説明

ボンディング装置

【課題】ボンディング(接合)時以前に、基板や電子部品に悪影響を与えずにファイバの異常を検出できるボンディング装置の提供。
【解決手段】チップ1をレーザにて加熱接合するボンディング装置に次の手段を採用する。第1に、レーザ発振手段14からのレーザの出力を可変可能とする制御手段16と、レーザを受光する受光手段12と、ボンディングステージ21に対してレーザヘッド4を相対的に移動させる移動機構と、受光手段12の受光量に基づいてファイバ9の導光状態の良否を検査する検査手段23とを備える。第2に、受光手段12の受光部13をレーザヘッド4内に設ける。第3に、レーザヘッド4の下部に電子部品を保持した状態で、接合時より低いレーザ出力で、ファイバ9からレーザを出射させる。第4に、検査手段23で、受光手段12で受光される電子部品からの反射光を含む受光量に基づいて、ファイバ9の導光状態の良否を検査する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品にレーザを照射することにより加熱して接合するボンディング装置の改良に関するもので、詳しくは、ボンディング装置におけるレーザを出射するファイバの導光状態の良否を検査する手段に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子部品にボンディングヘッド(レーザヘッド)の内側からレーザを照射することにより加熱して接合するボンディング装置として、特許文献1に示されるように、ボンディングツールをレーザが透過可能なものとして、電子部品に対し直接レーザを照射し、電子部品を加熱して接合する方式が知られている。
【0003】
この種のボンディング装置では、光ファイバによりレーザを導光する構成となっているが、該光ファイバは、破断、破損し、断線する場合があった。このような状態では、電子部品を適正に加熱して接合することができないばかりか、レーザが外部に漏れるという危険もあった。
【0004】
そこで特許文献2に示されるようなファイバの異常を加工以前に検出する手段が開示されていた。尚、接合時(加工時)に、ファイバの異常を検出する方法では、電子部品や基板が加熱加圧された後の検出となり、バンプや接合介在物(樹脂など)が変形し、それらの再利用が不可能になり、有効な検査手段ではない。
【0005】
しかし、特許文献2に示される検査手段は、レーザ加工(工業製品の加工あるいは医療分野の治療)に利用されるレーザ装置における検査手段であって、レーザ加工に寄与しない検査光を加工レーザ光とは別の検査用光源より出力し、加工レーザ光用の光ファイバの他端から出射する検査光を検出することでファイバの異常を検出するものであった。
【0006】
しかし、この種の検査手段は、主たる加工用光源の他に別個の光源をもたなければならないなど装置として大型化や複雑化を招くものであって好ましいものではなかった。
【0007】
【特許文献1】特許第3195970号特許公報
【特許文献2】特開2−258185号公開特許公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するため、レーザ発振手段から出射されるレーザの出力を可変可能とする制御手段を採用し、接合時より低いレーザ出力で、ファイバからレーザを出射させて検査を行うことで、ボンディング(接合)時以前に、電子部品や接合対象物に悪影響を与えずにファイバの異常を検出できるボンディング装置とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、上記課題を解決するため、レーザ発振手段と、前記レーザ発振手段からレーザを導光するファイバと、前記ファイバが接続されて下部からレーザを出射可能であり、かつ、前記下部に電子部品を保持可能なレーザヘッドと、電子部品の接合対象物を支持するボンディングステージとを備え、前記ボンディングステージ上で前記レーザヘッドからレーザ照射して、前記電子部品を加熱し接合するボンディング装置に次の手段を採用する。
第1に、前記レーザ発振手段から出射されるレーザの出力を可変可能とする制御手段と、
前記ファイバから出射されたレーザを受光する受光手段と、前記ボンディングステージに対して前記レーザヘッドを相対的に移動させる移動機構と、前記受光手段の受光量に基づいて前記ファイバの導光状態の良否を検査する検査手段とを備える。
