説明

ホスホン酸ジエステルおよびジホスホン酸ジエステルならびにホスホン酸ジエステルおよびジホスホン酸ジエステルを含むシラン基含有硬化性混合物の使用

本発明は、(A)少なくとも1種のホスホン酸ジエステルおよび/または少なくとも1種のジホスホン酸ジエステルと、(B)少なくとも2つの縮合性シラン基を有する少なくとも1種の化合物とを含むシラン基含有混合物中でのホスホン酸ジエステルおよびジホスホン酸ジエステル(A)の使用に関する。また、本発明は、硬化材料、特に塗膜の製造のためのシラン基含有混合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シラン基を有する混合物の成分としてのホスホン酸ジエステルおよびジホスホン酸ジエステルの新規の用途に関する。また、本発明は、ホスホン酸ジエステルおよびジホスホン酸ジエステルを成分として含む、新規のシラン基を有する硬化性混合物にも関する。
【0002】
背景技術
ホスホン酸ジエステルは、亜リン酸[P(OH)]と互変異性であるホスホン酸[HP(O)(OH)]のエステルである。また、全く正しくはないが、ホスホン酸ジエステルはしばしば2級亜リン酸塩とも呼ばれる。しかし、亜リン酸の本当の誘導体はトリエステルのみである。
【0003】
ジホスホン酸ジエステルは、ジホスホン酸:
(HO)(O)PH−O−PH(O)(OH)ジエステルであり、
以前は二亜リン酸とも呼ばれていた。
(これに関連して、Rompp Lexikon der Chemie,Georg Thieme Verlag,Stuttgart,New York,1990,「Phosphites」、「Phosphonates」、「Phosphonic acid」、「Diethyl phosphite」、および「Dimethyl phosphite」を参照。)
シラン基を介した重縮合により架橋可能な水不含のシラン官能性の熱硬化性混合物、特に塗料は、国際特許出願第WO 2004/072189 A2号あるいは欧州特許第0 267 689 A2号および同第1 193 278 A1号により公知である。
【0004】
既知の水不含のシラン官能性の熱硬化性混合物は、任意選択によりアミンブロックされた酸性のリン酸エステル、任意選択によりアミンブロックされたスルホン酸、有機錫化合物、(例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、錫オクトアートまたはジブチル錫オキシド)、アミン(例えば、トリエチルアミン、テトラメチルグアニジンまたはトリエチレンジアミン)、およびチタン、錫(II)、亜鉛、またはビスマスの化合物、を熱硬化触媒として含む。
【0005】
しかしながら、これらの触媒には、それぞれ特有の欠点がある。
【0006】
強酸性の触媒は、熱硬化性混合物中、特に、コーティング剤で使用される種類の一般的な既知の光安定剤と厳しい相互作用を起こす、望ましくない現象を示す。その上、それらは既知の水不含のシラン基を有する熱硬化性混合物の保存安定性を低下させ、それによって混合物のゲル化が早まる場合がある。
【0007】
また、金属触媒およびアミン触媒は、しばしば黄変の原因となり、それは、特に既存の水不含のシラン基を有する熱硬化性混合物から製造されたクリアコートの場合に悪影響を及ぼす。
【0008】
課題
本発明の目的は、当該技術を強化するため、ホスホン酸ジエステルおよびジホスホン酸ジエステルの新規の使用を見い出し、その有用性を拡大することにある。
【0009】
また、本発明の目的は、ホスホン酸ジエステルおよび/またはジホスホン酸ジエステルを含む新規シラン基を有する混合物を見い出すことでもある。
【0010】
新規シラン基を有する混合物は、製造が簡単であると共に、室温より高い温度(例えば、40℃)での長期間(少なくとも4週間)の保存において安定であるべきである。ただし、好ましくは、それらは、自動車製造仕上げの条件下(例えば、100〜160℃で10〜60分間)でさえ、問題なく急速に硬化し得る十分な反応性を有しているべきである。
【0011】
特に新規シラン基を有する混合物(特に塗料)は、特に硬く、耐摩耗性、高い耐擦過性、特に化学的安定性および耐エッチング性を有し、さらにクリアコートとして高い光沢および透明性を有する、熱硬化性材料(特に塗膜)を提供すべきである。
【0012】
解決手段
シラン基を有する混合物中におけるホスホン酸ジエステルおよび/またはジホスホン酸ジエステル(A)の新規の使用が見い出された。これを以下において「本発明の使用」と呼ぶ。
【0013】
また、
(A)少なくとも1種のホスホン酸ジエステルおよび/または少なくとも1種のジホスホン酸ジエステル、および
(B)少なくとも2つの縮合性シラン基を有する少なくとも1種の化合物
を含む新規シラン基を有する混合物も見い出された。これを、以下において「本発明の混合物」と呼ぶ。
【0014】
本発明のさらなる内容については、説明により明らかにする。
【0015】
本発明の利点
本発明の目的が、本発明の使用および本発明の混合物によって達成することができることは、従来技術に照らして驚くべきことであり、当業者であっても予測できなかったことである。
【0016】
特に驚くべきことに、本発明の使用により、ホスホン酸ジエステルおよびジホスホン酸ジエステル(A)の適用可能性が格段に拡大され、その結果、技術が強化されることとなった。
【0017】
特に、本発明の使用により、縮合性のシラン基の重縮合によって硬化し得る、革新的な硬化性(特に熱硬化性)混合物の提供が可能となった。
【0018】
その上、驚くべきことに、本発明の使用では、シラン基を含む化合物の重縮合が特に問題なく急速に進行した。
【0019】
本発明の混合物は、製造が簡単であると共に、室温より高い温度(例えば、40℃)での長期間(少なくとも4週間)の保存において安定であった。それにもかかわらず、それらは、自動車製造仕上げの条件下(例えば、100〜160℃で10〜60分間)でさえ、問題なく急速に硬化し得る十分な反応性を有していた。
【0020】
驚くべきことに、本発明の混合物は、特に硬く、耐摩耗性、高い耐擦過性、特に化学的安定性、および耐エッチング性を有し、さらにクリアコートとして高い光沢および透明性を有する、新規の熱硬化混合物(特に新規の塗膜)を提供する。
【0021】
本発明の詳細な説明
本発明において、ホスホン酸ジエステル(A)はシラン基を有する混合物の成分として使用される。
【0022】
本発明の使用において、ホスホン酸ジエステルおよびジホスホン酸ジエステル(A)は、好ましくは非環状ホスホン酸ジエステル、環状ホスホン酸ジエステル、非環状ジホスホン酸ジエステル、および環状ジホスホン酸ジエステルから成る群から選択される。
【0023】
非環状ホスホン酸ジエステル(A)は、好ましくは一般式(I):
【化1】

の非環状ホスホン酸ジエステル(A)から成る群から選択される。
【0024】
一般式(I)において、基R1および基R2は、互いに同一かまたは異なっており、好ましくは、それらは同一である。
【0025】
基R1および基R2は、
置換および非置換の、1〜20個、好ましくは2〜16個、特に2〜10個の炭素原子を有するアルキル−、3〜20個、好ましくは3〜16個、特に3〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル−、および5〜20個、好ましくは6〜14個、特に6〜10個の炭素原子を有するアリール−(ハイフンは、各場合において、基R1または基R2の炭素原子とO−P基の酸素原子との間の共有結合を意味する);
置換および非置換の、アルキルアリール−、アリールアルキル−、アルキルシクロアルキル−、シクロアルキルアルキル−、アリールシクロアルキル−、シクロアルキルアリール−、アルキルシクロアルキルアリール−、アルキルアリールシクロアルキル−、アリールシクロアルキルアルキル−、アリールアルキルシクロアルキル−、シクロアルキルアルキルアリール−、およびシクロアルキルアリールアルキル−(その場合のアルキル基、シクロアルキル基、およびアリール基は上記の数の炭素原子を含み、ハイフンは、各場合において、基R1または基R2の炭素原子とO−P基の酸素原子との間の共有結合を意味する);ならびに、
酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、およびケイ素原子から成る群、特に酸素原子、イオウ原子、および窒素原子から成る群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む置換および非置換の上記の種類の基−(ハイフンは、基の炭素原子とO−P基の酸素原子との間の共有結合を意味する);
から成る群から選択される。
【0026】
環状ホスホン酸ジエステル(A)は、好ましくは一般式II:
【化2】

の環状ホスホン酸ジエステル(A)から成る群から選択される。
