説明

ヘアケアのためのステビア抽出物またはステビオール

本発明は、毛髪の外観を向上させるステビア抽出物、ステビオール前駆体、またはステビオールを含んでなる、経口組成物の使用に関する。これはまた有効量のステビア抽出物、ステビオール前駆体またはステビオールを経口投与することで、毛髪の外観を改善する方法にさらに関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、毛髪の外観を向上させて抜け毛を妨げるステビア抽出物、ステビオール前駆体(ステビオールグリコシド)、または遊離ステビオールを含んでなる経口組成物の使用に関する。これはまた有効量のステビア抽出物、ステビオール前駆体またはステビオールの経口投与によって、毛髪の外観を改善する方法にさらに関する。
【0002】
[背景技術]
ステビア・リバウンディアナ(Stevia rebaudiana)は、ステビオシドおよびレバウジオシドAを含む甘味のある化合物を含有することが知られている植物である。これらの化合物は、目下清涼飲料を含むいくつかの食材中で糖代替品として使用されている。それらの安全性、毒物学、および代謝に関する詳細な報告は、付録全体が食品および飲料中で使用されるレバウジオシドAに費やされている、Food and Chemical Toxicology 2008 vol 46(7),Supplement 1にある。ステビオシドおよびレバウジオシドAは、甘くない化合物であるアグリコンステビオールに代謝される。
【0003】
特開平10−265347号公報(資生堂)は、毛周期の成長期を延長し、いくつかのその他の植物に加えて、コンフリー(Symphytum officionale L.)、ウコン(Curcuma domestica)、インドナツメ(Zizyphus jujuba)、ケイリン野生ショウガ(Asarum sieboldii)、ハトムギ(Coixlacryma)、ステビア、アセンヤク(Uncaria Gambir roxburgh)、ゲンチアナ(Gentiana lutea)、ホップ(Humulus lupus)、ヒキオコシ、およびアズキ(Azukia angularis)を含むいくつかの植物抽出物から製造し得る、薬剤について記載する。
【0004】
欧州特許第1666036号明細書は、メチルリパリオクロメンA、アセトバニロクロメン、またはオルトクロメンなどのクロメン化合物を含有する、育毛刺激薬を開示する。クロメン化合物は、その他の植物属および種に加えて、いくつかのステビア種から抽出されてもよい。クロメンは、ステビオシドまたはステビオールと構造的に関係がない。
【0005】
当該技術分野で、毛髪の自然な健康と美しさを向上させ得て、育毛を復元し、加齢による抜け毛/薄毛を予防し得て、経口的に摂取し得る、ヘアケア組成物に対する必要性がある。
【0006】
[発明の簡単な説明]
本発明に従って、ステビオール、ステビオール前駆体(ステビオールグリコシド)、または好ましくはステビオシドおよび/またはレバウジオシドA(どちらも哺乳類の腸管によってステビオールに生理学的に代謝される)含有ステビア抽出物を含んでなる経口組成物の慢性摂取は、毛髪/毛の全体的外観を改善する驚くべき利点を有することが分かった。
【0007】
したがって本発明の一実施態様は、動物の毛髪/毛/羽毛/鱗の全体的外観を向上させるのに十分な期間にわたり、効果的な量で、ステビオール、ステビオールグリコシドなどのステビオール前駆体、またはステビオシドおよび/またはレバウジオシドA含有ステビア抽出物を含んでなる経口栄養補助食品または食物組成物を投与するステップと、結果を観察または鑑賞するステップを含んでなる、動物の毛髪/毛/羽毛/鱗の全体的外観を向上させる方法である。
【0008】
本発明の別の実施態様は、動物の毛髪/毛/羽毛/鱗、および特に哺乳類の毛髪/毛の全体的外観を向上させる経口栄養補助食品または食物組成物の製造における、ステビオール、ステビオールグリコシドなどのステビオール前駆体、またはステビオシドおよび/またはレバウジオシドA含有ステビア抽出物の使用である。
【0009】
ステビオールの慢性経口補給は、天然では加齢に伴って白髪を生じる老齢マウスにおいて自然の濃い毛色を復元することが分かった。したがって本発明の別の態様は、有効量のステビオール経口製剤を投与するステップと、毛髪/毛の色の回復および毛髪/毛の白髪の発症の遅延を観察するステップとを含んでなる、毛髪/毛の色を回復し、および/または毛髪/毛の白髪の発生を遅延させる方法である。本発明のなおも別の態様は、白髪の発症を遅延させ、および/または毛髪/毛の色を回復させる、栄養補助食品または食物組成物を製造するためのステビオールの使用である。
【0010】
本発明に従って、ステビオール、またはステビオシドおよび/またはレバウジオシドA含有ステビア抽出物を摂取した哺乳類は、プラセボを与えた動物よりも抜け毛が少ないこともまた判明した。したがって本発明の別の態様は、ステビオール、ステビオール前駆体、またはステビオシドおよび/またはレバウジオシドA含有ステビア抽出物の経口製剤を投与するステップを含んでなる、
抜け毛を減少させ、
禿頭の発症後に育毛を回復させ、
毛髪の太さを増大し、
加齢に伴う薄毛を予防し、
早発性の抜け毛を予防しまたは悪化を防ぎ、
加齢に伴う抜け毛の開始または重篤性を遅延させ、
および/または薄毛の開始または重篤性を遅延させる方法を含んでなる。本発明のさらに別の態様では、ステビオール、ステビオール前駆体、またはステビオシドおよび/またはレバウジオシドA含有ステビア抽出物が、抜け毛/薄毛を含む上記利点のための美容経口組成物中で使用される。
【0011】
動物の飼い主や調教師を含む多数の人々が、効果が穏やかで重大な副作用のない「自然」とみなされる美容処置に対して特別な関心を抱いているので、本発明に従った組成物は特に魅力的である。経口投与可能な化合物として、ステビア抽出物およびステビオールは、使用が容易で、毛髪または毛にいかなる残留物も残さず、局所製剤よりも投与量の調節が容易であるというさらなる利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】中年C57B1/6Jマウスにおける、慢性ステビア抽出物処置(450mg/kg、p.o.、8週間)の抜け毛に対する効果。データは、平均値±S.D.として示され、マウス当たりの平均スコアはステビア抽出物処置(SE;n=12)およびビヒクル処置対照マウス(VEH;n=13)について示される。ステビア抽出物は、対照マウスと比較して抜け毛を顕著に改善させた(すなわち減少させた)。***p<0.001。
