ペースト塗布装置、電子部品接合装置、ペースト塗布方法及び電子部品接合方法
【課題】ペーストの空打ちを防止して確実な定量吐出を行うことができるペースト塗布装置、電子部品接合装置、ペースト塗布方法及び電子部品接合方法を提供する。
【解決手段】ペースト貯留部内に正圧を供給してペースト吐出口からペーストPTを吐出させた後、ペースト貯留部内に負圧を供給し、ペースト貯留部内の圧力を、ペースト貯留部内のペーストPTがペースト吐出口から垂れを生じることなくペースト貯留部内に保持される保持圧力よりも低い圧力の吸引圧力に調整することによってペーストPTを吸い上げ、ペースト吐出口からペーストPTの垂れが生じなくなったときに、ペースト貯留部内の圧力を保持圧力に調整する。
【解決手段】ペースト貯留部内に正圧を供給してペースト吐出口からペーストPTを吐出させた後、ペースト貯留部内に負圧を供給し、ペースト貯留部内の圧力を、ペースト貯留部内のペーストPTがペースト吐出口から垂れを生じることなくペースト貯留部内に保持される保持圧力よりも低い圧力の吸引圧力に調整することによってペーストPTを吸い上げ、ペースト吐出口からペーストPTの垂れが生じなくなったときに、ペースト貯留部内の圧力を保持圧力に調整する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペーストの吐出を行うシリンジを備えて構成されるペースト塗布装置、電子部品接合装置、ペースト塗布方法及び電子部品接合方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ダイボンダーのように基板に電子部品を接合させる電子部品接合装置では、基板上の電子部品が接合される位置(目標接合位置)に、予め接着剤等のペーストが塗布される。この基板にペーストを塗布するペースト塗布装置は、ペーストが貯留されるペースト貯留部及びペースト貯留部に繋がるペースト吐出口を備えたシリンジを有しており、ペースト貯留部内に正圧を供給することによってペースト吐出口からペーストを吐出させ、ペーストの吐出を行った後はペースト貯留部内に負圧を供給することによって、ペースト吐出口から垂れているペーストをペースト貯留部内に吸い上げるようになっている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−204268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のペースト塗布装置では、ペーストを過剰に吸い上げてしまってペースト吐出口に空隙部分が形成され、いわゆる空打ちが生じて定量吐出ができなくなる場合があるという問題点があった。
【0005】
そこで本発明は、ペーストの空打ちを防止して確実な定量吐出を行うことができるペースト塗布装置、電子部品接合装置、ペースト塗布方法及び電子部品接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載のペースト塗布装置は、ペーストが貯留されるペースト貯留部及びペースト貯留部に繋がるペースト吐出口を備え、ペースト貯留部内に正圧が供給されたときにペースト吐出口からペーストを吐出するシリンジと、ペースト貯留部内に正圧を供給する正圧供給管路と、ペースト貯留部内に負圧を供給する負圧供給管路と、正圧供給管路からペースト貯留部内に正圧を供給させてペースト吐出口からペーストを吐出させた後、負圧供給管路からペースト貯留部内に負圧を供給させる圧力切り替え手段と、圧力切り替え手段によりペースト貯留部内への負圧の供給が開始された後、ペースト吐出口からペーストの垂れが生じているか否かの検出を行う垂れ検出器と、圧力切り替え手段によりペースト貯留部内への負圧の供給が開始された後、ペースト貯留部内の圧力を、ペースト貯留部内のペーストがペースト吐出口から垂れを生じることなくペースト貯留部内に保持される第1の圧力よりも低い圧力の第2の圧力に調整し、垂れ検出器によりペースト吐出口からペーストの垂れが生じなくなったことが検出されたとき、ペースト貯留部内の圧力を第1の圧力に調整する圧力調整手段とを備えた。
【0007】
請求項2に記載のペースト塗布装置は、請求項1に記載のペースト塗布装置であって、圧力調整手段によりペースト貯留部内の圧力が第1の圧力に調整された後、負圧供給管路からペースト貯留部内への負圧の供給を遮断してペースト貯留部を密閉状態にする密閉手
段を備えた。
【0008】
請求項3に記載のペースト塗布装置は、請求項2に記載のペースト塗布装置であって、密閉手段は、ペースト貯留部を密閉状態にした後、垂れ検出器によりペースト吐出口からペーストの垂れが生じたことが検出された場合に、ペースト貯留部の密閉状態を解除するとともに、ペースト貯留部内への負圧の供給の遮断を解除し、負圧供給管路からペースト貯留部内への負圧の供給を再開させる。
【0009】
請求項4に記載の電子部品接合装置は、基板の位置決めを行う基板位置決め部と、基板位置決め部により位置決めされた基板にペーストを塗布する請求項1乃至3のいずれかに記載のペースト塗布装置と、ペースト塗布装置によりペーストが塗布された基板に電子部品を接合させる電子部品接合部とを備えた。
【0010】
請求項5に記載のペースト塗布方法は、ペーストが貯留されるシリンジのペースト貯留部内に正圧を供給し、ペースト貯留部に繋がるペースト吐出口からペーストを吐出させる工程と、ペースト吐出口からペーストを吐出させた後、ペースト貯留部内に負圧を供給し、ペースト貯留部内の圧力を、ペースト貯留部内のペーストがペースト吐出口から垂れを生じることなくペースト貯留部内に保持される第1の圧力よりも低い圧力の第2の圧力に調整する工程と、ペースト貯留部内への負圧の供給を開始した後、ペースト吐出口からペーストの垂れが生じなくなったことを検出したとき、ペースト貯留部内の圧力を第1の圧力に調整する工程とを含む。
【0011】
請求項6に記載のペースト塗布方法は、請求項5に記載のペースト塗布方法であって、ペースト貯留部内の圧力を第1の圧力に調整した後、ペースト貯留部内への負圧の供給を遮断してペースト貯留部を密閉状態にする工程を実行する。
【0012】
請求項7に記載のペースト塗布方法は、請求項6に記載のペースト塗布方法であって、ペースト貯留部を密閉状態にした後、ペースト吐出口からペーストの垂れが生じたことを検出した場合に、ペースト貯留部の密閉状態を解除するとともに、ペースト貯留部内への負圧の供給の遮断を解除し、ペースト貯留部内への負圧の供給を再開させる工程を実行する。
【0013】
請求項8に記載の電子部品接合方法は、基板の位置決めを行う基板位置決め工程と、請求項1乃至3の何れかに記載のペースト塗布装置により、基板位置決め工程で位置決めした基板にペーストを塗布するペースト塗布工程と、ペースト塗布工程でペーストが塗布された基板に電子部品を接合させる電子部品接合工程とを含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、ペースト貯留部内に正圧を供給してペースト吐出口からペーストを吐出させた後、ペースト貯留部内に負圧を供給し、ペースト貯留部内の圧力を、ペースト貯留部内のペーストがペースト吐出口から垂れを生じることなくペースト貯留部内に保持される圧力(第1の圧力)よりも低い圧力(第2の圧力)に調整することによってペーストを吸い上げ、ペースト吐出口からペーストの垂れが生じなくなったときに、ペースト貯留部内の圧力を、ペースト貯留部内のペーストがペースト吐出口から垂れを生じることなくペースト貯留部内に保持される圧力(第1の圧力)に調整するようにしている。このため、ペーストの吸い上げ過ぎによってペースト吐出口に空隙部分が形成されることがなく、ペーストの空打ちが防止されるので、確実な定量吐出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態におけるダイボンダーの要部斜視図
【図2】本発明の一実施の形態におけるダイボンダーの制御系統を示すブロック図
【図3】本発明の一実施の形態におけるペースト塗布装置の構成図
【図4】本発明の一実施の形態におけるペースト塗布装置の空圧回路図
【図5】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるペースト塗布装置が備えるシリンジの一部断面側面図
【図6】本発明の一実施の形態におけるペースト塗布装置の動作手順を示すフローチャート
【図7】本発明の一実施の形態におけるペースト塗布装置の動作手順を示すタイミングチャート
【図8】本発明の一実施の形態におけるペースト塗布装置の動作を説明する空圧回路図
【図9】本発明の一実施の形態におけるペースト塗布装置の動作を説明する空圧回路図
【図10】本発明の一実施の形態におけるペースト塗布装置の動作を説明する空圧回路図
【図11】本発明の一実施の形態におけるペースト塗布装置の動作を説明する空圧回路図
【図12】本発明の一実施の形態におけるペースト塗布装置の動作を説明する空圧回路図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1において、本実施の形態における電子部品接合装置の一例としてのダイボンダー1は、基台2上に設けられた基板搬送コンベア3、基台2に対して相対移動自在に設けられた基板移載ヘッド4、基台2上に設けられた基板位置決め部5及びチップ供給部6、基台2に対して相対移動自在に設けられた接合ヘッド7、ペースト塗布用のシリンジ8及びこれらの作動制御を行う制御装置10(図2)を備えて構成されている。
【0017】
基板搬送コンベア3は一対のベルトコンベアから成り、基板PBの水平方向への搬送を行う。基板搬送コンベア3による基板PBの搬送動作は、制御装置10がダイボンダー1に備えられたコンベア作動機構11(図2)の作動制御を行うことによってなされる。
【0018】
基板移載ヘッド4は下端に基板PBの吸着を行う基板吸着部4aを備えており、基台2上に設けられた第1フレーム2aに沿った水平面内方向へ移動と第1フレーム2aに対する昇降ができるようになっている。基板移載ヘッド4の水平面内方向への移動動作は、制御装置10が基板移載ヘッド水平移動機構12(図1及び図2)の作動制御を行うことによってなされ、基板移載ヘッド4の昇降動作は、制御装置10が基板移載ヘッド昇降機構13(図1及び図2)の作動制御を行うことによってなされる。また、基板移載ヘッド4による基板PBの吸着及びその解除動作は、制御装置10が基板吸着機構14(図2)の作動制御を行うことによってなされる。
【0019】
基板位置決め部5は基台2に対してY軸方向(水平面内の一の方向)に相対移動するY軸ステージ5a、Y軸ステージ5aに対してX軸方向(Y軸方向と直交する水平面内の方向)に相対移動するX軸ステージ5bから成り、X軸ステージ5bの上面には基板PBを真空吸着により保持する基板保持部5cが設けられている。Y軸ステージ5aのY軸方向への移動及びX軸ステージ5bのX軸方向への移動は制御装置10が基板位置決め部作動機構15(図2)の作動制御を行うことによってなされ、基板保持部5cによる基板PBの保持動作は、制御装置10が真空チャック等から成る基板保持機構16(図2)の作動制御を行うことによってなされる。
【0020】
チップ供給部6は基台2に対してY軸方向に相対移動するY軸ステージ6a、Y軸ステージ6aに対してX軸方向に相対移動するX軸ステージ6b及びX軸ステージ6bの上面に設けられたパレットテーブル6cから成り、パレットテーブル6cの上面には基板PBに接合すべきチップP(電子部品)を載せたパレット6dが載置されている。Y軸ステージ6aのY軸方向への移動及びX軸ステージ6bのX軸方向への移動は制御装置10がチップ供給部作動機構17(図2)の作動制御を行うことによってなされる。
【0021】
接合ヘッド7の下部にはチップPの吸着を行うチップ吸着部7aが備えられており、基台2上に設けられた第2フレーム2bに沿った水平面内方向へ移動と昇降ができるようになっている。接合ヘッド7の水平面内方向への移動動作は、制御装置10が接合ヘッド水平移動機構18(図1及び図2)の作動制御を行うことによってなされ、接合ヘッド7の昇降動作は、制御装置10が接合ヘッド昇降機構19(図1及び図2)の作動制御を行うことによってなされる。また、接合ヘッド7によるチップPの吸着及びその解除動作は、制御装置10がチップ吸着機構20(図2)の作動制御を行うことによってなされる。