【0027】
一般式IIにおいて、基R3および基R4はお互い同一かまたは異なっており、好ましくは、それらは同一である。
【0028】
基R3および基R4は、
置換および非置換の、2価の、1〜20個の、好ましくは1〜10個の、特に1〜6個の炭素原子を有するアルキル−、3〜20個の、好ましくは3〜10個の、特に3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル−、および5〜20個の、好ましくは6〜14個の、特に6〜10個の炭素原子を有するアリール−(ハイフンは、各場合において、基R3または基R4の炭素原子とO−P基の酸素原子との間の共有結合を意味する);
置換および非置換の、2価の、アルキルアリール−、アリールアルキル−、アルキルシクロアルキル−、シクロアルキルアルキル−、アリールシクロアルキル−、シクロアルキルアリール−、アルキルシクロアルキルアリール−,アルキルアリールシクロアルキル−、アリールシクロアルキルアルキル−、アリールアルキルシクロアルキル−、シクロアルキルアルキルアリール−、およびシクロアルキルアリールアルキル−(その場合のアルキル基、シクロアルキル基、およびアリール基は上記の数の炭素原子を含み、ハイフンは、各場合において、基R3または基R4の炭素原子とO−P基の酸素原子との間の共有結合を意味する);ならびに、
酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、およびケイ素原子から成る群から選択される少なくとも1個の、特に1個の、ヘテロ原子を含む置換および非置換の上記の種類の基−(ハイフンは、基の炭素原子とO−P基の酸素原子との間の共有結合を意味する);
から成る群から選択される。
【0029】
一般式IIにおいて、変数Zは、
基R3の原子と基R4の原子との間の共有結合;
酸素原子、置換、特に酸素置換、および非置換の硫黄原子、置換、特にアルキル置換の窒素原子、置換、特に酸素置換のリン原子、および置換、特にアルキル置換およびアルコキシ置換のケイ素原子、から成る群から選択された2価の結合基(特には酸素原子);または、
置換および非置換の、1〜10個の、特に1〜6個の、特に1〜4個の炭素原子を有するアルキル、3〜10個の、特に3〜6個の、特に6個の炭素原子を有するシクロアルキル、および5〜10個の、特に6個の炭素原子を有するアリール(前記アルキル、シクロアルキル、およびアリールは、ヘテロ原子を有さないか、もしくは、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、およびケイ素原子から成る群、特に酸素原子、硫黄原子、および窒素原子から成る群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を有する)から成る群から選択された2価の結合基;
である。
【0030】
好ましくは、非環状ジホスホン酸ジエステル(A)が、一般式III:
(R1−O)(O)PH−O−PH(O)(O−R2) (III);
[式中、変数は上記と同義である]
で表される非環状ジホスホン酸ジエステル(A)から成る群から選択される。
【0031】
好ましくは環状ジホスホン酸ジエステル(A)が、一般式IV:
【化3】

[式中、変数は上記と同義である]
の環状ジホスホン酸ジエステル(A)から成る群から選択される。
【0032】
基R1、R2、R3、およびR4の好適な置換基は、ホスホン酸ジエステルおよびジホスホン酸ジエステル(A)の活性に悪影響を及ぼさす、本発明の混合物の硬化反応を阻害せず、望ましくない副反応の原因とならず、毒性作用を引き起こさない、全ての基および原子を含む。好適な置換基の例は、ハロゲン原子、ニトリル基、またはニトロ基であり、好ましくはハロゲン原子であり、特に好ましくはフッ素原子、塩素原子、および臭素原子である。
【0033】
好ましくはR1、R2、R3、およびR4は非置換である。
【0034】
好ましくは基R1およびR2が、フェニル、メチル、およびエチルから成る群から選択される。より好ましくは、フェニルが用いられる。
【0035】
一般式(I)の非環状ホスホン酸ジエステル(A)を使用するのが好ましい。
【0036】
より好ましくは、一般式(I)の非環状ホスホン酸ジエステル(A)の基R1およびR2が、フェニル、メチル、およびエチルから成る群から選択される。特にフェニルが使用される。
【0037】
一般式(I)の特に好適なホスホン酸ジエステル(A)の例としては、しばしば、当業者により(完全には正しくないものの)亜リン酸ジフェニルと呼ばれるホスホン酸ジフェニルが挙げられる。
【0038】
本発明の目的のために好適なシラン基を有する混合物としては、特に、有機シラン基を有する混合物が挙げられる。混合物中のシラン基は、モノマー基本構造、オリゴマー基本構造、またはポリマー基本構造に結合していてもよい。シラン基は、特にシロキサン基として、それ自身、基本構造の構築ブロックを形成してもよい。さらにそれらは、反応が遅くてもよいし、または不活性でもよい。好ましくは、それらは特に加水分解および/または縮合反応において反応性である。
【0039】
本発明の使用の特に有利な点は、ホスホン酸ジエステル(A)が、比較的少量でさえ、シラン基を有する混合物中で著しい作用を示すことである。
【0040】
本発明の混合物は、
(A)少なくとも1種、特に1種の上記で説明されたホスホン酸ジエステル、および
(B)少なくとも2つの、特に少なくとも3つの縮合性シラン基を有する少なくとも1種、特に1種の化合物
を必ず含む。
【0041】
それらはさらに、少なくとも1種のさらなる成分(C)を含んでもよい。
【0042】
1つの所定の化合物(B)において、1つの基本構造は、少なくとも2つの、特に少なくとも3つの縮合性シラン基と結合している。
【0043】
縮合性シラン基は、好ましくは一般式V:
−SiR5m63−m (V)
[式中の添え字および変数は以下によって定義付けられる:
mは1〜3の整数であって、特に3であり;
5は1価の縮合性原子または1価の縮合性有機基であり;
6は1価の不活性有機基である]
で表される。
【0044】
1価の縮合性原子は、好ましくは水素原子、フッ素原子、塩素原子、および臭素原子から成る群から選択される。
【0045】
1価の縮合性有機基R5は、好ましくはヒドロキシル基および一般式VI:
−R7−R6 (VI)
[式中、変数R7は2価の結合原子または2価の結合官能基であり、R6は上記と同義である]
で表される基から成る群から選択される。
【0046】
1価の不活性有機基R6は、好ましくは、
1価の、置換および非置換の、好ましくは1〜20個、より好ましくは2〜16個、特に2〜10個の炭素原子を有するアルキル、好ましくは3〜20個、より好ましくは3〜16個、特に3〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル−、ならびに、好ましくは5〜20個、より好ましくは6〜14個、特に6〜10個の炭素原子を有するアリール−;
1価の、置換および非置換の、アルキルアリール、アリールアルキル、アルキルシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリールシクロアルキル、シクロアルキルアリール、アルキルシクロアルキルアリール、アルキルアリール−シクロアルキル、アリールシクロアルキルアルキル、アリールアルキルシクロアルキル、シクロアルキルアルキルアリール、およびシクロアルキルアリールアルキル(アルキル基、シクロアルキル基、およびアリール基は、好ましくは、好ましくは上記の数の炭素原子をそれぞれ含む);ならびに、
酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、ケイ素原子から成る群、特に酸素原子、硫黄原子、および窒素原子から成る群から選択された少なくとも1個、特に1個、のヘテロ原子を含む、1価の置換および非置換の上記の種類の基;
から成る群から選択され、
好適な置換基は上記で説明したような基である。
【0047】
2価の結合原子R7は、好ましくは、酸素原子および硫黄原子から成る群から選択され、特に酸素原子である。
【0048】
2価の結合官能基R7は、好ましくは、−C(=R8)−、−R7−C(=R8)−、−C(=R8)−R7−、−NH−、および−N(−R6)−(式中、変数R8は2価の原子であり、変数R7は上記と同義であって、特に酸素原子または硫黄原子であり、変数R6は上記と同義であり、「=」記号は二重結合を表し、左手外側のハイフンによって表される共有結合は一般式VIの基を一般式Vの基のケイ素原子へ結合する)から成る群から選択される。
【0049】
特に2価の原子R8は、酸素原子および硫黄原子から成る群から選択され、特に酸素原子である。
【0050】
7は、非常に好ましくは2価の結合原子である。