【図2】老齢C57B1/6Jマウスの(a)毛色および(b)抜け毛に対する、慢性ステビオール処置(120mg/kg、p.o.、6週間)の効果。データは平均値±S.D.として示され、処置前後のマウス当たりの平均スコアは、ステビオール処置マウス(STEV;n=7)、およびビヒクル処置対照マウス(VEH;n=10)について示される。ステビオールは、毛色を顕著に改善し(すなわち白髪を減少させ)、抜け毛を顕著に改善した(すなわち減少させた)(処置前対処置後:p<0.05)。
【図3】遊離ステビオール血漿レベルと、実施例1で述べた抜け毛予防を示す表現型評価との間の相関を示す。
【図4】Genedataソフトウェアパッケージ付属の統計学ツールを使用して、生物学的経路にさらにマッピングされた、ステビオールによって調節される遺伝子を示す。
【0013】
本発明で使用されるステビオシドおよび/またはレバウジオシドA含有ステビア抽出物は、既知の方法を使用して製造されてもよい。本発明は、毛髪/毛の外観または成長の向上を促進するために、ステビア抽出物、ステビオシド、レバウジオシドAおよび/またはレバウジオシド以外の成分が使用される組成物のための甘味料としてのステビア抽出物の使用を含めることを明確に意図しない。さらに本発明のステビア抽出物は、育毛促進活性を与えるのに十分な量である生理活性量のクロメンを含有しない。
【0014】
ステビオールは、文献に記載される方法に従って、ステビオシドの酵素的加水分解によって得られてもよい。代案としては、ステビオシドおよびレバウジオシドAなどのステビオールグリコシドはステビオールに代謝されるので、レバウジオシドおよび/またはステビオシドを含有する植物抽出物を使用し得る。好ましくは、ステビオールグリコシドの量は高い(>50%)。しかしこれらの組成物は、非常に甘い香りと後味を有するため、食材中で使用する場合、味覚マスキングまたは味覚向上物質を添加することが望ましい。
【0015】
植物抽出物に代わるものとして、ステビオシドまたはレバウジオシドA活性成分を含有する組成物もまた使用してもよい。代案として、特に毛髪改善活性化合物が食品と共に提供され甘味が所望されない場合は、ステビオールを含有する組成物を使用してもよい。毛髪の着色を伴う用途では、ステビオールが特に好ましい。
【0016】
[定義]
「栄養補助食品組成物」という用語は、本明細書での用法では、(例えばスポーツ飲料、機能性ウォーター、ジュース、スムージー、即席飲料などであるがこれに限定されるものではない)飲料、スープ、(例えば飲みきりタイプヨーグルト飲料などであるがこれに限定されるものではない)乳製品、栄養バー、およびスプレッドを含む、食品、食材、健康補助食品、食品または食材のための栄養補給剤または栄養補給剤組成物を含む。
【0017】
本明細書での用法では、「食品」という用語は、ヒトまたは動物による摂取に適したあらゆる食物または飼料を指す。
【0018】
「健康補助食品」という用語は、単回または複数回投与単位で包装された、ヒトまたは動物の食餌を補給するための少量の化合物を指す。健康補助食品は一般に顕著な量のカロリーを提供しないが、その他の微量栄養素(例えばビタミンまたはミネラル)を含有してもよい。
【0019】
「栄養補給剤」という用語は、カロリー源と組み合わされた健康補助食品を含んでなる組成物を指す。いくつかの実施態様では、栄養補給剤は、食事代替品または栄養補給剤(例えば栄養バーまたはエネルギーバーまたは栄養飲料または濃縮物)である。
【0020】
「予防する」とは、本明細書での用法では、事象が決して起きないことを意味することを意図せず、状態または事象の発生を遅延させること、および状態または事象が起きた場合にその重篤性を低下させることを意味する。
【0021】
「慢性投与」は、活性成分の投与が、例えば少なくとも約2週間、好ましくは少なくとも1ヶ月、より好ましくは少なくとも2ヶ月にわたり毎日1回または2回など、長期にわたり定期的に行われることを意味する。代案としては、定期的投与は、2日毎、3日毎、または週に1回または週に2回であり得る。
【0022】
「毛髪」は、ヒトの毛髪と動物の毛の双方を意味する。それは鳥の羽毛および魚の鱗を含み得る。
【0023】
「長期間」とは、少なくとも約2週間、好ましくは少なくとも約1ヶ月、なおもより好ましくは少なくとも約2ヶ月の期間にわたり、実質的に毎日であることを意味する。
【0024】
「ステビオール前駆体」は、酵素的的に加水分解されて遊離アグリコンステビオールになり得るステビオールグリコシドを意味する。例えば参照によって本明細書に援用するEFSA Journal 2010,8(4):1537を参照されたい。この加水分解に適した酵素は特定の微生物中に存在し、またヒトまたは動物腸管中にも存在する。例えば参照によって本明細書に援用するGardana et al 2003 J.Agric.Food Chem.51:6618−22を参照されたい。
【0025】
本明細書および特許請求の範囲全体を通じて使用される「ステビア抽出物」は、抽出物が活性毛髪向上成分として使用されるものと理解すべきである。したがってそれは唯一の活性外観向上成分として存在し、または別の成分との組み合せで使用される場合はその目的は甘味料でなく、および/またはステビア抽出物の量は、組成物または食材を甘味付けする目的で使用されることが知られている量でなく、またはそれは育毛促進生物活性を有する量でクロメンを含有しない。
【0026】
「観察する」または「鑑賞する」は、活性成分を摂取する個人によって行われてもよく、または第三者によって行われてもよい。標準検査を使用して、または主観的分析によって、投与後状態を投与前状態と比較し、分析してもよい。
【0027】
「改善された外観」とは、毛髪/毛の以下の少なくとも1つの質が改善されたことを意味する。
色(すなわち白髪に対する自然の色の保持/回復)、
毛髪/毛の脱毛症(すなわち毛髪/毛が保持され、抜け毛が止まりまたは遅くなる;または毛髪が再生する)
毛髪/毛の太さ(薄毛の進行が遅くなり、停止し、または逆転する)
毛づくろい(毛がもはやなおざりにされているようでなく、より良く毛づくろいされているように見える)
皮膚創傷/損傷が治癒しつつありまたは治癒している
毛髪/毛の光沢または艶(毛髪/毛のくすみが低下したように見えてより光沢/艶がある)
【0028】
[白髪の抑制]
