説明

ヘッドユニットおよび液状体吐出装置

【課題】吐出位置の精度を安定的に維持することに配慮されたヘッドユニットおよび液状体吐出装置を提供すること。
【解決手段】ヘッドユニットは、端面71aに基準点に対応する穿孔71bが穿設された超鋼製の標識部材71を備えている。標識部材71は、取り付け孔73に注入した接着剤を介してベースプレート11と強固に接合されている。また、標識部材71におけるフランジ部71cの上側にはワッシャ75と弾性部材としてのOリング76が挿嵌されており、標識部材71は、Oリング76と保持部材80とを介して、遊びのない状態でベースプレート11に確実に固定されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット式記録装置、ディスプレイ製造装置、電極形成装置、バイオチップ製造装置などの液状体吐出装置、および液状体吐出装置に搭載されるヘッドユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、微小なノズルから液状体を吐出するヘッドを吐出対象物に対して走査させるように構成した液状体吐出装置が、印刷や工業用途に広く利用されるようになってきている。例えば、特許文献1に掲げる工業用の液状体吐出装置では、大型基板への対応や工程時間の短縮化のため、多数のヘッドを並設したユニット(ヘッドユニット)を走査させるようになっている。
【0003】
このようなヘッドユニットにおける個々のヘッドの取り付け位置は、液状体の吐出位置の精度を決める要素として非常に重要であり、とりわけ工業用途では高い精度が要求される。このためヘッドユニットの組み立ての際には、ヘッド個々の取り付け位置を高精度に規定する必要がある。また、このようなヘッドユニットを用いて基板に対して精度良く液状体を吐出(配置)させるためには、ヘッドユニットの装置本体(キャリッジ)への取り付けやヘッドユニットの走査位置の制御に係る精度にも十分注意を払う必要がある。
【0004】
【特許文献1】特開2003−127392号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような精度に関する問題に対応するため、ヘッドユニットには、ヘッドの取り付け位置(姿勢)、ヘッドユニット自身の装置への取り付け姿勢や、取り付け後のヘッドユニットの位置を特定するための基準点を示す部材(標識部材)が取り付けられている。この標識部材の端面には穿孔が設けられており、穿孔の検出位置を基準点として、ヘッドやヘッドユニットの位置および姿勢を特定することができる。
【0006】
基準点を規定する標識部材は、液状体吐出装置における吐出位置の精度を決める上で重要な役割を果たすものであるため、部材自体の形状、取り付け位置、姿勢などに関して高い安定性を有することが要求される。ヘッドユニットの組み立てから装置への取り付けに至るまでの過程で、あるいは動作の履歴を重ねる過程でこれらの要素に変化が生じると、基準点の狂いが生じ、ひいては吐出位置の精度が低下するためである。しかしながら、従来技術に係るヘッドユニットでは、この点について十分な配慮がなされていなかった。
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、吐出位置の精度を安定的に維持することに配慮されたヘッドユニットおよび液状体吐出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のヘッドユニットは、ノズルが一面に形成されたヘッドと、前記ヘッドを取り付けるためのベース体と、前記ベース体における基準点を規定するための超鋼製の標識部材と、を備えることを特徴とする。
この発明のヘッドユニットによれば、標識部材が熱的安定性に優れた超鋼で形成されているため、部材の形状変化による基準点の狂いが生じにくい。このため、吐出位置の精度を安定的に維持することができる。
【0009】
本発明のヘッドユニットは、ノズルが一面に形成されたヘッドと、前記ヘッドを取り付けるためのベース体と、前記ベース体における基準点を規定するための標識部材であって、弾性部材を介して直接的ないし間接的に前記ベース体に固定されている標識部材と、を備えることを特徴とする。
この発明のヘッドユニットによれば、標識部材が弾性部材を介して遊びのない状態でベース体に確実に固定されているので、標識部材の取り付け位置や姿勢の変化による基準点の狂いが生じにくい。このため、吐出位置の精度を安定的に維持することができる。
【0010】
また好ましくは前記ヘッドユニットにおいて、前記標識部材が接着剤を介して前記ベース体に固定されていることを特徴とする。
この発明のヘッドユニットによれば、標識部材が接着剤を介して強固にベース体に固定されているので、標識部材の取り付け位置や姿勢の変化による基準点の狂いが、一層生じにくい。
【0011】
