説明

ボイラ火炉蒸発管の検査装置および検査方法

【課題】蒸発管が肉盛溶接された場合であっても、蒸発管の減肉量を正確に算出することができるボイラ火炉蒸発管の検査装置および検査方法を提供する。
【解決手段】蒸発管4に固定される支持部14と、支持部14に支持される変位センサ12と、変位センサ12からの信号を処理する信号処理装置16とを備える検査装置11を用いて、蒸発管4の基準位置を示す基準マークを含む蒸発管4の表面形状を計測する。計測された蒸発管4の表面形状を、信号処理装置16によって、記憶手段に予め記憶された減肉がない状態における、前記基準マークを含む蒸発管4の基準表面形状に重ね合わせて、両者の差分から蒸発管4の減肉量を算出する。このとき、基準マークに基づいて、蒸発管4の軸方向の同一位置における表面形状と基準表面形状とを重ね合わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラ火炉蒸発管の検査装置および検査方法に係り、特に、ボイラ火炉内に配設された蒸発管の表面形状を変位センサによって測定し、該測定値に基づいて蒸発管の腐食の程度を評価する検査装置および検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、発電を目的とした陸用ボイラでは、ボイラ火炉内の燃焼雰囲気が強い還元性を有するため、硫化腐食に起因する蒸発管の減肉が問題になっていた。
【0003】
硫化腐食による損傷が進んでいる箇所の特定方法として、例えば、目視検査(目視によって表面に凹凸があるかの検査)、触手検査(素手によって表面の凹凸を検出)、さらに超音波肉厚計を用いた検査が挙げられる。しかしながら、硫化腐食は、火炉内の広範囲わたって損傷を生じることから、このような検査方法では多大な労力と時間を要する。
【0004】
そこで、ボイラ火炉内の蒸発管の磨耗状態を簡単かつ短時間で検査するための検査装置が提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、ボイラの伝熱管の外表面を非接触で検査する光学センサを有する検査装置が記載されている。この検査装置は、伝熱管キャビティ部に設置され、伝熱管バンク部の伝熱官群に対して光学センサを移動させて、伝熱管の磨耗程度を求めるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−257714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1には、光学センサによる伝熱管の外表面の検出結果から、伝熱管の磨耗程度(すなわち、減肉量)を求める方法について具体的な記載が全くない。
【0008】
また蒸発管は、硫化腐食に起因する減肉を考慮して予め肉盛溶接されていたり、経時的な減肉量に応じて肉盛溶接されることがある。図17は、肉盛溶接された蒸発管の形状を示す図であり、(a)は蒸発管の平面図であり(b)は蒸発管の断面図である。同図に示すように、肉盛溶接された蒸発管4は、素管4Aの周囲に肉盛部4Bが設けられており、肉盛部4Bの表面には肉盛溶接時に波状模様4Cが発生する。このように肉盛溶接された蒸発管4は、蒸発管4の軸方向(図17(a)参照)における位置によって大きく表面形状が異なる。
【0009】
このため、特許文献1に記載された検査装置によって、肉盛溶接された蒸発管(伝熱管)の外表面を光学センサで検出したとしても、この検出結果から、肉盛溶接された蒸発管の減肉量を正確に知ることはできない。
【0010】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、蒸発管が肉盛溶接された場合であっても、蒸発管の減肉量を正確に算出することができるボイラ火炉蒸発管の検査装置および検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様に係るボイラ火炉蒸発管の検査装置は、ボイラ火炉内に配置された複数の蒸発管の減肉状態を検査するボイラ火炉蒸発管の検査装置であって、前記蒸発管に固定される支持部と、前記支持部に支持され、前記蒸発管の基準位置を示す基準マークを含む前記蒸発管の表面形状を計測する変位センサと、減肉がない状態における、前記基準マークを含む前記蒸発管の基準表面形状が記憶された記憶手段と、前記基準マークに基づいて、前記変位センサにより計測された前記表面形状を、前記記憶手段に記憶された前記基準表面形状に重ね合わせて、前記表面形状と前記基準表面形状との差分を求めることで前記蒸発管の減肉量を算出する算出手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
上記態様の検査装置では、基準マークに基づいて、変位センサにより計測された蒸発管の表面形状と、減肉がない状態における蒸発管の基準表面形状とを重ね合わせ、両者の差分から蒸発管の減肉量を算出する。このため、蒸発管が肉盛溶接され、蒸発管の軸方向位置によって大きく表面形状が異なる場合であっても、基準マークに基づいて、同一位置における表面形状と基準表面形状とを重ね合わせることができるので、蒸発管の減肉量を正確に算出することができる。