より詳細には、本発明は、ヘアケアにおける、特に白髪予防のための、および/または自然の毛色の回復および/または維持のための、経口ステビオールまたはステビオール前駆体含有組成物の使用に関する。それはまた、特に白髪予防のための、および/または自然の毛色の回復および/または維持のための、ステビア抽出物またはステビオールまたはステビオール前駆体と、経口栄養補助食品または食物組成物のために通常利用されるキャリアとを含んでなる、経口的に投与されるヘアケア組成物に関するが、ただし第2の活性成分と組み合わされて存在する場合、ステビア抽出物は、組成物を甘味付けする目的に適する量で存在しない。さらに本発明は、有効量のステビア抽出物、ステビオール、またはステビオール前駆体を含んでなる組成物をこのような処置を必要とする哺乳類に経口的に投与するステップと、白髪および/または自然の毛髪色の回復および/または維持の予防を観察するステップを含んでなる、白髪を予防し、および/または自然の毛髪色を回復および/または維持する方法に関するが、ただし第2の活性成分と組み合わされて存在する場合、ステビア抽出物は、組成物を甘味付けする目的に適する量で存在しない。これらの方法および使用では、ステビオールが特に好ましい。
【0029】
[獣医学用途]
本発明の別の態様では、好ましくは哺乳類である非ヒト動物に、ステビア抽出物が投与される。毛髪中のケラチン性化合物は本発明から利益を受けるので、本発明の利点は哺乳類に限定されるものではなく、鳥、または魚などのその他の動物に、または色合いまたは外観の質に興味があるその他の動物に拡大されてもよい。例えば鳥は家禽、特に共進会に出されるものであってもよい。魚、例えばコイなどは、改善された色合いから利益を受け得る。
【0030】
本発明の好ましい態様では、非ヒト動物は、コンパニオンアニマル(イヌ、ネコ、フェレット)または毛皮産業で使用される動物(ミンク、チンチラなど)、または共進会に出される動物(イヌ、ウマ、ネコ、ウサギ、およびその他の家畜など)などの哺乳類である。動物の食餌、本発明のステビア抽出物、ステビオール、またはステビオール前駆体含有組成物を補給することは、動物の毛の外観を向上させるであろう。したがって本発明の別の態様は、毛を向上させる量のステビア抽出物、ステビオールまたはステビオール前駆体を含有する、獣医学的栄養補助食品または食材である。
【0031】
動物によっては甘いステビア抽出物の味を好まないかもしれないので、ステビオールは特徴的な味を有さないことから、獣医学用途では、ステビオール前駆体よりもステビオールを含有する抽出物が好ましいかもしれない。
【0032】
本発明の別の態様は、特に共進会用動物のためにデザインされる、ステビア抽出物、ステビオール、またはステビオール前駆体を含んでなる栄養補給剤である。動物は、その毛が最高の状態であるために、共進会に先だって少なくとも1ヶ月、および好ましくは少なくとも2ヶ月にわたり、この栄養補給剤を毎日給餌されるべきである。好ましい実施態様では、栄養補給剤は、おやつまたはチューの形態である。
【0033】
[好ましい食品]
食品は、調製され包装された食品(例えばマヨネーズ、サラダドレッシング、パン、またはチーズ食品)または動物飼料(例えば押し出しおよびペレット動物飼料、配合粗飼料、ペットフード組成物、おやつまたはチュー)であってもよい。
【0034】
食品または食材は、例えば非アルコールおよびアルコール飲料などの飲料、ならびに飲料水および液状食品に添加される液体調製品である。非アルコール飲料は、例えば清涼飲料、スポーツドリンク、果汁(例えばオレンジジュース、リンゴジュース、およびグレープジュース)、レモネード、茶、ニアウォータードリンク、牛乳およびその他の乳飲料(例えばヨーグルト飲料)、およびダイエット飲料である。別の実施態様では、食品または食材は、本発明に従った組成物を含んでなる固体または半固体食品を指す。これらの形態としては、ケーキおよびクッキーなどのベイクド製品;プディング;乳製品;砂糖菓子;スナック食品;または冷凍菓子またはノベルティ氷菓(例えばアイスクリーム、ミルクセーキ);調理済み冷凍食品、キャンディ、スナック製品(例えばポテトクリスプ/チップ);スープ、スプレッド、ソース、サラダドレッシングなどの液状食品;調理済み肉製品;チーズ;ヨーグルト;およびあらゆるその他の脂肪または油含有食品;および食品成分(例えば小麦粉)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0035】
ペットフード組成物を含む動物飼料は、有利には食餌所要量の供給を意図する食物、ならびにおやつ(例えばイヌ用ビスケット)またはその他の栄養補助食品を含む。本発明に従った組成物を含んでなる動物飼料は、乾燥組成物(例えばキッブル)、セミモイスト組成物、湿潤組成物、またはあらゆるその混合物の形態であってもよい。代案としては、またはそれに加えて、動物飼料には、グレービー、飲料水、ヨーグルト、粉末、懸濁液、チュー、おやつ(例えばビスケット)またはあらゆるその他の送達形態などが補給される。
【0036】
本発明の健康補助食品は、経口送達用に配合される。本発明の健康補助食品の成分は、経口摂取のための許容可能な賦形剤および/またはキャリアに含有される。キャリアの実際の形態、ひいては健康補助食品それ自体は重要でない。キャリアは、液体、ジェル、ジェルキャップ、カプセル、粉末、(被覆または非被覆)固形錠剤、茶などであってもよい。食餌栄養補給剤は、好ましくは錠剤またはカプセルの形態であり、最も好ましくは硬質(シェル)ゼラチンカプセルの形態である。適切な賦形剤および/またはキャリアとしては、マルトデキストリン、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、微結晶セルロース、デキストロース、米粉、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスポビドン、スクロース、植物ガム、乳糖、メチルセルロース、ポビドン、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチなど(それらの混合物を含む)が挙げられる。好ましいキャリアとしては、炭酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、マルトデキストリン、およびそれらの混合物が挙げられる。従来の技術を使用して、様々な成分および賦形剤および/またはキャリアが混合され、所望の形態に形成される。本発明の錠剤またはカプセルは、pH約6.0〜7.0で溶解する腸溶コーティングで被覆されてもよい。腸で溶解するが胃では溶解しない適切な腸溶コーティングは、酢酸フタル酸セルロースである。配合および投与技術のさらなる詳細は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Maack Publishing Co.,Easton,PA)の最新版にある。
【0037】