本発明のヘッドユニットは、ノズルが一面に形成されたヘッドと、前記ヘッドを取り付けるためのベース体と、前記ベース体における基準点を規定するための標識部材と、前記標識部材への直接的な干渉を抑えるための保護手段と、を備えることを特徴とする。
この発明のヘッドユニットによれば、保護手段により標識部材への直接的な干渉が抑えられるので、標識部材の取り付け位置や姿勢の変化による基準点の狂いが生じにくい。このため、吐出位置の精度を安定的に維持することができる。
【0012】
本発明のヘッドユニットは、ノズルが一面に形成されたヘッドと、前記ヘッドを取り付けるためのベース体と、前記ベース体における基準点を規定するための超鋼製の標識部材であって、接着剤ないし弾性部材を介して直接的ないし間接的に前記ベース体に固定されている標識部材と、前記標識部材への直接的な干渉を抑えるための保護手段と、を備えることを特徴とする。
この発明のヘッドユニットによれば、標識部材が熱的安定性に優れた超鋼で形成され、また標識部材が弾性部材を介して遊びのない状態でベース体に確実に固定され、さらに保護手段により標識部材への直接的な干渉が抑えられるので、吐出位置の精度を安定的に維持することができる。
【0013】
また好ましくは、前記ヘッドユニットにおいて、前記標識部材は、基準点に対応する領域を有する端面であって、前記ヘッドの前記一面と略同一平面内に含まれる端面を有することを特徴とする。
この発明のヘッドユニットによれば、ノズルの形成面であるヘッドの一面とほぼ同じ高さ(水準)において基準点の位置認識を行うことができる。これにより、ヘッドユニットの組み立てにおいて、基準点に対する相対的なノズルの位置を高精度に認識して、ヘッドの取り付け位置の位置決めを高精度に行うことができる。
【0014】
本発明の液状体吐出装置は、上記ヘッドユニットを搭載することを特徴とする。
この発明の液状体吐出装置は、上記ヘッドユニットを搭載しているので、吐出位置の精度を安定的に維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。また、以下の説明で参照する図では、図示の便宜上、部材ないし部分の縦横の縮尺を実際のものとは異なるように表す場合がある。
【0016】
(液状体吐出装置)
まずは、図1を参照して液状体吐出装置の構成について説明する。
図1は、液状体吐出装置の要部構成を示す斜視図である。
【0017】
図1に示すように、液状体吐出装置200は、直線的に設けられた1対のガイドレール201と、ガイドレール201の内部に設けられたエアスライダとリニアモータ(図示せず)により主走査方向に移動する主走査移動台203を備えている。また、ガイドレール201の上方においてガイドレール201に直交するように直線的に設けられた1対のガイドレール202と、ガイドレール202の内部に設けられたエアスライダとリニアモータ(図示せず)により副走査方向に沿って移動する副走査移動台204を備えている。
【0018】
主走査移動台203上には、吐出対象物となる基板Pを載置するためのステージ205と、主走査移動台203に対向する位置を撮像可能なカメラ206が設けられている。ステージ205は基板Pを吸着固定できる構成となっており、また、回転機構207によって基板P内の基準軸を主走査方向、副走査方向に正確に合わせることができるようになっている。
【0019】
副走査移動台204は、回転機構208を介して吊り下げ式に取り付けられたキャリッジ209を備えている。また、キャリッジ209は、液状体の吐出面10aを基板P側に向けたヘッドユニット10、ヘッドユニット10に液状体を供給する液状体供給機構(図示せず)、ヘッドユニット10に吐出駆動用の電気信号を供給する駆動用電気基板(図示せず)などを備えている。
【0020】
ヘッドユニット10は、吐出面10aを基板Pに対向させた状態で、基板Pに対して相対的に、主走査方向および副走査方向に移動(走査)される。また、ヘッドユニット10の走査に同期した適切な制御の下で、吐出面10a側に設けられたヘッド30(図2参照)から微小な液滴(液状体)が吐出される。これにより、液状体吐出装置200は、基板P上の所望の位置に微少量単位で液状体を配置することができる。尚、液状体には、水や有機溶媒等の液体、およびこれらの溶液、液体中に固体微粒子を分散させたものなどを、用途に応じて採用することができる。
【0021】
ヘッドユニット10の吐出面10a側には、ヘッドユニット10の基準点および基準軸a1(図2参照)を規定するための標識部材71,71(図2参照)が設けられており、この基準点および基準軸a1の認識は、カメラ206による標識部材71,71の撮像により行われる。液状体吐出装置200は、回転機構208の駆動により、ヘッドユニット10の基準軸a1が主走査方向に一致するような状態に調整された上で動作する。またこの動作の際、ヘッドユニット10の走査位置は、ヘッドユニット10の基準点の位置に基づいて認識されるようになっている。
【0022】
(ヘッドユニット)
