説明

プレゼンテーション画像配信システム

【課題】プレゼンテーションを行っている発表者を撮影し、画像を配信するプレゼンテーション画像配信システムにおいて、発表者が配信先のモニタなどに映らなくなる事態の発生を低減する。
【解決手段】PTZカメラ1で撮影した画像は、PC2の入力部15からCPU11に入力される。CPU11は、入力された画像から発表者の顔が検出されていない場合に、顔が検出されるように、制御部14に対し、PTZカメラ1のパン、チルト、又はズーム制御を行わせる。PTZカメラ1からPC2へ入力された画像は、出力部16からネットワーク4を介して、遠隔地のPC5に配信され、スクリーン6に表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレゼンテーションの様子を撮影した画像をネットワーク経由で遠隔地のパーソナルコンピュータなどの端末装置へ配信するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の遠隔講義や遠隔プレゼンテーションにおいては、プロジェクタによりスクリーン上に投射表示されているプレゼンテーション資料の画像を発表者(講師、説明者など)が指示しながら講義し、この様子をカメラで撮影したプレゼンテーション画像をネットワーク経由で遠隔地へ配信し、モニタやスクリーンに表示することが一般的であった(特許文献1参照)。
【0003】
このとき配信されるプレゼンテーション画像については、配信する側の意向により様々なパターンが考えられるが、例えば固定カメラで発表者のみを撮影した画像を配信したい場合に、発表者がスクリーンの方向などへ移動し、カメラで撮影した画像中に発表者がいなくなる事態が頻繁に起こることがある。
【0004】
このことは、遠隔地のモニタなどに発表者が映らなくなることを意味するため、遠隔地で聴講している聴衆にとっては、臨場感が損なわれ、集中力や興味を失う可能性がある。
【特許文献1】特開平7−222052号公報(段落0002)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、その目的は、プレゼンテーションを行っている発表者を撮影し、その画像をネットワーク経由で遠隔地へ伝送するプレゼンテーション画像配信システムにおいて、発表者が遠隔地のモニタなどに映らなくなる事態の発生を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、プレゼンテーションの発表者、及び発表資料の表示画像を撮影可能に設置されたカメラと、そのカメラのパン、チルト及びズーム制御を行うカメラ制御装置と、そのカメラで撮影された画像をネットワーク経由で配信する画像伝送装置とを有するプレゼンテーション画像配信システムであって、前記カメラ制御装置は、前記カメラで撮影された画像から発表者の顔を検出する顔検出手段と、その顔検出手段により顔が検出されていない場合に、顔が検出されるように、前記カメラのパン、チルト、又はズーム制御を行う第1の制御手段とを有するプレゼンテーション画像配信システムである。
ここで、カメラが、発表者、及び発表資料の表示画像の双方が同時に撮影されるようにパン角度、チルト角度、及びズーム倍率が定められた第1の撮影モードと、発表者の顔が撮影画像の中央部に位置するようにパン角度、チルト角度、及びズーム倍率が制御される第2の撮影モードとを備え、第1のカメラ制御手段は、カメラが第2の撮影モードで動作していた場合、第1の撮影モードに切り替える制御を行うように構成してもよい。
また、カメラが第1の撮影モード及び第2の撮影モードを備え、カメラ制御装置が、顔検出手段により顔が検出されている場合に、顔が発表資料の表示画像の方向を向いているか否か判定する顔方向判定手段と、カメラが第1の撮影モードで動作し、かつ顔が発表資料の表示画像の方向を向いていない状態が所定時間継続した場合に、第2の撮影モードに切り替える制御を行う第2の制御手段とを備えるように構成してもよい。
さらに、カメラが第1の撮影モード及び第2の撮影モードを備え、カメラ制御装置が、顔検出手段により顔が検出されている場合に、顔が発表資料の表示画像の方向を向いているか否か判定する顔方向判定手段と、カメラが第2の撮影モードで動作し、かつ顔が発表資料の表示画像の方向を向いている状態が所定時間継続した場合に、第1の撮影モードに切り替える制御を行う第3の制御手段とを備えるように構成してもよい。
