ボイラ装置及びボイラ装置の改造方法
【課題】本発明の目的は、火炉のホッパ部を有効利用することによって火炉内で発生する燃焼ガス中に含まれる窒素酸化物と未燃分を低減させるコンパクトな構造のボイラを提供する。
【解決手段】本発明のボイラ装置は、前壁と後壁とこれらの間に配設された側壁とから構成される直方体部と、直方体部の下部に設けられたホッパ部とを備えた火炉と、火炉の前壁及び後壁に設置されて燃料と燃焼用空気を火炉内に供給して燃焼させる複数のバーナと、前記バーナの上部となる火炉の前壁及び後壁に設置されて燃焼用空気を火炉内に供給する複数のアフタエアポートとを備えたボイラ装置において、前記火炉の前壁と後壁に設置された前記バーナのうちで最も下方に配置されたバーナと同一高さ或いはそのバーナよりも下方の位置となる前記直方体部の火炉の側壁、又はこのバーナよりも下方の位置となるホッパ部の側壁に燃料を噴出して燃焼させるサイドバーナを設置して構成する。
【解決手段】本発明のボイラ装置は、前壁と後壁とこれらの間に配設された側壁とから構成される直方体部と、直方体部の下部に設けられたホッパ部とを備えた火炉と、火炉の前壁及び後壁に設置されて燃料と燃焼用空気を火炉内に供給して燃焼させる複数のバーナと、前記バーナの上部となる火炉の前壁及び後壁に設置されて燃焼用空気を火炉内に供給する複数のアフタエアポートとを備えたボイラ装置において、前記火炉の前壁と後壁に設置された前記バーナのうちで最も下方に配置されたバーナと同一高さ或いはそのバーナよりも下方の位置となる前記直方体部の火炉の側壁、又はこのバーナよりも下方の位置となるホッパ部の側壁に燃料を噴出して燃焼させるサイドバーナを設置して構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃焼ガス中のNOx濃度及び未燃分を低減するボイラ装置及びボイラ装置の改造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料の石炭、油、又はガスを燃焼させて燃焼ガスを発生させ、この燃焼ガスを用いて高温の蒸気を得るボイラ装置では、燃料を燃焼した際に発生する燃焼ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)濃度の低減、及び未燃分の低減が求められている。
【0003】
低NOx濃度化及び未燃分の低減要求に応えるためにボイラ装置では、火炉に設置したバーナから燃料と空気を火炉内に投入して燃焼して還元性の燃焼ガスを生成させる一段目の燃焼の後に、バーナよりも上方位置の火炉に設置したアフタエアポートから燃焼用空気を投入して還元性の燃焼ガスを完全燃焼させる二段燃焼方式が適用されている。
【0004】
前記した二段燃焼方式では、一段目の燃焼時間が長くなるように火炉の高さを高く構成すると燃焼ガス中のNOxの濃度を低減できるが、このためにはボイラ装置のサイズが大きくなるのでボイラ装置の建設コストを増加させていた。
【0005】
そこでこの改善策として、二段燃焼用の空気ポートの構成を工夫する方法が提案されている。
【0006】
特開2006−132811号公報には、ボイラで発生する未燃分を低減させるために、2段燃焼方式の不完全燃焼領域に応じてアフタエアポートから噴出する空気の方向性や態様を変えて不完全燃焼領域と空気の混合効率を高めるノズル機構をアフタエアポートに設置した構造のボイラに関する技術が開示されている。
【0007】
また特開平9−126416号公報には、低NOx化を図る二段燃焼方式のボイラで火炉底部に落下する灰中に含まれる未燃分の発生を抑制するために、最下段のバーナよりも低い位置にこのバーナからの噴流に直交する方向に燃焼用空気を投入する補助空気噴出口を設置して空気不足の炉底部の未燃分を減少させる構造のボイラに関する技術が開示されている。
【0008】
また特開平10−213309号公報には、ボイラの大容量化に対応させてバーナ容量を増大した場合の微粉炭火炎の着火安定性を確保するために、微粉炭バーナの微粉炭混合気ノズル内に濃淡分離体を配置、又は空気ノズルに対して微粉炭混合気ノズルを返信して配置した構造のボイラに関する技術が開示されている。
【0009】
【特許文献1】特開2006−132811号公報
【特許文献2】特開平9−126416号公報
【特許文献3】特開平10−213309号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記特開2006−132811号公報、特開平9−126416号公報、及び特開平10−213309号公報に記載されたボイラに関するそれぞれの技術では、ボイラの火炉内で燃料が燃焼した際に発生する燃焼ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)の濃度の低減、並びに燃焼ガスに含まれる未燃分を低減させようとすると、火炉の高さが高くならざるを得ないのでボイラが大型化して建設コストが増加するという課題があった。
【0011】
また、前記したボイラに関するそれぞれの技術では、火炉のホッパ部に付着する灰を除去し灰の付着を抑制する簡単で効果的な装置がないという課題があった。
【0012】
本発明の目的は、火炉のホッパ部を有効利用することによって火炉内で燃料が燃焼して発生する燃焼ガス中に含まれる窒素酸化物と未燃分をそれぞれ低減させるコンパクトな構造のボイラ装置及びボイラ装置の改造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のボイラ装置は、前壁と後壁とこれらの前壁と後壁との間に配設された側壁とから構成される直方体部と、この直方体部の下部に設けられたホッパ部とを備えた火炉と、火炉の前壁及び後壁にそれぞれ設置されて燃料と燃焼用空気を火炉内に供給して燃焼させる複数のバーナと、前記バーナの上部となる火炉の前壁及び後壁にそれぞれ設置されて燃焼用空気を火炉内に供給する複数のアフタエアポートとを備えたボイラ装置において、前記火炉の前壁と後壁に設置された前記バーナのうちで最も下方に配置されたバーナと同一高さ或いはそのバーナよりも下方の位置となる前記直方体部の火炉の側壁、又はこのバーナよりも下方の位置となるホッパ部の側壁に燃料を噴出して燃焼させるサイドバーナを設置したことを特徴とする。
【0014】
また本発明のボイラ装置は、前壁と後壁とこれらの前壁と後壁との間に配設された側壁とから構成される直方体部と、この直方体部の下部に設けられたホッパ部とを備えた火炉と、火炉の前壁及び後壁にそれぞれ設置されて燃料と燃焼用空気を火炉内に供給して燃焼させる複数のバーナとを備えたボイラ装置において、前記火炉の前壁と後壁に設置された前記バーナのうちで最も下方に配置されたバーナと同一高さ或いはそのバーナよりも下方の位置となる前記直方体部下部の火炉の側壁、又はこのバーナよりも下方の位置となるホッパ部の側壁に燃料を噴出して燃焼させるサイドバーナを設置したことを特徴とする。
【0015】
また本発明のボイラ装置の改造方法は、前壁と後壁とこれらの前壁と後壁との間に配設された側壁とから構成される直方体部と、この直方体部の下部に設けられたホッパ部とを備えた火炉と、火炉の前壁及び後壁にそれぞれ3段以上設置されて燃料と燃焼用空気を火炉内に供給して燃焼させる複数のバーナと、前記バーナの上部となる火炉の前壁及び後壁にそれぞれ設置されて燃焼用空気を火炉内に供給する複数のアフタエアポートとを備えたボイラ装置の改造方法において、前記火炉の前壁又は後壁に設置された既設の前記バーナのうちで最上段のバーナを取り外し、前記火炉の前壁と後壁に設置された前記バーナのうちで最も下方に配置されたバーナと同一高さ或いはそのバーナよりも下方の位置となる前記直方体部の火炉の側壁、又はこのバーナよりも下方の位置となるホッパ部の側壁に燃料を噴出して燃焼させるサイドバーナを設置するように改造することを特徴とする。
【0016】
また本発明のボイラ装置の改造方法は、前壁と後壁とこれらの前壁と後壁との間に配設された側壁とから構成される直方体部と、この直方体部の下部に設けられたホッパ部とを備えた火炉と、火炉の前壁及び後壁にそれぞれ3段以上設置されて燃料と燃焼用空気を火炉内に供給して燃焼させる複数のバーナとを備えたボイラ装置の改造方法において、前記火炉の前壁又は後壁に設置された既設の前記バーナのうちで最上段のバーナを取り外し、前記火炉の前壁と後壁に設置された前記バーナのうちで最も下方に配置されたバーナと同一高さ或いはそのバーナよりも下方の位置となる前記直方体部の火炉の側壁、又はこのバーナよりも下方の位置となるホッパ部の側壁に燃料を噴出して燃焼させるサイドバーナを設置するように改造することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、火炉のホッパ部を有効利用することによって火炉内で燃料が燃焼して発生する燃焼ガス中に含まれる窒素酸化物と未燃分をそれぞれ低減させるコンパクトな構造のボイラ装置及びボイラ装置の改造方法が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に本発明の実施例であるボイラ装置及びボイラ装置の改造方法について図面を参照して以下に説明する。
【実施例1】
【0019】
本発明の実施例である第1実施例のボイラ装置の全体構成を図1に示す。
【0020】
図1のボイラ装置は、石炭を粉砕した微粉炭等の固体燃料をボイラ1の火炉11の前壁及び後壁に対向して設置したバーナから供給し、火炉内で浮遊燃焼させる対向燃焼方式のボイラの構成例である。
【0021】
第1実施例である本実施例のボイラ装置では、固体燃料である石炭を燃料としているが、固体燃料に替えて重油や天然ガスなどを燃料として燃焼させても良い。
【0022】
図1において、本実施例のボイラ装置であるボイラ10を構成する火炉11は、前壁12と、この前壁に対向する後壁13と、前記前壁12と後壁13との間に配設された左右の側壁14から構成され、その水平断面が矩形状の直方体部となる火炉11の上部を形成している。
【0023】
また、前記火炉11の直方体部の下部には、火炉11で生じた灰を集めるホッパ部15を備えて、火炉の下部を形成している。
【0024】
火炉11の前壁12及び後壁13には石炭と燃焼用空気とを火炉11内に噴出させて燃焼させる複数のバーナ2を対向して配置すると共に、これらのバーナ2を前壁12及び後壁13の上下方向に複数段に亘って設置している。
【0025】
また、前記バーナ2の設置箇所よりも上方に位置する前記前壁12と後壁13には複数のアフタエアポート3が該バーナ2と同様に対向して配置されている。
【0026】
前記バーナ2は理論空気比以下(例えば0.8)で石炭と燃焼用空気との混合物を火炉11の内部に噴射して燃焼させ、火炉11内に燃焼ガスの不完全燃焼領域を形成させる。
【0027】
前記アフタエアポート3は前記バーナ2によって形成された火炉11内の不完全燃焼領域の燃焼ガスに燃焼用空気であるアフタエア22を噴射して前記領域の燃焼ガスを完全燃焼させ、未燃分をほぼ完全に燃焼させる。
【0028】
ところで、上記した燃焼を行う二段燃焼方式のボイラでは、NOxを低減するためにバーナ2から火炉11内に石炭と燃焼用空気を供給して不完全燃焼領域を形成するように燃焼させる一段目の燃焼時間を長くなるように、バーナ2とアフタエアポート3の設置位置の間隔を大きくするように設計される。
【0029】
このバーナ2とアフタエアポート3との設置位置の間隔を大きくするにはアフタエアポート3の設置位置をバーナ2の設置位置よりも上方の位置に上げる方法と、バーナ2の設置位置をアフタエアポート3の設置位置よりも下方の位置に下げる方法とがある。
【0030】
しかしながら前者の方法は、ボイラ10の高さ方向のサイズが大きくなる。
【0031】
また後者の方法については、ホッパ15と火炉11の前壁12あるいは後壁13との折れ曲がり部からの距離を一定の大きさ以下にできないことから、バーナ2の最下段の設置位置をあまり下げることができない。
【0032】
バーナ2の最下段の設置位置は、ボイラの大きさ、燃焼する燃料にあわせて、ボイラの強度不足やホッパ部15のスラッギング(灰付着)を考慮して設計している。
【0033】
一方、ホッパ部15の内部空間は燃焼時間を大きくする上ではそれほど寄与しない。
【0034】
これは燃焼によって発生する高温の燃焼ガスは火炉11内を下方から上方に向かって流れるため、ホッパ部15は止水域となりやすいからである。
【0035】
また、ホッパ部15では内部の温度が低く、ホッパ部15の炉壁での熱吸収は少ない。
【0036】
よってボイラの燃焼および熱吸収の面からは、ホッパ部15のサイズは小さい方が有利である。
【0037】
このホッパ部15を構成するホッパ部の前壁あるいは後壁面の傾斜角は、火炉11の天井壁17付近から落下してくる灰を効率よく炉底16に集積して回収できるように、ホッパ部15の壁面の傾斜角を所望の角度範囲に設定している。
【0038】
火炉11の前壁12と後壁13との距離が大きく離間したボイラでは、ホッパ部15のサイズは必然的に大きくなる。
【0039】
そこで、火炉11の前壁12および後壁13に設置した複数段のバーナ2のうちで最も下方の段に設置したバーナ2よりも下方の位置となる火炉11の下部に設けたホッパ部15の側壁14に石炭と燃焼用空気とを火炉11内に噴出させて燃焼させるサイドバーナ1が配置されている。
【0040】
このサイドバーナ1は理論空気比以下(例えば0.8)の石炭と燃焼用空気の混合物を火炉11の内部に噴射して燃焼させ、火炉11内に不完全燃焼領域を形成する。
【0041】
ホッパ部15の側壁14にサイドバーナ1を設置することで、火炉11の前壁12及び後壁13に設けた最下段のバーナ2の位置よりもさらに低い位置となるホッパ部15の側壁14に石炭と燃焼用空気とを火炉11内に噴出させて燃焼させるサイドバーナ1を設置できるので、このサイドバーナ1とアフタエアポート3との距離は最下段のバーナ2とアフタエアポート3との距離よりも大きく設定できる。
【0042】
この結果、火炉11内の不完全燃焼領域で燃焼ガスが燃焼する燃焼時間が長くなり、燃焼ガス中のNOxの発生を抑制できる。
【0043】
また、燃焼ガスが燃焼する燃焼時間が長くなることで、アフタエアポート3に至るまでに不完全燃焼領域の燃焼ガスの燃焼は十分に進み、アフタエアポート3の下流側の完全燃焼領域では燃焼ガス中の未燃分を十分に燃焼できるために、灰中未燃分が大幅に低下する。
【0044】
さらに、ホッパ部15の近傍でもサイドバーナ1から供給された燃料の燃焼によって炉内の温度が上昇し、ホッパ部15の炉壁の熱吸収が向上する。
【0045】
このように、アフタエアポート3よりも下側となる火炉11内の不完全燃焼領域で熱吸収量が増加することで、アフタエアポート3の付近の炉内温度は低下する。
【0046】
したがって、火炉11内の完全燃焼領域の温度も低下することになり、高温酸化領域でのNOxの発生が減少し、燃焼ガス中のNOxの濃度をさらに抑制できる。
【0047】
火炉11の前壁12及び後壁13に設けたバーナ2に供給する石炭27は石炭バンカー28に一旦貯蔵し、給炭機29によって石炭バンカー28に貯蔵された石炭27を石炭粉砕器30に供給して粉砕して微粉炭を製造する。
【0048】
この石炭粉砕器30で粉砕した石炭27は該石炭粉砕器30に供給される搬送空気24によるバーナ用石炭搬送気25によってバーナ2に搬送される。
【0049】
また、サイドバーナ1に供給する石炭31は石炭バンカー32に一旦貯蔵し、給炭機33によって石炭バンカー32に貯蔵された石炭31を石炭粉砕器34に供給して粉砕して微粉炭を製造する。
【0050】
この石炭粉砕器34で粉砕した石炭は該石炭粉砕器34に供給される搬送空気24によるサイドバーナ用石炭搬送気26によってサイドバーナ1に搬送される。