【0022】
シリンジ8は内部にペーストを貯留し、第2フレーム2bに沿った水平面内方向への移動及び昇降ができるようになっている。シリンジ8の水平面内方向への移動動作は、制御装置10がシリンジ水平移動機構21(図1及び図2)の作動制御を行うことによってなされ、シリンジ8の昇降動作は、制御装置10がシリンジ昇降機構22(図1及び図2)の作動制御を行うことによってなされる。ここで、シリンジ8の昇降は、シリンジ8を昇降自在に支持するプレート部材23(図1)に対してなされる。また、シリンジ8によるペーストの吐出動作は、制御装置10がペースト吐出機構24(図1及び図2)の作動制御を行うことによってなされる。
【0023】
このダイボンダー1による基板PBへのチップPの接合工程では、制御装置10は先ず、コンベア作動機構11の作動制御を行って基板搬送コンベア3を作動させ、ダイボンダー1内に基板PBを搬入させる(基板搬入工程)。
【0024】
制御装置10は、ダイボンダー1内に基板PBを搬入させたら、基板移載ヘッド水平移動機構12、基板移載ヘッド昇降機構13及び基板吸着機構14の作動制御を行って、基板搬送コンベア3に搬入させた基板PBを基板移載ヘッド4に吸着させた後、その吸着させた基板PBを基板位置決め部5の基板保持部5cの上面に載置して、基板搬送コンベア3から基板位置決め部5への基板PBの移載を行う(基板搬入後移載工程)。
【0025】
制御装置10は、基板搬入後移載工程が終了したら、基板保持機構16の作動制御を行い、基板PBを基板保持部5cの上面に真空吸着させて、基板PBを保持する(基板保持工程)。そして、基板位置決め部作動機構15の作動制御を行い、基板位置決め部5のY軸ステージ5a及びX軸ステージ5bを作動させて、基板保持部5cの上面に保持した基板PBを所定の位置に位置決めする(基板位置決め工程)。
【0026】
制御装置10は、基板位置決め工程が終了したら(或いは基板位置決め工程と並行して)、チップ供給部作動機構17の作動制御を行い、チップ供給部作動機構17のY軸ステージ6a及びX軸ステージ6bを作動させ、パレットテーブル6cの上面に載置されたパレット6dを所定の位置に位置決めする(パレット位置決め工程)。
【0027】
制御装置10は、パレット位置決め工程が終了したら、シリンジ水平移動機構21、シリンジ昇降機構22及びペースト吐出機構24の作動制御を行って、基板位置決め部5に位置決めされた基板PBの所定位置(目標接合位置)に、ペーストPTを塗布する(ペースト塗布工程)。
【0028】
制御装置10は、ペースト塗布工程が終了したら、接合ヘッド水平移動機構18、接合ヘッド昇降機構19及びチップ吸着機構20の作動制御を行って、チップ供給部6より供給されたパレット6d内のチップPを、接合ヘッド7のチップ吸着部7aに吸着させた後(チップ吸着工程)、接合ヘッド水平移動機構18及び接合ヘッド昇降機構19の作動制御を行って、チップ吸着部7aに吸着させたチップPを基板PBの上方の所定の位置に位置決めした後、接合ヘッド昇降機構19及びチップ吸着機構20の作動制御を行って、チップ吸着部7aに吸着させたチップPを、基板保持部5cにおいて保持された基板PB上の目標接合位置に接合する(電子部品接合工程)。この電子部品接合工程では、接合ヘッド7によりチップPを目標接合位置に上方から押し付けた後、接合ヘッド7によるチップPの吸着解除動作を行う。
【0029】
制御装置10はその後、パレット位置決め工程、ペースト塗布工程、チップ吸着工程及び電子部品接合工程から成る一連の動作を繰り返し、基板保持工程において保持した基板PBに接合すべき全てのチップPの接合が終了したら、基板移載ヘッド水平移動機構12、基板移載ヘッド昇降機構13及び基板吸着機構14の作動制御を行って、チップPの接合が終了した基板位置決め部5上の基板PBを基板移載ヘッド4に吸着させた後、その吸着させた基板PBを基板搬送コンベア3に載置して、基板位置決め部5から基板搬送コンベア3への基板PBの移載を行う(基板搬出前移載工程)。そして制御装置10は、基板搬出前移載工程が終了したら、コンベア作動機構11の作動制御を行い、基板搬送コンベア3を基板PBの搬入時とは逆方向に作動させて、ダイボンダー1から基板PBを搬出する(基板搬出工程)。これにより、ダイボンダー1による基板PBへのチップPの接合工程が終了する。
【0030】
ところで、本実施の形態におけるダイボンダー1では、上記ペースト塗布工程を実行するペースト塗布装置の構成に特徴があり、以下、このペースト塗布装置について説明する。
【0031】
図3及び図4において、ダイボンダー1が備えるペースト塗布装置30は、前述のシリンジ8、制御装置10及びペースト吐出機構24のほか、ダイボンダー1の外部に設けられて正圧を発生する圧力源31及びシリンジ8を昇降自在に保持するプレート部材23の所定位置に取り付けられた垂れ検出器33等を備えて構成されている。
【0032】
図3においてシリンジ8は、ペーストPTが貯留されるペースト貯留部8a及びペースト貯留部8aに繋がって下方に開口するペースト吐出口8bを備えている。
【0033】
図4においてペースト吐出機構24は、圧力源31から正圧が供給される正圧供給管路LP及びこの正圧供給管路LPから分岐して圧力源31からの正圧が供給される正圧供給分岐管路LPB、正圧供給管路LPに介装された第1電空レギュレータ41、正圧供給分岐管路LPBに介装された第2電空レギュレータ42、正圧供給分岐管路LPBの第2電空レギュレータ42の下流側に介装され、正圧供給分岐管路LPB内の正圧を負圧に変換(すなわち負圧を生成)する負圧生成器(真空エジェクタ)43、負圧生成器43の出口側に上流側端が接続され、負圧生成器43により生成された負圧が供給される第1負圧供給管路LN1、入口側1ポート(Aポート)出口側2ポート(B1ポート及びB2ポート)の3ポート弁であり、Aポートに第1負圧供給管路LN1の下流側端が接続されたオンオフバルブ51、オンオフバルブ51のB1ポートに上流側端が接続された第2負圧供給管路LN2、入口側2ポート(A1ポート及びA2ポート)出口側1ポート(Bポート)の3ポート弁であり、A1ポートに正圧供給管路LPの下流側端が接続され、A2ポートに第2負圧供給管路LN2の下流側端が接続された切り替えバルブ52、シリンジ8のペースト貯留部8aから延びて切り替えバルブ52のBポートに接続されたシリンジ管路LS、シリンジ管路LSから分岐したシリンジ分岐管路LSB、入口側2ポート(A1ポー
ト及びA2ポート)出口側1ポート(Bポート)の3ポート弁であり、A1ポートにシリンジ分岐管路LSBが接続された大気開放バルブ53を備えている。
【0034】
シリンジ管路LSには、シリンジ管路LS内の圧力(すなわちシリンジ8のペースト貯留部8a内の圧力)を計測する圧力計34が設けられている。圧力計34によって計測されたシリンジ管路LS内の圧力の情報(計測情報)は制御装置10に入力される(図2参照)。また、オンオフバルブ51のB2ポートと大気開放バルブ53のA2ポートは管路が接続されていないポートであり、プラグで栓がしてある。
【0035】
第1電空レギュレータ41は正圧供給管路LP内の正圧を制御装置10により設定されるレギュレータ調整圧に調整し、第2電空レギュレータ42は正圧供給分岐管路LPB内の正圧を制御装置10により設定されるレギュレータ調整圧に調整する。ここで、正圧供給分岐管路LPB内の正圧の圧力と第1負圧供給管路LN1内に生成される負圧の圧力は一対一の関係にあるため、制御装置10は、第2電空レギュレータ42に設定するレギュレータ調整圧を変えることによって、第1負圧供給管路LN1内の圧力(負圧)のレベルを変化させることができる。
【0036】
オンオフバルブ51、切り替えバルブ52及び大気開放バルブ53はいずれも制御装置10からの動作信号を受けてスプール(図示せず)の位置切り替えを行う2位置切り替え電磁バルブである。
【0037】
オンオフバルブ51のスプールは、制御装置10からスプール駆動信号が出力されていないとき(オフのとき)にはノーマル位置51aに位置し、AポートとB2ポートを連通させて第1負圧供給管路LN1を閉塞するとともに、B1ポートを閉止して第2負圧供給管路LN2の上流側端を閉塞する。一方、オンオフバルブ51のスプールは、制御装置10からスプール駆動信号が出力されているとき(オンのとき)にはオフセット位置51bに位置し、AポートとB1ポートを連通させて第1負圧供給管路LN1の下流側端と第2負圧供給管路LN2の上流側端を接続して第2負圧供給管路LN2内に負圧を供給する。
【0038】
切り替えバルブ52のスプールは、制御装置10からのスプール駆動信号が出力されていないとき(オフのとき)にはノーマル位置52aに位置し、A2ポートとBポートを連通させて第2負圧供給管路LN2の下流側端とシリンジ管路LSの上流側端を接続するとともに、A1ポートを閉止して正圧供給管路LPを閉塞する。一方、切り替えバルブ52のスプールは、制御装置10からスプール駆動信号が出力されているとき(オンのとき)にはオフセット位置52bに位置し、A1ポートとBポートを連通させて正圧供給管路LPとシリンジ管路LSを接続してシリンジ管路LS内に正圧を供給するとともに、A2ポートを閉止する。
【0039】
大気開放バルブ53のスプールは、制御装置10からのスプール駆動信号が出力されていないとき(オフのとき)にはノーマル位置53aに位置し、A1ポートを閉止してシリンジ分岐管路LSBを閉塞するとともに、A2ポートとBポートを連通させる。一方、大気開放バルブ53のスプールは、制御装置10からスプール駆動信号が出力されているとき(オンのとき)にはオフセット位置53bに位置し、A1ポートとBポートを連通させてシリンジ分岐管路LSBを(すなわちシリンジ管路LSを)大気開放させるとともに、A2ポートを閉止する。
【0040】
シリンジ8は前述のように、シリンジ昇降機構22によってプレート部材23に対して昇降自在であり、ペーストPTの吐出を行わないときには、プレート部材23に対して上昇した非吐出位置(図5(a)中に示す位置H1)に位置し、ペーストPTの吐出を行うときには、非吐出位置から下降した吐出位置(図5(b)中に示す位置H2)に位置する
。
【0041】
図5(a),(b)において、垂れ検出器33は反射型の光センサから成り、非吐出位置に位置したシリンジ8のペースト吐出口8bの直下を水平方向に通るように検査光Lを投光し、その投光した検査光Lの反射光を受光するかどうかによって、非吐出位置に位置したペースト吐出口8bからペーストPTの垂れが生じているか否かの検出を行う。
【0042】
次に、図6のフローチャート、図7のタイミングチャート及び図8〜図12の空圧回路図を用いて、本実施の形態におけるペースト塗布装置30のペースト塗布手順について説明する。制御装置10は、シリンジ8からペーストPTを吐出させる前は、シリンジ8を非吐出位置に位置させたうえで、ペースト塗布装置30をアイドリング状態にしている(図6のステップST1、図7の時間T0)。このアイドリング状態では、制御装置10は、オンオフバルブ51、切り替えバルブ52及び大気開放バルブ53の各スプールをノーマル位置に位置させている(図8)。
【0043】
図8において、アイドリング状態では、切り替えバルブ52のスプールがノーマル位置52aに位置して正圧供給管路LPを閉塞しているので、ペースト貯留部8a内には正圧は供給されず、またオンオフバルブ51のスプールがノーマル位置51aに位置して第1負圧供給管路LN1を閉塞しているので、ペースト貯留部8a内には負圧供給管路(第1負圧供給管路LN1及び第2負圧供給管路LN2)からの負圧も供給されない。一方、ペースト貯留部8aから延びたシリンジ管路LSは、切り替えバルブ52によって第2負圧供給管路LN2の下流側端と接続されるが、第2負圧供給管路LN2の上流側端はオンオフバルブ51によって閉塞されており、シリンジ分岐管路LSBは大気開放バルブ53によって閉塞されているので、ペースト貯留部8aは密閉された状態となっている。なお、図8では、正圧を受けている管路を太い実線で表し、負圧を受けている管路を太い破線で表している(図9〜図12についても同じ)。
【0044】
制御装置10は、ペーストPTの塗布を開始するタイミングになったら、シリンジ昇降機構22を作動させてシリンジ8を吐出位置まで下降させたうえで、シリンジ8のペースト吐出口8bからペーストPTを吐出させる(図6のステップST2)。