第2に、前記受光手段の受光部を前記レーザヘッド内に設け、前記レーザヘッドの下部に電子部品を保持した状態で、接合時より低いレーザ出力で、前記ファイバからレーザを出射させ、前記検査手段で、前記受光手段で受光される電子部品からの反射光を含む受光量に基づいて、前記ファイバの導光状態の良否を検査する。
【0010】
第2の発明は、レーザ発振手段と、前記レーザ発振手段からレーザを導光するファイバと、前記ファイバが接続されて下部からレーザを出射可能であり、かつ、前記下部に電子部品を保持可能なレーザヘッドと、電子部品の接合対象物を支持するボンディングステージとを備え、前記ボンディングステージ上で前記レーザヘッドからレーザ照射して、前記電子部品を加熱し接合するボンディング装置に次の手段を採用する。
第1に、前記レーザ発振手段から出射されるレーザの出力を可変可能とする制御手段と、前記ファイバから出射されたレーザを受光する受光手段と、前記ボンディングステージに対して前記レーザヘッドを相対的に移動させる移動機構と、前記受光手段の受光量に基づいて前記ファイバの導光状態の良否を検査する検査手段とを備える。
第2に、前記受光手段の受光部を前記レーザヘッドに対して、相対的に移動可能に上方に向けて設け、前記レーザヘッドの下部に電子部品を保持しない状態で、前記受光手段の受光部をレーザヘッドの下方に位置させて、接合時より低いレーザ出力で、前記ファイバからレーザを出射させ、前記検査手段で、前記受光手段で受光される受光量に基づいて、前記ファイバの導光状態の良否を検査する。
【0011】
第3の発明は、第1の発明又は第2の発明に、前記ファイバが、複数本のファイバからなり、所定本数ずつファイバにレーザを導光させて、複数回に分割してファイバからレーザを出射させ、前記検査手段によりファイバの導光状態の良否を検査することを付加したボンディング装置である。
【発明の効果】
【0012】
第1の発明では、レーザヘッドの下部に電子部品を保持した状態で、接合時より低いレーザ出力で、前記ファイバからレーザを出射させ、前記検査手段で、前記受光手段で受光される電子部品からの反射光を含む受光量に基づいて、前記ファイバの導光状態の良否を検査するものであるため、検査のためのレーザによって電子部品や接合対象物などに悪影響を与えることなく、また検査用に別個の光源を備えることを必要とせず、電子部品の接合前にファイバの導光状態の良否を検査することができる。
【0013】
第2の発明では、受光手段の受光部を前記レーザヘッドに対して、相対的に移動可能に上方に向けて設け、前記レーザヘッドの下部に電子部品を保持しない状態で、前記受光手段の受光部をレーザヘッドの下方に位置させて、接合時より低いレーザ出力で、前記ファイバからレーザを出射させ、前記検査手段で、前記受光手段で受光される受光量に基づいて、前記ファイバの導光状態の良否を検査するものであるため、電子部品や接合対象物などにレーザが照射されることがなく、更に、低出力であるため周囲や受光部を構成する受光素子への悪影響も生じさせることなく電子部品の接合前にファイバの導光状態の良否を検査することができる。
【0014】
尚、上記ファイバが、複数本のファイバからなり、その内の特定箇所のみが破損した場合などには、どのファイバが破損したかの検出が困難になる。そこで第3の発明では、ファイバが複数本のファイバからなる場合には、所定本数ずつファイバにレーザを導光させて、複数回に分割してファイバからレーザを出射させ、検査手段によりファイバの導光状態の良否を検査することにより、いずれのファイバが破損したかを検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に従って、実施例と共に本発明の実施の形態について説明する。実施例におけるボンディング装置は、電子部品である半導体チップ1を接合対象物としての基板2にボンディングする装置である。図1は、ボンディング装置の一実施例を示す全体概略説明図であり、ボンディング装置は、半導体チップ1を基板2に接合するボンディングヘッドとなるレーザヘッド4と、チップトレイ20及び基板載置ステージ21の配置されたテーブル22を備えている。尚、チップトレイ20は、チップ供給のためのものであるのでトレイという形態に限定されるものではなく、ウエハ自体であってもよい。また、基板載置ステージ21は、ボンディングを実行するためのボンディングステージを構成している。