【0051】
本実施例では、前壁12及び後壁13に設けたバーナ2と、火炉11の下部のホッパ部15の側壁14に設けたサイドバーナ1とにそれぞれ異なる石炭供給系を通じて石炭を供給しているが、両者に同じ石炭供給系を通じて石炭を供給しても良い。
【0052】
また、固体燃料は本実施例で説明した石炭のほか、ペットコークス、バイオマス燃料でもよい。
【0053】
火炉11の前壁12及び後壁13に設けたバーナ2と、火炉11の下部のホッパ部15の側壁14に設けたサイドバーナ1との石炭供給系を別々に設ける場合には、前壁12及び後壁13のバーナ2と、ホッパ部15の側壁14のサイドバーナ1とで、それぞれ供給する燃料の種類や、燃料粉砕時の粒度分布を変えて供給することが可能となる。
【0054】
サイドバーナ1から火炉11内に供給して燃焼させる燃料31は燃焼時間が長くなるので、粗い粒子の燃料でも十分燃焼する。
【0055】
そこでサイドバーナ1から火炉11内に供給される燃料31の粒度を前壁12及び後壁13に設置したバーナ2から火炉11内に供給する燃料27の粒度よりも大径となるように粗く粉砕することで、石炭粉砕器34における燃料の粉砕動力を小さくできる。
【0056】
また、ペットコークなど固定炭素分が多く燃えにくい燃料をサイドバーナ1から火炉11内に投入して燃焼させるようにすれば、火炉11内における燃焼ガスの滞留時間を更に長く取れるので燃焼率を向上できる。
【0057】
前壁12及び後壁13に複数段のバーナ2を設置し、それぞれの段ごとに石炭供給系が個別に配設されている場合には、前壁12及び後壁13に設置された最も低いバーナ段のバーナ2に供給される燃料の粒径を、その上段のバーナ2に供給される燃料の粒径よりも粗くしてもよい。
【0058】
但し、本実施例のように最も下方に配置された前記バーナ2よりも下方の位置となるホッパ部15の側壁14にサイドバーナ1を設置している場合は問題ないが、仮にこのサイドバーナ1が設置されていない場合には、前壁12及び後壁13の最下段に設置されたバーナ2に供給される燃料の粒径を粗くすると、供給された燃料が火炉11内で燃焼する前に火炉11の炉底16に落下する可能性がある。
【0059】
そこで、本実施例のように火炉11のホッパ部15の側壁14にサイドバーナ1を設置することで、サイドバーナ1から噴出する燃料が火炉11内で燃焼して生じた高温の燃焼ガスの上昇流によって、最下段のバーナ2から供給される粒径の粗い燃料が火炉11の炉底16に落下することが抑制できる。
【0060】
火炉11内で燃料の石炭を燃焼して発生した高温の燃焼ガスは、火炉11内を流下する過程で火炉11に設置された図示していない蒸気発生器と熱交換して温度が低下した後に、火炉11から燃焼排ガス23として外部に排出される。
【0061】
火炉11の下流にはこの燃焼排ガス23を加熱源とする熱交換器7及びガス浄化装置8が順次配設されている。
【0062】
前壁12及び後壁13にそれぞれ設置したバーナ2及びアフタエアポート3、並びにホッパ部15の側壁14に設置したサイドバーナ1から火炉11内に供給する燃焼用空気19は、押し込み通風機9から供給された空気18を火炉11から排出される燃焼排ガス23を熱源とする熱交換器7によって加熱して生成する。
【0063】
そして、この加熱された燃焼用空気19は、前記サイドバーナ1、バーナ2、及びアフタエアポート3にそれぞれに設置したウインドボックス4〜6に供給された後に、個々のサイドバーナ1、バーナ2、及びアフタエアポート3に分配されて火炉11内に供給される。
【0064】
即ち、前記熱交換器7によって燃焼排ガス23で加熱された燃焼用空気19の一部は、前壁バーナウィンドボックス5及び後壁バーナウィンドボックス36の内部に該燃焼用空気19から分岐したバーナ用燃焼用空気21としてそれぞれ供給され、前壁バーナウィンドボックス5及び後壁バーナウィンドボックス36の内部に設置された前後壁12、13のバーナ2から火炉11内に噴出させている。
【0065】
同様に前記燃焼用空気19の一部は、前壁アフタエアポートウィンドボックス6及び後壁アフタエアポートウィンドボックス37の内部に該燃焼用空気19から分岐したアフタエア22としてそれぞれ供給され、前壁アフタエアポートウィンドボックス6及び後壁アフタエアポートウィンドボックス37の内部に設置された前後壁12、13のアフタエアポート3から火炉11内に噴出させている。
【0066】
同様に前記燃焼用空気19の一部は、右サイドバーナウィンドボックス4及び左サイドバーナウィンドボックス35の内部に該燃焼用空気19から分岐したサイドバーナ用燃焼用空気20としてそれぞれ供給され、右サイドバーナウィンドボックス4及び左サイドバーナウィンドボックス35の内部に設置された側壁14の下部のサイドバーナ1から火炉11内に噴出させている。
次に図9を用いて図1に示した本実施例のボイラ装置を発電機出力1000MWの微粉炭焚きボイラ装置に適用した場合の数値解析結果を説明する。
【0067】
ここで数値解析に使用した数値解析プログラムは、3次元で石炭の燃焼、ガスの燃焼、輻射・対流伝熱、流動を計算可能なものである。
【0068】
大きさの異なるボイラの火炉、燃料流量、石炭の種類を変えた条件で検証して、高い精度でNOx、未燃分、ガス温度を計算できることを確認した。
【0069】
ここでは、ボイラ装置の改造方法として従来のボイラ装置である火炉11の前壁12及び後壁13に多段に設置したバーナ2のうち最上段のバーナ2を取り外し、最下段のバーナ2と同一高さとなる前記火炉11下部の側壁14又はこのバーナよりも下方の位置となるホッパ部15の側壁14に新たにサイドバーナ11を設置してボイラ装置を改造できるようにボイラ装置を設計した。
【0070】
図9に示したガス温度、燃焼率、NOx濃度相対値をそれぞれ示した特性カーブの値は、火炉の高さ位置における前記ガス温度、燃焼率、NOx濃度相対値の物理量を平均化したものであり、図9の横軸は左端が火炉の炉底側で右端が火炉の天井側である。
【0071】
図9において、細線の特性カーブは従来のボイラ装置の場合の特性カーブを参考までに示したものであり、太線の特性カーブは本発明の実施例のボイラ装置における特性カーブを示したものである。
【0072】
この図9に示した特性カーブから理解できるように、火炉内のガス温度に関しては、本実施例のボイラ装置では火炉11の炉底16におけるガス温度が従来のボイラ装置に比べて高くなっている。
【0073】
これは、火炉11の前壁12及び後壁13に設置した最下段のバーナ2よりも下方の位置となるホッパ部15の側壁にサイドバーナ1を配設したことで、火炉11内のガス温度が上昇したためである。
【0074】
また、燃焼率に関しては、本実施例のボイラ装置では、火炉11の炉底16で燃焼率が従来のものに比較して低くなるのは、従来のボイラ装置では火炉内は燃焼後の粒子のみが流れてくるのに対して、本実施例のボイラ装置では、火炉11の側壁14に設置したサイドバーナ1から燃えていない石炭を投入するためである。
【0075】
しかしながらバーナ2よりも下流側では、本実施例のボイラ装置の燃焼率が従来のボイラ装置に比べて高くなっている。
【0076】
これは、本実施例のボイラ装置では火炉11の側壁14にサイドバーナ1を配設したことで、火炉11内の燃焼の滞留時間が長くなったためである。
【0077】
また、NOx濃度に関しては、本実施例のボイラ装置ではNOx濃度が従来のボイラ装置に比べて火炉11の炉底16では高くなっている。
【0078】
これは、熱分解反応によって燃料中の窒素分が燃焼したときに酸化するためである。
【0079】
しかしながらバーナ2からアフタエアポート3までの間では、NOxの還元反応によりNOx濃度が従来ボイラ装置のものに比べて低下する。
【0080】
さらに、本実施例のボイラ装置ではアフタエアポート3の下流でも従来のボイラ装置に比べてNOx濃度が低くなった。
【0081】
これは、アフタエアポート3の下流で温度が低くなり、高温酸化領域でのNOxの再生成が抑制されたからである。
【0082】
本実施例のボイラ装置の例では、従来のボイラ装置に比べてNOx濃度を17%、灰中未燃分を9%低減させることができた。
【0083】
以上の説明から明らかなように図1に示した本発明の実施例によれば、火炉のホッパ部を有効利用することによって火炉内で燃料が燃焼して発生する燃焼ガス中に含まれる窒素酸化物と未燃分をそれぞれ低減させるコンパクトな構造のボイラ装置が実現できる。
【実施例2】
【0084】
次に本発明の第2実施例であるボイラ装置について図4を用いて説明する。
【0085】
本実施例では、図1に示した先の第1実施例であるボイラ装置とは基本構成と動作が共通しているので、共通の構成と動作についてはその説明を省略し、相違する部分についてのみ説明する。
【0086】
図4に示した第2実施例のボイラ装置は、図1に示した第1実施例のボイラ装置の構成から、アフタエアポート3およびアフタエアポートウィンドボックス6を削減し、アフタエア22を火炉内に供給せずにバーナ2およびサイドバーナ1から供給する燃焼用空気21、20だけで投入した燃料を燃焼する単段燃焼方式のボイラの構成例である。
【0087】
この単段燃焼方式のボイラに設置された前記バーナ2は理論空気比以上(例えば1.2)で石炭と燃焼用空気との混合物を火炉11の内部に噴射して燃焼させる。
【0088】
上記した単段燃焼方式のボイラでは、図1に示した2段燃焼方式のボイラと異なり、明確な不完全燃焼領域が形成されないために火炉内の温度が高くなるとNOxが発生する。
【0089】
そこでバーナ2の付近の火炉壁の熱負荷およびNOx濃度を低減するためには、バーナ2の容量を小さくしたり、各バーナ2の配置間隔を大きくすることが有効である。
【0090】
一方で、火炉内で未燃分を低減するため、バーナ2から火炉11の出口までの滞留時間を十分確保する必要があるので、バーナ設置部の高さを大きくすると火炉全体のサイズが大型化してしまう。
【0091】
そこでその対策として本実施例の単段燃焼方式のボイラにおいては、サイドバーナ1を前記火炉11の前壁12と後壁13に設置された前記バーナ2のうちで最も下方に配置されたバーナと同一高さ或いはそのバーナよりも下方の位置となる前記直方体部の火炉11の側壁、又はこのバーナよりも下方の位置となるホッパ部15の側壁に設置して燃料を噴出して燃焼させることで、バーナ2の容量を小さくできるだけでなく、火炉11の高さを大きくしたり未燃分を増加させたりせずにボイラの未燃分、局所的な熱負荷およびNOxを低減するものである。
【0092】
次に図5を用いて図1及び図4に示した各実施例のボイラ装置における火炉11の下部のホッパ部15の側壁14に設けたサイドバーナ1の設置位置について説明する。
【0093】
図5において、サイドバーナ1の設置位置の領域59を網掛けで示す。サイドバーナ1の設置位置の領域59とホッパ部15の炉壁との距離aは、石炭性状やスラッギング性、炉壁の熱負荷により決まる。
【0094】
また、火炉11の前壁12及び後壁13に設置したバーナ2の最下段の設置高さとサイドバーナ1の設置高さの上限との距離bは、前壁12と後壁13との間の距離、すなわち火炉11の奥行き、バーナ2の内で最も側壁14に近いバーナ2との距離、バーナの容量によって決まる。距離bは、b=0であり、大きいほうがよい。
また、設置されるサイドバーナ1の本数および容量は、設置位置の大きさ、熱負荷を考慮して決めると良い。
【0095】
図5に示したボイラは、図1及び図4に示した実施例のボイラ装置において、火炉11の前壁12及び後壁13にそれぞれ設置したバーナ2が対向して配置されると共に、これらのバーナ2が前壁12及び後壁13の上下方向に複数段に亘って設置した構成の対向燃焼方式のボイラ装置である。
【0096】
尚、図5ではアフタエアポート3を記載してあるが、図4の実施例のボイラ装置ではこのアフタエアポート3を備えていない単段燃焼方式のボイラ装置となる。
【0097】
次に図2を用いて、図1及び図4に示した各実施例のボイラ装置における火炉11のホッパ部15の側壁14に設けたサイドバーナ1、並びに火炉11下部の側壁14の下部に設けたサイドバーナ1を複数個設置する場合の配置例について説明する。
【0098】
尚、図2ではアフタエアポート3を記載してあるが、図4の実施例のボイラ装置ではこのアフタエアポート3を備えていないシングル燃焼方式のボイラ装置となる。
【0099】
図2において、図2(a)はサイドバーナ1を複数個配置した一例であり、破線で囲んだ領域について別の配置例を図2(b)から図2(g)にそれぞれ示す。
【0100】
図2(a)は火炉11の各側壁14に配置するサイドバーナ1を水平方向に2本並べた例である。
【0101】
2つのサイドバーナ1の間隔cは、燃料性状やバーナ間にある炉壁部分の熱負荷によって決める。
【0102】
図2(a)に示したサイドバーナ1の配置例によれば、火炉11の炉壁の奥行き方向の熱負荷の偏りを小さくでき、炉壁の損傷を抑制できる。
【0103】
図2(b)は炉11の各側壁14に配置する2本のサイドバーナ1を高さ方向に並べた例である。
【0104】
ホッパ部15は下方ほど狭くなる構造なので、下側ほど狭くなり十分なバーナ間隔を取りにくくなる。
【0105】
そこで図2(b)に示したサイドバーナ1の配置例によれば、サイドバーナ1を高さ方向に並べることでバーナ間の熱負荷は高くなるが、水平に並べるよりもさらに下方にサイドバーナ1を配置できるので、燃焼ガス中のNOxおよび未燃分の低減を重視する場合に適している。
【0106】
図2(c)は火炉11の各側壁14に配置する2つのサイドバーナ1を図2(a)および図2(b)に示した配置を組み合わせて斜めに配置したハイブリッド型である。
【0107】
側壁14に斜めに水管が通っている場合には、サイドバーナ1を水管の配設角度に合わせて斜めに配置することで、サイドバーナ1を設置することによる水管の配設方向の変更を少なくできる。
【0108】
図2(d)から図2(g)は火炉11の各側壁14に配置するサイドバーナ1を3本配置する場合の例である。
【0109】
このうち図2(d)は3本のサイドバーナ1を水平方向に並べた例であり、熱負荷の偏りを小さくする場合に適している。
【0110】
図2(e)は炉11の各側壁14に配置する合計3個のサイドバーナ1を2段に配置した場合の例であり、下段に1本、上段に2本設置している。
【0111】
各サイドバーナ1の設置間隔c、c'を大きくとりながら、サイドバーナ1の設置位置を低く配設できる。
【0112】
上記以外に、図2(f)に示すように3個のサイドバーナ1を高さ方向に並べても、図2(g)に示すように3本のサイドバーナ1を2段配置して上段に1本、下段に2本配置しても良い。
【0113】
上記した本実施例のボイラ装置における火炉11の側壁14に設けたサイドバーナ1を4本以上配置する場合も図2の各図に示した場合と同様であり、熱負荷の分布の偏りを小さくする場合には水平方向に、燃焼時間を大きくする場合には段数を増やして高さ方向に並べるようにするとよい。
【0114】
次に図3を用いて、図1及び図4に示した本実施例のボイラ装置における火炉11下部の側壁14に設けたサイドバーナ1を高さ方向に沿って上下に2本設置した場合において、前記サイドバーナ1から火炉11内に燃料を噴出する燃料噴出方向58を水平方向に対して上方又は下方に調整することで燃焼性を向上させた例を示す。
【0115】
尚、図3ではアフタエアポート3を記載してあるが、図4の実施例のボイラ装置ではこのアフタエアポート3を備えていないシングル燃焼方式のボイラ装置となる。
【0116】
図3(a)及び図3(a)のA−A断面である図3(b)に示すように、複数のサイドバーナ1から火炉11内に噴出した燃料が側壁14の近傍で相互に衝突するように複数のサイドバーナ1を高さ方向に沿って上下に2本設置する。