【0045】
制御装置10は、ステップST2を、切り替えバルブ52をオフセット位置52bに切り替えることによって実行する(図7の時間T1及び図9)。切り替えバルブ52がオフセット位置52bに切り替えられると、シリンジ管路LSが正圧供給管路LPに接続されてペースト貯留部8a内に正圧が供給され、この正圧がペーストPTの吐出圧となって、ペースト貯留部8a内のペーストPTをペースト吐出口8bから下方に押し出すので、シリンジ8からペーストPTが吐出される。
【0046】
制御装置10は、ペーストPTの吐出を開始したら、ペーストPTの吐出時間を計測すること等によって、定量のペーストPTが吐出されたかどうかの判断を行う(図6のステップST3)。制御装置10は、このステップST3を、定量のペーストPTが吐出されたと判断するまで繰り返し(すなわちペーストPTの吐出を継続し)、ステップST3で定量のペーストPTが吐出されたと判断したときには、シリンジ昇降機構22を作動させてシリンジ8を非吐出位置まで上昇させるとともに、シリンジ8からのペーストPTの吐出を停止させ、ペースト貯留部8a内に負圧を供給する(図6のステップST4)。
【0047】
制御装置10は、ステップST4を、オンオフバルブ51のスプールの位置をオフセット位置51bに切り替え、切り替えバルブ52のスプールの位置をノーマル位置52aに切り替え、大気開放バルブ53のスプールの位置をオフセット位置53bに切り替えることによって実行する(図7の時間T2及び図10)。
【0048】
オンオフバルブ51がオフセット位置51bに切り替えられ、切り替えバルブ52がノーマル位置52aに切り替えられ、大気開放バルブ53がオフセット位置53bに切り替えられると、正圧供給管路LPが切り替えバルブ52によって閉塞されてシリンジ8からのペーストPTの吐出が停止される一方、第1負圧供給管路LN1と第2負圧供給管路LN2がオンオフバルブ51によって接続され、シリンジ管路LSが切り替えバルブ52によって第2負圧供給管路LN2に接続されるので、シリンジ管路LSに繋がるペースト貯留部8a内には負圧供給管路(第1負圧供給管路LN1及び第2負圧供給管路LN2)から負圧が供給される。
【0049】
このように切り替えバルブ52及び制御装置10は、正圧供給管路LPからペースト貯留部8a内に正圧を供給させてペースト吐出口8bからペーストPTを吐出させた後、負圧供給管路(第1負圧供給管路LN1及び第2負圧供給管路LN2)からペースト貯留部8a内に負圧を供給させる圧力切り替え手段として機能する。
【0050】
なお、このペースト貯留部8a内への負圧の供給開始時には、シリンジ管路LSから分岐したシリンジ分岐管路LSBは大気開放バルブ53によって大気に開放されることから、シリンジ管路LS内の圧力は正圧から負圧にスムーズに移行する。
【0051】
制御装置10は、ペースト貯留部8a内に負圧を作用させ始めてから所定時間(図7中に示す時間ΔT参照)が経過したら、大気開放バルブ53をノーマル位置53aに切り替えてシリンジ分岐管路LSBを閉塞し、その後の工程において、シリンジ管路LS内に必要なレベルの圧力(負圧)が作用し得るようにする(図7の時間T3及び図11)。
【0052】
制御装置10は、ステップST4においてペースト貯留部8a内への負圧の供給を開始したら、ペースト吐出口8bから垂れているペーストPTがペースト貯留部8a内に吸い上げられるようにするため、ペースト貯留部8a内の圧力を、ペースト貯留部8a内のペーストPTがペースト吐出口8bから垂れを生じることなくペースト貯留部8a内に保持される圧力(以下、「保持圧力Ph0」と称する。例えば−1kPa)よりも低い圧力として任意に定めた圧力(以下、「吸引圧力Ph1」と称する。例えば−10kPa)に調整する(図6のステップST5)。このステップST5は、具体的には、制御装置10が、第2電空レギュレータ42のレギュレータ調整圧を吸引圧力Ph1に設定する制御を行うことによって実行し(図7参照)、或いは圧力計34によって計測されるペースト貯留部8a内の圧力が目標とする吸引圧力Ph1になるように第2電空レギュレータ42のレギュレータ調整圧を変化させることによって(すなわちフィードバック制御によって)実行する。これによりペースト吐出口8bから垂れているペーストPTはペースト貯留部8a内に吸い上げられる。
【0053】
制御装置10は、ステップST4でペースト貯留部8a内への負圧の供給を開始したら、垂れ検出器33から送られてくるペーストPTの垂れの検出情報(シリンジ8のペースト吐出口8bからペーストPTが垂れているか否かの検出情報)に基づいて、ペースト吐出口8bからペーストPTの垂れが生じているかどうかの判断を行う(図6のステップST6)。そして、ステップST6でペースト吐出口8bからペーストPTの垂れが生じなくなったと判断したときには、ペースト貯留部8a内の圧力を保持圧力Ph0に調整する(図6のステップST7)。このステップST7は、具体的には、制御装置10が、第2電空レギュレータ42のレギュレータ調整圧を保持圧力Ph0に設定する制御を行うことによって実行し(図7の時間T4)、或いは圧力計34によって計測されるペースト貯留部8a内の圧力が目標とする保持圧力Ph0になるように第2電空レギュレータ42のレギュレータ調整圧を変化させることによって(すなわちフィードバック制御によって)実行する。これにより、シリンジ8のペースト吐出口8bから垂れていたペーストPTはペ
ースト貯留部8a内に吸い上げられてペーストPTの垂れが解消された後、ペーストPTの吸い上げは停止され、ペーストPTの垂れの下端部の位置は、垂れが解消された位置(ペースト吐出口8bの下端部付近の位置)に保持される。
【0054】
なお、ペースト貯留部8a内のペーストPTがペースト吐出口8bから垂れを生じることなくペースト貯留部8a内に保持される圧力(保持圧力Ph0)及びペースト吐出口8bから垂れているペーストPTがペースト貯留部8a内に吸い上げられるようにする圧力(吸引圧力Ph1)はそれぞれペースト貯留部8a内のペーストPTの残量によって変化するので、保持圧力Ph0及び吸引圧力Ph1の値はペーストPTの残量に応じてその都度定める必要があるが、ペーストPTの残量は、例えば、制御装置10が、ペースト貯留部8a内のペーストPTの初期量、ペーストPTを吐出した回数及び吐出1回あたりのペーストPTの吐出量の関係から求めることができる。
【0055】
このように第2電空レギュレータ42及び制御装置10は、圧力切り替え手段(切り替えバルブ52及び制御装置10)によりペースト貯留部8a内への負圧の供給が開始された後、ペースト貯留部8a内の圧力を、ペースト貯留部8a内のペーストPTがペースト吐出口8bから垂れを生じることなくペースト貯留部8a内に保持される第1の圧力(保持圧力Ph0)よりも低い圧力の第2の圧力(吸引圧力Ph1)に調整し、垂れ検出器33によりペースト吐出口8bからペーストPTの垂れが生じなくなったことが検出されたとき、ペースト貯留部8a内の圧力を第1の圧力(保持圧力Ph0)に調整する圧力調整手段として機能する。
【0056】
制御装置10は、ステップST7においてペースト貯留部8a内の圧力を保持圧力Ph0に調整したら、次いでペースト貯留部8aを密閉する(図6のステップST8)。このペースト貯留部8aの密閉は、オンオフバルブ51のスプールの位置をノーマル位置51aに切り替えることによって行う(図7の時間T5及び図12)。オンオフバルブ51がノーマル位置51aに切り替えられると、第1負圧供給管路LN1は第2負圧供給管路LN2との接続が解除されて閉塞され、シリンジ管路LSに繋がる第2負圧供給管路LN2の上流側端は閉塞されるので、負圧供給管路(第1負圧供給管路LN1及び第2負圧供給管路LN2)からシリンジ管路LSへの負圧の供給が遮断されてシリンジ管路LSが閉塞され(シリンジ分岐管路LSBは大気開放バルブ53によって閉塞されている)、ペースト貯留部8aは密閉される。
【0057】
このように、オンオフバルブ51及び制御装置10は、圧力調整手段(第2電空レギュレータ42及び制御装置10)によりペースト貯留部8a内の圧力が保持圧力Ph0に調整された後、負圧供給管路(第1負圧供給管路LN1及び第2負圧供給管路LN2)からペースト貯留部8a内への負圧の供給を遮断してペースト貯留部8aを密閉状態にする密閉手段として機能する。
【0058】
制御装置10は、ペースト貯留部8aを密閉状態にした後、所定時間経過後に、垂れ検出器33から送られてくるペーストPTの垂れの検出情報に基づいて、ペースト吐出口8bからペーストPTの垂れが生じているかどうかの判断を行う(図6のステップST9)。制御装置10は、ステップST9において、垂れ検出器33によりペースト吐出口8bからペーストPTの垂れが生じていると判断したときには、ペースト貯留部8aの密閉状態を解除するとともに、ペースト貯留部8a内への負圧の供給の遮断を解除し、負圧供給管路(第1負圧供給管路LN1及び第2負圧供給管路LN2)からペースト貯留部8a内への負圧の供給を再開させて(図6のステップST10)、ステップST5に戻る。
【0059】
制御装置10は、ステップST10を、オンオフバルブ51のスプールの位置をノーマル位置51aからオフセット位置51bに切り替えることによって実行する。オンオフバ
ルブ51がオフセット位置51bに切り替えられると、シリンジ管路LSに繋がる第2負圧供給管路LN2は第1負圧供給管路LN1と接続されるので、ペースト貯留部8a内には負圧供給管路(第1負圧供給管路LN1及び第2負圧供給管路LN2)から負圧が供給される。
【0060】
制御装置10がステップST10を実行すると、ペースト吐出機構24はステップST5の実行直前の状態(図11)に戻るので、再度ステップST5〜ST9の工程を繰り返すことによって、改めてペースト吐出口8bからのペーストPTの垂れを解消することができる。
【0061】
一方、制御装置10は、ステップST9において、ペースト吐出口8bからペーストPTの垂れが生じていないと判断したときには次のペースト塗布工程に進む。ステップST8が終了した時点(図12)で、ペースト吐出機構24の各バルブ51,52,53の各スプールはステップST1のアイドリング状態(図8)と同じ位置に位置した状態となっているので、この状態を次のペースト塗布工程のアイドリング状態(ステップST1)として、新たなペースト塗布工程を行う。
【0062】
ペースト貯留部8a内への正圧の供給開始から次の正圧の供給開始までをペーストPTの吐出動作の1サイクルとすると(図7)、制御装置10は、このダイボンダー1による基板PBへのチップPの接合工程が終了するまで、必要なサイクル数のペースト吐出動作を繰り返すことになる。
【0063】
以上説明したように、本実施の形態におけるペースト塗布装置30は、ペーストPTが貯留されるペースト貯留部8a及びペースト貯留部8aに繋がるペースト吐出口8bを備え、ペースト貯留部8a内に正圧が供給されたときにペースト吐出口8bからペーストPTを吐出するシリンジ8と、ペースト貯留部8a内に正圧を供給する正圧供給管路LPと、ペースト貯留部8a内に負圧を供給する負圧供給管路(第1負圧供給管路LN1及び第2負圧供給管路LN2)と、正圧供給管路LPからペースト貯留部8a内に正圧を供給させてペースト吐出口8bからペーストPTを吐出させた後、負圧供給管路(第1負圧供給管路LN1及び第2負圧供給管路LN2)からペースト貯留部8a内に負圧を供給させる圧力切り替え手段(切り替えバルブ52及び制御装置10)と、圧力切り替え手段によりペースト貯留部8a内への負圧の供給が開始された後、ペースト吐出口8bからペーストPTの垂れが生じているか否かの検出を行う垂れ検出器33と、圧力切り替え手段によりペースト貯留部8a内への負圧の供給が開始された後、ペースト貯留部8a内の圧力を、ペースト貯留部8a内のペーストPTがペースト吐出口8bから垂れを生じることなくペースト貯留部8a内に保持される第1の圧力(保持圧力Ph0)よりも低い圧力の第2の圧力(吸引圧力Ph1)に調整し、垂れ検出器33によりペースト吐出口8bからペーストPTの垂れがなくなったことが検出されたとき、ペースト貯留部8a内の圧力を第1の圧力(保持圧力Ph0)に調整する圧力調整手段(第2電空レギュレータ42及び制御装置10)を備えたものとなっている。なお、第1の圧力(保持圧力Ph0)は、ペーストPTの特性やペースト吐出口8bの径等との関係では大気圧レベルでもよい。第1の圧力を大気圧レベルにするには大気開放バルブ53のスプールをオフセット位置53bに切り替えればよく、この場合には圧力調整手段は第2電空レギュレータ42及び制御装置10のほか、大気開放バルブ53によって構成される。
