説明

プロテインキナーゼ阻害剤として有用なフェニルアセトアミド


【化1】


〔式中、基R1、R2、R3、R9、R10およびQならびにX、YおよびZは、本明細書に定義のとおりである〕の化合物、その塩;その使用、その使用方法、その製造方法、それを含む医薬組成物、それと第2の薬剤物質の組合せ剤、およびその使用等。当該化合物は、プロテインキナーゼ阻害剤であり、プロテインキナーゼ阻害剤によって介在される疾患の処置に、例えば多くの増殖性疾患の処置に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェニルアセチルアミド誘導体、プロテインキナーゼ阻害剤としてのその使用、当該化合物を含む新規医薬製剤、動物、とりわけヒトの診断または治療的処置に使用するための当該化合物、疾患の処置におけるまたはプロテインキナーゼの調節に応答する疾患の処置に有用な医薬製剤の製造のためのその使用、当該化合物を含む、例えばプロテインキナーゼに応答する疾患の処置に有用な医薬製剤、当該化合物を温血動物に投与することを含む処置方法、および/または当該化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
プロテインキナーゼの中では、受容体タイプキナーゼと非受容体タイプキナーゼ、そしてチロシンキナーゼとセリン/スレオニンキナーゼを区別することができる。それらの局在化によって、核、細胞質および膜関連キナーゼを区別することができる。膜関連チロシンキナーゼはしばしば、同時に成長因子の受容体である。
【0003】
プロテインキナーゼ(PK)は細胞タンパク質の特定のセリン、スレオニンまたはチロシン残基のリン酸化を触媒する酵素である。これらの基質タンパク質の翻訳後修飾は、細胞増殖、活性化および/または分化の制御工程としての分子スイッチとして作動する。異常もしくは過剰、あるいはより一般的に不適切なPK活性は、良性および悪性増殖性障害を含む多くの疾患状態において観察されている。多くの場合、PK阻害剤を使用することによってインビトロで、そして多くの場合インビボで増殖性障害のような疾患を処置することができる。
【0004】
プロテインキナーゼ阻害剤の数は多い。さらに、増殖性疾患および他のPK関連疾患が多数存在する。いくつかの症例において、処置された疾患が治療剤に対する抵抗性を生じる。また、ある種の患者においては、極めて特異的な処置が必要とされる。したがって、現在利用可能な薬剤に追加するために、PK阻害剤として有用であって、プロテインチロシンキナーゼ(PTK)関連疾患の処置に有用な新規化合物群を提供する継続的必要性が存在する。必要とされているのは、薬学的に有利な新規PK阻害化合物群である。
【0005】
フィラデルフィア染色体は慢性骨髄性白血病(CML)のホールマークであり、bcr遺伝子のN末端エキソンおよびc−abl遺伝子の主要なC末端部分(エキソン2−11)を含むハイブリッド遺伝子を担持する。該遺伝子産物は210kDのタンパク質(p210 Bcr−Abl)である。Bcr−Ablタンパク質のabl部分は、野生型c−ablにおいて緊密に制御されているabl−チロシンキナーゼを含むが、Bcr−Abl融合タンパク質において構造的に活性化される。この脱制御チロシンキナーゼは、複数の細胞シグナル伝達経路と相互作用して細胞の形質転換および脱制御増幅を導く(Lugo et al., Science 247, 1079 [1990])。Bcr−Ablタンパク質の変異形態も同定されている。Bcr−Abl変異形態の詳細な概説が公開されている(Cowan-Jones et al, Mini Reviews in Medicinal Chemistry, 2004, 4 285-299)。c−ablおよびその変異体の阻害剤による処置は、白血病、例えばAMLおよびCMLに対して有用である。
【0006】
c−Kitは、PDGFファミリーに属するチロシンキナーゼ受容体であり、そのリガンドSCF(幹細胞因子)の結合によって活性化される。c−kitの発現パターンは、例えば異なる原発性固形腫瘍のパネルにおいて研究されている。kitの強い発現は、特に肉腫、消化器間質腫瘍(GIST)、精上皮腫およびカルチノイドにおいて見出すことができる(Weber et al., J. Clin. Oncol. 22(14S), 9642 (2004))。GISTは非上皮腫瘍であり、腸がんの他の一般的な形態と診断上異なる。多くが胃に生じ、小腸ではそれより少なく、食道ではさらに少ない。肝臓、網および腹腔への転移が観察され得る。GISTはおそらく、通常、腸の自律神経系の一部を構成し、運動の制御に関与している腸カハール細胞(ICC)から生じる。GISTの多く(50〜80%)は、c−kit遺伝子突然変異のために生じる。腸におけるc−kit/CD117についての陽性染色は、GISTである可能性がある。c−kitの突然変異は、c−kit機能をSCFによる活性化とは独立させ得て、高い細胞分化速度および遺伝子の不安定さを惹起する可能性がある。また、マスト細胞腫瘍、ならびに肥満細胞症および関連した骨髄増殖性疾患および色素性蕁麻疹においてc−kitの異常を観察することができた。c−kitの発現および/または異常は、急性骨髄球性貧血(AML)および悪性リンパ腫においても見られる。c−kit発現はまた、小細胞気管支癌腫、精上皮腫、未分化胚細胞腫、精巣上皮内新生物、黒色腫、乳がん、神経芽腫、ユーイング肉腫、軟部肉腫ならびに乳頭/濾胞性甲状腺癌腫(Schuette et al., innovartis 3/2001参照)においても見られる。
【0007】
RET(トランスフェクション中に再配列された)プロトオンコジーンの遺伝的変異は、例えば褐色細胞腫、甲状腺髄様癌腫および副甲状腺過形成/腺腫を惹起し得る多発性内分泌系新生物タイプ2(MEN2)を有する患者においては腫瘍原性であると知られている(Huang et al., Cancer Res. 60, 6223-6 (2000)参照)。MEN2を有する患者においては、生殖細胞系のRET変異、そして場合によりトリソミー10における変異RET対立遺伝子の複製または野生型RET対立遺伝子の欠失は、一般に活性化されている、すなわち当該受容体のリガンド非依存性二量体化が起きていると判定され、そのように信じられている。
【0008】
血小板由来増殖因子受容体、例えばPDGFR−アルファおよび−ベータは膜貫通チロシンキナーゼ受容体でもある。2つのA、2つのBまたは1つのAと1つのBのヘテロダイマー(PDGF−A、PDGF−BまたはPDGF−AB)から形成されるリガンドの結合によって、当該受容体は二量体化し、そしてチロシンキナーゼが活性化される。これは下流シグナル伝達を導き、したがって腫瘍増殖を支持し得る。この遺伝子の変異はリガンド結合と独立した受容体活性化を可能とし、発がんの推進力であると考えられる(GISTは、血小板由来増殖因子受容体−アルファ(PDGRF)遺伝子の活性化変異によっても特徴付けられ得る)。PDGFRを活性化する増殖因子であるPDGFの発現は、多くの異なる腫瘍細胞系、特に哺乳類の結腸、卵巣、前立腺がん、肉腫およびグリア芽腫細胞系において観察された。腫瘍のうち、脳腫瘍および前立腺がん(腺がんおよび骨転移を含む)は特に興味が持たれている。悪性神経膠腫(未分化星状細胞腫/グリア芽腫)に関する興味深いデータが存在する。興味深い前臨床データが、隆起性皮膚線維肉腫、一般的にコラーゲン−タイプIα1(COLIA1)とPDGF−Aの融合によって特徴付けられる軟部腫瘍の処置においても得られている。
【0009】
VEGFR(血管内皮増殖因子受容体)は血管形成の発生の制御に関連していることが知られている。特に固形腫瘍は良好な血液供給に依存するため、VEGFRの阻害およびそれによる血管形成の阻害は、かかる腫瘍の処置における臨床調査下で約束された結果を示す。VEGFはまた、白血病およびリンパ腫の主要な関連要素であり、悪性疾患進行と十分に関連している多くの固形悪性腫瘍において高度に発現している。VEGFR−2(KDR)発現を有する腫瘍疾患の例は、肺がん、乳がん、非ホジキンスリンパ腫、卵巣がん、膵臓がん、悪性胸膜中皮腫および黒色腫である。その血管形成活性に加えて、VEGFRのリガンドであるVEGFは、腫瘍細胞の直接プロ−生存効果によって腫瘍増殖を促進し得る。多くの他の疾患は、例えば下記のとおり脱制御された血管形成に関連する。
【0010】
FLT3は受容体チロシンキナーゼ(RTK)ファミリータイプIIIのメンバーである。FLT3(fms−様チロシンキナーゼ)はまた、FLk−2(胎児肝臓キナーゼ2)として知られている。FLT3遺伝子の異常発現は特に、急性骨髄性白血病(AML)、3血球系骨髄異形性を有するAML(AML/TMDS)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、および骨髄異形性症候群(MDS)、ならびにMLL(混合系統白血病)を含む成人および小児両方の白血病において示されている。FLT3受容体の活性化変異は、急性骨髄芽白血病(AML)を有する患者の35%において見出されており、予後不良となる。最も一般的な変異には、膜近傍ドメイン内のフレーム内重複が含まれ、さらに5−10%の患者がアスパラギン835の点変異を有する。これらの変異の両方がFLT3のチロシンキナーゼ活性の構造的活性化に関連しており、無リガンドでの増殖および生存シグナルを惹起する。当該受容体の変異形態を発現している患者は治癒率が低いことが示されている。したがって、ヒト白血病および骨髄異形性症候群において過活性化(変異)されたFLT3キナーゼ活性が関与しているという証拠が集積されている。
【0011】
アンギオポイエチン(Tie−2のリガンド)およびTie−2は、血管安定化および血管リモデリングに関与している。Tie−2が、2次的リガンドであるアンギオポイエチン−2(ang−2)によってアンタゴナイズされるそのリガンドの1つであるアンギオポイエチン−1によって活性化されることが知られている。血管形成が生じている部位では、当該アンタゴニストang2が上方制御されている。
【0012】
プロテインキナーゼ、とりわけ上記のものの1個以上の新規阻害剤を提供し、したがって現存するわずかな利用可能な化合物に新規化合物を追加することが、本発明によって解決されるべき課題である。
【発明の概要】
【0013】
本発明の一般的な説明
本発明において、式Iの化合物が多数のプロテインキナーゼの阻害を示すことを見出した。より詳細には下記の式Iの化合物は、下記プロテインキナーゼ:tie−2、好ましくはc−Abl、Bcr−Abl、c−Kit、RETプロトオンコジーン、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)、FLT3受容体キナーゼおよび血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)、例えば特にVEGFR2の1種以上の阻害を示す。式Iの化合物はさらにまた、当該キナーゼの変異を阻害する。これらの活性の観点において、かかるタイプのキナーゼ、とりわけ上記のもののとりわけ異常または過剰な活性に関連した疾患の処置に式Iの化合物を使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の詳細な記載
1つの局面において、本発明は式
【化1】

〔式中、
(i)R1およびR2は互いに独立して、水素、ハロおよびC−C−アルキルから成る群から選択され;
R3はZが窒素であるとき存在しないか、またはZがC(炭素)であるとき、水素、置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換ヘテロシクリルであり;
XはN(窒素)またはCH(水素置換炭素)であり、
YはCHまたはNであり、
ZはCまたはNであり、そして
【0015】
Qは式
【化2】

{式中、
(a)R4は水素、ハロ、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換アリール、窒素以外の環原子を介して結合した置換もしくは非置換ヘテロシクリル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルケニル、または置換もしくは非置換アルキニルであり;
R5は1−メチル−ピペリジン−4−イルオキシ)、1−メチル−ピペリジン−4−イル、2−ジメチルアミノ−エチルまたは4−エチル−ピペラジン−1−イルであり;そして
R6は水素、置換もしくは非置換シクロアルキル、または(好ましくは)置換もしくは非置換アルキルであるか;または
(b)R4は1−メチル−ピペリジン−4−イルメチル)、1−エチル−ピペリジン−4−イルメチル、1−メチル−ピペリジン−4−イルオキシまたは1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルメチルであり;
R5は水素、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロシクリルであり;そして
R6は水素、置換もしくは非置換シクロアルキル、または(好ましくは)置換もしくは非置換アルキルであり;
ここで式(A)のアスタリスク*は、当該基が式Iのアミド基のNHと結合しているその結合を意味する}
の基であり;そして
R9およびR10は互いに独立して、水素、ヒドロキシルおよびC−C−アルキルから成る群から選択されるか;または
R9とR10は一体となってオキソを意味するか;または
R1とR9は一体となって基−C(O)−CH2−または−CH2−CH2−を形成し、R2は水素、ハロおよびC−C−アルキルから成る群から選択され、そしてR10は水素を意味するか;または
【0016】
(ii)下記群
2−(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−N−[4−(4−イソプロピル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−N−(4−ジエチルアミノメチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−アセトアミド)、
2−(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−N−(4−ピロリジン−1−イルメチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−アセトアミド、
2−(2−クロロ−4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−(4−ジエチルアミノメチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−アセトアミド、
2−(2−クロロ−4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−(4−ピロリジン−1−イルメチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−アセトアミド、
N−[3−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−アセトアミド、
N−(3−ジエチルアミノメチル−5−トリフルオロメチル−フェニル)−2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−アセトアミド、
2−(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−N−(3−ジエチルアミノメチル−5−トリフルオロメチル−フェニル)−アセトアミド、
2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−[3−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−2−メチル−フェニル)−N−[3−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−2−メチル−フェニル)−N−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
N−[3−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−2−メチル−フェニル)−アセトアミド、
2−(2−クロロ−4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−[3−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−N−[3−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−N−[3−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、および
2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−2−メチル−フェニル)−N−[4−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミドから選択される〕
の化合物を提供する。
【0017】
式Iの化合物において好ましくは、
− XはCまたはNHである;
− YはCHである;
− ZはCである;
− R1はHである;
− R2は水素、ハロまたはC−C−アルキル、例えばメチルである;
− R3はHである;
− R9はHである;
− R10はHである;
− Qは基
【化3】