次に、図2、図3を参照して、ヘッドユニットの構成について説明する。
図2は、ヘッドユニットの構成を示す吐出面側からの斜視図である。図3は、ヘッドユニットにおけるヘッドの周辺構造を示す斜視図である。
【0023】
図2において、ヘッドユニット10は、ベース体としてのベースプレート11に、主ヘッド保持部材50、副ヘッド保持部材60を介して複数(本実施形態では12個)のヘッド30が取り付けられた構成となっている。ベースプレート11は、長方形様の板状部材であり、キャリッジ209(図1参照)への取り付けに用いるボルト孔12と、ヘッドユニット10の組み立て時に位置決め孔としての役割を果たす貫通孔13a,13bを有している。尚、貫通孔13aは丸孔、貫通孔13bは長孔として形成されている。
【0024】
ベースプレート11には、ヘッド30の取り付け領域を挟むように、一対の標識部材71,71が取り付けられている。標識部材71は、端面71aに基準点に対応する領域としての穿孔71b(図4参照)が設けられたロッド状の部材である。また、標識部材71の周りには、標識部材71を保持するための保持部材80と、標識部材71への外部からの干渉を抑えるための保護手段としてのカバー部材90とが設けられている。
【0025】
端面71a,71aにおける穿孔71b(図4参照)の中心はヘッドユニット10の基準点として、また、二つの基準点どうしを結ぶ軸はヘッドユニット10の基準軸a1として、カメラ等の光学的手段を用いて認識される。この基準点および基準軸a1は、液状体吐出装置200(図1参照)におけるヘッドユニット10の位置、姿勢の特定に用いられるだけでなく、この後に説明するヘッド30の取り付け位置の規定のための基準としても用いられるものであり、吐出位置の精度を決める要素として非常に重要なものである。
【0026】
図3に示すように、ヘッド30は、ノズル31を有する吐出アセンブリ32と、電気信号用のフレキシブルケーブルと接続するためのコネクタ33を有する回路基板34と、液状体を導入するための針状部材35を有するケースアセンブリ36とを備えている。
【0027】
吐出アセンブリ32の内部には、ノズル31の個々と連通する微細な流路や、ノズル31内方の流路壁を機械的に変形(変位)させるための圧電素子などが設けられている。尚、吐出アセンブリ32における吐出駆動方式は、このような圧電方式に限られるものではなく、発熱素子を用いたサーマル方式などを採用することもできる。
【0028】
吐出アセンブリ32は、外観において、一面にノズル31が形成されたノズル面37と、ノズル面37と同程度の幅の寸法を持つ直方体形状の本体部38とを備え、本体部38におけるノズル面37の反対側は鍔形状を有したフランジ部39となっている。フランジ部39には、ヘッド30を副ヘッド保持部材60にねじ止めするためのねじ孔40,40が設けられている。
【0029】
ノズル面37において、ノズル31は2組のノズル群を構成しており、各ノズル群のノズル31は、それぞれ所定の方向に沿って一定のピッチで並んだライン配列をなしている。両ノズル群に係る配列の方向は互いに一致しており、また本実施形態では、両ノズル群は互いにピッチを補完して並列するいわゆる千鳥配列をなしている。
【0030】
主ヘッド保持部材50は、ヘッド30のフランジ部39よりも大きめの外周寸法を有する長方形形状の開口部51を中央部に有する板状の部材であり、その長手方向の寸法はベースプレート11における開口部18の幅に比べて十分長くなっている。また、主ヘッド保持部材50は、開口部51の長辺方向の両脇にねじ孔52,52を、端部の3箇所に貫通孔53,53,53を有している。
【0031】
副ヘッド保持部材60は、ヘッド30の本体部38よりもやや大きめの外周寸法を有する長方形形状の開口部61を中央部に有する板状の部材であり、その長手方向の寸法は主ヘッド保持部材50における開口部51の長辺方向の幅に比べて十分長くなっている。また、副ヘッド保持部材60は、対称的な配置で対をなすように設けられた、貫通孔62,62、貫通孔63,63、貫通孔64a,64b、貫通孔65,65を有している。尚、貫通孔64aは丸孔として、貫通孔64bは長孔として形成されている。
【0032】
ヘッド30は、貫通孔65を貫通してフランジ部39のねじ孔40と螺合するねじ15により、開口部61から本体部38が突き出した状態で副ヘッド保持部材60に固定される。また、副ヘッド保持部材60は、貫通孔62を貫通してねじ孔52と螺合するねじ16により、開口部51上に架設されるような状態で主ヘッド保持部材50に固定される。また、主ヘッド保持部材50は、貫通孔53を貫通して開口部18の脇のねじ孔14と螺合するねじ17により、開口部18上に架設されるような状態でベースプレート11に固定される。
【0033】