【0016】
レーザヘッド4は、半導体チップ1を吸着保持するボンディングツール3を先端部(下端部)に有し、昇降機構31及び水平移動機構32により移動可能とされている。即ち、レーザヘッド4は、チップ供給位置であるチップトレイ20にて、ボンディングツール3により半導体チップ1を吸着保持し、ボンディング位置である基板載置ステージ21に移動して、下降して基板2に半導体チップ1を搭載し、加熱して接合し、冷却後固定してボンディングを完了し、上昇して、再度、チップ供給位置に戻る動作を繰り返す。
【0017】
尚、実施例ではレーザヘッド4に、昇降機構31と水平移動機構32を設け、レーザヘッド4を移動可能としているが、レーザヘッド4とチップトレイ20や基板載置ステージ21とは相対移動でよいので、チップトレイ20や基板載置ステージ21が配置されているテーブル22に、駆動機構を設け、テーブル22を移動させることにより、レーザヘッド4との相対移動を行ったり、テーブル22及びレーザヘッド4の両者を移動させることにより、両者の相対移動を行ったりしてもよい。
【0018】
レーザヘッド4の内部は、空部5とされ、該空部5には、ボンディングツール3に保持された半導体チップ1をレーザヘッド4の内側からレーザ17を照射して加熱するレーザ加熱装置6が配置されている。
【0019】
レーザヘッド4の下端部にはボンディングツール3が装着されている。ボンディングツール3は、実施例では熱膨張が小さく、レーザ17の透過性のよい石英ガラスが用いられているが、レーザ17を透過する素材であればよく、サファイア等も利用できる。ボンディングツール3の中央部には、半導体チップ1を吸着保持するための吸着孔18が形成されている。更に、ボンディングツール3のレーザヘッド4内部側に位置する表面(図2中では上面)には、反射防止膜が形成されている。
【0020】
レーザヘッド4には、吸引通路7が形成されており、空部5は、該吸引通路7とレーザヘッド4の下端に装着されたボンディングツール3の吸着孔18以外は、密閉されている。更に、吸引通路7は、吸引装置8と接続されているため、吸引装置8により真空吸引することにより、レーザヘッド4内の空部5には負圧が付与され、ボンディングツール3の吸着孔18に半導体チップ1が吸着保持可能となる。
【0021】
レーザ加熱装置6は、レーザ発振器14と、レーザ発振器14から出射されるレーザ17の出力を可変可能とする制御装置16と、レーザ発振器14と接続され、レーザ17を導光し、下部からレーザ17を出射できるようレーザヘッド4内にレーザ出射口10を位置させた光ファイバ9と、該出射口10から出射されたレーザ17を集束する集光手段たる集光レンズ11と、レーザ17の照射範囲を限定するための遮蔽板15を有する。
尚、光ファイバ9から出射されたレーザ17は、拡散して集光レンズ11に入射するため、レーザ17の集光点は、集光レンズ11の焦点位置より下方に設けられている。
【0022】
集光レンズ11は、実施例では1枚の凸レンズを用いているが、複数枚のレンズを用いてもよい。集光レンズ11は、レーザヘッド4内のホルダに支持されている。集光レンズ11によるレーザの集光点は、レーザヘッド4の内部である空部5内に設定している。尚、集光レンズ11の表裏面は反射防止膜が形成されている。また、集光手段として、凹面鏡を使用してもよい。
【0023】
遮蔽板15は、集光レンズ11を通過したレーザ17が、照射されるべき半導体チップ1からはみ出さないようにするためのものである。遮蔽板15は、実施例では存在するが、集光レンズ11のみで照射範囲が半導体チップ1に限定する調整が可能な場合は設けなくともよい。
【0024】
レーザ17が、半導体チップ1からはみ出していると基板2に照射されて基板2が加熱されて、膨張する危険を有している。基板2が樹脂からなるような場合にはシリコーンからなる基板2に比べて大きく膨張してしまう。基板2が加熱され膨張した状態でボンディングするとバンプと電極の位置がずれる上、冷却して元に戻った場合でも半導体チップ1が曲がったりして、不良品になることがあった。遮蔽板15はこの危険を回避するために設けられている。
【0025】
