説明

プローブカードの取り付け位置ずれの検出方法及びプローバ装置

【課題】
横長かつパッド寸法が小さいチップの測定においても、プローブ針の接触不良が発生しないよう、プローブカードのウエハに対する位置のずれを、直接的に把握できるプローブカードの取り付け位置ずれの検出方法及びプローバ装置を提供する。
【解決手段】
プローバ装置のウエハステージ上に固定されたウエハの電気的特性を測定するためのプローブカードの取り付け位置ずれの検出方法及び装置であって、プローブカード上の少なくとも2箇所に設けられた位置ずれ検出用マークに対し、プローブカード上方からウエハ上面に対して略垂直に光を照射し、位置ずれ検出用マークの像をウエハに設けられた基準マークに重なるように投影し、その投影された位置ずれ検出用マークの投影像とウエハ上に設けられた基準マークとを、画像取り込み手段により取り込み、解析することで、プローブカードの取り付け位置のずれ量を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プローバ装置にプローブカードを取り付けた際の、プローブカードの取り付け位置ずれの検出方法及びその検出手段を備えたプローバ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の製造において、半導体基板であるウエハ表面には、所定の回路機能を有する複数の半導体チップが形成される。その後、このウエハの製造プロセスにおける最終段階において、ウエハの状態で、プローバ装置に取り付けられたプローブカードのプローブ針をウエハ上の半導体チップに設けられた電極パッドに接触させて、個々のチップの電気的特性の評価が実施される。
【0003】
ここで、半導体チップに設けられた電極パッドとプローブ針とがずれた状態で電気的特性の評価が行われると、接触不良が原因でそのチップが不良と判断される場合があり、歩留りの低下を招く結果となる。そこで、ウエハの状態で電気的特性の評価を行う際には、ウエハ上に設けた合わせマークを利用して、ウエハ上の各チップの位置と、プローバ装置との位置を合わせるアライメント操作が行われている。
【0004】
一方、特許文献1(特開平7−37946号公報)には、プローブ装置に取り付けたウエハ上のスクライブ線の交点に設けたチップ基準マークと、プローブカードに設けた針位置合わせ用マークのそれぞれを、画像入力手段によって認識し、その結果に基づいて、ウエハとプローブカードとの間の位置あわせを行う方法が記載されている。
【特許文献1】特開平7−37946号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ウエハ上に設けた合わせマークにプローバ装置の位置を合わせるだけでは、プローバ装置にプローブカードを取り付ける際に発生したずれについては補正することはできない。そのため、プローバ装置へのプローブカードの取り付け誤差が大きい場合には、電極パッドとプローブ針とがずれ、プローブ針の接触不良が発生する場合があった。特に、液晶、有機EL等の表示素子駆動用半導体のような横長且つパッド寸法が小さいチップに関してはこのような傾向が顕著であった。
【0006】
また、上記特許文献1に記載の方法は、ウエハ上のチップ基準マークとプローブカードの針位置合わせ用マークを、それぞれ別の画像入力手段によって認識し、それに基づき位置合わせを行っているため、直接的にはウエハ上のチップ基準マークとプローブカードの針位置合わせ用マークとを重ねた状態では見ていない。そのため、それぞれのマーク位置の測定誤差、および、それぞれのマーク位置の測定位置からプロービング位置へのウエハステージ移動誤差によって、チップとプローブカードとの位置関係が正確に把握できず、位置合わせに誤差を生じる可能性がある。
そこで、本発明は、横長かつパッド寸法が小さいチップを測定するような場合であってもプローブ針の接触不良が発生しないよう、プローバ装置に取り付けたプローブカードのウエハに対する取り付け位置のずれを、直接的に把握できるプローブカードの取り付け位置ずれの検出方法及びプローバ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るプローブカードの取り付け位置ずれの検出方法は、プローバ装置のウエハステージ上に固定されたウエハの電気的特性を測定するためのプローブカードの取り付け位置ずれの検出方法であって、プローブカード上の少なくとも2箇所に設けられた位置ずれ検出用マークに対し、前記プローブカード上方から、前記ウエハ上面に対して略垂直に光を照射して、前記位置ずれ検出用マークの像を、前記ウエハ上面に設けられた基準マークに重なるように投影し、該基準マークに重なるように投影された前記位置ずれ検出用マークの投影像と、前記ウエハ上に設けられた基準マークとを画像取り込み手段により取り込んで、該画像取り込み手段により取り込まれた画像を解析することでプローブカードの取り付け位置のずれ量を算出することを特徴とするものである。
