説明

プリント配線板およびその製造方法、プリント配線板の接続方法

【課題】プリント配線板間の接続において、それぞれの導体回路間における混線を防止するとともに、導体回路間の接続を効率的に行うことができるプリント配線板およびその製造方法、プリント配線板の接続方法を提供する。
【解決手段】本発明のプリント配線板10は、絶縁基材11と、この絶縁基材11の一方の面11aに設けられた導体回路12と、絶縁基材11および導体回路12を覆うように設けられたカバー層13と、カバー層13に埋設された導電粒子14とを備え、導電粒子14は、導体回路12と接触し、かつ、カバー層13よりも突出するように、カバー層13に埋設されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板およびその製造方法、プリント配線板の接続方法に関し、さらに詳しくは、プリント配線板間の接続において、それぞれの導体回路間における混線を防止したプリント配線板およびその製造方法、プリント配線板の接続方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話など、小型電子機器の高機能化の進展は凄まじく、プリント配線板上に多数搭載されている電子部品に関しても、機能を維持したままでのダウンサイジングが求められている。
殊に、プリント配線板上に搭載されるコネクタは、その占有面積が大きく、かつ、その高さも大きいため、電子機器の高機能化および小型化への妨げとなっている。
【0003】
このコネクタの容積を削減するために、携帯電話などの小型電子機器では、プリント配線板間の接続に異方性導電膜(Anisotropic Conductive Film、以下、「ACF」と略すこともある。)が多用されている。ACFは、エポキシ樹脂やアクリル樹脂などの接着性樹脂中に導電粒子(フィラー)を分散させたものである。
【0004】
図17は、従来のプリント配線板を用いたプリント配線板の接続方法の一例を示す概略断面図である。
この例のプリント配線板の接続方法では、2つのプリント配線板(第一のプリント配線板100、第二のプリント配線板110)を、ACF120を介して接続している。
【0005】
第一のプリント配線板100は、絶縁基材101、絶縁基材101の一方の面101aに設けられた導体回路102、並びに、絶縁基材101および導体回路102を覆うように設けられたカバー層103から構成されている。また、導体回路102の一部が、カバー層103に覆われることなく露出している。
同様に、第二のプリント配線板110は、絶縁基材111の一方の面111aに設けられた導体回路112、並びに、絶縁基材111および導体回路112を覆うように設けられたカバー層113から構成されている。また、導体回路112の一部が、カバー層113に覆われることなく露出している。
また、ACF120は、接着性樹脂121と、その中に分散された導電粒子122とから構成されている。
【0006】
すなわち、このプリント配線板の接続方法では、第一のプリント配線板100の導体回路102の端子部102aと、第二のプリント配線板110の導体回路112の端子部112aとを、ACF120の導電粒子122に当接させることにより、この導電粒子122を介してこれらの配線板を電気的に接続するとともに、接着性樹脂121により、これらの配線板を接着させて、これらの配線板の電気的接続状態を固定する(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−135039号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ACFによるプリント配線板間の接続では、図18に示すような問題があった。
すなわち、絶縁基材201および導体回路202を備えた第一のプリント配線板200と、絶縁基材211および導体回路212を備えた第二のプリント配線板210とを、ACF220を介して接続した場合、ACF220の接着性樹脂221中に分散された導電粒子222は、導体回路202の端子部202aと導体回路212の端子部212aとの間に介在する(導電粒子222A)だけでなく、端子部202aの間隙または端子部212aの間隙に存在する(導電粒子222B)ことが避けられなかった。
【0008】
そのため、第一のプリント配線板200と第二のプリント配線板210を接続したもの(完成品)は、これらのプリント配線板の電気的接続に係わらない導電粒子222Bを含むため、これらのプリント配線板の接続効率が悪いという問題があった。
また、導体回路202の端子部202aの間隙または導体回路212の端子部212aの間隙に存在する導電粒子222Bは、これらの端子部間の混線を誘発するおそれがあるため、端子部202aおよび端子部212aの間隔(ピッチ)を狭くすることが難しかった。そのため、プリント配線板の小面積化が難しかった。さらに、端子部間に存在する導電粒子222Bに起因する端子部間の混線は、ACFを介してプリント配線板同士を接続する方法を、高電圧、高電流の環境に用いられる電子機器に適用する妨げとなっていた。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、プリント配線板間の接続において、それぞれの導体回路間における混線を防止するとともに、導体回路間の接続を効率的に行うことができるプリント配線板およびその製造方法、プリント配線板の接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のプリント配線板は、絶縁基材と、該絶縁基材の一方の面に設けられた導体回路と、前記絶縁基材および前記導体回路を覆うように設けられたカバー層と、該カバー層に埋設された導電粒子とを備え、前記導電粒子は、前記導体回路と接触し、かつ、前記カバー層よりも突出するように、前記カバー層に埋設されており、前記導電粒子が電気的接点として機能することを特徴とする。
【0011】
前記導電粒子を覆うように、前記カバー層の前記導電回路と接する面とは反対側の面の少なくとも一部に接着層が設けられたことが好ましい。
【0012】
前記接着層は、熱可塑性樹脂からなることが好ましい。
【0013】
前記カバー層は、カバーレイフィルムからなり、該カバーレイフィルムに細孔が穿設され、該細孔の内径をd、前記導電粒子の直径をdとした場合、前記dと前記dは、d<dの関係を満たし、前記カバーレイフィルムの前記導体回路と接する面側から、前記細孔に前記導電粒子が嵌入されたことが好ましい。
【0014】
前記カバー層は、カバーレイフィルムからなり、該カバーレイフィルムには、前記導体回路と接する面側から、前記導体回路と接する面とは反対の面側に向かって次第に縮径するテーパー状の細孔が穿設されており、前記カバーレイフィルムの前記導体回路と接する面とは反対の面側における前記細孔の内径をd、前記カバーレイフィルムの前記導体回路と接する面側における前記細孔の内径をdとした場合、前記dと前記dは、d<dの関係を満たし、前記カバーレイフィルムの前記導体回路と接する面側から、前記細孔に前記導電粒子が嵌入されたことが好ましい。