レーザヘッド4内のボンディングツール3の斜め上方には、ボンディングツール3に吸着された半導体チップ1に照射されたレーザ17の反射光などの散乱光を検出するための反射光検出用のフォトセンサ12を設けている。該フォトセンサ12が、本発明における受光手段となる。この受光手段たるフォトセンサ12の受光部13は、レーザヘッド4内で下部、即ち、半導体チップ1の表面からの反射光を受光できるよう下部に保持した半導体チップ1に向けて設置されている。フォトセンサ12の受光部13からの信号は、ファイバを介して制御装置16に入力される。尚、フォトセンサ12を制御装置16内に設けて、レーザヘッド4内に臨ませた光ファイバで導光される光を受光させるようにしてもよい。この場合、レーザヘッド4内に臨ませた光ファイバの先端が受光部13となる。
【0026】
制御装置16には、検査装置23が内蔵されており、該検査装置23で、受光部13の受光量が所定量以上であるか否かを、予め設定された基準値と比較して検査する。該受光量が所定量を満たしていれば、制御装置16は、レーザヘッド4を基板2の上方へ移動させるとともに下降させ、吸着保持していた半導体チップ1を、基板2に接合する旨の指示をする。受光量が所定量を満たしていなければ、レーザヘッド4の移動を停止し、ファイバの異常を警報出力する旨の指示をする。
【0027】
フォトセンサ12及び検査装置23は、レーザヘッド4が、チップ供給位置とボンディング位置との間で往復移動することから、光ファイバ9が繰り返ししごかれ、断線することがあるので、そのような事態を検出しようとするために設けられたものである。
【0028】
以下、ボンディングの動作について説明すると、まず、ボンディング位置では、基板載置ステージ21上に基板2が供給される。他方、チップ供給位置では、レーザヘッド4がチップトレイ20から半導体チップ1をボンディングツール3に吸着保持し、上昇する。その後、レーザヘッド4は、水平移動機構32により、ボンディング位置たる基板載置ステージ21へと移動する。
【0029】
この移動工程の間に、検査のためにレーザ発振器14が動作し、光ファイバ9のレーザ出射口10より、接合時より出力の低いレーザ出力でレーザ17が出射される。このときフォトセンサ12の受光部13は、半導体チップ1の上面からの反射光を含む散乱光を受光する。この受光量が所定量以上であるか否かを検査する。該受光量が所定量を満たしていれば、レーザヘッド4は基板2上のボンディング位置に移動するとともに下降し、吸着保持していた半導体チップ1を、基板2に接合する。受光量が所定量を満たしていなければ、レーザヘッド4の移動を停止し、ファイバの異常を警報出力する。尚、接合は保持した半導体チップ1を基板2に押圧しながらレーザ照射する加熱圧着であってもよいし、半導体チップ1を基板2に載置させた状態で押圧せずにレーザ照射して加熱するだけであってもよい。
【0030】
第1実施例では、光ファイバ9は、単一のレーザ発振器14と接続される単芯のものが用いられており、単一のレーザ出射口10からレーザ17を出射するものとしているが、図3に示されるように、個々に制御可能な複数のレーザ発振器14と接続される複数の細い光ファイバ9を結束したファイバ束19とし、複数のレーザ出射口10より各々レーザ17を出射するものとする第2実施例も考えられる。
【0031】
このようなファイバ束19の複数のレーザ出射口10よりレーザ17が出射されるような場合、第1実施例で示す検出手段で、ファイバの異常を検出したとしても、いずれの光ファイバ9が異常であるのかを特定することができない。そこで、図3のようなファイバ束19の複数のレーザ出射口10よりレーザ17が出射される場合には、一つのレーザ発振器14を動作させ、これと接続されている1本の光ファイバ9のレーザ出射口10から、レーザ17を出射させ、受光部13から入射する受光量が所定量以上であるかどうか1本ずつレーザを導光させて複数回に分割して順次検査し、ファイバ束19の内、いずれの光ファイバ9が異常であるかを検査する。
【0032】
尚、この際、1本ずつ低いレーザ出力でレーザ17を出射させてもよいが、ファイバ束19の内、一つの光ファイバ9のレーザ出射口10からのみレーザ17が出射されているに過ぎないので、全体としてファイバ束19の接合時のレーザ出力よりは低出力になっているため、検査する個々の光ファイバ9の出力を接合時より低出力にする必要はなく、1本ごとの出力は接合時の出力と同じであってもよい。