【0008】
ここで、前記ウエハ上に設けられた基準マークが、前記プローブカード上の少なくとも2箇所に設けられた位置ずれ検出用マークのそれぞれの位置に対応する少なくとも2箇所に設けられ、前記位置ずれ検出用マークの投影像を、それぞれの位置ずれ検出用マークの位置に対応する基準マークに重なるように投影することが好ましい。
【0009】
また、前記プローブカード上に設けられた位置ずれ検出用マークは、ウエハ上のスクライブライン内に設けられた基準マークに対応する位置に設けることが好ましい。
【0010】
さらに、前記位置ずれ検出用マークの内の少なくとも1箇所に設けられた位置ずれ検出用マークの投影像を基準マークに重なるように投影することで、x軸及びy軸両方向のずれの検出を行い、残りの位置ずれ検出用マークの投影像を基準マークに重なるように投影することで、x軸及びy軸いずれかの方向のずれの検出を行うことが好ましい。
【0011】
また、本発明に係るプローバ装置は、ウエハを固定するウエハステージと、プローブカードを固定するカードフォルダとを有するプローブ装置であって、前記カードフォルダに固定されたプローブカード上の少なくとも2箇所に設けられた位置ずれ検出用マークに対し、前記プローブカード上方から、前記ウエハステージ上に固定されたウエハ上面に対して略垂直に光を照射可能に配された光照射手段と、該光照射手段により照射された光により、前記プローバ装置のウエハステージ上に固定されたウエハ上面に設けられた基準マークに重なるように投影された前記位置ずれ検出用マークの投影像と、前記ウエハ上面に設けられた基準マークとを画像として取り込む画像取り込み手段と、該画像取り込み手段により取り込まれた画像を解析することでプローブカードの取り付け位置のずれ量を算出するずれ量算出手段とを有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、プローバ装置に取り付けたプローブカードのウエハに対する取り付け位置のずれを、直接的に把握できるプローブカードの取り付け位置ずれの検出方法及びプローバ装置を提供することが可能となる。さらに、この検出されたずれを補正することで、例えば横長かつパッド寸法が小さいチップを測定する場合であっても、電極パッドとプローブ針との位置ずれに起因する測定不良の発生を防止でき、安定した電気的特性の測定が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態の一例を説明する。
【0014】
図1は、本発明に係るプローバ装置1の一実施形態を示す概略構成図であり、プローブカード11の取り付け位置周辺を示した図である。また、図2は、図1における点線Aで囲んだ部分の拡大図である。
【0015】
図示するように、カードフォルダ12に装着されたプローブカード11は、プローバ装置1のテストヘッド13に、パフォーマンスボード14及びコンタクトリング15を介して固定される。
そして、前記テストヘッド13に固定されたプローブカード11のプローブ針を前記プローバ装置1のウエハステージ16上に固定されたウエハ2の表面に形成された複数の半導体装置チップの各々に設けられた電極パッドに接触させることにより、前記半導体装置チップ各々の電気的特性の測定が行われる。
【0016】
ここで、前記テストヘッド13に固定されたプローブカード11上には、少なくとも2箇所に位置ずれ検出用マーク111が設けられている。なお、図2には、前記位置ずれ検出用マーク111を2箇所に設けた場合を例示し、以下の説明においては位置ずれ検出用マーク111を2箇所に設けた場合について記載する。但し、位置ずれ検出用マーク111を3箇所以上に設けた場合も、位置ずれ量の算出回数が位置ずれ検出用マーク111の設置箇所の数に応じて増えるだけで同様に考えることができる。
【0017】
