説明

ベルト搬送装置およびトナー像加熱装置

【課題】ベルト片寄り走行を低コストで簡素な機構をもって防止できるベルト搬送装置及び画像加熱装置を提供する。
【解決手段】加圧用定着ベルト(加圧ベルト)204のベルト幅方向両端部に臨んで形状記憶合金製のばね部材209a,209b(熱応答性部材)が配置されている。走行中、加圧ベルト204がベルト幅方向の一方側に片寄りすると、そのベルト端部が近接したことで熱せられている加圧ベルト204の熱にばね部材209bが感応して変形する。ばね部材209bの変形による作動力で近接したベルト端部側のローラ揺動支持フレーム205を揺動ピン206を支点にして重力方向に持ち上げる。このような揺動を他方側のばね部材209aと交互に繰り返し、加圧ベルト204の傾きを矯正する。そうした片寄り矯正を特別な作動機構を用いず、また片寄り検出センサなども不要であり、簡易構造かつ低コストで済む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンドレスベルトを備えたベルト搬送装置及びこれを備えたトナー像加熱装置に関するものである。このベルト搬送装置やトナー像加熱装置は、電子写真式の、複写機、ファクシミリ、プリンタもしくはこれらの機能を複数備えた複合機等の画像形成装置に用いられ得る。
【背景技術】
【0002】
未定着トナー像を上面に担持した記録材をエンドレスベルト状の定着フィルムに密着させて一緒に加圧ローラとの間の定着ニップ部を通過させることで、未定着のトナー像を加圧しかつ加熱して永久定着させる方式の定着装置が周知である。エンドレスベルト状の定着フィルムは駆動ローラおよび従動ローラ間に捲回されて回動走行し、走行中に幅(ベルト幅)方向に片寄って移動すると、そのまま他部材に当接するまで片寄り続ける事態が生じる。
【0003】
片寄り防止を目標にした構造として一般には図19に示すものが周知である。この場合、ローラの幅方向両端にフランジ112を立ち上げて設け、ベルト104が片寄りするとその端部をフランジ112に当接させてこれ以上の片寄りを防止するというものである。しかしこの一般構造では、ベルト104の端部とローラ側フランジ112とが互いに摺擦して磨耗してしまうといった不都合がある。
【0004】
ところで、そうしたベルト片寄りの原因として考えられるのは、図20に示すように、駆動ローラ102と従動ローラ103の双方の回転軸線の平行度に狂いが生じ、ローラ回転軸線が相対に傾いたことによることが大きい。したがって、そのローラ傾きを矯正してやればベルト片寄りを抑えることができる。先に、本出願人はベルト片寄り防止に関する構造を装備した定着装置を提案している(たとえば、特開平2−157880号公報参照)。これについて図20を参照して概略的に説明する。
【0005】
ベルト104の幅方向両端側にベルト片寄りを検出する片寄り検出センサ113a,113bを配置し、従動ローラ103の回転軸線の傾きを調整機構で修正することでベルト片寄りを抑える。すなわち、ベルト104が矢印A方向への回動走行中にベルト幅方向の矢印B方向に片寄ると、それを片寄り検出センサ113bが検出する。検出結果に基づいて従動ローラ103の回転軸線を矢印B方向と逆の図21でいう手前側を矢印C方向に調整機構を作動させて下げる。そのようにローラ回転軸線の傾きつまり「ローラ軸角」を修正することによって、ベルト104が矢印D方向に後戻りして正常姿勢に矯正される。ベルト片寄り方向が矢印B方向と逆の場合は、図22に示すように、片寄り検出センサ113aがその片寄りを検出して従動ローラ103の手前側を今度は矢印E方向に上げる。それによってベルト104がF方向に後戻りして正常姿勢に矯正される。
【0006】
ベルト回動走行中、そうしたローラ回転軸線の傾きであるローラ軸角修正が交互に繰り返される。すなわち、ベルト104がベルト幅方向の一方側へ片寄りすればその一方側を上げ、他方側に片寄りすればその他方側を上げることで、交互に修正を繰り返しながらベルト104の回動走行を続行させる。
【0007】
【特許文献1】特開平2−157880号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特開平2−157880号公報に開示されたベルト片寄り防止機構では、従動ローラ103のローラ軸角を調整するための動力源となるモータ、減速ギヤ列、片寄り検出センサなどの部材や機器が必要となる。従って、ベルトの片寄りを制御するための機構が大型化したり、コスト高となってしまう恐れがあり、ここに改善の余地がある。