【化4】

から成る群から選択される。
【0018】
式Iの化合物において、示された各置換基の群は他の定義された群とは独立して好ましい群であってよく;そして示された1個の置換基それぞれは他の定義された複数の置換基とは独立して好ましい基であってよい。
【0019】
他の局面において、本発明は下記群から選択される化合物を提供する:
N−[3−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−フェニル]−2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−アセトアミド、
2−(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−N−[4−(4−イソプロピル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−[4−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−N−(4−ジエチルアミノメチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−アセトアミド)、
2−(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−N−(4−ピロリジン−1−イルメチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−アセトアミド、
2−(2−クロロ−4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−(4−ジエチルアミノメチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−アセトアミド、
2−(2−クロロ−4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−(4−ピロリジン−1−イルメチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−アセトアミド、
N−[3−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−アセトアミド、
N−(3−ジエチルアミノメチル−5−トリフルオロメチル−フェニル)−2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−アセトアミド、
2−(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−N−(3−ジエチルアミノメチル−5−トリフルオロメチル−フェニル)−アセトアミド、
N−[4−(1−エチル−ピペリジン−4−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−アセトアミド、
2−(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−N−[4−(1−エチル−ピペリジン−4−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(2−クロロ−4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−[4−(1−エチル−ピペリジン−4−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、2−(2−クロロ−4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−[4−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
【0020】
2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−[4−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−N−[4−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(2−クロロ−4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−[4−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−N−[4−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−[3−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−2−メチル−フェニル)−N−[3−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−2−メチル−フェニル)−N−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
N−[3−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−2−メチル−フェニル)−アセトアミド、
2−(2−クロロ−4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−[3−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−N−[3−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−N−[3−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−2−メチル−フェニル)−N−[4−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(2−クロロ−4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−{3−[(2−ジメチルアミノ−エチル)−メチル−アミノ]−5−トリフルオロメチル−フェニル}−アセトアミド、
【0021】
N−{3−[(2−ジメチルアミノ−エチル)−メチル−アミノ]−5−トリフルオロメチル−フェニル}−2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−2−メチル−フェニル)−アセトアミド、
N−{3−[(2−ジメチルアミノ−エチル)−メチル−アミノ]−5−トリフルオロメチル−フェニル}−2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−アセトアミド、
2−(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−N−{3−[(2−ジメチルアミノ−エチル)−メチル−アミノ]−5−トリフルオロメチル−フェニル}−アセトアミド、
2−(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−N−[4−(1−メチル−ピペリジン−4−イルオキシ)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−[4−(1−メチル−ピペリジン−4−イルオキシ)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−2−メチル−フェニル)−N−[4−(1−メチル−ピペリジン−4−イルオキシ)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(2−クロロ−4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−[4−(1−メチル−ピペリジン−4−イルオキシ)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(2−クロロ−4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−{3−[メチル−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−アミノ]−5−トリフルオロメチル−フェニル}−アセトアミド、
2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−2−メチル−フェニル)−N−{3−[メチル−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−アミノ]−5−トリフルオロメチル−フェニル}−アセトアミド、
2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−{3−[メチル−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−アミノ]−5−トリフルオロメチル−フェニル}−アセトアミド、
2−(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−N−{3−[メチル−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−アミノ]−5−トリフルオロメチル−フェニル}−アセトアミド、
2−(2−クロロ−4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イルオキシ)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−2−メチル−フェニル)−N−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イルオキシ)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イルオキシ)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、および
2−(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−N−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イルオキシ)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド。
【0022】
本発明によって提供される化合物は、本明細書において「本発明の化合物」と称する。本発明の化合物は、あらゆる形態、例えば遊離形、塩形、溶媒和物形、および塩と溶媒和物形の化合物を含む。
【0023】
本発明はまた、本明細書に定義の式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩であって、tie−2および/またはよりとりわけPDGFR、VEGFR−2、c−Abl、Flt3、Ret、kitおよびIGF1R、および/またはこれらのいずれか1種以上の変化形態または変異形態の1種以上から成る群から選択されるプロテインキナーゼ、好ましくは1種以上のプロテインキナーゼの調節、とりわけ阻害に応答するとりわけ疾患または障害の、動物、とりわけ温血動物またはヒトの診断または治療処置におけるものに関する。
【0024】
本発明の他の態様は、本明細書に定義の式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩と、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤、例えば担体物質を含む医薬組成物に関する。
【0025】
さらに他の本発明の態様において、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩の使用であって、プロテインキナーゼ、とりわけプロテインチロシンキナーゼ、よりとりわけtie−2および/またはよりとりわけPDGFR、VEGFR−2、c−Abl、Flt3、Retおよびkit、および/またはこれらのいずれか1種以上の変形または変異形態の1種以上から成る群から選択されるプロテインキナーゼの1種以上の(とりわけ不適切な)活性に依存する疾患または障害の処置用医薬組成物の製造のための使用;またはプロテインキナーゼ、とりわけプロテインチロシンキナーゼ、とりわけ上記定義のものの(とりわけ不適切な)活性に依存する疾患の処置における前記化合物に使用に関する。
【0026】
本発明はまた、キナーゼ依存性および/または増殖性疾患を処置する方法であって、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を動物、好ましくは温血動物、とりわけヒトに投与することを含む方法に関する。
【0027】
定義
以下に列挙したものは本発明の化合物ならびにそれらの使用および合成、出発物質および中間体等を説明するために使用される多種の用語の定義である。これらの定義は本明細書において使用されている1個、1個以上または全ての一般的な表現または記号を入れ替えて、そうして本発明の好ましい態様を得ることによって、具体的な例において個別に、または大きな群の一部として特に限定されない限り、好ましくは本明細書において使用されている用語に適用する。換言すれば、より一般的な表現の1個以上を互いに独立してより具体的な定義によって置き換えることができ、それによって本発明の好ましい態様を導くことができる。
【0028】
「低級」または「C−C−」なる用語は、最大7個まで、とりわけ最大4個までの炭素原子を有する基を定義し、当該基は分枝鎖(1回以上)または直鎖であってよく、そして末端または非末端炭素を介して結合している。低級またはC−C−アルキルは、例えばn−ペンチル、n−ヘキシルまたはn−ヘプチルまたは好ましくはC−C−アルキル、とりわけメチル、エチル、n−プロピル、sec−プロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルである。
ハロまたはハロゲンは、異なることが定義されていない限り、好ましくはフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード、最も好ましくはフルオロ、クロロまたはブロモである。
【0029】
置換もしくは非置換アリールにおいて、アリールは好ましくは、20個以下の炭素原子、とりわけ16個以下の炭素原子の不飽和炭素環式系であり、好ましくは単、二もしくは三環であり、そして非置換であるか、または置換アリールとして、好ましくは下記群から独立して選択される1個以上、好ましくは3個まで、例えば1または2個の置換基で置換されている:フェニル、ナフチル、フェニル−もしくはナフチル−低級アルキル、例えばベンジル;ヒドロキシ−低級アルキル、例えばヒドロキシメチル;低級アルコキシ−低級アルキル、(低級アルコキシ)−低級アルコキシ−低級アルキル、低級アルカノイル−低級アルキル、ハロ−低級アルキル、例えばトリフルオロメチル;フェノキシ−もしくはナフチルオキシ−低級アルキル、フェニル−もしくはナフチル−低級アルコキシ−低級アルキル、例えばベンジルオキシ−低級アルキル;低級アルコキシ−カルボニルオキシ−低級アルキル、例えばtert−ブトキシカルボニルオキシ−低級アルキル;フェニル−もしくはナフチル−低級アルコキシカルボニルオキシ−低級アルキル、例えばベンジルオキシカルボニルオキシ−低級アルキル;シアノ−低級アルキル、非置換であるか、または置換もしくは非置換アミノ、低級アルキニル、低級アルカノイル、例えばアセチルで置換された低級アルケニル;ヒドロキシ、低級アルコキシ、低級アルコキシ−低級アルコキシ、(低級アルコキシ)−低級アルコキシ−低級アルコキシ、フェノキシ、ナフチルオキシ、フェニル−もしくはナフチル−低級アルコキシ、例えばベンジルオキシ;アミノ−低級アルコキシ、低級アルカノイルオキシ、ベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ、ニトロ、ハロ、とりわけフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード、アミノ、モノ−、ジ置換アミノ(ここで、当該アミノ置換基は、低級アルキル、低級アルカノイル、フェニル、ナフチル、フェニル−およびナフチル−低級アルキルから独立して選択される);シアノ、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル、例えばメトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソ−プロポキシカルボニルまたはtert−ブトキシカルボニル;フェニル−もしくはナフチル−低級アルコキシカルボニル、例えばベンジルオキシカルボニル;低級アルカノイル、ベンゾイル、ナフトイル、カルバモイル、N−モノ−もしくはN,N−ジ置換カルバモイル、例えばN−モノ−もしくはN,N−ジ置換カルバモイル(ここで、当該置換基は低級アルキルおよびヒドロキシ−低級アルキルから選択される);アミジノ、グアニジノ、ウレイド、メルカプト、低級アルキルチオ、フェニル−もしくはナフチルチオ、フェニル−もしくはナフチル−低級アルキルチオ、低級アルキル−フェニルチオ、低級アルキル−ナフチルチオ、ハロゲン−低級アルキルメルカプト、低級アルキルスルフィニル、フェニル−もしくはナフチル−スルフィニル、フェニル−もしくはナフチル−低級アルキルスルフィニル、低級アルキル−フェニルスルフィニル、低級アルキル−ナフチルスルフィニル、スルフォ、低級アルカンスルホニル、フェニル−もしくはナフチル−スルホニル、フェニル−もしくはナフチル−低級アルキルスルホニル、アルキルフェニルスルホニル、ハロゲン−低級アルキルスルホニル、例えばトリフルオロメタンスルホニル;スルホンアミドおよびベンゾスルホンアミド;ここで、置換基または置換アリールの置換基の一部として上記の各フェニルまたはナフチル(フェノキシまたはナフトキシ中も)は、それ自体非置換であるか、またはハロ、とりわけフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード、ハロ−低級アルキル、例えばトリフルオロメチル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、アミノ、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(低級アルキル、フェニル、ナフチル、フェニル−低級アルキルおよび/またはナフチル−低級アルキル)アミノ、ニトロ、カルボキシ、低級アルコキシカルボニルカルバモイル、シアノおよび/またはスルファモイルから独立して選択される1個以上、例えば3個まで、好ましくは1または2個の置換基で置換されている。
【0030】
置換もしくは非置換ヘテロシクリルにおいて、ヘテロシクリルは好ましくは、不飽和、飽和または部分飽和であり、そして好ましくは単環式またはより広い本発明の局面において、二環式もしくは三環式環であり;3〜24個、より好ましくは4〜16個、最も好ましくは4〜10個の環原子を有し;ここで1個以上、好ましくは1〜4個、とりわけ1または2個の環炭素原子は窒素、酸素および硫黄から成る群から選択されるヘテロ原子で置換されていてもよく、当該結合環は好ましくは4〜12個、とりわけ5〜7個の環原子を有するヘテロ環式基であり;ここで当該ヘテロシクリルは非置換であるか、または上記「置換アリール」において定義の置換基から成る群から独立して選択される1個以上、とりわけ1〜3個の置換基で置換されており;ここでヘテロシクリルはとりわけ下記群から選択されるヘテロシクリル基である:オキシラニル、アジリニル、アジリジニル、1,2−オキサチオラニル、チエニル、フリル、テトラヒドロフリル、ピラニル、チオピラニル、チアントレニル、イソベンゾフラニル、ベンゾフラニル、クロメニル、2H−ピロリル、ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、イミダゾリル、イミダゾリジニル、ベンゾイミダゾリル、ピラゾリル、ピラジニル、ピラゾリジニル、チアゾリル、イソチアゾリル、ジチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリダジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、(S−オキソまたはS,S−ジオキソ)−チオモルホリニル、インドリジニル、イソインドリル、3H−インドリル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、クマリル、インダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、プリニル、4H−キノリジニル、イソキノリル、キノリル、テトラヒドロキノリル、テトラヒドロイソキノリル、デカヒドロキノリル、オクタヒドロイソキノリル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、ジベンゾチオフェニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリル、キナゾリニル、キナゾリニル、シノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、ベータカルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フラザニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、クロメニル、イソクロマニルおよびクロマニル(これらの基は各々非置換であるか、または低級アルキル、とりわけメチル、エチル、イソ−プロピルまたはtert−ブチル、低級アルコキシ、とりわけメトキシ、およびハロ、とりわけブロモまたはクロロから成る群から選択される1〜2個の基で置換されている)。R4の場合、置換もしくは非置換ヘテロシクリルは好ましくは、置換アミノの定義との重複を避けるため、環窒素以外の環原子、好ましくは炭素を介して結合していない。
【0031】
置換もしくは非置換シクロアルキルにおいて、シクロアルキルは好ましくは、3〜16個、より好ましくは3〜9個の環炭素原子を有する飽和単−もしくは二環式炭化水素基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルであり、そして置換アリールについて記載のものから独立して選択される1個以上、好ましくは1〜3個の置換基で置換されているか、または(好ましくは)非置換である。
【0032】
置換もしくは非置換アミノは、アミノ(−NH)または1個以上の水素原子がとりわけ下記の通りの置換もしくは非置換アルキル、とりわけ上記の通りの置換もしくは非置換アリール、とりわけ上記の通りの置換もしくは非置換ヘテロシクリル、とりわけ上記の通りの置換もしくは非置換シクロアルキル、および/またはとりわけ下記の通りのアシルから独立して選択される置換基によって置換されているアミノであるか(ここで好ましくは、該水素原子の1個のみがアシルによって置換されており、他方が水素であるか、アシル以外の上記の基である)、または(好ましくは荷電していない、すなわち結合が3級結合手を含む)環窒素原子を介してとりわけ下記群から選択される残余の分子と結合している(したがって、置換アミノはアミノ窒素と一体となって対応する(非置換もしくはさらに置換された)ヘテロシクリル環を形成する置換基である)少なくとも1個の環窒素原子を有する、上記定義の置換もしくは非置換ヘテロシクリルの形態の置換アミノである:アジリジニル、ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、イミダゾリル、イミダゾリジニル、ベンゾイミダゾリル、ピラゾリル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、(S−オキソもしくはS,S−ジオキソ)−チオモルホリニル、イソインドリル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、テトラヒドロキノリル、テトラヒドロイソキノリル、デカヒドロキノリル、オクタヒドロイソキノリル、好ましくは少なくとも1個の窒素原子を有する上記単環式飽和ヘテロシクリル;ここで、ヘテロシクリルは非置換であるか、またはアリールについて置換基として記載のもの、好ましくは低級アルキル、とりわけメチルまたはtert−ブチル、低級アルコキシ、とりわけメトキシ、およびハロ、とりわけブロモまたはクロロから独立して選択される1個以上、好ましくは1〜2個の基で置換されている。アミノ、N−モノ−もしくはN,N−ジ−[低級アルキル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(低級アルキル、フェニルおよび/またはフェニル−低級アルキル)−アミノ−低級アルキル、(非置換または低級アルキル置換)−ピペリジニル、フェニルおよび/またhフェニル−低級アルキル]−アミノ、例えばN,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、3−[N−(N,N−ジメチルアミノ)−プロピルアミノ、2−[N−(N,N−ジメチルアミノ)−エチルアミノまたはN−(N,N−ジメチルアミノ)−メチルアミノ、N−[(N−モノ−もしくはN,N−ジ−(C−C−アルキル)−アミノ)−C−C−アルキル]−N−(非置換またはC−C−アルキル)−アミノ、例えばN−3−[N−(N,N−ジメチルアミノ)−プロピル−N−メチル−アミノ、N−2−[N−(N,N−ジメチルアミノ)−エチル−N−メチル−アミノまたはN−(N,N−ジメチルアミノ)−メチル−N−メチル−アミノ、N−ピペリジニルアミノまたはN−低級アルキル−N−ピペリジン−イルアミノ(ここでピペリジニルは非置換であるか、または低級アルキル、例えばN−低級アルキル−N−(1−低級アルキル−ピペリジン−4−イル)−アミノ、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、4−低級アルキルピペラジノ、例えば4−(メチル、エチルまたはイソプロピル)−ピペラジノ、モルホリノまたはチオモルホリノで置換されている)が、置換もしくは非置換アミノとしてとりわけ好ましい。
【0033】
置換もしくは非置換アルキルは好ましくは、C〜C20−アルキル、より好ましくは低級アルキルであり、これは直鎖または1回以上(炭素原子数がこれを許す限り)の分枝鎖であってよく、そしてこれは非置換であるか、または下記群から独立して選択される1個以上、好ましくは3個までの置換基で置換されている:上記の通りの置換もしくは非置換ヘテロシクリル、上記の通りの置換もしくは非置換シクロアルキル、上記定義の通りの置換もしくは非置換アリール、とりわけフェニルまたはナフチル;低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルカノイル、例えばアセチル;ヒドロキシ、低級アルコキシ、低級アルコキシ−低級アルコキシ、(低級アルコキシ)−低級アルコキシ−低級アルコキシ、フェノキシ、ナフチルオキシ、フェニル−もしくはナフチル−低級アルコキシ、例えばベンジルオキシ;アミノ−低級アルコキシ、低級アルカノイルオキシ、ベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ、ニトロ、ハロ、シアノ、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル、例えばメトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソ−プロポキシカルボニルまたはtert−ブトキシカルボニル;フェニル−もしくはナフチル−低級アルコキシカルボニル、例えばベンジルオキシカルボニル;低級アルカノイル、ベンゾイル、ナフトイル、カルバモイル、N−モノ−もしくはN,N−ジ置換カルバモイル、例えばN−モノ−もしくはN,N−ジ−置換カルバモイル(ここで、当該置換基は低級アルキルおよびヒドロキシ−低級アルキルから選択される);アミジノ、グアニジノ、ウレイド、メルカプト、低級アルキルチオ、フェニル−もしくはナフチルチオ、フェニル−もしくはナフチル−低級アルキルチオ、低級アルキル−フェニルチオ、低級アルキル−ナフチルチオ、ハロゲン−低級アルキルメルカプト、低級アルキルスルフィニル、フェニル−もしくはナフチル−スルフィニル、フェニル−もしくはナフチル−低級アルキルスルフィニル、低級アルキル−フェニルスルフィニル、低級アルキル−ナフチルスルフィニル、スルフォ、低級アルカンスルホニル、フェニル−もしくはナフチル−スルホニル、フェニル−もしくはナフチル−低級アルキルスルホニル、アルキルフェニルスルホニル、ハロゲン−低級アルキルスルホニル、例えばトリフルオロメタンスルホニル;スルホンアミド、ベンゾスルホンアミド、アミノ、N−モノ−もしくはN,N−ジ−[低級アルキル、ピペリジニル、N−低級アルキルピペリジン−イル(ここで、ピペリジニルは非置換であるか、または低級アルキルで置換されている)、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(低級アルキル、フェニルおよび/またはフェニル−低級アルキル)−アミノ]−低級アルキル、フェニルおよび/またはフェニル−低級アルキル)−アミノ、例えばN,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、3−[N−(N,N−ジメチルアミノ)−プロピルアミノ、2−[N−(N,N−ジメチルアミノ)−エチルアミノまたはN−(N,N−ジメチルアミノ)−メチルアミノ、ピロリジノ、ピペリジノ、環炭素原子を介して結合した非置換もしくはN−低級アルキル置換ピペリジニル、例えば1−イソプロピル−ピペリジン−4−イル、ピペラジノ、4−低級アルキルピペラジノ、例えば4−(メチル、エチルもしくはイソプロピル)−ピペラジノ、モルホリノまたはチオモルホリノ;ここで、置換基または置換アリールの置換基の一部として上記の各フェニルまたはナフチル(フェノキシまたはナフトキシ中も)は、それ自体非置換であるか、またはハロ、とりわけフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード、ハロ−低級アルキル、例えばトリフルオロメチル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、アミノ、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(低級アルキル、フェニル、ナフチル、フェニル−低級アルキルおよび/またはナフチル−低級アルキル)−アミノ、ニトロ、カルボキシ、低級アルコキシカルボニルカルバモイル、シアノおよび/またはスルファモイルから独立して選択される1個以上、例えば3個まで、好ましくは1または2個の置換基で置換されている。低級アルキル、ハロ−低級アルキル、例えばトリフルオロメチル、アミノ−低級アルキル、例えば3−アミノプロピル、2−アミノエチルまたは2−アミノメチル、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(低級アルキル、ピペリジニル、N−低級アルキルピペリジニル、フェニルおよび/またはフェニル−低級アルキル)−アミノ−低級アルキル、例えば3−(N,N−ジメチルアミノ)−プロピル、2−(N,N−ジメチルアミノ)−エチル、N,N−ジメチルアミノメチル、N,N−ジエチルアミノメチルまたはN−メチル−N−ピペリジン−4−イル−アミノ−メチル、ピロリジノ−低級アルキル、ピペリジノ−低級アルキル、1−低級アルキルピペリジン−4−イル−低級アルキル、ピペラジノ−低級アルキル、例えばピペラジノ−メチル、4−低級アルキルピペラジノ−低級アルキル、例えば4−(メチル、エチルもしくはイソプロピル)−ピペラジノ−メチル、または(モルホリノもしくはチオモルホリノ)−低級アルキルがとりわけ好ましい。
【0034】
アシルは好ましくは、各々好ましくは上記の通りの置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換ヘテロシクリルまたは置換もしくは非置換シクロアルキル(カルボニル(−C(=O)−)またはスルホニル(−S(=O)−)基を介して残余分子と結合している)から選択される有機基、すなわち有機カルボン酸もしくはスルホン酸由来の基である。アルカノイル、とりわけ低級アルカノイル、例えばアセチル、ベンゾイル(=フェニルカルボニル)、ナフトイル(=ナフチルカルボニル)、フェニル−C−C−アルキルカルボニル、ナフチル−C−C−アルキルカルボニル、フェニルスルホニルまたは低級アルカンスルホニルが好ましく、ここでアシルとしての低級アルカノイルまたはアシルの一部として記載されている各フェニルまたはナフチルは非置換であるか、またはハロ、とりわけフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード、ハロ−低級アルキル、例えばトリフルオロメチル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、アミノ、N−モノ−もしくはN,N−ジ−(低級アルキル、フェニル、ナフチル、フェニル−低級アルキルまたはナフチル−低級アルキル)アミノ、ニトロ、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル、カルバモイル、シアノおよび/またはスルファモイルから独立して選択される1個以上、例えば3個まで、好ましくは1または2個の置換基で置換されている。低級アルカノイル、ベンゾイル、フェニルスルホニルまたはトリルスルホニルが好ましい。
【0035】
置換もしくは非置換アルケニルにおいて、アルケニルは1個以上の二重結合を有し、そして好ましくは2〜20個、より好ましくは12個までの炭素原子を有し;これは直鎖であるか、または1回以上(炭素原子数がこれを許す限り)分岐していてもよい。C−C−アルケニル、とりわけCもしくはC−アルケニル、例えばアリルまたはクロチルが好ましい。アルケニルは非置換であるか、またはとりわけ置換アルキルについての置換基として上記の置換基の1個以上、よりとりわけ3個までで置換されていてもよい。ただし、活性水素を有するN、SまたはOは好ましくは二重結合を生じる炭素原子で結合していない(これは互変異性体を導くため)。また、十分に安定でない他の置換基も好ましくは除外される。非置換アルケニル、とりわけC−C−アルケニルが好ましい。
【0036】
置換もしくは非置換アルキニルは、好ましくは1個以上の三重結合を有する基であり、そして好ましくは2〜20個、より好ましくは12個までの炭素原子を有し;これは直鎖であるか、または1回以上(炭素原子数がこれを許す限り)分岐していてもよい。C−C−アルキニル、とりわけCもしくはC−アルキニル、例えばエチニルまたはプロピン−2−イルが好ましい。アルキニルは非置換であるか、またはとりわけ置換アルキルについて上記の置換基の1個以上、よりとりわけ3個までで置換されていてもよい。置換基、例えば(遊離解離性水素を有する)アミノまたはヒドロキシは好ましくは、三重結合に関与する炭素原子と結合せず、そしてまた、十分に安定でない他の置換基も好ましくは除外される。非置換アルキニル、とりわけC−C−アルキニル、またはN,N−ジ−(低級アルキル、フェニルおよび/またはフェニル低級アルキル)−C−C−アルキニル、例えば3−(N,N−ジメチルアミノ)−プロプ−1−イニルが好ましい。
【0037】
(とりわけチロシンプロテインキナーゼ依存性疾患または障害の)「処置」または「治療」なる用語は、前記疾患、とりわけ下記疾患のいずれか1つ以上の予防的(例えば、疾患を発症しやすいかもしくはしやすい可能性があることを示す変異または変化が発見されている患者における予防を含む)または好ましくは治療的(緩和、治癒、症状改善、症状軽減、疾患もしくは症状抑制、進行遅延、キナーゼ制御および/またはキナーゼ阻害を含むが、これらに限定されない)処置を意味する。
【0038】
「治癒」なる用語は、(特に脱制御)受容体チロシンキナーゼ活性が関与するエピソードの進行の処置に有効であることを意味する。
「予防」なる用語は、脱制御受容体チロシンキナーゼ活性が関与する疾患の発症または再発の予防を意味する。
【0039】
「進行の遅延」なる用語は、本明細書において使用するときとりわけ、処置する疾患の前段階または初期フェーズである患者に活性化合物を投与することを意味し、ここでは当該患者が、例えば対応する疾患の前駆疾患と診断されるか、または当該患者が、処置をしない場合には当該疾患が進行するか、転移を起す可能性がある状態を治療中であるかまたは偶発的にそのような状態にある場合が含まれる。
【0040】
動物は好ましくは温血動物(または患者)、より好ましくは哺乳類、とりわけヒトである。
【0041】
「使用」なる用語が本明細書において(動詞または名詞として)(式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩の使用に関して)記載されているとき、これは(異なることが示されていないか、または文脈が異なることを示唆していないとき)本発明の下記態様のいずれか1つ以上を、適切かつ便宜であるとき(異なることが記載されていない限り)含む:プロテイン(とりわけチロシン)キナーゼ依存性疾患の処置における使用、プロテインキナーゼ依存性疾患の処置用医薬組成物の製造のための使用、プロテインキナーゼ依存性および/または増殖性疾患の処置における本発明の化合物の1種以上の使用方法、前記プロテインキナーゼ依存性疾患の処置のための式Iの化合物の1種以上を含む医薬組成物、ならびに前記プロテインキナーゼ依存性疾患の処置における式Iの化合物の1種以上(異なることが記載されていない限り)。特に、処置する、したがって式Iの化合物の「使用」に好ましい疾患は、下記(とりわけチロシン)プロテインキナーゼ依存性(「依存性」は、「それのみに依存性」であるのみならず「支持する」こと、例えば疾患がプロテインキナーゼの調節、とりわけ阻害に応答性である状況を意味する)疾患、とりわけ下記増殖性疾患から選択される。
【0042】
プロテインキナーゼが記載されているとき、これはあらゆるタイプのプロテインキナーゼ、とりわけセリン/スレオニンおよび/または好ましくはプロテインチロシンキナーゼ、最も好ましくはtie−2および/またはよりとりわけPDGFR、VEGFR−2、c−Abl、Flt3、Ret、kitおよびIGF1−R、およびこれらのいずれか1個以上の変異型または変形の1個以上から選択されるチロシンキナーゼの1個以上(例えば、各プロトオンコジーンをオンコジーン、例えば構造的に活性な変異体、例えばBcr−Ablに変換させるもの)に関する。とりわけ異常に高い発現の形態、構造的に活性化された形態、または正常であるが患者の他の制御機構の関係において比較的過剰活性である形態および/または突然変異形態が含まれる。
【0043】
他の局面において本発明は、塩形の本発明の化合物を提供する。
【0044】
塩は、とりわけ式Iの化合物の薬学的に許容される塩である。塩形成基、例えば塩基性または酸性基が存在するときこれを形成することができ、これは少なくとも部分的に、例えばpH範囲4〜10の水性環境中に溶解した形態で存在し得るか、またはとりわけ固体形態で単離することができる。
【0045】
塩は、式Iの化合物の薬学的に許容される塩および例えば製造/単離/精製目的の薬学的に許容されない塩;好ましくは薬学的に許容される塩を含む。医薬的使用のために、本発明の化合物の薬学的に許容されない塩は除外される。
【0046】
塩は、とりわけ式Iの化合物の薬学的に許容される塩である。塩形成基、例えば塩基性または酸性基が存在するときこれを形成することができ、これは少なくとも部分的に、例えばpH範囲4〜10の水性環境中に溶解した形態で存在し得るか、またはとりわけ固体形態で単離することができる。
【0047】
かかる塩を、例えば好ましくは有機または無機酸と、塩基性窒素原子を有する式Iの化合物から酸付加塩、とりわけ薬学的に許容される塩として形成することができる。かかる無機酸は、例えばハロゲン酸、例えば塩酸、硫酸またはリン酸である。好適な有機酸は、例えばカルボン酸、リン酸、スルホン酸またはスルファミン酸、例えば酢酸、プロピオン酸、乳酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、アミノ酸、例えばグルタミン酸またはアスパラギン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、メチルマレイン酸、安息香酸、メタン−もしくはエタン−スルホン酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、1,5−ナフタレン−ジスルホン酸、N−シクロヘキシルスルファミン酸、N−メチル−、N−エチル−もしくはN−プロピル−スルファミン酸、または他の有機プロトン酸、例えばアスコルビン酸である。
【0048】
負に荷電した基、例えばカルボキシまたはスロフォの存在下において、塩基との塩、例えば金属塩またはアンモニウム塩、例えばアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩またはカルシウム塩、またはアンモニアまたは好適な有機アミン、例えば3級モノアミン、例えばトリエチルアミンもしくはトリ(2−ヒドロキシエチル)アミン、またはヘテロ環式塩基、例えばN−エチル−ピペリジンもしくはN,N’−ジメチルピペラジンとのアンモニウム塩を形成することができる。
【0049】
塩基性基および酸性基が同じ分子内に存在するとき、式Iの化合物は分子内塩を形成することもできる。
【0050】
製造、単離または精製目的で、薬学的に許容されない塩、例えばピクリン酸塩または過塩素酸塩を用いることも可能である。治療的使用のために、薬学的に許容される塩または遊離化合物のみが使用される(適用可能であるとき医薬製剤に含まれる)ので、これらが好ましい。
【0051】
遊離形および例えば化合物またはその塩の精製または同定における中間体として使用され得る塩を含む塩形の化合物間の密接な関係の観点から、本明細書に記載のあらゆる「化合物」(出発物質および「中間体」を含む)、とりわけ式Iの化合物についてのあらゆる記載は、その1種以上の塩または遊離化合物とその1種以上の塩の混合物についても言及しているものと理解され、これらは各々あらゆる溶媒和物、代謝前駆体、例えば式Iの化合物のエステルもしくはアミド、またはこれらのいずれか1つ以上の塩を、適切かつ便宜であり、そして異なることが明示的に記載されていない限り、含むことを意図する。異なる結晶形態および溶媒和物を得ることができ、そしてこれらも含まれる。
【0052】
化合物、塩、医薬製剤、疾患、障害等について複数形を用いるとき、これは1個の化合物、塩、医薬製剤、疾患等をも意味することを意図しており、“a”または“an”を用いるとき、これは不定冠詞または好ましくは「1個」を意味している。
【0053】
遊離形の本発明の化合物を、塩形の対応する化合物に変換することができ;そしてその逆も可能である。遊離形または塩形または溶媒和物形の本発明の化合物を、非溶媒和物形の対応する遊離形または塩形に変換することができ;そしてその逆も可能である。
【0054】
本発明の化合物は異性体およびその混合物;例えば光学異性体、ジアステレオマー、cis/trans配座異性体の形態で存在していてもよい。本発明の化合物は、例えば不斉炭素原子を含んでいてもよく、したがってエナンチオマーまたはジアステレオマーおよびそれらの混合物、例えばラセミ体で存在していてもよい。本発明の化合物は、本発明の化合物における各不斉炭素原子での各置換基について、(R)−、(S)−もしくは(R,S)−立体配置、好ましくは(R)−もしくは(S)−立体配置で存在していてもよい。
【0055】
異性体混合物を適切に、例えば常套の方法と同様に分離して、純粋な異性体を得ることができる。本発明は、いずれかの異性体形態の、および何れかの異性体混合物を含む。
【0056】
例えば、いくつかの場合において、本発明の化合物は、置換基に1個以上のキラル中心を含んでいてもよいか、または他の不斉性(エナンチオマーを導く)を示し得るか、またはそうでなければ、1個以上のキラル中心または他のタイプの不斉性の1個以上のため、またはZ/E(またはcis−trans)異性体(ジアステレオマー)とし得る環もしくは二重結合のため、1個以上の立体異性体の形態で存在していてもよい。本発明は、かかる異性体の2個以上の混合物、例えばエナンチオマーの混合物、とりわけラセミ体ならびに好ましくは純粋な異性体、とりわけ純粋なエナンチオマーまたはエナンチオマー的に富化した混合物を含む。
【0057】
本発明はまた、互変異性体が存在し得るとき、本発明の化合物の互変異性体を含む。
【0058】
製造方法
本明細書に記載の各化合物は、適切に、例えば本明細書に記載のとおり、または例えば常套の方法と同様に、製造することができる。式Iの化合物は他の化合物について当該技術分野において原理が知られている方法と同様に製造することができ、したがって新規な式Iの化合物について当該方法は、類似の方法として新規である。
【0059】
他の局面において本発明は、式I(式中、残基は上記定義の通りである)の化合物の製造方法であって、下記工程を含む方法を提供する:
i)式
【化5】