【0015】
前記導電粒子は、樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面に形成された金属層とを備えてなることが好ましい。
【0016】
本発明のプリント配線板の接続方法は、絶縁基材と、該絶縁基材の一方の面に設けられた導体回路と、前記絶縁基材および前記導体回路を覆うように設けられたカバー層と、該カバー層に埋設された導電粒子とを備え、前記導電粒子は、前記導体回路と接触し、かつ、前記カバー層よりも突出するように、前記カバー層に埋設された第一のプリント配線板と、絶縁基材と、該絶縁基材の一方の面に設けられた導体回路と、前記絶縁基材および前記導体回路を覆うように設けられたカバー層とを備え、前記導体回路の少なくとも一部が露出した第二のプリント配線板とを接続するプリント配線板の接続方法であって、前記第一のプリント配線板の前記導電粒子を、前記第二のプリント配線の前記導体回路に当接させて、これらの接触部分およびその周囲を、接着剤によって接着することを特徴とする。
【0017】
前記接着剤は、熱可塑性樹脂からなることが好ましい。
【0018】
前記接着剤は、前記導電粒子を覆うように、前記カバー層の前記導電回路と接する面とは反対の面の少なくとも一部に設けられた接着層からなることが好ましい。
【0019】
前記カバー層は、カバーレイフィルムからなり、該カバーレイフィルムに細孔が穿設され、該細孔の内径をd、前記導電粒子の直径をdとした場合、前記dと前記dは、d<dの関係を満たし、前記カバーレイフィルムの前記導体回路と接する面側から、前記細孔に前記導電粒子を嵌入されたことが好ましい。
【0020】
前記カバー層は、カバーレイフィルムからなり、該カバーレイフィルムには、前記導体回路と接する面側から、前記導体回路と接する面とは反対の面側に向かって次第に縮径するテーパー状の細孔が穿設されており、前記カバーレイフィルムの前記導体回路と接する面とは反対の面側における前記細孔の内径をd、前記カバーレイフィルムの前記導体回路と接する面側における前記細孔の内径をdとした場合、前記dと前記dは、d<dの関係を満たし、前記カバーレイフィルムの前記導体回路と接する面側から、前記細孔に前記導電粒子を嵌入されたことが好ましい。
【0021】
前記導電粒子は、樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面に設けられた金属層とを備えてなり、前記第一のプリント配線板と前記第二のプリント配線板を押圧し、前記導電粒子を弾性変形または塑性変形させて、前記導電粒子と前記第二のプリント配線板の端子とを接続することが好ましい。
【0022】
本発明のプリント配線板の製造方法は、絶縁基材と、該絶縁基材の一方の面に設けられた導体回路と、前記絶縁基材および前記導体回路を覆うように設けられたカバー層と、該カバー層に埋設された導電粒子とを備えたプリント配線板の製造方法であって、前記絶縁基材の一方の面に前記導体回路を設ける工程と、前記導体回路の前記絶縁基材と接する面とは反対の面に前記導電粒子を配置する工程と、少なくとも前記導電粒子の頂部が露出し、かつ、前記絶縁基材および前記導体回路を覆うように前記カバー層を設ける工程と、を有することを特徴とする。
【0023】
本発明のプリント配線板の製造方法は、絶縁基材と、該絶縁基材の一方の面に設けられた導体回路と、前記絶縁基材および前記導体回路を覆うように設けられたカバー層と、該カバー層に埋設された導電粒子とを備えたプリント配線板の製造方法であって、前記絶縁基材の一方の面に前記導体回路を設ける工程と、前記カバー層を形成する材料としてカバーレイフィルムを用い、該カバーレイフィルムに細孔を穿設する工程と、少なくとも前記導電粒子の頂部が露出するように、前記細孔に前記導電粒子を収容する工程と、前記導電粒子が前記導体回路に当接するように、前記導体回路が設けられた前記絶縁基材に、前記導電粒子を収容したカバーレイフィルムを貼り合わせる工程と、を有することを特徴とする。
【0024】
前記カバーレイフィルムに細孔を穿設する工程において、前記カバーレイフィルムに、前記導体回路と接する面側から、前記導体回路と接する面とは反対の面側に向かって次第に縮径するテーパー状の細孔を穿設することが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明のプリント配線板によれば、絶縁基材と、該絶縁基材の一方の面に設けられた導体回路と、前記絶縁基材および前記導体回路を覆うように設けられたカバー層と、該カバー層に埋設された導電粒子とを備えたプリント配線板であって、前記導電粒子は、前記導体回路と接触し、かつ、前記カバー層よりも突出するように、前記カバー層に埋設されたので、導電粒子を介して、他のプリント配線板とを電気的に接続することができるので、従来のように、ACFを用いる必要がない。したがって、プリント配線板の導体回路の間に、ACFを構成する導電粒子が入り込んで、これらの導体回路が混線するという不具合が生じなくなる。ゆえに、プリント配線板の小面積化を実現することができるとともに、プリント配線板を備えた電子機器を高電圧、高電流の環境に適用することができる。
【0026】
本発明のプリント配線板の接続方法によれば、絶縁基材と、該絶縁基材の一方の面に設けられた導体回路と、前記絶縁基材および前記導体回路を覆うように設けられたカバー層と、該カバー層に埋設された導電粒子とを備え、前記導電粒子は、前記導体回路と接触し、かつ、前記カバー層よりも突出するように、前記カバー層に埋設された第一のプリント配線板と、絶縁基材と、該絶縁基材の一方の面に設けられた導体回路と、前記絶縁基材および前記導体回路を覆うように設けられたカバー層とを備え、前記導体回路の少なくとも一部が露出した第二のプリント配線板とを接続するプリント配線板の接続方法であって、前記第一のプリント配線板の前記導電粒子を、前記第二のプリント配線の前記導体回路に当接させて、これらの接触部分およびその周囲を、接着剤によって接着するので、プリント配線板の導体回路上に配された導電粒子を介して、2つのプリント配線板を電気的に接続するので、従来のように、ACFを用いることなく、これらのプリント配線板を接続することができる。したがって、それぞれのプリント配線板の導体回路の間に、ACFを構成する導電粒子が入り込んで、これらの導体回路が混線するという不具合を防止することができる。
【0027】
本発明のプリント配線板の製造方法によれば、絶縁基材と、該絶縁基材の一方の面に設けられた導体回路と、前記絶縁基材および前記導体回路を覆うように設けられたカバー層と、該カバー層に埋設された導電粒子とを備えたプリント配線板の製造方法であって、前記絶縁基材の一方の面に前記導体回路を設ける工程と、前記導体回路の前記絶縁基材と接する面とは反対の面に前記導電粒子を配置する工程と、少なくとも前記導電粒子の頂部が露出し、かつ、前記絶縁基材および前記導体回路を覆うように前記カバー層を設ける工程と、を有するので、導電粒子の頂部をカバーレイフィルムから突出させた状態で、導体回路上に導電粒子を固定したプリント配線板を作製することができる。