【0009】
本発明の目的は、エンドレスベルトをその幅方向へ移動させる機構が大型化してしまうのを防止することができるベルト搬送装置並びにトナー像加熱装置を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、エンドレスベルトをその幅方向へ移動させる機構のコストを低減させることができるベルト搬送装置並びにトナー像加熱装置を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は添付図面を参照しつつ以下の詳細な説明を読むことにより明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための本発明における代表的な手段は、エンドレスベルトと、前記ベルトを回転可能に支持する支持部材と、前記ベルトを回転駆動する駆動機構と、前記ベルトを加熱する加熱部材と、前記ベルトをその幅方向へ移動させるため前記支持部材の長手方向一端側を変位させる変位機構と、を有し、前記変位機構は、前記ベルトの幅方向における移動方向が変更されるように、前記加熱部材により加熱された前記ベルトが近づくに伴い熱変形可能な熱応答性部材を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明にあっては、ベルトのの熱に感応して変形する熱応答性部材を用いたことで、回動走行中のベルトの片寄り移動を自動的に修正することができる。従って、ベルトの片寄り移動を、装置の大型化やコストアップ無しに、修正することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明によるベルト搬送装置およびトナー像加熱装置のそれぞれ好適な実施形態について図面を参照して詳述する。まず、画像形成装置の画像形成部について説明し、その後、ベルト搬送装置およびトナー像加熱装置としての定着装置について説明を行う。
【0015】
[実施例1]
(画像形成装置)
図1は画像形成装置の概略図である。この画像形成装置本体11の一側には多量の記録材Sを積載収納した給送デッキ12が備わり、またその装置本体11内部の下方には記録材Sを積載して収納した複数の給送カセット13,14を備えている。さらに、それら給送デッキ12と給送カセット13,14の設置部位にそれぞれリタード分離方式の給送装置15,16,17が配置されている。記録材Sは各給送装置15,16,17によって給送されると、回転停止状態のレジトローラ対18に送り込まれて斜行姿勢の矯正が行われる。
【0016】
画像形成部を構成する像担持体としての感光体ドラム21においては、記録材S上に形成される潜像とのタイミングをとって回転するレジストローラ対18によって、感光体ドラム21と転写帯電器22との間に記録材Sが送られる。ここで感光体ドラム21上のトナー像が記録材S上に転写される。この後、記録材Sは搬送ベルト23で画像加熱装置24に送られ、転写された未定着のトナー像を記録材S上に加圧加熱して永久定着がなされる。
【0017】
装置本体11では、記録材Sの表裏両面への両面複写を行う両面複写モードと多重複写を行う多重複写モードを具備することができる。通常複写モード(片面複写モード)の場合、定着処理後の記録材Sは内排出ローラ対26によって機外の排出トレイ27上に排出される。また、両面複写モードと多重複写モードの場合には、内排出ローラ対25またはスイッチバックローラ対29によって再給送パス28と両面搬送パス30を介して中間トレイ31上に一時的に積載収納される。中間トレイ31上に収納された記録材Sは再給送装置32によって再び画像形成のためにレジストローラ対18に搬送され、以後片面複写と同一のプロセスを経て機外に排出される。
【0018】
(定着装置)
図2はトナー像加熱装置としての定着装置24の概略図である。この定着装置24は定着ローラ200と加圧ユニット201を有している。
【0019】