【0117】
側壁14に設置したサイドバーナ1は火炉11の下方からの加熱が無く、燃焼性の悪い燃料を燃焼させる場合に燃焼状態が不安定になり易いので失火する可能性がある。
【0118】
そこで、高さ方向に沿って上下に設置した複数のサイドバーナ1から噴出した燃料の噴流を側壁14の近傍で相互に衝突させるようにサイドバーナ1を配設すると、燃料と燃焼用空気との混合が促進されて着火および保炎性が良くなる。
【0119】
また、前壁12及び後壁13のバーナ2に供給する石炭27及び側壁14のサイドバーナ1に供給する石炭31は、前述したように石炭バンカー28、32に一旦貯蔵し、給炭機29、33で石炭粉砕器30、34に供給して粉砕して微粉炭を製造した後に搬送空気24を石炭粉砕器30、34に供給することで、前記各石炭粉砕器30、34からバーナ用石炭搬送気25及びサイドバーナ用石炭搬送気26によって微粉炭をバーナ2及びサイドバーナ1に夫々搬送する。
【0120】
次に図6〜図8を用いて、図1及び図4に示した本実施例のボイラ装置で燃料の石炭を火炉11に設置したバーナ2及びサイドバーナ1に供給する石炭供給系統、および燃焼用空気を火炉11に設置したバーナ2、サイドバーナ1及びアフタエアポート3に燃焼用空気を供給する空気供給系統の各系統図の例を示す。
【0121】
尚、図6〜図8ではアフタエアポート3を記載してあるが、図4の実施例のボイラ装置に関しては燃料の石炭をバーナ2及びサイドバーナ1に供給する石炭供給系統、および燃焼用空気を火炉11に設置したバーナ2、サイドバーナ1に供給する空気供給系統の各系統は共通しているが、アフタエアポート3及びこのアフタエアポート3に燃焼用空気を供給する空気供給系統を備えていない構成となる。
【0122】
図6において、本実施例のボイラ装置では火炉11下部の側壁14に設置した左右のサイドバーナ1、前壁12及び後壁13に設置したバーナ2にそれぞれひとつずつ、合計4つの石炭供給系統がある。
【0123】
また、燃焼用空気19は、押し込み通風機9から供給された空気18を熱交換器7で加熱される。
【0124】
そして熱交換器7から加熱された燃焼用空気19を供給する流路を通じて供給された燃焼用空気19の一部は、前壁バーナウィンドボックス5及び後壁バーナウィンドボックス36の内部に該燃焼用空気19から分岐したバーナ燃焼用空気21として分岐流路を通じてそれぞれ供給され、前壁バーナウィンドボックス5及び後壁バーナウィンドボックス36の内部に設置された前壁12及び後壁13のバーナ2から火炉11内に噴出する。
【0125】
同様に前記燃焼用空気19の一部は、前壁アフタエアポートウィンドボックス6及び後壁アフタエアポートウィンドボックス37の内部に該燃焼用空気19から分岐したアフタエア22として分岐流路を通じてそれぞれ供給され、前壁アフタエアポートウィンドボックス6及び後壁アフタエアポートウィンドボックス37の内部に設置された前壁12及び後壁13のアフタエアポート3から火炉11内に噴出する。
【0126】
同様に前記燃焼用空気19の一部は、右サイドバーナウィンドボックス4及び左サイドバーナウィンドボックス35の内部に該燃焼用空気19から分岐したサイドバーナ燃焼用空気20として分岐流路を通じてそれぞれ供給され、右サイドバーナウィンドボックス4及び左サイドバーナウィンドボックス35の内部に設置された側壁14の下部のサイドバーナ1から火炉11内に噴出する。
【0127】
また、サイドバーナ燃焼用空気20の流量を調節するダンパ42及び45は、右サイドバーナウィンドボックス4及び左サイドバーナウィンドボックス35の手前の分岐流路に設置されている。
【0128】
バーナ用燃焼用空気21の流量を調節するダンパ43及び46は、前壁バーナウィンドボックス5及び後壁バーナウィンドボックス36の手前の分岐流路に設置されている。
【0129】
同様にアフタエア22の流量を調節するダンパ44及び47は、前壁アフタエアポートウィンドボックス6及び後壁アフタエアポートウィンドボックス37の手前の分岐流路に設置されている。
【0130】
更に、サイドバーナ用燃焼用空気20、バーナ用燃焼用空気21、及びアフタエア22の流量を計算して、これらの空気量が計算した流量と一致するように前記ダンパ42〜47の開度を制御する制御装置41が設置されている。
【0131】
そして前記制御装置41で演算して出力される開度指令信号に基づいて前記ダンパ42〜47の開度を制御して、火炉11内に供給されるバーナ燃焼用空気21、アフタエア22、及びサイドバーナ燃焼用空気20の燃焼用空気の流量をそれぞれ調整する。
【0132】
図7に示した本実施例のボイラ装置における燃焼用空気を供給する空気供給系統では、前壁アフタエアポートウィンドボックス6及び後壁アフタエアポートウィンドボックス37の手前の分岐流路に設置したダンパ44、47と、前壁バーナ用ウインドボックス5及び後壁バーナ用ウインドボックス36の手前の分岐流路に設置したダンパ43、46との開度をそれぞれ調節して、バーナ2から火炉11内に供給されるバーナ燃焼用空気21の流量、及びアフタエアポート3から火炉11内に供給されるアフタエア22の流量をそれぞれ制御している。
【0133】
また、右サイドバーナウィンドボックス4及び左サイドバーナウィンドボックス35の手前の分岐流路に設置したダンパ44、47の開度を調節して、サイドバーナ1から火炉11内に供給されるサイドバーナ用燃焼用空気20の流量を制御している。
【0134】
前記したようにバーナ燃焼用空気21の流量とサイドバーナ燃焼用空気20の流量は、制御装置41からの流量指令に基づいてダンパ43、46の開度とダンパ42、45の開度をそれぞれ調節することにより制御される。
【0135】
前記ダンパ42、45は、図7に示したように右サイドバーナウィンドボックス4、左サイドバーナウィンドボックス35の手前の分岐流路ではなく、前壁バーナウィンドボックス5、後壁バーナウィンドボックス36の手前の前記ダンパ43、46の更に上流側となる分岐流路に設置しても良い。
【0136】
また、図8に示した本実施例のボイラ装置における燃焼用空気を供給する空気供給系統では、熱交換器7から加熱した燃焼用空気19を導く流路を流下した燃焼用空気19の一部が、前壁アフタエアポートウィンドボックス6及び後壁アフタエアポートウィンドボックス37と、前壁バーナウィンドボックス5及び後壁バーナウィンドボックス36の系統とは独立して構成された、右サイドバーナウィンドボックス4及び左サイドバーナウィンドボックス35の系統から成る合計6つの分岐系統に分岐した分岐流路を通じて供給されている。
【0137】
よって、右サイドバーナウィンドボックス4及び左サイドバーナウィンドボックス35の手前の独立した分岐流路に設置したダンパ42、45の開度を制御装置41からの流量指令に基づいて調節することによって、サイドバーナ1から火炉11内に供給されるサイドバーナ用燃焼用空気20の流量を制御している。
【0138】
なお、図6〜図8に示した各実施例のボイラ装置ではウインドボックス方式の燃焼用空気供給系統を備えたボイラ装置の例を示したが、スクロールバーナ方式の燃焼用空気供給系統を備えたボイラ装置においても同様である。
【0139】
以上の説明から明らかなように図4に示した本発明の実施例によれば、火炉のホッパ部を有効利用することによって火炉内で燃料が燃焼して発生する燃焼ガス中に含まれる窒素酸化物と未燃分をそれぞれ低減させるコンパクトな構造のボイラ装置が実現できる。
【実施例3】
【0140】
本発明の第3実施例であるボイラ装置について図10を用いて説明する。
【0141】
本実施例では、図1に示した先の第1実施例であるボイラ装置とは基本構成と動作が共通しているので、共通の構成と動作についてはその説明を省略し、相違する部分についてのみ説明する。
【0142】
図10に示した第3実施例のボイラ装置では、図1及び図4に示した実施例のボイラ装置に、更に火炉11の側壁14に設置したサイドバーナ1の近傍の灰付着を防止する装置を備えた例を示している。
【0143】
説明を簡略にするため、本実施例のボイラ装置においてサイドバーナ1は手前側のみしか記載していないが、図の奥側にも設置されている。
【0144】
また、サイドバーナ1は壁面14あたり1台だけではなく複数台設置されていても良い。
【0145】
図10に示すように、サイドバーナ1が設置されている火炉11の下部のホッパ部15は炉底16の下方向に向かって徐々に狭くなる構造となっている。
【0146】
従って、運用条件やサイドバーナ1の取り付け位置によっては、火炉11の前壁12、後壁13のバーナ2を設置した部分よりもサイドバーナ1の近傍のほうが単位体積当たりの熱負荷が高くなる可能性がある。
【0147】
また、サイドバーナ1から噴出した燃料が燃焼して形成される火炎とホッパ部15の壁面との距離も近いので、ホッパ部15の壁内表面の熱負荷は高くなりやすい。
【0148】
ホッパ部15の壁内表面の熱負荷が高くなると、ホッパ壁内表面に付着した灰が軟化したり、溶融したりする現象が起きる。
【0149】
このような溶融あるいは軟化した灰が壁面に付着する現象をスラッギング現象と呼ぶが、スラッギング現象が起きるとボイラ火炉11の水壁への伝熱が阻害され、熱効率が低下する問題が起きる。
【0150】
また、ホッパ部15は火炉11の上方の天井壁17から落下する灰を受ける場所であり、火炉11内で最も灰負荷の大きい場所である。
【0151】
このため前記したスラッギング現象が起きると、ホッパ部15で灰が溶けて塊となったりする可能性がある。
【0152】
塊となった灰は火炉11の外部に排出されないとボイラの運転停止につながるため、灰の排出を行うことは重要である。
【0153】
そこで、本実施例のボイラ装置では、まず、側壁14に設置したサイドバーナ1の周囲となる火炉11の側壁14の下部に、水、排ガス、又は空気、のいずれかの流体を火炉11内に噴出するスートブロー48を設置する。
【0154】
スートブロー48は火炉11内に挿入する機構をもつ配管(図示せず)から、高圧の流体を火炉11内に高速で噴出してこのホッパ部15の壁面に付着した灰を除去する装置である。
【0155】
スートブロー48を用いて流体を火炉内に噴出させることにより、仮にスラッギング現象が起きてホッパ部15に灰が付着しても除去が可能である。
【0156】
また、サイドバーナ1の周囲の熱負荷が高くなるため、スートブロー48も火炉11の側壁14の下部のサイドバーナ1の周囲に複数配置されていることが望ましい。
【0157】
本実施例では、サイドバーナ1の周りにスートブロー48を4箇所設置した場合を示しているが、その限りではない。
【0158】
スートブロー48から噴出する流体のうち最も灰の除去能力が高いのは水である。
【0159】
水は気体に比べ運動量が大きいことや、温度が低いことで灰に熱衝撃を与えやすく、この点で除去能力が高くなる。
【0160】
また、噴出する流体として排ガスを用いると、還元域の空気比を上げることなく灰を除去できる利点がある。還元域の空気比を上げることがなければ、スートブロー48を起動しても火炉内の燃焼に影響がない。
【0161】
更に、本実施例のボイラ装置では、ホッパ部15の前壁12及び後壁13の壁面に多数の穴49を設けて、この穴49から排ガス、又は空気のいずれかの流体を火炉11内に噴出するように構成している。
【0162】
ホッパ部15の前壁12及び後壁13の壁面は斜めに配設されており、スラッギング現象が起きる様な環境では灰は付着力が大きく、すべり落ちずに壁面上に滞留する可能性がある。
【0163】
そこで、本実施例のボイラ装置では、ホッパ部15の前壁12及び後壁13の壁面に設けた多数の穴49から流体を噴出させるので、壁面に滞留した灰が浮き上がって壁面から灰が剥離しやすくなる。
【0164】
また、多数設けた前記穴49から火炉内に噴出する流体によってホッパ部15の前壁12及び後壁13の壁面近傍が冷却されるので、灰が付着しにくくなる効果も期待される。
【0165】
ここで、流体として排ガスを用いれば前述と同様に還元域の空気比を上げることがなく、火炉内の燃焼に影響がない。
【0166】
尚、本実施例で示した灰付着を防止する前記スートブロー48と前記穴49とは両方組み合わせて設置しても良いし、一方のみを設置するようにしても良い。
【0167】
本実施例によれば、火炉のホッパ部を有効利用することによって火炉内で燃料が燃焼して発生する燃焼ガス中に含まれる窒素酸化物と未燃分をそれぞれ低減させるコンパクトな構造のボイラ装置及びボイラ装置の改造方法が実現できる。
【実施例4】
【0168】
本発明の第4実施例であるボイラ装置について図11を用いて説明する。
【0169】
本実施例では、図1に示した先の第1実施例であるボイラ装置とは基本構成と動作が共通しているので、共通の構成と動作についてはその説明を省略し、相違する部分についてのみ説明する。
【0170】
図11に示した第4実施例のボイラ装置では、図1及び図4に示した実施例のボイラ装置で火炉11の側壁14に設置したサイドバーナ1に、更に該サイドバーナ1から燃料を火炉11内に噴出させる噴出方向58を制御する機構を備えた例を示している。
【0171】
前記サイドバーナ1は側壁14の壁面あたり1台だけではなく複数台あっても良く、このサイドバーナ1の設置方向は上下方向に偏向可能に構成して燃料を噴出する噴出方向58を制御可能にしている。
【0172】
まず、サイドバーナ1から噴出する燃料の噴出方向58を水平方向よりも下方に向ける場合は、噴射された燃料が燃焼して発生する燃焼ガスの進行方向は一旦火炉の下方に向かう。その後、火炉11の中央付近で下方に進行したこの燃焼ガスは火炉の上方に方向を転じる。
【0173】
このようにサイドバーナ1の配設方向を下方に向けた場合は、サイドバーナ1から噴射されて燃焼した燃焼ガスは水平方向と平行に噴出される場合に比べて、火炉内での滞留時間を長くすることができる。
【0174】
火炉内での燃焼ガスの滞留時間が長くなれば、ボイラ装置の出口において灰中未燃分を低下できるし、還元域でのNOxの還元が進み、ボイラ出口における燃焼ガス中のNOx濃度を低下させることができる。
【0175】
上記のようにサイドバーナ1の配設方向を調節するだけで、火炉11の側壁14の下部に設置するサイドバーナ1の設置位置を変えることなく、燃焼ガス中の灰中未燃分とNOxの発生量を低下することが可能となるので、サイドバーナ1の設置上の制約がある場合は有効な手段となる。
【0176】
一方、サイドバーナ1から噴出する燃料の噴出方向58を水平方向よりも上方に向ける場合は、発生する燃焼ガスの進行方向は上方に向かうので、火炉11の下部のホッパ部15の熱負荷が小さくなる。
【0177】
炭種や運転状況によってホッパ部15にスラッギング現象がおきやすい状況にあるときは有効な手段となる。
【0178】
特にスラッギング現象がおきやすい性状の石炭を燃焼する場合や、粉砕性が悪く、粗い粒子が多い燃料を燃焼する場合には、サイドバーナ1の配設方向を上向きに設置して固定すれば、サイドバーナ1から噴出する燃料の噴出方向58を調節する機構を省くことが可能となる。
【0179】
また、サイドバーナ1から噴出する燃料の噴出方向58を上下に制御できるようにすれば、より運転状態に適した燃焼状態を選択できるので運用上の効果が大きくなる。
【0180】
本実施例によれば、火炉のホッパ部を有効利用することによって火炉内で燃料が燃焼して発生する燃焼ガス中に含まれる窒素酸化物と未燃分をそれぞれ低減させるコンパクトな構造のボイラ装置及びボイラ装置の改造方法が実現できる。
【実施例5】
【0181】
本発明の第5実施例であるボイラ装置について図12を用いて説明する。
【0182】
