に挿入することができる。しかる後、半田付け工法として、リード12の側壁とスルーホール11の側面との間に生じている空隙内に半田15を流し込んで、該空隙を半田15によって充填することによって、リード12とスルーホール11とが電気的に接続された状態になる。
【0032】
以上のように、本発明に係るプリント配線基板1の実装構造として、一方向に扁平に張り出した構造の張り出し部12aを中央部に有するプレスフィット用のリード12が90度回転することが可能な構造からなるリード部品(例えばコネクタ14)と、プレスフィット用のリード12の張り出し部12aの長辺aよりも長い長手方向の内径cと該張り出し部12aの長辺aに略等しい長さの短手方向の内径dとを有する楕円穴形状のスルーホール11を有するプリント配線基板1とを組み合わせた実装構造を採用しているので、生産ラインにおいてリード部品の実装工法用として現在保有している生産治具に合わせて、リード部品のリード12を回転角0度のままにしたり90度回転させたりしてリード12をスルーホール11内に実装することが可能であり、プレスフィット工法、半田付け工法のいずれの場合であっても、プリント配線基板1の設計変更を行うことなく、対応することが可能である。
【0033】
(実施形態の動作の説明)
次に、図1ないし図3に本発明の一例として示したプリント配線基板1の実装構造およびリード部品の実装構造において、リード部品(例えばコネクタ14)のリード12をプリント配線基板1のスルーホール11へ実装する際の実装手順について、図4に示すフローチャートの流れに沿って説明する。図4は、図1に示すプリント配線基板1の実装構造およびリード部品の実装構造においてリード部品(例えばコネクタ14)のリード12をプリント配線基板1のスルーホール11へ実装する際の実装手順の一例を示すフローチャートである。
【0034】
なお、図4のフローチャートの開始に先立って、初期状態として、リード部品(例えばコネクタ14)のリード12とプリント配線基板1のスルーホール11との位置合わせが完了し、かつ、リード12とスルーホール11との関係が、プレスフィット用のリード12の張り出し部12aの長辺方向とスルーホール11の短手方向とが同じ方向に向いて、プレスフィット工法に最適な位置関係になっている場合を例にとって示している。
【0035】
図4のフローチャートにおいて、リード部品(例えばコネクタ14)をプリント配線基板1に実際に実装する動作を開始する前に、当該リード部品の実装工法としてプレスフィット工法または半田付け工法の2種類のうちのいずれかを選択する(ステップS1)。
【0036】
リード部品の実装工法としてプレスフィット工法を選択した場合は(ステップS1の'プレスフィット工法'の場合)、実装するリード部品のリード12は回転させることなく、そのままの状態を保持する。つまり、プレスフィット用のリード12の張り出し部12aの長辺方向とスルーホール11の短手方向とが同じ方向に向いている状態を保持する。
【0037】
次いで、プリント配線基板1のスルーホール11内にリード部品のリード12を仮挿入した後(ステップS2)、プレス機などのプレスフィット専用の治具を用いて、リード部品(コネクタ14)を介してリード12の押圧面に圧力を加えながら、リード部品のリード12をプリント配線基板1のスルーホール11内に圧入する(ステップS3)。
【0038】
この結果、コネクタ14のリード12の中央部に位置する張り出し部12aの長辺aが、プリント配線基板1のスルーホール11の短手方向の内径dと略等しいので、コネクタ14のリード12の張り出し部12aの長辺方向の端部が、スルーホール11内の側壁に形成されたランド13に密着した状態で押し込まれていくことになり、コネクタ14のリード12とプリント配線基板1のスルーホール11とが電気的に接続された状態になり、リード部品のプリント配線基板1への実装が完了する(ステップS4)。
【0039】
一方、リード部品の実装工法として半田付け工法を選択した場合は(ステップS1の'半田付け工法'の場合)、リード部品の各リード12を90度回転させて、半田付け工法に最適な位置関係に合わせる。つまり、プレスフィット用のリード12の中央部に位置する張り出し部12aの長辺方向とスルーホール11の長手方向とが同じ方向に向いている状態に回転させた状態で固定する(ステップS5)。
【0040】
次いで、プリント配線基板1のスルーホール11内にリード部品のリード12を緩挿した後、リード12の中央部に位置する張り出し部12aをスルーホール11の中央付近にまで移動させて仮挿入する(ステップS6)。このとき、リード部品のリード12の中央部に位置する張り出し部12aの長辺方向は、プリント配線基板1のスルーホール11の内径の長手方向側に位置するようになっている。
【0041】
ここで、リード12を90度回転させた状態においては、コネクタ14のリード12の中央部に位置する張り出し部12aの長辺aは、プリント配線基板1のスルーホール11の長手方向の内径cよりも短く、かつ、張り出し部12aの短辺bは、プリント配線基板1のスルーホール11の短手方向の内径dよりも短い。したがって、プレスフィット専用の生産治具(例えばプレス機)などを用いて圧力を加えるようなことをしなくても、コネクタ14のリード12を、プリント配線基板1のスルーホール11に容易に挿入することができる。
【0042】
しかる後、半田鏝等を用いて、リード12の側壁とスルーホール11の側面に形成されたランド13との間に生じている空隙内に半田15を流し込んで、該空隙を半田15によって充填する(ステップS7)。
【0043】
この結果、リード部品がプリント配線基板1に半田付けされて固定されるとともに、リード12とスルーホール11とが電気的に接続された状態になり、リード部品のプリント配線基板1への実装が完了する(ステップS8)。
【0044】
(実施形態の効果の説明)