【0013】
上記態様の検査装置において、前記基準マークは、前記蒸発管に設けられていることが好ましい。
【0014】
これにより、変位センサにより計測された蒸発管の表面形状と、減肉がない状態における蒸発管の基準表面形状とをより正確に重ね合わせることができ、蒸発管の減肉量の算出精度を向上させることが可能になる。
【0015】
上記態様の検査装置は、前記蒸発管の軸方向に沿って前記変位センサを移動させる移動手段をさらに備え、前記変位センサは、前記移動手段によって前記蒸発管の前記軸方向に沿って移動しながら、前記蒸発管の径方向(蒸発管の軸方向に直交する方向)に沿って帯状(スリット状)のレーザ光を照射し、前記蒸発管からの反射光に基づいて、前記蒸発管の前記表面形状を計測することが好ましい。
【0016】
このように、変位センサを蒸発管の軸方向に沿って移動させながら、帯状のレーザ光を蒸発管の径方向に沿って照射することで、迅速に蒸発管の表面形状を計測することができる。
【0017】
この場合、前記基準マークは、最深部が前記蒸発管の前記径方向に沿ったV字形状である凹部を有する基準ブロックであり、前記蒸発管の前記表面形状と、前記記憶手段に記憶された前記蒸発管の前記基準表面形状とは、前記基準ブロックの前記凹部の前記最深部を計測開始位置として、前記変位センサが前記移動手段により前記蒸発管の前記軸方向に沿って移動しながら計測したものであることがより好ましい。
【0018】
このように蒸発管の表面形状および基準表面形状の計測を共通の位置(すなわち、基準ブロックのV字形状の最深部)から開始することで、表面形状と基準表面形状との重ね合わせを容易に行うことができる。
【0019】
上記態様の検査装置において、前記基準マークは、前記蒸発管の前記基準位置を示す凸部であってもよいし、前記蒸発管の前記基準位置を示す凹形状の刻印であってもよい。
【0020】
これにより、蒸発管の検査時(具体的には、変位センサによる蒸発管の表面形状の測定時)において、変位センサの位置合わせ作業を省略することができる。
【0021】
上記態様の検査装置において、前記基準マークは、前記蒸発管の肉盛溶接時に付着したスパッタであってもよい。
【0022】
このように肉盛溶接時に付着するスパッタを基準マークとして利用することで、基準マークを形成する手間を省くことができる。
【0023】
本発明の別の態様に係るボイラ火炉蒸発管の検査装置は、ボイラ火炉内に配置された複数の蒸発管の減肉状態を検査するボイラ火炉蒸発管の検査装置であって、前記蒸発管に固定される支持部と、前記支持部を位置合わせする位置決め部材と、前記位置決め部材により位置合わせされた前記支持部に支持され、前記蒸発管の表面形状を計測する変位センサと、前記変位センサにより予め計測された、減肉がない状態における前記蒸発管の基準表面形状が記憶された記憶手段と、前記変位センサにより計測された前記表面形状を、前記記憶手段に記憶された前記基準表面形状に重ね合わせて、前記表面形状と前記基準表面形状との差分を求めることで前記蒸発管の減肉量を算出する算出手段とを備えることを特徴とする。
【0024】
上記態様の検査装置では、変位センサによって計測された蒸発管の表面形状および基準表面形状を互いに重ね合わせ、両者の差分から蒸発管の減肉量を算出する。ここで、変位センサは、蒸発管の表面形状および基準表面形状を計測する際、位置決め部材により所定の位置に固定された支持部に支持されている。また支持部の大きさは一定であり、支持部に対する変位センサの原点位置は決まっている。このため、蒸発管が肉盛溶接され、蒸発管の軸方向位置によって大きく表面形状が異なる場合であっても、同一位置における表面形状と基準表面形状とを重ね合わせることができることから、蒸発管の減肉量を正確に算出することができる。
【0025】
上記態様の検査装置において、前記支持部は、前記蒸発管に立設される4本の四角柱状の支持柱を含み、前記位置決め部材は、前記支持部の前記支持柱のうち2本以上に対応する位置に設けられた複数の角当てであることが好ましい。
【0026】
これにより、支持部を高精度に位置合わせして、蒸発管の減肉量をより一層正確に算出することができる。
【0027】
上記態様の検査装置は、前記蒸発管の軸方向に沿って前記変位センサを移動させる移動手段をさらに備え、前記変位センサは、前記移動手段によって前記蒸発管の前記軸方向に沿って移動しながら、前記蒸発管の径方向(蒸発管の軸方向に直交する方向)に沿って帯状のレーザ光を照射し、前記蒸発管からの反射光に基づいて、前記蒸発管の前記表面形状を計測することが好ましい。
【0028】
このように、変位センサを蒸発管の軸方向に沿って移動させながら、帯状のレーザ光を蒸発管の径方向に沿って照射することで、迅速に蒸発管の表面形状を計測することができる。
【0029】