本実施例では、図1に示した先の第1実施例であるボイラ装置とは基本構成と動作が共通しているので、共通の構成と動作についてはその説明を省略し、相違する部分についてのみ説明する。
【0183】
図12に示した第5実施例のボイラ装置では、図1及び図4に示した実施例のボイラ装置に、更に火炉11の側壁14に設置したサイドバーナ1にサイドバーナ燃焼用空気20を供給する接続ダクト53を配設した例を示している。
【0184】
熱交換器7で熱交換されて加熱された燃焼用空気19は、燃焼空気用ダクト50で導かれて火炉11の近くまで供給される。
【0185】
燃焼空気用ダクト50から缶後分岐ダクト51を通じて後壁13のバーナ2のウインドボックス36、及びアフタエアポート3のウインドボックス37に空気が供給される。
【0186】
缶後分岐ダクト51に供給する空気量を調整するダンパは、この缶後分岐ダクト51の内部に設置すると構造が簡単になる。
【0187】
同様に前壁12のバーナ2ウインドボックス5と、アフタエアポート3のウインドボックス6には、燃焼空気用ダクト50から缶前分岐ダクト52を通じて空気を供給する。
【0188】
図12では、燃焼空気用ダクト50、缶後分岐ダクト51、缶前分岐ダクト52が火炉11の1つの側壁にのみ設置した場合しか示していないが、左右の側壁14にこれらのものをそれぞれ設定しても良い。
【0189】
サイドバーナ1は火炉11下部の側壁14に設置されているので、保炎することが難しい場合がある。
【0190】
このような場合には、サイドバーナ燃焼用空気20をサイドバーナ1に安定して供給する必要があるが、安定供給のためには圧力の高い場所から空気を供給することが有効である。
【0191】
そこで本実施例のボイラ装置では、空気は缶前分岐ダクト52の途中から接続ダクト53を分岐して、サイドバーナ1のウインドボックス4にサイドバーナ燃焼用空気20として供給するように構成している。
【0192】
この分岐場所は接続ダクト53内に設置したダンパ54の上流に位置するために、圧力が高くサイドバーナ1にサイドバーナ燃焼用空気20として空気を分岐する場所として適する。
【0193】
また、サイドバーナ1に供給するサイドバーナ燃焼用空気20の空気量を調整するダンパ54を接続ダクト53の中に設置すると構造が簡単になる。
【0194】
また接続ダクト53を図12に示すように垂直に配設すると、接続ダクト53内に灰が堆積することが無くなりメンテナンスが容易になる。
【0195】
火炉11は熱により膨張するので、垂直方向に接続ダクト53の位置が移動できるように構成する必要があるが、そのような場合には接続ダクト53の途中に伸び縮みする機構(エクスパンジョン)を設置すると良い。
【0196】
アフタエアポートを持たない単段燃焼方式のボイラ装置をアフタエアポートを備えた2段燃焼方式にボイラ装置に改造する場合には、火炉11の前壁12、後壁13に設置するバーナ2の位置を変更、又はアフタエアポート3を増設することによってボイラの性能向上を図ることが多い。
【0197】
そこで、まず、火炉11の前壁12及び後壁13に複数段に亘って設置したバーナ2のなかで最も高い段に設置されていたバーナ2を取り外す。
【0198】
次に、火炉11下部の側壁14又はホッパ部15の側壁14にサイドバーナ1を設置すれば、側壁14の付近のダクトからサイドバーナ1に供給するサイドバーナ燃焼用空気20を取り込むように接続ダクト53を配置することで、改造箇所が少なく低コストでボイラ装置を改造することができる。
【0199】
本実施例によれば、火炉のホッパ部を有効利用することによって火炉内で燃料が燃焼して発生する燃焼ガス中に含まれる窒素酸化物と未燃分をそれぞれ低減させるコンパクトな構造のボイラ装置及びボイラ装置の改造方法が実現できる。
【実施例6】
【0200】
本発明の第6実施例であるボイラ装置について図13を用いて説明する。
【0201】
本実施例では、図1に示した先の第1実施例であるボイラ装置とは基本構成と動作が共通しているので、共通の構成と動作についてはその説明を省略し、相違する部分についてのみ説明する。
【0202】
図13に示した第6実施例のボイラ装置では、図1及び図4に示した実施例のボイラ装置に、更に火炉11の側壁14の下部に設置したサイドバーナ56、57の上流側に粒子分離装置53を備えた例を示している。
【0203】
本実施例ではこの粒子分離装置55として、固体燃料の粒径により分離する装置を設置した場合について説明する。
【0204】
石炭粉砕器33からサイドバーナ56、57に供給される固体燃料の粒子には粒径分布がある。
【0205】
固体燃料の粒子の密度や、サイドバーナ56、57の構造にも依存するが、固体燃料の粒子が100μm以上の粗い粒子の場合は、サイドバーナ56、57から火炉11内に噴射させた固体燃料は火炉11の炉底16に落下しやすい。
【0206】
そこで粒子分離装置55によって固体燃料の粒子を分離して、細かい粒子の固体燃料は下側に配置したサイドバーナ56に供給し、粗い粒子の固体燃料は上側に配置したサイドバーナ57に供給する。
【0207】
そうすると、下側のサイドバーナ56から噴出される細かい粒子の燃料が燃焼して発生する燃焼ガスは火炉11内で上昇流となって進行するので、上側のサイドバーナ57から供給される粗い粒子の固体燃料がこの上昇流の燃焼ガスによって上昇するので炉底16に落下することを防ぐことができる。
【0208】
また、下側のサイドバーナ56から噴射した燃料が燃焼して生じた火炎は、ホッパ部15により冷却されるので失火しやすいが、本実施例では下側のサイドバーナ56から噴射させる固体燃料は細かい粒子の固体燃料を使用しているので燃焼状態が維持させて失火する状況が防止される。
【0209】
次に粒子分離装置55として、燃料の固体燃料と灰とを分離する装置を設置した場合について説明すると、固体燃料中に灰などの燃焼しない物質が入っていると保炎性が悪くなることがある。
【0210】
このような場合に、粒子分離装置55によって比重、反発係数、粒径などにより物質を分離することが可能であるので、例えば、燃料中に固体燃料と灰が入っている場合には比重によって両者を分離することができる。
【0211】
この結果、サイドバーナ56、57から火炉11内に噴射される燃料中の灰の割合が低下するので、保炎性が改善される。
【0212】
尚、上記した図10〜図13に示した各実施例のボイラ装置ではアフタエアポート3を記載してあるが、図4の実施例に対応するボイラ装置ではこのアフタエアポート3を備えていない単段燃焼方式のボイラ装置となる。
【0213】
本実施例によれば、火炉のホッパ部を有効利用することによって火炉内で燃料が燃焼して発生する燃焼ガス中に含まれる窒素酸化物と未燃分をそれぞれ低減させるコンパクトな構造のボイラ装置及びボイラ装置の改造方法が実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0214】
本発明は燃焼ガス中のNOx濃度及び未燃分を低減するボイラ装置及びボイラ装置の改造方法に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0215】
【図1】本発明の第1実施例であるボイラ装置を示す全体構成図。
【図2】図1の実施例であるボイラ装置に設置されるサイドバーナの配置例を示す図。
【図3】図1の実施例であるボイラ装置に設置されるサイドバーナの配置例を示す図。
【図4】本発明の第2実施例であるボイラ装置を示す概略構成図。
【図5】図1及び図4の各実施例であるボイラ装置に設置されるサイドバーナの設置位置を示す図。
【図6】図1及び図4の各実施例であるボイラ装置における燃焼用空気と燃料の供給系を示す系統図。
【図7】図1及び図4の各実施例であるボイラ装置における燃焼用空気と燃料の供給系を示す他の系統図。
【図8】図1及び図4の各実施例であるボイラ装置における燃焼用空気と燃料の供給系を示す更に他の系統図。
【図9】図1の実施例である微粉炭焚きボイラを対象とした数値解析結果を示す特性図。
【図10】本発明の第3実施例であるボイラ装置を示す概略構成図。
【図11】本発明の第4実施例であるボイラ装置を示す概略構成図。
【図12】本発明の第5実施例であるボイラ装置を示す概略構成図。
【図13】本発明の第6実施例であるボイラ装置を示す概略構成図。
【符号の説明】
【0216】
1:サイドバーナ、2:バーナ、3:アフタエアポート、4:サイドバーナウィンドボックス、5:バーナウィンドボックス、6:アフタエアポートウィンドボックス、7:熱交換器、8:ガス浄化装置、9:押込通風機、10:ボイラ、11:火炉、12:前壁、13:後壁、14:側壁、15:ホッパ、16:炉底、17:天井壁、18:空気、19:燃焼用空気、20:サイドバーナ燃焼用空気、21:バーナ燃焼用空気、22:アフタエア、23:燃焼ガス、24:搬送空気、25:バーナ用石炭搬送気、26:サイドバーナ用搬送気、27:石炭、28:石炭バンカー、29:給炭機、30:石炭粉砕機、31:石炭、32:石炭バンカー、33:給炭機、34:石炭粉砕機、35:左サイドバーナウィンドボックス、36:後壁バーナウィンドボックス、37:後壁アフタエアウィンドボックス、38:左サイドバーナ搬送空気、39:後壁バーナ燃焼用空気、40:後壁アフタエア燃焼用空気、41:制御装置、42:空気調節ダンパ、43:空気調節ダンパ、44:空気調節ダンパ、45:空気調節ダンパ、46:空気調節ダンパ、47:空気調節ダンパ、48:スートブロー、49:灰付着、腐食防止ポート、50:燃焼用空気用ダクト、51:缶後分岐ダクト、52:缶前分岐ダクト、53:接続ダクト、54:ダンパ、55:粒子分離装置、56:下段サイドバーナ、57:上段サイドバーナ、58:バーナの噴出方向、59:サイドバーナ設置領域。
【技術分野】
【0001】
本発明は燃焼ガス中のNOx濃度及び未燃分を低減するボイラ装置及びボイラ装置の改造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料の石炭、油、又はガスを燃焼させて燃焼ガスを発生させ、この燃焼ガスを用いて高温の蒸気を得るボイラ装置では、燃料を燃焼した際に発生する燃焼ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)濃度の低減、及び未燃分の低減が求められている。
【0003】
低NOx濃度化及び未燃分の低減要求に応えるためにボイラ装置では、火炉に設置したバーナから燃料と空気を火炉内に投入して燃焼して還元性の燃焼ガスを生成させる一段目の燃焼の後に、バーナよりも上方位置の火炉に設置したアフタエアポートから燃焼用空気を投入して還元性の燃焼ガスを完全燃焼させる二段燃焼方式が適用されている。
【0004】
前記した二段燃焼方式では、一段目の燃焼時間が長くなるように火炉の高さを高く構成すると燃焼ガス中のNOxの濃度を低減できるが、このためにはボイラ装置のサイズが大きくなるのでボイラ装置の建設コストを増加させていた。
【0005】
そこでこの改善策として、二段燃焼用の空気ポートの構成を工夫する方法が提案されている。
【0006】
特開2006−132811号公報には、ボイラで発生する未燃分を低減させるために、2段燃焼方式の不完全燃焼領域に応じてアフタエアポートから噴出する空気の方向性や態様を変えて不完全燃焼領域と空気の混合効率を高めるノズル機構をアフタエアポートに設置した構造のボイラに関する技術が開示されている。
【0007】
また特開平9−126416号公報には、低NOx化を図る二段燃焼方式のボイラで火炉底部に落下する灰中に含まれる未燃分の発生を抑制するために、最下段のバーナよりも低い位置にこのバーナからの噴流に直交する方向に燃焼用空気を投入する補助空気噴出口を設置して空気不足の炉底部の未燃分を減少させる構造のボイラに関する技術が開示されている。
【0008】
また特開平10−213309号公報には、ボイラの大容量化に対応させてバーナ容量を増大した場合の微粉炭火炎の着火安定性を確保するために、微粉炭バーナの微粉炭混合気ノズル内に濃淡分離体を配置、又は空気ノズルに対して微粉炭混合気ノズルを返信して配置した構造のボイラに関する技術が開示されている。
【0009】
【特許文献1】特開2006−132811号公報
【特許文献2】特開平9−126416号公報
【特許文献3】特開平10−213309号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記特開2006−132811号公報、特開平9−126416号公報、及び特開平10−213309号公報に記載されたボイラに関するそれぞれの技術では、ボイラの火炉内で燃料が燃焼した際に発生する燃焼ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)の濃度の低減、並びに燃焼ガスに含まれる未燃分を低減させようとすると、火炉の高さが高くならざるを得ないのでボイラが大型化して建設コストが増加するという課題があった。
【0011】
また、前記したボイラに関するそれぞれの技術では、火炉のホッパ部に付着する灰を除去し灰の付着を抑制する簡単で効果的な装置がないという課題があった。
【0012】
本発明の目的は、火炉のホッパ部を有効利用することによって火炉内で燃料が燃焼して発生する燃焼ガス中に含まれる窒素酸化物と未燃分をそれぞれ低減させるコンパクトな構造のボイラ装置及びボイラ装置の改造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のボイラ装置は、前壁と後壁とこれらの前壁と後壁との間に配設された側壁とから構成される直方体部と、この直方体部の下部に設けられたホッパ部とを備えた火炉と、火炉の前壁及び後壁にそれぞれ設置されて燃料と燃焼用空気を火炉内に供給して燃焼させる複数のバーナと、前記バーナの上部となる火炉の前壁及び後壁にそれぞれ設置されて燃焼用空気を火炉内に供給する複数のアフタエアポートとを備えたボイラ装置において、前記火炉の前壁と後壁に設置された前記バーナのうちで最も下方に配置されたバーナと同一高さ或いはそのバーナよりも下方の位置となる前記直方体部の火炉の側壁、又はこのバーナよりも下方の位置となるホッパ部の側壁に燃料を噴出して燃焼させるサイドバーナを設置したことを特徴とする。
【0014】
また本発明のボイラ装置は、前壁と後壁とこれらの前壁と後壁との間に配設された側壁とから構成される直方体部と、この直方体部の下部に設けられたホッパ部とを備えた火炉と、火炉の前壁及び後壁にそれぞれ設置されて燃料と燃焼用空気を火炉内に供給して燃焼させる複数のバーナとを備えたボイラ装置において、前記火炉の前壁と後壁に設置された前記バーナのうちで最も下方に配置されたバーナと同一高さ或いはそのバーナよりも下方の位置となる前記直方体部下部の火炉の側壁、又はこのバーナよりも下方の位置となるホッパ部の側壁に燃料を噴出して燃焼させるサイドバーナを設置したことを特徴とする。
【0015】
また本発明のボイラ装置の改造方法は、前壁と後壁とこれらの前壁と後壁との間に配設された側壁とから構成される直方体部と、この直方体部の下部に設けられたホッパ部とを備えた火炉と、火炉の前壁及び後壁にそれぞれ3段以上設置されて燃料と燃焼用空気を火炉内に供給して燃焼させる複数のバーナと、前記バーナの上部となる火炉の前壁及び後壁にそれぞれ設置されて燃焼用空気を火炉内に供給する複数のアフタエアポートとを備えたボイラ装置の改造方法において、前記火炉の前壁又は後壁に設置された既設の前記バーナのうちで最上段のバーナを取り外し、前記火炉の前壁と後壁に設置された前記バーナのうちで最も下方に配置されたバーナと同一高さ或いはそのバーナよりも下方の位置となる前記直方体部の火炉の側壁、又はこのバーナよりも下方の位置となるホッパ部の側壁に燃料を噴出して燃焼させるサイドバーナを設置するように改造することを特徴とする。
【0016】