【0064】
また、本実施の形態におけるペースト塗布方法は、ペーストPTが貯留されるシリンジ8のペースト貯留部8a内に正圧を供給し、ペースト貯留部8aに繋がるペースト吐出口8bからペーストPTを吐出させる工程(ステップST2)と、ペースト吐出口8bからペーストPTを吐出させた後、ペースト貯留部8a内に負圧を供給し(ステップST4)、ペースト貯留部8a内の圧力を、ペースト貯留部8a内のペーストPTがペースト吐出
口8bから垂れを生じることなくペースト貯留部8a内に保持される第1の圧力(保持圧力Ph0)よりも低い圧力の第2の圧力(吸引圧力Ph1)に調整する工程(ステップST5)と、ペースト貯留部8a内への負圧の供給を開始した後、ペースト吐出口8bからペーストPTの垂れが生じなくなったことを検出したとき、ペースト貯留部8a内の圧力を第1の圧力(保持圧力Ph0)に調整する工程(ステップST7)を含むものとなっている。
【0065】
このように本実施の形態におけるペースト塗布装置30(或いはペースト塗布方法)では、ペースト貯留部8a内に正圧を供給してペースト吐出口8bからペーストPTを吐出させた後、ペースト貯留部8a内に負圧を供給し、ペースト貯留部8a内の圧力を、ペースト貯留部8a内のペーストPTがペースト吐出口8bから垂れを生じることなくペースト貯留部8a内に保持される圧力(第1の圧力であり、保持圧力Ph0)より低い圧力(第2の圧力であり、吸引圧力Ph1)に調整することによってペーストPTを吸い上げ、ペースト吐出口8bからペーストPTの垂れが生じなくなったときに、ペースト貯留部8a内の圧力を、ペースト貯留部8a内のペーストPTがペースト吐出口8bから垂れを生じることなくペースト貯留部8a内に保持される圧力(第1の圧力であり、保持圧力Ph0)に調整するようにしている。このため、ペーストPTの吸い上げ過ぎによってペースト吐出口8bに空隙部分が形成されることがなく、ペーストPTの空打ちが防止されるので、確実な定量吐出を行うことができる。
【0066】
また、本実施の形態におけるペースト塗布装置30では、上記圧力調整手段によりペースト貯留部8a内の圧力が第1の圧力に調整された後、負圧供給管路(第1負圧供給管路LN1及び第2負圧供給管路LN2)からペースト貯留部8a内への負圧の供給を遮断してペースト貯留部8aを密閉状態にする密閉手段(オンオフバルブ51及び制御装置10)を備えており、本実施の形態におけるペースト塗布方法では、ペースト貯留部8a内の圧力を第1の圧力に調整した後、ペースト貯留部8a内への負圧の供給を遮断してペースト貯留部8aを密閉状態にする工程(ステップST8)を実行するようになっている。このため、ペーストPTを吸い上げた後のペーストPTの垂れを確実に防止することができる。
【0067】
更に、本実施の形態におけるペースト塗布装置30では、密閉手段(オンオフバルブ51及び制御装置10)は、ペースト貯留部8aを密閉状態にした後、垂れ検出器33によりペースト吐出口8bからペーストPTの垂れが生じたことが検出された場合に、ペースト貯留部8aの密閉状態を解除するとともに、ペースト貯留部8a内への負圧の供給の遮断を解除し、負圧供給管路(第1負圧供給管路LN1及び第2負圧供給管路LN2)からペースト貯留部8a内への負圧の供給を再開させるようになっており、本実施の形態におけるペースト塗布方法では、ペースト貯留部8aを密閉状態にした後、ペースト吐出口8bからペーストPTの垂れが生じたことを検出した場合に、ペースト貯留部8aの密閉状態を解除するとともに、ペースト貯留部8a内への負圧の供給の遮断を解除し、ペースト貯留部8a内への負圧の供給を再開させる工程(ステップST10)を実行するようになっている。このため、ペーストPTの垂れが再度生じた場合であっても、その垂れを解消することができる。
【0068】
また、本実施の形態における電子部品接合装置としてのダイボンダー1は、基板PBの位置決めを行う基板位置決め部5と、基板位置決め部5により位置決めされた基板PBにペーストPTを塗布する本実施の形態におけるペースト塗布装置30と、ペースト塗布装置30によりペーストPTが塗布された基板PBにチップP(電子部品)を接合させる電子部品接合部としての接合ヘッド7を備えたものとなっている。
【0069】
また、本実施の形態におけるペースト塗布方法は、基板PBの位置決めを行う基板位置
決め工程と、本実施の形態におけるペースト塗布装置30又はペースト塗布方法により、基板位置決め工程で位置決めした基板PBにペーストPTを塗布するペースト塗布工程と、ペースト塗布工程でペーストPTが塗布された基板PBにチップP(電子部品)を接合させる電子部品接合工程とを含むものとなっている。
【0070】
本実施の形態におけるダイボンダー1(或いは電子部品接合方法)は、上記効果を有するペースト塗布装置30を用いているため、ペーストPTの垂れによる基板PBの汚損を効果的に防止することができ、生産基板の良品率を向上させることができる。
【0071】
なお、上記の説明では、制御装置10は、ステップST8において、垂れ検出器33から送られてくるペーストPTの垂れの検出情報に基づいて、シリンジ8からのペーストPTの垂れがなくなったと判断したとき、ペースト貯留部8a内へのペーストPTの吸い上げを停止させるとともに、ペースト貯留部8aを密閉するようになっているが、ペースト貯留部8a内の圧力を保持圧力Ph0に調整するだけでペーストPTの垂れを確実に防止することができるのであれば、このペースト貯留部8aの密閉は必ずしも行わなくてもよい。
【0072】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述の実施の形態に示したものに限定されない。例えば、上述の実施の形態では、垂れ検出器33はシリンジ8が保持されるプレート部材23、すなわちシリンジ8と一緒に移動(基台2に対して相対移動)する部材に設けられたものとなっていたが、必ずしもシリンジ8と一緒に移動する部材に設けられていなくてもよく、基台2に対して固定された部材に設けられていてもよい。例えば、ペーストPTの非吐出時にシリンジ8が所定の待機位置に移動して待機するようになっているのであれば、その待機位置に移動したシリンジ8のペースト吐出口8bの直下を検査光Lが水平方向に通過するような位置(基台2に対して相対的に固定された位置)に、垂れ検出器33を取り付けることができる。
【0073】
また、上述の実施の形態では、垂れ検出器33として、水平方向に検査光Lを投光し、その投光した検査光Lの反射光を受光するかどうかによって、ペースト吐出口8bからペーストPTが垂れているか否かの検出を行う反射型の光センサを用いていたが、垂れ検出器33は反射型の光センサに限られず、投光器と受光器を水平方向に対向させて配置した透過型の光センサ等であってもよい。
【0074】
また、上述の実施の形態では垂れ検出器33として光センサを用いていたが、垂れ検出器33は必ずしも光センサでなくてもよく、例えばCCDを用いたカメラのように、ペースト吐出口8bの近傍領域を撮像することによって、ペースト吐出口8bからのペーストPTの垂れの有無を検出するようにしてもよい。
【0075】
また、上述の実施の形態では、正圧供給管路LPからペースト貯留部8a内に正圧を供給させた後、負圧供給管路(第1負圧供給管路LN1及び第2負圧供給管路LN2)からペースト貯留部8a内に負圧を供給させるペースト貯留部8a内への圧力供給の切り替えを1つのバルブ(切り替えバルブ52)の位置切り替えによって行うようになっていたが、このペースト貯留部8a内への圧力供給の切り替えは、複数のバルブの位置切り替えを組み合わせることによって行われるようになっていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
ペーストの空打ちを防止して確実な定量吐出を行うことができるペースト塗布装置、電子部品接合装置、ペースト塗布方法及び電子部品接合方法を提供する。
【符号の説明】
【0077】
1 ダイボンダー(電子部品接合装置)
5 基板位置決め部
7 接合ヘッド(電子部品接合部)
8 シリンジ
8a ペースト貯留部
8b ペースト吐出口
10 制御装置(圧力切り替え手段、圧力調整手段、密閉手段)
30 ペースト塗布装置
33 垂れ検出器
42 第2電空レギュレータ(圧力調整手段)
51 オンオフバルブ(密閉手段)
52 切り替えバルブ(圧力切り替え手段)
LP 正圧供給管路
LN1 第1負圧供給管路(負圧供給管路)
LN2 第2負圧供給管路(負圧供給管路)
PT ペースト
PB 基板
P チップ(電子部品)
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペーストの吐出を行うシリンジを備えて構成されるペースト塗布装置、電子部品接合装置、ペースト塗布方法及び電子部品接合方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ダイボンダーのように基板に電子部品を接合させる電子部品接合装置では、基板上の電子部品が接合される位置(目標接合位置)に、予め接着剤等のペーストが塗布される。この基板にペーストを塗布するペースト塗布装置は、ペーストが貯留されるペースト貯留部及びペースト貯留部に繋がるペースト吐出口を備えたシリンジを有しており、ペースト貯留部内に正圧を供給することによってペースト吐出口からペーストを吐出させ、ペーストの吐出を行った後はペースト貯留部内に負圧を供給することによって、ペースト吐出口から垂れているペーストをペースト貯留部内に吸い上げるようになっている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−204268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のペースト塗布装置では、ペーストを過剰に吸い上げてしまってペースト吐出口に空隙部分が形成され、いわゆる空打ちが生じて定量吐出ができなくなる場合があるという問題点があった。
【0005】
そこで本発明は、ペーストの空打ちを防止して確実な定量吐出を行うことができるペースト塗布装置、電子部品接合装置、ペースト塗布方法及び電子部品接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載のペースト塗布装置は、ペーストが貯留されるペースト貯留部及びペースト貯留部に繋がるペースト吐出口を備え、ペースト貯留部内に正圧が供給されたときにペースト吐出口からペーストを吐出するシリンジと、ペースト貯留部内に正圧を供給する正圧供給管路と、ペースト貯留部内に負圧を供給する負圧供給管路と、正圧供給管路からペースト貯留部内に正圧を供給させてペースト吐出口からペーストを吐出させた後、負圧供給管路からペースト貯留部内に負圧を供給させる圧力切り替え手段と、圧力切り替え手段によりペースト貯留部内への負圧の供給が開始された後、ペースト吐出口からペーストの垂れが生じているか否かの検出を行う垂れ検出器と、圧力切り替え手段によりペースト貯留部内への負圧の供給が開始された後、ペースト貯留部内の圧力を、ペースト貯留部内のペーストがペースト吐出口から垂れを生じることなくペースト貯留部内に保持される第1の圧力よりも低い圧力の第2の圧力に調整し、垂れ検出器によりペースト吐出口からペーストの垂れが生じなくなったことが検出されたとき、ペースト貯留部内の圧力を第1の圧力に調整する圧力調整手段とを備えた。
【0007】
請求項2に記載のペースト塗布装置は、請求項1に記載のペースト塗布装置であって、圧力調整手段によりペースト貯留部内の圧力が第1の圧力に調整された後、負圧供給管路からペースト貯留部内への負圧の供給を遮断してペースト貯留部を密閉状態にする密閉手
段を備えた。
【0008】
請求項3に記載のペースト塗布装置は、請求項2に記載のペースト塗布装置であって、密閉手段は、ペースト貯留部を密閉状態にした後、垂れ検出器によりペースト吐出口からペーストの垂れが生じたことが検出された場合に、ペースト貯留部の密閉状態を解除するとともに、ペースト貯留部内への負圧の供給の遮断を解除し、負圧供給管路からペースト貯留部内への負圧の供給を再開させる。