別の実施態様では、健康補助食品は、消費者が食品または飲料に添加するのに適した粉末または液体として提供される。例えばいくつかの実施態様では、健康補助食品は、例えば飲料に混合することで、または例えばプディング、トッピング、ソース、ピューレ、調理済みシリアル、またはサラダドレッシングなどの半固体食品に混ぜ込むことで、または例えば食品または飲料容器のキャップに封入されて消費直前に放出させるなどの別のやり方で食品に添加することで使用される、粉末の形態で個人に投与され得る。健康補助食品は、特に健康補助食品によって食餌に追加されるカロリー数を限定することが望ましければ、1つ以上の不活性成分を含んでなってもよい。例えば本発明の健康補助食品は、例えばハーブ、ビタミン、ミネラル、賦活剤、着色料、甘味料、着香料、不活性成分などを含む、任意の成分もまた含有してもよい。
【0038】
いくつかの実施態様では、健康補助食品は、三塩基性リン酸または酢酸カルシウム;二塩基性リン酸カリウム;硫酸または酸化マグネシウム;塩(塩化ナトリウム);塩化または酢酸カリウム;アスコルビン酸;オルトリン酸第二鉄;ナイアシンアミド;硫酸または酸化亜鉛;パントテン酸カルシウム;グルコン酸銅;リボフラビン;β−カロテン;塩酸ピリドキシン;チアミン硝酸塩;葉酸;ビオチン;塩化またはピコリン酸クロム;ヨウ素カリウム;セレン酸ナトリウム;モリブデン酸ナトリウム;フィロキノン;ビタミンD3;シアノコバラミン;亜セレン酸ナトリウム;硫酸銅;ビタミンA;ビタミンC;イノシトール;ヨウ化カリウムを含むが、これに限定されるものではない、ビタミンおよびミネラルをさらに含んでなる。ビタミンおよびミネラルの適切な用量は、例えばU.S.RDAガイドラインを調べて得てもよい。
【0039】
別の実施態様では、本発明は、本発明に従った組成物を含んでなる、栄養補給剤(例えばエネルギーバーまたは食事代替バーまたは飲料)を提供する。栄養補給剤は食事またはスナック代替品の役割を果たしてもよく、一般に栄養素カロリーを提供する。好ましくは栄養補給剤は、炭水化物、タンパク質、および脂肪を均衡のとれた量で提供する。栄養補給剤は、炭水化物、単純、中鎖長、または多糖類、またはその組み合わせをさらに含んでなり得る。望ましい官能的特性について、単糖を選択し得る。未調理コーンスターチは、複合糖質の一例である。熱は複合糖質を単糖または二糖類である単純炭水化物に分解するので、それがその高分子量構造を保持することが所望される場合、それは調理または熱加工されない食品調合物またはその一部にのみ含めるべきである。栄養補給剤は、一実施態様では、3つの鎖長レベルの炭水化物原料(単純、中鎖長、および複合;例えばスクロース、マルトデキストリン、および未調理コーンスターチ)の組み合わせを含有する。
【0040】
本発明の栄養補給剤に組み込まれるタンパク質源は、栄養配合物で使用されるあらゆる適切なタンパク質であり得て、乳清タンパク質、乳清タンパク質濃縮物、乳清粉末、卵、ダイズ粉、豆乳、ダイズタンパク質、ダイズタンパク質単離物、カゼイネート(例えばカゼイン酸ナトリウム、ナトリウムカゼイン酸カルシウム、カゼイン酸カルシウム、カゼイン酸カリウム)、動物および植物性タンパク質および加水分解産物またはそれらの混合物を含み得る。タンパク質源を選択する際、タンパク質の生物価を最初に考慮すべきであり、最高の生物価は、カゼイネート、乳清、ラクトアルブミン、卵アルブミン、および全卵タンパク質に見られる。好ましい実施態様では、タンパク質は、乳清タンパク質濃縮物とカゼイン酸カルシウムの組み合わせである。これらのタンパク質は高生物価を有し、すなわちそれらは必須アミノ酸を高比率で有する。Modern Nutrition in Health and Disease,Eighth Edition,Lea & Febiger,publishers,1986、特に第1巻の30〜32頁を参照されたい。
【0041】
栄養補給剤は、その他のビタミン、ミネラル、抗酸化物質、繊維、およびその他の健康補助食品(例えばタンパク質、アミノ酸、コリン、レシチン、ω−3脂肪酸)の1つまたはその組み合わせなどのその他の成分もまた含有し得る。これらの成分の1つまたはいくつかの選択は、配合、デザイン、消費者および最終使用者の好みの問題である。本発明の健康補助食品に添加されるこれらの成分の量は、当業者には容易に知られている。このような量のガイダンスは、子供および成人のためのU.S.RDA用量によって提供され得る。添加し得るさらなるビタミンおよびミネラルとしては、三塩基性リン酸または酢酸カルシウム;二塩基性リン酸カリウム;硫酸または酸化マグネシウム;塩(塩化ナトリウム);塩化または酢酸カリウム;アスコルビン酸;オルトリン酸第二鉄;ナイアシンアミド;硫酸または酸化亜鉛;パントテン酸カルシウム;グルコン酸銅;リボフラビン;β−カロテン;塩酸ピリドキシン;チアミン硝酸塩;葉酸;ビオチン;塩化またはピコリン酸クロム;ヨウ化カリウム;セレン酸ナトリウム;モリブデン酸ナトリウム;フィロキノン;ビタミンD3;シアノコバラミン;亜セレン酸ナトリウム;銅硫酸;ビタミンA;ビタミンC;ビタミンE、イノシトール;およびヨウ化カリウムが挙げられるが、これに限定されるものではない。さらにマルチビタミンおよびミネラル補給剤を本発明の栄養補助食品組成物に添加して、食餌によっては欠如している適量の必須栄養素を得てもよい。マルチビタミンおよびミネラル補給剤はまた、生活習慣パターンに起因する疾患予防と、栄養損失および欠乏症からの保護のために有用かもしれない。
【0042】
栄養補給剤は、多様な形態で、多様な製造方法によって提供され得る。好ましい実施態様では、フードバーを製造するために、液体成分を調理し;乾燥成分を液体成分と共にミキサーに入れて生地相に達するまで混合し;生地を押し出し機に入れて押し出し;押し出し生地を適切な長さに切断し;製品を冷却する。本明細書に具体的に列挙される成分に加えて、バーにその他の栄養素および賦形剤を含めて味を向上させてもよい。
【0043】
栄養補給剤の加工または製造のために、本明細書に記載されるものに、例えば賦形剤、乳化剤、保存料などのその他の成分を添加し得ることは、当業者によって理解される。
【0044】
さらに着香料、着色料、香辛料、ナッツなどを栄養補助食品組成物に組み込んでもよい。着香剤は、風味エキストラクト、揮発性油、チョコレート着香剤、落花生バター着香剤、クッキークラム、クリスプライス、バニラまたはあらゆる市販される着香剤の形態であり得る。有用な着香剤の例としては、純粋アニス抽出物、模造バナナエキストラクト、模造チェリーエキストラクト、チョコレート抽出物、純粋レモン抽出物、純粋オレンジ抽出物、純粋ペパーミント抽出物、模造パイナップルエキストラクト、模造ラムエキストラクト、模造ストロベリーエキストラクト、または純粋バニラ抽出物;またはレモン油、ベイ油、ベルガモット油、セダー油、クルミ油、チェリー油、シナモン油、丁子油、またはハッカ油などの揮発性油;落花生バター、チョコレート着香剤、バニラクッキークラム、バタースコッチまたはタフィーが挙げられるが、これに限定されるものではない。一実施態様では、健康補助食品はココアまたはチョコレートを含有する。