また、カメラが、発表者及び発表資料の表示画像の双方が同時に撮影されるようにパン角度、チルト角度、及びズーム倍率が定められ、かつ顔方向検出手段が動作しないように定められた第3の撮影モードを備え、カメラ制御装置が、顔検出手段により顔が検出されている場合に、発表者の動きを検出する動き検出手段と、発表者の動きが所定量を超えた場合に、第3の撮影モードに切り替える制御を行う第4の制御手段を備えるように構成してもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、プレゼンテーションを行っている発表者を撮影し、画像をネットワーク経由で遠隔地へ伝送するプレゼンテーション画像配信システムにおいて、発表者が遠隔地のモニタなどに映らなくなる事態の発生を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態のプレゼンテーション画像配信システムの構成を示す図である。
【0009】
このプレゼンテーション画像配信システムは、PTZ(Pan Tilt Zoom)カメラ1と、PTZカメラ1に接続されたPC(パーソナルコンピュータ)2と、PC2に接続されたモニタ3とからなり、PC2からインターネットなどのネットワーク4を介して、PTZカメラ1により撮影されたプレゼンテーション画像を遠隔地のPC5へ配信し、PC5及び図示されていないプロジェクタによりスクリーン6に投射して表示するように構成されている。PC2が本発明のカメラ制御装置及び画像伝送装置に対応する。
【0010】
PTZカメラ1は、PC2の制御により、パン角度、チルト角度、及びズーム倍率の制御が可能であり、撮影した画像がPC2に入力されるように接続されている。
【0011】
PC2は、CPU11と、それぞれがCPU11に接続されたROM12、RAM13、制御部14、入力部15、及び出力部16を備えている。
【0012】
CPU11は、PC2全体の制御や各種演算などを行う処理装置である。ROM12には、CPU2が実行するプログラムや各種固定データが記憶される。RAM13には、CPU11の動作中にプログラムやデータが一時的に記憶される。制御部14は、CPU11の指示に基づいてPTZカメラ1を制御する。入力部15には、PTZカメラ1で撮影された画像が入力される。出力部16は、PTZカメラ1で撮影された画像をモニタ3へ出力するとともに、その画像にデータ圧縮などの処理を施し、ネットワーク4を介して、遠隔地のPC5へ配信する。
【0013】
以上の構成を有するプレゼンテーション画像配信システムの動作を説明する。図2は、このプレゼンテーション画像配信システムにおいて、PTZカメラ1を設置する作業から、PC2がPTZカメラ1を制御しながら画像を取得するまでの手順を示すフローチャートである。
【0014】
まずPTZカメラ1を設置する(ステップS1)。図3に設置例を示す。ここでは、PTZカメラ1は、発表者7、及び発表資料が投射表示されるスクリーン8を撮影することができるように、演台9の前方に設置されている。
【0015】
次にPTZカメラ1の初期設定を行う(ステップS2)。この初期設定では、ユーザがPC2の操作部(図示省略)から各種パラメータを入力し、CPU11がRAM13に記憶する。
【0016】
本実施形態では、初期設定時に、PTZカメラ1に対して3種類の撮影モード、撮影した画像中の発表者の動きなどに応じてモードを切り替える際の基準位置を表すモード切り替え線、PTZカメラ1のワイド側及びテレ側のパン角、チルト角、ズーム倍率などを記憶する。
【0017】
ワイド側については、図4に示すように、プレゼンテーション中の発表者7の通常の立ち位置において、発表者7とスクリーン8が同時に撮影されるように、換言すれば発表者7とスクリーン8を含む画像が得られるように、モニタ3を見ながらPC2を操作することで、PTZカメラ1のパラメータのうち、パン角θ、チルト角φ、ズーム倍率αを定める。ここでは、θ=θ1、φ=φ1、α=α1に定めたものとする。また、θ=θ1、φ=φ1、α=α1に設定された状態で、モニタ3上の画像21の横(左右)方向の所定の位置(ここではスクリーン8の右端の少し左)にモード切り替え線Lx1を設定する。このモード切り替え線Lx1は、後述するxy直交座標系(図6)のx座標を定めることで設定する。また、スクリーン8が発表者7からどの方向にあるかをPC2にて設定する。