【0009】
請求項4に記載の電子部品接合装置は、基板の位置決めを行う基板位置決め部と、基板位置決め部により位置決めされた基板にペーストを塗布する請求項1乃至3のいずれかに記載のペースト塗布装置と、ペースト塗布装置によりペーストが塗布された基板に電子部品を接合させる電子部品接合部とを備えた。
【0010】
請求項5に記載のペースト塗布方法は、ペーストが貯留されるシリンジのペースト貯留部内に正圧を供給し、ペースト貯留部に繋がるペースト吐出口からペーストを吐出させる工程と、ペースト吐出口からペーストを吐出させた後、ペースト貯留部内に負圧を供給し、ペースト貯留部内の圧力を、ペースト貯留部内のペーストがペースト吐出口から垂れを生じることなくペースト貯留部内に保持される第1の圧力よりも低い圧力の第2の圧力に調整する工程と、ペースト貯留部内への負圧の供給を開始した後、ペースト吐出口からペーストの垂れが生じなくなったことを検出したとき、ペースト貯留部内の圧力を第1の圧力に調整する工程とを含む。
【0011】
請求項6に記載のペースト塗布方法は、請求項5に記載のペースト塗布方法であって、ペースト貯留部内の圧力を第1の圧力に調整した後、ペースト貯留部内への負圧の供給を遮断してペースト貯留部を密閉状態にする工程を実行する。
【0012】
請求項7に記載のペースト塗布方法は、請求項6に記載のペースト塗布方法であって、ペースト貯留部を密閉状態にした後、ペースト吐出口からペーストの垂れが生じたことを検出した場合に、ペースト貯留部の密閉状態を解除するとともに、ペースト貯留部内への負圧の供給の遮断を解除し、ペースト貯留部内への負圧の供給を再開させる工程を実行する。
【0013】
請求項8に記載の電子部品接合方法は、基板の位置決めを行う基板位置決め工程と、請求項1乃至3の何れかに記載のペースト塗布装置により、基板位置決め工程で位置決めした基板にペーストを塗布するペースト塗布工程と、ペースト塗布工程でペーストが塗布された基板に電子部品を接合させる電子部品接合工程とを含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、ペースト貯留部内に正圧を供給してペースト吐出口からペーストを吐出させた後、ペースト貯留部内に負圧を供給し、ペースト貯留部内の圧力を、ペースト貯留部内のペーストがペースト吐出口から垂れを生じることなくペースト貯留部内に保持される圧力(第1の圧力)よりも低い圧力(第2の圧力)に調整することによってペーストを吸い上げ、ペースト吐出口からペーストの垂れが生じなくなったときに、ペースト貯留部内の圧力を、ペースト貯留部内のペーストがペースト吐出口から垂れを生じることなくペースト貯留部内に保持される圧力(第1の圧力)に調整するようにしている。このため、ペーストの吸い上げ過ぎによってペースト吐出口に空隙部分が形成されることがなく、ペーストの空打ちが防止されるので、確実な定量吐出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態におけるダイボンダーの要部斜視図
【図2】本発明の一実施の形態におけるダイボンダーの制御系統を示すブロック図
【図3】本発明の一実施の形態におけるペースト塗布装置の構成図
【図4】本発明の一実施の形態におけるペースト塗布装置の空圧回路図
【図5】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるペースト塗布装置が備えるシリンジの一部断面側面図
【図6】本発明の一実施の形態におけるペースト塗布装置の動作手順を示すフローチャート
【図7】本発明の一実施の形態におけるペースト塗布装置の動作手順を示すタイミングチャート
【図8】本発明の一実施の形態におけるペースト塗布装置の動作を説明する空圧回路図
【図9】本発明の一実施の形態におけるペースト塗布装置の動作を説明する空圧回路図
【図10】本発明の一実施の形態におけるペースト塗布装置の動作を説明する空圧回路図
【図11】本発明の一実施の形態におけるペースト塗布装置の動作を説明する空圧回路図
【図12】本発明の一実施の形態におけるペースト塗布装置の動作を説明する空圧回路図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1において、本実施の形態における電子部品接合装置の一例としてのダイボンダー1は、基台2上に設けられた基板搬送コンベア3、基台2に対して相対移動自在に設けられた基板移載ヘッド4、基台2上に設けられた基板位置決め部5及びチップ供給部6、基台2に対して相対移動自在に設けられた接合ヘッド7、ペースト塗布用のシリンジ8及びこれらの作動制御を行う制御装置10(図2)を備えて構成されている。
【0017】
基板搬送コンベア3は一対のベルトコンベアから成り、基板PBの水平方向への搬送を行う。基板搬送コンベア3による基板PBの搬送動作は、制御装置10がダイボンダー1に備えられたコンベア作動機構11(図2)の作動制御を行うことによってなされる。
【0018】
基板移載ヘッド4は下端に基板PBの吸着を行う基板吸着部4aを備えており、基台2上に設けられた第1フレーム2aに沿った水平面内方向へ移動と第1フレーム2aに対する昇降ができるようになっている。基板移載ヘッド4の水平面内方向への移動動作は、制御装置10が基板移載ヘッド水平移動機構12(図1及び図2)の作動制御を行うことによってなされ、基板移載ヘッド4の昇降動作は、制御装置10が基板移載ヘッド昇降機構13(図1及び図2)の作動制御を行うことによってなされる。また、基板移載ヘッド4による基板PBの吸着及びその解除動作は、制御装置10が基板吸着機構14(図2)の作動制御を行うことによってなされる。
【0019】
基板位置決め部5は基台2に対してY軸方向(水平面内の一の方向)に相対移動するY軸ステージ5a、Y軸ステージ5aに対してX軸方向(Y軸方向と直交する水平面内の方向)に相対移動するX軸ステージ5bから成り、X軸ステージ5bの上面には基板PBを真空吸着により保持する基板保持部5cが設けられている。Y軸ステージ5aのY軸方向への移動及びX軸ステージ5bのX軸方向への移動は制御装置10が基板位置決め部作動機構15(図2)の作動制御を行うことによってなされ、基板保持部5cによる基板PBの保持動作は、制御装置10が真空チャック等から成る基板保持機構16(図2)の作動制御を行うことによってなされる。
【0020】
チップ供給部6は基台2に対してY軸方向に相対移動するY軸ステージ6a、Y軸ステージ6aに対してX軸方向に相対移動するX軸ステージ6b及びX軸ステージ6bの上面に設けられたパレットテーブル6cから成り、パレットテーブル6cの上面には基板PBに接合すべきチップP(電子部品)を載せたパレット6dが載置されている。Y軸ステージ6aのY軸方向への移動及びX軸ステージ6bのX軸方向への移動は制御装置10がチップ供給部作動機構17(図2)の作動制御を行うことによってなされる。
【0021】
接合ヘッド7の下部にはチップPの吸着を行うチップ吸着部7aが備えられており、基台2上に設けられた第2フレーム2bに沿った水平面内方向へ移動と昇降ができるようになっている。接合ヘッド7の水平面内方向への移動動作は、制御装置10が接合ヘッド水平移動機構18(図1及び図2)の作動制御を行うことによってなされ、接合ヘッド7の昇降動作は、制御装置10が接合ヘッド昇降機構19(図1及び図2)の作動制御を行うことによってなされる。また、接合ヘッド7によるチップPの吸着及びその解除動作は、制御装置10がチップ吸着機構20(図2)の作動制御を行うことによってなされる。
【0022】
シリンジ8は内部にペーストを貯留し、第2フレーム2bに沿った水平面内方向への移動及び昇降ができるようになっている。シリンジ8の水平面内方向への移動動作は、制御装置10がシリンジ水平移動機構21(図1及び図2)の作動制御を行うことによってなされ、シリンジ8の昇降動作は、制御装置10がシリンジ昇降機構22(図1及び図2)の作動制御を行うことによってなされる。ここで、シリンジ8の昇降は、シリンジ8を昇降自在に支持するプレート部材23(図1)に対してなされる。また、シリンジ8によるペーストの吐出動作は、制御装置10がペースト吐出機構24(図1及び図2)の作動制御を行うことによってなされる。
【0023】
このダイボンダー1による基板PBへのチップPの接合工程では、制御装置10は先ず、コンベア作動機構11の作動制御を行って基板搬送コンベア3を作動させ、ダイボンダー1内に基板PBを搬入させる(基板搬入工程)。
【0024】
制御装置10は、ダイボンダー1内に基板PBを搬入させたら、基板移載ヘッド水平移動機構12、基板移載ヘッド昇降機構13及び基板吸着機構14の作動制御を行って、基板搬送コンベア3に搬入させた基板PBを基板移載ヘッド4に吸着させた後、その吸着させた基板PBを基板位置決め部5の基板保持部5cの上面に載置して、基板搬送コンベア3から基板位置決め部5への基板PBの移載を行う(基板搬入後移載工程)。
【0025】
制御装置10は、基板搬入後移載工程が終了したら、基板保持機構16の作動制御を行い、基板PBを基板保持部5cの上面に真空吸着させて、基板PBを保持する(基板保持工程)。そして、基板位置決め部作動機構15の作動制御を行い、基板位置決め部5のY軸ステージ5a及びX軸ステージ5bを作動させて、基板保持部5cの上面に保持した基板PBを所定の位置に位置決めする(基板位置決め工程)。
【0026】
制御装置10は、基板位置決め工程が終了したら(或いは基板位置決め工程と並行して)、チップ供給部作動機構17の作動制御を行い、チップ供給部作動機構17のY軸ステージ6a及びX軸ステージ6bを作動させ、パレットテーブル6cの上面に載置されたパレット6dを所定の位置に位置決めする(パレット位置決め工程)。
【0027】
制御装置10は、パレット位置決め工程が終了したら、シリンジ水平移動機構21、シリンジ昇降機構22及びペースト吐出機構24の作動制御を行って、基板位置決め部5に位置決めされた基板PBの所定位置(目標接合位置)に、ペーストPTを塗布する(ペースト塗布工程)。
【0028】
制御装置10は、ペースト塗布工程が終了したら、接合ヘッド水平移動機構18、接合ヘッド昇降機構19及びチップ吸着機構20の作動制御を行って、チップ供給部6より供給されたパレット6d内のチップPを、接合ヘッド7のチップ吸着部7aに吸着させた後(チップ吸着工程)、接合ヘッド水平移動機構18及び接合ヘッド昇降機構19の作動制御を行って、チップ吸着部7aに吸着させたチップPを基板PBの上方の所定の位置に位置決めした後、接合ヘッド昇降機構19及びチップ吸着機構20の作動制御を行って、チップ吸着部7aに吸着させたチップPを、基板保持部5cにおいて保持された基板PB上の目標接合位置に接合する(電子部品接合工程)。この電子部品接合工程では、接合ヘッド7によりチップPを目標接合位置に上方から押し付けた後、接合ヘッド7によるチップPの吸着解除動作を行う。
【0029】
制御装置10はその後、パレット位置決め工程、ペースト塗布工程、チップ吸着工程及び電子部品接合工程から成る一連の動作を繰り返し、基板保持工程において保持した基板PBに接合すべき全てのチップPの接合が終了したら、基板移載ヘッド水平移動機構12、基板移載ヘッド昇降機構13及び基板吸着機構14の作動制御を行って、チップPの接合が終了した基板位置決め部5上の基板PBを基板移載ヘッド4に吸着させた後、その吸着させた基板PBを基板搬送コンベア3に載置して、基板位置決め部5から基板搬送コンベア3への基板PBの移載を行う(基板搬出前移載工程)。そして制御装置10は、基板搬出前移載工程が終了したら、コンベア作動機構11の作動制御を行い、基板搬送コンベア3を基板PBの搬入時とは逆方向に作動させて、ダイボンダー1から基板PBを搬出する(基板搬出工程)。これにより、ダイボンダー1による基板PBへのチップPの接合工程が終了する。
【0030】
ところで、本実施の形態におけるダイボンダー1では、上記ペースト塗布工程を実行するペースト塗布装置の構成に特徴があり、以下、このペースト塗布装置について説明する。
【0031】
図3及び図4において、ダイボンダー1が備えるペースト塗布装置30は、前述のシリンジ8、制御装置10及びペースト吐出機構24のほか、ダイボンダー1の外部に設けられて正圧を発生する圧力源31及びシリンジ8を昇降自在に保持するプレート部材23の所定位置に取り付けられた垂れ検出器33等を備えて構成されている。