本発明の一態様に係るボイラ火炉蒸発管の検査方法は、ボイラ火炉内に配置された複数の蒸発管の減肉状態を検査するボイラ火炉蒸発管の検査方法であって、前記蒸発管の基準位置を示す基準マークを形成する工程と、減肉がない状態における、前記基準マークを含む前記蒸発管の基準表面形状を予め計測する工程と、予め計測された前記基準表面形状を記憶手段に記憶する工程と、前記基準マークを含む前記蒸発管の表面形状を計測する工程と、前記基準マークに基づいて、計測された前記表面形状を、前記記憶手段に記憶された前記基準表面形状に重ね合わせて、前記表面形状と前記基準表面形状との差分を求めることで前記蒸発管の減肉量を算出する工程とを備えることを特徴とする。
【0030】
上記態様の検査方法では、基準マークに基づいて、計測された蒸発管の表面形状と、減肉がない状態における蒸発管の基準表面形状とを重ね合わせ、両者の差分から蒸発管の減肉量を算出する。このため、蒸発管が肉盛溶接され、蒸発管の軸方向位置によって大きく表面形状が異なる場合であっても、基準マークに基づいて、同一位置における表面形状と基準表面形状とを重ね合わせることができるので、蒸発管の減肉量を正確に算出することができる。
【0031】
本発明の別の態様に係るボイラ火炉蒸発管の検査方法は、ボイラ火炉内に配置された複数の蒸発管の減肉状態を検査するボイラ火炉蒸発管の検査方法であって、位置決め部材で位置合わせされた状態の支持部に支持された変位センサにより、減肉がない状態における前記蒸発管の基準表面形状を予め計測する工程と、予め計測された前記基準表面形状を記憶手段に記憶する工程と、前記位置決め部材で位置合わせされた状態の前記支持部に支持された前記変位センサにより、前記蒸発管の表面形状を計測する工程と、計測された前記表面形状を、前記記憶手段に記憶された前記基準表面形状に重ね合わせて、前記表面形状と前記基準表面形状との差分を求めることで前記蒸発管の減肉量を算出する工程とを備えることを特徴とする。
【0032】
上記態様の検査方法では、変位センサによって計測された蒸発管の表面形状および基準表面形状を互いに重ね合わせ、両者の差分から蒸発管の減肉量を算出する。ここで、変位センサは、蒸発管の表面形状および基準表面形状を計測する際、位置決め部材により所定の位置に固定された支持部に支持されている。また支持部の大きさは一定であり、支持部に対する変位センサの原点位置は決まっている。このため、蒸発管が肉盛溶接され、蒸発管の軸方向位置によって大きく表面形状が異なる場合であっても、同一位置における表面形状と基準表面形状とを重ね合わせることができることから、蒸発管の減肉量を正確に算出することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、蒸発管が肉盛溶接され、蒸発管の軸方向位置によって大きく表面形状が異なる場合であっても、同一位置における表面形状と基準表面形状とを重ね合わせることができるので、蒸発管の減肉量を正確に算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】ボイラ火炉の構成例を示す斜視図である。
【図2】ボイラ火炉蒸発管の一例を示す図である。
【図3】ボイラ火炉蒸発管の他の例を示す図である。
【図4】ボイラ火炉蒸発管の検査装置の構成例を示す斜視図である。
【図5】図4に示す検査装置の変位センサと蒸発管との配置関係を示す図である。
【図6】屈折手段の構成例を示す図である。
【図7】蒸発管の基準位置を示す基準マークの一例を示す斜視図である。
【図8】信号処理装置の構成例を示すブロック図である。
【図9】蒸発管の検査方法の一例を示すフローチャートである。
【図10】変位計測データの一例を示す図である。
【図11】蒸発管、溶接金属及びフィンの位置を特定する様子を示す図であり、(a)は表面形状曲線を示し、(b)は(a)の表面形状曲線を1階微分したグラフである。
【図12】表面形状曲線を補正する様子を示す図である。
【図13】表面形状曲線を補正する様子を示す図である。
【図14】蒸発管の表面形状を基準表面形状に重ね合わせた様子を示す図である。
【図15】基準マークの他の例を示す図である。
【図16】変位センサの支持部を位置合わせした状態で蒸発管の検査を行う様子を示す平面図である。
【図17】肉盛溶接された蒸発管の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明に係るボイラ火炉蒸発管の検査装置及び検査方法の検査対象について説明した後、本発明の一実施形態に係る検査装置及び検査方法について説明する。
【0036】
図1は、本発明に係る検査装置及び検査方法が適用されるボイラ火炉の構成例を示す斜視図である。図2は本発明に係る検査装置及び検査方法の検査対象であるボイラ火炉蒸発管の一例を示す図であり、図3はボイラ火炉蒸発管の他の例を示す図である。なお、図2(a)及び図3(a)はボイラ火炉蒸発管を示す平面図であり、図2(b)及び図3(b)はボイラ火炉蒸発管の断面図である。
【0037】
図1に示すように、ボイラ火炉1は、壁面3で囲まれた燃焼室2と、壁面3に沿って配置される複数の蒸発管4とにより構成される。燃焼室2には、不図示のバーナが設けられており、バーナの燃焼により蒸発管4が加熱され、蒸発管4の内部を流れる水が蒸発して、蒸気を生成するようになっている。
【0038】