【0045】
栄養補助食品組成物の安定性のために、乳化剤が添加されてもよい。適切な乳化剤の例としては、(例えば卵またはダイズからの)レシチン、および/またはモノおよびジグリセリドが挙げられるが、これに限定されるものではない。その他の乳化剤は当業者にはすぐに分かり、適切な乳化剤の選択は、配合および最終製品にある程度左右される。製品の貯蔵寿命を延長するために、保存料もまた栄養補給剤に添加されてもよい。好ましくは、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウムまたはカルシウム二ナトリウムEDTAなどの保存料が使用される。
【0046】
上述の炭水化物に加えて、栄養補助食品組成物は、糖類、シクラメート、アスパルタミン、アスパルテーム、アセスルファムK、および/またはソルビトールなどであるが、これに限定されるものではない、天然または人工(好ましくは低カロリー)甘味料を含有し得る。このような人工甘味料は、栄養補給剤が、過体重または肥満の個人、または高血糖症易発性のII型糖尿病がある個人によって摂取されることが意図される場合に望ましくあり得る。
【0047】
[投与量]
ヒトおよび動物での使用では、ステビア抽出物の推奨される投与量は、1日当り0.1〜500mg/kg体重;好ましくは1日当り0.5〜250mg/kg体重;より好ましくは1日当り1.0〜50mg/kg体重の範囲である。
【0048】
ステビオールでは、好ましい投与量は、1日当り0.01〜100mg/kg体重、好ましくは1日当り0.1〜50mg/kg体重、より好ましくは体重1日当り0.5〜25mg/kg、および/または1日当り0.5〜10mg/kg体重の範囲である。
【0049】
ステビオール前駆体では、好ましい投与量は、1日当り0.05〜1000mg/kg体重、好ましくは1日当り0.5〜500mg/kg体重;より好ましくは1日当り1.0〜100mg/kg体重の範囲である。
【0050】
上で規定される主題組成物の好ましい1日量は、例えば錠剤などの1つ以上の投薬単位の形態で投与されてもよい。最も好ましくは主題組成物の1日量は、毎日2回、計1日当り2投薬単位投与される1投薬単位の形態、または毎日2回、計1日当り4投薬単位投与される2投薬単位の形態で提供される。1日当たりの総量を日に1回摂取するのと比較して、容量当たり1投薬単位以上の中の1日当たり総量の半量の毎日2回の投与は、必須成分の改善された吸収と血液レベルのより良い維持を提供する。ステビア抽出物またはステビオール前駆体では、投薬単位あたりの投与量は30〜1000mgの範囲であり、ステビオールでは10〜500mgの範囲である。
【0051】
ヒトおよび動物での使用では、ステビオールグリコシドの推奨投与量は、1日当り体重1kg当たり0.05mgから体重1kg当たり約100mgの範囲である。より好ましいのは体重1kg当たり約0.1〜約20mgの1日量、特に好ましいのは体重1kg当たり約1.0〜10.0mgの1日量の範囲である。
【0052】
【表1】



【0053】
好ましい実施態様では、ステビア抽出物またはステビオールまたはステビオール前駆体を含有する栄養補助食品または食物は、毛髪の向上が気づかれるまで、定期的に、すなわち持続的期間(すなわち少なくとも1週間、好ましくは少なくとも2週間、より好ましくは少なくとも3週間、または少なくとも1または2ヶ月)にわたって、少なくとも毎日摂食される。この時間の後、消費者は投与量を減らすことを選択してもよい。
【0054】
本発明をより良く例証するために、以下の非限定的例を提示する。
【0055】
[実施例1]
[中年野生型マウスの毛および皮膚状態に対する慢性ステビア抽出物処置の効果]
中年C57B1/6Jマウス(18ヶ月齢)に、ステビア抽出物(450mg/kg、p.o.)またはビヒクル(水/コーンオイル、1:1混合物)を8週間にわたって毎日投与した。処置期間の終わりにマウスを麻酔して(2.2〜2.4%のイソフルオラン)、各マウスの写真を撮影した。マウスを使用した実験的研究実践の幅広い経験がある8人の参加者に、3点スケール(表1参照)に従って、各マウスの毛および皮膚状態を主観的に評価するよう依頼した。状態について評価されたパラメーターは、毛色、抜け毛、「光沢」(艶)、および全体的外観(毛づくろいされている/されていない)を含んだ。皮膚状態については、参加者は創傷外観を評価するように依頼された。8人の回答者の個々の評価から算出された各マウスの平均スコアは、引き続くステビア抽出物処置マウスとビヒクル処置対照マウスの間の比較を可能にした。
【0056】
図1に示されるように、このパラメーターに関するより高い主観的評価スコアによって実証されるように、ステビア抽出物処置は、対照マウスと比較して抜け毛の程度を顕著に低下させた(p<0.01;対応のないt−検定)。
【0057】
【表2】



【0058】
[実施例2]
[老齢野生型マウスの毛および皮膚状態に対する慢性ステビオール処置の効果]
雌老齢C57B1/6Jマウス(22〜24ヶ月齢)を6週間の研究開始時および終了時に毛質について評価した。処置の開始に先だって、浅麻酔(2.2〜2.4%のイソフルオラン)の下で全マウスの写真を撮影した。次に6週間にわたって、プラセボ食またはステビオール(120mg/kg/d)補給食のどちらかをマウスに給餌した。6週間の処置期間の終わりにマウスを再度麻酔して、さらなる写真を撮影した。
【0059】
マウスを使用した実験的研究実践の幅広い経験がある11人の参加者に、同一質問票(表1参照)のすべての項目に記入するように依頼して、処理前後で撮影された写真を評価することで、毛質および皮膚創傷外観のいくつかのパラメーターの主観的評価ができるようにした。
【0060】
統計学的分析は、Prism 5(GraphPad Software,La Jolla,CA,USA)を使用して実施され、二元配置ANOVA(試験要素:時間および処置)を含んでなり、適切ならばボンフェローニポストホック検定がそれに続いた。
【0061】
ステビオーは、6週間のステビオール補給に続く顕著により高い平均スコア(p<0.05;図2a)によって示されるように、毛色を顕著に改善し、すなわち白髪を減少させた。さらにステビオール補給は、顕著により高い処置後スコア(p<0.05;図2b)によって示されるように、抜け毛の顕著な減少をもたらした。
【0062】
マウスを写真撮影直後に屠殺して、血液を採取した。
【0063】
[実施例3]
[遊離ステビオール血漿レベルと表現型評価の間の相関]