【0018】
テレ側については、図5に示すように、プレゼンテーション中の発表者7の通常の立ち位置において、発表者7が正面を向いており、発表者7がモニタ3上の画像22の中央に大きく映るように、PTZカメラ1のパン角θ、チルト角φ、ズーム倍率αを自動設定する。パン角θについては発表者7に関わらず一定となり、チルト角φ及びズーム倍率αは、発表者7の身長、顔の大きさによって変わる。ここでは、θ=θ2、φ=φ2、α=α2になったものとする。この設定は、発表者本人以外の人を立たせて行ってもよい。
【0019】
3種類の撮影モードのうち、第1の撮影モードは、PTZカメラ1のパラメータを上述したワイド側の初期設定値(θ=θ1、φ=φ1、α=α1)に設定して撮影を行うとともに、発表者7が所定時間スクリーン8の方向を向いていないときに、後述する第2の撮影モードに切り換わるモードである。
【0020】
第2の撮影モードは、PTZカメラ1のパラメータを上述したテレ側の初期設定値(例えばθ=θ2、φ=φ2、α=α2)に設定して撮影を開始するとともに、発表者7が所定時間スクリーン8の方向を向いていた場合に、前述した第1の撮影モードに切り換わるモードである。
【0021】
このモードでは、PTZカメラ1のパン角θ、チルト角φ、ズーム倍率αは、発表者7の顔を検出し、図6に示すように、顔71が画像23の所定の位置に配置されるように自動制御する。ここでは、画像23の外側に設定したxy直交座標系において、x=x2である中心ラインLx2上に顔71の左右の中心が位置し、y=y1である上端ラインLy1上に顔71の上端が位置し、y=y2である下端ラインLy2上に顔71の下端が位置するように制御する。中心ラインLx2、上端ラインLy1、下端ラインLy2も初期設定時に設定する。
【0022】
第3の撮影モードは、前述した第1の撮影モードにおいて、発表者7の顔の向きに応じたモード切り替え動作を行わないようにしたモードである。
【0023】
以上のように初期設定を終え、ユーザがPC2から撮影開始を指示すると(ステップS3)、PTZカメラ1は第1の撮影モード(撮影モード1)で撮影を開始する(ステップS4)。PTZカメラ1で撮影された画像は、PC2に入力され、モニタ3へ出力されるとともに、ネットワーク4を介して遠隔地のPC5へ送信され、スクリーン6に表示される。これにより、モニタ3の及びスクリーン6には、図4に示す画像21(モード切り替え線Lx1を除く)が表示される。
【0024】
次にPC2は、PTZカメラ1から入力された画像を用いて、発表者7の顔とその向きを検出する処理を行い(ステップS5)、顔が検出されたかどうか調べる(ステップS6)。
【0025】
ここでは顔が検出されたものとし(S6:Yes)、第1の撮影モードで動作中かどうか調べる(ステップS7)。ここでは第1の撮影モードで動作中であるから(S7:Yes)、発表者が通常の立ち位置から大きく移動したかどうか調べる(ステップS8)。大きく移動したかどうかは、図4のモード切り替え線Lx1を超えたかどうかにより判断する。
【0026】
ここでは、大きく移動しなかったものとし(S8:No)、発表者7の顔がスクリーン8の方向を向いているかどうか調べる(ステップS9)。そして、向いている場合は(S9:Yes)、PC2はPTZカメラ1から次のフレームの画像を取得し(ステップS10)、ステップS6に戻る。取得された画像は、ネットワーク4を介して遠隔地のPC5へ送信される。
【0027】
発表者7の顔がスクリーン8の方向を向いていなかった場合は(S9:No)、ステップS25へ進み、所定時間経過したかどうか調べる。そして、経過していない場合は(S25:No)、画像を取得し(ステップS10)、ステップS6に戻る。一方、経過した場合は(S25:Yes)、第2の撮影モード(撮影モード2)へ移行し(ステップS26)、発表者7の顔71が図6に示す位置に存在するように、PTZカメラ1のパン角θ、チルト角φ、ズーム倍率αを自動調整(ステップS27)した後に画像を取得する(ステップS10)。