ヘッドユニット10の組み立ての際には、副ヘッド保持部材60と主ヘッド保持部材50とを固定するねじ16は緩く締められた状態とされ、ヘッド30は、フランジ部39の外縁と開口部51の内縁との間に形成される隙間分の遊びを有した状態で、主ヘッド保持部材50に対して保持される(この状態を仮装着状態と呼ぶ)。ヘッド30は、仮装着状態の下で取り付け位置について正確に位置決めされ、ねじ16の本締めにより本固定される。
【0034】
ヘッド30の位置決めは、撮像によるノズル31の位置認識に基づいて、副ヘッド保持部材60の貫通孔64a,64bに係合された調整ピン121,121を介してヘッド30を並進、回転移動させて行われる。例えば、本実施形態では、基準点(穿孔71b(図4参照))に対するノズル31の位置、および、ノズル群の配列方向(複数のノズル31の位置から計算される)の基準軸a1からの傾き角度を、所定の規定値に合わせるように、ヘッド30の移動が行われる。尚、ヘッド30の位置決めをノズル31の位置認識に基づいて行うようにしたのは、ノズル31の位置が液状体の吐出位置の精度を直接的に決める要素だからである。
【0035】
上述のように、ノズル31の位置は基準点(穿孔71b(図4参照))に対する相対位置として認識されるため、このような位置認識を高精度に行う目的から、標識部材71の端面71aは、ノズル面37とほぼ同一平面内に含まれるような高さ(水準)とされている。すなわち、標識部材71が細長いロッド状の形状となっているのは(図4参照)、端面71aの高さ(水準)をベースプレート11の一面の高さ(水準)から十分に底上げする必要があるためである。
【0036】
ヘッド30の位置決め後、副ヘッド保持部材60と主ヘッド保持部材50とは、副ヘッド保持部材60の貫通孔63,63への接着剤の注入による仮固定を経て、ねじ16の本締めによって完全に固定される。かくして、ヘッドユニット10は、ヘッド30が高精度に位置決めされた状態で組み立てられる。
【0037】
(標識部材の周辺構造について)
次に、図4を参照して、標識部材の周辺構造について詳細に説明を行う。
図4は、ヘッドユニットにおける標識部材の周辺構造を示す斜視図である。
【0038】
図4に示すように、標識部材71は、フランジ部71cを有したロッド状の部材であり、鏡面研磨された端面71aの中央部に穿孔71bが穿設されている。そして、標識部材71は、フランジ部71cの下部においてベースプレート11上の取り付け孔73に挿入され、フランジ部71cのベースプレート11への度当たりによって、端面71aの高さ(水準)が規定されるようになっている。
【0039】
先にも述べたとおり、標識部材71は液状体吐出装置200(図1参照)の吐出位置の精度を決める上で重要な役割を果たすものであるため、部材自体の形状、取り付け位置、姿勢などに関して、高い安定性を有することが要求される。そこで、本実施形態では、標識部材71に関する構造について、以下で述べるような工夫がされている。
【0040】
標識部材71の素材には超鋼が用いられている。これは熱的安定性に優れた(熱膨張係数の小さい)素材を採用することで、部材の形状、ひいては穿孔71bの位置を安定的に維持できるように配慮されたものである。しかしながら、超鋼を用いた標識部材71は、その硬さのために取り付け孔73に打ち込み式に固定することができないという問題がある。そこで、標識部材71を、その取り付け位置や姿勢を安定的に維持した状態で固定するため、次のような固定方法が採用されている。
【0041】
標識部材71は、取り付け孔73に注入した接着剤(図示を省略)を介してベースプレート11と強固に接合されている。また、標識部材71におけるフランジ部71cの上側にはワッシャ75と弾性部材としてのOリング76が挿嵌されており、標識部材71は、Oリング76と保持部材80とを介して、遊びのない状態でベースプレート11に確実に固定されるようになっている。
【0042】
保持部材80は、標識部材71の外径よりもやや大きめの内径を有する貫通孔81と、Oリング76を保持するために凹部として形成されたホルダ部82と、貫通孔83,83と、ねじ孔85,85とを備える略直方体形状の金属部材である。保持部材80は、貫通孔83,83を貫通してベースプレート11のねじ孔74,74と螺合するボルト86,86によりベースプレート11に固定される。この際、標識部材71に挿嵌されたOリング76はホルダ部82によって保持され、標識部材71の上部は、貫通孔81を通して上方に突出した状態となる。
【0043】
標識部材71は、端面71aこそ露出させておく必要があるものの、それ以外の箇所を露出させたままにしておくと、ヘッドユニット10の取り扱い時の接触事故や動作時の風圧の影響等により、その取り付け位置や姿勢が変化してしまう虞がある。そこで、本実施形態では、保持部材80上に設けられたカバー部材90により、標識部材71の上部側面がカバーされ、標識部材71への直接的な干渉が好適に抑制されるようになっている。
【0044】