〔式中、R1、R2、R3、R9、R10、X、YおよびZは式Iの化合物について定義の通りである〕
のカルボン酸化合物またはその反応性誘導体を、式
Q−NH (III)
〔式中、Qは式Iの化合物について定義の通りである〕
のアミノ化合物と反応させること、そして
ii)反応混合物から得られた式Iの化合物を単離すること;
そして所望により、例えば
− 得られる式Iの化合物を異なる式Iの化合物に変換すること、
− 得られる式Iの化合物の塩を遊離化合物または異なる塩に変換すること、
− 得られる遊離形の式Iの化合物をその塩に変換すること、および/または
− 得られる式Iの化合物の異性体混合物を個々の異性体に分離すること;
− ここで、式IIおよび/またはIIIの出発物質のいずれか1つまたは両方において、反応に参加するべきでない官能基は保護形態で存在してもよく、そして保護基を除去して式Iの化合物を得る。
【0060】
式IIの酸またはその反応性誘導体の縮合は、好ましくは常套の縮合条件下で行い、ここで可能な式IIの酸の反応性誘導体の内、反応性エステル(例えばヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)、ペンタフルオロフェニル、4−ニトロフェニルまたはN−ヒドロキシスクシンイミドエステル)、酸ハロゲニド(例えば酸クロライドまたはブロマイド)または反応性無水物(例えば低級アルカン酸との混合無水物または対称無水物)が好ましい。反応性炭酸誘導体はまた、好ましくはインサイチュで形成することができる。当該反応を、式IIおよびIIIの化合物を好適な溶媒、例えば炭化水素、例えば塩化メチレン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、塩化メチレンまたはかかる溶媒の2種以上の混合物に溶解させ、そして好適な塩基、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)またはN−メチルモルホリン、および式IIの酸の反応性誘導体をインサイチュで形成するとき、インサイチュで式IIIの炭酸の好ましい反応性誘導体を形成する好適なカップリング剤、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド/1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(DCC/HOBT);ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスホン酸クロライド(BOPCl);O−(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−1−ピリジル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TPTU);O−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU);(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)−トリピロリジノホスホニウム−ヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドヒドロクロライド/ヒドロキシベンゾトリアゾールまたは/1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(EDC/HOBTまたはEDC/HOAt)またはHOAt単独もしくは(1−クロロ−2−メチル−プロペニル)−ジメチルアミンとを加えて、行うことができる。他の可能なカップリング剤の概説のために、例えばKlauser; Bodansky, Synthesis 1972, 453-463を参照されたい。反応混合物を好ましくは、約−20〜50℃、とりわけ−5℃〜30℃、例えば0℃〜室温で撹拌する。当該反応を好ましくは、不活性気体、例えば窒素またはアルゴン下で行うことができる。所望により、続く保護基、例えばtert−ブトキシカルボニル、メトキシメチル、ベンジル、2−(トリメチルシリル)−エトキシカルボニルまたはtert−ブチルジメチルシリルの除去を、所望により、標準的条件下で行うことができる(下記一般的方法条件に記載の文献も参照されたい)。
【0061】
所望による反応および変換
式Iの化合物または前の方法によって直接得られるか、新たに保護基を導入して得られるその保護形態は、特に記載が無くとも続く変換のための出発物質として含まれ、既知の方法によって、必要であればその後保護基を除去して、異なる式Iの化合物に変換することができる。
【0062】
例えば、Qがヨードまたはブロモ、および1個以上の他の置換基、例えばトリフルオロによって置換されるアリールである式Iの化合物において、例えばQが4−ヨード−3−トリフルオロメチルフェニルであるとき、当該ブロモまたはヨードを置換もしくは非置換フェニル、4−シアノフェニルで、対応する式
Phe−B(OH) IV
〔式中、Pheは置換もしくは非置換アリールである〕の置換もしくは非置換フェニルボロン酸と、触媒、とりわけPdCl(dppf)および好ましくは塩基、例えばアルカリ金属炭酸塩、例えば炭酸ナトリウムの存在下、適切な溶媒または溶媒混合物、例えばトルエン/水中、例えば高温、例えば30℃〜(好ましくは)還流温度で、置換することができる。
【0063】
少なくとも1個の塩形成基を有する式Iの化合物の塩は、自体公知の方法で製造することができる。例えば、酸性基を有する式Iの化合物の塩は、例えば該化合物を金属化合物、例えば好適な有機カルボン酸のアルカリ金属塩、例えば2−エチルヘキサン酸のナトリウム塩で、有機アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属化合物、例えば対応するヒドロキシド、炭酸塩もしくは炭酸水素塩、例えば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム、炭酸塩または炭酸水素塩と、対応するカルシウム化合物と、またはアンモニアもしくは好適な有機アミンと、化学量論量またはわずかに過剰の塩形成剤を好ましくは用いて処理することによって、形成することができる。式Iの化合物の酸付加塩は常套の方法で、例えば当該化合物を酸またはアニオン交換剤で処理して得られる。酸性および塩基性塩形成基、例えば遊離カルボキシ基と遊離アミノ基を含む式Iの化合物の分子内塩は、弱塩基で塩、例えば酸付加塩の等電点に中和して、またはイオン交換剤で処理して形成することができる。
【0064】
式Iの化合物の塩を、常套の方法で遊離化合物に変換することができ;金属およびアンモニウム塩を例えば、好適な酸および酸付加塩で処理して、例えば好適な塩基性薬剤で処理して変換することができる。いずれの場合も、好適なイオン交換剤を用いることができる。
【0065】
立体異性体混合物、例えばジアステレオマー混合物を、自体公知の方法で、適切な分離方法によって対応する異性体に分離することができる。ジアステレオマー混合物は、例えば分画結晶化、クロマトグラフィー、溶媒分配および同様の方法によって、個々のジアステレオマーに分離することができる。この分離は、出発物質のレベルで、または式Iの化合物それ自体において行うことができる。エナンチオマーをジアステレオマー塩の形成によって、例えばエナンチオマー−純粋なキラル酸との塩形成によって、またはクロマトグラフィーによって、例えばキラルリガンドを有するクロマトグラフ基質を用いたHPLCによって、分離することができる。
【0066】
中間体および最終生成物を標準的な方法によって、例えばクロマトグラフ法、分配法、(再)結晶化等を用いて、後処理および/または精製することができる。
【0067】
出発物質
式Iの化合物のための中間体を含む出発物質、例えば式IIおよびIIIの化合物を、例えば当該技術分野において既知の方法によって、実施例に記載の方法もしくは実施例に記載のものと同様に製造することができ、そして/または既知であるか、または商業的に入手可能である。
【0068】
出発物質および中間体ならびにそれらの合成の以下の説明において、直接もしくは文脈によって異なることが示されない限り、各出発物質または中間体についての例においてR1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、X、Y、ZおよびQは上記の意味を有する。具体的に記載がない限り、官能基を保護するため、保護基を適切な段階で導入および除去することができ、対応する反応段階において望まれていない反応、使用する保護基、それらの導入方法およびそれらの除去は、本明細書、例えば「一般的方法条件」に記載の文献に記載の通りである。当業者は、保護基が有用であるかまたは必要であるか、そしてどの保護基がそうであるかを容易に決定することができる。
【0069】
式IIの出発物質は、例えば式
【化6】

〔式中、Rはアルコール残基、例えばアルキルまたはフェニル−低級アルキル、例えばメチル、エチルまたはベンジルである〕
の対応するエステル(これは活性エステルであるとき、式Iの化合物の製造方法において式IIの化合物の反応性誘導体として直接使用することができる)から、塩基、例えばアルカリ金属ヒドロキシド、例えばリチウムヒドロキシドの存在下、適切な溶媒、例えばエーテル、例えばテトロヒドロフラン中、常套の温度、例えば20〜50℃で、または酸、例えばハロゲン化水素酸、例えば塩酸の存在下、適切な溶媒、例えば水中、常套の温度、例えば50℃〜反応混合物の還流温度で加水分解して、製造することができる。
【0070】
式Vの化合物は、例えば式
【化7】

〔式中、Rは式Vの化合物について定義の通りであり、そして他の残基は式Iの化合物について定義の通りである〕
のアミノ化合物から、好ましくは高温で、例えば還流条件下で、そして適切な溶媒の存在下または好ましくは無溶媒で、適切な形態のギ酸、とりわけオルトギ酸トリ低級アルキル、例えばオルトギ酸トリエチルとの反応によって得ることができる。
【0071】
式VIのアミノ化合物は、例えば式
【化8】

〔式中、Rは式Vの化合物について定義の通りであり、そして他の残基は式Iの化合物について定義の通りである〕
の対応するニトロ前駆体化合物を、例えばラネー触媒、例えばラネーニッケルの存在下、適切な溶媒、例えばアルコール、例えばメタノール中、常套の温度、例えば0〜50℃で水素で、好ましくは触媒的水素化によって還元して得ることができる。
【0072】
式VIIのニトロ化合物は、例えば式
【化9】

〔式中、Halはハロ、とりわけフルオロ、クロロまたはブロモであり、そしてX、Y、ZおよびR3は式Iの化合物について定義の通りである〕
のハロ化合物を、置換条件下で式
【化10】