抽出および試料調製のために血漿サンプルを取り出すまで、サンプルを−80℃で保存した。抽出緩衝液(50μLの酢酸アンモニウム(10mM)を添加した400μLの酢酸エチル)を用いて、血漿/血清サンプルから「遊離」(アグリコン)分析物を抽出した。有機相を蒸発させて、乾燥残渣を移動相中で水戻しした。勾配モード(A:水中の20mM酢酸アンモニウムおよび0.1%酢酸;B:アセトニトリル中の0.1%酢酸;20%B(2分間保持)から18分間で100%Bへ(2分間保持)、次にポストラン2分間、ランタイム24分間)で、RP−Amide−カラム(3μm、100×2.1mm)上に1100 Agilent LCシステムを装着したAgilent四重極質量分光計によって、クロマトグラフィー分離を実施した。SIMモード(317m/z)で負エレクトロスプレーイオン化を用いて、質量分光検出を実施した。ステビオール参照標準を使用して、同定および定量化を実施した。
【0064】
Prism 5(GraphPad Software,La Jolla,CA,USA)を使用して、血漿ステビオール濃度と表現型改善の間の相関を評価した。結果を図3に示す。
【0065】
[実施例4]
[ヒト毛嚢の成長]
ヒト毛嚢はヒト皮膚断片から(整形外科手術によって)得られ、ペニシリン/ストレプトマイシン、L−グルタミン(2mM/L)、インシュリン(10μg/mL)およびヒドロコルチゾン(8nM/L)を添加した補給William’s E培地中で成長させた。毛嚢成長は、長さの測定によって評価した(0、4、および7日目)。トリヨードチロニン(T3、30μM/L)を陽性対照として使用した。ステビオール(0.625〜5μg/mL)の効果を並行して試験した。7日目に、異なる処置(対照、T3、ステビオール)を施した毛嚢からRNAを抽出した。効遺伝子発現に対する化合物の効果を同定するために、RNAをAffymetrix(登録商標)DNAマイクロアレイ分析のために処理した。適切な場合、ABI 7900 Taqman計測装置を使用して、RT−PCRによってRNA発現レベルをさらに定量化した。全ての手順において、製造業者が勧めるプロトコルに厳密に従った。
【0066】
[結果]
毛嚢成長に対する効果:ステビオールは、毛嚢の伸長を用量依存的に助けた(表2、下記)。低濃度では効果が顕著であった一方、より高濃度では化合物は成長に顕著に貢献しなかった。
【0067】
【表3】



【0068】
遺伝子発現に対する効果:遺伝子発現に対するステビオールの全般的効果は、トランスクリプトミクス、すなわちDNAマイクロアレイ分析によって判定した。得られたデータをGenedataソフトウェアツールによってを処理した。これは(未処置毛嚢と比較して)ステビオール処置毛嚢中で、顕著に異なる発現レベルを有する遺伝子の一覧をもたらした。ステビオールよって特異的に上方制御され、表皮生理機能に関与する遺伝子の例を表3に示す。表皮性増殖または分化に直接または間接的に関与して、少なくとも2倍上方制御された遺伝子のみを列挙する。したがって本発明の別の態様は、ステビオールを投与するステップと、育毛効果を観察するステップを含んでなる、表3に列挙される遺伝子の少なくとも1つを上方制御する方法である。
【0069】
【表4】



【0070】
Genedataソフトウェアパッケージによって提供される統計学的ツールを使用して、ステビオールによって調節される遺伝子を生物学的経路にさらにマッピングした(図4)。ステビオールは、高い統計的有意性で(表3のp−値によって示される)、表皮発達、外胚葉発達、およびケラチノサイト分化の経路の遺伝子発現を調節した。別の経路は、顕著に影響を受けなかった。このデータは、毛嚢伸長に対するステビオールの観察された効果と一致し(表2参照)、ステビオールが育毛に変化もたらす分子経路を調節することを裏付けた。
【0071】
皮膚および毛嚢中の細胞成長および/または分化に関与するいくつかのマーカー遺伝子のmRNAレベルをRT−PCRによってさらに判定し、表4に示す。
【0072】
【表5】



【0073】
表皮中における、ひいては毛髪発達におけるこれらの遺伝子の重要性については、例えばAdriani et al.J.Invest Dermatol 120:923−931(2003);Grochot−Preczek et al.Thromb Haemost 104(オンライン10−June 2010);Li et al.Exp Dermat 9:431−438(2000);Ma et al.Ann Acad Med Singapore 33:784−8(2004);Neufang et al.Proc Nat Acad Sci(USA) 98:7629−7634(2001)によって詳細に記載され考察されている。したがって本発明の別の態様は、ステビオールを投与するステップと、育毛を観察するステップを含んでなる、ケラチン6またはインテグリンα−6または双方からなる群から選択される、毛髪発達関連遺伝子を上方制御する方法である。本発明の別の態様は、ステビオールを投与するステップと、育毛を観察するステップを含んでなる、COX−2(炎症に関与する)および/またはHO−1(酸化に関与する)を下方制御する方法である。
【0074】
[実施例5]
[マウスの皮膚に対する効果]
遺伝子発現に対するステビオールの効果はまた、マウスの皮膚全体(毛嚢もまた含有する)でも分析した。この目的で、通常食またはステビオール補給食をマウスに給餌した(上の関連データもまた参照されたい)。8週間の補給後マウスを屠殺して、皮膚を単離し毛を除去した。毛嚢について記載されるのと同一技術(上記参照)を使用して、選択された遺伝子に対して定量的RT−PCRを実施した。注目すべきことには、本出願人は、皮膚の生理機能と恒常性に関与するいくつかの遺伝子の発現レベルにおける変化を同定した。それらを表5に列挙する。
【0075】
皮膚の生態におけるこれらの遺伝子の重要性は、それぞれマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)、ケモカイン、インターロイキン、およびPPARについて、Pirilae et al.Wound Repair & Regeneration 151:47−5 7(2007);Varani et al.Brit J Cancer 82:657−665(2000);Fisher et al.J Invest Dermatol.117:219−26(2001);Kaesler et al.Cytokine 17:157−163(2002);Tanabe et al.J Dermatol Sci 43:210−213(2006);Schmutt et al.Horm Metab Res 39:96−105(2007)によって示されている。