【0033】
更に、図4に示されるように群ごとに制御可能な複数のレーザ発振器14と接続される複数の細い光ファイバ9を結束したファイバ束19とし、複数のレーザ出射口10よりレーザ17を出射するものとする第3実施例も考えられる。
このようなファイバ束19の複数のレーザ出射口10よりレーザ17が出射されるような場合、第1実施例で示す検出手段で、ファイバの異常を検出したとしても、いずれの光ファイバ9群が異常であるのかを特定することができない。
【0034】
そこで、図4のようなファイバ束19の複数のレーザ出射口10よりレーザ17が出射される場合には、一群のレーザ発振器14を動作させ、これと接続されている一群の光ファイバ9のレーザ出射口10から、レーザ17を出射させ、受光部13から入射する受光量が所定量以上であるかどうか、所定複数本数からなる一群ずつレーザを導光させて複数回に分割して順次検査し、ファイバ束19の内、いずれの光ファイバ9群が異常であるかを検査するのである。
【0035】
この場合にも、一群ずつ低いレーザ出力でレーザ17を出射させてもよいが、ファイバ束19の内、一群の光ファイバ9のレーザ出射口10からのみレーザ17が出射されているに過ぎないので、全体としてファイバ束19の接合時のレーザ出力よりは低出力となっている。このため、検査する個々のファイバ9群の出力を接合時より低出力にする必要はなく、一群ごとの出力は接合時の出力と同じであってもよい。また、このような第3実施例において、各レーザ発振器14にスイッチ回路を設けて各ファイバ9群内で個々にレーザ発振器14を動作可能に構成して、各ファイバ9群ごとに前記第2実施例と同様に1本ずつ検査するようにしてもよい。
【0036】
第1乃至第3実施例では、受光手段であるフォトセンサ12の受光部13は、レーザヘッド4内に下部に向けて設けているが、受光手段であるフォトセンサ12の受光部13をレーザヘッド4の外部、図5のようにテーブル22に上方に向けて設置するものであってもよい。この第4実施例における外部設置の受光部13にてレーザヘッド4の下端を観察するのである。
【0037】
このような構成を採用した場合には、次のように動作する。
まず、生産運転を開始する前のボンディング装置の起動時、又は基板2に半導体チップ1を接合してレーザヘッド4が上昇した後でチップトレイ20へ至る前に、即ち、レーザヘッド4が半導体チップ1を保持していない状態で、レーザヘッド4が水平移動し、レーザヘッド4を受光部13の上方へ位置させる。
【0038】
該位置で接合時の出力より低いレーザ出力でレーザ17を照射する。このとき受光部13から入射される受光量が所定以上であるかを検査する。検査の結果、所定量を満たしていれば、半導体チップ1を保持し接合動作を実行し、満たしていなければ停止して、光ファイバ9の異常を警報出力する。
【0039】
尚、この例では、レーザヘッド4が移動するものであったが、レーザヘッド4と受光部13の移動は、相対移動であればよいので、受光部13が設置されているテーブル22の移動によってもよいし、両者の移動によってもよいし、受光部13が単独で移動するものであってもよい。以上のように受光部13が、レーザヘッド4の外部に設置されている場合であっても、複数のレーザ出射口10よりレーザ17を出射するものがありうる。
【0040】
第1が、個々に制御可能な複数のレーザ発振器14と接続される複数の細い光ファイバ9を結束したファイバ束19とし、複数のレーザ出射口10よりレーザ17を出射するものとする第5実施例である。図3に示されるレーザ出射口10同様のレーザ出射口10を有するものである。
第2が、群ごとに制御可能な複数のレーザ発振器14と接続される複数の細い光ファイバ9を結束したファイバ束19とし、複数のレーザ出射口10よりレーザ17を出射するものとする第6実施例である。図4に示されるレーザ出射口10と同様のレーザ出射口10を有するものである。
これらの場合であっても、検査方法及び出力レベルは、第2及び第3実施例の場合と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】受光手段をレーザヘッド内に設けた場合のボンディング装置の全体概略説明図