【0051】
特に、一般式Vのシラン基は、トリメトキシシリル基およびトリエトキシシリル基から成る群から選択される。
【0052】
化合物(B)は、構造においてモノマー性、オリゴマー性、またはポリマー性であってもよく、すなわち、それらは、モノマー性、オリゴマー性、またはポリマー性の基本構造を有してもよい。
【0053】
「モノマー性」は、当該化合物(B)またはその基本構造が、実質的に、1つの構造単位、あるいは2つの構造単位で構成され、それらは互いに同一または異なっていてもよい。
【0054】
「オリゴマー性」は、当該化合物(B)またはその基本構造が、互いに同一または異なっていてもよい平均3〜12個のモノマー性構造単位で構成されることを意味する。
【0055】
「ポリマー性」は、当該化合物(B)またはその基本構造が、互いに同一または異なっていてもよい少なくとも平均8個のモノマー性構造単位で構成されることを意味する。
【0056】
平均8〜12個のモノマー性構造単位で構成された化合物(B)またはその基本構造が、当業者によってオリゴマーと見なされるか、それともポリマーと見なされるかは、特に、そのような化合物(B)または基本構造の数平均分子量および質量平均分子量によって変わる。分子量が比較的高い場合、それはポリマーと見なされ、分子量が比較的低い場合は、オリゴマーと見なされる。
【0057】
化合物(B)のモノマー性基本構造は、一般的な既知の低分子量の有機化合物に由来する。
【0058】
化合物(B)のオリゴマー性およびポリマー性基本構造は、好ましくは、一般的な既知の有機および有機金属オリゴマーおよびポリマーに由来する。これらは、非常に多様な任意の構造を有してもよい。一例として、それらは直線型、星型、櫛型、または不規則な分岐型の、樹枝状または環状であってもよく、これらの構造の2つ以上が1つの化合物(B)内に存在してもよい。その構造は、モノマー性構造単位がランダムおよび/またはブロック状に配置されることを特徴としてもよい。
化合物(B)のオリゴマー性およびポリマー性基本構造は、より好ましくは、オレフィン性またはアセチレン性(好ましくはオレフィン性)の不飽和モノマーによるフリーラジカル重合、アニオン重合、またはカチオン重合、または重縮合、あるいは重付加により製造可能な一般的な既知のオリゴマーおよびポリマーに由来する。
【0059】
化合物(B)のオリゴマー性およびポリマー性基本構造は、一般的な既知のポリオレフィン、ポリスチレン、ポルアクリロニトリル、(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンオキサイド、およびポリウレタンに由来するのが特に好ましい。
【0060】
特に好ましくは、化合物(B)の基本構造は、一般式(VII 1)、(VII 2)、および(VII 3):
−R10−R11−R12 (VII 1)、
−R10−R11−R12= (VII 2)、および
−R10−R11−R12< (VII 3)
[式中、変数R10、R11、およびR12は、以下で一般式VIIに関連して詳細に定義する]
の基から成る群から選択された少なくとも1つの基、特に少なくとも2つの基、を有する。
【0061】
非常に好ましくは、化合物(B)は、一般式VII:
9{−R10−R11−R12[R13n[−R14(−R15opq (VII)
[式中の添え字および変数は以下によって定義付けられる:
nは0または1であり、;
oは1、2、または3であり;
pは1または2であり、;
qは1〜10の整数であり、ただし、q=1の場合、o=2または3および/またはp=2であり;
9は、少なくとも1価の、好ましくは少なくとも2価の、特に少なくとも3価の不活性有機基であり、ただし、R9が1価の有機基の場合、o=2または3ならびに/あるいはp=2であり;
第一の選択肢において、R10は基−NH−であり、ただし、
(i)基R12が、左手の外側のハイフンによって表された共有結合を介して基R11の炭素原子に結合し、ならびに右手の外側のハイフン、「<」、または「=」によって表された共有結合により、基R14、あるいはR14およびR13に結合しており、;
あるいは
第二の選択肢において、R10はR12であり、ただし、
(ii)R14に直接結合した基R12は−NH−であり、かつ
(iii)基R12が、左手の外側のハイフンによって表された共有結合を介して基R11の炭素原子に結合し、ならびに右手の外側のハイフン、「<」、または「=」によって表された共有結合により、基R9に結合しており;
11は、基−C(=R8)−であって、式中、「=R8」は上記と同義であり;
12は、2価の結合原子R7ならびに3価の窒素原子−N<および−N=(ここで、「=」記号は二重結合を表す)から成る群から選択される2価または3価の原子であり;あるいは
−NH−、−N(−R6)−、−NH−C(=R8)−、−NH[−C(=R8)−],−NH−C(=R8)−NH−、−NH−C(=R8)−R7−、−NH−C(=R8)−NH−C(=R8)−R7−、−R7−N=、−R7−NH−C(=R8)−、および−NH−C(=R8)−NH−N=C<(ここで、「=R8」、R7、およびR6は上記と同義である)から成る群から選択される2価または3価の結合官能基であり;
13は、1価の不活性有機基R6か、または一般式VIII:
−R14(−R15 (VIII)
で表される基であり、式中、添え字oは上記と同義であって、基R14およびR15は以下で定義される通りであり;
14は、少なくとも2価の不活性有機基であり;
15は、一般式Vのシラン基である]
によって表される。
【0062】
好ましくは、少なくとも1価のR9が、
少なくとも1価の、置換および非置換の、好ましくは1〜20個、より好ましくは2〜16個、特に2〜10個の炭素原子を有するアルキル、好ましくは3〜20個、より好ましくは3〜16個、特に3〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル−、ならびに、好ましくは5〜20個、より好ましくは6〜14個、特に6〜10個の炭素原子を有するアリール−;
少なくとも1価の、置換および非置換の、アルキルアリール、アリールアルキル、アルキルシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリールシクロアルキル、シクロアルキルアリール、アルキルシクロアルキルアリール、アルキルアリールシクロアルキル、アリールシクロアルキルアルキル、アリールアルキルシクロアルキル、シクロアルキルアルキルアリール、およびシクロアルキルアリールアルキル(アルキル基、シクロアルキル基、およびアリール基はそれぞれ、好ましくは、上記の数の炭素原子を含む);ならびに、
酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、ケイ素原子から成る群、特に酸素原子、硫黄原子、および窒素原子から成る群から選択された少なくとも1個、特に1個、のヘテロ原子を含む、少なくとも1価の置換および非置換の上記の種類の基;
から成る群から選択され、
好適な置換基は上で説明されたような基である。
【0063】
好ましくは、基R10は−NH−基である(=第一の選択肢)。
【0064】
好ましくは、基R11は−C(=O)−基である。
【0065】
好ましくは、基R12は、3価の窒素原子−N<および2価の結合官能基−N(−R6)−から成る群から選択される(式中、変数R6は上記と同義であり、より好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、およびtert−ブチルであり、特にn−ブチルである)。
【0066】
より好ましくは、基R12が、左手の外側のハイフンによって表された共有結合を介して基R11の炭素原子に結合し、ならびに右手の外側のハイフンまたは「<」によって表された共有結合により、基R14、あるいは基R14および基R13に結合している(=第一の選択肢)。
【0067】
好ましくは、少なくとも2価の、特に2価の基R14は、
少なくとも2価の、置換および非置換の、好ましくは1〜20個、より好ましくは2〜16個、特に2〜10個の炭素原子を有するアルキル、好ましくは3〜20個、より好ましくは3〜16個、特に3〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル−、ならびに、好ましくは5〜20個、より好ましくは6〜14個、特に6〜10個の炭素原子を有するアリール−;
少なくとも2価の、置換および非置換の、アルキルアリール、アリールアルキル、アルキルシクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリールシクロアルキル、シクロアルキルアリール、アルキルシクロアルキルアリール、アルキルアリール−シクロアルキル、アリールシクロアルキルアルキル、アリールアルキルシクロアルキル、シクロアルキルアルキルアリール、およびシクロアルキルアリールアルキル(アルキル基、シクロアルキル基、およびアリール基はそれぞれ、好ましくは、上記の数の炭素原子を含む);ならびに、
酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、ケイ素原子から成る群、特に酸素原子、硫黄原子、および窒素原子から成る群から選択された少なくとも1個、特に1個、のヘテロ原子を含む、少なくとも2価の置換および非置換の上記の種類の基;
から成る群から選択され、
好適な置換基は上記で説明されたような基である。特にプロパン−1,3−ジイルが用いられる。
【0068】
上記化合物(B)は、有機ケイ素化学の一般的な既知の方法によって製造され得る。
【0069】
好ましくは、それらは、
(a)第一の選択肢において、一般式IX:
9(N=C=R8q (IX)
[式中、添え字qと変数R9は上記と同義であり、R8は酸素原子または硫黄原子である]で表される少なくとも1種の化合物と、一般式X:
H−R12[−R13n[−R14(−R15on (X)
[式中、添え字および変数は上記と同義である]で表される少なくとも1種の化合物との反応、
あるいは
(b)第二の選択肢において、一般式XI:
9(−R12−H)q (XI)
[式中、添え字および変数は、上記と同義である]で表される少なくとも1種の化合物と、一般式XII:
8=C=N−R14(−R15o (XII)
[式中、添え字および変数は上記と同義である]で表される少なくとも1種の化合物との反応、
により、製造可能である。
【0070】
好ましくは、第一の選択肢(a)が使用される。
【0071】
好ましくは、2つの選択肢(a)および(b)の場合に、一般的な反応性官能基の当量比である
−N=C=R8:−R12−H
は、ほぼ1であり、より好ましくは、1.5:1〜1:1.5の範囲で、非常に好ましくは1.3:1〜1:1.3の範囲で、特に1.2:1〜1:1.2で使用される。
【0072】
一般式Xの好適な化合物の例としては、
モノイソシアネー卜(例えば、エチルイソシアネー卜、プロピルイソシアネー卜、ブチルイソシアネー卜、ペンチルイソシアネー卜、ヘキシルイソシアネー卜、ヘプチルイソシアネー卜、オクチルイソシアネー卜、ノニルイソシアネー卜、デシルイソシアネー卜、ウンデシルイソシアネー卜、ラウリルイソシアネー卜、シクロヘキシルイソシアネー卜またはフェニルイソシアネー卜など);
ジイソシアネート(例えば、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、ω,ω’−ジプロピルエーテルジイソシアネート、シクロヘキシル−1,4−ジイソシアネート、シクロヘキシル−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキシル−1,2−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,5−ジメチル−2,4−ジ(イソシアナートメチル)ベンゼン、1,5−ジメチル−2,4−ジ(イソシアナートエチル)ベンゼン、1,3,5−トリメチル−2,4−ジ(イソシアナートメチル)ベンゼン、1,3,5−トリエチル−2,4−ジ(イソシアナートメチル)ベンゼン、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジメチルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート,2,6−トリレンジイソシアネート、およびジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート;ならびに、
特許および特許出願、カナダ特許第2,163,591 A1号、米国特許第4,419,513 A号、米国特許第4,454,317 A号、欧州特許第0 646 608 A1号、米国特許第4,801,675 A号、欧州特許第0 183 976 A1号、ドイツ特許第40 15 155 A1号、欧州特許第0 303 150 A1号、欧州特許第0 496 208 A1号、欧州特許第0 524 500 A1号、欧州特許第0 566 037 A1号、米国特許第5,258,482 A号、米国特許第5,290,902 A号、欧州特許第0 649 806 A1号、ドイツ特許第42 29 183 A1号、または欧州特許第0 531 820 A1号から公知である2.0〜5.0、好ましくは2.2〜4.0、特に2.5〜3.8のNCO官能基を有する、ポリイソシアネート(例えば、ノナントリイソシアネート(NTI)のようなトリイソシアネート、そして上記で説明したジイソシアネートおよびトリイソシアネートをベースとするポリイソシアネート、特に、イソシアヌレート、ビウレット、アロファネート、イミノオキサダイアジンジオン、ウレタン、カルボジイミド、尿素、および/またはウレットジオン基を含むオリゴマー;
ドイツ特許出願第198 28 935 A1号に記載された種類の高粘性ポリイソシアネート;ならびに、
ドイツ特許出願第199 24 170 A1号第2欄6〜34行目、第4欄16行目〜第6欄62行目より公知のポリイソシアネート、国際特許出願第WO 00/31194号第11頁30行〜第12頁26行および国際特許出願第WO 00/37520号第5頁4行目〜第6頁27行目より公知のポリイソシアネート、ならびに欧州特許出願第0 976 723 A2号第12頁0128段落〜第22頁0284段落より公知のポリイソシアネート;
が挙げられる。
【0073】
一般式XIの好適な化合物の例としては、N,N−ビス(3−トリメトキシシリルプロパン−1−イル)アミン、N,N−ビス(3−トリエトキシシリルプロパン−1−イル)アミン、N−(3−トリメトキシシリルプロパン−1−イル)−N−n−ブチルアミン、またはN−(3−トリエトキシシリルプロパン−1−イル)−N−n−ブチルアミンが挙げられる。
【0074】
一般式XIIの好適な化合物の例としては、一般的な既知の、脂肪族、脂環状、芳香族、脂肪族―脂環状、脂肪族―芳香族、または脂肪族―脂環状芳香族の、アルコール、チオール、チオアルコール、フェノール、アミン、アミノアルコール、アミノチオール、またはアミノチオアルコールであって、少なくとも1つのヒドロキシル基、少なくとも1つのチオール基、および/または少なくとも1つの1級および/または2級アミノ基を含むものが挙げられる。
【0075】
一般式XIIIの好適な化合物の例としては、3−トリメトキシシリルプロパン−1−イルイソシアネート、または3−トリエトキシシリルプロパン−1−イルイソシアネートが挙げられる。
【0076】
手法に関して、化合物(B)の製造に特異性はないが、ポリイソシアネートおよび有機シリコン化合物の取り扱いおよび反応については、一般的な既知の方法および装置を用いて行い、ポリイソシアネートの取り扱いには、一般的な既知の安全対策を講じて行う。
【0077】
一般的に、一般式XおよびXI、またはXIIおよびXIIIの化合物は、イソシアネート基の定性的および定量的検出の一般的な既知の方法によって当該反応混合物中のフリーのイソシアネート基が検出できなくなるまで、お互いと反応する。
【0078】
本発明の混合物は、特にさらに、一般的な既知の有効量の少なくとも1種の添加剤(C)を含んでもよい。添加剤(C)は、好ましくは、有機溶媒、結合剤、化合物(B)とは異なる架橋剤、化学線(特に紫外線)で活性化され得る化合物、有機および無機の、有色および無色の、視覚的効果を付与するための、電気伝導性、磁気遮蔽性、および蛍光顔料、透明および不透明の有機および無機のフィラー、ナノ粒子;安定剤、UV吸収剤;光安定剤、フリーラジカル捕捉剤、光開始剤、フリーラジカル重合開始剤、乾燥剤、揮発分除去剤、スリップ剤、重合防止剤、消泡剤、乳化剤、湿潤剤、接着促進剤、流れ調整剤、塗膜形成補助剤、レオロジー制御剤、及び難燃剤から成る群から選択される。
【0079】
安定剤を使用するのが好ましく、より好ましくはグリコールであり、非常に好ましくはプロピレングリコール、ブチルグリコール、および分子中に5〜10個の炭素原子を有する同族体であり、特にはプロピレングリコールおよびブチルグリコールである。
【0080】
本発明の混合物の中のホスホン酸ジエステルおよび/またはジホスホン酸ジエステル(A)の量は、非常に広い範囲で変わってもよく、個別の場合の必要条件に応じて調整することにより、特定の場合に合わせることができる。ホスホン酸ジエステルおよび/またはジホスホン酸ジエステル(A)は、各場合において本発明の混合物の固形分に対し、本発明の混合物中に、好ましくは1〜40重量%の範囲の量で存在し、より好ましくは2〜30重量%の範囲の量であり、特に3〜20重量%の範囲で存在する。
【0081】