以上に詳細に説明したように、本実施形態においては、プリント配線基板1へ実装されるリード部品の実装工法として、プレスフィット工法、半田付け工法のいずれを適用する場合であっても、プリント配線基板1の設計変更を行うことなく、リード部品をプリント配線基板1へ実装して、必要とするプリント配線基板を生産することができるので、プリント配線基板の生産調整を行う際に、現在保有している生産治具の状況を考慮することなく、柔軟に対応することが可能である。
【0045】
以上、本発明の好適実施例の構成を説明した。しかし、斯かる実施例は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることが、当業者には容易に理解できよう。
【符号の説明】
【0046】
1 プリント配線基板
11 スルーホール
12 リード
12a 張り出し部
13 ランド
14 コネクタ
a 長辺(リード)
b 短辺(リード)
c 長手方向の内径(スルーホール)
d 短手方向の内径(スルーホール)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路間を接続するための回路パターンがプリントされるとともに、リード部品を実装するために該リード部品のリードを挿入するスルーホールを有するプリント配線基板であって、前記スルーホールは、断面が楕円穴形状からなり、前記リード部品のリードが、一方の端部に平面形状の押圧面を有するとともに、中央部に一方向に扁平に張り出した張り出し部を有する形状からなり、かつ、前記張り出し部の長辺の長さが、楕円穴形状の前記スルーホールの短辺方向の内径に略等しく、かつ、該リードが回転可能な状態で前記リード部品に取り付けられていることを特徴とするプリント配線基板。
【請求項2】
前記リード部品を実装する実装工法としてプレスフィット工法を適用する際に、前記リード部品のリードの中央部に位置する前記張り出し部の長辺の方向が楕円穴形状の前記スルーホールの短辺方向に一致するように位置合わせを行い、該リードの端部に形成されている前記押圧面に圧力を加えて該リードを前記スルーホール内に圧入することによって、前記リードと前記スループットとを電気的に接続することを特徴とする請求項1に記載のプリント配線基板。
【請求項3】
前記リード部品を実装する実装工法として半田付け工法を適用する際に、前記リード部品のリードの中央部に位置する前記張り出し部の長辺の方向が楕円穴形状の前記スルーホールの長辺方向に一致するように該リードを回転させて位置合わせを行い、該リードを前記スルーホール内に緩挿した後、該リードの側面と前記スルーホールの側壁との間の空隙に半田を充填することによって、前記リードと前記スループットとを電気的に接続することを特徴とする請求項1に記載のプリント配線基板。
【請求項4】
回路間を接続するための回路パターンがプリントされるとともに、リード部品を実装するために該リード部品のリードを挿入するスルーホールを有するプリント配線基板の実装構造であって、前記スルーホールは、断面が楕円穴形状からなり、楕円穴形状の前記スルーホールの短辺方向の内径が、前記リード部品のリードの中央部に一方向に扁平に張り出して形成された張り出し部の長辺の長さに略等しいことを特徴とするプリント配線基板の実装構造。
【請求項5】
回路間を接続するための回路パターンがプリントされるとともに、断面が楕円穴形状のスルーホールを有するプリント配線基板に対して、前記スルーホール内にリードを挿入することによって実装するリード部品の実装構造であって、前記リードが、一方の端部に平面形状の押圧面を有するとともに、中央部に一方向に扁平に張り出した張り出し部を有する形状からなり、かつ、前記張り出し部の長辺の長さが、楕円穴形状の前記スルーホールの短辺方向の内径に略等しく、かつ、該リードが回転可能な状態で取り付けられていることを特徴とするリード部品の実装構造。
【請求項6】
回路間を接続するための回路パターンがプリントされるとともにスルーホールを有するプリント配線基板に対して、前記スルーホールにリード部品のリードを挿入することによって該リード部品を実装するプリント配線基板実装方法であって、前記スルーホールは、断面が楕円穴形状からなり、前記リード部品のリードが、一方の端部に平面形状の押圧面を有するとともに、中央部に一方向に扁平に張り出した張り出し部を有する形状からなり、かつ、前記張り出し部の長辺の長さが、楕円穴形状の前記スルーホールの短辺方向の内径に略等しく、かつ、該リードが、回転可能な状態で前記リード部品に取り付けられていて、前記リード部品の実装時に、前記リード部品を実装する実装工法に応じて、該リードを、任意の角度で回転させた状態で、前記プリント配線基板の楕円穴形状の前記スルーホールに挿入することを特徴とするプリント配線基板実装方法。
【請求項7】
前記リード部品を実装する実装工法としてプレスフィット工法を適用する際に、前記リード部品のリードの中央部に位置する前記張り出し部の長辺の方向が楕円穴形状の前記スルーホールの短辺方向に一致するように位置合わせを行い、該リードの端部に形成されている前記押圧面に圧力を加えて該リードを前記スルーホール内に圧入することによって、前記リードと前記スループットとを電気的に接続することを特徴とする請求項6に記載のプリント配線基板実装方法。
【請求項8】
前記リード部品を実装する実装工法として半田付け工法を適用する際に、前記リード部品のリードの中央部に位置する前記張り出し部の長辺の方向が楕円穴形状の前記スルーホールの長辺方向に一致するように該リードを回転させて位置合わせを行い、該リードを前記スルーホール内に緩挿した後、該リードの側面と前記スルーホールの側壁との間の空隙に半田を充填することによって、前記リードと前記スループットとを電気的に接続することを特徴とする請求項6に記載のプリント配線基板実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−216767(P2011−216767A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85095(P2010−85095)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】