前記プローブカード11上に設ける位置ずれ検出用マーク111の位置としては、プローブカード11上の少なくとも2箇所であれば、どの位置に設けても本発明の目的を達成することはできる。但し、プローブカード11の取り付け位置のずれ量の検出精度を高くするためには、前記位置ずれ検出用マーク111の設置位置はできるだけ離して設置することが好ましい。例えば、液晶、有機EL等の表示素子駆動用半導体のような横長のチップを測定するプローブカードの場合には、図2に示すように、プローブカード開口部の対角線上近傍または長辺の両端部近傍に設けることが好ましい。このプローブカード開口部の対角線上近傍または長辺の両端部近傍は、距離を離して設置できると共に、前記液晶、有機EL等の表示素子駆動用半導体のような横長且つ多パッドのチップの場合であっても、プローブ針が設置されていない隙間を形成しているため設置が容易である。また、このプローブカード開口部の対角線上の端部近傍または長辺の両端部近傍は、ウエハ上に形成されたチップの角のすぐ外側、つまりスクライブラインの交点に対応する位置であり、後述するウエハ2上面に設けられた基準マーク201の配置が容易となるという効果も有する。
【0018】
ここで、前記位置ずれ検出用マーク111の形状としては、後述するウエハ2上面に設けた基準マーク201上に、その像を投影することでずれ量が把握できる形状のものであればどのような形状のものでも用いることができる。但し、少なくとも1箇所に設ける位置ずれ検出用マーク111は、x軸及びy軸両方向のずれの検出が可能な形状とする。例えば、図2の向かって右上側に配置した位置ずれ検出用マーク111aのように十字のスリット状開口を有する形状とすることができる。また、2箇所以上に設けた位置ずれ検出用マーク111の内1箇所をx軸及びy軸両方向のずれの検出が可能な形状とした場合は、残りの位置ずれ検出用マーク111はx軸及びy軸いずれかの方向のずれの検出が可能な形状であればよい。
【0019】
x軸及びy軸いずれかの方向のずれの検出が可能な形状としては、例えば、図2の向かって左下側に配置した位置ずれ検出用マーク111bのように一本のスリット状開口をx軸方向またはy軸方向のいずれかに有する形状(図2はx軸方向のずれの検出が可能な一本のスリット状開口を設けた場合を示している。)とすることができる。なお、全ての位置ずれ検出用マーク111をx軸及びy軸両方向のずれの検出が可能な形状としてもよい。
【0020】
前記位置ずれ検出用マーク111の形状として、x軸及びy軸両方向のずれの検出が可能な形状のものを用いない場合には、計3箇所の位置ずれ検出用マークが少なくとも必要になる。例えば、x軸方向及びy軸方向それぞれの方向のずれの検出が可能な位置ずれ検出用マークをそれぞれ1箇所ずつ、さらに、x軸方向またはy軸方向いずれかの方向のずれの検出が可能な位置ずれ検出用マークを1箇所の位置ずれ検出用マークが少なくとも必要になる。
【0021】
さらに、本発明は、光照射手段17と、画像取り込み手段18と、ずれ量算出手段19とを有する。ここで、前記光照射手段17は、前記位置ずれ検出用マーク111に対し、プローブカード11の上方から、ウエハステージ16上に固定されたウエハ2の表面(上面)に対して略垂直に光を照射可能に配される。この光照射手段17によって、プローブカード11に設けられた位置ずれ検出用マーク111の像がウエハ2上面に投影される。通常は、プローブカード11はウエハ2上面に対して平行に取り付けられるため、カードの略垂直上方から光を照射することになる。
【0022】
ここで、ウエハ2上面に対して略垂直に光を照射することにより、ウエハ2とプローブカード11との間の距離が変化した場合であっても、ウエハ2表面において、一定の位置に位置ずれ検出用マーク111の像を投影することができる。これによって、位置ずれ検出精度を高めることが可能である。ただし、ここにおける略垂直とは、必要とされる位置ずれ検出精度が得られる範囲であれば良く、完全に垂直であることまでは要求されない。
【0023】
また、前記画像取り込み手段18は、前記光照射手段17により照射された光により、前記プローバ装置1のウエハステージ16上に固定されたウエハ2上面に設けられた基準マーク上に重なるように投影された前記位置ずれ検出用マーク111の投影像と、前記ウエハ2上面に設けられた基準マークとを画像として取り込む。また、前記ずれ量算出手段19は、前記画像取り込み手段18により取り込まれた画像を解析することでプローブカード11の取り付け位置のずれ量を算出する。
【0024】
前記光照射手段17としては、例えば、光源からの光を集光レンズにより集光して照射可能に構成した装置等を用いることができる。ここで、前記光源としては、特に限定されないが、位置ずれ検出用マーク111の像をくっきりとウエハ2上に投影できるように、輝度の大きな、例えばハロゲンランプ、発光ダイオード、レーザー等を用いることが好ましい。また、前記集光レンズは用いずに、光源からの光をそのまま照射するようにしてもよい。
【0025】