【0028】
つまり、第1の撮影モードで動作しているときに、所定時間、発表者7が大きく移動することなくスクリーン8以外の方向を向いた場合に、第2の撮影モードに切り換わる。第2の撮影モードでは、常にPTZカメラ1の自動調整が行われるので、発表者7がスクリーン8の付近へ移動しても自動的に追尾する。“所定時間”の条件を付けたのは、例えば、発表者7がスクリーン8をちらっと見た程度での撮影モードの切り替えを防ぐためである。
【0029】
ステップS8で、発表者7が大きく移動したと判断した場合は(S8:Yes)、第3の撮影モード(撮影モード3)へ移行した後に画像を取得する(ステップS24→S10)。つまり、第1の撮影モードで動作しているときに、発表者7が大きく移動した場合、第3の撮影モードへ移行する。第3の撮影モードでは、PTZカメラ1のパン角θ、チルト角φ、ズーム倍率αは、第1の撮影モードと同じθ1、φ1、α1であるが、顔検出によるモード切り替えは行わない。
【0030】
第1の撮影モードから第2の撮影モードに切り換わった後に、発表者7の顔を検出した場合(S26→S27→S10→S6:Yes)、S7:No→S14:Yesの順に進み、ステップS16で、発表者7が通常の立ち位置から大きく移動したかどうか調べる。第2の撮影モードでは、大きく移動したかどうかは、PTZカメラ1のパン角θが、テレ側の初期設定値θ2と比べて、所定の閾値を超えて変化したかどうかにより判断する。なお、この閾値は初期設定時(ステップS2)に設定する。
【0031】
大きく移動していない場合は(S16:No)、顔がスクリーン8の方向を向いているかどうか調べる(ステップS19)。向いていない場合は(S19:No)、顔71の中心、上端、下端が図6に示す位置に映るように、PTZカメラ1のパン角θ、チルト角φ、ズーム倍率αを自動調整(ステップS23)した後に画像を取得し(ステップS10)、ステップS6に戻る。
【0032】
顔がスクリーンの方向を向いている場合は(S19:Yes)、ステップS20へ進み、所定時間経過したかどうか調べる。そして、経過していない場合は(S20:No)、PTZカメラ1の自動調整(ステップS23)を行い、画像を取得し(ステップS10)、ステップS6に戻る。一方、経過した場合は(S20:Yes)、第1の撮影モードへ移行し(ステップS21)、PTZカメラ1のパン角θ、チルト角φ、ズーム倍率αをワイド側の初期設定値(θ1、φ1、α1)に調整(ステップS22)した後に画像を取得し(ステップS10)、ステップS6に戻る。
【0033】
ステップS16で、発表者7が大きく移動したと判断した場合は(S16:Yes)、第3の撮影モードへ移行し(ステップS17)、PTZカメラ1のパン角θ、チルト角φ、ズーム倍率αをワイド側の初期設定値(θ1、φ1、α1)に調整(ステップS18)した後に画像を取得し(ステップS10)、ステップS6に戻る。また、ステップS17では、発表者7の顔の中心のX方向の位置データを保存する。
【0034】
図7に、発表者7が大きく移動した場合の一例の画像24を示す。図8は、図7の状態から第3の撮影モードに切り換わった瞬間の画像を示す。発表者7の顔の中心のx方向の位置データx3が保存される。
【0035】
このように、第2の撮影モードで動作しているときに、発表者7が大きく移動した場合も、第1の撮影モードで動作しているときと同様、第3の撮影モードへ移行する。第2の撮影モードから第3の撮影モードへ移行したときに保存した、発表者7の顔の中心のx方向の位置データx3は、後に第1の撮影モードへ移行するときの位置の基準となる。
【0036】
第1の撮影モードから第3の撮影モードに切り換わった後に、発表者7の顔を検出した場合(S24→S10→S6:Yes)、又は第2の撮影モードから第3の撮影モードに切り換わった後に、発表者7の顔を検出した場合(S17→S18→S10→S6:Yes)は、S7:No→S14:Noの順に進み、ステップS15で、発表者7が元の位置に戻ったかどうか調べる。
【0037】
ここで、元の位置に戻ったかどうかは、第1の撮影モードから第3の撮影モードに切り換わった場合については、発表者7が図4のモード切り替え線Lx1より右側の場所に戻ったかどうかにより判断し、第2の撮影モードから第3の撮影モードに切り換わった場合については、発表者7の顔の中心のx方向の位置データが先に保存したx3より右側の場所に戻ったかどうかにより判断する。