定着ローラ200には加熱部材としてハロゲンヒータ200aが内蔵されている。そして、定着ローラの表面に接触させたサーミスタ200bにより温度を検出し、この検出温度に応じてハロゲンヒータへの通電をコントロールしている。
【0020】
ベルト搬送装置としての加圧ユニット201は、エンドレスベルトである加圧ベルト204を有している。この加圧ベルト204は定着ローラ200との間で記録材上の未定着トナー像を加熱及び加圧することにより定着する定着ニップを形成する機能を担っている。そして、この加圧ベルトは、回転駆動機構を構成するモータから回転駆動力が伝達される駆動部材としての駆動ローラ202と、支持部材としての従動ローラ203とにより懸架されている。駆動ローラ202と従動ローラ203の軸間距離は、従動ローラ203を駆動ローラ202から離間させる方向へ張力付与手段(図示略)により付勢することで調整されている。それによって加圧ベルト204に適度な張力を付与して回動走行させるようになっている。つまり、従動ローラ203はテンションローラとして機能する。
【0021】
(ベルト片寄り防止機構)
図3は変位機構としてのベルト片寄り防止機構の概略図である。なお、ここで、従動ローラ203の回転軸線方向のことを長手方向とも呼ぶことにする。また、この回転軸線方向(長手方向)は加圧ベルトの幅方向と平行な方向である。
【0022】
図3に示すように、ベルト片寄り防止機構は、従動ローラ203を回転軸線両端軸部203a,203bを回転可能に支持する長尺の揺動フレーム205を有している。この揺動フレーム205は長尺両端部が直角に曲がったコ字形状に形成され、その両端コ字形部に設けた軸受孔に従動ローラ203の両端軸部203a,203bを係合させて回転可能に軸支している。そして、揺動フレーム205は長手方向の中間部で揺動ピン206を介して「シーソー」のごとき揺動可能に加圧ユニットのユニット枠体に支持されている。したがって、揺動フレーム205の一端部が重力方向上方に変位すると、一緒に従動ローラ203の両端軸部203a,203bのいずれか一方側が変位し、従動ローラの回転軸線が傾けられるようになっている。
【0023】
従動ローラ203の両端軸部203a,203bの軸上にはそれぞれ熱伝導部材207a,207bが摺動可能に保持されている。
【0024】
なお、片寄り防止機構は、従動ローラ203の回転軸線方向一端側(長手方向一端側)と他端側とで同様な構成とされているので、ここでは、従動ローラ203の回転軸線方向一端側である203a側を例に図4を用いて説明し、他端側の詳細な説明を省略する。
【0025】
これら熱伝導部材207a,207bには従動ローラ203のローラ径とほぼ同径の円筒部207c(図7)が設けられている。また、熱伝導部材207a,207bの材質は熱伝導率の高いたとえばアルミニウムを用いている。従動ローラ203と熱伝導部材207a,207bとの間に断熱ブッシュ208が装着され、従動ローラ203から熱伝導部材207a,207bに直に熱が伝わりにくくなっている。断熱ブッシュ208の材料には熱伝導率が低く耐熱性が高いものを選定するのが好ましい。また、従動ローラ203が回転しても断熱ブッシュ208は回転せずに固定され、ローラ両端軸部203a,203bの外周と断熱ブッシュ208の内周が摺察する。そのため、断熱ブッシュ208の材質は摺動性に優れたものを用いることが好ましく、本例ではPPSといった樹脂材料を用いている。
【0026】
図3〜図5に示すように、熱伝導部材207a,207bの上部には熱変形可能な熱応答性部材としての形状記憶合金製のばね部材(付勢部材)209a,209bの一端が連結されている。このばね部材は人工筋肉と呼ばれるものを用いており、従動ローラ203に作用する付勢力が温度に応じて変化する特性を有している。
【0027】