【0028】
本発明のプリント配線板の製造方法によれば、絶縁基材と、該絶縁基材の一方の面に設けられた導体回路と、前記絶縁基材および前記導体回路を覆うように設けられたカバー層と、該カバー層に埋設された導電粒子とを備えたプリント配線板の製造方法であって、前記絶縁基材の一方の面に前記導体回路を設ける工程と、前記カバー層を形成する材料としてカバーレイフィルムを用い、該カバーレイフィルムに細孔を穿設する工程と、少なくとも前記導電粒子の頂部が露出するように、前記細孔に前記導電粒子を収容する工程と、前記導電粒子が前記導体回路に当接するように、前記導体回路が設けられた前記絶縁基材に、前記導電粒子を収容したカバーレイフィルムを貼り合わせる工程と、を有するので、導電粒子の頂部をカバーレイフィルムから突出させた状態で、導体回路上に導電粒子を固定したプリント配線板を作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明のプリント配線板およびその製造方法、プリント配線板の接続方法の最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0030】
(1)第一の実施形態
図1は、本発明のプリント配線板の第一の実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
この実施形態のプリント配線板(以下、「プリント配線板」と略すこともある。)10は、絶縁基材11と、絶縁基材11の一方の面11aに設けられた導体回路12と、絶縁基材11および導体回路12を覆うように設けられたカバー層13と、カバー層13に埋設された導電粒子14とから概略構成されている。
【0031】
また、導電粒子14は、導体回路12と接触し、かつ、カバー層13よりも突出するように、カバー層13に埋設されている。すなわち、導電粒子14は、導体回路12の絶縁基材11と接する面とは反対側の面(以下、「一方の面」と言う。)12aに配され、少なくともその頂部が露出するように、カバー層13よって導体回路12の一方の面12aに固定されている。
これにより、カバー層13に埋設された導電粒子14は、プリント配線板10の電気的接点として機能する。
【0032】
さらに、カバー層13には、電子部品を実装するための開口部13aが設けられており、この開口部13aにおいて導体回路12が露出している。
【0033】
導電粒子14のカバー層13からの突出量(突出長さ:プリント配線板10の厚み方向において、カバー層13の導電回路と接する面とは反対側の面(以下、「一方の面」と言う。)13bと導電粒子14の頂部14aとの距離は、特に限定されず、この導電粒子14を介して、プリント配線板10を他のプリント配線板と接続した場合、それぞれの導体回路が所定の部分(端子部)以外の部分で接触しない程度であればよい。
【0034】
絶縁基材11としては、柔軟性を有する絶縁性材料からなるもので、その形状がフィルム状、シート状、薄板状などのものが用いられる。
このような絶縁性材料としては、熱可塑性樹脂が好ましく用いられ、例えば、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、液晶ポリマー(LCP)樹脂、ガラスエポキシ、アラミド繊維、テフロン(登録商標)のうち1種または2種以上が用いられる。これらの絶縁性材料の中でも、熱可塑性のポリイミド系樹脂が取り扱いの点で好ましい。
【0035】
導体回路12としては、銅や銀あるいは金といった導電性の金属の膜(金属膜)からなるものが用いられるが、これらの中でも、比抵抗ρがρ=1.55μΩ・cmと低く、安価であることから、銅が好ましく用いられる。
導電回路12としての金属膜の形態は、電解箔、蒸着膜、スパッタ膜などの他、導電ペーストを用いて印刷法により形成した印刷膜などが挙げられる。
【0036】
カバー層13を形成する材料としては、一般的なエポキシ系ソルダーレジスト、一般的にプリント配線板の回路保護に用いられるポリイミド系カバーコート材などのカバーコート材などが用いられる。
【0037】
導電粒子14としては、導電性の球状の粒子が用いられる。この導電性の球状の粒子としては、例えば、銅粒子、金メッキが施されたニッケル粒子、はんだ粒子、樹脂粒子とその樹脂粒子の表面に設けられた金属層とからなるもの(以下、「金属層付樹脂粒子」と言う。)などが挙げられる。
金属層付樹脂粒子を構成する樹脂粒子としては、弾性変形または塑性変形可能なものであれば特に限定されない。
金属層付樹脂粒子を構成する金属層としては、ニッケル/金メッキ、はんだメッキ、金メッキなどの金属メッキが挙げられる。
【0038】
導電粒子14として、上記のような金属層付樹脂粒子を用いれば、導電粒子14を介して、プリント配線板10を他のプリント配線板と接続する際、プリント配線板を押圧することにより、導電粒子14が弾性変形または塑性変形するので、プリント配線板と導電粒子14との接触面積を大きくすることができる。その結果、プリント配線板10と他のプリント配線板との電気的接続を確実に行うことができる。
また、プリント配線板10に導電粒子14が複数設けられ、その外径がそれぞれ異なっている場合や、他のプリント配線板における導電粒子14と接続される端子毎に段差(厚みの差)がある場合であっても、導電粒子14の変形により、その端子と導電粒子14とを接続することができる。なお、このように、導電粒子14の外径にばらつきがあったり、端子毎に段差があった場合、導電粒子14が変形しないと、導通不良を生じることがある。
【0039】
また、カバー層13の厚みおよび導電粒子14の直径は、特に限定されないが、カバー層13によって導電粒子14を十分に保持するためには、カバー層13の厚みをα、導電粒子14の半径をα、導電粒子14の直径をαとした場合、α、α、αが、α<α<αの関係を満たすことが好ましい。
例えば、カバー層13の厚みαを40μm、導電粒子14の直径αを75μmとする。
【0040】
このプリント配線板10によれば、導電粒子14が導体回路12の一方の面12aに配され、少なくともその頂部14aが露出するように、カバー層13よって導体回路12の一方の面12aに固定されているので、この導電粒子14を介して、このプリント配線板10と他のプリント配線板とを電気的に接続することができるので、従来のように、ACFを用いる必要がない。したがって、プリント配線板10の導体回路12の間、あるいは、接続対象のプリント配線板の導体回路の間に、ACFを構成する導電粒子が入り込んで、これらの導体回路が混線するという不具合が生じなくなる。ゆえに、プリント配線板10の小面積化を実現することができるとともに、このプリント配線板10を備えた電子機器を高電圧、高電流の環境に適用することができる。
【0041】
次に、図1を参照して、このプリント配線板10の製造方法を説明する。
まず、絶縁基材11の一方の面11aに導体回路12を設ける。