【0038】
戻っていないと判断した場合は(S15:No)、そのまま画像を取得して(ステップS10)、ステップS6に戻る。また、戻ったと判断した場合は(S15:Yes)、第1の撮影モードへ移行し(ステップS13)、画像を取得する。
【0039】
第1〜第3のどの撮影モードでも、発表者7の顔を検出できなかった場合は(S6:No)、発表者7を見失ったとして、第1の撮影モードへ移行する(ステップS13)。ここで、第2の撮影モードで動作中であった場合は(S11:Yes)、第1の撮影モードへ移行する前にPTZカメラ1のパン角θ、チルト角φ、ズーム倍率αをワイド側の初期設定値(θ1、φ1、α1)にする調整を行う(ステップS12)。
【0040】
以上説明したフローチャートの処理をまとめると下記(1)〜(8)のようになる。
(1)第1の撮影モードで撮影を開始する。PTZカメラ1のパン角θ、チルト角φ、ズーム倍率αをワイド側の初期設定値θ1、φ1、α1にする。
【0041】
(2)発表者7の顔とその向きを検出する。
(3)顔が所定時間、スクリーン8以外の方向を向いている時に、第2の撮影モードに切り替え、検出した顔の中心が、画像の横方向の中心ラインLx2上に位置するようにパン角θが自動調整するとともに、顔の上端、下端が、撮影画像の縦方向の上端ラインLy1上、下端ラインLy2上に位置するように、チルト角φ、ズーム倍率αを自動調整する。
【0042】
(4)第2の撮影モードでは、常にPTZカメラ1のパラメータの自動調整を行う。従って、発表者7が通常の立ち位置を離れて、スクリーン8の付近へ移動しても、発表者7の顔を自動追尾する。
【0043】
(5)顔が所定時間、スクリーン8の方向を向いているとき、第1の撮影モードに切り替え、PTZカメラ1のパン角θ、チルト角φ、ズーム倍率αをθ1、φ1、α1とする。
(6)発表者7が通常の立ち位置から大きく移動した場合、第3の撮影モードに切り替え、PTZカメラ1のパン角θ、チルト角φ、ズーム倍率αをθ1、φ1、α1とする。第2の撮影モードから切り替えた場合は、顔のx方向位置座標を保存する。第3の撮影モードでは、顔の向きの検出による撮影モードの切り替えは行わない。発表者7の顔が元の位置に戻った場合は、第1の撮影モードに切り替える。
【0044】
(7)顔を検出できなかった場合は、発表者7を見失ったとして、第1の撮影モードへ移行する。
(8)上記(1)〜(7)の処理を繰り返す。
【0045】
以上詳細に説明したように、本実施形態のプレゼンテーション画像配信システムによれば、発表者7が常にPTZカメラ1で撮影されるように、PTZカメラ1を自動制御するので、臨場感のある画像の配信が可能になる。また、発表者7の顔の向きや、通常の立ち位置からの移動距離に応じて、総合的に判断し、発表者7の状態に見合った撮影モードに切り替えるので、遠隔地で聴講している人にも、発表内容に関して、一層興味を持ってもらえることが期待できる。
【0046】
以上の実施形態では、PC2に、PTZカメラ1からの画像を取り込む機能、取り込んだ画像の内容に基づいてPTZカメラ1のパラメータを制御する機能、及び取り込んだ画像を遠隔地のPC5へ伝送する機能を持たせたが、各機能を別々の装置に持たせてもよい。また、各機能をPTZカメラ1に持たせてもよい。
【0047】
なお、本実施形態のPTZカメラ1及びPC2を侵入者検知システムに応用し、侵入者の顔をズームインして撮影するモード、侵入者を追跡しつつ全身が映るように撮影するモードなどを設定することにより、侵入者の検知状態に見合う画像の取得が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態のプレゼンテーション画像配信システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態のプレゼンテーション画像配信システムにおいて、PTZカメラを設置する作業から、PCがPTZカメラを制御しながら画像を取得するまでの手順を示すフローチャートである。
【図3】PTZカメラの設置例を示す図である。
【図4】PTZカメラのワイド側のパラメータ設定時の画像を示す図である。