本発明の混合物の化合物(B)の量は、同様に非常に広い範囲で変えてもよく、個別の場合の必要条件に合わせることができる。化合物(B)は、各場合において本発明の混合物の固形分に対し、本発明の混合物中に、好ましくは60〜99重量%の範囲の量で存在し、より好ましくは70〜98重量%の範囲の量であり、具体的には80〜97重量%の範囲で存在する。
【0082】
本発明の目的のために、固形分は、本発明の混合物全ての成分、例えば、揮発成分の除去後の不揮発性残留物を構成する本発明の硬化性混合物の合計に等しい(すなわち、例えば、本発明の硬化材料)。
【0083】
また、本発明の混合物の固形分含有量も、非常に広い範囲で変えてもよく、したがって、個別の場合の必要条件に合わせることができる。固形分含有量は、好ましくは100重量%である。言い換えれば、本発明の混合物はその意味において揮発性成分を全く含まない。この種の揮発性成分が存在する場合、固形分含有量は、各場合において、本発明の混合物に対して、好ましくは20〜80重量%の範囲の量であり、より好ましくは25〜70重量%の範囲の量であり、特には30〜65重量%の範囲の量である。
【0084】
本発明の混合物は、好ましくは水不含の、これは、混合物が、製造中にその成分を介して、ならびに/あるいは、それらの製造および/または取り扱い中に大気中の湿気を介して、意図的でなく混入したわずかな水分を含む程度であることを意味する。より好ましくは、水分含有量は、一般的な既知の、定性的および定量的な水の測定方法の検出限界以下である。
【0085】
本発明の混合物は、好ましくは硬化性であり、より好ましくは熱硬化性である。熱硬化は、特に、本発明の混合物の中に存在する縮合性シラン基の重縮合よって行われ、三次元網目構造、すなわち、新規の熱硬化性材料を形成する。
【0086】
本発明の混合物の中に存在する縮合性シラン基による重縮合によってなされた熱硬化は、縮合性シラン基以外の補足的な反応性官能基を使用した熱硬化、結果として好適な塗膜形成成分によって塗膜が形成されるような物理的硬化、および/または化学線(特にUV放射線)を使用する硬化による、他の一般的な既知のメカニズムによってさらに促進されてもよい。硬化のこれらの様式によって、縮合性シラン基を介した多様な硬化が可能となることは有利であり、このことは本発明の混合物の特徴であり、それらの適用技術的な特性プロファイルを定義するものである。
【0087】
本発明の混合物は、非常に多様な物理的状態および三次元的形態のいずれかを取り得る。
【0088】
したがって、本発明の混合物は、室温で固体または液体または流体であってもよい。あるいはまた、それらは、室温では固体で、高温では流体であってもよく、熱可塑性的な挙動を示すのが好ましい。そして、特にそれらは、有機溶媒溶液、水性混合溶媒、実質的または完全に溶剤および水不含の液体混合物(100%系)、実質的または完全に溶剤および水不含の固体粉末、または実質的または完全に溶剤非含有の粉体懸濁物(粉体スラリー)であってもよい。それらは、すべての成分が1つの成分中に互いに一緒に存在する一成分系であってもよく、あるいは、少なくとも1つの特に反応性構成成分(例えば、ポリイソシアネートかポリエポキシド)が別の成分中に存在し、本発明の混合物の当該の製造および適用直前まで他の構成成分と分離された状態にある二成分系または多成分系であってもよい。本発明の混合物は、特に、有機溶媒溶液を含む一成分系である。
【0089】
手法に関して、本発明の混合物の製造に特異性はないが、一般的な既知の混合手法および装置(例えば、撹拌槽、撹拌ミル、押出機、配合機、ウルトラタラックス装置、インライン溶解機、静的ミキサー、マイクロ混合機、歯車分散機、圧力放出ノズル、および/またはマイクロ流動化装置など)を用いた混合およびホモジナイズによって、適切であれば化学線の不存在下で実施される。本発明の混合物の取るべき物理的状態および三次元的形態に従って、任意の所定の個別の場合に応じた最適な手法が選択される。例えば、本発明の熱可塑性混合物がシートまたは積層の形態を取る場合、本発明の混合物の製造とその成形には、スロットダイによる押出成形が特に適切である。
【0090】
本発明のプロセスの目的に対して、本発明の混合物は、非常に幅広い多様な最終用途のいずれに対しても役立つ、以下において「本発明の材料」と呼ぶ新規の硬化材料、特に新規の熱硬化性材料、を製造するために使用される。
【0091】
本発明の混合物は、好ましくは、成形品およびシートの出発生成物であり、あるいはコーティング剤、接着剤、または封止剤でもあり、特にはコーティング剤である。
本発明の材料は、好ましくは、新規の成型品、シート、塗膜、接着層、および封止剤であり、特に新規の塗膜である。
【0092】
特に、本発明のコーティング剤は、新規の電気塗装材料、サーフェーサー、ストーンチップ保護プライマー、無色のトップコート材料、水性ベースコート材料、および/またはクリアコート材料、特にクリアコートとして使用され、色および/または効果を付与するための、あるいは電気伝導性、磁気遮蔽性、または蛍光性の多層塗装系、特には色および/または効果を付与する多層塗装系を製造する。本発明の多層塗装系の製作のために、一般的な既知のウェットオンウェット技術および/または押出技術を使用することが可能であり、そして一般的な既知の塗装構成またはシート構成を使用することも可能である。
【0093】
本発明の材料は、本発明の混合物を一般的な既知の一時的または恒久的基質に適用することによって製作される。
【0094】
本発明のシートおよび成形品は、好ましくは、本発明の混合物によって製作された本発明のシートおよび成型品に損傷を与えずに簡単に除去可能な一般的な既知の一時的な基質、例えば金属およびプラスチックのベルトおよびシート、あるいは金属、ガラス、プラスチック、木材、またはセラミックの中空体など、を使用して製造される。
【0095】
本発明の混合物は、本発明の塗料、接着剤、および封止剤を作製するために使用される場合、永久的な基質、例えば輸送手段の本体(特に自動車本体)、およびその部品、建築物の内装および外装ならびにその一部、ドア、窓、家具、中空のガラス器具、コイル、容器、包装、小部品、光学的、機械的、および電気的部品、ならびに大型家電製品の部品など、に使われる。本発明のシートおよび成形品は、永久的な基質と同様の役割を果たしてもよい。
【0096】
方法に関して、本発明の混合物の適用に特異性はなく、本発明の当該混合物に好適な一般的な既知の適用方法、例えば、押出機、電気塗装、注入、噴霧(粉体噴霧など)、ナイフコーティング、拡散、鋳造、浸漬、浸透、または圧延などにより実施してもよい。押出法および噴霧適用法の使用が好ましく、特に噴霧適用法が好ましい。
【0097】
そのような適用に続いて、本発明の混合物に対し、一般的な既知の熱硬化処理が行われる。
【0098】
熱硬化は、一般的に、特定の休止時間後またはフラッシュオフタイム後に実施される。この時間は、30秒〜2時間、好ましくは1分〜1時間、特には1〜45分であってもよい。例えば、休止時間は、本発明の混合物の膜のフローおよびデボラティリゼーション、ならびに、任意の溶媒および/または水分などの揮発性成分の蒸発のためにも役立つ。フラッシュオフは、高温(ただし硬化に十分な温度より低い温度)、および/または大気中の湿気を除去することにより促進され得る。
【0099】
また、この処理方法は、適用された本発明の混合物、特に本発明のコーティング剤の塗膜、特に硬化されていないまたは部分的硬化された本発明の塗料の塗膜を乾燥するためにも使用される。
【0100】
熱硬化は、例えば、ガス、液体、および/または固体の熱媒体(例えば、熱気、加熱オイル、または加熱されたロールなど)、あるいはマイクロ波放射、赤外線および/または近赤外(NIR)線によって促進される。加熱は、好ましくは強制空気オーブン内またはIRおよび/またはNIRランプへ曝露することによって促進される。熱硬化は段階的に行ってもよい。熱硬化は、好ましくは室温〜200℃の範囲の温度で、より好ましくは室温〜180℃の範囲の温度で、特に好ましくは室温〜160℃の範囲の温度で実施される。
【0101】
熱硬化は、さらに、適切であれば、硬化のための一般的な既知の装置(例えば、化学線、特にUV放射線による)を使用した、上記のさらなる硬化方法により促進してもよい。
本発明の結果として得られる材料、特に、本発明の結果として得られるシート、成形品、塗装、接着層、および封止剤は、輸送手段の本体、特に自動車の車体、およびその部品、建築物の内装および外装ならびにその一部、ドア、窓、家具、中空のガラス器具、コイル、容器、包装、小部品、例えば、ナット、ボルト、ホイールリムまたはハブキャップなど、光学素部品、機械部品、電気部品、例えば巻線(コイル、固定子、ローター)、ならびに大型家電製品の部品、例えばラジエータ、家庭用機器、冷蔵庫ケーシングまたは洗濯機ケーシングなどの塗装、接着剤接着、シーリング、包装、およびパッケージングに対して非常に好適である。