〔式中、Rは式Vの化合物について定義の通りであり、そして他の残基は式Iの化合物について定義の通りである〕
のアミンと、適切な条件下、例えば式VIIIの化合物において、ZがNであり、YおよびXが各々CHであり、そしてHalがクロロまたはブロモであるとき、好ましくは高温で、例えば30℃〜反応混合物の還流温度で、適切な溶媒、例えばアルコールおよび/またはエーテル、例えばメタノールおよび/またはジオキサン中で;式VIIIの化合物においてXがNであり、YがCHであり、そしてZがCであるとき、酸、例えば塩酸の存在下または(とりわけR2がハロであるとき)非存在下で、適切な溶媒、例えばアルコールおよび/またはエーテル、例えばメタノールおよび/またはジオキサン中、好ましくは高温、例えば30℃〜反応混合物の還流温度で;または式VIIIの化合物においてXおよびYがCHであり、そしてZがCであり、HalがFであるとき、適切な溶媒の存在下または好ましくは非存在下で、高温、例えば密封容器中100〜150℃で;またはこれらの反応条件の適切な変形を用いて反応させて得ることができる。式VIIの化合物はまた、WO 97/21665(とりわけこの合成に関して、好ましくは出典明示により本明細書の一部とする)に記載のとおりに製造することができる。
【0073】
式IIIの出発物質は、文献、例えばWO03099771またはWO0009495(とりわけ当該出発物質の製造に関して、好ましくは出典明示により本明細書の一部とする)に記載されている方法によって、またはそれと同様に製造することができる。
【0074】
式III(式中、Qが式Aの基であり、R’4が置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換ヘテロシクリル、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルケニルまたは置換もしくは非置換アルキニルである)の出発物質は、例えば一般的なカップリング条件下、例えば鈴木カップリング条件下で得ることができる。例えば式
R4’−BA
〔式中、R’4は上記定義のとおり、とりわけ置換もしくは非置換アリールであり、BAはB(OD)(ここで、Dは水素または低級アルキルである)、9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナニルまたはB(CHCHCH(CHである〕
の化合物を、適切な触媒、例えばPd(PPhまたはPdCl(dppf)の存在下、塩基、例えばアルカリ金属炭酸塩、例えば炭酸ナトリウム、アルカリ金属アルコラート、例えばエタノラートナトリウム、ヒドロキシド、例えばTlOH、3級アミン、例えばトリエチルアミン、またはアルカリ金属リン酸塩、例えばリン酸カリウムの存在下、適切な溶媒、例えばトルエンおよび/または水中、好ましくは高温、例えば還流条件下で、式
【化11】

〔式中、Halはハロ、とりわけブロモであり;そして
他の基は式Iの化合物において定義の通りである〕
の化合物と反応させて、式
【化12】

〔式中、R’4は上記定義のとおりである〕
の化合物(これは、R’4が式Iの化合物において定義のR4の意味を有する式IIIの化合物である)を得ることができる。
【0075】
式III(式中、Qが式Aの基であり、R’5が置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換ヘテロシクリルである)の化合物は、例えば一般的なカップリング条件下、例えば鈴木カップリング条件下で、例えば式Xの化合物と式XIの化合物の反応について上記の通りに、例えば式
【化13】

〔式中、Halはハロ、とりわけブロモであり、R4およびR6は式Iの化合物について定義の通りであり、好ましくはR4が水素である〕
の化合物と式
R’5−BA XIV
〔式中、R’5は上記定義のとおりであり、BAは式Xの化合物について上記定義のとおりである〕
の化合物を反応させて、得ることができる。
【0076】
式III(式中、Qは式Aの基であり、R4は置換もしくは非置換アミノである)の化合物は、例えば式
【化14】

〔式中、Halはハロ、とりわけブロモであり、R5およびR6は式Iの化合物について定義の通りである〕
の化合物と式
H−R* (XVI)
〔式中、R*は非置換または(好ましくは)置換アミノである〕
の化合物を、適切な溶媒の存在下または好ましくは非存在下、好ましくは高温、例えば100〜150℃、密封容器内で反応させて、式
【化15】

〔式中、R*は上記定義のとおりであり、R5およびR6は式Iの化合物について定義の通りである〕
の化合物を得ることができる。式XVIIの化合物におけるニトロ基をアミノに還元して、例えば水素および水素化触媒、例えばラネー触媒、例えばラネーNi、または貴金属触媒、例えば好ましくは担体、例えば炭素上パラジウムの存在下、適切な溶媒、例えばアルコール、例えばメタノールまたはエタノール中、例えば0〜50℃で、触媒的水素化によって、対応する式IIIのアミノ化合物を得ることができる。
【0077】
式XI(式中、Halはハロ、とりわけヨードである)の化合物(これは式IIIの化合物にも含まれる)は、例えば、式
【化16】