蒸発管4は、隣接する蒸発管4と、溶接により互いに固定されていてもよいし、単に互いに接触するように配置されていてもよい。
【0039】
例えば、図2に示すように、隣接する蒸発管4がフィン8を介して互いに溶接で固定されていてもよい。フィン8は蒸発管4の軸方向に沿って延びる板状部材であり、フィン8の両側端が蒸発管4に溶接金属10によって溶接されている。このようにフィン8を介して複数の蒸発管4を互いに溶接する場合、配列された蒸発管4を壁面3として利用して、蒸発管4で囲まれる空間を燃焼室2とすることもできる。
【0040】
また、図3に示すように、蒸発管4は上下端部(不図示)が固定されたバラ管であり、隣接する蒸発管4が互いに接触するように配置されていてもよい。
【0041】
蒸発管4は、素管であってもよいし、肉盛溶接したものであってもよい。例えば、蒸発管4の腐食しやすい箇所を予め肉盛溶接したものであってもよいし、蒸発管4の腐食した箇所を減肉量に応じて肉盛溶接したものであってもよい。また、蒸発管4は、管内部が平滑なスムース管であってもよいし、管内部に渦巻き溝が形成されたライフル管であってもよい。
【0042】
本実施形態では、上記構成の蒸発管4の減肉状態を検査するために、次に説明する検査装置を用いる。
【0043】
図4は、本実施形態に係るボイラ火炉蒸発管の検査装置の構成例を示す斜視図である。図5(a)及び(b)は、図4に示す検査装置の変位センサと蒸発管との配置関係を示す図である。
【0044】
図4に示すように、検査装置11は、主として、蒸発管4に固定される支持部14と、支持部14に支持され、蒸発管4の表面形状を計測する変位センサ12と、変位センサ12からの計測信号を処理する信号処理装置16(「記憶手段」及び「算出手段」に相当)とにより構成される。
【0045】
支持部14は、変位センサ12を支持することができる構成であれば特に限定されず、例えば、図4に示すように、蒸発管4に立設固定される4本の支柱20と、一対の支柱20の間に架設される梁24(24A、24B)と、梁24(24A、24B)の間に架設されるレール26とにより構成することができる。この例では、梁24(24A、24B)及びレール26によって形成される支持枠28により変位センサ12が直接的に支持され、この支持枠28が支柱20によって支持されるようになっている。
【0046】
また、支柱20は、蒸発管4の表面形状に沿うように円弧に形成された座面22を介して、蒸発管4に取り付けられる。支柱20の蒸発管4への取付けは、任意の締結部品を用いて行ってもよいが、マグネット18を支柱20と座面22との間に配置し、マグネット18の磁力を利用して支柱20を蒸発管4に取付けることが好ましい。マグネット18を用いることで、支持部14の取り外しを容易に行うことができる。
【0047】
支柱20は、2本の蒸発管4に対して、蒸発管4の軸方向に沿って2箇所ずつ、正方形又は矩形の角部に位置するように固定される。
【0048】
梁24は、支柱20に対して上下位置を調整可能なようにねじ機構によって構成され、上下調整つまみ部29を回動することでスリット30形成範囲内をZ軸方向(矢印aの方向)に移動するようになっている。
【0049】
またレール26は、ねじ機構によって梁24の軸方向に移動可能に構成され、左右調整つまみ部31を回動することでX軸方向(矢印bの方向)に移動するようになっている。
【0050】
上記構成の支持部14により、変位センサ12は、Z軸方向(矢印a方向)及びX軸方向(矢印b方向)に移動可能に支持される。
【0051】
変位センサ12は、蒸発管4の外表面形状を計測可能な構成であれば特に限定されず、例えば、共焦点式、三角測距式や二次元三角測距式等の測定方式のものを用いることができる。なかでも、二次元三角測距式の二次元レーザ変位センサは、測定対象物の幅方向位置に対する高さを瞬時に測定できる構成(二次元測定が可能な構成)になっているため、この二次元レーザ変位センサを蒸発管4の軸方向に沿って移動させながら、蒸発管4の表面形状の計測を行うことで、迅速に蒸発管4の検査を行うことができる。以下、変位センサ12として、二次元レーザ変位センサを用いる場合を例にとって説明する。
【0052】
変位センサ(二次元レーザ変位センサ)12は、図4に示すように、レーザ光照射部34および受光素子(不図示)を有するセンサヘッド32と、センサヘッド32をレール26に沿って蒸発管4の軸方向(Y軸方向)に移動させるモータ33と、モータ33の回転角度からセンサヘッド32の移動距離信号を出力するエンコーダ36とにより構成されている。
【0053】
レーザ光照射部34は、図5(a)及び(b)に示すように、蒸発管4の径方向(X軸方向)に沿って帯状(スリット状)のレーザ光を蒸発管4に照射するようになっている。なお、図5(a)は、フィン8によって蒸発管4が接続されている場合のレーザ光の照射状態を示し、図5(b)は、蒸発管4がバラ管であり、隣の蒸発管4と接触して配設される場合のレーザ光の照射状態を示す。
【0054】