なお、前記光照射手段17は、位置ずれ検出用マーク111毎にその直上に設けるようにしてもよく、例えば移動可能な支持部材に前記光照射手段17を固定し、それぞれの位置ずれ検出用マーク111の上方に移動させ、光を照射するようにしてもよい。前記光照射手段17を固定する場合は、例えば、プローブカード11を固定するコンタクトリング15(図2参照)に開いている穴に治具を取り付けて、これに前記光照射手段17を固定するようにしてもよい。
【0026】
前記画像取り込み手段18としては、ウエハ2上面に設けられた基準マークと、この基準マーク上に投影された位置ずれ検出用マーク111の投影像とを画像として取り込み可能なカメラ、例えばCCDカメラ等を用いることができる。ここで、この画像取り込み手段18は、ウエハ2上面に設けられた基準マークと、ウエハ上に投影された位置ずれ検出用マーク111の投影像とを同時に視認可能な位置に設ける必要がある。
【0027】
ここで、画像取り込み手段18は、同一の平面に存在する像、すなわち、ウエハ2上面に設けられた基準マークの像と、そのウエハ2上面に投影された位置ずれ検出用マーク111の投影像との相対的な位置関係が解析可能な画像を取り込むものであればいい。従って、前記基準マークと位置ずれ検出用マーク111との重なりのずれを認識できる位置であれば、ウエハ2に対して垂直方向に設ける必要はない。斜め上方の、例えば前記コンタクトリング15内若しくはテストヘッド13内のスペースの確保できる位置に設けることができる。
【0028】
また、前記ずれ量算出手段19としては、例えばコンピュータ等を用いることができる。前記画像取り込み手段18により取り込まれた前記基準マークの画像と、この基準マーク上に投影された位置ずれ検出用マーク111の投影像の画像とを画像処理して解析することで、ウエハ2に対するプローブカード11の取り付け位置のずれ量である、x軸方向のずれ量X、y軸方向のずれ量Y及び回転方向のずれ量θを算出する。これにより、ウエハ2上面に設けられた基準マーク201の位置と、ウエハ2上面に投影された位置ずれ検出用マーク111の像との相対的な位置関係に基づいて、ウエハ2に対するプローブカード11の位置ずれ量を直接的に検出することができる。
【0029】
図3に、前記ウエハ2上面に設けられた基準マーク201の一例と、この基準マーク201上に前記位置ずれ検出用マーク111の投影像112が投影された場合の一例を示す。以下、図3を用いてプローブカード11の取り付け位置のずれ量を算出する方法を説明する。
【0030】
ここで、前記基準マーク201は、最も少ない場合には、ウエハ2上面の一箇所に設ければ本発明の効果を奏することができる。この場合は、一番目の位置ずれ検出用マーク111の投影像を前記基準マーク201上に投影し、画像取り込み手段18によりその画像を取り込んだ後、二番目の位置ずれ検出用マーク111の投影像を投影する際に、前記二番目の位置ずれ検出用マーク111の設計上の相対位置分だけウエハステージ16を移動させた後、二番目の位置ずれ検出用マーク111の投影像を前記基準マーク201上に投影し、画像取り込み手段18によりその画像を取り込み、解析を行う。
【0031】
しかし、この場合は、ウエハステージ16の移動に伴う誤差が、ウエハ2に対するプローブカード11の取り付け位置ずれの検出に影響を与えるため検出精度を低下させる場合がある。そのため、前記基準マーク201は、プローブカード11上の少なくとも2箇所に設けられた位置ずれ検出用マーク111のそれぞれの位置に対応する少なくとも2箇所に設けることが好ましい。
【0032】
この場合、上述したように、位置ずれ検出用マーク111をプローブカード開口部の対角線上の端部近傍または長辺の両端部近傍に設けた場合には、前記基準マーク201は、スクライブラインの交点に配置することが可能となる。実際には、基準マーク201は、チップを製造するためのマスクの必要な層にパターンを設けておくことにより、それぞれのチップの角のすぐ外側のスクライブラインの交点に配置することができる。
【0033】
ここで、前記基準マーク201の形状としては、この基準マーク201上に、前述の位置ずれ検出用マーク111の像を投影することでx軸方向及び/またはy軸方向のずれ量が把握できる形状のものであればどのような形状のものでも用いることができる。但し、x軸及びy軸両方向のずれの検出が可能な位置ずれ検出用マーク111に対応する位置に設けられている基準マーク201は、同じくx軸及びy軸両方向のずれ量の検出が可能な形状とする。例えば、図3の向かって右上側のスクライブラインの交点に配置した基準マーク201aのようにx軸及びy軸両方向に目盛の付いた定規のような形状とする。また、x軸及びy軸いずれかの方向のずれの検出が可能な位置ずれ検出用マーク111に対応する位置に設けられている基準マーク201は、同じくx軸及びy軸いずれかの方向のずれの検出が可能な形状とする。例えば、図3の向かって左下側のスクライブラインの交点に配置した基準マーク201bのように、前記位置ずれ検出用マーク111と同様なx軸方向またはy軸方向のいずれかに目盛の付いた定規のような形状とすることができる。