すなわち、ばね部材209a,209bは従動ローラ203の回転軸線を定常の水平位置に向かって押圧する付勢力を有している。ばね部材209a,209bの形状回復温度は、定着装置24における定着温度に対応させてたとえば50〜250度の範囲内に設定するのが好ましく本例では150度に設定している。そうした形状回復温度の測定は周辺の部材から伝熱されるばね部材209a,20b自体の温度で検出することができる(図8中矢印参照)。そこで、150度を上回ると収縮した形状に回復し、その収縮変形によって発生する作動力で従動ローラ203のローラ両端軸部203a,203bのいずれか一方を重力方向でいう上方に持ち上げる。また、ばね部材209a,209bとしては、Ni(ニッケル)とTi(チタン)の合金でなっており、Ni含有率を減らしたり、Co(コバルト)などを含有させたりなどして形状回復温度を高温に設定できる。通常、ばね部材209a,209bの近傍の雰囲気温度は100度程度であるため、加圧ベルト204が片寄りしない状態においては、ばね部材209a,209bが形状回復するようなことはない。一方のばね部材209bが形状回復温度に温められると形状回復し、予め設定してある形状に縮む。このときFaとFbの力のバランス(図5参照)がくずれて、揺動フレーム205が反時計廻りに揺動してストッパ210bに突き当たり、図9に示す状態になる。
【0028】
また、一方のばね部材209aから揺動フレーム205の揺動支点206までの距離Laと、その揺動支点206から他方のばね部材209bまでの距離Lbとは同等に設定してある。また、図5に示す状態で揺動フレーム205を介して一方のばね部材209aが従動ローラ203を引き上げる力をFa、他方のばね部材209bが従動ローラ203を引き上げる力をFbとする。Fa=Fbと設定すると、その場合の揺動フレーム205に作用する回転モーメントの関係は、
Fa×La=Fb×Lb ・・・(1)
であり、揺動支点206を介して回転モーメントは釣り合っている。
【0029】
そこで、いま図6に示すように、定着ローラ200に内蔵されたハロゲンヒータ200aによって加熱された状態にある加圧ベルト204が矢印A方向への回動走行中にベルトの幅方向一端側である矢印B方向に片寄り移動し、熱伝導部材207bに近づいたとする。
【0030】
熱伝導部材207bには円筒部207cを設けてあるため、加圧ベルト204の端部内面がその円筒部207cの外周に接触して熱が伝わる(図7,図8参照)。但し、加圧ベルト204の端部内面で熱を受ける構造が示されているが、ベルト外周やベルト端面などで熱を受ける構造でも可能である。定着ローラ200が200度に温度調整されている場合、加圧ベルト204の端部は記録材Sに接触しないから、定着ニップ部にて定着ローラ200から伝熱される加圧ベルト端部の温度は、低下しても150度を下回ることはない。したがって、回動走行中、加圧ベルト204が片寄りして熱伝導部材207bに接触すると、ばね部材209bは熱伝導部材207bから加圧ベルト204の熱を受熱し、150度以上の温度に加熱される。
【0031】
そのとき、一方のばね部材209aが従動ローラ203を引き上げる力をFa’、他方のばね部材209bが従動ローラ203を引き上げる力をFb’とすると、
Fa’×La<Fb’×Lb ・・・(2)
の関係が成立する。
【0032】
ばね部材209a,209bの従動ローラ203に作用するモーメントが釣り合わなくとも、上記(2)式の関係を満足させれば、ストッパ210bによって従動ローラ203を予定位置に位置決めすることができる。ストッパ210bを設けていない場合、ばね部材209a,209bのモーメントが釣り合った位置で従動ローラ203は停止する。
【0033】
従動ローラ203の一端部が持ち上げられてストッパ210bに当接して静止された図9に示す状態になると、加圧ベルト204は図10に示す矢印D方向に寄り始める。加圧ベルト204が寄り移動し続けて、今度は熱伝導手段207aに接触してばね部材209aを温めて形状回復させる。それにより、揺動フレーム205は揺動ピン206を支点にして時計廻り方向に揺動し、ストッパ210aに突き当たり、図11に示す状態になる。
【0034】
このときの一方のばね部材209aが従動ローラ203を引き上げる力をFa”、他方のばね部材209bが従動ローラ203を引き上げる力をFb”とすると、
Fa”×La>Fb”×Lb ・・・(3)
の関係式が成立する。それにより、加圧ベルト204は移動方向を変更して図12に示すF方向に寄り始める。
【0035】
以上をまとめると、揺動フレーム205に支持された従動ローラ203が揺動ピン206を支点にしてシーソーのごとき左右交互に揺動を繰り返す。その結果、回動走行中の加圧ベルト204は、規定以上に幅方向外側へ寄ってしまうことがなく、幅方向中央の正常ゾーン内を揺動することになる。つまり、加圧ベルトを正常ゾーン内に留まらせることができるのである。