【0076】
【表6】



【0077】
MMP−8およびMMP−13は、コラゲナーゼ活性を有する。したがって本発明の別の態様は、ステビオール投与するステップと、向上した毛髪および/または皮膚外観を観察するステップを含んでなるMMP−8および/またはMMP−13を下方制御する方法である。
【0078】
[実施例6]
[錠剤]
【0079】
【表7】



【0080】
ステビオール、微結晶セルロース、およびSiOをタンブラーミキサー内で10分間混合する。次に乳糖を添加して、組成物をさらに10分間混合する。クロスポビドンをその他の成分と組み合わせて、10分間混合する。最後に、Mg−ステアリン酸をその他の構成要素に添加してさらに2分間混合する。混合物を錠剤に押圧する。1日当り1個の錠剤を毎朝朝食と共に服用する。
【0081】
[実施例7]
[硬質ゼラチンカプセルの調製]
【0082】
【表8】



【0083】
ステビオール、乳糖、およびSiOをタンブラーミキサー内で15分間混合し、次にカプセルに充填する。
【0084】
抜け毛に際して、1日当り2個のカプセルを3ヶ月にわたって、ヒト成人に投与してもよい。用量は必要に応じて、1日当り3カプセルまで増大し得る。定期的に育毛を支援し、または薄毛および白髪を予防するために、1カプセルを定期的に服用し得る。
【0085】
[実施例8]
[即席フレーバー清涼飲料の調製]
【0086】
【表9】



【0087】
全成分を混合し、500μmの篩を通して篩掛けする。得られた粉末を適切な容器に入れて、管状ブレンダー中で少なくとも20分間混合する。飲料を調製するためには、105gの得られた粉末を十分な水と混合して、1Lの飲料を作る。
【0088】
即席飲料清涼飲料は、1食(250ml)当たり約15mgの濃縮ステビオール抽出物を含有する。定期的な育毛支援飲料として、1日当り2食(500ml)を飲用してもよい。
【0089】
[実施例9]
[強化ノンベークドシリアルバーの調製]
【0090】
【表10】



【0091】
濃縮ステビオールを脱脂粉乳と予備混合して、遊星形ボールミキサーに入れる。コーンフレークとライスクリスピーを添加して、全てを穏やかに混合する。次に乾燥させてカットしたリンゴを添加する。1つの調理鍋の中で水と塩を上記の量で混合する(溶液1)。第2の調理鍋の中で、グルコースシロップ、転化糖シロップ、およびソルビトールシロップを上記の量で混合する(溶液2)。脂肪相は、ベーキング脂肪、パーム核脂肪、レシチン、および乳化剤の混合物から構成される。溶液1を110℃に加熱する。溶液2を113℃に加熱し、次に冷水浴内で冷却する。引き続いて、溶液1と2を合わせる。脂肪相を水内で75℃で溶解し、次に溶液1と2を合わせた混合物に添加する。リンゴ香料とクエン酸を液糖/脂肪ミックスに添加する。液体を乾燥成分に添加して、遊星形ボールミキサー内で良く混合する。塊を大理石プレートに載せて所望の厚さに延ばす。塊を室温冷却して、切り分ける。ノンベークドシリアルバーは、1食当たり(30g)約10mgのステビオールを含有する。持続する毛髪健康と成長を支援するために、1日当り1〜2個のシリアルバーを摂食してもよい。
【0092】
[実施例10]
[ステビオールを含有する乾燥ドッグフード]
市販のイヌのための基礎食(例えばドイツ国(Germany)のMarienstrasse 80−84,D−47625 Kevelaer−WettenのMERA−Tiernahrung GmbHからのMera Dog 「Bracken」)に、ビタミンC(例えばスイス国のKaiseraugst のDSM Nutritional Products LtdからのROVIMIX(登録商標)C−EC)およびその誘導体、すなわち一リン酸アスコルビルナトリウム(例えば例えばスイス国のKaiseraugst のDSM Nutritional Products LtdからのSTAY−C(登録商標)50)またはナトリウム/カルシウムL−アスコルビン酸の三、二、および一リン酸エステルの混合物(例えばスイス国のKaiseraugst のDSM Nutritional Products LtdからのROVIMIX(登録商標)STAY−C(登録商標)35)などの抗酸化剤と共に、体重1kg当たり4mgのステビオールの1日量をイヌに投与するのに十分な量で、ステビア抽出物水溶液をスプレーする。食物組成物が約90重量%の乾燥物質を含有するように乾燥させる。1日当り約200gの乾燥飼料を摂取する体重10kgの平均的なイヌでは、イヌ用食品は、1kgの食品あたり約200mgのステビオールを含有する。体重のより重いイヌでは、飼料ミックスをそれに合わせて調製する。
【0093】
イヌの毛を定期的に改善するために、ステビオール含有ドライフードを毎日与える。季節毎に、例えば冬期に、または例えば共進会の前などの特定の必要性に応じて、ステビオールを含有する追加的なおやつまたはカプセルを数週間にわたって1日2、3回与えて用量を増大し得る。
【0094】
[実施例11]
[ステビオールを含有する湿潤キャットフード]
市販のネコ用基礎食(例えばドイツ国Suedliche Hauptstrasse 38,D−86517 WehringenのTierfeinnahrungからのHappy Cat「Adult」)に、ビタミンC(例えばスイス国のKaiseraugst のDSM Nutritional Products LtdからのROVIMIX(登録商標)C−EC)およびその誘導体、すなわち一リン酸アスコルビルナトリウム(例えば例えばスイス国のKaiseraugst のDSM Nutritional Products LtdからのSTAY−C(登録商標)50)またはナトリウム/カルシウムL−アスコルビン酸の三、二、および一リン酸エステルの混合物(例えばスイス国のKaiseraugst のDSM Nutritional Products LtdからのROVIMIX(登録商標)STAY−C(登録商標)35)などの抗酸化剤と共に、体重1kg当たり4mgのステビア抽出物の1日量をネコに投与するのに十分な量で、ステビア抽出物水溶液を混合する。約400gの湿潤フードを摂取する体重5kgの平均的ネコでは、キャットフードは、1kgあたり50mgのステビオールを含有する。食物組成物が約90重量%の乾燥物質を含有するように乾燥させる。ネコの毛を定期的に改善するために、ステビオールを含有するドライフードを毎日与える。季節毎に、例えば冬期に、または例えば共進会の前などの特定の必要性に応じて、ステビオールを含有する追加的なおやつまたはカプセルを数週間にわたって1日2、3回与えて用量を増大し得る。
【0095】
[実施例12]
[ステビオールを含有するイヌのおやつ]