【0102】
本発明の混合物は、本発明のクリアコート材料として新規のクリアコートを作製するために使用される場合、非常に特に有利である。
【0103】
本発明のクリアコートは、通常、多層塗装系の最外側の塗膜、あるいはシートまたは積層であり、それらは実質的に全体の外観を決定し、基質、および/または多層塗装系の色および/または効果を付与する塗膜、あるいはシートまたは積層を、機械的および化学的損傷、あるいは放射線による損傷から保護するものである。そのため、クリアコートにおける硬さ、耐擦過性、化学安定性、および黄変の安定性の欠如は、特に顕著に現れる。しかしながら、作製された本発明のクリアコートは、ほとんど黄変を示さない。そして、耐擦過性に優れ、擦過後の光沢の低下が非常に少ない。特にAmtec/Kistlerの洗車シミュレーション試験における光沢の損失は、非常に低い。同時に、それらは、高い硬度と特に高い耐化学薬品性を有する。特にそれらは、顕著な基質接着および被膜間接着を示す。
【0104】
実施例
製造例1
化合物(B1)の製造
撹伴機、還流冷却器、オイル加熱器、および窒素送込管を備えた反応容器に、市販のポリイソシアネート(BASF Aktiengesellschaft社製Basonat(登録商標)HI100)456.38重量部と市販の芳香族溶媒混合物(Solventnaphta(登録商標))228重量部を加えた。攪拌しながら、この混合物にゆっくりと、N,N−ビス(3−トリメトキシシリルプロパン−1−イル)アミン(Degussa社製Dynasilan(登録商標)1124)815.62重量部を加えた。続いて、反応混合物を攪拌しながら50℃で2時間加熱した。その後のIR分光分析では、フリーなイソシアナート基は検出されなかった。化合物(B1)の溶液の固形分含有量は、84〜85重量%であった。
【0105】
製造例2
化合物(B2)の製造
撹伴機、還流冷却器、オイル加熱器、および窒素送込管を備えた反応容器に、市販のポリイソシアネート(Degussa社製Vestanat(登録商標)T1890)82重量部と市販の芳香族溶媒混合物(Solventnaphta(登録商標))82重量部を加えた。攪拌しながら、この混合物にゆっくりと、N−(3−トリメトキシシリルプロパン−1−イル)−N−n−ブチルアミン(Degussa社製Dynasilan(登録商標)1189)86重量部を加えた。続いて、反応混合物を攪拌しながら50℃で2時間加熱した。その後のIR分光分析では、フリーなイソシアナート基は検出されなかった。化合物(B2)の溶液の固形分含有量は、52〜53重量%であった。
【0106】
製造例3
化合物(B3)の製造
撹伴機、還流冷却器、オイル加熱器、および窒素送込管を備えた反応容器に、市販のポリイソシアネート(Degussa社製Vestanat(登録商標)T1890)48.38重量部と市販の芳香族溶媒混合物(Solventnaphta(登録商標))48.38重量部を加えた。攪拌しながら、この混合物にゆっくりと、N−(3−トリメトキシシリルプロパン−1−イル)−N−n−ブチルアミン(Degussa社製Dynasilan(登録商標)1189)32.82重量部、およびN,N−ビス(3−トリメトキシシリルプロパン−1−イル)アミン(Witco社製Silquest(登録商標) A117)20.42重量部を加えた。続いて、反応混合物を攪拌しながら50℃で2時間加熱した。その後のIR分光分析では、フリーなイソシアナート基は検出されなかった。化合物(B3)の溶液の固形分含有量は、58重量%であった。
【0107】
製造例4
添加剤(C1)の製造
撹伴機、還流冷却器、2つの供給用ベッセル、およびオイル加熱器を備えた反応容器に、Solventnaphtha(登録商標)71.04重量部を加え、これを攪拌しながら145℃に加熱した。続いて、この温度で攪拌しながら、メタクリル酸メチル100.1重量部およびイソデシルメタクリレート6.79重量部の混合物を、一方の供給用ベッセルから一定の速度で2時間かけて加えた。それと同時に、攪拌しながら、Solventnaphtha(登録商標)49.4重量部中におけるtert−ブチルヒドロ過酸化物25.96重量部の溶液を、もう一方の供給用ベッセルから一定の速度で5時間かけて加えた。第二の供給が終わった後、反応混合物をさらに145℃で1.5時間重合させた。その結果得られたメタクリル樹脂溶液の固形分含有量は、47重量%であった。メタクリル樹脂の分子量分布はゲル透過クロマトグラフィー(内標準としてポリスチレンを使用)により測定した。残留モノマーの含有量は、ガスクロマトグラフィーによって測定した。得られた結果は以下のとおりである:
質量平均分子量: 2.874ダルトン;
数平均分子量: 1.132ダルトン;
ピーク最大値での分子量: 2.874ダルトン;
分子量の多分散度: 2.5;及び
残留モノマー含有量: ≦0.5重量%。
【0108】
実施例1
一成分クリアコート材料1の製造、およびそれぞれクリアコート1を含む多層塗装系1(銀)および1(黒)の作製
一成分クリアコート材料1は、製造例2からの化合物(B2)92重量部、Byk Chemieから市販されている塗料添加剤Byk(登録商標)301の0.5重量部、Ciba Specialty Chemicalsから市販されている光安定剤Tinuvin(登録商標)384の1.1重量部、Ciba Specialty Chemicalsから市販されている光安定剤Tinuvin(登録商標)292の1重量部、Solventnaphtha(登録商標)25重量部、Byk Chemieから市販されている塗料添加剤Byk(登録商標)390の0.25重量部、およびホスホン酸ジフェニル(亜リン酸ジフェニル)8重量部を混合し、得られた混合物をホモジナイズすることによって製造した。
【0109】
一成分クリアコート材料1は、保存において安定であった。すなわち、40℃で4週間保存しても問題なく、粘度の増加も観察されなかった。
【0110】
一成分クリアコート材料1を、一般的な既知の陰極析出させた熱硬化電着塗装、一般的な既知の熱硬化サーフェーサーコート、および事前に80℃で10分間乾燥させたBASF Coatings AGから市販されている既存の黒色ベースコート材料のフィルムで被覆した金属試験板に適用した。ベースコートフィルムおよびクリアコートフィルムは、一緒に140℃で22分間硬化させた。結果として得られたベースコートのフィルム厚は7.5μmであり、クリアコートのフィルム厚は30μmであった。
【0111】
化学安定性は、一般的な既知の温度勾配オーブン試験、および一般的な既知の試験GME604409により評価した(38%の濃度の硫酸を、72時間室温で多層塗装系に作用させた)。結果は、目視により1〜10段階で評価した。評価8以上で、テスト結果は良好であった。
耐擦過性は、Amtec Kistlerからの実験室洗浄ライン使用した洗車シミュレーション試験によって評価した(T.Klimmasch,T.Engbert,Technologietage,Cologne,DFO,Report Volume32,pages59to66,1997を参照)。暴露については、洗車シミュレーション試験後およびそれに続いて洗浄ベンジンに浸した拭き取り布による拭き取り後に、試験体の残存の光沢を測定することによって評価した。
【0112】
また、耐擦過性は、Crockmeter(9μmの紙品種)を使用することによっても評価した。
【0113】
その結果を表1に示す。
【0114】
表1:多層塗装系1(銀)および1(黒)の化学安定性および耐擦過性
【表1】

【0115】
驚くべきことに、結果は、多層塗装系1(銀)および1(黒)の高い化学的安定性、ならびに多層塗装系1(黒)の高光沢および優れた耐擦過性を強調するものである。また、多層塗装系1(銀)の耐擦過性の評価は行わなかった。なぜなら、黒色塗装系の方が銀塗装系の場合よりも非常に容易に損傷の状況を確認できるので、耐擦過性は、通常、黒色塗装系を用いて評価するためである。
【0116】
実施例2
一成分クリアコート材料2の製造、およびクリアコート2を含む多層塗装系2(黒)の作製
一成分クリアコート材料1は、製造例3からの化合物(B3)100重量部、Byk Chemieから市販されている塗料添加剤Byk(登録商標)358の0.5重量部、Ciba Specialty Chemicalsから市販されている光安定剤Tinuvin(登録商標)384の1.1重量部、Ciba Specialty Chemicalsから市販されている光安定剤Tinuvin(登録商標)292の1重量部、Solventnaphtha(登録商標)25重量部、ブチルグリコールジアセテート3重量部、およびホスホン酸ジフェニル8重量部を混合し、得られた混合物をホモジナイズすることよって製造した。