また本発明のボイラ装置の改造方法は、前壁と後壁とこれらの前壁と後壁との間に配設された側壁とから構成される直方体部と、この直方体部の下部に設けられたホッパ部とを備えた火炉と、火炉の前壁及び後壁にそれぞれ3段以上設置されて燃料と燃焼用空気を火炉内に供給して燃焼させる複数のバーナとを備えたボイラ装置の改造方法において、前記火炉の前壁又は後壁に設置された既設の前記バーナのうちで最上段のバーナを取り外し、前記火炉の前壁と後壁に設置された前記バーナのうちで最も下方に配置されたバーナと同一高さ或いはそのバーナよりも下方の位置となる前記直方体部の火炉の側壁、又はこのバーナよりも下方の位置となるホッパ部の側壁に燃料を噴出して燃焼させるサイドバーナを設置するように改造することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、火炉のホッパ部を有効利用することによって火炉内で燃料が燃焼して発生する燃焼ガス中に含まれる窒素酸化物と未燃分をそれぞれ低減させるコンパクトな構造のボイラ装置及びボイラ装置の改造方法が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に本発明の実施例であるボイラ装置及びボイラ装置の改造方法について図面を参照して以下に説明する。
【実施例1】
【0019】
本発明の実施例である第1実施例のボイラ装置の全体構成を図1に示す。
【0020】
図1のボイラ装置は、石炭を粉砕した微粉炭等の固体燃料をボイラ1の火炉11の前壁及び後壁に対向して設置したバーナから供給し、火炉内で浮遊燃焼させる対向燃焼方式のボイラの構成例である。
【0021】
第1実施例である本実施例のボイラ装置では、固体燃料である石炭を燃料としているが、固体燃料に替えて重油や天然ガスなどを燃料として燃焼させても良い。
【0022】
図1において、本実施例のボイラ装置であるボイラ10を構成する火炉11は、前壁12と、この前壁に対向する後壁13と、前記前壁12と後壁13との間に配設された左右の側壁14から構成され、その水平断面が矩形状の直方体部となる火炉11の上部を形成している。
【0023】
また、前記火炉11の直方体部の下部には、火炉11で生じた灰を集めるホッパ部15を備えて、火炉の下部を形成している。
【0024】
火炉11の前壁12及び後壁13には石炭と燃焼用空気とを火炉11内に噴出させて燃焼させる複数のバーナ2を対向して配置すると共に、これらのバーナ2を前壁12及び後壁13の上下方向に複数段に亘って設置している。
【0025】
また、前記バーナ2の設置箇所よりも上方に位置する前記前壁12と後壁13には複数のアフタエアポート3が該バーナ2と同様に対向して配置されている。
【0026】
前記バーナ2は理論空気比以下(例えば0.8)で石炭と燃焼用空気との混合物を火炉11の内部に噴射して燃焼させ、火炉11内に燃焼ガスの不完全燃焼領域を形成させる。
【0027】
前記アフタエアポート3は前記バーナ2によって形成された火炉11内の不完全燃焼領域の燃焼ガスに燃焼用空気であるアフタエア22を噴射して前記領域の燃焼ガスを完全燃焼させ、未燃分をほぼ完全に燃焼させる。
【0028】
ところで、上記した燃焼を行う二段燃焼方式のボイラでは、NOxを低減するためにバーナ2から火炉11内に石炭と燃焼用空気を供給して不完全燃焼領域を形成するように燃焼させる一段目の燃焼時間を長くなるように、バーナ2とアフタエアポート3の設置位置の間隔を大きくするように設計される。
【0029】
このバーナ2とアフタエアポート3との設置位置の間隔を大きくするにはアフタエアポート3の設置位置をバーナ2の設置位置よりも上方の位置に上げる方法と、バーナ2の設置位置をアフタエアポート3の設置位置よりも下方の位置に下げる方法とがある。
【0030】
しかしながら前者の方法は、ボイラ10の高さ方向のサイズが大きくなる。
【0031】
また後者の方法については、ホッパ15と火炉11の前壁12あるいは後壁13との折れ曲がり部からの距離を一定の大きさ以下にできないことから、バーナ2の最下段の設置位置をあまり下げることができない。
【0032】
バーナ2の最下段の設置位置は、ボイラの大きさ、燃焼する燃料にあわせて、ボイラの強度不足やホッパ部15のスラッギング(灰付着)を考慮して設計している。
【0033】
一方、ホッパ部15の内部空間は燃焼時間を大きくする上ではそれほど寄与しない。
【0034】
これは燃焼によって発生する高温の燃焼ガスは火炉11内を下方から上方に向かって流れるため、ホッパ部15は止水域となりやすいからである。
【0035】
また、ホッパ部15では内部の温度が低く、ホッパ部15の炉壁での熱吸収は少ない。
【0036】
よってボイラの燃焼および熱吸収の面からは、ホッパ部15のサイズは小さい方が有利である。
【0037】
このホッパ部15を構成するホッパ部の前壁あるいは後壁面の傾斜角は、火炉11の天井壁17付近から落下してくる灰を効率よく炉底16に集積して回収できるように、ホッパ部15の壁面の傾斜角を所望の角度範囲に設定している。
【0038】
火炉11の前壁12と後壁13との距離が大きく離間したボイラでは、ホッパ部15のサイズは必然的に大きくなる。
【0039】
そこで、火炉11の前壁12および後壁13に設置した複数段のバーナ2のうちで最も下方の段に設置したバーナ2よりも下方の位置となる火炉11の下部に設けたホッパ部15の側壁14に石炭と燃焼用空気とを火炉11内に噴出させて燃焼させるサイドバーナ1が配置されている。
【0040】
このサイドバーナ1は理論空気比以下(例えば0.8)の石炭と燃焼用空気の混合物を火炉11の内部に噴射して燃焼させ、火炉11内に不完全燃焼領域を形成する。
【0041】
ホッパ部15の側壁14にサイドバーナ1を設置することで、火炉11の前壁12及び後壁13に設けた最下段のバーナ2の位置よりもさらに低い位置となるホッパ部15の側壁14に石炭と燃焼用空気とを火炉11内に噴出させて燃焼させるサイドバーナ1を設置できるので、このサイドバーナ1とアフタエアポート3との距離は最下段のバーナ2とアフタエアポート3との距離よりも大きく設定できる。
【0042】
この結果、火炉11内の不完全燃焼領域で燃焼ガスが燃焼する燃焼時間が長くなり、燃焼ガス中のNOxの発生を抑制できる。
【0043】
また、燃焼ガスが燃焼する燃焼時間が長くなることで、アフタエアポート3に至るまでに不完全燃焼領域の燃焼ガスの燃焼は十分に進み、アフタエアポート3の下流側の完全燃焼領域では燃焼ガス中の未燃分を十分に燃焼できるために、灰中未燃分が大幅に低下する。
【0044】
さらに、ホッパ部15の近傍でもサイドバーナ1から供給された燃料の燃焼によって炉内の温度が上昇し、ホッパ部15の炉壁の熱吸収が向上する。
【0045】
このように、アフタエアポート3よりも下側となる火炉11内の不完全燃焼領域で熱吸収量が増加することで、アフタエアポート3の付近の炉内温度は低下する。
【0046】
したがって、火炉11内の完全燃焼領域の温度も低下することになり、高温酸化領域でのNOxの発生が減少し、燃焼ガス中のNOxの濃度をさらに抑制できる。
【0047】
火炉11の前壁12及び後壁13に設けたバーナ2に供給する石炭27は石炭バンカー28に一旦貯蔵し、給炭機29によって石炭バンカー28に貯蔵された石炭27を石炭粉砕器30に供給して粉砕して微粉炭を製造する。
【0048】
この石炭粉砕器30で粉砕した石炭27は該石炭粉砕器30に供給される搬送空気24によるバーナ用石炭搬送気25によってバーナ2に搬送される。
【0049】
また、サイドバーナ1に供給する石炭31は石炭バンカー32に一旦貯蔵し、給炭機33によって石炭バンカー32に貯蔵された石炭31を石炭粉砕器34に供給して粉砕して微粉炭を製造する。
【0050】
この石炭粉砕器34で粉砕した石炭は該石炭粉砕器34に供給される搬送空気24によるサイドバーナ用石炭搬送気26によってサイドバーナ1に搬送される。
【0051】
本実施例では、前壁12及び後壁13に設けたバーナ2と、火炉11の下部のホッパ部15の側壁14に設けたサイドバーナ1とにそれぞれ異なる石炭供給系を通じて石炭を供給しているが、両者に同じ石炭供給系を通じて石炭を供給しても良い。
【0052】
また、固体燃料は本実施例で説明した石炭のほか、ペットコークス、バイオマス燃料でもよい。
【0053】
火炉11の前壁12及び後壁13に設けたバーナ2と、火炉11の下部のホッパ部15の側壁14に設けたサイドバーナ1との石炭供給系を別々に設ける場合には、前壁12及び後壁13のバーナ2と、ホッパ部15の側壁14のサイドバーナ1とで、それぞれ供給する燃料の種類や、燃料粉砕時の粒度分布を変えて供給することが可能となる。
【0054】
サイドバーナ1から火炉11内に供給して燃焼させる燃料31は燃焼時間が長くなるので、粗い粒子の燃料でも十分燃焼する。
【0055】
そこでサイドバーナ1から火炉11内に供給される燃料31の粒度を前壁12及び後壁13に設置したバーナ2から火炉11内に供給する燃料27の粒度よりも大径となるように粗く粉砕することで、石炭粉砕器34における燃料の粉砕動力を小さくできる。
【0056】
また、ペットコークなど固定炭素分が多く燃えにくい燃料をサイドバーナ1から火炉11内に投入して燃焼させるようにすれば、火炉11内における燃焼ガスの滞留時間を更に長く取れるので燃焼率を向上できる。
【0057】
前壁12及び後壁13に複数段のバーナ2を設置し、それぞれの段ごとに石炭供給系が個別に配設されている場合には、前壁12及び後壁13に設置された最も低いバーナ段のバーナ2に供給される燃料の粒径を、その上段のバーナ2に供給される燃料の粒径よりも粗くしてもよい。
【0058】
但し、本実施例のように最も下方に配置された前記バーナ2よりも下方の位置となるホッパ部15の側壁14にサイドバーナ1を設置している場合は問題ないが、仮にこのサイドバーナ1が設置されていない場合には、前壁12及び後壁13の最下段に設置されたバーナ2に供給される燃料の粒径を粗くすると、供給された燃料が火炉11内で燃焼する前に火炉11の炉底16に落下する可能性がある。
【0059】
そこで、本実施例のように火炉11のホッパ部15の側壁14にサイドバーナ1を設置することで、サイドバーナ1から噴出する燃料が火炉11内で燃焼して生じた高温の燃焼ガスの上昇流によって、最下段のバーナ2から供給される粒径の粗い燃料が火炉11の炉底16に落下することが抑制できる。
【0060】
火炉11内で燃料の石炭を燃焼して発生した高温の燃焼ガスは、火炉11内を流下する過程で火炉11に設置された図示していない蒸気発生器と熱交換して温度が低下した後に、火炉11から燃焼排ガス23として外部に排出される。
【0061】
火炉11の下流にはこの燃焼排ガス23を加熱源とする熱交換器7及びガス浄化装置8が順次配設されている。
【0062】
前壁12及び後壁13にそれぞれ設置したバーナ2及びアフタエアポート3、並びにホッパ部15の側壁14に設置したサイドバーナ1から火炉11内に供給する燃焼用空気19は、押し込み通風機9から供給された空気18を火炉11から排出される燃焼排ガス23を熱源とする熱交換器7によって加熱して生成する。
【0063】
そして、この加熱された燃焼用空気19は、前記サイドバーナ1、バーナ2、及びアフタエアポート3にそれぞれに設置したウインドボックス4〜6に供給された後に、個々のサイドバーナ1、バーナ2、及びアフタエアポート3に分配されて火炉11内に供給される。
【0064】
即ち、前記熱交換器7によって燃焼排ガス23で加熱された燃焼用空気19の一部は、前壁バーナウィンドボックス5及び後壁バーナウィンドボックス36の内部に該燃焼用空気19から分岐したバーナ用燃焼用空気21としてそれぞれ供給され、前壁バーナウィンドボックス5及び後壁バーナウィンドボックス36の内部に設置された前後壁12、13のバーナ2から火炉11内に噴出させている。
【0065】
同様に前記燃焼用空気19の一部は、前壁アフタエアポートウィンドボックス6及び後壁アフタエアポートウィンドボックス37の内部に該燃焼用空気19から分岐したアフタエア22としてそれぞれ供給され、前壁アフタエアポートウィンドボックス6及び後壁アフタエアポートウィンドボックス37の内部に設置された前後壁12、13のアフタエアポート3から火炉11内に噴出させている。
【0066】
同様に前記燃焼用空気19の一部は、右サイドバーナウィンドボックス4及び左サイドバーナウィンドボックス35の内部に該燃焼用空気19から分岐したサイドバーナ用燃焼用空気20としてそれぞれ供給され、右サイドバーナウィンドボックス4及び左サイドバーナウィンドボックス35の内部に設置された側壁14の下部のサイドバーナ1から火炉11内に噴出させている。
次に図9を用いて図1に示した本実施例のボイラ装置を発電機出力1000MWの微粉炭焚きボイラ装置に適用した場合の数値解析結果を説明する。
【0067】
ここで数値解析に使用した数値解析プログラムは、3次元で石炭の燃焼、ガスの燃焼、輻射・対流伝熱、流動を計算可能なものである。
【0068】
大きさの異なるボイラの火炉、燃料流量、石炭の種類を変えた条件で検証して、高い精度でNOx、未燃分、ガス温度を計算できることを確認した。
【0069】
ここでは、ボイラ装置の改造方法として従来のボイラ装置である火炉11の前壁12及び後壁13に多段に設置したバーナ2のうち最上段のバーナ2を取り外し、最下段のバーナ2と同一高さとなる前記火炉11下部の側壁14又はこのバーナよりも下方の位置となるホッパ部15の側壁14に新たにサイドバーナ11を設置してボイラ装置を改造できるようにボイラ装置を設計した。
【0070】
図9に示したガス温度、燃焼率、NOx濃度相対値をそれぞれ示した特性カーブの値は、火炉の高さ位置における前記ガス温度、燃焼率、NOx濃度相対値の物理量を平均化したものであり、図9の横軸は左端が火炉の炉底側で右端が火炉の天井側である。
【0071】
図9において、細線の特性カーブは従来のボイラ装置の場合の特性カーブを参考までに示したものであり、太線の特性カーブは本発明の実施例のボイラ装置における特性カーブを示したものである。
【0072】
この図9に示した特性カーブから理解できるように、火炉内のガス温度に関しては、本実施例のボイラ装置では火炉11の炉底16におけるガス温度が従来のボイラ装置に比べて高くなっている。
【0073】
これは、火炉11の前壁12及び後壁13に設置した最下段のバーナ2よりも下方の位置となるホッパ部15の側壁にサイドバーナ1を配設したことで、火炉11内のガス温度が上昇したためである。
【0074】
また、燃焼率に関しては、本実施例のボイラ装置では、火炉11の炉底16で燃焼率が従来のものに比較して低くなるのは、従来のボイラ装置では火炉内は燃焼後の粒子のみが流れてくるのに対して、本実施例のボイラ装置では、火炉11の側壁14に設置したサイドバーナ1から燃えていない石炭を投入するためである。
【0075】
しかしながらバーナ2よりも下流側では、本実施例のボイラ装置の燃焼率が従来のボイラ装置に比べて高くなっている。
【0076】
これは、本実施例のボイラ装置では火炉11の側壁14にサイドバーナ1を配設したことで、火炉11内の燃焼の滞留時間が長くなったためである。
【0077】
また、NOx濃度に関しては、本実施例のボイラ装置ではNOx濃度が従来のボイラ装置に比べて火炉11の炉底16では高くなっている。
【0078】
これは、熱分解反応によって燃料中の窒素分が燃焼したときに酸化するためである。
【0079】
しかしながらバーナ2からアフタエアポート3までの間では、NOxの還元反応によりNOx濃度が従来ボイラ装置のものに比べて低下する。
【0080】
さらに、本実施例のボイラ装置ではアフタエアポート3の下流でも従来のボイラ装置に比べてNOx濃度が低くなった。