蒸発管4に照射された帯状のレーザ光は、蒸発管4の表面で反射し、センサヘッド32の受光素子(不図示)により測定され、蒸発管4の軸方向と直交する方向(径方向、X軸方向)に沿った蒸発管4の外表面形状が計測される。センサヘッド32をモータ33により蒸発管4の軸方向(図4に示すY軸方向)に沿って移動させながら、センサヘッド32による測定を繰り返すことで、蒸発管4の全長にわたって、蒸発管4の外表面形状を計測することができる。
【0055】
またセンサヘッド32のZ軸方向における位置は、上下調整つまみ部29(図4参照)を用いて、センサヘッド32と蒸発管4との距離がレーザ光照射部34の焦点距離に応じて決まる測定可能範囲内に収まるように調節される。
【0056】
上下調整つまみ部29の回動だけでは、センサヘッド32のZ軸方向位置を測定可能範囲内に調節することができない場合には、レーザ光を屈折させる屈折手段を用いてもよい。
【0057】
図6はレーザ光を屈折させる屈折手段を示す図である。図6(a)には屈折手段としてレーザ光35を屈折させるプリズム41を用いる例を示しており、図6(b)には屈折手段としてレーザ光35を屈折(反射)させるミラー43を用いる例を示している。このように屈折手段(41、43)を用いてレーザ光35を屈折させることで、上下調整つまみ部29の回動だけではセンサヘッド32のZ方向位置を測定可能範囲内に調節することができない場合であっても、センサヘッド32のZ方向位置を適切に調節することができる。特に、ボイラ火炉の蒸発管の検査が火炉内に設置される足場上で行われる場合には、足場と蒸発管4との間隔を十分に確保することができないことがあるため、レーザ光35の屈折手段を用いることが好ましい。
【0058】
ところで、蒸発管4は、硫化腐食に起因する減肉を考慮して予め肉盛溶接されていたり、経時的な減肉量に応じて肉盛溶接されることがある。肉盛溶接された蒸発管4は、蒸発管4の軸方向における位置によって大きく表面形状が異なるので、変位センサ12で蒸発管4の外表面を計測しても、この計測結果から蒸発管4の減肉量を正確に知ることはできない。
【0059】
そこで本実施形態では、蒸発管4が肉盛溶接された場合であっても、蒸発管4の減肉量を正確に算出することができるように、蒸発管4の基準位置を示す基準マークが予め形成される。
【0060】
図7は蒸発管4に設けられた基準マークの一例を示す斜視図である。同図に示すように、基準マーク60は、最深部64が蒸発管4の径方向に沿ったV字形状の凹部62を有する基準ブロックであり、溶接等の任意の手法により蒸発管4に固定されている。基準マーク60は、蒸発管4の減肉量評価を高精度に行う観点から、検査対象である蒸発管4のそれぞれに設けられることが好ましい。なお図7には1本の蒸発管4に設けられた1個の基準マーク60を示したが、複数の蒸発管4にわたって1個の基準マーク60を設けてもよい(すなわち、1個の基準マーク60を複数の蒸発管4で共有してもよい)。
【0061】
この基準マーク60を含む蒸発管4の表面形状を変位センサ12で計測し、基準マーク60を含む蒸発管4の基準表面形状と重ね合わせて、両者の差分を求めることで、蒸発管4の減肉量が算出される。これにより、蒸発管4が肉盛溶接され、蒸発管4の軸方向位置によって大きく表面形状が異なる場合であっても、同一位置における表面形状と基準表面形状とを重ね合わせることができるので、蒸発管4の減肉量を正確に算出することができる。ここで、蒸発管4の基準表面形状とは、減肉がない状態における蒸発管4の表面形状であり、後述する信号処理装置16の基準形状記憶部に予め記憶されている。
【0062】
上記構成の基準マーク60を用いる場合、蒸発管4の表面形状および基準表面形状の計測は、基準マーク60の最深部64から開始することが好ましい。これにより、計測された蒸発管4の表面形状と基準表面形状とを容易に重ね合わせることができるので、蒸発管4の減肉量の算出に要する計算負荷を軽減することが可能になる。
【0063】
図4に示す信号処理装置16は、変位センサ12のセンサヘッド32及びエンコーダ36に接続されており、センサヘッド32及びエンコーダ36からの信号を受け取って、蒸発管4の減肉量を算出する。
【0064】
図8は、信号処理装置16の構成例を示すブロック図である。同図に示すように、信号処理装置16は、主として、変位センサ12の出力信号を受け取るコントローラ40と、変位計測データを内部メモリに記憶するPC(検査作業者のパソコン)42と、基準表面形状が記憶された基準形状記憶部46と、減肉量を算出する減肉量算出部48とにより構成される。
【0065】
信号処理装置16では、コントローラ40において、変位センサ12から変位計測データを受け取り、PC42の内部メモリに保存し、減肉量算出部48において、基準形状記憶部46に予め記憶されている基準形状データと重ね合わせて、両者の差分を求めることで減肉量を算出する。
【0066】
基準形状記憶部46には、減肉がない状態における、基準マーク60を含む蒸発管4の基準表面形状が記憶されている。この基準表面形状は蒸発管4のそれぞれについて記憶されており、変位センサ12により表面形状が計測された蒸発管4に対応する基準表面形状が基準形状記憶部46から減肉量算出部48に送られるようになっている。