次いで、絶縁基材11および導体回路12を覆うように、液状のカバーコート材13を塗布する。
次いで、カバーコート材13を硬化させる前に、導電粒子14を所望の位置に、液状のカバーコート材13を貫通させ、導体回路12と接触するように配置する。
次いで、カバーコート材13を加熱により硬化させることによって、プリント配線板10を得る。
【0042】
次に、図2を参照して、このプリント配線板10を他のプリント配線板と接続する方法を説明する。
図2は、本発明のプリント配線板の接続方法の第一の実施形態の一例を示す概略断面図である。
この例のプリント配線板の接続方法では、2つのプリント配線板(プリント配線板10、プリント配線板20)を、接着剤30を介して接続する。
【0043】
プリント配線板20は、絶縁基材21、絶縁基材21の一方の面21aに設けられた導体回路22、並びに、絶縁基材21および導体回路22を覆うように設けられたカバー層23から構成されている。また、カバー層23には開口部23aが設けられており、この開口部23aにおいて導体回路22が露出している。
【0044】
すなわち、この例のプリント配線板の接続方法では、プリント配線板20の導体回路22に、プリント配線板10の導体回路12の一方の面12aに配置された導電粒子14を当接させることにより、導電粒子14を介してこれらの配線板を電気的に接続するとともに、接着剤30により、プリント配線板10およびプリント配線板20と、導電粒子14との接触部分並びにその周囲を接着させて、これらの配線板の電気的接続状態を機械的に固定する。
【0045】
接着剤30としては、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ポリイミド系接着剤などからなる、シート状または液状の接着剤が用いられるが、これらの中でも、加熱、加湿による体積膨張率が低いものが好ましい。
【0046】
また、接着剤30としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、アクリル樹脂(PMMA)などの熱可塑性樹脂が用いられる。
接着剤30として、このような熱可塑性樹脂を用いれば、弾性率が熱によって可逆的に変化するので、プリント配線板10と他のプリント配線板との接続不良があった場合、再度加熱してプリント配線板10と他のプリント配線板を剥離して、また、加熱してこれらのプリント配線板を貼り合せることができる。
【0047】
この例のプリント配線板の接続方法によれば、プリント配線板10の導体回路12の一方の面12aに配された導電粒子14を介して、プリント配線板10とプリント配線板20とを電気的に接続するので、従来のように、ACFを用いることなく、これらのプリント配線板を接続することができる。したがって、プリント配線板10の導体回路12の間、あるいは、プリント配線板20の導体回路22の間に、ACFを構成する導電粒子が入り込んで、これらの導体回路が混線するという不具合を防止することができる。
【0048】
図3は、本発明のプリント配線板の接続方法の第一の実施形態の他の例を示す概略断面図である。
この例のプリント配線板の接続方法が、図2に示すプリント配線板の接続方法と異なる点は、導電粒子14としては上記の金属層付樹脂粒子を用い、プリント配線板10とプリント配線板20を、一対のステンレス板40、40で挟み込み、これらのステンレス板40、40をネジ止めしている点である。
【0049】
すなわち、この例のプリント配線板の接続方法では、ステンレス板40、40をネジ止めする際の圧力(押圧力)により、プリント配線板10とプリント配線板20を、これらの対向する方向(接近する方向)に押圧し、導電粒子14を弾性変形または塑性変形させて、プリント配線板10およびプリント配線板20と、導電粒子14との接触面積を大きくする。
【0050】
この例のプリント配線板の接続方法によれば、プリント配線板10とプリント配線板20を押圧し、導電粒子14を弾性変形または塑性変形させて、プリント配線板10およびプリント配線板20と、導電粒子14との接触面積を大きくするので、プリント配線板10とプリント配線板20との電気的接続をより確実に行うことができる。
また、プリント配線板10に導電粒子14が複数設けられ、その外径がそれぞれ異なっている場合や、他のプリント配線板における導電粒子14と接続される端子毎に段差(厚みの差)がある場合であっても、導電粒子14の変形により、その端子と導電粒子14とを接続することができる。なお、このように、導電粒子14の外径にばらつきがあったり、端子毎に段差があった場合、導電粒子14が変形しないと、導通不良を生じることがある。
【0051】
(2)第二の実施形態
図4は、本発明のプリント配線板の第二の実施形態を示す概略断面図である。
図4において、図1に示した第一の実施形態の構成要素と同じ構成要素には同一符号を付して、その説明を省略する。
この実施形態のプリント配線板50が、上述の第一の実施形態のプリント配線板10と異なる点は、導電粒子14を覆うように、カバー層13の一方の面13bの一部に接着層51が設けられている点である。
【0052】
接着層51を構成する接着剤としては、上記の接着剤30と同様のものが用いられる。
【0053】
このプリント配線板50によれば、導電粒子14を覆うように、カバー層13の一方の面13bの一部に接着層51が設けられているので、導電粒子14を介して、このプリント配線板50と他のプリント配線板とを電気的に接続する際、別途接着剤を用意する必要がない。したがって、プリント配線板50と他のプリント配線板とを接続する際、工程を簡略化することができるとともに、別途用意した接着剤の塗布によって、作業環境、ひいてはプリント配線板50を汚染することがない。
【0054】
なお、この実施形態では、カバー層13の一方の面13bの一部に接着層51が設けられたプリント配線板50を例示したが、本発明のプリント配線板はこれに限定されない。本発明のプリント配線板にあっては、カバー層の一方の面の全面に接着層が設けられていてもよい。
【0055】
次に、図4を参照して、このプリント配線板50の製造方法を説明する。
まず、絶縁基材11の一方の面11aに導体回路12を設ける。
次いで、絶縁基材11および導体回路12を覆うように、液状のカバーコート材13を塗布する。
次いで、カバーコート材13を硬化させる前に、導電粒子14を所望の位置に、液状のカバーコート材13を貫通させ、導体回路12と接触するように配置する。
次いで、カバーコート材13を加熱により硬化させる。
次いで、導電粒子14を覆うように、カバー層13の一方の面13bの一部に、上記の接着材を塗布するなどにより接着層51を形成し、プリント配線板50を得る。
【0056】
次に、図5を参照して、このプリント配線板50を他のプリント配線板と接続する接続方法を説明する。
図5は、本発明のプリント配線板の接続方法の第二の実施形態を示す概略断面図である。
図5において、図2に示した第一の実施形態の構成要素と同じ構成要素には同一符号を付して、その説明を省略する。