【0081】
これは、アフタエアポート3の下流で温度が低くなり、高温酸化領域でのNOxの再生成が抑制されたからである。
【0082】
本実施例のボイラ装置の例では、従来のボイラ装置に比べてNOx濃度を17%、灰中未燃分を9%低減させることができた。
【0083】
以上の説明から明らかなように図1に示した本発明の実施例によれば、火炉のホッパ部を有効利用することによって火炉内で燃料が燃焼して発生する燃焼ガス中に含まれる窒素酸化物と未燃分をそれぞれ低減させるコンパクトな構造のボイラ装置が実現できる。
【実施例2】
【0084】
次に本発明の第2実施例であるボイラ装置について図4を用いて説明する。
【0085】
本実施例では、図1に示した先の第1実施例であるボイラ装置とは基本構成と動作が共通しているので、共通の構成と動作についてはその説明を省略し、相違する部分についてのみ説明する。
【0086】
図4に示した第2実施例のボイラ装置は、図1に示した第1実施例のボイラ装置の構成から、アフタエアポート3およびアフタエアポートウィンドボックス6を削減し、アフタエア22を火炉内に供給せずにバーナ2およびサイドバーナ1から供給する燃焼用空気21、20だけで投入した燃料を燃焼する単段燃焼方式のボイラの構成例である。
【0087】
この単段燃焼方式のボイラに設置された前記バーナ2は理論空気比以上(例えば1.2)で石炭と燃焼用空気との混合物を火炉11の内部に噴射して燃焼させる。
【0088】
上記した単段燃焼方式のボイラでは、図1に示した2段燃焼方式のボイラと異なり、明確な不完全燃焼領域が形成されないために火炉内の温度が高くなるとNOxが発生する。
【0089】
そこでバーナ2の付近の火炉壁の熱負荷およびNOx濃度を低減するためには、バーナ2の容量を小さくしたり、各バーナ2の配置間隔を大きくすることが有効である。
【0090】
一方で、火炉内で未燃分を低減するため、バーナ2から火炉11の出口までの滞留時間を十分確保する必要があるので、バーナ設置部の高さを大きくすると火炉全体のサイズが大型化してしまう。
【0091】
そこでその対策として本実施例の単段燃焼方式のボイラにおいては、サイドバーナ1を前記火炉11の前壁12と後壁13に設置された前記バーナ2のうちで最も下方に配置されたバーナと同一高さ或いはそのバーナよりも下方の位置となる前記直方体部の火炉11の側壁、又はこのバーナよりも下方の位置となるホッパ部15の側壁に設置して燃料を噴出して燃焼させることで、バーナ2の容量を小さくできるだけでなく、火炉11の高さを大きくしたり未燃分を増加させたりせずにボイラの未燃分、局所的な熱負荷およびNOxを低減するものである。
【0092】
次に図5を用いて図1及び図4に示した各実施例のボイラ装置における火炉11の下部のホッパ部15の側壁14に設けたサイドバーナ1の設置位置について説明する。
【0093】
図5において、サイドバーナ1の設置位置の領域59を網掛けで示す。サイドバーナ1の設置位置の領域59とホッパ部15の炉壁との距離aは、石炭性状やスラッギング性、炉壁の熱負荷により決まる。
【0094】
また、火炉11の前壁12及び後壁13に設置したバーナ2の最下段の設置高さとサイドバーナ1の設置高さの上限との距離bは、前壁12と後壁13との間の距離、すなわち火炉11の奥行き、バーナ2の内で最も側壁14に近いバーナ2との距離、バーナの容量によって決まる。距離bは、b=0であり、大きいほうがよい。
また、設置されるサイドバーナ1の本数および容量は、設置位置の大きさ、熱負荷を考慮して決めると良い。
【0095】
図5に示したボイラは、図1及び図4に示した実施例のボイラ装置において、火炉11の前壁12及び後壁13にそれぞれ設置したバーナ2が対向して配置されると共に、これらのバーナ2が前壁12及び後壁13の上下方向に複数段に亘って設置した構成の対向燃焼方式のボイラ装置である。
【0096】
尚、図5ではアフタエアポート3を記載してあるが、図4の実施例のボイラ装置ではこのアフタエアポート3を備えていない単段燃焼方式のボイラ装置となる。
【0097】
次に図2を用いて、図1及び図4に示した各実施例のボイラ装置における火炉11のホッパ部15の側壁14に設けたサイドバーナ1、並びに火炉11下部の側壁14の下部に設けたサイドバーナ1を複数個設置する場合の配置例について説明する。
【0098】
尚、図2ではアフタエアポート3を記載してあるが、図4の実施例のボイラ装置ではこのアフタエアポート3を備えていないシングル燃焼方式のボイラ装置となる。
【0099】
図2において、図2(a)はサイドバーナ1を複数個配置した一例であり、破線で囲んだ領域について別の配置例を図2(b)から図2(g)にそれぞれ示す。
【0100】
図2(a)は火炉11の各側壁14に配置するサイドバーナ1を水平方向に2本並べた例である。
【0101】
2つのサイドバーナ1の間隔cは、燃料性状やバーナ間にある炉壁部分の熱負荷によって決める。
【0102】
図2(a)に示したサイドバーナ1の配置例によれば、火炉11の炉壁の奥行き方向の熱負荷の偏りを小さくでき、炉壁の損傷を抑制できる。
【0103】
図2(b)は炉11の各側壁14に配置する2本のサイドバーナ1を高さ方向に並べた例である。
【0104】
ホッパ部15は下方ほど狭くなる構造なので、下側ほど狭くなり十分なバーナ間隔を取りにくくなる。
【0105】
そこで図2(b)に示したサイドバーナ1の配置例によれば、サイドバーナ1を高さ方向に並べることでバーナ間の熱負荷は高くなるが、水平に並べるよりもさらに下方にサイドバーナ1を配置できるので、燃焼ガス中のNOxおよび未燃分の低減を重視する場合に適している。
【0106】
図2(c)は火炉11の各側壁14に配置する2つのサイドバーナ1を図2(a)および図2(b)に示した配置を組み合わせて斜めに配置したハイブリッド型である。
【0107】
側壁14に斜めに水管が通っている場合には、サイドバーナ1を水管の配設角度に合わせて斜めに配置することで、サイドバーナ1を設置することによる水管の配設方向の変更を少なくできる。
【0108】
図2(d)から図2(g)は火炉11の各側壁14に配置するサイドバーナ1を3本配置する場合の例である。
【0109】
このうち図2(d)は3本のサイドバーナ1を水平方向に並べた例であり、熱負荷の偏りを小さくする場合に適している。
【0110】
図2(e)は炉11の各側壁14に配置する合計3個のサイドバーナ1を2段に配置した場合の例であり、下段に1本、上段に2本設置している。
【0111】
各サイドバーナ1の設置間隔c、c'を大きくとりながら、サイドバーナ1の設置位置を低く配設できる。
【0112】
上記以外に、図2(f)に示すように3個のサイドバーナ1を高さ方向に並べても、図2(g)に示すように3本のサイドバーナ1を2段配置して上段に1本、下段に2本配置しても良い。
【0113】
上記した本実施例のボイラ装置における火炉11の側壁14に設けたサイドバーナ1を4本以上配置する場合も図2の各図に示した場合と同様であり、熱負荷の分布の偏りを小さくする場合には水平方向に、燃焼時間を大きくする場合には段数を増やして高さ方向に並べるようにするとよい。
【0114】
次に図3を用いて、図1及び図4に示した本実施例のボイラ装置における火炉11下部の側壁14に設けたサイドバーナ1を高さ方向に沿って上下に2本設置した場合において、前記サイドバーナ1から火炉11内に燃料を噴出する燃料噴出方向58を水平方向に対して上方又は下方に調整することで燃焼性を向上させた例を示す。
【0115】
尚、図3ではアフタエアポート3を記載してあるが、図4の実施例のボイラ装置ではこのアフタエアポート3を備えていないシングル燃焼方式のボイラ装置となる。
【0116】
図3(a)及び図3(a)のA−A断面である図3(b)に示すように、複数のサイドバーナ1から火炉11内に噴出した燃料が側壁14の近傍で相互に衝突するように複数のサイドバーナ1を高さ方向に沿って上下に2本設置する。
【0117】
側壁14に設置したサイドバーナ1は火炉11の下方からの加熱が無く、燃焼性の悪い燃料を燃焼させる場合に燃焼状態が不安定になり易いので失火する可能性がある。
【0118】
そこで、高さ方向に沿って上下に設置した複数のサイドバーナ1から噴出した燃料の噴流を側壁14の近傍で相互に衝突させるようにサイドバーナ1を配設すると、燃料と燃焼用空気との混合が促進されて着火および保炎性が良くなる。
【0119】
また、前壁12及び後壁13のバーナ2に供給する石炭27及び側壁14のサイドバーナ1に供給する石炭31は、前述したように石炭バンカー28、32に一旦貯蔵し、給炭機29、33で石炭粉砕器30、34に供給して粉砕して微粉炭を製造した後に搬送空気24を石炭粉砕器30、34に供給することで、前記各石炭粉砕器30、34からバーナ用石炭搬送気25及びサイドバーナ用石炭搬送気26によって微粉炭をバーナ2及びサイドバーナ1に夫々搬送する。
【0120】
次に図6〜図8を用いて、図1及び図4に示した本実施例のボイラ装置で燃料の石炭を火炉11に設置したバーナ2及びサイドバーナ1に供給する石炭供給系統、および燃焼用空気を火炉11に設置したバーナ2、サイドバーナ1及びアフタエアポート3に燃焼用空気を供給する空気供給系統の各系統図の例を示す。
【0121】
尚、図6〜図8ではアフタエアポート3を記載してあるが、図4の実施例のボイラ装置に関しては燃料の石炭をバーナ2及びサイドバーナ1に供給する石炭供給系統、および燃焼用空気を火炉11に設置したバーナ2、サイドバーナ1に供給する空気供給系統の各系統は共通しているが、アフタエアポート3及びこのアフタエアポート3に燃焼用空気を供給する空気供給系統を備えていない構成となる。
【0122】
図6において、本実施例のボイラ装置では火炉11下部の側壁14に設置した左右のサイドバーナ1、前壁12及び後壁13に設置したバーナ2にそれぞれひとつずつ、合計4つの石炭供給系統がある。
【0123】
また、燃焼用空気19は、押し込み通風機9から供給された空気18を熱交換器7で加熱される。
【0124】
そして熱交換器7から加熱された燃焼用空気19を供給する流路を通じて供給された燃焼用空気19の一部は、前壁バーナウィンドボックス5及び後壁バーナウィンドボックス36の内部に該燃焼用空気19から分岐したバーナ燃焼用空気21として分岐流路を通じてそれぞれ供給され、前壁バーナウィンドボックス5及び後壁バーナウィンドボックス36の内部に設置された前壁12及び後壁13のバーナ2から火炉11内に噴出する。
【0125】
同様に前記燃焼用空気19の一部は、前壁アフタエアポートウィンドボックス6及び後壁アフタエアポートウィンドボックス37の内部に該燃焼用空気19から分岐したアフタエア22として分岐流路を通じてそれぞれ供給され、前壁アフタエアポートウィンドボックス6及び後壁アフタエアポートウィンドボックス37の内部に設置された前壁12及び後壁13のアフタエアポート3から火炉11内に噴出する。
【0126】
同様に前記燃焼用空気19の一部は、右サイドバーナウィンドボックス4及び左サイドバーナウィンドボックス35の内部に該燃焼用空気19から分岐したサイドバーナ燃焼用空気20として分岐流路を通じてそれぞれ供給され、右サイドバーナウィンドボックス4及び左サイドバーナウィンドボックス35の内部に設置された側壁14の下部のサイドバーナ1から火炉11内に噴出する。
【0127】
また、サイドバーナ燃焼用空気20の流量を調節するダンパ42及び45は、右サイドバーナウィンドボックス4及び左サイドバーナウィンドボックス35の手前の分岐流路に設置されている。
【0128】
バーナ用燃焼用空気21の流量を調節するダンパ43及び46は、前壁バーナウィンドボックス5及び後壁バーナウィンドボックス36の手前の分岐流路に設置されている。
【0129】
同様にアフタエア22の流量を調節するダンパ44及び47は、前壁アフタエアポートウィンドボックス6及び後壁アフタエアポートウィンドボックス37の手前の分岐流路に設置されている。
【0130】
更に、サイドバーナ用燃焼用空気20、バーナ用燃焼用空気21、及びアフタエア22の流量を計算して、これらの空気量が計算した流量と一致するように前記ダンパ42〜47の開度を制御する制御装置41が設置されている。
【0131】
そして前記制御装置41で演算して出力される開度指令信号に基づいて前記ダンパ42〜47の開度を制御して、火炉11内に供給されるバーナ燃焼用空気21、アフタエア22、及びサイドバーナ燃焼用空気20の燃焼用空気の流量をそれぞれ調整する。
【0132】
図7に示した本実施例のボイラ装置における燃焼用空気を供給する空気供給系統では、前壁アフタエアポートウィンドボックス6及び後壁アフタエアポートウィンドボックス37の手前の分岐流路に設置したダンパ44、47と、前壁バーナ用ウインドボックス5及び後壁バーナ用ウインドボックス36の手前の分岐流路に設置したダンパ43、46との開度をそれぞれ調節して、バーナ2から火炉11内に供給されるバーナ燃焼用空気21の流量、及びアフタエアポート3から火炉11内に供給されるアフタエア22の流量をそれぞれ制御している。
【0133】
また、右サイドバーナウィンドボックス4及び左サイドバーナウィンドボックス35の手前の分岐流路に設置したダンパ44、47の開度を調節して、サイドバーナ1から火炉11内に供給されるサイドバーナ用燃焼用空気20の流量を制御している。
【0134】
前記したようにバーナ燃焼用空気21の流量とサイドバーナ燃焼用空気20の流量は、制御装置41からの流量指令に基づいてダンパ43、46の開度とダンパ42、45の開度をそれぞれ調節することにより制御される。
【0135】
前記ダンパ42、45は、図7に示したように右サイドバーナウィンドボックス4、左サイドバーナウィンドボックス35の手前の分岐流路ではなく、前壁バーナウィンドボックス5、後壁バーナウィンドボックス36の手前の前記ダンパ43、46の更に上流側となる分岐流路に設置しても良い。
【0136】
また、図8に示した本実施例のボイラ装置における燃焼用空気を供給する空気供給系統では、熱交換器7から加熱した燃焼用空気19を導く流路を流下した燃焼用空気19の一部が、前壁アフタエアポートウィンドボックス6及び後壁アフタエアポートウィンドボックス37と、前壁バーナウィンドボックス5及び後壁バーナウィンドボックス36の系統とは独立して構成された、右サイドバーナウィンドボックス4及び左サイドバーナウィンドボックス35の系統から成る合計6つの分岐系統に分岐した分岐流路を通じて供給されている。
【0137】
よって、右サイドバーナウィンドボックス4及び左サイドバーナウィンドボックス35の手前の独立した分岐流路に設置したダンパ42、45の開度を制御装置41からの流量指令に基づいて調節することによって、サイドバーナ1から火炉11内に供給されるサイドバーナ用燃焼用空気20の流量を制御している。
【0138】
なお、図6〜図8に示した各実施例のボイラ装置ではウインドボックス方式の燃焼用空気供給系統を備えたボイラ装置の例を示したが、スクロールバーナ方式の燃焼用空気供給系統を備えたボイラ装置においても同様である。
【0139】
以上の説明から明らかなように図4に示した本発明の実施例によれば、火炉のホッパ部を有効利用することによって火炉内で燃料が燃焼して発生する燃焼ガス中に含まれる窒素酸化物と未燃分をそれぞれ低減させるコンパクトな構造のボイラ装置が実現できる。
【実施例3】
【0140】
本発明の第3実施例であるボイラ装置について図10を用いて説明する。
【0141】
本実施例では、図1に示した先の第1実施例であるボイラ装置とは基本構成と動作が共通しているので、共通の構成と動作についてはその説明を省略し、相違する部分についてのみ説明する。
【0142】