【0067】
また、変位計測データは変位センサ12の取付け状態(位置や角度)に起因する誤差を含んでいることがあるため、図8に示すように、変位計測データの補正処理を行う補正部44を設けることが好ましい。これにより、変位センサ12の取付け状態によらず、蒸発管4の減肉量をより正確に算出することができる。なお、補正部44による変位計測データの補正処理については、後で詳細に説明する。
【0068】
次に、上述した検査装置11を用いて蒸発管4を検査する方法について説明する。図9は蒸発管4の検査方法の一例を示すフローチャートである。
【0069】
同図に示すように、まずステップS2において、信号処理装置16がコントローラ40を介して変位センサ12から変位計測データを取得する。変位計測データは図10に示すように火炉幅方向距離(図4に示すX軸方向の距離)を横軸にとり、センサヘッド32の位置からの変位として蒸発管4の表面形状データDが取得される。
【0070】
そして、ステップS4で、基準位置算出部46によって取得された表面形状から蒸発管4の部分、溶接金属10の部分、フィン8の部分の認識を行う。
【0071】
具体的には、図11(a)に示すように、横軸に火炉幅方向距離を、縦軸に山形の表面形状の高さをとると、(1)、(6)がフィン8の部分に相当し、(2)、(5)が溶接金属10の部分に相当し、(3)〜(4)が蒸発管4の部分に相当する。
【0072】
これらの位置を計測データから求めるには、山形の表面形状の曲線を1階微分して傾きを算出して求めることができる。
【0073】
図11(b)がその1階微分データを示し、(1)、(6)のフィン8の部分では傾きは略ゼロになり、また(2)、(5)の溶接金属10の部分でも溶接金属10が盛られるため傾きが略ゼロになる。
【0074】
さらに、傾きのピーク値はプラス側、マイナス側それぞれに2個所現れ、横軸方向で最初のピーク値の位置はフィン8から溶接金属10への変化部であり、2度目のピーク値位置(3)は、溶接金属10から蒸発管4への変化部であり、この位置(3)を溶接金属10と蒸発管4との境界位置Pとして判定でき、(3)〜(4)が蒸発管4の表面部分であると分かる。
【0075】
つぎに、図9に示すステップS6に進み、補正部44による変位計測データの補正処理を行う。図12(a)及び(b)は、補正部44による変位計測データの補正処理を示す図である。図12(a)及び(b)において、点線が補正前、実線が補正後の形状位置を示す。
【0076】
補正部44は、図12(a)に示すように、計測データから求めたフィンの位置(1)、(6)、または境界位置(3)(4)の位置が、設計データ等の減肉の無い基準形状のフィン位置または境界位置とずれている場合には、上下方向にH移動して一致させる補正をする。
【0077】
また補正部44は、計測データから求められた表面形状のフィン8の位置(1)と(6)の高さ、または境界位置(3)と(4)の高さが左右で一致しない場合には、図12(b)に示すように蒸発管4の周方向にθ回転して水平方向に一致させる補正をする。
【0078】
さらに補正部44は、変位センサ12が蒸発管4の軸方向に対して平行に走査されなかったため、変位計測データ間で左右方向にずれが生じた場合には、図13に示すように溶接金属とフィンとの境界位置(若しくは管と溶接部の境界位置)を手動あるいは自動で検出し、表面形状データDの1番目のデータと、最後のデータとのずれxを計算し、変位計測データ間の左右方向のずれを補正する。なお、ずれxiは、xi=ni×d×tanθ’によって計算される。
【0079】
次に、図9に示すステップS8において、減肉がない状態における蒸発管4の基準表面形状データを基準形状記憶部46から取得する。
【0080】
そして、ステップS10において、減肉量算出部48により、ステップS6で補正された変位計測データ(蒸発管4の現在の表面形状を示すデータ)と、ステップS8で取得された基準表面形状データ(減肉がない状態における蒸発管4の表面形状を示すデータ)とを重ね合わせる。図14は、変位計測データを基準表面形状データに重ね合わせた様子を示す図である。同図に示すように、変位計測データと基準表面形状データとは、左右方向位置が一致する(すなわち、フィン8の表面位置や、溶接金属10と蒸発管4との境界位置が一致する)ように重ね合わされる。
【0081】
また本実施形態では、基準マーク60に基づいて、変位計測データと基準表面形状データとの重ね合わせが行われる。具体的には、基準マーク60に基づいて、蒸発管4の軸方向(長手方向)の同一位置における変位計測データと基準表面形状データとを重ね合わせる。これにより、蒸発管4が肉盛溶接された場合であっても、蒸発管4の減肉量を正確に算出することができる。
【0082】
最後に、ステップS12において、ステップS10で重ね合わせられた変位計測データと基準表面形状データとの差分を求めて、蒸発管4の減肉量を算出する。
【0083】
以上、本発明の一例について詳細に説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはいうまでもない。