実際に位置ずれの検出を行う際には、基準マーク201が設けられたウエハ2をプローバ装置1のステージ16に載せ、まず、従来と同様にして、ウエハ2上の各チップの位置とプローバ装置1との位置あわせを行う。次に、設計データに基づいて、ウエハ上面に設けられた基準マーク201の上方にプローブカード11に設けられた位置ずれ検出用マーク111が位置するように、ウエハステージ16を移動する。そして、この基準マーク201に重なるように投影された前記位置ずれ検出用マーク111の投影像と、前記基準マーク201とを画像取り込み手段18により取り込んで、この取り込まれた画像をずれ量算出手段19により解析することで、ウエハ2に対するプローブカード11の取り付け位置のずれ量が算出される。
【0034】
このずれ量を算出する際には、まずx軸及びy軸両方向のずれ量の検出が可能な基準マーク201上に投影された検出用マーク111の投影像から、x軸方向及びy軸方向のずれ量を算出する。次に、x軸及びy軸いずれかの方向のずれの検出が可能な基準マーク201上に投影された位置ずれ検出用マーク111の投影像から、x軸方向またはy軸方向のいずれかのずれ量を算出する。そして、それぞれのずれ量を比較し解析することで、プローブカード11のx軸方向のずれ量X、y軸方向のずれ量Y及び回転方向のずれ量θを算出する。
以下、図4(ア)及び(イ)に示した場合について、プローブカード11のx軸方向のずれ量X、y軸方向のずれ量Y及び回転方向のずれ量θの算出例を示す。
(1)まず、x軸及びy軸両方向のずれ量の検出が可能な基準マーク201a上に投影された検出用マーク111aの投影像112aから、x軸方向のずれ量x及びy軸方向のずれ量yを算出する。
(2)次に、x軸方向のずれ量の検出が可能な基準マーク201b上に投影された検出用マーク111bの投影像112bから、x軸方向のずれ量xを算出する。
(3の1)x=xの場合(図4(ア)の場合)、回転方向のずれは無いと判断できる。この場合、x軸方向のずれ量X=x、y軸方向のずれ量Y=y、回転方向のずれ量θ=0となる。
(3の2)xとxとが等しくない場合(図4(イ)の場合)、回転方向のずれ有りと判断できる。この場合、x軸方向のずれ量X=x、y軸方向のずれ量Y=yであり、また、回転方向のずれ量θは、次の式(A)の値となる。
θ=|tan−1((a+b−a’1/2/a’)−tan−1(b/a)|
・・・式(A)
なお、式(A)の導き方は、以下のとおりである。即ち、a及びbを、図4に示す基準マーク201aの交点と基準マーク201bの中点との間の、ウエハ上でのx軸方向及びy軸方向の距離とする。また、a’及びb’を、図4に示す検出用マーク111aの投影像112aの交点と検出用マーク111bの投影像112bの中点との間の、ウエハ上でのx軸方向及びy軸方向の距離とする。ここで、a+b=a’+b’の関係が成立することから、b’=(a+b−a’1/2が導かれる。従って、回転方向のずれ量θは、|tan−1(b’/a’)−tan−1(b/a)|で表現されることを更に考慮すると、式(A)が導かれることとなる。なお、a’=a−|x−x|である。
以上のようにして算出した、ウエハ2に対するプローブカード11のx軸方向のずれ量X、y軸方向のずれ量Y及び回転方向のずれ量θに基づき、算出されたずれ量を補償するように、例えばウエハステージ16の調整を行う。これにより、例えば横長かつパッド寸法が小さいチップをウエハの状態で測定する場合であっても、電極パッドとプローブ針との位置ずれに起因する測定不良の発生を極力防止でき、安定した電気的特性の測定が可能となる。
【0035】
なお、位置ずれ量の検出は、プローブカード11の取り付け後に最初にウエハ2を測定する前に1回だけ行い、それに続いて他のウエハを測定する時には、最初のウエハ2測定の際に算出した位置ずれ量に基づいて、ウエハステージ16の位置調整を行うことも可能である。しかしこれでは、ウエハ毎のプローバに対する位置あわせの誤差によって、電極パッドとプローブ針との位置ずれが発生する可能性がある。従って、例えば横長でパッド寸法の小さい、位置ずれによる測定不良を起こしやすいチップが形成されたウエハの測定を行う場合には、ウエハ毎に、位置ずれ量の算出及びステージの調整を行うことが好ましい。
【0036】