この実施形態のプリント配線板の接続方法では、2つのプリント配線板(プリント配線板50、プリント配線板20)を、プリント配線板50の接着層51を介して接続する。
【0057】
すなわち、このプリント配線板の接続方法では、図5(a)に示すように、まず、プリント配線板20の開口部23aに対向する位置に、接着層51に覆われた導電粒子14が配されるように、プリント配線板50の接着層51を、プリント配線板20のカバー層23に当接させた後、この状態を維持するように仮固定する。
【0058】
次いで、図5(b)に示すように、接着層51を加熱するとともに、プリント配線板20に対してプリント配線板50を押圧することにより、プリント配線板20の導体回路22に、プリント配線板50の導体回路12の一方の面12aに配置された導電粒子14を当接させて、導電粒子14を介してこれらの配線板を電気的に接続するとともに、接着層51により、プリント配線板50およびプリント配線板20と、導電粒子14との接触部分並びにその周囲を接着させて、これらの配線板の電気的接続状態を固定する。
【0059】
すなわち、接着層51を加熱することにより、接着層51を構成する接着剤を溶融させるとともに、プリント配線板20に対してプリント配線板50を押圧することにより、溶融した接着剤内を、導電粒子14を貫通させて、プリント配線板20の導体回路22に、導電粒子14を当接させる。その後、加熱を止めて、接着剤を固化させることにより、接着層51を介して、プリント配線板50とプリント配線板20を接着させる。
【0060】
この実施形態のプリント配線板の接続方法によれば、プリント配線板50の導体回路12の一方の面12aに配された導電粒子14を覆うように設けられた接着層51によって、プリント配線板50とプリント配線板20を接着するので、導電粒子14を介して、プリント配線板10とプリント配線板20とを電気的に接続する際、別途接着剤を用意する必要がない。したがって、プリント配線板50とプリント配線板20とを接続する際、工程を簡略化することができるとともに、別途用意した接着剤の塗布によって、作業環境、ひいてはプリント配線板50またはプリント配線板20を汚染することがない。
【0061】
(3)第三の実施形態
図6は、本発明のプリント配線板の第三の実施形態を示す概略断面図である。
図6において、図1に示した第一の実施形態の構成要素と同じ構成要素には同一符号を付して、その説明を省略する。
この実施形態のプリント配線板60が、上述の第一の実施形態のプリント配線板10と異なる点は、カバー層が、樹脂フィルム62とその一方の面62aに設けられた接着層63とを具備するカバーレイフィルム61からなり、このカバーレイフィルム61の樹脂フィルム62に細孔62bが穿設され、細孔62bに導電粒子14の一部が嵌入されている点である。
【0062】
すなわち、導体回路12およびその一方の面12aに配置された導電粒子14を覆うように、接着層63が配されるとともに、樹脂フィルム62の一方の面62a側、すなわち、カバーレイフィルム61の導体回路12と接する面側から、その細孔62bに導電粒子14の一部が嵌入されるように、カバーレイフィルム61が設けられている。
【0063】
また、樹脂フィルム62の細孔62bの内径をd、導電粒子14の直径をdとした場合、これらの内径dと直径dは、d<dの関係を満たしている。
そして、導電粒子14の頂部14aが、樹脂フィルム62の接着層63と接する面とは反対側の面(以下、「他方の面」と言う。)62cから突出するように、樹脂フィルム62の細孔62bに、導電粒子14が嵌入されている。
例えば、樹脂フィルム62の細孔62bの内径dを65μm、導電粒子14の直径dを75μmとする。このとき、樹脂フィルム62の厚みを12μmとすると、導電粒子14の頂部14aは、樹脂フィルム62から5μm程度突出する。
【0064】
さらに、カバーレイフィルム61には、電子部品を実装するために、樹脂フィルム62および接着層63をその厚み方向に貫通する開口部61aが設けられており、この開口部61aにおいて導体回路12が露出している。
【0065】
樹脂フィルム62を構成する樹脂としては、ポリイミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、アラミド系樹脂などが用いられる。
【0066】
接着層63を構成する接着剤としては、上記の接着剤30と同様のものが用いられる。
【0067】
このプリント配線板60によれば、カバー層は、カバーレイフィルム61からなり、このカバーレイフィルム61の樹脂フィルム62に細孔62bが穿設され、その細孔62bの内径をd、導電粒子14の直径をdとした場合、内径dと直径dは、d<dの関係を満たし、樹脂フィルム62の一方の面62a側から、細孔62bに導電粒子14が嵌入されたので、頂部14aを樹脂フィルム62から突出させた状態で、導体回路12の一方の面12aに導電粒子14が固定されている。したがって、導電粒子14を介して、このプリント配線板60と他のプリント配線板とを電気的に接続する際、導電粒子14が移動するという不具合を生じることがないので、精度良くプリント配線板同士を接続することができる。
【0068】
次に、図6を参照して、このプリント配線板60の製造方法を説明する。
まず、絶縁基材11の一方の面11aに導体回路12を設ける。
また、これとは別に、樹脂フィルム62と接着材63からなるカバーレイフィルム61に細孔を穿設した後、導電粒子14を当該細孔上における接着材63の側面に載置する。
次いで、導体回路12を覆うように、導電粒子付きカバーレイフィルム61を配し、加熱、加圧することにより、接着材63を溶融させ、導電粒子14と細孔との隙間を接着材63で充填するとともに、カバーレイフィルム61を絶縁基材11に貼り合せることによって、プリント配線板60を得る。
【0069】
次に、図6を参照して、このプリント配線板60を他のプリント配線板と接続する接続方法を説明する。
この実施形態のプリント配線板の接続方法では、2つのプリント配線板(プリント配線板60、その他プリント配線板(図示略))を、接着剤を介して接続する。
【0070】
ここで、他のプリント配線板としては、絶縁基材、絶縁基材の一方の面に設けられた導体回路、並びに、絶縁基材および導体回路を覆うように設けられたカバー層から構成されている。また、カバー層には開口部が設けられており、この開口部において導体回路が露出している。
【0071】
すなわち、このプリント配線板の接続方法では、他のプリント配線板の導体回路に、プリント配線板60の樹脂フィルム62から突出させた導電粒子14の頂部14aを当接させることにより、導電粒子14を介してこれらの配線板を電気的に接続するとともに、接着剤により、プリント配線板60および他のプリント配線板と、導電粒子14との接触部分並びにその周囲を接着させて、これらの配線板の電気的接続状態を固定する。
【0072】
接着剤としては、上記の接着剤30と同様のものが用いられる。
【0073】