【0084】
例えば、上述の実施形態では、基準マークがV字形状の凹部62を有する基準ブロック60である例について説明したが、基準マークは蒸発管4の基準位置を示すマークであれば特に限定されない。
【0085】
図15(a)〜(c)は基準マークの他の例を示す斜視図である。図15(a)に示す基準マーク70は、蒸発管4の基準位置を示す凸部であり、例えば、蒸発管4に溶接で固定された金属板であってもよい。図15(b)に示す基準マーク72は、蒸発管4の基準位置を示す凹形状の刻印であり、例えば、蒸発管4に刻印された任意の文字や図形であってもよい。なお、図15(a)及び(b)には、検査対象である蒸発管4に基準マーク(70、72)が形成されている例を示したが、基準マーク(70、72)は検査対象ではない蒸発管4(例えば、検査対象の蒸発管に隣接する蒸発管)に形成されていてもよいし、フィン8や溶接金属10に形成されていてもよい。
【0086】
図15(a)及び(b)に示す基準マーク(70、72)を用いることで、蒸発管4の検査時(具体的には、変位センサ12による蒸発管4の表面形状の測定時)において、変位センサ12の位置合わせ作業を省略することができる。
【0087】
また、図15(c)に示すように、蒸発管4の肉盛溶接時に付着したスパッタからなる基準マーク74を用いて、変位計測データ(蒸発管4の表面形状を示すデータ)と、基準表面形状データ(減肉がない状態における蒸発管4の表面形状を示すデータ)とを重ね合わせてもよい。基準マーク74は、検査対象ではない蒸発管4(例えば、検査対象の蒸発管に隣接する蒸発管)に形成されたスパッタであってもよいし、フィン8や溶接金属10に形成されたスパッタであってもよい。このように肉盛溶接時に付着するスパッタを基準マーク74として利用することで、基準マークを形成する手間を省くことができる。
【0088】
また上述の実施形態では、基準マークに基づいて変位計測データと基準表面形状データとを重ね合わせて減肉量を算出する例について説明したが、基準マークを用いる代わりに、変位センサ12の支持部14を位置合わせした状態で取得した変位計測データと基準表面形状データとを重ね合わせて減肉量を算出してもよい。
【0089】
図16は変位センサ12の支持部14を位置合わせした状態で蒸発管4の検査を行う様子を示す平面図である。同図に示すように、支持部14を位置合わせする位置決め部材80が蒸発管4に固定されている。
【0090】
位置決め部材80は、支持部14を位置決めすることができる構成であれば特に限定されず、例えば、四角柱状の支持柱20に対応する位置に設けられた角当てであってもよい。なかでも、図16に示すように、支持柱20の鉛直方向下側の角に対応する位置に設けられた角当ては、支持部14の位置決めを容易に行うことができるため好ましい。また位置決め部材80は、支持部14の位置決め精度を向上させる観点から、支持柱20のうち2本以上に対応する位置に設けられていることが好ましい。
【0091】
この位置決め部材80により位置合わせされた状態の支持部14に支持された変位センサ12により、蒸発管4の表面形状及び基準表面形状が計測され、これらを互いに重ね合わせて差分を求めることで、蒸発管4の減肉量が算出される。ここで、変位センサ12は、蒸発管4の表面形状および基準表面形状を計測する際、位置決め部材80により所定の位置に固定された支持部14により支持されている。また支持部14の大きさは一定であり、支持部14に対する変位センサ12の原点位置は決まっている。このため、蒸発管4が肉盛溶接され、蒸発管4の軸方向位置によって大きく表面形状が異なる場合であっても、同一位置における表面形状と基準表面形状とを重ね合わせることができるので、蒸発管4の減肉量を正確に算出することができる。
【符号の説明】
【0092】
1 ボイラ火炉
2 燃焼室
4 蒸発管
8 フィン
11 検査装置
12 変位センサ
14 支持部
16 信号処理装置
18 マグネット
20 支柱
28 支持枠
29 上下調整つまみ部
31 左右調整つまみ部
32 センサヘッド
33 モータ
34 レーザ光照射部
40 コントローラ
42 PC
44 補正部
46 基準形状記憶部
48 減肉量算出部
60、70、72、74 基準マーク
80 位置決め部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラ火炉内に配置された複数の蒸発管の減肉状態を検査するボイラ火炉蒸発管の検査装置であって、
前記蒸発管に固定される支持部と、
前記支持部に支持され、前記蒸発管の基準位置を示す基準マークを含む前記蒸発管の表面形状を計測する変位センサと、
減肉がない状態における、前記基準マークを含む前記蒸発管の基準表面形状が記憶された記憶手段と、
前記基準マークに基づいて、前記変位センサにより計測された前記表面形状を、前記記憶手段に記憶された前記基準表面形状に重ね合わせて、前記表面形状と前記基準表面形状との差分を求めることで前記蒸発管の減肉量を算出する算出手段とを備えることを特徴とするボイラ火炉蒸発管の検査装置。
【請求項2】