【0032】
図3においてシリンジ8は、ペーストPTが貯留されるペースト貯留部8a及びペースト貯留部8aに繋がって下方に開口するペースト吐出口8bを備えている。
【0033】
図4においてペースト吐出機構24は、圧力源31から正圧が供給される正圧供給管路LP及びこの正圧供給管路LPから分岐して圧力源31からの正圧が供給される正圧供給分岐管路LPB、正圧供給管路LPに介装された第1電空レギュレータ41、正圧供給分岐管路LPBに介装された第2電空レギュレータ42、正圧供給分岐管路LPBの第2電空レギュレータ42の下流側に介装され、正圧供給分岐管路LPB内の正圧を負圧に変換(すなわち負圧を生成)する負圧生成器(真空エジェクタ)43、負圧生成器43の出口側に上流側端が接続され、負圧生成器43により生成された負圧が供給される第1負圧供給管路LN1、入口側1ポート(Aポート)出口側2ポート(B1ポート及びB2ポート)の3ポート弁であり、Aポートに第1負圧供給管路LN1の下流側端が接続されたオンオフバルブ51、オンオフバルブ51のB1ポートに上流側端が接続された第2負圧供給管路LN2、入口側2ポート(A1ポート及びA2ポート)出口側1ポート(Bポート)の3ポート弁であり、A1ポートに正圧供給管路LPの下流側端が接続され、A2ポートに第2負圧供給管路LN2の下流側端が接続された切り替えバルブ52、シリンジ8のペースト貯留部8aから延びて切り替えバルブ52のBポートに接続されたシリンジ管路LS、シリンジ管路LSから分岐したシリンジ分岐管路LSB、入口側2ポート(A1ポー
ト及びA2ポート)出口側1ポート(Bポート)の3ポート弁であり、A1ポートにシリンジ分岐管路LSBが接続された大気開放バルブ53を備えている。
【0034】
シリンジ管路LSには、シリンジ管路LS内の圧力(すなわちシリンジ8のペースト貯留部8a内の圧力)を計測する圧力計34が設けられている。圧力計34によって計測されたシリンジ管路LS内の圧力の情報(計測情報)は制御装置10に入力される(図2参照)。また、オンオフバルブ51のB2ポートと大気開放バルブ53のA2ポートは管路が接続されていないポートであり、プラグで栓がしてある。
【0035】
第1電空レギュレータ41は正圧供給管路LP内の正圧を制御装置10により設定されるレギュレータ調整圧に調整し、第2電空レギュレータ42は正圧供給分岐管路LPB内の正圧を制御装置10により設定されるレギュレータ調整圧に調整する。ここで、正圧供給分岐管路LPB内の正圧の圧力と第1負圧供給管路LN1内に生成される負圧の圧力は一対一の関係にあるため、制御装置10は、第2電空レギュレータ42に設定するレギュレータ調整圧を変えることによって、第1負圧供給管路LN1内の圧力(負圧)のレベルを変化させることができる。
【0036】
オンオフバルブ51、切り替えバルブ52及び大気開放バルブ53はいずれも制御装置10からの動作信号を受けてスプール(図示せず)の位置切り替えを行う2位置切り替え電磁バルブである。
【0037】
オンオフバルブ51のスプールは、制御装置10からスプール駆動信号が出力されていないとき(オフのとき)にはノーマル位置51aに位置し、AポートとB2ポートを連通させて第1負圧供給管路LN1を閉塞するとともに、B1ポートを閉止して第2負圧供給管路LN2の上流側端を閉塞する。一方、オンオフバルブ51のスプールは、制御装置10からスプール駆動信号が出力されているとき(オンのとき)にはオフセット位置51bに位置し、AポートとB1ポートを連通させて第1負圧供給管路LN1の下流側端と第2負圧供給管路LN2の上流側端を接続して第2負圧供給管路LN2内に負圧を供給する。
【0038】
切り替えバルブ52のスプールは、制御装置10からのスプール駆動信号が出力されていないとき(オフのとき)にはノーマル位置52aに位置し、A2ポートとBポートを連通させて第2負圧供給管路LN2の下流側端とシリンジ管路LSの上流側端を接続するとともに、A1ポートを閉止して正圧供給管路LPを閉塞する。一方、切り替えバルブ52のスプールは、制御装置10からスプール駆動信号が出力されているとき(オンのとき)にはオフセット位置52bに位置し、A1ポートとBポートを連通させて正圧供給管路LPとシリンジ管路LSを接続してシリンジ管路LS内に正圧を供給するとともに、A2ポートを閉止する。
【0039】
大気開放バルブ53のスプールは、制御装置10からのスプール駆動信号が出力されていないとき(オフのとき)にはノーマル位置53aに位置し、A1ポートを閉止してシリンジ分岐管路LSBを閉塞するとともに、A2ポートとBポートを連通させる。一方、大気開放バルブ53のスプールは、制御装置10からスプール駆動信号が出力されているとき(オンのとき)にはオフセット位置53bに位置し、A1ポートとBポートを連通させてシリンジ分岐管路LSBを(すなわちシリンジ管路LSを)大気開放させるとともに、A2ポートを閉止する。
【0040】
シリンジ8は前述のように、シリンジ昇降機構22によってプレート部材23に対して昇降自在であり、ペーストPTの吐出を行わないときには、プレート部材23に対して上昇した非吐出位置(図5(a)中に示す位置H1)に位置し、ペーストPTの吐出を行うときには、非吐出位置から下降した吐出位置(図5(b)中に示す位置H2)に位置する
。
【0041】
図5(a),(b)において、垂れ検出器33は反射型の光センサから成り、非吐出位置に位置したシリンジ8のペースト吐出口8bの直下を水平方向に通るように検査光Lを投光し、その投光した検査光Lの反射光を受光するかどうかによって、非吐出位置に位置したペースト吐出口8bからペーストPTの垂れが生じているか否かの検出を行う。
【0042】
次に、図6のフローチャート、図7のタイミングチャート及び図8〜図12の空圧回路図を用いて、本実施の形態におけるペースト塗布装置30のペースト塗布手順について説明する。制御装置10は、シリンジ8からペーストPTを吐出させる前は、シリンジ8を非吐出位置に位置させたうえで、ペースト塗布装置30をアイドリング状態にしている(図6のステップST1、図7の時間T0)。このアイドリング状態では、制御装置10は、オンオフバルブ51、切り替えバルブ52及び大気開放バルブ53の各スプールをノーマル位置に位置させている(図8)。
【0043】
図8において、アイドリング状態では、切り替えバルブ52のスプールがノーマル位置52aに位置して正圧供給管路LPを閉塞しているので、ペースト貯留部8a内には正圧は供給されず、またオンオフバルブ51のスプールがノーマル位置51aに位置して第1負圧供給管路LN1を閉塞しているので、ペースト貯留部8a内には負圧供給管路(第1負圧供給管路LN1及び第2負圧供給管路LN2)からの負圧も供給されない。一方、ペースト貯留部8aから延びたシリンジ管路LSは、切り替えバルブ52によって第2負圧供給管路LN2の下流側端と接続されるが、第2負圧供給管路LN2の上流側端はオンオフバルブ51によって閉塞されており、シリンジ分岐管路LSBは大気開放バルブ53によって閉塞されているので、ペースト貯留部8aは密閉された状態となっている。なお、図8では、正圧を受けている管路を太い実線で表し、負圧を受けている管路を太い破線で表している(図9〜図12についても同じ)。
【0044】
制御装置10は、ペーストPTの塗布を開始するタイミングになったら、シリンジ昇降機構22を作動させてシリンジ8を吐出位置まで下降させたうえで、シリンジ8のペースト吐出口8bからペーストPTを吐出させる(図6のステップST2)。
【0045】
制御装置10は、ステップST2を、切り替えバルブ52をオフセット位置52bに切り替えることによって実行する(図7の時間T1及び図9)。切り替えバルブ52がオフセット位置52bに切り替えられると、シリンジ管路LSが正圧供給管路LPに接続されてペースト貯留部8a内に正圧が供給され、この正圧がペーストPTの吐出圧となって、ペースト貯留部8a内のペーストPTをペースト吐出口8bから下方に押し出すので、シリンジ8からペーストPTが吐出される。
【0046】
制御装置10は、ペーストPTの吐出を開始したら、ペーストPTの吐出時間を計測すること等によって、定量のペーストPTが吐出されたかどうかの判断を行う(図6のステップST3)。制御装置10は、このステップST3を、定量のペーストPTが吐出されたと判断するまで繰り返し(すなわちペーストPTの吐出を継続し)、ステップST3で定量のペーストPTが吐出されたと判断したときには、シリンジ昇降機構22を作動させてシリンジ8を非吐出位置まで上昇させるとともに、シリンジ8からのペーストPTの吐出を停止させ、ペースト貯留部8a内に負圧を供給する(図6のステップST4)。
【0047】
制御装置10は、ステップST4を、オンオフバルブ51のスプールの位置をオフセット位置51bに切り替え、切り替えバルブ52のスプールの位置をノーマル位置52aに切り替え、大気開放バルブ53のスプールの位置をオフセット位置53bに切り替えることによって実行する(図7の時間T2及び図10)。
【0048】
オンオフバルブ51がオフセット位置51bに切り替えられ、切り替えバルブ52がノーマル位置52aに切り替えられ、大気開放バルブ53がオフセット位置53bに切り替えられると、正圧供給管路LPが切り替えバルブ52によって閉塞されてシリンジ8からのペーストPTの吐出が停止される一方、第1負圧供給管路LN1と第2負圧供給管路LN2がオンオフバルブ51によって接続され、シリンジ管路LSが切り替えバルブ52によって第2負圧供給管路LN2に接続されるので、シリンジ管路LSに繋がるペースト貯留部8a内には負圧供給管路(第1負圧供給管路LN1及び第2負圧供給管路LN2)から負圧が供給される。
【0049】
このように切り替えバルブ52及び制御装置10は、正圧供給管路LPからペースト貯留部8a内に正圧を供給させてペースト吐出口8bからペーストPTを吐出させた後、負圧供給管路(第1負圧供給管路LN1及び第2負圧供給管路LN2)からペースト貯留部8a内に負圧を供給させる圧力切り替え手段として機能する。
【0050】
なお、このペースト貯留部8a内への負圧の供給開始時には、シリンジ管路LSから分岐したシリンジ分岐管路LSBは大気開放バルブ53によって大気に開放されることから、シリンジ管路LS内の圧力は正圧から負圧にスムーズに移行する。
【0051】
制御装置10は、ペースト貯留部8a内に負圧を作用させ始めてから所定時間(図7中に示す時間ΔT参照)が経過したら、大気開放バルブ53をノーマル位置53aに切り替えてシリンジ分岐管路LSBを閉塞し、その後の工程において、シリンジ管路LS内に必要なレベルの圧力(負圧)が作用し得るようにする(図7の時間T3及び図11)。
【0052】
制御装置10は、ステップST4においてペースト貯留部8a内への負圧の供給を開始したら、ペースト吐出口8bから垂れているペーストPTがペースト貯留部8a内に吸い上げられるようにするため、ペースト貯留部8a内の圧力を、ペースト貯留部8a内のペーストPTがペースト吐出口8bから垂れを生じることなくペースト貯留部8a内に保持される圧力(以下、「保持圧力Ph0」と称する。例えば−1kPa)よりも低い圧力として任意に定めた圧力(以下、「吸引圧力Ph1」と称する。例えば−10kPa)に調整する(図6のステップST5)。このステップST5は、具体的には、制御装置10が、第2電空レギュレータ42のレギュレータ調整圧を吸引圧力Ph1に設定する制御を行うことによって実行し(図7参照)、或いは圧力計34によって計測されるペースト貯留部8a内の圧力が目標とする吸引圧力Ph1になるように第2電空レギュレータ42のレギュレータ調整圧を変化させることによって(すなわちフィードバック制御によって)実行する。これによりペースト吐出口8bから垂れているペーストPTはペースト貯留部8a内に吸い上げられる。
【0053】