〔式中、Halはハロ、とりわけヨードである〕
のニトロ化合物のニトロ基をアミノ基に、例えば式XVIIの化合物の水素化について記載の条件下で還元して、得ることができる。式XVIII(例えば、式中、R5はトリフルオロメチルであり、Halはヨードであり、R6は水素である)の化合物を、例えばWO 0009495(とりわけこの合成に関して、好ましくは出典明示により本明細書の一部とする)に記載のとおりに、またはその方法と同様に、得ることができる。
【0078】
他の出発物質、例えば式VIII、IX、X、XI、XIII、XIV、XVIおよびXVIIIのものは、既知であり、商業的に入手可能であり、そして/または常套の、例えば既知もしくは標準的方法によって、例えばそれと同様に、または本明細書に記載の方法によって製造することができる。
【0079】
一般的方法条件
下記のものは、一般的に全ての本明細書の方法に適用されるが、本明細書に具体的に記載の反応条件が好ましい:
【0080】
本明細書に記載のあらゆる反応において、適当または望まれるとき、具体的に記載されていなくとも、反応に参加することが意図されない官能基を保護するために保護基を用いることができ、それらを適切なまたは所望の段階で導入および/または除去することができる。保護基の使用を含む反応は、したがって、保護および/または脱保護の具体的な記載が存在しない反応を本明細書において記載しているときであっても、可能なものとして含まれる。
【0081】
この開示の範囲内において、文脈が異なることを示していない限り、式Iの具体的な所望の最終生成物の構成要素ではない容易に除去可能な基のみが、「保護基」を構成する。かかる保護基による官能基の保護、保護基それ自体、およびそれらの導入および除去に適した反応は、例えば標準的参考書、例えばJ. F. W. McOmie, “Protective Groups in Organic Chemistry”, Plenum Press, London and New York 1973、 T. W. Greene and P. G. M. Wuts, “Protective Groups in Organic Synthesis”, Third edition, Wiley, New York 1999、“The Peptides”; Volume 3 (editors: E. Gross and J. Meienhofer), Academic Press, London and New York 1981、“Methoden der organischen Chemie” (Methods of Organic Chemistry), Houben Weyl, 4th edition, Volume 15/I, Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1974、H.-D. Jakubke and H. Jeschkeit, “Aminosaeuren, Peptide, Proteine” (Amino acids, Peptides, Proteins), Verlag Chemie, Weinheim, Deerfield Beach, and Basel 1982, and in Jochen Lehmann, “Chemie der Kohlenhydrate: Monosaccharide und Derivate” (Chemistry of Carbohydrates: Monosaccharides and Derivatives), Georg Thieme Verlag, Stuttgart 1974に記載されている。保護基の特徴は、それらが容易に(すなわち望ましくない二次的反応を生じず)、例えば加溶媒分解、還元、光分解で、または生理的条件下で(例えば酵素的切断によって)除去され得ることである。
【0082】
全ての上記方法工程を、自体公知の反応条件下で、好ましくは具体的に記載のもので、溶媒または希釈剤の非存在下、または通常は存在下で(好ましくは溶媒または希釈剤は使用される薬剤に対して不活性であり、それらを溶解させる)、触媒、縮合剤または中和剤、例えばイオン交換剤、例えばH形態の例えばカチオン交換剤の非存在下または存在下で、反応および/または反応物の性質に依存して、低温、常温または高温で、例えば約−100℃〜約190℃、好ましくは約−80℃〜約150℃、例えば−80〜−60℃、室温、−20〜40℃、または還流温度で、大気圧または加圧が適当であるとき密封容器内で、および/または不活性雰囲気下で、例えばアルゴンまたは窒素雰囲気下で行うことができる。
【0083】
いずれかの特定の反応に適している溶媒が選択され得る溶媒には、具体的に記載のもの、または例えば、水、エステル、例えば低級アルキル−低級アルカノエート、例えば酢酸エチル、エーテル、例えば脂肪族エーテル、例えばジエチルエーテル、または環状エーテル、例えばテトラヒドロフランまたはジオキサン、液体芳香族性炭化水素、例えばベンゼンまたはトルエン、アルコール、例えばメタノール、エタノールまたは1−もしくは2−プロパノール、ニトリル、例えばアセトニトリル、ハロゲン化炭化水素、例えば塩化メチレンまたはクロロホルム、酸アミド、例えばジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミド、塩基、例えばヘテロ環式窒素塩基、例えばピリジンまたはN−メチルピロリジン−2−オン、カルボン酸無水物、例えば低級アルカン酸無水物、例えば無水酢酸、環状、直鎖または分枝鎖炭化水素、例えばシクロヘキサン、ヘキサンまたはイソペンタン、あるいはそれらの溶媒の混合物、例えば水溶液が、方法の記載にそれ以外が記載されていない限り、含まれる。かかる溶媒混合物は、後処理において、例えばクロマトグラフィーまたは分配に用いることもできる。
【0084】
中間体および最終生成物を、標準的な方法によって、例えばクロマトグラフ法、分配法、(再)結晶化、蒸留(常圧または減圧下)、水蒸気蒸留等を用いて後処理および/または精製することができる。
【0085】
本発明はまた、方法の任意の段階で中間体として得られる化合物を出発物質として用いて、残りの方法工程を行うか、または出発物質を反応条件下で形成させるか、または誘導体の形態で、例えば保護形態もしくは塩の形態で用いる方法の形態、あるいは本発明によって得られる化合物を当該方法条件下で製造し、さらにインサイチュで進行させる方法に関する。本発明の方法において、好ましいと記載されている式(I)の化合物を得るために好ましくはこれらの出発物質を使用する。実施例に記載のものと同一または類似の反応条件が特に好ましい。本発明はまた、新規中間体、および塩形成基が存在するときその塩、ならびにそれらの合成に関する。
【0086】
試験アッセイおよび試験方法
式Iの化合物は、有用な薬理学的特性を有し、かつキナーゼ、とりわけtie−2および/またはよりとりわけPDGFR、VEGFR−2、c−Abl、Flt3、Retおよび/またはkit依存性疾患の処置において、例えば1種以上の増殖性疾患の処置用薬剤として有用である。
本発明の化合物の、プロテインキナーゼの調節におけるとりわけ阻害剤としての有用性を、とりわけ具体的かつ系統的に、好ましいと上記したプロテインキナーゼについての下記試験系によって示すことができる:
【0087】
c−Abl、Bcr−Abl
c−Ablプロテインチロシンキナーゼ活性の阻害剤としての式Iの化合物の効果を、下記のとおりに示すことができる:
インビトロ酵素アッセイを、96ウェルプレートで、Geissler et al.のCancer Res. 1992; 52:4492-4498に記載のフィルター結合アッセイの通りに、下記変更を加えて行う。c−AblのHisタグ化キナーゼドメインをクローン化し、バキュロウイルス/Sf9系で、Bhat et al.のJ.Biol.Chem. 1997; 272:16170-16175に記載の通りに発現させる。37kDのタンパク質(c−Ablキナーゼ)を、コバルト金属キレートカラムで、次にアニオン交換カラムで2工程方法で精製して、1−2mg/LのSf9細胞を得る(Bhat et al.、上記文献)。クーマシーブルー染色後、SDS−PAGEで測定すると、c−Ablキナーゼの純度は>90%である。アッセイは、(全体積30μL):c−Ablキナーゼ(50ng)、20mM Tris・HCl、pH7.5、10mM MgCl、10μM NaVO、1mM DTTおよび0.06μCi/アッセイ[γ33P]−ATP(5μM ATP)を含み、1% DMSOの存在下で30μg/ml ポリ−Ala,Glu,Lys,Tyr−6:2:5:1(Poly−AEKY、Sigma P1152)を用いる。反応を、10μLの250mM EDTAを加えて停止させ、そして30μLの反応混合物を、予めメタノールに5分間浸漬し、水で濯ぎ、0.5% HPOに5分間浸漬し、真空源を取り外した真空マニフォールドに乗せたImmobilon−PVDF膜(Millipore, Bedford, MA, USA)に移す。全サンプルをスポットした後、真空を接続し、各ウェルを200μL 0.5% HPOで濯ぐ。膜を取り外し、シェーカー上で0.5% HPO(4回)およびエタノールで1回洗浄する。膜を周囲温度で乾燥し、Packard TopCount96ウェルフレームに乗せ、そして10μL/ウェルのMicroscint TM(Packard)を加えた後、測定する。この試験系を用いると、式Iの化合物は、0.002〜100μM、通常0.01〜5μMの範囲の阻害のIC50値を示す。
【0088】
Bcr−Abl阻害を、捕捉ELISAによって下記のとおり測定することができる:p210 Bcr−Abl発現ベクターpGDp210Bcr/Abl(32D−bcr/abl)でトランスフェクトしたマウス脊髄前駆細胞系32Dcl3を、J Griffin(Bazzoni et al., J. Clin Invest. 98, 521-8 (1996); Zhao et al., Blood 90, 4687-9 (1997))から得る。該細胞は構造的に活性なablキナーゼで融合bcr−ablタンパク質を発現し、増殖因子とは独立して増殖する。細胞をRPMI 1640(AMIMED;カタログ番号1-41F01)、10%胎児ウシ血清、2mMグルタミン(Gibco)(「完全培地」)中に展開し、凍結培地(95% 胎児ウシ血清、5% ジメチルスルホキシド(SIGMA, D-2650)中、2×10細胞/バイアルのアリコートを凍結して製造する。解凍後、細胞を最大10〜12代実験のために用いる。抗体抗−abl SH3ドメイン(Upstate Biotechnologyから、カタログ番号06-466)をELISAに用いる。bcr−ablリン酸化の検出のために、ZYMED(カタログ番号03-7722)のアルカリホスファターゼ(PY10(AP))で標識化した、抗ホスホチロシン抗体Ab PY20を用いる。比較および対照化合物として、メタンスルホン酸塩(モノメシレート)形態の(N−{5−[4−(4−メチル−ピペラジノ−メチル)−ベンゾイルアミド]−2−メチルフェニル}−4−(3−ピリジル)−2−ピリミジン−アミン(STI571)(Gleevec(登録商標)またはGlivec(登録商標)、Novartisとして市販されている)を用いる。10mMの原液をDMSOで製造し、−20℃で貯蔵する。細胞アッセイのために、原液を完全培地で2段階で(1:100と1:10)希釈して、出発濃度10μMを得て、その後完全培地で連続3倍希釈を行う。この方法を用いると溶解度の問題に遭遇しない。式Iの試験化合物を同様に処理する。アッセイのために、50μl中200’000個/ウェルの32D−bcr/abl細胞を、96ウェル丸底組織培養プレートに播種する。試験化合物の連続3倍希釈50μl/ウェルを、3連で細胞に加える。試験化合物の最終濃度は、例えば5μM以下〜0.01μMである。未処理細胞を対照として使用する。化合物を細胞と共に90分間、37℃、5% COでインキュベートし、その後組織培養プレートを1300rpmで遠心分離し(Beckman GPR遠心分離器)、ペレット細胞を除去しないように注意しながら注意深く吸引して上清を除去する。細胞ペレットを、150μlの溶解バッファー(50mM Tris/HCl、pH7.4、150mM 塩化ナトリウム、5mM EDTA、1mM EGTA、1% NP−40(非イオン性界面活性剤、Roche Diagnostics GmbH, Mannheim, Germany)、2mM オルト−バナデートナトリウム、1mM フェニルメチルスルホニルフルオライド、50μg/ml アプロチニンおよび80μg/ml ロイペプチン)を加えて溶解させ、ELISAに速やかに用いるか、または使用するまで−20℃で貯蔵する。
【0089】
抗−abl SH3ドメイン抗体を、50μl/ウェルのPBS中200ngで、黒色ELISAプレート(Packard HTRF-96黒色プレート;6005207)に一晩4℃でコーティングする。0.05% ツイーン20(PBST)および0.5% TopBlock(Juro, カタログ番号TB 232010)を含む200μl/ウェルのPBSで3回洗浄した後、残りのタンパク質結合部位を200μl/ウェルのPBST、3% TopBlockで4時間、室温でブロックし、その後未処理または試験化合物処理細胞(20μg/ウェルの全タンパク質)の溶解液50μlと、3−4時間、4℃でインキュベーションする。3回洗浄後、ブロッキングバッファーで0.5μg/mlに希釈した50μl/ウェルのPY20(AP)(Zymed)を加え、一晩(4℃)インキュベートする。全インキュベーション工程について、プレートをプレートシーラー(Costar, カタログ番号3095)で被覆する。最終的にプレートを、さらに3回洗浄バッファーで、そして1回脱イオン水で洗浄し、その後Emerald IIを含む90μl/ウェルのAP基質CPDStar RTUを加える。Packard Top Seal(商標)−Aプレートシーラー(カタログ番号6005185)でシールしたプレートを、45分間室温暗所でインキュベートし、Packard Top Count Microplate Scintillation Counter(Top Count)で1秒あたりの数(CPS)を測定して蛍光を定量する。最終最適化版のELISAのために、96ウェル組織培養プレート中で処理および溶解させた50μl細胞増殖溶解物を、直接これらのプレートから、Upstateの50ng/ウェルのウサギポリクローナル抗−abl−SH3ドメインAB 06−466でプレコーティングしたELISAプレートに移す。抗ホスホチロシンAB PY20(AP)の濃度を0.2μg/mlに減少させることができる。上記の通り洗浄し、ブロッキングし、蛍光基質とインキュベーションする。定量を下記の通りに行う:未処理32D−bcr/abl細胞の溶解物で得られたELISA読み出し(CPS)と、アッセイバックグラウンド(細胞溶解物を含まない全成分)の読み出しの差を計算し、これらの細胞に存在する構造的にリン酸化されたbcr−ablタンパク質を100%とする。bcr−ablキナーゼ活性における化合物の活性は、bcr−ablリン酸化の減少率として表現される。IC50の値を、用量応答曲線から画像内挿または外挿で決定する。
【0090】
RET
RETキナーゼ阻害を下記の通りに測定することができる:
クローニングおよび発現:バキュロウイルスドナーベクターpFB−GSTX3を用いて、ヒトRET−Men2Aの細胞質キナーゼドメインのアミノ酸領域658−1072(Swiss prot No. Q9BTB0)(これは、RETの野生型キナーゼドメイン(wtRET)およびRET−Men2Bに対応し、活性化ループM918Tの活性化変異によってwtRETとは区別される)を発現する組換えバキュロウイルスを作成する。wtRETの細胞質ドメインのコーディング配列を、PCRによってcDNAライブラリーから特異的プライマーを用いて増幅する。RET−Men2Bを、M918T変異をもたらす部位指定変異導入によって製造する。増幅したDNAフラグメントおよびpFB−GSTX3ベクターを、SalIおよびKpnIで消化してライゲーションに適合するように製造する。これらのDNAフラグメントのライゲーションによって、バキュロウイルスドナープラスミドpFB−GX3−RET−Men2AおよびpFB−GX3−RET−Men2Bをそれぞれ得る。
【0091】
ウイルス作成:キナーゼドメインを含むバキュロウイルスドナープラスミドを、DH10Bac細胞系(GIBCO)にトランスフェクトし、トランスフェクトした細胞を選択的寒天プレートに播種する。(バクテリアによって担持される)融合配列がウイルスゲノムに挿入されていないコロニーは青である。1個の白色コロニーを採取し、ウイルス性DNA(bacmid)をバクテリアから、標準的なプラスミド精製方法によって単離する。Sf9細胞またはSf21細胞(American Type Culture Collection)を25cmフラスコ中で、ウイルス性DNAで、Cellfectin剤を用いてトランスフェクトする。
【0092】
Sf9細胞のタンパク質発現:ウイルス含有培地をトランスフェクト細胞培養物から回収し、感染のために用いて、その力価を上昇させる。2ラウンドの感染の後に得られたウイルス含有培地を、大規模タンパク質発現に使用する。大規模タンパク質発現のために、100cm丸組織培養プレートに5×10細胞/プレートを播種し、ウイルス含有培地1mlで感作した(約5MOI)。3日後、細胞をプレートから採取し、500rpmで5分間遠心分離する。10−20、100cmプレートの細胞ペレットを、50mlの氷冷溶解バッファー(25mM Tris−HCl、pH7.5、2mM EDTA、1% NP−40、1mM DTT、1mM PMSF)中に再懸濁する。細胞を氷上で15分間攪拌し、5,000rpmsで20分間遠心分離する。
【0093】
GSTタグ化タンパク質の精製:遠心分離した細胞溶解物を2ml グルタチオン−セファロースカラム(Pharmacia)にロードし、10mlの25mM Tris−HCl、pH7.5、2mM EDTA、1mM DTT、200mM NaClで3回洗浄する。GSTタグ化タンパク質を25mM Tris−HCl、pH7.5、10mM還元グルタチオン、100mM NaCl、1mM DTT、10% グリセロールの10回適用(各1ml)によって溶出し、−70℃で保存する。
【0094】
酵素活性の測定:精製GST−wtRETまたはGST−RET−Men2Bタンパク質でのチロシンタンパク質キナーゼアッセイを、15ngのGST−wtRETまたはGST−RET−Men2Bタンパク質、20mM Tris−HCl、pH7.5、1mM MnCl、10mM MgCl、1mM DTT、3μg/ml ポリ(Glu,Tyr)4:1、1% DMSO、2.0μM ATP(γ−[33P]−ATP 0.1μCi)を含む最終体積30μLで行う。活性を、[γ33P]ATPからポリ(Glu,Tyr)4:1への33Pの取り込みを測定することによって、阻害剤の存在下または非存在下で、アッセイする。アッセイを、96ウェルプレートで、周囲温度で15分間、上記条件下で行い、20μLの125mM EDTAを加えて終了させる。その後、40μLの反応混合物を、予め5分間メタノールで浸漬し、水で濯ぎ、5分間0.5% HPOで浸漬し、真空源を取り外した真空マニフォールドに乗せたImmobilon−PVDF膜(Millipore)に移す。全サンプルをスポットした後、真空を接続し、各ウェルを200μL 0.5% HPOで濯ぐ。膜を取り外し、シェーカー上で1.0% HPO(4回)およびエタノールで1回洗浄する。膜を周囲温度で乾燥させ、Packard TopCount96ウェルフレームに乗せ、そして10μL/ウェルのMicroscint TM(Packard)を加えた後、測定する。IC50値は、2連で4濃度(通常、0.01、0.1、1および10μM)の各化合物の阻害率の直線回帰分析によって計算する。タンパク質キナーゼ活性の1単位を、37℃で[γ33P]ATPから基質タンパク質に移った1nmoleの33P/分/タンパク質として定義する。式Iの化合物は、0.07〜20μM、とりわけ0.1〜5μMの範囲のIC50値を示す。
【0095】
PDGFR
式Iの化合物のc−kitおよびPDGF−Rチロシンキナーゼ活性阻害剤としての効果を、下記の通りに示すことができる:
BaF3−Tel−PDGFRベータは、BaF3マウスproB−細胞派生系[BaF3細胞系はGerman Collection of Microorganisms and Cell Cultures(DSMZ), Braunschweig, Germanyから入手可能である]であり、これはTel融合活性化PDGFβ−R野生型(Golub T.R. et al., Cell 77(2): 307-316, 1994)またはD816V変異活性化c−kitでそれぞれ安定に変換することによってIL−3非依存性とされている。細胞を、2%L−グルタミン(Animed # 5-10K50-H)および10%胎児ウシ血清(FCS、Animed # 2-01F16-I)を補ったRPMI−1640(Animed # 1-14F01-I)中で培養する。野生型、未トランスフェクトBaF3細胞を、10U/ml IL−3(マウスインターロイキン−3、Roche # 1380745)を加えた上記培地で維持する。細胞を新鮮な培地で最終密度3×10細胞/mlに希釈し、50μlのアリコートを96ウェルプレートに播種する(1.5×10細胞/ウェル)。50μlの2×化合物溶液を加える。内部対照として、キナーゼ阻害剤PKC412を共通して用いる。DMSO(最終濃度0.1%)で処理した対照細胞を、増殖レファレンス(100%増殖とする)として用いる。さらに、プレートブランク値を、100μlの培地を含み、細胞を含まないウェルで共通して測定する。IC50測定を、10μMで出発する8つの試験化合物3倍連続希釈に基づいて行う。細胞を48時間37℃、5% COでインキュベーションした後、細胞生存に対する阻害剤の効果を、基本的に前出の通り(O’Brien J. et al., Eur. J. Biochem. 267: 5421-5426, 2000)、レザズリンナトリウム塩染料減少アッセイ(AlamarBlueアッセイとして商業的に知られている)によって評価する。10μl/ウェルのAlamarBlueを加え、プレートを6時間、37℃、5% COでインキュベートする。その後、Gemini 96ウェルプレートリーダー(Molecular Devices)を用いて、下記設定で蛍光を測定する:励起544nm、放出590nm。得られた生データをExcelファイル形式に出力する。データ分析のために、プレートブランク値を全てのデータポイントから引く。AlamarBlue読み出しによる化合物の抗増殖性効果を対照細胞の値の割合を100%として計算した。IC50値を、XLfitソフトウェアプログラムを用いて決定する。式Iの化合物は、PDGFβ−Rについて、0.001〜20μM、とりわけ0.002〜0.1μMの範囲のIC50を示す。c−Kitを、BaF3−KitD816VマウスproBリンパ腫細胞派生系を用いて同様に測定することができる。
【0096】
FLT3受容体キナーゼ
FLT3−標的化合物を探索するため、2種の異なるアッセイを用いることができる:
Flt3キナーゼ活性を下記の通り測定する:バキュロウイルスドナーベクターpFbacG01(GIBCO)を用いて、ヒトFlt3の細胞質キナーゼドメインのアミノ酸563−993のアミノ酸領域を発現する組換えバキュロウイルスを作成する。Flt3の細胞質ドメインのコーディング配列を、ヒトc−DNAライブラリー(Clontech)からPCRによって増幅する。増幅したDNAフラグメントおよびpFbacG01ベクターをBamH1およびHindIIIで消化して、ライゲーションに適合させる。これらのDNAフラグメントのライゲーションによって、バキュロウイルスドナープラスミドFlt−3(1.1)を得る。該ウイルスの作成、Sf9細胞中でのタンパク質の発現およびGST−集合タンパク質の精製を下記のとおり行う:
【0097】
ウイルス作成:Flt3−キナーゼドメインを含む転移ベクター(pFbacG01−Flt−3)を、DH10Bac細胞系(GIBCO)にトランスフェクトし、該トランスフェクト細胞を選択的寒天プレートに播種する。(バクテリアによって担持される)融合配列がウイルスゲノムに挿入されていないコロニーは青である。1個の白色コロニーを採取し、ウイルス性DNA(bacmid)をバクテリアから、標準的なプラスミド精製方法によって単離する。Sf9細胞またはSf21細胞(American Type Culture Collection)をフラスコ中で、ウイルス性DNAで、Cellfectin剤を用いてトランスフェクトする。
【0098】
Sf9細胞の小規模タンパク質発現の測定:ウイルス含有培地をトランスフェクト細胞培養物から回収し、感染のために用いて、その力価を上昇させる。2ラウンドの感染の後に得られたウイルス含有培地を、大規模タンパク質発現に使用する。大規模タンパク質発現のために、100cm丸組織培養プレートに5×10細胞/プレートを播種し、ウイルス含有培地1mlで感作した(約5MOI)。3日後、細胞をプレートから採取し、500rpmで5分間遠心分離する。各100cmの10−20プレートの細胞ペレットを、50mlの氷冷溶解バッファー(25mM Tris−HCl、pH7.5、2mM EDTA、1% NP−40、1mM DTT、1mM PMSF)中に再懸濁する。細胞を氷上で15分間攪拌し、5,000rpmsで20分間遠心分離する。
【0099】
GSTタグ化タンパク質の精製:遠心分離した細胞溶解物を2ml グルタチオン−セファロースカラム(Pharmacia)にロードし、10mlの25mM Tris−HCl、pH7.5、2mM EDTA、1mM DTT、200mM NaClで3回洗浄する。GSTタグ化タンパク質を25mM Tris−HCl、pH7.5、10mM還元グルタチオン、100mM NaCl、1mM DTT、10% グリセロールの10回適用(各1ml)によって溶出し、−70℃で保存する。
【0100】
酵素活性の測定:精製GST−Flt2でのチロシンタンパク質キナーゼアッセイを、200−1800ngの酵素タンパク質(具体的な活性に依存する)、20mM Tris−HCl、pH7.6、3mM MnCl、3mM MgCl、1mM DTT、10μM NaVO、3μg/ml ポリ(Glu,Tyr)4:1、1% DMSO、6.0μM ATPおよび0.1μCi [33P]−ATPを含む最終体積30μLで行う。活性を、[γ33P]ATPからポリ(Glu,Tyr)基質への33Pの取り込みを測定することによって、阻害剤の存在下または非存在下で、アッセイする。アッセイ(30μl/ウェル)を、96ウェルプレートで、周囲温度で20分間、下記条件下で行い、20μLの125mM EDTAを加えて終了させる。その後、40μLの各反応混合物を、予め5分間メタノールで浸漬し、水で濯ぎ、5分間0.5% HPOで浸漬し、真空源を取り外した真空マニフォールドに乗せたImmobilon−PVDF膜(Millipore, Bedford, MA, USA)に移す。全サンプルをスポットした後、真空を接続し、各ウェルを200μL 0.5% HPOで濯ぐ。膜を取り外し、シェーカー上で1.0% HPOで4回、エタノールで1回洗浄する。膜を周囲温度で乾燥させ、Packard TopCount96ウェルフレームに乗せ、そして10μL/ウェルのMicroscint TM(Packard)を加えた後、各々測定する。IC50値は、2連で4濃度(通常、0.01、0.1、1および10μM)の各化合物の阻害率の直線回帰分析によって計算する。タンパク質キナーゼの1単位を、37℃で[γ33P]ATPから基質ポリペプチドに移った1nmoleの33P/分/タンパク質として定義する。本発明の化合物は、0.03〜100μM、好ましくは0.2〜10μMの範囲のIC50値を示す。
【0101】
別の方法としてまたはそれに加えて、細胞利用アッセイを利用して変異FLT3チロシンキナーゼ受容体の阻害剤を同定することができる。一般的な技術には、可能性のある阻害剤の、変異FLT3に依存する細胞系の増殖についての効果と、変異FLTに依存しない細胞系の増殖についての効果を比較することを含む。2種の異なる形態の変異活性化FLT3を発現する細胞系を使用する:
− 受容体の膜近傍ドメイン内で「内部タンデム重複(ITD)」を有するFLT3変異を発現する、Ba/F3−FLT3−ITD細胞。
− 835位のアスパラギンをチロシンに置換する変異を含むFLT3受容体を歯迂言する、Ba/F3−FLT3−D835Y細胞。
【0102】
本発明の試験化合物は、Ba/F3−FLT3−ITD細胞とBa/F3−D835Y細胞の両方の増殖阻害を示し得るが、他方で、通常、未形質転換Ba/F3細胞の増殖を500nm以下の濃度では阻害せず、そして本発明の化合物のBa/F3−FLT3−ITD細胞に対する増殖阻害効果は、別の生存シグナルを提供する高濃度のIL−3の添加によって反転し得る。FLT3−依存性細胞系の増殖阻害に必要な濃度で、本発明の化合物は、変異FLT3受容体(超活性化キナーゼ)を有さない多様なヒト白血病およびリンパ腫細胞系に対して細胞毒性ではないことが示され、このことは当該薬剤が細胞毒性剤として予期せず高度な特異性を有することを示唆している。概して、これらの結果は、本発明の化合物が変異FLT3受容体チロシンキナーゼ活性の強力な阻害剤であり、変異FLT3受容体を有する患者における処置に使用する有力な候補であり得ることを示している。とりわけ、本発明の試験化合物は、0.00015〜1.0μMの濃度でFLT3受容体チロシンキナーゼ活性の阻害を示し得る。
【0103】
IGF1R