【0036】
このように、本例では、加圧ベルトの熱に感応して変形する熱応答性部材を用いたことで、回動走行中の加圧ベルトの片寄り移動を自動的に修正することができる。
【0037】
従って、加圧ベルトの片寄り移動を、従来のようなモータ、伝達ギア列や片寄り検出センサなどの部材、機構を用いずに、自動修正することができる。つまり、加圧ベルトの片寄り移動を、装置の大型化やコストアップ無しに、自動修正することができる。
【0038】
[実施例2]
次に実施例2について説明する。なお、後述する変更点以外は上記実施例1と構成が同様であるので、説明を省略する。
【0039】
図13および図14に示すように、ベルト搬送装置としての加圧ユニットは以下の構造を有する。すなわち、従動ローラ203を駆動ローラ202から離間させる方向に付勢するコイル形状のばね部材211a,211bを有し、加圧ベルト204にこのベルト幅方向に適度な張力を付与しつつ回動走行させる構造である。ばね部材211a,211bは従動ローラ203の両端部をそれぞれ付勢する。
【0040】
すなわち、加圧ベルト204のベルト幅方向の両端部に作用する張力がバランスした状態から、ばね部材211a,211bの力のバランスを変えることによって、加圧ベルト204の片寄りを自動矯正することができる。ばね部材211a,211bは同じく形状回復温度が150度に設定された形状記憶合金であり、形状回復温度で伸びるように形状記憶されている。また、実施例1の場合と同じく熱伝導部材が設けられている。たとえば、加圧ベルト204がB方向に片寄りした場合、ばね部材211bが形状回復して伸びようとするため発生する力が大きくなる。それによって、加圧ベルト204の片寄り移動がB方向とは逆に押し戻され、矯正され始める。このような動作を繰り返すことによって、加圧ベルト204を片寄りのない安定した姿勢で回動走行させることが可能となる。
【0041】
[変形例]
以上、本発明のベルト搬送装置およびトナー像加熱装置について実施例1、2を説明したが、本発明の主旨を逸脱しない範囲内でそれらの実施形態に限定されない。
【0042】
具体的には、実施例1、2では、定着装置の加圧ユニットを例にベルト搬送装置を説明したが、こうした定着装置用のベルトに限らない。例えば、画像形成部にある転写ベルト装置や記録材を搬送する記録材搬送装置などの加熱される環境にあるベルト搬送装置にも本発明を同様に適用可能である。
【0043】
また、実施例1、2ではトナー像加熱装置の例として定着装置について説明したが、記録材に定着されたトナー像を加熱することによって画像の光沢度を増進させる「光沢増進化装置」にも本発明を同様に適用可能である。
【0044】
また、以上において、従動ローラ203の両端部に熱応答性部材としての形状記憶合金製のばね部材209a,209bを装着した構造例を示したが、このような例だけに限らない。例えば、いずれか片方のばね部材は形状記憶合金製でなくとも通常のばね鋼製などであっても構わない。
【0045】
また、熱応答性部材としてのばね部材209a,209bはコイル形状でなくとも、図15に示すように形状記憶合金繊維209を紐材や線材にしたものを輪環状にしたもので代用することもできる。その場合は、形状記憶合金繊維が熱によって収縮することで従動ローラ203の傾きが変わる。さらに、図16に示すように、伸縮する繊維状の形状記憶合金209をコイル状に巻いたものにすると大きな力を出すことができる。また、図17および図18に示す板状の弾性部材209を弾性変形させることで従動ローラ203の回転軸線の傾きを自動調整することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】画像形成装置を示す概略断面図。
【図2】定着装置における加圧ユニットを示す図。
【図3】ベルト片寄り防止機構および揺動フレームの要部を示す斜視図。
【図4】揺動フレームにおける一方端側の熱応答性部材とその関連機構を示す図。
【図5】揺動フレームの揺動支点からのモーメント平衡状態を示す図。
【図6】ベルトの片寄り走行例を示す斜視図。
【図7】ベルトの片寄り走行時の一方端側のみを示す斜視図。
【図8】ベルトから熱が伝導される態様を示す図。
【図9】ベルトの片寄り走行時の態様を示す図。