一成分クリアコート材料1は、保存において安定であった。すなわち、40℃で4週間保存しても問題なく、粘度の増加も観察されなかった。
【0117】
一成分クリアコート材料2を、一般的な既知の陰極析出させた熱硬化電着塗装、一般的な既知の熱硬化サーフェーサーコート、および事前に80℃で10分間乾燥させたBASF Coatings AGからから市販されている従来の黒色ベースコート材料のフィルムで被覆した金属試験板に適用した。ベースコートフィルムおよびクリアコートフィルムは、一緒に140℃で22分間硬化させた。結果として得られるベースコートのフィルム厚は7.5μmであり、クリアコートのフィルム厚は30μmであった。
【0118】
実施例1の場合と同様に評価を行った。その結果を表2に記載する。驚くべきことに、結果は高い化学的安定性、そして多層塗装系2(黒)の高光沢および優れた耐擦過性を強調するものである。
【0119】
表2:多層塗装系2(黒)の化学安定性および耐擦過性
【表2】

【0120】
実施例3
一成分クリアコート材料3の製造、およびクリアコート3を含む多層塗装系3(黒)の作製
一成分クリアコート材料3は、製造例1からの化合物(B1)92重量部、製造例2からの化合物(B2)45重量部、製造例4からの添加剤(C)5重量部、Byk Chemieから市販されている塗料添加剤Byk(登録商標)358の0.5重量部、Ciba Specialty Chemicalsから市販されている光安定剤Tinuvin(登録商標)384の1.1重量部、Ciba Specialty Chemicalsから市販されている光安定剤Tinuvin(登録商標)292の1重量部、Solventnaphtha(登録商標)57重量部、プロピレングリコール6重量部、およびホスホン酸ジフェニル8重量部を混合し、得られた混合物をホモジナイズすることよって製造した。
【0121】
一成分クリアコート材料3は、保存において安定であった。すなわち、40℃で4週間保存しても問題なく、粘度の増加も観察されなかった。
【0122】
一成分クリアコート材料3を、一般的な既知の陰極析出させた熱硬化電着塗装、一般的な既知の熱硬化サーフェーサーコート、および事前に80℃で10分間乾燥させたBASF Coatings AGから市販されている水性黒色ベースコート材料のフィルムで被覆した金属試験板に適用した。ベースコートフィルムおよびクリアコートフィルムは、一緒に140℃で22分間硬化させた。結果として得られるベースコートのフィルム厚は7.5μmであり、クリアコートのフィルム厚は30μmであった。
【0123】
実施例1の場合と同様に評価を行った。その結果を表3に示す。驚くべきことに、結果は高い化学的安定性、そして多層塗装系3(黒)の高光沢および優れた耐擦過性を強調するものである。
【0124】
表3:多層塗装系3(黒)の化学安定性および耐擦過性
【表3】

【0125】
表1から表3の結果全体から、化合物(B)およびホスホン酸ジエステル(A)をベースとする一成分クリアコート材料の特性プロファイルは、変えることが可能であり、また驚くほど簡単な方法で最適化可能であることが示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シラン基を有する混合物中におけるホスホン酸ジエステル(A)の使用。
【請求項2】
前記ホスホン酸ジエステルおよびジホスホン酸ジエステル(A)が、非環状ホスホン酸ジエステル、環状ホスホン酸ジエステル、非環状ジホスホン酸ジエステル、環状ジホスホン酸ジエステル、および環状−非環状ジホスホン酸ジエステルから成る群から選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記非環状ホスホン酸ジエステル(A)が、一般式I:
【化1】

[式中、変数は以下によって定義付けられる:
1およびR2は、互いに同一または異なっており、かつ
置換および非置換の、1〜20個の炭素原子を有するアルキル−、3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキル−、および5〜20個の炭素原子を有するアリール−(ハイフンは、各場合において、前記基R1または前記基R2の炭素原子と前記O−P基の前記酸素原子との間の共有結合を意味する);
置換および非置換の、アルキルアリール−、アリールアルキル−、アルキルシクロアルキル−、シクロアルキルアルキル−、アリールシクロアルキル−、シクロアルキルアリール−、アルキルシクロアルキルアリール−、アルキルアリールシクロアルキル−、アリールシクロアルキルアルキル−、アリールアルキルシクロアルキル−、シクロアルキルアルキルアリール−、およびシクロアルキルアリールアルキル−(該アルキル基、該シクロアルキル基、および該アリール基は上記の数の炭素原子を有し、ハイフンは、各場合において、前記基R1または前記基R2の炭素原子と前記O−P基の前記酸素原子との間の共有結合を意味する);ならびに、
酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、およびケイ素原子から成る群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む置換および非置換の上記の種類の基−(ハイフンは、前記基の炭素原子と前記O−P基の前記酸素原子との間の共有結合を意味する)
から成る群から選択される]
で表される、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
前記環状ホスホン酸ジエステル(A)が一般式II:
【化2】

[式中、変数は以下によって定義付けられる:
3およびR4は、互いに同一または異なっており、かつ
置換および非置換の、2価の、1〜20個の炭素原子を有するアルキル−、3〜20個の炭素原子を有するシクロアルキル−、および5〜20個の炭素原子を有するアリール−(ハイフンは、各場合において、前記基R3または前記基R4の炭素原子と前記O−P基の前記酸素原子との間の共有結合を意味する);
置換および非置換の、2価の、アルキルアリール−、アリールアルキル−、アルキルシクロアルキル−、シクロアルキルアルキル−、アリールシクロアルキル−、シクロアルキルアリール−、アルキルシクロアルキルアリール−、アルキルアリールシクロアルキル−、アリールシクロアルキルアルキル−、アリールアルキルシクロアルキル−、シクロアルキルアルキルアリール−、およびシクロアルキルアリールアルキル−(該アルキル基、該シクロアルキル基、および該アリール基が上記の数の炭素原子を含み、ハイフンは、各場合において、前記基R3または前記基R4の炭素原子と前記O−P基の前記酸素原子との間の共有結合を意味する);
ならびに、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、およびケイ素原子から成る群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む置換および非置換の上記の種類の2価の基−(ハイフンは、前記基の炭素原子と前記O−P基の前記酸素原子との間の共有結合を意味する);
から成る群から選択され、
Zは、前記基R3の原子と前記基R4の原子との間の共有結合であるか、または
酸素原子、置換および非置換の硫黄原子、置換窒素原子、置換リン原子、置換ケイ素原子、置換および非置換の、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、およびケイ素原子から成る群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を有する、およびヘテロ原子を有していない、1〜10個の炭素原子を有するアルキル、3〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル、および5〜10個の炭素原子を有するアリール
から成る群から選択される2価の結合基である]
で表される、請求項2に記載の使用。
【請求項5】
前記非環状ジホスホン酸ジエステル(A)が、一般式III:
(R1−O)(O)PH−O−PH(O)(O−R2) (III);
[式中、変数は上記と同義である]
で表される、請求項2に記載の使用。
【請求項6】
前記環状ジホスホン酸ジエステル(A)が、一般式IV:
【化3】

[式中、変数は上記と同義である]
で表される、請求項2に記載の使用。
【請求項7】
変数R1およびR2が、フェニル、メチル、およびエチルから成る群から選択される、請求項3乃至5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
1およびR2がフェニルである、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
(A)少なくとも1種のホスホン酸ジエステルおよび/または少なくとも1種のジホスホン酸ジエステル、および