図10に示した第3実施例のボイラ装置では、図1及び図4に示した実施例のボイラ装置に、更に火炉11の側壁14に設置したサイドバーナ1の近傍の灰付着を防止する装置を備えた例を示している。
【0143】
説明を簡略にするため、本実施例のボイラ装置においてサイドバーナ1は手前側のみしか記載していないが、図の奥側にも設置されている。
【0144】
また、サイドバーナ1は壁面14あたり1台だけではなく複数台設置されていても良い。
【0145】
図10に示すように、サイドバーナ1が設置されている火炉11の下部のホッパ部15は炉底16の下方向に向かって徐々に狭くなる構造となっている。
【0146】
従って、運用条件やサイドバーナ1の取り付け位置によっては、火炉11の前壁12、後壁13のバーナ2を設置した部分よりもサイドバーナ1の近傍のほうが単位体積当たりの熱負荷が高くなる可能性がある。
【0147】
また、サイドバーナ1から噴出した燃料が燃焼して形成される火炎とホッパ部15の壁面との距離も近いので、ホッパ部15の壁内表面の熱負荷は高くなりやすい。
【0148】
ホッパ部15の壁内表面の熱負荷が高くなると、ホッパ壁内表面に付着した灰が軟化したり、溶融したりする現象が起きる。
【0149】
このような溶融あるいは軟化した灰が壁面に付着する現象をスラッギング現象と呼ぶが、スラッギング現象が起きるとボイラ火炉11の水壁への伝熱が阻害され、熱効率が低下する問題が起きる。
【0150】
また、ホッパ部15は火炉11の上方の天井壁17から落下する灰を受ける場所であり、火炉11内で最も灰負荷の大きい場所である。
【0151】
このため前記したスラッギング現象が起きると、ホッパ部15で灰が溶けて塊となったりする可能性がある。
【0152】
塊となった灰は火炉11の外部に排出されないとボイラの運転停止につながるため、灰の排出を行うことは重要である。
【0153】
そこで、本実施例のボイラ装置では、まず、側壁14に設置したサイドバーナ1の周囲となる火炉11の側壁14の下部に、水、排ガス、又は空気、のいずれかの流体を火炉11内に噴出するスートブロー48を設置する。
【0154】
スートブロー48は火炉11内に挿入する機構をもつ配管(図示せず)から、高圧の流体を火炉11内に高速で噴出してこのホッパ部15の壁面に付着した灰を除去する装置である。
【0155】
スートブロー48を用いて流体を火炉内に噴出させることにより、仮にスラッギング現象が起きてホッパ部15に灰が付着しても除去が可能である。
【0156】
また、サイドバーナ1の周囲の熱負荷が高くなるため、スートブロー48も火炉11の側壁14の下部のサイドバーナ1の周囲に複数配置されていることが望ましい。
【0157】
本実施例では、サイドバーナ1の周りにスートブロー48を4箇所設置した場合を示しているが、その限りではない。
【0158】
スートブロー48から噴出する流体のうち最も灰の除去能力が高いのは水である。
【0159】
水は気体に比べ運動量が大きいことや、温度が低いことで灰に熱衝撃を与えやすく、この点で除去能力が高くなる。
【0160】
また、噴出する流体として排ガスを用いると、還元域の空気比を上げることなく灰を除去できる利点がある。還元域の空気比を上げることがなければ、スートブロー48を起動しても火炉内の燃焼に影響がない。
【0161】
更に、本実施例のボイラ装置では、ホッパ部15の前壁12及び後壁13の壁面に多数の穴49を設けて、この穴49から排ガス、又は空気のいずれかの流体を火炉11内に噴出するように構成している。
【0162】
ホッパ部15の前壁12及び後壁13の壁面は斜めに配設されており、スラッギング現象が起きる様な環境では灰は付着力が大きく、すべり落ちずに壁面上に滞留する可能性がある。
【0163】
そこで、本実施例のボイラ装置では、ホッパ部15の前壁12及び後壁13の壁面に設けた多数の穴49から流体を噴出させるので、壁面に滞留した灰が浮き上がって壁面から灰が剥離しやすくなる。
【0164】
また、多数設けた前記穴49から火炉内に噴出する流体によってホッパ部15の前壁12及び後壁13の壁面近傍が冷却されるので、灰が付着しにくくなる効果も期待される。
【0165】
ここで、流体として排ガスを用いれば前述と同様に還元域の空気比を上げることがなく、火炉内の燃焼に影響がない。
【0166】
尚、本実施例で示した灰付着を防止する前記スートブロー48と前記穴49とは両方組み合わせて設置しても良いし、一方のみを設置するようにしても良い。
【0167】
本実施例によれば、火炉のホッパ部を有効利用することによって火炉内で燃料が燃焼して発生する燃焼ガス中に含まれる窒素酸化物と未燃分をそれぞれ低減させるコンパクトな構造のボイラ装置及びボイラ装置の改造方法が実現できる。
【実施例4】
【0168】
本発明の第4実施例であるボイラ装置について図11を用いて説明する。
【0169】
本実施例では、図1に示した先の第1実施例であるボイラ装置とは基本構成と動作が共通しているので、共通の構成と動作についてはその説明を省略し、相違する部分についてのみ説明する。
【0170】
図11に示した第4実施例のボイラ装置では、図1及び図4に示した実施例のボイラ装置で火炉11の側壁14に設置したサイドバーナ1に、更に該サイドバーナ1から燃料を火炉11内に噴出させる噴出方向58を制御する機構を備えた例を示している。
【0171】
前記サイドバーナ1は側壁14の壁面あたり1台だけではなく複数台あっても良く、このサイドバーナ1の設置方向は上下方向に偏向可能に構成して燃料を噴出する噴出方向58を制御可能にしている。
【0172】
まず、サイドバーナ1から噴出する燃料の噴出方向58を水平方向よりも下方に向ける場合は、噴射された燃料が燃焼して発生する燃焼ガスの進行方向は一旦火炉の下方に向かう。その後、火炉11の中央付近で下方に進行したこの燃焼ガスは火炉の上方に方向を転じる。
【0173】
このようにサイドバーナ1の配設方向を下方に向けた場合は、サイドバーナ1から噴射されて燃焼した燃焼ガスは水平方向と平行に噴出される場合に比べて、火炉内での滞留時間を長くすることができる。
【0174】
火炉内での燃焼ガスの滞留時間が長くなれば、ボイラ装置の出口において灰中未燃分を低下できるし、還元域でのNOxの還元が進み、ボイラ出口における燃焼ガス中のNOx濃度を低下させることができる。
【0175】
上記のようにサイドバーナ1の配設方向を調節するだけで、火炉11の側壁14の下部に設置するサイドバーナ1の設置位置を変えることなく、燃焼ガス中の灰中未燃分とNOxの発生量を低下することが可能となるので、サイドバーナ1の設置上の制約がある場合は有効な手段となる。
【0176】
一方、サイドバーナ1から噴出する燃料の噴出方向58を水平方向よりも上方に向ける場合は、発生する燃焼ガスの進行方向は上方に向かうので、火炉11の下部のホッパ部15の熱負荷が小さくなる。
【0177】
炭種や運転状況によってホッパ部15にスラッギング現象がおきやすい状況にあるときは有効な手段となる。
【0178】
特にスラッギング現象がおきやすい性状の石炭を燃焼する場合や、粉砕性が悪く、粗い粒子が多い燃料を燃焼する場合には、サイドバーナ1の配設方向を上向きに設置して固定すれば、サイドバーナ1から噴出する燃料の噴出方向58を調節する機構を省くことが可能となる。
【0179】
また、サイドバーナ1から噴出する燃料の噴出方向58を上下に制御できるようにすれば、より運転状態に適した燃焼状態を選択できるので運用上の効果が大きくなる。
【0180】
本実施例によれば、火炉のホッパ部を有効利用することによって火炉内で燃料が燃焼して発生する燃焼ガス中に含まれる窒素酸化物と未燃分をそれぞれ低減させるコンパクトな構造のボイラ装置及びボイラ装置の改造方法が実現できる。
【実施例5】
【0181】
本発明の第5実施例であるボイラ装置について図12を用いて説明する。
【0182】
本実施例では、図1に示した先の第1実施例であるボイラ装置とは基本構成と動作が共通しているので、共通の構成と動作についてはその説明を省略し、相違する部分についてのみ説明する。
【0183】
図12に示した第5実施例のボイラ装置では、図1及び図4に示した実施例のボイラ装置に、更に火炉11の側壁14に設置したサイドバーナ1にサイドバーナ燃焼用空気20を供給する接続ダクト53を配設した例を示している。
【0184】
熱交換器7で熱交換されて加熱された燃焼用空気19は、燃焼空気用ダクト50で導かれて火炉11の近くまで供給される。
【0185】
燃焼空気用ダクト50から缶後分岐ダクト51を通じて後壁13のバーナ2のウインドボックス36、及びアフタエアポート3のウインドボックス37に空気が供給される。
【0186】
缶後分岐ダクト51に供給する空気量を調整するダンパは、この缶後分岐ダクト51の内部に設置すると構造が簡単になる。
【0187】
同様に前壁12のバーナ2ウインドボックス5と、アフタエアポート3のウインドボックス6には、燃焼空気用ダクト50から缶前分岐ダクト52を通じて空気を供給する。
【0188】
図12では、燃焼空気用ダクト50、缶後分岐ダクト51、缶前分岐ダクト52が火炉11の1つの側壁にのみ設置した場合しか示していないが、左右の側壁14にこれらのものをそれぞれ設定しても良い。
【0189】
サイドバーナ1は火炉11下部の側壁14に設置されているので、保炎することが難しい場合がある。
【0190】
このような場合には、サイドバーナ燃焼用空気20をサイドバーナ1に安定して供給する必要があるが、安定供給のためには圧力の高い場所から空気を供給することが有効である。
【0191】
そこで本実施例のボイラ装置では、空気は缶前分岐ダクト52の途中から接続ダクト53を分岐して、サイドバーナ1のウインドボックス4にサイドバーナ燃焼用空気20として供給するように構成している。
【0192】
この分岐場所は接続ダクト53内に設置したダンパ54の上流に位置するために、圧力が高くサイドバーナ1にサイドバーナ燃焼用空気20として空気を分岐する場所として適する。
【0193】
また、サイドバーナ1に供給するサイドバーナ燃焼用空気20の空気量を調整するダンパ54を接続ダクト53の中に設置すると構造が簡単になる。
【0194】
また接続ダクト53を図12に示すように垂直に配設すると、接続ダクト53内に灰が堆積することが無くなりメンテナンスが容易になる。
【0195】
火炉11は熱により膨張するので、垂直方向に接続ダクト53の位置が移動できるように構成する必要があるが、そのような場合には接続ダクト53の途中に伸び縮みする機構(エクスパンジョン)を設置すると良い。
【0196】
アフタエアポートを持たない単段燃焼方式のボイラ装置をアフタエアポートを備えた2段燃焼方式にボイラ装置に改造する場合には、火炉11の前壁12、後壁13に設置するバーナ2の位置を変更、又はアフタエアポート3を増設することによってボイラの性能向上を図ることが多い。
【0197】
そこで、まず、火炉11の前壁12及び後壁13に複数段に亘って設置したバーナ2のなかで最も高い段に設置されていたバーナ2を取り外す。
【0198】
次に、火炉11下部の側壁14又はホッパ部15の側壁14にサイドバーナ1を設置すれば、側壁14の付近のダクトからサイドバーナ1に供給するサイドバーナ燃焼用空気20を取り込むように接続ダクト53を配置することで、改造箇所が少なく低コストでボイラ装置を改造することができる。
【0199】
本実施例によれば、火炉のホッパ部を有効利用することによって火炉内で燃料が燃焼して発生する燃焼ガス中に含まれる窒素酸化物と未燃分をそれぞれ低減させるコンパクトな構造のボイラ装置及びボイラ装置の改造方法が実現できる。
【実施例6】
【0200】
本発明の第6実施例であるボイラ装置について図13を用いて説明する。
【0201】
本実施例では、図1に示した先の第1実施例であるボイラ装置とは基本構成と動作が共通しているので、共通の構成と動作についてはその説明を省略し、相違する部分についてのみ説明する。
【0202】
図13に示した第6実施例のボイラ装置では、図1及び図4に示した実施例のボイラ装置に、更に火炉11の側壁14の下部に設置したサイドバーナ56、57の上流側に粒子分離装置53を備えた例を示している。
【0203】
本実施例ではこの粒子分離装置55として、固体燃料の粒径により分離する装置を設置した場合について説明する。
【0204】
石炭粉砕器33からサイドバーナ56、57に供給される固体燃料の粒子には粒径分布がある。
【0205】
固体燃料の粒子の密度や、サイドバーナ56、57の構造にも依存するが、固体燃料の粒子が100μm以上の粗い粒子の場合は、サイドバーナ56、57から火炉11内に噴射させた固体燃料は火炉11の炉底16に落下しやすい。
【0206】
そこで粒子分離装置55によって固体燃料の粒子を分離して、細かい粒子の固体燃料は下側に配置したサイドバーナ56に供給し、粗い粒子の固体燃料は上側に配置したサイドバーナ57に供給する。
【0207】
そうすると、下側のサイドバーナ56から噴出される細かい粒子の燃料が燃焼して発生する燃焼ガスは火炉11内で上昇流となって進行するので、上側のサイドバーナ57から供給される粗い粒子の固体燃料がこの上昇流の燃焼ガスによって上昇するので炉底16に落下することを防ぐことができる。
【0208】
また、下側のサイドバーナ56から噴射した燃料が燃焼して生じた火炎は、ホッパ部15により冷却されるので失火しやすいが、本実施例では下側のサイドバーナ56から噴射させる固体燃料は細かい粒子の固体燃料を使用しているので燃焼状態が維持させて失火する状況が防止される。
【0209】
次に粒子分離装置55として、燃料の固体燃料と灰とを分離する装置を設置した場合について説明すると、固体燃料中に灰などの燃焼しない物質が入っていると保炎性が悪くなることがある。
【0210】
このような場合に、粒子分離装置55によって比重、反発係数、粒径などにより物質を分離することが可能であるので、例えば、燃料中に固体燃料と灰が入っている場合には比重によって両者を分離することができる。
【0211】
この結果、サイドバーナ56、57から火炉11内に噴射される燃料中の灰の割合が低下するので、保炎性が改善される。
【0212】
尚、上記した図10〜図13に示した各実施例のボイラ装置ではアフタエアポート3を記載してあるが、図4の実施例に対応するボイラ装置ではこのアフタエアポート3を備えていない単段燃焼方式のボイラ装置となる。
【0213】
本実施例によれば、火炉のホッパ部を有効利用することによって火炉内で燃料が燃焼して発生する燃焼ガス中に含まれる窒素酸化物と未燃分をそれぞれ低減させるコンパクトな構造のボイラ装置及びボイラ装置の改造方法が実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0214】
本発明は燃焼ガス中のNOx濃度及び未燃分を低減するボイラ装置及びボイラ装置の改造方法に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0215】
【図1】本発明の第1実施例であるボイラ装置を示す全体構成図。
【図2】図1の実施例であるボイラ装置に設置されるサイドバーナの配置例を示す図。
【図3】図1の実施例であるボイラ装置に設置されるサイドバーナの配置例を示す図。
【図4】本発明の第2実施例であるボイラ装置を示す概略構成図。
【図5】図1及び図4の各実施例であるボイラ装置に設置されるサイドバーナの設置位置を示す図。
【図6】図1及び図4の各実施例であるボイラ装置における燃焼用空気と燃料の供給系を示す系統図。
【図7】図1及び図4の各実施例であるボイラ装置における燃焼用空気と燃料の供給系を示す他の系統図。
【図8】図1及び図4の各実施例であるボイラ装置における燃焼用空気と燃料の供給系を示す更に他の系統図。