【図10】図9に対応する態様を示す斜視図。
【図11】図9とは逆方向へのベルト片寄り走行時の態様を示す図。
【図12】図11に対応する態様を示す斜視図。
【図13】実施例2の加圧ユニットを示す図。
【図14】実施例2の加圧ユニットを示す図。
【図15】変形例の加圧ユニットの要部を示す図。
【図16】変形例の加圧ユニットの要部を示す図。
【図17】変形例の加圧ユニットの要部を示す図。
【図18】変形例の加圧ユニットの要部を示す図。
【図19】従来例の構造を示す図。
【図20】同従来例においてベルト検出センサを設けた構造を示す図。
【図21】同従来例においてベルト検出センサによる検出信号に基づいてローラ軸角矯正態様を示す図。
【図22】同従来例において逆方向へのローラ軸角矯正態様を示す図。
【符号の説明】
【0047】
24 …定着装置
200 …定着ローラ
200a …ハロゲンヒータ
202 …駆動ローラ
203 …従動ローラ
204 …加圧ベルト
205 …揺動フレーム
206 …揺動支点
207a,207b …熱伝導部材
207c …円筒部
209a,209b …ばね部材
211a,211b …ばね部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンドレスベルトと、
前記ベルトを回転可能に支持する支持部材と、
前記ベルトを回転駆動する駆動機構と、
前記ベルトを加熱する加熱部材と、
前記ベルトをその幅方向へ移動させるため前記支持部材の長手方向一端側を変位させる変位機構と、
を有し、
前記変位機構は、前記ベルトの幅方向における移動方向が変更されるように、前記加熱部材により加熱された前記ベルトが近づくに伴い熱変形可能な熱応答性部材を有することを特徴とするベルト搬送装置。
【請求項2】
前記熱応答性部材は、前記熱応答性部材に対し前記ベルトが遠ざかるに伴いその変形が回復する特性を備えていることを特徴とする請求項1記載のベルト搬送装置。
【請求項3】
前記熱応答性部材は形状記憶合金を有することを特徴とする請求項2記載のベルト搬送装置。
【請求項4】
前記熱応答性部材は前記支持部材に作用する付勢力が温度に応じて変化する特性を備えた付勢部材を有することを特徴とする請求項2記載のベルト搬送装置。
【請求項5】
前記変位機構は前記支持部材の長手方向両端側をそれぞれ変位させるため前記熱応答性部材を複数有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの記載のベルト搬送装置。
【請求項6】
記録材上のトナー像をニップ部において加熱するエンドレスベルトと、
前記ベルトを回転可能に支持する支持部材と、
前記ベルトを回転駆動する駆動機構と、
前記ベルトを加熱する加熱部材と、
前記ベルトをその幅方向へ移動させるため前記支持部材の長手方向一端側を変位させる変位機構と、
を有し、
前記前記変位機構は、前記ベルトの幅方向における移動方向が変更されるように、前記加熱部材により加熱された前記ベルトが近づくに伴い熱変形可能な熱応答性部材を有することを特徴とするトナー像加熱装置。
【請求項7】
前記熱応答性部材は、前記熱応答性部材に対し前記ベルトが遠ざかるに伴いその変形が回復する特性を備えていることを特徴とする請求項6記載のトナー像加熱装置。
【請求項8】
前記熱応答性部材は形状記憶合金を有することを特徴とする請求項7記載のトナー像加熱装置。
【請求項9】
前記熱応答性部材は前記支持部材に作用する付勢力が温度に応じて変化する特性を備えた付勢部材を有することを特徴とする請求項7記載のトナー像加熱装置。
【請求項10】
前記変位機構は前記支持部材の長手方向両端側をそれぞれ変位させるため前記熱応答性部材を複数有することを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載のトナー像加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2008−170957(P2008−170957A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−290694(P2007−290694)
【出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】