(B)少なくとも2つの縮合性シラン基を含む少なくとも1種の化合物、
を含むシラン基を有する混合物。
【請求項10】
請求項2乃至8のいずれか1項に記載の少なくとも1種のホスホン酸ジエステルおよび/または少なくとも1種のジホスホン酸ジエステル(A)を含む、請求項9に記載の混合物。
【請求項11】
少なくとも1種のホスホン酸ジエステルおよび/または少なくとも1種のジホスホン酸ジエステル(A)を、混合物の固形分に対し1〜40重量%の範囲の量で含む、請求項9または10に記載の混合物。
【請求項12】
少なくとも1種の化合物(B)を、混合物の固形分に対し60〜99重量%の範囲の量で含む、請求項9乃至11のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項13】
前記縮合性シラン基が、一般式V:
−SiR563−m (V);
[式中、添え字および変数は以下によって定義付けられる:
mは1〜3の範囲の整数であり;
5は、1価の縮合性原子または1価の縮合性有機基であり;
6は、1価の不活性有機基である]
で表される、請求項9乃至12のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項14】
前記1価の縮合性原子が、水素原子、フッ素原子、塩素原子、および臭素原子から成る群から選択され、前記1価の縮合性有機基R5が、ヒドロキシル基および一般式VI:
−R7−R6 (VI);
[式中、変数R7は2価の結合原子または2価の結合官能基であり、R6は上記と同義である]
の基から成る群から選択される、請求項13に記載の混合物。
【請求項15】
前記2価の結合原子R7が、酸素原子であるか、または−C(=R8)−、−R7−C(=R8)−、−C(=R8)−R7−、−NH−、および−N(−R6)−(式中、変数R8は2価の原子であり、「=」は二重結合を表し、左手の外側のハイフンによって表される共有結合は一般式VIの前記基と一般式Vの前記ケイ素原子との結合である)から成る群から選択される、請求項14に記載の混合物。
【請求項16】
前記1価の不活性有機基R6が、前記基R1または前記基R2から成る群から選択される、請求項13乃至15のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項17】
一般式VIの前記シラン基が、トリメトキシシリル基およびトリエトキシシリル基から成る群から選択される、請求項13乃至16のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項18】
前記化合物(B)が、一般式VII:
9{−R10−R11−R12[−R13[−R14(−R15 (VII)
[式中、添え字および変数は以下によって定義付けられる:
nは0または1であり;
oは1、2、または3であり;
pは1または2であり;
qは1〜10の整数であり(ただし、q=1の場合、o=2または3および/またはp=2である);
9は、少なくとも1価の不活性有機基であり(ただし、R9が1価の有機基の場合、o=2または3および/またはp=2である);
第一の選択肢において、R10=基−NH−であり、ただし
(i)基R12が、左手の外側のハイフンによって表された共有結合を介して基R11の前記炭素原子に結合し、ならびに右手の外側のハイフン、「<」、または「=」によって表された共有結合により、基R14,あるいはR14およびR13に結合しているか:
または
第二の選択肢において、R10=R12であって、ただし
(ii)R14に直接結合した基R12=−NH−であり、かつ
(iii)基R12が、左手の外側のハイフンによって表された共有結合を介して基R11の前記炭素原子に結合し、ならびに右手の外側のハイフン、「<」、または「=」によって表された共有結合により、基R9に結合しており:
11は、基−C(=R8)−であって、式中、「=R8」は上記と同義であり;
12は、2価の結合原子R7ならびに3価の窒素原子−N<および−N=(ここで、「=」記号は二重結合を表す)から成る群から選択される2価または3価の原子であり;あるいは
−NH−、−N(−R6)−、−NH−C(=R8)−、−NH[−C(=R8)−],−NH−C(=R8)−NH−、−NH−C(=R8)−R7−、−NH−C(=R8)−NH−C(=R8)−R7−、−R7−N=、−R7−NH−C(=R8)−、および−NH−C(=R8)−NH−N=C<(ここで、「=R8」、R7,およびR6は上記と同義である)から成る群から選択される2価または3価の結合官能基であり;
左手の外側のハイフンで表される共有結合は前記原子または基R7とR11の前記炭素原子とを結合しており;
13は、1価の不活性有機基R6であるか、または一般式VIII:
−R14(−R15 (VIII)
(式中、添え字oは上記と同義であり、基R14およびR15は以下で定義される通りである)
であり;
14は少なくとも2価の不活性有機基であり;
15は一般式Vのシラン基である]
で表される基である、請求項13乃至17のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項19】
前記化合物(B)が、
(a)第一の選択肢において、一般式IX:
9(N=C=R8 (IX)
[式中、添え字qと変数R9は上記と同義であり、R8は酸素原子または硫黄原子である]で表される少なくとも1種の化合物と、一般式X:
H−R12[−R13[−R14(−R15 (X)
[式中添え字および変数は上記と同義である]
で表される少なくとも1種の化合物との反応、あるいは、
(b)第二の選択肢において、一般式XI:
9(−R12−H) (XI)
[ここで、添え字および変数は上記と同義である]で表される少なくとも1種の化合物と、一般式XII:
8=C=N−R14(−R15 (XII)
[ここで、添え字および変数は上記と同義である]で表される少なくとも1種の化合物との反応、
によって製造可能な、請求項9乃至18のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項20】
前記基R14が、前記基R3または前記基R4から成る群から選択される、請求項18または19に記載の混合物。
【請求項21】
前記混合物が、少なくとも1種のさらなる成分(C)を含む、請求項9乃至20のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項22】
前記混合物中において、成分(C)が、反応性および不活性のオリゴマー性およびポリマー性塗膜形成結合剤;架橋剤;反応性および不活性の有機および無機溶媒;化学線(特に紫外線)により活性化され得る化合物;有機および無機の、有色および無色の、視覚的効果を付与するための、電気伝導性、磁気遮蔽性、および蛍光顔料;透明及び不透明の有機および無機フィラー;ナノ粒子;安定化剤;UV吸収剤;光安定剤;フリーラジカルスカベンジャー;光開始剤;フリーラジカル重合開始剤;乾燥剤;揮発分除去剤;スリップ剤;重合防止剤;消泡剤;乳化剤;湿潤剤;接着促進剤;流れ調整剤;塗膜形成補助剤;レオロジー制御剤;および難燃剤から成る群から選択される、請求項21に記載の混合物。
【請求項23】
固形分含有量が20〜100重量%である、請求項9乃至22のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項24】
水不含の、請求項9乃至23のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項25】
熱硬化性である、請求項9乃至24のいずれか1項に記載の混合物。
【請求項26】
コーティング剤である、請求項9乃至25のいずれか1項に記載の水不含の熱硬化性混合物。

【公表番号】特表2009−508892(P2009−508892A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531577(P2008−531577)
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【国際出願番号】PCT/EP2006/008908
【国際公開番号】WO2007/033786
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(390008981)ビーエーエスエフ コーティングス アクチェンゲゼルシャフト (155)
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings AG
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D−48165 Muenster,Germany
【Fターム(参考)】