この実施形態のプリント配線板の接続方法によれば、プリント配線板60の樹脂フィルム62から突出させた導電粒子14を介して、プリント配線板60と他のプリント配線板とを電気的に接続するので、このプリント配線板60と他のプリント配線板とを電気的に接続する際、導電粒子14が移動するという不具合を生じることがないので、精度良くプリント配線板同士を接続することができる。
【0074】
(4)第四の実施形態
図7は、本発明のプリント配線板の第四の実施形態を示す概略断面図である。
図7において、図1に示した第一の実施形態の構成要素と同じ構成要素には同一符号を付して、その説明を省略する。
この実施形態のプリント配線板70が、上述の第一の実施形態のプリント配線板10と異なる点は、カバー層が、樹脂フィルム72とその一方の面72aに設けられた接着層73とを具備するカバーレイフィルム71からなり、このカバーレイフィルム71の樹脂フィルム72に細孔72bが穿設され、細孔72bに導電粒子14の一部が嵌入されている点である。
【0075】
すなわち、導体回路12およびその一方の面12aに配置された導電粒子14を覆うように、接着層73が配されるとともに、樹脂フィルム72の一方の面72a側、すなわち、カバーレイフィルム71の導体回路12と接する面側から、その細孔72bに導電粒子14の一部が嵌入されるように、カバーレイフィルム71が設けられている。
【0076】
また、細孔72bは、カバーレイフィルム71が導体回路12と接する面側、すなわち、樹脂フィルム72の一方の面72aから、カバーレイフィルム71が導体回路12と接する面とは反対の面側、すなわち、樹脂フィルム72の他方の面72cに向かって次第に縮径するテーパー状をなすように、樹脂フィルム72に穿設されている。
また、樹脂フィルム72の他方の面72cにおける細孔72bの内径をd、樹脂フィルム72の一方の面72aにおける細孔72bの内径をdとした場合、これらの内径dと内径dは、d<dの関係を満たしている。
【0077】
そして、導電粒子14は、その頂部14aが樹脂フィルム72の他方の面72cから突出するように、樹脂フィルム72の細孔72bに嵌入されている。
例えば、樹脂フィルム72の細孔72bの他方の面72cにおける内径dを65μm、樹脂フィルム72の一方の面72aにおける細孔72bの内径dを80μm、導電粒子14の直径を75μmとする。このとき、樹脂フィルム72の厚みを12μmとすると、導電粒子14の頂部14aは、樹脂フィルム72から20μm程度突出する。
【0078】
さらに、カバーレイフィルム71には、電子部品を実装するために、樹脂フィルム72および接着層73をその厚み方向に貫通する開口部71aが設けられており、この開口部71aにおいて導体回路12が露出している。
【0079】
樹脂フィルム72を構成する樹脂としては、上記の樹脂フィルム62と同様のものが用いられる。
【0080】
接着層73を構成する接着剤としては、上記の接着剤30と同様のものが用いられる。
【0081】
このプリント配線板70によれば、カバー層は、カバーレイフィルム71からなり、このカバーレイフィルム71の樹脂フィルム72には、その一方の面72aから、他方の面72cに向かって次第に縮径する細孔72bが穿設されており、樹脂フィルム72の一方の面72aにおける細孔72bの内径をd、樹脂フィルム72の他方の面72cにおける細孔72bの内径をdとした場合、内径dと内径dは、d<dの関係を満たし、樹脂フィルム72の一方の面72a側から、細孔72bに導電粒子14が嵌入されたので、上記のプリント配線板60よりも、導電粒子14の頂部14aを樹脂フィルム72から突出させた状態で、導体回路12の一方の面12aに導電粒子14を固定することができる。したがって、導電粒子14を介して、このプリント配線板70と他のプリント配線板とを電気的に接続する際、それぞれのプリント配線板の導体回路同士が接触することないので、プリント配線板間において、導体回路の混線を生じることなく、プリント配線板同士を接続することができる。
【0082】
次に、図8〜13を参照して、このプリント配線板70の製造方法を説明する。
まず、図8に示すように、樹脂フィルム72とその一方の面72aに設けられた接着層73とを具備し、樹脂フィルム72および接着層73をその厚み方向に貫通する開口部71aが設けられたカバーレイフィルム71を用意する。
【0083】
次いで、図9に示すように、接着層73の樹脂フィルム72と接する面とは反対側の面から、カバーレイフィルム71に対してレーザー光80を照射する。
これにより、図10に示すように、カバーレイフィルム71に、接着層73の樹脂フィルム72と接する面とは反対側の面、すなわち、カバーレイフィルム71の導体回路と接する面側から、樹脂フィルム72の他方の面72c、すなわち、カバーレイフィルム71の導体回路と接する面とは反対の面側に向かって、次第に縮径するテーパー状の細孔71bを穿設する。なお、細孔71bのうち、樹脂フィルム72に穿設された部分は上述の細孔72bである。
【0084】
すなわち、カバーレイフィルム71の導体回路と接する面とは反対の面における細孔71bの内径をd、カバーレイフィルム71の導体回路と接する面における細孔71bの内径をdとした場合、これらの内径dと内径dは、d<dの関係を満たしている。
また、樹脂フィルム72の他方の面72cにおける細孔72bの内径をd、樹脂フィルム72の一方の面72aにおける細孔72bの内径をdとした場合、これらの内径dと内径dは、d<dの関係を満たしている。
なお、d=dである。
さらに、導電粒子14の直径をdとした場合、(d=d)<d<d<dの関係を満たしている。
【0085】
カバーレイフィルム71に対して照射するレーザー光80としては、特に限定されないが、例えば、Nd:YVO4光源の第3高調波である波長354nmのUVレーザー、炭酸ガスレーザー、エキシマレーザーなどが用いられる。
【0086】
なお、この実施形態では、カバーレイフィルム71に細孔71bを穿設する際に、レーザー光を用いる場合を例示したが、本発明のプリント配線板の製造方法はこれに限定されない。本発明のプリント配線板の製造方法にあっては、カバーレイフィルムの導体回路と接する面側から、カバーレイフィルムに対して、先端が凸状のポンチを貫通させる方法や、ドリルによってカバーレイフィルムに穿孔する方法などを用いることもできる。
【0087】
次いで、図11に示すように、接着層73の樹脂フィルム72と接する面とは反対側の面から、カバーレイフィルム71の細孔71bに導電粒子14を収容し、導電粒子14の頂部14aが樹脂フィルム72の他方の面72cから突出するように、樹脂フィルム72の細孔72bに導電粒子14の一部を嵌入させ、導電粒子を収容したカバーレイフィルム(以下、「導電粒子含有カバーレイフィルム」と言う。)74を作製した。
【0088】
次いで、図12に示すように、別途準備した絶縁基材11の一方の面11aに設けられた導体回路12に、導電粒子含有カバーレイフィルム74の導電粒子14が当接するように、絶縁基材11の一方の面11aに導電粒子含有カバーレイフィルム74を貼り合せ、仮固定する。