制御装置10は、ステップST4でペースト貯留部8a内への負圧の供給を開始したら、垂れ検出器33から送られてくるペーストPTの垂れの検出情報(シリンジ8のペースト吐出口8bからペーストPTが垂れているか否かの検出情報)に基づいて、ペースト吐出口8bからペーストPTの垂れが生じているかどうかの判断を行う(図6のステップST6)。そして、ステップST6でペースト吐出口8bからペーストPTの垂れが生じなくなったと判断したときには、ペースト貯留部8a内の圧力を保持圧力Ph0に調整する(図6のステップST7)。このステップST7は、具体的には、制御装置10が、第2電空レギュレータ42のレギュレータ調整圧を保持圧力Ph0に設定する制御を行うことによって実行し(図7の時間T4)、或いは圧力計34によって計測されるペースト貯留部8a内の圧力が目標とする保持圧力Ph0になるように第2電空レギュレータ42のレギュレータ調整圧を変化させることによって(すなわちフィードバック制御によって)実行する。これにより、シリンジ8のペースト吐出口8bから垂れていたペーストPTはペ
ースト貯留部8a内に吸い上げられてペーストPTの垂れが解消された後、ペーストPTの吸い上げは停止され、ペーストPTの垂れの下端部の位置は、垂れが解消された位置(ペースト吐出口8bの下端部付近の位置)に保持される。
【0054】
なお、ペースト貯留部8a内のペーストPTがペースト吐出口8bから垂れを生じることなくペースト貯留部8a内に保持される圧力(保持圧力Ph0)及びペースト吐出口8bから垂れているペーストPTがペースト貯留部8a内に吸い上げられるようにする圧力(吸引圧力Ph1)はそれぞれペースト貯留部8a内のペーストPTの残量によって変化するので、保持圧力Ph0及び吸引圧力Ph1の値はペーストPTの残量に応じてその都度定める必要があるが、ペーストPTの残量は、例えば、制御装置10が、ペースト貯留部8a内のペーストPTの初期量、ペーストPTを吐出した回数及び吐出1回あたりのペーストPTの吐出量の関係から求めることができる。
【0055】
このように第2電空レギュレータ42及び制御装置10は、圧力切り替え手段(切り替えバルブ52及び制御装置10)によりペースト貯留部8a内への負圧の供給が開始された後、ペースト貯留部8a内の圧力を、ペースト貯留部8a内のペーストPTがペースト吐出口8bから垂れを生じることなくペースト貯留部8a内に保持される第1の圧力(保持圧力Ph0)よりも低い圧力の第2の圧力(吸引圧力Ph1)に調整し、垂れ検出器33によりペースト吐出口8bからペーストPTの垂れが生じなくなったことが検出されたとき、ペースト貯留部8a内の圧力を第1の圧力(保持圧力Ph0)に調整する圧力調整手段として機能する。
【0056】
制御装置10は、ステップST7においてペースト貯留部8a内の圧力を保持圧力Ph0に調整したら、次いでペースト貯留部8aを密閉する(図6のステップST8)。このペースト貯留部8aの密閉は、オンオフバルブ51のスプールの位置をノーマル位置51aに切り替えることによって行う(図7の時間T5及び図12)。オンオフバルブ51がノーマル位置51aに切り替えられると、第1負圧供給管路LN1は第2負圧供給管路LN2との接続が解除されて閉塞され、シリンジ管路LSに繋がる第2負圧供給管路LN2の上流側端は閉塞されるので、負圧供給管路(第1負圧供給管路LN1及び第2負圧供給管路LN2)からシリンジ管路LSへの負圧の供給が遮断されてシリンジ管路LSが閉塞され(シリンジ分岐管路LSBは大気開放バルブ53によって閉塞されている)、ペースト貯留部8aは密閉される。
【0057】
このように、オンオフバルブ51及び制御装置10は、圧力調整手段(第2電空レギュレータ42及び制御装置10)によりペースト貯留部8a内の圧力が保持圧力Ph0に調整された後、負圧供給管路(第1負圧供給管路LN1及び第2負圧供給管路LN2)からペースト貯留部8a内への負圧の供給を遮断してペースト貯留部8aを密閉状態にする密閉手段として機能する。
【0058】
制御装置10は、ペースト貯留部8aを密閉状態にした後、所定時間経過後に、垂れ検出器33から送られてくるペーストPTの垂れの検出情報に基づいて、ペースト吐出口8bからペーストPTの垂れが生じているかどうかの判断を行う(図6のステップST9)。制御装置10は、ステップST9において、垂れ検出器33によりペースト吐出口8bからペーストPTの垂れが生じていると判断したときには、ペースト貯留部8aの密閉状態を解除するとともに、ペースト貯留部8a内への負圧の供給の遮断を解除し、負圧供給管路(第1負圧供給管路LN1及び第2負圧供給管路LN2)からペースト貯留部8a内への負圧の供給を再開させて(図6のステップST10)、ステップST5に戻る。
【0059】
制御装置10は、ステップST10を、オンオフバルブ51のスプールの位置をノーマル位置51aからオフセット位置51bに切り替えることによって実行する。オンオフバ
ルブ51がオフセット位置51bに切り替えられると、シリンジ管路LSに繋がる第2負圧供給管路LN2は第1負圧供給管路LN1と接続されるので、ペースト貯留部8a内には負圧供給管路(第1負圧供給管路LN1及び第2負圧供給管路LN2)から負圧が供給される。
【0060】
制御装置10がステップST10を実行すると、ペースト吐出機構24はステップST5の実行直前の状態(図11)に戻るので、再度ステップST5〜ST9の工程を繰り返すことによって、改めてペースト吐出口8bからのペーストPTの垂れを解消することができる。
【0061】
一方、制御装置10は、ステップST9において、ペースト吐出口8bからペーストPTの垂れが生じていないと判断したときには次のペースト塗布工程に進む。ステップST8が終了した時点(図12)で、ペースト吐出機構24の各バルブ51,52,53の各スプールはステップST1のアイドリング状態(図8)と同じ位置に位置した状態となっているので、この状態を次のペースト塗布工程のアイドリング状態(ステップST1)として、新たなペースト塗布工程を行う。
【0062】
ペースト貯留部8a内への正圧の供給開始から次の正圧の供給開始までをペーストPTの吐出動作の1サイクルとすると(図7)、制御装置10は、このダイボンダー1による基板PBへのチップPの接合工程が終了するまで、必要なサイクル数のペースト吐出動作を繰り返すことになる。
【0063】
以上説明したように、本実施の形態におけるペースト塗布装置30は、ペーストPTが貯留されるペースト貯留部8a及びペースト貯留部8aに繋がるペースト吐出口8bを備え、ペースト貯留部8a内に正圧が供給されたときにペースト吐出口8bからペーストPTを吐出するシリンジ8と、ペースト貯留部8a内に正圧を供給する正圧供給管路LPと、ペースト貯留部8a内に負圧を供給する負圧供給管路(第1負圧供給管路LN1及び第2負圧供給管路LN2)と、正圧供給管路LPからペースト貯留部8a内に正圧を供給させてペースト吐出口8bからペーストPTを吐出させた後、負圧供給管路(第1負圧供給管路LN1及び第2負圧供給管路LN2)からペースト貯留部8a内に負圧を供給させる圧力切り替え手段(切り替えバルブ52及び制御装置10)と、圧力切り替え手段によりペースト貯留部8a内への負圧の供給が開始された後、ペースト吐出口8bからペーストPTの垂れが生じているか否かの検出を行う垂れ検出器33と、圧力切り替え手段によりペースト貯留部8a内への負圧の供給が開始された後、ペースト貯留部8a内の圧力を、ペースト貯留部8a内のペーストPTがペースト吐出口8bから垂れを生じることなくペースト貯留部8a内に保持される第1の圧力(保持圧力Ph0)よりも低い圧力の第2の圧力(吸引圧力Ph1)に調整し、垂れ検出器33によりペースト吐出口8bからペーストPTの垂れがなくなったことが検出されたとき、ペースト貯留部8a内の圧力を第1の圧力(保持圧力Ph0)に調整する圧力調整手段(第2電空レギュレータ42及び制御装置10)を備えたものとなっている。なお、第1の圧力(保持圧力Ph0)は、ペーストPTの特性やペースト吐出口8bの径等との関係では大気圧レベルでもよい。第1の圧力を大気圧レベルにするには大気開放バルブ53のスプールをオフセット位置53bに切り替えればよく、この場合には圧力調整手段は第2電空レギュレータ42及び制御装置10のほか、大気開放バルブ53によって構成される。
【0064】
また、本実施の形態におけるペースト塗布方法は、ペーストPTが貯留されるシリンジ8のペースト貯留部8a内に正圧を供給し、ペースト貯留部8aに繋がるペースト吐出口8bからペーストPTを吐出させる工程(ステップST2)と、ペースト吐出口8bからペーストPTを吐出させた後、ペースト貯留部8a内に負圧を供給し(ステップST4)、ペースト貯留部8a内の圧力を、ペースト貯留部8a内のペーストPTがペースト吐出
口8bから垂れを生じることなくペースト貯留部8a内に保持される第1の圧力(保持圧力Ph0)よりも低い圧力の第2の圧力(吸引圧力Ph1)に調整する工程(ステップST5)と、ペースト貯留部8a内への負圧の供給を開始した後、ペースト吐出口8bからペーストPTの垂れが生じなくなったことを検出したとき、ペースト貯留部8a内の圧力を第1の圧力(保持圧力Ph0)に調整する工程(ステップST7)を含むものとなっている。
【0065】
このように本実施の形態におけるペースト塗布装置30(或いはペースト塗布方法)では、ペースト貯留部8a内に正圧を供給してペースト吐出口8bからペーストPTを吐出させた後、ペースト貯留部8a内に負圧を供給し、ペースト貯留部8a内の圧力を、ペースト貯留部8a内のペーストPTがペースト吐出口8bから垂れを生じることなくペースト貯留部8a内に保持される圧力(第1の圧力であり、保持圧力Ph0)より低い圧力(第2の圧力であり、吸引圧力Ph1)に調整することによってペーストPTを吸い上げ、ペースト吐出口8bからペーストPTの垂れが生じなくなったときに、ペースト貯留部8a内の圧力を、ペースト貯留部8a内のペーストPTがペースト吐出口8bから垂れを生じることなくペースト貯留部8a内に保持される圧力(第1の圧力であり、保持圧力Ph0)に調整するようにしている。このため、ペーストPTの吸い上げ過ぎによってペースト吐出口8bに空隙部分が形成されることがなく、ペーストPTの空打ちが防止されるので、確実な定量吐出を行うことができる。
【0066】
また、本実施の形態におけるペースト塗布装置30では、上記圧力調整手段によりペースト貯留部8a内の圧力が第1の圧力に調整された後、負圧供給管路(第1負圧供給管路LN1及び第2負圧供給管路LN2)からペースト貯留部8a内への負圧の供給を遮断してペースト貯留部8aを密閉状態にする密閉手段(オンオフバルブ51及び制御装置10)を備えており、本実施の形態におけるペースト塗布方法では、ペースト貯留部8a内の圧力を第1の圧力に調整した後、ペースト貯留部8a内への負圧の供給を遮断してペースト貯留部8aを密閉状態にする工程(ステップST8)を実行するようになっている。このため、ペーストPTを吸い上げた後のペーストPTの垂れを確実に防止することができる。
【0067】
更に、本実施の形態におけるペースト塗布装置30では、密閉手段(オンオフバルブ51及び制御装置10)は、ペースト貯留部8aを密閉状態にした後、垂れ検出器33によりペースト吐出口8bからペーストPTの垂れが生じたことが検出された場合に、ペースト貯留部8aの密閉状態を解除するとともに、ペースト貯留部8a内への負圧の供給の遮断を解除し、負圧供給管路(第1負圧供給管路LN1及び第2負圧供給管路LN2)からペースト貯留部8a内への負圧の供給を再開させるようになっており、本実施の形態におけるペースト塗布方法では、ペースト貯留部8aを密閉状態にした後、ペースト吐出口8bからペーストPTの垂れが生じたことを検出した場合に、ペースト貯留部8aの密閉状態を解除するとともに、ペースト貯留部8a内への負圧の供給の遮断を解除し、ペースト貯留部8a内への負圧の供給を再開させる工程(ステップST10)を実行するようになっている。このため、ペーストPTの垂れが再度生じた場合であっても、その垂れを解消することができる。
【0068】
また、本実施の形態における電子部品接合装置としてのダイボンダー1は、基板PBの位置決めを行う基板位置決め部5と、基板位置決め部5により位置決めされた基板PBにペーストPTを塗布する本実施の形態におけるペースト塗布装置30と、ペースト塗布装置30によりペーストPTが塗布された基板PBにチップP(電子部品)を接合させる電子部品接合部としての接合ヘッド7を備えたものとなっている。
【0069】
また、本実施の形態におけるペースト塗布方法は、基板PBの位置決めを行う基板位置
決め工程と、本実施の形態におけるペースト塗布装置30又はペースト塗布方法により、基板位置決め工程で位置決めした基板PBにペーストPTを塗布するペースト塗布工程と、ペースト塗布工程でペーストPTが塗布された基板PBにチップP(電子部品)を接合させる電子部品接合工程とを含むものとなっている。