【図5】PTZカメラのテレ側のパラメータ設定時の画像を示す図である。
【図6】第2の撮影モードにおける発表者の顔の表示目標位置を示す図である。
【図7】第2の撮影モードで発表者が大きく移動した様子の画像を示す図である。
【図8】図7の状態から第3の撮影モードに切り換わった瞬間の画像を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
1・・・PTZカメラ、2・・・PC、4・・・ネットワーク、5・・・遠隔地のPC、6・・・遠隔地のスクリーン、7・・・発表者、8・・・スクリーン、11・・・CPU、12・・・ROM、13・・・RAM、14・・・制御部、15・・・入力部、16・・・出力部、71・・・発表者の顔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレゼンテーションの発表者、及び発表資料の表示画像を撮影可能に設置されたカメラと、そのカメラのパン、チルト及びズーム制御を行うカメラ制御装置と、そのカメラで撮影された画像をネットワーク経由で配信する画像伝送装置とを有するプレゼンテーション画像配信システムであって、
前記カメラ制御装置は、前記カメラで撮影された画像から発表者の顔を検出する顔検出手段と、その顔検出手段により顔が検出されていない場合に、顔が検出されるように、前記カメラのパン、チルト、又はズーム制御を行う第1の制御手段とを有するプレゼンテーション画像配信システム。
【請求項2】
請求項1に記載されたプレゼンテーション画像配信システムにおいて、
カメラは、発表者、及び発表資料の表示画像の双方が同時に撮影されるようにパン角度、チルト角度、及びズーム倍率が定められた第1の撮影モードと、発表者の顔が撮影画像の中央部に位置するようにパン角度、チルト角度、及びズーム倍率が制御される第2の撮影モードとを備えていることを特徴とするプレゼンテーション画像配信システム。
【請求項3】
請求項2に記載されたプレゼンテーション画像配信システムにおいて、
第1の制御手段は、カメラが第2の撮影モードで動作していた場合、第1の撮影モードに切り替える制御を行うことを特徴とするプレゼンテーション画像配信システム。
【請求項4】
請求項2に記載されたプレゼンテーション画像配信システムにおいて、
カメラ制御装置は、顔検出手段により顔が検出されている場合に、顔が発表資料の表示画像の方向を向いているか否か判定する顔方向判定手段と、カメラが第1の撮影モードで動作し、かつ顔が発表資料の表示画像の方向を向いていない状態が所定時間継続した場合に、第2の撮影モードに切り替える制御を行う第2の制御手段とを有することを特徴とするプレゼンテーション画像配信システム。
【請求項5】
請求項2に記載されたプレゼンテーション画像配信システムにおいて、
カメラ制御装置は、顔検出手段により顔が検出されている場合に、顔が発表資料の表示画像の方向を向いているか否か判定する顔方向判定手段と、カメラが前記第2の撮影モードで動作し、かつ顔が発表資料の表示画像の方向を向いている状態が所定時間継続した場合に、第1の撮影モードに切り替える制御を行う第3の制御手段とを有することを特徴とするプレゼンテーション画像配信システム。
【請求項6】
請求項4又は5に記載されたプレゼンテーション画像配信システムにおいて、
カメラは、発表者及び発表資料の表示画像の双方が同時に撮影されるようにパン角度、チルト角度、及びズーム倍率が定められ、かつ顔方向検出手段が動作しないように設定された第3の撮影モードを備え、
カメラ制御装置は、顔検出手段により顔が検出されている場合に、発表者の動きを検出する動き検出手段と、発表者の動きが所定量を超えた場合に、前記第3の撮影モードに切り替える制御を行う第4の制御手段を有することを特徴とするプレゼンテーション画像配信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−87613(P2010−87613A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−251656(P2008−251656)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【Fターム(参考)】