カバー部材90は、標識部材71の外径よりもやや大きめの内径を有する貫通孔91と、ボルト用の貫通孔92,92とを備える略直方体形状の金属部材であり、貫通孔92,92を貫通して保持部材80のねじ孔85,85と螺合するボルト93,93により保持部材80に固定される。尚、カバー部材90と保持部材80とは一体型の部材とすることも可能である。
【0045】
(変形例)
次に、図5を参照して、変形例について、先の実施形態との相違点を中心に説明する。
図5は、変形例に係る標識部材の周辺構造を示す斜視図である。
【0046】
図5に示すように、ベースプレート11は、標識部材71に挿嵌されたOリング76を保持するための凹部として形成されたホルダ部77と、ホルダ部77の下面に形成された取り付け孔78とを備えている。標識部材71は、フランジ部71cの下部において取り付け孔78に挿入され、Oリング76およびホルダ部77に注入された接着剤(図示を省略)を介して確実に且つ強固に固定されている。
【0047】
また、ベースプレート11は、標識部材71の周囲を取り囲むように延出して形成されたリブ部79を備えている。このリブ部79は、先のカバー部材90と同様、標識部材71への直接的な干渉を抑えるための保護手段としての役割を果たすものである。
【0048】
この変形例のように、標識部材71の固定において保持部材80やカバー部材90を用いない態様で、上述の実施形態と同様の効果を得ることも可能である。
【0049】
本発明は上述の実施形態に限定されない。
例えば、標識部材の素材、形状、取り付け位置、取り付け方法などについては、本発明の趣旨を変えない範囲で様々な変更が可能である。
実施形態の各構成はこれらを適宜組み合わせたり、省略したり、図示しない他の構成と組み合わせたりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】液状体吐出装置の要部構成を示す斜視図。
【図2】ヘッドユニットの構成を示す吐出面側からの斜視図。
【図3】ヘッドユニットにおけるヘッドの周辺構造を示す斜視図。
【図4】ヘッドユニットにおける標識部材の周辺構造を示す斜視図。
【図5】変形例に係る標識部材の周辺構造を示す斜視図。
【符号の説明】
【0051】
10…ヘッドユニット、11…ベース体としてのベースプレート、30…ヘッド、31…ノズル、37…ヘッドの一面としてのノズル面、71…標識部材、71a…標識部材の端面、71b…基準点に対応する領域としての穿孔、71c…フランジ部、73…取り付け孔、75…ワッシャ、76…弾性部材としてのOリング、77…ホルダ部、78…取り付け孔、79…保護手段としてのリブ部、80…保持部材、90…保護手段としてのカバー部材、200…液状体吐出装置、209…キャリッジ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルが一面に形成されたヘッドと、
前記ヘッドを取り付けるためのベース体と、
前記ベース体における基準点を規定するための超鋼製の標識部材と、を備えるヘッドユニット。
【請求項2】
ノズルが一面に形成されたヘッドと、
前記ヘッドを取り付けるためのベース体と、
前記ベース体における基準点を規定するための標識部材であって、弾性部材を介して直接的ないし間接的に前記ベース体に固定されている標識部材と、を備えるヘッドユニット。
【請求項3】
前記標識部材が接着剤を介して前記ベース体に固定されていることを特徴とする請求項2に記載のヘッドユニット。
【請求項4】
ノズルが一面に形成されたヘッドと、
前記ヘッドを取り付けるためのベース体と、
前記ベース体における基準点を規定するための標識部材と、
前記標識部材への直接的な干渉を抑えるための保護手段と、を備えるヘッドユニット。
【請求項5】
ノズルが一面に形成されたヘッドと、
前記ヘッドを取り付けるためのベース体と、
前記ベース体における基準点を規定するための超鋼製の標識部材であって、接着剤ないし弾性部材を介して直接的ないし間接的に前記ベース体に固定されている標識部材と、
前記標識部材への直接的な干渉を抑えるための保護手段と、を備えるヘッドユニット。
【請求項6】
前記標識部材は、基準点に対応する領域を有する端面であって、前記ヘッドの前記一面と略同一平面内に含まれる端面を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載のヘッドユニット。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一項に記載のヘッドユニットを搭載する液状体吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−18626(P2008−18626A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−192731(P2006−192731)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】