前記基準マークは、前記蒸発管に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のボイラ火炉蒸発管の検査装置。
【請求項3】
前記蒸発管の軸方向に沿って前記変位センサを移動させる移動手段をさらに備え、
前記変位センサは、前記移動手段によって前記蒸発管の前記軸方向に沿って移動しながら、前記蒸発管の径方向に沿って帯状のレーザ光を照射し、前記蒸発管からの反射光に基づいて、前記蒸発管の前記表面形状を計測することを特徴とする請求項1又は2に記載のボイラ火炉蒸発管の検査装置。
【請求項4】
前記基準マークは、最深部が前記蒸発管の前記径方向に沿ったV字形状である凹部を有する基準ブロックであり、
前記蒸発管の前記表面形状と、前記記憶手段に記憶された前記蒸発管の前記基準表面形状とは、前記基準ブロックの前記凹部の前記最深部を計測開始位置として、前記変位センサが前記移動手段により前記蒸発管の前記軸方向に沿って移動しながら計測したものであるであることを特徴とする請求項3に記載のボイラ火炉蒸発管の検査装置。
【請求項5】
前記基準マークは、前記蒸発管の前記基準位置を示す凸部であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のボイラ火炉蒸発管の検査装置。
【請求項6】
前記基準マークは、前記蒸発管の前記基準位置を示す凹形状の刻印であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のボイラ火炉蒸発管の検査装置。
【請求項7】
前記基準マークは、前記蒸発管の肉盛溶接時に付着したスパッタであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のボイラ火炉蒸発管の検査装置。
【請求項8】
ボイラ火炉内に配置された複数の蒸発管の減肉状態を検査するボイラ火炉蒸発管の検査装置であって、
前記蒸発管に固定される支持部と、
前記支持部を位置合わせする位置決め部材と、
前記位置決め部材により位置合わせされた前記支持部に支持され、前記蒸発管の表面形状を計測する変位センサと、
前記変位センサにより予め計測された、減肉がない状態における前記蒸発管の基準表面形状が記憶された記憶手段と、
前記変位センサにより計測された前記表面形状を、前記記憶手段に記憶された前記基準表面形状に重ね合わせて、前記表面形状と前記基準表面形状との差分を求めることで前記蒸発管の減肉量を算出する算出手段とを備えることを特徴とするボイラ火炉蒸発管の検査装置。
【請求項9】
前記支持部は、前記蒸発管に立設される4本の四角柱状の支持柱を含み、
前記位置決め部材は、前記支持部の前記支持柱のうち2本以上に対応する位置に設けられた複数の角当てであることを特徴とする請求項8に記載のボイラ火炉蒸発管の検査装置。
【請求項10】
前記蒸発管の軸方向に沿って前記変位センサを移動させる移動手段をさらに備え、
前記変位センサは、前記移動手段によって前記蒸発管の前記軸方向に沿って移動しながら、前記蒸発管の径方向に沿って帯状のレーザ光を照射し、前記蒸発管からの反射光に基づいて、前記蒸発管の前記表面形状を計測することを特徴とする請求項8又は9に記載のボイラ火炉蒸発管の検査装置。
【請求項11】
ボイラ火炉内に配置された複数の蒸発管の減肉状態を検査するボイラ火炉蒸発管の検査方法であって、
前記蒸発管の基準位置を示す基準マークを形成する工程と、
減肉がない状態における、前記基準マークを含む前記蒸発管の基準表面形状を予め計測する工程と、
予め計測された前記基準表面形状を記憶手段に記憶する工程と、
前記基準マークを含む前記蒸発管の表面形状を計測する工程と、
前記基準マークに基づいて、計測された前記表面形状を、前記記憶手段に記憶された前記基準表面形状に重ね合わせて、前記表面形状と前記基準表面形状との差分を求めることで前記蒸発管の減肉量を算出する工程とを備えることを特徴とするボイラ火炉蒸発管の検査方法。
【請求項12】
ボイラ火炉内に配置された複数の蒸発管の減肉状態を検査するボイラ火炉蒸発管の検査方法であって、
位置決め部材で位置合わせされた状態の支持部に支持された変位センサにより、減肉がない状態における前記蒸発管の基準表面形状を予め計測する工程と、
予め計測された前記基準表面形状を記憶手段に記憶する工程と、
前記位置決め部材で位置合わせされた状態の前記支持部に支持された前記変位センサにより、前記蒸発管の表面形状を計測する工程と、
計測された前記表面形状を、前記記憶手段に記憶された前記基準表面形状に重ね合わせて、前記表面形状と前記基準表面形状との差分を求めることで前記蒸発管の減肉量を算出する工程とを備えることを特徴とするボイラ火炉蒸発管の検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−33375(P2011−33375A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177419(P2009−177419)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】