すなわち、導電粒子含有カバーレイフィルム74の導電粒子14を導体回路12に当接させるとともに、絶縁基材11および導体回路12を覆うように、導電粒子含有カバーレイフィルム74の接着層73を配する。
【0089】
次いで、接着層73を加熱するとともに、絶縁基材11に対して導電粒子含有カバーレイフィルム74を押圧することにより、導体回路12に導電粒子14を密着させるとともに、絶縁基材11および導体回路12に接着層73を接着させて、図13に示すように、プリント配線板70を得る。
【0090】
この実施形態のプリント配線板の製造方法によれば、カバーレイフィルム71に、カバーレイフィルム71の導体回路12と接する面側から、カバーレイフィルム71の導体回路12と接する面とは反対の面側に向かって、次第に縮径するテーパー状の細孔71bを穿設し、カバーレイフィルム71の導体回路12と接する面側から、導電粒子14の頂部14aが樹脂フィルム72の他方の面72cから突出するように、細孔71bに導電粒子14の一部を嵌入させて導電粒子含有カバーレイフィルム74を作製した後、この導電粒子含有カバーレイフィルム74を導体回路12が設けられた絶縁基材11に貼り合わせるので、導電粒子14の頂部14aを樹脂フィルム72から突出させた状態で、導体回路12の一方の面12aに導電粒子14を固定することができる。
【0091】
次に、図14〜16を参照して、このプリント配線板70を他のプリント配線板と接続する接続方法を説明する。
図14〜16は、本発明のプリント配線板の接続方法の第四の実施形態を示す概略断面図である。
図14〜16において、図5に示した第二の実施形態の構成要素と同じ構成要素には同一符号を付して、その説明を省略する。
この実施形態のプリント配線板の接続方法では、2つのプリント配線板(プリント配線板70、プリント配線板20)を、接着剤81を介して接続する。
【0092】
すなわち、このプリント配線板の接続方法では、まず、図14に示すように、導電粒子14を覆うように、カバーレイフィルム71の樹脂フィルム72の他方の面72cの一部に、接着剤81を塗布する。
接着剤81としては、上記の接着剤30と同様のものが用いられる。
【0093】
次いで、図15に示すように、プリント配線板20の開口部23aに対向する位置に、接着剤81に覆われた導電粒子14が配されるように、プリント配線板70に塗布された接着剤81を、プリント配線板20のカバー層23に当接させた後、この状態を維持するように仮固定する。
【0094】
次いで、図16に示すように、接着剤81を加熱するとともに、プリント配線板20に対してプリント配線板70を押圧することにより、プリント配線板20の導体回路22に、プリント配線板70の導体回路12の一方の面12aに配置された導電粒子14を当接させて、導電粒子14を介してこれらの配線板を電気的に接続するとともに、接着剤81により、プリント配線板70およびプリント配線板20と、導電粒子14との接触部分並びにその周囲を接着させて、これらの配線板の電気的接続状態を固定する。
【0095】
すなわち、接着剤81を加熱して溶融させるとともに、プリント配線板20に対してプリント配線板70を押圧することにより、溶融した接着剤81内を、導電粒子14を貫通させて、プリント配線板20の導体回路22に、導電粒子14を当接させる。その後、加熱を止めて、接着剤81を固化させることにより、接着剤81を介して、プリント配線板70とプリント配線板20を接着させる。
【0096】
この実施形態のプリント配線板の接続方法によれば、プリント配線板70の樹脂フィルム72から突出した導電粒子14を覆うように、樹脂フィルム72の他方の面72cの一部に、接着剤81を塗布し、この接着剤81によって、プリント配線板70とプリント配線板20を接着するので、導電粒子14を介して、プリント配線板70とプリント配線板20とを電気的に接続するので、このプリント配線板70とプリント配線板20とを電気的に接続する際、導電粒子14が移動するという不具合を生じることがないので、精度良くプリント配線板同士を接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明のプリント配線板の第一の実施形態を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
【図2】本発明のプリント配線板の製造方法の第一の実施形態の一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明のプリント配線板の製造方法の第一の実施形態の他の例を示す概略断面図である。
【図4】本発明のプリント配線板の第二の実施形態を示す概略断面図である。
【図5】本発明のプリント配線板の接続方法の第二の実施形態を示す概略断面図である。
【図6】本発明のプリント配線板の第三の実施形態を示す概略断面図である。
【図7】本発明のプリント配線板の第四の実施形態を示す概略断面図である。
【図8】本発明のプリント配線板の製造方法の第四の実施形態を示す概略断面図である。
【図9】本発明のプリント配線板の製造方法の第四の実施形態を示す概略断面図である。
【図10】本発明のプリント配線板の製造方法の第四の実施形態を示す概略断面図である。
【図11】本発明のプリント配線板の製造方法の第四の実施形態を示す概略断面図である。
【図12】本発明のプリント配線板の製造方法の第四の実施形態を示す概略断面図である。
【図13】本発明のプリント配線板の製造方法の第四の実施形態を示す概略断面図である。
【図14】本発明のプリント配線板の接続方法の第四の実施形態を示す概略断面図である。
【図15】本発明のプリント配線板の接続方法の第四の実施形態を示す概略断面図である。
【図16】本発明のプリント配線板の接続方法の第四の実施形態を示す概略断面図である。
【図17】従来のプリント配線板を用いたプリント配線板の接続方法の一例を示す概略断面図である。
【図18】従来のプリント配線板を用いたプリント配線板の接続方法における不具合を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0098】
10・・・プリント配線板、11・・・絶縁基材、12・・・導体回路、13・・・カバー層、14・・・導電粒子、20・・・プリント配線板、21・・・絶縁基材、22・・・導体回路、23・・・カバー層(カバーコート材)、30・・・接着剤、40・・・ステンレス板、50・・・プリント配線板、51・・・接着層、60・・・プリント配線板、61・・・カバーレイフィルム、62・・・樹脂フィルム、62b・・・細孔、63・・・接着層、70・・・プリント配線板、71・・・カバーレイフィルム、72・・・樹脂フィルム、72b・・・細孔、73・・・接着層、80・・・レーザー光、81・・・接着剤。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基材と、該絶縁基材の一方の面に設けられた導体回路と、前記絶縁基材および前記導体回路を覆うように設けられたカバー層と、該カバー層に埋設された導電粒子とを備え、