【図9】図1の実施例である微粉炭焚きボイラを対象とした数値解析結果を示す特性図。
【図10】本発明の第3実施例であるボイラ装置を示す概略構成図。
【図11】本発明の第4実施例であるボイラ装置を示す概略構成図。
【図12】本発明の第5実施例であるボイラ装置を示す概略構成図。
【図13】本発明の第6実施例であるボイラ装置を示す概略構成図。
【符号の説明】
【0216】
1:サイドバーナ、2:バーナ、3:アフタエアポート、4:サイドバーナウィンドボックス、5:バーナウィンドボックス、6:アフタエアポートウィンドボックス、7:熱交換器、8:ガス浄化装置、9:押込通風機、10:ボイラ、11:火炉、12:前壁、13:後壁、14:側壁、15:ホッパ、16:炉底、17:天井壁、18:空気、19:燃焼用空気、20:サイドバーナ燃焼用空気、21:バーナ燃焼用空気、22:アフタエア、23:燃焼ガス、24:搬送空気、25:バーナ用石炭搬送気、26:サイドバーナ用搬送気、27:石炭、28:石炭バンカー、29:給炭機、30:石炭粉砕機、31:石炭、32:石炭バンカー、33:給炭機、34:石炭粉砕機、35:左サイドバーナウィンドボックス、36:後壁バーナウィンドボックス、37:後壁アフタエアウィンドボックス、38:左サイドバーナ搬送空気、39:後壁バーナ燃焼用空気、40:後壁アフタエア燃焼用空気、41:制御装置、42:空気調節ダンパ、43:空気調節ダンパ、44:空気調節ダンパ、45:空気調節ダンパ、46:空気調節ダンパ、47:空気調節ダンパ、48:スートブロー、49:灰付着、腐食防止ポート、50:燃焼用空気用ダクト、51:缶後分岐ダクト、52:缶前分岐ダクト、53:接続ダクト、54:ダンパ、55:粒子分離装置、56:下段サイドバーナ、57:上段サイドバーナ、58:バーナの噴出方向、59:サイドバーナ設置領域。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前壁と後壁とこれらの前壁と後壁との間に配設された側壁とから構成される直方体部と、この直方体部の下部に設けられたホッパ部とを備えた火炉と、火炉の前壁及び後壁にそれぞれ設置されて燃料と燃焼用空気を火炉内に供給して燃焼させる複数のバーナと、前記バーナの上部となる火炉の前壁及び後壁にそれぞれ設置されて燃焼用空気を火炉内に供給する複数のアフタエアポートとを備えたボイラ装置において、前記火炉の前壁と後壁に設置された前記バーナのうちで最も下方に配置されたバーナと同一高さ或いはそのバーナよりも下方の位置となる前記直方体部の火炉の側壁、又はこのバーナよりも下方の位置となるホッパ部の側壁に燃料を噴出して燃焼させるサイドバーナを設置したことを特徴とするボイラ装置。
【請求項2】
前壁と後壁とこれらの前壁と後壁との間に配設された側壁とから構成される直方体部と、この直方体部の下部に設けられたホッパ部とを備えた火炉と、火炉の前壁及び後壁にそれぞれ設置されて燃料と燃焼用空気を火炉内に供給して燃焼させる複数のバーナとを備えたボイラ装置において、前記火炉の前壁と後壁に設置された前記バーナのうちで最も下方に配置されたバーナと同一高さ或いはそのバーナよりも下方の位置となる前記直方体部下部の火炉の側壁、又はこのバーナよりも下方の位置となるホッパ部の側壁に燃料を噴出して燃焼させるサイドバーナを設置したことを特徴とするボイラ装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載したボイラ装置において、前記サイドバーナは前記直方体部下部の火炉の両側の側壁、又はホッパ部の両側の側壁にそれぞれ複数設置されていることを特徴とするボイラ装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載したボイラ装置において、火炉の前壁及び後壁にそれぞれ設置された複数のバーナは、前壁に設置したバーナと後壁に設置したバーナとを対向するように配置させて対向燃焼方式のボイラ装置を構成したことを特徴とするボイラ装置。
【請求項5】
請求項4に記載したボイラ装置において、前記サイドバーナは前記直方体部下部の火炉の側壁、又はホッパ部の側壁にそれぞれ複数設置したことを特徴とするボイラ装置。
【請求項6】
請求項3又は請求項5に記載したボイラ装置において、複数設置された前記サイドバーナは前記直方体部下部の火炉の側壁、又はホッパ部の側壁に水平方向に沿って配置したことを特徴とするボイラ装置。
【請求項7】
請求項3又は請求項5に記載したボイラ装置において、複数設置された前記サイドバーナは前記直方体部下部の火炉の側壁、又はホッパ部の側壁に垂直方向に沿って配置されていることを特徴とするボイラ装置。
【請求項8】
請求項1又は請求項2に記載されたボイラ装置において、前記火炉の前壁と後壁に設置された前記バーナのうちで最も下方に配置されたバーナよりも下方の位置となるホッパ部の側壁の下部に水、燃焼排ガス、又は空気を火炉内に噴出するスートブローを設置したことを特徴とするボイラ装置。
【請求項9】
請求項1又は請求項2に記載されたボイラ装置において、前記ホッパ部を形成する前壁及び後壁に流体を内部に噴出して灰を剥離させる複数の穴部を設けたことを特徴とするボイラ装置。
【請求項10】
請求項1又は請求項2に記載されたボイラ装置において、前記サイドバーナは燃料を火炉内に噴出する噴出方向が水平方向よりも上向きとなるように設定したことを特徴とするボイラ装置。
【請求項11】
請求項1又は請求項2に記載されたボイラ装置において、前記サイドバーナは該サイドバーナから火炉内に噴出する燃料の噴出方向を制御する機構を備えたことを特徴とするボイラ装置。
【請求項12】
請求項3又は請求項5に記載したボイラ装置において、前記サイドバーナは該サイドバーナから噴出する燃料の噴出方向を火炉内に形成される火炎が互いに衝突するように配設したことを特徴とするボイラ装置。
【請求項13】
請求項1又は請求項2に記載されたボイラ装置において、火炉下部の側壁又はホッパ部の側壁に設置した前記サイドバーナから噴出する燃料である固体燃料の粒径は、火炉の前壁及び後壁に設置したバーナから噴出する燃料である固体燃料の粒径よりも粗い粒径の固体燃料を使用することを特徴とするボイラ装置。
【請求項14】
請求項1又は請求項2に記載されたボイラ装置において、前記直方体部下部の火炉の側壁、又はホッパ部の側壁に設置した前記サイドバーナから噴出する燃料は、火炉の前壁及び後壁に設置したバーナから噴出する燃料と異なる種類の燃料を使用することを特徴とするボイラ装置。
【請求項15】
請求項3又は請求項5に記載されたボイラ装置において、前記直方体部下部の火炉の側壁、又はホッパ部の側壁に設置した複数のサイドバーナは上下方向にそれぞれ配置されており、これらのサイドバーナから噴出する燃料である固体燃料は、下部に配置されたサイドバーナから細かい粒径の固体燃料を、上部に配置されたサイドバーナから粗い粒径の固体燃料をそれぞれ火炉内又はホッパ部内に噴出していることを特徴とするボイラ装置。
【請求項16】
前壁と後壁とこれらの前壁と後壁との間に配設された側壁とから構成される直方体部と、この直方体部の下部に設けられたホッパ部とを備えた火炉と、火炉の前壁及び後壁にそれぞれ3段以上設置されて燃料と燃焼用空気を火炉内に供給して燃焼させる複数のバーナと、前記バーナの上部となる火炉の前壁及び後壁にそれぞれ設置されて燃焼用空気を火炉内に供給する複数のアフタエアポートとを備えたボイラ装置の改造方法において、前記火炉の前壁又は後壁に設置された既設の前記バーナのうちで最上段のバーナを取り外し、前記火炉の前壁と後壁に設置された前記バーナのうちで最も下方に配置されたバーナと同一高さ或いはそのバーナよりも下方の位置となる前記直方体部の火炉の側壁、又はこのバーナよりも下方の位置となるホッパ部の側壁に燃料を噴出して燃焼させるサイドバーナを設置するように改造することを特徴とするボイラ装置の改造方法。
【請求項17】
前壁と後壁とこれらの前壁と後壁との間に配設された側壁とから構成される直方体部と、この直方体部の下部に設けられたホッパ部とを備えた火炉と、火炉の前壁及び後壁にそれぞれ3段以上設置されて燃料と燃焼用空気を火炉内に供給して燃焼させる複数のバーナとを備えたボイラ装置の改造方法において、前記火炉の前壁又は後壁に設置された既設の前記バーナのうちで最上段のバーナを取り外し、前記火炉の前壁と後壁に設置された前記バーナのうちで最も下方に配置されたバーナと同一高さ或いはそのバーナよりも下方の位置となる前記直方体部の火炉の側壁、又はこのバーナよりも下方の位置となるホッパ部の側壁に燃料を噴出して燃焼させるサイドバーナを設置するように改造することを特徴とするボイラ装置の改造方法。
【請求項1】
前壁と後壁とこれらの前壁と後壁との間に配設された側壁とから構成される直方体部と、この直方体部の下部に設けられたホッパ部とを備えた火炉と、火炉の前壁及び後壁にそれぞれ設置されて燃料と燃焼用空気を火炉内に供給して燃焼させる複数のバーナと、前記バーナの上部となる火炉の前壁及び後壁にそれぞれ設置されて燃焼用空気を火炉内に供給する複数のアフタエアポートとを備えたボイラ装置において、前記火炉の前壁と後壁に設置された前記バーナのうちで最も下方に配置されたバーナと同一高さ或いはそのバーナよりも下方の位置となる前記直方体部の火炉の側壁、又はこのバーナよりも下方の位置となるホッパ部の側壁に燃料を噴出して燃焼させるサイドバーナを設置したことを特徴とするボイラ装置。
【請求項2】
前壁と後壁とこれらの前壁と後壁との間に配設された側壁とから構成される直方体部と、この直方体部の下部に設けられたホッパ部とを備えた火炉と、火炉の前壁及び後壁にそれぞれ設置されて燃料と燃焼用空気を火炉内に供給して燃焼させる複数のバーナとを備えたボイラ装置において、前記火炉の前壁と後壁に設置された前記バーナのうちで最も下方に配置されたバーナと同一高さ或いはそのバーナよりも下方の位置となる前記直方体部下部の火炉の側壁、又はこのバーナよりも下方の位置となるホッパ部の側壁に燃料を噴出して燃焼させるサイドバーナを設置したことを特徴とするボイラ装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載したボイラ装置において、前記サイドバーナは前記直方体部下部の火炉の両側の側壁、又はホッパ部の両側の側壁にそれぞれ複数設置されていることを特徴とするボイラ装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載したボイラ装置において、火炉の前壁及び後壁にそれぞれ設置された複数のバーナは、前壁に設置したバーナと後壁に設置したバーナとを対向するように配置させて対向燃焼方式のボイラ装置を構成したことを特徴とするボイラ装置。
【請求項5】
請求項4に記載したボイラ装置において、前記サイドバーナは前記直方体部下部の火炉の側壁、又はホッパ部の側壁にそれぞれ複数設置したことを特徴とするボイラ装置。
【請求項6】
請求項3又は請求項5に記載したボイラ装置において、複数設置された前記サイドバーナは前記直方体部下部の火炉の側壁、又はホッパ部の側壁に水平方向に沿って配置したことを特徴とするボイラ装置。
【請求項7】
請求項3又は請求項5に記載したボイラ装置において、複数設置された前記サイドバーナは前記直方体部下部の火炉の側壁、又はホッパ部の側壁に垂直方向に沿って配置されていることを特徴とするボイラ装置。
【請求項8】
請求項1又は請求項2に記載されたボイラ装置において、前記火炉の前壁と後壁に設置された前記バーナのうちで最も下方に配置されたバーナよりも下方の位置となるホッパ部の側壁の下部に水、燃焼排ガス、又は空気を火炉内に噴出するスートブローを設置したことを特徴とするボイラ装置。
【請求項9】
請求項1又は請求項2に記載されたボイラ装置において、前記ホッパ部を形成する前壁及び後壁に流体を内部に噴出して灰を剥離させる複数の穴部を設けたことを特徴とするボイラ装置。
【請求項10】
請求項1又は請求項2に記載されたボイラ装置において、前記サイドバーナは燃料を火炉内に噴出する噴出方向が水平方向よりも上向きとなるように設定したことを特徴とするボイラ装置。
【請求項11】
請求項1又は請求項2に記載されたボイラ装置において、前記サイドバーナは該サイドバーナから火炉内に噴出する燃料の噴出方向を制御する機構を備えたことを特徴とするボイラ装置。
【請求項12】
請求項3又は請求項5に記載したボイラ装置において、前記サイドバーナは該サイドバーナから噴出する燃料の噴出方向を火炉内に形成される火炎が互いに衝突するように配設したことを特徴とするボイラ装置。
【請求項13】
請求項1又は請求項2に記載されたボイラ装置において、火炉下部の側壁又はホッパ部の側壁に設置した前記サイドバーナから噴出する燃料である固体燃料の粒径は、火炉の前壁及び後壁に設置したバーナから噴出する燃料である固体燃料の粒径よりも粗い粒径の固体燃料を使用することを特徴とするボイラ装置。
【請求項14】
請求項1又は請求項2に記載されたボイラ装置において、前記直方体部下部の火炉の側壁、又はホッパ部の側壁に設置した前記サイドバーナから噴出する燃料は、火炉の前壁及び後壁に設置したバーナから噴出する燃料と異なる種類の燃料を使用することを特徴とするボイラ装置。
【請求項15】
請求項3又は請求項5に記載されたボイラ装置において、前記直方体部下部の火炉の側壁、又はホッパ部の側壁に設置した複数のサイドバーナは上下方向にそれぞれ配置されており、これらのサイドバーナから噴出する燃料である固体燃料は、下部に配置されたサイドバーナから細かい粒径の固体燃料を、上部に配置されたサイドバーナから粗い粒径の固体燃料をそれぞれ火炉内又はホッパ部内に噴出していることを特徴とするボイラ装置。
【請求項16】
前壁と後壁とこれらの前壁と後壁との間に配設された側壁とから構成される直方体部と、この直方体部の下部に設けられたホッパ部とを備えた火炉と、火炉の前壁及び後壁にそれぞれ3段以上設置されて燃料と燃焼用空気を火炉内に供給して燃焼させる複数のバーナと、前記バーナの上部となる火炉の前壁及び後壁にそれぞれ設置されて燃焼用空気を火炉内に供給する複数のアフタエアポートとを備えたボイラ装置の改造方法において、前記火炉の前壁又は後壁に設置された既設の前記バーナのうちで最上段のバーナを取り外し、前記火炉の前壁と後壁に設置された前記バーナのうちで最も下方に配置されたバーナと同一高さ或いはそのバーナよりも下方の位置となる前記直方体部の火炉の側壁、又はこのバーナよりも下方の位置となるホッパ部の側壁に燃料を噴出して燃焼させるサイドバーナを設置するように改造することを特徴とするボイラ装置の改造方法。
【請求項17】
前壁と後壁とこれらの前壁と後壁との間に配設された側壁とから構成される直方体部と、この直方体部の下部に設けられたホッパ部とを備えた火炉と、火炉の前壁及び後壁にそれぞれ3段以上設置されて燃料と燃焼用空気を火炉内に供給して燃焼させる複数のバーナとを備えたボイラ装置の改造方法において、前記火炉の前壁又は後壁に設置された既設の前記バーナのうちで最上段のバーナを取り外し、前記火炉の前壁と後壁に設置された前記バーナのうちで最も下方に配置されたバーナと同一高さ或いはそのバーナよりも下方の位置となる前記直方体部の火炉の側壁、又はこのバーナよりも下方の位置となるホッパ部の側壁に燃料を噴出して燃焼させるサイドバーナを設置するように改造することを特徴とするボイラ装置の改造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−79835(P2009−79835A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−249598(P2007−249598)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]