【図2】レーザヘッド内部を示した説明図で、(A)は検査時、(B)は接合時を示す。
【図3】個々の光ファイバ単位で検査する場合のボンディング装置の説明図で、(A)は検査時、(B)は接合時を示す。
【図4】光ファイバ群単位で検査する場合のボンディング装置の説明図で、(A)は検査時、(B)は接合時を示す。
【図5】受光手段をレーザヘッド外に設けた場合のボンディング装置の全体説明図
【符号の説明】
【0042】
1・・・・・半導体チップ
2・・・・・基板
3・・・・・ボンディングツール
4・・・・・レーザヘッド
5・・・・・空部
6・・・・・レーザ加熱装置
7・・・・・吸引通路
8・・・・・吸引装置
9・・・・・光ファイバ
10・・・・レーザ出射口
11・・・・集光レンズ
12・・・・フォトセンサ
13・・・・受光部
14・・・・レーザ発振器
15・・・・遮蔽板
16・・・・制御装置
17・・・・レーザ
18・・・・吸着孔
19・・・・ファイバ束
20・・・・チップトレイ
21・・・・基板載置ステージ
22・・・・テーブル
23・・・・検査装置
31・・・・昇降機構
32・・・・水平移動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ発振手段と、前記レーザ発振手段からレーザを導光するファイバと、前記ファイバが接続されて下部からレーザを出射可能であり、かつ、前記下部に電子部品を保持可能なレーザヘッドと、電子部品の接合対象物を支持するボンディングステージとを備え、前記ボンディングステージ上で前記レーザヘッドからレーザ照射して、前記電子部品を加熱し接合するボンディング装置において、
前記レーザ発振手段から出射されるレーザの出力を可変可能とする制御手段と、
前記ファイバから出射されたレーザを受光する受光手段と、前記ボンディングステージに対して前記レーザヘッドを相対的に移動させる移動機構と、前記受光手段の受光量に基づいて前記ファイバの導光状態の良否を検査する検査手段とを備え、
前記受光手段の受光部を前記レーザヘッド内に設け、
前記レーザヘッドの下部に電子部品を保持した状態で、接合時より低いレーザ出力で、前記ファイバからレーザを出射させ、
前記検査手段で、前記受光手段で受光される電子部品からの反射光を含む受光量に基づいて、前記ファイバの導光状態の良否を検査することを特徴とするボンディング装置。
【請求項2】
レーザ発振手段と、前記レーザ発振手段からレーザを導光するファイバと、前記ファイバが接続されて下部からレーザを出射可能であり、かつ、前記下部に電子部品を保持可能なレーザヘッドと、電子部品の接合対象物を支持するボンディングステージとを備え、前記ボンディングステージ上で前記レーザヘッドからレーザ照射して、前記電子部品を加熱し接合するボンディング装置において、
前記レーザ発振手段から出射されるレーザの出力を可変可能とする制御手段と、前記ファイバから出射されたレーザを受光する受光手段と、前記ボンディングステージに対して前記レーザヘッドを相対的に移動させる移動機構と、前記受光手段の受光量に基づいて前記ファイバの導光状態の良否を検査する検査手段とを備え、
前記受光手段の受光部を前記レーザヘッドに対して、相対的に移動可能に上方に向けて設け、前記レーザヘッドの下部に電子部品を保持しない状態で、前記受光手段の受光部をレーザヘッドの下方に位置させて、接合時より低いレーザ出力で、前記ファイバからレーザを出射させ、
前記検査手段で、前記受光手段で受光される受光量に基づいて、前記ファイバの導光状態の良否を検査することを特徴とするボンディング装置。
【請求項3】
前記ファイバが、複数本のファイバからなり、
所定本数ずつファイバにレーザを導光させて、複数回に分割してファイバからレーザを出射させ、前記検査手段によりファイバの導光状態の良否を検査することを特徴とする請求項1又は2記載のボンディング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−182162(P2009−182162A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−20085(P2008−20085)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】