【0070】
本実施の形態におけるダイボンダー1(或いは電子部品接合方法)は、上記効果を有するペースト塗布装置30を用いているため、ペーストPTの垂れによる基板PBの汚損を効果的に防止することができ、生産基板の良品率を向上させることができる。
【0071】
なお、上記の説明では、制御装置10は、ステップST8において、垂れ検出器33から送られてくるペーストPTの垂れの検出情報に基づいて、シリンジ8からのペーストPTの垂れがなくなったと判断したとき、ペースト貯留部8a内へのペーストPTの吸い上げを停止させるとともに、ペースト貯留部8aを密閉するようになっているが、ペースト貯留部8a内の圧力を保持圧力Ph0に調整するだけでペーストPTの垂れを確実に防止することができるのであれば、このペースト貯留部8aの密閉は必ずしも行わなくてもよい。
【0072】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述の実施の形態に示したものに限定されない。例えば、上述の実施の形態では、垂れ検出器33はシリンジ8が保持されるプレート部材23、すなわちシリンジ8と一緒に移動(基台2に対して相対移動)する部材に設けられたものとなっていたが、必ずしもシリンジ8と一緒に移動する部材に設けられていなくてもよく、基台2に対して固定された部材に設けられていてもよい。例えば、ペーストPTの非吐出時にシリンジ8が所定の待機位置に移動して待機するようになっているのであれば、その待機位置に移動したシリンジ8のペースト吐出口8bの直下を検査光Lが水平方向に通過するような位置(基台2に対して相対的に固定された位置)に、垂れ検出器33を取り付けることができる。
【0073】
また、上述の実施の形態では、垂れ検出器33として、水平方向に検査光Lを投光し、その投光した検査光Lの反射光を受光するかどうかによって、ペースト吐出口8bからペーストPTが垂れているか否かの検出を行う反射型の光センサを用いていたが、垂れ検出器33は反射型の光センサに限られず、投光器と受光器を水平方向に対向させて配置した透過型の光センサ等であってもよい。
【0074】
また、上述の実施の形態では垂れ検出器33として光センサを用いていたが、垂れ検出器33は必ずしも光センサでなくてもよく、例えばCCDを用いたカメラのように、ペースト吐出口8bの近傍領域を撮像することによって、ペースト吐出口8bからのペーストPTの垂れの有無を検出するようにしてもよい。
【0075】
また、上述の実施の形態では、正圧供給管路LPからペースト貯留部8a内に正圧を供給させた後、負圧供給管路(第1負圧供給管路LN1及び第2負圧供給管路LN2)からペースト貯留部8a内に負圧を供給させるペースト貯留部8a内への圧力供給の切り替えを1つのバルブ(切り替えバルブ52)の位置切り替えによって行うようになっていたが、このペースト貯留部8a内への圧力供給の切り替えは、複数のバルブの位置切り替えを組み合わせることによって行われるようになっていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
ペーストの空打ちを防止して確実な定量吐出を行うことができるペースト塗布装置、電子部品接合装置、ペースト塗布方法及び電子部品接合方法を提供する。
【符号の説明】
【0077】
1 ダイボンダー(電子部品接合装置)
5 基板位置決め部
7 接合ヘッド(電子部品接合部)
8 シリンジ
8a ペースト貯留部
8b ペースト吐出口
10 制御装置(圧力切り替え手段、圧力調整手段、密閉手段)
30 ペースト塗布装置
33 垂れ検出器
42 第2電空レギュレータ(圧力調整手段)
51 オンオフバルブ(密閉手段)
52 切り替えバルブ(圧力切り替え手段)
LP 正圧供給管路
LN1 第1負圧供給管路(負圧供給管路)
LN2 第2負圧供給管路(負圧供給管路)
PT ペースト
PB 基板
P チップ(電子部品)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペーストが貯留されるペースト貯留部及びペースト貯留部に繋がるペースト吐出口を備え、ペースト貯留部内に正圧が供給されたときにペースト吐出口からペーストを吐出するシリンジと、
ペースト貯留部内に正圧を供給する正圧供給管路と、
ペースト貯留部内に負圧を供給する負圧供給管路と、
正圧供給管路からペースト貯留部内に正圧を供給させてペースト吐出口からペーストを吐出させた後、負圧供給管路からペースト貯留部内に負圧を供給させる圧力切り替え手段と、
圧力切り替え手段によりペースト貯留部内への負圧の供給が開始された後、ペースト吐出口からペーストの垂れが生じているか否かの検出を行う垂れ検出器と、
圧力切り替え手段によりペースト貯留部内への負圧の供給が開始された後、ペースト貯留部内の圧力を、ペースト貯留部内のペーストがペースト吐出口から垂れを生じることなくペースト貯留部内に保持される第1の圧力よりも低い圧力の第2の圧力に調整し、垂れ検出器によりペースト吐出口からペーストの垂れが生じなくなったことが検出されたとき、ペースト貯留部内の圧力を第1の圧力に調整する圧力調整手段とを備えたことを特徴とするペースト塗布装置。
【請求項2】
圧力調整手段によりペースト貯留部内の圧力が第1の圧力に調整された後、負圧供給管路からペースト貯留部内への負圧の供給を遮断してペースト貯留部を密閉状態にする密閉手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のペースト塗布装置。
【請求項3】
密閉手段は、ペースト貯留部を密閉状態にした後、垂れ検出器によりペースト吐出口からペーストの垂れが生じたことが検出された場合に、ペースト貯留部の密閉状態を解除するとともに、ペースト貯留部内への負圧の供給の遮断を解除し、負圧供給管路からペースト貯留部内への負圧の供給を再開させることを特徴とする請求項2に記載のペースト塗布装置。
【請求項4】
基板の位置決めを行う基板位置決め部と、
基板位置決め部により位置決めされた基板にペーストを塗布する請求項1乃至3のいずれかに記載のペースト塗布装置と、
ペースト塗布装置によりペーストが塗布された基板に電子部品を接合させる電子部品接合部とを備えたことを特徴とする電子部品接合装置。
【請求項5】
ペーストが貯留されるシリンジのペースト貯留部内に正圧を供給し、ペースト貯留部に繋がるペースト吐出口からペーストを吐出させる工程と、
ペースト吐出口からペーストを吐出させた後、ペースト貯留部内に負圧を供給し、ペースト貯留部内の圧力を、ペースト貯留部内のペーストがペースト吐出口から垂れを生じることなくペースト貯留部内に保持される第1の圧力よりも低い圧力の第2の圧力に調整する工程と、
ペースト貯留部内への負圧の供給を開始した後、ペースト吐出口からペーストの垂れが生じなくなったことを検出したとき、ペースト貯留部内の圧力を第1の圧力に調整する工程とを含むことを特徴とするペースト塗布方法。
【請求項6】
ペースト貯留部内の圧力を第1の圧力に調整した後、ペースト貯留部内への負圧の供給を遮断してペースト貯留部を密閉状態にする工程を実行することを特徴とする請求項5に記載のペースト塗布方法。
【請求項7】
ペースト貯留部を密閉状態にした後、ペースト吐出口からペーストの垂れが生じたこと
を検出した場合に、ペースト貯留部の密閉状態を解除するとともに、ペースト貯留部内への負圧の供給の遮断を解除し、ペースト貯留部内への負圧の供給を再開させる工程を実行することを特徴とする請求項6に記載のペースト塗布方法。
【請求項8】
基板の位置決めを行う基板位置決め工程と、
請求項1乃至3の何れかに記載のペースト塗布装置により、基板位置決め工程で位置決めした基板にペーストを塗布するペースト塗布工程と、
ペースト塗布工程でペーストが塗布された基板に電子部品を接合させる電子部品接合工程とを含むことを特徴とする電子部品接合方法。
【請求項1】
ペーストが貯留されるペースト貯留部及びペースト貯留部に繋がるペースト吐出口を備え、ペースト貯留部内に正圧が供給されたときにペースト吐出口からペーストを吐出するシリンジと、
ペースト貯留部内に正圧を供給する正圧供給管路と、
ペースト貯留部内に負圧を供給する負圧供給管路と、
正圧供給管路からペースト貯留部内に正圧を供給させてペースト吐出口からペーストを吐出させた後、負圧供給管路からペースト貯留部内に負圧を供給させる圧力切り替え手段と、
圧力切り替え手段によりペースト貯留部内への負圧の供給が開始された後、ペースト吐出口からペーストの垂れが生じているか否かの検出を行う垂れ検出器と、
圧力切り替え手段によりペースト貯留部内への負圧の供給が開始された後、ペースト貯留部内の圧力を、ペースト貯留部内のペーストがペースト吐出口から垂れを生じることなくペースト貯留部内に保持される第1の圧力よりも低い圧力の第2の圧力に調整し、垂れ検出器によりペースト吐出口からペーストの垂れが生じなくなったことが検出されたとき、ペースト貯留部内の圧力を第1の圧力に調整する圧力調整手段とを備えたことを特徴とするペースト塗布装置。
【請求項2】
圧力調整手段によりペースト貯留部内の圧力が第1の圧力に調整された後、負圧供給管路からペースト貯留部内への負圧の供給を遮断してペースト貯留部を密閉状態にする密閉手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のペースト塗布装置。
【請求項3】
密閉手段は、ペースト貯留部を密閉状態にした後、垂れ検出器によりペースト吐出口からペーストの垂れが生じたことが検出された場合に、ペースト貯留部の密閉状態を解除するとともに、ペースト貯留部内への負圧の供給の遮断を解除し、負圧供給管路からペースト貯留部内への負圧の供給を再開させることを特徴とする請求項2に記載のペースト塗布装置。
【請求項4】
基板の位置決めを行う基板位置決め部と、
基板位置決め部により位置決めされた基板にペーストを塗布する請求項1乃至3のいずれかに記載のペースト塗布装置と、
ペースト塗布装置によりペーストが塗布された基板に電子部品を接合させる電子部品接合部とを備えたことを特徴とする電子部品接合装置。
【請求項5】
ペーストが貯留されるシリンジのペースト貯留部内に正圧を供給し、ペースト貯留部に繋がるペースト吐出口からペーストを吐出させる工程と、
ペースト吐出口からペーストを吐出させた後、ペースト貯留部内に負圧を供給し、ペースト貯留部内の圧力を、ペースト貯留部内のペーストがペースト吐出口から垂れを生じることなくペースト貯留部内に保持される第1の圧力よりも低い圧力の第2の圧力に調整する工程と、
ペースト貯留部内への負圧の供給を開始した後、ペースト吐出口からペーストの垂れが生じなくなったことを検出したとき、ペースト貯留部内の圧力を第1の圧力に調整する工程とを含むことを特徴とするペースト塗布方法。
【請求項6】
ペースト貯留部内の圧力を第1の圧力に調整した後、ペースト貯留部内への負圧の供給を遮断してペースト貯留部を密閉状態にする工程を実行することを特徴とする請求項5に記載のペースト塗布方法。
【請求項7】
ペースト貯留部を密閉状態にした後、ペースト吐出口からペーストの垂れが生じたこと
を検出した場合に、ペースト貯留部の密閉状態を解除するとともに、ペースト貯留部内への負圧の供給の遮断を解除し、ペースト貯留部内への負圧の供給を再開させる工程を実行することを特徴とする請求項6に記載のペースト塗布方法。
【請求項8】
基板の位置決めを行う基板位置決め工程と、
請求項1乃至3の何れかに記載のペースト塗布装置により、基板位置決め工程で位置決めした基板にペーストを塗布するペースト塗布工程と、
ペースト塗布工程でペーストが塗布された基板に電子部品を接合させる電子部品接合工程とを含むことを特徴とする電子部品接合方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−258001(P2010−258001A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−102577(P2009−102577)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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