BaF3−Tel−IGF1Rは、BaF3マウスproB−細胞リンパ腫派生系[BaF3細胞系はGerman Collection of Microorganisms and Cell Cultures (DSMZ), Braunschweig, Germanyから入手可能である]であり、これはヒトTel(aa1-452, UniProt: P41212;GenBank: U11732)、Ser−Arg−リンカー、およびヒトIGF1R(aa976-1367, UniProt: P08069; GenBank:X04434)から成る活性化融合タンパク質(Dr. J. Griffin, DanaFarber Cancer Institute, Boston, USA, unbublished)でそれぞれ安定に変換することによってIL−3非依存性とされている。細胞を、2%L−グルタミン(Animed # 5-10K50-H)および10%胎児ウシ血清(FCS、Animed # 2-01F16-I)を補ったRPMI−1640(Animed # 1-14F01-I)中で培養する。野生型、未トランスフェクトBaF3細胞を、10U/ml IL−3(マウスインターロイキン−3、Roche # 1380745)を加えた上記培地で維持する。細胞を新鮮な培地で最終密度3×10細胞/mlに希釈し、50μlのアリコートを96ウェルプレートに播種する(1.5×10細胞/ウェル)。50μlの2×化合物溶液を加える。内部対照として、キナーゼ阻害剤PKC412を共通して用いる。DMSO(最終濃度0.1%)で処理した対照細胞を、増殖レファレンス(100%増殖とする)として用いる。さらに、プレートブランク値を、100μlの培地のみを含み、細胞を含まないウェルで共通して測定する。IC50測定を、10μMで出発する8つの試験化合物3倍連続希釈に基づいて行う。細胞を48時間37℃、5% COでインキュベーションした後、細胞生存に対する阻害剤の効果を、基本的に前出の通り(O’Brien J. et al., Eur. J. Biochem. 267: 5421-5426, 2000)、レザズリンナトリウム塩染料減少アッセイ(AlamarBlueアッセイとして商業的に知られている)によって評価する。10μl/ウェルのAlamarBlueを加え、プレートを6時間、37℃、5% COでインキュベートする。その後、Gemini 96ウェルプレートリーダー(Molecular Devices)を用いて、下記設定で蛍光を測定する:励起544nm、放出590nm。得られた生データをExcelファイル形式に出力する。データ分析のために、プレートブランク値を全てのデータポイントから引く。各化合物濃度についての残余細胞生存率を、ビークル処理対象細胞(100%とする)について測定した値の百分率として表現する。IC50値(細胞生存の50%減少)を、XLfit曲線フィッティングソフトウェアを用いて決定する。
【0104】
VEGF−R(KDR)自己リン酸化
VEGF誘導性受容体自己リン酸化の阻害を、細胞で、例えばヒトVEGF−R2(KDR)を恒久的に発現する、6ウェル細胞培養プレート中完全培養培地(10%胎児ウシ血清=FCSを含む)に播種し37℃、5% COで約80%コンフルエンシーを示すまでインキュベートしたトランスフェクトCHO細胞で、インビトロ実験で行うことができる。試験する化合物を培養培地(FCSを含まない、0.1%ウシ血清アルブミンを含む)で希釈し、細胞に加える。(対照は、試験化合物を含まない培地を含む)。37℃で2時間インキュベーションした後、組換えVEGFを加え;最終VEGF濃度は20ng/mlである。さらに5分間、37℃でインキュベーションした後、細胞を氷冷PBS(リン酸緩衝化食塩水)で2回洗浄し、速やかに100μl/ウェルの溶解バッファーに溶解させる。溶解物を遠心分離して細胞核を除去し、市販のタンパク質アッセイ(BIORAD)を用いて上清のタンパク質濃度を測定する。溶解物を速やかに使用するか、または所望により、−20℃で貯蔵することができる。
【0105】
サンドイッチELISAを行い、VEGF−R2リン酸化を測定する:VEGF−R2に対するモノクローナル抗体(例えばMab 1495.12.14;H. Towbin, Novartisが製造、または同等のモノクローナル抗体)を黒色ELISAプレート(PackardのOptiPlate(商標)HTRF-96)に固定する。プレートを洗浄し、残りの遊離タンパク質結合部位を、ツイーン20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ICI/Uniquema)(PBST)を含むリン酸緩衝化食塩水中3% TopBlock(登録商標)(Juro、カタログ番号TB232010)で飽和させる。細胞溶解物(タンパク質20μg/ウェル)をこれらのプレート中で一晩、4℃で、アルカリホスファターゼと結合した抗ホスホチロシン抗体(PY20:ZymedのAP)と共にインキュベートする。(プレートを再び洗浄しそして)抗ホスホチロシン抗体の捕捉リン酸化受容体との結合を、蛍光AP基質(CDP-Star、使用準備済み、Emerald IIを含む; Applied Biosystems)を用いて示す。蛍光をPackard Top Count Microplate Scintillation Counterで測定する。陽性対照(VEGFで刺激)のシグナルと、陰性対照(VEGFで刺激せず)のものとの差は、VEGF−誘導性VEGF−R2リン酸化(=100%)に対応する。試験物質の活性を、VEGF−誘導性VEGF−R2リン酸化の阻害率として計算し、最大阻害の半分を誘導する物質の濃度をIC50(50%阻害の阻害用量)と定義する。ここで本発明の化合物は、0.01〜20μM、とりわけ0.1〜1.0μMの範囲のIC50を示す。
【0106】
VEGF−R1
VEGF−R1阻害を、下記の通り示すことができる:試験を、Flt−1 VEGF−受容体チロシンキナーゼを用いて行う。詳細な方法は下記の通りである:20mM Tris・HCl pH7.5、3mM マンガンジクライド(MnCl)、3mM マグネシウムクロライド(MgCl)および3μg/ml ポリ(Glu,Tyr)4:1(Sigma, Buchs, Switzerland)、8μM [33P]−ATP(0.2μCi/バッチ)、1% ジメチルスルホキシド、および0〜50μMの試験化合物の、30μlのキナーゼ溶液(Flt−1のキナーゼドメイン、Shibuya et al., Oncogene 5, 519-24 [1990]、特異的活性によって、阻害剤なしのサンプルで1分あたり4000−6000カウント[cps]を達成するために)を、共に10分間室温でインキュベートする。10μl 0.25M エチレンジアミンテトラアセテート(EDTA) pH7を加えて反応を終了させる。複数チャンネルディスペンサー(LAB SYSTEMS, USA)を用いて、アリコート20μlを、Milliporeマイクロタイターフィルターマニフォールドに取り込み、真空に接続したPVDF(=ポリビニルジフルオライド)Immobilon P膜(Millipore, USA)にアプライする。液体の完全な除去後、膜を4回、0.5% リン酸(HPO)を含む浴内で連続的に洗浄し、振盪しながら10分間インキュベートし、Hewlett Packard TopCount Manifoldに乗せ、そして10μl Microscint(登録商標)(β−シンチレーションカウンター液; Packard USA)を加えた後、放射活性を測定する。IC50値を、3濃度(通常、0.01、0.1、および1μM)の各化合物の阻害率の直線回帰分析によって決定する。
【0107】
本発明の化合物の腫瘍増殖阻害剤としての効果を、多様なインビボモデルを用いて、例えば下記のとおりに示すことができる:
例えば、本発明の化合物、例えば下記実施例に記載の化合物は、インビボでVEGF介在性血管形成を阻害するかを試験するために、マウスの増殖因子インプラントモデルにおいてVEGFによって誘導される血管形成応答に対する効果を試験する:増殖因子(2μg/ml ヒトVEGF)含有または非含有、ヘパリン(20単位/ml)を含む0.8%w/v寒天で充填した多孔質テフロンチャンバー(容積0.5mL)を、C57/C6マウスの背側面の皮下に埋め込む。当該マウスを試験化合物(例えば1日1回経口で、25、50または100 mg/kg)またはビークルで、チャンバー埋め込みの日から処置を開始し、4日後まで続ける。処置の終了時にマウスを屠殺し、チャンバーを除去する。チャンバー周辺で増殖した血管化組織を注意深く採取し、秤量し、そして組織のヘモグロビン含有量を測定して血液含量を評価する(Drabkins法; Sigma, Deisenhofen, Germany)。これらの増殖因子がチャンバー周辺で増殖する(繊維芽および小血管を含むことが組織学的に特徴付けられている)この組織の重量および血液含量の増加を誘導すること、そしてこの応答がVEGFを特異的に中和する抗体によって阻止されることは、既に示されている(Wood JM et al., Cancer Res. 60(8), 2178-2189, (2000);およびSchlaeppi et al., J. Cancer Res. Clin. Oncol. 125, 336-342, (1999)参照)。このタイプのモデルで試験したとき、本発明の化合物での腫瘍増殖の阻害を示すことができる。
【0108】
Tie−2受容体自己リン酸化
Tie−2誘導性受容体自己リン酸化の阻害を、細胞で、例えばヒトTie−2(SwissProt AccNo Q02763)を恒久的に発現する、6ウェル細胞培養プレート中完全培養培地(10%胎児ウシ血清=FCSを含む)に播種し37℃、5% COで約90%コンフルエンシーを示すまでインキュベートしたトランスフェクトCOS細胞(ATCC番号: CRL-1651)で、インビトロ実験で確認することができる。試験する化合物を培養培地(FCSを含まない、0.1%ウシ血清アルブミンを含む)で希釈し、細胞に加える。対照は、試験化合物を含まない培地を含む。37℃で40分間インキュベーションした後、オルトバナデートを加えて最終濃度は10mMとする。さらに20分間、37℃でインキュベーションした後、細胞を氷冷PBS(リン酸緩衝化食塩水)で2回洗浄し、速やかに100μl/ウェルの溶解バッファーに溶解させる。溶解物を遠心分離して細胞核を除去し、市販のタンパク質アッセイ(BIORAD)を用いて上清のタンパク質濃度を測定する。溶解物を速やかに使用するか、または所望により、−20℃で貯蔵することができる。
【0109】
サンドイッチELISAを行い、Tie−2リン酸化を測定する:Tie−2に対するモノクローナル抗体(例えば抗Tie2クローン AB33, Upstate, Cat Nr. 05-584、または同等のモノクローナル抗体)を、2μg/ml溶液0.1mlを用いて黒色ELISAプレート(PackardのOptiPlate(商標)HTRF-96)に固定する。プレートを洗浄し、残りの遊離タンパク質結合部位を、ツイーン20(登録商標)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ICI/Uniquema)(PBST)を含むリン酸緩衝化食塩水中3% TopBlock(登録商標)(Juro、カタログ番号TB232010)で飽和させる。細胞溶解物(タンパク質100μg/ウェル)をこれらのプレート中で一晩、4℃で、アルカリホスファターゼと結合した抗ホスホチロシン抗体(PY20:ZymedのAP)と共にインキュベートする。(プレートを再び洗浄しそして)抗ホスホチロシン抗体の捕捉リン酸化受容体との結合を、蛍光AP基質(CDP-Star、使用準備済み、Emerald IIを含む; Applied Biosystems)を用いて示す。蛍光をPackard Top Count Microplate Scintillation Counterで測定する。陽性対照(VEGFで刺激)のシグナルと、陰性対照(VEGFで刺激せず)のものとの差は、最大Tie−2リン酸化(=100%)に対応する。試験物質の活性を、最大Tie−2リン酸化の阻害率として計算し、最大阻害の半分を誘導する物質の濃度をIC50(50%阻害の阻害用量)と定義する。ここで本発明の化合物は、好ましくは0.05〜20μM、例えばより好ましくは0.1〜10μMの範囲のIC50を示し得る。
【0110】
本発明の化合物は、本明細書に記載の試験アッセイおよび試験方法において、例えばプロテインキナーゼ活性によって介在される障害の処置用医薬として使用するための活性を示す。
そのプロテインキナーゼ調節(とりわけ阻害)特性および/または他の未知の可能性のある機構のため、下記のものを含む多様な増殖性疾患、および/または(とりわけ不適切な)プロテインキナーゼ活性に依存する疾患の処置における本化合物の使用が可能である。
【0111】
例えば、本発明の化合物を、下記のものの処置において使用することができる:(成人または小児型)白血病、とりわけ慢性骨髄性白血病(CML)、AML(急性骨髄性白血病)、3血球系骨髄異形成を伴うAML(AML/TMDS)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、骨髄異形成症候群(MDS)ならびにMLL(混合系統白血病);種々の(とりわけ原発性であるが、派生もまた)固形腫瘍(良性またはとりわけ悪性タイプを含む)、例えば肉腫(例えばユーイング肉腫、カポジ肉腫または軟部肉腫、例えば隆起性皮膚線維肉腫)、消化管間質腫瘍(GIST)、精上皮腫、カルチノイド、マスト細胞腫瘍、肺がん、例えば小細胞もしくは大細胞肺がん、気管支がん、例えば小細胞気管支がん、精上皮腫、未分化胚細胞腫、精巣上皮内新生物、黒色腫、乳がん、神経芽腫、乳頭様/濾胞性甲状腺がん、悪性リンパ腫、非ホジキンスリンパ腫、多発性内分泌系新生物タイプ2(MEN2)、褐色細胞腫、甲状腺がん、例えば髄様甲状腺がん、副甲状腺過形成/腺腫、乳がん、結腸がん、結腸直腸腺腫、卵巣がん、前立腺がん、神経膠芽腫、脳腫瘍、前立腺がん(腺がんおよび骨転移も含む)、悪性神経膠腫(未分化星状細胞腫/神経膠芽腫)、膵臓がん、悪性胸膜中皮腫、血管芽腫、血管腫、腎臓がん、肝臓がん、副腎がん、膀胱がん、胃がん(とりわけとりわけ胃腫瘍)、直腸がん、膣がん、子宮頸がん、子宮内膜がん、多発性骨髄腫、頸部および頭部のがん、例えば頭部および頸部の扁平上皮がん、例えばとりわけ上皮特性(epithelial character)を有する新生物、例えば乳がんの場合、悪性腎硬化症;
または他の過形成または増殖性疾患、例えば肥満細胞症、関連する骨髄増殖性症候群、色素性じんま疹、上皮過増殖(がん以外)、とりわけ乾癬;前立腺過形成;炎症性疾患、例えばリウマチ様またはリウマチ性炎症性疾患、とりわけ関節炎、例えばリウマチ性関節炎、他の慢性炎症性障害、例えば慢性喘息、動脈または移植後アテローム性動脈硬化症、脱制御された血管形成に関連する他の疾患、例えば線維症(とりわけ肺の、または他のタイプの線維症、例えば腎線維症)、血管形成、血管における平滑筋増殖、例えば狭窄または(例えばステント誘導性)血管形成術後の再狭窄;(例えば虚血性)網膜症(例えば、加齢性)黄斑変性,他の眼疾患、例えば糖尿病性網膜症および新血管緑内障;腎疾患、例えば糸球体腎炎;糖尿病性腎症;炎症性腸疾患、例えばクローン病、血栓性微小血管症候群;(例えば慢性)移植片拒絶および糸球体症;繊維性疾患、例えば肝硬変;メサンギウム細胞増殖性疾患、およびまたは神経組織の損傷。
【0112】
さらに、本発明の化合物は、免疫抑制剤として、例えば、例えば傷跡の残らない創傷治癒手段として、および加齢性のしみおよび接触性皮膚炎の処置のために有用である。
「発明の背景」に記載した機構にも拘わらず、驚くべきことにtie−2阻害も増殖性疾患、とりわけ固形腫瘍に対して有用であることが示され得る。
【0113】
障害は、本明細書において使用するとき疾患を含む。
プロテインキナーゼ活性によって介在され、プロテインキナーゼ活性メディエーター、例えば調節剤、例えば阻害剤、例えば本発明の化合物によって成功裏に処置され得る障害は、1種以上のプロテインキナーゼの活性が原因であるか、または寄与する障害、例えばプロテインキナーゼとその基質の結合の阻害に関連する障害、例えば本発明の化合物によるプロテインキナーゼ調節、とりわけ阻害に応答する障害を含む。
好ましくは、本発明の化合物によって介在され得るプロテインキナーゼ活性は、プロテインキナーゼ、例えばプロテインチロシンキナーゼ、例えばtie−2および/またはPDGFR、VEGFR−2、c−Abl、Flt3、Ret、kitおよびIGF1Rから成る群から選択される1種以上のプロテインキナーゼ、例えばおよび/またはこれらのいずれか1種以上の変形または変異型の1種以上に由来する活性である。
【0114】
プロテインキナーゼ活性によって介在される、例えば本発明の化合物によって介在される障害は、例えば、下記または下記に関連する障害を含むが、これらに限定されない:
−白血病、固形腫瘍、または他の過形成もしくは増殖性疾患、
−炎症性疾患、慢性炎症性障害、
−脱制御された血管形成に関連する疾患、
−眼疾患、
−腎疾患、
−炎症性腸疾患、
−血栓性微小血管症候群;
−(慢性)移植拒絶および糸球体症、
−繊維性疾患、
−メサンギウム細胞増殖性疾患
−神経組織の損傷。
−呼吸管および肺、
−リウマチ性障害、
−移植、
−血栓性微小血管症候群、
−メサンギウム細胞増殖性疾患、
−神経組織の損傷
−免疫抑制。
好ましくは、本発明の化合物を増殖性疾患の1種以上の処置用薬剤として使用することができる。
【0115】
他の局面において、本発明は
−医薬として使用するための本発明の化合物、
−例えばプロテインキナーゼ活性によって介在される障害の処置用医薬としての本発明の化合物の使用
を提供する。
【0116】
医薬的使用のために、本発明の化合物の1種以上、例えば1種、または本発明の化合物の2種以上の組合せ、好ましくは本発明の化合物の1種を用いる。
本発明の化合物を、医薬組成物の形態で医薬として使用することもできる。
【0117】
他の局面において、本発明は、本発明の化合物と共に少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤、例えば適切な担体および/または希釈剤、例えば増量剤、結合剤、崩壊剤、流動促進剤、滑沢剤、糖または甘味剤、香味剤、保存剤、安定化剤、湿潤剤、可溶化剤、浸透圧調節のための塩および/またはバッファーを含む医薬組成物を提供する。
【0118】
他の局面において、本発明は、
−プロテインキナーゼ活性によって介在される障害の処置に使用するための本発明の医薬組成物
−プロテインキナーゼ活性によって介在される障害の処置に使用するための、本発明の医薬組成物の使用
−プロテインキナーゼ活性によって介在される障害の処置に使用するための、本発明の化合物
を提供する。
【0119】
さらなる局面において本発明は、例えば具体的に上記の障害を含むプロテインキナーゼ活性によって介在される障害を処置する方法であって、かかる処置を必要とする対象に治療上有効量の本発明の化合物を;例えば医薬組成物の形態で、投与することを含む方法を提供する。
【0120】
「かかる処置を必要とする対象」は、例えば本明細書において使用するとき、患者、例えば動物、例えば温血動物、より好ましくは哺乳類、とりわけヒトを含む。
「治療上有効量」は、好ましくは前記障害に対して有効である量である。
【0121】
他の局面において、本発明は、
−医薬の製造のための本発明の化合物、
−医薬、例えばプロテインキナーゼ活性によって介在される障害の処置用医薬組成物の製造のための、本発明の化合物の使用
を提供する。
【0122】
障害(疾患)の処置は、本明細書において使用するとき、予防(prevention)を含む。
かかる処置について、適切な投与量は、例えば使用する本発明の化合物の化学的性質および薬物動態データ、個々の宿主、例えばかかる処置を必要とする対象の体重、年齢および個体の状態、投与形態ならびに処置する状態の性質および重症度に依存して、当然変換する。しかし一般に、大型哺乳類、例えばヒトにおいて、満足のいく結果のためには、指示1日用量
−約0.0001g〜約1.5g、例えば0.001g〜1.5g;
−約0.001mg/kg体重〜約20mg/kg体重、例えば0.01mg/kg体重〜20mg/kg体重、
の範囲を含み、例えば1日4回までの分割用量で投与する。
通常、子供には成人用量の半分を投与することができる。
本医薬組成物は、有効成分約1%〜約96%、好ましくは約20%〜約95%を含む。
【0123】
本発明の化合物は、何れかの常套の経路、例えば経腸、例えば経鼻、頬側、直腸、経口投与;非経腸、例えば静脈内、動脈内、筋肉内、心臓内、皮下、骨内輸液、経皮(無傷(intact)の皮膚を通過する拡散)、経粘膜(粘膜を通過する拡散)、吸入投与;局所;例えば皮膚上、鼻腔内、気管内投与;腹腔内(腹腔への輸液または注射);硬膜外(peridural)(硬膜外空間への注射または輸液);くも膜下腔内(脳脊髄液への注射または輸液);硝子体内(眼を介した投与);または例えば局所送達のための医薬デバイス、例えばステントを介して;
例えばコーティングもしくは非コーティング錠剤、カプセル剤、(注射)液、固体溶液、懸濁液、分散剤、固体分散剤の形態で;例えばアンプル、バイアルの形態で、クリーム、ゲル、ペースト、吸入粉末、泡、チンキ、リップスティック、ドロップ、スプレー、または座薬の形態で投与することができる。
【0124】
例えば目への投与を含む局所的使用について、満足のいく結果が、有効成分の濃度0.5−10%、例えば1−3%、1日複数回、例えば1日2〜5回の局所投与によって得ることができる。
本発明の化合物は、薬学的に許容される塩形、または遊離形で;所望により溶媒和物形で投与することができる。塩および/または溶媒和物形の本発明の化合物は、遊離形の本発明の化合物と同程度の活性を示す。
【0125】
本発明の化合物は、単独で、または1種以上、少なくとも1種の、他の第2の薬剤物質との組合せで、本明細書に記載の何れかの方法または使用のために、使用することができる。
【0126】
他の局面において、本発明は、
−本発明の化合物と、少なくとも1種の第2の薬剤物質の組合せ剤;
−本発明の化合物と、少なくとも1種の第2の薬剤物質を組み合わせて含む医薬組合せ剤;
−本発明の化合物と、少なくとも1種の第2の薬剤物質および1種以上の薬学的に許容される賦形剤を組み合わせて含む医薬組成物;
−本明細書に定義の何れかの方法に使用するための、例えば医薬組合せ剤または組成物の形態における、少なくとも1種の第2の薬剤物質との組合せにおける本発明の化合物、例えば
−本発明の化合物と少なくとも1種の第2の薬剤物質を含む、医薬として使用するための組合せ剤、医薬組合せ剤または医薬組成物;
−例えば医薬組合せ剤または組成物の形態における、少なくとも1種の第2の薬剤物質との組合せにおける本発明の化合物の医薬としての使用;
−第2の薬剤物質との組合せにおいて使用する医薬の製造のための、本発明の化合物の使用
−プロテインキナーゼ活性によって介在される障害を処置する方法であって、それを必要とする対象において、例えば医薬組合せ剤または組成物の形態における、治療上有効量の本発明の化合物と少なくとも1種の第2の薬剤物質を同時的にまたは逐次的に共投与することを含む方法;
−プロテインキナーゼ活性によって介在される障害に使用する医薬の製造において使用するための、例えば医薬組合せ剤または組成物の形態における、少なくとも1種の第2の薬剤物質との組合せにおける本発明の化合物
を提供する。
【0127】
組合せ剤は、本発明の化合物と少なくとも1種の第2の薬剤物質が同じ製剤中に存在する固定された組合せ剤;別の製剤で本発明の化合物と少なくとも1種の第2の薬剤物質を、同じパッケージで、例えば共投与のための指示書と共に得られるキット;および本発明の化合物と少なくとも1種の第2の薬剤物質が別個にパッケージされているが、同時的または逐次的投与のための指示書が得られる自由な組合せを含む。
【0128】
他の局面において、本発明は、
−本発明の化合物である第1の薬剤物質と少なくとも1種の第2の薬剤物質、そして組合せ投与のための指示書を含む、医薬パッケージ;
−本発明の化合物と、少なくとも1種の第2の薬剤物質との組合せ投与のための指示書を含む、医薬パッケージ;
−少なくとも1種の第2の薬剤物質と、本発明の化合物との組合せ投与のための指示書を含む、医薬パッケージ;
を提供する。
【0129】
本発明の組合せ剤による処置は、単一処置と比較して改善を提供し得る。
【0130】
他の局面において、本発明は
−ある量の本発明の化合物と、ある量の第2の薬剤物質を含む医薬組合せ剤であって、当該量が、相乗的治療効果を創成するのに適切である、組合せ剤;
−本発明の化合物の治療有用性を改善する方法であって、治療上有効量の本発明の化合物と第2の薬剤物質を、例えば同時的または逐次的に共投与することを含む方法
−第2の薬剤物質の治療有用性を改善する方法であって、治療上有効量の本発明の化合物と第2の薬剤物質を、例えば同時的または逐次的に共投与することを含む方法
を提供する。
【0131】
本発明の組合せ剤と、組合せ成分としての第2の薬剤物質を、何れかの常套の経路によって、例えば本発明の化合物について上記のとおり、投与することができる。第2の薬剤は適切な投与量で、例えば単一処置について用いるものと同様の投与範囲で、例えば相乗効果の場合、常套の投与範囲未満でさえ、投与することができる。
【0132】
本発明の医薬組成物を、常套の方法によって、例えばそれと同様に、例えば混合、造粒、コーティング、溶解または凍結乾燥プロセスによって製造することができる。単位投与形態は、例えば約0.1mg〜約1500mg、例えば1mg〜約1000mgを含んでいてもよい。
本発明の組合せ剤を含む医薬組成物および本明細書に記載の第2の薬剤を含む医薬組成物を、適切に、例えば常套の方法の通り、例えばそれと同様に、または本発明の医薬組成物について本明細書に記載のとおりに、提供することができる。
【0133】
有効成分の溶液および懸濁液、とりわけ等張水溶液または懸濁液を好ましくは使用し、例えば有効成分を単独でまたは担体、例えばマンニトールと共に含む、使用の前にかかる溶液または懸濁液を調製するための凍結乾燥組成物の場合も可能である。本医薬組成物は、滅菌することができ、そして/または賦形剤、例えば保存剤、安定化剤、湿潤剤および/または乳化剤、可溶化剤、浸透圧を調節するための塩および/またはバッファーを含んでいてもよく、そして自体公知の方法で、例えば常套の溶解または凍結乾燥プロセスによって製造する。前記溶液または懸濁液は、増粘剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルピロリドンまたはゼラチンを含んでいてもよい。
【0134】
経口投与用医薬組成物は、有効成分と固体担体を混合し、所望により得られた混合物を造粒し、そして適切な賦形剤を、錠剤、糖衣錠核またはカプセル剤に加えた後、所望または必要により、当該混合物を処理することによって得ることができる。有効成分を測定量で分散または放出させる可塑性担体中にそれらを含ませることも可能である。
【0135】
「第2の薬剤物質」なる用語は、化学療法剤、とりわけ本発明の化合物以外の何れかの化学療法剤を意味する。
【0136】
例えば、第2の薬剤物質は、本明細書において使用するとき、抗がん剤を含む。
抗がん剤は、例えば、アロマターゼインヒビター;抗エストロゲン剤;トポイソメラーゼI阻害剤;トポイソメラーゼII阻害剤;微小管活性剤、アルキル化剤;ヒストンデアセチラーゼ阻害剤;細胞分化プロセスを誘導する化合物;シクロオキシゲナーゼ阻害剤;MMP阻害剤;mTOR阻害剤;抗新生物性代謝拮抗剤;プラチナ化合物;タンパク質または脂質キナーゼ活性を標的/減少する化合物およびさらなる抗血管形成化合物;タンパク質または脂質ホスファターゼの活性を標的とし、減少させ、または阻害する化合物;ゴナドレリンアゴニスト;抗アンドロゲン剤;メチオニンアミノペプチダーゼ阻害剤;ビスホスホネート;生物学的応答調節剤;抗増殖性抗体;ヘパラナーゼ阻害剤;Ras発がん遺伝子アイソフォームの阻害剤;テロメラーゼ阻害剤;プロテアソーム阻害剤;血液学的悪性腫瘍の処置に使用する薬剤;Flt−3の活性を標的とし、減少させ、または阻害する化合物;Hsp90阻害剤;およびテモゾロミド(TEMODAL(登録商標))を含むが、これらに限定されない。
【0137】
急性骨髄性白血病(AML)の処置のために、式Iの化合物を、標準的な白血病治療と組み合わせて、とりわけAMLの処置に使用する治療と組合せにおいて使用することができる。とりわけ、式Iの化合物は、例えばファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤および/またはAMLの処置に有用な他の薬剤、例えばダウノルビシン、アドリアマイシン、Ara−C、VP−16、テニポシド、ミトキサントロン、イダルビシン、カルボプラチナムおよびPKC412との組合せで投与することができる。
【0138】
コード番号、一般名または商品名により特定された治療剤の構造は、現行版の標準概要“The Merck Index”から、またはデータベース、例えばPatents International(例えばIMS World Publications)から得ることができる。
【0139】
本発明の化合物との組み合わせで使用することができる第2の薬剤物質を、適切に、例えば常套の通り、例えば上記文献に記載のとおりに製造および投与することができる。
【0140】
本発明の化合物は、既知の治療方法、例えばホルモンの投与またはとりわけ放射線照射との組合せにおいて有利に用いることもできる。
【0141】
式Iの化合物を、とりわけ放射線療法に不良な感受性を示す腫瘍の処置のために、とりわけ放射線増感剤として使用することができる。
【0142】
本発明の化合物を他の薬剤と組み合わせて投与するとき、共投与する第2の薬剤の投与量は、使用する共薬剤のタイプ、使用する具体的な薬剤、処置する状態に基づいて、本発明の化合物の場合と同様に、当然に変化する。一般に、第2の薬剤の供給者によって提供されるものと同様の投与量が適切であり得る。
【0143】
下記実施例は、本発明の範囲を限定することなくその説明のために提供する。
【実施例】
【0144】
温度は摂氏度(℃)で示す。異なると記載しない限り、反応は室温で行う。
【0145】
TLC条件: 各物質が動いた距離の溶離剤フロントが動いた距離に対する比であるR値を、シリカゲル薄層プレート、5×10cmTLCプレート、シリカゲルF254(Merck, Darmstadt, Germany)で、下記溶媒系を用いる薄層クロマトグラフィーによって決定する。
【0146】
分析的HPLC条件:
系1
直線グラジエント20−100%CHCNで5分+1.5分 100%CHCN(0.1%TFA);215nmで検出、流速1mL/分、30℃。カラム:Nucleosil 100-3 C18 (70×4.0mm)
系2
直線グラジエント5−95%CHCNで2.20分+0.5分 95%CHCN(0.1%TFA);215nmで検出、流速2mL/分、35℃。カラム: Sun Fire (水)3.5μm C18 (3.0×20mm)
系3
直線グラジエント5−100%CHCNで8分+1.8分 100%CHCN(0.1%HCOOH);215nmで検出、流速2mL/分、40℃。カラム:XERRA-MS (水)5μm C18 (50×4.6mm)
系4
直線グラジエント20−100%CHCNで5分+1分 100%CHCN(0.1%TFA);215nmで検出、流速1mL/分、30℃。カラム:Nucleosil 100-3 C18 (70×4.0mm)
【0147】
略語および頭字語:
【表1】