前記導電粒子は、前記導体回路と接触し、かつ、前記カバー層よりも突出するように、前記カバー層に埋設されており、前記導電粒子が電気的接点として機能することを特徴とするプリント配線板。
【請求項2】
前記導電粒子を覆うように、前記カバー層の前記導電回路と接する面とは反対側の面の少なくとも一部に接着層が設けられたことを特徴とする請求項1に記載のプリント配線板。
【請求項3】
前記接着層は、熱可塑性樹脂からなることを特徴とする請求項2に記載のプリント配線板。
【請求項4】
前記カバー層は、カバーレイフィルムからなり、該カバーレイフィルムに細孔が穿設され、該細孔の内径をd、前記導電粒子の直径をdとした場合、前記dと前記dは、d<dの関係を満たし、前記カバーレイフィルムの前記導体回路と接する面側から、前記細孔に前記導電粒子が嵌入されたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のプリント配線板。
【請求項5】
前記カバー層は、カバーレイフィルムからなり、該カバーレイフィルムには、前記導体回路と接する面側から、前記導体回路と接する面とは反対の面側に向かって次第に縮径するテーパー状の細孔が穿設されており、前記カバーレイフィルムの前記導体回路と接する面とは反対の面側における前記細孔の内径をd、前記カバーレイフィルムの前記導体回路と接する面側における前記細孔の内径をdとした場合、前記dと前記dは、d<dの関係を満たし、前記カバーレイフィルムの前記導体回路と接する面側から、前記細孔に前記導電粒子が嵌入されたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のプリント配線板。
【請求項6】
前記導電粒子は、樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面に形成された金属層とを備えてなることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のプリント配線板。
【請求項7】
絶縁基材と、該絶縁基材の一方の面に設けられた導体回路と、前記絶縁基材および前記導体回路を覆うように設けられたカバー層と、該カバー層に埋設された導電粒子とを備え、前記導電粒子は、前記導体回路と接触し、かつ、前記カバー層よりも突出するように、前記カバー層に埋設された第一のプリント配線板と、
絶縁基材と、該絶縁基材の一方の面に設けられた導体回路と、前記絶縁基材および前記導体回路を覆うように設けられたカバー層とを備え、前記導体回路の少なくとも一部が露出した第二のプリント配線板とを接続するプリント配線板の接続方法であって、
前記第一のプリント配線板の前記導電粒子を、前記第二のプリント配線の前記導体回路に当接させて、これらの接触部分およびその周囲を、接着剤によって接着することを特徴とするプリント配線板の接続方法。
【請求項8】
前記接着剤は、熱可塑性樹脂からなることを特徴とする請求項7に記載のプリント配線板の接続方法。
【請求項9】
前記接着剤は、前記導電粒子を覆うように、前記カバー層の前記導電回路と接する面とは反対の面の少なくとも一部に設けられた接着層からなることを特徴とする請求項7または8に記載のプリント配線板の接続方法。
【請求項10】
前記カバー層は、カバーレイフィルムからなり、該カバーレイフィルムに細孔が穿設され、該細孔の内径をd、前記導電粒子の直径をdとした場合、前記dと前記dは、d<dの関係を満たし、前記カバーレイフィルムの前記導体回路と接する面側から、前記細孔に前記導電粒子を嵌入されたことを特徴とする請求項7ないし9のいずれか1項に記載のプリント配線板の接続方法。
【請求項11】
前記カバー層は、カバーレイフィルムからなり、該カバーレイフィルムには、前記導体回路と接する面側から、前記導体回路と接する面とは反対の面側に向かって次第に縮径するテーパー状の細孔が穿設されており、前記カバーレイフィルムの前記導体回路と接する面とは反対の面側における前記細孔の内径をd、前記カバーレイフィルムの前記導体回路と接する面側における前記細孔の内径をdとした場合、前記dと前記dは、d<dの関係を満たし、前記カバーレイフィルムの前記導体回路と接する面側から、前記細孔に前記導電粒子を嵌入されたことを特徴とする請求項7ないし9のいずれか1項に記載のプリント配線板の接続方法。
【請求項12】
前記導電粒子は、樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面に設けられた金属層とを備えてなり、前記第一のプリント配線板と前記第二のプリント配線板を押圧し、前記導電粒子を弾性変形または塑性変形させて、前記導電粒子と前記第二のプリント配線板の端子とを接続することを特徴とする請求項7ないし11のいずれか1項に記載のプリント配線板の接続方法。
【請求項13】
絶縁基材と、該絶縁基材の一方の面に設けられた導体回路と、前記絶縁基材および前記導体回路を覆うように設けられたカバー層と、該カバー層に埋設された導電粒子とを備えたプリント配線板の製造方法であって、
前記絶縁基材の一方の面に前記導体回路を設ける工程と、前記導体回路の前記絶縁基材と接する面とは反対の面に前記導電粒子を配置する工程と、少なくとも前記導電粒子の頂部が露出し、かつ、前記絶縁基材および前記導体回路を覆うように前記カバー層を設ける工程と、を有することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項14】
絶縁基材と、該絶縁基材の一方の面に設けられた導体回路と、前記絶縁基材および前記導体回路を覆うように設けられたカバー層と、該カバー層に埋設された導電粒子とを備えたプリント配線板の製造方法であって、
前記絶縁基材の一方の面に前記導体回路を設ける工程と、前記カバー層を形成する材料としてカバーレイフィルムを用い、該カバーレイフィルムに細孔を穿設する工程と、少なくとも前記導電粒子の頂部が露出するように、前記細孔に前記導電粒子を収容する工程と、前記導電粒子が前記導体回路に当接するように、前記導体回路が設けられた前記絶縁基材に、前記導電粒子を収容したカバーレイフィルムを貼り合わせる工程と、を有することを特徴とするプリント配線板の製造方法。
【請求項15】
前記カバーレイフィルムに細孔を穿設する工程において、前記カバーレイフィルムに、前記導体回路と接する面側から、前記導体回路と接する面とは反対の面側に向かって次第に縮径するテーパー状の細孔を穿設することを特徴とする請求項14に記載のプリント配線板の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−153729(P2010−153729A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332676(P2008−332676)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】