市販のイヌのおやつ(例えばドイツ国(Germany)のMarienstrasse 80−84,47625 Kevelaer−WettenのMERA Tiernahrung GmbHからのMera Dog「Biscuit」)に、ビタミンC(例えばスイス国のKaiseraugst のDSM Nutritional Products LtdからのROVIMIX(登録商標)C−EC)およびその誘導体、すなわち一リン酸アスコルビルナトリウム(例えばスイス国のKaiseraugstのDSM Nutritional Products LtdからのSTAY−C(登録商標)50)またはナトリウム/カルシウムL−アスコルビン酸の三、二、および一リン酸エステルの混合物(例えばスイス国のKaiseraugst のDSM Nutritional Products LtdからのROVIMIX(登録商標)STAY−C(登録商標)35)などの抗酸化剤と共に、おやつ1g当たり0.5〜5mgのステビオール投与するのに十分な量で、ステビオール抽出物水溶液をスプレーする。食物組成物が約90重量%の乾燥物質を含有するように乾燥させる。脱毛と白髪を減少させるために、1日2、3回おやつを単独で、またはステビオールを含有する毎日の通常の固形飼料に加えて与え得る。これを共進会の前に実施して用量を増大し、光沢のある毛を準備し得る。
【0096】
[実施例13]
[ステビア抽出物を含有するネコのおやつ]
市販のネコのおやつ(例えばドイツ国Eitzer Str.215,27283 Verden/AllerのWhiskas,Masterfoods GmbH,からのネコ用Whiskas Dentabits)に、ビタミンC(例えばスイス国のKaiseraugstのDSM Nutritional Products LtdからのROVIMIX(登録商標)C−EC)およびその誘導体、すなわち一リン酸アスコルビルナトリウム(例えばスイス国のKaiseraugstのDSM Nutritional Products LtdからのSTAY−C(登録商標)50)またはナトリウム/カルシウムL−アスコルビン酸の三、二、および一リン酸エステルの混合物(例えばスイス国のKaiseraugstのDSM Nutritional Products LtdからのROVIMIX(登録商標)STAY−C(登録商標)35)などの抗酸化剤と共に、おやつ1g当たり0.5〜5mgのステビオール投与するのに十分な量で、ステビア抽出物水溶液をスプレーする。食物組成物が約90重量%の乾燥物質を含有するように乾燥させる。1日当り2〜4個を与え得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステビオール、ステビオール前駆体、またはステビオシドおよび/またはレバウジオシドA含有ステビア抽出物を含んでなる経口栄養補助食品または食物組成物を哺乳類の毛髪/毛の全体的外観を向上させるのに十分な時間にわたって効果的な量で投与するステップと、改善された外観を観察するステップを含んでなる、ヒトを含む動物の毛髪/毛/羽毛/鱗の外観を向上させる方法。
【請求項2】
前記外観を向上させるステップが、毛髪/毛の色を回復させるステップ、および毛髪/毛中の白髪の発生を遅延させるステップからなる群から選択され、前記経口栄養補助食品または食物組成物がステビオールを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記動物がヒトである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記投与が慢性である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記向上させるステップが、抜け毛を減少させ、禿頭の発症後に育毛を回復させ、毛髪の太さを増大させ、加齢に伴う毛髪薄毛を予防し、早発性の抜け毛を予防し、または加齢に伴う抜け毛および薄毛の開始または重篤性を遅延させるステップから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記動物がヒトである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記投与が慢性である、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
ヒトを含む動物の毛髪/毛/羽毛/鱗の全体的外観を向上させる経口栄養補助食品または食物組成物の製造における、ステビオール、ステビオール前駆体、またはステビオシドおよび/またはレバウジオシドA含有ステビア抽出物の使用。
【請求項9】
前記栄養補助食品または食物がステビオールを含有し、前記向上が毛髪/毛の色の回復および/または毛髪/毛の白髪の発症の遅延である、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記動物がヒトである、請求項8に記載の使用。
【請求項11】
前記使用が慢性である、請求項8のいずれかに記載の使用。
【請求項12】
前記向上が、抜け毛の減少、禿頭発症後の育毛の回復、毛髪の太さの増大、加齢に伴う薄毛の予防、早発性の抜け毛の予防、または加齢に伴う抜け毛および薄毛の開始または重篤性の遅延から選択される、請求項8に記載の使用。
【請求項13】
前記動物がヒトである、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
前記使用が慢性である、請求項12または13に記載の使用。
【請求項15】
ヒトを含む動物の毛髪/毛/羽毛/鱗の全体的外観を向上させるために使用される、ステビオール、ステビオール前駆体またはステビア抽出物を含有する栄養補助食品または食物。
【請求項16】
前記動物がイヌ、ネコ、またはヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記哺乳類がイヌまたはネコである、請求項8に記載の方法。
【請求項18】
前記哺乳類がイヌまたはネコである、請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−533599(P2012−533599A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521019(P2012−521019)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【国際出願番号】PCT/EP2010/060487
【国際公開番号】WO2011/009863
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】