【表2】

【0148】
商標
セライト=Celite(登録商標)(The Celite Corporation)=珪藻土を利用したフィルタリング手段
ヌクレオジル=Nucleosil(登録商標)、HPLC物質に関する、Machery & Nagel, Dueren, FRGの商標
【0149】
参照例0:2−(4−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル−フェニル)−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド
【化17】

DIEA 0.15mlを、粗(4−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル−フェニル)−酢酸55mg、3−アミノベンゾトリフルオライド39mgおよびTBTU 77mgのDMF 0.5ml混合物に、冷温(0℃)下、滴下する。得られた混合物をrtに温め、2時間撹拌し、EtOAcで希釈し、NaHCO飽和水溶液、HOおよび塩水で洗浄する。得られた有機相を乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空下で濃縮する。得られた蒸発残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製する。2−(4−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル−フェニル)−N−(3−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミドを、固体形態で得る: ES-MS: 397.0 [M+H]+;tで単一ピーク=3.52分(系1);R=0.18(CHCl/MeOH、94:6)。
【0150】
出発物質を下記の通り製造する:
工程0.1:(4−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル−フェニル)−酢酸
(4−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル−フェニル)−酢酸メチルエステル 0.349gと6N HCl水溶液3.5mlの混合物を撹拌し、3時間還流する。得られた混合物をrtに冷却させ、真空下で濃縮する。(4−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル−フェニル)−酢酸を塩酸塩形で得る: ES-MS: 254.0 [M+H]+;tで単一ピーク=1.20分(系1)。
【0151】
工程0.2:(4−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル−フェニル)−酢酸メチルエステル
[4−(3−アミノ−ピリジン−4−イルアミノ)−フェニル]−酢酸メチルエステル0.356gとオルトギ酸トリエチル9.2mlの混合物を撹拌し、2時間還流する。得られた混合物をrtに冷却させ、真空下で濃縮する。(4−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル−フェニル)−酢酸メチルエステルを固体形態で得る: ES-MS: 268.1 [M+H]+;tで単一ピーク=2.03分(系1)。
【0152】
工程0.3:[4−(3−アミノ−ピリジン−4−イルアミノ)−フェニル]−酢酸メチルエステル
4−クロロ−3−ニトロ−ピリジン(LANCASTER)0.500gと(4−アミノ−フェニル)−酢酸(Aldrich)0.467gのMeOH/ジオキサン(1/1 v/v)10ml混合物を撹拌し、6時間還流する。得られた混合物をrtに冷却し、真空下で濃縮する。粗[4−(3−ニトロ−ピリジン−4−イルアミノ)−フェニル]−酢酸メチルエステルを得る。
粗[4−(3−ニトロ−ピリジン−4−イルアミノ)−フェニル]−酢酸メチルエステル0.569gとラネーNi 0.140gのMeOH 15ml懸濁液を21時間、rt、水素雰囲気下で撹拌する。得られた混合物を、セライトパッドで濾過し、得られた濾液を濃縮する。得られた濃縮残渣をCHClで摩砕する。[4−(3−アミノ−ピリジン−4−イルアミノ)−フェニル]−酢酸メチルエステルを固体形態で得る: ES-MS: 258.0 [M+H]+;tで単一ピーク=2.54分(系1)。
【0153】
参照例1:N−(3’−ブロモ−2−トリフルオロメチル−ビフェン−4−イル)−2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−アセトアミド
【化18】

を参照例0に記載の方法と同様に、3’−ブロモ−2−トリフルオロメチル−ビフェン−4−イルアミンを3−アミノベンゾトリフルオライドの代わりに、そして(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−酢酸を(4−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル−フェニル)−酢酸の代わりに、出発物質として用いて、得る。ES-MS: 552.8 [M+H]+;t=5.24分(系1);R=0.20(CHCl/MeOH、96:4)。
【0154】
出発物質を下記の通り製造する:
工程1.1:(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−酢酸
方法A
工程0.1に記載の方法と同様に、(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−酢酸メチルエステルを(4−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル−フェニル)−酢酸メチルエステルの代わりに出発物質として用いて、(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−酢酸を得る。ES-MS: 254.0 [M+H]+;t=2.35分(系1)。
【0155】
方法B
4−ヨードフェニル酢酸 400mg、4−アザベンゾイミダゾール 273mg、trans,trans−ジベンジリデンアセトン 17.9mg、1,10−フェナントロリン 303mg、トリフルオロメタンスルホン酸ベンゼン銅(I)錯体 19.2mgおよびCsCO 547mgのキシレン 1.5ml混合物を、80時間125℃で撹拌する。得られた混合物をrtに冷却させ、真空下で濃縮する。得られた濃縮残渣を1N NaOH水溶液に溶解させ、EtOAcで抽出する。水層に水性1N HClを加えて酸性pHとし、得られた混合物をCHClで抽出する。得られた有機相を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮する。得られた濃縮残渣を逆相MPLC(CHCN/HO/TFA)に付す。(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−酢酸を得る。
【0156】
工程1.2:(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−酢酸メチルエステルを、工程0.2に記載の方法と同様に、[4−(3−アミノ−ピリジン−2−イルアミノ)−フェニル]−酢酸メチルエステルを[4−(3−アミノ−ピリジン−4−イルアミノ)−フェニル]−酢酸メチルエステルの代わりに出発物質として用いて、得る。ES-MS: 268.0 [M+H]+;t=3.20分(系1)。
【0157】
工程1.3:[4−(3−アミノ−ピリジン−2−イルアミノ)−フェニル]−酢酸メチルエステル
[4−(3−ニトロ−ピリジン−2−イルアミノ)−フェニル]−酢酸メチルエステル 2gとラネーNi 0.600gのMeOH 40ml懸濁液(40mL)を4時間、rt、水素雰囲気下で撹拌する。得られた混合物をセライトパッドで濾過し、濃縮する。[4−(3−アミノ−ピリジン−2−イルアミノ)−フェニル]−酢酸メチルエステルを固体形態で得る。:ES-MS: 258.0 [M+H]+;t=2.30分(系1);R=0.15(ヘキサン/EtOAc、1:1)。
【0158】
工程1.4:[4−(3−ニトロ−ピリジン−2−イルアミノ)−フェニル]−酢酸メチルエステル
2−クロロ−3−ニトロ−ピリジン 5.0g、(4−アミノ−フェニル)−酢酸 4.75gおよびジオキサン 7.85ml中4N HCl溶液のMeOH/ジオキサン(1:1、v/v)100ml混合物を撹拌し、30時間還流する。得られた混合物に(4−アミノ−フェニル)−酢酸 4.75gを加え、得られた混合物を撹拌し、18時間還流する。得られた混合物をrtに冷却し、真空下で濃縮する。得られた濃縮残渣をEtOAcに溶解させ、得られた混合物をNaHCO飽和水溶液で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮する。得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付す。[4−(3−ニトロ−ピリジン−2−イルアミノ)−フェニル]−酢酸メチルエステルを固体形態で得る: ES-MS: 288.0 [M+H]+;t=4.71分(系1);R=0.20(ヘキサン/EtOAc、4:1)。
【0159】
工程1.5:3’−ブロモ−2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−アミン
5−アミノ−2−ブロモベンゾトリフルオライド(Dakwood Products, Inc.)500mg、3−ブロモフェニルボロン酸(Aldrich)6.2mMol、Pd(PPh 70mgおよびHO中2M NaCO溶液5mlの、トルエン14ml混合物を還流温度で1時間撹拌する。得られた混合物をrtに冷却し、セライトパッドで濾過する。得られた層を分離させ、得られた水相をCHClで抽出する。得られた有機相を塩水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空下で濃縮する。得られた濃縮残渣をMPLC(CHCN/HO/TFA)に付す。3’−ブロモ−2−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−アミンを得る。MS: 315.9 [M-1]-;HPLC Ret=4.9;R=0.16(ヘキサン/EtOAc、4:1)。
【0160】
参照例2:2−(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−N−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド
【化19】

を、実施例1に記載の方法と同様に、(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−酢酸を(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−酢酸の代わりに、そして4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニルアミンを3’−ブロモ−2−トリフルオロメチル−ビフェン−4−イルアミンの代わりに出発物質として用いて、得る(WO 03/099771参照)。ES-MS: 508.0 [M+H]+;tで単一ピーク=2.84分(系1);R=0.10(CHCl/MeOH+1% NHaq、9:1)。
【0161】
出発物質を下記の通り製造する:
工程2.1:(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−酢酸
方法A
(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−酢酸を工程1.1に記載の方法と同様に、(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−酢酸メチルエステルを4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−酢酸メチルエステルの代わりに出発物質として用いて得る。ES-MS: 253.1 [M+H]+;tで単一ピーク=2.36分(系1)。
【0162】
方法B
(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−酢酸メチルエステル 0.535gと1N LiOH水溶液2mlのTHF 2ml混合物を、3時間、45℃で撹拌する。得られた混合物をrtに冷却させ、0.5N 水性HClを加えてpH5に酸性化する。固体沈殿物を真空濾過によって回収する。(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−酢酸を得る。ES-MS: 253.1 [M+H]+;tで単一ピーク=2.36分(系1)。
【0163】
方法C
4−ヨードフェニル酢酸 4.4g、ベンゾイミダゾール 2.98g、trans,trans−ジベンジリデンアセトン 197mg、1,10−フェナントロリン 3.33g、トリフルオロメタンスルホネートベンゼン銅(I)錯体211mgおよびCsCO 6gのキシレン12ml混合物を、88時間、125℃で撹拌する。得られた混合物をrtに冷却させ、真空下で濃縮する。得られた濃縮残渣を1N NaOH水溶液に溶解させ、得られた混合物をEtOAcで抽出する。1N HCl水溶液を加えて得られた水層のpHを酸性pHに調節する。沈殿が形成され、これを真空ろ過によって回収する(バッチ1)。得られた濾液の水相をCHClで抽出する。有機相を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮する。得られた濃縮残渣(バッチ2)をバッチ1と合併し、EtOで摩砕する。(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−酢酸 3.58gを得る。
【0164】
工程2.2:(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−酢酸メチルエステル
を、工程1.2に記載の方法と同様に、[4−(2−アミノ−フェニルアミノ)−フェニル]−酢酸メチルエステルを4−(3−アミノ−ピリジン−2−イルアミノ)−フェニル]−酢酸メチルエステルの代わりに出発物質として用いて、得る。ES-MS: 267.1 [M+H]+;tで単一ピーク=3.00分(系1)。
【0165】
工程2.3:[4−(2−アミノ−フェニルアミノ)−フェニル]−酢酸メチルエステル
[4−(2−ニトロ−フェニルアミノ)−フェニル]−酢酸メチルエステル 0.700gとPd/C(10%)0.240gのMeOH 20ml懸濁液を3時間、rt、水素雰囲気下で撹拌する。得られた混合物をセライトパッドで濾過し、得られた濾液を濃縮する。[4−(2−アミノ−フェニルアミノ)−フェニル]−酢酸メチルエステルを油状物形態で得る:ES-MS: 257.1 [M+H]+;tで単一ピーク=3.04分(系1)。
【0166】
工程2.4:[4−(2−ニトロ−フェニルアミノ)−フェニル]−酢酸メチルエステル
[4−(2−ニトロ−フェニルアミノ)−フェニル]−酢酸 1.0gと濃HCl 0.4mlのMeOH 20ml混合物を、撹拌し、1時間還流する。得られた混合物をrtに冷却し、真空下で濃縮する。得られた濃縮物をCHClで希釈し、得られた混合物をNaHCO飽和水溶液、HOおよび塩水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮する。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付す。[4−(2−ニトロ−フェニルアミノ)−フェニル]−酢酸メチルエステルを油状物形態で得る:ES-MS: 287.0 [M+H]+;tで単一ピーク=5.01分(系1);R=0.20(ヘキサン/EtOAc、4:1)。
【0167】
工程2.5:[4−(2−ニトロ−フェニルアミノ)−フェニル]−酢酸
2−ニトロフルオロベンゼン(Aldrich)1.5ml、4−アミノフェニル酢酸 1.44gおよびKF 0.550gの混合物を、170℃で16時間、密封容器中で撹拌する。得られた混合物をrtに冷却させ、CHCl/MeOH(95:5)で摩砕し、濾過する。得られた濾液を濃縮し、得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製する。[4−(2−ニトロ−フェニルアミノ)−フェニル]−酢酸を固体形態で得る:ES-MS: 273.0 [M+H]+;tで単一ピーク=4.44分(系1);R=0.20(CHCl/MeOH、95:5)。
【0168】
参照例3:2−(2−クロロ−4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−[4−(4−イソプロピル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド
【化20】