また、位置ずれ量の算出は、ウエハ2上の1箇所で行ってもよい。もしくは、ウエハ2上の複数箇所で行うことにより、算出精度高めることも可能である。さらに、特に位置ずれによる測定不良を起こしやすいチップが形成されたウエハの測定を行う場合には、各チップ毎に行ってもよい。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係るプローバ装置の一実施形態を示す概略構成図であり、プローブカードの取り付け位置周辺を示した図である。
【図2】図1における点線Aで囲んだ部分の拡大図である。
【図3】本発明に係るウエハ上面に設けられた基準マークの一例と、この基準マーク上に位置ずれ検出用マークの投影像が投影された場合の一例を示す図である。
【図4】プローブカードのx軸方向のずれ量X、y軸方向のずれ量Y及び回転方向のずれ量θの算出例を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0038】
1 プローバ装置
11 プローブカード
111 位置ずれ検出用マーク
112 位置ずれ検出用マークの投影像
12 カードフォルダ
13 テストヘッド
14 パフォーマンスボード
15 コンタクトリング
16 ウエハステージ
17 光照射手段
18 画像取り込み手段
19 ずれ量算出手段
2 ウエハ
201 基準マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローバ装置のウエハステージ上に固定されたウエハの電気的特性を測定するためのプローブカードの取り付け位置ずれの検出方法であって、
プローブカード上の少なくとも2箇所に設けられた位置ずれ検出用マークに対し、前記プローブカード上方から、前記ウエハ上面に対して略垂直に光を照射して、前記位置ずれ検出用マークの像を、前記ウエハ上面に設けられた基準マークに重なるように投影し、
該基準マークに重なるように投影された前記位置ずれ検出用マークの投影像と、前記ウエハ上に設けられた基準マークとを画像取り込み手段により取り込んで、該画像取り込み手段により取り込まれた画像を解析することでプローブカードの取り付け位置のずれ量を算出する
ことを特徴とするプローブカードの取り付け位置ずれの検出方法。
【請求項2】
前記ウエハ上に設けられた基準マークが、前記プローブカード上の少なくとも2箇所に設けられた位置ずれ検出用マークのそれぞれの位置に対応する少なくとも2箇所に設けられ、
前記位置ずれ検出用マークの投影像を、それぞれの位置ずれ検出用マークの位置に対応する基準マークに重なるように投影することを特徴とする請求項1に記載のプローブカードの取り付け位置ずれの検出方法。
【請求項3】
前記プローブカード上に設けられた位置ずれ検出用マークが、ウエハ上のスクライブライン内に設けられた基準マークに対応する位置に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のプローブカードの取り付け位置ずれの検出方法。
【請求項4】
前記位置ずれ検出用マークの内の少なくとも1箇所に設けられた位置ずれ検出用マークの投影像を基準マークに重なるように投影することで、x軸及びy軸両方向のずれの検出を行い、
残りの位置ずれ検出用マークの投影像を基準マークに重なるように投影することで、x軸及びy軸いずれかの方向のずれの検出を行うことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のプローブカードの取り付け位置ずれの検出方法。
【請求項5】
ウエハを固定するウエハステージと、プローブカードを固定するカードフォルダとを有するプローブ装置であって、
前記カードフォルダに固定されたプローブカード上の少なくとも2箇所に設けられた位置ずれ検出用マークに対し、前記プローブカードの上方から、前記ウエハステージ上に固定されたウエハ上面に対して略垂直に光を照射可能に配された光照射手段と、
該光照射手段により照射された光により、前記ウエハステージ上に固定されたウエハ上面に設けられた基準マークに重なるように投影された前記位置ずれ検出用マークの投影像と、前記ウエハ上面に設けられた基準マークとを画像として取り込む画像取り込み手段と、
該画像取り込み手段により取り込まれた画像を解析することでプローブカードの取り付け位置のずれ量を算出するずれ量算出手段と
を有することを特徴とするプローバ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−184417(P2007−184417A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−1615(P2006−1615)
【出願日】平成18年1月6日(2006.1.6)
【出願人】(501285133)川崎マイクロエレクトロニクス株式会社 (449)
【Fターム(参考)】