を、実施例1に記載の方法と同様に、(2−クロロ−4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−酢酸を(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−酢酸の代わりに、そして4−(4−イソプロピル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニルアミンを3’−ブロモ−2−トリフルオロメチル−ビフェン−4−イルアミンの代わりに用いて、得る(WO 03/099771参照)。ES-MS: 570.9 [M+H]+;tで単一ピーク=3.46分(系1);R=0.26(CHCl/MeOH+1% NHaq、9:1)。
【0169】
出発物質を下記の通り製造する:
工程3.1:(2−クロロ−4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−酢酸
(2−クロロ−4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−酢酸エチルエステル 0.325gと0.5N LiOH水溶液2mlのTHF 2ml混合物を、1時間、40℃で撹拌する。得られた混合物をrtに冷却させ、0.5N HCl水溶液を加えて酸性pHを調節する。沈殿が形成され、これを真空濾過によって回収する。(2−クロロ−4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−酢酸を固体形態で得る。ES-MS: 288.0 [M+H]+;tで単一ピーク=3.00分(系1)。
【0170】
工程3.2:(2−クロロ−4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−酢酸エチルエステル
を工程1.2に記載の方法と同様に、[4−(3−アミノ−ピリジン−2−イルアミノ)−2−クロロ−フェニル]−酢酸エチルエステルを[4−(3−アミノ−ピリジン−2−イルアミノ)−フェニル]−酢酸メチルエステルの代わりに出発物質として用いて得る。ES-MS: 316.1 [M+H]+;tで単一ピーク=4.24分(系1);R=0.16(ヘキサン/EtOAc、1:1)。
【0171】
工程3.3:[4−(3−アミノ−ピリジン−2−イルアミノ)−2−クロロ−フェニル]−酢酸エチルエステル
を工程1.3に記載の方法と同様に、[2−クロロ−4−(3−ニトロ−ピリジン−2−イルアミノ)−フェニル]−酢酸エチルエステルを[4−(3−ニトロ−ピリジン−2−イルアミノ)−フェニル]−酢酸メチルエステルの代わりに出発物質として、EtOHをMeOHの代わりに溶媒として、そして反応混合物を22時間、4時間の代わりに、rtで撹拌して、得る。ES-MS: 306.1 [M+H]+;tで単一ピーク=3.06分(系1);R=0.16(ヘキサン/EtOAc、1:1)。
【0172】
工程3.4:[2−クロロ−4−(3−ニトロ−ピリジン−2−イルアミノ)−フェニル]−酢酸エチルエステル
2−クロロ−3−ニトロ−ピリジン(Aldrich)0.600gと(4−アミノ−2−クロロ−フェニル)−酢酸エチルエステル(WO 97/21665参照)0.800gのEtOH/ジオキサン(1:1、v/v)20ml混合物を撹拌し、72時間還流する。得られた混合物をrtに冷却させ、真空下で濃縮する。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付す。固体を得て、これをEtOで摩砕する。[2−クロロ−4−(3−ニトロ−ピリジン−2−イルアミノ)−フェニル]−酢酸エチルエステルを固体形態で得る。ES-MS: 336.0 [M+H]+;tで単一ピーク=5.59分(系1);R=0.39(ヘキサン/EtOAc、7:3)。
【0173】
参照例4:N−(4−ジエチルアミノメチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−2−メチル−フェニル)−アセトアミド
【化21】

を、参照例1に記載の方法と同様に、(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−2−メチル−フェニル)−酢酸を(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−酢酸の代わりに、そして4−ジエチルアミノメチル−3−トリフルオロメチル−フェニルアミン(WO2005/051366に記載)を3’−ブロモ−2−トリフルオロメチル−ビフェン−4−イルアミンの代わりに出発物質として用いて、得る。ES-MS: 496.0 [M+H]+;t=3.31分(系1);R=0.43(CHCl/MeOH、95:5+0.1 % NHaq)。
【0174】
工程4.1:(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−2−メチル−フェニル)−酢酸
を、参照例2、工程2.1、方法Bに記載の方法と同様に、(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−2−メチル−フェニル)−酢酸メチルエステルを(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−酢酸メチルエステルの代わりに用いて得る。ES-MS: 268.1 [M+H]+;t=2.59分(系1)。
【0175】
工程4.2:(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−2−メチル−フェニル)−酢酸メチルエステル
[4−(3−アミノ−ピリジン−2−イルアミノ)−2−メチル−フェニル]−酢酸メチルエステル 1.92gとオルトギ酸トリエチル 30mlの混合物を、3時間、150℃で撹拌する。得られた混合物をrtに冷却させ、真空下で濃縮する。4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−2−メチル−フェニル)−酢酸メチルエステルを得る。ES-MS: 282.1 [M+H]+;t=3.39分(系1)。
【0176】
工程4.3:[4−(3−アミノ−ピリジン−2−イルアミノ)−2−メチル−フェニル]−酢酸メチルエステル
[2−メチル−4−(3−ニトロ−ピリジン−2−イルアミノ)−フェニル]−酢酸メチルエステル 2.2gとラネーNi220mgの懸濁液を、6.5時間、rt、水素雰囲気下で撹拌する。得られた混合物をセライトパッドで濾過し、濃縮する。[4−(3−アミノ−ピリジン−2−イルアミノ)−2−メチル−フェニル]−酢酸メチルエステルを得る。ES-MS: 272.1 [M+H]+;t=2.53分(系1)。
【0177】
工程4.4:[2−メチル−4−(3−ニトロ−ピリジン−2−イルアミノ)−フェニル]−酢酸メチルエステル
2−クロロ−3−ニトロ−ピリジン 1.5g、(4−アミノ−2−メチル−フェニル)−酢酸メチルエステル 3.39gおよびジオキサン中4N HCl溶液6.9mlのMeOH/ジオキサン(1:1、v/v)30ml混合物を54時間、100℃で撹拌する。得られた混合物をrtに冷却させ、真空下で濃縮する。得られた濃縮物をEtOAcに溶解させ、得られた混合物をNaHCO飽和水溶液で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮する。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付す。[2−メチル−4−(3−ニトロ−ピリジン−2−イルアミノ)−フェニル]−酢酸メチルエステルを得る。ES-MS: 302.1 [M+H]+;t=4.79分(系1);R=0.43(CHCl)。
【0178】
参照例に記載の方法と同様に、適切な出発物質を用いて、式
【化22】

〔式中、X、R2およびQは下記表1に定義のとおりである〕
の化合物を得る。分析データも表1に示す。
【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【0179】
出発物質
3−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミン
実施例5の化合物の製造に使用され、WO 2006000420に記載の方法と同様にして得ることができる。API-ES-MS: 206.2。
4−(4−イソプロピル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニルアミン
実施例6の化合物の製造に使用され、WO2005051366に記載の方法と同様にして得ることができる。
【0180】
4−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメチル−3−トリフルオロメチル−フェニルアミン
実施例7の化合物の製造に使用される。
4−(1−メチル−ピペリジン−4−イリデンメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニルアミン 6.95gと白金炭素2.1gのEtOH 150ml混合物を、45時間、rt、水素雰囲気下で撹拌する。得られた混合物をセライトで濾過し、濃縮する。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH/NHaq、91:8:1)に付す。4−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメチル−3−トリフルオロメチル−フェニルアミンを固体形態で得る:ES-MS: 273.1 [M+H]+;t=1.40分(系1);R=0.33(CHCl/MeOH/NHaq、91:8:1)。
【0181】
4−(1−メチル−ピペリジン−4−イリデンメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニルアミン
実施例7の化合物の製造に使用する。
NaH 2.4gの鉱油中60%分散液を、[4−(2,2,2−トリフルオロ−アセチルアミノ)−2−トリフルオロメチル−ベンジル]−ホスホン酸ジエチルエステル 11.15gのTHF 250ml溶液に、冷温(5℃)、アルゴン雰囲気下で加え、得られた混合物を5℃で撹拌する。得られた混合物に1−メチル−4−ピペリドン 3.7mlを加える。得られた混合物をrtに温め、20時間撹拌する。得られた混合物に、1−メチル−4−ピペリドン 1.0mlを加え、得られた混合物を4時間撹拌する。得られた混合物に、NaH 800mgの鉱油中60%分散液を加え、得られた混合物を2時間撹拌し、さらにNaH 800mgの鉱油中60%分散液を加える。得られた混合物をrtで一晩撹拌し、HO 50mlを加えてクエンチする。得られた混合物を24時間、rtで撹拌し、EtOAcおよびHOで希釈し、EtOAcで抽出する。得られた有機相を塩水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮する。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH/NHaq、89:10:1)に付す。4−(1−メチル−ピペリジン−4−イリデンメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニルアミンを、油状物の形態で得る。ES-MS: 271.1 [M+H]+;t=1.82分(系1);R=0.32(CHCl/MeOH/NHaq、89:10:1)。
【0182】
[4−(2,2,2−トリフルオロ−アセチルアミノ)−2−トリフルオロメチル−ベンジル]−ホスホン酸ジエチルエステル
実施例7の化合物の製造に使用する。
亜リン酸トリエチル6mlを、N−(4−ブロモメチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−2,2,2−トリフルオロ−アセトアミド(WO 2005051366によって入手)10gのトルエン60ml懸濁液に加える。得られた混合物を18時間、還流温度で撹拌し、rtに冷却させ、濃縮する。得られた濃縮物をEtOで摩砕する。[4−(2,2,2−トリフルオロ−アセチルアミノ)−2−トリフルオロメチル−ベンジル]−ホスホン酸ジエチルエステルを固体形態で得る: ES-MS: 406.0 [M-H]-;t=4.41分(系1)。
【0183】
4−ジエチルアミノメチル−3−トリフルオロメチル−フェニルアミン
実施例8および10の化合物の製造に使用するこれを、WO2005051366に記載の方法と同様にして得ることができる。
4−ピロリジン−1−イルメチル−3−トリフルオロメチル−フェニルアミン
実施例9および11の化合物の製造に使用するこれを、WO2006034833に記載の方法と同様にして得ることができる。
【0184】
3−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−5−トリフルオロメチル−フェニルアミン
実施例12、26および29の化合物を製造用で、WO2003099771に記載の方法と同様にして得ることができる。
3−ジエチルアミノメチル−5−トリフルオロメチル−フェニルアミン
実施例13および14の化合物を製造するために、これをWO2005051366に記載の方法と同様にして得ることができる。
【0185】
4−(1−エチル−ピペリジン−4−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニルアミン
実施例15の化合物を製造するために、これを4−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメチル−3−トリフルオロメチル−フェニルアミンについて記載の方法と同様に、適切な出発物質を用いて得ることができる。ES-MS: 287.1 [M+H]+;t=1.59分(系1);R=0.37(CHCl/MeOH/NHaq、89:10:1)。
4−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニルアミン
実施例18の化合物を製造するために、これを4−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメチル−3−トリフルオロメチル−フェニルアミンについて記載の方法と同様に、適切な出発物質を用いて得ることができる。ES-MS: 301.2 [M+H]+;t=1.97分(系1)。
【0186】
3−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニルアミン
実施例23、24、27および28の化合物を製造するために、これをWO2004005281に記載の方法と同様にして得ることができる。
3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニルアミン
実施例25の化合物を製造するために、これをWO 2005051366に記載の方法と同様にして得ることができる。
【0187】
N−(2−ジメチルアミノ−エチル)−N−メチル−5−トリフルオロメチル−ベンゼン−1,3−ジアミン
実施例31の化合物を製造するために、これをWO2004005281に3−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニルアミンについて記載の方法と同様に、適切な出発物質を用いて得ることができる。ES-MS: 262.3 [M+H]+;t=1.74分。
4−(1−メチル−ピペリジン−4−イルオキシ)−3−トリフルオロメチル−フェニルアミン
実施例35〜38の化合物を製造するために、これをWO2005051366に記載の方法と同様にして得ることができる。
【0188】
N−メチル−N−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−5−トリフルオロメチル−ベンゼン−1,3−ジアミン
実施例39〜42の化合物を製造するために、これをWO2004005281に3−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニルアミンについて記載の方法と同様に、適切な出発物質を用いて得ることができる。ES-MS: 288.2 [M+H]+;t=1.76分。
3−(1−メチル−ピペリジン−4−イルオキシ)−5−トリフルオロメチル−フェニルアミン
実施例43〜46の化合物を製造するために、WO2004005281に3−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニルアミンについて記載の方法と同様に、1−メチル−ピペリジン−4−オールを用いて得ることができる。ES-MS: 275.2 [M+H]+;t=2.41分。
【0189】
実施例A
カプセル剤
有効成分として実施例1〜46のいずれか1つの化合物100mgを含む、下記組成のカプセル剤を、標準的な方法によって製造する:
【表10】

成分を混合し、それらを硬ゼラチンカプセル(サイズ1)に充填して、製造する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

〔式中、
(i)R1およびR2は互いに独立して、水素、ハロおよびC−C−アルキルから成る群から選択され;
R3はZが窒素であるとき存在しないか、またはZがC(炭素)であるとき、水素、置換もしくは非置換アリールまたは置換もしくは非置換ヘテロシクリルであり;
XはN(窒素)またはCH(水素置換炭素)であり、
YはCHまたはNであり、
ZはCまたはNであり、そして
Qは式
【化2】

{式中、
(a)R4は水素、ハロ、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換アリール、窒素以外の環原子を介して結合した置換もしくは非置換ヘテロシクリル、置換もしくは非置換シクロアルキル、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルケニル、または置換もしくは非置換アルキニルであり;
R5は1−メチル−ピペリジン−4−イルオキシ)、1−メチル−ピペリジン−4−イル、2−ジメチルアミノ−エチルまたは4−エチル−ピペラジン−1−イルであり;そして
R6は水素、置換もしくは非置換シクロアルキル、または(好ましくは)置換もしくは非置換アルキルであるか;または
(b)R4は1−メチル−ピペリジン−4−イルメチル)、1−エチル−ピペリジン−4−イルメチル、1−メチル−ピペリジン−4−イルオキシまたは1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルメチルであり;
R5は水素、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アミノ、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換ヘテロシクリルであり;そして
R6は水素、置換もしくは非置換シクロアルキル、または(好ましくは)置換もしくは非置換アルキルであり;
ここで式(A)のアスタリスク*は、当該基が式Iのアミド基のNHと結合しているその結合を意味する}
の基であり;そして
R9およびR10は互いに独立して、水素、ヒドロキシルおよびC−C−アルキルから成る群から選択されるか;または
R9とR10は一体となってオキソを意味するか;または
R1とR9は一体となって基−C(O)−CH2−または−CH2−CH2−を形成し、R2は水素、ハロおよびC−C−アルキルから成る群から選択され、そしてR10は水素を意味するか;または
(ii)下記:
2−(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−N−[4−(4−イソプロピル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−N−(4−ジエチルアミノメチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−アセトアミド)、
2−(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−N−(4−ピロリジン−1−イルメチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−アセトアミド、
2−(2−クロロ−4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−(4−ジエチルアミノメチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−アセトアミド、
2−(2−クロロ−4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−(4−ピロリジン−1−イルメチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−アセトアミド、
N−[3−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−アセトアミド、
N−(3−ジエチルアミノメチル−5−トリフルオロメチル−フェニル)−2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−アセトアミド、
2−(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−N−(3−ジエチルアミノメチル−5−トリフルオロメチル−フェニル)−アセトアミド、
2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−[3−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−2−メチル−フェニル)−N−[3−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−2−メチル−フェニル)−N−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
N−[3−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−2−メチル−フェニル)−アセトアミド、
2−(2−クロロ−4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−[3−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−N−[3−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−N−[3−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、および
2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−2−メチル−フェニル)−N−[4−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド
からなる群から選択される〕
の化合物。
【請求項2】
N−[3−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−フェニル]−2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−アセトアミド、
2−(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−N−[4−(4−イソプロピル−ピペラジン−1−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−[4−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−N−(4−ジエチルアミノメチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−アセトアミド)、
2−(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−N−(4−ピロリジン−1−イルメチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−アセトアミド、
2−(2−クロロ−4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−(4−ジエチルアミノメチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−アセトアミド、
2−(2−クロロ−4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−(4−ピロリジン−1−イルメチル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−アセトアミド、
N−[3−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−アセトアミド、
N−(3−ジエチルアミノメチル−5−トリフルオロメチル−フェニル)−2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−アセトアミド、
2−(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−N−(3−ジエチルアミノメチル−5−トリフルオロメチル−フェニル)−アセトアミド、
N−[4−(1−エチル−ピペリジン−4−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−アセトアミド、
2−(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−N−[4−(1−エチル−ピペリジン−4−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(2−クロロ−4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−[4−(1−エチル−ピペリジン−4−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(2−クロロ−4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−[4−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−[4−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−N−[4−(1−イソプロピル−ピペリジン−4−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(2−クロロ−4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−[4−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−N−[4−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−[3−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−2−メチル−フェニル)−N−[3−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−2−メチル−フェニル)−N−[3−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
N−[3−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−2−メチル−フェニル)−アセトアミド、
2−(2−クロロ−4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−[3−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−N−[3−(4−メチル−イミダゾール−1−イル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−N−[3−(4−エチル−ピペラジン−1−イルメチル)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−2−メチル−フェニル)−N−[4−(1−メチル−ピペリジン−4−イルメチル)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(2−クロロ−4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−{3−[(2−ジメチルアミノ−エチル)−メチル−アミノ]−5−トリフルオロメチル−フェニル}−アセトアミド、
N−{3−[(2−ジメチルアミノ−エチル)−メチル−アミノ]−5−トリフルオロメチル−フェニル}−2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−2−メチル−フェニル)−アセトアミド、
N−{3−[(2−ジメチルアミノ−エチル)−メチル−アミノ]−5−トリフルオロメチル−フェニル}−2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−アセトアミド、
2−(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−N−{3−[(2−ジメチルアミノ−エチル)−メチル−アミノ]−5−トリフルオロメチル−フェニル}−アセトアミド、
2−(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−N−[4−(1−メチル−ピペリジン−4−イルオキシ)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−[4−(1−メチル−ピペリジン−4−イルオキシ)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−2−メチル−フェニル)−N−[4−(1−メチル−ピペリジン−4−イルオキシ)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(2−クロロ−4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−[4−(1−メチル−ピペリジン−4−イルオキシ)−3−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(2−クロロ−4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−{3−[メチル−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−アミノ]−5−トリフルオロメチル−フェニル}−アセトアミド、
2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−2−メチル−フェニル)−N−{3−[メチル−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−アミノ]−5−トリフルオロメチル−フェニル}−アセトアミド、
2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−{3−[メチル−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−アミノ]−5−トリフルオロメチル−フェニル}−アセトアミド、
2−(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−N−{3−[メチル−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−アミノ]−5−トリフルオロメチル−フェニル}−アセトアミド、
2−(2−クロロ−4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イルオキシ)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−2−メチル−フェニル)−N−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イルオキシ)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド、
2−(4−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル−フェニル)−N−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イルオキシ)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミドおよび
2−(4−ベンゾイミダゾール−1−イル−フェニル)−N−[3−(1−メチル−ピペリジン−4−イルオキシ)−5−トリフルオロメチル−フェニル]−アセトアミド
から選択される、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項3】
塩形の、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
医薬として使用するための、請求項1〜3の何れかに記載の化合物。
【請求項5】
請求項1〜3の何れかに記載の化合物と、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項6】
プロテインキナーゼ活性によって介在される障害の処置に使用するための、請求項1〜3の何れかに記載の化合物。
【請求項7】
プロテインキナーゼ活性によって介在される障害を処置する方法であって、かかる処置を必要とする対象に治療上有効量の本発明の化合物を投与することを含む方法。
【請求項8】
プロテインキナーゼ活性によって介在される障害の処置用医薬の製造のための、請求項1〜3の何れかに記載の化合物の使用。
【請求項9】
請求項1〜3の何れかに記載の化合物と、少なくとも1種の第2の薬剤物質の組合せ剤。
【請求項10】
請求項4、6、7または8の何れかに記載の使用のための、請求項9の組合せ剤。

【公表番号】特表2010−506879(P2010−506879A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−532781(P2009−532781)
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【国際出願番号】PCT/EP2007/060937
【国際公開番号】WO2008/046802
【国際公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】